JP2003112939A - 光ファイバ用ガラス母材の製造方法 - Google Patents
光ファイバ用ガラス母材の製造方法Info
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Abstract
量の低減なく脱水及び焼結して高品質な透明ガラス体
(光ファイバ用ガラス母材)を得る製法。 【解決手段】GeO2添加ガラス微粒子堆積体を脱水及び焼
結処理し、該脱水処理としてGeCl4 含有不活性ガス雰囲
気下で1000℃以上に加熱する工程を含む。これによりGe
O2含有量の低減なく脱水できる。前記工程は1400℃以下
で行うことが好ましい。またCl2 及びGeCl4 含有不活性
ガス雰囲気で昇温加熱を始め、1000℃以上ではGeCl4 含
有不活性ガス雰囲気とすると、脱水効率が高い。焼結は
不活性ガス雰囲気で行う。
Description
ス母材の製造方法に関するものであり、GeO2を添加
したガラス微粒子堆積体を脱水、焼結して透明ガラス体
(光ファイバ用ガラス母材)とする方法に関する。
法(外付け法)等のによる光ファイバ用ガラス母材の製
造は、ガラス原料ガスをH2 等の燃料ガス、O2 等の助
燃性ガス及び要すればAr等の不活性ガスと共にガラス
微粒子合成用バーナ( 以下、バーナと略記する場合もあ
る)に導入し、バーナに形成される火炎中でガラス原料
が火炎加水分解反応又は酸化反応させることにより生成
したガラス微粒子をターゲット(出発材)に堆積させて
多孔質のガラス微粒子堆積体とし、これをゾーン型加熱
炉又は均熱型加熱炉を用いて高温加熱により焼結し透明
ガラス化することにより得られている。上記ガラス微粒
子堆積体はその製法のゆえに酸水素火炎や大気中から取
り込んだ多量の水分やOH基を含有するため、透明ガラ
ス化にあたってはまず、脱水処理している。これは水分
が残留すると光伝送特性に悪影響を及ぼすためである。
加熱炉を用いたガラス微粒子堆積体(スス体)の脱水及
び焼結工程を説明する図であり、先ず図13(a)に示
すように加熱炉の炉心管11下部の雰囲気ガス供給管1
8から脱水剤ガスを含む雰囲気ガスを流しながら、図示
は省略した回転及び移動機構により回転及び上下移動可
能な支持棒14に取り付けたガラス微粒子堆積体10を
炉心管11の上方から下方に移動させ、ガラス微粒子堆
積体10のその上端までヒーター15部分を通過させた
後、上方に引き上げる(1回トラバースする)ことによ
り脱水し、必要とすれば雰囲気ガスを切り換え、次いで
ヒーター15の温度を焼結温度に昇温し、再びガラス微
粒子堆積体10を下方に移動しその一体から順次焼結に
より透明ガラス化してゆき、図13(b)に示すように
透明ガラス母材(透明ガラス体)21を得る。図13に
おいて12は炉心管上蓋、13は排気管、16は断熱
材、17はゾーン型加熱炉炉体を表す。
できる長さのヒーター19を備えた均熱型加熱炉を用い
た脱水及び焼結工程を説明する図であり、図14(a)
に示すようにガラス微粒子堆積体10の全長を加熱炉2
0内に保持し、炉心管11下部の雰囲気ガス供給管18
から脱水剤ガスを含む雰囲気ガスを流しつつ加熱して脱
水した後、必要とすれば雰囲気ガスを切り換え、加熱炉
のヒーター19の温度を上昇して焼結し透明ガラス母材
21とする〔図14(b)〕。図14において図13と
共通符号の部分は同じを意味し、20は均熱型加熱炉炉
体を表す。
ては、ハロゲン化合物、特にCl2が脱水効率が高く多
用されているが、Cl2 とGeO2 が化1
う問題があり、この結果、得られたガラス母材の屈折率
プロファイルが変化(比屈折率差△n(%)が脱水工程
を行わない場合より低下する)したり、GeO2 を添加
していたコアの外径が減少してしまうためファイバ構造
が設計値からずれるという難点があった。
914号公報(文献1)には、ガラス微粒子堆積体をハ
ロゲン元素を含むガラス形成原料に晒して脱水した後に
透明化すること、該ガラス形成原料ガスとしてSiCl
4 、SiBr4 、GeCl4などをO2 によりバブリン
グ処理し、加熱温度は800℃程度1000℃未満とす
ることが、脱水用原料の酸化反応が生じにくく脱水でき
る温度として推奨されている。
(文献2)には、O2 とCl2 含有雰囲気で脱水処理す
ることにより、化1の反応が進むことを防止し、GeO
2 の揮散を制御することが提案されている。特開平6−
16429号公報(文献3)には、導波路用薄膜作成に
おいて、酸化物蒸気を供給して低蒸気圧酸化物の揮散を
防ぐことが提案されている。特開平10−53423号
公報(文献4)には、GeO2 含有母材をSiCl 4 雰
囲気(O2 なし)で脱水し、透明ガラス化処理において
Cl2 を添加することが提案されている。特開昭63−
315531号公報(文献5)には、SiCl4 雰囲気
により脱水して、耐H2 特性を改良することが提案され
ている。
による脱水処理では次のような問題があった。文献1の
ようにO2 でバブリングすると、脱水温度を高めると酸
化反応によりスス(SiO2 )が生成してしまい、ガラ
ス微粒子堆積体の嵩密度分布が不均一となっててしま
う。文献2のCl2 /O2 雰囲気処理では、化2
が充分でない問題がある。文献3の酸化物蒸気を形成す
る方法は、予備加熱炉の設置が必要となり、設備コスト
等の点で難点がある。文献4及び5のSiCl4 雰囲気
処理でGeO2 添加母材を処理すると、化3
問題がある。
ラス微粒子堆積体の脱水について、脱水効率の高いCl
2 を用いて脱水した場合には、添加したGeO2 が抜け
てゆき、予定した屈折率差やコア径が得られないという
問題に対処するため、脱水工程で抜けるGeO2 量を経
験的に見越して、Ge添加量をその分だけ多くしておく
という手段を講じていた。
を含有する光ファイバ用ガラス母材を脱水、焼結する新
規な手段を課題とし、特に脱水によりGeO2 含有量に
悪影響することなく、所期の屈折率差を保持し、しかも
十分に脱水、焼結して高品質な透明ガラス体を得ること
のできる、光ファイバ用ガラス母材の製造方法を提供し
ようとするものである。
の構成により、上記課題を解決するものである。 (1) 少なくともその一部にGeO2 が添加されたガラス
微粒子堆積体を脱水処理及び焼結処理することにより透
明ガラス化する光ファイバ用ガラス母材の製造方法にお
いて、前記脱水処理がGeCl4 を含有する不活性ガス
雰囲気下1000℃以上で加熱する工程を含むことを特
徴とする光ファイバ用ガラス母材の製造方法。 (2) 前記脱水処理がGeCl4 を含有する不活性ガス雰
囲気下1000℃〜1400℃で加熱する工程を含むこ
とを特徴とする前記(1) 記載の光ファイバ用ガラス母材
の製造方法。 (3) 前記GeCl4 含有不活性ガス雰囲気中のGeCl
4 濃度が0.2体積%以上であることを特徴とする前記
(1) 又は(2) 記載の光ファイバ用ガラス母材の製造方
法。 (4) 前記脱水処理がGeCl4 を含有する不活性ガス雰
囲気下1000℃以上で加熱する工程の前に、予めCl
2 含有不活性ガス雰囲気中で加熱する工程を有すること
を特徴とする前記(1) ないし(3) のいずれかに記載の光
ファイバ用ガラス母材の製造方法。 (5) 前記脱水処理がCl2 及びGeCl4 を含有する不
活性ガス雰囲気下で加熱する工程を含むことを特徴とす
る前記(1) ないし(4) のいずれかに記載の光ファイバ用
ガラス母材の製造方法。 (6) 前記脱水処理がCl2 及び/又はGeCl4 含有不
活性ガス雰囲気下での昇温工程及びGeCl4 含有不活
性ガス雰囲気下で前記昇温工程での温度以上の温度にお
いて定温保持する工程を含むすることを特徴とする前記
(1) ないし(5)のいずれかに記載の光ファイバ用ガラス
母材の製造方法。 (7) 前記昇温工程における昇温速度が100℃/分以下
であることを特徴とする前記(6) 記載の光ファイバ用母
材の製造方法。 (8) 前記焼結処理を不活性ガス雰囲気中で行うことを特
徴とする前記(1) 記載の光ファイバ用ガラス母材の製造
方法。 (9) 前記脱水処理及び焼結処理における雰囲気中のO2
濃度を100ppm以下とすることを特徴とする前記
(1) 又は(8) 記載の光ファイバ用ガラス母材製造方法。
体の脱水処理において、GeCl4含有不活性ガス雰囲
気下で1000℃以上に加熱する工程を経ることを必須
とし、この後透明ガラス化することを特徴とする。すな
わち、本発明は上記(1) の構成により、ガラス微粒子堆
積体に添加されていたGeO2 含有量が低減することな
く、しかも十分に脱水することができ、高品質の透明ガ
ラス体を得ることができる。上記加熱工程は1000℃
未満では、効果が不十分である。本発明にいう不活性ガ
スとしては、例えばHe,Ar,N2 等が挙げられ、特
に好ましくは、ガラス中の気泡を低減するため、Heが
挙げられる。本発明が脱水及び焼結処理の対象とするガ
ラス微粒子堆積体は、公知のVAD法、OVD法、ゾル
ゲル法等公知技術のいずれにより製造されたものでもよ
い。屈折率分布形状はStep Index(SI)
型、Grated Index(GI)型のいずれでも
よい。脱水処理開始時のガラス微粒子堆積体嵩密度は
0.15〜0.5 g/cm3であることが望ましい。0.1
5 g/cm3未満ではガラス微粒子堆積体の強度が小さく取
り扱いが困難であり、0.5 g/cm3を超えると脱水が困
難となる。脱水処理及び焼結(透明ガラス化)処理の加
熱手段としては、ゾーン型加熱炉、均熱型加熱炉のいず
れを用いてもよい。
有雰囲気下での加熱温度を1000℃以上1400℃以
下とすることにより、十分に脱水することができる。加
熱温度が1400℃を超えるとOH基吸収が逆に増大す
ることが本発明者らの実験により判明した。OH基存在
は波長1.38μm(1380nm)においてOH基の
吸収による伝送損失増加をもたらす。図11は波長1.
38μmにおける伝送損失増加の種々の例を示した図で
あり、図中L1 ,L2 ,L3 が伝送損失の大きさ(増加
量)を示す。
有不活性ガス雰囲気中のGeCl4濃度が0.2体積%
以上のものとすることにより、充分な脱水処理を実現で
きる。GeCl4 濃度が0.2体積%未満では脱水効果
が不十分である。一方、10体積%以上といった高濃度
では脱水効果は充分であるが、高価なGeCl4 を多量
に使用することになるので、経済上好ましくない。
し(3) の方法により脱水処理の後、不活性ガス雰囲気下
で透明ガラス化することにより、脱水状態を保持したま
まガラス化できる。不活性ガスのみの雰囲気でガラス化
するので、ガラス中に遊離塩素を残留させることがな
い。
eCl4 含有不活性ガス雰囲気中での加熱工程の前に、
Cl2 含有不活性ガス雰囲気下での加熱による予備脱水
処理を行うことにより、ガラスに吸着している水分を除
去し脱水効果を向上することができる。ガラスに水分が
吸着されていたり、雰囲気中に水分が存在すると、化4
2 層が生成する場合がある。従って、予めCl2 により
脱水しておくことによりGeO2 高濃度層の形成を防止
できるという効果も得られる。
してCl2 とGeCl4 が共存した不活性ガス雰囲気を
用いることにより、脱水効果を向上させることができ
る。この際、体積比でCl2 1に対し、GeCl4 5以
上とすることが、上記効果を奏するためにより有利であ
る。
熱パターンとして少なくとも昇温工程と一定温保持工程
の二段階加熱とすることにより、脱水効果を向上するこ
とができる。本発明の昇温工程としては温度200〜8
00℃程度の領域から昇温を開始するが、この温度範囲
ではGeCl4 ガスは反応することなくガラス微粒子堆
積体に吸着される。ついで温度1000℃〜1400℃
の範囲で定温に保持することにより、GeCl4 による
脱水効率を高めることができる。GeCl4 含有雰囲気
ガスの供給開始温度を高めると、高温保持時間一定で
も、OH濃度が増加する傾向があることが判明した。
ける昇温速度を100℃/分以下とすることにより、G
eCl4 ガス吸着に充分な時間をとれる。GeCl4 ガ
スの供給開始温度は1000℃未満であればよい。図1
3に示したようなゾーン型加熱炉を用いる場合には、ヒ
ータ自体の温度分布がついているので、ガラス微粒子堆
積体を移動させてヒータを通過させることにより、昇温
工程及び定温工程を経ることが可能となる。このとき1
00℃/分以下の昇温速度となるように移動速度を調整
する。
透明化処理を炉内雰囲気ガス中のO 2 濃度が100pp
m未満の条件で行うことにより、GeCl4 の酸化反応
を抑制することができ、脱水効果が向上する。また、ガ
ラス中の酸素過剰欠陥をなくす効果も得られる。O2 が
100ppm以上存在すると、GeCl4 が酸化反応し
てGeO2 が形成され、高濃度のGeO2 層が形成され
て、熱膨張率の差により母材の破壊が生じる。
り、クラッド部にCl2 が添加され、純シリカガラスよ
りも屈折率が上昇する。GeCl4 はGeO2 を含有す
るコア部のプロファイル変化を伴わずにクラッドの屈折
率を調整できる原料ともなる。GeCl4 を使用して脱
水すると、Cl2 を使用する場合に較べて倍の範囲のク
ラッドの屈折率の調整が可能であり、調整の自由度が大
きいう。
するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるとこ
ろはない。
例3)図12(a)に示すように、上蓋1及び排気口2
を有し、下部にはコア堆積用のガラス微粒子合成用バー
ナー3とクラッド堆積用のガラス微粒子合成用バーナー
4を設けた反応容器5内において、前記バーナー3には
コア用ガラス原料(SiCl4 ,GeCl4 )とH2 ,
O2 及びArを、前記バーナー4にはクラッド用ガラス
原料(SiCl4 )とH2 ,O2 及びArをそれぞれ供
給し、上蓋1を貫通して反応容器5内に達する回転及び
上下移動自在の支持棒6に取り付けられた出発ガラス棒
(出発材)6の一端に、前記各バーナー3,4の火炎
8,9中に生成するガラス微粒子を吹きつけて軸方向に
堆積してゆき、コア及びクラッドを有するガラス微粒子
堆積体10を作成した。得られたガラス微粒子堆積体1
0はGeO2 −SiO2 コアとSiO2 クラッドからな
るSI型の屈折率構造を有し(コアとクラッドの比屈折
率差が0.5%となるように製造した)、外径は150
mmφであった。
(a)に示した構成でヒーター長400mmのゾーン型
加熱炉を用い、雰囲気ガス供給管18よりGeCl4 を
N2ガス200cc/分でバブリングして供給し、同時
にHeを20リットル/分の流量で供給した。雰囲気ガ
ス中のGeCl4 蒸気圧は約87mmHg、GeCl 4
濃度は0.52体積%であった。この雰囲気中で、移動
速度12m/分で1回トラバースした。加熱温度は10
00℃とした。次に炉内雰囲気をHe100%(20リ
ットル/分)に切り替え、ヒータ温度を1500℃に昇
温し、5mm/分の移動速度で脱水処理されたガラス微
粒子堆積体10をヒーター15の方に下ろし、下端部か
ら順次透明ガラス化し、外径65mmφの透明なガラス
母材21を得た(実施例1−1)。図9に得られた透明
ガラス母材の屈折率分布を示す。
温度のみを1100℃、1200℃、1300℃、14
00℃に変えた以外は上記と同様にして透明なガラス母
材を得た。(実施例1−2〜実施例1−5)。実施例1
−1〜5の各透明ガラス母材についてコアの比屈折率差
(△n:%)を測定した結果を、図1に示す。図1から
明らかなようにコアとクラッドの比屈折率差の低下は殆
どなかった。
ラス微粒子堆積体について、表1に示す脱水条件でそれ
ぞれ脱水し、その後実施例1−1〜1−5と同様に焼結
透明ガラス化を行い、透明ガラス母材を得た(比較例1
−1〜5,比較例2−1〜2−5、比較例3−1〜3−
5)。各透明ガラス母材のコアの屈折率を測定した結果
を表1に合わせて示す。
1−1〜1−5、比較例2−1〜2−5及び比較例3−
1〜3−5で得られた各透明ガラス母材について、図9
のコア径2a及びクラッド外径2bを測定し、a/bを
求めた。結果を図2に示す。この値(a/b)を測定し
た理由は次のとおりである。Cl2 を脱水剤として脱水
すると、化5の反応によりGeO2 がGeCl4 に変化
し、この反応の結果コアが細くなってしまう。すなわ
ち、a/bの値が小さくなる。従って、a/bの値から
GeO2 の抜け方がわかる。
にO2 を加えると化5の反応は左へ進み、コアが細くな
ることを避けることができるが、化6
によればGeO2 の抜けがなく、コアが細くなることも
ない。Cl2 、SiCl4 あるいはCl2 とO2 共存雰
囲気での脱水は、GeO2 が抜けて比屈折率差が低下す
ることに加え、コアが細くなってしまう。
称する)、比較例1−1〜1−5(比較例1と総称す
る)及び比較例2−1〜2−5(比較例2と総称する)
で得られた各透明ガラス母材について、波長1.38μ
mでの伝送損失を調べた。OH基が存在すると図11に
示すように波長1.38μm(1380nm)において
吸収による伝送損失増加を示すからである。測定結果
を、図3に纏めて示す。実施例1では1100〜140
0℃で脱水した場合、波長1.38μmの光の伝送損失
が安定して低い。比較例1では、実施例1よりも伝送損
失が大きく、比較例2では、脱水時の温度が高くなると
伝送損失が大きくなり、1400℃で脱水した場合は実
施例1よりも伝送損失が大きくなる。
ラッドの屈折率を測定した結果、図4のようにClの取
り込みにより、SiO2 の屈折率(△n=0%)よりも
屈折率の上昇が見られた。図4では、SiO2 に対する
クラッドの比屈折率差を△n 2 として表す。△n2 の上
昇量はCl2 <GeCl4 <SiCl4 の順に多くな
る。GeCl4 を脱水剤として使用すると、GeO2 を
含有するコア部のプロファイル変化を伴わずにクラッド
の屈折率を約0.02%の範囲内で調整できる。これは
脱水剤としてCl2 を用いた場合に較べて倍の範囲であ
り、GeCl4 はCl2 よりもクラッドの屈折率の調整
において優れている。
(b)に示すように、上蓋1及び排気口2を有し、下部
にはコア堆積用のガラス微粒子合成用バーナー3を設け
た反応容器5内で、上蓋1を貫通して反応容器5内に達
する回転及び上下移動自在な支持棒6に取り付けられた
出発ガラス棒7の一端に、前記バーナーの火炎8中に生
成するガラス微粒子を吹きつけて軸方向に堆積してゆ
き、GI型屈折率構造のガラス微粒子堆積体(スート母
材、スス体)10を形成した。得られたガラス微粒子堆
積体10は、GI型のGeO2 −SiO2 コアを有し、
△nは最も高いところで約1.2%、端部はほぼSiO
2 (△n=0%)で外径2bとなるように製造した。屈
折率比がピークの△nの1/10以下になり始める部分
の外径を2aと仮定した。外径(2b)は120mmφ
であった。
(a)に示すように均熱炉を用いて脱水、透明ガラス化
処理した。炉内にGeCl4 をN2 ガス(2リットル/
分)でバブリングして供給し、同時にHeを10リット
ル/分の流量で供給した。雰囲気ガス中のGeCl4 蒸
気圧は約87mmHg、GeCl4 濃度は1.04体積
%であった。この雰囲気中、加熱温度は1000℃で6
0分間保持して脱水し、脱水処理終了後、雰囲気をHe
100%に切り替え、炉温を1500に昇温し30分間
保持することにより透明ガラス化し、外径45mmφの
透明ガラス母材を得た(実施例2−1)。
温度のみを1100℃、1200℃、1300℃、14
00℃に変えた以外は上記と同様にして透明ガラス母材
を得た。(実施例2−2,2−3,2−4及び2−
5)。実施例2−1〜2−5の各透明ガラス体について
コアの比屈折率差(△n)を測定した結果を、図5に示
す。比屈折率差(△n%)の低下は殆どなかった。
ラス微粒子堆積体について、表2に示す脱水条件でそれ
ぞれ脱水し、その後実施例2−1〜2−5と同様に透明
ガラス化を行い、透明ガラス母材を得た(比較例4−1
〜4−5,比較例5−1〜5−5)。各透明ガラス母材
のコアの屈折率を測定した結果を図5に合わせて示す。
1〜4−5及び比較例5−1〜5−5で得られた各透明
ガラス母材について、図10に示すように外径を2bと
し、屈折率がピークの1/10になり始める部分の外径
を2aとして2a及び2bを測定し、a/bを求めた。
結果を図6に示す。
型の光ファイバ用ガラス母材を製造すると、比屈折率差
の低下が殆どなく、GeO2 が抜けてコアが細くなるこ
ともないことがわかる。
例1と同様のガラス微粒子堆積体を用いて、脱水時加熱
温度1000℃、GeCl4 濃度を0.02,0.0
4,0.1,0.11,0.14,1.5体積%とした
以外は実施例1と同様に脱水し、実施例1と同様に透明
ガラス化して透明ガラス母材を得た。
1.38μmでの伝送損失(dB/km )を測定した結果
を、図7に示す。脱水処理時の雰囲気中のGeCl4 濃
度が0.2体積%以上であると、波長1.38μmでの
伝送損失が飛躍的によくなる。
ラス化は実施例2と同様の炉を用いた。1%GeCl4
含有He雰囲気を脱水ガスとして用いて、脱水工程の脱
水雰囲気ガス開始温度を700℃〜1100℃の各温度
とし、開始温度から5℃/分で昇温し、次に1100℃
で30分間恒温保持して脱水し、その後雰囲気ガスを
He100%に切り替え、2℃/分の昇温速度で温度1
500℃まで昇温し、この温度で30分間保持して透明
ガラス化した。得られた各透明ガラス母材の波長1.3
8μmにおける吸収(伝送損失dB/km)を測定した結果
を、脱水工程開始温度と脱水効果の関係を示す図として
図8にまとめて示す。
度が1000℃と1100℃の場合に、伝送損失が大き
い、すなわちOH基存在が多いことがわかる。この理由
としは、高温の状態で急にGeCl4 を供給すると、ガ
ラス微粒子堆積体表面等のOH基に反応してGeO2 の
濃度が高い層を形成してしまい、GeCl4 がガラス微
粒子堆積体の内部まで浸透することを妨げ、結果的に脱
水効率が低下することになることが考えられる。従っ
て、GeCl4 含有不活性ガス雰囲気の供給は、100
0℃未満、好ましくは700℃〜1000℃程度の比較
的低い温度で開始し、前記反応を起こさせずにガラス微
粒子堆積体にGeCl4 を吸着させておくことが、脱水
効率向上に有効である。
始後の昇温は5℃/分の例を挙げたが、本発明途上の実
験結果から、脱水雰囲気ガス供給開始後の昇温は好まし
くは100℃/分以下、より好ましくは30℃/分以下
とすると、ガス吸着に充分な時間がとれるため、有利で
ある。
と、GeO2 が生成することから、GeO2 の発生をな
くすため、雰囲気中のO2 濃度は100ppm以下とす
ることが望ましい。特に母材製造例としては示さない
が、温度1200℃の電気炉中、O2 100cc/分、
GeCl4 50cc/分、He20リットル/分を供給
すると、GeO2 スートが炉内に形成されたが、O2 の
供給量を20cc/分にまで低下すると、GeO2 スー
トは発生しなくなることが確認された。
くともその一部にGeO2 を添加されているガラス微粒
子堆積体を、GeO2 添加量の低減なくしかも充分に脱
水して透明化することが可能であり、高品質な光ファイ
バ用母材を製造することができる。従来のCl2 を脱水
剤として用いる脱水又はCl化合物とO2 を含有する雰
囲気が脱水する場合の種々の問題点も解決でき、高濃度
のGeO2 層形成等もない。また、脱水処理による低減
を見越して従来は設計値より多量のGeO2 を添加して
おき、脱水、焼結工程に付したが、本発明によればこの
ような無駄なGeO2 の添加はなくなり、コスト的に有
利にまた品質的に安定した製造が可能となる。
水処理時の加熱温度(℃)とガラスの比屈折率差(△
n)の関係を示すグラフ図である。
水処理時の加熱温度と透明化後の母材のコア径/クラッ
ド径(a/b)の関係を示すグラフ図である。
脱水処理時の加熱温度と透明化後の母材の波長1.38
μmにおける伝送損失増加(dB/km )の関係を示すグラ
フ図である。
脱水剤の種類とクラッドにおける屈折率上昇の関係を示
すグラフ図である。
脱水処理時の加熱温度(℃)とガラスの比屈折率差(△
n)の関係を示すグラフ図である。
脱水処理時の加熱温度と透明化後の母材のコア径/クラ
ッド径(a/b)の関係を示すグラフ図である。
気中GeCl4 濃度(体積%)と、透明化後の母材の母
材の波長1.38μmにおける伝送損失増加(dB/km )
の関係を示すグラフ図である。
活性ガス雰囲気の供給開始温度と、透明化後の母材の波
長1.38μmにおける伝送損失増加(dB/km )の関係
を示すグラフ図である。
SMF(シングルモードファイバ)用コア母材の屈折率
構造を説明する図である。
のコア母材の屈折率構造を説明する図である。
における伝送損失(dB/km )増加の種々の態様を説明す
る図である。
略図であり、(a)はSMF用コア材作成工程、(b)
はGI型コア材作成工程を示す。
(a)及び焼結処理工程(b)を示す概略説明図であ
る。
及び焼結処理工程(b)を示す概略説明図である。
合成用バーナー(コア堆積用)、4 ガラス微粒子合成
用バーナー(クラッド堆積用)、5 反応容器、
6 支持棒、 7 出発ガラス棒、
8及び9 火炎、 10 ガラス微粒子堆積体、
11 炉心管、12 炉心管上蓋、 13 排気管、
14 支持棒、15 ヒーター、
16 断熱材、 17 ゾーン型加熱炉炉体、18
雰囲気ガス供給管、 19 ヒーター、20 均熱型
加熱炉炉体、21 透明ガラス母材。
Claims (9)
- 【請求項1】 少なくともその一部にGeO2 が添加さ
れたガラス微粒子堆積体を脱水処理及び焼結処理するこ
とにより透明ガラス化する光ファイバ用ガラス母材の製
造方法において、前記脱水処理がGeCl4 を含有する
不活性ガス雰囲気下1000℃以上で加熱する工程を含
むことを特徴とする光ファイバ用ガラス母材の製造方
法。 - 【請求項2】 前記脱水処理がGeCl4 を含有する不
活性ガス雰囲気下1000℃〜1400℃で加熱する工
程を含むことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ用
ガラス母材の製造方法。 - 【請求項3】 前記GeCl4 含有不活性ガス雰囲気中
のGeCl4 濃度が0.2体積%以上であることを特徴
とする請求項1又は2記載の光ファイバ用ガラス母材の
製造方法。 - 【請求項4】 前記脱水処理がGeCl4 を含有する不
活性ガス雰囲気下1000℃以上で加熱する工程の前
に、予めCl2 含有不活性ガス雰囲気中で加熱する工程
を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
に記載の光ファイバ用ガラス母材の製造方法。 - 【請求項5】 前記脱水処理がCl2 及びGeCl4 を
含有する不活性ガス雰囲気下で加熱する工程を含むこと
を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光フ
ァイバ用ガラス母材の製造方法。 - 【請求項6】 前記脱水処理がCl2 及び/又はGeC
l4 含有不活性ガス雰囲気下での昇温工程及びGeCl
4 含有不活性ガス雰囲気下において前記昇温工程の温度
以上の温度で定温保持する工程を含むすることを特徴と
する請求項1ないし5のいずれかに記載の光ファイバ用
ガラス母材の製造方法。 - 【請求項7】 前記昇温工程における昇温速度が100
℃/分以下であることを特徴とする請求項6記載の光フ
ァイバ用ガラス母材の製造方法。 - 【請求項8】 前記焼結処理を不活性ガス雰囲気中で行
うことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ用ガラス
母材の製造方法。 - 【請求項9】 前記脱水処理及び焼結処理における雰囲
気中のO2 濃度を100ppm以下とすることを特徴と
する請求項1又は8記載の光ファイバ用ガラス母材製造
方法。
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