JP2004040036A - 無誘導巻線及び永久電流スイッチ - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた冷却効率を得ることができ、もって高速なスイッチ動作が可能な永久電流スイッチを構成することができる無誘導巻線を提供する。
【解決手段】超電導コイル(無誘導巻線)10は、2本の超電導成形撚線11,12をその一端で接合して重ね合わせ、前記各超電導成形撚線の外周面に沿って絶縁テープ13,14をそれぞれ配置するとともに、前記接合部を起点としてコイル状に巻線した構成とされている。
【選択図】 図1
【解決手段】超電導コイル(無誘導巻線)10は、2本の超電導成形撚線11,12をその一端で接合して重ね合わせ、前記各超電導成形撚線の外周面に沿って絶縁テープ13,14をそれぞれ配置するとともに、前記接合部を起点としてコイル状に巻線した構成とされている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久電流スイッチ用コイル等に用いられる無誘導巻線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超電導永久電流スイッチは、超電導マグネットと組み合わせて永久電流回路を実現するために不可欠な要素であり、超電導エネルギー貯蔵システム、核融合システム、磁気浮上列車、理化学実験用超電導マグネットシステム、NMR(核磁気共鳴)、MRI(磁気共鳴映像法)等への利用が成されている。
ところで、超電導エネルギー貯蔵システムなどにおいて、超電導マグネットを永久電流状態で運転する装置においては、超電導コイルと永久電流スイッチを並列接続で構成し、この並列回路を所望の電源にパワーリードを介して接続する構成が一般的になっている。上記永久電流スイッチとしては、熱式永久電流スイッチが広く用いられているが、電力用超電導エネルギー貯蔵の分野では、大電流化に伴うスイッチの安定性確保、及び高速動作の観点から、熱式スイッチには課題が多いとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記熱式スイッチに対して、超電導状態と常電導状態のコントロールを磁界により行う磁界式超電導スイッチは、巻線構造を熱捌けのよい形状にすることが可能であり、冷却による安定化の効果を十分に生かせることから導体の大容量化に適していると考えられる。また、スイッチング速度が原理的に外部磁界の変化速度に依存するため、磁界の高速掃引によりスイッチング速度の高速化が可能である。これらの永久電流スイッチに用いられる超電導コイルには無誘導巻線が用いられており、素線絶縁を施した超電導導体を巻き枠に巻き付けて用いるため、超電導導体どうしを密着させて巻線を行っても線材間の導通は発生しないという特徴を有していた。しかし、この線材を密着させて巻線を行う方法により作製された無誘導巻線を用いた場合、超電導コイルが超電導状態から常電導状態に遷移するスイッチオフ動作では高速なスイッチ動作が可能であるが、常電導状態から超電導状態に復帰するスイッチオン動作では密着した巻線内に熱がこもってしまい、高速なスイッチ動作を実現することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、優れた冷却効率を得ることができ、もって高速なスイッチ動作が可能な永久電流スイッチを構成することができる無誘導巻線を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る無誘導巻線は、超電導導体をコイル状に巻線した無誘導巻線であって、前記超電導導体が、2本の超電導成形撚線をそれらの一端で接合し、重ね合わせて構成され、前記各超電導成形撚線の外周面に沿って絶縁テープがそれぞれ配置されており、前記接合部を起点としてコイル状に巻線されたことを特徴としている。
【0006】
超電導成形撚線は、超電導導体からなる素線を多数撚り合わせ、所定形状の線材に圧縮成形した超電導導体である。本構成の無誘導巻線は、2本の超電導成形撚線をその一端で接合するとともに、2本を重ね合わせた状態で巻線するため、容易に無誘導巻線を作製することができる。また、重ね合わされた超電導成形撚線間に絶縁テープが挿入されていることで、超電導成形撚線自体に絶縁構造を設ける必要がなく、撚線どうしをほぼ密着させた状態で巻線を構成するため、インダクタンスが極めて小さい巻線を実現することができる。また、超電導成形撚線自体に絶縁構造を設けないことで超電導成形撚線の冷却効率を高めることができ、前記撚線どうしが密着するように巻線しても十分な冷却効率が得られ、永久電流スイッチに用いた場合に高速なスイッチング動作が可能な巻線とすることができる。
【0007】
また、本発明に係る無誘導巻線としては、超電導導体をコイル状に巻線した無誘導巻線であって、前記超電導導体が、2本の超電導成形撚線をそれらの一端で接合し、重ね合わせて構成され、前記各超電導成形撚線が、絶縁材によりその周囲を被覆されており、前記接合部を起点としてコイル状に巻線された構成も適用することができる。
上記構成の無誘導巻線は、巻線された超電導成形撚線同士の絶縁を、それぞれの超電導成形撚線を絶縁材で被覆することにより確保した構成である。この成形撚線の被覆手法としては、成形撚線の周囲に絶縁テープを螺旋状に巻き付ける方法や、チューブ状の樹脂管中に上記成形撚線を挿入する方法などを例示することができる。
【0008】
次に、本発明に係る無誘導巻線においては、前記超電導成形撚線をパンケーキコイル形に巻線した超電導コイルを複数積層して備え、前記超電導コイルの超電導成形撚線のうち内周側に配置された超電導成形撚線と、該超電導コイルと隣接して積層された超電導コイルの超電導成形撚線のうち外周側に配置された超電導成形撚線とが、前記超電導コイルの外周側で互いに接続された構成とすることもできる。
また、本発明に係る無誘導巻線においては、前記超電導成形撚線をパンケーキコイル形に巻線した超電導コイルを複数積層して備え、前記超電導コイルの超電導成形撚線のうち内周側に配置された超電導成形撚線と、該超電導コイルと隣接して積層された超電導コイルの超電導成形撚線のうち内周側に配置された超電導成形撚線とが、前記超電導コイルの外周側で互いに接続された構成としてもよい。
【0009】
上記構成によれば、パンケーキコイル形の超電導コイルを積層し、積層された超電導コイルどうしを電気的に接続することで、任意の抵抗値を有する無誘導巻線を構成することができる。また、超電導コイルの外周側に導出された超電導成形撚線の端部の接続方法を上記のように変更することで、隣接して積層された超電導コイルの電流方向について順方向又は逆方向のいずれも選択することができる。
【0010】
次に、本発明に係る無誘導巻線においては、前記積層された超電導コイル間に、スペーサが挿入された構成とすることもできる。上記構成によれば、超電導コイル間に冷媒流路を大きく確保し、冷却効率を高めることができるので、永久電流スイッチに用いる場合に高速なスイッチング動作が可能である。
【0011】
次に、本発明に係る永久電流スイッチは、先に記載の無誘導巻線を備えたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1Aは、本発明の一実施の形態である無誘導巻線の斜視構成図であり、図1Bは、図1Aに示す挑戦銅成形撚線を拡大して示す部分斜視図である。図1Aに示す超電導コイル(無誘導巻線)10は、2本の超電導成形撚線11,12と、2本の絶縁テープ13,14とを一体的に、パンケーキコイル形に巻線した超電導コイルである。超電導成形撚線11,12は、その一端側で互いに電気的に接続されて重ね合わされている。絶縁テープ13は、超電導成形撚線11,12間に沿設されて前記両撚線11,12を絶縁し、超電導成形撚線12外面側に沿設された絶縁テープ14は、巻線した状態で超電導成形撚線11内面側と超電導成形撚線12外面側とを絶縁している。そして、使用時には無誘導巻線10の外周側に導出された超電導成形撚線11,12の端部に電源が接続され、超電導成形撚線11とその外周側の超電導成形撚線12の電流方向が互いに逆向きとされることで無誘導巻線を構成するようになっている。
【0013】
超電導成形撚線11,12は、図1Bに示すように、超電導導体からなる超電導素線15を複数本撚り合わせ、平角形状に圧縮成形した構造を備えている。超電導素線15は、CuNb複合超電導線、あるいはNb3Sn、V3Ga等を代表とする金属間化合物系超電導線、NbTiを代表とする合金系超電導線等から構成されている。
【0014】
図1に示す絶縁テープ13,14は、超電導成形撚線11,12を絶縁するために設けられる。この絶縁テープ13,14としては、ポリイミドテープや、PETテープ、ポリエチレンテープ等の絶縁性の樹脂テープが好適に用いられ、紙テープを用いることもできる。また、これらの絶縁テープ13,14の厚さを絶縁性を損なわない範囲で薄くすれば、超電導コイル10の巻線間隔を狭めて超電導コイル10のインダクタンスを低減することができる。
【0015】
図1に示す超電導コイル10では、超電導成形撚線11,12間に、絶縁テープ13,14を沿設した構成としたが、本発明に係る無誘導巻線の実施形態としては、図2に示す構成も適用することができる。図2は本発明の無誘導巻線の他の実施の形態を示す図であり、図2Aは、本実施形態の超電導コイル16の斜視構成図、図2Bは、図2Aに示す超電導成形撚線17,18を拡大して示す斜視構成図である。
図2に示す超電導コイル16は、2本の超電導成形撚線17,18を一体的にパンケーキコイル形に巻線した超電導コイルである。超電導成形撚線17,18は、その一端側で互いに電気的に接続されて重ね合わされている。そして、使用時には無誘導巻線16の外周側に導出された超電導成形撚線17,18の端部に電源が接続され、超電導成形撚線17とその外周側の超電導成形撚線18の電流方向が互いに逆向きとされることで無誘導巻線を構成するようになっている。
【0016】
超電導成形撚線17,18は、図2Bに示すように、図1Bに示すものと同様の超電導素線15を複数本撚り合わせ、平角形状に圧縮成形した構造を備えている。そして、本実施形態に係る超電導成形撚線17,18は、その周囲に絶縁テープ19が螺旋状に巻かれることで、素線15と外部とを絶縁するようになっている。この絶縁テープ19としては、先の絶縁テープ13,14と同様のものを用いることができる。あるいは、チューブ上の樹脂管に撚り合わせた超電導素線15を挿入して超電導成形撚線を構成しても良い。
【0017】
図2に示す超電導コイル16においても、図1に示す超電導コイル10と同様の動作が可能である。また、超電導成形撚線17,18自体が絶縁材を備えているので、巻線時に絶縁テープを間に挟み込む必要が無く、予め図2Bに示すような超電導成形撚線17,18を用意しておくならば、容易に無誘導巻線を作製することができる。
【0018】
(無誘導巻線の巻線方法)
次に、図1に示す超電導コイル(無誘導巻線)10の巻線方法を図3を参照して以下に説明する。図3A、3Bは、係る巻線方法を説明するための説明図である。まず、図2に示す構成を備えた超電導成形撚線11,12を用意し、図3Aに示すように、両者の先端部を接合することで、超電導成形撚線11,12を電気的に接続して接合部20を形成する。この接合部20の形成にあたっては、超電導成形撚線11,12を構成する超電導素線15をほぐし、1本ずつの超電導素線15どうしをはんだ等により接合する。
次いで、図3Bに示すように、超電導成形撚線11,12間に、両テープに沿って絶縁テープ13を配設する。また、超電導成形撚線12の外面側に絶縁テープ14を沿設する。次に、図3Bに示すように、上記テープ11〜14を一体的に保持した状態で、超電導成形撚線の接合部20を起点として略円柱状のボビン21に巻回することで、図1に示す超電導コイル10を得ることができる。
【0019】
このように、本実施形態の巻線方法によれば、予め超電導成形撚線11,12を両者の端部で電気的に接続して一体化し、絶縁テープ13,14により超電導成形撚線どうしの絶縁を確保した状態で巻線するので、極めて容易に無誘導巻線を作製することができるとともに、巻線間隔がほとんどない巻線を構成することができ、インダクタンスの小さい無誘導巻線を実現することができる。
【0020】
(無誘導巻線の他の形態)
次に、図1に示す実施形態の超電導コイル10は、図4に示すように、複数を積み重ねるとともに隣接して積層された超電導コイルの超電導テープどうしを電気的に接続した構成とすることもできる。このようにパンケーキ形の超電導コイルを積み重ねて構成することで、各種の抵抗値を有する超電導コイルを作製することができる。
この構成について図4を参照して以下に説明する。図4は、図1に示す超電導コイル10と同等の構成を備えた超電導コイル10a〜10eを積み重ねた超電導コイルの斜視構成図である。図4に示すように、5本の超電導コイル10a〜10eは、それぞれ超電導成形撚線11a〜11e、12a〜12eを備えて構成されており、図示上下方向で同軸位置に配置されるとともに、超電導コイル10a〜10eの外周に導出された超電導成形撚線は、隣接する超電導コイルの超電導成形撚線と電気的に接続されている。より詳細には超電導コイル10aの超電導成形撚線12aと、超電導コイル10aの直下に配置された超電導コイル10bの超電導成形撚線12bと接合部25aにより互いに電気的に接続され、超電導コイル10bの超電導成形撚線11bは、この超電導コイル10bの直下に配置された超電導コイル10cの超電導成形撚線11cと接合部24bにより互いに電気的に接続されている。すなわち、超電導コイル10a、10bは接合部25aにより電気的に接続され、超電導コイル10b、10cは接合部24bにより電気的に接続され、超電導コイル10c、10dは接合部25cにより電気的に接続され、超電導コイル10d、10eは接合部24dにより電気的に接続されている。
【0021】
このように、本発明に係るパンケーキコイル形の超電導コイルを複数積層してコイルを構成する場合には、パンケーキ形の超電導コイル10a〜10eどうしの接合部を超電導コイルの外周側に形成することができるので、超電導コイルどうしの接続が極めて容易になり、もって各種の抵抗値を有する超電導コイルを容易に構成することが可能になる。
【0022】
また、本実施形態の超電導コイルは図5に示すように、積み重ねたパンケーキ形超電導コイル10a〜10e間にスペーサ22を配してそれぞれの超電導コイル間を離間する構造とすることもできる。この場合には、超電導成形撚線11a,12aを巻線するための円筒管23の底部にフランジ状のスペーサ22を備えたボビン24に超電導テープ11a〜11e及び超電導テープ12a〜12eを巻線して超電導コイル10a〜10eを作製し、円柱状の支持部材27に円筒管23を嵌め込んで超電導コイル10a〜10eを積み重ねることで、スペーサ22により所定間隔で離間されたパンケーキ形超電導コイルを備えた超電導コイルを構成することができる。
図5に示すように、超電導コイル10a〜10e間をスペーサ22で離間して配置すれば、このスペーサ22により冷媒流路が確保され、超電導コイル10a〜10eの冷却効率を高めることができ、永久電流スイッチとして用いた場合に高速のスイッチング動作が可能である。
【0023】
(超電導エネルギー貯蔵装置)
上記構成を備えた本実施形態の超電導コイル10は、超電導永久電流スイッチに好適に使用することができる。係る永久電流スイッチを備えた超電導エネルギー貯蔵装置の一例について図6を参照して説明する。この例の装置において、31は超電導貯蔵コイル、32は超電導コイル31に並列接続された永久電流スイッチ、33は超電導貯蔵コイル31と永久電流スイッチ32に接続されたパワーリード、34はパワーリード33に組み込まれた開閉スイッチ、35はパワーリード33に接続された交直変換器をそれぞれ示している。この例の永久電流スイッチ32は、前記超電導コイル10を備えている。
【0024】
また、図6において36は制御用超電導コイル、37はこの制御用超電導コイル36に接続された定電流源である。更に、図6において38は冷却容器による極低温領域を示し、この領域を液体ヘリウムにより極低温に冷却することで超電導貯蔵コイル31と永久電流スイッチ32と制御用超電導コイル36をそれぞれ超電導状態とすることができるようになっている。前記制御用超電導コイル36は1テスラ程度の磁場を発生させることができるものである。
【0025】
前記構成の装置によれば、電力の充電、貯蔵、放出ができるようになっている。まず、充電を行うには、開閉スイッチ34を閉じて回路を接続するとともに、定電流源37を作動させて制御用超電導コイル36に通電し、制御用超電導コイル36により永久電流スイッチ32の超電導コイル10に磁場を印加する。この場合、印加磁場は超電導コイル10の臨界磁界より高くなるようにする。これにより、超電導コイル10の超電導体は極低温であっても常電導状態となるので、永久電流スイッチ32は切られた状態となり、超電導貯蔵コイル31に直流電流が流れ、磁気エネルギーとして電力を貯蔵できるようになる。
【0026】
次に、永久電流スイッチ32に対する磁場を解除すると、永久電流スイッチ32の超電導体が超電導状態となるので、超電導貯蔵コイル31の両端を短絡することになる。更に、開閉スイッチ34を開いて制御用超電導コイル36に対する通電を停止する。これにより、超電導コイル31は極低温に冷却されていて電気抵抗がゼロであるがために、電流は減衰することなく超電導コイル31を流れ続け、そのときの超電導貯蔵コイル31に蓄えられたエネルギーが無損失で保存されることとなる。
【0027】
次に、この貯蔵された電力を取り出すには、開閉スイッチ34を閉じて回路を接続するとともに、制御用超電導コイル36に通電して永久電流スイッチ32の超電導体を常電導状態に転位させる。これにより、超電導貯蔵コイル31に蓄えられていた磁気エネルギーを交流電力として取り出すことができる。このようにして永久電流スイッチ32のオン/オフ制御を行うことができる。尚、このような磁場の付加と解除により永久電流スイッチのオン/オフ制御を行うならば、応答が速いので高速応答に容易に対応することができる。
そして、図6に示す永久電流スイッチ32では、冷却効率が高く、高速応答が可能な本発明に係る超電導コイル(無誘導巻線)を備えているので、高速なスイッチ動作が可能とされている。
【0028】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る無誘導巻線は、2本の超電導成形撚線をその一端で接合し、重ね合わせ、前記各超電導成形撚線の外周面に沿って絶縁テープをそれぞれ配置するとともに、前記接合部を起点としてコイル状に巻線した構成とすることで、容易に無誘導巻線を作製することができる。また、重ね合わされた超電導成形撚線間に絶縁テープが挿入されていることで、超電導成形撚線自体に絶縁構造を設ける必要がなく、前記撚線どうしを密着させた状態で巻線を構成することができるため、インダクタンスが極めて小さい巻線を実現することができる。また、超電導成形撚線自体に絶縁構造を設けないことで超電導成形撚線の冷却効率を高めることができ、超電導成形撚線を密着して巻線しても十分な冷却効率が得られ、永久電流スイッチに用いた場合に高速なスイッチング動作が可能な巻線とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の無誘導巻線の一実施の形態である超電導コイルの斜視構成図である。
【図2】図2は、図1に示す超電導成形撚線11,12の斜視構成図である。
【図3】図3A、図3Bは、図1に示す超電導コイルの巻線方法を説明するための説明図である。
【図4】図4は、複数のパンケーキ形コイルを積層して備える超電導コイルの斜視構成図である。
【図5】図5は、パンケーキ形超電導コイル間にスペーサを備えた超電導コイルの側面図である。
【図6】図6は、本発明に係る超電導コイルを備えた永久電流スイッチが適用された超電導エネルギー貯蔵装置の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
10,10a〜10e,16…超電導コイル(無誘導巻線)、11,12,11a〜11e,12a〜12e…超電導成形撚線、17,18…超電導成形撚線、13,14,19…絶縁テープ、15…超電導素線、22…スペーサ、21,24…ボビン
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久電流スイッチ用コイル等に用いられる無誘導巻線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超電導永久電流スイッチは、超電導マグネットと組み合わせて永久電流回路を実現するために不可欠な要素であり、超電導エネルギー貯蔵システム、核融合システム、磁気浮上列車、理化学実験用超電導マグネットシステム、NMR(核磁気共鳴)、MRI(磁気共鳴映像法)等への利用が成されている。
ところで、超電導エネルギー貯蔵システムなどにおいて、超電導マグネットを永久電流状態で運転する装置においては、超電導コイルと永久電流スイッチを並列接続で構成し、この並列回路を所望の電源にパワーリードを介して接続する構成が一般的になっている。上記永久電流スイッチとしては、熱式永久電流スイッチが広く用いられているが、電力用超電導エネルギー貯蔵の分野では、大電流化に伴うスイッチの安定性確保、及び高速動作の観点から、熱式スイッチには課題が多いとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記熱式スイッチに対して、超電導状態と常電導状態のコントロールを磁界により行う磁界式超電導スイッチは、巻線構造を熱捌けのよい形状にすることが可能であり、冷却による安定化の効果を十分に生かせることから導体の大容量化に適していると考えられる。また、スイッチング速度が原理的に外部磁界の変化速度に依存するため、磁界の高速掃引によりスイッチング速度の高速化が可能である。これらの永久電流スイッチに用いられる超電導コイルには無誘導巻線が用いられており、素線絶縁を施した超電導導体を巻き枠に巻き付けて用いるため、超電導導体どうしを密着させて巻線を行っても線材間の導通は発生しないという特徴を有していた。しかし、この線材を密着させて巻線を行う方法により作製された無誘導巻線を用いた場合、超電導コイルが超電導状態から常電導状態に遷移するスイッチオフ動作では高速なスイッチ動作が可能であるが、常電導状態から超電導状態に復帰するスイッチオン動作では密着した巻線内に熱がこもってしまい、高速なスイッチ動作を実現することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、優れた冷却効率を得ることができ、もって高速なスイッチ動作が可能な永久電流スイッチを構成することができる無誘導巻線を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る無誘導巻線は、超電導導体をコイル状に巻線した無誘導巻線であって、前記超電導導体が、2本の超電導成形撚線をそれらの一端で接合し、重ね合わせて構成され、前記各超電導成形撚線の外周面に沿って絶縁テープがそれぞれ配置されており、前記接合部を起点としてコイル状に巻線されたことを特徴としている。
【0006】
超電導成形撚線は、超電導導体からなる素線を多数撚り合わせ、所定形状の線材に圧縮成形した超電導導体である。本構成の無誘導巻線は、2本の超電導成形撚線をその一端で接合するとともに、2本を重ね合わせた状態で巻線するため、容易に無誘導巻線を作製することができる。また、重ね合わされた超電導成形撚線間に絶縁テープが挿入されていることで、超電導成形撚線自体に絶縁構造を設ける必要がなく、撚線どうしをほぼ密着させた状態で巻線を構成するため、インダクタンスが極めて小さい巻線を実現することができる。また、超電導成形撚線自体に絶縁構造を設けないことで超電導成形撚線の冷却効率を高めることができ、前記撚線どうしが密着するように巻線しても十分な冷却効率が得られ、永久電流スイッチに用いた場合に高速なスイッチング動作が可能な巻線とすることができる。
【0007】
また、本発明に係る無誘導巻線としては、超電導導体をコイル状に巻線した無誘導巻線であって、前記超電導導体が、2本の超電導成形撚線をそれらの一端で接合し、重ね合わせて構成され、前記各超電導成形撚線が、絶縁材によりその周囲を被覆されており、前記接合部を起点としてコイル状に巻線された構成も適用することができる。
上記構成の無誘導巻線は、巻線された超電導成形撚線同士の絶縁を、それぞれの超電導成形撚線を絶縁材で被覆することにより確保した構成である。この成形撚線の被覆手法としては、成形撚線の周囲に絶縁テープを螺旋状に巻き付ける方法や、チューブ状の樹脂管中に上記成形撚線を挿入する方法などを例示することができる。
【0008】
次に、本発明に係る無誘導巻線においては、前記超電導成形撚線をパンケーキコイル形に巻線した超電導コイルを複数積層して備え、前記超電導コイルの超電導成形撚線のうち内周側に配置された超電導成形撚線と、該超電導コイルと隣接して積層された超電導コイルの超電導成形撚線のうち外周側に配置された超電導成形撚線とが、前記超電導コイルの外周側で互いに接続された構成とすることもできる。
また、本発明に係る無誘導巻線においては、前記超電導成形撚線をパンケーキコイル形に巻線した超電導コイルを複数積層して備え、前記超電導コイルの超電導成形撚線のうち内周側に配置された超電導成形撚線と、該超電導コイルと隣接して積層された超電導コイルの超電導成形撚線のうち内周側に配置された超電導成形撚線とが、前記超電導コイルの外周側で互いに接続された構成としてもよい。
【0009】
上記構成によれば、パンケーキコイル形の超電導コイルを積層し、積層された超電導コイルどうしを電気的に接続することで、任意の抵抗値を有する無誘導巻線を構成することができる。また、超電導コイルの外周側に導出された超電導成形撚線の端部の接続方法を上記のように変更することで、隣接して積層された超電導コイルの電流方向について順方向又は逆方向のいずれも選択することができる。
【0010】
次に、本発明に係る無誘導巻線においては、前記積層された超電導コイル間に、スペーサが挿入された構成とすることもできる。上記構成によれば、超電導コイル間に冷媒流路を大きく確保し、冷却効率を高めることができるので、永久電流スイッチに用いる場合に高速なスイッチング動作が可能である。
【0011】
次に、本発明に係る永久電流スイッチは、先に記載の無誘導巻線を備えたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1Aは、本発明の一実施の形態である無誘導巻線の斜視構成図であり、図1Bは、図1Aに示す挑戦銅成形撚線を拡大して示す部分斜視図である。図1Aに示す超電導コイル(無誘導巻線)10は、2本の超電導成形撚線11,12と、2本の絶縁テープ13,14とを一体的に、パンケーキコイル形に巻線した超電導コイルである。超電導成形撚線11,12は、その一端側で互いに電気的に接続されて重ね合わされている。絶縁テープ13は、超電導成形撚線11,12間に沿設されて前記両撚線11,12を絶縁し、超電導成形撚線12外面側に沿設された絶縁テープ14は、巻線した状態で超電導成形撚線11内面側と超電導成形撚線12外面側とを絶縁している。そして、使用時には無誘導巻線10の外周側に導出された超電導成形撚線11,12の端部に電源が接続され、超電導成形撚線11とその外周側の超電導成形撚線12の電流方向が互いに逆向きとされることで無誘導巻線を構成するようになっている。
【0013】
超電導成形撚線11,12は、図1Bに示すように、超電導導体からなる超電導素線15を複数本撚り合わせ、平角形状に圧縮成形した構造を備えている。超電導素線15は、CuNb複合超電導線、あるいはNb3Sn、V3Ga等を代表とする金属間化合物系超電導線、NbTiを代表とする合金系超電導線等から構成されている。
【0014】
図1に示す絶縁テープ13,14は、超電導成形撚線11,12を絶縁するために設けられる。この絶縁テープ13,14としては、ポリイミドテープや、PETテープ、ポリエチレンテープ等の絶縁性の樹脂テープが好適に用いられ、紙テープを用いることもできる。また、これらの絶縁テープ13,14の厚さを絶縁性を損なわない範囲で薄くすれば、超電導コイル10の巻線間隔を狭めて超電導コイル10のインダクタンスを低減することができる。
【0015】
図1に示す超電導コイル10では、超電導成形撚線11,12間に、絶縁テープ13,14を沿設した構成としたが、本発明に係る無誘導巻線の実施形態としては、図2に示す構成も適用することができる。図2は本発明の無誘導巻線の他の実施の形態を示す図であり、図2Aは、本実施形態の超電導コイル16の斜視構成図、図2Bは、図2Aに示す超電導成形撚線17,18を拡大して示す斜視構成図である。
図2に示す超電導コイル16は、2本の超電導成形撚線17,18を一体的にパンケーキコイル形に巻線した超電導コイルである。超電導成形撚線17,18は、その一端側で互いに電気的に接続されて重ね合わされている。そして、使用時には無誘導巻線16の外周側に導出された超電導成形撚線17,18の端部に電源が接続され、超電導成形撚線17とその外周側の超電導成形撚線18の電流方向が互いに逆向きとされることで無誘導巻線を構成するようになっている。
【0016】
超電導成形撚線17,18は、図2Bに示すように、図1Bに示すものと同様の超電導素線15を複数本撚り合わせ、平角形状に圧縮成形した構造を備えている。そして、本実施形態に係る超電導成形撚線17,18は、その周囲に絶縁テープ19が螺旋状に巻かれることで、素線15と外部とを絶縁するようになっている。この絶縁テープ19としては、先の絶縁テープ13,14と同様のものを用いることができる。あるいは、チューブ上の樹脂管に撚り合わせた超電導素線15を挿入して超電導成形撚線を構成しても良い。
【0017】
図2に示す超電導コイル16においても、図1に示す超電導コイル10と同様の動作が可能である。また、超電導成形撚線17,18自体が絶縁材を備えているので、巻線時に絶縁テープを間に挟み込む必要が無く、予め図2Bに示すような超電導成形撚線17,18を用意しておくならば、容易に無誘導巻線を作製することができる。
【0018】
(無誘導巻線の巻線方法)
次に、図1に示す超電導コイル(無誘導巻線)10の巻線方法を図3を参照して以下に説明する。図3A、3Bは、係る巻線方法を説明するための説明図である。まず、図2に示す構成を備えた超電導成形撚線11,12を用意し、図3Aに示すように、両者の先端部を接合することで、超電導成形撚線11,12を電気的に接続して接合部20を形成する。この接合部20の形成にあたっては、超電導成形撚線11,12を構成する超電導素線15をほぐし、1本ずつの超電導素線15どうしをはんだ等により接合する。
次いで、図3Bに示すように、超電導成形撚線11,12間に、両テープに沿って絶縁テープ13を配設する。また、超電導成形撚線12の外面側に絶縁テープ14を沿設する。次に、図3Bに示すように、上記テープ11〜14を一体的に保持した状態で、超電導成形撚線の接合部20を起点として略円柱状のボビン21に巻回することで、図1に示す超電導コイル10を得ることができる。
【0019】
このように、本実施形態の巻線方法によれば、予め超電導成形撚線11,12を両者の端部で電気的に接続して一体化し、絶縁テープ13,14により超電導成形撚線どうしの絶縁を確保した状態で巻線するので、極めて容易に無誘導巻線を作製することができるとともに、巻線間隔がほとんどない巻線を構成することができ、インダクタンスの小さい無誘導巻線を実現することができる。
【0020】
(無誘導巻線の他の形態)
次に、図1に示す実施形態の超電導コイル10は、図4に示すように、複数を積み重ねるとともに隣接して積層された超電導コイルの超電導テープどうしを電気的に接続した構成とすることもできる。このようにパンケーキ形の超電導コイルを積み重ねて構成することで、各種の抵抗値を有する超電導コイルを作製することができる。
この構成について図4を参照して以下に説明する。図4は、図1に示す超電導コイル10と同等の構成を備えた超電導コイル10a〜10eを積み重ねた超電導コイルの斜視構成図である。図4に示すように、5本の超電導コイル10a〜10eは、それぞれ超電導成形撚線11a〜11e、12a〜12eを備えて構成されており、図示上下方向で同軸位置に配置されるとともに、超電導コイル10a〜10eの外周に導出された超電導成形撚線は、隣接する超電導コイルの超電導成形撚線と電気的に接続されている。より詳細には超電導コイル10aの超電導成形撚線12aと、超電導コイル10aの直下に配置された超電導コイル10bの超電導成形撚線12bと接合部25aにより互いに電気的に接続され、超電導コイル10bの超電導成形撚線11bは、この超電導コイル10bの直下に配置された超電導コイル10cの超電導成形撚線11cと接合部24bにより互いに電気的に接続されている。すなわち、超電導コイル10a、10bは接合部25aにより電気的に接続され、超電導コイル10b、10cは接合部24bにより電気的に接続され、超電導コイル10c、10dは接合部25cにより電気的に接続され、超電導コイル10d、10eは接合部24dにより電気的に接続されている。
【0021】
このように、本発明に係るパンケーキコイル形の超電導コイルを複数積層してコイルを構成する場合には、パンケーキ形の超電導コイル10a〜10eどうしの接合部を超電導コイルの外周側に形成することができるので、超電導コイルどうしの接続が極めて容易になり、もって各種の抵抗値を有する超電導コイルを容易に構成することが可能になる。
【0022】
また、本実施形態の超電導コイルは図5に示すように、積み重ねたパンケーキ形超電導コイル10a〜10e間にスペーサ22を配してそれぞれの超電導コイル間を離間する構造とすることもできる。この場合には、超電導成形撚線11a,12aを巻線するための円筒管23の底部にフランジ状のスペーサ22を備えたボビン24に超電導テープ11a〜11e及び超電導テープ12a〜12eを巻線して超電導コイル10a〜10eを作製し、円柱状の支持部材27に円筒管23を嵌め込んで超電導コイル10a〜10eを積み重ねることで、スペーサ22により所定間隔で離間されたパンケーキ形超電導コイルを備えた超電導コイルを構成することができる。
図5に示すように、超電導コイル10a〜10e間をスペーサ22で離間して配置すれば、このスペーサ22により冷媒流路が確保され、超電導コイル10a〜10eの冷却効率を高めることができ、永久電流スイッチとして用いた場合に高速のスイッチング動作が可能である。
【0023】
(超電導エネルギー貯蔵装置)
上記構成を備えた本実施形態の超電導コイル10は、超電導永久電流スイッチに好適に使用することができる。係る永久電流スイッチを備えた超電導エネルギー貯蔵装置の一例について図6を参照して説明する。この例の装置において、31は超電導貯蔵コイル、32は超電導コイル31に並列接続された永久電流スイッチ、33は超電導貯蔵コイル31と永久電流スイッチ32に接続されたパワーリード、34はパワーリード33に組み込まれた開閉スイッチ、35はパワーリード33に接続された交直変換器をそれぞれ示している。この例の永久電流スイッチ32は、前記超電導コイル10を備えている。
【0024】
また、図6において36は制御用超電導コイル、37はこの制御用超電導コイル36に接続された定電流源である。更に、図6において38は冷却容器による極低温領域を示し、この領域を液体ヘリウムにより極低温に冷却することで超電導貯蔵コイル31と永久電流スイッチ32と制御用超電導コイル36をそれぞれ超電導状態とすることができるようになっている。前記制御用超電導コイル36は1テスラ程度の磁場を発生させることができるものである。
【0025】
前記構成の装置によれば、電力の充電、貯蔵、放出ができるようになっている。まず、充電を行うには、開閉スイッチ34を閉じて回路を接続するとともに、定電流源37を作動させて制御用超電導コイル36に通電し、制御用超電導コイル36により永久電流スイッチ32の超電導コイル10に磁場を印加する。この場合、印加磁場は超電導コイル10の臨界磁界より高くなるようにする。これにより、超電導コイル10の超電導体は極低温であっても常電導状態となるので、永久電流スイッチ32は切られた状態となり、超電導貯蔵コイル31に直流電流が流れ、磁気エネルギーとして電力を貯蔵できるようになる。
【0026】
次に、永久電流スイッチ32に対する磁場を解除すると、永久電流スイッチ32の超電導体が超電導状態となるので、超電導貯蔵コイル31の両端を短絡することになる。更に、開閉スイッチ34を開いて制御用超電導コイル36に対する通電を停止する。これにより、超電導コイル31は極低温に冷却されていて電気抵抗がゼロであるがために、電流は減衰することなく超電導コイル31を流れ続け、そのときの超電導貯蔵コイル31に蓄えられたエネルギーが無損失で保存されることとなる。
【0027】
次に、この貯蔵された電力を取り出すには、開閉スイッチ34を閉じて回路を接続するとともに、制御用超電導コイル36に通電して永久電流スイッチ32の超電導体を常電導状態に転位させる。これにより、超電導貯蔵コイル31に蓄えられていた磁気エネルギーを交流電力として取り出すことができる。このようにして永久電流スイッチ32のオン/オフ制御を行うことができる。尚、このような磁場の付加と解除により永久電流スイッチのオン/オフ制御を行うならば、応答が速いので高速応答に容易に対応することができる。
そして、図6に示す永久電流スイッチ32では、冷却効率が高く、高速応答が可能な本発明に係る超電導コイル(無誘導巻線)を備えているので、高速なスイッチ動作が可能とされている。
【0028】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る無誘導巻線は、2本の超電導成形撚線をその一端で接合し、重ね合わせ、前記各超電導成形撚線の外周面に沿って絶縁テープをそれぞれ配置するとともに、前記接合部を起点としてコイル状に巻線した構成とすることで、容易に無誘導巻線を作製することができる。また、重ね合わされた超電導成形撚線間に絶縁テープが挿入されていることで、超電導成形撚線自体に絶縁構造を設ける必要がなく、前記撚線どうしを密着させた状態で巻線を構成することができるため、インダクタンスが極めて小さい巻線を実現することができる。また、超電導成形撚線自体に絶縁構造を設けないことで超電導成形撚線の冷却効率を高めることができ、超電導成形撚線を密着して巻線しても十分な冷却効率が得られ、永久電流スイッチに用いた場合に高速なスイッチング動作が可能な巻線とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の無誘導巻線の一実施の形態である超電導コイルの斜視構成図である。
【図2】図2は、図1に示す超電導成形撚線11,12の斜視構成図である。
【図3】図3A、図3Bは、図1に示す超電導コイルの巻線方法を説明するための説明図である。
【図4】図4は、複数のパンケーキ形コイルを積層して備える超電導コイルの斜視構成図である。
【図5】図5は、パンケーキ形超電導コイル間にスペーサを備えた超電導コイルの側面図である。
【図6】図6は、本発明に係る超電導コイルを備えた永久電流スイッチが適用された超電導エネルギー貯蔵装置の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
10,10a〜10e,16…超電導コイル(無誘導巻線)、11,12,11a〜11e,12a〜12e…超電導成形撚線、17,18…超電導成形撚線、13,14,19…絶縁テープ、15…超電導素線、22…スペーサ、21,24…ボビン
Claims (6)
- 超電導導体をコイル状に巻線した無誘導巻線であって、
前記超電導導体が、2本の超電導成形撚線をそれらの一端で接合し、重ね合わせて構成され、
前記各超電導成形撚線の外周側面に沿って絶縁テープがそれぞれ配置されており、
前記接合部を起点としてコイル状に巻線されたことを特徴とする無誘導巻線。 - 超電導導体をコイル状に巻線した無誘導巻線であって、
前記超電導導体が、2本の超電導成形撚線をそれらの一端で接合し、重ね合わせて構成され、
前記各超電導成形撚線が、絶縁材によりその周囲を被覆されており、
前記接合部を起点としてコイル状に巻線されたことを特徴とする無誘導巻線。 - 前記超電導成形撚線をパンケーキコイル形に巻線した超電導コイルを複数積層して備え、
前記超電導コイルの超電導成形撚線のうち内周側に配置された超電導成形撚線と、該超電導コイルと隣接して積層された超電導コイルの超電導成形撚線のうち外周側に配置された超電導成形撚線とが、前記超電導コイルの外周側で互いに接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の無誘導巻線。 - 前記超電導成形撚線をパンケーキコイル形に巻線した超電導コイルを複数積層して備え、
前記超電導コイルの超電導成形撚線のうち内周側に配置された超電導成形撚線と、該超電導コイルと隣接して積層された超電導コイルの超電導成形撚線のうち内周側に配置された超電導成形撚線とが、前記超電導コイルの外周側で互いに接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の無誘導巻線。 - 前記積層された超電導コイル間に、スペーサが挿入されたことを特徴とする請求項3又は4に記載の無誘導巻線。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の無誘導巻線を備えたことを特徴とする永久電流スイッチ。
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