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JP2003108062A - 画像表示装置及び画像表示装置の調整方法 - Google Patents

画像表示装置及び画像表示装置の調整方法

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Publication number
JP2003108062A
JP2003108062A JP2001304608A JP2001304608A JP2003108062A JP 2003108062 A JP2003108062 A JP 2003108062A JP 2001304608 A JP2001304608 A JP 2001304608A JP 2001304608 A JP2001304608 A JP 2001304608A JP 2003108062 A JP2003108062 A JP 2003108062A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
correction
image data
data
circuit
image display
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001304608A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Sagano
治 嵯峨野
Naoto Abe
直人 阿部
Yutaka Saito
裕 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2001304608A priority Critical patent/JP2003108062A/ja
Publication of JP2003108062A publication Critical patent/JP2003108062A/ja
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  • Transforming Electric Information Into Light Information (AREA)
  • Control Of Indicators Other Than Cathode Ray Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 好適な補正を行うことを可能とする。 【解決手段】 マトリクス配線によって駆動する複数の
表示素子を有する構成において、複数の補正条件を反映
した調整用の画像を表示し、好適な条件を選択する。選
択した条件によって調整した補正画像データを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マトリクス配線さ
れた複数の表示素子を備える表示パネルを用いてテレビ
ジョン信号やコンピュータなどの表示信号を受信し画像
を表示するテレビジョン受信機やディスプレイ装置など
の画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来は、M本の行配線及びN本の列配線
に配線されてマトリクス状に配列されたN×M個の表示
素子を有し、行配線に対して順次走査を行うと共に、列
方向に変調を行うことによって、1行分の素子群を同時
に駆動していた。
【0003】例えば表示素子として表面伝導型放出素子
を用いた構成の一例としては、特開平8−248920
号公報を挙げることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平8−24892
0号公報にも例示されているが、画像表示装置において
は好適な画像表示を実現するために補正を行うことがあ
る。
【0005】具体的な一例を示すと、特開平8−248
920号公報では走査配線上での電圧降下を指摘し、該
電圧降下を補償する補正を行う構成が開示されている。
【0006】これに対し本発明者らは、さらに好適な補
正を行うために、後述するような補正を行うハードウエ
アについて鋭意検討してきた。
【0007】また、画像表示装置の特性の個体差によっ
て、例えば配線抵抗の僅かな差によって、最適な補正条
件が異なる場合もある。
【0008】また本発明の画像表示装置に用いる画像表
示素子は、長時間使用したときに特性が僅かながら劣化
することがあり、これに付随して電圧降下量も変化し、
最適な補正条件が僅かではあるが変化することがあっ
た。
【0009】また、マトリクス配線を用いて複数の表示
素子を線順次駆動する構成においては特有の問題として
配線における電圧降下の影響があり、特有の表示特性を
有する。
【0010】本発明は上記の従来技術の課題を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、マト
リクス配線を用いて複数の表示素子を駆動する画像表示
装置において、補正条件を好適に決定できる構成を実現
する画像表示装置及び画像表示装置の調整方法を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にあっては、マトリクス配線を構成する複数の
行配線及び複数の列配線を介して駆動され、画像表示に
用いられる画像表示素子と、前記行配線を順次選択する
走査回路と、前記走査回路によって選択された行配線に
接続される複数の前記画像表示素子をそれぞれ変調する
信号を前記複数の列配線に供給する変調回路と、を備え
る画像表示装置であって、所定画像データに対してそれ
ぞれ異なる複数の調整用補正条件で補正を行った複数の
調整用データを出力するパターン出力回路と、入力され
た画像データを補正した補正画像データを算出する回路
であって、前記複数の調整用補正条件のそれぞれに対応
する複数の補正条件から選択された補正条件に基づいて
補正画像データを算出する補正画像データ算出回路と、
を有することを特徴とする。
【0012】ここで画像表示素子とは例えばEL素子の
ような発光素子を好適に用いることができる。
【0013】また、それ自体発光するものではなくても
電子放出素子のように蛍光体と組み合わせることで発光
素子となる素子も好適に採用できる。
【0014】この発明の構成により、複数の調整用補正
条件を反映した複数の調整用データを表示できるので、
調整者は各調整用補正条件を反映して表示される調整用
画像に基づいて好適な補正条件を選択することができ
る。
【0015】通常の画像表示をしている状態では何らか
の違和感を感じてもどのように補正条件を変更すればど
のように画像の表示状態が変化するのかが分かりづら
い。
【0016】この発明ではパターン出力回路を有してい
るため調整用画像を表示することができ、補正条件の差
異を長時間画像を見ることなく認識することができる。
【0017】補正画像データ算出回路にはどの補正条件
を使うべきかを示す信号が送られ、以降選択された補正
条件に基づいて画像画像データが算出される。
【0018】なお、ある調整用補正条件と対応する補正
条件のパラメータの値は該調整用補正条件として用いる
パラメータの値近傍の値(該調整用補正条件として用い
るパラメータの値との差が他の調整用補正条件として用
いるパラメータの値との差よりも小さい)とするとよ
く、特には同一の値とすると好適である。
【0019】例えば、複数の調整用補正条件が所定画像
データにかけるそれぞれ異なるゲインであるとき、補正
画像データ算出回路で用いられる複数の補正条件として
は複数の調整用補正条件である複数のゲインをそのまま
使うとよい。
【0020】また、パターン出力回路は、外部からの信
号(好適には調整者によって入力される信号)によって
どの調整用データを出力するかを決める構成や、外部か
らの選択信号が無くても順次複数の調整用データを出力
する構成を採用できる。
【0021】また、以上述べた発明において、前記パタ
ーン出力回路からの出力もしくは前記補正画像データ算
出回路からの出力のいずれかを選択して前記変調回路に
出力する選択回路を有する構成とすると変調回路を共有
できるので好適である。
【0022】また、実施の形態で詳細に述べるが、ある
補正を行うときに、補正データを画像データに演算して
補正画像データを生成したとき、その補正画像データを
好適に変調できない場合がある。
【0023】例えば、補正データを画像データに加算す
ることによって補正画像データを発生したとき、該補正
画像データが変調回路が変調することができる信号の上
限値を超える場合がある。補正画像データが該上限値を
超えた場合には、補正画像データに直接対応する表示を
することができない。
【0024】この場合、調整を行って画像表示を実現す
ることを本願発明者は発明した。このような調整の強度
の選択は本願でいう補正条件の選択の一例である。
【0025】また、前記補正画像データ算出回路におい
て用いる複数の補正条件は、前記補正画像データを算出
するときに用いる複数の異なるゲインである構成を好適
に採用できる。後述するように、入力された画像データ
を補正データに基づいて補正するときに、該補正データ
による補正の程度を設定するために該補正データに乗算
する複数のゲインとして前記複数の補正条件を設定でき
る。また後述するように電圧降下を算出する際に用いる
素子電流値に乗算する複数の係数を複数の補正条件とし
て設定できる。
【0026】また、所定値よりも大きい前記補正画像デ
ータが前記変調回路に入力されないように制限するリミ
ッタを有する場合に本願発明を好適に採用できる。
【0027】また、前記補正画像データ算出回路は、入
力される画像データに基づく補正データと前記選択され
た補正条件とに基づいて、入力された画像データを補正
した補正画像データを算出するものである場合に本願発
明を好適に採用できる。
【0028】また、前記補正画像データ算出回路は、前
記行配線もしくは前記列配線もしくはその両方で生じる
電圧降下を補償する補正データと前記選択された補正条
件とに基づいて、入力された画像データを補正した補正
画像データを算出するものである構成を好適に採用でき
る。
【0029】以下で詳細に示すように、マトリクス構成
において、行配線を走査選択する走査回路を用いて線順
次駆動(走査回路によって選択された行配線上の複数の
表示素子に同時に変調機会を与える駆動)を行うときに
は、行配線上における電圧降下が列配線上における電圧
降下に比べて大きく、また駆動条件によって変動しやす
いため、行配線での電圧降下を補償する補正を行うと好
適である。ただし、列配線における電圧降下を補償する
補正を行ってもよく、また行配線、列配線双方での電圧
降下を補償する補正を行ってもよい。
【0030】前記補正画像データ算出回路が、前記補正
データを算出する補正データ算出回路と、前記補正デー
タと前記入力される画像データを演算する演算回路とを
有する構成、また、前記選択された補正条件に基づいて
前記演算回路の出力を調整する調整回路を更に有する構
成を好適に採用できる。
【0031】なお、演算回路の出力の調整は画像データ
と補正データとを演算する前のデータを調整することに
よって行ってもよく、以下で説明する実施の形態では画
像データと演算する前の補正データを調整することによ
って結果として演算回路の出力を調整している。
【0032】また、前記補正画像データ算出回路は、同
一行配線に沿って設定された複数の基準点によって前記
行配線を複数のブロックに分割し、各ブロック内の画像
表示素子を駆動する信号の和に対応するデータに基づい
て各基準点における電圧降下を算出して各基準点に対応
する前記補正データを発生する構成を好適に採用でき、
このとき、前記補正画像データ算出回路は、前記各基準
点以外の位置に対応する前記補正データを前記複数の基
準点に対応する前記補正データを補間することによって
得るものであるとよい。
【0033】また、前記変調回路は入力されるデータに
応じてパルス幅変調信号を発生する回路であり、前記補
正画像データ算出回路は、前記走査回路が一つの行配線
を選択する期間内に離散的に設定した複数の時点におい
てそれぞれ用いる複数の前記補正データを発生する構成
を好適に採用でき、このとき、前記補正画像データ算出
回路は、前記複数の時点以外の時点に対応する前記補正
データを前記複数の基準点に対応する前記補正データを
補間することによって得るものであるとよい。
【0034】また本願は画像表示装置の調整方法として
以下の発明を含んでいる。
【0035】マトリクス配線を構成する複数の行配線及
び複数の列配線を介して駆動され、画像表示に用いられ
る画像表示素子と、前記行配線を順次選択する走査回路
と、前記走査回路によって選択された行配線に接続され
る複数の前記画像表示素子をそれぞれ変調する信号を前
記複数の列配線に供給する変調回路と、を備える画像表
示装置の調整方法であって、所定画像データに対してそ
れぞれ異なる複数の調整用補正条件で補正を行った複数
の調整用データに基づく複数の調整用画像を表示し、
該表示結果に基づいて前記複数の調整用画像の内のいず
れかを選択し、入力された画像データを補正した補正画
像データを算出する回路で用いる補正条件として、前記
選択した調整用画像を表示するときに用いた調整用デー
タで用いられていた前記調整用補正条件に対応する補正
条件を設定する、ことを特徴とする。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に説明
する。
【0037】以下では表面伝導型放出素子を表示素子と
して用い、補正としては行配線(走査配線)おける電圧
降下を考慮し、それによる影響を補償する補正を行って
いる例を述べる。
【0038】以下に図面を参照して、この発明の好適な
実施形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施
形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、そ
の相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、こ
の発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではな
い。
【0039】(第1の実施形態)まず、本発明の第1の
実施形態を説明する。
【0040】(全体概要)冷陰極素子を単純マトリクス
に配置した表示装置においては、走査配線に流れ込む電
流と、走査配線の配線抵抗により電圧降下が発生し、表
示画像が劣化するという現象がある。そこで、本発明の
実施形態に係る画像表示装置では、このような走査配線
における電圧降下が表示画像に与える影響を好適に補正
する処理回路を設け、それを比較的小さな回路規模で実
現するように構成した。
【0041】補正のための回路は、入力画像データに応
じて電圧降下のために生じる表示画像の劣化を予測計算
し、それを補正する補正データを求め、入力された画像
データに補正を施すものである。
【0042】このような補正のための回路を内蔵した画
像表示装置として、発明者らは以下に示すような方式の
画像表示装置について鋭意検討を行ってきた。
【0043】以下、本発明について説明するに際して、
まず、本発明の実施形態に係る画像表示装置の表示パネ
ルの概観、表示パネルの電気的接続、表面伝導型放出素
子の特性、表示パネルの駆動方法、このような表示パネ
ルによって画像を表示する際の走査配線の電気抵抗に起
因する駆動電圧の低下の機構、及び、電圧降下の影響に
対する補正方法及び装置について説明する。
【0044】(画像表示装置の概観)図1は、本実施形
態に係る画像表示装置に用いた表示パネルの斜視図であ
り、内部構造を示すためにパネルの一部を切り欠いて示
している。図中、1005はリアプレート、1006は
側壁、1007はフェースプレートであり、1005〜
1007により表示パネルの内部を真空に維持するため
の気密容器を形成している。
【0045】リアプレート1005には、基板1001
が固定されているが、該基板上には冷陰極素子1002
がN×M個形成されている。行配線(走査配線)100
3,列配線(変調配線)1004及び冷陰極素子は図2
のように接続されている。
【0046】このような結線構造を単純マトリクスと呼
んでいる。
【0047】また、フェースプレート1007の下面に
は、蛍光膜1008が形成されている。本実施形態に係
る画像表示装置はカラー表示装置であるため、蛍光膜1
008の部分にはCRTの分野で用いられる赤、緑、
青、の3原色の蛍光体が塗り分けられている。蛍光体
は、リアプレート1005の各画素(絵素)に対応して
マトリクス状に形成された、冷陰極素子からの放出電子
(放出電流)の照射される位置に対して、画素を形成す
るように構成されている。
【0048】蛍光膜1008の下面にはメタルバック1
009が形成されている。
【0049】Hvは高圧端子でありメタルバック100
9に電気的に接続されている。Hv端子に高電圧を印加
することによりリアプレート1005とフェースプレー
ト1007の間に高電圧が印加される。
【0050】本実施形態では、以上のような表示パネル
の中に冷陰極素子として表面伝導型放出素子を作製し
た。冷陰極素子としては電界放出型の素子を用いること
もできる。また、冷陰極素子以外のEL素子のような自
ら発光する素子をマトリクス状配線に接続して駆動する
画像表示装置にも本発明を適用することができる。
【0051】(表面伝導型放出素子の特性)表面伝導型
放出素子は、図3に示すような(放出電流Ie)対(素
子印加電圧Vf)特性、及び(素子電流If)対(素子
印加電圧Vf)特性を有する。なお、放出電流Ieは素
子電流Ifに比べて著しく小さく、同一尺度で図示する
のが困難であるため、2本のグラフは各々異なる尺度で
図示した。
【0052】すなわち、放出電流Ieに関して以下に述
べる3つの特性を有している。
【0053】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vth
と呼ぶ)以上の電圧を素子に印加すると急激に放出電流
Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電圧で
は放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0054】すなわち、放出電流Ieに関して、明確な
閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0055】また第二に、放出電流Ieは素子に印加す
る電圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfを可変す
ることにより、放出電流Ieの大きさを制御できる。
【0056】また第三に、冷陰極素子は高速な応答性を
有しているため、電圧Vfの印加時間により放出電流I
eの放出時間を制御できる。
【0057】以上のような特性の利用により、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができる。例
えば、図1に示した表示パネルを用いた画像表示装置に
おいて、第一の特性を利用すれば、表示画面を順次走査
して表示を行うことが可能である。すなわち、駆動中の
素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vth以上の
電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値電圧Vt
h未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次切り替え
ることにより、表示画面を順次走査して表示を行うこと
が可能である。
【0058】また、第二の特性を利用することにより、
素子に印加する電圧Vfにより、蛍光体の発光輝度を制
御することができ、画像表示を行うことが可能である。
【0059】また、第三の特性を利用することにより、
素子に電圧Vfを印加する時間により、蛍光体の発光時
間を制御することができ、画像の表示を行うことができ
る。
【0060】本発明の画像表示装置では表示パネルの電
子ビームの量を上記第三の特性を用いて変調を行った。
【0061】(表示パネルの駆動方法)図4を用いて本
発明の表示パネルの駆動方法を具体的に説明する。
【0062】図4は本発明の実施の形態に係る画像表示
装置の表示パネルを駆動した際に走査配線及び変調配線
の電圧供給端子に印加した電圧の一例である。
【0063】いま、水平走査期間Iはi行目のピクセル
を発光させる期間とする。
【0064】i行目のピクセルを発光させるためには、
i行目の走査配線を選択状態とし、その電圧供給端子D
xiに選択電位Vsを印加する。また、それ以外の走査
配線の電圧供給端子Dxk(k=1,2,...N、た
だしk≠i)は非選択状態とし、非選択電位Vnsを印
加する。
【0065】本例では、選択電位Vsを図3に記載の電
圧VSELの半分の−0.5VSELに設定し、非選択電位V
nsはGND電位とした。
【0066】また、変調配線の電圧供給端子には、電圧
振幅Vpwmのパルス幅変調信号(電位Vpwmとグラ
ンド電位とのいずれかを出力する信号)を供給した。j
番目の変調配線に供給するパルス幅変調信号のパルス幅
は、従来、補正を行わない場合は、表示する画像の第i
行第j列のピクセルの画像データの大きさに応じて決定
し、すべての変調配線に各々のピクセルの画像データの
大きさに応じたパルス幅変調信号を供給していた。
【0067】なお、本発明においては、後述するよう
に、電圧降下の影響による、輝度の低下を補正するため
に、j番目の変調配線に供給するパルス幅変調信号のパ
ルス幅は、表示する画像の第i行第j列のピクセルの画
像データの大きさと、その補正量に応じて決定し、すべ
ての変調配線にパルス幅変調信号を供給する。本実施形
態では、電位Vpwmは+0.5VSELに設定した。
【0068】表面伝導型放出素子は、図3に示したよう
に素子の両端間に電圧VSELが印加されると電子を放出
させるが、印加電圧がVthよりも小さい電圧では全く
電子を放出しない。
【0069】また、電圧Vthが図3に示すように、
0.5VSELよりも大きくなるようにVSELは設定され
る。
【0070】このため、非選択電位Vnsが印加されて
いる走査配線に接続された表面伝導型放出素子からは電
子は放出されない。
【0071】また、同じように、パルス幅変調手段の出
力がグランド電位である期間(以降、出力が”L”の期
間と呼ぶ)は、選択された走査配線上の表面伝導型放出
素子の両端に印加される電圧はVsであるため、電子は
放出されない。
【0072】選択電位Vsが印加された走査配線上の表
面伝導型放出素子からは、パルス幅変調手段の出力がV
pwmである期間(以降、出力が”H”の期間と呼ぶ)
に応じて電子が放出される。電子が放出されれば放出さ
れた電子ビームの量に応じて前述の蛍光体が発光するた
め、放出された時間に応じた輝度を発光させることがで
きる。
【0073】本発明の実施形態に係る画像表示装置も、
このような表示パネルを線順次走査、パルス幅変調する
ことによって画像を表示している。
【0074】(走査配線での電圧降下について)上述し
たように、画像表示装置の抱える根本的な課題は、表示
パネルの走査配線における電圧降下によって、走査配線
上の電位が上昇することにより、表面伝導型放出素子に
印加される電圧が減少するため、表面伝導型放出素子か
らの放出電流が低減してしまうことである。
【0075】以下、この電圧降下の機構について説明す
る。
【0076】表面伝導型放出素子の設計仕様や製法によ
っても異なるが、表面伝導型放出素子の1素子分の素子
電流は電圧VSELを印加した場合に数100μA程度で
ある。
【0077】このため、ある水平走査期間において選択
された走査線上の1ピクセルのみを発光させ、それ以外
のピクセルは発光させない場合には、変調配線から選択
行の走査配線に流入する素子電流は1ピクセル分の電流
(すなわち上述の数100μA)だけであるため、電圧
降下はほとんど生じることはなく、発光輝度が低下する
ことはない。
【0078】しかし、ある水平走査期間において、選択
された行の全ピクセルを発光させる場合には、全変調配
線から選択状態としている走査配線に対し、全ピクセル
分の電流が流入するため、電流の総和は数100mA〜
数Aとなり、走査配線の配線抵抗によって走査配線上に
電圧降下が発生していた。
【0079】走査配線上に電圧降下が発生すれば、表面
伝導型放出素子の両端に印加される電圧が低下する。こ
のため表面伝導型放出素子から発光される放出電流が低
下してしまい、結果として発光輝度が低下していた。
【0080】具体的に、表示画像として、図5(a)に
示したような黒の背景に白い十字状のパターンを表示し
た場合を考えてみる。
【0081】すると同図の行Lを駆動する際には、点灯
しているピクセルの数が少ないため、その行の走査配線
上にはほとんど電圧降下が生じない。その結果各ピクセ
ルの表面伝導型放出素子からは所望の量の放出電流が放
出され、所望の輝度で発光させることができる。
【0082】一方、同図の行L’を駆動する際には、同
時にすべてのピクセルが点灯するため、走査配線上に電
圧降下が発生し、各ピクセルの表面伝導型放出素子から
の放出電流が減少する。その結果、行L’のラインでは
輝度が低下することとなる。
【0083】このように、1水平ラインごとの画像デー
タの違いにより、電圧降下によって受ける影響が変化す
るため、図5(a)のような十字パターンを表示する際
には同図(b)のような画像が表示されてしまってい
た。
【0084】なお、この現象は十字パターンに限るもの
ではなく、例えばウインドウパターンや、自然画像を表
示した際にも発生するものである。
【0085】また、更に複雑なことに、電圧降下の大き
さはパルス幅変調によって変調を行うことにより1水平
走査期間の中でも変化する性質を持っている。
【0086】各列に供給するパルス幅変調信号が、図4
に示したように入力されるデータに対し、そのデータの
大きさに依存したパルス幅の、立ち上がりが同期したパ
ルス幅変調信号を出力する場合には、入力画像データに
もよるが一般的には、1水平走査期間の中では、パルス
の立ち上がり直後ほど点灯しているピクセルの数が多
く、その後輝度の低い箇所から順に消灯していくため、
点灯するピクセルの数は一水平走査期間の中では、時間
を追って減少する。
【0087】従って、走査配線上に発生する電圧降下の
大きさも、1水平走査期間の初めほど大きく次第に減少
していく傾向がある。
【0088】パルス幅変調信号は変調の1階調に相当す
る時間ごとに出力が変化するため、電圧降下の時間的な
変化もパルス幅変調信号の1階調に相当する時間毎に変
化する。
【0089】以上、走査配線における電圧降下について
説明した。
【0090】(電圧降下の計算方法)次に、電圧降下の
影響に対する補正の仕方について詳述する。
【0091】発明者らは、電圧降下の影響を低減するた
めの補正量を求めるには、まずその第一段階として、電
圧降下の大きさとその時間変化をリアルタイムに予測す
るハードウエアを開発することが必要と考えた。
【0092】しかし、本発明の実施形態に係る画像表示
装置の表示パネルとしては、数千本もの変調配線を備え
ることが一般的であり、変調配線のすべてと走査配線と
の交点の電圧降下を計算することは非常に困難であると
ともに、それをリアルタイムで計算するハードウエアを
作製することは現実的ではなかった。
【0093】一方、発明者らが電圧降下の検討を行った
結果、以下のような特徴があることが分かってきた。
【0094】i)一水平走査期間のある時点において
は、走査配線上に発生する電圧降下は走査配線上で空間
的に連続的な量であり非常に滑らかなカーブである。
【0095】ii)電圧降下の大きさは表示画像によっ
ても異なるが、パルス幅変調の1階調に相当する時間毎
に変化し、概略的には、パルスの立ち上がり部分ほど大
きく、時間的には次第に小さくなるか、もしくはその大
きさを維持するかのどちらかである。
【0096】すなわち、図4のような駆動方法では1水
平走査期間の中で電圧降下の大きさが増加することはな
い。
【0097】そこで、発明者らは、上述したような特徴
を鑑みて、以下のような近似モデルにより簡略化して計
算を行うことによって、計算量を低減できないか検討を
行った。
【0098】まず、i)の特徴から、ある時点の電圧降
下の大きさを計算するのに際して、数千本もの変調配線
を数本〜数十本の変調配線に集中化した縮退モデルによ
って近似的に簡略化して計算することができないか検討
を行った。
【0099】なお、これについては以下の縮退モデルに
よる電圧降下の計算で詳細に説明する。
【0100】また、ii)に挙げた特徴から、1水平走
査期間の中に複数の時刻を設け、各時刻に対し電圧降下
を計算することで電圧降下の時間変化を概略的に予測す
ることとした。
【0101】具体的には以下で説明する縮退モデルによ
る電圧降下の計算を複数の時刻に対して計算することに
よって、電圧降下の時間変化を概略的に予測した。
【0102】(縮退モデルによる電圧降下の計算)図6
(a)は、縮退を行う際のブロック及びノードを説明す
るための図である。
【0103】同図では図を簡略化するため、選択された
走査配線と各変調配線およびその交差部に接続される表
面伝導型放出素子のみを記載した。
【0104】いま一水平走査期間の中のある時刻であっ
て、選択された走査配線上の各ピクセルの点灯状態(す
なわち変調手段の出力が”H”であるか、”L”である
か)が分かっているものとする。
【0105】この点灯状態において、各変調配線から選
択された走査配線へ流れ込む素子電流をIfi(i=
1,2,...N,iは列番号)と定義する。
【0106】また、同図に示すように、n本の変調配線
と選択された走査配線のそれと交差する部分及び、その
交点に配置される表面伝導型放出素子を1つのグループ
としてブロックを定義する。本例では、ブロック分けを
行うことで4つのブロックに分割した。
【0107】また、各々のブロックの境界位置において
ノードという位置を設定した。ノードとは、縮退モデル
において走査配線上に発生する電圧降下量を離散的に計
算するための水平位置(基準点)である。
【0108】本例ではブロックの境界位置に、ノード0
〜ノード4の5つのノードを設定した。
【0109】図6(b)は縮退モデルを説明するための
図である。
【0110】縮退モデルでは同図(a)の1ブロックに
含まれるn本の変調配線を1本に縮退化し、縮退化され
た1本の変調配線が、走査配線のブロックの中央に位置
するように接続した。
【0111】また、縮退化された各々のブロックの変調
配線には電流源が接続されており、各電流源から各々の
ブロック内の電流の総和IF0〜IF3が流れ込むもの
とした。
【0112】すなわち、IFj(j=0,1,2,3)
は、
【数1】 として表される電流である。
【0113】また、走査配線の両端の電位が同図(a)
の例ではVsであるのに対し、同図(b)ではGND電
位としているのは、縮退モデルでは、変調配線から選択
した走査配線に流れ込む電流を上記電流源によりモデリ
ングしたことにより、走査配線上の各部の電圧降下量
は、その給電部を基準(GND)電位として各部の電圧
(各部の電位と基準電位との電位差)を算出することによ
り計算できるためである。つまり、電圧降下を算出する
上での基準電位として規定した。
【0114】また、表面伝導型放出素子を省略している
のは、選択された走査配線から見た場合に、列配線から
同等の電流が流れ込めば、表面伝導型放出素子の有無に
よらず、発生する電圧降下自体は変わらないためであ
る。従って、ここでは、各ブロックの電流源から流れ込
む電流値を各ブロック内の素子電流の総和の電流値(式
1)に設定することで表面伝導型放出素子を省略した。
【0115】また、各ブロックの走査配線の配線抵抗は
一区間の走査配線の配線抵抗rのn倍とした(ここで一
区間とは走査配線の、ある列配線との交差部とその隣の
列配線との交差部の間のことを指している。また本例で
は、一区間の走査配線の配線抵抗は均一であるものとし
た。)。
【0116】このような縮退モデルにおいて、走査配線
上の各ノードにおいて発生する電圧降下量DV0〜DV
4は以下のような積和形式の式により、簡単に計算する
ことができる。
【0117】
【数2】 となる。
【0118】すなわち、
【数3】 が成立する。
【0119】ただし、aijは縮退モデルにおいてj番
目のブロックだけに単位電流を注入したときに、i番目
のノードに発生する電圧(i番目のノードにおける電位
と、電圧降下量算出のための基準位置(ここでは走査配
線の給電部)の電位(ここではグランド電位としてい
る)との電位差)である(以下、これをaijと定義す
る。)。
【0120】上記のaijはキルヒホフの法則により以
下のように簡単に導出できる。
【0121】すなわち、図6(b)において、ブロック
iの電流源からみた走査配線の左側の供給端子までの配
線抵抗をrli(i=0,1,2,3),右側の供給端
子までの配線抵抗をrri(i=0,1,2,3),ブ
ロック0と左の供給端子との間の配線抵抗及びブロック
4と右の供給端子との間の配線抵抗をいずれもrtと定
義すれば、
【数4】 が成立する。
【0122】更に、
【数5】 とおく。
【0123】すると、aijは、
【数6】 以上(式3)のように簡単に導出できる。ただし式3に
おいて、A//Bとは、抵抗Aと抵抗Bの並列の抵抗値
を表す記号であって、A//B=A×B/(A+B)で
ある。
【0124】式2はブロック数が4でない場合において
も、aijの定義を顧みれば、キルヒホフの法則によっ
て簡単に算出することができる。また、本例のように走
査配線の両側に給電端子を備えず片側のみに備える場合
においても、aijの定義に従って計算することにより
簡単に算出できる。
【0125】なお、式3によって定義されるパラメータ
aijは計算を行うたびに計算し直す必要はなく、一度
計算してテーブルとして記憶しておけばよい。
【0126】更に、式1で定めた各ブロックの総和電流
IF0〜IF3に対し、
【数7】 に示す近似を行った。
【0127】ただし、上式においてCountiは選択
された走査線上のi番目のピクセルが点灯状態である場
合には1をとり、消灯状態である場合には0をとる変数
である。
【0128】IFSは表面伝導型放出素子1素子の両端
に電圧VSELを印加したときに流れる素子電流IFに対
し、0〜1の間の値をとる係数αをかけた量である。
【0129】すなわち、
【数8】 と定義した。
【0130】αは電圧降下の影響が生じない場合に流れ
る電流量と実際に流れる電流量との差を補償する係数で
あるので、αの値を変えながら、各αの値において、電
圧降下量が異なる種々の画像(例えば平均輝度が異なる
種々の画像)を表示し、最も適当なαの値を決めればよ
い。ここではαを0.7とした。
【0131】式4は、選択された走査配線に対し各ブロ
ックの列配線から該ブロック内の点灯数に比例した素子
電流が流れ込むものとしている。この際1素子の素子電
流IFに係数αをかけたものを1素子の素子電流IFS
としたのは、電圧降下により走査配線の電圧が上昇する
ことにより、素子電流の量が減少することを考慮したも
のである。
【0132】図6(c)は、ある点灯状態において、縮
退モデルにより各ノードの電圧降下量DV0〜DV4を
計算した結果の一例である。
【0133】電圧降下は非常に滑らかなカーブとなるた
め、ノードとノードの間の電圧降下は近似的には図の点
線に示したような値をとると想定される。
【0134】このように、本縮退モデルを用いれば、入
力された画像データに対し所望の時点でのノードの位置
での電圧降下を計算することが可能である。
【0135】以上、ある点灯状態における電圧降下量
を、縮退モデルを用いて簡単に計算した。
【0136】選択された走査配線上に発生する電圧降下
は一水平走査期間内で時間的に変化するが、これについ
ては前述したように一水平走査期間中のいくつかの時刻
に対して、そのときの点灯状態を求め、その点灯状態に
対し縮退モデルを用いて電圧降下を計算することにより
予測した。
【0137】なお、一水平走査期間のある時点での各ブ
ロック内の点灯数は各ブロックの画像データを参照すれ
ば簡単に求めることができる。
【0138】いま、1つの例としてパルス幅変調回路へ
の入力データのビット数が8ビットであるものとし、パ
ルス幅変調回路は、入力データの大きさに対してリニア
なパルス幅を出力するものとする。
【0139】すなわち入力データが0の時は、出力は”
L”となり、入力データが255の時一水平走査期間の
間は”H”を出力し、入力データが128の時には一水
平走査期間のうち初めの半分の期間は”H”を出力し、
後の半分の期間は”L”を出力するものとする。
【0140】このような場合、パルス幅変調信号の開始
時刻(本例の変調信号の例では立ち上がりの時刻)の点
灯数は、パルス幅変調回路への入力データが0よりも大
きいものの数をカウントすれば簡単に検出できる。
【0141】同様に一水平走査期間の中央の時刻の点灯
数は、パルス幅変調回路への入力データが128よりも
大きいものの数をカウントすれば簡単に検出できる。
【0142】このように画像データをある閾値に対して
コンパレートし、コンパレータの出力が真である数をカ
ウントすれば、任意の時間における点灯数が簡単に計算
することができる。
【0143】ここで以降の説明を簡単化するため、タイ
ムスロットという時間量を定義する。
【0144】すなわち、タイムスロットとは、一水平走
査期間の中のパルス幅変調信号の立ち上がりからの時間
を表しており、タイムスロット=0とは、パルス幅変調
信号の開始時刻直後の時刻を表すものと定義する。
【0145】タイムスロット=64とは、パルス幅変調
信号の開始時刻から、64階調分の時間が経過した時刻
を表すものと定義する。
【0146】同様にタイムスロット=128とは、パル
ス幅変調信号の開始時刻から、128階調分の時間が経
過した時刻を表すものと定義する。
【0147】なお、本例ではパルス幅変調は立ち上がり
時刻を基準として、そこからのパルス幅を変調した例を
示したが、同様に、パルスの立ち下がり時刻を基準とし
て、パルス幅を変調する場合でも、時間軸の進む方向と
タイムスロットの進む方向が逆となるが、同様に適用す
ることができることは言うまでもない。
【0148】(電圧降下量から補正データの計算)上述
したように、縮退モデルを用いて繰り返し計算を行うこ
とで一水平走査期間中の電圧降下の時間変化を近似的か
つ離散的に計算することができた。
【0149】図7は、ある画像データに対して、電圧降
下を繰り返し計算し、走査配線での電圧降下の時間変化
を計算した例である(ここに示されている電圧降下及び
その時間変化は、ある画像データに対する一例であっ
て、別の画像データに対する電圧降下は、また別の変化
をすることは当然である。)。
【0150】同図ではタイムスロット=0,64,12
8,192の4つの時点に対して、各々縮退モデルを適
用して計算を行うことに、それぞれの時刻の電圧降下を
離散的に計算した。
【0151】図7では各ノードにおける電圧降下量を点
線で結んでいるが、点線は図を見やすくするために記載
したものであって、本縮退モデルにより計算された電圧
降下は□、○、●、△で示した各ノードの位置において
離散的に計算した。
【0152】発明者らは、電圧降下の大きさとその時間
変化を計算可能となった次の段階として、電圧降下量か
ら画像データを補正する補正データを算出する方法につ
いて検討を行った。
【0153】図8は、選択した走査配線上に図7に示し
た電圧降下が発生した際に、点灯状態にある表面伝導型
放出素子から放出される放出電流を見積もったグラフで
ある。
【0154】縦軸は電圧降下がないときに放出される放
出電流の大きさを100%として、各時間、各位置の放
出電流の量を百分率で表しており、横軸は水平位置を表
している。
【0155】図8に示すように、ノード2の水平位置
(基準点)において、 タイムスロット=0の時の放出電流をIe0, タイムスロット=64の時の放出電流をIe1, タイムスロット=128の時の放出電流をIe2, タイムスロット=192の時の放出電流をIe3 とする。
【0156】同図は図7の電圧降下量と図3の“駆動電
圧対放出電流”のグラフから計算した。具体的には電圧
SELから電圧降下量を引いた電圧が印加された際の放
出電流の値を単に機械的にプロットしたものである。
【0157】従って、同図はあくまで点灯状態にある表
面伝導型放出素子から放出される電流を意味しており、
消灯状態にある表面伝導型放出素子が電流を放出するこ
とはない。
【0158】以下に、電圧降下量から画像データを補正
する補正データを算出する方法の説明を行う。
【0159】(補正データ算出方法)図9(a),
(b),(c)は図8の放出電流の時間変化から、電圧
降下量の補正データを計算する方法を説明するための図
である。同図は大きさが64の画像データに対する補正
データを算出した例である。
【0160】輝度の発光量は、放出電流パルスによる放
出電流を時間的に積分した、放出電荷量に他ならない。
従って以降では、電圧降下による輝度の変動を考えるの
にあたって、放出電荷量をもとに説明を行う。
【0161】いま、電圧降下の影響がない場合の放出電
流をIEとし、パルス幅変調の1階調に相当する時間を
Δtとするならば、画像データが64の時の、放出電流
パルスによって放出されるべき放出電荷量Q0は放出電
流パルスの振幅IEにパルス幅(64×Δt)をかけ
て、
【数9】 として表すことができる。
【0162】しかし、実際には、走査配線上の電圧降下
によって放出電流が低下する現象が発生する。
【0163】電圧降下の影響を考慮した放出電流パルス
による放出電荷量は、近似的には次のように計算でき
る。すなわち、ノード2のタイムスロット=0,64の
放出電流をそれぞれIe0,Ie1とし、0〜64の間
の放出電流はIe0とIe1の間を直線的に変化するも
のと近似すれば、この間の放出電荷量Q1は図9(b)
の台形の面積となる。
【0164】すなわち、
【数10】 として計算できる。
【0165】次に、図9(c)に示すように、電圧降下
による放出電流の低下分を補正するために、パルス幅を
DC1だけ伸ばしたとき、電圧降下の影響を除去できた
とする。
【0166】また、電圧降下の補正を行い、パルス幅を
伸ばした場合には、各タイムスロットにおける放出電流
量は変化すると考えられるが、ここでは簡単化のため、
図9(c)のように、タイムスロット=0では、放出電
流がIe0、タイムスロット=(64+DC1)におけ
る放出電流がIe1になるものとする。
【0167】また、タイムスロット0とタイムスロット
(64+DC1)の間の放出電流は、2点の放出電流を
直線で結んだ線上の値をとるものと近似する。
【0168】すると、補正後の放出電流パルスによる放
出電荷量Q2は、
【数11】 として計算できる。
【0169】これが前述のQ0と等しいとすれば、
【数12】 となる。
【0170】これをDC1について解けば、
【数13】 となる。
【0171】このようにして、画像データが64の場合
の補正データを算出した。
【0172】すなわち、ノード2の位置の大きさが64
の画像データに対しては式9に記載のように、CDat
a=DC1だけ補正量CDataを加算すればよい。
【0173】図10は計算された電圧降下量から、大き
さが128の画像データに対する補正データを算出した
例である。
【0174】いま、電圧降下の影響がない場合、画像デ
ータが128の時に放出電流パルスによって放出される
べき放出電荷量Q3は、
【数14】 となる。
【0175】一方、電圧降下の影響を受けた、実際の放
出電流パルスによる投入電荷量は、近似的には次のよう
に計算することができる。
【0176】すなわち、ノード2のタイムスロット=
0,64,128の放出電流量をそれぞれIe0,Ie
1,Ie2とする。また、0〜64の間の放出電流はI
e0とIe1の間を直線的に変化し、64〜128の間
はIe1とIe2の間を直線で結んだ線上を変化するも
のと近似すれば、0〜128までのタイムスロットの間
の放出電荷量Q4は図10(b)の2つの台形の面積の
和となる。
【0177】すなわち、
【数15】 として計算できる。
【0178】一方、電圧降下の補正量を以下のように計
算した。
【0179】タイムスロット0〜64に相当する期間を
期間1,64〜128に相当する期間を期間2と定義す
る。
【0180】補正を施した際に、期間1の部分がDC1
だけ伸びて期間1’に伸長され、期間2の部分がDC2
だけ伸びて、期間2’に伸長されるものと考える。
【0181】この際におのおのの期間は補正を施される
ことにより、放出電荷量が前述のQ0と同じになるもの
とする。
【0182】また、各期間の初めと終わりの放出電流
は、補正を行うことで変化することは言うまでもない
が、ここでは計算を簡単化するため、変化しないものと
仮定した。
【0183】すなわち、期間1’の初めの放出電流はI
e0,期間1’の終わりの放出電流はIe1,期間2’
の初めの放出電流はIe1、期間2’の終わりの放出電
流はIe2であるものとする。
【0184】すると、DC1は式9と同様にして計算す
ることができる。
【0185】また、DC2は、同様な考え方により、
【数16】 として計算することができる。
【0186】結果としてノード2の位置の大きさが12
8の画像データに対しては、
【数17】 だけ補正量CDataを加算すればよい。
【0187】図11は計算された電圧降下量から、大き
さが192の画像データに対する補正データを算出した
例である。
【0188】いま、画像データが192の時に期待され
る放出電流パルスによる放出電荷量Q5は、
【数18】 となる。
【0189】一方、電圧降下の影響を受けた、実際の放
出電流パルスによる放出電荷量は、近似的には次のよう
に計算することができる。
【0190】すなわち、ノード2のタイムスロット=0
の時の放出電流をIe0,タイムスロット=64の時の
放出電流をIe1,タイムスロット=128の時の放出
電流をIe2,タイムスロット=192の時の放出電流
をIe3とし、0〜64の間の放出電流はIe0とIe
1の間を直線的に変化し、64〜128の間はIe1と
Ie2の間を直線で結んだ線上を変化し、128〜19
2の間はIe2とIe3の間を直線で結んだ線上を変化
するものと近似すれば、0〜192までのタイムスロッ
トの間の投入電荷量Q6は図11(c)の3つの台形の
面積となる。
【0191】すなわち、
【数19】 として計算できる。
【0192】一方、電圧降下の補正量を以下のように計
算した。
【0193】タイムスロット0〜64に相当する期間を
期間1,64〜128に相当する期間を期間2,128
〜192に相当する期間を期間3と定義する。
【0194】先ほどと同様に、補正を施した後には、期
間1の部分がDC1だけ伸びて期間1’に伸長され、期
間2の部分がDC2だけ伸びて、期間2’に伸長され、
期間3の部分がDC3だけ伸びて期間3’に伸長される
ものと考える。
【0195】この際、おのおのの期間は補正を施される
ことにより、放出電荷量が前述のQ0と同じになるもの
とする。
【0196】また、各期間の初めと終わりの放出電流
は、補正の前後で変わらないものと仮定した。
【0197】すなわち、期間1’の初めの放出電流は、
Ie0,期間1’の終わりの放出電流はIe1,期間
2’の初めの放出電流はIe1、期間2’の終わりの放
出電流は、Ie2、期間3’の初めの放出電流はIe
2、期間3’の終わりの放出電流はIe3であるものと
する。
【0198】すると、DC1、DC2はそれぞれ式1
5,18と同様に計算することができる。
【0199】また、DC3については、
【数20】 として計算することができる。
【0200】結果としてノード2の位置の大きさが19
2の画像データに加算する補正データCDataとして
は、
【数21】 を加算すればよい。
【0201】以上のようにしてノード2の位置に対する
画像データ64,128,192の補正データCDat
aを算出した。
【0202】また、パルス幅が0の時には、当然ながら
放出電流に対する電圧降下の影響はないため、補正デー
タは0とし画像データに加算する補正データCData
も0とした。
【0203】なお、このように0,64,128,19
2というように、とびとびの画像データに対して補正デ
ータを計算しているのは、計算量を減らすことを狙った
ものである。
【0204】すなわち、すべての画像データに対して同
様の計算を行っては、非常に計算量が大きくなり、計算
を行うためのハードウエア量が非常に大きくなってしま
う。
【0205】一方、あるノードの位置においては、画像
データが大きいほど、補正データも大きくなる傾向があ
る。これにより、任意の画像データに対する補正データ
を算出する際には、その画像データの近傍のすでに補正
データが算出されている点と点を直線近似により補間す
れば、計算量を大幅に減少させることができるためであ
る。なお、この補間については離散的補正データ補間手
段を説明する際に詳しく説明する。
【0206】また、同様な考え方をすべてのノードの位
置において適用すれば、すべてのノードの位置におけ
る、画像データ=0,64,128,192の補正デー
タを算出できる。
【0207】なお、このように補正データを算出されて
いる離散的な画像データのことを画像データ基準値と呼
ぶ。
【0208】本例ではタイムスロットを0,64,12
8,192の4点に対して縮退モデルを適用して、各時
刻の電圧降下量を計算したことにより、補正データも画
像データが0,64,128,192の4つの画像デー
タ基準値に対する補正データを求めることができた。
【0209】しかし、好ましくは縮退モデルにより電圧
降下を計算する時間の間隔を細かくすることで、電圧降
下の時間変化をより精密に扱うことができ、離散的な画
像データ基準値の個数が増加する一方、近似計算の誤差
を低減することができる。
【0210】具体的には、図9〜11では、図を簡略化
するためにタイムスロット0,64,128,192の
4点のみにおいて計算を行ったが、実際には、タイムス
ロット0〜255のうち16タイムスロットおきに計算
を行ったところ(すなわち画像データの基準値を画像デ
ータの大きさで16ごとに設定した)、好ましかった。
なお、その際には同様な考え方に立って、式6〜式16
を変形して計算を行えばよい。
【0211】図12(a)は、上述の方法により、ある
入力画像データに対し、各々のノードの位置における、
画像データ=0,64,128,192に対する補正デ
ータCDataを離散的に計算した結果の一例である。
なお、同図では同一の画像データに対する離散的補正デ
ータを、図を見やすくするために、点線の曲線で結んで
記載した。
【0212】(離散的補正データの補間方法)離散的に
算出された補正データは、各ノードの位置に対する離散
的なものであって、任意の水平位置(列配線番号)にお
ける補正データを与えるものではない。またそれと同時
に、各ノード位置においていくつかの予め定められた画
像データの基準値の大きさをもつ画像データに対する補
正データであって実際の画像データの大きさに対する補
正データを与えるものではない。
【0213】そこで、発明者らは、各列配線における入
力画像データの大きさに適合した補正データを、離散的
に算出した補正データを補間することにより算出した。
【0214】図12(b)はノードnとノードn+1の
間に位置するxという位置における、画像データDat
aに相当する補正データを算出する方法を示した図であ
る。
【0215】なお前提として、補正データはすでにノー
ドn及びノードn+1の位置Xn及びXn+1において
離散的に計算されているものとする。
【0216】また、入力画像データであるDataはす
でに離散的に補正データが算出されている画像データで
ある、画像データ基準値のDkとDk+1の間の値をと
るものとする。
【0217】いま、ノードnのk番目の画像データの基
準値に対する離散的補正データをCData[k]
[n]と表記するならば、位置xにおけるパルス幅Dk
の補正データCAは、CData[k][n]とCDa
ta[k][n+1]の値を用いて、直線近似により、
以下のように計算できる。
【0218】すなわち、
【数22】 となる。ただし、Xn、Xn+1はそれぞれノードn、
(n+1)の水平表示位置であって、前述したブロック
を決定するときに定められる定数である。
【0219】また、位置xにおける画像データDk+1
の補正データCBは以下のように計算できる。
【0220】すなわち、
【数23】 となる。
【0221】CAとCBの補正データを直線近似するこ
とにより、位置xにおける画像データDataに対する
補正データCDは、以下のように計算できる。
【0222】すなわち、
【数24】 となる。
【0223】以上のように、離散的補正データから実際
の位置や画像データの大きさに適合した補正データを算
出するためには、式17〜式19に記載した方法により
簡単に計算できる。
【0224】このようにして算出した補正データを画像
データに加算して画像データを補正し、補正後の画像デ
ータ(補正画像データと呼ぶ)に応じてパルス幅変調を
行えば、従来からの課題であった表示画像における、電
圧降下による影響を低減することができ、画質を向上さ
せることができる。
【0225】また、かねてからの課題であった補正のた
めのハードウエアも、これまで説明してきたような縮退
化などの近似を導入することにより、計算量を低減化す
ることができるため非常に小規模なハードウエアで構成
することができるという優れたメリットがあった。
【0226】(システム全体と各部分の機能説明)次
に、補正データ算出回路を内蔵した画像表示装置のハー
ドウエアについて説明する。
【0227】図13はその回路構成の概略を示すブロッ
ク図である。図において1は図1の表示パネル、Dx1
〜DxM及びDx1’〜DxM’は表示パネルの走査配
線の電圧供給端子、Dy1〜DyNは表示パネルの変調
配線の電圧供給端子、Hvはフェースプレートとリアプ
レートの間に加速電圧を印加するための高圧供給端子、
Vaは高圧電源、2は走査回路、3は同期信号分離回
路、4はタイミング発生回路、7は同期分離回路3によ
りYPbPr信号をRGBに変換するための変換回路、
17は逆γ処理部、5は画像データ1ライン分のシフト
レジスタ、6は画像データ1ライン分のラッチ回路、8
は表示パネル1の変調配線に変調信号を出力するパルス
幅変調回路、12は加算器、14は補正データ算出回
路、19は遅延回路である。補正画像データ算出回路は
加算器12、補正データ算出回路14で構成される。
【0228】また、同図においてR,G,BはRGBパ
ラレルの入力映像データ、Ra,Ga,Baは後述する
逆γ変換処理を施したRGBパラレルの映像データ、D
ataはデータ配列変換部によりパラレル・シリアル変
換された画像データ、CDは補正データ算出手段により
算出された補正データ、Doutは加算器により画像デ
ータに補正データを加算することにより、補正された画
像データ(補正画像データ)である。
【0229】(同期分離回路、タイミング発生回路)本
実施形態の画像表示装置は、NTSCや、PAL、SE
CAM、HDTVなどのテレビジョン信号や、コンピュ
ータの出力であるVGAなどをともに表示することがで
きる。
【0230】図13では図を簡単化するため、HDTV
方式のみについて記載している。
【0231】HDTV方式の映像信号は、まず同期分離
回路3により同期信号Vsync,Hsyncを分離
し、タイミング発生回路4に供給する。同期分離された
映像信号は、RGB変換手段に供給される。RGB変換
手段の内部には、YPbPrからRGBへの変換回路の
他に、不図示のローパスフィルタやA/D変換器などが
設けられており、YPbPrをディジタルRGB信号へ
と変換し、逆γ処理部17へと供給する。
【0232】(タイミング発生回路)タイミング発生回
路4は、PLL回路を内蔵しており、様々な映像ソース
の同期信号に同期したタイミング信号を発生し、各部の
動作タイミング信号を発生する回路である。
【0233】タイミング発生回路4が発生するタイミン
グ信号としては、シフトレジスタ5の動作タイミングを
制御するTSFT、シフトレジスタから、ラッチ回路6
へデータをラッチするための制御信号Dataloa
d、変調手段8のパルス幅変調開始信号Pwmstar
t,パルス幅変調のためのクロックPwmclk、走査
回路2の動作を制御するTscanなどがある。
【0234】(走査回路)図14に示すように、走査回
路2及び2’は、表示パネル1を一水平走査期間に1行
ずつ順次走査するために、接続端子Dx1〜DxMに対
して選択電位Vs又は非選択電位Vnsを出力する回路
である。
【0235】走査回路2及び2’はタイミング発生回路
4からのタイミング信号Tscanに同期して、一水平
期間ごとに選択している走査配線を順次切り替え、走査
を行う回路である。
【0236】なお、Tscanは垂直同期信号及び水平
同期信号などから作られるタイミング信号群である。
【0237】走査回路2及び2’は、図14に示すよう
にそれぞれM個のスイッチとシフトレジスタなどから構
成される。これらのスイッチはトランジスタやFETに
より構成するのが好ましい。
【0238】なお、走査配線での電圧降下を低減するた
めには、走査回路2,2’は図13に示したように、表
示パネル1の走査配線の両端に接続され、両端からドラ
イブされることが好ましい。
【0239】一方、本発明の実施の形態では、走査回路
2,2’が走査配線の両端に接続されていない場合でも
有効であり、式3のパラメータを変更するだけで適用で
きる。
【0240】(逆γ処理部)CRTは入力に対しほぼ
2.2乗の発光特性(以降逆γ特性と呼ぶ)を備えてい
る。
【0241】入力映像信号はCRTのこのような特性が
考慮されており、CRTに表示した際にリニアな発光特
性となるように一般に0.45乗のγ特性にしたがって
変換される。
【0242】一方、本発明の実施の形態に係る画像表示
装置の表示パネルは駆動電圧の印加時間により変調を施
す場合、印加時間の長さに対しほぼリニアな発光特性を
有しているため、入力映像信号を逆γ特性に基づいて変
換(以降逆γ変換と呼ぶ)する必要がある。
【0243】図13に記載した逆γ処理部17は、入力
映像信号を逆γ変換するためのブロックである。
【0244】本実施形態の逆γ処理部17は、上記逆γ
変換処理をメモリによって構成した。
【0245】逆γ処理部17は、映像信号R,G,Bの
ビット数を8ビットとし、逆γ処理部の出力である映像
信号Ra,Ga,Baのビット数を同じく8ビットとし
て、アドレス8ビット、データ8ビットのメモリを各色
ごと用いることにより構成した(図15)。
【0246】(データ配列変換部)データ配列変換部9
はRGBパラレルな映像信号であるRa,Ga,Baを
表示パネルの画素配列に合わせてパラレル・シリアル変
換する回路である。データ配列変換部9の構成は図16
に示したようにRGB各色ごとのFIFO(First
InFirstOut)メモリ2021R,2021
G、2021Bとセレクタ2022から構成される。
【0247】同図では図示していないが、FIFOメモ
リは水平画素数ワードのメモリを奇数ライン用と偶数ラ
イン用の2本備えている。奇数行目の映像データが入力
された際には、奇数ライン用のFIFOにデータが書き
込まれる一方、偶数ライン用のFIFOメモリから一つ
前の水平走査期間に蓄積された画像データが読み出され
る。偶数行目の映像データが入力された際には偶数ライ
ン用のFIFOにデータが書き込まれる一方、奇数ライ
ン用FIFOメモリから一つ前の水平期間に蓄積された
画像データが読み出される。
【0248】FIFOメモリから読み出されたデータ
は、セレクタにより表示パネルの画素配列にしたがっ
て、パラレル・シリアル変換され、RGBのシリアル画
像データSDataとして出力される。詳細については
記載しないが、タイミング発生回路4からのタイミング
制御信号に基づいて動作する。
【0249】(遅延回路19)データ配列変換部により
並び替えが行われた画像データSDataは補正データ
算出回路14と遅延回路19に入力される。後述する補
正データ算出回路の補正データ補間部はタイミング制御
回路からの水平位置情報xと画像データSData値を
参照して、各水平位置と各画像データの大きさにあった
補正データCDを算出する。
【0250】遅延回路19は、補正データ算出(前述の
補正データの補間処理)にかかる時間を吸収するために
設けられており、加算器12で画像データに補正データ
が加算される際に、画像データにそれに対応した補正デ
ータが正しく加算されるよう遅延を行う手段である。同
手段はフリップフロップを用いることにより構成でき
る。
【0251】加算器12は補正データ算出回路からの補
正データCDと画像データDataを加算する手段であ
る。加算を行うことにより画像データDataは補正が
施され、補正画像データDoutとして乗算器へ転送さ
れる。
【0252】なお、加算器12の出力である補正画像デ
ータのビット数は画像データに補正データを加算した際
にオーバーフローが起きないように決定することが好ま
しい。
【0253】より具体的には、画像データDataが8
ビットのデータ幅であって、最大値が255、補正デー
タCDは7ビットのデータ幅を持っていて、最大値が1
20であったとする。このとき加算結果の最大値は、2
55+120=375になった。これに対して加算器の
出力である補正画像データDoutは、加算時のオーバ
ーフローが起きないように、出力ビット幅として9ビッ
ト出力であることが好ましい。
【0254】(オーバーフロー処理)本実施形態では、算
出した補正データを画像データに加算することにより補
正を実現することについてはこれまで述べてきたとおり
である。
【0255】いま、変調回路8のビット数が8ビットで
あって、加算器12の出力である補正画像データDou
tのビット数が9ビットであるものとする。すると、補
正画像データを変調回路の入力にそのまま接続してしま
うと、オーバーフローが起きることになる。
【0256】また、補正データは本発明の画像表示装置
に入力される画像データの1フレームごとの平均輝度が
高いほど大きくなり、逆に1フレームごとの平均輝度が
低いほど小さな値となる傾向がある。
【0257】オーバーフローを防止するための構成とし
て、ここでは、リミッタ1301を設けている。変調回
路8が入力を受け付けることができる最大値よりも大き
いデータがリミッタ1301に入力されたときには、リ
ミッタ1301は該最大値を出力する。変調回路8が入
力を受け付けることができる最大値以下のデータがリミ
ッタ1301に入力されたときには、リミッタ1301
は該データをそのまま出力する。
【0258】リミッタ1301によって、変調回路8の
入力範囲に完全に制限された補正画像データDlim
は、シフトレジスタ5、ラッチ6を介して変調回路8へ
と供給される。
【0259】またオーバーフローを防止する別の構成と
しては、画像データを補正データに加算する前に、加算
される補正データの大きさを考慮して、予め画像データ
に0〜1の範囲のゲインを乗算し、画像データの取りえ
る範囲を小さくしておいてもよい。
【0260】このような構成では、ゲイン乗算後の画像
データから、補正データを算出し,加算器12で加算を
行えば、オーバーフローを防止することができる。
【0261】また別の構成としては、加算器12におい
て画像データと補正データを加算した後に、加算結果が
最大となるときの値を考慮し、該最大値が変調手段の入
力範囲に収まるように予めゲインを決定しておいてもよ
い。またフレームごとに、該加算結果の最大値を検出し
て、該最大値が変調手段の入力範囲に収まるようにゲイ
ンを決定する手段を設けてもよい。
【0262】なお、ここで述べたゲインとはオーバーフ
ローを防止するためのゲインであって、後ほど補正の強
さの調整について説明を行う際にあらわれるゲインとは
別のゲインである。
【0263】(シフトレジスタ、ラッチ回路)リミッタ
1301の出力である補正画像データDlimは、シフ
トレジスタ5により、シリアルなデータフォーマットか
ら、各変調配線毎のパラレルな画像データID1〜ID
Nへとシリアル/パラレル変換されラッチ6へ出力され
る。ラッチ6では1水平期間が開始される直前にタイミ
ング信号Dataloadにより、シフトレジスタから
のデータをラッチする。ラッチ6の出力は、パラレルな
画像データD1〜DNとして変調回路8へと供給され
る。
【0264】なお、本実施形態では画像データID1〜
IDN、D1〜DNはそれぞれ8ビットの画像データと
した。これらの動作タイミングはタイミング発生回路4
(図13)からのタイミング制御信号TSFT及びDa
taloadに基づいて動作する。
【0265】(変調回路の詳細)ラッチ6の出力である
パラレル画像データD1〜DNは変調回路8へと供給さ
れる。
【0266】変調回路8は、17(a)に示したよう
に、PWMカウンタと、各変調配線ごとにコンパレータ
とスイッチ(同図ではFET)を備えたパルス幅変調回
路(PWM回路)である。
【0267】画像データD1〜DNと変調回路8の出力
パルス幅の関係は、図17(b)のようなリニアな関係
にある。
【0268】図17(c)に変調回路8の出力波形の例
を3つ示す。
【0269】図17(c)において上側の波形は、変調
回路8への入力データが0の時の波形,中央の波形は、
変調回路8への入力データが128の時の波形,下側の
波形は、変調回路への入力データが255の時の波形で
ある。
【0270】なお、本例では変調回路8への入力データ
D1〜DNのビット数は8ビットにリミッタ1301に
より制限している。
【0271】なお、前述の説明では、変調回路8へ入力
データが255の時は、一水平走査期間に相当するパル
ス幅の変調信号が出力されると記載した箇所があるが、
詳細には図17(c)のように非常に短い時間ではある
がパルスの立ち上がる前と、立ち下がった後に駆動しな
い期間を設けタイミング的な余裕を持たせている。
【0272】図18は、本発明の変調回路8の動作を示
すタイミングチャートである。
【0273】図18において、Hsync水平同期信
号、Dataloadはラッチ6へのロード信号、D1
〜DNは前述の変調回路8の列1〜Nへの入力信号、P
wmstartはPWMカウンタの同期クリア信号、P
wmclkはPWMカウンタのクロックである。また、
XD1〜XDNは変調回路8の第1〜第N列の出力を表
している。
【0274】図18にあるように1水平走査期間が始ま
ると、ラッチ6は画像データをラッチするとともに変調
回路8へデータを転送する。
【0275】PWMカウンタは、図18に示したよう
に、Pwmstart、Pwmclkに基づいてカウン
トを開始し、カウント値が255になるとカウンタをス
トップしカウント値255を保持する。
【0276】各列毎に設けられているコンパレータは、
PWMカウンタのカウント値と各列の画像データを比較
し、PWMカウンタの値が画像データ以上のときHig
hを出力し、それ以外の期間はLowを出力する。
【0277】コンパレータの出力は、各列のスイッチの
ゲートに接続されており、コンパレータの出力がLow
の期間は図18の上側(VPWM側)のスイッチがO
N、下側(GND側)のスイッチがOFFとなり、変調
配線を電圧VPWMに接続する。
【0278】逆にコンパレータの出力がHighの期間
は、図18の上側のスイッチがOFFし、下側のスイッ
チがONするとともに、変調配線の電圧をGND電位に
接続する。
【0279】各部が以上のように動作することで、変調
回路8が出力するパルス幅変調信号は、図18のD1、
D2、DNに示したような、パルスの立ち上がりが同期
した波形となる。
【0280】(補正データ算出回路)補正データ算出回
路14は前述した補正データ算出方法により、電圧降下
の補正データを算出する回路である。補正データ算出回
路14は図19に示すように離散的補正データ算出部と
補正データ補間部及び補正データを調整する調整回路の
3つのブロックから構成される。
【0281】離散的補正データ算出部では入力された映
像信号から電圧降下量を算出し、電圧降下量から補正デ
ータを離散的に計算する。同算出部は計算量やハードウ
エア量を減少させるために、前述の縮退モデルの概念を
導入して、補正データを離散的に算出する。
【0282】離散的に算出された補正データは補正デー
タ補間部により補間され、画像データの大きさやその水
平表示位置xに適合した補正データCDが算出される。
【0283】補正データCDに対してコントローラ13
04から入力される補正パラメータである0から1の間
のいずれかの値を持つゲインが調整回路である乗算器に
よって乗算される。
【0284】(離散的補正データ算出部)図20は本発
明の離散的に補正データを算出するための離散的補正デ
ータ算出部である。
【0285】離散的補正データ算出部は、以下に述べる
ように、画像データをブロックわけし、ブロックごとの
統計量(点灯数)を算出するとともに、統計量から各ノ
ードの位置における、電圧降下量の時間変化を計算する
電圧降下量算出部としての機能と、各時間ごとの電圧降
下量を発光輝度量に変換する機能、及び発光輝度量を時
間方向に積分して、発光輝度総量を算出する機能、及び
それらから離散的な基準点における、画像データの基準
値に対する補正データを算出する手段である。
【0286】図20において100a〜100dは点灯
数カウント手段、101a〜101dは各ブロックごと
の、各時刻における点灯数を格納するレジスタ群、10
2はCPU、103は式2及び3で記載したパラメータ
aijを記憶するためのテーブルメモリ、104は計算
結果を一時記憶するためのテンポラリレジスタ、105
はCPUのプログラムが格納されているプログラムメモ
リ、110は、電圧降下量を放出電流量に変換する変換
データが記載されたテーブルメモリ、106は、前述し
た離散的補正データの計算結果を格納するためのレジス
タ群である。
【0287】点灯数カウント手段100a〜100d
は、図20(b)に記載したようなコンパレータと加算
器などから構成されている。映像信号Ra,Ga,Ba
はそれぞれコンパレータ107a〜cに入力され、逐次
Cvalの値と比較される。なお、Cvalは前述して
きた画像データに対して設定した、画像データ基準値に
相当する。
【0288】コンパレータ107a〜cはCvalと画
像データの比較を行い画像データの方が大きければHi
ghを出力し小さければLowを出力する。
【0289】コンパレータの出力は加算器108及び1
09により互いに足し算され、更に加算器110により
ブロックごとに加算を行い、ブロックごとの加算結果を
各々のブロックごとの点灯数としてレジスタ群101a
〜dへと格納する。
【0290】点灯数カウント手段100a〜dにはコン
パレータの比較値Cvalとしてそれぞれ0、64、1
28、192が入力されている。
【0291】結果として、点灯数カウント手段100a
は画像データのうち、0より大きい画像データの個数を
カウントしそのブロックごとの総計をレジスタ101a
に格納する。
【0292】同様に、点灯数カウント手段100bは画
像データのうち、64より大きい画像データの個数をカ
ウントし、そのブロックごとの総計をレジスタ101b
に格納する。
【0293】同様に、点灯数カウント手段100cは画
像データのうち、128より大きい画像データの個数を
カウントし、そのブロックごとの総計をレジスタ101
cに格納する。
【0294】同様に、点灯数カウント手段100dは画
像データのうち、192より大きい画像データの個数を
カウントし、そのブロックごとの総計をレジスタ101
dに格納する。
【0295】ブロックごと、時間ごとの点灯数カウント
されると、CPU102はテーブルメモリ103に格納
されたパラメータテーブルaijを随時読み出して、式
2〜5に従い、電圧降下量を計算し、計算結果をテンポ
ラリレジスタ104に格納する。
【0296】本例ではCPU102に式2の計算を円滑
に行うための積和演算機能を設けた。
【0297】式2に挙げた演算を実現する手段として
は、CPU102で積和演算を行わないでもよく、例え
ば、その計算結果をメモリに入れておいてもよい。
【0298】すなわち、各ブロックの点灯数を入力と
し、考えられるすべての入力パターンに対し、各ノード
位置の電圧降下量をメモリに記憶させておいても構わな
い。
【0299】電圧降下量の計算が完了するとともに、C
PU102はテンポラリレジスタ104から、各時間、
各ブロックごとの電圧降下量を読み出し、テーブルメモ
リ2(110)を参照して、電圧降下量を放出電流量に
変換し、式6〜16にしたがって、離散的補正データを
算出した。
【0300】計算した離散的補正データは、レジスタ群
106に格納した。
【0301】(補正データ補間部)補正データ補間部は
画像データの表示される位置(水平位置)及び、画像デ
ータの大きさに適合した補正データを算出するための手
段である。同手段は離散的に算出された補正データを補
間することにより、画像データの表示位置(水平位置)
及び、画像データの大きさに応じた補正データを算出す
る。
【0302】図21は補正データ補間部を説明するため
の図である。
【0303】図21において123は画像データの表示
位置(水平位置)xから、補間に用いる離散的補正デー
タのノード番号n及びn+1を決定するためのデコーダ
であり、124は画像データの大きさから、式17〜式
19のk及びk+1を決定するためのデコーダである。
【0304】また、セレクタ125〜128は、離散的
補正データを選択して、直線近似手段に供給するための
セレクタである。
【0305】また、121〜123は、それぞれ式17
〜19の直線近似を行うための直線近似手段である。
【0306】図22に直線近似手段121の構成例を示
す。一般に直線近似手段は式17〜19の演算子にあら
わされるように、減算器,積算器,加算器,割り算器な
どによって構成可能である。
【0307】しかし、望ましくは離散的補正データを算
出するノードとノードの間の列配線本数や、離散的補正
データを算出する画像データ基準値の間隔(すなわち電
圧降下を算出する時間間隔)が2のべき乗になるように
構成するとハードウエアを非常に簡単に構成できるとい
うメリットがある。それらを2のべき乗に設定すれば、
図22に示した割り算器において、Xn+1−Xnは2
のべき乗の値となり、ビットシフトすればよい。
【0308】Xn+1−Xnの値がいつも一定の値であ
って、2のべき乗で表される値であるならば、加算器の
加算結果をべき乗の乗数分だけシフトして出力すればよ
く、あえて割り算器を作製する必要がない。
【0309】また、これ以外の箇所でも離散的補正デー
タを算出するノードの間隔や、画像データの間隔を2の
べき乗とすることにより、例えばデコーダ123〜12
4を簡単に作製することが可能となるとともに、図22
の減算器で行っている演算を簡単なビット演算に置き換
えることができるなど、非常にメリットが多い。
【0310】(各部の動作タイミング)図23に各部の
動作タイミングのタイミングチャートを示す。
【0311】なお、図23においてHsyncは水平同
期信号、DotCLKはタイミング発生回路の中のPL
L回路により水平同期信号Hsyncから作成したクロ
ック、R、G、Bは入力切り替え回路からのディジタル
画像データ、Dataはデータ配列変換後の画像デー
タ、Dlimはリミッタ回路の出力であって、電圧降下
補正を施され更に選択された補正条件による調整を受け
た補正画像データ、TSFTはシフトレジスタ5へ補正
画像データDlimを転送するためのシフトクロック、
Dataloadはラッチ6へデータをラッチするため
のロードパルス、Pwmstartは前述のパルス幅変
調の開始信号、変調信号XD1は変調配線1へ供給され
るパルス幅変調信号の一例である。
【0312】1水平期間の開始とともに、入力切り替え
回路からディジタル画像データRGBが転送される。図
23では水平走査期間Iにおいて、入力される画像デー
タをR_I、G_I、B_Iで表すと、それらは、デー
タ配列変換部9では1水平期間の間、画像データを蓄え
られ、水平走査期間I+1において、表示パネル1の画
素配置に合わせてディジタル画像データData_Iと
して出力される。
【0313】R_I,G_I,B_Iは、水平走査期間
Iにおいて補正データ算出回路14に入力される。同手
段では、前述した点灯数をカウントし、カウントの終了
とともに、電圧降下量が算出される。
【0314】電圧降下量が算出されるのにつづいて、離
散的補正データが算出され、算出結果がレジスタに格納
される。
【0315】走査期間I+1に移り、データ配列変換部
9から、1水平走査期間前の画像データData_Iが
出力されるのに同期して、補正データ補間回路14では
離散的補正データが補間され、補正データが算出され
る。補間された補正データは、調整回路で選択されたゲ
インを乗算され、加算器12に供給される。
【0316】加算器12では、画像データDataと補
正データCDを順次加算し、補正された補正画像データ
Dlimをシフトレジスタ5へ転送する。シフトレジス
タ5はTSFTにしたがって、一水平期間分の補正画像
データDlimを記憶するとともにシリアル・パラレル
変換を行ってパラレルな画像データID1〜IDNをラ
ッチ6に出力する。ラッチ6はDataloadの立ち
上がりにしたがってシフトレジスタ5からのパラレル画
像データID1〜IDNをラッチし、ラッチされた画像
データD1〜DNをパルス幅変調回路8へと転送する。
【0317】パルス幅変調回路8は、ラッチされた画像
データに応じたパルス幅のパルス幅変調信号を出力す
る。本実施形態の画像表示装置では、結果として、変調
回路が出力するパルス幅は、入力された画像データに対
し、2水平走査期間分おくれて表示される。
【0318】このような画像表示装置により画像の表示
を行ったところ、従来からの課題であった走査配線にお
ける電圧降下量を補正することができ、それに起因する
表示画像の劣化を改善することができ、非常に良好な画
像を表示することができた。
【0319】また、離散的に補正データを算出し、離散
的に計算した点と点の間はそれを補間して求めることに
より、補正データを非常に簡単に計算させることがで
き、更に非常に簡単なハードウエアでそれを実現できる
など、非常に優れた効果があった。
【0320】(補正データ算出回路の適用対象等の他の
例)これまでの説明では、補正データ算出回路14は、
RGBパラレルな画像データから補正データを算出した
場合を示したが、特にこれにこだわることはない。
【0321】すなわち、データ配列変換部9によりRG
BパラレルからRGBシリアルに変換された画像データ
を用いても補正データを求めることができることは言う
までもない。
【0322】この場合、補正データを算出するのに必要
な時間を確保するために、RGBシリアルな画像データ
を遅延するためのレジスタ、もしくはメモリが必要とな
るが、同様な補正を施すことができることは言うまでも
ない。
【0323】すなわち、データ配列変換部9を単なるラ
インメモリで置き換え、パラレルな画像データを入力
し、パラレルな画像データを出力するものとしても、ハ
ードウエアの簡単な修正によって補正を施すことができ
ることは言うまでもない。
【0324】もちろん、上記構成は、画像データのデー
タ配列変換(パラレル・シリアル変換)を行うのに必要
であったラインメモリと、そこでの遅延時間を積極的に
利用し、その遅延時間中に補正データを計算するととも
に、シリアルな画像データに補正を施すことにより、ハ
ードウエア量を節減する効果があることは言うまでもな
い。
【0325】以上のように、上述のように構成された画
像表示装置によれば、従来からの課題であった、走査配
線上の電圧降下による表示画像の劣化を好適に改善する
ことができる。
【0326】また、いくつかの近似を導入したことによ
り、電圧降下を補正するための、画像データの補正量を
簡単に好適に計算することができ、非常に簡単なハード
ウエアでそれを実現することができるなど、非常に優れ
た効果がある。
【0327】以下に、本発明に特有の補正条件の選択と
補正の調整について説明する。
【0328】本発明の表示パネルでは、走査配線の抵抗
分によって生じる電圧降下の影響によって、表示画像の
劣化が生じることについてはこれまで述べてきたとおり
である。
【0329】この電圧降下という現象は、表示パネル1
の走査配線の僅かな抵抗値のばらつき(個体差)や表示
素子の特性のばらつき(個体差)などによって変化するた
め、補正の効果を最適に得るためには、ユーザーが簡単
に調整できる調整モードを持つことが好ましかった。
【0330】また本発明の表示パネルに用いた画像表示
素子は、非常に長い時間駆動を行うと、非常に僅かでは
あるが素子電流が減少する現象がある。
【0331】本発明の調整モードではこのような素子電
流の減少に対しても、後述する調整モードを用いること
で、ユーザーが簡単に補正条件を選択することにより、
好ましい補正の効果を得ることができる。
【0332】そこで本実施の形態では補正データにゲイ
ンを乗算する手段を設け、この補正データに乗算するゲ
インを調整することにより、補正の強さを調整すること
により、調整を行った例である。
【0333】本実施の形態ではパターンジェネレータが
所定画像データに対して補正データを予め求め、該補正
データに対していくつかの異なるゲインを乗算した複数
の調整済み補正データを前記所定画像データと演算(加
算)した調整用データを出力する。
【0334】具体的には、調整者がリモートコントロー
ラ(以下リモコンと称する)を使って調整モードに入る
ことを指示する。
【0335】リモコン受光部1305がその信号を受信
し、コントローラ1304は該指示に応じてセレクタ1
302が加算器12からの出力ではなく、パターンジェ
ネレータ1303からの出力をシフトレジスタ5に出力
するように切り替える。
【0336】同時にパターンジェネレータは最初の調整
用データを出力する。ここでは最初の調整用データとし
ては上記ゲインが0、すなわち補正データを0にする補
正条件の調整用データを出力する。調整用データのもと
となる所定画像データについては補正の状態が分かりや
すい画像データを選択するとよい。ここでは図24に示
すように、縦明線(垂直線;変調信号(列)配線と平
行)と横明線(水平線;走査信号(行)配線と平行)と
を含むものとした。
【0337】なお図24に示すのは所定画像データの輝
度信号の大きさをそのまま図示したものであり、実際の
表示状態を示しているものではない。
【0338】ここでは十文字状のパターンを用いたが、
これに限るものではなく、白い背景に、黒のウインドウ
を表示したようなウインドウパターンなどでも好適に採
用できる。いずれの形状であっても望ましいのは、走査
配線と平行な明部を有効表示画面の走査配線と平行な方
向における長さの55パーセント以上100パーセント
以下の長さで表示する部分を有するパターンである。
【0339】調整者は最初の調整用データに基づいて表
示された画像をみて、この条件でよいと判断した場合は
リモコンで調整モードの終了を指示する。それによりコ
ントローラ1304は最初の調整用データで用いられて
いたゲイン0を補正データ算出回路14の調整回路で用
いるように信号を送る。セレクタ1302は加算器12
からの入力を出力するように切り替えられ、以降この補
正条件にしたがって補正された補正画像データ(ただし
この場合はゲインが0なので実質的な補正は無い)に基
づく表示が行われる。
【0340】調整者が最初の調整用データに基づいて表
示された画像を見て、補正が不足していると判断したと
きには、補正の強度を強めるようにリモコンを介して指
示する。
【0341】パターンジェネレータ1303は、リモコ
ンからの指令に基づいて、表示するパターンを切り替え
る。具体的には、前の表示パターンでは、補正データに
施すゲインが0だったのに対し、次はゲインを0.1と
した場合のパターン信号を発生する。
【0342】この状態で調整者が好適であると判断すれ
ば、リモコンで調整モードの終了を指示する。もし補正
が不足していると判断した場合には、更にリモコンか
ら、補正の強度を強めるように指示を行う。
【0343】更に補正の強度を強めるよう指示が行われ
た場合には、パターンジェネレータ1303は、ゲイン
を0.2とした場合のパターン信号を発生する。
【0344】以降、調整者が最も好適であると判断する
調整用画像が表示されるまでこの手続を繰り返す。
【0345】図25に、パターンジェネレータ1303
が発生する調整用の表示パターン・データの輝度信号の
大きさをそのまま図示したものを示す。
【0346】なお、この操作はリモコンを介したものに
限らず、例えば画像表示装置に設けられた制御装置(例
えばフロントパネルに設けられた操作ボタン1306)
を介して行ってもよく、またその他のインタフェース
(例えばRS232ポート1308)を介して行っても
よい。
【0347】また、表示パネル1の配線の抵抗値のばら
つき(個体差)や表示素子の特性のばらつき(個体差)な
どがあり、画像表示装置の製造時に調整を行う場合に
は、パターンジェネレータ1303を画像表示装置に付
随して設けておく必要はなく、調整時のみパターンジェ
ネレータを接続して調整を行ってもよい。
【0348】なお図13におけるフラッシュメモリ13
07は、次回電源投入時でも、あらためて調整を行わな
くてもよいように、決定された補正条件を記憶するため
に備えられている。
【0349】なお、以上の実施形態においては、選択す
る補正条件として補正データに乗算するゲインを例示し
たが、これに限るものではない。
【0350】例えば式5のIfをIf×βと置き換え、予め
いくつかのβの値に対して、図24の映像信号を補正し
た際の補正画像データを計算しパターンジェネレータに
記憶させて、パターンジェネレータの出力のうち、もっ
とも好ましいパターンをユーザに選択させ、最適なβの
値を決定し、補正データ算出手段へ設定してもよい。
【0351】なお、これは素子電流に乗算する係数βの
値を変えているが、物理的な意味としては、実際に流れ
る素子電流の値を調整し、補正データを算出するための
電圧降下量を調整している、と考えることができる。
【0352】このようにすれば、表示パネル製造時の画
像表示素子の僅かな特性の違いや、長時間使用した後の
画像表示素子の特性劣化を良好に調整することができ
る。
【0353】また、別の構成として、パターンジェネレ
ータに記憶させておくパターンとしては、電圧降下量を
放出電流に変換するためのテーブルメモリ110(図2
0)に記載されている、“電圧降下量”対“放出電流
量”の特性カーブを可変した場合の補正画像データであ
ってもよい。
【0354】すなわち、予めいくつかの該特性カーブに
対して、図24の画像を補正した補正画像データをパタ
ーンジェネレータに記憶させて、それらのうち、もっと
も好ましいパターンをユーザに選択させ、最適な特性カ
ーブを決定し、補正データ算出手段へ設定してもよい。
【0355】このようにすれば、表示パネル製造時の画
像表示素子の僅かな特性の違いや、長時間使用した後の
画像表示素子の特性劣化を良好に調整することができ
る。
【0356】また別の構成として、パターンジェネレー
タに記憶させておくパターンは、電圧降下量を算出する
際に用いる式3の配線抵抗値を可変した際の補正画像デ
ータであってもよい。
【0357】すなわち、予めいくつかの配線抵抗値に対
して、図24の画像を補正した補正画像データをパター
ンジェネレータに記憶させて、それらのうち、もっとも
好ましいパターンをユーザに選択させ、最適な配線抵抗
の値を決定し、補正データ算出手段へ設定してもよい。
【0358】このようにすれば、表示パネル製造時の画
像表示素子の僅かな配線抵抗値の違いなどがあっても、
良好に調整を行うことができる。
【0359】(第2の実施形態)第1の実施形態では、
入力画像データに対し、離散的な画像データの基準値を
設定するとともに、行配線上に基準点を設定し、該基準
点における、画像データ基準値の大きさの画像データに
対する補正データを算出していた。
【0360】更に離散的に算出された補正データを補間
することにより、入力された画像データの水平表示位置
と、その大きさに応じた補正データを算出し、画像デー
タと加算することにより、補正を実現していた。
【0361】一方、上述の構成とは別に下記の構成によ
っても同様な補正が行える。
【0362】離散的な水平位置と、画像データ基準値に
対する、画像データの補正結果(すなわち前記離散補正
データと画像データ基準値の和)を算出し、更に離散的
に算出された補正結果を補間し、入力された画像データ
の水平表示位置と、その大きさに応じた補正結果を算出
し、その補正結果に応じて変調を行ってもよい。
【0363】この構成では、離散的に補正結果を算出す
る際に、画像データと補正データの予め加算を行ってい
るため、補間後に画像データと補正データの加算を行う
必要はない。
【0364】以上説明した実施形態の画像表示装置によ
れば、走査配線の抵抗分によって発生する電圧降下の影
響を好適に補正することができる。
【0365】更に、画像表示装置の調整方法によれば、
補正の状態を評価しにくい場合でも、好適な補正条件を
簡単に設定することが可能となる。
【0366】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば補正
条件を好適に決定できる画像表示装置、及び画像表示装
置の調整方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像表示装置の概観
を示す図である。
【図2】表示パネルの電気的な接続を示す図である。
【図3】表面伝導型放出素子の特性を示す図である。
【図4】表示パネルの駆動方法を示す図である。
【図5】電圧降下の影響を説明する図である。
【図6】縮退モデルを説明する図である。
【図7】離散的に算出した電圧降下量を示すグラフであ
る。
【図8】離散的に算出した放出電流の変化量を示すグラ
フである。
【図9】画像データの大きさが64の場合の補正データ
の算出例を示す図である。
【図10】画像データの大きさが128の場合の補正デ
ータの算出例を示す図である。
【図11】画像データの大きさが192の場合の補正デ
ータの算出例を示す図である。
【図12】補正データの補間方法を説明するための図で
ある。
【図13】補正回路を内蔵した画像表示装置の概略構成
を示すブロック図である。
【図14】画像表示装置の走査回路の構成を示すブロッ
ク図である。
【図15】画像表示装置の逆γ処理部の構成を示すブロ
ック図である。
【図16】画像表示装置のデータ配列変換部の構成を示
すブロック図である。
【図17】画像表示装置の変調回路の構成及び動作を説
明する図である。
【図18】画像表示装置の変調手段のタイミングチャー
トである。
【図19】画像表示装置の補正データ算出手段の構成を
示すブロック図である。
【図20】画像表示装置の離散的補正データ算出部の構
成を示すブロック図である。
【図21】補正データ補間部の構成を示すブロック図で
ある。
【図22】直線近似手段の構成を示すブロック図であ
る。
【図23】画像表示装置のタイミングチャートである。
【図24】調整用データのもととなる所定画像データの
一例を示す図である。
【図25】調整用データの輝度パターン及び各輝度パタ
ーンを実際に表示したときの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 表示パネル 2 走査回路 8 パルス幅変調回路 12 加算器 14 補正データ算出回路 17 逆γ処理部 19 遅延回路 100a,100b,100c,100d 点灯数カウ
ント手段 101a,101b,101c,101d レジスタ群 103 テーブルメモリ 110 テーブルメモリ 107a,107b,107c コンパレータ 123,124 デコーダ 1001 基板 1002 冷陰極素子 1003 行配線(走査配線) 1004 列配線(変調配線) 1007 フェースプレート 1008 蛍光膜 1301 リミッタ 1302 セレクタ 1303 パターンジェネレータ 1304 コントローラ 1305 リモコン受光部 1306 フロントパネル操作ボタン 1307 フラッシュメモリ 1308 RS232
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04N 5/66 H04N 5/66 A (72)発明者 齋藤 裕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5C058 AA12 AA18 BA02 BA05 BA35 BB03 BB11 BB25 5C080 AA18 BB05 DD05 EE28 FF12 GG02 GG12 JJ01 JJ02 JJ03 JJ04 JJ05 JJ06

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マトリクス配線を構成する複数の行配線及
    び複数の列配線を介して駆動され、画像表示に用いられ
    る画像表示素子と、前記行配線を順次選択する走査回路
    と、前記走査回路によって選択された行配線に接続され
    る複数の前記画像表示素子をそれぞれ変調する信号を前
    記複数の列配線に供給する変調回路と、を備える画像表
    示装置であって、 所定画像データに対してそれぞれ異なる複数の調整用補
    正条件で補正を行った複数の調整用データを出力するパ
    ターン出力回路と、 入力された画像データを補正した補正画像データを算出
    する回路であって、前記複数の調整用補正条件のそれぞ
    れに対応する複数の補正条件から選択された補正条件に
    基づいて補正画像データを算出する補正画像データ算出
    回路と、を有することを特徴とする画像表示装置。
  2. 【請求項2】前記パターン出力回路からの出力もしくは
    前記補正画像データ算出回路からの出力のいずれかを選
    択して前記変調回路に出力する選択回路を有することを
    特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 【請求項3】前記補正画像データ算出回路において用い
    る複数の補正条件は、前記補正画像データを算出すると
    きに用いる複数の異なるゲインであることを特徴とする
    請求項1又は2に記載の画像表示装置。
  4. 【請求項4】所定値よりも大きい前記補正画像データが
    前記変調回路に入力されないように制限するリミッタを
    有することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の画
    像表示装置。
  5. 【請求項5】前記補正画像データ算出回路は、入力され
    る画像データに基づく補正データと前記選択された補正
    条件とに基づいて、入力された画像データを補正した補
    正画像データを算出するものであることを特徴とする請
    求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  6. 【請求項6】前記補正画像データ算出回路は、前記行配
    線もしくは前記列配線もしくはその両方で生じる電圧降
    下を補償する補正データと前記選択された補正条件とに
    基づいて、入力された画像データを補正した補正画像デ
    ータを算出するものであることを特徴とする請求項1乃
    至5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  7. 【請求項7】前記補正画像データ算出回路は、前記補正
    データを算出する補正データ算出回路と、前記補正デー
    タと前記入力される画像データを演算する演算回路とを
    有することを特徴とする請求項5又は6に記載の画像表
    示装置。
  8. 【請求項8】前記補正画像データ算出回路は、前記選択
    された補正条件に基づいて前記演算回路の出力を調整す
    る調整回路を更に有することを特徴とする請求項7に記
    載の画像表示装置。
  9. 【請求項9】前記補正画像データ算出回路は、同一行配
    線に沿って設定された複数の基準点によって前記行配線
    を複数のブロックに分割し、各ブロック内の画像表示素
    子を駆動する信号に応じて各基準点における電圧降下を
    算出して各基準点に対応する前記補正データを発生する
    ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載
    の画像表示装置。
  10. 【請求項10】前記補正画像データ算出回路は、前記各
    基準点以外の位置に対応する前記補正データを前記複数
    の基準点に対応する前記補正データを補間することによ
    って得るものであることを特徴とする請求項9に記載の
    画像表示装置。
  11. 【請求項11】前記変調回路は、入力されるデータに応
    じてパルス幅変調信号を発生する回路であり、前記補正
    画像データ算出回路は、前記走査回路が一つの行配線を
    選択する期間内に離散的に設定した複数の時点において
    それぞれ用いる複数の前記補正データを発生することを
    特徴とする請求項5乃至10のいずれか1項に記載の画
    像表示装置。
  12. 【請求項12】前記補正画像データ算出回路は、前記複
    数の時点以外の時点に対応する前記補正データを前記複
    数の基準点に対応する前記補正データを補間することに
    よって得るものであることを特徴とする請求項11に記
    載の画像表示装置。
  13. 【請求項13】前記画像表示素子は、冷陰極素子である
    ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記
    載の画像表示装置。
  14. 【請求項14】前記冷陰極素子は、表面伝導型放出素子
    であることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装
    置。
  15. 【請求項15】マトリクス配線を構成する複数の行配線
    及び複数の列配線を介して駆動され、画像表示に用いら
    れる画像表示素子と、 前記行配線を順次選択する走査回路と、 前記走査回路によって選択された行配線に接続される複
    数の前記画像表示素子をそれぞれ変調する信号を前記複
    数の列配線に供給する変調回路と、を備える画像表示装
    置の調整方法であって、 所定画像データに対してそれぞれ異なる複数の調整用補
    正条件で補正を行った複数の調整用データに基づく複数
    の調整用画像を表示し、 該表示結果に基づいて前記複数の調整用画像の内のいず
    れかを選択し、 入力された画像データを補正した補正画像データを算出
    する回路で用いる補正条件として、前記選択した調整用
    画像を表示するときに用いた調整用データで用いられて
    いた前記調整用補正条件に対応する補正条件を設定す
    る、ことを特徴とする画像表示装置の調整方法。
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