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JP2003347235A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

Info

Publication number
JP2003347235A
JP2003347235A JP2002153410A JP2002153410A JP2003347235A JP 2003347235 A JP2003347235 A JP 2003347235A JP 2002153410 A JP2002153410 A JP 2002153410A JP 2002153410 A JP2002153410 A JP 2002153410A JP 2003347235 A JP2003347235 A JP 2003347235A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
semiconductor substrate
semiconductor device
manufacturing
semiconductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002153410A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunimasa Takahashi
邦方 高橋
Masao Uchida
正雄 内田
Osamu Kusumoto
修 楠本
Masaya Yamashita
賢哉 山下
Makoto Kitahata
真 北畠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2002153410A priority Critical patent/JP2003347235A/ja
Publication of JP2003347235A publication Critical patent/JP2003347235A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的特性の良好な半導体装置の製造方法を
提供する。 【解決手段】 SiC基板11に不純物イオンを注入し
て、SiC基板11内に不純物イオンのピークを有する
注入層12を形成する。次いで、SiC基板11とSi
C基板13とを張り合わせた状態でアニール炉内に設置
し、アルゴン雰囲気中で加熱する。これにより、アニー
ルを行うと同時に注入層12のうち不純物濃度が低く、
損傷の大きい上部注入層12bを除去できるので、Si
C基板11を用いて優れた電気的性能を有する半導体装
置を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化珪素などから
なる半導体層に不純物のイオン注入を施す工程を含む半
導体装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭化珪素(シリコンカーバイド、Si
C)は、珪素(Si)に比べてバンドギャップが大きい
ことから高い絶縁耐性を有しており、また、高温におい
ても安定な性質を有する半導体である。このような特性
から、SiCは、次世代のパワーデバイスや高周波デバ
イス、高温動作デバイス等への応用が期待されている。
【0003】SiCは、立方晶系の3C−SiCや六方
晶系の6H−SiC、4H−SiC、あるいは菱面体系
の15R−SiC等の多くの結晶構造をとりうることが
知られている。
【0004】ここで、SiCを基板とする半導体装置
は、一般的には、SiC基板内に素子の種類に応じて必
要な領域を設けることにより形成される。例えば、ダイ
オードであれば、p型ドープ層、i層(イントリンシッ
ク層)、n型ドープ層などを形成することになり、FE
Tの場合には、ソース・ドレイン層、チャネル層などを
設けることになる。そのとき、特に、SiC基板中の特
定の領域を所望の導電型にする方法として、n型にする
場合は窒素(N)、リン(P)等のイオンを、p型にす
る場合にはホウ素(B)、アルミニウム(Al)等のイ
オンをドーパントとしてSiC基板中に打ち込む方法
(イオン注入法)が広く採用されている。この方法を採
用する場合には、イオン注入後、イオン注入が施された
SiC基板をアニール炉内に設置し、アニール炉内に常
圧のアルゴンガスを流しながら、SiC基板を1300
℃以上の高温に加熱することにより、SiC基板中のう
ち不純物イオンが打ち込まれた領域の結晶性の回復と、
打ち込まれたイオンの活性化とを行うのが一般的であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術では以下のような不具合があった。
【0006】図9は、従来の製造方法によって形成され
たSiC基板の深さ方向における不純物の濃度分布を示
す図である。ここで測定された基板は、アルミニウムイ
オンを1回注入された後、1300℃以上の活性化アニ
ールを施されたものである。
【0007】図9に示すように、SiC基板に注入され
たイオンは、1300℃以上の活性化アニールによって
もほとんど拡散しない。そのため、1回のイオン注入に
よって導入された不純物のプロファイルは、活性化アニ
ール後も注入時とはほとんど変わらないガウス関数的な
分布をしている。不純物濃度が低い領域は抵抗値が大き
くなるので、半導体装置を作製する際には、なるべく不
純物濃度が高い領域が広く均一に分布する方が好まし
い。したがって、従来は、注入のためのエネルギーを変
えてイオン注入を複数回行い、不純物濃度ができるだけ
均一な領域を所定の幅をもって形成することが一般的に
行われていた。
【0008】ところが、このように複数回イオン注入し
ても最上のピーク位置から上方の領域では不純物濃度が
低くなる。つまり、SiC基板の深さ方向の所定位置
(図9においては上面からの深さが約150nmの位
置)よりも上方には、不純物濃度の制御できない領域が
存在する。その結果、SiC基板の上面部の不純物濃度
を所望の濃度に制御することが困難となり、SiC基板
の上にオーミックコンタクトする電極(オーミック電
極)やショットキーコンタクトする電極(ショットキー
電極)を形成しようとしても、所望のオーミック特性や
ショットキー特性が得られないという不具合があった。
加えて、イオン注入を行なう際に、イオンが通過する基
板の表層付近は損傷を受けるという不具合もあった。
【0009】また、ダイオードのような縦型デバイスに
限らず、MESFETなどの横型デバイスにおいても、
イオン注入に伴う結晶構造の欠陥や、不純物濃度の調節
が困難な領域の存在は、その性能に影響を及ぼす。
【0010】本発明の目的は、上記従来の不具合を解決
することであり、電気的特性の良好な半導体装置の製造
方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体装置の製
造方法は、第1の半導体基板の上方から不純物イオンを
注入して第1の不純物ドープ層を形成する工程(a)
と、上記第1の半導体基板の上面と、第2の半導体基板
の上面とを対向させた状態で、少なくとも上記第1の半
導体基板を加熱して、上記第1の半導体基板の上面近傍
領域の少なくとも一部を上記第2の半導体基板上に移動
させ、上記第2の半導体基板上にエピタキシャル成長さ
せる工程(b)とを含んでいる。
【0012】この方法により、上記工程(b)では、第
1の半導体基板の不純物濃度が低くなっている上面近傍
領域の少なくとも一部を第2の半導体基板に移動させて
いるので、例えば第1の半導体基板上にオーミック電極
を作製した場合に、抵抗を減らすことができる。また、
イオン注入によって損傷を受けた領域を除去することに
もなるので、電気的特性の優れた半導体装置を製造する
ことが可能になる。
【0013】上記工程(b)の後に、上記第1の半導体
基板と上記第2の半導体基板とを分離する工程をさらに
含むことにより、後に第1の半導体基板及び第2の半導
体基板のそれぞれを用いて半導体装置をすることが可能
となる。
【0014】上記工程(a)の後、上記工程(b)の前
に、上記第1の不純物ドープ層に含まれる不純物とは異
なる導電型の不純物イオンを上記第1の不純物ドープ層
の上部に注入し、上記第1の不純物ドープ層の上部に第
2の不純物ドープ層を形成することにより、第1の半導
体基板を利用した半導体装置を作製することができる。
【0015】上記第1の不純物ドープ層に含まれる不純
物と上記第2の不純物ドープ層に含まれる不純物とは導
電型が相異なることにより、第1の半導体基板を利用し
たPNダイオードを作製することができる。
【0016】上記第1の半導体基板は第1導電型の不純
物を含んでおり、上記工程(a)では、上記第1の半導
体基板に第1導電型の不純物が注入されることにより、
第1の半導体基板を利用してダイオード、MISFE
T、MESFETなどの半導体装置を作製することが可
能となる。
【0017】上記工程(b)の後に、上記第1の半導体
基板上にショットキー電極を形成する工程をさらに含む
ことにより、第1の半導体基板を利用してショットキー
ダイオードを作製することができる。
【0018】上記第1の半導体基板はアンドープの半導
体領域を有しており、上記第1の不純物ドープ層は上記
アンドープの半導体領域の上に設けられることにより、
第1の半導体基板を利用したMESFETを作製するこ
とができる。
【0019】上記工程(b)では、上記第1の半導体基
板と上記第2の半導体基板との間にマスクが挟まれてい
ることにより、第1の半導体基板のうち所望の領域のみ
を第2の半導体基板上に移動させることができるので、
これら半導体基板を利用した半導体装置を設計する上で
の自由度を大きくすることができる。
【0020】上記工程(b)では、上記第1の半導体基
板の上面の少なくとも一部と上記第2の半導体基板の少
なくとも一部とは接触していることにより、第1の半導
体基板と第2の半導体基板との界面においてマクロステ
ップ等の凹凸の発生を抑制することができるので、より
電気的特性の優れた半導体装置を作製することが可能と
なる。
【0021】上記工程(b)では、上記第1の半導体基
板の温度が、上記第1の半導体基板を構成する材料の昇
華温度を500℃下回る温度以上200℃上回る温度以
下となるように加熱することが好ましい。この温度範囲
を下回ると第1の半導体基板の昇華速度が遅くなりす
ぎ、この温度範囲を越えると半導体基板自体が昇華によ
り消失するおそれがある。
【0022】上記第1の半導体基板は炭化珪素により構
成されていることにより、高耐圧で且つ電力損失の少な
い半導体装置を作製することが可能になる。
【0023】この場合、上記工程(b)では、上記第1
の半導体基板の温度が、1300℃以上200℃以下と
なるように加熱することが好ましい。
【0024】上記工程(b)では、上記第1の半導体基
板を加熱することにより、上記第1の半導体基板の温度
を上記第2の半導体基板の温度より高くすることによ
り、第1の半導体基板から昇華した半導体材料を第2の
半導体基板の上面上に効率良く吸着させることができ
る。
【0025】
【発明の実施の形態】まず、本願発明者らは、イオン注
入に代わる不純物導入方法を採用するか、イオン注入を
採用してその不具合の発生を防ぐ方法を探索するかの検
討を行った。
【0026】その結果、イオン注入には、不純物を導入
したい領域に部分的に注入できるなど、in-situドーピ
ングにはない長所を有することから、後者の方法を採る
ことを決めた。
【0027】次に、イオン注入後のSiC層の上面近傍
に位置する不純物濃度の低い領域除くための方法を検討
した。SiCを除去するための方法にはCMP(Chem3i
3calMe3chan3i3cal Pol3ish3ing)やサンドブラスト法、
ドライエッチングなどがあるが、SiCはSiに比べて
硬いためCMPでは研磨しにくく、サンドブラスト法で
は、SiC層の表面が粒子によって傷むおそれがある。
また、ドライエッチングはエッチングの速度が非常に遅
いため、実用化には適していない。
【0028】このように、種々の方法を検討した結果、
本願発明者らは、熱処理によるSiCの昇華を利用する
ことに想到した。そして、いくつかの実験の後、イオン
注入した後のSiC基板ともう1枚のSiC基板(以後
「ダミー用基板」と称する)とを張り合わせた状態で1
300℃以上2000℃以下の条件で熱処理をすること
で、不純物濃度の低いSiC基板の上面近傍のSiCを
効率良く除去できることを見いだした。
【0029】以下の実施形態では、この方法の具体的な
手順及びこの方法を用いた半導体装置の製造方法につい
て説明する。
【0030】(第1の実施形態)まず、本発明の第1の
実施形態に係る半導体基板の処理方法について説明す
る。
【0031】図1(a)〜(c)は、本実施形態に係る
半導体基板の処理方法において、SiC基板を活性化ア
ニールするための基本的な手順を示す断面図である。
【0032】まず、図1(a)に示す工程で、SiC基
板11及びダミー用SiC基板13を準備する。ここ
で、SiC基板11としては、例えば、[11−20]
(112バー0)方向に8度のオフ角度がついた直径2
5mmのn型Si面SiC基板(4H−SiC基板)を
用いる。また、ダミー用SiC基板13としては、例え
ば、[11−20](112バー0)方向に8度のオフ角
度がついた直径25mmのn型Si面SiC基板(4H
−SiC基板)を用いる。
【0033】次に、SiC基板11に、イオン注入によ
りアルミニウムを導入する。この際に、アルミニウムイ
オン(Al+)を、注入エネルギーが互いに異なる例え
ば3回のイオン注入工程に分けてSiC基板11内に注
入する。
【0034】ここで、イオン注入条件は、ピークPrp1
に対応するイオン注入の条件が加速電圧40keV、ド
ーズ量1.2×1014atoms・cm-2であり、ピークP
rp2に対応するイオン注入の条件が加速電圧80ke
V、ドーズ量2.5×1014atoms・cm-2であり、ピ
ークPrp3に対応するイオン注入の条件が加速電圧14
0keV、ドーズ量4.5×1014atoms・cm-2であ
る。イオン注入の方向は、いずれの場合にもSiC基板
11の法線に対して7°傾いた方向であり、いずれも室
温下で行なう。
【0035】これにより、SiC基板11内にAl原子
が注入されたp型ドープ層となる注入層12が形成され
る。注入層12内には、図1(a)左図に示すように、
注入時の各エネルギー値に対応したAl濃度の3つのピ
ークPrp1、Prp2、Prp3が形成されている。なお、こ
の例では、注入層12のうち最上のピークPrp3よりも
下方の領域を下部注入層12aとし、最上のピークP
rp3よりも上方の領域を上部注入層12bとしている。
本実施形態においては、後の工程でエッチングにより除
去される部分を上部注入層12bとし、残される部分を
下部注入層12aと定義する。なお、上部注入層12b
と下部注入層12aとの境界が最上のピークPrp3に一
致していない場合もある。
【0036】ここで、上述のイオン注入により形成され
た注入層12の深さ方向のアルミニウム濃度のプロファ
イルについて二次イオン質量分析装置(SIMS)を用
いて測定した。
【0037】図2は、この分析結果を示す図である。同
図に示すように、SiC基板11上には、平均のドーパ
ント濃度が約7×1019atoms・cm-3で、厚みが約2
50nmの注入層12が形成されていることが分かっ
た。そして、下部注入層12aの厚みは約150nm
で、上部注入層12bの厚みは約100nmであった。
【0038】次に、SiC基板11のイオンが打ち込ま
れた上面とダミー用SiC基板13の主面とを向かい合
わせて張り合わせる。
【0039】次いで、図1(b)に示す工程で、張り合
わせた状態のSiC基板11とダミー用SiC基板13
とをアニール炉で加熱する。具体的な方法について以下
に述べる。
【0040】図3は、本発明の各実施形態において用い
られるアニール炉の構成を示す断面図である。同図に示
すように、このアニール炉は、石英製のチャンバー20
と、チャンバー20内で基板21を設置するためのカー
ボン製の基板加熱治具22と、基板加熱治具22を高周
波電力によって加熱するための誘導加熱用コイル23
と、ガス供給系24と、ガス排気系25とを備えてい
る。また、基板21は図1(a)の工程で張り合わされ
た2枚の基板であり、基板21の上には重り等により圧
力がかけられる場合もある。このアニール炉を用いて以
下のように基板21の加熱を行なう。
【0041】まず、SiC基板11の下面、つまり不純
物イオンが注入されていない方の面を基板加熱治具22
に接するように基板21を設置する。これにより、加熱
時には、SiC基板11の温度がダミー用SiC基板1
3の温度よりも高くなるような温度勾配ができる。
【0042】そして、このアニール炉のチャンバー20
内を10-6Pa程度の真空度になるまで減圧した後、ガ
ス供給系24からアニール用の雰囲気ガス26を供給す
る。雰囲気ガス26としてはアルゴンガスを選択し、そ
の流量は2L/minとする。加熱時のチャンバー20
内の圧力は常圧(1気圧)で一定とする。その後、誘導
加熱用コイル23に、20kHz、20kWの高周波電
力を印加して、基板加熱治具22と基板21を加熱す
る。加熱温度としては1500℃とし、加熱時間は30
分とする。
【0043】ここで、本願発明者らの検討の結果、加熱
温度の範囲は、1300℃以上2000℃以下であるこ
とが好ましいことが分かっている。2000℃を越える
とSiC基板が分解するおそれがあり、1300℃未満
ではSiCの昇華速度が小さすぎるからである。
【0044】次に、図1(c)に示す工程で、基板加熱
治具22への加熱を停止して、基板21の温度が常温付
近まで下がった後、基板をチャンバーから取り出す。こ
の工程により、厚さ約100nmの上部注入層12bが
ダミー用SiC基板13上に、厚さ約150nmの下部
注入層12aがSiC基板11の上部にそれぞれ形成さ
れる。
【0045】上述の方法により基板を張り合わせてアニ
ールされたSiC基板11について二次イオン質量分析
(SIMS)を用いて、不純物濃度(Al濃度)の分布
を測定した。
【0046】図4は、SIMSを用いてSiC基板11
の不純物濃度の分布を測定した結果を示す図である。同
図に示すように、本実施形態の方法で処理した後のSi
C基板11においては、上面近傍の不純物濃度が約8×
1019atoms・cm-3と不純物濃度のピークPrp3におけ
る濃度にほぼ等しく、上面近傍の不純物濃度が所望の濃
度に制御されていることが分かる。
【0047】さらに、張り合わせる相手となったダミー
用SiC基板13についてもSIMSを用いて、不純物
であるアルミニウム濃度の分布を測定した。
【0048】図5は、SIMSを用いてダミー用SiC
基板13の不純物濃度の分布を測定した結果を示す図で
ある。同図に示すように、ダミー用SiC基板13にお
いては、SiC層が形成され、該SiC層の上面から2
00nm以内の領域では、約5×1019atoms・cm-3
から約5×1016atoms・cm-3 までの濃度勾配が形成
されている。このSiC層の濃度プロファイルは、Si
C基板11で除去された上部注入層12bに対応してい
ることが分かった。
【0049】これらの結果から、SiC基板を張り合わ
せてアニールすることによって、温度が高いSiC基板
11から、上部注入層12bの炭素、珪素、及び打ち込
まれたアルミニウムイオンが昇華によって脱離し、加熱
される温度が低いダミー用SiC基板13の上面に吸着
したものと考えられる。
【0050】このように、本実施形態の方法によると、
SiC基板11に不純物イオン(本実施形態ではアルミ
ニウムイオン)を注入した後、ダミー用SiC基板13
と張り合わせて高温に保持することにより、注入によっ
て生じた損傷を回復させるためのアニールと、損傷の大
きいSiC基板11の上部領域の除去とを同時に行うこ
とができる。したがって、本実施形態によって形成され
た注入層(不純物ドープ層)を各種デバイスの活性領域
として用いた場合に、その上面領域における結晶中の欠
陥数を低減することができ、当該デバイスの電気的な特
性の向上を図ることができる。
【0051】なお、本実施形態により、SiC基板の上
面近傍における不純物濃度を制御できることにもなる。
【0052】次に、本実施形態の方法において、2枚の
SiC基板を張り合わせる意味について説明する。
【0053】SiC基板11の上部領域を除去するだけ
なら、SiC基板11単独で加熱するだけで十分であ
る。しかし、本実施形態の方法のようにSiC基板11
の上にダミー用SiC基板13を張り合わせることによ
って、処理後のSiC基板11の上面を平坦化し、デバ
イスの形成を容易にすることができるのである。
【0054】SiC層は、多様なポリタイプを有し、良
好な結晶を成長させることが難しい。そのため、通常は
基板面に対していくらかのオフ角度をつけて結晶成長さ
せる。ところが、この方法によると、結晶性の良好なS
iC層を成長させることができる反面、成長面にマクロ
ステップと呼ばれる段差が生じやすくなる。マクロステ
ップが生じるとデバイスを作製する際に、設計通りの性
能が得られないことから、マクロステップの発生を抑え
ることが良好な性能を有するデバイスを作製するための
鍵となっていた。
【0055】本実施形態の方法によれば、SiC基板1
1の上面領域を除去する際にダミー用SiC基板13を
張り合わせるため、熱処理後の下部注入層12aの上面
は平坦化されている。しかも、この平坦化の効果は、元
のSiC基板11の上面に凹凸があっても見られるの
で、本実施形態の方法により作製された基板を用いれ
ば、より高性能のデバイスが製造可能である。
【0056】また、本実施形態においては、アルミニウ
ムのイオン打ち込みによってp型の不純物ドープ層を形
成したが、n型の不純物ドープ層を形成する場合には窒
素(N)またはリン(P)等のイオンを、p型の不純物
ドープ層を形成する場合にはアルミニウム(Al)に代
えてホウ素(B)等のイオンを、それぞれSiC基板中
に打ち込むことができ、その場合にも本発明の方法を用
いることにより、本実施形態と同じ効果を発揮すること
ができる。
【0057】また、本実施形態の基板の処理方法は昇華
と吸着を用いた方法であるので、SiCに限らず、他の
半導体基板にも用いることができる。例えば、SiC基
板11に代えてSi、SiGe、InP、GaNなどの
基板が用いられ、そのときの加熱温度は各材料の昇華温
度を500℃程度下回る温度以上200℃程度上回る温
度以下の範囲であることが好ましい。なお、ダミー用基
板としては、どのような材料からなる基板であってもよ
いが、イオンが注入される基板と同じ、もしくはより昇
華温度が高い方が好ましい。
【0058】また、本実施形態においては、相異なる加
速電圧で3回に分けてイオン注入する多段打ち込みを採
用したが、1回のイオン注入によるドープ層を形成した
い場合にも、上面領域の濃度の制御と大きな損傷を受け
た部分の除去とを実現するために、本発明の方法が有効
である。
【0059】なお、本実施形態においてはSiC基板と
して六方晶系の4H−SiC基板を用いたが、6H−S
iCなど他の結晶構造を有するSiC基板を用いても構
わない。
【0060】また、本実施形態においては張り合わせた
SiC基板をアルゴンガス雰囲気中において加熱した
が、アルゴンガス以外のヘリウムガスなどの希ガスの雰
囲気中でも構わない。また、異なる種類の希ガスを混合
したガスを用いても差し支えない。
【0061】また、本実施形態においては張り合わせた
SiC基板を常圧中で加熱したが、アニール炉内の圧力
を減圧にして加熱してもよい。
【0062】なお、本実施形態の方法において、SiC
基板11の上面上またはダミー用SiC基板13の上面
上にダイアモンド等からなるマスクを設けることによ
り、SiC基板11の上部領域のうちマスクをしない領
域のSiCのみを選択的に除去することもできる。
【0063】(第2の実施形態)本発明の第2の実施形
態として、第1の実施形態のアニール処理を利用してシ
ョットキーダイオードを製造する方法について説明す
る。
【0064】図6(a)〜(c)は、第2の実施形態に
係るショットキーダイオードの製造方法を示す断面図で
ある。
【0065】まず、図6(a)に示す工程で、(000
1)オフ面を主面とするn型4H−SiC基板上に厚み
が約5μmでアンドープのSiCからなるエピタキシャ
ル成長層が形成されたSiC基板31を準備する。そし
て、このエピタキシャル成長層内に7回のイオン注入工
程に分けて窒素(N)イオンを注入して、n型の注入層
32を形成する。ここで、イオン注入条件は、それぞれ
加速電圧7.0MeV、ドーズ量3×1012atoms・c
-2、加速電圧5.6MeV、ドーズ量3×1012atom
s・cm-2、加速電圧4.4MeV、ドーズ量7×10
12atoms・cm-2、加速電圧3.3MeV、ドーズ量7
×1012atoms・cm-2、加速電圧2.4MeV、ドー
ズ量3×1012atoms・cm-2、加速電圧1.6Me
V、ドーズ量3×1012atoms・cm-2、加速電圧1.
0MeV、ドーズ量3×1012atoms・cm-2である。
イオン注入の方向は、いずれの場合にもSiC基板31
上面の法線に対して7°傾いた方向であり、いずれも室
温下で行なう。ここで、イオン注入による窒素濃度のピ
ーク部分が、エピタキシャル成長層の下端部、つまり、
SiC基板31の上面近傍になるように調整されてい
る。ここで、注入層32の厚みは約5μmで、平均の窒
素濃度は約5×1016atoms・cm-3である。注入層3
2のうち、下部注入層32aの厚みが約4.5μmで、
上部注入層32bの厚みが約500nmである。また、
n型のSiC基板31中の不純物濃度は約5×1018at
oms・cm-3である。
【0066】次に、図6(b)に示す工程で、窒素イオ
ンが打ち込まれたSiC基板31と、ダミー用SiC基
板33とを張り合わせて図3に示すような構造を有する
アニール炉で加熱する。具体的な方法について以下に述
べる。
【0067】窒素イオンが打ち込まれたSiC基板31
とダミー用SiC基板33とを張り合わせる。そして、
SiC基板31の下面が基板加熱治具22と接するよう
に設置する。続いて、このアニール炉を用いて基板加熱
治具22と張り合わされた基板を加熱する。
【0068】これにより、加熱時に窒素イオンが打ち込
まれたSiC基板31の温度が、ダミー用SiC基板3
3の温度よりも高くなるような温度勾配ができる。この
時のアニール条件としては、アルゴンガスの流量を2L
/minとし、チャンバー内の圧力は常圧(1気圧)で
一定とする。加熱温度は1600℃とし、加熱時間は6
0分とする。この条件下では、張り合わされた面におい
て加熱される温度が高いSiC基板31から、炭素、珪
素、及び打ち込まれた窒素イオンが昇華によって脱離
し、加熱される温度が低いダミー用SiC基板33の上
面に約500nmの厚みで吸着する。これによって、上
部注入層32bをほぼ完全に除去する。なお、加熱温度
としては、1300℃〜2000℃の範囲であればよ
い。
【0069】次に、図6(c)に示す工程で、SiC基
板31の下面にEB蒸着装置を用いてニッケル(Ni)
を蒸着した後、1000℃で加熱することでNiからな
るオーミック電極34を形成する。
【0070】続いて、下部注入層32aの上にシリコン
酸化膜を形成した後、その一部を開口してガードリング
35を形成する。次いで、ガードリング35の開口領域
の上に金(Au)からなるショットキー電極である上部
電極36を形成する。
【0071】以上の工程によって、平坦な上面を有する
下部注入層を備えたショットキーダイオードを作製する
ことができる。
【0072】本実施形態のショットキーダイオードの製
造方法によれば、注入層32のうち上部注入層32bを
除去することで、上部電極36と下部注入層32aのう
ち不純物濃度のピークを示す領域とを接するようにショ
ットキーダイオードを設計することができる。つまり、
アニール後に残存する下部注入層32aの上面領域の不
純物濃度を、ショットキーコンタクトをとるために必要
な所望の濃度に調整することができる。ここで、下部注
入層32aの上面領域の不純物濃度は、熱処理の時間な
どによっても調節できる。
【0073】また、本実施形態の方法においては、イオ
ン注入の際に生じた欠陥の多い領域除去しているので、
上部電極36の直下の領域における結晶性が良好となっ
ている。したがって、従来のSiC基板を用いたショッ
トキーダイオードのごとく、上部電極直下の欠陥を通じ
た電流によると思われる耐圧の低下を招くことがなく、
パワーダイオードとして優れた特性を得ることができ
る。
【0074】さらに、本実施形態の方法によれば、下部
注入層32aの上面が平坦化されているので、動作時に
局所的な電界集中を起こすことがない。このことも、シ
ョットキーダイオードの耐圧性が向上する理由の1つで
ある。
【0075】なお、本実施形態のショットキーダイオー
ドにおいて、SiC基板31及び注入層32はn型不純
物を含んでいたが、Alなどのp型不純物を含んでいて
もよい。
【0076】また、SiC基板31に代えてSi、Si
Ge、InP、GaNなどからなる基板を用いてもよ
い。これは、以下の実施形態でも共通である。
【0077】(第3の実施形態)次に、本発明の第3の
実施形態として、第1の実施形態に係る基板の処理方法
を利用してPNダイオードを製造する方法について説明
する。
【0078】図7(a)〜(c)は、本発明の第3の実
施形態に係るPNダイオードの製造方法を示す断面図で
ある。
【0079】まず、図7(a)に示す工程で、(000
1)オフ面を主面とするn型4H−SiC基板上に厚み
約1μmのアンドープSiCからなるエピタキシャル成
長層が設けられたSiC基板41を準備する。そして、
このエピタキシャル成長層内に7回のイオン注入工程に
分けて窒素(N)イオンを注入して、n型ドープ層42
を形成する。ここで、イオン注入条件は、それぞれ加速
電圧60keVでドーズ量1.2×1012atoms・cm
-2、加速電圧100keVでドーズ量2.5×1012at
oms・cm-2、加速電圧160keVでドーズ量4.5
×1012atoms・cm-2、加速電圧170keVでドー
ズ量5.0×1012atoms・cm-2、加速電圧180k
eVでドーズ量5.5×1012atoms・cm-2、加速電
圧200keVでドーズ量6.0×1012atoms・cm
-2、加速電圧220keVでドーズ量6.5×1012at
oms・cm-2である。イオン注入の方向は、いずれの場
合にもSiC基板41上面の法線に対して7°傾いた方
向であり、いずれも室温下で行っている。ここで、n型
ドープ層42の厚みは約1μmで、平均の窒素濃度は約
5×1017atoms・cm-3である。また、n型のSiC
基板41中の不純物濃度は約5×1018atoms・cm-3
である。
【0080】続いて、上述のような多段階のアルミニウ
ムイオンの注入を行って、n型ドープ層42の上部にp
型の注入層44を形成する。この注入層44の厚みは2
50nmで、平均のアルミニウム濃度は約7×1019at
oms・cm-3である。
【0081】次に、図7(b)に示す工程で、窒素イオ
ンとアルミニウムイオンとが打ち込まれたSiC基板4
1と、ダミー用SiC基板43とを張り合わせて図3に
示すような構造を有するアニール炉で加熱する。具体的
な方法について以下に述べる。
【0082】まず、窒素イオンとアルミニウムイオンが
打ち込まれたSiC基板41とダミー用SiC基板43
とを張り合わせる。そして、SiC基板41の下面と基
板加熱治具22とが接するように設置する。次いで、こ
のアニール炉を用いて基板加熱治具22を加熱すること
で基板を加熱する。
【0083】これにより、加熱時に、窒素イオンとアル
ミニウムイオンが打ち込まれたSiC基板41の温度
が、ダミー用SiC基板43の温度よりも高くなるよう
な温度勾配ができる。この時のアニール条件として、ア
ルゴンガスの流量を2L/minとし、チャンバー内の
圧力は常圧(1気圧)で一定とする。加熱温度は150
0℃とし、加熱時間は30分とする。この条件下では、
張り合わされた面において、温度が高いSiC基板41
から炭素、珪素、及び打ち込まれたAlイオンが昇華に
よって脱離し、温度の低いダミー用SiC基板43の上
面に厚さ100nmの上部注入層44bが吸着する。ま
た、SiC基板41の上部領域におけるアルミニウム濃
度は最上のピークにおける濃度にほぼ等しく、上面付近
の不純物濃度が所望の濃度に制御されていることが分か
った。そして、この加熱工程により、n型ドープ層及び
p型SiC層中の不純物が活性化されて、PN接合が形
成される。
【0084】次に、図7(c)に示す工程で、SiC基
板41の裏面にEB蒸着装置を用いてニッケル(Ni)
を蒸着した後、1000℃で加熱することでNiからな
り、オーミック電極である下部電極45を形成する。
【0085】続いて、SiC薄膜の上にシリコン酸化膜
を形成した後、その一部を開口して、その領域の上にア
ルミニウム(Al)とニッケルを積層して蒸着した後、
1000℃で加熱することでNi/Alからなる上部電
極46を形成する。
【0086】以上の工程により本実施形態のPNダイオ
ードは、ドーパント濃度が5×10 18atoms・cm-3
SiC基板41と、SiC基板41上に形成されたドー
パント濃度が5×1017atoms・cm-3で厚みが1μm
のn型ドープ層42と、n型ドープ層42上に形成され
たドーパント濃度が7×1019atoms・cm-3で厚みが
150nmのp型SiC層44aと、p型SiC層44
aの上に形成されたNi/Alからなり、オーミック電
極である上部電極46と、SiC基板41の下面上に設
けられ、Niからなるオーミック電極である下部電極4
5とを備えている。
【0087】本実施形態のPNダイオードの製造方法で
は、図7(b)に示す工程においてイオン注入で損傷を
受けたSiC基板41の上面近傍の領域を除去している
ので、p型SiC層44aの結晶性は比較的良好となっ
ている。また、オーミック電極である上部電極46が不
純物濃度の比較的高い領域と接するため、抵抗も小さく
なっている。このため、本実施形態の方法によれば、パ
ワーダイオードとして優れた特性を有するPNダイオー
ドを製造することができる。
【0088】また、本実施形態の方法によれば、p型S
iC層44aの上面が平坦化されるため、p型SiC層
44aと上部電極46との間により良好なオーミックコ
ンタクトを形成することができる。
【0089】なお、本実施形態のPNダイオードにおい
てはn型のSiC基板を用いたが、これに代えてp型S
iC基板を用い、p型SiC基板上にp型ドープ層、n
型SiC層を順に設けてもよい。
【0090】なお、本実施の形態においてはPNダイオ
ードを作製したが、本発明の方法はMOSFETやME
SFET等他のSiC半導体素子を作製するのにも有効
である。
【0091】(第4の実施形態)本発明の第4の実施形
態として、第1の実施形態に係る基板の処理方法を利用
してMESFETを製造する方法について説明する。
【0092】図8(a)〜(c)は、本発明の第4の実
施形態に係るMESFETの製造方法を示す断面図であ
る。
【0093】まず、図8(a)に示す工程で、(000
1)オフ面を主面とするn型4H−SiC基板上に厚み
約5μmのアンドープSiCからなるエピタキシャル成
長層53が設けられたSiC基板54を準備する。そし
て、このエピタキシャル成長層内に7回のイオン注入工
程に分けて窒素(N)イオンを注入して、エピタキシャ
ル成長層53の上部にn型ドープ層52を形成する。こ
こで、イオン注入条件は、それぞれ加速電圧40keV
でドーズ量1.2×1012atoms・cm-2、加速電圧8
0keVでドーズ量2.5×1012atoms・cm-2、加
速電圧140keVでドーズ量4.5×1012atoms・
cm-2である。イオン注入の方向は、いずれの場合にも
SiC基板54上面の法線に対して7°傾いた方向であ
り、いずれも室温下で行っている。
【0094】次に、SiC基板51を用意し、n型ドー
プ層52の上面側に張り合わせる。
【0095】次いで、図8(b)に示す工程で、この基
板を図3に示すアニール炉内に設置し、SiC基板54
の下面と基板加熱治具22とが接した状態で基板を加熱
する。
【0096】これにより、加熱時に、SiC基板54の
温度がSiC基板51の温度よりも高くなるような温度
勾配ができる。この時のアニール条件として、アルゴン
ガスの流量を2L/minとし、チャンバー内の圧力は
常圧(1気圧)で一定とする。加熱温度は1500℃と
し、加熱時間は30分とする。この条件下では、張り合
わされた面において、温度が高いSiC基板54上のn
型ドープ層52から炭素、珪素、及び打ち込まれたAl
イオンが昇華によって脱離し、温度の低いSiC基板5
1の上面に厚さ100nmのn型SiC層55が吸着す
る。
【0097】この工程により、n型ドープ層52の最上
部にある不純物濃度が低い領域が除去され、5×1017
atoms・cm-3の濃度で窒素を含むn型SiC層52a
がSiC基板54上に残る。
【0098】次に、図8(c)に示す工程で、真空蒸着
装置を用いてn型SiC層52aの上面にNiを蒸着す
る。その後、オーミックコンタクトを取るために基板を
1000℃で3分間加熱し、n型SiC層52aの上に
ソース電極57及びドレイン電極58を形成する。続い
て、n型SiC層52aの露出している上面にNiを蒸
着してショットキーコンタクトをとる。これにより、n
型SiC層52aの上、ソース電極57とドレイン電極
58との間にゲート長が約0.5μmのゲート電極56
を形成する。なお、ソース電極57,ドレイン電極5
8,ゲート電極56は互いに離して設けられている。以
上のようにして、本実施形態のMESFETが製造され
る。
【0099】本実施形態の方法で製造されたMESFE
Tは、n型SiC層52aのうちソース電極57及びド
レイン電極58の直下領域での不純物濃度が高くなって
いるので、両電極とn型SiC層52aとの接合面にお
ける電気抵抗が小さくなっている。そのため、駆動時に
大きなオン電流を得ることができる。
【0100】また、本実施形態のMESFETでは、n
型SiC層52aの上面は平坦化されているので、ゲー
ト電極56に高電圧が印加された場合に電界集中が起こ
りにくくなっており、耐圧性が向上している。
【0101】このように、本発明の方法を用いれば、縦
型デバイスに限らず、優れた性能を有する横型デバイス
を製造することができる。
【0102】
【発明の効果】本発明の半導体装置の製造方法によれ
ば、SiC等からなる半導体層に不純物イオンを注入し
た後、チャンバー内で、半導体基板と張り合わせて両者
を加熱しながら、半導体層のうち上面から所定の深さま
での領域を除去するようにしたので、半導体層の上面付
近に形成されていた不純物濃度の低い、イオン打ち込み
による欠陥の多い領域を除去することができる。そのた
め、本発明の半導体装置の製造方法によれば、所望の濃
度と良好な結晶性を有する半導体層を活性領域とする半
導体装置を容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に
係る半導体基板の処理方法を示す断面図である。
【図2】注入層の深さ方向の不純物濃度プロファイルを
SIMSを用いて測定した結果を示す図である。
【図3】本発明に用いられるアニール炉の構成を概略的
に示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の方法によってアニー
ル処理されたSiC基板の不純物濃度プロファイルをS
IMSを用いて測定した結果を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の方法によってアニー
ル処理を行った場合の、ダミー用SiC基板の不純物濃
度プロファイルをSIMSを用いて測定した結果を示す
図である。
【図6】(a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態に
係るショットキーダイオードの製造方法を示す断面図で
ある。
【図7】(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に
係るPNダイオードの製造方法を示す断面図である。
【図8】(a)〜(c)は、本発明の第4の実施形態に
係るMESFETの製造方法を示す断面図である。
【図9】従来の方法によって作製されたSiC基板の深
さ方向の不純物濃度分布を示す図である。
【符号の説明】
11,31,41,43,51,54 SiC基板 12,32,44 注入層 12a,32a 下部注入層 12b,32b 上部注入層 13,33 ダミー用SiC基板 20 チャンバー 21 基板 22 基板加熱治具 23 誘導加熱用コイル 24 雰囲気ガス供給系 25 ガス排気系 26 雰囲気ガス 34 オーミック電極 35 ガードリング 36,46 上部電極 42 n型ドープ層 44a p型SiC層 45 下部電極 52 n型ドープ層 52a,55 n型SiC層 53 エピタキシャル成長層 56 ゲート電極 57 ソース電極 58 ドレイン電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/812 H01L 21/265 Z 29/861 29/872 (72)発明者 楠本 修 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 山下 賢哉 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 北畠 真 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4M104 AA01 AA03 AA04 BB02 BB05 BB09 CC03 DD22 DD26 DD34 DD78 DD91 FF13 GG02 GG03 GG09 GG10 GG12 GG14 HH12 HH15 HH20 5F102 GB01 GC01 GD01 GJ02 GR01 HC01 HC07 HC11 HC21

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の半導体基板の上方から不純物イオ
    ンを注入して第1の不純物ドープ層を形成する工程
    (a)と、 上記第1の半導体基板の上面と、第2の半導体基板の上
    面とを対向させた状態で、少なくとも上記第1の半導体
    基板を加熱して、上記第1の半導体基板の上面近傍領域
    の少なくとも一部を上記第2の半導体基板上に移動さ
    せ、上記第2の半導体基板上にエピタキシャル成長させ
    る工程(b)とを含む半導体装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の半導体装置の製造方法
    において、 上記工程(b)の後に、上記第1の半導体基板と上記第
    2の半導体基板とを分離する工程をさらに含むことを特
    徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の半導体装置の
    製造方法において、 上記工程(a)の後、上記工程(b)の前に、上記第1
    の不純物ドープ層に含まれる不純物とは異なる導電型の
    不純物イオンを上記第1の不純物ドープ層に注入し、上
    記第1の不純物ドープ層の上部に第2の不純物ドープ層
    を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の半導体装置の製造方法
    において、 上記第1の不純物ドープ層に含まれる不純物と上記第2
    の不純物ドープ層に含まれる不純物とは導電型が相異な
    ることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の半導体装置の
    製造方法において、 上記第1の半導体基板は第1導電型の不純物を含んでお
    り、 上記工程(a)では、上記第1の半導体基板に第1導電
    型の不純物が注入されることを特徴とする半導体装置の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の半導体装置の製造方法
    において、 上記工程(b)の後に、上記第1の半導体基板上にショ
    ットキー電極を形成する工程をさらに含むことを特徴と
    する半導体装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または2に記載の半導体装置に
    おいて、 上記第1の半導体基板はアンドープの半導体領域を有し
    ており、上記第1の不純物ドープ層は上記アンドープの
    半導体領域の上に設けられることを特徴とする半導体装
    置の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のうちいずれか1つに記載
    の半導体装置の製造方法において、 上記工程(b)では、上記第1の半導体基板と上記第2
    の半導体基板との間にマスクが挟まれていることを特徴
    とする半導体装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のうちいずれか1つに記載
    の半導体装置の製造方法において、 上記工程(b)では、上記第1の半導体基板の上面の少
    なくとも一部と上記第2の半導体基板の少なくとも一部
    とは接触していることを特徴とする半導体装置の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のうちいずれか1つに記
    載の半導体装置の製造方法において、 上記工程(b)では、上記第1の半導体基板の温度が、
    上記第1の半導体基板を構成する材料の昇華温度を50
    0℃下回る温度以上200℃上回る温度以下となるよう
    に加熱することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のうちいずれか1つに
    記載の半導体装置の製造方法において、 上記第1の半導体基板は炭化珪素により構成されている
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の半導体装置の製造
    方法において、 上記工程(b)では、上記第1の半導体基板の温度が、
    1300℃以上200℃以下となるように加熱すること
    を特徴とする半導体装置の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のうちいずれか1つに
    記載の半導体装置の製造方法において、 上記工程(b)では、上記第1の半導体基板を加熱する
    ことにより、上記第1の半導体基板の温度を上記第2の
    半導体基板の温度より高くすることを特徴とする半導体
    装置の製造方法。
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