JP2003253464A - 非クロム系化成処理鋼板のノンクロム処理 - Google Patents
非クロム系化成処理鋼板のノンクロム処理Info
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- Chemical Treatment Of Metals (AREA)
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Abstract
と上塗り塗装性を発揮できるノンクロム型皮膜を、りん
酸亜鉛処理を施した亜鉛系めっき鋼板の表面に安価に形
成する。 【解決手段】 下記一般式(1) で示される反復単位を有
する重合体分子からなる水溶性樹脂(a) と、チタン化合
物およびジルコニウム化合物の少なくとも一方(b) とを
含有し、さらにシランカップリング剤(c) を含有してい
てもよい、クロムを含有しない、pH 2.0〜6.5 の水溶液
からなる処理液を塗布し、50〜200 ℃で乾燥して皮膜を
形成する。 【化7】 式中、Y1およびY2は、それぞれ独立して、水素原子、ま
たは下記式(2) もしくは(3) で表されるZ基を意味し、 【化8】 式(2) および(3) 中のR1、R2、R3、R4およびR5は、それ
ぞれ独立して、水素原子、C1〜C10 アルキル基またはC1
〜C10 ヒドロキシアルキル基を表し、前記重合体分子中
のベンゼン環当たりの前記Z基の平均置換数は 0.2〜1.
0 である。
Description
盤、電話交換機パネル、自動車部品、建材などに使用さ
れる素材として好適な、例えば、りん酸亜鉛処理等の非
クロム系化成処理が施されたノンクロム処理鋼板に関す
る。本発明はまた、そのためのクロムを含有しない処理
液と、それを使用して表面処理した、ノンクロム処理鋼
板の製造方法にも関する。
化成処理としては、りん酸塩処理、特にりん酸亜鉛処理
を例にとって本発明を説明する。しかし、りん酸塩以外
の他の非クロム系化成処理に対しても、本発明を適用す
ることができる。
保する目的と、塗装下地処理として使用されることが多
い。その場合、りん酸亜鉛処理だけでは、耐食性が不足
することから、十分な耐食性を確保する目的で、りん酸
亜鉛処理した後にクロメート皮膜を設けることが一般的
である。しかし、クロメート皮膜は、有害な6価クロム
を含有しており、近年は環境への配慮から、クロメート
皮膜中の6価クロムの量を低減する試みが多くなされて
いる。
が、クロメート皮膜を利用する限り問題を完全には解決
できない。そこで、最近では、クロムそれ自体を含まな
いノンクロム型の皮膜によって、クロメート皮膜と同等
もしくはそれ以上の耐食性の向上効果を発揮させようと
する試みがなされるようになった。
く使用しない処理として、特許文献1に、亜鉛系めっき
鋼板上にりん酸塩処理皮膜を備え、その上に、有機樹脂
とチオカルボニル基含有化合物を含むか、またはバナジ
ン酸化合物を含む非クロム型皮膜を備えた亜鉛系めっき
鋼板が提案されている。
Al系のめっき鋼板表面に、Niを1〜20 mg/m2析出させ、
および/またはりん酸塩皮膜を 0.2〜3 g/m2生成させ、
その上に非クロム系防錆顔料10〜60質量%を含む下塗り
塗膜、および上塗り塗膜を順次形成する非クロム系塗装
金属板が提案されている。
鉛系めっき鋼板を母材とするノンクロム型の表面処理鋼
板は、耐食性が不十分であったり、コストが高く、更な
る改善が求められている。
性官能基を有するシランカップリング剤成分とヒドロキ
シスチレン化合物構造の水溶性重合体とからなる第1層
と、その上の第2層として、シリカを含有する樹脂皮膜
とを形成した有機複合被覆金属材料が記載されている。
しかし、この表面処理では、十分な耐食性や上塗り塗装
性を確保するには、第1層と第2層の別々の塗布および
焼付き作業(2コート・2ベーク)が必要となり、作業
工程が非常に煩雑となる。この公報に従来技術として説
明されているように、第1層に使用する水溶性重合体
は、それ単独ではクロメートに匹敵するような優れた耐
食性を付与することができないため、第2層のシリカ含
有樹脂皮膜が必要であった。
使用せずに、クロメート皮膜に匹敵し得るか、それを凌
ぐような耐食性を付与することができ、かつ上塗り塗装
性も良好な皮膜を1回の塗布で形成できる、りん酸塩処
理した亜鉛系めっき鋼板の表面処理液は現状では開発さ
れていない。
非クロム系化成処理鋼板に適用した場合に、クロメート
皮膜の代替となりうる優れた優れた性能(耐食性、上塗
り塗装性)を発揮できる、クロムを含まない皮膜を備え
た、ノンクロム処理鋼板と、その製造方法およびそのた
めの処理液を安価な手段で提供することである。
ロメート皮膜と同等以上の性能を有する皮膜を、クロム
を全く含有しない処理液により形成可能とするため、処
理液の組成について鋭意検討した。
性樹脂とチタン化合物およびジルコニウム化合物の少な
くとも一方とを含有する処理液により形成できることを
確認した。また、さらに優れた性能を発揮させるには、
上記成分に加えてシランカップリング剤を使用すること
が有効であることも見出して、本発明を完成した。
単位を有する、平均重合度2〜50の重合体分子からなる
水溶性樹脂(a) と、チタン化合物およびジルコニウム化
合物の少なくとも一方(b) とを含有し、クロムを含有し
ない、pH 2.0〜6.5 の水溶液からなる、非クロム系化成
処理鋼板を表面処理するための処理液である。
水素原子、または下記式(2) もしくは(3) で表されるZ
基を意味し
びR5は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10 アルキ
ル基またはC1〜C10 ヒドロキシアルキル基を表し、前記
重合体分子中のベンゼン環当たりの前記Z基の平均置換
数は 0.2〜1.0 である。
ポキシ基、ビニル基、メルカプト基およびメタクリロキ
シ基から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する1種
以上のシランカップリング剤(c) を、(a) との合計量に
対して10〜90質量%の量でさらに含有していてもよい。
チタン化合物およびジルコニウム化合物(b) の合計量
は、処理液1kg当たり0.0010モル以上の量とすることが
好ましい。
成処理鋼板の表面に、上記処理液から形成された乾燥皮
膜を有することを特徴とする、ノンクロム処理鋼板であ
る。乾燥皮膜の付着量は好ましくは10〜1000 mg/m2の範
囲内である。
めっき鋼板に非クロム系化成処理を施し、得られた非ク
ロム系化成処理鋼板の表面に上記処理液を塗布し、次い
で乾燥を行うことを特徴とする、ノンクロム処理鋼板の
製造方法である。乾燥は50〜200 ℃の温度で行うことが
好ましい。
する。本明細書において組成等の割合を示す「%」は、
特にことわりがない限り「質量%」である。
示される反復単位を有する重合体分子からなる水溶性樹
脂(a) を含有する。この水溶性樹脂(a) は、平均重合度
(n)が2〜50のオリゴマーまたはポリマーである。
るY1およびY2は、それぞれ独立して、水素原子、または
下記式(2) もしくは(3) により表されるZ基を意味す
る。
びR5は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10 のアル
キル基またはC1からC10 のヒドロキシアルキル基を表
し、前記重合体分子中のベンゼン環当たりの前記Z基の
平均置換数は 0.2〜1.0 である。
11以上になると、処理液の成膜性が低下するため、処理
した亜鉛系めっき鋼板の耐食性、上塗り塗装性が不十分
になる。この置換基の炭素数は、好ましくは1〜6、よ
り好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2である。
2 未満であると、樹脂の基体表面への密着性が不十分と
なり、塗装性が悪くなる。また、この平均置換数が1.0
を越える (即ち、平均して各ベンゼン環に1個より多い
Z基が置換する) と、樹脂の親水性が大きくなりすぎ、
処理した亜鉛系めっき鋼板の耐食性が不十分となる。平
均置換数は、好ましくは 0.3〜0.7 である。置換基が式
(3) で示されるイオン性のアンモニウム基である場合に
は、平均置換数は0.5 未満とすることが好ましい。
も開示されているが、この特許文献では第1層皮膜の形
成材料として該樹脂を利用するにすぎない。この第1層
皮膜の上に、シリカを含有する水不溶性の樹脂皮膜を形
成するツーコート・ツーベークで、耐食性や上塗り塗装
性を確保している。従って、この水溶性樹脂を含む皮膜
だけでは耐食性や上塗り塗装性は不十分である。
に、チタン化合物およびジルコニウム化合物の少なくと
も一方と、好ましくはさらに官能基を含有するシランカ
ップリング剤とを添加した処理液とすることにより、こ
の処理液から形成した皮膜のみ(つまり、ワンコート・
ワンベーク)で、耐食性や上塗り塗装性がクロメート皮
膜なみに優れた皮膜を形成することができる。上記水溶
性樹脂は、乾燥すると水不溶性になる。
(b) は、主に耐食性の改善のために添加する。使用でき
るチタン化合物としては、たとえば硫酸チタン、オキシ
硫酸チタン、チタンフッ化水素酸、チタンフッ化アンモ
ニウムなどの水溶性無機チタン化合物、しゅう酸チタン
カリウム、クエン酸チタンなどの有機酸チタン塩、さら
にはチタンアルコキシドなどが挙げられる。また、チタ
ネート系カップリング剤もチタン化合物として使用でき
る。ジルコニウム化合物としては、硫酸ジルコニウム、
オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、ジルコン
フッ化水素酸、ジルコンフッ化アンモニウムなどの水溶
性無機ジルコニウム化合物や、プロピオン酸ジルコニウ
ムのほか、酢酸ジルコニウムなどの有機酸ジルコニウム
塩や、ジルコニウムアルコキシド、ジルコネート系カッ
プリング剤などが挙げられる。
(b) の合計量は、処理液1kgあたり、0.0010モル以上の
量とすることが好ましい。チタン化合物およびジルコニ
ウム化合物(b) の合計量が0.0010モル未満では、その添
加効果が発現せず、処理した亜鉛系めっき鋼板の耐食性
が不十分となる。チタン化合物およびジルコニウム化合
物(b) の合計量の上限は特に制限されないが、多すぎて
も効果が飽和するため、通常は処理液1kg当たり0.1 モ
ル以下とすることが好ましい。チタン化合物およびジル
コニウム化合物(b) のより好ましい合計量は、処理液1
kg当たり0.0050〜0.050 モルである。
改善のため、シランカップリング剤(c) をさらに含有し
ていてもよい。シランカップリング剤(c) は、1分子中
に反応性官能基として活性水素含有アミノ基、エポキシ
基、ビニル基、メルカプト基およびメタクリロキシ基か
ら選ばれた少なくとも1の官能基を含むものであればよ
く、特に構造は限定されないが、具体的に例を挙げれば
以下の〜のような組成のものを使用することができ
る。
チル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2
-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン; エポキシ基を有するもの:3-グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロへキシル)エチ
ルトリメトキシシラン; ビニル基を有するもの:ビニルトリエトキシシラン; メルカプト基を有するもの:3-メルカプトプロピルト
リメトキシシラン; メタクリロキシ基を有するもの:3-メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピル
メチルジメトキシシラン。
は、1以上の活性水素含有アミノ基またはメルカプト基
を有する1種以上のシランカップリング剤(ア) と、1以
上のエポキシ基を有する1種以上のシランカップリング
剤(イ) との混合物であることが好ましい。その場合、
(ア) と(イ) の2種類のシランカップリング剤の配合割合
は、シランカップリング剤混合物中に含まれる活性水素
含有アミノ基またはメルカプ基のエポキシ基に対する当
量比が3:1〜1:3の範囲となるようにすることが好
ましい。この当量比が3:1〜1:3の範囲外である場
合、処理液の成膜性が悪く、処理した亜鉛系めっき鋼板
の耐食性、上塗り塗装性が不十分になることがある。
合、水溶性樹脂(a) との合計量に対するシランカップリ
ング剤(c) の含有量が10%〜90%となる割合とすること
が好ましく、より好ましくは20%〜50%である。シラン
カップリング剤(c) の含有量が10%より少ない場合、皮
膜の基体表面との接着力が低下するため、耐食性、塗装
性が不十分になることがある。逆に、シランカップリン
グ剤(c) の含有量が90%より多いと、処理液の成膜性が
低下し、処理した亜鉛系めっき鋼板の耐食性、上塗り塗
装性が不十分となることがある。
る。pHが2.0 より小さい処理液は、基体表面との反応性
が過度に高くなり、被覆不良が発生して、処理した亜鉛
系めっき鋼板の耐食性、塗装性、加工性などが不十分に
なる。処理液のpHが6.5 を越えると、水溶性樹脂(a) 自
体が処理液中から沈殿析出し易くなるため、処理液の寿
命が短くなる。処理液pHは好ましくは 3.0〜6.0 、より
好ましくは 3.5〜5.5の範囲内である。処理液のpHは、
必要であれば、適当な酸または塩基を添加して調整する
ことができる。酸として、りん酸、酢酸、硝酸等を使用
することが好ましく、塩基としてはアンモニア水を使用
することが好ましい。
いる水溶液であるが、溶媒の一部としてアルコール等の
水混和性有機溶媒を溶媒の5質量%程度までの量で使用
することは可能である。
た亜鉛系めっき鋼板に対して使用される。即ち、亜鉛系
めっき鋼板に、りん酸亜鉛処理または他の非クロム系化
成処理をまず施し、得られた非クロム系化成処理鋼板に
上記処理液を塗布し、乾燥して、処理液の乾燥皮膜を形
成する。
き鋼板または亜鉛合金めっき鋼板でよい。めっきとして
は、例えば、溶融亜鉛めっき、溶融Zn−5%Alもしくは
Zn−55%Al亜鉛合金めっき、合金化溶融亜鉛めっき、電
気亜鉛めっき、電気Zn−Ni合金めっき等を使用すること
ができる。めっき付着量も特に制限されず、通常の範囲
(例、10〜100 g/m2) でよい。上層が亜鉛系めっきであ
れば、複層めっき鋼板も使用できる。亜鉛系めっき鋼板
が両面めっきである場合、両面のめっき面を本発明の処
理液で処理することが好ましいが、片面だけを処理する
ことも可能である。
を施す前に、当業者に周知の適当な前処理を施して、表
面を清浄にしておくことが好ましい。例えば、前処理と
して、亜鉛系めっき鋼板の表面を脱脂および水洗するこ
とができる。
ないが、好ましいのは塗装性の改善効果が大きいりん酸
塩化成処理、特にりん酸亜鉛化成処理である。りん酸亜
鉛化成処理は、適当な添加剤を含有する市販品を使って
処理してもよい。例えば、亜鉛系めっき鋼板の表面に、
脱脂、水洗等の前処理を行い、次いで予備処理としてPL
-Z (表面調整剤、日本パーカライジング) 製などの表面
活性化処理を行って、市販の化成処理液または調製した
化成処理液に適宜の温度 (例、45〜65℃) で浸漬する。
化成処理は、スプレー等の方法で実施することもでき
る。りん酸亜鉛の付着量は、特に制限されるものではな
いが、通常は1〜10 g/m2程度である。
ン等の他のりん酸塩処理を利用することも可能である。
また、公知もしくは今後開発される、りん酸塩処理以外
の非クロム系の無機質化成処理を利用することもでき
る。
本発明の処理液を塗布する。この場合、りん酸亜鉛処理
後に乾燥する必要はなく、好ましくは水洗だけを行った
後、本発明の処理液を直ちに塗布する。もちろん、水洗
後にいったん乾燥を行ってから、本発明に係る処理液を
塗布することも可能である。
ー法、浸漬法など、任意の適当な方法で行うことができ
る。塗布は0〜50℃程度の温度で行うことが好ましい。
塗布後に乾燥を行う。本発明で使用する水溶性樹脂(a)
は、乾燥 (即ち、水の蒸発)だけで皮膜を形成できる。
短時間で乾燥させるために、乾燥は50〜200 ℃の温度
(到達板温度)で行うことが好ましい。好ましい乾燥温
度は水の沸点である100℃である。
上に、樹脂(a) とチタン化合物およびジルコニウム化合
物の少なくとも一方(b) と場合によりシランカップリン
グ剤(c) を含有する皮膜が、りん酸亜鉛皮膜の表面を覆
うように形成される。チタン化合物およびジルコニウム
化合物(b) は、皮膜の耐食性の向上に寄与する。シラン
カップリング剤がさらに存在すると耐食性はさらに改善
される。
ウム化合物はその一方だけを添加してもよく、両者を併
用してもよい。両者を比較すると、耐食性に及ぼす影響
はほぼ同等であるが、チタン化合物を使用すると、形成
された皮膜がわずかながら黄色味を帯びるようになる。
無色の皮膜が要求される場合には、ジルコニウム化合物
のみを使用するか、もしくはできるだけジルコニウム化
合物のチタン化合物に対する割合を大きくすることが望
ましい。
付着量は特に制限されないが、好ましくは10〜1000 mg/
m2、より好ましくは20〜200 mg/m2 の範囲内である。り
ん酸亜鉛皮膜は多孔質であるため、耐食性が不十分であ
るが、その上に本発明の処理液の乾燥皮膜を形成するこ
とにより、従来のクロメート皮膜に匹敵するか、それを
超えるすぐれた耐食性を母材に付与することができ、か
つ上塗り塗装性も十分であるが、従来のノンロム型皮膜
に比べて、安価である。
ム処理鋼板は、下から順に、亜鉛系めっき皮膜、りん酸
亜鉛皮膜(または他の非クロム系化成処理皮膜)および
本発明の処理液の乾燥皮膜の3層の皮膜を備える。この
3層の皮膜は、鋼板の両面に形成することが好ましい
が、片面だけ(例、塗装が施される面だけ)に形成して
もよい。片面の場合、反対側の面の被覆は特に制限され
ず、めっきのまま、非クロム系化成処理のまま、あるい
は他の適当な処理(例、固体潤滑処理)を施した面とす
ることができる。
使用してもよいが、通常は、成形前または成形後に適当
な塗装手段 (例、カチオン電着塗装) により塗装を行っ
てから製品とされる。
較例を用いて、具体的に例証する。これらの実施例は本
発明の例示のために記載するものであり、本発明を何ら
限定するものではない。
て使用した。なお、供試材のサイズは 200×300 mmであ
る: 電気亜鉛めっき鋼板 (EG) 、板厚0.8 mm、目付量=20/2
0 (g/m2) 溶融亜鉛めっき鋼板 (GI) 、板厚0.8 mm、目付量=60/6
0 (g/m2)。
脱脂剤のファインクリーナー4336 (登録商標: 日本パー
カライジング製)の濃度20 g/lの溶液を用いて、温度60
℃で2分間スプレーすることにより脱脂処理し、水道水
で水洗して、前処理を行った。その後、通常のチタンコ
ロイド系表面調整剤プレバレンZ(日本パーカライジン
グ製)を1g/L に希釈した水溶液に、室温で10秒間浸漬
することにより表面調整を行い、次いでりん酸亜鉛処理
液パルボンド3312(日本パーカライジング製)を55 g/L
に希釈した水溶液に、温度50℃で5〜8秒間浸漬するこ
とにより、りん酸亜鉛処理を行った。このときのりん酸
亜鉛皮膜量は2〜3g/m2であった。りん酸亜鉛処理した
後、水洗だけを行って、乾燥せずに、次の表面処理を実
施した。
試材の片面に、表1に記載の内容の処理液を、室温でバ
ーコートすることにより塗布し、オーブン中で乾燥を30
秒間行い、乾燥皮膜を形成した。皮膜の付着量はバーコ
ーターの間隙により調整した。実際の皮膜付着量は重量
法により測定した。表1のNo.7の処理液は、樹脂を含有
しておらず、チタン化合物(b) およびシランカップリン
グ剤(c)だけを含有する処理液である。表1の処理液No.
1〜6 が本発明に従った処理液であり、残りは比較用の
処理液である。
膜付着量および乾燥温度 (到達板温度) をまとめて示
す。得られたノンクロム処理鋼板について、下記方法に
より耐食性と上塗り密着性を評価した。試験の評価基準
は、どの試験でも○までが許容水準である。試験結果も
表2に併せて示す。参考のために、標準的な反応型クロ
メート皮膜を実施した場合の結果も併せて示す。
テープシールした後、上記処理液を塗布した面に、JIS-
Z-2371による塩水噴霧試験を72時間行い、白錆発生状況
を観察し、下記基準により評価を行った。
を含有する材料との表面外観 (黄色味) について比較し
たところ、目視では、それぞれ単独では判別しづらい
が、並べて比較すると認識される程度に、Ti含有材の方
がわずかであるが黄色味が高かった。
アルキッド系塗料(登録商標:グリミン、神東塗料社
製)を、焼き付け乾燥後の膜厚が25μm になるように塗
布し、120 ℃で30分間焼き付けた。焼き付け後、80℃温
水中に3時間浸漬した。その後、24時間放置した試験片
を用い、1mm間隔の碁盤目を100 個描画してから、セロ
テープ(登録商標)により塗膜を剥離し、下記基準によ
り評価を行った。
液を用いた試験No.1〜13では、耐食性、上塗り塗装性の
何れも良好であった。一方、本発明の範囲外である処理
液を用いた試験No. 15〜17では、耐食性と上塗り塗装性
のどちらも良好の性能を示すものはなく、中には表面処
理を実施しない試験No. 13と全く同じ結果ものもあっ
た。試験No.18 は、皮膜中に水分が残存している未乾燥
の皮膜であり、表面処理の効果は全くなかった。
す影響を調べるため、シランカップリング剤(c) につい
ては成分と配合量が同じであるが、成分(b) としてチタ
ン化合物を含有する処理液No.5とジルコニウム化合物を
含有する処理液No.6をそれぞれ用いて表面処理を行った
場合を比較した。具体的には、表2の試験No.9とNo.13
(母材GI) 、または試験No.10 とNo.11(母材EG) の各試
験片の表面色調を目視で観察した。
試験片を単独で観察した場合には判断しづらかったが、
2つの試験片を並べて観察した時に、チタン化合物を含
有するNo.9の皮膜の方がわずかであるが黄色味が高かっ
た。
などの非クロム系化成処理を施した亜鉛系めっき鋼板に
本発明のクロムを含まない処理液を塗布し乾燥すること
により、耐食性と上塗り塗装性に優れた、クロムを含有
しないノンクロム処理鋼板を得ることができる。本発明
は、環境保全やリサイクル性などの社会問題に対する対
策案として、極めて有効でかつ実用上の効果も大きい。
Claims (7)
- 【請求項1】 下記一般式(1) で示される反復単位を有
する、平均重合度2〜50の重合体分子からなる水溶性樹
脂(a) と、チタン化合物およびジルコニウム化合物の少
なくとも一方(b) とを含有し、クロムを含有しない、pH
2.0〜6.5 の水溶液からなる、非クロム系化成処理鋼板
を表面処理するための処理液。 【化1】 式中、Y1およびY2は、それぞれ独立して、水素原子、ま
たは下記式(2) もしくは(3) で表されるZ基を意味し 【化2】 式(2) および(3) 中のR1、R2、R3、R4およびR5は、それ
ぞれ独立して、水素原子、C1〜C10 アルキル基またはC1
〜C10 ヒドロキシアルキル基を表し、 前記重合体分子中のベンゼン環当たりの前記Z基の平均
置換数は 0.2〜1.0 である。 - 【請求項2】 活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビ
ニル基、メルカプト基およびメタクリロキシ基から選ば
れた少なくとも1つの官能基を有する1種以上のシラン
カップリング剤(c) を、(a) との合計量に対して10〜90
質量%の量でさらに含有する、請求項1記載の処理液。 - 【請求項3】 チタン化合物およびジルコニウム化合物
(b) の合計量が処理液1kg当たり0.0010モル以上であ
る、請求項1または2記載の処理液。 - 【請求項4】 非クロム系化成処理が施された亜鉛系め
っき鋼板の表面に、請求項1〜3のいずれかに記載の処
理液から形成された乾燥皮膜を有することを特徴とす
る、ノンクロム処理鋼板。 - 【請求項5】 前記乾燥皮膜の付着量が10〜1000 mg/m2
の範囲内である、請求項4記載のノンクロム処理鋼板。 - 【請求項6】 亜鉛系めっき鋼板に非クロム系化成処理
を施し、得られた非クロム系化成処理鋼板の表面に請求
項1〜3のいずれかに記載の処理液を塗布し、次いで乾
燥を行うことを特徴とするノンクロム処理鋼板の製造方
法。 - 【請求項7】 乾燥を50〜200 ℃の温度で行う、請求項
6記載の方法。
Priority Applications (1)
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