JP2003517954A - 輪転印刷機の胴 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 輪転印刷機の胴では、２つの溝が角度ψでずらして配置されている。この角度ψは胴の曲げ固有周波数ｆ_ｖｉｂに応じて規定される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、請求項１の上位概念に記載の形式の輪転印刷機に関する。

【０００２】 ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９８０３８０９号明細書および特開平１０
−０７１６９４号公報には、１８０°ずらして配置された溝を備えた印刷機のブ
ランケット胴（ゴム胴）が開示されている。

【０００３】 本発明の課題は、印刷機の胴を提供することである。

【０００４】 この課題は、請求項１の特徴部に記載した構成手段によって解決される。

【０００５】 特に本発明で得られる利点によれば、振幅がパッシブな振動減衰によって減少
される。

【０００６】 以下に、本発明の実施例を図示し、詳しく説明する。

【０００７】 連続する溝衝突によって励起（励振）される振動の破壊的な干渉（弱め合う干
渉）によって、特定可能な生産率範囲内での、結果として生じる全体振動の振幅
は減少される。このために破壊的で干渉性の溝衝突は、振幅と位相関係とに関し
て干渉条件をできるだけ十分に満たすために、狭い間隔で連続して行う必要があ
る。要するに； （ａ）干渉性の溝衝突の間の比較可能な振幅つまりできるだけ小さな振動減衰に
よって、できるだけ大きな消去作用（Ausloeschung）がもたらされる。

【０００８】 （ｂ）干渉性の溝衝突の間の位相関係つまり時間的間隔は、広い生産率範囲にわ
たって消去作用を得るために、生産率による変化をできるだけ小さくするのが望
ましい。

【０００９】 ・図１から図３に示されているように、各印刷胴は分割構成された溝を備えてい
る。

【００１０】 ・各胴の溝は、所定の角度ψだけ互いにずらされている。

【００１１】 ・振幅が最小であるのが望まれている場合、胴の曲げ（たわみ）固有振動数（固
有周波数）ｆ_ｖｉｂと、胴の回転周波数ｆ_ｒｏｔとから成るのずれ角度ψは、以
下の計算式で求められる； ψ＝（ｆ_ｒｏｔ／ｆ_ｖｉｂ）*１８０° ・そのようにして計算された角度ψは、構造的な変更の際に、±２０％まで異な
っていてよい。

【００１２】 ・同じ大きさの周を有して互いに隣接する印刷胴における溝は、溝がそれぞれ相
対して転動するように配置されている（図４）。

【００１３】 ・２倍胴（２倍の周を有する胴）が１倍胴（１倍の周を有する胴）に隣接してい
る場合、隣接する印刷胴における溝は、１倍胴の１回転ごとまたは２回転ごとに
相対して転動するように配置されている。

【００１４】 振動減衰の効果 図１に示された、前述の式に基づいて計算された角度ψだけずらされた溝は、
以下に溝対と記載する。丸み部幅全体にわたって延びる単独の溝の溝を越える転
動、ならびに丸み部幅の半分にわたって延びる単独の溝の溝を越える転動と比較
して、溝対の溝を越える転動後の、結果として生じる振動振幅は、図５において
、生産率７００００部（たとえば１時間あたりの新聞頁）に関して最適化された
角度ψで例示されている。

【００１５】 別の角度（多くの場合９０°または１８０°）でずらされた、分割構成（以下
に慣用のずらし配置と記載する）された溝を備えた印刷胴に対する、溝対を有す
る印刷胴の振動技術的な利点は、以下の２点である； （１）破壊的な干渉に基づく溝対の溝を越える転動後の振動振幅は、独立して分
割構成された溝（図５）の溝を越える転動後の振動振幅よりも６０％まで小さく
なっている。

【００１６】 （２）溝対の溝を越える転動後において、励起された振動に、全体の胴回転時間
１／ｆ_ｒｏｔが減衰のために提供され、これに対して慣用のずらし配置の行われ
た胴では、同一時間内に新たな溝衝突が生じる。このことは特に高い生産率で意
味をなしており、この場合減衰されない振動の重なりによって振幅の増加が行わ
れる。

【００１７】 これら両方の効果が協働すると、振動減衰の作用が図５で示された程度を超え
るものとなる。

【００１８】 図１から図３までの実施例の構造的比較 曲げ振動の１次高調波（1.Oberschwingung）は、溝対の溝を越える転動後の全
体振動振幅に大きな影響を及ぼす。溝衝突の力導入が、図２の実施例では、図１
および図３の実施例とは異なって、１次高調波の対称性を有していないので、１
次高調波は、図２の実施例ではごく僅かしか励起されない。図２の実施例の欠点
と、一方の溝衝突が外側でかつ他方の溝衝突が内側で行われることは、相対する
ものである。このことによって原則として基本振動の種々異なる強さの励起がも
たらされ、ひいては破壊的な干渉による振動減衰の減少がもたらされる。

【００１９】 さらに図１の実施例は、図２および図３の実施例と比較して、パノラマ印刷の
可能性に関しても、緊締溝機構の導入の容易さに関しても優れている。

【００２０】 総じて、図１の実施例は、最も有利な実現性を有している。

【００２１】 有利には、胴は版板またはゴムブランケットを固定するための溝を備えた版胴
またはブランケット胴として形成されている。

【図面の簡単な説明】

【図１】 角度ψだけずらされた半溝を有する、分割構成された溝を備えた印刷胴を示す
図である。

【図２】 角度ψだけずらされた３つの溝を備えた印刷胴を示す図である。

【図３】 角度ψだけずらされた４つの溝を備えた印刷胴を示す図である。

【図４】 同一の周を有する複数の印刷胴における溝の配置構成を示す図である。

【図５】 連続的に延びる溝もしくは丸み部の半部にわたって延びる単独の溝の溝を越え
る転動と比較して溝対（図１）の溝を越える転動後の振動振幅を示す図であり、
振幅は独立した溝を越える転動に関するものであって、つまり先行する、減衰さ
れない溝を越える転動による振幅の増加は考慮されない。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 輪転印刷機の胴であって、互いに周方向で角度ψだけずらし
   て配置された少なくとも２つの溝が設けられている形式のものにおいて、 角度ψが胴の曲げ固有周波数ｆ_ｖｉｂに応じて規定されていることを特徴とす
   る、輪転印刷機の胴。
2. 【請求項２】 角度ψが、胴の回転周波数ｆ_ｒｏｔに応じて規定されている
   、請求項１記載の胴。
3. 【請求項３】 角度ψが、関係式； １．２*（ｆ_ｒｏｔ／ｆ_ｖｉｂ）*１８０°≧角度ψ≧０．８*（ｆ_ｒｏｔ／ｆ_{ｖ
   ｉｂ}）*１８０° を有している、請求項１または２記載の胴。
4. 【請求項４】 角度ψが、関係式； 角度ψ＝（ｆ_ｒｏｔ／ｆ_ｖｉｂ）*１８０° を有している、請求項１または２記載の胴。
5. 【請求項５】 選択された回転周波数ｆ_ｒｏｔが、最小振動振幅のために規
   定されている、請求項１記載の胴。
6. 【請求項６】 胴が版胴またはブランケット胴として形成されている、請求
   項１記載の胴。