JP2004042288A - インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及び記録ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】同一色相において濃度の異なる複数のインクを適宜吐出することができ、高品位な画像形成を可能とすると共に、大幅にコストを低減することができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクを吐出する記録ヘッドは、複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、このヘッド部にインクを供給するインクタンク20を備え、このインクタンク20は、濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部S1,S2を、前記ヘッド部に着脱可能に配設してなり、インクタンク20を交換することによって複数の濃度の異なるインクを、同一のノズル列より吐出可能にする一方、インク貯留部の変更に対応して記録動作に関連する制御動作を選択的に実行させる選択手段を備えたものである。
【選択図】 図6
【解決手段】インクを吐出する記録ヘッドは、複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、このヘッド部にインクを供給するインクタンク20を備え、このインクタンク20は、濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部S1,S2を、前記ヘッド部に着脱可能に配設してなり、インクタンク20を交換することによって複数の濃度の異なるインクを、同一のノズル列より吐出可能にする一方、インク貯留部の変更に対応して記録動作に関連する制御動作を選択的に実行させる選択手段を備えたものである。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被記録媒体にインク滴を吐出して記録を行うインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関し、詳しくは複数種の色剤を用いて記録を行うインクジェット記録装置、インクジェット記録方法及び記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、従来のインクジェット記録装置は、記録ヘッドに設けられた複数のインク吐出口から記録データ信号に基づいてインクを吐出し、インク液滴を用紙などの記録媒体に付着させて記録を行うものとなっており、例えば、プリンタやファクシミリあるいは複写機などの記録部に用いられている。
【0003】
このインクジェット記録装置に適用されるインク吐出方式としては、インク吐出口近傍のインク流路内に発熱素子(電気熱エネルギー変換素子ともいう)を設け、この発熱素子に電気信号を印加することによりインクを局所的に加熱して気泡を生成させ、この気泡の発生エネルギーによるインクの圧力変化によって吐出口からインクを吐出させる方式や圧電素子などの電気機械エネルギー変換素子を用いる方式が知られている。
【0004】
また、この種のインク吐出方式を用いたインクジェット記録装置において、中間調の記録方式としては、一定サイズのインクドットを記録し、この記録ドットの単位面積あたりの数を制御して中間調を表現するドット密度制御方式、あるいはそれらの制御方式の欠点であった粒状性を目立たなくするため、濃度の低いインク(以下、淡インクともいう)と濃いインク(以下、濃インクともいう)を、各インク専用に設けられた2個の記録ヘッドから個々に吐出させるようにし、画像の明部から中間調部分までは淡インクで記録ドットを形成し、中間調部分から暗部までは濃インクで記録ドットを形成するようにした記録方式が知られている。
【0005】
このような、同一の色相において濃度の異なる複数の濃・淡両インクを用いる濃淡多値記録方式によれば、多値化するに従ってハイライト部の階調性が特に向上し、ドットによる粒状感が低減して、高画質化を得ることが可能となる。これは、ハイライト部に濃度の低い(淡い)インクを打ち込むことによって淡ドットのノイズ感をなくすことができるからである。
【0006】
このため、現在の高画質タイプのインクジェットプリンタには、殆どの場合この濃・淡記録方式が採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような濃・淡両インクを用いた記録装置においては、未だ以下のような課題があり、その解決が望まれている。
【0008】
すなわち、プリンタによって出力される画像としては、現在では、表、グラフ、文字などのように濃インクのみを使用して記録されるものが殆どであり、写真などの高画質なものを形成する場合は少なく、濃・淡両インクが使用される頻度は濃インクのみを使用する場合に比べて低い。
【0009】
こうしたインク使用状況にあっても、高画質記録を要求される現在のプリンタにあっては、濃・淡両インクを適宜吐出し得る機能を備える必要があり、そのため、濃・淡それぞれのインクに対して、前述のように濃ヘッドと淡ヘッドの2種類のヘッドを装着できるようにしており、これがコスト増大を招く要因となっていた。
【0010】
つまり、淡インクを用いて粒状感の少ない画像を形成し得る従来のインクジェット記録装置にあっては、濃インク用の記録ヘッドの他に使用率の低い淡インク用の記録ヘッドをも搭載した高価なものとなっていた。このため、ユーザとしては使用率の低い機能を備えた高価な装置を購入するか、淡ヘッドを省略した安価な装置を購入するかの二者択一を迫られているのが現状である。
【0011】
本発明は、上記従来の技術の課題に着目してなされたもので、同一色相において濃度の異なる複数のインクを適宜吐出することができ、高品位な画像形成を可能とすると共に、大幅にコストを低減することができるインクジェット記録装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明は次のような構成を有するものとなっている。
【0013】
すなわち、請求項1記載の発明は、インクを吐出する記録ヘッドを備え、この記録ヘッドから記録媒体に向けてインクを吐出させることにより画像を形成するようにしたインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドが複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を前記ヘッド部に着脱可能に装着し得るインクタンクと、を備え、濃度の異なる複数種のインクを貯留したインクタンクを前記ヘッド部に装着することにより、濃度の異なる複数種のインクを同一のノズル列より吐出可能にしたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項2記載の発明は、インクを吐出する記録ヘッドを備え、この記録ヘッドから記録媒体に向けてインクを吐出させることにより画像を形成するようにしたインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドが、複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を前記ヘッド部に着脱可能に装着し得るインクタンクと、を備え、濃度の異なる複数種のインクを貯留したインクタンクを前記ヘッド部に装着することにより、濃度の異なる複数種のインクを同一のノズル列より吐出可能にする一方、前記ノズル部に装着されたインクタンクに対応して記録動作に関連する制御動作を選択的に実行させる選択手段を設けたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記選択手段が、前記ヘッド部に装着された前記インクタンクの種類を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出されたインクタンクの種類に応じて前記記録動作に関連する制御動作を切換える切換手段とを備えることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記選択手段が、入力操作手段によって入力された選択信号によって記録動作に関連する制御動作を選択的に実行させることを特徴とするものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4いずれか記載の発明において、前記インクタンクが、前記記録ヘッドに着脱可能に設けられる単一の筐体内を複数のインク貯留部に区轄形成してなることを特徴とするものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし4いずれか記載の発明において、前記インクタンクは、前記記録ヘッドに独立して着脱可能に設けられると共に、同一色相を有しかつ濃度の異なる少なくとも一種類以上のインクを貯留することを特徴とするものである。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6いずれか記載の発明において、前記記録ヘッドは、インクを吐出する複数のノズルを有するノズル列を形成してなるヘッド部と、このヘッド部を着脱可能に保持するタンクホルダとを有することを特徴とするものである。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7いずれか記載の発明において、前記記録ヘッドは、熱エネルギーによってインクに膜沸騰を発生させ、そのエネルギーによってインクをノズルから吐出させることを特徴とするものである。
【0021】
請求項9記載の発明は、インクを吐出する記録ヘッドを備え、この記録ヘッドから記録媒体に向けてインクを吐出させることにより画像を形成するようにしたインクジェット記録方法において、前記記録ヘッドが、複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を前記ヘッド部に着脱可能に装着し得るインクタンクと、を備え、濃度の異なる複数種のインクを貯留したインクタンクを前記ヘッド部に装着することにより、濃度の異なる複数種のインクを同一のノズル列より吐出可能にする一方、前記ノズル部に装着されたインクタンクに対応して記録動作に関連する制御動作を選択的に実行させるステップを有することを特徴とする。
【0022】
請求項10記載の発明に係る記録ヘッドは、複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を前記ヘッド部に着脱可能に装着し得るインクタンクと、を備え、濃度の異なる複数種のインクを貯留したインクタンクを前記ヘッド部に装着することにより、濃度の異なる複数種のインクを同一のノズル列より吐出可能にしたことを特徴とするものである。
【0023】
【作用】
以上の構成を有する本発明においては、インクタンクが、濃度の異なる一種類以上のインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を備えるものとなっており、各インク貯留部は前記ヘッド部のノズルの配列方向に沿って着脱可能に配列し得るようになっているため、前記インクタンクを交換することによって複数の濃度の異なるインクを同一のヘッド部から吐出させることができる。このため、例えば、記録すべき画像の種類に応じて、濃・淡両インクを用いた高画質な記録と、濃インクのみを用いた文字等の記録動作をヘッド部を交換せず、インクタンクのみを交換することによって行なうことが可能となる。
【0024】
また、インクタンクを交換して濃度の異なるインクを用いた場合、そのインクタンクの種類の変更に応じて、記録動作に関する制御動作を変更するようにすれば、より適切な記録が可能となる。この場合、ヘッド部に装着されたインクタンクの種類を自動的に検出し、その検出結果に応じて自動的に行なうようにすれば、取り扱いが極めて容易になる。
【0025】
さらに、濃・淡両インクを用いた記録動作から濃インクのみを用いた記録動作に変更する場合、淡インクの吐出に用いられていたノズルに対しても濃インクを供給することができ、濃・淡両インクを用いた場合に比べ、濃インクの吐出に使用するノズル数が増加されることとなる。このため、記録動作速度の向上が可能となったり、同一の記録速度でもマルチパス記録方式を用いた高画質記録が可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の要部構成を示す斜視図である。また、図2は図1に示すインクジェット記録装置で用いられる記録ヘッドの外観の斜視図である。
【0028】
図1に示すように、この第1の実施形態におけるインクジェット記録装置は、本体部1に両端を支持されたガイドシャフト2により、その軸線方向である主走査方向(X方向)に沿ってキャリッジ3が移動可能に支持されており、このキャリッジ3には2個の記録ヘッド10,20が着脱自在に搭載されている。キャリッジ3はキャリッジモータの駆動力によって旋回移動する駆動ベルトに固定され、駆動ベルト4と共に主走査方向(X方向)に沿って往復移動するようになっている。
【0029】
また、画像を記録すべき記録用紙やプラスチック薄板などからなる記録媒体は、不図示の給紙部から給紙ローラによって、前記記録ヘッド10,20と対向すして配置されたプラテン上の記録領域へと送給され、その後、搬送ロ―ラと排紙ローラとの協働によって、前記主走査方向と直交する副走査方向(矢印Y方向)へと搬送される。
この記録媒体の搬送動作と前記キャリッジの移動は交互に繰り返し実行される一方、キャリッジ移動に同期して記録ヘッドが駆動され、記録データに応じたインク吐出動作が実行されることによって記録媒体に対し所定の画像が形成される。
【0030】
また、前記記録領域以外に背底されたキャリッジ3のホームポジションには、キャップ部7を備えた回復ユニットが配設されている。このインクジェット記録装置では、記録動作を行なわないときには、キャッリッジ3をホームポジションへ移動させてキャップ部7のキャップにより、その対応する記録ヘッド10,20のインク吐出口を覆ってインク溶剤蒸発を防止し、これに起因するインクの増粘、あるいは塵埃などの異物の付着によるインク吐出口の目詰まりを防止するようになっている。
【0031】
さらに、前記キャップ部7は、これに対して記録ヘッド10,20から吐出を行なうことにより、吐出頻度の低いインク吐出口の吐出不良や目詰まりを解消するなどの目的のために利用されたり、インク吐出口をキャップした状態で不図示のポンプを動作させてインク吐出口からインクを吸引し、増粘したインクを除去するためにも利用される。また、キャップ部7に隣接してワイピング用ブレードを配設することにより、吐出口形成面をクリーニングすることも可能になっている。
【0032】
ところで、前記キャリッジに搭載される2個の記録ヘッド10,11のうち、一方の記録ヘッド10は、K(ブラック)インクを吐出する濃インク吐出用の記録ヘッドであり、他方の記録ヘッドは濃・淡両インクの吐出及び濃インクのみの吐出を可能とした記録ヘッドとなっている。ここでは前記記録ヘッドは、K(ブラック)インクを吐出するものとなっており、濃C(濃シアン)、濃M(濃マゼンタ)、濃Y(濃イエロー)、淡C(淡シアン)、淡M(淡マゼンタ)、及びY(淡イエロー)などの6色のインクを吐出するものとなっている。
【0033】
そして、各々の記録ヘッド10,20は、インクを吐出するヘッド部11,21と、このヘッド部11,21にインクを供給するインク貯留部14,24とからなっている(図2参照)。
【0034】
図2ないし図4は、この第1の実施形態において適用される濃・淡両インクの吐出に用いる前記記録ヘッド20の構造を示す図である。
【0035】
この記録ヘッド20において、前記ヘッド部21は、吐出部22とタンクホルダ23とにより構成されている。
【0036】
図4は、前記ヘッド部21の吐出部22の構造を模式的に示す縦断面図である。この吐出部22は、インク導入路22A、インク液室22A2、インク流路溝22A3、及びインク吐出口22A3などが形成された天板22Aを有し、その天板22Aの両側には配線基板22Bが接着され、抵抗性加熱素子の基板22Cに電気的に接続されている。配線基板22Bは、記録装置本体1に送信された電気信号を抵抗過熱素子が取りつけられた基板22Cに伝送するものである。
【0037】
従って、インクは、インクタンク24からインク導入路22A1を通り、天板22Aと抵抗性加熱素子のある基板22Cとで形成されたインク液室22A2に流入し、ここからさらに、抵抗性加熱素子のあるインク流路溝22A3に導かれインク吐出口22A4に達する。このインク流路溝22A3に導かれたインクは、記録装置本体1のに入力される記録データに従って駆動される抵抗性加熱素子の熱エネルギーによって膜沸騰が生じ、インク吐出口22A4から吐出される。
なお、このインク液室22A2は天板22Aと、抵抗性加熱素子を有する基板22Cとで形成され、色相が異なる場合には、色相毎に、また濃度が異なる場合には濃度毎に設けられる。
【0038】
この天板22Aと基板22Cとの間は、インク漏れを防ぐため封止剤にて封止する。また、この封止剤は抵抗性加熱素子を有する基板22Cと配線基板22BとのTAB接続部にも使用され、インクの付着を防止し保護している。
天板22Aは一体成形したものであり、インク吐出口22A、インク流路溝22A3、インク液室22A2、及びインク導入路22A1は、成形あるいはレーザ加工によって加工されており、インク吐出口24A4、インク流路溝22A3は高精度で加工することが特に要求される。この一体成形された天板22Aは、成型性が良くインクに侵食されにくい材料を選択する必要があり、具体的な材料としては例えばポリサルフォン等が使用されている。
【0039】
抵抗性加熱素子を有する基板22Cは、熱エネルギーによりインクに膜沸騰を生じさせて記録を行うもので、Si(シリコン)基板上に複数の列状に配された抵抗性過熱素子と、これに電力を供給するAI等の電気配線とが成膜技術によって形成され、またインクに直接接触する基板表面には、基板保護のためTa等の膜が形成されている。さらにこの基板22Cには、TAB用のパッド数の削減を図るため、シフトレジスタと駆動用トランジスタとが内蔵されている。そして、この基板22Cは、弾性部材22Dによる機械的付勢力によって天板22Aに固定される。
【0040】
また、図5は前記タンクホルダ23の外観構成を示す斜視図である。
【0041】
図示のように、このタンクホルダ23は、インクタンク24からのインクをヘッド部21のインク導入路22A1まで導くインク経路を形成すると共に、インクタンク24とヘッド部21とを保持する保持部材として機能する。すなわち、この濃・淡両インク用のタンクホルダ23は、その底部内面において平面長円形をなす筒状の嵌合突起23aが6個形成され、これが前記インクタンク24の底部に形成された長円形のインク吐出口24a1に対して嵌脱可能となっている。
また、前記嵌合突起23aの内方にはインク導入口23bが形成されており、このインク導入口23bには、塵埃や泡の侵入を防止するフィルタ23cが溶着されている。さらに、このタンクホルダ23と前記吐出部との結合個所にはパッキンが介在させてあり、これによってインク漏れを完全に防止するようになっている。
【0042】
また、前記インクタンク24は図3及び図6に示すように構成されている。
【0043】
各図において、インクタンク24は、上部が開口する中空直方体形状の筐体からなるタンク本体24aと、ここに挿入されるインク吸収体24bと、タンク本体24aの上部開口を閉塞する蓋体24cとを備える。タンク本体24aは、内部空間が仕切り板24a1によって複数個に区轄形成されて液体貯留用の空間が形成されており、ここでは、大小一組の液体貯留用の空間S1,S2が3組並列に形成され、合計6つのインク貯留用の空間が形成されている。
【0044】
これら6つの液体貯留空間S1,S2のうち、大容量を有する空間S1は、使用頻度の高い濃インク貯留用の空間(濃M,濃C,濃Yインク貯留用の空間)としての使用に適しており、また、小容量の空間S2は使用頻度の低い淡インク貯留用の空間(淡M,淡C,淡Yインク貯留用の空間)としての使用に適している。但し、前記3個の空間S2を濃インク貯留用の空間として使用し、インクタンク全体に3色の濃インクを貯留したものも用意されている。
そして、タンク本体24aの底面には、前記各空間にそれぞれ連通する6個のインク供給口24a2,24a4が突出形成されている。
また、前記各インク貯留用の空間S1,S2には、毛細管力によってインクを保持し得るインク吸収体24bが充填されている。このインク吸収体24bは、必要とする貯留量のインクを吸収・保持する第1のインク吸収体24b1,24b3と、この第1のインク吸収体24b1,24b3の下方に配置した第2のインク吸収体24b2,24b4とからなる。第2の吸収体24b2,24b4は第1の吸収体24b2,24b4より強い毛細管力を生じるものとなっており、前記第1の吸収体24b1,24b3に吸収されているインクをタンク本体24aの底部に形成された各インク供給口24a2,24a4へと誘導する機能を果たすものとなっている。
【0045】
さらに、前記蓋体24cは、インク吸収体24b1,24b3の充填されたタンク本体24aの上端部に接着固定されてタンク本体の上部開口を閉塞するようになっており、これによって各インク貯留空間は互いに液密状態で区轄され、各インクの混色を完全に防止し得るようになっている。また、この蓋体24cには、各液体貯留用の空間S1,S2に連通する大気連通口24c1,24c2がそれぞれ形成されている。
【0046】
なお、濃インク用の記録ヘッド10(図7参照)についても、上記濃・淡両インク用の記録ヘッド20と略同様の構成を有しているが、この記録ヘッド10ではインクタンク14の内部空間が3等分に区轄されており、内部空間の略全体に第1のインク吸収体14b1及び第2のインク吸収体14b2.14b4が設けられている点が上記第1の実施形態と異なる。但し、このインクタンクの下面には上記インクタンク20と同様に6個のインク供給口(図示せず)が形成されている。これは、濃・淡用ホルダに装着するためになるべく変更の少ない構造にしたためである。なお、図7において、図6に示したものと同一もしくは相当部分には同一符号を付してある。
【0047】
一方、図8はこの第1の実施形態における制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0048】
図において、101はこの実施形態における記録装置の各部の動作を制御する制御手段としてのCPU、102は予め設定した後述の各記録方式に従って前記記録ヘッドの駆動を制御する制御プログラムなどを格納してなるROM、103は各種データを一時的に格納する記録領域としてのRAMである。
【0049】
そして、前記CPU101には、電源スイッチなどをはじめとする各種設定スイッチを有する入力操作部105及び、キャリッジ3に装着された記録ヘッドのインクタンクの種類を検知し、その検知した結果に対応する出力を送出するタンク識別センサ104などが接続されており、このタンク識別センサ104と切換手段としての前記CPU101とにより選択手段が構成されている。なお、このインクタンクの識別は、その側面に設けられた不図示の被検知体の内容をキャリッジ3に設けた磁気的、光学的、あるいは機械的検出手段によって読み取り、その出力を前記CPU101に入力することによって行なうようになっている。
【0050】
また、前記CPU101には、前述の給紙ローラを駆動する給紙モータ107、キャリッジモータ109、及び予備吐出機構のポンプ駆動モータ111等を駆動するモータ駆動回路106,108,110が接続されており、これらが前記CPU101によって制御されるようになっている。
【0051】
以上の構成を有するインクジェット記録装置においては、濃インクのみを使用した通常のカラー画像記録と、濃・淡両インクを用いた高画質記録の変更は、インクタンクを交換するだけで容易に実行することができる。
【0052】
この各インクタンク24の交換は、タンク本体24aをその外面をガイドするタンクホルダ23内にその内面に沿って挿入させることにより行なうことができる。すなわち、インクタンク装着時において、インクタンク24がタンクホルダ23内に挿入されると、インクタンク24の底部に形成した各インク供給口24a2,24a4が前記タンクホルダ23の嵌合突起23a2,23a4に液密状態で嵌合すると共に、そのインク供給口24a2,24a4から露出している第2のインク吸収体24b2,24b4が嵌合突起23a2,23a4内に形成されたインク導入口23b2,23b4に当接し、第2のインク吸収体24b2,24b4に誘導されているインクがフィルタ23cを介してヘッド部20内に供給される。
【0053】
このようにして、インクタンクの装着が行なわれると、タンク識別センサ104が記録ヘッド20に装備されたインクタンクの被検知体を自動的に読み取り、そのデータをCPU101に入力するため、CPU101は、その入力データに基づき、インクタンクの種類が変更されたか、あるいは同一種類のインクタンクを新たなものに入れ替えただけであるかを判断し、その判断結果に基づき回復動作の制御や記録動作の制御を行なう。
【0054】
すなわち、インク貯留部の種類が変更されたと判断された時は、インクの吸引回復量を増やしたり、インクタンク24(濃・淡両インク用のインクタンク)が装着されたときは、中間調表現を濃・淡両インクを使って記録する記録制御方式を採り、インク貯留部24(濃インクのみ)が装着されたときは、中間調表現をドット密度制御方式またはドット径制御方式で記録するような変更を行う。従って、この実施形態によれば装着されたインクタンクの種類に応じて適正な記録動作を自動的かつ確実に実行させることができる。
【0055】
また、通常、濃・淡両インク用の記録ヘッドは、濃インク吐出用ノズルと、淡インク吐出用ノズルとを同数設けているため、そのノズルを濃インクのみで使う場合は、淡インク用ノズルも使用できることから使用可能ノズル数が2倍に増大する。従って、記録速度を約2倍に高めたり、あるいはまた同じ記録速度であっても、マルチパス方式などを用いて2倍のパス数で記録したりすることが可能となり、画像品位の向上を図ることができる。
なお、濃インク用の記録ヘッド10においても、ヘッド部11に対するインクタンク14の装着は、前記濃・淡両インク用の記録ヘッド20と同様に行なうことができる。
ところで、濃・淡両インクを用いてインクジェット記録を行う場合、濃インクドットと淡インクドットの着弾位置のずれは、画像品質に大きな影響を及ぼし、画像に濃度ムラを発生させたり、すじを発生させたりすることがある。このため、濃インクと淡インクをそれぞれ別体の記録ヘッドに貯留するようにしていた従来の記録装置にあっては、上記のような不都合が発生し易いという問題があった。
【0056】
しかしながら、この実施形態では、濃・淡異なる濃度のインクに対応するインク吐出口を単一のヘッド部21に一列に配置し、使用するインクの交換に係わりなく、インク吐出口の位置関係を一定に保つことができるようになっているため、吐出されるインクドットの着弾位置のずれを減少させることができ、着弾位置に起因するムラやすじの発生を抑えることができる。これは、淡インクを濃インクに置き換え、濃インクのみで記録を行なった場合にも同様に有効である。
【0057】
また、濃インク用記録ヘッド10のインクタンク14では、インクタンク24のように濃インク貯留用空間S1と淡インク貯留用空間S2とを区轄する仕切り板が形成されておらず、淡インク貯留用の空間S2に相当する空間にも濃インクが貯留されるようになっているが、その底面には、濃淡両インク用のインクタンク14と同様にインク供給口が6個形成されている。これは濃インク用記録ヘッド10と、濃淡両インク用記録ヘッド20とで、ヘッド部における共通化を図るためであり、これによって両記録ヘッド10,20の製造コストの低減を達成し得るものとなっている。
【0058】
図9ないし図12は、本発明の第2の実施形態における記録ヘッドとインク貯留部を示す図である。この実施形態における記録ヘッドは、色相の異なるインクを、それぞれ別体の独立したインクタンクに収納したものである。このインクタンクとしては、図9及び図10に示すように、濃インクのみを貯留した3種類の濃インクタンク(濃Cインクタンク34a、濃Mインクタンク34b、濃Yインクタンク34c)と、図11及び図12に示すように、同一色相における濃インクと淡インクとを貯留した3種類のインクタンク(濃淡Cインクタンク34d、濃淡Mインクタンク34e、濃淡Yインクタンク34f)の合計6本が用意されており、各インクタンクはヘッド部24aに対して個々に着脱可能に設けられている。このヘッド部24aは、前記第1の実施形態に示したものと同様に、その底部に6個の嵌合突起と、インク導入口(いずれも図示せず)を有するものとなっている。そして、上記各インクタンクの底面には、インク吐出口が2個ずつ形成され(図示せず)、同一のインクタンクから供給された濃インクまたは濃淡両インクは、同一列のインク吐出口へと供給されるようになっている。
【0059】
すなわち、前記濃インクタンク34a〜34cが装着された場合には、同一列のインク吐出口全体に同一の色相及び濃度のインクが供給され、濃・淡両インクのインクタンク34d〜34fが装着された場合には、同一ノズル列のうち半数のノズルに濃インクが供給され、残りの半数のノズルに淡インクが供給されるようになっている。
また、各インクタンクには、記録装置本体などに設けられた磁気的、光学的あるいは機械的検出手段などによって読み取り可能な被検知体が設けられており、ヘッド部へ装着されたインクタンクの種類を識別し得るようになっている。
【0060】
なお、タンクホルダなどを含めたその他の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
【0061】
以上のように、この第2の実施形態によれば、濃・淡両インクのインククタンク34d〜34fと、濃インクのインクタンク34a〜34cとを、形成すべき画像に応じて適宜交換することにより、濃・淡両インクを用いて高画質記録を行なうことができると共に、濃インクのみを用いて行なう記録動作の速度を向上させることができるという前記第1の実施形態と同様の効果を期待でき、しかも各インクタンクが独立しているため、ある一種類のインクが完全に消費されてしまった場合にも、その部分のインクタンクのみ交換すれば良く、トータルのランニングコストを低く抑えることができるという利点もある。
【0062】
なお、上記実施形態では、同一色相におけるインクの濃度を、濃淡2種類としたが、適用する濃度の種類は、3種類以上に設定することも可能である。但し、その場合には、インクタンクのインク供給口数及びヘッド部のインク導入口の数を、適用するインク濃度数に応じて変更する必要がある。
【0063】
また、上記各実施形態では、装着されたインクタンクの種類に応じて、記録制御方式の選択を自動的に行なうようにしたが、前記のような記録制御方式の選択をユーザが手動によって行なうようにしてもに良く、その場合には、インク貯留部の種類を認識するセンサや電気回路、及びプログラムなどが不要となるため、より安価なインクジェット記録装置を提供することができる。
【0064】
(その他)
なお、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が達成できるからである。
【0065】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書,同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書,同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0066】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書,米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基いた構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録を確実に効率よく行うことができるようになるからである。
【0067】
さらに、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのような記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0068】
加えて、上例のようなシリアルタイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0069】
また、本発明の記録装置の構成として、記録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げることができる。
【0070】
また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数についても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数のインクに対応して複数個数設けられるものであってもよい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるかいずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0071】
さらに加えて、以上説明した本発明の実施形態においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もしくは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよい。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合のインクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0072】
さらに加えて、本発明インクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、インクタンクを変更することで、濃度の異なるインクを同一の吐出口から記録できるようにしたため、濃・淡両インクを用いた記録と濃インクのみを用いた記録とを容易に実行することが可能となると共に、インクタンクの変更に係わりなく一定の位置関係でインクドットを吐出することができ、濃度ムラやすじの発生を大幅に低減することが可能となる。
【0074】
また、ヘッド部に装着したインクタンクの種類を自動的に識別し、その結果に応じて記録動作を制御するようにすれば、確実に適正な記録動作を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における記録ヘッドが記録装置に搭載された状態を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における記録ヘッドの外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示した記録ヘッドにおいてインクタンクをヘッド部から取り出した状態を示す外観斜視図である。
【図4】図2に示す記録ヘッドのヘッド部の構造を示す半縦断面図である。
【図5】図4等に示すホルダー部を一部切欠して示す斜視図である。
【図6】図4等に示す濃・淡両インク用のインクタンクの分解斜視図である。
【図7】図4等に示す濃インク用のインクタンクの分解斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における制御系の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における記録ヘッドを示す平面図であり、濃インク用のインクタンクを装着した状態を示す。
【図10】図9に示したものの側面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態における記録ヘッドを示す平面図であり、濃・淡インク用のインクタンクを装着した状態を示す。
【図12】図10に示したものの側面図である。
【符号の説明】
1 記録装置本体
3 キャリッジ
10 記録ヘッド
11 ヘッド部
14 インクタンク
14b1 第1のインク吸収体
14b2,14b4 第2のインク吸収体
20 記録ヘッド
21 ヘッド部
22 吐出部
22A 天板
22A1 インク導入路
22A2 インク液室
22A3 インク流路溝
22A4 インク吐出口
22B 配線基板
22C 基板
23 タンクホルダ
23a2,23a4 嵌合突起
23b2,23b4 インク吐出口
24 インクタンク
24a タンク本体
24a2,24a4 インク供給口
24b1,24b3 第1のインク吸収体
24b2,24b4 第2のインク吸収体
24c 蓋体
34a〜34f インクタンク
S1,S2 インク貯留用の空間(インク貯留部)
101 CPU(切換手段)
104 タンク識別センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、被記録媒体にインク滴を吐出して記録を行うインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関し、詳しくは複数種の色剤を用いて記録を行うインクジェット記録装置、インクジェット記録方法及び記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、従来のインクジェット記録装置は、記録ヘッドに設けられた複数のインク吐出口から記録データ信号に基づいてインクを吐出し、インク液滴を用紙などの記録媒体に付着させて記録を行うものとなっており、例えば、プリンタやファクシミリあるいは複写機などの記録部に用いられている。
【0003】
このインクジェット記録装置に適用されるインク吐出方式としては、インク吐出口近傍のインク流路内に発熱素子(電気熱エネルギー変換素子ともいう)を設け、この発熱素子に電気信号を印加することによりインクを局所的に加熱して気泡を生成させ、この気泡の発生エネルギーによるインクの圧力変化によって吐出口からインクを吐出させる方式や圧電素子などの電気機械エネルギー変換素子を用いる方式が知られている。
【0004】
また、この種のインク吐出方式を用いたインクジェット記録装置において、中間調の記録方式としては、一定サイズのインクドットを記録し、この記録ドットの単位面積あたりの数を制御して中間調を表現するドット密度制御方式、あるいはそれらの制御方式の欠点であった粒状性を目立たなくするため、濃度の低いインク(以下、淡インクともいう)と濃いインク(以下、濃インクともいう)を、各インク専用に設けられた2個の記録ヘッドから個々に吐出させるようにし、画像の明部から中間調部分までは淡インクで記録ドットを形成し、中間調部分から暗部までは濃インクで記録ドットを形成するようにした記録方式が知られている。
【0005】
このような、同一の色相において濃度の異なる複数の濃・淡両インクを用いる濃淡多値記録方式によれば、多値化するに従ってハイライト部の階調性が特に向上し、ドットによる粒状感が低減して、高画質化を得ることが可能となる。これは、ハイライト部に濃度の低い(淡い)インクを打ち込むことによって淡ドットのノイズ感をなくすことができるからである。
【0006】
このため、現在の高画質タイプのインクジェットプリンタには、殆どの場合この濃・淡記録方式が採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような濃・淡両インクを用いた記録装置においては、未だ以下のような課題があり、その解決が望まれている。
【0008】
すなわち、プリンタによって出力される画像としては、現在では、表、グラフ、文字などのように濃インクのみを使用して記録されるものが殆どであり、写真などの高画質なものを形成する場合は少なく、濃・淡両インクが使用される頻度は濃インクのみを使用する場合に比べて低い。
【0009】
こうしたインク使用状況にあっても、高画質記録を要求される現在のプリンタにあっては、濃・淡両インクを適宜吐出し得る機能を備える必要があり、そのため、濃・淡それぞれのインクに対して、前述のように濃ヘッドと淡ヘッドの2種類のヘッドを装着できるようにしており、これがコスト増大を招く要因となっていた。
【0010】
つまり、淡インクを用いて粒状感の少ない画像を形成し得る従来のインクジェット記録装置にあっては、濃インク用の記録ヘッドの他に使用率の低い淡インク用の記録ヘッドをも搭載した高価なものとなっていた。このため、ユーザとしては使用率の低い機能を備えた高価な装置を購入するか、淡ヘッドを省略した安価な装置を購入するかの二者択一を迫られているのが現状である。
【0011】
本発明は、上記従来の技術の課題に着目してなされたもので、同一色相において濃度の異なる複数のインクを適宜吐出することができ、高品位な画像形成を可能とすると共に、大幅にコストを低減することができるインクジェット記録装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明は次のような構成を有するものとなっている。
【0013】
すなわち、請求項1記載の発明は、インクを吐出する記録ヘッドを備え、この記録ヘッドから記録媒体に向けてインクを吐出させることにより画像を形成するようにしたインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドが複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を前記ヘッド部に着脱可能に装着し得るインクタンクと、を備え、濃度の異なる複数種のインクを貯留したインクタンクを前記ヘッド部に装着することにより、濃度の異なる複数種のインクを同一のノズル列より吐出可能にしたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項2記載の発明は、インクを吐出する記録ヘッドを備え、この記録ヘッドから記録媒体に向けてインクを吐出させることにより画像を形成するようにしたインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドが、複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を前記ヘッド部に着脱可能に装着し得るインクタンクと、を備え、濃度の異なる複数種のインクを貯留したインクタンクを前記ヘッド部に装着することにより、濃度の異なる複数種のインクを同一のノズル列より吐出可能にする一方、前記ノズル部に装着されたインクタンクに対応して記録動作に関連する制御動作を選択的に実行させる選択手段を設けたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記選択手段が、前記ヘッド部に装着された前記インクタンクの種類を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出されたインクタンクの種類に応じて前記記録動作に関連する制御動作を切換える切換手段とを備えることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記選択手段が、入力操作手段によって入力された選択信号によって記録動作に関連する制御動作を選択的に実行させることを特徴とするものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4いずれか記載の発明において、前記インクタンクが、前記記録ヘッドに着脱可能に設けられる単一の筐体内を複数のインク貯留部に区轄形成してなることを特徴とするものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし4いずれか記載の発明において、前記インクタンクは、前記記録ヘッドに独立して着脱可能に設けられると共に、同一色相を有しかつ濃度の異なる少なくとも一種類以上のインクを貯留することを特徴とするものである。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6いずれか記載の発明において、前記記録ヘッドは、インクを吐出する複数のノズルを有するノズル列を形成してなるヘッド部と、このヘッド部を着脱可能に保持するタンクホルダとを有することを特徴とするものである。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7いずれか記載の発明において、前記記録ヘッドは、熱エネルギーによってインクに膜沸騰を発生させ、そのエネルギーによってインクをノズルから吐出させることを特徴とするものである。
【0021】
請求項9記載の発明は、インクを吐出する記録ヘッドを備え、この記録ヘッドから記録媒体に向けてインクを吐出させることにより画像を形成するようにしたインクジェット記録方法において、前記記録ヘッドが、複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を前記ヘッド部に着脱可能に装着し得るインクタンクと、を備え、濃度の異なる複数種のインクを貯留したインクタンクを前記ヘッド部に装着することにより、濃度の異なる複数種のインクを同一のノズル列より吐出可能にする一方、前記ノズル部に装着されたインクタンクに対応して記録動作に関連する制御動作を選択的に実行させるステップを有することを特徴とする。
【0022】
請求項10記載の発明に係る記録ヘッドは、複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を前記ヘッド部に着脱可能に装着し得るインクタンクと、を備え、濃度の異なる複数種のインクを貯留したインクタンクを前記ヘッド部に装着することにより、濃度の異なる複数種のインクを同一のノズル列より吐出可能にしたことを特徴とするものである。
【0023】
【作用】
以上の構成を有する本発明においては、インクタンクが、濃度の異なる一種類以上のインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を備えるものとなっており、各インク貯留部は前記ヘッド部のノズルの配列方向に沿って着脱可能に配列し得るようになっているため、前記インクタンクを交換することによって複数の濃度の異なるインクを同一のヘッド部から吐出させることができる。このため、例えば、記録すべき画像の種類に応じて、濃・淡両インクを用いた高画質な記録と、濃インクのみを用いた文字等の記録動作をヘッド部を交換せず、インクタンクのみを交換することによって行なうことが可能となる。
【0024】
また、インクタンクを交換して濃度の異なるインクを用いた場合、そのインクタンクの種類の変更に応じて、記録動作に関する制御動作を変更するようにすれば、より適切な記録が可能となる。この場合、ヘッド部に装着されたインクタンクの種類を自動的に検出し、その検出結果に応じて自動的に行なうようにすれば、取り扱いが極めて容易になる。
【0025】
さらに、濃・淡両インクを用いた記録動作から濃インクのみを用いた記録動作に変更する場合、淡インクの吐出に用いられていたノズルに対しても濃インクを供給することができ、濃・淡両インクを用いた場合に比べ、濃インクの吐出に使用するノズル数が増加されることとなる。このため、記録動作速度の向上が可能となったり、同一の記録速度でもマルチパス記録方式を用いた高画質記録が可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の要部構成を示す斜視図である。また、図2は図1に示すインクジェット記録装置で用いられる記録ヘッドの外観の斜視図である。
【0028】
図1に示すように、この第1の実施形態におけるインクジェット記録装置は、本体部1に両端を支持されたガイドシャフト2により、その軸線方向である主走査方向(X方向)に沿ってキャリッジ3が移動可能に支持されており、このキャリッジ3には2個の記録ヘッド10,20が着脱自在に搭載されている。キャリッジ3はキャリッジモータの駆動力によって旋回移動する駆動ベルトに固定され、駆動ベルト4と共に主走査方向(X方向)に沿って往復移動するようになっている。
【0029】
また、画像を記録すべき記録用紙やプラスチック薄板などからなる記録媒体は、不図示の給紙部から給紙ローラによって、前記記録ヘッド10,20と対向すして配置されたプラテン上の記録領域へと送給され、その後、搬送ロ―ラと排紙ローラとの協働によって、前記主走査方向と直交する副走査方向(矢印Y方向)へと搬送される。
この記録媒体の搬送動作と前記キャリッジの移動は交互に繰り返し実行される一方、キャリッジ移動に同期して記録ヘッドが駆動され、記録データに応じたインク吐出動作が実行されることによって記録媒体に対し所定の画像が形成される。
【0030】
また、前記記録領域以外に背底されたキャリッジ3のホームポジションには、キャップ部7を備えた回復ユニットが配設されている。このインクジェット記録装置では、記録動作を行なわないときには、キャッリッジ3をホームポジションへ移動させてキャップ部7のキャップにより、その対応する記録ヘッド10,20のインク吐出口を覆ってインク溶剤蒸発を防止し、これに起因するインクの増粘、あるいは塵埃などの異物の付着によるインク吐出口の目詰まりを防止するようになっている。
【0031】
さらに、前記キャップ部7は、これに対して記録ヘッド10,20から吐出を行なうことにより、吐出頻度の低いインク吐出口の吐出不良や目詰まりを解消するなどの目的のために利用されたり、インク吐出口をキャップした状態で不図示のポンプを動作させてインク吐出口からインクを吸引し、増粘したインクを除去するためにも利用される。また、キャップ部7に隣接してワイピング用ブレードを配設することにより、吐出口形成面をクリーニングすることも可能になっている。
【0032】
ところで、前記キャリッジに搭載される2個の記録ヘッド10,11のうち、一方の記録ヘッド10は、K(ブラック)インクを吐出する濃インク吐出用の記録ヘッドであり、他方の記録ヘッドは濃・淡両インクの吐出及び濃インクのみの吐出を可能とした記録ヘッドとなっている。ここでは前記記録ヘッドは、K(ブラック)インクを吐出するものとなっており、濃C(濃シアン)、濃M(濃マゼンタ)、濃Y(濃イエロー)、淡C(淡シアン)、淡M(淡マゼンタ)、及びY(淡イエロー)などの6色のインクを吐出するものとなっている。
【0033】
そして、各々の記録ヘッド10,20は、インクを吐出するヘッド部11,21と、このヘッド部11,21にインクを供給するインク貯留部14,24とからなっている(図2参照)。
【0034】
図2ないし図4は、この第1の実施形態において適用される濃・淡両インクの吐出に用いる前記記録ヘッド20の構造を示す図である。
【0035】
この記録ヘッド20において、前記ヘッド部21は、吐出部22とタンクホルダ23とにより構成されている。
【0036】
図4は、前記ヘッド部21の吐出部22の構造を模式的に示す縦断面図である。この吐出部22は、インク導入路22A、インク液室22A2、インク流路溝22A3、及びインク吐出口22A3などが形成された天板22Aを有し、その天板22Aの両側には配線基板22Bが接着され、抵抗性加熱素子の基板22Cに電気的に接続されている。配線基板22Bは、記録装置本体1に送信された電気信号を抵抗過熱素子が取りつけられた基板22Cに伝送するものである。
【0037】
従って、インクは、インクタンク24からインク導入路22A1を通り、天板22Aと抵抗性加熱素子のある基板22Cとで形成されたインク液室22A2に流入し、ここからさらに、抵抗性加熱素子のあるインク流路溝22A3に導かれインク吐出口22A4に達する。このインク流路溝22A3に導かれたインクは、記録装置本体1のに入力される記録データに従って駆動される抵抗性加熱素子の熱エネルギーによって膜沸騰が生じ、インク吐出口22A4から吐出される。
なお、このインク液室22A2は天板22Aと、抵抗性加熱素子を有する基板22Cとで形成され、色相が異なる場合には、色相毎に、また濃度が異なる場合には濃度毎に設けられる。
【0038】
この天板22Aと基板22Cとの間は、インク漏れを防ぐため封止剤にて封止する。また、この封止剤は抵抗性加熱素子を有する基板22Cと配線基板22BとのTAB接続部にも使用され、インクの付着を防止し保護している。
天板22Aは一体成形したものであり、インク吐出口22A、インク流路溝22A3、インク液室22A2、及びインク導入路22A1は、成形あるいはレーザ加工によって加工されており、インク吐出口24A4、インク流路溝22A3は高精度で加工することが特に要求される。この一体成形された天板22Aは、成型性が良くインクに侵食されにくい材料を選択する必要があり、具体的な材料としては例えばポリサルフォン等が使用されている。
【0039】
抵抗性加熱素子を有する基板22Cは、熱エネルギーによりインクに膜沸騰を生じさせて記録を行うもので、Si(シリコン)基板上に複数の列状に配された抵抗性過熱素子と、これに電力を供給するAI等の電気配線とが成膜技術によって形成され、またインクに直接接触する基板表面には、基板保護のためTa等の膜が形成されている。さらにこの基板22Cには、TAB用のパッド数の削減を図るため、シフトレジスタと駆動用トランジスタとが内蔵されている。そして、この基板22Cは、弾性部材22Dによる機械的付勢力によって天板22Aに固定される。
【0040】
また、図5は前記タンクホルダ23の外観構成を示す斜視図である。
【0041】
図示のように、このタンクホルダ23は、インクタンク24からのインクをヘッド部21のインク導入路22A1まで導くインク経路を形成すると共に、インクタンク24とヘッド部21とを保持する保持部材として機能する。すなわち、この濃・淡両インク用のタンクホルダ23は、その底部内面において平面長円形をなす筒状の嵌合突起23aが6個形成され、これが前記インクタンク24の底部に形成された長円形のインク吐出口24a1に対して嵌脱可能となっている。
また、前記嵌合突起23aの内方にはインク導入口23bが形成されており、このインク導入口23bには、塵埃や泡の侵入を防止するフィルタ23cが溶着されている。さらに、このタンクホルダ23と前記吐出部との結合個所にはパッキンが介在させてあり、これによってインク漏れを完全に防止するようになっている。
【0042】
また、前記インクタンク24は図3及び図6に示すように構成されている。
【0043】
各図において、インクタンク24は、上部が開口する中空直方体形状の筐体からなるタンク本体24aと、ここに挿入されるインク吸収体24bと、タンク本体24aの上部開口を閉塞する蓋体24cとを備える。タンク本体24aは、内部空間が仕切り板24a1によって複数個に区轄形成されて液体貯留用の空間が形成されており、ここでは、大小一組の液体貯留用の空間S1,S2が3組並列に形成され、合計6つのインク貯留用の空間が形成されている。
【0044】
これら6つの液体貯留空間S1,S2のうち、大容量を有する空間S1は、使用頻度の高い濃インク貯留用の空間(濃M,濃C,濃Yインク貯留用の空間)としての使用に適しており、また、小容量の空間S2は使用頻度の低い淡インク貯留用の空間(淡M,淡C,淡Yインク貯留用の空間)としての使用に適している。但し、前記3個の空間S2を濃インク貯留用の空間として使用し、インクタンク全体に3色の濃インクを貯留したものも用意されている。
そして、タンク本体24aの底面には、前記各空間にそれぞれ連通する6個のインク供給口24a2,24a4が突出形成されている。
また、前記各インク貯留用の空間S1,S2には、毛細管力によってインクを保持し得るインク吸収体24bが充填されている。このインク吸収体24bは、必要とする貯留量のインクを吸収・保持する第1のインク吸収体24b1,24b3と、この第1のインク吸収体24b1,24b3の下方に配置した第2のインク吸収体24b2,24b4とからなる。第2の吸収体24b2,24b4は第1の吸収体24b2,24b4より強い毛細管力を生じるものとなっており、前記第1の吸収体24b1,24b3に吸収されているインクをタンク本体24aの底部に形成された各インク供給口24a2,24a4へと誘導する機能を果たすものとなっている。
【0045】
さらに、前記蓋体24cは、インク吸収体24b1,24b3の充填されたタンク本体24aの上端部に接着固定されてタンク本体の上部開口を閉塞するようになっており、これによって各インク貯留空間は互いに液密状態で区轄され、各インクの混色を完全に防止し得るようになっている。また、この蓋体24cには、各液体貯留用の空間S1,S2に連通する大気連通口24c1,24c2がそれぞれ形成されている。
【0046】
なお、濃インク用の記録ヘッド10(図7参照)についても、上記濃・淡両インク用の記録ヘッド20と略同様の構成を有しているが、この記録ヘッド10ではインクタンク14の内部空間が3等分に区轄されており、内部空間の略全体に第1のインク吸収体14b1及び第2のインク吸収体14b2.14b4が設けられている点が上記第1の実施形態と異なる。但し、このインクタンクの下面には上記インクタンク20と同様に6個のインク供給口(図示せず)が形成されている。これは、濃・淡用ホルダに装着するためになるべく変更の少ない構造にしたためである。なお、図7において、図6に示したものと同一もしくは相当部分には同一符号を付してある。
【0047】
一方、図8はこの第1の実施形態における制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0048】
図において、101はこの実施形態における記録装置の各部の動作を制御する制御手段としてのCPU、102は予め設定した後述の各記録方式に従って前記記録ヘッドの駆動を制御する制御プログラムなどを格納してなるROM、103は各種データを一時的に格納する記録領域としてのRAMである。
【0049】
そして、前記CPU101には、電源スイッチなどをはじめとする各種設定スイッチを有する入力操作部105及び、キャリッジ3に装着された記録ヘッドのインクタンクの種類を検知し、その検知した結果に対応する出力を送出するタンク識別センサ104などが接続されており、このタンク識別センサ104と切換手段としての前記CPU101とにより選択手段が構成されている。なお、このインクタンクの識別は、その側面に設けられた不図示の被検知体の内容をキャリッジ3に設けた磁気的、光学的、あるいは機械的検出手段によって読み取り、その出力を前記CPU101に入力することによって行なうようになっている。
【0050】
また、前記CPU101には、前述の給紙ローラを駆動する給紙モータ107、キャリッジモータ109、及び予備吐出機構のポンプ駆動モータ111等を駆動するモータ駆動回路106,108,110が接続されており、これらが前記CPU101によって制御されるようになっている。
【0051】
以上の構成を有するインクジェット記録装置においては、濃インクのみを使用した通常のカラー画像記録と、濃・淡両インクを用いた高画質記録の変更は、インクタンクを交換するだけで容易に実行することができる。
【0052】
この各インクタンク24の交換は、タンク本体24aをその外面をガイドするタンクホルダ23内にその内面に沿って挿入させることにより行なうことができる。すなわち、インクタンク装着時において、インクタンク24がタンクホルダ23内に挿入されると、インクタンク24の底部に形成した各インク供給口24a2,24a4が前記タンクホルダ23の嵌合突起23a2,23a4に液密状態で嵌合すると共に、そのインク供給口24a2,24a4から露出している第2のインク吸収体24b2,24b4が嵌合突起23a2,23a4内に形成されたインク導入口23b2,23b4に当接し、第2のインク吸収体24b2,24b4に誘導されているインクがフィルタ23cを介してヘッド部20内に供給される。
【0053】
このようにして、インクタンクの装着が行なわれると、タンク識別センサ104が記録ヘッド20に装備されたインクタンクの被検知体を自動的に読み取り、そのデータをCPU101に入力するため、CPU101は、その入力データに基づき、インクタンクの種類が変更されたか、あるいは同一種類のインクタンクを新たなものに入れ替えただけであるかを判断し、その判断結果に基づき回復動作の制御や記録動作の制御を行なう。
【0054】
すなわち、インク貯留部の種類が変更されたと判断された時は、インクの吸引回復量を増やしたり、インクタンク24(濃・淡両インク用のインクタンク)が装着されたときは、中間調表現を濃・淡両インクを使って記録する記録制御方式を採り、インク貯留部24(濃インクのみ)が装着されたときは、中間調表現をドット密度制御方式またはドット径制御方式で記録するような変更を行う。従って、この実施形態によれば装着されたインクタンクの種類に応じて適正な記録動作を自動的かつ確実に実行させることができる。
【0055】
また、通常、濃・淡両インク用の記録ヘッドは、濃インク吐出用ノズルと、淡インク吐出用ノズルとを同数設けているため、そのノズルを濃インクのみで使う場合は、淡インク用ノズルも使用できることから使用可能ノズル数が2倍に増大する。従って、記録速度を約2倍に高めたり、あるいはまた同じ記録速度であっても、マルチパス方式などを用いて2倍のパス数で記録したりすることが可能となり、画像品位の向上を図ることができる。
なお、濃インク用の記録ヘッド10においても、ヘッド部11に対するインクタンク14の装着は、前記濃・淡両インク用の記録ヘッド20と同様に行なうことができる。
ところで、濃・淡両インクを用いてインクジェット記録を行う場合、濃インクドットと淡インクドットの着弾位置のずれは、画像品質に大きな影響を及ぼし、画像に濃度ムラを発生させたり、すじを発生させたりすることがある。このため、濃インクと淡インクをそれぞれ別体の記録ヘッドに貯留するようにしていた従来の記録装置にあっては、上記のような不都合が発生し易いという問題があった。
【0056】
しかしながら、この実施形態では、濃・淡異なる濃度のインクに対応するインク吐出口を単一のヘッド部21に一列に配置し、使用するインクの交換に係わりなく、インク吐出口の位置関係を一定に保つことができるようになっているため、吐出されるインクドットの着弾位置のずれを減少させることができ、着弾位置に起因するムラやすじの発生を抑えることができる。これは、淡インクを濃インクに置き換え、濃インクのみで記録を行なった場合にも同様に有効である。
【0057】
また、濃インク用記録ヘッド10のインクタンク14では、インクタンク24のように濃インク貯留用空間S1と淡インク貯留用空間S2とを区轄する仕切り板が形成されておらず、淡インク貯留用の空間S2に相当する空間にも濃インクが貯留されるようになっているが、その底面には、濃淡両インク用のインクタンク14と同様にインク供給口が6個形成されている。これは濃インク用記録ヘッド10と、濃淡両インク用記録ヘッド20とで、ヘッド部における共通化を図るためであり、これによって両記録ヘッド10,20の製造コストの低減を達成し得るものとなっている。
【0058】
図9ないし図12は、本発明の第2の実施形態における記録ヘッドとインク貯留部を示す図である。この実施形態における記録ヘッドは、色相の異なるインクを、それぞれ別体の独立したインクタンクに収納したものである。このインクタンクとしては、図9及び図10に示すように、濃インクのみを貯留した3種類の濃インクタンク(濃Cインクタンク34a、濃Mインクタンク34b、濃Yインクタンク34c)と、図11及び図12に示すように、同一色相における濃インクと淡インクとを貯留した3種類のインクタンク(濃淡Cインクタンク34d、濃淡Mインクタンク34e、濃淡Yインクタンク34f)の合計6本が用意されており、各インクタンクはヘッド部24aに対して個々に着脱可能に設けられている。このヘッド部24aは、前記第1の実施形態に示したものと同様に、その底部に6個の嵌合突起と、インク導入口(いずれも図示せず)を有するものとなっている。そして、上記各インクタンクの底面には、インク吐出口が2個ずつ形成され(図示せず)、同一のインクタンクから供給された濃インクまたは濃淡両インクは、同一列のインク吐出口へと供給されるようになっている。
【0059】
すなわち、前記濃インクタンク34a〜34cが装着された場合には、同一列のインク吐出口全体に同一の色相及び濃度のインクが供給され、濃・淡両インクのインクタンク34d〜34fが装着された場合には、同一ノズル列のうち半数のノズルに濃インクが供給され、残りの半数のノズルに淡インクが供給されるようになっている。
また、各インクタンクには、記録装置本体などに設けられた磁気的、光学的あるいは機械的検出手段などによって読み取り可能な被検知体が設けられており、ヘッド部へ装着されたインクタンクの種類を識別し得るようになっている。
【0060】
なお、タンクホルダなどを含めたその他の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
【0061】
以上のように、この第2の実施形態によれば、濃・淡両インクのインククタンク34d〜34fと、濃インクのインクタンク34a〜34cとを、形成すべき画像に応じて適宜交換することにより、濃・淡両インクを用いて高画質記録を行なうことができると共に、濃インクのみを用いて行なう記録動作の速度を向上させることができるという前記第1の実施形態と同様の効果を期待でき、しかも各インクタンクが独立しているため、ある一種類のインクが完全に消費されてしまった場合にも、その部分のインクタンクのみ交換すれば良く、トータルのランニングコストを低く抑えることができるという利点もある。
【0062】
なお、上記実施形態では、同一色相におけるインクの濃度を、濃淡2種類としたが、適用する濃度の種類は、3種類以上に設定することも可能である。但し、その場合には、インクタンクのインク供給口数及びヘッド部のインク導入口の数を、適用するインク濃度数に応じて変更する必要がある。
【0063】
また、上記各実施形態では、装着されたインクタンクの種類に応じて、記録制御方式の選択を自動的に行なうようにしたが、前記のような記録制御方式の選択をユーザが手動によって行なうようにしてもに良く、その場合には、インク貯留部の種類を認識するセンサや電気回路、及びプログラムなどが不要となるため、より安価なインクジェット記録装置を提供することができる。
【0064】
(その他)
なお、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が達成できるからである。
【0065】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書,同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書,同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0066】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書,米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基いた構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録を確実に効率よく行うことができるようになるからである。
【0067】
さらに、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのような記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0068】
加えて、上例のようなシリアルタイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0069】
また、本発明の記録装置の構成として、記録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げることができる。
【0070】
また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数についても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数のインクに対応して複数個数設けられるものであってもよい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるかいずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0071】
さらに加えて、以上説明した本発明の実施形態においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もしくは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよい。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合のインクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0072】
さらに加えて、本発明インクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、インクタンクを変更することで、濃度の異なるインクを同一の吐出口から記録できるようにしたため、濃・淡両インクを用いた記録と濃インクのみを用いた記録とを容易に実行することが可能となると共に、インクタンクの変更に係わりなく一定の位置関係でインクドットを吐出することができ、濃度ムラやすじの発生を大幅に低減することが可能となる。
【0074】
また、ヘッド部に装着したインクタンクの種類を自動的に識別し、その結果に応じて記録動作を制御するようにすれば、確実に適正な記録動作を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における記録ヘッドが記録装置に搭載された状態を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における記録ヘッドの外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示した記録ヘッドにおいてインクタンクをヘッド部から取り出した状態を示す外観斜視図である。
【図4】図2に示す記録ヘッドのヘッド部の構造を示す半縦断面図である。
【図5】図4等に示すホルダー部を一部切欠して示す斜視図である。
【図6】図4等に示す濃・淡両インク用のインクタンクの分解斜視図である。
【図7】図4等に示す濃インク用のインクタンクの分解斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における制御系の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における記録ヘッドを示す平面図であり、濃インク用のインクタンクを装着した状態を示す。
【図10】図9に示したものの側面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態における記録ヘッドを示す平面図であり、濃・淡インク用のインクタンクを装着した状態を示す。
【図12】図10に示したものの側面図である。
【符号の説明】
1 記録装置本体
3 キャリッジ
10 記録ヘッド
11 ヘッド部
14 インクタンク
14b1 第1のインク吸収体
14b2,14b4 第2のインク吸収体
20 記録ヘッド
21 ヘッド部
22 吐出部
22A 天板
22A1 インク導入路
22A2 インク液室
22A3 インク流路溝
22A4 インク吐出口
22B 配線基板
22C 基板
23 タンクホルダ
23a2,23a4 嵌合突起
23b2,23b4 インク吐出口
24 インクタンク
24a タンク本体
24a2,24a4 インク供給口
24b1,24b3 第1のインク吸収体
24b2,24b4 第2のインク吸収体
24c 蓋体
34a〜34f インクタンク
S1,S2 インク貯留用の空間(インク貯留部)
101 CPU(切換手段)
104 タンク識別センサ
Claims (10)
- インクを吐出する記録ヘッドを備え、この記録ヘッドから記録媒体に向けてインクを吐出させることにより画像を形成するようにしたインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッドは、
複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、
濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を前記ヘッド部に着脱可能に装着し得るインクタンクと、を備え、
濃度の異なる複数種のインクを貯留したインクタンクを前記ヘッド部に装着することにより、濃度の異なる複数種のインクを同一のノズル列より吐出可能にしたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - インクを吐出する記録ヘッドを備え、この記録ヘッドから記録媒体に向けてインクを吐出させることにより画像を形成するようにしたインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッドは、
複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、
濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を前記ヘッド部に着脱可能に装着し得るインクタンクと、を備え、
濃度の異なる複数種のインクを貯留したインクタンクを前記ヘッド部に装着することにより、濃度の異なる複数種のインクを同一のノズル列より吐出可能にする一方、
前記ノズル部に装着されたインクタンクに対応して記録動作に関連する制御動作を選択的に実行させる選択手段を設けたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記選択手段は、前記ヘッド部に装着された前記インクタンクの種類を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出されたインクタンクの種類に応じて前記記録動作に関連する制御動作を切換える切換手段とを備えることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録装置。
- 前記選択手段は、入力操作手段によって入力された選択信号によって記録動作に関連する制御動作を選択的に実行させることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクタンクは、前記記録ヘッドに着脱可能に設けられる単一の筐体内を複数のインク貯留部に区轄形成してなることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクタンクは、前記記録ヘッドに独立して着脱可能に設けられると共に、同一色相を有しかつ濃度の異なる少なくとも一種類以上のインクを貯留することを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録ヘッドは、インクを吐出する複数のノズルを有するノズル列を形成してなるヘッド部と、このヘッド部を着脱可能に保持するタンクホルダとを有することを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載のインクジェット記録装置。
- 記録ヘッドは、熱エネルギーによってインクに膜沸騰を発生させ、そのエネルギーによってインクをノズルから吐出させることを特徴とする請求項1ないし7いずれか記載のインクジェット記録装置。
- インクを吐出する記録ヘッドを備え、この記録ヘッドから記録媒体に向けてインクを吐出させることにより画像を形成するようにしたインクジェット記録方法において、
前記記録ヘッドは、
複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、
濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を前記ヘッド部に着脱可能に装着し得るインクタンクと、を備え、
濃度の異なる複数種のインクを貯留したインクタンクを前記ヘッド部に装着することにより、濃度の異なる複数種のインクを同一のノズル列より吐出可能にする一方、
前記ノズル部に装着されたインクタンクに対応して記録動作に関連する制御動作を選択的に実行させるステップを有することを特徴とするインクジェット記録方法。 - 複数のノズルを配列してなるノズル列を形成したヘッド部と、
濃度の異なるインクを各濃度毎に区轄して貯留する少なくとも一種類のインク貯留部を前記ヘッド部に着脱可能に装着し得るインクタンクと、を備え、
濃度の異なる複数種のインクを貯留したインクタンクを前記ヘッド部に装着することにより、濃度の異なる複数種のインクを同一のノズル列より吐出可能にしたことを特徴とする記録ヘッド。
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JP2007196530A (ja) * | 2006-01-26 | 2007-08-09 | Seiko Epson Corp | 印刷装置、印刷方法、及び、プログラム |
US7512759B2 (en) | 2003-03-26 | 2009-03-31 | Panasonic Corporation | Memory device |
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-
2002
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