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JP2003237055A - 光学フィルタの製造方法、これにより得られた光学フィルタを用いる光量調節装置及び撮影装置 - Google Patents

光学フィルタの製造方法、これにより得られた光学フィルタを用いる光量調節装置及び撮影装置

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Publication number
JP2003237055A
JP2003237055A JP2002041683A JP2002041683A JP2003237055A JP 2003237055 A JP2003237055 A JP 2003237055A JP 2002041683 A JP2002041683 A JP 2002041683A JP 2002041683 A JP2002041683 A JP 2002041683A JP 2003237055 A JP2003237055 A JP 2003237055A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filter
scanning direction
sub
transparent substrate
unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002041683A
Other languages
English (en)
Inventor
Ichiro Onuki
一朗 大貫
Eirishi Namazue
英利子 鯰江
Akio Kashiwazaki
昭夫 柏崎
Takeshi Miyazaki
健 宮崎
Masataka Yashima
正孝 八島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2002041683A priority Critical patent/JP2003237055A/ja
Publication of JP2003237055A publication Critical patent/JP2003237055A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録で量産した場合に、光学
濃度分布の欠陥が抑制され、光学特性の個体差の発生が
抑制された光学フィルタの製造方法の提供。 【解決手段】 ヘッドを透明基板に対して主走査方向及
びこれに直交する副走査方向に相対移動させながら着色
液を吐出し、基板上に所定透過率をもつ単位フィルタ部
を複数形成する際に、単位フィルタ部を副走査方向に第
1のピッチP1で複数個配列して印刷用画像情報を生成
し、画像情報を記録ヘッドの吐出パターン信号に変換
し、記録ヘッドと透明基板を主走査方向及び副走査方向
に相対駆動しながら着色液を吐出して単位領域の印刷を
実行し、該単位領域の印刷を副走査方向に第2のピッチ
P2で繰り返し実行する際に、P1=n×P2(nは1
以上の整数)の関係を満足する光学フィルタの製造方
法、光量調節装置、撮影装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カメラ等の撮影装
置に用いられる光学フィルタの製造方法、これにより得
られた光学フィルタを用いる光量調節装置及び撮影装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】カメラ等の光学機器に用いられる結像光
学系には、一般に入射光束の光量を調節する光量調節装
置、いわゆる絞り装置が内蔵される。かかる絞り装置に
おいては、複数の絞り羽根が所定面積の開口部を形成
し、アクチュエータで該開口部の開口径を調節すること
で、開口部を通過する光束の量を調節している。しか
し、該開口部の開口径を小さくするに従って、絞り羽根
の端部で生ずる回折の影響が大きくなり、結像光学系の
結像性能が低下することが生じる。この欠点を回避する
ために、上記絞り羽根の一部にNeutral Den
sity Filter(以下NDフィルタと略す)を
設け、開口径を小さくする代わりに、このNDフィルタ
で光量を減衰させる技術が開示されている。このような
目的に用いられるNDフィルタは、散乱、屈折異常、分
光透過率偏差等の光学的欠陥が少なく、且つ安価に製造
できることが必要であり、この目的を達成するために、
以下のような技術が開示されている。
【0003】例えば、特開平5−173004号公報で
は、マイクロ複写カメラを用いて銀塩フィルム上に所定
の濃度パターンを形成し、プレスで所定形状に打ち抜い
てNDフィルタを製造する方法が開示されている。又、
特開2000−352736号公報では、蒸着或いは写
真製版等の印刷工程により、単一濃度の膜を網点状に形
成し、網点パターンを場所によって変えることで、透過
率が無段階に変わるNDフィルタの製造方法が開示され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来技術には、以下のような改善すべき点があった。
即ち、特開平5−173004号公報に開示された従来
技術では、NDフィルタに内在する銀粒子表面での光束
の反射や、銀粒子端部を通過する光束の回折によって、
該フィルタを通過した光線の直進性が損なわれ、光学系
の結像性能が低下するという問題がある。又、特開20
00−352736号公報に開示された従来技術では、
写真製版或いは蒸着で所定濃度の膜を形成するが、何れ
の工程を採用したとしても装置が大型・高価であるた
め、NDフィルタの製造コストが高くなるという問題が
ある。
【0005】そこで、本発明者らは、従来試みられるこ
とのなかったインクジェットプリンタに代表される微小
液滴吐出装置を用いてNDフィルタの作成を試みたとこ
ろ、高品位なNDフィルタを、極めて低コストで製造し
得るとの知見を得た。そして、かかる知見を踏まえて更
に検討を重ねたところ、微小液滴吐出手段による印刷物
に特有に現れる現象である、いわゆるスジムラが、特に
光学フィルタを量産した場合において、NDフィルタの
性能に影響を与える場合があることを見出した。更に、
本発明者らは、このスジムラが及ぼすNDフィルタの性
能への影響は、高品位且つ低コストの光学フィルタを製
造する上においては、解決しなければならない技術課題
であるとの認識を得るに至った。かかる課題は、例え
ば、インクジェットヘッドの高精度化によって解決し得
るが、この場合にはコストアップの要因となってしま
い、NDフィルタの製造を、簡易且つ経済的に行うため
に微小液滴吐出手段を採用したことのメリットを相殺し
てしまうことになりかねない。そこで、本発明者らは、
微小液滴吐出手段を用いたことのメリットを最大限に生
かしつつ、上記した課題を解決する方法について検討を
重ねた。本発明は、かかる検討の結果に基づきなされた
ものである。
【0006】従って、本発明の目的は、光学フィルタを
簡易に、極めて低コストに製造し得る光学フィルタの製
造方法を提供することにある。又、本発明の他の目的
は、微小液滴吐出手段によって光学フィルタを量産した
場合においても、微小液滴吐出手段を用いたことのメリ
ットを最大限に生かしつつ、微小液滴吐出手段によって
形成された印刷物に特有の現象が光学フィルタの性能に
及ぼす影響を極力抑え、高品質の光学フィルタを、簡易
且つ経済的に得ることができる光学フィルタの製造方法
を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、光
学性能に優れ、しかも安価な光量調節装置及び撮影装置
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下の本
発明によって達成される。即ち、本発明は、記録ヘッド
を透明基板に対して主走査方向及びこれに直交する副走
査方向に相対移動させながら色材を有する着色液を吐出
し、上記透明基板上に所定の透過率を有した単位フィル
タ部を複数形成する光学フィルタの製造方法において、
上記単位フィルタ部を上記副走査方向に第1のピッチで
複数個配列して印刷用の画像情報を生成する工程と、該
画像情報を上記記録ヘッドの着色液の吐出パターン信号
に変換する工程と、上記記録ヘッドと上記透明基板を主
走査方向及び副走査方向に相対駆動しながら上記着色液
を吐出して所定の単位領域の印刷を実行する工程と、上
記単位領域の印刷を上記副走査方向に第2のピッチで繰
り返し実行する工程とを有し、上記第1のピッチをP
1、上記第2のピッチをP2としたときに、P1=n×
P2(但し、nは1以上の整数)の関係を満足するもの
であることを特徴とする光学フィルタの製造方法であ
る。又、その好ましい形態としては、上記構成におい
て、更に、前記所定の単位領域に対する前記単位フィル
タ部の相対位置を調節する工程を有する光学フィルタの
製造方法が挙げられる。
【0008】本発明の別の実施形態は、記録ヘッドを透
明基板に対して主走査方向及びこれに直交する副走査方
向に相対移動させながら色材を有する着色液を吐出し、
上記透明基板上に所定の透過率を有した単位フィルタ部
を複数形成する光学フィルタの製造方法において、上記
単位フィルタ部を少なくとも一つ含んだ単位画像情報を
生成する工程と、該単位画像情報を上記記録ヘッドの着
色液の吐出パターン信号に変換する工程と、上記記録ヘ
ッドと上記透明基板を主走査方向及びこれに直交する副
走査方向に相対駆動しながら上記着色液を吐出して、上
記着色液の吐出パターン信号に基づいた印刷を上記副走
査方向に所定のピッチで複数回実行する工程とを有する
ことを特徴とする光学フィルタの製造方法である。又、
その好ましい形態としては、上記構成において、前記単
位画像情報或いは前記着色液の吐出パターン信号の副走
査方向の長さをL、前記所定のピッチをPとした場合、
L≦Pの関係を満足するようにした光学フィルタの製造
方法、又、上記構成において、更に、前記単位画像情報
の印刷領域に対する前記単位フィルタ部の相対位置を調
節する工程を有する光学フィルタの製造方法が挙げられ
る。
【0009】本発明の別の実施形態は、開口部を通過す
る光束の量を調節するための光量調節装置であって、上
記何れかの構成の光学フィルタの製造方法で製作された
光学フィルタと、該光学フィルタを備えた光量調節部材
と、該光量調節部材を駆動する駆動手段を有し、上記光
量調節部材の駆動量に応じて該開口部を通過する光束の
透過量を調節するものであることを特徴とする光量調節
装置である。
【0010】本発明の別の実施形態は、上記の光量調節
装置と、被写体像を形成する撮影光学系と、該被写体像
を光電変換する撮像手段と、該光電変換された信号を記
録する記録手段とを有し、上記光量調節装置が上記撮影
光学系に配置されていることを特徴とする撮影装置であ
る。これにより、撮影の際の光量調節時に前記光学調節
装置による光量調節がなされ、回折による撮影解像力の
低下が少なく、且つボケ像の一様性を悪化させない撮影
装置が提供できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、好ましい実施の形態を挙げ
て本発明を詳細に説明する。先に述べたように、本発明
者らは、光学フィルタを、簡易に、且つ極めて低コスト
に製造し得る方法を得るべく鋭意検討した結果、先ず、
従来試みられることのなかったインクジェットプリンタ
に代表される微小液滴吐出装置を用いることで、NDフ
ィルタを簡易に、極めて低コストで製造可能となること
を見いだした。更に、本発明者らは、特に、高品位且つ
低コストの光学フィルタを量産する上においては、微小
液滴吐出手段を用いた場合の印刷物に特有の現象であ
る、いわゆるスジムラが、NDフィルタの性能に影響を
及ぼす場合があることを見いだし、かかる課題の解決に
ついて鋭意検討した結果、微小液滴吐出手段を用いたこ
とのメリットを最大限に生かしつつ、しかも、スジムラ
の発生が光学フィルタの性能に及ぼすことのある影響を
極力抑えることが可能な光学フィルタの製造方法を得
た。
【0012】即ち、微小液滴吐出手段を用いた場合の印
刷物に現れる特有の現象であるスジムラの、NDフィル
タの性能への影響を極力抑えることに対して、本発明者
らが種々検討を重ねた結果、先ず、スジムラがあって
も、それが光学フィルタの端部などに位置していれば、
それが光学性能に大きな影響を与えることはない、との
知見を得た。しかし、光学フィルタの製造コストの低減
を目的として、微小液滴吐出装置による量産を試みたと
ころ、個々の光学フィルたにおけるスジムラの発生位置
がばらついてしまい、光学フィルタの中心にスジムラが
発現してしまう場合があり、製品の歩留りが低下する原
因となることがわかった。このことを、図19乃至図2
2を用いて説明する。
【0013】図19は、シート状の記録媒体800の上
に単一濃度のグレーパターン802を、インクジェット
プリンタによって全面に印刷したものである。インクジ
ェットプリンタの場合、インクノズルを有する記録ヘッ
ドは、図中の矢印AH方向、いわゆる主走査方向に連続
的に移動しながらインク滴を吐出する。そして、主走査
が終了すると記録ヘッドが元の位置に戻り、シート状媒
体は同図の上方向に所定量だけ搬送、即ち、副走査され
る。この副走査は、シート状の記録媒体800を固定し
て考えると、記録ヘッドが相対的に、図中の矢印Av
向に移動したのと等価である。よって以降の説明では、
記録ヘッドを上下方向に移動する動作を副走査と称す
る。
【0014】以上の如く、インクジェットプリンタの場
合、記録ヘッドが主走査と副走査を繰り返して印刷が完
了する。この際、後述する、記録ヘッドに生じる恐れの
ある製造上の、或いは使用上の避けられない欠陥によっ
て、主走査と平行する方向に、縞状の印刷欠陥が生ずる
場合がある。図19では周囲より濃度の高い縞を803
で、濃度の低い縞を804で示すが、それぞれの縞は固
有の周期(ピッチ)Pervで現れる。
【0015】図20は、このようなインクジェットプリ
ンタを用いて、シート状の透明基板に多数のNDフィル
タを印刷したものの模式図である。図20に示したよう
に、透明基板810上には、NDフィルタである色材膜
811が多数個(図では16個)印刷されているが、各
NDフィルタ811は、段階的に色材濃度が変化したパ
ターン812を有すると共に、前述した縞状欠陥部81
3、814が重畳されて現れている。そして、縞状欠陥
813、814のピッチと、フィルタ811の配列のピ
ッチが異なるため、フィルタの濃度パターンに対する縞
状欠陥の現れ方も、フィルタ811が配列された行毎に
異なったものとなる。
【0016】図20の如くパターン印刷されたNDフィ
ルタ811の一つを、プレスで打ち抜きしたものを図2
1に示した。図21に示したように、単体のNDフィル
タ811には、透過率が段階的に変わるパターン812
が印刷され、縞状の欠陥部813及び814は、透過率
の変化勾配が最大になる方向と平行に現れる。このよう
なNDフィルタ811を、撮影装置の絞り機構に適用し
た場合の光学的特性について以下に説明する。
【0017】図21のNDフィルタを時計方向に90度
回転、即ち、下方向が光学濃度最大(透過率は最小)に
なるような状態で撮影装置の絞り機構に組み込んだ場合
のボケ像を図22に示した。点光源を撮影する場合、合
焦状態では点光源の像は面積がゼロの輝点になるが、ピ
ントがぼけた状態では、点光源の像には絞りの形状が現
れる。図22はこの様子を示したものであるが、絞り羽
根で形成されたひし形の開口部に相当するボケ像821
の内部には、NDフィルタの透過率分布に対応して明る
さが変化した領域822と、縞状の欠陥に対応する領域
823、824が現れる。即ち、図21のようなNDフ
ィルタを用いると、ボケ像の不均一性が目立ち、撮影画
像の品位を落としている。
【0018】更に、図20において、2行目以降のND
フィルタには、図21に示したNDフィルタとは異なる
縞状欠陥が生じているため、同時に作製されたにもかか
わらず、NDフィルタの光学性能に個体差が生じ、その
結果として、これらのNDフィルタを搭載する光学機器
の性能にばらつきを生じてしまうことが起こる。本発明
者らは、このような知見に基づき、記録ヘッドの副走査
方向の、光学フィルタの配置の間隔と、記録ヘッドの副
走査方向の移動ピッチとの最適化を図ることを試みた。
この結果、スジムラを生じることのある微小液滴吐出装
置を用いて光学フィルタを量産した場合においても、個
々の光学フィルタに発現するスジムラの位置を固定化す
ることができ、この結果、スジムラによって生じる光学
フィルタの光学性能の劣化を最小化し、且つ光学フィル
タの品質の均質化をも図ることができることがわかっ
た。
【0019】
【実施例】以下に、好ましい実施例を挙げて、本発明を
更に詳細に説明する。 (第1の実施例)図1乃至図15は、本発明の第1の実
施例に係わる図である。図1は、本発明の製造方法で、
一枚の基板上に光量調節部材であるNDフィルタを多数
印刷した状態を示す平面図である。本実施例では、光量
調節部材は、可視光を各波長帯域に渡って段階的に減衰
させたNDフィルタを例としているが、可視帯域内の特
定波長帯の光を減衰させる光学フィルタ、紫外線や赤外
線を減衰させる光学フィルタにも同様に適用できる。
【0020】図1において、100は透明基板であり、
該透明基板100の上には、印刷可能領域106の内側
に、所定の濃度パターンを有したNDフィルタとなる色
材膜101が、横方向に4列、縦方向に3行の合計12
個形成されている。本実施例では、各パターンは、記録
ヘッドが矢印AH方向に連続駆動される主走査と、主走
査終了後に矢印Av方向に所定量だけ駆動される副走査
の組合せで印刷されるため、高濃度の縞103と、低濃
度の縞104が固有の周期(ピッチ)Pervで周期的
に現れて、その一部がNDフィルタとなる色材膜101
にかかっている。そして、本発明ではNDフィルタの各
行の間隔は、後述するように、前記縞状欠陥のピッチP
ervのn倍(nは1以上の整数で、本実施例ではn=
2)で配列されている。
【0021】尚、NDフィルタの光学濃度(Optical D
ensity、ODと略す)と透過率(Transmission Rate、
Tと略す)は、OD=−log10Tの式で対応付けられ
るため、本実施例で光学濃度が高いと表現された部分
は、透過率が低いと言い換えることができる。
【0022】本実施例による光量調節部材、即ち、ND
フィルタの製造方法について以下に説明する。先ず、本
実施例では、透光性の基板上に色材を含んだ着色液を受
容し得る材料がコーティングされた受容層を有する透明
基材を使用した。
【0023】本発明においては、基材として透明のもの
を用いることが好ましいが、透明基材としては、光量調
節部材としての機械的強度及び光学的特性等の必要特性
を有していれば特に限られるものではない。具体的に
は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ジアセテー
ト、トリアセテート、ポリプロピレン等からなる透明フ
ィルムを挙げることができる。又、上記必要特性を満た
すものであればガラス製の基材も使用可能である。
【0024】上記したような透明基材上に、着色液(溶
剤に、後述する色材を混合させたもの)を受容し得る材
料をコーティングする方法としては、下記のような方法
を用いることができる。先ず、着色液を受容し得る材料
を、必要によって他の添加剤と共に、水或いはアルコー
ル、多価アルコール類、又は他の適当な有機溶剤に溶
解、又は分散して、塗工液を調製する。次いで、このよ
うにして得られた塗工液を、例えば、ロールコーター
法、スピンコート法等によって、透明基材表面に塗工す
る。その後、例えば、熱風乾燥炉、熱ドラム、ホットプ
レート等を用いて乾燥を行って、透明基材上に、着色液
を受容し得る層(受容層)を形成する。
【0025】上記において受容層の形成に用いることの
できる材料としては、透明基材上に被覆層を形成した場
合に、該層中に着色液が吸収され、該着色液中の色材を
層中に定着し得るものであれば特に限られるものではな
い。例えば、ポリビニルアルコール、セルロースの変性
物、ポリエステル等の合成樹脂、ゼラチン等の天然樹脂
を挙げることができる。又、これらの材料と共に受容層
の形成に用いることのできる、コーティング性、着色液
の吸収性能の制御、機械的特性の向上等を目的として加
える添加剤としては、各種の、界面活性剤、架橋剤、染
料固着剤(耐水化剤)、消泡剤、酸化防止剤、粘度調整
剤、PH調整剤、防カビ剤、可塑剤等が挙げられる。
【0026】本実施例では、上記のような受容層を有す
る透明基材として、受容層として厚さ5μmのポリビニ
ルアルコールのコーティング膜を有する厚さ75μmの
ポリエチレンテレフタレートフィルム用いた。
【0027】本実施例に用いる着色液としては、インク
ジェット装置に代表される微小液滴吐出装置により吐出
可能なものであれば特に限られるものではない。このよ
うな着色液としては、水系、油系のものを共に用いるこ
とができるが、吐出信頼性の点から、水系の着色液を使
用することが好ましい。更に、着色液中の色材として
は、各種の、染料及び顔料を用いることができるが、各
種の、金属、無機、有機微粒子等も使用可能である。
【0028】尚、本発明において、色材とは、広く、可
視光、紫外光、赤外光を含む所定波長帯の光の透過率を
制御する材料を意味していおり、本実施例におけるND
フィルタ部の製造においては、可視光帯域全体に渡って
均一な透過特性を与えるものが利用されているが、本発
明はこれに限定されるものではない。例えば、赤外線カ
メラ用の光量調節装置に用いる場合には、赤外域の特定
波長のみを透過する材料が用いられるが、これも色材に
含まれる。又、透過光量を制御する際の光の吸収が、材
料内部で生じるもの、材料表面で生じるものの何れも
が、本発明でいう色材に含まれる。
【0029】上記において使用する着色液中の溶剤とし
ては、水性媒体としてはメチルアルコール等の各種の水
溶性有機溶剤を用いることができる。更に、所望の物性
値を持つ着色液とするために、必要に応じて、各種の、
界面活性剤、消泡材、防腐剤等を添加することができ
る。
【0030】本実施例では、下記の表1に示す組成を有
する、4種類の色材濃度の異なる着色液(インク)を使
用した。本実施例では、色材として染料を使用し、又、
可視光領域において、ほぼフラットな分光透過率を得る
ために、表2に示すような4種の染料を表2に示した比
率で混合したものを使用した。本実施例では、これらの
4種類のインクを、後述する記録ヘッドの4つのインク
室に収容して使用した。
【0031】
【0032】
【0033】本実施例では、先に説明した着色液を受容
し得る材料がコーティングされた透明基板上に、微小液
滴吐出装置を用いて上記着色液を付与して、NDフィル
タを作製した。その詳しい手順については後述する。
【0034】本実施例においては、上記のようにして着
色液を付与した後、必要に応じて、熱風乾燥炉、熱ドラ
ム、ホットプレート等を用いた乾燥を行って色材膜を形
成してもよい。特に、上記着色液を吸収し得る材料中に
架橋剤を混合した場合には、加熱或いは光照射を行うこ
とで被膜を硬化させることが効果的である。
【0035】本発明においては、上記のようにして、透
明基材上に色材膜を形成するが、その後、更に、光学的
な特性を向上させる目的で、着色被膜上に透明平坦化層
を設けてもよい。平坦化層の形成に用いられる材料とし
ては、先に説明した着色液を受容する材料を使用するこ
とができる。しかし、その他、着色層との密着性、機械
的強度、光学的特性等の必要性能を満たしていれば、い
ずれの材料を使用することもでき、特に限られるもので
はない。
【0036】本実施例では、その後、透明基材に形成さ
れた複数の色材膜をプレス工程で打ち抜きして、光量調
節部材であるNDフィルタ12個を作製した。
【0037】以上のようにして作製された本実施例のN
Dフィルタの光学特性について以下に説明する。光量調
節部材であるNDフィルタの良否を判断する場合、
(1)NDフィルタを単体で用いた場合に、色材が光束
を散乱或いは屈折することによる光学性能の低下、
(2)絞り装置等に組み込んで使用した場合の回折防止
効果、(3)分光透過率、の3項目の評価が必要であ
る。ここで(3)は、色材の種類によってフィルタの特
性を自在に調節でき、且つ市販の分光透過率計を用いて
簡単に測定できるので、説明は省略する。又、(2)の
項目は、その絞り羽根の形状や評価時の絞り値(Fナン
バー)等の因子が、その評価結果に大きな影響を及ぼす
ため、NDフィルタ自体の評価とは言い難い。そこで、
本実施例においては、前記(1)の評価を以下の手順で
行ない、本実施例によって得られるNDフィルタの光学
特性を評価した。
【0038】先ず、上記で述べたと同様の方法で、光学
濃度0.5(透過率32%)の均一濃度パターンを有す
るNDフィルタを作製した。これをキヤノン(株)製デ
ジタルカメラPower Shot G1の撮影レンズ
の前方に配置し、ISO規格電子スチルカメラ用解像力
チャートを撮影した。露出制御モードは絞り開放による
絞り優先AEを使用し、NDフィルタの有無に係わらず
適正露出が得られるようにした。この撮影画像から白黒
バーチャート(像面上での空間周波数 14.5 line
pairs/mm)を切り出し、画像の白部のレベルと黒部
のレベルの差分を求め、これを評価コントラストとし
た。次いで、NDフィルタを外して同様の撮影を行な
い、画像の白部のレベルと黒部のレベルの差分を求め、
これを参照コントラストとした。このようにして得られ
た参照コントラストに対する評価コントラストの比率を
求め、フィルタコントラストと定義した。本実施例にお
けるこの値は0.96であった。フィルタコントラスト
の許容下限値は撮影装置の用途や価格帯により異なる
が、普及クラスの撮影装置では0.9以上、高級クラス
では0.92以上が好ましいことがわかっている。従っ
て、本実施例のNDフィルタのフィルタコントラスト値
0.96は、充分に高性能であることがわかった。
【0039】図2は、上記NDフィルタを製造する際に
用いた微小液滴吐出装置の外観図である。ここで微小液
滴吐出装置とは、微小なインク滴をシート状媒体に高速
で吐出し、所定の図形や文字を印刷する、いわゆるイン
クジェットプリンタと称されるものに代表される。本実
施例においても、このインクジェットプリンタを用いて
いる。
【0040】図2において、微小液滴吐出装置本体20
1の上面にある給紙口からシート状媒体、即ち、透明基
板を供給すると、内部で印刷処理が行なわれ、排紙口2
03より本実施例のNDフィルタが印刷された透明基板
100が排紙される。
【0041】図3は、微小液滴吐出装置201の構造を
示したものである。同図において、透明基板100はピ
ンチローラ212によってプラテン211に圧接保持さ
れる。そして、ラインフィードモータ213の回転に伴
うプラテン211の回転で、透明基板100は、矢印A
v方向に搬送される。214は、シートセンサで、透明
基板100がプラテン211上に給紙されているか否か
を検出する。231は記録ヘッドで、ガイド軸221に
沿って矢印AH方向に移動可能に保持される。記録ヘッ
ド231は、キャリッジモータ222、ベルト223に
よってプラテン211に沿って一定速度で駆動される。
これが本発明で言う主走査である。記録ヘッド231の
位置は、リニアエンコーダ224で検出される。225
はホームポジションセンサで、記録ヘッド231が右端
の原点に戻っているか否かを検出する。
【0042】尚、本発明において光学フィルタの製造に
用いることのできるは微小液滴吐出装置は、上記構造に
限定されるものではない。例えば、記録ヘッドと透明基
板の相対駆動方法として、固定された透明基板に対して
記録ヘッドが主走査、副走査方向に駆動するもの、或い
は固定された記録ヘッドに対して透明基板が主走査、副
走査方向に駆動するものでもよい。
【0043】図4は、本実施例で使用した記録ヘッド2
31の斜視図であり、4つのノズルユニット231a乃
至231dで構成され、各ユニットは複数のノズルを有
したマルチノズルヘッドとなっている。即ち、ノズルユ
ニット231aは、N個(本実施例では4個)のノズル
を有し、各ノズルの吐出口241は等ピッチPvで配置
されている。但し、実際には各ノズルユニットには製造
誤差があり、前記ピッチは厳密には等しくはならない。
そこで、該装置では、上から3番目と4番目の吐出口の
ピッチは基準ピッチPvよりδvだけ小さくなっていると
仮定する。そして4個の吐出口は後述するように内部で
つながっており、同一のインク滴が吐出される。
【0044】ノズルユニット231b乃至231dも、
ノズルユニット231aと同一の構造であり、各ユニッ
トは等ピッチPHで配置されるが、同様の製造誤差で、
図4に示したように、ノズルユニット231cと231
dのピッチは、基準ピッチよりδHだけ小さくなってい
ると仮定する。これらの各ノズルユニットの内部には、
異なる濃度の黒色インクが充填されている。本実施例で
は、ノズルユニット231a乃至231dのインクの相
対濃度は、8:4:2:1となっている。
【0045】図5は、一つのノズルユニット231aの
断面図である。242は、インク室で、不図示のメイン
インクタンクから供給器を介してインクが供給される。
このインク室242は、4つのノズル243と連通して
おり、各ノズルにインクを供給する。各ノズルの中間部
周囲にはヒータ244が設けられ、このヒータへ通電す
ることでノズル内のインクが気化し、気泡245が発生
する。そして、該気泡245の発生による圧力波がイン
ク滴246を吐出させる。他のノズルユニットも同様の
構造になっている。尚、本発明で使用できる記録ヘッド
は上記構造に限定されるものではない。例えば、ヒータ
の代わりにピエゾ素子を備え、ピエゾ素子への通電によ
る変形でノズルを変形させ、インクを吐出させるもので
もよい。
【0046】図6は、上記の微小液滴吐出装置の制御回
路図である。251は、微小液滴吐出装置全体の動作を
制御するCPU、252は電源投入や印刷開始等を指示
するためのスイッチ群、253はNDフィルタの印刷濃
度パターン等を生成するPC(Personal Computer)等
の外部機器である。
【0047】ラインフィードモータ213は、モータ制
御回路215を介して、透明基板100を搬送制御(副
走査)する。この際、シートセンサ214は透明基板1
00の有無を検知し、プラテン上に透明基板100が無
い時は給紙を行なう。キャリッジモータ222は、モー
タ制御回路226を介して記録ヘッド231を駆動制御
(主走査)する。具体的には、キャリッジモータ222
は連続回転する直流モータで、リニアエンコーダ224
からの位置信号をフィードバックして、速度及び駆動量
を精密に制御する。尚、直流モータの代わりにステップ
モータを用いて、記録ヘッド231を主走査ピッチPx
を単位として高速で間欠駆動しても構わない。ホームポ
ジションセンサ225は、1回の主走査終了後に記録ヘ
ッドが初期位置に戻ったか否かを検出する。
【0048】233は、外部機器253で生成された濃
度パターンを、微小液滴の吐出パターンに変換するため
の記録データ処理回路である。そして、該回路233で
生成された信号に基づき、ヘッドドライバ232が記録
ヘッド231内の前記ヒータ244を発熱制御してイン
クを吐出し、この結果、所定の濃度パターンが透明基板
100上に印刷される。
【0049】図7は、上記微小液滴吐出装置で透明基板
全面に、均一濃度パターンを印刷する場合の印刷工程
と、その際に発生する印刷欠陥の様子を説明する図であ
る。前述の図4において、ノズルユニット231a乃至
231dにはそれぞれ異なる濃度のインクが収容され、
各インクの相対濃度は、8:4:2:1であると述べ
た。そこで、図7においては、ノズルユニット231a
の高濃度インクを用いて、高濃度の均一パターンを印刷
する場合について説明する。
【0050】図7(a)は、先に述べた記録ヘッド23
1が、1回目の主走査で印刷を行なった後の印刷パター
ンであり、透明基板100に着弾したインクを○で示
す。当工程では、先ず左端第1列目の4個のドットが形
成され、次いで記録ヘッド231が第1の方向である主
走査方向に、第1の間隔である主走査ピッチPxで微小
量右に移動して第2列目の4個のドットが形成される。
以下、同様の工程を繰り返して横方向(主走査方向)に
所定個(図では6個だが、実際の印刷工程では数万
個)、縦方向には吐出口の個数に対応する4個のドット
が、マトリクス状に印刷される。記録ヘッド231は1
回目の主走査が完了すると、キャリッジモータ222で
ホームポジションに戻る。
【0051】図7(b)は、記録ヘッド231の2回目
の主走査で印刷を行なった後のインク滴の印刷パターン
を示す。2回目の主走査を行なう前に、透明基板100
はラインフィードモータ213により、記録ヘッド23
1に対してピッチPyだけ上方に駆動される(第1の副
走査)。図7(b)では、記録ヘッド231が透明基板
101に対して相対的にピッチPyだけ下方に移動した
ものとして描いてある。第2回目の主走査によるインク
ドットを◇で示す。
【0052】同様に、3回目の主走査後の印刷パターン
を図7(c)に☆で、4回目の主走査後の印刷パターン
を図7(d)に□で示す。以上の4回の主走査で、所定
の領域が、横方向(主走査方向)ピッチPx、縦方向
(副走査方向)ピッチPyのインクドットマトリクスで
すべて埋め尽くされたことになる。この一巡の工程を、
1印刷サイクルと称することにする。即ち、1印刷サイ
クルで生成された色材膜は、第1の方向には第1の間隔
で、第2の方向にも所定間隔で微小液滴が並んだ帯状の
印刷領域で構成される。
【0053】続いて5回目の主走査が開始されるが、そ
の前に記録ヘッド231は縦方向に、 (N−1)×Pv+Py=3×Pv+Py だけ副走査駆動され(第2の副走査)、その後に5回目
の主走査が行なわれる。その印刷結果を図7(e)に示
す。そして5回目の主走査によるインクドットを再び○
で示すが、これは1回目の主走査によるインクドットの
位置からN×Pvだけ隔たった位置になる。その後は、
前記2、3、4回目の主走査と同様の工程で6、7、8
回目の主走査が行なわれ、図7(h)で2回目の印刷サ
イクルが完了し、図7(i)で3回目の印刷サイクルが
開始される。即ち、複数回の印刷サイクルで生成された
色材膜は、1回の印刷サイクルで生成された帯状の印刷
領域が、第2の方向である副走査方向に、第2の間隔で
あるN×Pvのピッチで繰り返し配列された構成になっ
ている。
【0054】ここで図7(i)の印刷パターンを観察す
ると、横方向(主走査方向)には印刷欠陥は生じていな
い。その理由は、記録ヘッド231の主走査駆動は、ホ
ームポジション(始点)から対極の終端まで、即ち、透
明基板の横方向の全領域において、すべて一連の連続駆
動中に印刷が行なわれるため、微小液滴は第1の間隔で
連続的に配置されるからである。
【0055】一方縦方向(副走査方向)には、図7
(i)に示したように、インクドットの行間隔が密にな
った部分Ldと、粗い部分Lcが交互に現れ、それぞれが
現れる周期はN×Pvであることがわかる(Nはノズル
の副走査方向の数で、本実施例ではN=4)。この欠陥
のピッチをPervとする。この印刷欠陥は、図4に示
したノズルユニット231(a)のノズルのピッチ誤差
に起因する。即ち、インクジェット式印刷装置において
は、主走査方向と平行の印刷欠陥が、副走査方向に第2
の間隔Pervで周期的に現れることになる。このよう
な欠陥は、図4で説明したノズルの製造誤差のほか、ノ
ズルの目詰まりによっても生じる。又、プラテン或いは
ピンチローラの摩耗乃至変形によっても、それぞれの原
因に応じた固有のピッチで縞状の欠陥が発生する。
【0056】図8は、NDフィルタの印刷フロー図であ
る。前述の図1乃至図7を参照しながら図8を用いて、
CPU251の制御フローを説明する。微小液滴吐出装
置201の電源スイッチがオン操作され、続いて印刷操
作スイッチがオン操作されると、CPU251は印刷制
御を行なうためにステップ(101)からステップ(1
02)へ進む。尚、図8ではステップをSと略す。
【0057】ステップ(102)においては、パーソナ
ルコンピュータ等の外部機器253と通信を行ない、ス
テップ(103)において外部機器253からNDフィ
ルタの印刷パターン情報を受信する。この印刷パターン
情報は、図1における単一のNDフィルタ領域101の
画像情報に相当し、その情報は、例えば、出力解像度3
00dpi(dot per inch)、各画素の階調は8bit
グレースケール、というように定義されている。
【0058】ステップ(104)では、印刷可能領域の
原点P0に一番近い、即ち、先頭のNDフィルタに関す
る配置情報の入力を受け付ける。これは図1における一
番左上に配置されたNDフィルタの先頭位置座標(x
1,y1)(=原点P0からの水平及び垂直方向の距
離)を指定する操作である。ここで、本実施例で使用す
る微小液滴吐出装置に現れる画像欠陥の位置は、図19
で説明したように、均一パターンを印刷することで予め
把握可能なため、このようにして得た欠陥位置情報を元
に、操作者が、先頭位置座標(x1,y1)を入力すれ
ばよい。尚、本実施例の説明では、該欠陥103及び1
04の位置をわかり易くするため、NDフィルタのパタ
ーン周辺部に欠陥が重畳するような配置で描かれている
が、原点P0に対して印刷パターンの位置をもっと下に
移動させれば、前記欠陥の影響を更に減らすことができ
る。
【0059】ステップ(105)では、単一のNDフィ
ルタ101を複数個主走査方向に並べた、1行分の印刷
パターン情報を作成する。即ち、図1において、矢印A
Hの方向に並んだ4個のNDフィルタパターンを作成す
る。この際の配列個数は、印刷完了後に各フィルタをプ
レスで打ち抜く際の打ち抜き代を勘案し、1行の中にな
るべく多数のNDフィルタが印刷できるように配列す
る。続いてステップ(106)乃至ステップ(109)
で、下記のようにして複数行の印刷パターンの配置を行
なう。
【0060】先ず、ステップ(106)では、パターン
の行番号を示すカウンタiに1を代入し、ステップ(1
07)で1行目のパターン配列を行なう。即ち、ステッ
プ(104)及びステップ(105)にて生成した1行
分の印刷画像情報を、透明基板100上の印刷可能範囲
106の原点P0に合わせて配置する。次いで、ステッ
プ(108)でカウンタiを一つ進める。
【0061】ステップ(109)では、所定の行数のパ
ターン配列が完了したか否かを判定し、完了していなけ
ればステップ(107)に戻って次の行のパターン配列
を実行する。この際、前回のパターン位置と今回のパタ
ーン位置の間隔、即ち、副走査方向のパターンピッチ
は、図1に示す如く、縞状欠陥のピッチPervのn倍
(nは1以上の整数)とする。本実施例ではn=2とし
ているが、このnの値は、各行の印刷領域が重ならず、
且つ、印刷完了後に各フィルタをプレスで打ち抜く際
に、適切な打ち抜き代が残る条件を満たす範囲で最小の
数値が望ましい。上記したような配置にすることで、形
成されたすべてのNDフィルタにおいて、縞状の欠陥が
同一位置に現れるようにすることができる。このため、
各フィルタ間における光学特性の個体差がなくなり、品
質の安定化が図れ、且つ1枚の透明基板100から、品
質の安定した多くのNDフィルタが製作される。
【0062】上記のようにしてすべての行の配列が完了
すると、次に、ステップ(109)からステップ(11
0)に移行する。ステップ(110)では、上記NDフ
ィルタの印刷パターンを、インクの吐出パターンに変換
する。本実施例では、記録ヘッドの印刷解像度、即ち、
インクドットの吐出解像度は1200dpiに設定され
ているので、前述の300dpi、8bitグレースケ
ールの画像情報を1200dpiのインク吐出パターン
情報に変換する。この変換方法については、本出願人に
よる特開平11−1006号公報等に開示されているの
で、詳しい説明は省略する。以上で印刷用のデータ創生
が完了したので、次のステップで印刷を開始する。
【0063】先ず、ステップ(121)では、シートセ
ンサ214が透明基板100の有無を検知し、透明基板
100がプラテン上に供給されていなければ給紙を行な
う。給紙が完了したら、ステップ(122)で印刷開始
命令を出力する。ステップ(123)では、記録ヘッド
231を主走査駆動しながらインクを吐出し、印刷を行
なう。ステップ(124)では、主走査が終了したか否
かを判別し、終了していない場合はステップ(123)
を繰り返し実行する。この工程は、図7の(a)に相当
する。主走査が終了した場合はステップ(125)でキ
ャリッジリターン動作を行ない、記録ヘッド231をホ
ームポジションに復帰させる。
【0064】続いてステップ(126)に移行し、第1
の副走査を実行する。この工程は、図7の(a)から
(b)への移行に相当する。このときの副走査駆動量は
yである。ステップ(127)では、1サイクルの印
刷工程が完了したか否かを判定する。そして完了してい
なければ、ステップ(123)に戻って主走査・印刷を
繰り返し実行する。上記主走査を4回実行すると、1サ
イクルの印刷工程が完了するので、ステップ(127)
からステップ(128)へ移行する。
【0065】ステップ(128)では第2の副走査を実
行する。この工程は、図7の(d)から(e)への移行
に相当する。このときの副走査駆動量は3×Pv+Py
ある。ステップ(129)では、透明基板100への全
面印刷が完了したか否かを判別し、完了していなければ
ステップ(123)乃至ステップ(128)を繰り返し
実行する。そして、全面印刷が完了すると、ステップ
(129)からステップ(130)へ移行し、排紙を行
なってステップ(131)にて印刷動作を停止する。
【0066】尚、本実施例のフローでは、ステップ(1
25)でキャリッジリターンを行なうため、記録ヘッド
がホームポジションへ戻る過程では印刷を行なわない
が、戻り方向の駆動でも印刷を行なう、いわゆる往復印
刷を行なっても構わない。
【0067】以上のフローにより、図1に示した如く、
透明基板100上に複数のNDフィルタ101が印刷さ
れる。次いで、各NDフィルタはプレス工程で打ち抜き
される。図9に、打ち抜きされた単体のNDフィルタの
模式図を示した。図9に示したように、NDフィルタ1
01には、透過率が段階的に版かしたグラデーションパ
ターン102が印刷され、その中に縞状の欠陥部103
及び104が生じている。しかし、該縞状欠陥は、図2
1で説明したものに較べて周辺部に寄っているため、後
述するように該欠陥の光学的影響は格段に低減される。
【0068】図9のNDフィルタを組み込んだ光量調節
装置を図10に示した。図10において、300は開口
部を通過する光束の光量を複数の絞り羽根を用いて調節
する、いわゆる絞り装置の全体を示している。305
は、後述する各部材を搭載する地板で、中央に絞りの開
口部である光路孔305aを有すると共に、後述する絞
り羽根の摺動ガイドとなる4本のガイドピン305bが
植設されている。301は第1の絞り羽根で、絞り開口
縁301a、スライド用ガイド孔301b、被駆動用ガ
イド孔301cを有する。そしてスライド用ガイド孔3
01bが前記地板のガイドピン305bに摺動可能に係
合しているため、絞り羽根301は地板上を上下方向に
移動可能になっている。又、絞り開口縁301aには、
図9のNDフィルタ101が接着固定される。ここで、
前記した縞状の欠陥はNDフィルタ101の周辺部にあ
るため、絞り開口縁301aの外側、即ち、光束の通ら
ない領域に位置することがわかる。
【0069】302は第2の絞り羽根で、同様に絞り開
口縁302a、スライド用ガイド孔302b、被駆動用
ガイド孔302cを有する。そして、スライド用ガイド
孔302bが前記地板のガイドピン305bに摺動可能
に係合しているため、同じく絞り羽根302は、地板上
を上下方向に移動可能になっている。
【0070】303は絞り羽根駆動レバーであり、不図
示のモータ軸が孔303aに嵌着され、該孔303aを
中心として回動される。そして、このレバー303の両
端には、絞り羽根駆動用の突設ピン303b及び303
cが設けられ、前記絞り羽根の被駆動用ガイド孔301
c及び302cに係合している。よって、不図示のモー
タ軸が時計方向に回転すると、絞り開口縁301a及び
302aが近接して光路孔305aの開口面積が減少す
る。この際、NDフィルタ101が光路孔305aを覆
うため、開口面積の減少と、NDフィルタによる減光作
用の相乗で光束の透過量を減少させる。
【0071】ここでNDフィルタの透過率を、段階的
に、或いは連続的に変化させた場合の光学的優位性は、
例えば、特開平6−95208号公報及び特開平11−
15042号公報等に記載されている。従って、上記し
たような簡易な製造方法によって、NDフィルタの透過
率が、段階的に、或いは連続的に変化する、グラデーシ
ョンパターンを形成してNDフィルタを製造し、これを
絞り装置300に適用すれば、簡易且つ経済的に得られ
たNDフィルタを用いているにもかかわらず、絞り装置
300は、上記した公知技術の場合と同様の効果が得ら
れた優れたものとできる。
【0072】図11は、図10で示した絞り装置を撮影
装置に配置したものである。本実施例では、撮影装置は
動画像もしくは静止画像を撮像手段で電気信号に光電変
換し、これをデジタルデータとして記録するビデオカメ
ラを例として説明する。但し、ビデオカメラに限定され
ることなく、スチルカメラ、産業用工具カメラ等の撮影
装置に適用しても同様の効果を得る。400は複数のレ
ンズ群からなる撮影光学系であり、第1レンズ群40
1、第2レンズ群402、第3レンズ群403、及び、
図10で示した絞り装置300で構成される。401は
固定の前玉レンズ群、402はバリエータレンズ群、4
03はフォーカシングレンズ群である。404は光学ロ
ーパスフィルタである。
【0073】又、撮影光学系400の焦点位置(予定結
像面)には、撮像手段411が配置される。これは照射
された光エネルギを電荷に変換する複数の光電変換部、
該電荷を蓄える電荷蓄積部、及び該電荷を転送し、外部
に送出する電荷転送部からなる2次元CCD等の光電変
換手段が用いられる。撮像手段411上に結像した被写
体の像は、その明るさの強弱に応じた画素毎の電荷量と
して、電気信号に変換され、アンプ回路441で増幅さ
れた後、カメラ信号処理回路442で所定のγ補正等の
処理を施される。尚、この処理は、A/D変換後のデジ
タル信号処理で行われてもよい。このようにして作られ
た映像信号はレコーダ443にて記録される。レコーダ
443は、磁気テープや光磁気ディスク等の記録媒体へ
信号を記録する装置が用いられる。
【0074】421は液晶ディスプレイ等の表示器で、
撮像手段411で取得した被写体像や、撮影装置の動作
状況を表示する。422は、操作スイッチ群でズームス
イッチ、撮影準備スイッチ、撮影開始スイッチ、シャッ
ター秒時等を設定する撮影条件スイッチで構成される。
423はアクチュエータで、これによりフォーカス駆動
を行ない、撮影光学系400の焦点状態を調節したり、
その他の部材を駆動する。
【0075】以上の構成において、CPU431はカメ
ラ信号処理回路442から出力された映像信号が自身内
にメモリーされている適正露出に相当する数値と一致し
ているかどうかを算出し、差のある場合は、その差分の
符号と絶対値に応じて絞り開口を変化させ、撮像手段4
11への光量を最適化させる。
【0076】絞りを動かす場合には、絞り駆動回路43
2により、図10の絞り羽根駆動レバー303が303
aを回転中心とし回動することで、絞り羽根301及び
302が上下にスライドする。これにより、開口部であ
る光路孔305aの大きさが変化すると共にNDフィル
タが進退し、光路孔305aを通過する光量を調節す
る。
【0077】このように絞り開口面積を変化させて最適
の露出を得ることができるが、前述のごとくNDフィル
タ101の減光作用が寄与するため、開口面積を極端に
小絞りにする必要がない。よって開口縁301a 及び
302aの回折の影響が緩和され、且つ充分に透過光量
を低下させることができる。
【0078】図11の撮影装置を用いて、絞りが小絞り
状態で撮影を行なった際のボケ像を図12に示した。図
12は、先に説明した図22と同様に、点光源を撮影し
た場合の像のボケ形状を表わしている。図12による
と、2つの絞り羽根で形成されたひし形状の開口部に相
当するボケ像121は、NDフィルタの透過率分布に対
応して明るさが一様に変化するが、図10で説明したよ
うに、本実施例によって得られるNDフィルタに現れる
縞状の画像欠陥は有効光束外に位置するため、前記ボケ
像121には、前記欠陥によるムラが生じない。即ち、
ボケ像の品位低下がなく、高画質な画像が得られる。
【0079】図13に、本実施例と同様の製造方法によ
って、1枚の透明基板上に形成される複数のNDフィル
タの配列の変形例を示した。該変形例では、偶数行目の
NDフィルタの濃度パターンが、奇数行目のNDフィル
タの濃度パターンに対して180度回転しているが、こ
のように配置することで、1枚の透明基板130から製
造することのできるNDフィルタ131の個数を増やす
ことができる(図13では20個)。この際、奇数行と
偶数行のパターンをそれぞれ独立したものと見なせば、
副走査方向のNDフィルタパターンピッチは縞状欠陥の
ピッチPervの1倍となる。一方、奇数行と偶数行の
パターンをまとめて1行と見なせば、副走査方向のND
フィルタパターンピッチは縞状欠陥のピッチPervの
2倍となる。一方、図13に示した配列の変形例では、
奇数行と偶数行のNDフィルタにおける縞状欠陥の位置
が同一とはならず、NDフィルタが有する対称軸を挟ん
で反対方向に現れるが、対称軸からの距離は等しいの
で、実質的に個体差は無いと見なすことができる。
【0080】図14に、本実施例と同様の製造方法によ
って、1枚の透明基板上に形成される複数のNDフィル
タの配列についての別の変形例を示した。図14に示し
た変形例は、図1に示したNDフィルタのパターンを9
0度回転させたものである。かかる変形例でも図1の実
施形態と同様の効果を得ることができる。尚、この変形
例の場合は、副走査方向のNDフィルタパターンピッチ
は、縞状欠陥のピッチPervの1倍となる。即ち、図
1、図13、図14のすべての実施形態において、副走
査方向のNDフィルタパターンピッチは縞状欠陥のピッ
チPervのn倍で、nは1以上の整数となっているこ
とがわかる。
【0081】図15には、本実施例と同様の製造方法に
よって製造されたNDフィルタの濃度パターンの変形例
を示した。図15(a)に示したNDフィルタ151
は、濃度変化が一段の場合、図15(b)に示したND
フィルタ153は、濃度変化の等高線が直線でない場
合、図15(c)に示すNDフィルタ154は全面に渡
って濃度が均一の場合である。更に、図示していない
が、濃度変化が無段階に変化して連続的に変わるものも
好ましい形態である。この濃度パターンが無段階に変化
するNDフィルタや、上記した151乃至153の何れ
のNDフィルタにおいても、前記した図1、図13、図
14の実施形態に応用することで、同一の効果を得るこ
とができる。
【0082】以上のように本実施例では、1枚の透明基
板上に印刷される複数のNDフィルタパターンの集合体
が1つの画像情報として構成される。即ち、換言すれ
ば、1枚のシート状媒体に1つの写真画像を印刷する工
程と実質的に同一であるため、汎用の安価な微小液滴装
置を利用することができ、NDフィルタの製造コストを
低減でき、NDフィルタ及びこれを利用した各種の製品
を安価にできるという利点もある。
【0083】(第2の実施例)前記第1の実施例による
NDフィルタの製造方法では、主走査方向及び副走査方
向に、それぞれ複数個配置された個々のNDフィルタパ
ターンが、全体で1つの画像パターン情報として構成さ
れ、印刷される実施形態であった。このような実施形態
では、微小液滴吐出装置とその印刷アルゴリズムは、大
半が汎用のものを利用できるという利点がある。しかし
ながら、図1に示した如く、装置の構造やNDフィルタ
の寸法によっては余白が多くなり、1枚の透明基板から
製造できるNDフィルタの個数が少なってしまう場合が
ある。
【0084】これに対して、以下に示した第2の実施例
では、先ず、1行分のNDフィルタパターンを単位画像
情報として構成する。そして、この単位画像の印刷が完
了する毎に印刷用記録ヘッドを副走査方向に所定量駆動
し、再び前記単位画像の印刷を繰り返し実行する。
【0085】図16は、第2の実施例の製造方法によっ
て印刷したNDフィルタのパターンを説明するための平
面図である。尚、透明基板、色材、平坦化層等は、第1
の実施例と同様の材料を用いて同様に製造した。印刷に
用いた微小液滴吐出装置も第1の実施例と同種の装置を
使用した。
【0086】図16において、160は透明基板であ
り、該基板の印刷可能領域166の内側には、所定の濃
度パターンを有したNDフィルタとなる色材膜161
が、横方向に4列、縦方向に4行の合計16個形成され
ている。このうち、横方向に並んだ4個のNDフィルタ
パターンが1つの画像情報として構成され、その単位画
像領域を167で示した。該領域は、高さL2を有し、
副走査方向にピッチPV2で複数行配列されており、その
配列関係はL2≦PV2となっている。
【0087】図17は、第2の実施例のNDフィルタの
印刷フロー図である。図16を参照しながら、図17を
用いてCPU251の制御フローを説明する。図17
(a)は、印刷制御全体を示すメインルーチン、図17
(b)は、印刷実行ステップを示すサブルーチンであ
る。
【0088】先ず、同図(a)のメインルーチンにおい
て、微小液滴吐出装置201の電源スイッチがオン操作
され、続いて印刷操作スイッチがオン操作されると、C
PU251は印刷制御を行なうためにステップ(20
1)からステップ(202)へ進む。尚、図17でもス
テップをSと略す。
【0089】ステップ(202)においては、パーソナ
ルコンピュータ等の外部機器253と通信を行ない、ス
テップ(203)において外部機器253からNDフィ
ルタの印刷パターン情報を受信する。この印刷パターン
情報は、図16における単一のNDフィルタ領域161
の画像情報に相当し、その情報は、例えば、出力解像度
300dpi(dot per inch)、各画素の階調は8bi
tグレースケール、というように定義されている。
【0090】ステップ(204)では、単位画像領域1
67における左端、即ち、先頭のNDフィルタに関する
配置情報の入力を受け付ける。これは図1に示した第1
の実施例において、一番左上に配置されたNDフィルタ
の先頭位置座標(x1,y1)を指定する操作と同様で
ある。
【0091】ステップ(205)では、単一のNDフィ
ルタ161を複数個主走査方向に並べた1行分の印刷パ
ターン情報を作成する。即ち、図16において、単位画
像領域167の中に、矢印AHの方向に並んだ4個のN
Dフィルタパターンを作成する。この際の配列個数は、
印刷完了後に各フィルタをプレスで打ち抜く際の打ち抜
き代を勘案し、1行の中になるべく多数のNDフィルタ
が印刷できるように配列する。
【0092】ステップ(206)では、上記ステップで
生成した単位領域167内の画像パターン情報を、イン
クの吐出パターンに変換する。その変換方法は、第1実
施形態と同様に、本出願人による特開平11−1006
号公報等に開示された技術が利用できる。以上で印刷用
のデータ創生が完了したので、次のステップで印刷を開
始する。
【0093】先ず、ステップ(211)では、シートセ
ンサ214が透明基板600の有無を検知し、透明基板
600がプラテン上に供給されていなければ給紙を行な
う。給紙が完了したら、ステップ(212)で印刷開始
命令を出力する。次いで、ステップ(213)では、印
刷パターンの行番号を示すカウンタiに1を代入する。
続いてステップ(214)で、1行目のNDフィルタを
印刷するための印刷サブルーチンを実行する。これを図
17(b)に示した印刷サブルーチンフローを用いて説
明する。
【0094】ステップ(221)を経由して、ステップ
(222)では、記録ヘッド231を主走査駆動しなが
らインクを吐出し、印刷を行なう。ステップ(223)
では、主走査が終了したか否かを判別し、終了していな
い場合はステップ(223)を繰り返し実行する。この
工程は、図7の(a)に相当する。主走査が終了した場
合はステップ(224)でキャリッジリターン動作を行
ない、記録ヘッド231をホームポジションに復帰させ
る。
【0095】続いてステップ(225)に移行し、第1
の副走査を実行する。この工程は、図7の(a)から
(b)への移行に相当する。このときの副走査駆動量は
yである。ステップ(226)では1サイクルの印刷
工程が完了したか否かを判定する。そして完了していな
ければ、ステップ(222)に戻って主走査・印刷を繰
り返し実行する。上記主走査を4回実行すると1サイク
ルの印刷工程が完了するので、ステップ(226)から
ステップ(227)へ移行する。
【0096】ステップ(227)では第2の副走査を実
行する。この工程は、図7の(d)から(e)への移行
に相当する。このときの副走査駆動量は3×Pv+Py
ある。ステップ(228)では、透明基板600への1
つの単位領域167の印刷が完了したか否かを判別し、
完了していなければステップ(222)乃至ステップ
(227)を繰り返し実行する。そして、単位領域16
7の印刷が完了すると、ステップ(228)からステッ
プ(229)へ移行し、メインフローにリターンする。
【0097】尚、本実施例のフローでは、ステップ(2
24)でキャリッジリターンを行なうため、記録ヘッド
がホームポジションへ戻る過程では印刷を行なわない
が、戻り方向の駆動でも印刷を行なう、いわゆる往復印
刷を行なっても構わない。又、図4に示した記録ヘッド
231が、上下方向、即ち、副走査方向に非常に多数の
吐出口を備え、全吐出口の配列の総延長寸法が前記単位
領域の高さ寸法L2を上下寸法より大きい時は、ステッ
プ(227)の第2の副走査駆動を行なうことなく、単
位領域167の印刷が完了する。或いは、図4に示した
記録ヘッド231が、備える各吐出口の配列ピッチPv
が非常に小さく、吐出口の配列が緻密である場合には、
ステップ(225)の第1の副走査駆動を省略すること
も可能である。即ち、本実施例では、記録ヘッド231
に多数の吐出口が緻密に配列されており、一方で、前記
単位領域の高さ寸法L2が記録ヘッドに対して相対的に
小さい場合には、単位領域167の印刷工程において第
1及び/又は第2の副走査駆動を行なう必要がない。
【0098】図17(a)のメインフローに戻り、ステ
ップ(214)からステップ(215)に進むと、記録
ヘッド231は、副走査方向に第3の副走査駆動を行な
う。これは図16において、1行目の単位印刷領域16
7の印刷完了後に、次の単位領域印刷に移る際の、記録
ヘッド送りに相当する。当ステップ(215)の実行に
より、記録ヘッド231の位置は、前回の単位領域の印
刷開始位置から副走査方向にPV2だけ駆動されたことに
なる。次いで、ステップ(216)でカウンタiを一つ
進める。
【0099】ステップ(217)では、所定行数の単位
領域の印刷が完了したか否かを判定し、完了していなけ
ればステップ(214)に戻って、次の領域の印刷を実
行する。そして、すべての領域の印刷が完了した場合、
即ち、図16においては4つの領域167の印刷が完了
したら、ステップ(217)からステップ(218)に
移行して透明基板600の排紙を行ない、ステップ(2
19)で印刷を停止する。
【0100】以上のフローにより、図16に示した如
く、透明基板600上には4つの単位領域167が印刷
され、各領域間ではNDフィルタ161の濃度パターン
と、図7に示したインクドット吐出パターンの関係が同
一に保たれる。従って、単位領域167の内部における
NDフィルタ161、縞状欠陥位置163(図中d1
示した)、縞状欠陥位置164(図中d2で示した)の
相対位置が一定に保たれるため、製造されるすべてのN
Dフィルタにおいて縞状欠陥は同一位置に固定される。
次いで、各NDフィルタはプレス工程で打ち抜きされ、
個々のNDフィルタの製造が完了する。以上の工程で製
造されたNDフィルタ161は、第1の実施例と同様
に、図10の光量調節装置や図11の撮影装置に用いら
れる。
【0101】図18に、上記で述べた第2の実施例と同
様にして形成することができるNDフィルタの配列の変
形例を示した。かかる変形例は、図16に示したNDフ
ィルタ161のパターンを90度回転させたものであ
る。この変形例によっても、図16に示した場合と同様
の効果を得ることができる。又、先に図15で説明した
種々の光学濃度パターンを有するNDフィルタを、上記
した第2の実施例と同様の方法で製造しても、同様の効
果が得られる。
【0102】以上説明したように、第2の実施例として
述べた光学フィルタの製造方法では、副走査方向に同一
のNDフィルタを複数行に渡って印刷する場合、1行の
NDフィルタのパターン情報を単位画像領域の情報とし
て印刷を行ない、印刷実行後に記録ヘッドを所定量だけ
副走査方向に駆動して、再度同一のフローにて次の単位
領域の印刷を行なう。以上の工程により、NDフィルタ
の濃度パターンと記録ヘッドのインク吐出口の相対位置
が、複数の単位領域間で同一に保たれるようになる。よ
って、複数同時に製造されたNDフィルタにおいて、N
Dフィルタ上に発生する印刷欠陥の個体差が低減し、フ
ィルタの品質が安定すると共に、1つの透明基板から多
くのNDフィルタパターンが製造でき、コストの低減に
効果を発揮する。
【0103】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
1枚の透明基板上に形成する光学フィルタの配列ピッチ
と、記録ヘッドが印刷する単位領域の配列ピッチとを所
定の関係にすることで、製造装置に起因する光学フィル
タに重畳される画像欠陥の位置が自在に制御され、製品
としての光学フィルタの光学特性の劣化の発生を有効に
防止できる。又、本発明によれば、大量に製造される複
数の光学フィルタにおいて、発生するおそれのある欠陥
の位置をすべて同じ位置にそろえることができるので、
光学フィルタ間において生じる光学特性の個体差の発生
が防止され、製品品質の安定化が図れる。更に、本発明
によれば、1枚の透明基板から多数の光学フィルタが製
造可能で、安価なNDフィルタが提供できる。又、本発
明によれば、光学的欠陥の少ない安定した品質のNDフ
ィルタを安価に提供できる。又、本発明によれば、透過
光量を大きく減衰させる際に用いた場合にも、回折によ
る光学性能の低下の少ない光量調節装置を簡易且つ経済
的に提供できる。又、本発明によれば、高輝度の被写体
を撮影する際に、透過光量を大きく減衰させても回折に
よる光学性能の低下が少なく、且つボケた像の一様性を
損なわない撮影装置を簡易且つ経済的に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例で形成した複数の光学フ
ルタの配置状態を示す概略平面図である。
【図2】本発明で使用した微小液滴吐出装置の外観図で
ある。
【図3】図2の微小液滴吐出装置の要部構造図である。
【図4】図2の微小液滴吐出装置が有する記録ヘッドの
概略斜視図である。
【図5】図2の微小液滴吐出装置が有するノズルユニッ
トの断面図である。
【図6】本発明で使用した微小液滴吐出装置の制御回路
図である。
【図7】本発明で使用した微小液滴吐出装置の印刷工程
説明図である。
【図8】本発明の第1の実施例で行う光学フィルタの印
刷フロー図である。
【図9】本発明の製造方法で得られる光学フィルタの概
略平面図である。
【図10】本発明の光量調節装置の要部の概略平面図で
ある。
【図11】本発明の撮影装置の概略構成図である。
【図12】本発明の撮影装置で撮影された輝点のボケ像
を表わす図である。
【図13】本発明の製造方法によって形成した複数の光
学フルタの別の配置状態を示す概略平面図である。
【図14】本発明の製造方法によって形成した複数の光
学フルタの別の配置状態を示す概略平面図である。
【図15】本発明の製造方法で得られる他の光学フィル
タの概略平面図である。
【図16】本発明の第2の実施例における光学フィルタ
の製造原理図である。
【図17】本発明の第2の実施例で行う光学フィルタの
印刷フロー図である。
【図18】本発明の第2の実施例で形成した複数の光学
フルタの配置状態を示す概略平面図である。
【図19】微小液滴吐出装置において生じる印刷欠陥を
説明する模式図である。
【図20】微小液滴吐出装置において生じる印刷欠陥
と、該装置によって形成する光学フィルタの配置との関
係の説明図である。
【図21】光学フィルタの透過率分布と印刷欠陥の相対
位置を説明する図である。
【図22】光学フィルタの印刷欠陥とボケ像の関係を説
明する図である。
【符号の説明】
100、130、140、160、170、600、8
10:透明基板 101、131、141、151、152、153、1
54、161、171、811:NDフィルタ(色材
膜) 103、104、163、164、173、174、8
13、814:縞状の印刷欠陥 106:印刷可能領域 121、821:ボケ像 166:印刷可能領域 167:単位画像領域 201:微小液滴吐出装置 203:排紙部 211:プラテン 212:ピンチローラ 213:ラインフィードモータ 214:シートセンサ 215:ラインフィードモータ制御回路 221:ガイド軸 222:キャリッジモータ 223:ベルト 224:リニアエンコーダ 225:ホームポジションセンサ 226:キャリッジモータ制御回路 231:記録ヘッド 231a、231b、231c、231d:ノズルユニ
ット 232:ヘッドドライバ 233:記録データ処理回路 241:吐出口 242:インク室 243:ノズル 244:ヒータ 245:気泡 246:インク滴 251:CPU 252:走査スイッチ群 253:外部機器 300:光量調節装置(絞り装置) 301、302:絞り羽根 301a、302a:絞り羽根開口縁 301b、302b:スライド用ガイド孔 301c、302c:被駆動用ガイド孔 303:絞り羽根駆動レバー 303a:孔 303b、303c:突設ピン 305:絞り地板 305a:光路孔 305b:ガイドピン 400:撮影光学系 401:前玉レンズ群 402:バリエータレンズ群 403:フォーカシングレンズ群 404:光学ローパスフィルタ 411:撮像手段 421:表示器 422:操作スイッチ群 423:アクチュエータ 431:CPU 432:絞り駆動回路 441:アンプ回路 442:カメラ信号処理回路 443:レコーダ 800:シート状媒体 802:グレーパターン 813、814:縞状欠陥部 821:ボケ像
フロントページの続き (72)発明者 柏崎 昭夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 宮崎 健 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 八島 正孝 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA08 FA03 FA04 FA10 FB01 FB08 HA47 2H042 AA06 AA08 AA22

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録ヘッドを透明基板に対して主走査方
    向及びこれに直交する副走査方向に相対移動させながら
    色材を有する着色液を吐出し、上記透明基板上に所定の
    透過率を有した単位フィルタ部を複数形成する光学フィ
    ルタの製造方法において、上記単位フィルタ部を上記副
    走査方向に第1のピッチで複数個配列して印刷用の画像
    情報を生成する工程と、該画像情報を上記記録ヘッドの
    着色液の吐出パターン信号に変換する工程と、上記記録
    ヘッドと上記透明基板を主走査方向及び副走査方向に相
    対駆動しながら上記着色液を吐出して所定の単位領域の
    印刷を実行する工程と、上記単位領域の印刷を上記副走
    査方向に第2のピッチで繰り返し実行する工程とを有
    し、上記第1のピッチをP1、上記第2のピッチをP2
    としたときに、P1=n×P2(但し、nは1以上の整
    数)の関係を満足するものであることを特徴とする光学
    フィルタの製造方法。
  2. 【請求項2】 更に、前記所定の単位領域に対する前記
    単位フィルタ部の相対位置を調節する工程を有する請求
    項1に記載の光学フィルタの製造方法。
  3. 【請求項3】 記録ヘッドを透明基板に対して主走査方
    向及びこれに直交する副走査方向に相対移動させながら
    色材を有する着色液を吐出し、上記透明基板上に所定の
    透過率を有した単位フィルタ部を複数形成する光学フィ
    ルタの製造方法において、上記単位フィルタ部を少なく
    とも一つ含んだ単位画像情報を生成する工程と、該単位
    画像情報を上記記録ヘッドの着色液の吐出パターン信号
    に変換する工程と、上記記録ヘッドと上記透明基板を主
    走査方向及びこれに直交する副走査方向に相対駆動しな
    がら上記着色液を吐出して、上記着色液の吐出パターン
    信号に基づいた印刷を上記副走査方向に所定のピッチで
    複数回実行する工程とを有することを特徴とする光学フ
    ィルタの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記単位画像情報或いは前記着色液の吐
    出パターン信号の副走査方向の長さをL、前記所定のピ
    ッチをPとした場合、L≦Pの関係を満足するようにし
    た請求項3に記載の光学フィルタの製造方法。
  5. 【請求項5】 更に、前記単位画像情報の印刷領域に対
    する前記単位フィルタ部の相対位置を調節する工程を有
    する請求項3に記載の光学フィルタの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記色材は、可視光帯域における分光透
    過率が略一定である請求項1乃至5の何れか1項に記載
    の光学フィルタの製造方法。
  7. 【請求項7】 開口部を通過する光束の量を調節するた
    めの光量調節装置であって、請求項1乃至6の何れか1
    項に記載の製造方法で製作された光学フィルタと、該光
    学フィルタを備えた光量調節部材と、該光量調節部材を
    駆動する駆動手段を有し、上記光量調節部材の駆動量に
    応じて該開口部を通過する光束の透過量を調節するもの
    であることを特徴とする光量調節装置。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の光量調節装置と、被写
    体像を形成する撮影光学系と、該被写体像を光電変換す
    る撮像手段と、該光電変換された信号を記録する記録手
    段とを有し、上記光量調節装置が上記撮影光学系に配置
    されていることを特徴とする撮影装置。
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Cited By (2)

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