[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2003518359A - 細胞増殖の調節、方法および試薬 - Google Patents

細胞増殖の調節、方法および試薬

Info

Publication number
JP2003518359A
JP2003518359A JP2000532518A JP2000532518A JP2003518359A JP 2003518359 A JP2003518359 A JP 2003518359A JP 2000532518 A JP2000532518 A JP 2000532518A JP 2000532518 A JP2000532518 A JP 2000532518A JP 2003518359 A JP2003518359 A JP 2003518359A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
mif
cell
polypeptide
gene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000532518A
Other languages
English (en)
Inventor
ハドソン,ジェイムズ
ジェイ ハノン,グレゴリー
エイチ ビーチ,デイヴィッド
Original Assignee
コールド スプリング ハーバー ラボラトリー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by コールド スプリング ハーバー ラボラトリー filed Critical コールド スプリング ハーバー ラボラトリー
Publication of JP2003518359A publication Critical patent/JP2003518359A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/52Cytokines; Lymphokines; Interferons
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P17/00Drugs for dermatological disorders
    • A61P17/02Drugs for dermatological disorders for treating wounds, ulcers, burns, scars, keloids, or the like
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、細胞周期チェックポイントを回避できるポリペプチドに関する。そのようなポリペプチド(例えば、マクロファージ遊走阻止因子)を使用して細胞増殖を誘発する特異的施用が記載されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】基金 ここに記載された発明は、国立衛生研究所補助金(National Institutes of H
ealth Grant)により援助された。合衆国政府は、本発明に特定の権利を有する
【0002】発明の背景 細胞が有糸分裂に入ると、特徴として、例えば細胞骨格の再配列、核膜および
仁の分解、および染色質の染色体中への縮合を含む、協調した同時に起こる発生
を伴う。細胞周期のチェックポイントを通って真核生物の細胞を増殖させる過程
は、有糸分裂が適切な時に起こることを保証する調節タンパク質の配列によって
制御される。これらの調節タンパク質は、例えばゲノムDNAのあるパーセントの
分画が複製されないままである場合にS期から細胞が出るのを防ぐことができる(
Dasso et al.(1990)Cell 61:811-823)および全ての染色体が赤道板上に整合され
るまで有糸分裂が後期へ進むのを妨げることができる(Rieder et al.(1990)J.Ce
ll Biol.110:81-95)、非常に敏感なフィードバック制御された回路を提供できる
【0003】 細胞周期のチェックポイントは、細胞周期の移行の段階とタイミングを調節し
DNA複製および染色体分離のような臨界のイベントが高い正確性で終了されるこ
とを保証する調節経路である。さらに、チェックポイントは、修復に時間を提供
するための細胞周期の停止および修復を容易にする遺伝子の転写の誘発による損
傷に応答する。チェックポイントの損失はゲノムを不安定にし、正常細胞の癌細
胞への進化に関係する。最近の進歩は、DNA損傷、複製ブロック、および紡垂体
損傷に応じてチェックポイントシグナルを伝達するシグナル変換経路を示してき
た。チェックポイント経路は、全ての真核生物の間で共有される構成要素を有し
、細胞周期調節機構の保存性を強調する。
【0004】 例えば、細胞周期の経過におけるネガティブコントロールを、発生、分化、老
化、および細胞死の間働かせた。これらのネガティブコントロールは、腫瘍形成
の防止において重要な役割を果たすかもしれない。多くの場合、細胞増殖の停止
は、ゲノムの完全性が傷つけられる環境下で生じ、増殖を停止しないと癌細胞に
進化し得る非常に不安定なゲノムを有する細胞が放出されるだろう。そのような
環境は、例えば(i)末端小粒が失われるまたは短くなり、不安定な二動原体の染
色体が形成される老化;(ii)DNA分解ヌクレアーゼが解放される「プログラムさ
れた細胞死」またはアポトーシス;(iii)必須の免疫グロブリンおよびT細胞レセ
プター遺伝子の再配列が二本鎖DNAの切断を必要とする免疫細胞の発生を含んで
もよい。これらは全て、増殖の停止を含み得るプログラムされた発生である。
【0005】 DNA複製または紡垂体の集合の抑制因子または物理的にDNAに損傷を与える物質
にさらされるような、プログラムされていない外因性のイベントによって損傷が
誘発される場合、細胞は、細胞周期の進行を停止する能力も有する。これらの状
態は、特定の段階において細胞周期の進行を停止する。例えば、DNAの複製がヒ
ドロキシ尿素によって停止される場合、細胞は初期のS期において停止し、有糸
分裂を受けない。DNA複製の完成前の有糸分裂のこの依存性は、特定の遺伝子産
物の作用による。突然変異によるこれらの遺伝子の不活性化は細胞からこの依存
性を軽減し、そのような突然変異体は不完全に複製されたDNAを有して有糸分裂
に入るであろう。細胞周期において依存性を確立する遺伝子は、チェックポイン
トを構成する。
【0006】 細胞死は、例えばプログラムされた細胞死および壊死を含む多様な工程により
起こる。「アポトーシス」という用語は、自己再生組織中の細胞の定常状態レベ
ルを維持する原因である、プログラムされた細胞死の過程を受ける細胞の形態学
的特徴をさす。正常状態のもとでは、アポトーシスは、組織中で死ぬ細胞の数が
新しく産生される細胞の数とほぼ等しいことを保証する。しかしながら、様々な
病気の状態においてまたは組織への傷害の結果として、アポトーシスの過程の調
節異常が起こり得る。同様に、様々な病気の状態は、アポトーシス以外の過程に
よる細胞死の増加したレベルと関係する。
【0007】 例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン舞踏病、てんか
ん、筋萎縮側索硬化、発作、虚血性心臓病、脊髄損傷および多くのウイルス性感
染においては、異常に高いレベルの細胞死が起こる。これらの病気の少なくとも
いくつかにおいては、アポトーシスと一致する機構を通して過度の細胞死が起こ
る証拠がある。これらの中には、1)軸索が切断されることにより細胞の生存力
を維持するために必要な神経栄養因子がニューロンから奪われる、脊髄損傷;2
)虚血による壊死性細胞死の第一期の後、死んだ細胞の破裂が近接する健康なニ
ューロン中のアポトーシスを刺激するグルタメートおよび酸素フリーラジカルを
放出する、発作; および3)Tリンパ球のアポトーシスを誘発する、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感
染がある。
【0008】 対照的に、癌細胞中ではアポトーシスのレベルが増加され、対応する正常細胞
より癌細胞を長生きさせる。生き残る癌細胞の数の増加の結果として、癌細胞の
倍化時間が増加しなくても腫瘍の塊が増加し得る。さらに、アポトーシスおよび
、ときには壊死性の細胞死の調節に関係するbcl-2遺伝子の癌細胞における発現
の高いレベルは、癌細胞を化学治療薬および放射線治療に対して相対的に耐性の
あるものにする。
【0009】 p53腫瘍サプレッサタンパク質(p53)、例えばチェックポイント遺伝子は、アポ
トーシスの過程に関係するタンパク質の1つの例である。野生型p53タンパク質
は細胞中でアポトーシスを誘発するのに対し、突然変異体p53タンパク質はアポ
トーシスを誘発しない。多くの癌はp53をコードする遺伝子中に突然変異体を有
し、従って、いかなるp53タンパク質も発現しないまたは突然変異体p53タンパク
質を発現する。従って、癌細胞中に野生型p53腫瘍サプレッサがないことも、癌
細胞中で起こるアポトーシスのレベルを低下させる一因となり得る。
【0010】 細胞死に関係する遺伝子が調節される機構を操作できることにより、異常なレ
ベルの細胞死により特徴付けられる病気の作用の改善を目的とする治療への潜在
的な目標を有する医師が提供され、また例えば細胞中のアポトーシスを有効に調
節できる薬を同定する方法の開発が見込まれるであろう。しかしながら、細胞中
でこれらの遺伝子が調節される機構は、今まで記載されていない。従って、アポ
トーシスに関係する遺伝子についての調節因子を操作する方法を同定する必要が
ある。
【0011】 培養中の正常な哺乳類の二倍体細胞は有限の増殖寿命を有し老化と称される細
胞分裂しない状態に入るが、これは変化された遺伝子発現により特徴付けられる
(Hayflick et al. (1961) Exp.Cell Res.25:585;Wright et al.(1989)Mol.Cell. Biol. 9:3088;Goldstein,(1990)Science249:112;Campisi,(1996)Cell 84:497;Cam
pisi(1997)Eur.J.Cancer33:703;Faragher et al.(1997)Drug Discovery Today2:
64)。複製の老化は、累積する細胞分裂に依存するが生活時間または代謝時間に
は依存せず、これは増殖が「有糸分裂時計」によって制限されることを示す(Del
l’Orco et al.(1973)Exp.Cell Res.77:356;Hadey et al. (1978) J.Cell.Physi ol. 97:509)。早老症候群を有する年をとったドナーおよび患者からの細胞の増殖
能力の減少(Martin et al.(1970)Lab.Invest23:86;Schneider et al.(1976)PNAS 73:3584;Schneider et al. (1972) Proc.Soc.Exp.Biol.Med.141:1092;Elmore et
al.(1976)Cell Physiol.87:229)、および変化した遺伝子発現のパターンを有す
る老化細胞のインビボにおける蓄積(Stanulis-Praeger et al.(1987)Mech.Agein g Dev. 38:1;およびDimri et al.(1995)PNAS92:9363)は、細胞の老化を老化およ
び寿命に関する病理学に含む((Hayflick et al.(1961)Exp.Cell Res.25:585;Wri
ght et al. (1989) Mol.Cell.Biol.9:3088;Goldstein,(1990)Science249:112;Ca
mpisi,(1996)Cell 84:497;Campisi(1997)Eur.J.Cancer33:703;Faragher et al.(
1997)Drug Discovery Today2:64)。
【0012】 細胞老化は、原則としてインサイチュにおける細胞の寿命の延長により治療で
きる中高年層の多発性の病気の原因になると考えられている。実施例は、皮膚の
繊維芽細胞中の細胞外基質ホメオスタシスの喪失による皮膚の萎縮;RPE細胞中
におけるリポフスチンの蓄積およびニューロンの生存因子のダウンレギュレーシ
ョンにより引き起こされる老化に関係する黄斑変性;および内皮細胞中における
増殖能力の喪失と高血圧および血栓因子の過発現により引き起こされるアテロー
ム硬化症を含む。
【0013】 寿命を延長された細胞はまた、半ビボにおける潜在的な施用を有する。クロー
ン化された正常な二倍体の細胞は、増殖および分化の生化学的および生理学的態
様の研究において確立した腫瘍細胞系を置換できる;長命の正常なヒト細胞は、
正常なまたは処理された生物工学産物を産生するために使用できる;および正常
なまたは遺伝的に処理された新生された細胞の拡大された母集団は、自系のまた
は同種異系の細胞および遺伝子の治療に使用できる。従って、若い正常な細胞に
独特な二倍体状態、増殖特性、および遺伝子発現パターンを維持しながら細胞の
寿命を延長できることは、生物学的研究、製薬産業、および医学に重要な関係を
有する。
【0014】発明の概要 本発明の1つの態様は、細胞の寿命、例えば有糸分裂の数を拡大させるための
方法および試薬に関する。
【0015】 本発明の別の態様は、p53チェックポイントのMIF誘発されたバイパスを抑制す
ることによる増殖障害の治療に関する。
【0016】 ある態様において、本発明は、細胞周期チェックポイントを回避できるポリペ
プチドを同定する方法であって、 (a) 細胞の増殖停止を起こすように細胞周期チェックポイント遺伝子を過発
現させる細胞を産生し、 (b) ポリペプチド産物をコードする核酸を異所的に発現させ、 (c) 核酸のポリペプチド産物がチェックポイント媒介増殖停止を回避する
か否かを測定する、 各工程を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0017】 この方法は、細胞周期チェックポイントがp53およびp53様腫瘍サプレッサ、In
k4遺伝子産物、およびCIP/KIP遺伝子産物からなる群より選択されることを特徴
とする細胞を使用して実施できる。
【0018】 本発明の別の態様は、例えばチェックポイント媒介増殖停止を回避できる上述
の方法により同定されるような、精製されたおよび/または組換え型のポリペプ
チドまたはその相同体の製剤を提供する。ある実施の形態においては、ポリペプ
チドは可溶性の細胞外ポリペプチドである。本発明はまた、そのようなポリペプ
チドをコードする核酸を意図する。
【0019】 本発明の別の態様は、インビトロまたはインビボで、細胞を、例えば細胞増殖
を誘発する本発明の方法により同定されたそのようなポリペプチドのある量と接
触させる工程を含む細胞増殖を誘発する方法である。
【0020】 ある実施の形態において、本発明の方法は、インビトロまたはインビボで、細
胞を、細胞増殖を誘発するマクロファージ遊走阻止因子(MIF)またはその相同体
のある量と接触させる工程を含む細胞増殖を誘発する方法である。この方法は、
例えば、配列番号2またはその一部に同一または相同のMIFアミノ酸配列を含む
ポリペプチドまたはそのペプチド擬態物(peptidemimetics)を使用して実施で
きる。
【0021】 本発明の別の態様は、細胞が受ける有糸分裂の数を増加させる方法であって、
細胞の増殖を促進するのに十分な量で、配列番号2またはその一部に同一または
相同のMIFアミノ酸配列を含むポリペプチドに細胞を接触させる工程を含む方法
である。
【0022】 本発明のさらに別の態様は、化学治療薬に対する癌細胞の化学感受性を改良す
る方法であって、十分な量でおよび細胞がp53依存性細胞死を受ける条件下で細
胞をMIFポリペプチドに接触させる工程を含む方法である。
【0023】 好ましい実施の形態においては、MIFポリペプチドを利用する上述の方法は、
ストリンジェントな条件下で配列番号1にハイブリッド形成する核酸によりコー
ドされるMIFポリペプチドを使用して実施される。
【0024】 本発明の方法は、例えば幹細胞または始原細胞の増殖能力を増加させるために
使用できる。そのような細胞は、神経細胞、造血細胞、膵細胞、および肝の幹細
胞および始原細胞からなる群より選択できる。
【0025】 好ましい実施の形態において、本発明の方法は、皮膚または他の上皮の細胞 の治療の一部として使用できる。
【0026】 別の好ましい実施の形態において、本発明の方法は、間葉細胞の治療の一部と
して使用できる。
【0027】 さらに別の好ましい実施の形態において、本発明の方法は、軟骨細胞または骨
細胞の治療の一部として使用できる。
【0028】 ここに記載されるように、治療される細胞は、培養物または移植組織中で、ま
たは例えばインビボにおける動物への投与により治療できる。
【0029】 本発明の別の態様は、配列番号2またはその一部に同一または相同のMIFアミ
ノ酸配列を含むポリペプチドを活性成分として含む薬剤、および薬学的基準に合
う賦形剤である。
【0030】 本発明のさらに別の態様は、局所施用される際に皮膚層の細胞の増殖を促進す
るのに適切な量で配列番号2またはその一部に同一または相同のMIFアミノ酸配
列を含むポリペプチドを活性成分として含む化粧品、および局所施用のための薬
学的基準に合う賦形剤に関する。
【0031】 本発明はまた、創傷の治癒を促進する方法であって、細胞増殖を誘発するのに
十分な量で、配列番号2またはその一部に同一または相同のMIFアミノ酸配列を
含むポリペプチドまたはそのペプチド擬態物のある量に患者の創傷部位を接触さ
せる工程を含む方法を提供する。例えば、この方法は、創傷部位が上皮組織を含
み、MIFポリペプチドが上皮組織の増殖を促進する場合に使用できる。本発明の
方法はまた、手術、熱傷、炎症または刺激から生じる創傷に使用できる。本発明
の方法はまた、例えば静脈病(静脈うっ血性潰瘍)、過圧力(褥瘡性潰瘍)また
は動脈潰瘍から生じる皮膚潰瘍の治療に使用できる。
【0032】 本発明の方法は、例えば皮膚、毛および/または爪の組織再生過程を強めるた
めに、例えば化粧品の形態で、MIFポリペプチドを予防的に施用する場合に実施
できる。
【0033】 本発明の別の態様は、p53のMIF媒介バイパスを含む表現型を使用して細胞の増
殖を抑制する方法であって、細胞をp53のMIF媒介バイパスを抑制する物質と接触
させる工程を含む方法を提供する。
【0034】 本発明はまた、(a)請求項19の製剤、および(b)栄養因子、屈性因子、および
/または例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンのよ
うなアルキルスルホネート;ベンゾデパ(benzpdepa)、カルボクオン(carboquone
)、メチャーデパ(meturedepa)およびウレデパ(uredepa)のようなアジリジン(azi
ridines);アルトレトアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチ
レンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロメラミ
ンのようなエチレンイミンおよびメチルメラミン;クロラムブシル、クロルナフ
ァジン(chlornaphazine)、クロホスファミド(chclophosphamide)、エストラムス
チン、イフォスファミド(ifosfamide)、メクロレタミン、塩酸メクロレタミン、
メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、
プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)および
ウラシルマスタードのようなナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロ
ゾトシン、フォレムスチン(foremustine)、ロムスチン、ニムスチンおよびラニ
ムスチン(ranimustine)のようなニトロソ尿素類;ダカルバジン;マンノムスチ
ン;ミトブロニトル(mitobronitol);ミトラクトール(mitolactol);およびピポ
ブロマンからなる群より選択されるような化学治療薬を含む合同投与のためのキ
ットを提供する。
【0035】 本発明はまた、細胞の増殖能力を増加させる方法であって、p53チェックポイ
ントを可逆的に回避する薬を細胞内へ供給する工程を含む方法に関する。
【0036】 本発明の実施には、別記しない限り、当業者に知られている、細胞生物学、細
胞培養、分子細胞学、遺伝子導入生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫
学の従来の技法が用いられる。そのような技法は文献に記載されている。例えば
、Molecular Cloning A Laboratory Manual, 2nd Ed., ed. by Sambrook, Frits
ch and Maniatis (Cold Spring Harbor Laboratory Pres: 1989); DNA Cloning,
Volumes I and II (D.N.Glover ed., 1985); Oligonucleotide Synthesis (M.J
.Gait ed., 1984); Mullis et al. U.S.Patnet No.4,683,195; Nulceic Acid Hy
bridization (B.D.Hames & S.J.Higgins eds. 1984); Transcription And Trans
lation (B.D.Hames & S.J.Higgins eds. 1984); Culture Of Animal Cells (R.I
.Freshney, Alan R.Liss, Inc., 1987); Immobilized Cells And Enzymes (IRL
Press, 1986); B.Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984); t
he treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.); Gene Tr
ansfer Vectors For Mammalian Cells (J.H.Miller and M.P.Calos eds., 1987,
Cold Spring Harbor Laboratory); Methods In Enzymology, Vols. 154 and 15
5 (Wu et al. eds.), Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology
(Mayer and Walker, eds., Academic Press, London, 1987); Handbook Of Exp
erimental Immunology, Volumes I-IV (D.M.Weir and C.C.Blackwell, eds., 19
86); Manipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press
, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986)を参照のこと。
【0037】発明の詳細な説明 (i) 概観 p53タンパク質は、細胞増殖の負の制御、ゲノム安定性の維持および形質転換
と腫瘍形成の抑制において重要な役割を有する。p53遺伝子産物は、DNA損傷に続
く細胞周期の停止またはアポトーシスを誘発することにより有害性突然変異の蓄
積を防ぐ作用をする。腫瘍抑制におけるp53の重要性は、p53中の突然変異がヒト
腫瘍中で最も一般的な遺伝子交代であることの観察により強調される。p53は、
突然変異から独立した機構により機能的に不活性化することもできる。腫瘍の一
部においては、野生型p53は、異常な非細胞局在または安定性の減少により不活
性化される。
【0038】 p53活性の調節因子を同定するために、発現されるとp53媒介成長停止を回避で
きる遺伝子を同定するためのスクリーニングを行った。図2および米国特許出願
第08/820931号参照。簡単に言えば、内因性のp53遺伝子を欠失しているマウス胚
繊維芽細胞(MEF)(p53ノックアウトマウスから)を、蛍光標識されたp53タンパ
ク質(GFP- p53)を条件付きで発現するように処理した。活性化されると、蛍光の
p53は核に限局化され、細胞周期の停止を強める。cDNAライブラリによってコー
ドされるp53活性の負の調節因子を同定するために、表現型に基づくスクリーニ
ングにおいてこの細胞系を使用した。p53誘発によりもはや抑制されなかった細
胞は、コロニーを生じた。p53停止を回避できたcDNAを単離し、塩基配列を分析
した。繰り返し発生したクローンは、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)であっ
た。配列番号1(核酸)および配列番号2(タンパク質)を参照。
【0039】 多くの刊行物に、推定MIF分子の単離および同定が報告されてきた。例えば、M
IF-1は、F5と称されるヒトT細胞ハイブリドーマクローンの血清のない培養の上
澄みから均質に精製された(Oki et al.(1991)Lymphokine Cytokine Res. 10:273
-80)。また、MIF-1より疎水性であるMIF-2は、同じクローンから均質に精製され
た(Hirose et al.(1991)Microbiol.Immunol.35:235-45)。リンパ球遊走阻止因子
(LyMIF)もまた同定された(Masayuma et al.(1984)Cell Immunol 85:154-67)。MI
Fは、抗原、マイトジェン等により刺激されるとリンパ球および単球またはマク
ロファージにより分泌される生物学的に活性のある可溶性のポリペプチドを含む
、リンフォカインと称される群に属する。当該技術の既知の状態によると、ヒト
MIFは、マクロファージの遊走能力を抑制するポリペプチドの一群からなる。ヒ
トMIFは、活性化されたリンパ球、T細胞およびB細胞、並びに例えば増殖中の繊
維芽細胞およびある腫瘍細胞のような非リンパ球様細胞によって分泌される。MI
Fは、γ−インターフェロン、マクロファージ活性化因子(MAF)および他のリンフ
ォカインとはっきり区別できる。
【0040】 ヒトMIFは、炎症反応の初期に非常に重要な役割を果たす(「遅延型過敏症反
応」)。これは、炎症性マクロファージを成熟させるために単球と静態組織マク
ロファージの分化を誘発する。従って、ヒトMIFおよび関連タンパク質は、炎症
性の状態に対し重要な標識である。
【0041】 MIFは当初サイトカインとして同定されたので、途中で(in trans.)加えられ
た際に機能する能力についてテストした。使用された特定の分析法は、p53の機
能、つまり始原繊維芽細胞の寿命を延長する能力の標準的な分析法である。MIF
の供給源として、マルトース結合タンパク質-MIF融合(MBP-MIF)を作成し、E.Col
i中で発現させ、該融合タンパク質を親和力により精製し、MIFポリペプチド鎖を
放出するように開裂した。後期継代(ちょうど前老化を示した)のマウスの繊維
芽細胞の培養物を、200ng/mlの組換え型MIFの存在下または非存在下で新しい
培養プレート中に分配し、15日間増殖させた。組織培養培地は、3日毎に新し
い培地(適切にMIFを含有する)と取り替えた。非常に多くのコロニーが、培地
中にMIFを含有するプレート上で形成されたのに対し、MIFの非存在下で増殖した
細胞についてはコロニーは観察されなかった。図3参照。
【0042】 始原MEFSの寿命を延長するための容量反応を、0ng, 25ng, 50ng, 75ng, 100ng
, 150ng, 200ng, 300ng, 400ng, 600ngのMIF/ml培地を使用する実験において分
析した。これらの条件下で、150ng/mlが最適濃度であることがわかった。
【0043】 本発明は、途中での腫瘍抑制因子の増殖停止表現型を機能的に不活性化できる
天然タンパク質の最初の実施例であることを、本出願人は理解している。さらに
、本出願人が知る限りでは、本発明は、途中で始原細胞の寿命を延長できる分子
の最初の実施例である。さらに、MIFは全身的におよび局所的に前炎症性の役割
を有すると同定されたので、本発明の観察は、炎症の分野と腫瘍生物学との間を
つなぐ。
【0044】 本発明の1つの態様は、細胞の寿命、例えば有糸分裂の数、を延長させる方法
および試薬に関する。通常、本発明の方法は、MIFタンパク質、生物活性フラグ
メントまたはそのペプチド擬態物の異所性発現または施用、または以下に示され
る他の「MIF治療」に依存する。「異所性発現」とは、例えば異種または内因性
の遺伝子の発現により、細胞が通常特定の起始表現型について発現するMIFの正
常なレベルより高く、細胞にMIFを発現させることを意味する。本発明の方法は
、インビボ、半ビボおよびインサイチュの全てにおいて有用である。単に説明の
ための、実施例としての使用には、幹細胞または始原細胞の培養物または移植組
織の増殖、皮膚または他の上皮細胞の培養物または移植組織の増殖、間葉細胞の
培養物または移植組織の増殖、および軟骨細胞または骨細胞の培養物または移植
組織の増殖が含まれる。本発明の方法により増殖できる例としての幹細胞および
始原細胞には、神経細胞、造血細胞、膵細胞、および肝の幹細胞および始原細胞
が含まれる。本発明の方法およびMIFの組成物は、美容上も使用できる。
【0045】 本発明のMIF治療は、これらの状態で苦しめられるヒトおよび動物被験者のど
ちらでも有効である。本発明を適用できる動物被験者は、ペットとしてまたは商
業目的のために育てられた、家庭の動物および家畜にまで広がる。実施例は、イ
ヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタおよびヤギである。
【0046】 (ii)定義 都合上、ここで用いた特定の用語を以下のように定義する。
【0047】 ここで用いたように、「核酸」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)
、および適切な場合には、リボ核酸(RNA)のようなポリヌクレオチドを称す
る。この用語は、等価物として、ヌクレオチド類似体から生成されたRNAまた
はDNAの類似体、並びに、説明されている実施の形態に適用できるように、一
本鎖(センスまたはアンチセンスのような)および二本鎖ポリヌクレオチドを含
むものと理解すべきである。
【0048】 ここで用いたように、「遺伝子」または「組換え遺伝子」という用語は、エク
ソン配列および(必要に応じて)イントロン配列の両方を含む、ポリペプチドを
コードするオープンリーディングフレームを含む核酸を称する。本発明のMIFタ
ンパク質をコードする例示の組換え遺伝子が配列番号1により示される。
【0049】 ここで用いたように、「トランスフェクション」という用語は、核酸媒介遺伝
子転移により、異種核酸、例えば、発現ベクターの受容体細胞中への導入を意味
する。「トランスフォーメーション」は、転移された核酸に関してここに用いた
ように、外因性DNAまたはRNAの細胞取込みの結果として、細胞の遺伝子型
が変わり、かつ、例えば、トランスフォーメーションされた細胞が本発明のMIF
ポリペプチドの組換え形態を発現する過程を称する。
【0050】 「発現ベクター」は、所望のタンパク質をコードし、mRNA中に転写されタンパ
ク質に翻訳される所望のタンパク質(この場合、本発明のMIFタンパク質)をコ
ードするDNA配列(2)に機能できるように結合した、遺伝子発現において調節の役
割を有する遺伝要素(1)、例えば、プロモータ、オペレータ、またはエンハンサ
ー、および(3)適切な転写および翻訳の開始並びに終了配列のアセンブリを含む
転写ユニットを含むDNAを発現するのに用いられる複製可能なDNA構成物を称する
。プロモータおよび他の調節要素の選択は、一般的に、意図する宿主細胞に従っ
て異なる。一般的に、組換えDNA技法において役立つ発現ベクターは、しばしば
、それらのベクター形態においては染色体に結合していない環状二本鎖DNAル
ープを称する「プラスミド」の形態にある。本明細書においては、「プラスミド
」および「ベクター」は、プラスミドが最も日常的に用いられているベクターの
形態であるので、互換で用いられる。しかしながら、本発明は、同等の機能を果
たし、これまで当該技術において知られた発現ベクターの他の形態を含むことも
意図している。
【0051】 発現ベクターにおいて、転写または翻訳を制御する調節要素は一般的に、ほ乳
類、微生物、ウイルスまたは昆虫の遺伝子由来であって差し支えない。通常複製
の起点(origin)により与えられる、宿主中で複製する能力、および形質転換体の
認識を促進させる選択遺伝子が、追加に含まれていてもよい。レトロウイルス、
アデノウイルス等のようなウイルス由来のベクターを用いてもよい。
【0052】 「転写調節配列」は、機能できるように結合したタンパク質暗号配列の転写を
誘発または制御する、開始シグナル、エンハンサー、およびプロモータ等のよう
なDNA配列を称するために本明細書全体に亘り用いられている遺伝用語である。
好ましい実施の形態において、MIF遺伝子の転写は、発現が意図された細胞の種
類中における組換え遺伝子の発現を制御するプロモータ配列(または他の転写調
節配列)の制御下にある。組換え遺伝子は、MIFタンパク質の天然に存在する形
態の内の1つの転写を制御するそれらの配列と同じかまたは異なる転写調節配列
の制御下にあっても差し支えないことも理解されよう。
【0053】 ここで用いたように、「組織特異的プロモータ」という用語は、プロモータと
して機能する、すなわち、該プロモータに機能できるように結合した選択された
DNA配列の発現を調節し、かつ、尿生殖器起源の細胞、例えば、腎細胞、また
は神経起源の細胞、例えば、神経細胞のような、ある組織の特定の細胞中の選択
されたDNA配列の発現を行うDNA配列を意味する。この用語はまた、主に1
つの組織中において選択されたDNAの発現を調節するが、同様に他の組織にお
いては発現を生じるいわゆる「漏出性」プロモータも包含する。
【0054】 「機能できるように結合した」とは、2つのDNA領域の間の関係を説明する
ときに、それらの領域が互いに機能的に関連していることを意味する。例えば、
プロモータまたは他の転写調節配列は、それがある暗号配列の転写を制御する場
合には、その暗号配列に機能できるように結合している。
【0055】 「MIFタンパク質」および「MIFポリペプチド」という用語は、ここに記載され
るような生物活性を有する関連ポリペプチドの系統群を称する。例としてのMIF
タンパク質は、配列番号1の核酸、またはそれに対してハイブリッド形成する核
酸によりコードされる。したがって、本発明の方法に有用なMIFタンパク質は、
配列番号2のヒトMIF、または宿主細胞(ヒト細胞のような)中のテロメラーゼ
伸長酵素を再構成するその断片に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、
80%、85%、90%、または少なくとも95%も同一であり得る。例えば、配列番号
1に対して配列および/または長さが異なってもよい、特定のMIFポリペプチド
の活性を評価するための様々な異なる技法が当該技術において利用できる。
【0056】 ここで用いたように、「融合タンパク質」という用語は、当該技術において認
識されており、2つ以上の異なるタンパク質から由来したアミノ酸配列を含む一
本鎖タンパク質として少なくとも最初に発現されたキメラタンパク質を称する。
例えば、融合タンパク質は融合遺伝子の遺伝子産物である。
【0057】 「MIF治療薬」という用語は、p53チェックポイントのMIFに誘発されるバイパ
スを模倣または強化できる(作用薬)またはp53のMIFに誘発されるバイパスを抑
制できる(拮抗薬)タンパク質、ペプチド、小さい有機分子、核酸等のような因
子を称する。
【0058】 「始原細胞」という用語は、次に、分化された、または分化可能な娘細胞を産
生できる多数の母細胞を産生する能力を有するより始原の細胞を産生している、
増殖できる未分化細胞を称する。ここに用いたように、「始原細胞」という用語
は、当該技術分野において「幹細胞」と称されることもある細胞を包含すること
も意図している。好ましい実施の形態において、「始原細胞」という用語は、胚
細胞および組織の進行性多様化において生じるように、その子孫(後代)が、し
ばしば異なる方向に、分化により、例えば、完全に個別の特徴を得ることにより
、特殊化(specialize)する一般化された母細胞を称する。
【0059】 ここに用いたように、始原細胞に関して、「実質的に純粋」という用語は、全
細胞個体群を構成する始原細胞に関して、少なくとも約75%、好ましくは、少な
くとも約85%、より好ましくは、少なくとも約90%、最も好ましくは、少なくと
も約95%純粋な始原細胞の個体群を称する。言い換えれば、「実質的に純粋」と
いう用語は、後の培養および増幅前の元の増幅されていない単離された個体群に
おいて、約20%より少ない、より好ましくは、約10%より少ない、最も好ましく
は約5%より少ない系列の関連した(lineage committed)細胞を含有する本発
明の始原細胞の個体群を称する。
【0060】 「化粧品」という用語は、局所投与のために配合された製剤調製物の形態を称
する。
【0061】 ここで用いたように、「細胞組成物」という用語は細胞の調製物を称し、この
調製物は、細胞に加えて、細胞培養培地のような非細胞成分、例えば、タンパク
質、アミノ酸、核酸、ヌクレオチド、補酵素、抗酸化剤、金属等を含んでもよい
。さらに、細胞組成物は、細胞成分の増殖または生存度に影響を与えないが、細
胞を特定の形式で、例えば、被包のためのポリマーマトリクスまたは製剤調製物
として提供するのに用いられる成分を有していても差し支えない。
【0062】 「上皮の」、「上皮に関する」および「上皮」という用語は、腺およびそれか
ら由来する他の構造、例えば、角膜、食道、表皮、および毛包の上皮細胞を含む
、内外の体表面(皮膚、粘液および漿液)の細胞被覆を称する。他の例としての
上皮組織としては:鼻腔の嗅覚領域を覆い、嗅覚の受容体を含有する多列上皮で
ある嗅上皮;分泌細胞からなる上皮を称する腺上皮;平坦板状細胞からなる上皮
を称する扁平上皮が挙げられる。この上皮という用語は、収縮および拡張のため
に大きな機械的変化にさらされる内層中空器官であることが特徴的に分かった移
行上皮、例えば、重層扁平上皮と円柱上皮との間で移行する組織を称することも
ある。
【0063】 「上皮形成」という用語は、表皮剥脱表面の上に上皮細胞が増殖することによ
り治癒されることを称する。
【0064】 「皮膚」という用語は、真皮および表皮からなる、体の外側の保護被覆を称し
、汗腺および皮脂腺、並びに毛包構造を含むと理解されている。本出願全体に亘
り、形容詞の「皮膚の」を用いてもよく、これは一般的に、その用語が用いられ
る文脈に適切であるように、皮膚の属性を称する。
【0065】 「表皮」という用語は、胚体外胚葉由来の、0.07mmから1.4mmまでの厚さで
変動する皮下の最も外側にある血管のない層を称する。手掌側面および足底側面
において、表皮は、外側に向かって、垂直に配置された円柱細胞からなる基底層
;短い突起または棘を有する平坦多面細胞からなる有棘細胞層または棘層;平坦
顆粒細胞からなる顆粒層;核が識別されないか含まれない透き通った透明細胞の
いくつかの層からなる透明層;および平坦な角質の非有核細胞からなる角質層か
らなる。一般的な体表面の表皮において、透明層は通常ない。
【0066】 「真皮」は、血管が繋がった組織の密な層からなり、神経および感覚の末端器
官を含有する表皮までの深さの皮膚の層を称する。毛根、および皮脂腺と汗腺は
、真皮内に深く埋め込まれた表皮の構造である。
【0067】 「爪」という用語は、指または足指の末端の背面上の角質皮膚板を称する。
【0068】 「表皮腺」という用語は、表皮と結合し通常の代謝要求に関連しない物質を分
泌し排出するよう分化した細胞の集合を称する。例えば、「皮脂腺」は、油性物
質および皮脂を分泌する真皮中の全分泌腺である。「汗腺」という用語は、真皮
または皮下組織中に配置され、体表面上の管を開くことにより汗を分泌する腺を
称する。
【0069】 「髪」という用語は、糸状構造、特に、ほ乳類のみにより生成され、その群の
動物に特徴的な、真皮内に埋没された毛乳頭から発生し、ケラチンからなる特殊
な表皮構造を称する。また、そのような髪の集まりも称する。「毛包」は、髪が
そこから成長する、髪を包囲する表皮の管状陥入を称し、「毛包表皮細胞」は、
毛包中の真皮毛乳頭を囲む表皮細胞、例えば、幹細胞、外根有鞘細胞、基質細胞
、および内根有鞘細胞を称する。そのような細胞は、正常な非悪性細胞、または
形質転換/非致死細胞であってもよい。
【0070】 「切除創傷」としては、皮膚の上皮層における断裂、擦過傷、切断、穿刺また
は破傷が挙げられ、真皮層中に、さらに皮下脂肪中かそれより深く延在していて
もよい。切除創傷は、外科処置または皮膚の偶発の穿通から生じることがある。
【0071】 「熱傷」は、熱および/または化学試薬のために個体から大きな表面積の皮膚
が除去されたかまたは失われた場合を称する。
【0072】 「皮膚潰瘍」は、通常は炎症による、組織の表在損失により生じた皮膚の外傷
を称する。本発明の方法により治療できる皮膚潰瘍としては、褥瘡性潰瘍、糖尿
病性潰瘍、静脈鬱血性潰瘍および動脈性潰瘍が挙げられる。褥瘡性創傷は、長期
間に亘りある区域の皮膚に加えられた圧力から生じる慢性潰瘍を称する。この種
類の創傷はしばしば、床ずれまたは圧潰瘍(pressure sore)と称される。静脈鬱
血性潰瘍は、血液または欠損静脈からの他の流体の鬱血から生じる。動脈潰瘍は
、血流が乏しい動脈の周りの区域の壊死皮膚を称する。
【0073】 「眼組織に対する創傷」は、厳しいドライアイ症候群、角膜潰瘍および擦過傷
並びに眼科手術の創傷を称する。
【0074】 本出願全体に亘り、「増殖性皮膚障害」という用語は、所望でないまたは異常
な皮膚組織の増殖により示される皮膚の任意の病気/障害を称する。これらの状
態は、通常表皮細胞の増殖または不完全な細胞分化により特徴付けられ、例えば
X染色体性魚鱗癬、乾癬、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、表皮
剥離性角化症、および脂漏性皮膚炎を含む。例えば、表皮異形成は、表皮の不完
全な成長の形態である。別の例は「表皮剥離」であり、これは自発的にまたは外
傷の部位に小気胞および水疱を有する表皮の弛緩状態を称する。
【0075】 「癌」という用語は、周りの組織を浸潤させ転移を起こす傾向にある上皮細胞
から形成される悪性の新増殖を称する。例としての癌は、ほとんど転移せずに、
局所侵入および破壊の可能性を有する、皮膚の上皮腫瘍である「基底細胞癌」;
扁平上皮から発生し立方細胞を有する癌を称する「扁平上皮癌」;癌性および肉
腫性組織からなる悪性腫瘍を含む「癌肉腫」;乳腺と唾液腺、および気道の粘液
腺中で生じる、小さい上皮細胞の巣または帯により分離されるまたは囲まれるヒ
アリンまたは粘液性支質の円柱または帯によって示される癌である「腺分泌細胞
癌」;表皮の癌性細胞と同じように分化する傾向にある、すなわち有棘細胞を形
成し角質化を受ける傾向にある癌性細胞を称する「類表皮癌」;鼻の後ろの空間
の上皮内層中に発生する悪性腫瘍を称する「鼻咽頭癌」;および様々の配置の管
状細胞からなる腎実質の癌を称する「腎細胞癌」を含む。別の癌性上皮増殖は、
上皮に由来し原因因子として乳頭腫ウイルスを有する良性腫瘍を称する「乳頭腫
」;および神経溝の閉鎖時における外胚葉エレメントの封入により形成される脳
腫瘍または脳脊髄膜腫瘍を称する「エピデルモイドマス(epidermoidomas)」で
ある。
【0076】 ここで用いたように、「乾癬」という用語は、皮膚の調節機構を変化させる超
増殖性皮膚障害を称する。特に、表皮増殖における第1および第2の変化、皮膚
の炎症性反応、およびリンフォカインと炎症性因子のような調節分子の発現を含
む外傷が形成される。乾癬性の皮膚は、形態学的には、表皮細胞の代謝回転の増
加、厚い表皮、異常な角質化、真皮層中への炎症性細胞の浸潤および基礎細胞周
期を増加させる表皮層中への多形核球の浸潤により特徴付けられる。さらに、過
角化および錯角化細胞が存在する。
【0077】 「角化症」という用語は、表皮の角質層の過形成により特徴付けられる増殖性
皮膚障害を称する。例としての角化性障害は、毛包性角化症、掌側および足底の
角化症、咽頭角化症、毛髪角化症、および光線性角化症を含む。
【0078】 ここで用いたように、「増殖している」および「増殖」とは、有糸分裂を受け
ている細胞を称する。
【0079】 ここで用いたように、「形質転換された細胞」とは、非制限増殖の状態に自発
的に変化した、すなわち培養中の不定数の分裂を通して増殖する能力を獲得した
細胞を称する。形質転換された細胞は、増殖制御の喪失に関して、新生、退生お
よび/または増殖性のような用語により特徴付けられてもよい。
【0080】 ここで用いたように、「不朽化細胞」とは、細胞が培養中に不定数の分裂を通
して増殖する能力を有するように科学的および/または組換え方法によって変化
された細胞を称する。
【0081】 ここで用いたように、「動物」という用語は、ほ乳類、好ましくは、ヒトのよ
うなほ乳類を称する。同様に、本発明の方法により治療すべき「患者」または「
被験者」は、ヒトまたはヒト以外の動物のいずれをも意味することができる。
【0082】 細胞の「増殖状態」とは、細胞の増殖率および細胞の分化状態を称する。
【0083】 「相同性」および「同一性」とは、それぞれ、より厳密な比較である同一性を
有する、2つのポリペプチド配列の間の類似する配列を称する。相同性および同
一性はそれぞれ、比較の目的のために整合されるそれぞれの配列中の位置を比較
することにより測定されてもよい。比較された配列中の位置が同じアミノ酸残基
により占められている場合、ポリペプチドはその位置で同一であるということが
できる;相当する部位が同じアミノ酸(例えば同一の)または類似するアミノ酸
(例えば立体配置のおよび/または電子の性質において同様の)により占められ
ている場合、分子はその位置で相同であるということができる。配列間の相同性
または同一性のパーセンテージは、配列により共有される一致するまたは相同の
位置の数の相関関係である。「関連のない」または「非相同性の」配列は、本発
明のAR配列と40%未満の同一性、好ましくは25%未満の同一性を共有する。
【0084】 (iii) 例としての用途 本発明の方法は、インビボ、インビトロおよび半ビボプロトコルの一部として
細胞の増殖能力および/または寿命を増大させるために使用することができる。
本発明の方法は任意の正常な細胞の種類に適用できるが、この方法は、好ましく
は、p53チェックポイントまたは他のチェックポイントを活性化する環境刺激に
遭った、またはこれから遭う正常な細胞を用いて実施する。本発明の目的に関し
て、「正常」という用語は、腫瘍細胞、癌細胞、または形質転換された細胞以外
の細胞を称する。例としての細胞は、Thomson et al. (1998) Science 282:1145
およびShamblott et al. (1998) PNAS 95:13726に開示されているような胚の幹
細胞である。本発明の方法に使用するのに特に好ましい細胞としては、任意の器
官の胚、胎児、新生児、および成人の幹細胞、並びに成人の多能性造血幹細胞が
挙げられる。
【0085】 ある実施の形態において、前記細胞は幹および/または始原細胞である。これ
らの細胞としては、例えば、骨髄、可動化末梢血細胞、または臍帯血から由来す
る、造血幹細胞が挙げられる。他の実施の形態において、その細胞は、膵組織、
肝組織、または原腸由来の他の組織に関する始原細胞である。さらに他の実施の
形態において、前記幹細胞は、神経細胞または平滑筋細胞を形成するのに用いる
ことのできる神経冠のような神経幹細胞である。
【0086】 他の実施の形態において、前記細胞は幹細胞または始原細胞ではない。例えば
、それら細胞は、ほんの2,3の例を挙げると、膵β細胞、平滑筋細胞(または
筋細胞)、繊維芽細胞、リンパ球細胞、例えば、BまたはT細胞、骨細胞または
軟骨細胞のような関連した(committed)細胞である。
【0087】 本発明の方法はインビトロまたはインビボで用いても差し支えないが、本発明
は、半ビボでの細胞の培養に特別な用途があり、細胞が半ビボで培養され、次い
で、宿主に再導入される治療法に特に重要な利益を提供する。例えば、本発明の
方法は、採集されるかまたは培地中で他の様式で単離された細胞であって、患者
に移植すべき細胞の増殖能力を伸ばすのに用いることができる。
【0088】 そのようなプロトコルは、骨髄または単離された造血始原細胞が、チェックポ
イントのバイパスが移植の前または直後に野生型表現型に戻される、本発明にし
たがって処理される骨髄移植に用途が見出されている。
【0089】 本発明の方法は、HIVまたはダウン症患者のT細胞の寿命を延ばすのに用い
ることもできる。
【0090】 本発明の方法には、例えば、幹細胞または関連細胞由来の、補綴装置のような
人工組織を形成するプロトコルにも用途がある。例としての組織としては、膵、
肝、神経、筋細胞、軟骨および骨の組織が挙げられる。
【0091】 ある実施の形態においては、本発明の方法は、造血細胞および造血幹/始原細
胞の増殖能力を広げるのに用いることができる。ここで用いた「造血細胞」とい
う用語は、赤血球細胞、巨核球、単核細胞、顆粒細胞、および好酸球のような完
全に分化した骨髄性細胞、並びにBリンパ球およびTリンパ球のような完全に分
化したリンパ球系細胞を称する。したがって、造血幹/始原細胞の例としては、
BFU−E(バースト形成単位赤血球:burst-forming units-erythroid)、C
FU−E(コロニー形成単位赤血球:colony forming unit-erythroid)、CF
U−Meg(コロニー形成単位巨核球:colony forming unit-megakaryocyte)
、CFU−GM(コロニー形成単位顆粒細胞−単核細胞:colony forming unit-
granulocyte-monocyte)、CFU−Eo(コロニー形成単位好酸球:colony for
ming unit-eosinophil)、およびCFU−GEMM(コロニー形成単位顆粒細胞
−赤血球−巨核球−単核細胞:colony forming unit-granulocyte-erythrocyte-
megakaryocyte-monocyte)のような、これらの分化細胞がそこから発生する様々
な造血前駆体細胞が挙げられる。
【0092】 別の実施の形態において、本発明の方法は、膵細胞および膵幹/始原細胞の増
殖能力を広げるのに用いることができる。「膵始原細胞」という用語は、膵系列
の細胞、例えば、膵細胞により通常産生されるホルモンまたは酵素を産生できる
細胞に分化できる細胞を称する。例えば、膵始原細胞は、少なくとも部分的に、
α、β、δ、またはφ膵島細胞、または外分泌運命の細胞に分化させられてもよ
い。本発明の膵始原細胞はまた、細胞の増殖および分化を促進させる条件下で被
験者に投与する前に培養できる。これらの条件は、細胞を培養して、偽膵島状凝
集体またはクラスターを形成し、インシュリン、グルカゴン、およびソマトスタ
チンを分泌するように細胞を産生できる時間で増殖および合流をインビトロで行
わせる工程を含む。
【0093】 膵臓の内分泌部分は、ランゲルハンスの膵島からなる。ランゲルハンスの島は
、外分泌膵臓内に埋め込まれる細胞の丸いクラスターとして現れる。4つの異な
る種類の細胞、α、β、δ、およびφがその膵島の中に同定される。α細胞は、
膵島中に見られる細胞の約20%を構成し、ホルモンのグルカゴンを産生する。グ
ルカゴンは、栄養補給の間の間隔で利用できるエネルギーを生成するためにいく
つかの組織に作用する。肝臓において、グルカゴンは、グリコーゲンを分解し、
アミノ酸前駆体からのグルコース新生を促進させる。δ細胞は、膵臓中で、グル
カゴンの放出を阻害し、膵外分泌を減少させるように機能するソマトスタチンを
産生する。ホルモンの膵ペプチドは、φ細胞中で産生される。このホルモンは、
重炭酸塩および酵素の膵外分泌を阻害し、胆嚢を弛緩させ、胆汁分泌を減少させ
る。前記細胞の60-80%を構成する、前記膵島内で最も豊富な細胞は、インシュ
リンを産生するβ細胞である。インシュリンは、栄養補給中またはその直後に行
われる過剰な栄養供給源を貯蔵することが知られている。インシュリンの主な標
的器官は、肝臓、筋肉、およびエネルギーの貯蔵に特化された脂肪器官である。
【0094】 ある実施の形態において、本発明の薬は、移植された膵細胞、例えば、移植さ
れたβ膵島細胞の増殖能力を広げるのに用いられる。最近、治療に対する組織操
作アプローチが、通常、免疫拒絶を避けるために膜内に被包された、膵島の移植
に焦点を当ててきた。細胞を被包する多くの方法が当該技術において知られてい
る。例えば、インシュリンを産生するβ膵島細胞の供給源が、移植可能な中空繊
維内に被包される。そのような繊維は、予め紡ぎ、次いで、β膵島細胞を充填す
ることができる(Aebischer et al. 米国特許第4,892,538号; Aebischer et al.
米国特許第5,106,627号; Hoffman et al. (1990) Expt.Neurobiol. 110:39-44;
Jaeger et al. (1990) Prog.Brain Res. 82:41-46; and Aebischer et al. (19
91) J.Biomech.Eng. 113:178-183)、またはβ膵島細胞の周りにポリマーコート
を形成するように機能するポリマーとともに押し出すことができる(Lim 米国特
許第4,391,909号; Sefton 米国特許第4,353,888号; Sugamori et al. (1989) Tr
ans.Am.Artif.Intern.Organs 35:791-799; Sefton et al. (1987) Biotehnol.Bi
oeng. 29:1135-1143; and Aebischer et al. (1991) Biomaterials 12:50-55)
【0095】 上述した実施の形態のいずれにおいても、膵細胞は、半ビボでの本発明の方法
により処理できる、および/または装置が埋め込まれた動物に例えばMIF治療薬
をその後投与することによって本発明の方法により処理できる。そのような細胞
は、膵系列の細胞、例えば、β膵島細胞に分化できる能力を有するので、糖尿病
の治療に用いることができる。本発明の膵細胞は、さらにこれらの細胞の成熟膵
細胞への分化を誘発する条件下でインビトロで培養できる、または被験者中に一
度導入されたらインビボで分化を経験できる。
【0096】 さらに、始原細胞の個体群またその分化した後代のいずれかの形態で、移植可
能な細胞の供給源を提供することに加えて、本発明の方法は、分泌された因子の
産生および精製用の培地を産生するために使用される正常な膵細胞の増殖能力を
広げるのに用いることができる。例えば、培養された細胞は、インシュリンの供
給源として提供することができる。同様に、外分泌培養物は、パンクレアチンの
供給源として提供することができる。
【0097】 さらに別の実施の形態において、本発明の方法は、肝細胞および肝幹細胞の増
殖能力を広げるのに用いることができる。ここで用いた「肝始原細胞」という用
語は、肝実質細胞、例えば、肝細胞のような肝系列の細胞に分化できる細胞を称
する。肝細胞は、体内で最も多目的な細胞の内のいくつかである。肝細胞は、内
分泌機能および外分泌機能の両方を有し、ある物質を合成し、蓄積し、他の物質
を解毒し、他の物質を分泌して、酵素的活性、輸送活性、またはホルモン性活性
を果たす。肝細胞の主な活性としては、胆汁分泌、炭水化物、脂質、およびタン
パク質代謝の調節、代謝に重要な物質の貯蔵、ホルモンの分解と分泌、並びに薬
物と毒素の形質転換および排出が挙げられる。本発明の方法は、インビトロまた
は移植後のいずれかに、肝細胞および肝始原細胞の長期間の培養を促進させるの
に用いることができる。
【0098】 さらに別の実施の形態において、本発明の方法は、細胞共培養(co-culture)の
ための「栄養補給」細胞層の増殖能力を広げるのに用いることができる。
【0099】 別の実施の形態において、本発明の方法は、核輸送のために活性的に分裂する
胎児繊維芽細胞の存在を向上させることにより、例えば、ヒトではない動物の大
規模なクローニングを向上させるのに用いることができる。
【0100】 核移植における従来の研究により、供与体細胞の細胞周期段階が、核輸送後の
胎芽の発達の程度に影響を与えることが示された。供与体細胞が、減数分裂にお
ける第2中期で拘束される受容体卵母細胞に融合されるときに、核エンベロープ
が壊れ、卵母細胞が活性化されるまで染色体が凝縮する。この凝縮相は、DNA
合成を経験している受容体細胞内の染色体欠陥を生じることが示された。しかし
ながら、細胞周期のG1相(DNA合成の前)にある受容体細胞は、正常に凝縮
し、高速の初期発達を支持する。
【0101】 核移植のための最適な供与体細胞を選択する際の本発明者の理論的根拠は、前
記細胞は、比較的未分化な状態の指標として、初期の胎芽発達中に生じる急速な
細胞分裂と矛盾しないために、分裂をやめていないはずであるが(G0の場合)
、活発に分裂していることであった。細胞は、その細胞周期を人工的に拘束する
か、または固有に長いG1相を有する細胞の種類を選択することのいずれにより
、G1内にあるはずである。
【0102】 本発明の方法は、一般的な細胞培養技法にも適用できる。例えば、本発明の方
法は、ヒトBリンパ球と骨髄腫との間のハイブリッドのような不死ヒト細胞と致
死ヒト細胞との間のハイブリッドの複製能力を増大させるのに、例えば、ヒトハ
イブリドーマを産生する抗体の複製能力を増大させるのに用いることができる。
【0103】 より一般的に、本発明の方法は、組換えタンパク質を産生するように操作され
た、培養されている細胞の複製能力を増大させるのに用いることができる。実際
に、本発明の方法により、組換え細胞として「正常な」細胞を用いることができ
、したがって、不死細胞の使用に関して生じるかもしれない問題(翻訳後修飾に
おける差のような)が、特に分泌タンパク質の産生に関して避けることができる
【0104】 さらに別の実施の形態において、本発明の方法は、細胞共培養(co-culture)の
ための「栄養補給」細胞層の寿命を延ばすのに用いることができる。
【0105】 別の態様において、本発明は、活性成分として、MIF治療薬を使用する、上
皮由来組織の増殖を制御するための、薬剤および方法を提供する。本発明はまた
、本発明の薬剤を使用した上皮由来組織の増殖を制御する方法にも関する。これ
を説明するために、本発明のMIF治療薬を、皮膚と皮膚器官;角膜、水晶体およ
び他の眼組織;粘膜;および歯周上皮のような上皮組織の疾患の治療、もしくは
外科または美容修復における養生法の一部として用いてもよい。ここに開示した
方法および組成物は、様々な損傷した上皮組織および粘膜組織の治療および予防
のために提供される。例えば、本発明の方法は、皮膚手術または歯周手術からの
ような、上皮組織を含む任意の手術に関して望ましいように、創傷治癒過程を制
御するのに用いることができる。MIF治療薬を使用することが治療の候補として
挙げられている例としての手術修復としては、重症の熱傷および皮膚の再生、皮
膚の移植、褥瘡、皮膚潰瘍、裂裂、手術後瘢痕の減少、および潰瘍性大腸炎が挙
げられる。
【0106】 本発明の方法には、上皮組織を患わす疾患の治療または予防、並びに美容への
使用に幅広い用途がある。一般的に、本発明の方法は、細胞をインビトロまたは
インビボで、治療される上皮組織の寿命を変更するのに十分な量のMIF治療薬に
接触させる工程を含むものとして特徴付けることができる。インビボ用途に関し
て、投与様式および供与量の処方は、治療すべき上皮組織により異なる。例えば
、治療される組織が真皮組織または粘膜組織のような上皮組織の場合には、局所
用配合物が好ましい。
【0107】 「創傷の治癒を促進させる」方法により、治療の結果として、治療しない場合
の同様の創傷の治癒よりもずっと早く創傷が治癒される。「創傷治癒の促進」は
、前記方法により、特に、ケラチノサイトの増殖相および成長相が延長されるこ
と、または、創傷が、瘢痕が少なく、創傷の収縮が小さく、コラーゲンの堆積が
少なく、表在表面積が小さい状態で治癒することも意味することがある。ある場
合には、「創傷治癒の促進」は、創傷治癒のある方法が、本発明の方法とともに
用いた場合、成功率(例えば、皮膚移植の生着率)が改善されたことを意味する
こともある。
【0108】 完全には治癒しておらず、開いたままになっている創傷には、常に合併症の危
険がある。ほとんどの創傷は治療せずとも迅速に治癒するが、ある種類の創傷は
治癒に抵抗を示す。大きな表面積を覆う創傷は、長期間に亘り開いたままとなる
。本発明のある実施の形態において、本発明は、手術、熱傷、炎症または過敏か
ら生じるもののような、上皮組織を含む創傷の治癒を向上させる、および/また
はその他の様式で加速させるのに用いることができる。本発明のMIF治療薬は、
例えば、皮膚、髪および/または爪の組織の再生過程を向上させるために、化粧
品の形態のように、予防的に適用することができる。
【0109】 完全なまたは部分的な厚さの熱傷は、しばしば大きな表面積を覆う創傷の種類
の例であり、したがって、治癒するのに長期間が必要である。その結果、感染お
よび体液の損傷のような命にかかわる合併症が生じることが多い。さらに、熱傷
における治癒はしばしば無秩序であり、その結果、瘢痕が生じたり、醜くなって
しまう。ある場合には、過剰のコラーゲンの堆積による創傷の収縮により、その
創傷の近傍にある筋肉の移動性が減少してしまう。本発明の組成物および方法は
、熱傷の治癒を向上させ、美容の成果がより望ましく、創傷の収縮と瘢痕が少な
くなるように治癒過程を促進させるのに用いることができる。
【0110】 大面積を覆う酷い熱傷はしばしば、患者の体の損傷を受けていない区域からと
られた皮膚の自己移植により治療される。本発明の方法は、皮膚の移植とともに
用いて、移植片の性能および培養中の寿命を改善し、移植された皮膚および移植
片に近接した患者の皮膚の両方の増殖を加速させることにより、移植片の生着率
を改善することもできる。
【0111】 真皮腫瘍は、例えば、その腫瘍を治療し、および/または潰瘍が慢性創傷にな
るのを防ぐために、本発明の方法により治療しやすい創傷のさらに別の例である
。例えば、糖尿病を患った患者7人毎に1人が、感染しやすい四肢に真皮腫瘍を
発症する。糖尿病性腫瘍に感染した患者にはしばしば、入院、集中治療、高価な
抗生物質、およびある場合には、切断が必要である。静脈疾患(静脈鬱血性潰瘍
)、過剰圧力(褥瘡性潰瘍)および動脈潰瘍から生じるような真皮潰瘍も、治癒
に抵抗を示す。従来の治療は、一般的に、創傷を保護すること、感染さいないこ
と、そしてある場合には、血管手術により血流を回復させることに限られている
。本発明の方法によれば、皮膚の病気の区域を、創傷の上皮形成を促進させる、
例えば、皮膚腫瘍の治癒速度を加速させるMIF治療薬を含む療法により治療する
ことができる。
【0112】 別の実施の形態において、消化器系統の病気を治療または予防する本発明の方
法を提供する。手短に言えば、化学療法誘発のおよび放射線療法誘発の腸炎(す
なわち、腸管毒性)および粘液性大腸炎(mucositis)、消化性潰瘍疾患、胃腸炎
および大腸炎、絨毛萎縮性疾患等を含む、様々な病気が胃腸の上皮または絨毛の
分断に関連している。例えば、骨髄移植および癌の治療に用いられる化学治療薬
および放射線療法は、造血組織および小腸両方の内部にある細胞を増殖させるの
に急速に影響を与え、厳しく、しばしば投与量の制限された毒性に導かれる。小
腸の粘膜バリアが損傷を受けると、出血や敗血症の重大な合併症が生じてしまう
。本発明の方法は、胃腸上皮の増殖を促進させ、それによって、放射線および化
学治療薬の許容される供与量が増加させるために用いることができる。消化器系
統の病気の効果的な治療は、腸炎スコア、当該技術においてよく知られた他の試
験を含むいくつかの基準により決定されるであろう。
【0113】 年齢と共に、表皮は薄くなり、皮膚付属物は萎縮する。髪は少なくなり、皮脂
の分泌が減少し、その結果、乾燥し、ひび割れ、および割れ目が生じやすくなる
。真皮は、弾性のコラーゲン繊維が失われるとともに減少する。さらに、ケラチ
ノサイトの増殖(皮膚の厚さおよび皮膚の増殖能力を表す)は年齢と共に減少す
る。ケラチノサイトの増殖の増大、または持続性の速度が、皮膚の老化、すなわ
ち、しわ、厚さ、弾性および修復を和らげると考えられる。本発明によれば、MI
F治療薬は、治療的または美容的のいずれかに用いて、皮膚の老化の影響を少な
くとも一時的に和らげることができる。
【0114】 本発明の方法は、癌組織に対する創傷の治療に用いることができる。一般的に
、病気、手術または障害のいずれによる角膜組織に対する損傷は、創傷の性質に
依存して、上皮細胞および/または内皮細胞に影響を与えることがある。角膜上
皮細胞は、角膜の外面を覆う非ケラチン化上皮細胞であり、外部環境に対する保
護バリアを提供する。角質創傷の治癒は、臨床医および研究者の両方にとって関
心を集めている。眼科医はしばしば、持続性で頻発する上皮侵食となり、永久的
な内皮損失に至ることも多い、角膜異栄養症および問題となる障害に直面する。
MIF治療薬をこれらの例に用いて、冒された角膜組織の上皮形成を促進させるこ
とができる。さらに説明するために、一般的に目の中の上皮細胞損傷に関連し、
本発明の方法がそのために有益な治療を提供できる特定の病気としては、持続性
角膜上皮欠陥、頻発侵食、向神経性角膜腫瘍、乾性角結膜炎、微生物角膜腫瘍、
ウイルス性角膜腫瘍等が挙げられる。さらに、切屑、表面侵食、炎症等のような
表在性創傷により、上皮細胞が損失することがある。本発明によれば、角膜上皮
を、創傷を適切に治癒するために角膜上皮細胞の増殖を向上させるのに効果的な
量のMIF治療薬に接触させる。
【0115】 組織および器官の半ビボでのメンテナンスも、とても望まれている。組織の置
換療法は、ヒトの病気の治療において十分に確立されている。例えば、1996年に
は、40,000以上の角膜移植が米国で行われた。ヒトの表皮細胞は、インビトロで
増殖させ、熱傷部位および慢性皮膚腫瘍並びに他の皮膚創傷に移植するのに使用
することができる。本発明の方法は、上皮組織の寿命をインビトロで向上させ、
並びに、培養した上皮組織を動物の宿主に移植することを向上させるために使用
することができる。
【0116】 本発明の方法は、皮膚移植片の「生着率」を改善するために使用することがで
きる。移植片の生着する期間が長すぎる場合には、上皮組織の移植片は水膨れに
なったり、ひび割れたりして、自己移植片が「生着」、すなわち、創傷に付着し
、下にある顆粒組織と基底膜を形成する傾向が減少する。生着率は、本発明の方
法により、ケラチノサイトの増殖を向上させることによって増加させることがで
きる。生着率を増加させる方法は、皮膚の自己移植片を、上述したような、創傷
の治癒を促進させる方法、およびケラチノサイトの成長および増殖を促進させる
方法に記載された、創傷の治癒に効果的な量のMIF治療薬に接触させる工程を含
む。
【0117】 皮膚の同等物には、皮膚移植用のヒトまたは動物の皮膚の置換としてだけでな
く、皮膚上の治療物質および化粧品の効果を決定する試験用皮膚としての多くの
用途がある。製薬物学、化学および化粧用の試験における主な難点は、皮膚への
製品の効能および安全性を決定するのが難しいことである。本発明の皮膚同等物
の利点の1つは、試験皮膚上でのインビトロの試験によりそのような物質により
生じる効果の指標としての用途である。
【0118】 したがって、本発明の方法は、ある実施の形態において、例えば、剥脱された
区域、肉芽損傷および熱傷の皮膚移植のプロトコルの一部として用いることがで
きる。MIF治療薬を使用することにより、中間層皮自己移植および表皮自己移植
(培養された自己ケラチノサイト)並びに表皮同種移植(培養された同種ケラチ
ノサイト)のような移植技法を向上させることができる。同種移植の例において
、培養による皮膚同等物の形成を向上させるために本発明の方法を使用すること
は、患者が、永久的な治癒が生じることのできる材料により一回の工程で被覆さ
れるように、そのような移植片(例えば、組織バンク中の)の容易な供給を提供
する/維持するのに役立つ。
【0119】 この点に関して、本発明は、MIF治療薬の存在下で拡張された培養ケラチノサ
イト細胞の表皮層を含む複合体の生きている皮膚同等物にも関する。本発明の方
法は、複合体の生きている皮膚同等物を調製する方法の一部として使用すること
ができる。ある実施の形態において、そのような方法は、皮膚の試料を得て;該
皮膚試料を酵素的に処理して、真皮から表皮を分離し;該表皮を酵素的に処理し
て、ケラチノサイト細胞を放出させ;MIF治療薬の存在下で、並行してまたは別
々に、融合する(confluence)まで表皮ケラチノサイトを培養し;前記真皮を酵素
的に処理して、繊維芽細胞を放出させ;該繊維芽細胞をほぼ融合する(sub-confl
uence)まで培養し;該培養した繊維芽細胞を多孔質の架橋性コラーゲン海綿膜に
接種し;接種されたコラーゲン海綿をその表面上でインキュベートして、該コラ
ーゲン海綿全体に亘り前記繊維芽細胞を増殖させ;次いで、該海綿に培養したケ
ラチノサイト細胞を接種し;前記細胞の寿命を向上させるテロメラーゼ活性化治
療薬の存在下で複合体の皮膚同等物コンプレックスをインキュベートする各工程
を含む。
【0120】 他の実施の形態において、上皮層および間葉層の両方を含有する皮膚シートを
培地中で単離し、MIF治療薬が補われた培地により拡張されることができる。
【0121】 細胞培養技法を行える任意の皮膚試料を本発明に用いても差し支えない。この
皮膚試料は自己または同種のものであってもよい。
【0122】 本発明の別の態様において、本発明の方法を、歯周組織内またはその周りの上
皮細胞の増殖を制御することが望ましい様々な歯周工程と共に使用することがで
きる。ある実施の形態において、MIF治療の増殖形態を用いて、例えば、歯肉組
織の形成を促進させるために、天然の歯および義歯の周りの再上皮形成(reepith
elialization)を向上させることができる。
【0123】 さらに別の態様において、本発明の方法は、生体吸収性(bioresorptable)材料
と共に用いたような場合に、誘導された組織の再生の制御を補助するのに使用す
ることができる。例えば、義歯のような歯周インプラントを組み込むことが、本
発明の方法により促進することができる。歯の再付着には、結合組織繊維の形成
および歯嚢の上皮形成の両方が含まれる。本発明の方法による治療を用いて、創
傷の治癒過程において基底上皮細胞の有糸分裂能力を制御することにより、組織
の再付着を向上させることができる。
【0124】 本発明の別の態様において、MIF治療薬は、例えば毛の増殖を強める脱毛症の
治療において、または例えば毛の成長を抑制する毛の美容除去(脱毛)において
、毛の増殖を変化させるのに使用できる。
【0125】 ある実施の形態において、本発明の組成物は、上皮由来組織の増殖を促進する
よりも抑制するのに使用できる。例えば、ここに開示されるある組成物は、様々
の過形成または新形成の病気を治療または予防するために施用してもよい。この
方法は、例えば、乾癬;角化症;座瘡;面皰形成性外傷;毛嚢炎および偽性毛嚢
炎;角化棘細胞腫;胼胝;ダリエ病;魚鱗癬;扁平苔癬;軟属腫伝染病;黒皮症
;フォーダイス病;およびケロイドまたは過形成性瘢痕の治療または予防のため
に施用できる。本発明のある製剤はまた、例えば、アフタ性潰瘍、尋常性天疱瘡
、落葉状天疱瘡、増殖性天疱瘡または紅斑性天疱瘡のような天疱瘡、表皮剥離、
外傷性狼瘡または剥離性外傷のための治療の一部として、障害の増殖性症状発現
を治癒するための自己免疫疾患における治療養生の一部として使用してもよい。
【0126】 本発明のさらに別の実施の形態において、MIF治療薬は、例えば抑制(避妊薬
として)または増進(雄性排卵誘発剤)する、精子形成を調節するのに使用でき
る。
【0127】 ここにおける観察から、MIFは腫瘍形成において、例えば腫瘍の不朽化および/
または維持の過程において、ある役割を果たすかもしれないことが現在明らかで
ある。従って、p53のMIFに誘発されるバイパスの抑制因子は、例えば好ましくは
p53+表現型による増殖性障害の治療において、化学治療薬として使用できる。
【0128】 さらに、癌治療において使用される大部分の薬はこの過程により細胞死を誘発
するので、アポトーシスは抗腫瘍化学療法の有効性の主要な決定因子である。多
くの実施例において、この機構はp53媒介アポトーシスによる(例えばp53+腫瘍
において)。例えば、ゲニステイン(genistein)に対する化学的感受性は、細胞p
53含量に依存するようである。同様に、細胞中のp21waf1(p53の転写標的)の誘
発は、誘発されていない細胞と比較して、ドキソルビシン、ツムデックス(tumud
ex)およびメトトレキセートに対する細胞の感受性を増加する;この状態は、ア
ポトーシスと関連する。従って、例えば腫瘍を浸潤するマクロファージにより産
生されるMIFから生じるような、天然MIF誘発p53バイパスの抑制因子は、例えばp
53媒介アポトーシスにより効力を増す少なくとも1つの化学治療薬に対する癌細
胞の化学的感受性を改良するのを助けるために使用できる。
【0129】 従って、MIF拮抗薬は、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルフ
ァンのようなアルキルスルホネート;ベンゾデパ、カルボクワン、メツレデパお
よびウレデパのようなアジリジン;アルトレトアミン、トリエチレンメラミン、
トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチ
ロメラミンのようなエチレンイミンおよびメチルメラミン;クロラムブシル、ク
ロルナファジン、ククロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド
、メクロレタミン、塩酸メクロレタミン、メルファラン、ノベンビチン、フェネ
ステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミドおよびウラシルマスタードの
ようなナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォアムス
チン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムスチンのようなニトロソ尿素類;お
よびダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトールおよび
ピポブロマンのような他のものを含む、アルキル化薬のような化学治療薬と合同
に供給できる。
【0130】 ある実施の形態において、治療される細胞は、例えば脂肪または脂肪前駆体細
胞から生じる、脂肪細胞系の過増殖性細胞である。例えば、本発明の方法は、脂
肪細胞腫瘍の増殖を防止するために実施できる。脂肪腫瘍細胞は、脂肪肉腫のも
のでもよい。「脂肪肉腫」という用語は当業者により認識され、ときに正常な脂
肪細胞の病巣を有する、大きい退生脂肪芽細胞により特徴付けられる悪性腫瘍を
称する。本発明により治療できる例としての脂肪肉腫の種類は、よく分化した/
脱分化の、粘液様/円形細胞および多形性を含むがそれに限定されない(Sreekan
taiah,C.et al.,(1994)supraに記載されている)。
【0131】 本発明の方法により治療され得る別の脂肪細胞腫瘍は、例えば通常は成熟脂肪
細胞からなる良性脂肪腫瘍のような脂肪腫を含む。同様に、本発明の方法は、脂
肪軟骨腫、脂肪繊維腫および脂肪肉芽腫の治療および/または予防に使用できる
。脂肪軟骨腫は、成熟脂肪腫性および軟骨性要素からなる腫瘍である;脂肪繊維
腫は、繊維症の部分を含有する脂肪腫である;および脂肪肉芽腫は、肉芽性炎と
関連するリポイド物質の小節により特徴付けられる。
【0132】 本発明の方法はまた、例えば骨髄性、リンパ球系または赤血球系の系列、また
はその前駆体細胞から生じる、造血供給源の増殖性/腫瘍性細胞の増殖を抑制す
るのに使用できる。例えば、本発明は、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性
白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)を含むがそれに限定されない様々の骨
髄性障害の治療を考慮している(Vaickus,L.(1991)Crit Rev.in Oncol./Hemotol
.11:267-97に記載されている)。本発明の方法により治療され得るリンパ球系悪
性疾患は、B系列ALLおよびT系列ALLを含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性
リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、毛様細胞性白血病(HLL)お
よびヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)を含むがそれに限定されな
い。本発明の治療方法により考慮される悪性リンパ腫のさらなる形態は、非ホジ
キンリンパ腫およびその変種、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(
ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ性白血病(LGF)およびホジキン病
を含むがそれに限定されない。
【0133】 別の実施の形態においては、本発明の方法は、種々の癌の治療に使用できる。
例としての実施の形態において、MIF抑制因子は、ある乳がんの治療に使用でき
る。同様に、MIF拮抗薬は、悪性黒色腫の治療のための治療法において使用でき
る。さらに別の実施の形態において、本発明の方法は例えば骨肉種またはカポー
ジ肉腫のような肉腫の治療に使用できる。
【0134】 本発明の方法は、例えば平滑筋過形成(アテローム硬化症のような)またはレ
スチノシス(restinosis)のような過増殖性血管障害、並びに例えば慢性関節リウ
マチ、インシュリン依存性真性糖尿病、糸球体腎炎、肝硬変、および強皮症のよ
うな繊維症により特徴付けられる他の障害の治療において使用できる。例えば、
レスチノシスの場合において、MIF抑制因子は、例えば経皮経管転移により供給
できる(Mazur et al.(1994)Tex Heart Inst J21:104-111)。
【0135】 (iv)例としてのMIF治療および製剤 本発明の方法のMIF治療組成物は、天然発生タンパク質、組換えにより産生さ
れるタンパク質および合成化学物質の精製を含む、種々の技術のいずれによって
も産生できる。MIF治療薬のポリペプチド形態は好ましくは、例えば脊椎動物の
器官からの天然発生MIFタンパク質またはその断片に一致する配列を有する、脊
椎動物のMIFタンパク質に由来する。しかしながら、MIFポリペプチドは、任意の
後生動物の器官中で発生するMIFタンパク質(またはその断片)に一致してもよ
いことが認められるであろう。
【0136】 本発明の治療薬が由来する種々の天然発生MIFタンパク質は、当該技術におい
てよく特徴付けられている。例えば、GenBankアクセス番号M25639、U62326、U20
999、M95776、U88035およびSWISS-PROTアクセス番号P80177、P34884、S32394参
照のこと。MIFタンパク質は、明らかな分泌シグナルペプチドを有していないが
、通常は分泌されると理解されている。
【0137】 さらに、例えば治療または予防の効力、または安定性(例えば半ビボの貯蔵寿
命およびインビボにおけるタンパク質分解に対する抵抗性)、または拮抗薬(例
えば優性陰性変異体)の産生を高める等の目的のために、突然変異誘発を、修飾
されたMIFポリペプチドを作成するのに使用できる。そのような修飾ペプチドは
、例えばアミノ酸の置換、欠失、または付加により産生できる。修飾MIFポリペ
プチドはまた、例えば糖鎖形成、コレステロール形成、プレニル化等が変化した
、天然発生MIFタンパク質に関して翻訳後プロセシングが変化したものを含んで
もよい。
【0138】 ある実施の形態において、MIF治療薬は、ストリンジェントな条件下で配列番
号1に示されるMIF暗号配列にハイブリッド形成するヌクレオチド配列によるコ
ードが可能なポリペプチドである。例えば、約45℃で6.0×塩化ナトリウム
/クエン酸ナトリウム(SSC)、続いて50℃における2.0×SSCの洗浄のような
、DNAハイブリッド形成を促進する適切なストリンジェンシーの条件は、当業者
に知られているまたはCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley&So
ns,N.Y.(1989),6.3.1-6.3.6で見ることができる。例えば、洗浄工程における塩
濃度は、50℃において約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃にお
いて約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまでから選択できる。さらに、洗浄
工程における温度は、室温、約22℃における低ストリンジェンシーの条件から
約65℃における高ストリンジェンシーの条件まで高くすることができる。
【0139】 文献に記載されているように、例えば他の動物からの他のMIFタンパク質につ
いての遺伝子は、当該技術においてよく知られる技術を使用してmRNAまたはゲノ
ムDNA試料から得られる。例えば、MIFタンパク質をコードするcDNAは、例えば哺
乳類細胞、例えばヒト細胞のような、胚細胞を含む細胞からトータルmRNAを単離
することにより得られる。次に二本鎖cDNAをトータルmRNAから調製し、続いて多
くの既知の技術のいずれか1つを使用して適切なプラスミドまたはバクテリオフ
ァージ中に挿入することができる。MIFタンパク質をコードする遺伝子はまた、
確立されたポリメラーゼ連鎖反応技術を使用してクローン化できる。
【0140】 好ましい核酸は、配列番号2のアミノ酸配列に少なくとも60%相同または同
一、より好ましくは70%相同または同一、および最も好ましくは80%相同ま
たは同一であるアミノ酸配列を含むMIFポリペプチドをコードする。配列番号8
から配列番号14までの1つに示されているアミノ酸配列と少なくとも約90%
、より好ましくは少なくとも約95%、および最も好ましくは少なくとも約98
%から約99%まで相同または同一のポリペプチドをコードする核酸もまた、本
発明の範囲内である。
【0141】 天然のMIFタンパク質に加えて、本発明による好ましいMIFポリペプチドは、配
列番号2により示されるアミノ酸配列と少なくとも60%相同または同一、より
好ましくは70%相同または同一および最も好ましくは80%相同または同一で
ある。配列番号2の配列と少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%
、および最も好ましくは少なくとも約98%から約99%まで相同または同一で
あるポリペプチドもまた、本発明の範囲内である。
【0142】 「組換えタンパク質」という用語は、通常、MIFポリペプチドをコードするDNA
を適切な発現ベクター内に挿入し次にこれを宿主細胞を形質転換して異種タンパ
ク質を産生するために使用する、組換えDNA技術により産生される本発明のポリ
ペプチドを称する。さらに、組換えMIF遺伝子に関する「に由来する」というフ
レーズは、天然MIFタンパク質のアミノ酸配列、またはそれに類似する、タンパ
ク質の天然発生形態の置換および欠失(切形を含む)を含む突然変異により産生
されるアミノ酸配列を有するタンパク質である「組換えタンパク質」の意味の範
囲を含む。
【0143】 本発明の方法はまた、天然発生MIFポリペプチドの突然変異形態、例えば突然
変異体を使用して実施できる。
【0144】 当該技術において知られているように、MIFポリペプチドは、標準生物学的技
術によりまたは化学的合成により産生できる。例えば、本発明のポリペプチドを
コードするヌクレオチド配列の発現を指示する核酸ベクターでトランスフェクシ
ョンされた宿主細胞は、ペプチドを発現させるのに適切な条件下で培養できる。
ポリペプチドのMIFは、細胞および組換えMIFポリペプチドを含有する培地の混合
物から分泌され単離されてもよい。あるいは、組換えMIF遺伝子からシグナルペ
プチド配列を除去することによりペプチドの細胞質を維持してもよく、細胞を採
集し、溶解してタンパク質を単離する。この細胞の培養物は宿主細胞、培地およ
び他の副産物を含む。細胞培養に適切な培地は、当該技術においてよく知られて
いる。組換えMIFポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィ、ゲルろ過クロ
マトグラフィ、限外ろ過、電気泳動、およびそのようなペプチドに特異的な抗体
を使用する免疫親和力精製を含むタンパク質を精製するための当該技術において
知られる技術を使用して細胞培養培地、宿主細胞、または両方から単離できる。
好ましい実施の形態において、組換えMIFポリペプチドは、MIF/GST融合タンパク
質のような精製を容易にする領域を含有する融合タンパク質である。宿主細胞は
、原核細胞または真核細胞のどちらでもよい。
【0145】 組換えMIF遺伝子は、MIFタンパク質またはその一部をコードする核酸を、原核
細胞、真核細胞、または両方における発現に適切なベクター中にライゲーション
することにより産生できる。本発明のMIFポリペプチドの組換え形態の産生のた
めの発現ベクターは、プラスミドおよび他のベクターを含む。例えば、MIFポリ
ペプチドの発現に適切なベクターは、E.coliのような原核細胞中の発現のために
pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来
プラスミドおよびpUC由来プラスミドという種類のプラスミドを含む。
【0146】 酵母中の組換えタンパク質の発現のために多くのベクターが存在する。例えば
、YEP24、YIP5、YEP51、YEP52、pYES2、およびYRP17は、遺伝子構成物のストレ
プトミセスセレビシアエ(S.cerevisiae)中への導入に有用なクローニングおよび
発現媒体である(例えば、ここに引用されるBroach et al.(1983)in Experiment
al Manipulation of Gene Expression,ed.M.Inouye Academic Press,P.83参照)
。これらのベクターは、pBR322 oriの存在によりE.coli中で、および酵母の2ミ
クロンのプラスミドの複製決定因子によりストレプトミセスセレビシアエ中で複
製できる。さらに、アンピシリンのような薬剤耐性標識を使用できる。説明のた
めの実施の形態において、MIFポリペプチドは、配列番号1に示されるヒトMIF遺
伝子の暗号配列をサブクローニングすることにより産生される発現ベクターを利
用して組換えにより産生される。
【0147】 好ましい哺乳類の発現ベクターは、細菌中のベクターの増殖を促進するために
原核配列、および真核細胞中で発現される1つ以上の真核転写単位の両方を含有
する。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk
2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neoおよびpHyg由来ベクターは、真核細胞のトラ
ンスフェクションに適切な哺乳類発現ベクターの例である。これらのベクターの
いくつかは、pBR322のような細菌プラスミドからの配列で修飾されて、原核細胞
および真核細胞の両方における複製および薬剤耐性の選択を容易にする。あるい
は、ウシ乳頭腫ウイルス(BPV-1)、またはエプステイン−バーウイルス(pHEBo、
pREP由来およびp205)のようなウイルスの誘導体を、真核細胞におけるタンパク
質の一過性発現に使用してもよい。宿主生体のプラスミドおよび形質転換の調製
において使用される種々の方法は、当該技術においてよく知られている。原核細
胞および真核細胞の両方に適切な他の発現系、並びに通常の組換え法については
、Molecular Cloning A Laboratory Manual,2nd Ed.,ed.by Sambrook,Fritsch a
nd Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press:1989)Chapters 16 and 17
を参照。
【0148】 いくつかの例において、バキュロウイルス発現系の使用により組換えMIFポリ
ペプチドを発現するのが所望であるかもしれない。そのようなバキュロウイルス
発現系の例には、pVL由来ベクター(pVL1392、pVL1393、およびpVL941のような
)、pAcUW由来ベクター(pAcUW1のような)、およびpBlueBac由来ベクター(β-
gal含有pBlueBac IIIのような)が含まれる。
【0149】 N末端の一部を欠失する形態、すなわちシグナルペプチドを欠失する切形突然
変異体のような、MIFタンパク質の一部のみの発現が所望である場合、開始コド
ン(ATG)を、発現される所望の配列を含有するオリゴヌクレオチド断片に付加す
ることが必要かもしれない。N末端位置のメチオニンは、酵素メチオニンペプチ
ダーゼ(MAP)の使用により酵素開裂できることは当該技術においてよく知られて
いる。MAPは、E.coli(Ben-Bassat et al.(1987)J.Bateriol.169:751-757)およ
びネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)からクローニングされ、そのインビ
トロにおける活性が組換えタンパク質上で示された(Miller et al.(1987)PNAS 8
4:2718-1722)。従って、所望なら、MAPを産生する宿主(例えばE.coliまたはCM8
9またはストレプトミセスセレビシアエ)中のMIF由来ポリペプチドの発現により
インビボで、または精製されたMAP(例えばMiller et al.,supraの方法)の使用
によりインビトロで、N末端メチオニンを除去できる。
【0150】 あるいは、ポリペプチドに対する暗号配列を、異なるポリペプチドをコードす
るヌクレオチド配列を含む融合遺伝子の一部として取り込んでもよい。融合タン
パク質もまたタンパク質の発現を促進でき、従って本発明のMIFポリペプチドの
発現に使用できることが広く認識されている。例えば、MIFポリペプチドは、グ
ルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST-融合)タンパク質として産生できる。
そのようなGST-融合タンパク質は、例えばグルタチオン誘導基質の使用により、
MIFポリペプチドの容易な精製を可能にする(例えば、Current Protocols in Mo
lecular Biology,eds.Ausubel et al.(N.Y.:John Wiley & Sons,1991)参照)。
別の実施の形態においては、ポリ-(His)/エンテロキナーゼ開裂部位配列のよう
な、精製リーダー配列をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を使用するア
フィニティクロマトグラフィによりポリ(His)-MIFタンパク質を精製するために
、(例えば代用形(pro-form)の)MIFタンパク質のN末端において天然に発生する
シグナル配列を置換するのに使用できる。その後精製リーダー配列は、エンテロ
キナーゼで処理することにより除去できる(例えば、Hochuli et al.(1987)J.Ch
romatography 411:177;and Janknecht et al.PNAS88:8972)。
【0151】 融合遺伝子を作成する技術は、当業者に知られている。本来、異なるポリペプ
チド配列をコードする種々のDNA断片の連結は、実質的に、ライゲーション、適
切な末端を提供するための制限酵素分解、適切な相補末端の充填、所望でない連
結を防止するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素によるライゲーシ
ョンのための平滑末端または粘着末端を使用する、従来技術に従って行われる。
別の実施の形態において、融合遺伝子は、DNA自動合成装置を含む従来技術によ
り合成できる。あるいは、アニーリングしてキメラの遺伝子配列を産生できる2
つの続発性遺伝子断片の間の相補的オーバーハングを生じるアンカープライマー
を使用して、遺伝子断片のPCR増幅を行ってもよい(例えば、Current Protocols
in Molecular Biology,eds.Ausubel et al.John Wiley & Sons:1992)。
【0152】 MIFポリペプチドはまた、グリコシル基、コレステロール、イソプレノイド、
脂質、ホスフェート、アセチル基等のような他の化学成分と結合する共有結合ま
たは集合体を形成することによりMIF誘導体を作成するために化学的に修飾され
てもよい。MIFタンパク質の共有結合誘導体は、タンパク質のアミノ酸側鎖上で
またはポリペプチドのN末端またはC末端において、官能基に化学成分を結合させ
ることにより調製できる。
【0153】 好ましい実施の形態において、MIFポリペプチドは、MIFポリペプチドを有する
融合タンパク質の形態で提供されなければ、他の細胞タンパク質、特に通常はMI
Fポリペプチドと結合する他の細胞外または細胞表面結合タンパク質から単離さ
れる、またはそうでなければ実質的に有しない。「他の細胞タンパク質または細
胞外タンパク質が実質的にない」(ここで「混入タンパク質」とも称される)ま
たは「実質的に純粋な試料」または「精製された試料」という用語は、20%未
満の(乾燥重量で)混入タンパク質、および好ましくは5%未満の混入タンパク
質を有するMIFポリペプチドの調製を含むとして定義される。「精製された」に
より、所望の分子が、他のタンパク質のような他の生物学的高分子が実質的にな
いところに存在することが意味される。ここで用いたように「精製された」とい
う用語は好ましくは、乾燥重量で少なくとも80%、より好ましくは重量で95
%から99%までの範囲、および最も好ましくは重量で少なくとも99.8%の
、同一種の生物学的高分子を意味する(しかし、水、緩衝剤、および他の小さい
分子、特に5000未満の分子量を有する分子は存在してもよい)。ここで用い
たように「純粋な」という用語は好ましくは、すぐ上の「精製された」と同じ数
値制限を有する。
【0154】 組換えポリペプチドについて上述されるように、単離されたMIFポリペプチド
は、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全部または一部、またはそれに相同の
配列を含んでもよい。MIFポリペプチドの生物活性断片に関して、好ましいMIF治
療薬は、MIFポリペプチドの少なくとも50の(隣接する)アミノ酸残基、より
好ましくは100の(隣接する)、およびさらにより好ましくは少なくとも15
0の(隣接する)残基を含む。
【0155】 MIFタンパク質の単離されたペプチジル部分は、そのようなペプチドをコード
する核酸の対応断片から組換えにより産生されるペプチドのスクリーニングによ
り得られる。さらに断片は、従来のメリフィールド固相f-Mocまたはt-Boc化学作
用のような当該技術において知られる技術を使用して化学的に合成できる。例え
ば、本発明のMIFポリペプチドは、断片のオーバーラップのない所望の長さの断
片に任意に分解される、または好ましくは所望の長さのオーバーラップする断片
に分解されてもよい。断片は、野生型(例えば「真正の」)MIFタンパク質の作
用薬または拮抗薬として作用できるペプチジル断片を同定するために産生(組換
えによりまたは化学的合成により)およびテストできる。例えば、Roman et al.
(1994)Eur J Biochem 222:65-73には、結合領域を同定するためにより長いタン
パク質から短い、オーバーラップする合成ペプチドを使用する競合結合アッセイ
の使用が記載されている。
【0156】 本発明の組換えMIFポリペプチドはまた、例えば潜在的な開裂配列を変えるま
たはタンパク質と関係する酵素活性を不活性化する突然変異による、タンパク質
分解開裂に抵抗性のタンパク質のバージョンのような、真正のMIFタンパク質の
相同体を含む。本発明のMIF相同体はまた、真正のタンパク質と異なる方法で翻
訳後に修飾されるタンパク質を含む。
【0157】 本発明のMIFポリペプチドの構成物の修飾はまた、治療または予防の効力、あ
るいは安全性(例えば、半ビボにおける貯蔵寿命およびインビボにおけるタンパ
ク質分解に対する抵抗性)を高めるような目的のために使用できる。そのような
修飾されたペプチドは、タンパク質の天然発生形態の少なくとも1つの活性を保
有するように作成される場合、ここでより詳細に記載されるMIFポリペプチドの
機能等価物であるとみなされる。そのような修飾されたペプチドは、例えばアミ
ノ酸の置換、欠失、または付加により産生できる。
【0158】 アミノ酸のある分離置換、例えば別の関連アミノ酸によるアミノ酸残基の置換
(すなわち同配体のおよび/または等電性の突然変異)は、生じる分子の生物学
的活性に大きい変化を与えずに行えることが合理的に予想できることは当該技術
においてよく知られている。保存的置換は、側鎖において関連するアミノ酸の系
統群の中で起こる。遺伝的にコードされるアミノ酸は、4つの系統群に分けられ
る:(1)酸性=アスパラテート、グルタメート;(2)塩基性=リシン、アル
ギニン、ヒスチジン;(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシ
ン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)
非荷電極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレ
オニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、と
きに芳香族アミノ酸として共に分類される。同様に、アミノ酸レパートリーは、
(1)酸性=アスパラテート、グルタメート;(2)塩基性=リシン、アルギニ
ン、ヒスチジン;(3)脂肪族=グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソ
ロイシン、セリン、トレオニンで、セリンおよびトレオニンは任意に脂肪族ヒド
ロキシルとして別に分類される;(4)芳香族=フェニルアラニン、チロシン、
トリプトファン;(5)アミド=アスパラギン、グルタミン;および(6)硫黄
含有=システインおよびメチオニンに分類できる(例えば、Biochemistry,2nd e
d.,Ed.by L.Stryer,WH Freeman and Co.:1981参照)。ペプチドのアミノ酸配列
における変化が機能性MIF相同体(例えば野生型形態を擬態するまたは拮抗する
作用をするという意味で機能性の)を生じるか否かは、野生型タンパク質に類似
する種類の細胞中に応答を産生する、またはそのような応答を競合的に抑制する
突然変異体ペプチドの能力を査定することにより、容易に測定できる。1つ以上
の置換がなされたポリペプチドは、同じ方法で容易にテストできる。
【0159】 本発明の方法は、天然発生MIFタンパク質の相同体を使用して実施できること
が明確に予想される。ある実施の形態において、本発明は、無作為配列の突然変
異誘発により産生されるMIFポリペプチドの使用を考慮に入れる。当該技術にお
いて知られるように、そのような方法は、点突然変異体および切断突然変異体の
産生に都合がよく、天然MIFタンパク質に擬態するまたは拮抗する潜在的突然変
異体配列(例えば相同体)の同定に特に有用である。説明のために、MIF相同体
は、天然MIFタンパク質のオリゴマー複合体の機能を妨げる、例えば野生型タン
パク質の機能を弱める本発明の方法により作成できる。MIFは、生物学的活性の
少なくとも一部に重要かもしれない三量体の複合体を形成することが知られてい
る。優性陰性MIF相同体は、野生型MIFのp53バイパス活性を抑制するために使用
できる。他の実施の形態において、そのような突然変異分析は、タンパク質の種
々の活性を示すために使用できる。例えば、タンパク質のp53バイパス活性は、
タウトメラーゼ(tautomerase)活性のようなタンパク質の他の活性から分離され
てもよい。さらに、本発明の方法によるMIFのある領域の操作は、細胞外基質に
由来するおよび/または細胞外基質成分に結合する他のタンパク質の部分を取り
込むような、融合タンパク質における使用により適切な領域を提供できる。
【0160】 無作為配列突然変異誘発の技術の状態をさらに説明するために、Gallop et al
.(1994)J Med Chem 37:1233の記事には、1990年代初期の無作為配列ライブ
ラリーの技術の一般的な状態が記載されていることを示す。特に、Gallop et al
は1239ページで、「類似体のライブラリーのスクリーニングは、活性のある
配列の最小サイズを測定し、結合に対し臨界で置換を受けないこれらの残基の同
定を促進する」と述べる。さらに、Landner et al.の国際特許出願公開第90/028
09号、Goeddel et al.の米国特許第5,223,408号、およびMarkland et al.の国際
特許出願公開第92/15679号には、すばやくスクリーニングして、MIFポリペプチ
ドの特定の活性を保有する突然変異体/断片を同定できるMIF突然変異体のライブ
ラリを作成するために当業者が利用できる特定の技術が示されている。これらの
技術は例であり、関連する突然変異体/切断体の大きいライブラリを作成し分析
して、過度の実験をせずに特定の突然変異体を単離できることを示す。Gustin e
t al.(1993)Virology 193:653、およびBass et al.(1990)Proteins:Structure,F
unction and Genetics 8:309-314。
【0161】 実際には、生物学的機能に対して残基が臨界であることを前もって考えなくて
も、MIFタンパク質の大規模の突然変異誘発は、等しい生物学的活性を有する突
然変異体を広く配置するということが無作為配列の突然変異誘発から明らかであ
る。さらに、臨界残基の前もっての理解または知識の必要性を全て除去する徹底
的な分析により、数10億の異なる突然変異体をスクリーニングすることは、無
作為配列技術の能力である。
【0162】 説明のために、MIF相同体または他の関連するタンパク質の母集団についてア
ミノ酸配列を、好ましくはできるだけ最高の相同性を得るように、整合する。例
えば図1参照。そのような突然変異体の母集団は、例えば1つ以上の種からのMI
F相同体を含んでもよい。整合された配列のそれぞれの位置に現れるアミノ酸を
選択して、無作為配列の変性セットを作成する。好ましい実施の形態において、
MIF突然変異体のふ入りライブラリを、核酸レベルにおいて無作為配列突然変異
誘発により作成し、ふ入り遺伝子ライブラリによりコードする。例えば、合成オ
リゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列中に酵素でライゲーションすることによ
り、潜在的なMIF配列の変性セットは、個々のポリペプチドとして、あるいはMIF
配列を内部に含有するより大きい融合タンパク質のセット(例えばファージの表
示について)として発現可能である。
【0163】 説明のための実施の形態において、種々の哺乳類MIFタンパク質の整合は、一
般式: MPMFXVNTNVPRASVPXGFLSELTQQLAQATGKXPQYIAVHVVPDQLMXFXGXXXPCALCSLHSIGKIGGAQ
NRXYSKLLCGLLXXRLXISPDRXYINXXDMNAAXVGWNXSTFA により示されるMIFポリペプチドの変性セットを産生するために使用でき、変性
位置“X”はそれぞれ、ヒト、マウス、ラットまたはウシMIFクローンの1つにお
ける該位置で生じるアミノ酸でよい、またはライブラリを拡大するため、それぞ
れのXは、それらの位置のそれぞれにおいて天然に発生するアミノ酸についての
保存的置換であるであろうアミノ酸残基の中から選択されてもよい。さらに大き
いライブラリにおいては、それぞれのXは任意のアミノ酸から選択されてもよい
【0164】 潜在的なMIF相同体のライブラリを変性オリゴヌクレオチド配列から産生でき
る多くの方法がある。変性遺伝子配列の化学的合成をDNA自動合成装置中で行う
ことができ、次に合成遺伝子を適切な発現ベクター中にライゲーションする。遺
伝子の変性セットの目的は、1つの混合物中で、潜在的なMIF配列の所望のセッ
トをコードする全ての配列を提供することである。変性オリゴヌクレオチドの合
成は、当該技術においてよく知られている(例えば、Narang,SA(1983)Tetrahedr
on 39:3;Itakura et al.(1981)Recombinant DNA,Proc 3rd Cleveland Sympos.Ma
cromolecules,ed.AG Walton,Amsterdam:Elselvier pp273-289;Itakura et al.(1
984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakura et al.(1984)Science 198:1056;Ike et
al.(1983)Nucleic Acid Res.11:477参照)。そのような技術は、他のタンパク質
の定方向進化に使用されてきた(例えば、Scott et al.(1990)Science 249:386-
390;Roberts et al.(1992)PNAS 89:2429-2433;Devlin et al.(1990)Science 249
:404-406;Cwirla et al.(1990)PNAS 87:6378-6382;並びに米国特許第5,223,409
号、同第5,198,346号、および同第5,096,815号参照)。
【0165】 点突然変異により作成された無作為配列ライブラリの遺伝子産物のスクリーニ
ングについて、およびある特性を有する遺伝子産物についてのcDNAライブラリの
スクリーニングについて、当該技術において広い範囲の技術が知られている。そ
のような技術は通常、MIF相同体の無作為配列突然変異誘発により作成される遺
伝子ライブラリの急速なスクリーニングに適合できるであろう。大きい遺伝子ラ
イブラリのスクリーニングに最も広く使用されている技術は、通常、遺伝子ライ
ブラリを複製可能な発現ベクター中にクローニングし、生じたベクターのライブ
ラリで適切な細胞を形質転換し、所望の活性の検出が、産物が検出された遺伝子
をコードするベクターの相対的に容易な単離を促進する条件下で、無作為配列遺
伝子を発現させる、各工程を含む。以下に記載される説明のための分析はそれぞ
れ、無作為配列突然変異誘発技術により産生される多数の変性MIF配列のスクリ
ーニングに必要であるとして高処理量分析で分析できる。
【0166】 ある実施の形態において、無作為配列ライブラリは、上述のようにGFP-p53細
胞と共培養できる真核細胞のトランスフェクションに使用する。無作為配列ライ
ブラリを発現させる細胞により分泌される機能性MIFタンパク質は、隣接するMEF
細胞に拡散し、増殖を誘発する。増殖の検出のパターンは、勾配機能に類似し、
上皮細胞に関し増殖因子として活性のあるMIF相同体を産生する細胞を単離する
(通常は分泌の数回の反復後)。同様にMIF拮抗薬は、同様の方法で、機能性拮
抗薬を産生する細胞が培養培地に加えられる野生型MIFの効果から隣接する細胞
を保護できる(例えば増殖を抑制する)ことにより分泌できる。
【0167】 説明のために、標的のFP-p53処理された細胞を、24穴マイクロタイタープレ
ート中で培養した。他の真核細胞を、無作為配列MIF遺伝子ライブラリでトラン
スフェクションし、マイクロタイタープレートのウェルに適合できる細胞培養イ
ンサート(例えばCollaborative Biomedical Products,Catalog #40446)中で培
養する。インサート中で細胞により分泌される組換えMIF相同体が、インサート
の有孔の底部を通って拡散しマイクロタイタープレートのウェル中で標的細胞に
接触できるように、細胞培養インサートをウェル中に配置する。MIFタンパク質
の機能性形態が標的細胞中に増殖のような測定可能な反応を産生するのに十分な
時間の後、インサートを除去し、標的細胞上の突然変異体MIFタンパク質の効力
を測定する。活性に対し陽性を示す細胞に対応するインサートからの細胞を分離
しいくつかのインサート上で再び培養し、この工程を活性のあるクローンが同定
されるまで繰り返す。
【0168】 無作為配列突然変異誘発は、例えば1026分子のオーダーで、突然変異体タ
ンパク質の非常に大きいライブラリを産生する潜在性を有する。このサイズの無
作為配列ライブラリは、ファージ表示のような高処理量スクリーニング分析を使
用しても技術的にスクリーニングが困難かもしれない。この問題を克服するため
に、ランダムライブラリ中の非機能性タンパク質が非常に高い割合になるのを防
止し機能性タンパク質の頻度だけを高め、従って配列スペースの有用なサンプリ
ングの達成に必要とされる複雑性を減少する、回帰的集合突然変異誘発(REM)と
いう新しい技術が最近開発された。REMは、適切な選択またはスクリーニング方
法が使用されるとライブラリ中で機能性突然変異体の頻度を高めるアルゴリズム
である(Arkin and Yourvan,1992,PNAS USA 89:7811-7815;Yourvan et al.,1992,
Parallel Problem Solving from Nature,2.,In Maenner and Manderick,eds.,El
sevir Publishing Co.,Amsterdam,pp.401-410;Delgrave et al.,1993,Protein E
ngineering 6(3):327-331)。
【0169】 本発明はまた、野生型MIFを模倣または抑制する擬似体、例えばペプチドまた
は非ペプチド因子を産生するためのMIFタンパク質の整復を提供する。従って、
上述のそのような突然変異誘発性技術もまた、生物学的活性に臨界であるMIFタ
ンパク質の決定因子を位置付けるのに有用である。例えば、活性に関係する本発
明のMIFタンパク質のそれぞれのアミノ酸残基を位置付けるスキャンニング突然
変異誘発の使用により、MIF活性を模倣または抑制するペプチド擬態物化合物を
産生できる。例えば、そのような残基の加水分解できないペプチド類似物は、ベ
ンゾジアゼピン(例えば、Freidinger et al.in Peptides:Chemistry and Biolo
gy,G.R.Marshall ed.,ESCOM Publisher:Leiden,Netherlands,1988参照)、アゼ
ピン(例えば、Huffman et al.in Peptides:Chemistry and Biology,G.R.Marsha
ll ed.,ESCOM Publisher:Leiden,Netherlands,1988参照)、置換されたガマラク
タムリング(Garvey et al.in Peptides:Chemistry and Biology,G.R.Marshall
ed.,ESCOM Publisher:Leiden,Netherlands,1988)、ケト−メチレンペプチド擬
態物(Ewensin et al.(1986)J Med Chem 29:295;およびEwenson et al.in Pepti
des:Structure and Function(Proceedings of the 9thAmerican Peptide Sympos
iumPierce Chemical Co.Rockland,IL,1985)、β−ターンジペプチドコア(Naga
i et al.(1985)Tetrahedron Lett 26:647;およびSato et al.(1986)J Chem Soc
Perkin Trans 1:1231)、およびβ−アミノアルコール(Gordon et al.(1985)Bi
ochem Biophys Res Commun 126:419;およびDann et al.(1986)Biochem Biophys
Res Commun 134:71)を使用して産生できる。
【0170】 MIFタンパク質の組換え産生形態は、例えば、少なくとも1つの転写調節配列
に機能できるように結合されたMIFポリペプチドをコードする核酸を含有する発
現ベクターを使用して産生できる。機能できるように結合されたとは、ヌクレオ
チド配列を発現させるようにヌクレオチド配列が調節配列に結合されることを意
味する。調節配列は既知の技術であり、MIFポリペプチドを直接発現するように
選択される。従って、転写調節配列という用語は、プロモーター、エンハンサー
および他の発現制御エレメントを含む。そのような調節配列は、Goeddel;Gene E
xpression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,
CA(1990)に記載されている。例えば、機能できるように結合されるとDNA配列の
発現を制御する配列である、様々の発現制御配列のいずれも、MIFポリペプチド
をコードするDNA配列を発現するこれらのベクター中で使用してよい。そのよう
な有用な発現制御配列は、例えば、モロニーマウス白血病ウイルスのLTRのよう
なウイルス性LTR、SV40の初期および後期プロモーター、アデノウイルスまたは
サイトメガロウイルスの即初期プロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、
T7 RNAポリメラーゼにより発現が行われるT7プロモーター、λファージの主要な
オペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質に対するコントロー
ル領域、3−ホスホグリセレートキナーゼまたは他の解糖酵素に対するプロモー
ター、酸性ホスファターゼのプロモーター、例えばPho5、酵母α−交配因子のプ
ロモーター、バキュロウイルス系の多角体プロモーターおよび原核細胞または真
核細胞またはそのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られている他の配
列、およびそれらの様々の組合せを含む。発現ベクターの作成は、形質転換され
る宿主細胞の選択および/または発現されるのが所望のタンパク質の種類のよう
な因子に依存し得ることを理解すべきである。さらに、ベクターのコピー数、該
コピー数を制御する能力および抗生物質標識のようなベクターによりコードされ
る他のタンパク質の発現も考慮に入れなければならない。
【0171】 精製に容易なMIFポリペプチド供給源の提供に加えて、本発明の遺伝子構成物
はまた、MIFポリペプチドの作用または拮抗形態をコードする核酸を供給する遺
伝子治療方法の一部として使用できる。従って、本発明の別の態様は、特に標的
組織中でMIFポリペプチドの異所性発現を起こす細胞種中で、インビボにおけるM
IFポリペプチドのトランスフェクションをするための発現ベクターを特徴とする
【0172】 そのような発現構成物の製剤は、任意の生物学的に有効なキャリア、例えば、
インビボにおいて細胞に組換え遺伝子を効果的に供給できる任意の配合物または
組成物中に投与してもよい。アプローチとしては、組換えレトロウイルス、アデ
ノウイルス、アデノ関連ウイルス、およびI型単純ヘルペスウイルス、または組
換え細菌または真核プラスミドを含むウイルスベクター中のMIF暗号配列の挿入
が挙げられる。ウイルスベクターは細胞を直接的にトランスフェクションする。
プラスミドDNAは、例えば、カチオン性リポソーム(リポフェクチン)または
誘導化(例えば、接合抗体)、ポリリシン接合体、グラマシジンS、人工ウイル
スエンベロープまたは他のそのような細胞間キャリアの助けにより、並びに遺伝
子構成物の直接の注射またはインビボで行われるCaPO4沈殿により、供給するこ
とができる。適切な標的細胞の形質導入は遺伝子治療における重要な最初の段階
を意味するので、特定の遺伝子供給系の選択は、意図した標的の表現型および投
与の経路、例えば、局部または全身のような要因に依存することが認識されよう
。さらに、インビボにおけるMIF発現の形質導入のために提供される特定の遺伝
子構成物もまた、インビトロにおける細胞の形質導入、例えば以下に記載される
半ビボの組織培養系における使用に有用であることが認識されるであろう。
【0173】 MIFポリペプチドをコードする核酸を細胞中に導入する好ましいアプローチは
、遺伝子産生物をコードする核酸、例えば、cDNAを含有するウイルスベクタ
ーを使用することによるものである。細胞をウイルスベクターで感染させること
には、標的とされる細胞の大部分が核酸を受容できるという利点がある。さらに
、そのウイルスベクター内に、例えば、該ウイルスベクター内に含まれるcDN
Aによりコードされた分子は、ウイルスベクター核酸を吸収した細胞中において
効率的に発現される。
【0174】 レトロウイルスベクターおよびアデノ関連ウイルスベクターは一般的に、外因
性遺伝子をインビボに、特に、ヒト中に移入するための、より抜きの組換え遺伝
子供給系であると考えられている。これらのベクターは、遺伝子を細胞中に効率
的に供給し、移入された核酸は、宿主の染色体DNA中に安定に組み込まれる。
レトロウイルスを使用するための主な必須条件は、特に野生型ウイルスが細胞個
体群中に広がる可能性に関して、それらの使用の安全性を確実にすることにある
。増殖欠陥レトロウイルスのみを産生する特殊細胞系統(「パッケージング細胞
」と称される)の発展により、遺伝子治療にレトロウイルスを利用することが多
くなり、欠陥レトロウイルスが遺伝子治療目的のための遺伝子移入に使用するた
めに明確に特徴付けられている(Miller, A.D. (1990) Blood 76:271を参照のこ
と)。したがって、レトロウイルス暗号配列の一部(gag、pol、env)
が、MIFポリペプチドをコードする核酸により置換されて、レトロウイルスが増
殖欠陥となった組換えレトロウイルスを構成することができる。次いで、この増
殖欠陥レトロウイルスは、標準的な技法によってヘルパーウイルスを使用するこ
とにより標的細胞を感染させるのに用いることができるウイルス粒子中にパッケ
ージされる。組換えレトロウイルスを産生し、そのようなウイルスで細胞をイン
ビトロまたはインビボで感染させるプロトコルが、Current Protocols in Molec
ular Biology, Ausubel, F.M. et al. (eds.) Greene Publishing Associates,
(1989), Sections 9.10-9.14および他の標準的な研究所手引き書に見ることがで
きる。適切なレトロウイルスの例としては、当業者によく知られているpLJ、
pZIP、pWEおよびpEMが挙げられる。環境栄養性レトロウイルスおよび
両栄養性レトロウイルスの両方を調製するのに適したパッケージングウイルス系
統の例としては、ΨCrip、ΨCre、Ψ2およびΨAmが挙げられる。神経
細胞、上皮細胞、内皮細胞、リンパ球、筋芽細胞、肝細胞、骨髄細胞を含む多く
の異なる種類の細胞中にインビトロおよび/またはインビボで様々な遺伝子を導
入するのにレトロウイルスが用いられてきた(例えば、Eglitis et al. (1985)
Science 230:1395-1398; Danos and Mulligan (1988) Proc.Natl.Acad.Sci. USA
85:6460-6464; Wilson et al. (1988) Proc.Natl.Acad.Sci. USA 85:3014-3018
; Armentano et al. (1990) Proc.Natl.Acad.Sci. USA 87:6141-6145; Huber et
al. (1991) Proc.Natl.Acad.Sci. USA 88:8039-8043; Ferry et al. (1991) Pr
oc.Natl.Acad.Sci. USA 88:8377-8381; Chowdhury et al. (1991) Science 254:
1802-1805; van Beusechem et al. (1992) Proc.Natl.Acad.Sci. USA 89:7640-7
644; Kay et al. (1992) Human Gene Therapy 3:641-647; Dai et al. (1992) P
roc.Natl.Acad.Sci. USA 89:10892-10895; Hwu et al. (1993) J.Immunol. 150:
4104-4115; 米国特許第4,868,116号; 米国特許第4,980,286号; PCT出願公開
第WO89/07136号; PCT出願公開第WO89/02468号; PCT出願公開第WO89/05345
号; PCT出願公開第WO92/07573号を参照のこと)。
【0175】 本発明のMIFタンパク質の遺伝子供給系としてレトロウイルスベクターを選択
する際に、ほとんどのレトロウイルスによる標的細胞のうまくいく感染、したが
って、組換え遺伝子の安定な導入の必須条件は、標的細胞が分裂していなければ
ならないことであるということに留意することが重要である。一般的に、この必
要条件は、本発明のMIF遺伝子構成物を供給するためにレトロウイルスを使用す
ることへの障害にはならない。実際に、そのような感染における制限は、標的細
胞を囲む組織(例えば形質転換されない細胞)が多くの細胞分裂を受けずしたが
ってレトロウイルスベクターによる感染に抵抗力がある場合に有益である。
【0176】 さらに、ウイルス粒子の表面上のウイルスパッケージングタンパク質を変更す
ることにより、レトロウイルスの、そしてその結果として、レトロウイルスベー
スのベクターの感染スペクトルを制限できることが示されている(例えば、PC
T出願公開第WO93/25234号、同第WO94/06920号、および同第WO94/11524号を参照
のこと)。例えば、レトロウイルスベクターの感染スペクトルを変更する戦略と
しては、ウイルスenvタンパク質に細胞表面抗原に特異的な抗体を結合させる
こと(Roux et al. (1989) PNAS 86:9079-9083; Julan et al. (1992) J.Gen Vi
rol 73:3251-3255; and Goud et al. (1983) Virology 163:251-254);または
ウイルスenvタンパク質に細胞表面リガンドを結合させること(Neda et al.
(1991) J Biol Chem 266:14143-14146)が挙げられる。結合は、タンパク質また
は他の種類との化学的架橋の形態(例えば、envタンパク質をアシアログリコ
プロテインに転化させるラクトース)にあっても、並びにMIFタンパク質(例え
ば、一本鎖抗体/env MIFタンパク質)の産生によっても差し支えない。この
技法は、その感染をある組織の種類に制限したり、他の方法で指示したりするの
に有用である一方で、環境栄養性ベクターを両栄養性ベクターに転化させるのに
も使用することができる。
【0177】 さらに、レトロウイルス遺伝子供給の用途は、レトロウイルスベクターのMIF
遺伝子の発現を制御する組織または細胞特異的転写調節配列を使用することによ
りさらに増やすことができる。
【0178】 本発明に有用な別のウイルス遺伝子供給系では、アデノウイルス由来ベクター
を使用する。アデノウイルスのゲノムは、そのゲノムが関心のある遺伝子産物を
コードするが、正常な溶菌ウイルス生活周期において増殖する能力に関して不活
性であるように操作することができる(例えば、Berkner et al. (1988) Bio Te
chniques 6:616; Rosenfeld et al. (1991) Science 252:431-434; and Rosenfe
ld et al. (1992) Cell 68:143-155を参照のこと)。アデノウイルス株Adタイ
プ5 dl324またはアデノウイルスの他の株(例えば、Ad2、Ad3、A
d7等)由来の適切なアデノウイルスベクターが当業者によく知られている。組
換えアデノウイルスは、それらが、非分裂細胞を感染できず、内皮細胞(Lemarc
hand et al. (1992) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6482-6486)、および平滑筋細
胞(Quantin et al. (1992) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:2581-2584)を含む様
々な細胞の種類を感染させるのに使用できるという点で、ある環境においては有
益なことがある。さらに、ウイルス粒子は、精製および濃度に対して比較的安定
で耐性があり、前述したように、感染性のスペクトルに影響を与えるように変更
することができる。さらに、導入されたアデノウイルスDNA(およびその中に
含まれる異種DNA)は、宿主細胞のゲノム中に組み込まれないが、エピソーム
のままであり、それによって、導入されたDNAが宿主ゲノム(例えば、レトロ
ウイルスDNA)中に組み込まれる状況における挿入突然変異誘発の結果として
生じることがある潜在的な問題が避けられる。さらに、異種DNAに関するアデ
ノウイルスゲノムの運搬容量は、他の遺伝子供給ベクターに対して大きい(8キ
ロ塩基まで)(Berkner et al. 前出; Haj-Ahmand and Graham (1986) J.Virol.
57:267)。現在使用されており、したがって、本発明により好まれるほとんど
の増殖欠陥アデノウイルスベクターは、ウイルスE1およびE3遺伝子の全てま
たは一部が欠失しているが、アデノウイ ルス遺伝材料の80%ほど多くを維持している(例えば、Jones et al. (1979) Ce
ll 16:683; Berkner et al., 前出; and Graham et al. in Methods in Molecul
ar Biology, E.J.Murray, Ed. (Humana, Clifton, NJ, 1991) vol.7.pp.109-127
を参照のこと)。挿入された遺伝子の発現は、例えば、E1Aプロモータ、主要
後期プロモータ(major late promoter: MLP)および関連リーダー配列、E
3プロモータ、または外因的に加えられたプロモータ配列の制御下にあることが
できる。
【0179】 本発明のMIFポリペプチドの供給に有用なさらに別のウイルスベクター系はア
デノ関連ウイルス(AAV)である。アデノ関連ウイルスは、効率的な増殖およ
び生産的生活周期のためのヘルパーウイルスとして、アデノウイルスまたはヘル
ペスウイルスのような別のウイルスを必要とする天然に存在する欠陥ウイルスで
ある(Muzyczka et al. Curr.Topics in Micro. and Immunol. (1992) 158:97-1
29を参照のこと)。このウイルスは、そのDNAを非分裂細胞中に組み込むかも
しれない数少ないウイルスの内の1つであり、高い頻度の安定な組込みを示す(
例えば、Flotte et al. (1992) Am.J.Respir.Cell.Mol.Biol. 7:349-356; Samul
ski et al. (1989) J.Virol. 63:3822-3828; and McLaughlin et al. (1989) J.
Virol. 62:1963-1973を参照のこと)。300塩基対ほどの少ないAAVを含有する
ベクターをパッケージングし、組み込むことができる。外因性DNAの空間は、
4.5kbに制限されている。Tratschin et al. (1985) Mol.Cell.Biol. 5:3251-3
260に記載されたもののようなAAVベクターを用いて、DNAを細胞中に導入
することができる。様々な核酸がAAVベクターを用いて異なる種類の細胞中に
導入されてきた(例えば、Hermonat et al. (1984) Proc.Natl.Acad.Sci. USA 8
1:6466-6470; Tratschin et al. (1985) Mol.Cell.Biol. 4:2072-2081; Wondisf
ord et al. (1988) Mol.Endocrinol. 2:32-39; Tratschin et al. (1984) J.Vir
ol. 51:611-619; and Flotte et al. (1993) J.Biol.Chem. 268:3781-3790を参
照のこと)。
【0180】 遺伝子治療に用途があるかもしれない他のウイルスベクター系が、ヘルペスウ
イルス、ワクシニアウイルス、およびいくつかのRNAウイルスから由来する。
特に、ヘルペスウイルスベクターは、神経幹細胞のような中枢神経系の細胞、お
よび眼組織中の本発明のMIFタンパク質の連続発現のために独特な戦略を提供す
るであろう(Pepose et al. (1994) Invest Ophthalmol Vis Sci 35:2662-2666
)。
【0181】 上述したようなウイルス移入方法に加えて、非ウイルス方法を用いて、動物の
組織中で本発明のタンパク質の発現を行っても差し支えない。遺伝子を移入させ
るほとんどの非ウイルス方法は、高分子の吸収および細胞内輸送のためにほ乳類
細胞に用いられる正常な機構によるものである。好ましい実施の形態において、
本発明の非ウイルス遺伝子供給系は、標的細胞による遺伝子の取込みのための飲
食作用経路による。この種類の例としての遺伝子供給系としては、リポソーム由
来系、ポリリシン接合体、および人工ウイルスエンベロープが挙げられる。
【0182】 ある実施の形態において、本発明のタンパク質の内の1つをコードする遺伝子
は、それらの表面上に正の電荷を担持するリポソーム(例えば、リポフェクチン
)であって、(必要に応じて)標的組織の細胞表面抗原に対する抗体が付けられ
たリポソーム内に閉じ込められていても差し支えない(Mizuno et al. (1992) N
o Shinkei Geka 20:547-551; PCT出願公開第WO91/06309号; 日本国特許出願
第1047381号; および欧州特許出願公開第EP-A-43075号)。例えば、神経膠腫細
胞のリポフェクション(lipofection)は、膠腫関連抗原に対するモノクローナル
抗体が付けられたリポソームを用いて行うことができる(Mizuno et al. (1992)
Neurol.Med.Chir. 32:873-876)。
【0183】 さらに別の実施の形態において、遺伝子供給系は、ポリリシンのような遺伝子
結合剤により架橋された抗体または細胞表面リガンドを含む(例えば、PCT出
願公開第WO93/04701号、同第WO92/22635号、同第WO92/20316号、同第WO92/19749
号、および同第WO92/06180号を参照のこと)。例えば、本発明の遺伝子構成物を
用いて、ポリカチオン、例えば、ポリリシンに接合されたアシアログリコプロテ
インを含む溶性ポリヌクレオチドキャリアを用いたインビボでの肝細胞の移入を
行っても差し支えない(米国特許第5,166,320号を参照のこと)。受容体媒介飲
食作用による本発明の核酸構成物の効果的な供給は、遺伝子のエンドソーム構造
からの逃避を向上させる試薬を用いて改善することができることが認識されよう
。例えば、インフルエンザHA遺伝子産物のフソゲニック(fusogenic)ペプチド
または全アデノウイルスを、供給系の一部として用いて、DNA含有エンドソー
ムの効率的な分断を誘発することができる(Mulligan et al. (1993) Science 2
60-926; Wagner et al. (1992) PNAS 89:7934; and Christiano et al. (1993)
PNAS 90:2122)。
【0184】 臨床の背景においては、本発明の遺伝子供給系は、それぞれが当該技術におい
てよく知られている多くの方法のいずれによっても、細胞または組織培養物、あ
るいは適切な患者中に導入できる。例えば、遺伝子供給系の薬剤は、例えば静脈
注射により全身に導入でき、遺伝子供給媒体、遺伝子の発現をコントロールする
転写調節配列による細胞型または組織型発現、またはそれらの組合せにより提供
されるトランスフェクションの特異性から、標的細胞の特異的形質導入が主とし
て起こる。他の実施の形態において、組換え遺伝子の初期供給は、完全に限局化
された動物中への導入によってより制限される。例えば、遺伝子供給媒体は、カ
テーテルにより(米国特許第5,328,470号参照)または定位挿入により(例えばC
hen et al.(1994)PNAS 91:3054-3057)または遺伝子治療ベクターの局所施用に
より導入できる。
【0185】 さらに、薬剤は実質的に、許容できる希釈液中の遺伝子供給系から成ってもよ
い、または遺伝子供給媒体が内部に埋め込まれている緩効性基質を含んでもよい
。あるいは、完全な遺伝子供給系が、例えばレトロウイルスパッケージのような
組換え細胞からのタクト(tact)中で産生できる場合、薬剤は遺伝子供給系を産
生する細胞を1つ以上含んでもよい。後者の場合、ウイルスパッケージ細胞を導
入する方法は、例えば充電式または生物分解性装置により提供されてもよい。様
々の緩効性重合体装置が開発され、タンパク様の生物薬剤を含む薬のコントロー
ルされた供給について近年インビトロでテストが行われ、これは重合体の組成物
および形態の操作によるウイルス粒子の放出に適合できる。生物分解性および非
分解性重合体の両方を含む、様々の生物適合性重合体(ヒドロゲルを含む)は、
特定の標的部位に移植された細胞によるウイルス粒子の持続放出のための移植組
織の形成に使用できる。本発明のそのような実施の形態は、重合体装置中に取り
込まれた外因的に精製されたウイルスの供給に、または重合体装置中に被包され
た細胞により産生されるウイルス粒子の供給に使用できる。
【0186】 単量体組成物または重合技術の選択により、水、有孔性およびその結果の浸透
性の特徴をコントロールできる。形、サイズ、重合体、および移植方法の選択は
、治療すべき障害による個体基準および個々の患者の応答に基づいて決定できる
。そのような移植組織の産生は通常、当該技術において知られている。例えば、
Concise Encyclopedia of Medical & Dental Materials,ed.by David Williams(
MIT Press:Cambridge,MA,1990);およびSabel et al.米国特許第4,883,666号参
照。移植組織の別の実施の形態において、組換えウイルスを産生する細胞の供給
源が、移植可能な中空繊維内に被包される。そのような繊維は、予め紡ぎ、次い
で、ウイルス供給源を充填することができる(Aebischer et al.米国特許第4,89
2,538号;Aebischer et al.米国特許第5,106,627号;Hoffman et al.(1990)Expt
.Neurobiol.110:39-44;Jaeger et al.(1990)Prog.Brain Res.82:41-46;および
Aebischer et al.(1991)J.Biomech.Eng.113:178-183)、またはウイルスパッケ
ージング細胞の周りに重合体被覆を形成するように機能する重合体と共に押し出
すことができる(Lim米国特許第4,391,909号;Sefton米国特許第4,353,888号;S
ugamori et al.(1989)Trans.Am.Artif.Intern.Organs 35:791-799;Sefton et a
l.(1987)Biotechnol.Bioeng.29:1135-1143;およびAebischer et al.(1991)Biom
aterials 12:50-55)。また、重合体の操作は、ウイルス粒子を最適に放出する
ように行うこともできる。
【0187】 さらに別の実施の形態において、MIFの異所性発現は、ゲノムDNAによる相
同組換えにより、内因性MIF遺伝子の転写調節配列を変更する「遺伝子活性化」
構成物によるものであって差し支えない。例えば、遺伝子活性化構成物は、MIF
遺伝子の内因性プロモータを異種プロモータ、例えば、MIF遺伝子の構成性発現
を生じるまたは遺伝子の正常な発現パターンとは異なる条件下で遺伝子の誘発性
発現を生じるものにより置換することができる。遺伝子活性化構成物の様々な異
なる形態も利用できる。例えば、トランスカリオティックセラピーズ社(Transka
ryotic Therapies, Inc)のPCT公報第WO93/09222号、同第WO95/31560号、同第
WO96/29411号、同第WO95/31560号および同第WO94/12650号を参照のこと。
【0188】 好ましい実施の形態において、遺伝子活性化構成物として用いられるヌクレオ
チド配列は、(1)組換えを指示する内因性MIF遺伝子のいくつかの部分(エクソン
配列、イントロン配列、プロモータ配列等)からのDNAおよび(2)遺伝子活性
化構成物の組換えの際にゲノムMIF遺伝子の暗号配列に機能できるように結合す
べき異種転写調節配列から構成することができる。MIF産生細胞の培養物の産生
に使用するために、この構成物は、細胞中のノックアウト(knockout)構成物を検
出するレポーター(reporter)遺伝子を含んでもよい。
【0189】 遺伝子活性化構成物は、細胞中に挿入され、天然のMIF遺伝子と機能できるよ
うに結合する異種調節配列を提供するような位置に細胞のゲノムDNAと統合す
る。そのような挿入は、同種組換えにより生じる、すなわち、内因性MIF遺伝子
配列と相同の活性化構成物の組換え領域がゲノムDNAとハイブリダイズし、該
構成物がゲノムDNAの対応する位置に組み込まれるようにゲノム配列と組み換
えられる。
【0190】 「組換え領域」または「標的配列」という用語は、例えば、ゲノム遺伝子の5
’隣接配列を含む、ゲノム遺伝子配列と実質的に同一のまたは実質的に相補的な
配列を有する遺伝子活性化構成物のセグメント(すなわち、部分)を称し、ゲノ
ム配列と標的トランスジーン構成物との間の同種組換えを促進できる。
【0191】 ここで用いたように、「置換領域」という用語は、組換え領域とゲノム配列と
の間の同種組換え後に内因性染色体位置に組み込まれるようになる活性化構成物
の一部を称する。
【0192】 例えば、置換領域中に提供される異種調節配列は、プロモータ(構成性または
誘発性プロモータのような)、エンハンサー、陰性調節要素、遺伝子座制御領域
、転写因子結合部位、またはそれらの組合せを含む、様々な要素の内の1つ以上
を含むことができる。インビボの標的遺伝子の発現を制御するのに使用してもよ
いプロモータ/エンハンサーとしては、限定されるものではないが、サイトメガ
ロウイルス(CMV)プロモータ/エンハンサー(Karasuyama et al., 1989, J
.Exp.Med. 169:13)、ヒトβアクチンプロモータ(Gunning et al. (1987) PNAS
84:4831-4835)、マウス乳癌ウイルス長端反復配列(MMTVLTR)中に存
在するグルココルチコイド誘発性プロモータ(Klessig et al. (1984) Mol.Cell
Biol. 4:1354-1362)、モロニーマウス白血病ウイルス(MuLVLTR)(We
iss et al. (1985) RNA Tumor Viruses, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold
Spring Harbor, New York)、SV40初期または後期領域プロモータ(Bernoi
st et al. (1981) Nature 290:304-310; Templeton et al. (1984) Mol.Cell Bi
ol., 4:817; and Sprague et al. (1983) J.Virol., 45:773)、ニワトリ肉腫ウ
イルス(RSV)の3’長端反復配列中に含まれるプロモータ(Yamamoto et al
., 1980, Cell, 22:787-797)、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナ
ーゼプロモータ/エンハンサー(Wagner et al. (1981) PNAS 82:3567-71)、お
よび単純ヘルペスウイルスLATプロモータ(Wolfe et al. (1992) Nature Gen
etics, 1:379-384)が挙げられる。
【0193】 さらに他の実施の形態において、置換領域は、例えば、発現を活性化させるた
めに、天然のMIF遺伝子の陰性転写制御要素を単に欠失する。
【0194】 MIFによるようなチェックポイントバイパスの可逆性は、例えばMIFポリペプチ
ドの暗号配列のような、バイパス因子の暗号配列の発現を制御する誘発性転写調
節配列が存在するために誘発性である発現系を使用することにより生じさせるこ
とができる。誘発性プロモータは、培養条件の変化、例えば、栄養物の有無また
は温度の変化に応答してそれらの制御の元でDNAから増大したレベルの転写を
開始するプロモータである。細胞を患者に移植すべき場合には、この誘発性プロ
モータは、好ましくは、小さな分子または宿主動物にとって内因性ではない他の
因子により調節されるものである。
【0195】 例としての調節可能なプロモータとしては、例えば、Gossen et al. (1992) P
NAS 89:5547-5551; and Pescini et al., (1994) Biochem.Biophys.Res.Comm. 2
02:1664-1667に記載されているようなテトラサイクリン応答性プロモータが挙げ
られる。別の実施の形態において、本発明の方法では、SchreiberおよびCrabtre
eにより最初に開発された多量体化(multimerization)が用いられる。この技法に
より、転写的に活性な複合体を組み立てるために小さな分子「二量体化体(dimer
izer)」に依存するキメラ転写因子を使用することにより、内因性遺伝子または
異種遺伝子、この場合は、TRTまたはテロメラーゼ活性化物質の暗号配列の発現
を調節することができる。例えば、PCT公報第WO96/12796号、同第WO95/05389
号、同第WO95/02684号、同第WO94/18317号、同第WO96/06097号、および同第WO96
/06110号を参照のこと。さらに、人工二量体化分子を使用することにより、転写
調節配列に内因性DNA結合および活性化領域を動員できる多数の技法が、最近
開発された。例えば、PCT公報第WO96/13613号を参照のこと。
【0196】 別の実施の形態においては、本システムの可逆性は、国際特許出願公開第98/1
2339号に記載されているようなベクターの使用により生じる。これらのベクター
は、MIFポリペプチドの暗号配列の側面に位置する、組換え部位のような切除エ
レメントを含む。細胞を適切なレコンビナーゼと接触させた後、レコンビナーゼ
部位の間のベクター配列を切除する。好ましい実施の形態において、ベクターは
レトロウイルスベクターであり、そのレコンビナーゼ部位はプロウイルス配列の
切除が行われるような、例えばウイルスベクターが宿主細胞の染色体DNAから完
全にまたはほぼ完全に切除されるような、LTR内に位置する。
【0197】 他の実施の形態において、MIF発現の可逆性は、MIFの条件付きで活性な(条件
付きで不活性な)形態を使用することにより実施することができる。例えば、温
度感受性突然変異体を本発明の方法に用いることができる。細胞を動物中に移植
すべき実施の形態において、ts突然変異体は、体温(非許容的温度)で不活性
であり、それより低いか高い細胞培養温度で活性であることができる。
【0198】 説明のために、関心のある遺伝子中のts突然変異体に関する調査の必要がな
い、温度感受性突然変異体を産生する戦略の1つは、移植性(portable)熱誘発
性N−デグロン(degron)に基づく。N−デグロンは、その必須決定因子がタンパ
ク質の「脱安定化(destabilizing)」N末端残基である細胞内分解シグナルであ
る。異なる脱安定化残基を含有する一連のN−デグロンは、N末端規則として発
現され、このことにより、タンパク質のインビボ半減期が、そのN末端残基の同
定に関連付けられる。真核細胞において、N−デグロンは、少なくとも2つの決
定因子:脱安定化N末端残基および基質の特異的内部Lys残基(複数の残基)
からなる。Lys残基はマルチユビキチン(multiubiquitin)鎖の付着部位である
。ユビキチンは、他のタンパク質へのその共有結合が、タンパク質分解を含む経
路を主に通って、多数の細胞過程における役割を果たすタンパク質である。MIF
または他のチェックポイントバイパス因子の条件性突然変異体を産生するために
適用できる例としての熱誘導性N−デグロンモジュールの説明に関しては、米国
特許第5,705,387号および同第5,538,862号、並びにDohmen et al. (1994) Scien
ce 263:1273-6を参照のこと。
【0199】 細胞が培地中で処理される実施の形態において、MIFまたは他のチェックポイ
ントバイパス因子をコードするRNAを、例えばインビトロにおける転写により産
生されるRNAから、細胞中に直接導入できる。
【0200】 さらに別の実施の形態において、内因性MIF遺伝子の発現を活性化させる膜透
過性薬剤(例えば、好ましくは、小さな有機分子)を同定することができる。ゲ
ノムMIF遺伝子の有用性を考慮すると、レポーター遺伝子がMIF遺伝子の転写調節
配列に機能できるように結合しているレポーター構成物を産生することができる
。MIF調節配列によりそのレポーター構成物を活性化するための適切な細胞内機
構を有する細胞中に移入されたときに、そのような化合物を同定する細胞ベース
のアプローチに、得られた細胞を使用することができる。
【0201】 さらに別の実施の形態において、適切な程度まで、MIFの細胞内レベルを、そ
の自然の交代速度を抑制することにより、上方調節(upregulate)することができ
る。例えば、MIFのユビキチン依存性または独立性分解の阻害因子を用いて、細
胞中のタンパク質の濃度が人工的に上昇させられるという意味で、MIFの異所性
発現を行うことができる。
【0202】 さらに別の実施の形態において、MIF活性の非ペプチド抑制因子を、MIF活性の
拮抗作用に依存する本発明の方法の実施の形態において使用してもよい。精製さ
れたおよび組換えMIFポリペプチドの有用性、並びにここに記載されるp53-バイ
パスアッセイは、特に細胞増殖および/または分化の病原における役割である、M
IFタンパク質の正常なp53-バイパス機能の作用薬または拮抗薬である、小さい有
機分子のような薬剤についてのスクリーニングに使用できるアッセイシステムの
産生を容易にする。従って、ある実施の形態において、MIF治療薬は、例えばペ
プチド、核酸、炭水化物、小さい有機分子、または天然産物抽出物(またはその
分画)でもよい。
【0203】 さらに説明するために、ヒトMIFのサブユニット構成物(Sun et al.(1996)Prot ein Eng 9:631-5)およびおそらく溶液中のタンパク質の主な形態は、三量体であ
る。MIFのサブユニットの配列は腫瘍壊死因子の配列に類似しており、シグナル
の形質導入はレセプターサブユニットの三量体化を必要とするかもしれない。簡
単な競合アッセイを行って、MIF複合体の構成を破壊し、MIF治療薬のようにおそ
らく野生型MIFの拮抗薬になるであろう物質を同定できる。同様に、この機能の
証拠は、MIFのC末端が三量体構造に必要であるという概念を支持する(Mischke e
t al.(1997)FEBS Lett 414:226-32)。従って、オリゴマー化領域を含むMIFの断
片は、全長タンパク質と複合して、野生型タンパク質の生物学的活性を減少させ
る(例えば、優性陰性抑制因子または弱い作用薬のように)。
【0204】 本発明の別の態様は、1つ以上の他の治療薬が、MIF治療薬とともに投与され
る共同治療を提供する。そのような共同治療は、治療に用いる個々の成分の同時
の、連続した、または別々の投与により行ってもよい。例えば、MIF治療薬は、
成長因子および他の分裂試薬と共同して投与しても差し支えない。ここに用いた
ように、分裂試薬は、標的細胞個体群の増殖を刺激できる、ペプチド、タンパク
質、および糖タンパク質を含む任意の化合物または組成物を称する。例えば、MI
F治療薬は、レクチン、例えば、コンカナバリンAまたはフィトヘマグルチニン
のようなT細胞分裂試薬と共同して投与しても差し支えない。他の分裂試薬の例
としては、インシュリン様成長因子(IGF)、血小板由来成長因子(PDGF
)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、および形質転換成長因子(TGF)の内の
あるものが挙げられる。
【0205】 調製されるMIF治療薬の供給源は、薬の特定の形態に依存するであろう。小さ
い有機分子およびペプチジル断片は、化学的に合成され、薬剤/化粧品としての
使用に適切な純粋な形態で提供できる。天然抽出の産物は、当該技術において知
られる技術により精製できる。例えば、Cox et al.の米国特許第5,286,654号に
は、分泌されたタンパク質の天然発生形態を精製する方法が記載されており、MI
Fポリペプチドの精製に適合できる。MIFポリペプチドの組換え供給源もまた、上
述のように利用できる。
【0206】 ヒトおよび他の動物の治療における当業者は、薬剤または化粧品に調製される
MIF治療薬の効果的な量を測定できる。
【0207】 本発明の方法において使用されるMIF治療薬は、最も好ましくは適切な組成物
の形態で施用される。適切な組成物としては、全身的なまたは局所的な薬の投与
に通常使用される全ての組成物が挙げられる。薬学的に許容できるキャリアは、
活性成分と作用しないように、実質的に挿入しなければならない。適切な挿入キ
ャリアは、水、アルコールポリエチレングリコール、鉱油または石油ゲル、プロ
ピレングリコール等を含む。
【0208】 本発明の薬剤組成物を調製するために、活性成分としての特定のMIF治療薬の
効果的な量を、投与に所望な試料の形態に依存して多様な形態を取る、薬学的に
許容できるキャリアと化合して完全な混合物にする。これらの薬剤組成物は、特
に、経口的、直腸的、経皮的、または非経口注入による投与に適切な単一の投薬
形態であることが所望である。例えば、経口投薬形態の組成物の調製においては
、懸濁液、シロップ、エリキシルおよび溶液のような経口液状試料の場合には例
えば水、グリコール、油、アルコール等のような通常の薬剤媒質を;粉末、丸剤
、カプセル、および錠剤の場合にはデンプン、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、
崩壊剤等のような固体キャリアを使用してもよい。投与が容易なので、錠剤およ
びカプセルは最も利点のある経口投薬ユニット形態を示し、この場合明らかに固
体の薬剤キャリアが使用されている。非経口組成物については、例えば溶解性を
促進するために他の成分が含まれていても、キャリアは通常少なくとも大部分に
無菌水を含む。注射可能な溶液は、例えばキャリアが食塩水、グルコース溶液ま
たは食塩とグルコースの混合溶液を含むように調製してもよい。注射可能な懸濁
液を調製してもよく、この場合適切な液体キャリア、懸濁物質などを使用しても
よい。使用の直前に液体形態の薬剤に変化される固体形態の薬剤も含まれる。経
皮投与に適切な組成物においては、キャリアは任意に、皮膚上に重大な有害効果
をもたらさない性質の適切な添加物を小さい割合で任意に組み合わせた、貫入増
強薬および/または適切な加湿薬を含む。
【0209】 薬剤の直接的な局所施用に加えて、例えば温度および/または圧力感受性媒体
中にまたは体内で可溶なフィルムまたは固体キャリア等の中に被包し、後に放出
する、好ましくは活性成分を維持しながら放出する他の方法により、局所的に投
与してもよい。
【0210】 局所施用に適切な組成物として、例えばクリーム、ゼリー、包帯、シャンプー
、チンキ、ペースト、軟膏、軟膏剤、粉末、液体または半液体製剤等のような局
所施用治療に通常使用される全ての組成物が挙げられる。窒素二酸化炭素である
フレオンのような噴射剤を有する、またはポンプスプレーのような噴射剤、ドロ
ップ、ローション剤、またはスワブにより施用できる濃縮組成物のような半固体
を有さないエアロゾルにより、前記組成物を施用してもよい。特定の組成物にお
いては、軟膏剤、クリーム、ペースト、ゼリー、軟膏等のような半固体の組成物
が、都合よく使用されるであろう。
【0211】 投与の容易および投薬の均一性のために本発明の組成物を投薬ユニット形態に
調製することは、特に利点がある。本明細書および請求の範囲で使用されるよう
な投薬ユニット形態は、単位的な投薬として適切なユニットを物質的に絶やすこ
とに関し、それぞれのユニットは、必要な薬剤キャリアと共に所望の治療効果を
産生するように計画された活性成分をあらかじめ決められた量含有している。そ
のような投薬ユニット形態の例は、錠剤(溝のついたまたは被覆された錠剤を含
む)、カプセル、丸剤、粉末の小包、オブラート、注射可能な溶液または懸濁液
、茶さじ一杯、テーブルスプーン一杯等、およびそれらの別々なものの倍数であ
る。
【0212】 本発明の薬剤は、上述のように、美容上の使用と考慮することもできる多くの
施用に使用できる。好ましくは低アレルギー性でpHがコントロールされた、当該
技術において知られる化粧品組成物が特に好ましく、化粧水、パック、ローショ
ン、皮膚乳液または乳液状のローションを含む。製剤は、MIF治療薬のほかに、
そのような製剤中で通常使用される成分を含有する。そのような成分の例は、油
、脂肪、ロウ、界面活性剤、湿潤薬、肥厚薬、抗酸化剤、粘性安定剤、キレート
剤、緩衝剤、防腐薬、香水、染料、低級アルカノール等である。所望なら、例え
ば抗炎症薬、抗菌薬、抗真菌薬、消毒剤、ビタミン、日焼け止め、抗生物質、ま
たは他の抗座瘡薬のような、さらなる成分を組成物中に混合してもよい。
【0213】 油の例は、オリーブオイルおよび水素添加油のような脂肪および油;密ロウお
よびラノリンのようなロウ;液体パラフィン、セレシン、およびスクアレン;ス
テアリン酸およびオレイン酸のような脂肪酸;セチルアルコール、ステアリルア
ルコール、ラノリンアルコール、およびヘキサデカノールのようなアルコール;
およびミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルおよびステアリン
酸ブチルのようなエステルを含む。界面活性剤の例としては、ステアリン酸ナト
リウム、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルホスフェ
ート、N-アシルグルタミン酸ナトリウムのような陰イオン性界面活性剤;塩化ス
テアリルジメチルベンジルアンモニウムおよび塩化ステアリルトリメチルアンモ
ニウムのような陽イオン性界面活性剤;塩酸アルキルアミノエチルグリシン溶液
およびレシチンのような両性電解質の界面活性剤;およびグリセリンモノステア
レート、ソルビタンモノステアレート、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリ
コールモノステアレート、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリエチレン
グリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート
、ポリオキシエチレンココナット脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシプロ
ピレングリコール(例えば商標“Pluronic”の下で販売される物質)、ポリオキ
シエチレンヒマシ油、およびポリオキシエチレンラノリンのような非イオン性界
面活性剤が挙げられる。湿潤薬の例は、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、
およびプロピレングリコールを含む;低級アルコールの例は、エタノールおよび
イソプロパノールを含む;肥厚薬の例は、キサンタンガム、ヒドキシプロピルセ
ルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびナトリ
ウムカルボキシメチルセルロースを含む;抗酸化剤の例は、ブチル化ヒドロキシ
トルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、クエン酸および
エトキシキンを含む;キレート剤の例は、エデト酸二ナトリウムおよびエタンヒ
ドロキシ二リン酸を含む;緩衝剤の例は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ
酸、ホウ砂、およびリン酸水素二ナトリウムを含む;および防腐薬の例は、メチ
ルパラヒドロキシベンゾエート、エチルパラヒドロキシベンゾエート、デヒドロ
酢酸、サリチル酸および安息香酸である。
【0214】 軟膏、クリーム、化粧水、皮膚乳液等の調製については、通常0.01%から10%ま
で特に0.1%から5%までおよびさらに特定すると0.2%から2.5%までの活性成分、例
えばMIF治療薬を、組成物中に混合する。軟膏またはクリームにおいては、キャ
リアは例えば1%から20%まで、特に5%から15%までの湿潤薬、0.1%から10%まで特
に0.5%から5%までの肥厚薬および水からなる;または前記キャリアは、70%から9
9%まで、特に20%から95%までの界面活性剤、および0%から20%まで、特に2.5%か
ら15%までの脂肪;または80%から99.9%まで特に90%から99%までの肥厚薬;また
は5%から15%までの界面活性剤、2%から15%までの湿潤薬、0%の80%までの油、非
常に少ない(<2%)量の防腐薬、色素および/または香水、および水からなってもよ
い。化粧水においては、キャリアは例えば、2%から10%までの低級アルコール、0
.1%から10%まで特に0.5%から1%までの界面活性剤、1%から20%まで、特に3%から7
%までの湿潤薬、0%から5%までの緩衝剤、水および少量(<2%) の防腐薬、染料お
よび/または香水からなる。皮膚乳液においては、キャリアは通常、10%から50%
までの油、1%から10%までの界面活性剤、50%から80%までの水および0%から3%ま
での防腐薬および/または香水からなる。前記の製剤においては、%記号は重量パ
ーセンテージによる重量に関する。
【0215】 本発明の方法において使用するための特定の組成物は、MIF治療薬がリポソー
ム含有組成物に調製されることを特徴とするものである。リポソームは、例えば
ホスファチジルコリン、エタノールアミンおよびセリン、スフィンゴミエリン、
カルジオリピン、プラズマロゲン、ホスファチジン酸およびセレブロシドなどの
極脂質のような両親媒性分子により形成される人工小胞である。適切な両親媒性
分子が水または水溶液中で膨張して、通常、水性物質により互いに分離される多
くの二重層からなる多層構造の液体結晶を形成する場合に、リポソームが形成さ
れる(粗リポソームとも称される)。液体物質を被包する単一の二重層からなる
ことが知られているリポソームの別の種類は、単層小胞と称される。脂質の膨張
中に水溶性物質が水層に含まれていると、それらは、脂質二重層の間の水層に入
る。
【0216】 例えばMIFポリペプチドの様々の塩の形態のような水溶性の活性成分は、分子
層の間の水性の空間に被包される。有機擬態物のようなMIF治療薬の脂溶性活性
成分は、極性の頭部基が層から水溶性の空間中に突き出すかもしれないが、脂質
層中に主として組み込まれる。これらの化合物の被包は、多くの方法により達成
できる。最もよく使用される方法は、有機溶媒からの蒸発によりリン脂質の厚い
フィルムをフラスコの壁面上に鋳造することを含む。このフィルムを適切な水性
媒質中に分散させると、多層リポソームが形成される。適切な音波破砕をすると
、粗リポソームは、より小さくて同様に閉じた小胞を形成する。
【0217】 水溶性の活性成分は通常、鋳造フィルムを化合物の水溶液とともに分散させる
ことにより組み込まれる。次に被包されない化合物を、遠心分離、クロマトグラ
フィ、透析または他の適切であると知られる方法により除去する。脂溶性の活性
成分は通常、フィルムを鋳造する前に有機溶媒中にリン脂質とともに溶解させる
ことにより組み込まれる。脂質相中の物質の溶解度を超えないまたは量が脂質の
限界量を超えない場合には、上述の方法により調製されたリポソームは通常、脂
質二重層中の物質の大部分を含有する;被包されない物質からのリポソームの分
離は必要ではない。
【0218】 MIF治療薬のリポソーム製剤形態の調製に特に都合のよい方法は、ここに引用
される欧州特許第A-253,619号に記載されている方法である。この方法において
は、被包された活性成分を含有する単一の二重層化したリポソームを、脂質成分
を有機媒質中に溶解し、脂質成分の有機溶液を圧力下で水溶性成分中に注入し同
時に高速ホモジナイザまたは混合方法で有機成分と水溶性成分とを混合すること
により調製すると、リポソームが自発的に形成される。
【0219】 被包されたMIF治療薬を含有する単一の二重層化したリポソームは直接使用で
きる、または局所施用に適切な薬学的に許容できるキャリア中で使用できる。リ
ポソームの粘性は、例えばキサンチンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロースおよびそれらの混合物のような、適切な肥厚
薬を1つ以上付加することにより増加できる。水溶性成分は、水のみからなって
もよい、または電解質、緩衝系および例えば防腐剤のような他の成分を含有して
もよい。使用できる適切な電解質は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩の
ような金属塩を含む。好ましい金属塩は、塩化カルシウム、塩化ナトリウムおよ
び塩化カリウムである。電解質の濃度は、0mMから260mMまで、好ましくは5mMか
ら160mMまで変化してもよい。水溶性成分を、有機成分の注入中に大きな乱れを
もたらすことにより、均質化に適合できる適切な容器中に配置する。2つの成分
の均質化は、容器内で行うことができる、あるいは、水溶性および有機成分を、
容器外に配置された混合装置中に別々に注入してもよい。後者の場合には、リポ
ソームは混合装置中で形成され、その後採集するために別の容器に移す。
【0220】 有機成分は、例えばエタノール、グリセロール、プロピレングリコールおよび
ポリエチレングリコールのような適切な非毒性の薬学的に許容できる溶媒、およ
び溶媒中に溶解できる適切なリン脂質からなる。使用できる適切なリン脂質は、
例えば、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチ
ジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、リソホスファチジルコリ
ンおよびホスファチジルグリセロールを含む。リポソームの特性を選択的に修飾
するために、他のリン脂質添加物を使用してもよい。そのような他の添加物の例
は、ステアリルアミン、ホスファチジン酸、トコフェノール、コレステロールお
よびラノリン抽出物を含む。
【0221】 さらに、リン脂質の酸化を防止できる他の成分を、有機成分に加えてもよい。
そのような他の成分の例は、トコフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、
ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビルパルミテートおよびアスコルビルオ
レエートを含む。安息香酸、メチルパラベンおよびプロピルパラベンのような防
腐剤も加えてもよい。
【0222】 上述の組成物のほかに、適切な量のMIF治療薬を含有する、例えば硬膏剤、包
帯、包帯剤、ガーゼパッド等のカバーを使用してもよい。いくつかの場合には、
治療製剤を含有する局所製剤をしみ込ませた、硬膏剤、包帯、包帯剤、ガーゼパ
ッド等を使用してもよい。
【0223】 上述した全ての文献および公報をここに引用する。
【0224】 同等物 当業者には、ここに記載した特定のポリペプチド、核酸、方法、アッセイおよ
び試薬に対する数多くの同等物を認識されるかまたは日常的な実験を用いて確認
できる。そのような同等物は、本発明の範囲内にあると考えられる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 コンセンサス配列(配列番号3)を有する、ヒト(配列番号2)、マウス、ラ
ットおよびウシMIFの配列整合
【図2】 p53に誘発される細胞周期の停止を回避できる遺伝子を同定するための分析の
【図3】 培養プレートの写真
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/52 C12N 15/00 ZNAA C12N 5/10 A61K 37/02 C12Q 1/68 C12N 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ハノン,グレゴリー ジェイ アメリカ合衆国 ニューヨーク州 11743 ハンティントン サミス ストリート 92 (72)発明者 ビーチ,デイヴィッド エイチ アメリカ合衆国 ニューヨーク州 11743 ハンティントン サウンド ベイ ドラ イヴ 10 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 CA04 DA02 EA02 FA17 GA11 HA17 4B063 QA19 QQ43 QR08 QR32 QR36 QR42 QR56 QS25 QS34 QX02 4B065 AA90X AA91X AA91Y AB01 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA02 AA19 BA22 MA02 NA14 ZB221 ZB261 4H045 AA30 BA10 CA40 DA12 EA15 EA28 EA51 FA74

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞周期チェックポイントを回避できるポリペプチドを同定
    する方法であって、 (a) 細胞の増殖停止を起こすように細胞周期チェックポイント遺伝子を過発
    現する細胞を産生し、 (b) ポリペプチド産物をコードする核酸を異所的に発現させ、 (c) 該核酸のポリペプチド産物がチェックポイント媒介増殖停止を回避する
    か否かを測定する、 各工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記細胞周期チェックポイントが、p53およびp53様腫瘍サプ
    レッサー、Ink4遺伝子産物、およびCIP/KIP遺伝子産物からなる群より選択され
    ることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2においてチェックポイント媒介増殖
    停止を回避できると同定された、ポリペプチドの精製されたおよび/または組換
    え製剤、またはその相同体。
  4. 【請求項4】 前記ポリペプチドが、可溶性の細胞外ポリペプチドであるこ
    とを特徴とする請求項3記載の製剤。
  5. 【請求項5】 請求項3記載のポリペプチドをコードする核酸。
  6. 【請求項6】 細胞増殖を誘発する方法であって、細胞を、インビトロまた
    はインビボで、細胞増殖を誘発する請求項3記載のポリペプチドのある量と接触
    させる工程を含むことを特徴とする方法。
  7. 【請求項7】 細胞増殖を誘発する方法であって、細胞を、インビトロまた
    はインビボで、細胞増殖を誘発するマクロファージ遊走阻止因子(MIF)またはそ
    の相同体のある量と接触させる工程を含むことを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 細胞増殖を誘発する方法であって、細胞を、インビトロまた
    はインビボで、細胞増殖を誘発するのに十分な量で、配列番号2またはその一部
    に同一または相同のMIFアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのペプチド擬
    態物のある量と接触させる工程を含むことを特徴とする方法。
  9. 【請求項9】 細胞が受けることのできる有糸分裂の数を増加させる方法で
    あって、細胞を、細胞の増殖を促進するのに十分な量で、配列番号2またはその
    一部と同一または相同のMIFアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させる工程
    を含むことを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 化学治療薬に対する癌細胞の化学的感受性を改良する方法
    であって、細胞を、十分な量でおよび細胞がp53依存性の細胞死を受ける条件下
    でMIFポリペプチドと接触させる工程を含むことを特徴とする方法。
  11. 【請求項11】 前記MIFポリペプチドが、ストリンジェントな条件下で配
    列番号1にハイブリッド形成する核酸によりコードされることを特徴とする請求
    項7または請求項8いずれか1項記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記方法が、幹細胞または始原細胞の寿命を延ばすことを
    特徴とする請求項7記載の方法。
  13. 【請求項13】 寿命を延長できる前記細胞が、神経細胞、造血細胞、膵細
    胞、および肝の幹細胞および始原細胞からなる群より選択されることを特徴とす
    る請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記方法が、皮膚または他の上皮細胞の寿命を延ばすこと
    を特徴とする請求項7記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記方法が、間葉細胞の寿命を延ばすことを特徴とする請
    求項7記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記方法が、軟骨細胞または骨細胞の寿命を延ばすことを
    特徴とする請求項7記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記方法が、培養物中または移植組織中の細胞の寿命を延
    ばすことを特徴とする請求項12から16いずれか1項記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記方法が、インビボで細胞の寿命を延ばすことを特徴と
    する請求項12から16いずれか1項記載の方法。
  19. 【請求項19】 活性成分として、配列番号2またはその一部に同一または
    相同のMIFアミノ酸配列を含むポリペプチド、および薬学的に許容できる賦形剤
    を含むことを特徴とする薬剤。
  20. 【請求項20】 活性成分として、配列番号2またはその一部に同一または
    相同のMIFアミノ酸配列を、局所的に施用される場合に皮膚層の細胞の増殖を促
    進するのに適切な量で含むポリペプチド、および局所施用について薬学的に許容
    できる賦形剤を含むことを特徴とする化粧品。
  21. 【請求項21】 創傷の治癒を促進する方法であって、患者の創傷部位を、
    細胞増殖を誘発するのに十分な量で、配列番号2またはその一部に同一または相
    同のMIFアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのペプチド擬態物のある量と
    接触させる工程を含むことを特徴とする方法。
  22. 【請求項22】 前記創傷部位が上皮組織を含み、前記ポリペプチドが上皮
    組織の増殖を促進することを特徴とする請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記創傷が、手術、熱傷、炎症または過敏から生じること
    を特徴とする請求項21記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記MIFポリペプチドが、例えば皮膚、毛および/または爪
    の組織再生過程を強めるために、例えば化粧品の形態で予防的に施用されること
    を特徴とする請求項21記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記創傷が皮膚潰瘍であることを特徴とする請求項21記
    載の方法。
  26. 【請求項26】 前記皮膚潰瘍が、静脈病(静脈うっ血性潰瘍)、過圧力(
    褥瘡性潰瘍)または動脈潰瘍から生じることを特徴とする請求項25記載の方法
  27. 【請求項27】 p53のMIF媒介バイパスを含む表現型で細胞の増殖を抑制す
    る方法であって、細胞を、p53のMIF媒介バイパスを抑制する因子と接触させる工
    程を含むことを特徴とする方法。
  28. 【請求項28】 合同投与をするキットであって、(a)請求項19記載の製
    剤、および(b)栄養因子を含むことを特徴とするキット。
  29. 【請求項29】 合同投与をするキットであって、(a)請求項19記載の製
    剤、および(b)刺激因子を含むことを特徴とするキット。
  30. 【請求項30】 合同投与をするキットであって、(a)請求項19記載の製
    剤、および(b)化学治療薬を含むことを特徴とするキット。
  31. 【請求項31】 前記化学治療薬が、ブスルファン、インプロスルファンお
    よびピポスルファンのようなアルキルスルホネート;ベンゾデパ、カルボクオン
    、メチャーデパおよびウレデパのようなアジリジン;アルトレトアミン、トリエ
    チレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミ
    ドおよびトリメチロメラミンのようなエチレンイミンおよびメチルメラミン;ク
    ロラムブシル、クロルナファジン、クロホスファミド、エストラムスチン、イフ
    ォスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミン、メルファラン、ノベンビ
    チン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミドおよびウラシル
    マスタードのようなナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン
    、フォレムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムスチンのようなニトロ
    ソ尿素類;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトル;ミトラクトール;
    およびピポブロマンからなる群より選択されることを特徴とする請求項10記載
    の方法または請求項30記載のキット。
  32. 【請求項32】 細胞の増殖能力を増加する方法であって、細胞中に可逆的
    にp53チェックポイントを回避する因子を供給する工程を含むことを特徴とする
    方法。
JP2000532518A 1998-01-30 1999-01-29 細胞増殖の調節、方法および試薬 Withdrawn JP2003518359A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US7325798P 1998-01-30 1998-01-30
US60/073,257 1998-01-30
PCT/US1999/002115 WO1999042578A2 (en) 1998-01-30 1999-01-29 Modulation of cell proliferation, methods and reagents

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003518359A true JP2003518359A (ja) 2003-06-10

Family

ID=22112690

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000532518A Withdrawn JP2003518359A (ja) 1998-01-30 1999-01-29 細胞増殖の調節、方法および試薬

Country Status (6)

Country Link
EP (1) EP1051490A2 (ja)
JP (1) JP2003518359A (ja)
AU (1) AU760252B2 (ja)
CA (1) CA2318811A1 (ja)
IL (1) IL137197A0 (ja)
WO (1) WO1999042578A2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005522461A (ja) * 2002-03-08 2005-07-28 ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト エポチロン誘導体およびアルキル化剤を含む組合せ剤
JP2012519499A (ja) * 2009-03-09 2012-08-30 バイオアトラ、エルエルシー Miracタンパク質

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2352486A1 (en) * 1998-11-25 2000-06-02 Genetica, Inc. Methods and reagents for increasing proliferative capacity and preventing replicative senescence
DE19957065B4 (de) * 1999-11-26 2005-01-05 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Screening-Verfahren für Arzneistoffe
DE19964386B4 (de) * 1999-11-26 2007-12-27 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Verfahren zur Herstellung von Makrophagenmigrations-Inhibitionsfaktor (MIF)
US7872050B2 (en) 2005-03-14 2011-01-18 Yaupon Therapeutics Inc. Stabilized compositions of volatile alkylating agents and methods of using thereof
US8501818B2 (en) 2005-03-14 2013-08-06 Ceptaris Therapeutics, Inc. Stabilized compositions of alkylating agents and methods of using same
TR201907794T4 (tr) * 2008-03-27 2019-06-21 Helsinn Healthcare Sa Alkilleyici maddelerin stabilize edilmiş bileşimleri ve bunları kullanım yöntemleri.

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996015242A2 (en) * 1994-11-16 1996-05-23 The Government Of The United States Of America, Represented By The Secretary, Department Of Health And Human Services Methods for inhibiting cell proliferation by inhibiting the mitogenic activity of macrophage migration inhibitory factor
GB9608937D0 (en) * 1996-04-29 1996-07-03 Cancer Res Campaign Tech Screening methods for therapeutics and peptides used in the screen
US5998136A (en) * 1996-08-19 1999-12-07 Arcaris, Inc. Selection systems and methods for identifying genes and gene products involved in cell proliferation

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005522461A (ja) * 2002-03-08 2005-07-28 ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト エポチロン誘導体およびアルキル化剤を含む組合せ剤
JP2012519499A (ja) * 2009-03-09 2012-08-30 バイオアトラ、エルエルシー Miracタンパク質
JP2016005457A (ja) * 2009-03-09 2016-01-14 バイオアトラ、エルエルシー Miracタンパク質
US9464284B2 (en) 2009-03-09 2016-10-11 Bioatla, Llc Mirac proteins
US9637735B2 (en) 2009-03-09 2017-05-02 Bioatla, Llc Mirac proteins
US9637734B2 (en) 2009-03-09 2017-05-02 Bioatla, Llc Mirac proteins
US9982252B2 (en) 2009-03-09 2018-05-29 Bioatla, Llc Mirac proteins
US9994841B2 (en) 2009-03-09 2018-06-12 Bioatla, Llc Mirac proteins
US11718844B2 (en) 2009-03-09 2023-08-08 Bioatla, Inc. Mirac proteins

Also Published As

Publication number Publication date
AU2489099A (en) 1999-09-06
EP1051490A2 (en) 2000-11-15
CA2318811A1 (en) 1999-08-26
WO1999042578A3 (en) 1999-12-23
IL137197A0 (en) 2001-07-24
AU760252B2 (en) 2003-05-08
WO1999042578A2 (en) 1999-08-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2017202287B2 (en) Composition for differentiation induction of adipocyte containing stem cell-derived exosome, regeneration of adipose tissue, and skin whitening or wrinkle improvement
EP1028741B1 (en) Regulation of epithelial tissue by hedgehog-like polypeptides, and formulations and uses related thereto
JP5960749B2 (ja) 毛の成長を調節する方法
JP3200609B2 (ja) 上皮細胞増殖促進剤
JP2002530436A (ja) 増殖能を増強しかつ複製老化を防止する方法及び試薬
US7144997B2 (en) Vertebrate embryonic patterning-inducing proteins, compositions and uses related therto
JP2002500040A (ja) 細胞の寿命の延長、方法および試薬
WO2013142192A1 (en) Methods and compositions for regenerating and repairing damaged tissue using nonviable irradiated or lyophilized pluripotent stem cells
AU760252B2 (en) Modulation of cell proliferation, methods and reagents
US20120165270A1 (en) Inhibition of hair follicle growth by the wnt inhibitor dkk1
US7160725B2 (en) Hedgehog signaling promotes the formation of three dimensional cartilage matrices
WO2002012336A9 (en) TGF-β THERAPEUTICS, COMPOSITIONS AND METHODS OF USE
EP0991422A1 (en) Modulating epithelial-mesenchymal interactions
EP4455269A1 (en) Method for culturing skin-derived stem cells, and use thereof
JP2000515137A (ja) 軸索の成長を制御する方法
EP1135411B1 (en) Methods and compositions for treating disorders involving excitotoxicity
WO2000047243A2 (en) Pancreatic ductal trophic factors, uses and composition related thereto
US20090221072A1 (en) Compositions and methods for modulating cell differentiation
KR20230098491A (ko) 모낭유래 줄기세포의 배양방법 및 그의 용도
EP1743903A2 (en) Methods and compositions for treating disorders involving excitotoxicity

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060404