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JP2003343360A - 水素エンジンシステム - Google Patents

水素エンジンシステム

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Publication number
JP2003343360A
JP2003343360A JP2002157814A JP2002157814A JP2003343360A JP 2003343360 A JP2003343360 A JP 2003343360A JP 2002157814 A JP2002157814 A JP 2002157814A JP 2002157814 A JP2002157814 A JP 2002157814A JP 2003343360 A JP2003343360 A JP 2003343360A
Authority
JP
Japan
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hydrogen
hydrogen gas
tank
catalyst
fuel
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP2002157814A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Hayashi
高弘 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2002157814A priority Critical patent/JP2003343360A/ja
Publication of JP2003343360A publication Critical patent/JP2003343360A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/10Process efficiency
    • Y02P20/129Energy recovery, e.g. by cogeneration, H2recovery or pressure recovery turbines
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/30Use of alternative fuels, e.g. biofuels

Landscapes

  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水素エンジンからの廃熱の利用によるシステ
ム全体のエネルギー効率の向上が図れ、かつ脱水素反応
を迅速に行なわせて高純度の水素ガスを効率良く供給す
ることできると共に、軽量で小型の水素エンジンシステ
ムを提供する。 【解決手段】 デカリン12を水素エンジン30の放熱
で加熱された触媒上で液膜状態となるように反応タンク
15に供給して脱水素反応させ、発生した水素ガスを分
離して排出する水素ガス生成装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素エンジンシス
テムに係り、特に、車両に搭載された水素エンジンに車
両内で生成した水素ガスを供給する水素エンジンシステ
ムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水素エンジンを搭載した水素エン
ジン車は、車両の駆動力を得るための燃料源として水
素、又は水素を生成するための原燃料を搭載している。
水素を搭載する水素エンジン車では、水素ガスを圧縮し
て高圧に若しくは液化して充填したボンベ、または水素
を吸蔵する水素吸蔵合金や水素吸着材料により水素を搭
載している。一方、原燃料を搭載する水素エンジン車で
は、原燃料としてのメタノール、ガソリン等の炭化水素
と、この原燃料を水蒸気改質して水素リッチガスを生成
する水素生成装置とを搭載している。
【0003】しかしながら、車両に水素を搭載する場
合、高圧タンクに圧縮した状態で搭載すると、高圧タン
クは大きいわりに壁厚が厚く内容積をかせげないために
水素充填量が少ない。液体水素として搭載する場合は、
気化ロスがあるほか、液化に多大なエネルギーを要する
ため総合的なエネルギー効率の点で望ましくない。ま
た、水素吸蔵合金や水素吸着材料では、水素エンジン車
に必要とされる水素貯蔵密度が不充分であり、また水素
の吸蔵や吸着等を制御するのが非常に困難である。また
更に、水素を高圧化、液化したり、吸蔵するのに設備を
別途整備する必要もある。
【0004】一方、原燃料を搭載する水素エンジン車
は、水素を搭載する水素エンジン車に比較して、1回の
燃料補給で走行可能な距離が長いという利点を有してお
り、炭化水素系の原燃料は水素ガスに比較して輸送等の
取り扱いが容易であるという利点も有している。また、
水素は燃焼しても空中の酸素と結合して水となるだけで
公害の心配がない。また更に、水素を燃焼させた場合、
単位量あたりガソリンの数倍の熱を放出するため、その
熱量を利用することも可能である。
【0005】脂環式炭化水素の1つであるデカリン(デ
カヒドロナフタレン)は、常温では殆ど蒸気圧がゼロ
(沸点が200℃近傍)で取り扱いし易いことから、原
燃料としての使用の可能性が期待されている。
【0006】デカリンの脱水素化方法としては、デカリ
ンをコバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、テルニウ
ム、ニッケル、および白金の中から選ばれる少なくとも
1種の遷移金属を含有する遷移金属錯体の存在下で光照
射し、デカリンから水素を離脱させる方法が知られてい
る(特公平3−9091号公報)。また、有機リン化合
物のロジウム錯体の存在下、または有機リン化合物とロ
ジウム化合物との存在下に、デカリンに光照射すること
によりデカリンから水素を製造する方法が知られている
(特公平5−18761号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、水素エ
ンジンに供給する水素ガスは、特に水素ガス中の水素濃
度が高いことが要求され、上記従来の脱水素化による水
素生成方法を適用しようとすると、反応転化率が低く、
脱水素化によって生じた環状不飽和物や未反応の燃料が
混在するために、水素エンジンに供給しても水素分圧が
低いことから高性能が得られないという問題があった。
【0008】一方、特開2001−110437公報で
は、水素化芳香族化合物の脱水素により高純度の水素を
製造、供給できるとするシステムが開示されている。し
かし、このシステムでも、反応転化率の点では十分でな
く、しかも原燃料用のほか環状不飽和物用の貯蔵タンク
も不可欠であり、装置全体が大きすぎるばかりか重量も
ありすぎて、現実には車両内の狭い場所への搭載は困難
である。
【0009】システムの小型化を図る技術として、特開
2001−68138公報には、共通の容器内に燃料と
脱水素後の反応生成物を貯蔵する手段と燃料を脱水素す
る手段と水素を排出すると共に反応生成物を液体回収す
る手段とを備えた燃料電池用の水素供給システムが開示
されている。確かに、ある程度の小型化は可能である
が、反応生成物を分離するための手段が不可欠である。
また、反応転化率の点ではやはり不充分であり、水素エ
ンジンの作動に必要とされる純水素が安定的に得られ
ず、あるいは脱水素後の反応生成物や未反応の燃料の混
在により水素分圧が低くなることで高性能が得られない
等の問題は依然として残っていた。また更に、特に脂環
式炭化水素の脱水素反応は高温(300℃前後)下で行
なわれるが、燃料電池の廃熱のみでは脱水素反応を効率
良く行なうことはできない。
【0010】他方、車両内に貯留された環状不飽和物を
脂環式炭化水素に再生することによりリサイクルし、脂
環式炭化水素/環状不飽和物を車両との間で循環使用で
きれば、脂環式炭化水素を水素を多量に貯蔵し得る水素
貯蔵体として利用でき、1回の燃料補給で長距離走行が
可能となると共に、燃料廃棄物を出すこともない。
【0011】本発明は、上記に鑑み成されたもので、水
素エンジンからの廃熱の利用によるシステム全体のエネ
ルギー効率の向上が図れ、かつ脱水素反応を迅速に行な
わせて高純度の水素ガスを効率良く供給することできる
と共に、軽量で小型の水素エンジンシステムを提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の水素エンジンシステムは、水素エンジンか
らの放熱により加熱可能に配置された触媒を備え、供給
された脂環式炭化水素を含む燃料を加熱された前記触媒
上で脱水素反応させる反応手段と、前記燃料を触媒上で
液膜状態となるように前記反応手段に供給する供給手段
と、前記燃料の脱水素反応によって生じた水素ガスを分
離して排出する分離手段と、分離された水素ガスが供給
されて作動する水素エンジンと、を含んで構成したもの
である。
【0013】本明細書中において、脂環式炭化水素を含
む燃料は、シクロ環を有し、かつ脱水素反応により水素
を発生し得る炭化水素を含む燃料であり、例えば、シク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘ
キサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の単
環式化合物、デカリン、メチルデカリン、テトラリン等
の二環式化合物、テトラデカヒドロアントラセン等の三
環式化合物、等が含まれる。特に、メチルデカリン、デ
カリン、テトラリンを含む燃料が好ましく、デカリンか
らなる燃料またはデカリンを主成分とする燃料がより好
ましい。
【0014】脂環式炭化水素から生成される環状不飽和
物は、脂環式炭化水素を脱水素反応して水素を放出した
後の反応生成物であり、例えば、デカリン、またはシク
ロヘキサンの場合には、水素と共に主として生成され
る、ナフタレン(若しくはテトラリン)、またはベンゼ
ンが各々相当する。
【0015】前記脂環式炭化水素を脱水素反応させる
と、水素ガスと共に、水素の放出により不飽和結合を持
つ環状不飽和物が反応生成物として生成される。例え
ば、デカリンからなる燃料またはデカリンを主成分とす
る燃料を用いた場合には、デカリンの脱水素反応によ
り、水素ガスと共に環状不飽和物としてナフタレンが生
成される。そして、該環状不飽和物であるナフタレンを
水素添加により水素化反応させたときには、ナフタレン
の水素化物であるデカリンおよび/またはテトラリンが
生成(再生)される。
【0016】本発明においては、脂環式炭化水素を含む
燃料が反応タンク内に触媒上で液膜状態となるように供
給され、水素エンジンの発熱により加熱された触媒上で
脱水素されて水素ガスと環状不飽和物を発生した後、分
離手段で高純度の水素ガスとして分離される。分離され
た水素ガスはその水素エンジンに供給される。
【0017】このとき、脱水素を行なう触媒は水素エン
ジン自体の発熱で得た高熱を熱伝達して加熱されるの
で、別途触媒を高温に加熱するための手段が不要であ
り、システム全体の熱効率およびエネルギー資源のトー
タル効率を高めることができる。また、燃料は、触媒上
に液膜状態となるように供給されるので、反応転化率が
高められ、脱水素反応による水素ガスを効率良く生成す
ることができる。
【0018】水素エンジンと脱水素反応を担う触媒との
間には、内部を循環する冷却水によって放熱する熱量を
調節する冷却水循環系を備え、放熱される熱量を調節し
て前記触媒を加熱する発熱体を設けることができる。触
媒が加熱されるように、発熱体を触媒の近隣に若しくは
触媒に当接させて配置することにより、無駄な廃熱を抑
えて脱水素反応を行なう側とは逆側の触媒面に均一に熱
を付与することができると共に、冷却水を必要に応じて
循環させることによって、高温にまで発熱する水素エン
ジンの熱量を所望の温度を超えないように制御すること
ができる。
【0019】水素ガスを分離する分離手段には、脂環式
炭化水素を含む燃料を貯留し、かつ貯留された燃料中
に、前記燃料の脱水素反応によって生じた水素ガス及び
脱水素生成物が供給されると共に、前記水素ガスを排出
する排出口を備えた貯留分離タンクを用いることができ
る。
【0020】この貯留分離タンクは、脂環式炭化水素を
含む燃料と環状不飽和物とを共に貯留でき、かつ発生す
る水素ガスをも分離排出できるので、従来のように、水
素生成用の燃料を貯留するタンクと反応生成された環状
不飽和物を貯留するタンクの両方を必要とせず、またこ
れらタンクと別に水素ガスを分離する分離手段を併設す
る必要もなく、単一のタンクに統括することができる。
【0021】即ち、貯留分離タンクには脂環式炭化水素
を含む燃料が貯留され、そこから外部に供給され脱水素
反応を経た後、再び該貯留分離タンクの燃料中に生成さ
れた水素ガス及び環状不飽和物が供給されると、環状不
飽和物は燃料中への供給過程で冷却、溶解されながら貯
留分離タンクの底部(下方)に沈降、貯留され、水素ガ
スは燃料に溶解されずに(場合により、水素ガス分離手
段を介在させて)排出口から高純度に排出される。この
水素ガスは水素エンジンで利用される。
【0022】この貯留分離タンクには、脱水素生成物の
拡散を抑え、かつ水素ガスを透過する分離膜を内部に設
けることができる。分離膜を設けることにより、脱水素
生成物が炭化水素系燃料中に拡がるのを抑制し、水素生
成のために供給される炭化水素系燃料中における含有率
を低く抑えることができる。水素生成のために供給され
る炭化水素系燃料に脱水素生成物が含まれると、相対的
に脱水素反応に寄与し水素を放出する化合物(例えばデ
カリン)の含有比が低下して水素生成効率が低下してし
まうが、分離膜を設けることによって、区画された一方
の側に燃料を貯留すると同時に他方の側において脱水素
生成物を供給することができ、単一のタンク内で炭化水
素系燃料と分けつつ脱水素生成物を貯留することができ
る。分離膜による区画により、少なくとも脱水素生成物
を高濃度に含む側から他方の側への脱水素生成物の濃度
分布の拡がりを抑え得る程度に仕切ることができる。
【0023】分離膜は、貯留分離タンクの内部に略水平
に設けることができ、分離膜で区画された該分離膜の下
方に脱水素生成物を貯留することができる。分離膜を略
水平に設けることにより、タンク内部は上下に区画され
るので、水素ガスと脱水素生成物の炭化水素系燃料に対
する溶解性、比重の違いを利用して、水素ガスを高純度
に排出できると同時に、タンク下方において脱水素生成
物を貯留することができる。また、常に水平に存在す
る、燃料の液面や、脱水素生成物含量の少ない炭化水素
系燃料の上層部から脱水素生成物含量が多くなる下層部
への濃度分布とも対応する点でも有用である。
【0024】前記分離膜は移動可能に設けると効果的で
ある。タンク内に分離膜を移動可能に設ければ、例え
ば、生成された脱水素生成物の量が少ない場合には、こ
の脱水素生成物が貯留される他方の側のタンク内容積を
小さくすることで、炭化水素系燃料を貯留する一方の側
を大きくして多量の燃料を貯留することができ、徐々に
水素ガスの生成に伴って炭化水素系燃料が減少し、逆に
脱水素生成物の量が多くなると共に前記一方の側のタン
ク内容積を大きくし、多量の脱水素生成物を貯留できる
等が可能となる。そのため、炭化水素系燃料と脱水素生
成物の物理的な相対量に応じた分離膜の移動により、タ
ンクの有効利用が図れ、狭い設置場所への設置や装置全
体の軽量化を達成することができる。
【0025】本発明の水素エンジンシステムに上記の貯
留分離タンクを設けない場合には、内部を区画する移動
可能な分離膜を備え、分離膜により区画された一方の室
に脂環式炭化水素を含む燃料を貯留し、かつ他方の室に
前記燃料の脱水素反応により生じかつ水素ガスが除去さ
れた脱水素生成物(脂環式炭化水素を含む燃料を含んで
いてもよい)を貯留する貯留タンクを更に設けることが
できる。
【0026】この場合、上記の貯留分離タンクを用いた
場合のように、脂環式炭化水素を含む燃料を貯留するタ
ンクと脱水素生成物を貯留するタンクの両方を必要とせ
ず、単一のタンクに統括することができる。これによ
り、車両などの限られた場所でも設置が可能となり、軽
量化も図れる。また、水素ガスが除去された脱水素生成
物が貯留されるので、水素ガスを排出する排出口を設け
る必要がない。
【0027】また、上記の分離手段には、水素ガス分離
手段を設けることもでき、燃料の脱水素反応によって生
じた水素ガス及び脱水素生成物が供給されると、前記水
素ガス分離手段によって水素ガスを分離して排出するよ
うにしてもよい。
【0028】本発明の水素エンジンシステムには、触媒
及び触媒を加熱する加熱器を備えると共に、脱水素生成
物及び水素ガスが供給され、脱水素生成物を加熱された
触媒上で水素化反応させる再生タンクを更に設けること
ができる。再生タンク内で、脱水素生成物を水素添加に
よって水素化反応させて再生したときには、脱水素生成
物の水素化物である脂環式炭化水素に再生される。
【0029】本発明における再生には、例えば、ナフタ
レンまたはベンゼンからそれぞれデカリンまたはシクロ
ヘキサンを再生することのほか、二環式若しくは三環式
の化合物の場合には、水素化が未完の化合物を再生する
ことも含む。即ち、例えばナフタレンを再生する場合、
デカリンを再生することのほか、テトラリンを再生する
こと、デカリンと共にテトラリンを再生することをも含
む。
【0030】本発明の水素エンジンシステムは、システ
ム内のエネルギー効率に優れており、廃熱の利用により
脂環式炭化水素の脱水素を迅速、高効率に行なわせて水
素密度の高い水素ガスを良好に水素エンジンに供給する
ことが可能であると共に、脂環式炭化水素/環状不飽和
物の循環系によりクリーンでエネルギー資源の利用効率
の高いシステムを構築することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
水素エンジンシステムの実施形態を説明する。尚、下記
の実施形態において、炭化水素系燃料として、デカリン
を主成分とする燃料(以下、単に「デカリン」とい
う。)を用いた場合を中心に説明する。但し、本発明に
おいてはこれら実施形態に制限されるものではない。
【0032】(第1実施形態)本発明の水素エンジンシ
ステムの第1実施形態を図1を参照して説明する。本実
施形態は、水素ガスを燃料とする自動車に本発明の第1
実施形態の水素エンジンシステムを搭載し、デカリンを
高温触媒の存在下で反応させると、ナフタレンと水素ガ
スとを生成するデカリン/ナフタレン反応を利用して、
水素ガス分子を吸着貯蔵するのではなく、化学結合で原
燃料中に貯蔵するものである。また、本実施形態は、単
一の貯留分離タンクを用いてデカリン及び生成ナフタレ
ンを貯留すると共に、水素ガスを分離可能としたもので
ある。
【0033】図1に示すように、本実施形態は、デカリ
ン12を貯留し、かつ貯留されたデカリンにデカリンの
脱水素反応により生じた水素ガス及びナフタレンが供給
されると共に、排出口から水素ガスを排出する貯留分離
タンク11と、貯留分離タンク11から供給されたデカ
リンを加熱された触媒上で脱水素反応させる反応タンク
15と、貯留分離タンク11で分離された水素ガスが供
給されて作動する水素エンジン30と、を備えている。
【0034】反応タンク15は、触媒20を備えてお
り、触媒20は発熱体21を介在して水素エンジン30
の廃熱で加熱されるようになっている。反応タンク15
の上部には、デカリンを供給するための供給装置22が
設けられており、触媒20の近傍には、触媒表面の温度
を検出する第1の温度センサ23が取り付けられてい
る。
【0035】供給装置22は、貯留分離タンク11と連
通する供給ポンプP1を備えた供給配管16の一端で接
続されており、デカリンが触媒20上で液膜状態となる
ようにデカリンを噴射または添加等によって供給する。
例えば、噴霧、シャワー状等に供給可能なものが使用で
きる。供給装置は複数設けられてもよく、この場合は、
供給配管16の一端が複数に分岐され、各分岐端に供給
装置を取り付けることができる。
【0036】上記の液膜状態では、過熱(デカリンの沸
点を越える温度での加熱)・液膜状態での脱水素反応の
とき水素ガス生成量は最大になる。これは、デカリンの
蒸発速度が、基質液量(デカリンの液量)が少ない程小
さくなり、蒸発速度が小さくかつ高温の状態で脱水素反
応させることにより転化率が向上するからである。すな
わち、蒸発速度は液量・伝熱面積・加熱源と沸点との温
度差の各々に比例するので、液体デカリンの量が少なけ
れば蒸発速度が小さくなる。液体デカリンは、加熱触媒
上(例えば、200〜350℃)でも液膜状態で存在す
るので、触媒活性サイトは液相からのデカリンの速やか
な吸着により充分に高い被覆度で常時補填される。すな
わち、触媒表面上で液膜状態で脱水素反応させることに
より、触媒表面上で気体で反応させるよりも優れた反応
性が得られる。
【0037】水素エンジン30の放熱する側には、水素
エンジン自体が発熱すると加熱される発熱体21が配置
されており、発熱体21には、その内部に冷却水を循環
させて熱を除去し、触媒と対向する側の表面温度(熱
量)を調節する冷却水循環系26が設けられている。発
熱体21は、水素エンジン30の放熱を受け得る位置で
あって、触媒20の脱水素反応を起こさない側の表面に
対向配置されている。冷却水循環系26は、温度センサ
23からの信号を受けて、所望の温度以上であるときに
は冷却水を循環する温度制御装置24が設けられてい
る。
【0038】発熱体21は、熱伝達性に優れ、内部に冷
却水を循環させて放熱する熱量を調節可能に構成され
る。例えば、金属製の中空体に冷却水を流す冷却管を内
装したもの等が使用できる。
【0039】また、水素エンジン30には、水素ガスを
供給するためのバルブV1を備えた供給配管17の一端
が接続されており、この供給配管17によって貯留分離
タンク11と連通されている。供給配管17には、水素
エンジンが発熱する前は反応タンクでの脱水素反応は行
なえないため、水素エンジンの起動、起動初期に供給す
る水素ガスを貯蔵するための水素貯蔵タンクを設けるこ
とができる。この水素貯蔵タンクに貯蔵された水素ガス
は、後述の再生タンク(再生装置)においてナフタレン
の水素化反応に利用することもできる。
【0040】水素エンジン30が起動により発熱する
と、この熱で触媒温度が所望の温度を超過しないように
制御されながら触媒が加熱され、温度センサ23で所定
の温度に達したことを認識した後、この加熱触媒上にデ
カリンが液膜状態で供給されると脱水素化して水素ガス
及び気相ナフタレン(水素リッチガス)が生成される。
【0041】触媒20の脱水素反応を起こす側は、多孔
性炭素担体に触媒金属微粒子を担持して構成できる。前
記触媒としては、Pt、Pt−Ir、Pt−Re、Pt
−W等の貴金属系の金属を用いた炭素担持Pt触媒、炭
素担持Pt−Ir複合金属触媒、炭素担持Pt−Re複
合金属触媒、炭素担持Pt−W複合金属触媒、又はニッ
ケル系金属を使用した触媒等が使用できる。
【0042】反応タンク15の壁面には、ポンプP2及
び逆止弁25を備えた導入管14の一端が接続されてお
り、生成された水素ガス及び気相ナフタレンを貯留分離
タンク11に供給できるようになっている。
【0043】貯留分離タンク11は、内部に密閉してデ
カリン12を貯留可能に構成され、貯留分離タンク11
の上部壁面には、デカリン12を供給するためのバルブ
V2を備えた燃料供給口18が設けられており、水素エ
ンジンに水素を供給するための供給配管17の他端が排
出口において接続されている。デカリン12は、貯留分
離タンク11の上方に空隙を有する範囲で、バルブV2
を介して燃料供給口18から供給できるようになってお
り、反応タンク15で生成された水素ガスは分離されて
供給配管17から水素エンジン30に供給できるように
なっている。また、貯留分離タンク11の底部には、貯
留されたナフタレン12’を排出するためのバルブV3
を備えた排出管19が設けられている。
【0044】貯留分離タンク11の底面側の側壁には、
反応タンク15と繋がる導入管14がデカリン12中に
その他端が位置するように設けられ、反応タンク15と
連通されている。液中となる導入管14の他端からは、
反応タンク15で生成された水素ガス及び気相ナフタレ
ンの混合ガス(水素リッチガス;蒸発して残存する残存
デカリンを含んでもよい)を液中において供給可能なよ
うになっている。
【0045】分離膜13は、貯留分離タンク11の内部
にデカリン12の液面と略水平に備えられ、浮上する水
素ガス27を透過し、ナフタレン12’のデカリン内で
の拡散を抑えて分離膜13の下方に貯留することができ
る。貯留分離タンク11の内部において、水平面と略平
行に配置された分離膜13は、ナフタレン含量の少ない
デカリンの上層部からナフタレン含量の多い下層部に移
る濃度分布とも略平行に位置し、分離膜13の下方で供
給される水素ガスは分離膜の膜面を一様に通過できる。
特に、デカリン中の導入管14の出口周辺でナフタレン
量が不均一になると局部的に粘度上昇等を来すことがあ
るため、水素ガスの液中での移動速度を損なわないよう
にすることが望ましい。
【0046】分離膜13は、その膜面の法線方向と略平
行に移動可能に構成することができる。貯留分離タンク
11に対する分離膜13の位置関係としては、ナフタレ
ンの濃度分布の拡がりを抑えるため、貯留分離タンク内
は、ナフタレンの供給量が少ない段階ではナフタレン供
給側の容積を小さくしておき、ナフタレン量に応じてナ
フタレン供給側の容積を拡大し得る位置に配置されてい
ればよい。
【0047】分離膜の移動は、貯留分離タンク内部の区
画された領域の容積を可逆的に変えることができること
が望ましく、貯留分離タンクに対して平行移動させるこ
とができる。図1に示すように、略水平に備えた分離膜
3をその膜面の法線方向(上下方向)Aに平行移動させ
てもよく、二つに区画された領域(室)の容積をナフタ
レンや水素の生成の程度に合わせて任意に変えることが
できる。
【0048】分離膜は、水素ガスを透過できると共に、
デカリン中でのナフタレンの拡散を抑制し、かつデカリ
ンに対して安定なものであれば、特に制限はなく公知の
ものの中から適宜選択することができる。例えば、ナフ
タレン透過性の低いもの、ナフタレンを除いては透過性
のもの、水素ガスを除き物質非透過性のもののいずれで
あってもよい。また、強固な板状のものであってもよい
し、伸縮可能な軟性、弾性を有するものであってもよ
い。また、一つの貯留分離タンク内に複数の分離膜を設
けることもできる。
【0049】具体的な例として、メッシュ状のフィルタ
膜や、ナフタレンを高濃度に含む側から水素ガスが透過
するときに開弁され、かつ逆側から圧がかかった場合に
閉弁される多数の逆止弁が格子状又はランダムに配列さ
れた逆止弁膜などが挙げられ、材質は樹脂材、シリコー
ン材、ゴム材、金属材など適宜選択することができる。
【0050】分離膜13の膜面の上方には、ナフタレン
含有比の低いデカリン12を、デカリンの脱水素反応を
担う反応タンク15へ供給するための供給配管16の一
端が取り付けられている。この一端は、分離膜13の膜
面近傍から上方に位置することにより、ナフタレン含量
比の低いデカリンを供給することができる。供給配管1
6は供給ポンプP1を備え、供給配管16を介して貯留
分離タンク11と反応タンク15とは連通している。
【0051】貯留分離タンク11は、水素エンジン30
と連通する供給配管17、反応タンク15と連通する導
入管14、供給装置22と繋がる供給配管16にそれぞ
れ図示しない連結器(ジョイント)を備えて、連結器に
おいて着脱可能に構成することができる。例えば、簡易
にはめ込み、取り外しができる交換タンク(カートリッ
ジタンク)の形態に構成できる。
【0052】貯留分離タンク11を着脱可能に構成する
ことにより、デカリンから水素ガスを所定量生成した
後、貯留分離タンク自体を交換あるいは一旦取外してナ
フタレンを再生することにより、貯留された生成ナフタ
レンを回収あるいは除去でき、例えば車載するなど特定
場所に定置しない場合でも簡易かつ継続的な水素の供給
が可能となる。
【0053】また、貯留分離タンク11を着脱可能に構
成せず、あるいは着脱可能に構成すると共に、貯留分離
タンク11のナフタレンが高濃度に貯留された分離膜1
3の下方の部分のみを着脱可能に構成してもよい。この
場合、ナフタレンが貯留された部分は、貯留分離タンク
に収納可能なカートリッジ式に構成することもでき、ま
た、この部分が貯留分離タンクの一部を構成するように
設けることもできる。即ち、分離膜13の下部をはめ込
み、取り外しが可能な態様、例えば交換タンク(カート
リッジタンク)として構成することができる。この場
合、ナフタレンを高濃度に含む部分(交換タンク)を、
デカリンで満たされたもの(交換タンク)に取り替える
ことにより燃料電池等への水素ガスの供給を継続するこ
とが可能となる。
【0054】本実施形態では、図2に示すように、ナフ
タレンを水素化してデカリン及び/又はテトラリンを再
生する再生タンク41を更に設けることができる。即
ち、この再生タンク41は、ナフタレンと水素ガスとを
加熱触媒を用いて水素化反応させてデカリンまたはテト
ラリンを生成させるものであり、貯留分離タンク11と
接続して車両内に搭載することができる。
【0055】再生タンク41は、バルブV4及びポンプ
P3を備えた供給配管47を介して貯留分離タンク11
の底面側で、またバルブV5及びポンプP4を備えた供
給配管46を介して貯留分離タンク11の上面側で、そ
れぞれ連通されている。これにより、貯留分離タンク1
1内のナフタレンは供給配管47を挿通して再生タンク
に供給できるようになっており、再生されたデカリン及
びテトラリンは供給配管46を介して貯留分離タンク1
1に供給される。
【0056】再生タンク41の底面側には、触媒44及
び触媒44を加熱するヒータ45で構成され、かつ発熱
及び吸熱を起こさせる触媒反応器が設けられている。触
媒44の水素化反応を行なう側は、多孔性炭素担体に触
媒金属微粒子を担持して構成されている。触媒として
は、上記で説明した炭素担持Pt触媒、炭素担持Pt−
Ir複合金属触媒、炭素担持Pt−Re複合金属触媒、
炭素担持Pt−W複合金属触媒、又はニッケル系金属を
使用した触媒等を使用することができる。触媒44の近
傍には、触媒表面の温度を検出する温度センサ43が取
り付けられている。
【0057】また、再生タンク41には、ガソリンスタ
ンド等の車両外部に設けられた水素ボンベや水の電気分
解装置等の設備から水素ガスを供給するための水素ガス
供給管42が取り付けられている。水の電気分解により
生成した水素ガスなどを供給するようにすれば、クリー
ンなシステムを構築することができる。
【0058】本実施形態では、貯留分離タンク11に供
給配管18を介してデカリン12が供給されると、デカ
リン12は、供給配管16を挿通して反応タンク15に
送られる。乾燥した触媒上にデカリンが徐々に供給さ
れ、触媒表面が徐々に湿潤して行き、デカリンが液膜状
態で供給されると、水素圧、即ち水素発生量が最大値に
近づく。
【0059】このとき、触媒20の表面の所定温度とし
ては、200〜500℃、好ましくは200〜350
℃、更に好ましくは280℃に制御される。この理由
は、所定温度を200℃未満にすると、目的とする脱水
素反応が高い反応速度、換言すれば十分な燃料電池出力
を得られず、500℃を越えると実用的でなく、また3
50℃を越えるとカーボンデポジットが生じる可能性を
持つからである。
【0060】このようにして生成されたナフタレンを含
む水素リッチガスは、ポンプP2により逆止弁25を介
して導入管14を挿通して貯留分離タンク11のデカリ
ン12中に供給される。貯留分離タンク11では、水素
ガス27はデカリン12中を浮上する一方、気相で存在
していたナフタレン及び残存デカリンはデカリン12中
へ供給される過程で冷却され、残存デカリンは凝縮して
液化し、ナフタレンは凝析して沈降する。これにより、
水素ガスは分離膜13によりナフタレン及び残存デカリ
ンと分離され、更にタンク上部の空隙において、水素ガ
ス27は高純度に分離される。分離された水素ガスは水
素エンジン30に供給される。
【0061】尚、貯留分離タンク11内の水素ガスを加
圧または高圧状態にしたり、水素エンジン方向への圧力
を低圧(例えば負圧)にすることで水素排出効率を向上
させることができる。
【0062】また、デカリンとテトラリンとの混合燃料
を用いることにより、デカリンの脱水素反応の前にテト
ラリンが脱水素反応するので、速やかに水素ガスを発生
させることができる。更に、貯留分離タンク内あるいは
貯留分離タンクとは別のタンク内に、デカリンと分離し
てテトラリンを貯留し、このテトラリンを加熱された触
媒上でデカリンの脱水素反応前に脱水素反応させること
により、燃料の脱水素反応前に燃料の脱水素反応より速
やかに多量の水素ガスを発生させることができる。この
ため、車両に本発明の水素エンジンシステムを搭載し、
始動時にテトラリンを脱水素反応させることにより始動
性を高めることができると共に、加速時にテトラリンを
脱水素反応させることで加速応答性をも高めることがで
きる。
【0063】尚、生成ナフタレンからのデカリンの再生
は航空燃料として公知の安定した技術を使用することが
できる。これにより、安全で環境に優しく、高純度の水
素ガスを発生することができる。
【0064】一方、車両を停止させる場合には、供給ポ
ンプP1を停止して供給装置22からのデカリン供給を
停止すると水素ガスの生成は停止する。尚、デカリン供
給を停止した後も少量の水素ガスが発生するので、水素
エンジンと貯留分離タンクとを連通する供給配管17に
予備水素貯蔵タンクを設けて、発生した水素ガスを貯留
分離タンク11に通してから貯蔵するようにすることが
できる。
【0065】また、再生タンクでは、ヒータ45のオン
/オフにより、触媒44の温度が所定温度になるように
制御される。この所定温度は、150〜200℃の間の
温度、好ましくは150℃近傍の温度を採用することが
できる。バルブV4を開いてポンプP3を駆動し、供給
配管47を介してナフタレンと未反応デカリンとの混合
液を再生タンク41に供給する。また、これと同時に、
ガソリンスタンド等に設けられている水素ボンベまたは
水の電気分解装置から得られる水素ガスを再生タンクに
供給し、所定温度に制御された触媒44上でナフタレン
水素化反応を行ってデカリンを再生し、バルブV5を開
いてポンプP4を駆動し、供給配管46を挿通して再生
デカリンを貯留分離タンク11に回収する。このとき、
再生タンク41内の水素ガスは、加圧または高圧にする
のが好ましい。
【0066】また、反応タンクには、水素ガス生成量を
所定値通りに制御する点で、脱水素反応により生じた水
素ガス量を検出する水素ガス量検出器と、水素ガス量検
出器で検出された水素ガス量が所定値以上となるように
触媒上の炭化水素系燃料の量を制御する制御手段とを設
けることもできる。
【0067】尚、簡易かつ速やかにナフタレンの水素化
を行う場合には、水素ガスを加圧せずに、触媒温度を上
記より低温にしてテトラリンを生成させ、それを貯留分
離タンクに供給するようにしてもよい。
【0068】上記では、再生タンク41を車両に搭載す
る例について説明したが、再生タンクをガソリンスタン
ド等に設置し、ガソリンスタンド等で水を電気分解して
得られる水素を供給してデカリンを再生するようにして
もよい。
【0069】(第2実施形態)本発明の水素エンジンシ
ステムの第2実施形態を図3を参照して説明する。本実
施形態は、水素ガスの分離後、単一の貯留タンクを用い
てデカリンとデカリンで溶解された生成ナフタレンを共
に貯留するようにしたものである。尚、燃料は第1実施
形態で使用した燃料を用いることができ、第1実施形態
と同様の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細
な説明を省略する。
【0070】図3に示すように、反応タンク15は触媒
20を備え、触媒20が水素エンジン30の放熱で熱せ
られた発熱体21を介在して加熱されるようになってお
り、上部にはデカリンを供給するための供給装置22が
設けられている。反応タンク15の壁面には、導入管5
7の一端が接続され、分離タンク55と連通されてい
る。
【0071】分離タンク55は、外部から空冷、水冷等
により冷却可能に構成されると共に、貯留タンク51の
左室に連通する供給配管50の他端で接続された供給装
置54を備え、反応タンク15から導入管57を介して
供給される水素リッチガスにデカリンを噴霧等して供給
できるようになっている。
【0072】分離タンク55には、水素エンジン30と
連通する水素貯蔵タンク59を備えた供給配管58の一
端が接続されており、この供給配管58を介して水素エ
ンジンに水素ガスが供給される。水素貯蔵タンク59
は、分離された水素ガスを貯蔵することができると共
に、水素エンジンの起動時や起動初期など、水素エンジ
ンによる触媒の加熱温度が脱水素反応可能な所定温度に
達しない間は、水素貯蔵タンク59に貯蔵された水素ガ
スを用いて水素エンジンに供給することができる。
【0073】また、分離タンク55の底部には、配管5
6の一端が接続され、貯留タンク51の一方の貯留室
(図面の分離膜53の右室)と連通している。
【0074】貯留タンク51は、図3に示すように、膜
面の法線方向が貯留タンク51の上部若しくは下部の壁
面と略平行となるように、ナフタレン非透過性の移動可
能な分離膜53を備えて構成され、分離膜53により内
部が二つに区画されている。分離膜53は、その膜面の
法線方向と略平行(図面の左右方向B)に移動可能に構
成されている。
【0075】区画された一方の貯留室(図面の分離膜5
3の左室)には、デカリン52を供給するためのバルブ
V2を備えた燃料供給口18が設けられ、密閉してデカ
リンを貯留可能に構成されている。他方の貯留室(図面
の分離膜53の右室)には、ナフタレン・デカリン混合
液52’が貯留される。貯留タンク51の右室には、貯
留されたナフタレン・デカリン混合液52’を排出する
ためのバルブV3を備えた排出管19が設けられてい
る。
【0076】分離膜53は、一方の室から他方の室への
ナフタレンの移動を抑え、かつデカリンに対して安定な
ものであれば、特に制限はなく公知のものの中から適宜
選択することができる。例えば、物質非透過性のもの、
ナフタレン透過性の低いもの、ナフタレンを除いては透
過性のもの等を用いることができる。また、強固な板状
のものであってもよいし、伸縮可能な軟性、弾性を有す
るものであってもよい。また、一つの貯留タンク内に複
数の分離膜を設けることもできる。
【0077】具体的な例として、仕切り板や、ナフタレ
ン濃度が低い側から圧がかかったときに開弁し、ナフタ
レンを高濃度に含む側から圧がかかったときに閉弁され
る多数の逆止弁が格子状又はランダムに配列された逆止
弁膜などが挙げられ、材質は既述の通りである。
【0078】また、貯留タンク51の左室の壁面には、
水素生成(脱水素反応)に用いるデカリン(DE1)を反
応タンク15へ供給するための供給配管16と、反応タ
ンク15で生成したナフタレン等の有機物を分離、流動
化させるためのデカリン(DE 2)を分離タンク55に供
給するための供給配管50とが設けられている。供給配
管16及び供給配管50に供給される量の割合(%;DE
1量/DE2量)は、例えば90/10とすればよい。
【0079】貯留タンク51からデカリン52が供給配
管16を挿通して反応タンク15に供給されると、反応
タンク15で発生した水素リッチガス(蒸発した残存デ
カリンを含んでもよい。)は生成ナフタレンを含んだ状
態で分離タンク55に供給される。このとき、触媒20
は水素エンジンからの放熱で加熱されている。
【0080】分離タンク55に供給された水素リッチガ
スは、供給装置54から噴出されるデカリンと接触し、
冷却されると共にガス中のナフタレン及び残存デカリン
は供給されたデカリンに溶解されて水素ガスと分離され
る。分離された高純度の水素ガスは、導入管57を通じ
て水素エンジン30に供給される。溶解されたナフタレ
ンはナフタレン・デカリン混合液として貯留タンク51
の右室で貯留される。
【0081】分離膜53は、ナフタレン・デカリン混合
液の量が増えるにしたがって右室の容積が拡大する方向
(図中の左方)に移動する。そして、所定の量に達する
と、バルブV3を開閉して排出口19からナフタレン・
デカリン混合液が排出、回収され、これに伴い分離膜5
3は左室の容積が拡大する方向(図中の右方)に移動
し、燃料供給口18からデカリンが供給される。このサ
イクルを繰り返すことにより、高純度の水素ガスを継続
的に水素利用装置に供給することができる。
【0082】本実施形態では、分離タンクに水素ガス分
離手段を備えることもでき、燃料の脱水素反応によって
生じた水素ガス及び脱水素生成物が供給されると、前記
水素ガス分離手段によって水素ガスは分離して排出され
る。これにより、より高純度の水素ガスを水素エンジン
に供給することができる。
【0083】上述した実施形態では、水素生成用の燃料
としてデカリンを用いた例を中心に説明したが、既述の
デカリン以外の炭化水素系燃料を用いた場合においても
同様である。また、水素利用装置についても、特に車載
燃料電池を例に説明したが、本発明は車載燃料電池以外
の水素利用装置に適用することもできる。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、水素エンジンからの廃
熱の利用によるシステム全体のエネルギー効率の向上が
図れ、かつ脱水素反応を迅速に行なわせて高純度の水素
ガスを効率良く供給することできると共に、軽量で小型
の水素エンジンシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す概略構成図であ
る。
【図2】第1実施形態に再生タンクを設けた一例を示す
概略構成図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示す概略構成図であ
る。
【符号の説明】
11・・・貯留分離タンク 51・・・貯留タンク 12,52・・・炭化水素系燃料(デカリン) 12’,52’・・・脱水素生成物(ナフタレン) 13,53・・・分離膜 15・・・反応タンク 30・・・水素エンジン 41・・・再生タンク 55・・・分離タンク

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂環式炭化水素を含む燃料の脱水素反応
    により生じた水素ガスが供給されて作動する水素エンジ
    ンを備えた水素エンジンシステムであって、 前記水素エンジンからの放熱により加熱可能に配置され
    た触媒を備え、供給された脂環式炭化水素を含む燃料を
    加熱された前記触媒上で脱水素反応させる反応手段と、 前記燃料を触媒上で液膜状態となるように反応手段に供
    給する供給手段と、 前記燃料の脱水素反応により生じた水素ガスを分離して
    排出する分離手段と、を備えた水素エンジンシステム。
  2. 【請求項2】 内部を循環する冷却水によって放熱する
    熱量を調節する冷却水循環系を備え、放熱される熱量を
    調節して前記触媒を加熱する発熱体を設けた請求項1に
    記載の水素エンジンシステム。
  3. 【請求項3】 前記分離手段が、脂環式炭化水素を含む
    燃料を貯留し、かつ貯留された燃料中に、前記燃料の脱
    水素反応によって生じた水素ガス及び脱水素生成物が供
    給されると共に、前記水素ガスを排出する排出口を備え
    た貯留分離タンクである請求項1又は2に記載の水素エ
    ンジンシステム。
  4. 【請求項4】 前記貯留分離タンクが、脱水素生成物の
    拡散を抑え、かつ水素ガスを透過する分離膜を内部に備
    えた請求項3に記載の水素エンジンシステム。
  5. 【請求項5】 前記分離膜が内部に略水平に設けられ、
    前記分離膜で区画された該分離膜の下方に脱水素生成物
    を貯留するようにした請求項4に記載の水素エンジンシ
    ステム。
  6. 【請求項6】 前記分離膜が移動可能に設けられている
    請求項4又は5に記載の水素エンジンシステム。
  7. 【請求項7】 内部を区画する移動可能な分離膜を備
    え、該分離膜により区画された一方の室に脂環式炭化水
    素を含む燃料を貯留し、かつ他方の室に前記燃料の脱水
    素反応により生じかつ水素ガスが除去された脱水素生成
    物を貯留する貯留タンクを更に含む請求項1又は2に記
    載の水素エンジンシステム。
  8. 【請求項8】 触媒及び触媒を加熱する加熱器を備える
    と共に、脱水素生成物及び水素ガスが供給され、脱水素
    生成物を加熱された触媒上で水素化反応させる再生タン
    クを更に含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の水素
    エンジンシステム。
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