JP2003252138A - 歩行者用エアバッグ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】展開膨張したエアバッグが、フロントピラーの
前面に押し付けられるように配設されて、フロントピラ
ーを的確に覆い可能な歩行者用エアバッグ装置を提供す
ること。 【解決手段】歩行者用エアバッグ装置Ｍは、膨張用ガス
の流入時、車両Ｖのフードパネル３とフロントガラス５
との間から膨出して、フロントピラー７Ｌ・７Ｒの前面
を覆い可能なエアバッグ４５、を備える。エアバッグ４
５は、フロントピラー７Ｌ・７Ｒの前面を覆い可能に展
開膨張するピラーカバー部４６Ｌ・４６Ｒと、ピラーカ
バー部４６Ｌ・４６Ｒと連通し、フードパネル３の上面
３ｄに支持されるように展開膨張するフードカバー部４
７Ｌ・４７Ｒと、を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エアバッグが、膨
張用ガスの流入時、車両のフードパネルとフロントガラ
スとの間から膨出して、フロントピラーの前面を覆う歩
行者用エアバッグ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術とその課題】従来、歩行者用エアバッグ装
置としては、特開２０００−２６４１４６に記載されて
いるように、エアバッグが、車両のフードパネルとフロ
ントガラスとの間に、折り畳まれて収納され、膨張用ガ
スの流入時、車両のフードパネルとフロントガラスとの
間から膨出して、車両の固い部分となるフロントピラー
の前面を覆うように、構成されていた。

【０００３】さらに、従来の歩行者用エアバッグ装置で
は、展開膨張時のエアバッグが、フードパネルに緩衝作
用を付与するように、フードパネルの後端を押し上げて
支持し、かつ、固いフロントピラーの前面を覆うよう
に、フードパネルの下面側から斜め後上方向に延びて、
膨張を完了させていた。

【０００４】しかし、従来装置では、膨張完了時のエア
バッグの下端側が、フードパネルの後端の下面側に押し
付けられる態様であって、エアバッグの下端側の下方へ
の押し付けにより、エアバッグが、上端側をフロントピ
ラーの前面側から離すように、浮き上がってしまい、膨
張を完了させたエアバッグによってフロントピラーの前
面を的確に覆う点に、改善の余地があった。

【０００５】本発明は、上述の課題を解決するものであ
り、展開膨張したエアバッグが、フロントピラーの前面
に押し付けられるように配設されて、フロントピラーを
的確に覆い可能な歩行者用エアバッグ装置を提供するこ
とを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係る歩行者用エ
アバッグ装置は、膨張用ガスの流入時、車両のフードパ
ネルとフロントガラスとの間から膨出して、フロントピ
ラーの前面を覆い可能なエアバッグ、を備えた歩行者用
エアバッグ装置であって、前記エアバッグが、前記フロ
ントピラーの前面を覆い可能に展開膨張するピラーカバ
ー部と、該ピラーカバー部と連通し、前記フードパネル
の上面に支持されるように展開膨張するフードカバー部
と、を備えて構成されていることを特徴とする。

【０００７】そして、前記フードカバー部は、前記フー
ドパネルの後端側における車両左右方向の縁付近を覆い
可能に、配設させることが望ましい。

【０００８】さらに、前記エアバッグの展開膨張時、前
記ピラーカバー部が前記フロントピラーの前面を覆い可
能に、前記ピラーカバー部を収納部位から車両後方側へ
突出させ、かつ、前記フードカバー部が前記フードパネ
ルの上面を覆い可能に、前記フードカバー部を収納部位
から車両前方側に突出させる展開案内手段を、配設させ
ることが望ましい。

【０００９】

【発明の効果】本発明に係る歩行者用エアバッグ装置で
は、エアバッグが展開膨張を完了させれば、ピラーカバ
ー部が、フロントピラーの前面を覆い、フードカバー部
が、フードパネルの上面を覆うこととなる。

【００１０】そして、フードカバー部は、フードパネル
の上面に当接して支持されることから、フードカバー部
と連通しているピラーカバー部は、フードカバー部によ
って、ピラーカバー部の上端側が、ピラーカバー部の下
端側を回転中心として、フロントピラーの前面に圧接さ
れるようなモーメントを受ける。その結果、ピラーカバ
ー部は、フロントピラーの前面に圧接されるように、安
定して配設されることとなる。

【００１１】したがって、本発明に係る歩行者用エアバ
ッグ装置では、エアバッグが、フロントピラーの前面に
押し付けられるように展開膨張して、フロントピラーの
前面を的確に覆うことができる。

【００１２】そして、請求項２のように構成する場合に
は、エアバッグが展開膨張を完了させれば、フードカバ
ー部が、フードパネルの後端側における車両左右方向の
縁付近、すなわち、フロントピラーの直下付近を覆うこ
とから、ピラーカバー部は、フードカバー部によって、
直接的に、フロントピラーの前面側に押し付けられるモ
ーメントを受け易く、一層、安定してフロントピラーの
前面を覆うことができる。また、フードカバー部が覆う
フードパネルの部位には、開き可能にフードパネルを支
持するための固い部品のヒンジが配設されていることか
ら、フードカバー部が、フードパネル側の固い部品か
ら、歩行者を、適切に保護することもできる。

【００１３】さらに、請求項３のように構成する場合に
は、エアバッグの展開膨張時、ピラーカバー部とフード
カバー部とが、展開案内手段により、それぞれ、フロン
トピラーの前面側とフードパネルの上面側とに案内され
て、展開膨張することから、折り畳まれたエアバッグ
が、フードパネルとフロントガラスとの間の収納部位に
収納されていても、ピラーカバー部が、収納部位から車
両後方側のフロントピラーの前面側に、円滑に展開し、
かつ、フードカバー部が、収納部位から車両前方側のフ
ードパネルの上面側に、円滑に展開することができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。なお、本明細書では、前後の方向
は、車両の前後方向に沿う方向を基準とし、左右の方向
は、車両の前方側から後方側を見た際の左右の方向に沿
う方向を基準とする。

【００１５】実施形態の歩行者用エアバッグ装置Ｍは、
図１〜４に示すように、エアバッグ４５、エアバッグ４
５に膨張用ガスを供給するインフレーター４０、折り畳
まれたエアバッグ４５とインフレーター４０とを収納す
るケース３４、及び、折り畳まれたエアバッグ４５を覆
うエアバッグカバー１８、を備えて構成され、車両Ｖの
フードパネル３とフロントガラス５との間のカウル１２
の部位に配設されている。

【００１６】そして、実施形態の場合、エアバッグカバ
ー１８は、車両Ｖのボディ１側のカウルパネル１３の上
方に配設されるカウルルーバから構成されて、ケース３
４が、カウルパネル１３に固定されている。

【００１７】なお、カウル１２は、ボディ１側の剛性の
高いカウルパネル１３と、カウルパネル１３の上方のカ
ウルルーバ１８と、を備えて構成されている。

【００１８】また、車両Ｖには、フロントバンパ９に、
歩行者との衝突を検知可能なセンサ１０が配設され、図
示しないエアバッグ作動回路が、歩行者との衝突を検知
した信号をセンサ１０から入力させた際、インフレータ
ー４０を作動させて、エアバッグ４５を展開膨張させる
ように、構成されている。

【００１９】また、カウルパネル１３は、図例の場合、
三枚の鋼板からなるパネル材１４・１５・１６を溶接さ
せて構成されるとともに、カウルルーバ１８側から流入
するエアＡを室内側に導く流路１３ａと、カウルルーバ
１８側から流入する雨水を車両Ｖの左右両縁から滴下さ
せる流路１３ｂと、を配設させて構成されている。

【００２０】エアバッグカバーとしてのカウルルーバ１
８は、合成樹脂製として、図２〜５に示すように、フー
ドパネル３の後端３ａとフロントガラス５との間の三日
月状のスペースに、車両Ｖの左右両縁付近まで延びるよ
うに配設されている。そして、カウルルーバ１８は、略
水平方向に沿って配設される上壁部１９と、上壁部１９
の前端から下方に延びる縦壁部２７と、を備えて、車両
前後方向の断面を、略逆Ｌ字形としている。

【００２１】上壁部１９は、上方から見て三日月状とし
て、後端１９ａには、フロントガラス５の下端を嵌め込
むウェザストリップ２９が固着され、車両前後方向の略
中央より後方側となる後部側に、雨水等をカウルパネル
１３側に流す複数の挿通孔２１が形成されている。ま
た、上壁部１９における車両前後方向の略中央より前方
側となる前部側には、エアバッグ４５の展開膨張時に、
エアバッグ４５に押されて開く扉部２５が、配設されて
いる。

【００２２】扉部２５は、上方から見て三日月状とし、
後縁側を、開き時のヒンジ部２４として、車両後方側に
開くように構成されている。そして、扉部２５の周縁に
おけるヒンジ部２４側を除いたＵ字状の部位には、エア
バッグ４５に押されて破断可能な薄肉の破断予定部２３
が形成されている。ヒンジ部２４は、インテグラルヒン
ジとして構成されている。実施形態の場合、扉部２５の
左右両端２５ａ・２５ｂは、左右のフロントピラー７Ｌ
・７Ｒの下端７ａより、車両中央側に入り込んだ位置
に、配設されている。

【００２３】なお、この扉部２５は、開き完了時、フロ
ントガラス５の下方で、車両Ｖの略左右方向に沿って配
置される初期位置のワイパ１１の前部側を覆うように、
配設されている（図３・４の二点鎖線参照）。

【００２４】また、上壁部１９には、ワイパ１１を貫通
させる貫通孔２０が、二箇所に形成されるとともに、上
壁部１９の下面におけるヒンジ部２４の近傍部位には、
下方へ延びる側壁部２２が配設されている。側壁部２２
は、縦壁部２７とともに、ケース３４の後述する周壁部
３５の前後の壁部３５ａ・３５ｂを、挟むように配設さ
れている。

【００２５】縦壁部２７は、下端を前方側へ屈曲させる
鍔部２７ａを備え、鍔部２７ａには、フードパネル３の
後端３ａ側の下面３ｂをシールするためのウェザストリ
ップ３１が組み付けられている。ウェザストリップ３１
は、フードパネル３の後端３ａ側における左右方向の略
全域に、圧接可能に配設され、ウェザストリップ３１の
下部には、車両左右方向に断続的に配置されてカウルパ
ネル１３の組付孔１３ｃに係止されるクリップ３２が、
複数（実施形態では五個）、取り付けられている。

【００２６】そして、カウルルーバ１８は、上壁部１９
の後縁側をフロントガラス５に嵌合させた状態で、各ク
リップ３２を組付孔１３ｃに挿入係止させるとともに、
左右両縁側に配置されたクリップ３３（図５参照）を、
カウルパネル１３に設けられた図示しない組付孔に挿入
係止させることにより、カウルパネル１３に取り付けら
れている。

【００２７】なお、フロントガラス５は、接着剤３０を
利用して、周縁が、カウルパネル１３等のボディ１側に
固定されている。

【００２８】ケース３４は、板金製として、図３・４・
６に示すように、扉部２５の下方に開口３４ａを設けた
周壁部３５と、周壁部３５の下部を塞ぐ底壁部３６と、
を備えた箱形状として、周壁部３５の車両前後方向で対
向する前壁部３５ａ・後壁部３５ｂは、左右方向の中央
付近を車両前方側に位置させ、左右方向の両縁付近を車
両後方側に位置させて、扉部２５の前後の縁に沿うよう
に、湾曲して形成されている。

【００２９】底壁部３６は、エアバッグ４５やインフレ
ーター４０をケース３４に取り付けるためのボルト５１
・４２を挿通させる挿通孔３６ａを、備えて構成されて
いる。また、底壁部３６には、下面に、ケース３４をカ
ウルパネル１３に取り付けるための複数（実施形態では
四本）のブラケット３７が、固着されている。各ブラケ
ット３７には、ボルト３８を挿通させる挿通孔３７ａ
と、挿通孔３７ａの周縁に固着されてボルト３８と螺合
可能なナット３７ｂと、が設けられており、カウルパネ
ル１３の挿通孔１３ｄと挿通孔３７ａとを経て、ボルト
３８をナット３７ｂに螺合させることにより、ケース３
４が、カウルパネル１３に取付固定されることとなる。

【００３０】インフレーター４０は、図３・７に示すよ
うに、車両左右方向に沿って軸方向を配置させたシリン
ダタイプとして、左右両端に図示しないガス吐出口を配
設させて構成されている。このインフレーター４０は、
ブラケット４１により保持されて、板金製のブラケット
４１がケース３４に固定されることにより、ケース３４
に取付固定されている。また、インフレーター４０の左
右両端には、クランプ４４を使用して、エアバッグ４５
の後述する円筒状の流入口部４９が連結されている。

【００３１】ブラケット４１は、インフレーター４０を
挟持して保持可能な保持部４１ａと、保持部４１ａから
延びる取付片部４１ｂと、を備えて構成され、取付片部
４１ｂには、二本のボルト４２が固着されている。そし
て、保持部４１ａにインフレーター４０を保持させた状
態で、取付片部４１ｂの各ボルト４２を、挿通孔３６ａ
を経てケース３４内からケース３４外へ突出させ、ナッ
ト４３を各ボルト４２に締結すれば、インフレーター４
０をケース３４に取り付けることができる。

【００３２】エアバッグ４５は、図１〜４・７に示すよ
うに、ポリエステル糸・ポリアミド糸等を使用した袋織
りにより製造されている。エアバッグ４５は、周縁の膨
張用ガスを流入させない周縁部４５ａと、膨張用ガスを
流入させて表側壁部４５ｃと裏側壁部４５ｄとを離すよ
うに膨張する膨張部４５ｂと、を備えて構成されてい
る。このエアバッグ４５は、表側壁部４５ｃと裏側壁部
４５ｄとを同一形状として、壁部４５ｃ・４５ｄを重ね
れば平らに展開可能な平面エアバッグタイプとしてい
る。

【００３３】なお、エアバッグ４５の展開膨張完了時、
裏側壁部４５ｄは、その大部分が車両Ｖ側に配置され、
表側壁部４５ｃは、その大部分が、車両Ｖから離れた自
由空間側に配置されることとなる。

【００３４】また、エアバッグ４５は、袋織り後、外周
面側に、ガス漏れ防止用のシリコン等のコーティン剤
が、塗布されている。

【００３５】そして、エアバッグ４５の膨張部４５ｂ
は、図１・２・７に示すように、車両非搭載状態での展
開膨張完了時の形状を、正面から見て、左右方向に幅広
としたＨ字形状に形成されており、左右両側における
「Ｈ」字の縦棒部位の上部側を、左右のフロントピラー
７Ｌ・７Ｒの前面を覆うピラーカバー部４６（４６Ｌ・
４６Ｒ）とし、「Ｈ」字の左右の縦棒部位における下部
側を、ピラーカバー部４６と連通させて、フードパネル
３の後端３ａの上面３ｃで、かつ、フードパネル３の左
右両縁付近の上面３ｄに支持されるフードカバー部４７
（４７Ｌ・４７Ｒ）として、構成されている。そして、
「Ｈ」字の横棒部位は、連通部４８として、構成されて
いる。連通部４８は、エアバッグ４５の展開膨張完了
時、フロントガラス５の下端前面付近からフードパネル
３の後端３ａの上面３ｂ付近までのカウルルーバ１８の
上方付近を覆うこととなる。

【００３６】また、連通部４８には、前縁４８ａ側（車
両搭載状態での膨張完了時では、下縁側となる）に、前
方へ延びるとともに、相互に接近するように屈曲した流
入口部４９が形成されている。これらの流入口部４９
は、インフレーター４０からの膨張用ガスをエアバッグ
４５の膨張部４５ｂ内に流入させるものであり、インフ
レーター４０の左右両端に外装されて、クランプ４４を
使用して、インフレーター４０に連結されている。

【００３７】また、連通部４８の前縁４８ａ側の周縁部
４５ａには、板状に延びる取付片５０が、四箇所に形成
されている。各取付片５０には、取付孔５０ａが形成さ
れている。中央側の二つの取付片５０は、取付孔５０ａ
に、ブラケット４１をケース３４に取り付けるためのボ
ルト４２を挿通させて、ボルト４２のナット４３止め時
に、ブラケット４１とともにケース３４の底壁部３６に
取り付けられている（図３参照）。また、左右両側の取
付片５０は、取付孔５０ａに挿入されたボルト５１が、
底壁部３６の挿通孔３６ａを挿通して、ナット５２を螺
合されることにより、ケース３４の底壁部３６に取り付
けられている（図４参照）。

【００３８】この歩行者用エアバッグ装置Ｍの車両Ｖへ
の搭載について述べれば、まず、エアバッグ４５を折り
畳む。このエアバッグ４５の折り畳みは、図８のＡ・Ｂ
に示すように、表側・裏側壁部４５ｃ・４５ｄ相互を重
ねて平らにした状態で、連通部４８の前縁４８ａと平行
な山折りや谷折りの折目Ｃを付けて、連通部４８・ピラ
ーカバー部４６Ｌ・４６Ｒ・フードカバー部４７Ｌ・４
７Ｒを、前縁４８ａに接近させるように、蛇腹折する。
ついで、図８のＢ・Ｃに示すように、ケース３４内に収
納できるように、エアバッグ４５の左右両端４５ｅ・４
５ｆを、蛇腹折りで折り重ねた側（連通部４８の後縁４
８ｂ側）に、折り返せば、エアバッグ４５の折り畳み作
業を完了させることができる。折り畳み完了後には、適
宜、折り崩れ防止用の破断可能なラッピング材によっ
て、エアバッグ４５を包んでおく。

【００３９】そして、実施形態の場合には、蛇腹折り後
のエアバッグ４５の左右両端４５ｅ・４５ｆを、蛇腹折
りで折り重ねた側に、折り返す際に、左右のピラーカバ
ー部４６とフードカバー部４７とを、連通部４８の後縁
４８ｂ上に折り重ねており、この折り畳みが、エアバッ
グ４５の展開膨張時に、ピラーカバー部４６をフロント
ピラー７の前面側に配置させ、かつ、フードカバー部４
７をフードパネル３の上面３ｄ側に配置させ易くする展
開案内手段Ｄ１を、構成している。

【００４０】エアバッグ４５の折り畳み完了後には、ブ
ラケット４１の保持部４１ａに保持されたインフレータ
ー４０の左右両端を、クランプ４４を使用して、流入口
部４９・４９に、接続させる。そして、エアバッグ４５
の中央付近における各取付片５０に、ブラケット４１の
ボルト４２を挿通させ、かつ、エアバッグ４５の左右両
側における各取付片５０の取付孔５０ａにボルト５１を
挿通させる。ついで、ケース３４の内側から外側へ突出
させるように、各ボルト４２・５１を底壁部３６の挿通
孔３６ａに挿通させつつ、ケース３４内に折り畳まれた
エアバッグ４５とインフレーター４０とを収納し、挿通
孔３６ａから突出した各ボルト４２・５１にナット４３
・５２を締結すれば、エアバッグ４５とインフレーター
４０とをケース３４に収納させて固定することができ
る。

【００４１】そして、ウェザストリップ２９・３１を組
付済みのカウルルーバ１８を、カウルパネル１３に組み
付け、ケース３４の各ブラケット３７をカウルパネル１
３にボルト３８止めすれば、エアバッグ装置Ｍを車両に
搭載することができる。

【００４２】なお、エアバッグ装置Ｍの車両への搭載時
には、インフレーター４０に対して、ケース３４に設け
られた図示しない孔を経て、インフレーター４０に対し
て、エアバッグ作動用の図示しないリード線を結線して
おく。

【００４３】また、エアバッグ装置Ｍの車両Ｖへの搭載
前には、ワイパ１１の駆動モータやフードパネル３の左
右両縁における後端側のヒンジ４・４等を搭載してお
き、エアバッグ装置Ｍの車両搭載後に、ワイパ１１のア
ームやフードパネル３等を車両Ｖに搭載することとな
る。

【００４４】歩行者用エアバッグ装置Ｍの車両への搭載
後、インフレーター４０に作動信号が入力されれば、イ
ンフレーター４０が作動して膨張用ガスを吐出すること
から、エアバッグ４５は、流入口部４９・４９から膨張
部４５ｂ内に膨張用ガスを流入させて膨らむ。そのた
め、カウルルーバ１８の扉部２５が、エアバッグ４５に
押されて、周縁の破断予定部２３を破断させ、ヒンジ部
２４を回転中心として、車両Ｖの後方側に開き、エアバ
ッグ４５が、展開膨張することとなる。

【００４５】そして、実施形態の歩行者用エアバッグ装
置Ｍでは、エアバッグ４５が展開膨張を完了させれば、
図１・２の二点鎖線や図９の実線に示すように、ピラー
カバー部４６Ｌ・４６Ｒが、フロントピラー７Ｌ・７Ｒ
の前面を覆い、フードカバー部４７Ｌ・４７Ｒが、フー
ドパネル３の上面３ｄを覆うこととなる。

【００４６】そして、フードカバー部４７Ｌ・４７Ｒ
は、フードパネル３の上面３ｄに当接して支持されるこ
とから、フードカバー部４７Ｌ・４７Ｒと連通している
ピラーカバー部４６Ｌ・４６Ｒは、フードカバー部４７
Ｌ・４７Ｒによって、ピラーカバー部４６Ｌ・４６Ｒの
上端４６ａ側が、ピラーカバー部４６Ｌ・４６Ｒの下端
４６ｂ側を回転中心として、フロントピラー７Ｌ・７Ｒ
の前面に圧接されるようなモーメントを受ける。

【００４７】特に、実施形態では、エアバッグ４５が、
平面エアバッグタイプとして、車両非搭載状態で、膨張
を完了させれば、カバー部４６・４７が同一平面状で膨
張する構成としており、また、フードパネル３の上面３
ｄとフロントピラー７の前面とは、１８０°より狭い角
度で交差している。そのため、車両搭載状態で展開膨張
を完了させたフードカバー部４７Ｌ・４７Ｒは、フロン
トピラー７の前面に配置されたピラーカバー部４６Ｌ・
４６Ｒから車両前上方向に曲げられた状態で、フードパ
ネル上面３ｄに支持されることから、その曲げを復元す
るように、ピラーカバー部４６Ｌ・４６Ｒをピラー７の
前面に強く押し付けることとなる。

【００４８】その結果、ピラーカバー部４６Ｌ・４６Ｒ
は、フロントピラー７Ｌ・７Ｒの前面に圧接されるよう
に、安定して配設されることとなる。

【００４９】したがって、実施形態の歩行者用エアバッ
グ装置Ｍでは、エアバッグ４５のピラーカバー部４６Ｌ
・４６Ｒが、フロントピラー７Ｌ・７Ｒの前面に押し付
けられるように展開膨張して、フロントピラー７Ｌ・７
Ｒの前面を的確に覆うことができる。

【００５０】また、実施形態では、展開膨張を完了させ
たエアバッグ４５が、左右のフロントピラー７Ｌ・７Ｒ
の間におけるフロントガラス５の下端の前面付近を覆い
可能な連通部４８を、備えており、歩行者が、フードパ
ネル３上を車両後方側へ滑って、フロントガラス５と干
渉しようとしても、連通部４８が、その歩行者とフロン
トガラス５との干渉を防止することができる。

【００５１】そして、実施形態では、エアバッグ４５が
展開膨張を完了させれば、フードカバー部４７Ｌ・４７
Ｒが、フードパネル３の後端３ａ側における車両左右方
向の縁付近の上面３ｄ、すなわち、フロントピラー７Ｌ
・７Ｒの直下付近を覆うことから、各ピラーカバー部４
６Ｌ・４６Ｒは、それぞれ、直下のフードカバー部４７
Ｌ・４７Ｒによって、直接的に、フロントピラー７Ｌ・
７Ｒの前面側に押し付けられるモーメントを受け易く、
一層、安定してフロントピラー７Ｌ・７Ｒの前面を覆う
ことができる。また、フードカバー部４７Ｌ・４７Ｒが
覆うフードパネル３の部位には、開き可能にフードパネ
ル３を支持するための固い部品のヒンジ４・４が配設さ
れていることから、フードカバー部４７Ｌ・４７Ｒが、
フードパネル３側の固い部品から、歩行者を、適切に保
護することもできる。

【００５２】さらに、実施形態では、蛇腹折り後のエア
バッグ４５の左右両端４５ｅ・４５ｆを、蛇腹折りで折
り重ねた側に、折り返す際に、連通部４８上にカバー部
４６・４７を重ねる展開案内手段Ｄ１を、設けている。
そのため、エアバッグ４５の展開膨張の初期時、流入口
部４９・４９を経て、膨張用ガスが連通部４８に流入す
れば、図４の二点鎖線に示すように、連通部４８が、カ
バー部４６・４７を上方に押し上げて、カバー部４６・
４７の折り畳み部位５４が、開いた扉部２５の開口２６
から、フードパネル３の後端３ａ側における上面３ｄの
上方に押し出されて、フロントピラー７Ｌ・７Ｒの下端
７ａの前方側付近における自由空間で、フードパネル３
の後端３ａやワイパ１１等と干渉することなく、自由膨
張することとなる。その結果、フロントピラー７Ｌ・７
Ｒの下端７ａの前方付近で、ピラーカバー部４６Ｌ・４
６Ｒが、車両後方側に展開膨張し、フードカバー部４７
Ｌ・４７Ｒが、車両前方側に展開膨張する。すなわち、
実施形態では、展開案内手段Ｄ１によって、折り畳まれ
たエアバッグ４５が、フードパネル３とフロントガラス
５との間の下方における収納部位としてのケース３４に
収納されていても、ピラーカバー部４６Ｌ・４６Ｒが、
ケース３４から車両後方側のフロントピラー７Ｌ・７Ｒ
の前面側に、円滑に展開し、かつ、フードカバー部４７
Ｌ・４７Ｒが、ケース３４から車両前方側のフードパネ
ル３の上面３ｄ側に、円滑に展開することができる。

【００５３】なお、カバー部４６・４７の展開案内手段
としては、図１０のような折り畳みを展開案内手段Ｄ２
としてもよい。すなわち、エアバッグ４５Ａの折り畳み
時、まず、図１０のＡ・Ｂに示すように、表側・裏側壁
部４５ｃ・４５ｄ相互を重ねてエアバッグ４５Ａを平ら
に展開した状態で、連通部４８の前縁４８ａより突出し
た左右のフードカバー部４７Ｌ・４７Ｒを、折目Ｃ０を
付けて、表側壁部４５ｃの側に折り畳む。ついで、図１
０のＢ・Ｃに示すように、連通部４８の前縁４８ａ側に
接近させるように、蛇腹折りして、エアバッグ４５Ａの
折り畳み作業を完了させる。この時、ピラーカバー部４
６Ｌ・４６Ｒは、フードカバー部４７Ｌ・４７Ｒと重ね
られた状態で、折目Ｃ０側に接近するように蛇腹折りさ
れる。

【００５４】そして、図１０に示すエアバッグ４５Ａで
は、ピラーカバー部４６Ｌ・４６Ｒとフードカバー部４
７Ｌ・４７Ｒとを重ねて、折目Ｃ０側に接近させる折り
畳みが、エアバッグ４５Ａの展開膨張時に、ピラーカバ
ー部４６をフロントピラー７の前面側に配置させ、か
つ、フードカバー部４７をフードパネル３の上面３ｄ側
に配置させ易くする展開案内手段Ｄ２を、構成してい
る。

【００５５】なお、このエアバッグ４５Ａでは、左右両
端部４５ｅ・４５ｆを折り返さずに折り畳みを完了させ
るため、エアバッグ４５Ａを収納するケース３４Ａとエ
アバッグ４５を覆う扉部２５Ａとが、実施形態のケース
３４や扉部２５より、車両左右方向の幅寸法を長くし
て、構成されている。そして、その他の構成や車両搭載
作業は、実施形態と同様である（図１１参照）。

【００５６】このような展開案内手段Ｄ２を講じられた
エアバッグ４５Ａは、車両搭載後の展開膨張初期時、流
入口部４９・４９から連通部４８を経て、折目Ｃ０付近
に、膨張用ガスＧが流れれば、図１１のＡ・Ｂに示すよ
うに、折目Ｃ０付近の膨張により、折り畳まれたカバー
部４６・４７が、扉部２５Ａを押し開いて、上方へ押し
出される。その際、カバー部４６・４７のそれぞれ先端
となる上端４６ａと前端４７ａとが、共に、折目Ｃ０を
解消するように、車両後方側と車両前方側とに別れるよ
うに、飛び出す。その結果、展開案内手段Ｄ２によっ
て、折り畳まれたエアバッグ４５Ａは、フードパネル３
とフロントガラス５との間の下方における収納部位とし
てのケース３４Ａに収納されていても、ピラーカバー部
４６Ｌ・４６Ｒが、ケース３４Ａから車両後方側のフロ
ントピラー７Ｌ・７Ｒの前面側に、円滑に展開し、か
つ、フードカバー部４７Ｌ・４７Ｒが、ケース３４Ａか
ら車両前方側のフードパネル３の上面３ｄ側に、円滑に
展開することができる。

【００５７】なお、展開案内手段としては、エアバッグ
４５・４５Ａの折り畳み方の他、膨張用ガスの流れを調
整して、折り畳まれたカバー部４６・４７を、それぞ
れ、収納部位３４から、車両後方側と車両前方側とに突
出させるように、ガス流れ調整部材をエアバッグ内に配
設させて、このガス流れ調整部材を展開案内手段として
もよい。

【００５８】また、実施形態では、フードカバー部４７
をピラーカバー４６の直下に配設させたエアバッグ４５
を示したが、図１２・１３に示す平面エアバッグタイプ
のエアバッグ４５Ｂのように、フードカバー部４７を、
左右のピラーカバー部４６Ｌ・４６Ｒの直下からずらし
て、カバー部４６Ｌ・４６Ｒの間の連通部４８から延設
させて、配設させてもよい。このエアバッグ４５Ｂを使
用するエアバッグ装置Ｍ１では、それぞれ、ブラケット
４１に保持された二つのインフレーター４０を、エアバ
ッグ４５Ｂの流入口部４９・４９に接続させて、構成さ
れている。そして、このエアバッグ４５Ｂでは、折り畳
み時、フードカバー４７を連通部４８に重ねるように折
り返して蛇腹折りするような展開案内手段Ｄ２を利用し
て、エアバッグ４５Ｂを収納することが望ましい。

【００５９】さらに、実施形態では、左右のピラーカバ
ー部４６Ｌ・４６Ｒを連通する連通部４８を設けたエア
バッグ４５を示したが、図１４・１５に示すように、左
右のフロントピラー７Ｌ・７Ｒとフードパネル上面３ｄ
とを別々に覆い可能に、連通部４８で分断させた平面エ
アバッグタイプの二つのエアバッグ４５Ｃ・４５Ｃを使
用して、エアバッグ装置Ｍ２を構成してもよい。この装
置Ｍ２でも、エアバッグ４５Ｃ・４５Ｃに対応して二つ
のインフレーター４０を使用している。各エアバッグ４
５Ｃの折り畳み時には、既述の展開案内手段Ｄ１・Ｄ２
を適宜採用すればよい。すなわち、カバー部４６・４７
を連通部４８側に折り返して蛇腹折りしたり、あるい
は、カバー部４７をカバー部４６の表側壁部４５ｃの側
に重ねるように折り返して、蛇腹折りしてもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る一実施形態の歩行者用エアバッグ
装置を搭載させた車両の側面図である。

【図２】同実施形態のエアバッグ装置を搭載させた車両
の平面図である。

【図３】同実施形態のエアバッグ装置の車両前後方向に
沿った概略縦断面図であり、図２のIII−III部位に対応
する。

【図４】同実施形態のエアバッグ装置の車両前後方向に
沿った概略縦断面図であり、図２のIV−IV部位に対応す
る。

【図５】同実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバ
ッグカバーとしてのカウルルーバを示す概略平面図であ
る。

【図６】同実施形態のエアバッグ装置に使用するケース
を示す概略平面図である。

【図７】同実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバ
ッグの正面図である。

【図８】同実施形態のエアバッグの折り畳み工程を説明
する図である。

【図９】同実施形態のエアバッグの膨張完了時の車両の
斜視図である。

【図１０】他の展開案内手段を講じたエアバッグの折り
畳み工程を説明する図である。

【図１１】図１０に示すエアバッグの展開膨張状態を説
明する概略断面図である。

【図１２】他の実施形態のエアバッグを示す正面図であ
る。

【図１３】図１２に示すエアバッグの膨張完了時の車両
の斜視図である。

【図１４】さらに他の実施形態のエアバッグを示す正面
図である。

【図１５】図１４に示すエアバッグの膨張完了時の車両
の斜視図である。

【符号の説明】

３…フードパネル、 ３ａ…後端、 ３ｃ・３ｄ…上面、 ５…フロントガラス、 ７（７Ｌ・７Ｒ）…フロントピラー、 ３４・３４Ａ…（収納部位）ケース、 ４５・４５Ａ・４５Ｂ・４５Ｃ…エアバッグ、 ４６（４６Ｌ・４６Ｒ）…ピラーカバー部、 ４７（４７Ｌ・４７Ｒ）…フードカバー部、 Ｄ１・Ｄ２…展開案内手段、 Ｖ…車両、 Ｍ・Ｍ１・Ｍ２…歩行者用エアバッグ装置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 裕之 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑１ 番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 高橋 浩幸 愛知県豊田市トヨタ町１番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 膨張用ガスの流入時、車両のフードパネ
   ルとフロントガラスとの間から膨出して、フロントピラ
   ーの前面を覆い可能なエアバッグ、を備えた歩行者用エ
   アバッグ装置であって、 前記エアバッグが、前記フロントピラーの前面を覆い可
   能に展開膨張するピラーカバー部と、該ピラーカバー部
   と連通し、前記フードパネルの上面に支持されるように
   展開膨張するフードカバー部と、を備えて構成されてい
   ることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
2. 【請求項２】 前記フードカバー部が、前記フードパネ
   ルの後端側における車両左右方向の縁付近を覆い可能
   に、配設されていることを特徴とする請求項１に記載の
   歩行者用エアバッグ装置。
3. 【請求項３】 前記エアバッグの展開膨張時、前記ピラ
   ーカバー部が前記フロントピラーの前面を覆い可能に、
   前記ピラーカバー部を収納部位から車両後方側へ突出さ
   せ、かつ、前記フードカバー部が前記フードパネルの上
   面を覆い可能に、前記フードカバー部を収納部位から車
   両前方側に突出させる展開案内手段を、備えて構成され
   ていることを特徴とする請求項１若しくは請求項２に記
   載の歩行者用エアバッグ装置。