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JP2003302624A - 液晶表示素子及びその製造方法 - Google Patents

液晶表示素子及びその製造方法

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Publication number
JP2003302624A
JP2003302624A JP2002108295A JP2002108295A JP2003302624A JP 2003302624 A JP2003302624 A JP 2003302624A JP 2002108295 A JP2002108295 A JP 2002108295A JP 2002108295 A JP2002108295 A JP 2002108295A JP 2003302624 A JP2003302624 A JP 2003302624A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
crystal display
electric field
display element
substance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002108295A
Other languages
English (en)
Inventor
Mayuka Araumi
麻由佳 荒海
Okitoshi Kimura
興利 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2002108295A priority Critical patent/JP2003302624A/ja
Publication of JP2003302624A publication Critical patent/JP2003302624A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゾルゲル転移温度が液晶物質の等方相/液晶
相転移温度よりも高い場合においても、透明性が高く、
しかも、明るさのムラが少ない、液晶ゲルで構成される
液晶表示素子を効率良く低コストで製造することができ
る液晶表示素子及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 電極3,4を備えた一対の基板1.2の
間に、液晶物質とこれをゲル化するゲル化剤とを含む透
明な調光層9を有する液晶表示素子において、前記調光
層9のゾルゲル転移温度が、前記液晶物質の等方相/液
晶相転移温度よりも高いものとすると共に、前記調光層
9を、加熱によりゲル化剤を液晶物質に溶解した液晶組
成物を電界の印加条件下において室温まで冷却したもの
で構成する。前記電界は、好ましくは、交流電界等の周
期電界である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視光透過率が高
く、しかも、ムラが発生しにくい液晶表示素子及びその
製造方法に関し、さらに詳しくは、電極を備えた一対の
基板間に、液晶物質とこれをゲル化するゲル化剤とを含
む透明な調光層を有する液晶表示素子及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、薄型、軽量であり、且
つ、省電力性において優れているので、多くの分野で利
用されている。現在では、液晶表示素子は、陰極線管
(CRT)にとって代わる勢いで普及してきている。特
に、液晶表示素子は、携帯用電子機器の表示素子として
利用されて、その特徴が活かされている。液晶表示素子
は、一般的には、電極を備えた対向する一対のガラス基
板の間に液晶組成物からなる調光層を挟みこんだ構成と
なっているが、かかるガラス基板をポリマーフィルムに
した場合には、軽量化や耐衝撃性が向上するために、携
帯電子機器にさらに適したものとなる。
【0003】しかし、ポリマーフィルムを基板として作
製された液晶表示素子は、何らかの外部刺激がきっかけ
となって、液晶表示素子内に気泡が発生するという問題
があった。液晶表示素子内における気泡の発生は、頻度
においては少ないものの、ガラス基板を用いて作製され
た液晶表示素子においても見られることがある。このよ
うな液晶表示素子内において気泡が発生した部分は、液
晶組成物が充填されていない状態になってしまうため
に、液晶表示素子として機能しなくなってしまうという
問題があった。
【0004】そこで、ネマティックを使用して、高分子
樹脂の網目構造もしくはカプセル構造中に液晶を配置し
たTN型やSTN型の高分子分散型液晶デバイスが提案
された。このような高分子分散型液晶デバイスは、
(a)偏光板を使用しないので明るい画像表示ができる
こと、(b)視野角が広いこと、(c)液晶の配向処理
が必要でないので製造が容易であること、等の長所があ
るが、(イ)高分子樹脂を硬化させる際における温度や
光強度に高い精度が要求されること、(ロ)高分子樹脂
が硬化してしまうので欠陥の修復が不可能であること、
(ハ)電圧印加時にヒステリシスを生じて中間調の表示
が不可能であること、等の問題があった。
【0005】これらの問題を改善するために、パーフル
オロアルキル基を有する低分子化合物と液晶物質とを含
有するゲル状態の液晶組成物を構成要素とする液晶表示
素子が提案された(特開平5−216015号公報及び
特開平8−254688号公報参照)。このゲル状態の
液晶組成物(以下、「液晶ゲル」という)を調光層とし
て表示素子の製造に用いることにより、ヒステリシスを
生じない表示が可能になり、かつ、TN型液晶セル並の
高コントラストが実現された。しかも、液晶ゲルの網目
の欠陥の修復をゾル/ゲル相転移温度以上まで加熱して
その後冷却するだけの簡単な操作で行えることは、大き
なメリットであった。また、調光層として液晶ゲルを用
いることにより、安定性に優れる表示素子や散乱性を利
用する表示素子を得られる。さらに、液晶物質をゲル化
する化合物の量を調光層が可視光に対して透明である範
囲にすることにより、旋光性、複屈折性を利用した表示
素子への応用も可能である。このような素子は、偏光板
を使用することによってコントラストに優れた表示を得
ることができる。
【0006】しかしながら、液晶物質と液晶をゲル化す
る化合物の組み合わせしだいでは、作製された液晶ゲル
が散乱性を有してしまい、コントラストを下げる要因と
なっていた。これを防ぐための手段として、従来はセル
の厚みを薄くして実質的に透明度をあげたり、また、ゲ
ル化剤の量を減らして散乱をおさえたりして対応してい
たが、前者は、セルの厚みが薄くなるに従い厚みの制御
が難しくなるので、生産性が低下するという問題があ
り、後者は、作製される液晶ゲルの性状がより柔らかい
ものになりやすいので、ゲルの安定性が低下するという
問題があった。
【0007】そこで、本発明者らは、様々な液晶と液晶
をゲル化する化合物の組み合わせを検討した結果、液晶
ゲルのゾルゲル転移温度を液晶物質の等方相/液晶相転
移温度よりも低くすると、より透明な液晶ゲルが得られ
ることを見出したが、ゾルゲル転移温度が液晶物質の等
方相/液晶相転移温度よりも高い場合には、依然とし
て、透明な液晶ゲルが得られないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
を解決することを目的としている。即ち、本発明は、ゾ
ルゲル転移温度が液晶物質の等方相/液晶相転移温度よ
りも高い場合においても、透明性が高く、しかも、明る
さのムラが少ない、液晶ゲルで構成される液晶表示素子
を効率良く低コストで製造することができる液晶表示素
子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電極を備
えた一対の基板間に、液晶物質とこれをゲル化するゲル
化剤とを含む透明な調光層を有する液晶表示素子におい
て、前記調光層のゾルゲル転移温度が、前記液晶物質の
等方相/液晶相転移温度よりも高いものとすると共に、
前記調光層を、加熱によりゲル化剤を液晶物質に溶解し
た液晶組成物を電界の印加条件下において室温まで冷却
したもので構成したところ、ゾルゲル転移温度が液晶物
質の等方相/液晶相転移温度よりも高い場合であって
も、透明性が高く、しかも、明るさのムラが少ない、液
晶ゲルで構成される液晶表示素子を効率良く低コストで
製造できることを見いだして本発明を完成するに至っ
た。
【0010】請求項1に記載された発明は、上記目的を
達成するために、電極を備えた一対の基板間に、液晶物
質とこれをゲル化するゲル化剤とを含む透明な調光層を
有する液晶表示素子において、前記調光層のゾルゲル転
移温度が、前記液晶物質の等方相/液晶相転移温度より
も高いものとすると共に、前記調光層を、加熱によりゲ
ル化剤を液晶物質に溶解した液晶組成物を電界の印加条
件下において室温まで冷却したもので構成したことを特
徴とする液晶表示素子である。
【0011】請求項2に記載された発明は、請求項1に
記載された発明において、前記ゲル化剤が、前記液晶物
質に溶解し、かつ、分子間水素結合によって該液晶物質
をゲル化する分子量2000以下、好ましくは、150
〜2000の低分子化合物で構成されていることを特徴
とするものである。
【0012】請求項3に記載された発明は、請求項1又
は2に記載された発明において、前記電界が、周期電界
であることを特徴とするものである。
【0013】請求項4に記載された発明は、請求項1〜
3のいずれかに記載された発明において、前記周期電界
が、交流電界であることを特徴とするものである。
【0014】請求項5に記載された発明は、請求項1〜
4のいずれかに記載された発明において、前記交流電界
の4分の1周期が、ゲル化させる液晶物質の電界に対す
る応答時間よりも長いことを特徴とするものである。
【0015】請求項6に記載された発明は、請求項1〜
5のいずれかに記載された発明において、前記一対の基
板のうちの表示側の基板が、厚み250μm以下のプラ
スチック基板であることを特徴とするものである。
【0016】請求項7に記載された発明は、請求項6に
記載された発明において、前記プラスチック基板が、ポ
リカーボネイト又はポリエーテルスルフォンで構成され
ていることを特徴とするものである。
【0017】請求項8に記載された発明は、請求項1〜
7のいずれかに記載された発明において、あらかじめ、
少なくとも一方の基板の表面に室温では液晶物質と混和
しない低分子化合物で構成されるゲル化剤を配置した対
向する一対の基板の間に液晶物質を注入することを特徴
とする液晶表示素子の製造方法である。
【0018】請求項9に記載された発明は、請求項8に
記載された発明において、前記液晶物質を対向する一対
の基板間に注入した後加熱してゲル化剤を液晶物質に溶
解させ、続いて、これを電界の印加条件下において室温
まで冷却することを特徴とするものである。
【0019】請求項10に記載された発明は、請求項1
〜7のいずれかに記載の液晶表示素子の製造方法におい
て、対向する一対の基板の間に、加熱によりゲル化剤を
液晶物質に溶解した液晶組成物を注入し、続いて、これ
を電界の印加条件下において室温まで冷却することを特
徴とする液晶表示素子の製造方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態を
示す液晶表示素子の断面図である。図2は、本発明の一
実施の形態を示す液晶表示素子の製造過程を示す説明図
であって、(a)は、基板上にスペーサーを存在させた
状態を示し、(b)は、基板上にゲル化剤を存在させた
状態を示す。図3は、本発明の一実施の形態を示す液晶
表示素子の製造過程を示す説明図であって、張り合わせ
た一対の基板の間に液晶物質を注入した状態の断面を示
す説明図である。図4は、本発明の一実施の形態を示す
液晶表示素子の製造過程を示す説明図であって、加熱に
よりゲル化剤が液晶物質に溶解された液晶組成物を電界
の印加条件下において室温まで冷却する状態を示す説明
図である。図5は、一対の基板の外表面に偏光板を設け
て表示素子として完成した状態を示す説明図である。図
6は、液晶組成物に印加する周期電界の説明図である。
図7は、液晶表示素子の光透過率を測定する個所を示
す。
【0021】図1において、20は、本発明の液晶表示
素子である。本発明の液晶表示素子20は、電極3,4
をそれぞれ備えた一対の基板1,2の間に、液晶物質
(図3における7参照)とこれをゲル化するゲル化剤
(図3における10参照)とを含む透明な調光層9を有
している。前記調光層9のゾルゲル転移温度は、前記液
晶物質の等方相/液晶相転移温度よりも高いものとされ
ており、そして、前記調光層9は、加熱によりゲル化剤
が液晶物質に溶解された液晶組成物(図4における8参
照)を電界の印加条件下において室温まで冷却したもの
で構成されている。本明細書においては、前記「透明な
調光層」は、バックライト及び直交する二枚の偏光板と
組み合わせることにより、電圧がoffの状態では光透
過性(明状態)を示し、そして、電圧がonの状態では
光遮断性(暗状態)を示すものであって、光透過性液晶
表示素子を構成する調光層を意味し、それ自体は、公知
のものである。本明細書においては、かかる「調光層」
を「透明な調光層」という。図1において、5,6は、
配向膜であり、11は、スペーサーであり、そして、1
2,13は、シール部である。
【0022】本発明においては、このように、調光層9
のゾルゲル転移温度が、前記液晶物質の等方相/液晶相
転移温度よりも高いものとされ、そして、前記調光層9
が、加熱によりゲル化剤が液晶物質に溶解された液晶組
成物を電界の印加条件下において室温まで冷却したもの
で構成されているので、ゾルゲル転移温度が液晶物質の
等方相/液晶相転移温度よりも高い場合においても、透
明性が高く、しかも、明るさのムラが少ない、液晶ゲル
で構成される液晶表示素子20を効率良く低コストで製
造することができる。特に、大画面の表示素子の作製に
おいては、工業的に再現性が良く、透明性が高くて、し
かも、明るさのムラが少ない均一な素子を製造すること
は困難であるが、前記調光層9が、加熱によりゲル化剤
が液晶物質に溶解された液晶組成物を電界の印加条件下
において室温まで冷却したもので構成されているので、
透明性が高く、しかも、明るさのムラが少ない、液晶ゲ
ルで構成される液晶表示素子20を効率良く低コストで
製造することができる。
【0023】本発明における「ゲル」は、三次元ネット
ワーク構造に溶剤が取り込まれた状態のものをさし、ゲ
ル状態からゾル(溶液)状態へと可逆的に変化するもの
である。ゲル状態からゾル状態への変化が可能であれ
ば、三次元ネットワーク構造の架橋部分の構造には限定
を受けないが、その架橋構造は一般的に共有結合以外の
二次的結合力によるものの場合が多い。本発明で用いる
ゲルのネットワーク構造は、分子間水素結合によるもの
であり、温度を上げることによりゲルのゾル化を引き起
こすことができる。このように、三次元ネットワーク構
造に溶剤が取り込まれた状態のゲルとすると、室温条件
下で流動性を持たない安定な構造を保持する液晶表示素
子となる。
【0024】本発明におけるゲル化剤は、低分子化合物
で構成されている。このような低分子化合物をゲル化剤
として用いると、ゲル化剤として高分子化合物を用いる
ものと比較して、液晶物質との相溶性が向上するので、
短時間の内に低いエネルギーで液晶物質をゲル化するこ
とが可能となる。本発明でいう「低分子化合物」とは、
分子量分布をもたない化合物をさす。このような低分子
化合物は、好ましくは、前記液晶物質に溶解し、かつ、
分子間水素結合によって該液晶物質をゲル化する分子量
2000以下、好ましくは、150〜2000の低分子
化合物で構成され、キラル構造を持つものが好ましい。
【0025】分子間水素結合が可能な分子構造上の条件
は、一般的にはアミド基(−NHCO−)、アミノ基
(−NH−)とカルボニル基(−CO−)の組み合わせ
を有するものが望ましい。これ以外に、カルバメート
基、ウレア基、カルボキシル基、アルコキシ基、リン酸
基及び水酸基などがあっても良く、これらの数、位置に
ついては限定しない。そのようなゲル化剤の中でも特
に、分子間水素結合が可能な基およびアルキレン基を1
分子中にそれぞれ2個以上有する化合物が望ましい。ア
ルキレン基としては、炭素数4以上、好ましくは6〜2
0の長鎖構造(分岐があっても良い)を持つ方が、液晶
物質への溶解性が高い。また、ゲル化剤はキラル構造を
有することが好ましい。具体的には、特開平5−216
015号公報、特開平8−254688号公報、特開平
11−21556号公報、及び、特開平11−5234
1号公報に開示されているものが使用できる。
【0026】本発明において用いられる液晶物質として
は、従来から液晶表示素子に用いられている液晶分子、
具体的にはネマティックあるいはスメクティック相を示
すビフェニル系、フェニルシクロヘキサン系などの各種
液晶分子を用いることができる。
【0027】本発明における電界は、好ましくは、周期
電界である。本発明における電界の印加は、液晶分子を
動かすために行われる。ここでいう「液晶分子が動く」
とは、液晶分子が電界に応答して動き続ける、即ち、動
的な状態となることを意味する。加熱によりゲル化剤が
液晶物質に溶解された液晶組成物(図4における8参
照)を電界の印加条件下において室温まで冷却すると、
液晶組成物が冷却する過程で、液晶分子が動き、光透明
性・均一性に優れたゲルを得ることができる。したがっ
て、液晶分子が動くという条件を満たすものであれば、
印加する電界の波形は限定されないが、周期電界である
とより好ましい。ここで言う周期電界とは、一定時間毎
に一定の電界がかかる波形を指す。このように、電界と
して周期電界を用いると、液晶物質を規則的に動かすこ
とができるので、透明性がより高く、しかも、明るさの
ムラが少なく均一な液晶ゲルで構成される液晶表示素子
20を効率良く低コストで製造することができる。
【0028】前記周期電界は、好ましくは、交流電界で
ある。交流電界を液晶組成物に印加すると、液晶物質に
は一定時間毎に絶対値の等しい正負の電界がかかるの
で、液晶物質を規則的かつより大きく動かすことができ
る。本発明においては、30〜60Vで印加する交流電
界が好ましい。交流電界であれは、sin波、矩形波、
三角波等いずれの波形であっても効果があるが、図6に
示すようなパルス交流電界であることが好ましい。パル
ス交流電界を印加すると、周期的にパルス電界が印加さ
れる時以外は電界が0の状態となり、電界方向を向くよ
うに動いた液晶物質がもとに戻る時間が短縮され、より
効果的に液晶物質を動かすことができる。このように、
液晶組成物に、周期電界のなかでも特に交流電界を印加
すると、透明性がいっそう高く、しかも、明るさのムラ
が少ない、液晶ゲルで構成される液晶表示素子20をよ
り効率良く低コストで製造することができる。
【0029】また、液晶に印加する電界(電圧)は、使
用する液晶とゲル化剤が混和した状態において、液晶分
子が応答して立ちあがりはじめる電圧よりも高いことが
必要である。液晶分子が立ち上がり始める電圧よりも小
さい電圧であれば、電界を印加しても液晶分子が動かな
いので本発明における目的を達成することができない。
逆に、液晶分子が立ち上がりきる電圧よりも大きい場合
は、液晶分子は大きく動くことができるが、高電圧の印
加によってセルが劣化したり、発熱が生じて温度制御の
妨げとなる可能性がある。したがって、液晶物質に印加
する電圧は、液晶分子が立ち上がりはじめる電圧から立
ち上がりきる電圧の間であることが望ましい。この範囲
の中で、電圧は高い方が効果的に液晶分子を動かすこと
ができるので、液晶分子が電界方向に対して立ち上がり
切る電圧の2分の1以上であればより一層好ましい。
【0030】前記交流電界の4分の1周期は、ゲル化さ
せる液晶物質の電界に対する応答時間よりも長い。この
ように、交流電界の4分の1周期、即ち、電界が0から
極大値あるいは極小値まで変化する時間が液晶の応答時
間よりも短いと、液晶分子が電界方向に完全に立ち上が
らないうちに立ち下がり始めるので、液晶分子が十分に
動けなくなる。しかし、本発明のように、交流電界の4
分の1周期が応答時間よりも長ければ、液晶分子は、印
加された電界に応じて充分に応答することが可能とな
る。ただし、ここでいう「応答時間」とは、立ち上が
り、立ち下がりそれぞれの時間のことであり、これらの
どちらか長い方の時間よりも電界の4分の1周期が長く
なるように調整すればよい。このように、前記交流電界
の4分の1周期が液晶物質の電界に対する応答時間より
も長いと、透明性がいっそう高く、しかも、明るさのム
ラが少ない、液晶ゲルで構成される液晶表示素子20を
より効率良く低コストで製造することができる。
【0031】前記一対の基板のうちの表示側の基板は、
厚み250μm以下のプラスチック基板である。このよ
うに、前記一対の基板のうちの表示側の基板が厚み25
0μm以下のプラスチック基板であると、一対の基板の
うちの表示側の基板がガラス基板であるものと比べて軽
量、薄型の液晶表示素子とすることができる。従来、プ
ラスチック基板を用いた液晶表示素子には、気泡が発生
しやすいという問題点があった。気泡が発生する原因の
一つに基板が押されることがあげられる。このような問
題は、可とう性の基板を使用した場合には、基本的には
避けられない現象であり、特に、250μm以下のフイ
ルム基板を使用した場合は顕著である。しかし、本発明
の液晶表示素子においては、一対の両基板間にゲル状の
液晶組成物が存在しているので、厚み250μm以下の
プラスチック基板を用いていても、気泡の発生する可能
性が低い。その理由は明確には判明していないが、基板
内部が他の部分に比較して負圧になる時に気泡が発生す
るところ、液体状態の調光層からゲル化した固体様の調
光層となると、基板の変形に対する回復に調光層が追随
するので、基板内部が他の部分に比較して負圧になるこ
とは抑制され、そのために、気泡発生が抑制されるもの
と考えられる。また、同じ押圧であれば、固体様となっ
た調光層の方が表示素子としても変形しにくいことも効
果をあげる要因となっていると考えられる。
【0032】前記プラスチック基板は、ポリカーボネイ
ト又はポリエーテルスルフォンで構成されている。この
ように、プラスチック基板がポリカーボネイト又はポリ
エーテルスルフォンで構成されていると、リターデーシ
ョン、可視光の透過性、耐熱性(〜150℃)、基板の
軽量性、厚みの点で優れたものとなり、そのために、か
かるプラスチック基板を用いて形成した液晶表示素子
は、表示品質が高く、また、軽量性、可とう性、生産性
等の性質において優れたものとなる。
【0033】本発明においては、基板にラビング処理を
施すと、明るさのムラが無い液晶表示素子とすることが
できる。具体的には、ポリイミド、ポリビニルアルコー
ル等の高分子膜をフレキソ印刷、スピンコート、ロール
コート、シルク印刷などの手法で成膜した基板面を機械
的に一定の方向にこする。ラビングには、円筒状のロー
ルに布を巻きつけるか、又は、植毛したものを用いて、
それを回転させることによって行う。布の材質は、ポリ
エステル、ナイロン、アクリル、レーヨン等が適してい
る。
【0034】また、本発明においては、レシチンよりな
る両親媒性界面活性剤、有機シランカップリング剤等の
薬剤で基板表面を処理して、液晶分子の基板表面への垂
直な配向や平行な配向を誘起させることができる。さら
に、SiO基板に対して斜めから蒸着することにより、
基板に耐熱性の高い配向膜を形成し、明るさのムラが無
い液晶表示素子とすることができる。この場合、蒸着
角、蒸着速度、真空度、基板温度、膜厚等の蒸着条件、
或いは、液晶材料によって、液晶分子の配向形態が変化
する。特に、蒸着角は重要なパラメーターであるので、
使用する材料によって最適な条件で蒸着を行う。
【0035】本発明の液晶表示素子は、例えば、図2、
3に示されているように、あらかじめ、少なくとも一方
の基板1(2)の表面に室温では液晶物質7と混和しな
い低分子化合物で構成されるゲル化剤10を配置した対
向する一対の基板1,2の間に液晶物質7を注入するこ
とにより製造される。そして、前記液晶表示素子の製造
においては、前記液晶物質を対向する一対の基板間に注
入した後加熱してゲル化剤を液晶物質に溶解させ、続い
て、冷却する。
【0036】具体的には、図2に示されているように、
基板1に電極3を形成した基板及び基板2に電極4を形
成した基板をそれぞれ準備し、これらの基板の電極3,
4を形成した側の表面に配向膜5,6を形成する。そし
て、図2(b)に示すように、前記電極3を形成した基
板を下側の基板1とし、その基板1の表面、即ち、配向
膜5の表面にゲル化剤10を溶剤に溶かし、これを前記
下側の基板の表面、即ち、配向膜5の表面に塗布する。
この際、図3に示されているように、後で形成するシー
ル部12、13にゲル化剤が接しないようにする。次
に、図2(a)に示すように、この電極4を形成した基
板2を上側の基板2とし、その基板2の表面、即ち、配
向膜6の表面にスペーサー分散液をスピンコート機によ
り散布し乾燥させて、スペーサー11を配置する。
【0037】そして、図3に示されているように、上側
の基板2及び下側の基板1を接着させるためのシール剤
を下側の基板1の表面に塗布してシール部12,13を
形成し、上側の基板2及び下側の基板1を互いの配向処
理方向が垂直をなすように貼り合わせて固定・硬化して
セルを形成し、このセルを液晶注入用真空装置に移し、
例えば、0.002Torrまで減圧した後、液晶皿に
セルの液晶物質の注入口を付けてセル外部を常圧に戻し
て、調光層における液晶物質7のゲル化剤10によるゾ
ルゲル転移温度(例えば、下記の実施例2では、61
℃)が、前記液晶物質7の等方相/液晶相転移温度(例
えば、下記の実施例2では、45℃)よりも低いものと
する液晶物質7をセル中に導入し、注入部分を封止材で
塞ぐ。
【0038】次に、図4に示すように、前記液晶物質7
を、例えば、120℃まで加熱して前記ゲル化剤10を
液晶物質7に溶かして液晶組成物8とした後、セルの上
側の基板2及び下側の基板1の間に、例えば、周波数が
1Hzの周期電界を印加しながら120℃から毎分0.
1℃の冷却速度で室温まで冷却することにより、図1に
示す、調光層9がゲル状の液晶組成物からなる液晶表示
素子20を得る。図4において、14は電圧計である。
【0039】一般的に、基板面への液晶の導入は、両基
板間への減圧注入が顕著に使用されている方式である。
本発明においては、ゲル化剤が液晶組成物中に存在して
いることが前提であるため、液晶表示素子の使用温度範
囲においては液晶組成物がゲル化していることが望まし
い。したがって、本発明における液晶組成物を常温で基
板間に減圧注入することはできない。ゲル化している液
晶組成物をゾル温度以上まで熱して液体状態とすること
によって減圧注入が可能となるが、この場合には注入が
終了するまではゾル状態を保つ必要があるため、注入
皿、基板などを加熱しておく必要がある。このような操
作はエネルギー的に不利であり、加熱装置等が必要とな
る上に、その制御も複雑となり、生産性を下げる要因と
なる。したがって、液晶を注入するより先にあらかじめ
基板上にゲル化剤を配置するという手順にすれば、減圧
注入時の加熱を必要とせず、従来の装置がそのまま使用
でき、煩雑な温度制御も不要となる。また、ゲル化剤
が、液晶を基板間に注入する温度で液晶と混和するもの
であると、基板間に配置したゲル化剤によって液晶の注
入と同時にゲル化が開始してしまい、注入の妨げとなっ
たり、ゲル化剤が液晶の注入とともに移動して、ゲル化
剤の濃度が基板上で不均一になる可能性がある。そのよ
うな場合に作製された表示素子では、均一な表示ができ
なくなる。この現象を防ぐために、液晶を注入する温度
において混和が起こらない液晶とゲル化剤の組み合わせ
を選ぶことが必要である。
【0040】本発明においては、液晶注入が完了してか
ら加熱処理をしてゲル化剤を液晶に混和させた後に冷却
することにより、表示不良の少ない液晶表示素子を製造
することができる。液晶物質にゲル化剤を溶解したもの
を加熱すると、均一な等方性溶液となる。これを冷却す
ることにより、光学的に異方性のゲル状の液晶組成物を
得ることができる。ネットワーク構造を持つことによ
り、液晶組成物は長期安定性により優れたものとなる。
したがって、液晶の注入が完了した後は、ゲル化剤が液
晶に溶解するように、温度を一旦ゾルゲル転移点以上に
なるまで加熱してからゲル化点以下まで冷却することに
より、短時間で、表示不良の少ない液晶表示素子を提供
することができる。作製したゲル状の液晶は、水素結合
性のネットワーク構造を持つので、熱などの刺激に応じ
て結合が切れたりネットワークを形成したりするという
構造変化を可逆的に起こさせることが可能である。即
ち、ゲル状の液晶組成物を再度加熱することにより等方
性溶液に戻り、再度冷却することで液晶ゲルが得られる
ので、表示欠陥を修復することが可能である。また、本
発明で作製されるゲル状の液晶組成物は、電界の強度の
変化に応じて配向が変化し、明確な電界応答性を示す。
【0041】本発明においては、図4に示すように、対
向する一対の基板1,2の間に、加熱によりゲル化剤を
液晶物質に溶解した液晶組成物8を注入し、続いて、前
記した方法と同様の方法によって、これを電界の印加条
件下において室温まで冷却しても、調光層9がゲル状の
液晶組成物からなる液晶表示素子20を得ることができ
る。このように、対向する一対の基板1,2の間に、加
熱によりゲル化剤を液晶物質に溶解した液晶組成物8を
注入し、続いて、これを電界の印加条件下において室温
まで冷却すると、ゾルゲル転移温度が液晶物質の等方相
/液晶相転移温度よりも高い場合においても、透明性が
高く、しかも、明るさのムラが少ない、液晶ゲルで構成
される液晶表示素子を効率良く低コストで製造すること
ができる。
【0042】
【実施例】以下、実施例を示して、本発明を具体的に説
明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものでは
ない。
【0043】(実施例1) (1)液晶物質として、等方相/液晶相転移点を45℃
に持つものを用意し、ゲル化剤として、次の式
【化1】 で示されるものを用意した。このゲル化剤による前記の
液晶のゾルゲル転移温度は、おおむね61℃であった。
そして、前記液晶物質に対して前記ゲル化剤を1重量%
の割合で加えた後、これらを加熱して混合することによ
り液晶物質とゲル化剤との混合物とした。 (2)30mm×30mmのガラス板にITOよりなる
電極を形成した基板を2枚準備し、これらの基板の電極
を形成した側の表面にポリイミド膜をフレキソ印刷法に
より形成した後、ナイロンを巻きつけた円筒状ロールを
用いてラビング処理を施すことにより配向膜を形成し
た。 (3)アルコール中にシリカスペーサーを分散させたス
ペーサー散布液を用意し、これを前記2枚の基板の一方
の上基板の上にスピンコート機によりスペーサーを散布
して乾燥させた。次に、上下基板を接着させるためのシ
ール剤を前記2枚の基板の他方の下基板上に印刷形成し
た。 (4)前記二枚の基板を貼り合わせて固定・硬化してセ
ルを作製した。 (5)このセルを120℃に熱したホットプレートに載
せた状態とし、その液晶注入口より、予め、前記(1)
で用意した液晶物質とゲル化剤との混合物をセル中に導
入した後、その液晶注入口を封止材で塞ぎ、これを硬化
することにより液晶表示素子とした。 (6)前記液晶物質とゲル化剤との混合物を120℃ま
で加熱し、前記ゲル化剤を液晶物質に溶かして液晶組成
物とした後、セルの上基板及び下基板との間に周波数が
1Hzの周期電界を印加しながら、該液晶組成物を12
0℃から毎分0.1℃の冷却速度で室温まで冷却して、
調光層がゲル状の液晶組成物からなる液晶表示素子を得
た[図4参照]。このようにして得られた液晶表示素子
におけるゲル上の液晶組成物は、可視光に対して透明で
あり、その表面に肉眼で確認できる明るさのムラは無く
均一であった。また、この液晶表示素子の表面のうち、
図7に示す9点の光透過率を測定したところ、前記9点
の透過率は平均73.6%であり、標準偏差:σ=1.
48であった。但し、前記数値は、液晶を注入していな
いセルの透過率を基準とした値である。そして、上記の
手順で作製した液晶表示素子の上下に偏光板を設置し
て、1kHzの交流電界を印加したところ、液晶が正常
に作動することが確認でき、そのコントラスト比は5
8:1であった[図5参照]。
【0044】(実施例2) (1)液晶物質及びゲル化剤として実施例1と同様のも
のを準備した。 (2)30mm×30mmのガラス板にITOよりなる
電極を形成した基板を2枚準備し、これらの基板の電極
を形成した側の表面にポリイミド膜をフレキソ印刷法に
より形成した後、ナイロンを巻きつけた円筒状ロールを
用いてラビング処理を施すことにより配向膜を形成し
た。 (3)アルコール中にシリカスペーサーを分散させたス
ペーサー散布液を用意し、これを前記2枚の基板の一方
の上基板の上にスピンコート機によりスペーサーを散布
して乾燥させた[図2(a)参照]。 (4)実施例1と同様のゲル化剤を溶剤に溶かしたもの
を用意し、これを前記2枚の基板の他方の下基板の上に
塗布した[図2(b)参照]。この時、後のシール部分
にはゲル化剤が接しないようにした。次に、上下基板を
接着させるためのシール剤を前記2枚の基板の他方の下
基板上に印刷形成した。 (5)前記二枚の基板を貼り合わせて固定・硬化してセ
ルを作製した。 (6)前記セルを液晶注入用真空装置に移して、0.0
02Torrまで減圧した後、液晶皿にセルの液晶注入
口を付けてセル外部を常圧に戻して、液晶をセル中に導
入し、続いて、液晶注入口を封止材で塞ぎ硬化すること
により液晶表示素子を得た[図3参照]。 (7)この液晶表示素子を120℃まで加熱してゲル化
剤を液晶に溶かした後、実施例1と同様の周期電界を印
加しながら毎分0.1℃の冷却速度で室温まで冷却し
て、調光層がゲル状の液晶組成物からなる液晶表示素子
を得た[図4参照]。このようにして得られた液晶表示
素子におけるゲル状の液晶組成物は、可視光に対して透
明であり、その表面に肉眼で確認できる明るさのムラは
無く均一であった。また、この液晶表示素子の表面のう
ち、図7に示す9点の光透過率を測定したところ、前記
9点の透過率は平均75.1%であり、標準偏差:σ=
1.39であった。但し、前記数値は、液晶を注入して
いないセルの透過率を基準とした値である。そして、上
記の手順で作製した液晶表示素子の上下に偏光板を設置
して、1kHzの交流電界を印加したところ、液晶が正
常に作動することが確認でき、そのコントラスト比は6
0:1であった[図5参照]。
【0045】(実施例3) (1)液晶物質として、実施例1と同様の等方相/液晶
相転移点を45℃に持つものを用意し、ゲル化剤とし
て、次の式
【化2】 で示されるものを用意した。このゲル化剤による前記の
液晶のゾルゲル転移温度は、おおむね57℃であった。 (2)実施例2と同様の手順にて、予め、ゲル化剤を配
置したセルに液晶を注入して、120℃まで加熱してゲ
ル化剤を液晶に溶かした後に、両基板間に周波数が1H
zの交流sin波を印加しながら毎分0.1℃の速度で
室温まで冷却することにより、画像表示部分がゲル状の
液晶組成物からなる液晶表示素子を得た。このようにし
て得られた液晶表示素子におけるゲル状の液晶組成物
は、可視光に対して透明であり、その表面に肉眼で確認
できる明るさのムラは無く均一であった。また、この液
晶表示素子の表面のうち、図7に示す9点の光透過率を
測定したところ、前記9点の透過率は平均68.8%で
あり、標準偏差:σ=1.93であった。但し、前記数
値は、液晶を注入していないセルの透過率を基準とした
値である。
【0046】(比較例1)セルを冷却するときに電界を
印加しない、ということ以外は、実施例1と同様の方法
で液晶表示素子を作製した。このようにして得られた液
晶表示素子の表面は、明るさのムラが無く均一であった
が、実施例1のセルと比較すると、透明性が劣ることが
肉眼で確認できた。また、実施例1と同様の条件で透過
率を測定したところ、前記9点の透過率は平均61.0
%であり、標準偏差:σ=1.56であった。但し、前
記数値は、液晶を注入していないセルの透過率を基準と
した値である。電界に対する応答性は、実施例1で作製
したセルと大差なかったが、コントラスト比は33:1
であった。
【0047】(比較例2)実施例3で用いた液晶物質と
ゲル化剤とを用意した。そして、液晶物質及びゲル化剤
よりなる液晶組成物の冷却時に印加する交流sin波の
周波数を1kHzとすること以外は、実施例3と同様の
方法で液晶表示素子を作成した。得られた素子の表面
は、明るさのムラが無く均一であったが、実施例3のセ
ルと比較すると、透明性がやや劣っていることが肉眼で
確認できた。また、実施例1と同様の条件で透過率を測
定したところ、前記9点の透過率は平均49.5%であ
り、標準偏差:σ=1.84であった。但し、前記数値
は、液晶を注入していないセルの透過率を基準とした値
である。
【0048】
【発明の効果】(1)請求項1、2に記載された発明に
よれば、調光層のゾルゲル転移温度が、前記液晶物質の
等方相/液晶相転移温度よりも高いものとされ、そし
て、前記調光層が、加熱によりゲル化剤が液晶物質に溶
解された液晶組成物を電界の印加条件下において室温ま
で冷却したもので構成されているので、ゾルゲル転移温
度が液晶物質の等方相/液晶相転移温度よりも高い場合
においても、透明性が高く、しかも、明るさのムラが少
ない、液晶ゲルで構成される液晶表示素子を効率良く低
コストで製造することができる。特に、大画面の表示素
子の作製においては、工業的に再現性が良く、透明性が
高くて、しかも、明るさのムラが少ない均一な素子を製
造することは困難であるが、前記調光層が、加熱により
ゲル化剤が液晶物質に溶解された液晶組成物を電界の印
加条件下において室温まで冷却したもので構成されてい
るので、透明性が高く、しかも、明るさのムラが少な
い、液晶ゲルで構成される液晶表示素子を効率良く低コ
ストで製造することができる。
【0049】(2)請求項3に記載された発明によれ
ば、電界が周期電界であるので、液晶物質を規則的に動
かすことができ、そのために、透明性がより高く、しか
も、明るさのムラが少なく均一な液晶ゲルで構成される
液晶表示素子を効率良く低コストで製造することができ
る。
【0050】(3)請求項4に記載された発明によれ
ば、周期電界が交流電界であるので、液晶物質を規則的
にかつより大きく動かすことができ、そのために、透明
性がいっそう高く、しかも、明るさのムラが少ない、液
晶ゲルで構成される液晶表示素子をより効率良く低コス
トで製造することができる。
【0051】(4)請求項5に記載された発明によれ
ば、交流電界の4分の1周期が液晶物質の電界に対する
応答時間よりも長いと、光透明性がいっそう高く、しか
も、明るさのムラが少ない、液晶ゲルで構成される液晶
表示素子をより効率良く低コストで製造することができ
る。
【0052】(5)請求項6に記載された発明によれ
ば、一対の基板のうちの表示側の基板が厚み250μm
以下のプラスチック基板であるので、一対の基板のうち
の表示側の基板がガラス基板であるものと比べて軽量、
薄型の液晶表示素子とすることができる。
【0053】(6)請求項7に記載された発明によれ
ば、プラスチック基板がポリカーボネイト又はポリエー
テルスルフォンで構成されているので、表示品質が高
く、また、軽量性、可とう性、生産性等の性質において
優れたものとなる。
【0054】(7)請求項8,9に記載された発明によ
れば、液晶組成物をゲル化させる時の温度を精密に制御
しなくても、より透明性が高く、しかも、明るさのムラ
が少ない、液晶ゲルで構成される液晶表示素子を効率良
く低コストで製造することができる。特に、大画面の表
示素子の製造においては、工業的に再現性良く透明性が
高くて均一な素子を製造することは困難であるが、前記
調光層が、加熱によりゲル化剤が液晶物質に溶解された
液晶組成物を電界の印加条件下において室温まで冷却し
たもので構成されているので、より透明性が高く、しか
も、明るさのムラが少ない、液晶ゲルで構成される液晶
表示素子を効率良く低コストで製造することができる。
【0055】(8)請求項10に記載された発明によれ
ば、対向する一対の基板の間に、加熱によりゲル化剤を
液晶物質に溶解した液晶組成物を注入し、続いて、これ
を電界の印加条件下において室温まで冷却するので、ゾ
ルゲル転移温度が液晶物質の等方相/液晶相転移温度よ
りも高い場合においても、透明性が高く、しかも、明る
さのムラが少ない、液晶ゲルで構成される液晶表示素子
を効率良く低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す液晶表示素子の断
面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す液晶表示素子の製
造過程を示す説明図であって、(a)は、基板上にスペ
ーサーを存在させた状態を示し、(b)は、基板上にゲ
ル化剤を存在させた状態を示す。
【図3】本発明の一実施の形態を示す液晶表示素子の製
造過程を示す説明図であって、張り合わせた一対の基板
の間に液晶物質を注入した状態の断面を示す説明図であ
る。
【図4】本発明の一実施の形態を示す液晶表示素子の製
造過程を示す説明図であって、加熱によりゲル化剤が液
晶物質に溶解された液晶組成物を電界の印加条件下にお
いて室温まで冷却する状態を示す説明図である。
【図5】一対の基板の外表面に偏光板を設けて表示素子
として完成した状態を示す説明図である。
【図6】液晶組成物に印加する周期電界の説明図であ
る。
【図7】液晶表示素子の光透過率を測定する個所を示
す。
【符号の説明】
1 基板(下側) 2 基板(上側) 3,4 電極 5,6 配向膜 7 液晶物質 8 液晶組成物 9 調光層 10 ゲル化剤 11 スペーサー 12,13 シール部 14 電圧計 15 偏光板(下側) 16 偏光板(上側) 20 液晶表示素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H089 HA04 JA03 JA04 JA05 KA06 KA07 NA24 NA31 NA34 NA35 NA58 QA12 2H090 JB03 KA11

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極を備えた一対の基板間に、液晶物質
    とこれをゲル化するゲル化剤とを含む透明な調光層を有
    する液晶表示素子において、前記調光層のゾルゲル転移
    温度が、前記液晶物質の等方相/液晶相転移温度よりも
    高いものとすると共に、前記調光層を、加熱によりゲル
    化剤を液晶物質に溶解した液晶組成物を電界の印加条件
    下において室温まで冷却したもので構成したことを特徴
    とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 前記ゲル化剤が、前記液晶物質に溶解
    し、かつ、分子間水素結合によって該液晶物質をゲル化
    する分子量2000以下、好ましくは、150〜200
    0の低分子化合物で構成されていることを特徴とする請
    求項1に記載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 前記電界が、周期電界であることを特徴
    とする請求項1又は2に記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 前記周期電界が、交流電界であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示素
    子。
  5. 【請求項5】 前記交流電界の4分の1周期が、ゲル化
    させる液晶物質の電界に対する応答時間よりも長いこと
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示
    素子。
  6. 【請求項6】 前記一対の基板のうちの表示側の基板
    が、厚み250μm以下のプラスチック基板であること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液晶表示
    素子。
  7. 【請求項7】 前記プラスチック基板が、ポリカーボネ
    イト又はポリエーテルスルフォンで構成されていること
    を特徴とする請求項6に記載の液晶表示素子。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の液晶表
    示素子の製造方法において、あらかじめ、少なくとも一
    方の基板の表面に室温では液晶物質と混和しない低分子
    化合物で構成されるゲル化剤を配置した対向する一対の
    基板の間に液晶物質を注入することを特徴とする液晶表
    示素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記液晶物質を対向する一対の基板間に
    注入した後加熱してゲル化剤を液晶物質に溶解させ、続
    いて、これを電界の印加条件下において室温まで冷却す
    ることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示素子の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7のいずれかに記載の液晶
    表示素子の製造方法において、対向する一対の基板の間
    に、加熱によりゲル化剤を液晶物質に溶解した液晶組成
    物を注入し、続いて、これを電界の印加条件下において
    室温まで冷却することを特徴とする液晶表示素子の製造
    方法。
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