JP2003201121A - 層状マンガン酸化物系ナノ複合体の製造方法 - Google Patents
層状マンガン酸化物系ナノ複合体の製造方法Info
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Abstract
層状マンガン酸化物の層間にインターカレートしうる方
法を提供する。 【解決手段】 層状マンガン酸化物を水中で膨潤又は剥
離させてナノシートを形成させ、次いでこれにナノ粒子
形成物質を混合し、再配列させることにより層状マンガ
ン酸化物の層間にナノ粒子をインターカレートさせる。
Description
物を膨潤又は剥離させたナノシートが、水中で再配列す
る性質を利用して、その層間に各種のナノ粒子をインタ
ーカレートさせ、層状マンガン酸化物系ナノ複合体を製
造する方法に関するものである。
又は縮小させることにより、ゲスト分子をインターカレ
ーションすることはよく知られている。この際のインタ
ーカレーションの内容は、ゲスト分子の種類と、ホスト
化合物の構造に依存する。そして、溶媒のインターカレ
ーションを含む層間隔の拡大は膨潤と稱され、水分子を
含む膨潤の場合、ショートレンジの膨潤と、ロングレン
ジの膨潤の2種類の膨潤が存在する。このショートレン
ジの膨潤は層間に水和物層が形成されるもので粘土物質
その他多数の層状化合物で観察されており、これは水の
分子層の数の増加により段階的に層間隔が拡大するもの
である。また、ロングレンジの膨潤は、拡散二重層の形
成を伴うもので、浸透的な斥力に対し、静電的な誘引力
の変化をもたらす。
ナイトやスメクタイトのようなある種の粘土物質におい
て、層状酸化物が剥離してホスト化合物のシートを生じ
ることが知られている。そして、この剥離は、数種の層
状酸化物について、インターカレーションによって人工
的に行うことができる。このようにして、剥離されたコ
ロイド状のナノシートは、特異な光学特性や量子効果を
示すので、非常に注目されている。
レーションについても、これまで層状マンガン酸化物に
アルキルアンモニウムイオンをインターカレートして層
間隔を拡大する方法[「インオーガニック・ケミストリ
ー(Inorg.Chem.)」,第31巻,第116
5ページ(1992年)]、ケギン(Keggin)イ
オンすなわち[Al13O4(OH)24(H2O)12]7+を
ピラー前駆体として用いて層間隔を拡大したのち、有機
モノマーをインターカレートし、さらに重合させる方法
(同上)、ナトリウムバーネサイトにドデシルトリメチ
ルアンモニウムイオン又はテトラブチルアンモニウムイ
オンをインターカレートして、層間隔2.41nm又は
1.28nmの層状マンガン酸化物を得る方法[「ケミ
カル・コミュニケーション(Chem.Commu
n.)」,1997,第1031ページ]、層状バーネ
サイト型マンガン酸化物をテトラアルキルアンモニウム
ヒドロキシド水溶液中で処理して、テトラアルキルアン
モニウムイオンをインターカレートする方法[「ラング
ミュア(Langmuir)」,第16巻,第9号(2
000),第4154ページ]などが提案されている。
レーション方法では、煩雑な操作を必要とする上に、層
状マンガン酸化物の層間にインターカレートできるゲス
ト化合物が限られ、大きいイオンや分子を導入すること
が困難であるという欠点があった。
を必要とせずに、任意の化合物を層状マンガン酸化物の
層間にインターカレートしうる方法を提供することを目
的としてなされたものである。
ガン酸化物のインターカレーションについて種々研究を
重ねた結果、層状マンガン酸化物を剥離してナノシート
を形成させ、これを再配列する際に、ゲストとなるナノ
粒子を形成する物質を共存させることにより、任意のゲ
ストを層間にインターカレートした層状マンガン酸化物
の層間化合物が得られることを見出し、この知見に基づ
いて本発明をなすに至った。
を水中で膨潤又は剥離させてナノシートを形成させ、次
いでこれにナノ粒子形成物質を混合し、再配列させるこ
とにより層状マンガン酸化物の層間にナノ粒子をインタ
ーカレートさせることを特徴とする層状マンガン酸化物
系ナノ複合体の製造方法を提供するものである。
ガン酸化物を膨潤させ、又は剥離させることにより、そ
れを構成する層が個々に分れて生じるナノオーダーサイ
ズ、すなわち10-9mレベルのシートを意味し、ナノ粒
子とはナノオーダーサイズの無機又は有機の分子或いは
イオンからなる粒子を意味し、層状マンガン酸化物系ナ
ノ複合体とは、層状マンガン酸化物のナノオーダーサイ
ズの層間に、ナノオーダーサイズの粒子がインターカレ
ートされた複合体を意味する。
して用いる層状マンガン酸化物としては、層状構造を有
し、水溶液に対し溶解しないマンガン酸化物であればよ
く、特に制限はないが、安定な層状構造をとることがで
きるという点でバーネサイト、ブゼライトのような層状
マンガン酸化物が好ましい。
ってテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルア
ンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオ
ン、テトラブチルアンモニウムイオン、デシルトリメチ
ルアンモニウムイオン、ジデシルジメチルアンモニウム
イオンのようなテトラアルキルアンモニウムイオンをイ
ンターカレートし、その生成物を水洗し、乾燥すると、
層状マンガン酸化物が膨潤又は剥離したナノシートが得
られる。
配列させれば、対応するナノ粒子がナノサイズの層間に
インターカレートした層状マンガン酸化物系ナノ複合体
を製造することができる。この際用いるナノ粒子形成物
質は、水又はアルコールを溶媒とした溶液中でナノサイ
ズの分子又はイオンを形成するものであればよく、特に
制限はないが、特に溶液中でゾルを形成する金属の水酸
化物、酸化物、ヒドロ酸化物が好ましい。このようなも
のとしては、例えば、チタン、ジルコニウム、バナジウ
ム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、
亜鉛、アルミニウム及びアンチモンの水酸化物、酸化
物、ヒドロ酸化物を挙げることができる。
化物、酸化物を生成しうる化合物、例えば、ケイ素、チ
タン又はジルコニウムのテトラアルコキシドや、このテ
トラアルコキシドのアルコキシル基の一部がアルキル基
又はアミノアルキル基により置換されているものも用い
ることができる。このような化合物の具体例としては、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ
ブトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、
テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ
エトキシジルコニウムなどを挙げることができる。
う層状マンガン酸化物の膨潤又は剥離されたナノシート
の再配列は、該ナノシートとナノ粒子形成物質を混合
し、室温において1〜48時間、好ましくは5〜24時
間かきまぜ又は振りまぜたのち、固形物をろ別し、乾燥
させることによって行われる。この際の乾燥温度として
は、室温ないし50℃の範囲が選ばれるが、さらに高い
温度を用いてもよい。また、層状マンガン酸化物とその
層間にインカレートされるナノ粒子の割合としては、モ
ル比で50:1ないし1:5の範囲が選ばれる。
間に、例えば、チタニア、アルミナ、シリカのような無
機ナノ粒子やこれらのアミノアルキル化物をゲスト化合
物としてインターカレートした層状マンガン酸化物系ナ
ノ複合体を製造することができる。
物系ナノ複合体の中で、シリカのアミノアルキル化物を
ゲスト分子としたものは、文献未載の新規化合物であ
り、これを窒素雰囲気中又は空気中で加熱処理すると、
層間にあるゲスト分子が熱分解するとともに、層状酸化
物が相変化して、安定なマンガン酸化物多孔体を与え
る。
アルキル化物をインターカレートした層状マンガン酸化
物系ナノ複合体及びその加熱処理生成物は、高い伝導性
を有し、かつ安全性も高いので、リチウム二次電池材料
の正極活物質として好適である。
イオンを吸蔵、放出しうる物質であればよく、特に制限
はない。例えば、金属リチウム、リチウム−アルミニウ
ム、リチウム−水銀、リチウム−鉛、リチウム−スズ、
ウッド合金などのリチウム合金、ポリエチレン、グラフ
ァイトなどの炭素化合物とリチウムとの複合体などを挙
げることができる。
電池に使われたものであればよく、特に制限はない。例
えば、プロピレン−カーボネート(PC),2‐メチル
テトラヒドロフラン(2MeTHF)、ジオキソラン、
テトラヒドロフラン(THF)、1,2‐ジエトキシエ
タン(DEE)、エチレンカーボネート(EC)、γ‐
ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリ
ル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ニトロメタ
ンなどの非プロトン性有機溶媒の1種あるいは2種以上
とLiClO4、LiAlClO4、LiBF4、LiC
l、LiPF4、LiAsF6、CF3SO3Liなどのリ
チウム塩の1種或いは2種以上との組合せや、リチウム
イオンを伝導体とする有機又は無機の固体電解質などを
用いることができる。
するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるも
のではない。
27・9H2O)1gを0.35Mテトラメチルアンモニ
ウムヒドロキシド水溶液250ml中に浸し、7日間か
きまぜることにより、バーネサイトマンガン酸化物ナノ
シート懸濁液を調製した。次いで、これからナノシート
をろ別し、乾燥した。次に、ヘキシルアルコール(C6
H14OH)45mlとアミノプロピルトリメトキシシラ
ン[(CH3O)3SiC3H6NH2]9mlとの混合物
中に、前記のナノシート0.3gを加えて混合し、室温
で24時間振りまぜた。得られた反応混合物を遠心分離
し、固形分をエチルアルコール10mlずつで3回洗浄
したのち、室温で48時間乾燥した。このようにして得
た層状マンガン酸化物系ナノ複合体のX線回折チャート
を図1(a)に、また原料として用いたマンガン酸化物
のX線回折チャートを図1(b)に示す。これらの図よ
り層間隔0.72nmの原料が層間隔1.72nmのナ
ノ複合体に拡大していることが分る。また、このナノ複
合体の走査電子顕微鏡写真を図2に示す。これより、こ
のものが薄膜板状構造を有することが分る。さらに原子
吸光法で求めたこのもののSi/Mnのモル比は0.6
2、元素分析による全炭素、全窒素、全ケイ素の割合は
3.38:1.04:1であった。これらのデータか
ら、生成物はシリカ上にアミノプロピル基が結合した層
状マンガン酸化物ナノ複合体であると同定された。
ト0.1gを、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブ
ロミド[(C18H37)2(CH3)2NBr]0.79g
を溶解したエチルアルコール50mlの中へ加え、室温
で24時間振りまぜたのち、ろ過し、固形分をエチルア
ルコール5mlずつで3回洗浄し、次いで室温で48時
間乾燥した。このようにして得た高結晶性の層状マンガ
ン酸化物ナノ複合体のX線回折チャートを図3に示す。
これより層間隔が3.29nmに拡大したことが分る。
また、赤外分析及び熱分析の結果から、このものがジオ
クタデシルジメチルアンモニウムイオンがインターカレ
ートされていることが確認された。
0.1gをヘキシルアルコール20mlに懸濁し、かき
まぜながら、この中へジオクタデシルジメチルアンモニ
ウムブロミド[(C18H37)2(CH3)2NBr]0.
175gとチタン(IV)テトラブトキシド[Ti(O
C4H9)4]1.15gとを加え、室温で24時間振り
まぜたのち、ろ過し、固形分をエチルアルコール5ml
ずつで3回洗浄後、室温で48時間乾燥した。このよう
にして、層間隔2.23nmのチタン酸化物をインター
カレートした層状マンガン酸化物ナノ複合体を得た。こ
のものは、400℃に加熱しても、層状構造は安定であ
った。
質量部にアセチレンブラック20質量部及びテフロン
(登録商標)バインダ10質量部を加え、フィルム状に
成形したものを正極とし、リチウム金属を負極とし、か
つエチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの
質量比1:2の混合物中に1M濃度でLiPF6を含有
させた電解質を用いてコイン型リチウム二次電池を作製
した。このものに対し、0.2mA/cm2の電流を
4.2〜1.2Vの間で充放電したときの充放電曲線を
図4に示す。この図から分るように、容量は130mA
h/g−MnO2と高く、より安定なサイクル特性を示
す。このことより、シリカ−マンガン酸化物ナノ複合体
はシリカのインターカレーションによりバーネサイトマ
ンガン酸化物が安定され、充放電特性も安定化している
ことが分る。
きなかった大きいイオンや分子を層状マンガン酸化物に
簡単な操作でインターカレートすることができ、これに
よって、リチウム電池の正極活物質として好適な、アミ
ノアルキル基を結合したシリカをインターカレートした
新規な層状マンガン酸化物系ナノ複合体を得ることがで
きる。
(a)とその原料(b)とのX線回折チャート。
の走査電子顕微鏡写真図。
のX線回折チャート。
として用いたリチウム二次電池の充放電曲線。
Claims (3)
- 【請求項1】 層状マンガン酸化物を水中で膨潤又は剥
離させてナノシートを形成させ、次いでこれにナノ粒子
形成物質を混合し、再配列させることにより層状マンガ
ン酸化物の層間にナノ粒子をインターカレートさせるこ
とを特徴とする層状マンガン酸化物系ナノ複合体の製造
方法。 - 【請求項2】 ナノ粒子形成物質がチタン、ジルコニウ
ム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニ
ッケル、銅、亜鉛、アルミニウム及びアンチモンの中か
ら選ばれた少なくとも1種の金属の水酸化物又は酸化物
である請求項1記載の層状マンガン酸化物系ナノ複合体
の製造方法。 - 【請求項3】 ナノ粒子形成物質がアミノアルキルトリ
アルコキシシランである請求項1記載の層状マンガン酸
化物系ナノ複合体の製造方法。
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JP2001398510A JP3911559B2 (ja) | 2001-12-27 | 2001-12-27 | 層状マンガン酸化物系ナノ複合体の製造方法 |
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