JP2004042565A - 易開封性シーラントフィルム及びそれを用いた包装材料及び容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】易開封性シーラントフィルム100 を、被着材にヒートシールされる面の樹脂層(A)とそれに隣接して積層された樹脂層(B)とで形成し、樹脂層(A)には、ポリブテン−1を100重量部に対して高圧法LDPE又はエチレン系共重合体を20〜90重量部の割合で混合した混合樹脂を用い、樹脂層(B)には、シングルサイト触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体を用い、両者を共押し出しインフレーション成形法で製膜して形成する。また、このシーラントフィルム100 の樹脂層(B)面に基材を貼り合わせて包装材料200 を作製する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、易開封性シーラントフィルム及びそれを用いた包装材料及び容器に関し、特に被着材がポリプロピレンの場合に好適に使用できる易開封性シーラントフィルム及びそれを用いた包装材料及び容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ヒートシール部に良好な熱接着性、密封性と易開封性を兼ね備えさせるために、種々の凝集破壊タイプのイージーピール性シーラントが提案されている。
これらは、熱接着成分として、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらの共重合体などのポリオレフィン系樹脂を用い、これに凝集力を低下させる異種材料として、例えば、ワックス類、ハードレジン、ポリスチレンまたはその変性物、ポリブテン−1、或いは融点や密度などの異なるポリエチレン、ポリプロピレンなどを適宜添加して易開封性を付与するものである。
このようなイージーピール性シーラントは、被着材の材料に応じて、その熱接着成分が選定され、例えば、最内層に低密度ポリエチレンが積層された紙カップ容器に用いる蓋材では、その最内層のシーラント層の熱接着成分には低密度ポリエチレンを用い、これに凝集力を低下させる前記異種材料を適宜に添加してシーラント層を構成するのが一般的である。
【0003】
同様な考え方で、被着材がポリプロピレンの場合、例えば、ポリプロピレンの成形容器や、最内層にポリプロピレンが積層された紙カップ容器などに用いる蓋材では、凝集破壊タイプのイージーピール性シーラントとして、ポリプロピレンを熱接着成分に使用し、これに低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリスチレンまたはその変性物などを混合して易開封性を付与する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ポリプロピレンを被着材とするイージーピール性のシーラントでは、特に熱接着成分にポリプロピレンを用いるとヒートシール温度が高くなり、その熱接着性(密封性)と易開封性のバランスを採ることが難しく、また、剥離面にシーラント層の樹脂が繊維状に残存する、いわゆる糸引き現象を発生しやすくなる問題があり、更には冷凍など低温時の物性、耐性などにも劣る問題があり、コストの問題も含めて、未だ満足できるイージーピール性シーラントが得られていないのが実情である。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、密封容器のヒートシール部をピールして開封する容器の分野において、特にポリプロピレンを被着材とする場合の凝集破壊タイプのイージーピール性シーラントとして、良好な熱接着性(密封性)と易開封性とを兼ね備え、比較的低温でのヒートシールも可能で、開封時の剥離面に糸引きを発生して外観を損なうこともないという、性能、使用適性に優れた易開封性シーラントフィルム及びそれを用いた包装材料及び容器を生産性よく提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、易開封性のヒートシール層に用いるシーラントフィルムであって、該シーラントフィルムが、被着材にヒートシールされる面に形成された樹脂層(A)と、該樹脂層(A)に隣接して積層された樹脂層(B)よりなり、該樹脂層(A)が、ポリブテン−1を100重量部に対して高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体を20〜90重量部の割合で混合した混合物で形成され、且つ該樹脂層(B)が、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体で形成されていることを特徴とする易開封性シーラントフィルムからなる。
【0007】
本発明において、樹脂層(A)に用いるポリブテン−1としては、1−ブテンのホモポリマーのほか、1−ブテンにコモノマーとしてエチレンや他のα−オレフィンを共重合させた共重合体を使用することができる。
また、樹脂層(A)に用いる高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体のうち、エチレン系共重合体としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体のほか、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体などを使用することができる。
上記シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒やフェノキシイミン系触媒など単一活性点をもつ触媒を用いて重合したエチレンとαオレフィンとの共重合体であり、それらの中でもコモノマーのαオレフィンとして1−ヘキセンや1−オクテンを使用したものが特に好ましい。
【0008】
樹脂層(A)のポリブテン−1と高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体との混合割合は、ポリブテン−1が100重量部に対して高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体は20〜90重量部であることが好ましい。
上記高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体の混合割合が20重量部未満の場合は、良好なイージーピール性が得られず、また、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体の混合割合が90重量部を超える場合は、凝集力が弱くなりすぎて接着強度が低下し、密封性に劣るため好ましくない。
【0009】
このような構成を採ることにより、樹脂層(A)では、ポリブテン−1と高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体は相溶性がないため、ポリブテン−1をマトリックス成分とする海・島構造を採る。そして、海部分をなすポリブテン−1は、ポリプロピレンに対して相溶性があり、被着材のポリプロピレンに対して熱接着性を有しているので、ポリプロピレン被着材に対する熱接着性成分として作用する。一方、島部分をなす高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体は、ポリブテン−1の凝集力を低下させると同時に、被着材のポリプロピレンに対して熱接着性をもたないので、この易開封性シーラントフィルムをシーラント層に用いた包装材料を、例えば、ポリプロピレンを被着材とする容器にヒートシールしたとき、その開封時に、樹脂層(A)に凝集破壊を生じさせイージーピール性が発現される。
【0010】
また、ポリブテン−1は、ポリプロピレンよりも融点が低く、且つ低温脆化温度も低いため、ポリプロピレンをマトリックス成分に用いたシーラントフィルムよりも低温シール性に優れると共に、冷凍など低温時の物性、耐性にも優れるという利点がある。
【0011】
樹脂層(B)には、前記シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体を使用することが好ましく、例えば、高圧法低密度ポリエチレンやマルチサイト触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン、或いは、中密度〜高密度ポリエチレンを用いた場合は、樹脂層(A)との積層強度が弱くなり、その結果、樹脂層(A)による必要なヒートシール強度も得られなくなるため好ましくない。
樹脂層(B)は、凝集力が樹脂層(A)よりも強く、ピール時に凝集破壊を樹脂層(A)に限定して発生させ、ピール強度を安定化させると共に、ヒートシールの際、シールヘッドの当たりムラを吸収し、シール強度を安定化させる作用を有している。
また、樹脂層(B)を設けることにより、樹脂層(A)の厚みを薄く形成する際も、樹脂層(A)と樹脂層(B)を共押し出しインフレーション法で製膜することにより、樹脂層(A)の厚みを安定させ、易開封性シーラントフィルムの製膜を容易に行えるようになる。
【0012】
請求項2に記載した発明は、前記樹脂層(A)のポリブテン−1の融点が110〜130℃で、MFRが2〜30であり、且つ前記樹脂層(A)の高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体のMFRがポリブテン−1のMFRよりも小さいことを特徴とする請求項1記載の易開封性シーラントフィルムである。
上記MFR(メルトフローレート)は、JIS K7210による190℃、21.18Nでの値である。
【0013】
樹脂層(A)において、ポリブテン−1は、海・島構造の海部分を形成し、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体は、島部分を形成するものであり、このような構造の樹脂層(A)を、例えば共押し出しインフレーション成形法で樹脂層(B)と共に容易に製膜するためには、ポリブテン−1の融点は110〜130℃で、MFRは2〜30であることが好ましく、ポリブテン−1の融点とMFRがこの範囲からはずれるとフィルムの製膜加工が困難となるため好ましくない。
【0014】
また、樹脂層(A)の高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体のMFRは、被着材のポリプロピレンにヒートシールした後、開封した時の糸引きに関係し、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体のMFRがポリブテン−1のMFRよりも大きい場合は、前記開封時に糸引きを生じるため好ましくない。
この糸引きの発生を抑制するためには、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体のMFRがポリブテン−1のMFRよりも小さいことが好ましく、高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体とポリブテン−1のMFR比が1/2〜1/20の範囲であることが更に好ましい。
【0015】
従って、前記のような構成を採ることにより、請求項1に記載した発明の作用、効果に加えて、易開封性シーラントフィルムの製膜を一層容易に行えると共に、このシーラントフィルムを用いた包装材料を被着材のポリプロピレンにヒートシールした後、開封した時の糸引きを一層確実に防止することができる。
【0016】
請求項3に記載した発明は、前記樹脂層(B)のシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.910〜0.930g/cm3 の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の易開封性シーラントフィルムである。
【0017】
上記樹脂層(B)のシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は0.910〜0.930g/cm3 の範囲であることが好ましく、密度が0.910g/cm3 未満の場合は、このシーラントフィルムを用いた包装材料を被着材のポリプロピレンにヒートシールした後、開封した時に糸引きを生じるようになり、また、密度が0.930g/cm3 を超える場合は、樹脂層(A)との積層強度が弱くなり、シーラントフィルムに必要なヒートシール強度が得られなくなるため好ましくない。
【0018】
従って、前記のような構成を採ることにより、請求項1または2に記載した発明の作用、効果に加えて、開封時に糸引きを発生することもなく、且つ適度のヒートシール強度を有し易開封性にも優れた易開封性シーラントフィルムを一層確実に得ることができる。
【0019】
請求項4に記載した発明は、前記樹脂層(A)の厚みが2〜15μmの範囲であり、且つ前記樹脂層(B)の厚みが樹脂層(A)の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の易開封性シーラントフィルムからなる。
【0020】
上記樹脂層(A)の厚みは2〜15μmの範囲が好ましく、また、樹脂層(B)の厚みは樹脂層(A)の厚みよりも大きいことが好ましい。
樹脂層(A)の厚みが2μm未満の場合は、このシーラントフィルムを被着材にヒートシールした時、シール強度が弱く密封性を維持することができず、また、樹脂層(A)の厚みが15μmを超える場合は、ピール強度が不安定となり良好なイージーピール性が発現されないため好ましくない。
また、樹脂層(B)の厚みが樹脂層(A)の厚みよりも薄い場合は、シーラントフィルムの製膜加工が困難となるため好ましくない。
【0021】
従って、前記のような構成を採ることにより、請求項1乃至3のいずれかに記載した発明の作用、効果に加えて、易開封性シーラントフィルムの製膜を一層容易に行えると共に、安定したヒートシール強度(密封性)とイージーピール性を備えた易開封性シーラントフィルムを一層確実に得ることができる。
【0022】
請求項5に記載した発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の易開封性シーラントフィルムが、ヒートシール層としてその樹脂層(B)面で基材に積層され、樹脂層(A)が最内層となるように構成された包装材料からなる。
【0023】
上記基材は、特に限定はされず、紙、プラスチックフィルム、金属箔などを単独もしくは適宜積層して使用することができる。
このような基材と易開封性シーラントフィルムとの積層は、ドライラミネート法または押し出しラミネート法(所謂サンドイッチラミネート法)により容易に積層することができる。また、積層の際、基材および易開封性シーラントフィルムの積層面には、必要に応じてフレーム処理、コロナ放電処理、オゾン処理のほか、アンカーコート処理、プライマーコート処理などの易接着性処理を施すことができる。
【0024】
このような構成を採ることにより、請求項1乃至4のいずれかに記載した発明の易開封性シーラントフィルムの性能を、そのまま包装材料のヒートシール層に付与できるので、ポリプロピレン製容器の蓋材や袋材料として、良好な熱接着性と易開封性とを兼ね備えると共に、低温シール性や、冷凍など低温時の物性、耐性などにも優れた包装材料を提供することができる。
【0025】
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載した包装材料が、蓋材として容器開口部の接合部がポリプロピレンで形成された容器の開口部にヒートシールされ、開封時に、蓋材の樹脂層(A)が凝集破壊して開封されることを特徴とする包装容器である。
【0026】
上記容器開口部の接合部がポリプロピレンで形成された容器としては、例えば、ポリプロピレン単独の射出成形またはシート成形容器のほか、ポリプロピレンを最内層に用いた多層射出成形容器または多層シート成形容器、或いは、ポリプロピレンを最内層に積層したカップ状またはトレー状の紙容器、更には、ブランク板を射出成形金型内に挿入して、フランジ部その他必要部分にポリプロピレンを射出成形して作製されるカップ型複合容器などを使用することができる。
【0027】
前記のような構成を採ることにより、蓋材の接合面がポリプロピレンで形成された容器本体の開口部に、請求項5に記載した包装材料を用いた蓋材がヒートシールされているので、蓋材の熱接着性がよく、密封性に優れると共に、開封時には、蓋材の樹脂層(A)が凝集破壊して開封されるため、剥離面に糸引きが発生することもなくきれいに剥離され、イージーピール性に優れた包装容器を提供することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の易開封性シーラントフィルムの一実施例の構成を示す模式断面図である。
図2は、本発明の易開封性シーラントフィルムを用いて製造される包装材料の一実施例の構成を示す模式断面図である。
図3は、本発明の易開封性シーラントフィルムを用いた包装材料を蓋材に使用して製造される包装容器の一実施例の構成を示す模式断面図である。
【0029】
図1に示した易開封性シーラントフィルム100は、包装材料として使用する場合、通常は図2に示すように基材に積層して、そのヒートシール層として使用されるものであり、図において下側の被着材にヒートシールされる面に形成された樹脂層(A)1と、それに隣接して積層された樹脂層(B)4とで構成され、樹脂層(B)4は、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体で形成され、また、樹脂層(A)1は、ポリブテン−1(2)を100重量部に対して、高圧法LDPEまたはエチレン系共重合体(3)を20〜90重量部の割合で混合した混合樹脂で形成され、両者は相溶性がないため、製膜された樹脂層(A)1において、海・島構造をとるように形成されている。
即ち、ポリブテン−1(2)をマトリックス成分とし、その中に高圧法LDPEまたはエチレン系共重合体(3)が分散された形態に形成されて構成されている。
【0030】
前記樹脂層(A)1のマトリックス成分であるポリブテン−1(2)は、被着材のポリプロピレンに対して良好な熱接着性を有すると共に、ポリプロピレンを用いた場合よりも低温でのヒートシールが可能となり、冷凍など低温における物性や耐性にも優れる点で好適であり、また、ポリブテン−1に混合して用いる高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体(3)とで海・島構造を形成し、その凝集力を低下させてシール後の剥離時に凝集破壊による良好なイージーピール性を発現できる点で好適に使用できるものである。
【0031】
このようなポリブテン−1(2)は、1−ブテンのホモポリマーのほか、コモノマーとしてエチレンや他のα−オレフィンを共重合させた共重合体を使用することができ、その融点は110〜130℃の範囲で、MFRは2〜30の範囲であることが好ましい。
【0032】
樹脂層(A)1に、前記ポリブテン−1(2)と混合して用いる高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体(3)としては、前述したように、高圧法低密度ポリエチレンのほか、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体などのエチレン系共重合体を使用することができる。
このような高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体(3)は、前記ポリブテン−1(2)との海・島構造の形成性の点から、そのMFRがポリブテン−1のMFRよりも小さいことが好ましい。
【0033】
また、樹脂層(A)1に隣接して積層する樹脂層(B)4は、樹脂層(A)1と協力して良好な易開封性シーラントフィルム100を形成するものであり、そのためには、樹脂層(A)1との接着性がよく、且つクッション性を有し、樹脂層(A)1のヒートシール性を安定化できるものが好ましい。
このような樹脂層(B)4としては、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体が適しており、なかでもコモノマーのα−オレフィンとして1−ヘキセンや1−オクテンを使用したエチレン・α−オレフィン共重合体が特に適している。また、このようなシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.910〜0.930g/cm3 の範囲であることが好ましい。
【0034】
前記のようなポリブテン−1(2)と高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体(3)の混合樹脂で形成する樹脂層(A)1は、適度のヒートシール強度とシール後の剥離時に糸引きを発生させない良好なイージーピール性を有することが好ましく、そのためには樹脂層(A)1の厚みは、比較的薄くてよく、2〜15μmの範囲であることが好ましい。
また、樹脂層(A)1に隣接して積層する樹脂層(B)4の厚みは、そのクッション性を有効に作用させるためにも比較的厚くすることが好ましく、少なくとも樹脂層(A)1の厚みよりも大きいことが好ましい。
【0035】
以上のような樹脂層(A)1と樹脂層(B)4の積層体で形成される易開封性シーラントフィルム100の製造方法は、特に樹脂層(A)1の厚みを例えば5μm以下のように薄く形成する場合、安定した厚みのフィルムを単独で製膜することは難しく、樹脂層(A)1と樹脂層(B)4とを同時に共押し出しインフレーション成形法で製膜する方法が生産性もよく有効である。
【0036】
次に、図2は、本発明の易開封性シーラントフィルムを用いて製造される包装材料の一実施例の構成を示す模式断面図であり、図2に示した包装材料200は、前記図1に示した易開封性シーラントフィルム100を、その樹脂層(B)が基材5に対向するように配置し、両者を接着層6を介して貼り合わせて構成したものである。
【0037】
上記基材5としては、紙、プラスチックフィルム、金属箔の単体、または、これらが2種以上積層されたものを利用できる。プラスチックフィルムは、更にガスバリヤー性を向上させるために、シリカやアルミナなどの無機酸化物の薄膜や、アルミニウムなどの金属の薄膜が形成された蒸着フィルムであってもよい。
【0038】
このような包装材料200は、基材5と易開封性シーラントフィルム100を、接着層6として、2液硬化型ポリウレタン系接着剤などのドライラミネート用接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせて製造できるほか、接着層6として、低密度ポリエチレン、その他エチレン系共重合体、或いはポリエチレン系ブレンド樹脂などの熱接着性樹脂を用いて押し出しラミネート法(サンドイッチラミネート法)で貼り合わせて製造することもできる。
また、このような包装材料200は、適宜の形状に打ち抜いて、包装容器の易開封性蓋材として好適に使用できるほか、各種の形状に製袋して、易開封性の袋としても使用できるものである。
【0039】
図3は、本発明の易開封性シーラントフィルムを用いた包装材料を蓋材に使用して製造される包装容器の一実施例の構成を示す模式断面図であり、図3に示した包装容器300は、上部が開口し、開口上部の周縁にフランジ部11が設けられた容器本体10と、その開口部を覆い、且つ一端につまみ部21が設けられた形状で、容器のフランジ部11にヒートシールして用いられる蓋材20とで構成されている。
上記蓋材20には、前記図2に示した構成の易開封性の包装材料200を打ち抜いたものを用い、また、容器本体10には、その蓋材の接合部、この場合、フランジ部11の少なくとも上面がポリプロピレンで形成された容器を用いるものである。
【0040】
このような容器本体10としては、ポリプロピレン単独の射出成形またはシート成形による容器のほか、ポリプロピレンを最内層に用いた多層射出成形または多層シート成形による容器、或いは、ポリプロピレンを最内層に積層したカップ状またはトレー状の紙容器、更には、ブランク板を射出成形金型内に挿入して、フランジ部その他必要部分にポリプロピレンを骨組み状などに射出成形して作製されるカップ型複合容器などを使用することができる。
このような構成を採ることにより、包装容器300のヒートシールが、容器のフランジ部11のポリプロピレン面と、蓋材20の樹脂層(A)面とのヒートシールで行われるので、適度のシール強度で密封性よくヒートシールできると共に、包装容器300を開封する際には、蓋材20を、つまみ部21をつまんで引き剥がすことにより、樹脂層(A)が凝集破壊され、剥離面に糸引きを生じることもなく、良好なイージーピール性で開封することができる。
【0041】
【実施例】次に、本発明の易開封性シーラントフィルム及びそれを用いた包装材料について実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
図2に示した構成の包装材料を作製することとし、易開封性シーラントフィルム100を、樹脂層(A)1には、ポリブテン−1(融点125℃、MFR=20)を100重量部に対して、高圧法低密度ポリエチレン(以下、高圧法LDPEと記載することがある)(MFR=4)を70重量部の割合で混合した混合樹脂を用い、樹脂層(B)4には、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体(以下、M−エチレン・α−オレフィン共重合体と記載することがある)(この場合、α−オレフィンには1−ヘキセンを使用)(密度0.920g/cm3 )を用いて、樹脂層(A)の厚みが5μmで、樹脂層(B)の厚みが25μmとなるように共押し出しインフレーション成形法(押し出し温度180℃)で製膜して作製した。
次いで、基材5には、アルミニウム箔(厚み45μm)を用いて、その一方の面に、上記易開封性シーラントフィルム100の樹脂層(B)4面を対向させて、接着層6には2液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネート法で貼り合わせて実施例1の易開封性の包装材料を作製した。
尚、上記ドライラミネートの際、アルミニウム箔は積層面にプライマーコートを施したものを用い、易開封性シーラントフィルム100の樹脂層(B)4面にはコロナ放電処理を施して貼り合わせたものである。
【0043】
上記包装材料の構成は、外側から、アルミニウム箔(厚み45μm)/接着剤/M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−ヘキセン)層(厚み25μm)/ポリブテン−1(100重量部)+高圧法LDPE(70重量部)の混合樹脂層(厚み5μm)である。
【0044】
(実施例2)
図2に示した構成の包装材料を、以下のように作製して実施例2の包装材料を得た。
易開封性シーラントフィルム100を、樹脂層(A)1には、ポリブテン−1(融点114℃、MFR=2)を100重量部に対して、エチレン・酢酸ビニルン共重合体(酢酸ビニル含有量3モル%、MFR=0.5)を50重量部の割合で混合した混合樹脂を用い、樹脂層(B)4には、M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−ヘキセン)(密度0.925g/cm3 )を用いて、樹脂層(A)の厚みが5μmで、樹脂層(B)の厚みが35μmとなるように共押し出しインフレーション成形法(押し出し温度180℃)で製膜して作製した。
次いで、基材5には、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと記載することがある)(厚み12μm)を用いて、その一方の面(コロナ放電処理あり)にアンカーコートを施した後、そのアンカーコート面と上記易開封性シーラントフィルム100の樹脂層(B)4面とを対向させ、両者の間に接着層6として低密度ポリエチレン(厚み20μm)を用いて押し出しラミネート法(サンドイッチラミネート法)で貼り合わせて易開封性の包装材料を作製した。
【0045】
上記包装材料の構成は、外側から、PETフィルム(厚み12μm)/高圧法LDPE層(厚み20μm)/M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−ヘキセン)層(厚み35μm)/ポリブテン−1(100重量部)+エチレン・酢酸ビニル共重合体(50重量部)の混合樹脂層(厚み5μm)である。
【0046】
(実施例3)
図2に示した構成の包装材料を、以下のように作製して実施例3の包装材料を得た。
易開封性シーラントフィルム100を、樹脂層(A)1には、ポリブテン−1(融点125℃、MFR=20)を100重量部に対して、高圧法LDPE(MFR=2.5)を60重量部の割合で混合した混合樹脂を用い、樹脂層(B)4には、M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−オクテン)(密度0.916g/cm3 )を用いて、樹脂層(A)の厚みが10μmで、樹脂層(B)の厚みが40μmとなるように共押し出しインフレーション成形法(押し出し温度190℃)で製膜して作製した。
次いで、基材5には、シリカ蒸着層を設けたPETフィルム(厚み12μm)と二軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONフィルムと記載することがある)(厚み15μm)とを、そのシリカ蒸着層が内側になるようにドライラミネート法で貼り合わせた積層フィルムを用いて、そのONフィルム面と上記易開封性シーラントフィルム100の樹脂層(B)4面とを対向させ、両者を接着層6として2液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせて易開封性の包装材料を作製した。
【0047】
上記包装材料の構成は、外側から、PETフィルム・シリカ蒸着層(厚み12μm)/接着剤/ONフィルム(厚み15μm)/接着剤/M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−オクテン)層(厚み40μm)/ポリブテン−1(100重量部)+高圧法LDPE(60重量部)の混合樹脂層(厚み10μm)である。
【0048】
(実施例4)
図2に示した構成の包装材料を、以下のように作製して実施例4の包装材料を得た。
易開封性シーラントフィルム100を、樹脂層(A)1には、ポリブテン−1(融点124℃、MFR=4)を100重量部に対して、高圧法LDPE(MFR=0.8)を50重量部の割合で混合した混合樹脂を用い、樹脂層(B)4には、M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−オクテン)(密度0.922g/cm3 )を用いて、樹脂層(A)の厚みが5μmで、樹脂層(B)の厚みが30μmとなるように共押し出しインフレーション成形法(押し出し温度190℃)で製膜して作製した。
次いで、基材5には、PETフィルム(厚み12μm)とアルミニウム蒸着層を設けたPETフィルム(厚み12μm)とを、そのアルミニウム蒸着が内側になるようにドライラミネート法で貼り合わせた積層フィルムを用いて、そのアルミニウム蒸着PETフィルムのPETフィルム面(コロナ放電処理あり)にアンカーコートを施した後、そのアンカーコート面と上記易開封性シーラントフィルム100の樹脂層(B)4面とを対向させ、両者の間に接着層6として高圧法LDPE(厚み15μm)を用いて押し出しラミネート法(サンドイッチラミネート法)で貼り合わせて易開封性の包装材料を作製した。
【0049】
上記包装材料の構成は、外側から、PETフィルム(厚み12μm)/接着剤/アルミニウム蒸着層・PETフィルム(厚み12μm)/高圧法LDPE層(厚み15μm)/M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−オクテン)層(厚み30μm)/ポリブテン−1(100重量部)+高圧法LDPE(50重量部)の混合樹脂層(厚み5μm)である。
【0050】
(実施例5)
図2に示した構成の包装材料を、以下のように作製して実施例5の包装材料を得た。
易開封性シーラントフィルム100を、樹脂層(A)1には、ポリブテン−1(融点112℃、MFR=12)を100重量部に対して、高圧法LDPE(MFR=1.5)を75重量部の割合で混合した混合樹脂を用い、樹脂層(B)4には、M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−オクテン)(密度0.920g/cm3 )を用いて、樹脂層(A)の厚みが5μmで、樹脂層(B)の厚みが25μmとなるように共押し出しインフレーション成形法(押し出し温度185℃)で製膜して作製した。
次いで、基材5には、実施例3と同じシリカ蒸着層を設けたPETフィルム(厚み12μm)とONフィルム(厚み15μm)とを、そのシリカ蒸着層が内側になるようにドライラミネート法で貼り合わせた積層フィルムを用いて、そのONフィルム面と上記易開封性シーラントフィルム100の樹脂層(B)4面とを対向させ、両者を接着層6として2液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせて易開封性の包装材料を作製した。
【0051】
上記包装材料の構成は、外側から、PETフィルム・シリカ蒸着層(厚み12μm)/接着剤/ONフィルム(厚み15μm)/接着剤/M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−オクテン)層(厚み25μm)/ポリブテン−1(100重量部)+高圧法LDPE(75重量部)の混合樹脂層(厚み5μm)である。
【0052】
(比較例1)
前記実施例1の包装材料の構成において、易開封性シーラントフィルム100の製膜に用いた樹脂層(A)のポリブテン−1を、ポリプロピレンランダムコポリマー(以下、PPランダムコポリマーと記載することがある)(融点137℃、MFR=20)に変更すると共に、共押し出しインフレーション成形の押し出し温度を230℃に変更して製膜した他は、総て実施例1と同様に加工して比較例1の包装材料を作製した。
【0053】
上記包装材料の構成は、外側から、アルミニウム箔(厚み45μm)/接着剤/M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−ヘキセン)層(厚み25μm)/PPランダムコポリマー(100重量部)+高圧法LDPE(70重量部)の混合樹脂層(厚み5μm)である。
【0054】
(比較例2)
前記実施例2の包装材料の構成において、易開封性シーラントフィルム100の製膜に用いた樹脂層(A)のエチレン・酢酸ビニル共重合体のみを、M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−ヘキセン)(密度0.915g/cm3 、MFR=2)に変更して製膜した他は、総て実施例2と同様に加工して比較例2の包装材料を作製した。
【0055】
上記包装材料の構成は、外側から、PETフィルム(厚み12μm)/高圧法LDPE層(厚み20μm)/M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−ヘキセン)層(厚み35μm)/ポリブテン−1(100重量部)+M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−ヘキセン)(50重量部)の混合樹脂層(厚み5μm)である。
【0056】
(比較例3)
前記実施例3の包装材料の構成において、易開封性シーラントフィルム100の製膜に用いた樹脂層(A)の高圧法LDPEの混合量のみを100重量部に変更して製膜した他は、総て実施例3と同様に加工して比較例3の包装材料を作製した。
【0057】
上記包装材料の構成は、外側から、PETフィルム・シリカ蒸着層(厚み12μm)/接着剤/ONフィルム(厚み15μm)/接着剤/M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−オクテン)層(厚み40μm)/ポリブテン−1(100重量部)+高圧法LDPE(100重量部)の混合樹脂層(厚み10μm)である。
【0058】
(比較例4)
前記実施例4の包装材料の構成において、易開封性シーラントフィルム100の製膜に用いた樹脂層(A)の高圧法LDPEの混合量のみを10重量部に変更して製膜した他は、総て実施例4と同様に加工して比較例4の包装材料を作製した。
【0059】
上記包装材料の構成は、外側から、PETフィルム(厚み12μm)/接着剤/アルミニウム蒸着層・PETフィルム(厚み12μm)/高圧法LDPE層(厚み15μm)/M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−オクテン)層(厚み30μm)/ポリブテン−1(100重量部)+高圧法LDPE(10重量部)の混合樹脂層(厚み5μm)である。
【0060】
(比較例5)
前記実施例5の包装材料の構成において、易開封性シーラントフィルム100の厚みを、樹脂層(B)のM−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−オクテン)層の厚みを10μmに変更し、また、樹脂層(A)のポリブテン−1(100重量部)と高圧法LDPE(75重量部)の混合樹脂層の厚みを20μmに変更して製膜した他は、総て実施例5と同様に加工して比較例5の包装材料を作製した。
【0061】
上記包装材料の構成は、外側から、PETフィルム・シリカ蒸着層(厚み12μm)/接着剤/ONフィルム(厚み15μm)/接着剤/M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−オクテン)層(厚み10μm)/ポリブテン−1(100重量部)+高圧法LDPE(75重量部)の混合樹脂層(厚み20μm)である。
【0062】
〔試験および結果〕
以上のように作製した実施例1〜5、および比較例1〜5の包装材料を、厚み500μmのポリプロピレンシートに、シール温度を表1に示したように150℃〜200℃の範囲で10℃刻みに変更し、圧力は98kPa、時間は1secの一定としたシール条件でヒートシールした後、それぞれの包装材料をポリプロピレンシートから剥離し、その剥離強度の測定と、剥離面の状態の観察を行い、その結果を表1にまとめて示した。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例1〜5の包装材料は、いずれも適度な剥離強度を示し、剥離面に糸引きを発生することもなく、樹脂層(A)が凝集破壊されて均一に剥離でき、良好な熱接着性とイージーピール性(易開封性)を有していた。
【0065】
これに対して、比較例1の包装材料は、樹脂層(A)のマトリックス成分の樹脂に、ポリブテン−1に替えてポリプロピレンランダムコポリマーを用いたので、低温シール性に劣り、また、剥離面に糸引きを発生し好ましくなかった。
比較例2の包装材料は、樹脂層(A)のポリブテン−1に混合する樹脂に、エチレン−酢酸ビニル共重合体に替えて、M−エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンは1−ヘキセン)を用いたので、ヒートシール強度が強くなりイージーピール性を得られず好ましくなかった。
比較例3の包装材料は、樹脂層(A)の高圧法LDPEの混合量が多すぎるため、樹脂層(A)の凝集力が弱くなりすぎてシール強度が低く、密封性に劣るため好ましくなかった。
比較例4の包装材料は、樹脂層(A)の高圧法LDPEの混合量が少なすぎるため、樹脂層(A)の凝集力の低下効果が不十分となり、良好なイージーピール性が得られず好ましくなかった。
比較例5の包装材料は、樹脂層(B)の厚みが薄く、また、樹脂層(A)の厚みが厚すぎるため、樹脂層(B)によるクッション効果がやや不足しシール強度がやや不安定となると共に、剥離面に若干糸引きが発生し好ましくなかった。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、密封容器のヒートシール部をピールして開封する容器の分野において、特にポリプロピレンを被着材とする場合の凝集破壊タイプのイージーピール性シーラントとして、良好な熱接着性(密封性)と易開封性とを兼ね備え、比較的低温でのヒートシールも可能であると共に、冷凍など低温時の物性、耐性も向上させることができ、更に、開封時の剥離面に糸引きを発生することもないという、性能、使用適性に優れた易開封性シーラントフィルム及びそれを用いた包装材料及び包装容器を生産性よく提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の易開封性シーラントフィルムの一実施例の構成を示す模式断面図である。
【図2】本発明の易開封性シーラントフィルムを用いて製造される包装材料の一実施例の構成を示す模式断面図である。
【図3】本発明の易開封性シーラントフィルムを用いた包装材料を蓋材に使用して製造される包装容器の一実施例の構成を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 樹脂層(A)
2 ポリブテン−1
3 高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体
4 樹脂層(B)
5 基材
6 接着層
10 容器本体
11 フランジ部
20 蓋材
21 つまみ部
100 易開封性シーラントフィルム
200 包装材料
300 包装容器
Claims (6)
- 易開封性のヒートシール層に用いるシーラントフィルムであって、該シーラントフィルムが、被着材にヒートシールされる面に形成された樹脂層(A)と、該樹脂層(A)に隣接して積層された樹脂層(B)よりなり、該樹脂層(A)が、ポリブテン−1を100重量部に対して高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体を20〜90重量部の割合で混合した混合物で形成され、且つ該樹脂層(B)が、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体で形成されていることを特徴とする易開封性シーラントフィルム。
- 前記樹脂層(A)のポリブテン−1の融点が110〜130℃で、MFRが2〜30であり、且つ前記樹脂層(A)の高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレン系共重合体のMFRがポリブテン−1のMFRよりも小さいことを特徴とする請求項1記載の易開封性シーラントフィルム。
- 前記樹脂層(B)のシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.910〜0.930g/cm3 の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の易開封性シーラントフィルム。
- 前記樹脂層(A)の厚みが2〜15μmの範囲であり、且つ前記樹脂層(B)の厚みが樹脂層(A)の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の易開封性シーラントフィルム。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の易開封性シーラントフィルムが、ヒートシール層としてその樹脂層(B)面で基材に積層され、樹脂層(A)が最内層となるように構成された包装材料。
- 請求項5に記載した包装材料が、蓋材として容器開口部の接合部がポリプロピレンで形成された容器の開口部にヒートシールされ、開封時に、蓋材の樹脂層(A)が凝集破壊して開封されることを特徴とする包装容器。
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