JP2003334397A - 上着用洗濯ネット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スーツやジャケット等の衿があり、胸増
し芯の入った上着の肩部の汚れを水流が内部まで通過可
能とすることによって肩部の汚れを効率よく除去すると
ともに、肩部の型くずれを起こすことなく洗濯できるよ
うにし、更に乾燥時にも型くずれを生じない上着用洗濯
ネットを提供する。 【解決手段】 上着を掛けるハンガーと、ハンガーに掛
けられた上着を包むネット本体とからなる上着用洗濯ネ
ットにおいて、前記ハンガーが通水性ある可撓性シート
材によりつくられ、その上部が上着の肩部に沿う輪郭を
有するとともに前後方向に膨らんでいて、上着の内面か
ら立体状態で支持するようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、上着用洗濯ネット
に関する。より詳しくは本発明は、肩部の前後の胸部か
ら背中に向けて立体的形状を有している紳士用および婦
人用の上着、特にスーツやジャケット等の上着を洗濯す
るために用いる上着用洗濯ネットに関する。

【０００２】本発明は特に胸部に胸増し芯が入れられて
おり、胸部の前に衿がつくられている上着を家庭で型く
ずれすることなく、洗濯できるようにした上着用洗濯ネ
ットを提供するものである。

【０００３】

【従来の技術】種々の衣類を家庭において洗濯すること
が広く行われている。特に夏期においては、汗やほこり
等によって着衣が汚れるために、頻繁に洗濯をすること
が希望される。

【０００４】従来、スーツやジャケット等の衿があり、
胸増し芯を入れた上着は家庭で洗濯することが難しく、
専門のランドリーに依頼して洗濯することが多く行われ
ていた。しかしながら、近年、家庭で洗濯できるように
した所謂ウォッシャブルスーツといわれるものが広く出
回ってきており、家庭においてこれらウォッシャブルス
ーツの上着を型くずれすることなく洗濯できることが望
まれている。

【０００５】家庭の洗濯機において上着やスーツを普通
の下着等の洗濯物と一緒に洗濯したのでは、スーツ以外
の洗濯物が絡み、上着に皺が寄ったり型くずれがおきて
しまう。

【０００６】この防止方法として、上着を洗濯ネットに
収納して上着だけ他の洗濯物とは別に弱またはソフトの
水流で洗濯することが勧められている。

【０００７】このように洗濯ネットにスーツやジャケッ
トを収納して洗濯する場合にも、洗濯ネットの中で上着
が動いてしまうと皺等の発生原因となる。この防止策と
して上着を洗濯ネットに固定して洗濯するようなことも
提案されているが、このようにした場合にも型くずれの
問題が完全には防止できなかった。

【０００８】更に、別の防止方法として上着を袋状の洗
濯ネットに収納した後に、上着を筒状に丸めて洗濯する
ことが提案されている。

【０００９】しかしながら、このように上着を丸めた状
態で洗濯した場合には、丸められているため洗濯のため
の水流が上着の中に入らず、うまく洗濯できないことが
多々あった。また丸めたままで洗濯した場合には、丸め
ることによって上着に皺が寄ったり、また上着の胸部か
ら肩を越えて背中に至る曲線が崩れてしまうことが多々
あった。

【００１０】また、洗濯ネットに入れたセーター等にハ
ンガーを装着して、ハンガーごと洗濯することも種々提
案されている。この場合にもハンガーを中心としてセー
ター類を丸めてしまう方法も提案されている（例えば、
特開平１０−２３５０７４号公報、特開平１１−７６６
７６号公報）。また、背広、礼服等の上着についてもハ
ンガーを中心として上着を丸め、洗濯後にハンガーに吊
して、そのまま乾かすことが特開平１１−２０７０７９
号公報や特開２０００−３０８５６４号公報に開示され
ている。

【００１１】しかしながら、従来提案されているハンガ
ーは棒状の１本ものを上着の肩の内側に挿入している
が、このハンガーは硬く、洗濯時に上着の内面にハンガ
ーが強く当たって生地に疵をつけるような心配もあっ
た。更に、ハンガーは単に棒状のために上着の肩部の膨
らみをうまく固定することができず、このために上着の
型くずれを完全に防ぐことができなかった。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上述したよう
に従来技術の問題点に鑑み、スーツやジャケット等の、
衿があり、胸増し芯の入った上着の肩部の汚れを水流が
内部まで通過可能とすることによって肩部の汚れを効率
よく除去するとともに、肩部の型くずれを起こすことな
く洗濯できるようにし、更に乾燥時にも型くずれを生じ
ない上着用洗濯ネットを提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明においては上記課
題を、上着を掛けるハンガーと、ハンガーに掛けられた
上着を包むネット本体とからなる上着用洗濯ネットにお
いて、前記ハンガーが通水性のある可撓性シート材によ
りつくられ、その上部が上着の肩部に沿う輪郭を有する
とともに前後方向に膨らんでいて、上着の内面から立体
状態で支持するようになっていることを特徴とする上着
用洗濯ネットによって達成する。

【００１４】この場合にハンガーとネット本体とが連結
具により着脱可能であることが好ましい。連結具として
は面ファスナーが特に簡便であり、このようにハンガー
とネット本体を連結することによって、洗濯中に上着の
肩部が移動することが防止でき、型くずれを一層防止で
きる。

【００１５】また、洗濯が終わった後はハンガーをネッ
トから外し、この状態でハンガーの中に通常の吊し用ハ
ンガーを挿入して、そのまま上着を陰干しすることによ
って効率よく乾燥することができる。この場合に本発明
に係るハンガーは２枚の可撓性シート材からつくられ、
その上部が中央部を除いて互いに結合されていて、ハン
ガーの底部から吊し用ハンガーを挿入して上述の上面中
央部の縫着されていない部分から吊し用ハンガーの把手
を外部に出せるようにすることが好ましい。

【００１６】本発明においては、好ましくは実施例に示
すように、ハンガーを構成するシート材がパイル生地と
メッシュ生地とを貼合わせていることが、洗濯液の通過
を促進し、上着の型くずれを防止するために好ましい。
この場合にメッシュ生地を外側として使用する。

【００１７】このようなパイル生地とメッシュ生地とを
貼合わせたシートからなるハンガーの製造方法として
は、２枚の可撓性シート材を中表状態（メッシュ生地同
士が対面する状態）で肩部形状に沿って中央部を除いて
縫い合わせるとともに左右端部の縫代をそれぞれ外向き
に折返して、可撓性シート材に縫着した後で可撓性シー
ト材を裏返して、すなわち、メッシュ生地を外表面とし
てハンガーを形成することによって、平板状のシート材
を用いて立体形状のハンガーを構成することができ、型
くずれも防ぐことができて非常に好ましい。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、図示した実施例に基いて本
発明を詳細に説明する。図１は本発明に係る洗濯用ネッ
トのネット本体を開いた状態を示す平面図である。本実
施例のネット本体１０はほぼ長方形状をした２枚のポリ
エステル製のネット生地１１、１２からなっている。こ
の２枚のネット生地１１、１２の長方形の一端部１１
ａ、１２ａをほぼ全長さに亘り縫着しており、縫着部以
外はファスナー１３によって互いに袋状に閉じることが
できるようになっている。

【００１９】ネット本体１０を形成している一方のネッ
ト生地１１の内側には、メッシュベルト１４、１５が縫
着されている。ネット生地１１、１２の横幅の長さより
も僅かに短い長さの帯状をした一対のメッシュベルト１
４、１５を用意し、メッシュベルト１４、１５の一端部
１４ａ、１５ａをそれぞれをネット生地１１の左右両端
に縫着している。メッシュベルト１４、１５の自由端部
１４ｂ、１５ｂには、面ファスナー１８が設けられ、て
互いに係脱可能となっている。

【００２０】帯状メッシュベルト１４、１５の下方には
メッシュ生地からなる細幅の固定ベルト１６がネット本
体１１の左右両端を亘るようにして、その両端１６ａ、
１６ｂがネット本体１１の端部に縫着されている。この
メッシュベルト１４、１５および下部の固定細幅ベルト
１６が設けられたネット本体１１の上部側には後述する
ハンガー２０を固定するための押さえストリップ１７
が、その上端部１７ａをネット本体１１に縫着され、下
端部１７ｂの内側には面ファスナー１９が設けられてい
る。

【００２１】図２は本発明に係るハンガー２０の使用時
の外観を示す斜視図であり、図３（ａ）〜（ｃ）はこの
ハンガー２０を製造する過程を示す図である。

【００２２】図３において、ほぼ長方形状のハンガー用
シート２１、２２を２枚用意する（図３（ａ）参照）。
ハンガー用シート２１、２２は、図３（ｄ）に示すよう
に、それぞれポリエステル製のメッシュ生地２１ａ、２
２ａとパイル生地２１ｂ、２２ｂとを互いに貼合わせて
なるものであり、パイルの表面にメッシュ生地２１ａ、
２２ａを貼着しており、通水性のある可撓性シート材と
なっている。ハンガー用シート２１、２２のメッシュ生
地２１ａ、２２ａを表側として使用する。

【００２３】実施例のパイル生地２１ｂ、２２ｂはパイ
ル長が約３mmである。２枚のハンガー用シート２１、２
２の一方２２は他方２１よりも丈が若干長くなってい
る。そしてこの２枚のシートのうち、メッシュ生地２１
ａ、２２ａ側を互いに対面するように、すなわち中表状
態に重ねて、その上部を上着の肩部の形状に沿って互い
に縫着する（縫い線を符号２３で示す）。この場合に、
上部中央２３ａは縫着しないで開いた状態としておく。
縫着する部分の外側に上側においては幅１cm程度の縫代
２４を形成している。

【００２４】この縫い線２３は両脇部まで延びており、
この縫い線２３の左右外側においては縫代２４ａは上側
の縫代幅（約１cm）よりも広く約３cm程度なっている。
この広幅とした左右の縫代２４ａの部分をほぼ垂直状態
にある縫い線２３を中心にしてそれぞれ外向きに折返し
て、その外周縁先端をほぼ垂直な縫い線２３ａによりそ
れぞれシート材２１、２２に縫着する。また、折返した
部分２４ａの下部もほぼ水平な縫い線２３ｂによりシー
ト材２１、２２に縫着する（図３（ｂ）参照）。

【００２５】この状態で互いに縫い合わされたシート材
２１、２２を縫い線２３、２３ａに沿って折り返し、メ
ッシュ生地２１ａ、２２ａ側を表側とする（図３（ｃ）
参照）。ハンガー２０のシート２１、２２のうち、丈の
短いシート２１がハンガー２０としては前側に使われ、
すなわち、胸側に使われ、丈の長いシート２２が背中側
に使われる。ハンガー２０の胸側に使われるシート面２
１の上部中央の表側には、前述したストリップ１７の先
端の面ファスナー１９と係合する面ファスナー２５が設
けられている。

【００２６】次に、図４を参照して、この実施例の洗濯
用ネットの使用法を説明する。先ず洗濯するべき上着Ｊ
を用意し、ハンガー２０に上着Ｊを着せる。ネット本体
１０のメッシュベルト１４、１５を開き、上着Ｊを平ら
におき、面ファスナー１９と面ファスナー２５とを係合
する。ネット本体１０と固定ベルト１６との間に上着Ｊ
を置く。上着Ｊの袖部を上着本体に揃える。

【００２７】次に、上着Ｊの裾部分を折返して、両メッ
シュベルト１４、１５の面ファスナー１８を係合させ帯
状のメッシュベルト１４、１５によって上着Ｊ全体を押
さえる（図４（ｂ）参照）。

【００２８】この際に上着Ｊと一緒にスラックスＳを洗
濯する場合には、図４（ｂ）に示すように、スラックス
Ｓを三つ折りにして上着Ｊの裾部の上に横に置く。

【００２９】メッシュベルト１４、１５および固定ベル
ト１６によって上着ＪとスラックスＳを押さえた状態
で、ネット本体１０の他辺１２を上着の上に折返し、フ
ァスナー１３によってネット本体１０の周辺を閉じる
（図４（ｃ）参照）。なお閉じたときのファスナー１３
の金具１３ａの先端が位置する部分の外側には、金具１
３ａを包むようなリングバンド２６を設けており、これ
によって洗濯中にこの金具１３ａが悪戯しないようにし
ている。

【００３０】このようにして、上着Ｊを、また場合によ
っては更にスラックスＳを入れた状態で、洗濯ネット１
０を洗濯機の洗濯槽に入れる。洗濯槽に入れる場合には
洗濯槽の口に合うように若干洗濯ネット１０を軽く折曲
げることによって簡単に洗濯槽の中に入れることができ
る。なお、洗濯機の構造によって遠心型や水流型がある
が、それに合わせて洗濯機メーカにより勧められている
位置に洗濯ネットを置く。

【００３１】この状態で洗剤としてウールの洗える中性
洗剤を用意し、弱またはソフト水流で３０℃以下の水で
５分間の洗濯を要し、すすぎ２回、脱水３０秒位の洗濯
を行う。

【００３２】本発明によれば、可撓性シート材によりつ
くられたハンガーにより、スーツやジャケットの上着を
保持した状態で洗濯するので、洗濯中にハンガーにより
上着の生地が損傷されることがない。

【００３３】また、本発明によれば、上部が上着の肩部
に沿う輪郭を有するとともに前後方向に膨らんでいるハ
ンガーにより、胸元から肩、更に背中にかけて膨らみを
有するスーツやジャケットの上着を内側から保持した状
態で洗濯することができ、家庭用の洗濯機によって洗濯
した場合にも、上着の肩部の形状を崩すことなく、洗濯
できる。

【００３４】更に、本発明によれば、通水性のあるシー
ト材によりつくられたハンガーにより、スーツやジャケ
ットの上着を内側から保持した状態で洗濯することがで
き、洗濯液がハンガー内部から上着に循環するので、上
着の汚れを綺麗に且つ簡単に落すことができる。

【００３５】洗濯した後、洗濯ネット１０を洗濯機から
取出し、洗濯ネット１０のファスナー１３を開いて中か
ら上着ＪおよびスラックスＳを取出し、図５（ｂ）に示
すように、上着Ｊに挿着したハンガー２０の底部から、
通常使用している吊し用ハンガーＨ（好ましくは厚手の
ハンガー）をハンガー２０の内側に挿入して、ハンガー
２０の上部中央部から吊し用ハンガーＨの把手Ｈａを外
部に出して適宜な箇所に掛けて、陰干しを行う（図５
（ｃ）参照）。なお、説明を明瞭にするため、図５
（ａ）および図５（ｂ）では上着を省略して描いてい
る。

【００３６】スラックスＳは腰部を上にしてセンター折
目線に沿って手で叩いて皺をのばし、日陰干しを行う
（図５（ｄ）参照）。この場合に、洗濯の後で手絞りや
タンブラー乾燥機等は一切使用しない。これらを使用す
ることによって皺や収縮の原因になるので行わないこと
が好ましい。

【００３７】このように上着の肩部に沿う輪郭を有する
とともに前後方向に膨らんでいるハンガーにより上着を
支持しつつ陰干しすることによって、上着Ｊの胸線の膨
らみもそのままに、乾燥させることができる。また、通
水性のあるシート材によりつくられたハンガーに上着を
掛けて乾燥するので、上着を短時間で乾燥させることが
できる。

【００３８】スラックスＳも折畳まれた状態で洗濯が仕
上がる。もし洗濯した後にスラックスＳや上着Ｊに皺が
残っているような場合はプレスアイロンを軽く掛けるこ
とによって、それらの皺等も完全にそして極めて容易に
除去することができる。

【００３９】本発明によれば上着とスラックスは一緒に
洗濯をすることができる。ジャケットとスラックスを異
なった方法で洗濯した場合に、洗濯回数が異なったり、
洗濯条件が違って、仕上り状況が異なってしまい、違和
感を感じるようなことが生じるが、本発明によればこの
ようなことが全くなく、いつも綺麗な洗濯状態を保つこ
とができる。

【００４０】なお本発明に使用する洗濯ネットは実施例
においては、洗濯ネットもハンガーもポリエステル製で
あるが、適宜ポリプロピレン等の合成樹脂を用いること
もできる。

【００４１】

【発明の効果】本発明によれば、家庭用の洗濯機によっ
て胸元から肩、更に背中にかけて膨らみを有するスーツ
やジャケットの上着を家庭においてその肩部の形状を崩
すことなく、そして汚れを綺麗に落すことを簡単に行う
ことができる。更に、乾燥時にも型くずれを生じない

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る洗濯用ネットのネット本体を開い
た状態を示す平面図である。

【図２】本発明に係るハンガーの使用時の外観を示す斜
視図である。

【図３】（ａ）〜（ｃ）は本発明のハンガーを製造する
過程を示す平面図であり、（ｄ）はハンガーを構成して
いるシート材の拡大断面図である。

【図４】（ｂ）〜（ｃ）本発明の洗濯ネットの使用手順
を示す平面図である。

【図５】（ａ）〜（ｄ）は本発明の洗濯ネットを用いて
洗濯した上着、スラックスの干し方を説明するための正
面図である。

【符号の説明】

１０ ネット本体 １１、１２ ネット生地 １３ ファスナー １４、１５ メッシュベルト １６ 固定ベルト １７ ストリップ １８、２５ 面ファスナー ２０ ハンガー ２１、２２ ハンガー用シート ２１ａ、２２ａ パイル生地 ２１ｂ、２２ｂ メッシュ生地 ２３、２３ａ、２３ｂ 縫線 ２４、２４ａ 縫代 Ｊ 上着 Ｈ 吊り下げ用ハンガー Ｓ スラックス

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上着を掛けるハンガーと、ハンガーに掛
   けられた上着を包むネット本体とからなる上着用洗濯ネ
   ットにおいて、前記ハンガーが通水性のある可撓性シー
   ト材によりつくられ、その上部が上着の肩部に沿う輪郭
   を有するとともに前後方向に膨らんでいて、上着の内面
   から立体状態で支持するようになっていることを特徴と
   する上着用洗濯ネット。
2. 【請求項２】 前記ハンガーと前記ネット本体とが連結
   具により着脱可能であることを特徴とする請求項１に記
   載の上着用洗濯ネット。
3. 【請求項３】 前記ハンガーは２枚の可撓性シート材か
   らつくられ、その上面が中央部を除いて互いに結合され
   ていて、該ハンガーの底部から吊し用ハンガーをハンガ
   ー内へ挿入し、上部中央部から吊し用ハンガーの把手を
   外部に出せるようにしていることを特徴とする請求項１
   または２に記載の上着用洗濯ネット。
4. 【請求項４】 前記ハンガーを構成するシート材が、パ
   イル生地とメッシュ生地を貼合わせていることを特徴と
   する請求項１〜３の何れか１項に記載の上着用洗濯ネッ
   ト。
5. 【請求項５】 ２枚の可撓性シート材を中表状態で、肩
   部形状に沿って中央部を除いて縫い合わせるとともに左
   右端部の縫代をそれぞれ外向きに折返して、可撓性シー
   ト材に縫着した後で、可撓性シート材を裏返して前記ハ
   ンガーを形成していることを特徴とする請求項１〜４の
   何れか１項に記載の上着用洗濯ネット。