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JP2003175372A - 土壌の生産方法、土壌処理装置、処理方法および処理装置 - Google Patents

土壌の生産方法、土壌処理装置、処理方法および処理装置

Info

Publication number
JP2003175372A
JP2003175372A JP2002228009A JP2002228009A JP2003175372A JP 2003175372 A JP2003175372 A JP 2003175372A JP 2002228009 A JP2002228009 A JP 2002228009A JP 2002228009 A JP2002228009 A JP 2002228009A JP 2003175372 A JP2003175372 A JP 2003175372A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heating
treated
gas
chamber
vacuum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002228009A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiaki Yokoyama
芳昭 横山
Toru Kigami
徹 樹神
Yasuo Mishima
泰雄 三島
Katsuo Takamiya
勝雄 高宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoei Shokai Co Ltd
Original Assignee
Hoei Shokai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoei Shokai Co Ltd filed Critical Hoei Shokai Co Ltd
Priority to JP2002228009A priority Critical patent/JP2003175372A/ja
Publication of JP2003175372A publication Critical patent/JP2003175372A/ja
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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Fire-Extinguishing Compositions (AREA)
  • Gasification And Melting Of Waste (AREA)
  • Treating Waste Gases (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイオキシン等の有機ハロゲン化物で汚染さ
れた土壌から清浄な土壌を生産する土壌の生産方法、土
壌の処理装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 有機ハロゲン化物を含む土壌、焼却飛
灰などの処理対象物体を密閉可能な熱分解炉310に導
入し、減圧下で加熱する。処理対象物体のガス状排出物
はダイオキシンの生成、再合成が抑制されるように処理
される。そして処理対象物体の加熱残渣は有機ハロゲン
化物フリーかつ有機ハロゲン化物生成能を有しない置換
ガスでパージしたうえで冷却される。これにより処理対
象物体の加熱残渣に残留する有機ハロゲン化物濃度を非
常に低いレベルに抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はダイオキシンの発生
を抑制することが可能な処理方法及び処理装置に関し、
特に、廃車等の熱分解処理、工場、一般家庭等からでる
ゴミや、廃棄物の処理にあたってダイオキシンを含む有
機ハロゲン化物が発生することを抑制することが可能な
処理装置、処理方法に関する。また、ダイオキシンなど
の有害な有機ハロゲン化物を含有する熱分解残渣、焼却
残渣、残液、土壌、汚泥等中の残留ダイオキシン濃度を
低減することが可能な処理方法、処理装置に関するもの
である。さらに本発明はダイオキシンなどの有機ハロゲ
ン化物を含有する土壌から清浄な土壌を生産するための
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近時乗用車、バス、トラック等の車両の
生産台数が増加するに伴い、廃棄する車両も大幅に増加
し、また、一般家庭や工場等から出るゴミ類、家電品等
の廃品等の量も増加して来ており、それ等の廃棄処理に
伴い新たな公害が指摘されている。即ち、これ等の廃
車、廃品、ゴミ、シュレッダー類には鉄、非鉄金属、プ
ラスチック、ゴム等種々の物質が含まれており、それ等
を熱分解したり焼却処理したりする場合にNOx、SO
x、あるいはダイオキシン類等の有害な有機ハロゲン化
物が発生してしまう。そしてそれが熱分解残渣、焼却残
渣などの加熱残渣中、あるいは焼却、熱分解に伴うガス
状排出物、液状排出物、残留液体に多く残留することに
なる。ダイオキシン類が猛毒であって、それが人体に及
ぼす悪影響については、近時連日のように報道されてい
る。また実際に、焼却飛灰、熱分解残渣、焼却廃ガス、
残液、更には煤塵中にダイオキシン類などの有機ハロゲ
ン化物が残留し、このことは大きな社会問題になってい
る。
【0003】したがってこのダイオキシン類対策のた
め、ダイオキシンの発生の抑制と、ダイオキシン類の安
全で効果的な無害化処理についての種々の研究がなされ
ている。しかしながらこれまでダイオキシン類を含む有
機ハロゲン化物の効果的な処理技術は未だ確立されてい
るとはいえない。
【0004】焼却飛灰、土壌、汚泥、農産物、水産物等
のダイオキシン類、PCB、コプラナPCB等の有害な
有機ハロゲン化物を含有する処理対象物体、あるいは、
家庭ゴミ、シュレッダーダスト、回路基板などの有機ハ
ロゲン化物を生成しうる処理対象物体を、還元性雰囲気
で加熱すると脱塩素反応が生じ、このことがダイオキシ
ン類の濃度低減に有効であることが知られている。また
一般にダイオキシン類は還元性雰囲気で約500℃程度
以上に加熱することによって分解することが知られてい
る。したがって系内を還元性雰囲気に保持して処理対象
物体の加熱を行えばダイオキシン類の分解することがで
きる。しかしながら、焼却にしても熱分解にしても、常
温から約500℃に到達する加熱の過程においてはダイ
オキシン類が生成することは不可避であり、この加熱過
程で生じるダイオキシン類の効果的な対策は未だ確立さ
れていない。このため処理対象物体が所定の加熱温度へ
到達する過程で発生するダイオキシン類の効果的な処理
技術の確立が求められている。また、上述したように有
機ハロゲン化物を含有する処理対象物体、または有機ハ
ロゲン化物を生成しうる処理対象物体の蒸し焼き処理
(熱分解処理)を従来のダイオキシン対策によった場
合、加熱室内を所定真空度に保持するとともに一気に所
定温度に昇温させることが困難であるという問題があ
る。
【0005】ダイオキシン、PCB、コプラナPCB等
の有機ハロゲン化物の環境への拡散とその影響が大きな
社会問題となっている。例えば廃棄物を燃焼処理、熱分
解処理した加熱残渣(灰、チャー、カーボン)にはダイ
オキシン類などの有害な有機ハロゲン化物が残留してい
る。また例えばごみ焼却場、産業廃棄物処分場の周辺土
壌等から高濃度のダイオキシン類が検出されており、住
民の健康への悪影響が深刻に懸念されている。また土
壌、汚泥などにも有機ハロゲン化物は含まれている。
【0006】このように廃棄物の加熱残渣や、特殊条件
における土壌、汚泥などの固体、液体中にはダイオキシ
ン類などの有機ハロゲン化物、または重金属などが残留
しているものが多い。
【0007】これら有機ハロゲン化物または重金属を含
む有害物質を除去する方法としては、有機ハロゲン化物
を含有する処理対象物体を高温加熱したり、約1500
°C前後の高温で溶融処理することにより有機ハロゲン
化物濃度を低減する手法が提案されている。しかしなが
らこのような方法は、高価で大規模な設備が必要となる
こと、ランニングコストが高いこと等の問題がある。さ
らに、常温からダイオキシンの分解温度に達するまでの
間に発生するダイオキシンについては対応することがで
きないという問題がある。焼却施設周辺など、ダイオキ
シン等の有機ハロゲン化物、As、Hg、Cd、Pb、
Cr+6などが降りそそいだ土壌などの効果的な処理技
術は確立されていない。
【0008】また、燃焼(焼却)等で都市ゴミなどを処
理する場合、完全燃焼することができれば有機ハロゲン
化物の生成を低減することができる。しかしながら、量
が多く不均質な処理対象物体を完全燃焼することは非常
に困難である。また完全燃焼することが可能だとしても
所定の温度へ到達するまでの間に、ダイオキシン類など
の有害な有機ハロゲン化物は生成してしまう。
【0009】焼却や熱分解などの処理対象物体の加熱処
理の残渣である加熱残渣にはダイオキシン類などの有機
ハロゲン化物が残留しており、加熱残渣に残留する有機
ハロゲン化物濃度を低減、除去する加熱処理の技術を確
立することが求められている。
【0010】ところで、ダイオキシンが生成されるため
にはベンゼン核の炭素と結合する反応性の塩素原子と、
ベンゼン核を結合する酸素が存在することが必要となる
(図6参照)。図6は米国のチャウドリー(Choud
hry)らが推定した焼却時の化学反応の流れである。
熱分解に際してダイオキシンが生成されることを抑制す
るためには、熱分解炉内におけるこれらの反応性の塩素
原子と酸素の量をコントロールすることが有効と考えら
れる。しかしながら従来このような視点からダイオキシ
ンの発生を防止するために好適な熱分解炉は提案されて
いない。特に所定の加熱温度までの昇温過程における比
較的低温時(常温〜500℃)におけるダイオキシン
類、コプラナPCB等の有機ハロゲン化物の生成抑制、
並びに、残灰等の加熱残渣中に残留する有機ハロゲン化
物の低温での分解などを実現する技術は未だ確立されて
いない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題点を解決するためになされたものである。本発明はダ
イオキシン等の有機ハロゲン化物で汚染された土壌から
清浄な土壌を生産する土壌の生産方法、土壌の処理装置
を提供することを目的とする。
【0012】また本発明は焼却灰、シュレッダーダスト
などの処理対象物体を安全に処理する処理方法、処理装
置を提供することを目的とする。
【0013】また本発明は、処理対象物体の加熱処理に
際して加熱室内における圧力及び温度を変化させるとい
う手段により、ダイオキシンの発生を極力防止するとと
もに加熱残渣に残留するダイオキシンの濃度を低く抑制
することを課題とする。
【0014】また本発明は地方自治体のゴミ焼却施設や
工場等からでる残灰などの加熱残渣、残液、煤塵等中に
含まれるダイオキシン、これらに汚染された土壌、汚泥
などから安全で確実にダイオキシンを除去することがで
きる処理方法及び処理装置を提供することを課題とす
る。
【0015】また本発明は、熱分解時における炉内の温
度、圧力、塩素と酸素の量に応じてこれらをコントロー
ルすることによりダイオキシンが発生すること自体を抑
止し得るとともに、仮にダイオキシンが発生し、あるい
は残留ダイオキシンが存在するとしても、それを確実に
分解、除去することができ、しかも、比較的低温におけ
る常圧熱分解であっても有効にダイオキシンの処理をな
し得る熱分解方法及び装置を提供することを課題とす
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため本発明は以下のような構成を採用している。
【0017】本発明の土壌の生産方法は、有機ハロゲン
化物を第1の濃度で含有する第1の土壌から、前記有機
ハロゲン化物を第1の濃度より低い第2の濃度で含有す
る第2の土壌を生産する土壌の生産方法において、前記
第1の土壌を気密領域に導入し、前記第1の土壌を減圧
下で加熱することにより前記有機ハロゲン化物の少なく
とも一部を熱分解する、ことを特徴とする。処理対象物
体は前記有機ハロゲン化物の分解温度以上、または沸点
以上に加熱される。
【0018】前記有機ハロゲン化物としては、例えばダ
イオキシン、PCB、コプラナPCBなどをあげること
ができる。
【0019】さらに、前記土壌の熱分解により生じたガ
ス状排出物中のハロゲン濃度を低減する工程をさらに有
するようにしてもよい。これによりガス状排出物中で有
機ハロゲン化物が生成、再生成する可能性を低減するこ
とができる。
【0020】前記第1の土壌の熱分解残渣は、前記気密
領域内を実質的に前記有機ハロゲン化物フリーかつ有機
ハロゲン化物生成能を有しない置換ガスで置換した後に
冷却するようにしてもよい。これにより冷却に伴ってダ
イオキシンなどの有機ハロゲン化物が残渣中に固定され
るのを防止することができる。
【0021】このような実質的に前記有機ハロゲン化物
フリーかつ有機ハロゲン化物生成能を有しない置換ガス
の形態としては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴ
ン、クリプトン、キセノン、窒素、及び水素からなる群
から選択された少なくとも1種のガス、これらの混合ガ
ス、これらのガスまたは混合ガスを主体としたガスをあ
げることができる。
【0022】前記熱分解工程は、前記気密領域内の酸素
濃度を制御しながら行うようにしてもよい。これにより
処理対象物体の不均一さ、部分燃焼などにかかわらずガ
ス状排出物の生成量の変動を抑制し、ガス状排出物の処
理をより確実に、かつ効率的に行えるようになる。また
酸素濃度、ハロゲンの濃度を抑制することによりダイオ
キシン生成を防止することもできる。
【0023】本発明の土壌の生産方法は、有機ハロゲン
化物を第1の濃度で含有する第1の土壌から、前記有機
ハロゲン化物を第1の濃度より低い第2の濃度で含有す
る第2の土壌を生産する土壌の生産方法において、前記
第1の土壌を前記有機ハロゲン化物の少なくとも一部が
蒸発または分解するように加熱し、前記土壌の加熱残渣
を気密領域に導入し、前記気密領域内を実質的に前記有
機ハロゲン化物フリーかつ有機ハロゲン化物生成能を有
しない置換ガスで置換した後に前記土壌の加熱残渣を冷
却することを特徴とする。
【0024】また本発明の土壌の生産方法は、有機ハロ
ゲン化物を含む土壌を減圧下で熱分解することを特徴と
する。減圧下では分子の平均自由行程が長く、また系内
が非酸化雰囲気に保たれるために、ダイオキシンなどの
有機ハロゲン化物の生成、再生成を防止することができ
る。また、減圧下では有機ハロゲン化物自体の分圧も小
さいので加熱残渣に残留するダイオキシン濃度を小さく
することができる。
【0025】例えば、ゴミ処理施設や工場等からでる残
留ダイオキシンを含む土壌、加熱残渣、蒸し焼き品、残
灰、残液、煤塵等を、常圧下から減圧しつつかつ昇温さ
せつつ熱処理することによりダイオキシンを効果的に処
理することができる。
【0026】また、前記土壌の熱分解により生じたガス
状排出物のハロゲン濃度を低減するようにしてもよい。
【0027】本発明の土壌処理装置は、有機ハロゲン化
物を含有するか、または、加熱により有機ハロゲン化物
を生成可能な土壌を処理する土壌処理装置において、前
記土壌を加熱する手段と、気密領域と、前記土壌の加熱
残渣を気密領域に導入する手段と、前記気密領域内を実
質的に前記有機ハロゲン化物フリー(有機ハロゲン化物
が欠乏していること)な置換ガスで置換する手段と、記
加熱残渣を冷却する手段と、を具備したことを特徴とす
る。本発明では、燃焼、熱分解、減圧熱分解を問わず、
処理対象物体である土壌を加熱した後、気密領域内でパ
ージ、冷却するのである。前記置換手段は、前記置換ガ
スを、前記気密領域内を減圧した後に導入するようにし
てもよい。
【0028】また、前記土壌の加熱により生じるガス状
排出物中に含まれるハロゲンと化合物を形成する金属、
または前記ガス状排出物中のハロゲンを吸着する吸着材
が配置されたハロゲン除去手段をさらに具備するように
してもよい。
【0029】また前記土壌の加熱により生じるガス状排
出物をダイオキシンが分解するような第1の温度で改質
する改質手段と、改質された前記ガス状排出物中のダイ
オキシン濃度の増加が抑制されるように前記ガス状排出
物を第2の温度まで冷却する冷却手段と、をさらに具備
するようにしてもよい。前記冷却手段としては、前記ガ
ス状排出物に油を噴射して急冷するようにしてもよい。
【0030】すなわち本発明の処理方法は、有機ハロゲ
ン化物を含む処理対象物体を減圧下で熱分解することを
特徴とするものである。
【0031】また本発明の処理装置は、有機ハロゲン化
物を含むか、または、加熱により有機ハロゲン化物を生
成可能な処理対象物体を処理する処理装置において、前
記処理対象物体を加熱する手段と、気密領域と、前記加
熱残渣を気密領域に導入する手段と、前記気密領域内を
実質的に前記有機ハロゲン化物フリー(有機ハロゲン化
物が欠乏していること)な置換ガスで置換する手段と、
前記加熱残渣を冷却する手段と、を具備したことを特徴
とする。前記加熱手段としては、前記処理対象物体を燃
焼する燃焼炉、前記処理対象物体を熱分解する熱分解
炉、前記処理対象物体を減圧下で熱分解する減圧熱分解
炉等をあげることができる。
【0032】本発明の処理装置は、処理対象物体を常圧
下から減圧しつつ熱分解(蒸し焼き)処理するにあた
り、熱分解温度を制御可能にした炉、あるいは、熱分解
温度の異なる複数の減圧炉を通過させることを特徴とす
る。例えば、炉の圧力をほぼ一定に処理し、温度を変化
させながら処理対象物体の熱分解を行うようにしてもよ
い。
【0033】また、処理対象物体を熱分解処理する熱分
解温度の制御を可能にした炉を設け、前記炉内を常圧か
ら所定真空度に変化させてその真空度を維持し得るよう
にしたことを特徴とする。例えば炉内の温度をほぼ一定
に保持し、圧力を変化させながら処理対象物体の熱分解
を行うようにしてもよい。
【0034】また処理対象物体を熱分解処理する常圧炉
及び複数の減圧炉を連設し、前記各炉における熱分解温
度を後段にいくにしたがって高くなるように設定しても
よい。
【0035】前記減圧炉と接続して配設され、前記処理
対象物体の熱分解により生じるガス状排出物中に含まれ
るハロゲンと化合物を形成する金属、または前記ガス状
排出物中のハロゲンを吸着する吸着材を内部に保持した
ハロゲン除去手段をさらに具備したことを特徴とする。
ハロゲン除去手段の例えばハロゲンをトラップする金
属、分解する触媒などが装填された部分は、常温〜約1
000℃程度の範囲、より好ましくは約400℃〜約1
000℃の範囲でほぼ恒温に保持するようにしてもよ
い。ハロゲンを吸着する部分は低温に保持することが好
ましい。
【0036】また本発明では、ゴミ処理施設や工場等か
らでる残留ダイオキシンを含む加熱残渣を減圧させつ
つ、かつ加熱しつつ処理するようにしてもよい。またゴ
ミ処理施設や工場等からでる残留ダイオキシンを含む蒸
し焼き品、残灰、残液、煤塵等を、常圧下から減圧しつ
つ且つ昇温させつつ処理するようにしてもよい。
【0037】また本発明では、密閉可能な熱分解炉のガ
ス出口に配した加熱状態の還元手段にガス状排出物を導
入することによって前記ガス状排出物を分解して還元
し、前記還元手段の下流側の酸素、酸化物ガス、塩素、
塩化物ガスの少なくとも一つのガス濃度を計測し、その
計測値に応じて前記熱分解炉内の温度、圧力、酸素濃度
等を制御するようにしてもよい。
【0038】また、密閉可能な熱分解炉のガス出口に配
した加熱状態の還元手段にガス状排出物を導入すること
によって前記ガス状排出物を分解して還元し、前記熱分
解炉内又は前記還元手段の下流側の酸素、酸化物ガス、
塩素、塩化物ガスの少なくとも一つのガス濃度を計測
し、その計測値に応じて前記熱分解炉内に金属還元剤を
供給するようにしてもよい。
【0039】また本発明の処理装置は、密閉可能な熱分
解炉のガス出口に昇温可能な還元レトルトを設け、その
下流側に酸素と酸化物ガスの少なくとも一方並びに塩素
と塩化物ガスの少なくとも一方のガス濃度計測手段を配
置し、前記ガス濃度計測手段による計測値に基いて炉内
の温度制御を行うようにしてもよい。
【0040】また、密閉可能な熱分解炉のガス出口に昇
温可能な還元レトルトを設け、その下流側に酸素と酸素
ガスの少なくとも一方並びに塩素と塩化物ガスの少なく
とも一方のガス濃度計測手段を配置するとともに、前記
ガス濃度計測手段による計測値に基いて炉内にアルミニ
ウム、マグネシウム等の金属還元剤を供給する金属還元
剤供給手段を設置し、以て炉内の酸素及び塩素の量、炉
内圧力並びに温度の制御を行うようにしてもよい。
【0041】例えば、 前記熱分解炉内又は前記還元手段
の下流側酸素と酸化物ガスの少なくとも一方並びに塩素
と塩化物ガスの少なくとも一方のガス濃度を計測し、 そ
の計測値に応じて前記熱分解炉内にアルミニウム、 マグ
ネシウム等の金属還元剤を供給することにより、 前記熱
分解炉内の酸素濃度及び塩素濃度、 並びに炉内の温度、
圧力等の制御を行うようにしてもよい。
【0042】なた、前記熱分解炉に減圧手段を備えるこ
とにより減圧下での熱分解を行うようにしてもよい。そ
の場合、 家庭ゴミ、 シュレッダーダスト等の水分を含有
する処理対象物体の減圧下での熱分解を行う際には、 排
気系として水封ポンプなどの液封ポンプを用いることが
好ましい。液封ポンプの封液は水に限ることなく有機溶
媒を用いるようにしてもよい。通例上記熱分解装置は、
凝縮による金属回収装置と粉体除去装置を備える。 粉体
除去装置は、 金属粉体フィルターと、 ガス状排出物を油
に浸した布等の油膜を通過させることによりダイオキシ
ン等の粉体を溶解補足する油膜粉体トラップとから構成
される。本発明は、 更に、 上記熱分解炉を複数連続し、
前記各熱分解炉間に、 隣接する前記熱分解炉との間にお
けるガス分離及び同圧化が可能で処理対象物体を一時貯
留可能にした分離室を配置し、前室にパージ室、後室に
冷却室をゆうして成る連続熱分解装置、 を備えるように
してもよい。また前記還元手段中には、金属還元剤及び
/又はアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水
酸化物を添加するようにしてもよい。また、熱分解によ
り発生するガス状排出物を、凝縮による蒸発金属の回収
工程、油膜付き油槽による粉体除去行程、アルカリ溶液
との接触による塩類生成行程及びイオン交換樹脂膜によ
る塩類除去行程を経て処理するようにしてもよい。
【0043】本発明では、有機ハロゲン化物とは、ダイ
オキシン類、PCB、コプラナPCB、DDT、トリク
ロロエチレン、トリハロメタン等を含むものとする(図
6参照)。
【0044】また本発明では特に説明しないかぎり、ポ
リ塩化ダイベンゾパラダイオキシン(Polychlo
rinated dibenzo−p−dioxin
s:PCDDs)、ポリ塩化ダイベンゾフラン(Pol
ychlorinateddibenzofuran
s:PCDFs)およびこれらの塩素数および置換位置
の異なる同族体を総称してダイオキシンという。さらに
ダイオキシンの塩素をフッ素、臭素などほかのハロゲン
で置換した化合物も本発明でいう有機ハロゲン化物に含
まれる。
【0045】処理対象物体の加熱残渣中のダイオキシン
類、PCB、コプラナPCBなどの有機ハロゲン化物の
濃度を低減するためには、このような有機ハロゲン化物
の少なくとも一部が分解するような温度で処理対象物体
を加熱するとともに、処理対象物体を、できるかぎり有
機ハロゲン化物、および有機ハロゲン化物生成能を有す
る物質の濃度の低い雰囲気中で冷却することが重要であ
る。
【0046】一方、処理対象物体の加熱により生じるガ
ス状排出物についても、ダイオキシン類の濃度、例えば
ハロゲンなどダイオキシンを生成可能な物質の濃度をで
きるかぎり低減することが好ましい。
【0047】処理対象物体の冷却の際に、冷却雰囲気に
有機ハロゲン化物が共存していると、この有機ハロゲン
化物は処理対象物体中に固定されてしまう。また処理対
象物体の冷却の際に、有機ハロゲン化物を生成しうる材
料物質が共存していると、冷却の過程で有機ハロゲン化
物が合成ないしは再合成され、やはり残渣に有機ハロゲ
ン化物が残留してしまうことになる。
【0048】したがって本発明においては、有機ハロゲ
ン化物を含有するか、または加熱により有機ハロゲン化
物を生成する処理対象物体を処理するにあたり、燃焼、
熱分解などの加熱を行った後、この加熱残渣を有機ハロ
ゲン化物、および有機ハロゲン化物生成能を有する物質
の濃度を低減した状態で冷却する。このため加熱残渣の
冷却は、例えば有機ハロゲン化物の材料物質を含まない
冷却ガスでパージされた雰囲気で行うようにすればよ
い。したがって冷却ガスとしては、ハロゲン、酸素、有
機化合物を含有しないガスを用いることが好ましく、例
えばアルゴン等の希ガス、窒素などを用いることができ
る。
【0049】処理対象物体としては例えば都市ゴミ、都
市ゴミの焼却灰、ダイオキシンやPCB等の有機ハロゲ
ン化物に汚染された土壌、汚泥、農産物、水産物、また
シュレッダーダスト、廃家電製品、各種廃棄物等をあげ
ることができる。
【0050】本発明の処理方法は、加熱により有機ハロ
ゲン化物を生成可能な処理対象物体を処理する処理方法
において、前記処理対象物体を加熱し、前記加熱残渣を
気密領域に導入し、前記気密領域内を実質的に前記有機
ハロゲン化物フリーかつ有機ハロゲン化物生成能を有し
ない置換ガスで置換し、前記加熱残渣を冷却する、こと
を特徴とする。
【0051】また本発明の処理方法は、加熱により有機
ハロゲン化物を生成可能な処理対象物体を処理する処理
方法において、前記処理対象物体を加熱し、前記加熱残
渣を気密領域に導入し、前記気密領域内を実質的に前記
有機ハロゲン化物フリー(有機ハロゲン化物が欠乏して
いること)な置換ガスで置換し、前記加熱残渣を冷却す
ることを特徴とする。ここで「有機ハロゲン化物フリ
ー」とは、有機ハロゲン化物が欠乏していることを意味
する。置換ガスの形態としては、希ガス、窒素、水素、
またはこれらの混合ガスなどをあげることができる。ま
た酸素濃度が問題にならない範囲では空気を置換ガスと
し用いることも可能である。
【0052】前記処理対象物体の加熱の形態としては、
例えば燃焼、熱分解などをあげることができる。このよ
うな加熱は酸素濃度を調節しながら行うようにしてもよ
い。また熱分解は減圧、加圧など気密領域内の圧力を調
節しながら行うようにしてもよい。
【0053】前記気密領域内への前記置換ガスの導入
は、前記気密領域内を減圧した後に行うようにしてもよ
い。
【0054】また前記処理対象物体の加熱により生じる
ガス状排出物についても、ダイオキシンなどの有機ハロ
ゲン化物の濃度を減ずるための処理を施す。
【0055】このような処理としては、例えば前記ガス
状排出物をダイオキシンが分解するような第1の温度で
改質し、改質された前記ガス状排出物中のダイオキシン
濃度の増加が抑制されるように前記ガス状排出物を第2
の温度まで冷却するようにしてもよい。
【0056】処理対象物体の加熱により生じた前記ガス
状排出物の冷却は、前記ガス状排出物に油を噴射して急
冷するようにしてもよい。これにより、有機ハロゲン化
物の再合成を抑制することができるとともに、改質され
たガス状排出物中の炭化水素等をトラップすることがで
きる。
【0057】さらに、油を噴射して冷却したガス状排出
物は、再びダイオキシンなどの有機ハロゲン化物が分解
するような高温に再加熱し、この後冷却水を噴射して急
冷するようにしてもよい。この冷却水はアルカリ性にす
るようにしてもよい。
【0058】また、処理対象物体の加熱により生じたガ
ス状排出物中に含まれる塩素などのハロゲンの濃度を低
減するようにしてもよい。例えば熱分解炉の後段にガス
状排出物中のハロゲンを除去するハロゲン除去装置等を
配設するようにしてもよい。ハロゲン除去装置の形態と
しては、例えばチャンバ内にガス状排出物中の塩素と反
応して塩化物を構成する鉄などの金属、ダライ粉及び/
または水酸化カルシウムなどの化合物を装填したものが
ある。またチャンバ内にガス状排出物中のハロゲンの固
定反応や、ガス状排出物中の有機ハロゲン化物の分解を
促進する触媒などを装填してもよい。さらにガス状排出
物中に含まれるハロゲンを吸着する吸着材を装填するよ
うにしてもよい。これらのハロゲン除去装置の構成は複
数組み合わせるようにしてもよい。
【0059】なお、ハロゲン除去のためにゼオライトな
どの吸着材を用いる場合、吸着効率を向上するために
は、吸着材をなるべく低温に維持することが好ましい。
この場合、ガス状排出物は吸着材が装填されたチャンバ
内で冷却されることになるが、この冷却はガス状排出物
の温度がダイオキシン類などの有機ハロゲン化物の再生
温度範囲への滞留時間ができるだけ短くなるように急速
に行うことが好ましい。
【0060】上述した、ダイオキシンなどの有機ハロゲ
ン化物のガス状排出物中の濃度を減ずるための各種処理
は複数組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0061】このような処理を実現する本発明の処理装
置としては、例えば、処理対象物体を気密に保持するこ
とができる気密領域と、前記気密領域の温度を調節する
手段と、前記気密領域内のガスを置換するための置換手
段と、前記処理対象物体の加熱残渣を冷却するための冷
却手段とを備えるようにすればよい。また気密領域内を
減圧するようにしてもよい。
【0062】置換手段は、単に気密領域内のガスを置換
するだけではなく、気密領域内を減圧して排気したうえ
で、置換ガスを導入するようにしてもよい。この排気系
はガス置換以外の気密領域内の減圧に用いることもでき
る。
【0063】さらに気密領域内で処理対象物体を移動す
るための移動手段を備えるようにしてもよい。この移動
手段としては、ロータリーキルン、スクリューコンベ
ア、トレープッシャやドロワー、ローラーハウスなどを
備えるようにしてもよい。
【0064】また気密領域内部のガスを温度調節しなが
ら循環させるガス循環装置を設けるようにしてもよい。
ガス循環装置としては、例えば気密領域(チャンバ)と
連なったバイパスを設け、このバイパスに循環ポンプ、
温度調節装置または熱交換器、ガス流に含まれる粉塵、
ミスト等を除去するフィルタ手段等を備えるようにすれ
ばよい。これらは、フィルタ、温度調節装置、循環ポン
プの順に配設するようにしてもよい。とくにフィルタは
循環ポンプ、温度調節装置の前段に配設することが好ま
しい。フィルタとしては例えば油膜を用いるようにして
もよい。
【0065】前述したような本発明の処理方法、処理装
置は、減圧熱分解炉に限ることなく、焼却炉、常圧熱分
解炉等の加熱炉における処理にも適用することができ
る。
【0066】例えば従来の焼却炉、常圧熱分解炉の後段
に本発明の処理装置を付帯させることができる。したが
って焼却炉で大量に発生する焼却残渣から安全にかつ効
果的にダイオキシンなどの有機ハロゲン化物等を除去す
ることができる。
【0067】毒性を有する有機ハロゲン化物の環境中へ
の拡散は深刻な問題であり、焼却設備を新たな処理設備
に建て替えるには、莫大な費用と時間を要し、なおかつ
日々発生する廃棄物の処理も行わなければならない。本
発明は現状の焼却設備に付帯設備として適用することも
可能である。したがって、現状の設備を利用しつつ、有
機ハロゲン化物生成能を有する処理対象物体を処理する
ことができる。
【0068】本発明の土壌の生産方法は、有機ハロゲン
化物を第1の濃度で含有する第1の土壌から、前記有機
ハロゲン化物を第1の濃度より低い第2の濃度で含有す
る第2の土壌を生産する土壌の生産方法において、前記
第1の土壌を気密領域に導入する工程と、前記第1の土
壌を減圧下で加熱することにより前記有機ハロゲン化物
の少なくとも一部を熱分解する工程と、を有することを
特徴とする。
【0069】前記第1の土壌の熱分解残渣は、前記気密
領域内を実質的に前記有機ハロゲン化物フリーかつ有機
ハロゲン化物生成能を有しない置換ガスで置換した後に
冷却することが好ましい。
【0070】これは前述のように、処理対象物体の冷却
の際に冷却雰囲気に有機ハロゲン化物が共存している
と、この有機ハロゲン化物は処理対象物体中の加熱残渣
中に固定されてしまうためである。加熱により有機ハロ
ゲン化物が蒸発したり、有機ハロゲン化物が生成する処
理対象物体の加熱残渣から有機ハロゲン化物を除くため
には、有機ハロゲン化物を含んでいる加熱雰囲気ガスを
置換するか、減圧などにより有機ハロゲン化物、および
有機ハロゲン化物生成能を有する物質の濃度を低減した
状態で加熱残渣を冷却することが大切である。したがっ
て、第1の土壌の熱分解残渣の冷却を有機ハロゲン化
物、または有機ハロゲン化物の生成能を有する物質の濃
度を低減した状態で行うことにより、第1の土壌の加熱
残渣である第2の土壌に残留する有機ハロゲン化物の濃
度を低減、除去することができる。
【0071】なお、第1の土壌の熱分解は、前記気密領
域内の酸素濃度を制御しながら行うようにすることが好
ましい。例えば気密領域内の酸素濃度を測定し、測定し
た酸素濃度に応じて気密領域内の酸素濃度を調節するよ
うにすればよい。また前記酸素濃度の制御は、前記気密
領域内に還元性のキャリアガスまたは還元剤を導入する
ことにより行うようにしてもよい。
【0072】このように気密領域内の酸素濃度を能動的
に制御することにより、処理対象物体が不均質な場合で
あっても、安定した状態で熱分解することができる。ま
た気密領域内を還元性雰囲気に保持しながら熱分解を行
うことにより、ダイオキシンなどの有機ハロゲン化物の
生成を抑制することができる。さらに気密領域内を減圧
することにより、分子間の平均自由工程がより長くな
り、ダイオキシン等の有機ハロゲン化物の生成確率を低
減することができる。
【0073】また前述の第1の土壌に、例えば重金属な
どの金属が含まれている場合には、この土壌を加熱、減
圧して金属を気化させて回収するようにしてもよい。こ
のようにすることにより、土壌が水銀、カドミウム、亜
鉛、鉛、砒素、などで汚染されている場合でも、このよ
うな金属を土壌から分離、回収することができる。また
6価クロムなどは例えば3価のクロムに還元することが
できる。
【0074】なお本発明は汚染土壌に限ることなく、焼
却灰、汚泥、廃液、農産物、水産物などの処理にも同様
に適用することができる。本発明により処理した土壌は
多孔質なカーボンなど無機成分を多く含むため、土壌と
して用いるだけではなく、有効な土壌改良剤として用い
ることもできる。また例えば腐葉土、コンポストなどの
有機物と混合して用いるようにしてもよい。
【0075】また、本発明の処理方法は、加熱によりダ
イオキシンを生成可能な処理対象物体の加熱残渣を冷却
するにあたり、雰囲気中のダイオキシン濃度を低減して
前記加熱残渣を冷却することを特徴とする。
【0076】さらに冷却雰囲気中のダイオキシンそのも
のの濃度だけではなく、ダイオキシン類の原材料となる
物質の濃度(例えば塩素、酸素、有機物などの濃度)、
あるいはダイオキシンの生成反応を促進するような触媒
物質の濃度、量も低減することが好ましい。
【0077】本発明の処理装置は、内部に処理対象物体
を気密に保持することができる気密領域と、前記気密領
域の温度を調節する手段と、前記気密領域内のガスを置
換するための置換手段と、前記処理対象物体の加熱残渣
を冷却するための冷却手段とを備えるようにすればよ
い。置換手段は、単に気密領域内のガスを置換するだけ
ではなく、気密領域内を減圧して排気したうえで、置換
ガスを導入するようにしてもよい。この排気系はガス置
換以外の気密領域内の減圧に用いることもできる。さら
に気密領域内で処理対象物体を移動するための移動手段
を備えるようにしてもよい。この移動手段としては、ロ
ータリーキルン、スクリューコンベア、トレープッシャ
やドロワー、ローラーハウスなどを備えるようにしても
よい。
【0078】また気密領域内部のガスを温度調節しなが
ら循環させるガス循環装置を設けるようにしてもよい。
ガス循環装置としては、例えば気密領域(チャンバ)と
連なったバイパスを設け、このバイパスに循環ポンプ、
温度調節装置または熱交換器、ガス流に含まれる粉塵、
ミスト等を除去するフィルタ手段等を備えるようにすれ
ばよい。これらは、フィルタ、温度調節装置、循環ポン
プの順に配設するようにしてもよい。とくにフィルタは
循環ポンプ、温度調節装置の前段に配設することが好ま
しい。フィルタとしては例えば油膜を用いるようにして
もよい。
【0079】また本発明の処理装置では、前記気密領域
と接続され、前記処理対象物体から発生するガス状排出
物を分解、反応、除去させる分解反応除去装置と、それ
につらなり分解反応除去装置からでるガスを急冷しアル
カリと反応させるためのアルカリ水(油)ガスイジェク
ター式(ベンチュリー)冷却装置と、それに連なり前記
冷却装置で用いる冷却媒(水、油)をアルカリ性にする
ための循環装置を備えるようにしてもよい。循環装置に
はアルカリ水中の粉塵を除去するためのフィルターを備
えるようにしてもよい。
【0080】さらに本発明の処理装置では、上述の冷却
装置に連なり、前記冷却装置からでる水分を含むガスか
ら水分を除去する除去装置と、それにつらなり水分除去
後のガス中の有毒成分を吸着する吸着装置と、吸着装置
からでるガスを吸引(排気)する吸引装置とを具備する
ようにしてもよい。
【0081】また本発明の処理装置は、処理対象物体か
ら発生するガスを加熱分解するガス分解装置と、それに
連なり炉を遮断する真空扉と、それに連なり蒸発物を回
収する凝縮装置と、それに連なり粉塵を除去する粉塵除
去装置と、それに連なり運転中凝縮物を炉体から遮断し
回収するための真空バルブと、それに連なり気密領域内
の圧力を調節する(減圧、加圧)するための圧力調節手
段とを具備したことを特徴とする。
【0082】さらに、圧力調節装置が備える排気系など
の減圧手段より排気されるガスを加熱分解するガス分解
装置と、その分解ガスを急冷しアルカリと反応させるた
めのアルカリ水(油)ガスイジェクター式(ベンチュリ
ー)冷却装置と、それにつらなり水分除去後のガス中の
有毒成分を吸着する吸着装置と、吸着装置からでるガス
を吸引(排気)する吸引装置とを具備するようにしても
よい。
【0083】また本発明の連続式の処理装置は、気密領
域の入口側に、気密領域と真空扉で仕切られた気密室少
なくとも2室をさらに設け、その2つの気密室のうちの
少なくとも1室を減圧するための減圧装置を配設する。
2つの気密室も真空扉で仕切られている。気密室内には
処理対象物体を収納するトレー(治具)が装備される。
【0084】そして2つの気密室の間をトレーが往来す
るための移動装置と、トレーに収容された処理対象物体
を気密領域に隣接した気密室から気密領域に投入するた
めの投入装置と、気密領域内に投入された処理対象物体
を加熱しながら気密領域の出口側まで搬送する搬送手段
とを備える。処理対象物体は気密領域からは冷却され、
空気等によりージの上排出される。
【0085】そして気密容器の処理対象物体の出口に
は、気密に加熱残渣を収納することができる収納室と、
加熱残渣を冷却する冷却室と、置換ガスまたは排気系で
雰囲気を置換して空トレーを収納するパージ室と、常圧
で加熱残渣をコンベア等に排出する排出室の4室を設け
る。これらの4室は独立に気密を保てるように真空扉を
それぞれ備えるようにしてもよい。また投入室は常圧で
もよいので3室を気密にするようにしてもよい。そして
これらの4室をトレー等の治具を移動させることで加熱
残渣を搬送する。移動を容易にするため、これら各室は
グリッド状に設けるようにしてもよい(例えば四角形の
各頂点に各室を配設する)。加熱処理を行う気密容器か
ら収納室への加熱残渣の搬送は、各種の搬送手段のほ
か、収納室を気密容器の下方に設け、重力により加熱残
渣を落下させるようにしてもよい。
【0086】
【発明の実施の形態】(実施形態1)本発明の実施の形
態を添付図面に依拠して説明する。 図1 は本発明に係わ
る方法を実施するための本発明に係わる熱分解装置の全
体構成を示す図であり、 図2はその要部を示す図であ
る。
【0087】熱分解炉1 は炉内の温度を制御する制御装
置2 と、 蒸発金属の回収装置3 と、炉内還元手段と、 炉
内の加熱手段20並びに冷却手段21を備える。 また、 更
に、 後述する真空バルブ40、42 以降の部品によって構成
される減圧のための構成、機構を設置することにより、
減圧熱分解炉として有価物の回収を可能にすることもで
きる。また、 熱分解炉1 には温度センサ、 真空度センサ、
酸素及び酸化物濃度センサ並びに塩素及び塩化物濃度
センサ等から成るセンサ群5 が配置され、 それにより、
炉内の温度、 真空度、酸素と酸化物ガスの少なくとも一
方の濃度等が計測され、 そのデータ信号が制御装置2 に
送られる。熱分解炉1 は断熱材で包囲されていて、 その
処理対象物体18の搬入口には、 エアシリンダー等によっ
て昇降駆動される真空ドア17が配備される。 処理対象物
体18は、 治具19に収納した状態で、 真空ドア17を開けて
炉内に搬入する。 熱分解炉1 には、 炉内の加熱手段20と
冷却手段21の外に必要に応じ、 処理対象物体18の撹拌手
段23が設置される。 図示した撹拌手段23はファンである
が、 これに限られる訳ではなく、 それに代え、 あるい
は、 それとともに、 治具19内に進入して処理対象物体18
を掻き回すスクリュウを配置してもよいし、 炉ごと回転
させるロータリーキルン方式を採用してもよい。通例、
加熱手段20としてはヒータが用いられ、 冷却手段21とし
てはチッ素ガスの循環回路が用いられる。 チッ素ガスの
循環回路21には、 チッ素ガス冷却のための水冷式冷却器
24と、 チッ素ガスを熱分解炉1 内に循環させるためのポ
ンプ25とが設置される。 循環回路にはさらにフィルタを
備えるとなおよい。
【0088】熱分解炉1 に突接されるガス状排出物還元
部に、 炉内還元手段としての還元レトルト4 が配置され
る。 還元レトルト4 内にはアルミニウム粉等の金属還元
剤が単独で、 あるいは、 それとアルカリ水酸化物とが充
填され、 また、 還元レトルト4 内の温度を検知する温度
センサ5aが配備される。還元レトルト4 を取り巻く断熱
材内には、 還元レトルト4 内を約800℃〜約1200
℃位まで加熱することができるヒータ7 が埋設される。
還元レトルト4の下流側に形成される還元ガス流出口8
内には、 酸素濃度センサ5bと塩素濃度センサ5cとが配備
される。 還元ガス流出口8 は後続の回収装置3 に通ずる
もので、その途中に、 通例シリンダーによって昇降駆動
される耐真空性能を備えた真空扉26が設置される。 回収
装置3 には熱分解炉1 で発生する蒸発物が導入され、 ガ
ス状排出物中には、 加熱によって発生するダイオキシン
及び処理対象物体18中の残留ダイオキシンを除去する機
能を果たす。周知のように、 ダイオキシンは200℃以上の
温度域において発生し、 また、 残灰中のダイオキシン等
は500℃以上になると分解する。 熱分解炉1 における熱
分解は、500℃ 前後の範囲の常圧熱分解であって、 多量
のダイオキシンが発生するが、 そのガス状排出物を500
℃以上に加熱された還元レトルト4 内に導入することに
より、 ガス中のダイオキシンが分解され、 酸素及び塩素
原子が解離する。 この解離した酸素及び塩素は、 直ちに
還元レトルト4 内に充填されているアルミニウム、 マグ
ネシウム等の反応エネルギーの小さい金属還元剤と化学
反応を起こして除去され、 再びダイオキシンの生成に寄
与することになる。この還元レトルト4 を通したとして
も、 酸素及び塩素の除去が完全に行われるとは限らな
い。 殊に、 熱分解による分解が早すぎる場合にはそれら
の除去が不完全となって、 還元ガス流出口8 に流出す
る。 そこで、 酸素濃度センサ5bと塩素濃度センサ5cによ
り、 流出した酸素と酸化物ガスの少なくとも一方、 並び
に塩素と塩化物の少なくとも一方の濃度を検出して分析
し、 それらが多い場合には、 炉内温度を下げたり加熱を
停止したりして分解を遅らせる等の処置をとる。 また、
減圧手段が装備されている場合には、 減圧処理によって
酸素及び塩素の発生を少なくし、 ダイオキシンの生成を
防止する。なお、 ガスの混合成分比による分析はできな
いため、 酸素濃度センサ5bによる酸素及び酸化物の濃度
分析は、O、CO、CO等の少なくともいずれか一つ
について行えばよく、 また、 塩素濃度センサ5cによる塩
素及び塩化物の濃度分析は、Cl、HCl、HClO等
のいずれか一つについて行うようにしてもよい。熱分解
炉1 内に処理対象物体18を投入した直後に、 冷却手段21
からチッ素ガスで炉内をパージしたり、 減圧手段を備え
ている場合には炉内を約1〜10―2Torr位に真空引き
して、系内の酸素量を低減した後に加熱したりすること
ができ、還元剤の消費を少なくすることができる。また本
発明の熱分解装置は上記実施形態における酸素濃度セン
サ5bと塩素濃度センサ5cを、 還元ガス流出口8 にではな
く熱分解炉1 内に配置するとともに、 熱分解炉1 に炉内
にアルミニウム、 マグネシウム、 亜鉛等の粉状、 液状又
は、 ガス状の金属還元剤を供給する還元剤供給手段22
を設置したもので、その他の構成は上記第1の実施形態
におけると同じである。
【0089】この場合、酸素濃度センサ5bと塩素濃度
センサ5cによってそれぞれ熱分解炉1内の酸素、塩素
等の濃度が検出分析され、それが所定値を越えたときな
ど、検出値に応じて炉内温度の昇温を停止させるととも
に、還元剤供給手段22から熱分解炉1内にアルミニウ
ム、マグネシウム等の金属還元剤が供給される。これに
より、酸化アルミニウムや塩化アルミニウム等が生成さ
れ、したがって熱分解炉1内の酸素及び塩素の量、並び
に圧力がコントロールされ、ダイオキシン類の発生が防
止される。
【0090】次いで、図1に依拠して、本発明共通して
設置されることのある蒸発金属の回収装置3、粉体除去
手段、真空引手段等の構成について説明する。回収装置
3は周囲を水冷空間27によって囲まれていて、一側面
に真空ドア28を有し、そこから回収レトルト29を、
蒸発作業中にも、図示せぬシリンダーによって真空扉2
6を経て還元ガス流出口8にまで押送することができ
る。また、真空扉26の開閉により、蒸発作業中に回収
レトルト29を出し入れすることができるようになって
いる。回収装置3には、上記熱分解炉1におけるのと同
様のチッ素ガス循環による回収品冷却手段30が設置さ
れ、回収品が迅速に冷却されるよう配慮される。
【0091】回収装置3の後段には粉体フィルターが連
設され、回収装置3において回収されなかった粉体が捕
捉される。粉体フィルターは、金網粉体フィルター31
と油粉体トラップ32で構成される。
【0092】油粉体トラップ32は、図3に示すよう
に、底に油34を貯留する筐体33内に、下部を油34
に浸した通例布製の油膜35を張り、金網粉体フィルタ
ー31を通過してきたガスを強制的にこの油膜35に導
いて通過させることにより、油膜35に粉体を捕捉させ
るものである。油34は毛細管現象によって油膜35中
を上昇して油の膜を形成し、そこを通過しようとするガ
ス中の粉体を捕捉し、粉体と一体となって油34中に落
ちる。
【0093】殊に、この油粉体トラップ32は、油に溶
解しやすい性質を持つダイオキシンを捕捉除去するのに
有効である。油粉体トラップ32には、ポンプ36、フ
ィルター37及び油水分離器38を備えた油循環回路3
9が設置され、そこにおいて油水の分離と、油34中の
捕捉粉体の除去とが行われる。
【0094】続いて、上記回収系に連設される真空引系
の構成について説明する。真空引系は、この例では熱分
解炉1内が所定真空度(例えば10−3Torr)以下
のときに動作する主系統と、それ以上になったときに動
作する副系統とに分岐している。主系統は、真空バルブ
40を経て設置されるブースターポンプ41と水封ポン
プ47とで構成され、副系統は、真空バルブ42を経て
設置される拡散ポンプ43とロータリーポンプ44とで
構成される。
【0095】系内の真空引きを行うための真空ポンプと
しては一般に油回転ポンプが用いられるが、この排気手
段は水が混入した場合に使用できなくなるおそれがあ
る。したがって本発明では、家庭ゴミやシュレッダーダ
スト等の水分が多く発生する処理対象物体の熱分解処理
をも行うことを考慮して、排気系として水封ポンプ47
を用いるようにしてもよい。
【0096】熱分解炉1内の真空度を高めるためにブー
スターポンプ41及び水封ポンプ47が動作し、炉内の
ガス状排出物を排出させるが、熱分解が進んで炉内のガ
ス状排出物量が減少し、所定の真空度に達すると、真空
バルブ40、42およびその他のバルブが開閉動作を
し、ガスの流れが主系統から副系統に移動する。この副
系統は、主として、金属の回収、脱元素等のために使用
される。副系統の拡散ポンプ43及びロータリーポンプ
44が動作して、熱分解炉1内を上記所定の真空度以上
の真空度に維持し、蒸発物の回収を行う。なお、45
は、ロータリーポンプ44とともに拡散ポンプ43を補
助するホールディングポンプである。
【0097】ブースターポンプ41の下流側に、水封ポ
ンプ47の水循環を利用した塩素、NOx、SOx等除
去装置が設置される。塩素等除去装置は、水封ポンプ4
7の他に、水封ポンプ水槽48、フィルター49、油水
分離装置50、アルカリ給水槽51、イオン交換樹脂層
52、冷却器53及びポンプ54を含む。
【0098】アルカリ給水槽51には、通例水酸化カル
シウム又は水酸化ナトリウムの溶液槽であるアルカリ槽
55が接続され、アルカリ給水槽51内の水がポンプ5
6によってアルカリ槽55内を循環するようにされ、以
てpH調整された水がイオン交換樹脂層52に送られる
ようになっている。
【0099】イオン交換樹脂槽52を経ることにより塩
化ナトリウム等の塩類を除去されたイオン交換水は、冷
却水53で冷却された後、ポンプ54の作用で水封式真
空ポンプ47内に送り込まれる。水封式真空ポンプ47
内には、真空引系の主系統からガスが送られてくるが、
このガス中に含まれる塩素ガス、NOx及びSOx等
は、水封式真空ポンプ47内のアルカリ溶液と化学反応
を起こすことにより、カルシウム塩又はナトリウム塩等
の塩類に変えられて、水封ポンプ水槽48に送られる。
この塩類の一部は、上述したように一部は交換樹脂槽5
2において除去される。
【0100】水封ポンプ水槽48には、水封式真空ポン
プ47からガスと水溶液とが送り込まれるが、そこにお
いて水銀が沈殿して底に貯まるので、それを適時コック
を開いて取り出す。水封ポンプ水槽48には、排気系と
して、吸着装置58とポンプ59を備えたガス抜き路5
7が設置され、ポンプ59の作用で吸い出されたガスが
吸着装置58に導入されるようになっている。吸着装置
58は活性炭、ゼオライト等の吸着材、ダイオキシン等
を分解する酸化バナジウムなどの触媒を含むもので、主
としてガス中の有害成分を吸着除去する。このようにし
て有害成分を除去されたガスは、ポンプ59の作用で排
出される。
【0101】このような構成の本発明に係る装置におい
ては、上述したように減圧下での熱分解時において、セ
ンサ群5中の酸素濃度センサ5b及び塩素濃度センサ5
cにより、熱分解炉1内の酸素等と塩素等の濃度が検出
され、その検出値に応じて還元剤供給手段22から熱分
解炉1内にアルミニウム及び酸化アルミニウムが生成さ
れ、以て、塩素及び酸素の量、並びに真空度がコントロ
ールされる。
【0102】また、低温域において発生したガス状排出
物は、還元レトルト4内に導入されて加熱分解され、塩
素、酸素等はそこにおいて金属還元剤ないしアルカリ金
属、アルカリ土類金属の水酸化物に捕捉除去される。
【0103】なお、本発明では酸素濃度だけではなく、
一酸化炭素、二酸化炭素等の酸化物ガスの濃度をも測定
することが好ましい。これは、ガス状排出物が各種分解
生成物の混合ガスであり、酸素の分析をppmオーダー
では正確には行えない場合があるからである。還元剤と
してはアルミニウム粉が好適である。それは、アルミニ
ウム粉は廉価で、マグネシウムに次いで反応エネルギー
が小さく、低温でも2O+3Al→Al等の
酸化還元反応が起こるからである。
【0104】熱分解炉62内において発生するガス状排
出物は、上述したように真空扉26を開くことにより回
収装置3に導入され、回収レトルト29内においてカド
ミウム、鉛、亜鉛、クロム、ニッケル等の金属蒸発物、
水、油等が凝縮されて回収される。
【0105】熱分解炉1は、上述したような1室に加熱
手段20及び冷却手段21を設置するものの外、処理対
象物体18を導入して予備真空引を行うパージ室61、
真空加熱処理を行う還元手段を備えた加熱室62及び処
理品の冷却を行う冷却室63の3室構造のものとするこ
とができる。(図4参照)。この場合、各室間に真空断
熱扉系及び真空引系統が連設される。
【0106】熱分解炉62をこのような3室構造とした
場合は、処理量が増大して処理効率が向上し、無人化も
可能となる。
【0107】上記熱分解炉62、回収系及び真空引系の
構成を複数連設して構成することもある。その場合、複
数の熱分解炉62における処理温度をそれぞれ異ならし
める。連設する場合は直線的であってもよいが、これを
四角形等に配置した方が、省スペース上有利である。図
5はその例として、熱分解炉62を4つ備え、全体を四
角形に構成した装置を示すものである。それは、処理対
象物体を導入するパージ室71、パージ室71に隣接す
る予熱室72、四角形の装置の3辺を構成する3つの真
空加熱室(熱分解炉1に相当)73〜75、各真空加熱
室間、換言すれば装置の4隅に配置される4つの分離室
76〜79、並びに、最終段の分離室79に隣接設置さ
れる1又は複数の冷却室80、81を備える。
【0108】処理対象物体は搬送ローラー82によって
パージ室71の出入口前に搬送され、真空扉71aを開
けた後、搬送ローラー82に添設された押込シリンダー
83によってパージ室71内に押送される。処理対象物
体は、総ての処理終了後にパージ室71に戻される。即
ち、パージ室71は本装置の入口と出口を兼ねるもので
ある。パージ室71には処理対象物体押出し用の押出シ
リンダー84が設置されており、これで以てパージ室7
1に戻された処理済物が室外に押し出されて搬送ローラ
ー82上に載せられ、搬出される。図示して内が、パー
ジ室71には真空ポンプが設置され、空気置換が行われ
る。
【0109】パージ室71を間にして、冷却室80、8
1から予熱室71及び第1分離室76にまで延びる搬送
コンベア86が配置されてイる。パージ室71の両側面
には真空扉87、88が配備され、処理対象物体の各室
間移動が可能となっている。上記総ての室間には、それ
ぞれ開閉バルブを備えたバイパス89〜99(バイパス
96は必要に応じて設置する。)が設置され、各室間に
存する真空扉を開く前にオいて各室あいだの動圧化が図
られる。
【0110】予熱室72は、搬送コンベア86によっ
て、パージ室71から送られてくる処理対象物体を、通
例最高150°C程度にまで予熱するための加熱手段を
備えた室で、上記単炉の場合と同様に、真空扉26を介
して回収装置3、粉体フィルター31、ブースターポン
プ41、水封式真空ポンプ47以下の回収系、真空引系
並びに排気系の構成が設置される。これらのガス状排出
物処理系等の構成及び作用は上述したところと同じであ
るので、説明を省略する。なお、500°C以下の真空
加熱室には、上記同様にガス出口に還元レトルト4が配
備される。
【0111】予熱室72と第1分離室76との間には、
予熱室72側に向く断熱扉100と、第1分離室76側
に向く真空扉101とから成る真空二重扉が配置され
る。また、第1分離室76とこれに隣接する第1真空加
熱室73との間には、第1分離室76側に向く真空扉1
02と、第1真空加熱室73側に向く断熱扉103とか
ら成る真空二重扉が配置される。第1分離室76は、予
熱室72から送られてくる処理対象物体を第1真空加熱
室73へ移送する押送シリンダー104を備える。
【0112】第1分離室76は、予熱室72と第1真空
加熱室73とを隔離させ、予熱室72からの蒸発物が第
1真空加熱室73に流入することを防止するとともに、
室間真空度を調整す役目を果たす。また、そこにおいて
蒸発物の沈殿化が図られ、以て真空二重扉の真空シール
性が保護される。後出の各分離室77〜79も、第1分
離室76と同じ作用を果たす。なお、各分離室76〜7
9の真空引きは、前室(第1分離室76の場合は予熱室
72)のブースターポンプ41及び水封式真空ポンプ4
7で行うことができる。
【0113】第1真空加熱室73も、予熱室72と同様
の回収系及び真空引系系の構成を備える。第1真空加熱
室73と第2分離室77との間には、第1真空加熱室7
3側に向く断熱扉105と、第2分離室77側に向く真
空扉106とから成る真空二重扉が配置される。処理対
象物体の第1真空加熱室73内及びそこから第2分離室
77への移送は押送シリンダー104によるプッシャー
駆動、トレープッシャー等により(複数の処理対象物体
が後押しして進行することになる。)、また、第2分離
室77内に入ってからの移動はローラー駆動による。
【0114】第1真空加熱室73は、例えば真空度は6
00〜10-2Torr、温度は150〜500°Cで稼
働され、ここにおいて殆どの物質の熱分解が完了する。
発生するガス状排出物は、炉内還元剤又は還元レトルト
4において処理されて酸素及び塩素が除去され、更に、
温度及び真空殿コントロールにより、酸素及び塩素の発
生量が制御される。このことは、以下の真空加熱室にお
いても同様である。第2分離室77は、第1真空加熱室
73から送られてくる処理対象物体を第2真空加熱室7
4へ送入するための押送シリンダー107を備える。第
2分離室77と第2真空加熱室74との間には、第2分
離室77側に向く真空扉108と第2真空加熱室74側
に向く断熱扉109とから成る真空二重扉が配置され
る。
【0115】第2真空加熱室74も、上記同様の回収
系、真空引き系及び排ガス系の構成を備える。第2真空
加熱室74は、例えば真空度は約10-1 〜10-3To
rr、温度は500〜900°Cで稼働され、熱分解残
渣中の未分解成分を完全に分解蒸発させるとともに、蒸
発金属の回収を行うことが目的となる。
【0116】第2真空加熱室74と第3分離室78との
間には、第2真空加熱室74側に向く断熱扉110と、
第3分離室78側に向く真空扉111とから成る真空二
重扉が配置される。処理品の第2真空加熱室74内及び
そこから第3分離室78への移送は押送シリンダー10
7によるプッシャー駆動により、また、第3分離室78
内に入ってからの移動はローラー駆動による。
【0117】第3分離室78は、第2真空加熱室74か
ら送られてくる処理対象物体を第3真空加熱室75へ送
入するための押送シリンダー112を備える。第3分離
室78と第3真空加熱室75との間には、第3分離室7
8側に向く真空扉113と第3真空加熱室75側に向く
断熱扉114とから成る真空二重扉が配置される。
【0118】第3真空加熱室75は、上記真空加熱室と
同様の回収系及び真空引系の外に、真空引系に拡散ポン
プ115とロータリーポンプ116を付加した機構を備
える。そして更に、第3真空加熱室75と第4分離室7
9との間には、第4分離室79側に向く断熱扉117が
配置される。処理対象物体の第3真空加熱室75内及び
そこから第4分離室79への移送は、プッシャー112
によるプッシャー駆動により、また、第4分離室79内
においての移動はローラー駆動による。
【0119】第4分離室79は、第1真空冷却室を兼ね
ており、処理対象物体の冷却手段を備えるとともに、第
3真空加熱室75から送られてくる処理対象物体を第2
冷却室80へ送入するための押送シリンダー118を備
える。第4分離室79とこれに隣接する第2冷却室80
との間には、真空扉119が配置される。
【0120】第2冷却室80には、真空扉26を介して
回収装置3、粉体フィルター31、ブースターポンプ4
1及びロータリーポンプ116が設置され、更に、真空
扉26の下流側とパージ室71を結ぶバイパス路120
が形成される。また、第2冷却室80には真空扉121
を介して第3冷却室81が連設され、第3冷却室81は
真空扉88を介してパージ室71に隣接する。
【0121】かかる構成において、搬送ローラー82に
よってパージ室71の真空扉71aの前に搬送された処
理対象物体は、パージ室に空気を入れて外部と同圧に
し、真空扉71aを開けた後押送シリンダー83によっ
てパージ室71内に送入し、その後真空扉71aが閉じ
られる。その際真空扉87、88は閉じている。
【0122】その状態でバイパス路120に設置される
真空ポンプが動作して、パージ室71内が減圧される。
そして、バイパス89を開通させることによりパージ室
71と予熱室72とが同圧にされた後、真空扉87が開
く。ついで、搬送コンベア86によって処理対象物体が
予熱室72に送り込まれた後、真空扉87が閉じられる
とともに、バイパス89が閉鎖される。
【0123】予熱室72は、例えば真空度が760〜1
Torrで、温度が0〜150℃であり、ここにおいて
発生する還元レトルト4を経た分解ガスは、真空扉26
を開けることにより回収装置3に導かれ、蒸発物の回
収、粉体の除去、並びに酸素及び塩素の除去が行われ
る。
【0124】予熱室72における処理終了後、バイパス
90が開通して予熱室72と第1分離室76とが同圧に
される。次いで、二重真空扉100、101が開き、搬
送コンベア86によって処理対象物体が第1分離室76
内に搬送された後、二重真空扉100、101が閉じ、
バイパス90が閉鎖される。
【0125】次に、真空ポンプ41、47で第1分離室
76内の真空引きをした後、バイパス91が開通して第
1分離室76と第1真空加熱室73とが同圧にされた
後、二重真空扉102、103が開き、押送シリンダー
104によって処理対象物体が第1真空加熱室73内に
搬入される。第1真空加熱室73内においては、例えば
150〜500℃の範囲で真空下(真空度600〜10
-2Torr)にての加熱が行われる。この温度範囲では
殆どの有機物等が分解蒸発し、還元レトルト4を経て開
かれた真空扉26を通って回収装置3において回収され
る。また、上記同様に粉体の除去並びに酸素及び塩素の
除去が行われる。
【0126】後続の真空加熱室74、75においても同
様のことが行われる。即ち、バイパス92が開通して第
1真空加熱室73と第2分離室77とが同圧にされた
後、二重真空扉105、106が開き、押送シリンダー
104によって処理対象物体が第2分離室77内に搬入
される。そして、二重真空扉105、106が閉じると
ともにバイパス92が閉鎖された後、バイパス93が開
通して第2分離室77と第2真空加熱室74とが同圧に
される。次いで、二重真空扉108、109が開き、押
送シリンダー107によって処理対象物体が第2真空加
熱室74に搬入された後、二重真空扉108、109が
閉じるとともにバイパス93が閉鎖される。なお、各分
離室と真空加熱室の圧力差が大きい場合は、真空ポンプ
で圧力調整をした後、バイパスを開くようにする。後続
の真空加熱室74、75においても同様である。
【0127】第2真空加熱室74内においては、例えば
500℃〜900℃の範囲で真空下(真空度10-1〜1
0-3Torr)にての加熱が行われる。この温度範囲で
は、カドミウム、亜鉛、鉛等が分解蒸発し、開かれた真
空扉26を経て回収装置3において回収される。また、
上記同様に粉体の除去並びに塩素の除去が行われる。
【0128】同様にして、バイパス94が開通して第2
真空加熱室74と第3分離室78とが同圧にされた後、
二重真空扉110、111が開き、押送シリンダー10
7によって処理対象物体が第3分離室78内に搬送され
る。そして、二重真空扉110、111が閉じるととも
にバイパス94が閉鎖された後、バイパス95が開通し
て第3分離室78と第3真空加熱室75とが同圧にされ
る。次いで、二重真空扉113、114が開き、押送シ
リンダー112によって処理対象物体が第3真空加熱室
75に搬送された後、二重真空扉113、114が閉じ
るとともにバイパス95が閉鎖される。
【0129】第3真空加熱室75内においては、例えば
900℃〜1300℃の範囲で真空下(真空度約10-2
〜約10-5Torr程度)にての加熱が行われる。この
温度範囲で、銅、スズ、クロム等が分解蒸発し、開かれ
た真空扉26を経て回収装置3において回収される。ま
た、上記同様に粉体の除去並びに塩素の除去が行われ
る。
【0130】第3真空加熱室75と第4分離室79とは
常時同圧であって、断熱扉117が開いた後、押送シリ
ンダー112によって処理対象物体が第4分離室79内
に搬入され、そこにおいて真空による処理対象物体の一
時冷却が行われる。
【0131】この一時冷却終了後処理対象物体は第2冷
却室80に搬送されるが、それに先立ち第2冷却室80
にオいては、バイパス120を閉じた状態で、ロータリ
ーポンプ116、ブースターポンプ41の作用で室内の
残留チッ素ガスを排出する。この処理がなされた後、バ
イパス97が開通して第4分離室79と第2冷却室80
とが同圧化される。次いで、真空扉119が開き、押送
シリンダー118によって処理対象物体が第2冷却室8
0に搬送された後、真空扉119が閉じるとともにバイ
パス97が閉鎖される。
【0132】第2冷却室80においてはチッ素ガスによ
る処理対象物体の二次冷却が、排出したチッ素分を補給
した後に行われる。この二次冷却終了後の、バイパス9
8が開通して第2冷却室80と第3冷却室81の同圧化
処理が行われ、次いで真空扉121が開いて処理対象物
体が搬送コンベア86によって第3冷却室81へ搬送さ
れる。そして、真空扉121が閉じるとともにバイパス
98が閉鎖され、冷却室81で窒素冷却が行われる。
【0133】第3冷却室81においてチッ素ガスによる
三次冷却が終了すると、バイパス99が開通して第3冷
却室81とパージ室71の同圧化処理が行われ、次いで
真空扉88が開いて処理済物が搬送コンベア86によっ
てパージ室71に搬出される。そして、真空扉88が閉
じてバイパス99が閉鎖された後、パージ室71が復圧
され、真空扉71aが開いて、処理済物が押出シリンダ
ー84によって搬送ローラー82上に搬出される。
【0134】なお、第3冷却室81においては冷却用の
チッ素ガスの交換を行うのみで、真空引きを行わない。
そのため、処理時間が短縮されるとともに真空引系機器
の設置コスト及びチッ素ガスを節減でき、処理量も増大
する。 (実施形態2)常圧(760Torr)でダイオキシン
などの有機ハロゲン化物を含むガスを置換する処理装置
について説明する(図7参照)。
【0135】この処理装置は密閉容器に投入した前記処
理対象物体を加熱するための加熱装置と、それにつらな
り処理対象物体の加熱残渣を冷却する冷却装置と、密閉
容器内の塩素、酸素等の濃度を検出し、それに基づいて
濃度を制御する手段と、処理対象物体を搬送する手段
と、密閉容器内をガス置換するための置換手段と、を備
える。
【0136】なおここでは、加熱によりダイオキシン、
ハロゲン化炭化水素等の有機ハロゲン化物を生成可能な
処理対象物体の加熱残渣中の有機ハロゲン化物の濃度を
低減するための手法を中心に説明するが、処理対象物体
の加熱により生じる有機ハロゲン化物についても、有機
ハロゲン化物の回収、分解等の措置を講ずるようにすれ
ばよい。
【0137】処理対象物体を燃焼、熱分解などの加熱処
理の残渣は、加熱処理終了後直ちに置換ガスで有機ハロ
ゲン化物、有機ハロゲン化物生成能を有する物質を含む
加熱雰囲気ガスをパージして、処理容器内の有機ハロゲ
ン化物、有機ハロゲン化物生成能を有する物質の濃度を
低減する。そしてこの状態で処理対象物体を冷却する。
これにより処理対象物体中のダイオキシンなどの有機ハ
ロゲン化物の残留濃度を低減、除去することができる。
【0138】置換ガスとしては、窒素、アルゴンなどの
希ガス、空気などを用いることができる。置換ガスに要
求される条件は、実質的に有機ハロゲン化物フリーであ
ることである。さらに処理対象物体と反応して有機ハロ
ゲン化物を生成できない置換ガスを用いることが好適で
ある。空気は酸素を含むので、これを置換ガスとして用
いた場合、加熱残渣の構成、状態によっては冷却中に有
機ハロゲン化物を再生成する可能性がある。したがって
窒素、希ガスを用いることがより好ましい。さらに単な
るパージではなく、容器内を減圧し、その後置換ガスで
パージして(減圧置換)、その後冷却するようにしても
よい。
【0139】処理対象物体の容器内の搬送手段は、処理
対象物体の形態、処理条件により選択するようにすれば
よい。例えばスクリューコンベア、ロータリーキルン、
ローラーハウス、トレープッシャ、メッシュベルト連続
などを用いることができる。 (実施形態3)つぎに減圧置換処理について説明する(図
8、図9、図10参照)。
【0140】この減圧置換処理に用いる装置では、前述
した常圧での置換で説明した装置の気密容器に、気密容
器内を減圧するための減圧装置と、圧力を制御するため
の制御装置をさらに備える。処理対象物体の加熱処理の
後、気密容器内を真空ポンプで10乃至10−2Tor
r程度に減圧し、処理対象物体を冷却する。処理対象物
体の冷却は減圧のまま行ってもよいし、前述の置換ガス
を気密容器内に導入して行うようにしてもよい。
【0141】気密容器内の圧力が低いと、処理対象物体
の冷却に時間を要し、タクトタイムが長くなるので、生
産性の観点からは置換ガスを導入して冷却することが好
ましい。
【0142】また処理対象物体の加熱処理自体を減圧下
下で行うことにより、処理対象物体の加熱残渣に残留す
る有機ハロゲン化物の濃度の低減にさらに有効である。
【0143】加熱処理を減圧下で行い、減圧置換のあと
置換ガスを導入せずに冷却した場合、この冷却した加熱
残渣を大気中に排出する前に、加熱残渣を非酸化性ガス
にさらすことが好ましい。これは減圧加熱により処理対
象物体の表面積が非常に大きく、また表面自由エネルギ
ーが過剰な状態になり易いため、そのまま大気中に排出
すると激しく発火したりして危険な場合があるからであ
る。特に加熱残渣がMg、Al、その他の金属を含む場
合は加熱残渣を大気中に排出する前に、加熱残渣を非酸
化性ガスにさらすことが好ましい。 (実施形態4)さて、処理対象物体の加熱処理と冷却処
理を同一の気密容器で行う場合、処理対象物体の加熱残
渣の冷却を終えるまで、次バッチの処理対象物体を導入
することができない。連続的な処理を実現するために
は、加熱室、冷却室を断熱扉、真空扉で隔てて配設する
ようにすればよい。また処理対象物体の加熱も減圧して
行う場合には、加熱室の前段にパージ室を配設するよう
にすればよい。
【0144】例えば、加熱手段と圧力調節手段とを備え
た気密領域の投入口に真空扉をそれぞれ備えたパージ室
を配設するようにすればよい。パージ室内に処理対象物
体を導入し、パージ室内を減圧乃至は置換ガスでパージ
した後、加熱処理のための気密容器との間の真空扉を開
いて処理対象物体を気密容器ないに導入する。このよう
な構成を採用することにより、処理対象物体の加熱処理
中にも、気密容器内に空気等を混入することなく新たな
処理対象物体を導入することができる。
【0145】また例えば処理対象物体を冶具トレーを用
いずにチャンバ内を搬送する場合には、真空加熱チャン
バの前段に、2つの連接したパージ室を配設するように
してもよい。また2室のパージ室間を往来可能なトレー
などの治具、真空加熱室への投入装置も備えるようにす
ればよい。このトレーはドロワー、プッシャーなどの搬
送手段により、2つのパージ室間を往来させるようにす
ればよい。また真空加熱室へは処理対象物体をバラの状
態で投入するようにしてもよい。そして気密容器と真空
扉で隔てられた側のパージ室を減圧し、空気をパージす
ればよい。
【0146】加熱処理のための気密容器からの処理対象
物体の加熱残渣の取り出しについても同様に行うことが
できる。また加熱残渣の冷却には時間を要するので、ト
レーを回流させるようにすれば、生産性が向上する。例
えば、気密容器の処理対象物体の出口には、気密に加熱
残渣を収納することができる収納室と、加熱残渣を冷却
する冷却室と、置換ガスで雰囲気を置換してトレー、ケ
ーシング等の加熱残渣の搬送手段を収納してパージする
パージ室と、常圧で加熱残渣をコンベア等に排出する排
出室の4室を設ける。これらの4室は独立に気密を保て
るように真空扉をそれぞれ備えるようにしてもよい。そ
してこれらの4室をトレー等の治具を移動させることで
加熱残渣を搬送する。移動を容易にするため、これら各
室はグリッド状に設けるようにしてもよい(例えば四角
形の各頂点に各室を配設する)。
【0147】加熱処理を行う気密容器から収納室への加
熱残渣の搬送は、各種の搬送手段のほか、収納室を気密
容器の下方に設け、重力により加熱残渣を落下させるよ
うにしてもよい。
【0148】気密容器で加熱処理された処理対象物体の
加熱残渣は、気密容器内に配設された処理対象物体の搬
送装置により気密容器内の出口側に移動される。そして
この出口と隣接して配設された収納室に搬送される。収
納室内にはトレーが待っており、加熱残渣はこのトレー
に収納される。ついでトレーとケーシングとを冷却室に
移動し、加熱残渣を前述のように冷却する。加熱残渣を
冷却後トレーを排出室に移動し、この排出室からコンベ
ア等に加熱残渣を排出する。
【0149】加熱残渣を排出した空のトレーは、空気を
パージするためのパージ室を経て、最初の収納室へと戻
される。このようにトレーは各室を巡回することができ
る。
【0150】このようにすれば複数のトレーを用いて各
室を巡回させながら所定の処理を行うことができ、処理
効率を向上することができる。特に加熱残渣の冷却には
時間がかかるので、このような巡回処理は有効である。
最初の収納室と排出室との間に複数の冷却室を並列に配
設すればさらに生産性を向上することができる。
【0151】なお各室間のトレーの移動は、プッシャ
ー、ローラーなどの搬送手段により行うようにすればよ
い。複数の搬送手段を組み合わせて用いるようにしても
よい。
【0152】このように気密容器の処理対象物体の入り
口と出口に減圧パージ可能な室を設けることで、処理対
象物体の加熱処理を行っている間にも新たな処理対象物
体を導入したり、加熱残渣を取出したりすることができ
るようになる。これにより運転の自動化、生産性の向上
を図ることができる。 (実施形態5)つぎに処理対象物体の加熱処理、予熱、
パージ、冷却などにより生じるガス状排出物の処理の例
について説明する。ここでガス状排出物とは、基本的に
は処理対象物体の燃焼や熱分解等の加熱処理に伴って排
出される排出ガスであるが、この排出ガスに混入する固
体状、液体状の物質などが含まれる場合を排除しない。
【0153】処理対象物体のガス状排出物には多くの場
合ダイオキシンなどの有機ハロゲン化物が含まれてい
る。また、処理対象物体由来の水分、油、金属、金属の
酸化物などの化合物が含まれている。このような物質
は、ガスを環境中へ放出する前に、分解したり、除去し
たり、回収したりする必要がある。
【0154】処理対象物体のガス状排出物は、約500
°C乃至約950°C程度、あるいは約500°C乃至
約1200°C程度に加熱することにより、改質、分解
される。この処理は還元性雰囲気で行うことが好まし
い。
【0155】この改質の際には、酸化パラジウムをはじ
めとする有機ハロゲン化物分解のための各種触媒、ハニ
カム形状等のセラミック、アルミニウムなどの金属を用
いて有機ハロゲン化物の分解を促進するようにしてもよ
い。
【0156】またNaOH、Ca(OH)などのアルカリによ
り、ガス状排出物中のNOx、SO Clを除去す
るようにしてもよい。
【0157】さらに改質したガスにダイオキシンなどの
有機ハロゲン化物が残留したり、再合成される場合もあ
るため、改質したガスを水、油などの冷媒により冷却す
る冷却装置を備えるようにすればよい。この冷却は、ガ
ス状排出物の、ダイオキシンなどの有機ハロゲン化物の
生成温度での滞留時間が、できるだけ短くなるように急
冷することが好ましい。また、ガス状排出物中のハロゲ
ンをアルカリと反応させて、有機ハロゲン化物の生成を
防止するため、冷媒をアルカリ性にしたり、冷媒にアル
カリ助剤を混合したり、冷媒とは別にアルカリを噴射す
るようにしてもよい。冷媒は、ガスイジェクター、ベン
チュリーなどによりガス状排出物に噴射するようにして
もよい。またガス状排出物に粉塵が含まれる場合もある
ので、これらを除去するためのフィルターを備えること
が好ましい。
【0158】このため冷却装置は、粉塵フィルター、ア
ルカリ槽、熱交換器、ポンプなどが装備される。
【0159】冷却装置通過後のガスは、ガス中の残留凝
縮物を凝縮して回収するための回収装置へ送られる。ま
た前述の処理系内を排気する排気ポンプの前段には、前
述したガス状排出物の無害化のための各装置の故障、オ
ーバーロード等に備えて活性炭フィルターなどの吸着部
材を配設することが好ましい。 (実施形態6)ここで加熱処理が減圧下下で行われる場
合のガス状排出物の処理の例について説明する。
【0160】処理対象物体のガス状排出物は、上述のよ
うに改質される。そしてガス状排出物中に含まれる水、
油、蒸発金属、酸化物などを凝縮回収するための回収装
置へ送られる。さらに、ガス状排出物中になお残留する
粉塵等を除去するためのフィルター、サイクロン、油ト
ラップなどの液体トラップなどにより粉塵除去が行われ
る。
【0161】ガス状排出物処理系には、これら回収装
置、粉塵除去装置間を気密に保持して凝縮物の回収、フ
ィルターの交換などを処理対象物体の加熱処理中に行う
ことができるようにするための真空扉、真空バルブが設
けられている。
【0162】なお凝縮物の系外への取出しは、前述のよ
うに冷却した後、大気中に排出する前に、凝縮物を非酸
化性ガスにさらすことが好ましい。これは減圧加熱によ
り凝縮物の表面積が非常に大きく、また表面自由エネル
ギーが過剰な状態になり易いためである。そのため、そ
のまま大気中に排出すると激しく発火したりして危険な
場合があり、特にMg、Alなどの金属では火災を生じる場
合があって危険である。
【0163】またその後段には処理対象物体の減圧加熱
を行う気密容器およびガス状排出物処理系を減圧するた
めの真空ポンプが設けられている。真空ポンプとしては
ブースターポンプ、ロータリーポンプ、水封ポンプなど
を必要に応じて選択、組み合わせて用いるようにすれば
よい。真空ポンプの後側を吸引するポンプを備えるよう
にしてもよい。
【0164】また前述同様に、ガス状排出物中の有機ハ
ロゲン化物、NOx、SO Cl を除去する冷却装
置を備えるようにしてもよい。フェイルセーフのための
吸着装置も同様に備えることが好ましい。 (実施形態7)図7は本発明の処理装置の構成の例を概
略的に示す図である。この処理装置はほぼ常圧で処理対
象物体を加熱し、その加熱残渣にダイオキシンなどの有
機ハロゲン化物が残留するのを防ぐことができるもので
ある。
【0165】図8は本発明の処理装置の構成の例を概略
的に示す図である。この処理装置は減圧下で処理対象物
体を加熱し、その加熱残渣にダイオキシンなどの有機ハ
ロゲン化物が残留するのを防ぐことができるものであ
る。
【0166】図9は本発明の処理装置の構成の例を概略
的に示す図である。この処理装置は連続処理が可能であ
り、図8に例示した減圧型の処理装置に、処理対象物体
の自動投入装置と、加熱残渣の自動取出し装置を装備し
たものである。
【0167】図7の常圧型の処理装置は減圧型に比べ低
コストである。この処理装置は、処理対象物体の加熱処
理後、有機ハロゲン化物を含む雰囲気ガスを窒素等の置
換ガスで置換し、雰囲気中の有機ハロゲン化物濃度を低
減した状態で処理対象物体を冷却する。これにより加熱
残渣に残留する有機ハロゲン化物濃度を低減することが
できる。
【0168】図7の例では、投入口101から加熱処理
炉103に投入された処理対象物体は、ヒータ105で
加熱される。昇温効率を向上するために、図示しない攪
拌装置を備え、炉内雰囲気を攪拌したり、処理対象物体
を攪拌したりするようにしてもよい。炉内の温度は、温
度センサ107、ヒータを制御可能な制御装置110b
により制御する。なお炉内のガス濃度を検出するための
ガスセンサ108は、酸素濃度、塩素濃度等検出したい
ガスの種類に応じて備えるようにする。このようなガス
の濃度は、窒素、希ガスなどのキャリアガスを導入して
調節するようにしてもよい。
【0169】加熱処理炉103により処理対象物体を加
熱した後、置換ガス導入系106のバルブを開いて置換
ガスを導入し、炉内雰囲気ガス中の有機ハロゲン化物を
低減、除去する。
【0170】そして置換ガス導入系106のバルブを閉
じ、バイパスにフィルター、ガスクーラー、ポンプを備
えたガス冷却装置104を作動させ加熱残渣を置換ガス
雰囲気で冷却する。冷却終了後、処理対象物体の加熱残
渣は排出口102より取出す。
【0171】一方、加熱により生じるガス状排出物は分
解反応容器131に引かれ加熱炉103から出るガス状
排出物をヒータ加熱で再加熱して熱分解、改質する。未
分解ガスも分解される。
【0172】この分解反応容器131にはガス状排出物
の熱分解を促進するために球状やハニカム形のセラミッ
ク材、触媒及び還元剤(例えばZn,Al,Mgなど)
等を投入し、更に分解ガスのNO、SO、Cl
を反応除去させるアルカリ剤を投入するようにしてもよ
い。なお、上記セラミック、触媒、還元剤はガスの条件
により組合せや単独などで使用できる。
【0173】分解反応器131から出たガスにはなお種
種の炭化水素が含まれている場合がある。この成分は、
凝縮装置111でガス状排出物に含まれる油や水分を凝
縮する。
【0174】凝縮装置111を通ったガスはフィルター
112で粉塵などを除去する。フィルター112の後段
には、ロータリーポンプなどの真空ポンプ114が設け
られている。加熱処理炉103内のガス置換を置換ガス
の導入だけで行うのは時間がかかるし、また大量の置換
ガスが必要で処理すべきガス量も増大する。このためま
ず真空ポンプ114により加熱処理炉103を排気し、
それから置換ガスを導入して復圧して冷却することが好
ましい。
【0175】処理対象物体のガス状排出物は、フィルタ
ー112、真空バルブ113を経て、ガス加熱炉115
に導入される。ここではガス状排出物の未分解ガス、再
生成したダイオキシン、残留ダイオキシンなどをは約7
00°C乃至約1100°C程度に高温で分解、改質す
る。ガス加熱炉115で分解、改質したガスは、ガスイ
ジェクター付きの冷却装置116でミキシングしながら
冷却され油水分離槽付き冷却水槽118に導入される。
この冷却は、ダイオキシンの生成温度の滞留時間を短く
するためできるだけ急速に行うことが好ましい。例えば
この冷却を10秒以内に行うことが好ましい。冷却水
は、冷却に用いる水をアルカリ性に管理するためのアル
カリ槽117、ポンプ、熱交換器、を経て冷却装置11
6へと循環利用される。ここでは分解ガス中のNO
SO、Cl等も反応除去される。
【0176】また油水分水槽付き冷却水槽118では、
冷却により凝縮した油等の凝縮物も回収される。
【0177】油水分離槽118を通ったガスは、なお粉
塵等を含んでいる場合があるのでフィルター119、バ
グフィルター120などにより粉塵を除去する。なおア
ルカリ水の循環系に捕捉された粉塵は、フィルター13
2により除去するようにすればよい。
【0178】バグフィルター120を通過した処理対象
物体のガス状排出物に除去しきれない有害成分が含まれ
る場合に備えて、バグフィルター120の後段にはさら
にガス吸着装置121が配設されている。そしてこの吸
着装置121の後側は吸引ポンプ122により引かれて
排気される。この排気ガスは有害成分の濃度をモニター
してから排出することが好ましい。また排気ガスをガス
加熱炉115へと回流させるバイパスを設けるようにし
てもよい。 (実施形態8)次に、減圧形処理炉について図9を使用
して説明する。
【0179】この装置では、処理対象物体の無人化処理
で図8の手動式減圧処理装置より多量に処理対象物体を
処理することができる。
【0180】なお、図8の手動式減圧処理装置は、減圧
式連続装置と共通点が多いため相違箇所のみ説明する。
【0181】処理対象物体をコンベア301で真空置換
室302へ搬送し、上部真空ドアー303を開き、搬送
された処理対象物体を設置してあるトレー304(治
具)内へ投入し、真空ドアー303を閉じる。その後、
真空ポンプ305で置換室302を減圧する。続いて、
置換室302と連結された次室の投入室309へ中間扉
306を開き搬送装置307でトレー具内の処理対象物
体を投入室309に移動させる。
【0182】その後、中間扉306を閉じ、投入室30
9に搬送された処理対象物体は投入室309に配設させ
た回転装置などの投入装置308により処理対象物体の
み加熱炉310に投入される。
【0183】投入後の空治具304は真空扉306を開
け307bの搬送装置により真空置換室302へと戻さ
れる。その後中間扉6を閉じ、真空置換室302に空気
を入れ常圧に復圧する。その後、真空置換室302の上
部ドアー303を開き次の処理対象物体をトレー304
の中に投入する。
【0184】以上の操作を繰り返しにより、加熱炉31
0内に空気を混入させることなく、処理対象物体を加熱
炉310へ投入することができる。
【0185】加熱室310に投入された処理対象物体は
ヒーター311で加熱されながらスクリューコンベヤー
312で処理出口側へ移動される。そして炉内温度は温
度センサー313とヒータの制御装置314でコントロ
ールする。尚、ガスセンサー313aはガスの種類内容
に応じて設置するようにする。
【0186】スクリューコンベヤー312で加熱炉内で
加熱されながら移送された処理対象物体は出口側取り出
し口315の収納室ないに置かれたトレーに落下する。
そして落下数量が設定値に達するとスクリューコンベヤ
ー312が停止し、その後次室への真空扉317を開
き、搬送装置316により冷却室318へ搬送する。そ
の後真空扉317は閉じる。
【0187】搬送された処理対象物体は窒素などの冷却
ガスを循環させるガス冷却装置321により冷却され
る。
【0188】この冷却している間に真空置換室323に
おかれた空のトレーを中間扉322aを開け搬送装置3
24により収納室315に搬送する。
【0189】その後真空扉322aを閉じスクリューコ
ンベヤー312を回転させる。この間真空置換(パー
ジ)室に真空バルブ332を開き空気を入れ復圧する。
【0190】冷却室318で冷却された処理対象物体は
直角方向にある出口側真空扉322を開き搬送装置31
9でコンベヤ326上に搬出する。その後真空扉322
を閉じ真空ポンプ320で減圧する。
【0191】コンベヤー326上の処理対象物体は回転
投入室327に搬送され回転装置328により処理対象
物体のみ取出コンベヤ329上に投入する。
【0192】そして投入後の空トレーは搬送装置330
により真空扉331を開き真空パージ室323に回送す
る。その後真空扉331を閉じ真空ポンプ325で真空
置換室を減圧する。
【0193】このような構成により、加熱炉の気密を保
持しながら処理対象物体の加熱残査を加熱炉から取出す
ことができる。
【0194】なお手動式減圧炉と連続減圧炉の相違は処
理対象物体の投入、取出しが手動と自動の差であり、加
熱炉入口、出口に連続炉は真空置換室、投入室、収納
室、冷却室がある。又手動式減圧炉は、冷却が加熱炉内
で行われる。 (実施形態9)次いで、加熱炉310から出るガス状排
出物の処理について、図10により説明する。
【0195】処理対象物体の加熱により生じるガス状排
出物は加熱炉310につながる分解反応室332に引か
れ、未分解成分を含めて再加熱し、熱分解、改質する。
そして、前記したように分解反応室332にセラミック
スや触媒及び還元剤を投入し、各ガスの分解を促進す
る。さらに分解したガス中のNOx、SO Cl
どの有害ガスを除去するためにアルカリ剤を投入する。
尚上記分解促進剤アルカリ剤はガス条件により、単独又
は組合わせにより使用する。
【0196】分解反応室332の後段には、加熱炉31
0と分解反応室332を密閉する真空扉333がある。
分解反応室332を経たガス状排出物は、分解反応室3
32につらなりガス状排出物中の水、油、金属、酸化物
を凝縮して回収することができる回収装置334に導か
れる。さらにそれにつらなり、ガス中の粉塵を除去する
サクロン335、フィルター336油液体トラップ33
7へと導かれる。油液体トラップ337の後段には、真
空扉333から油液体トラップ337の間を密閉する真
空バルブ338が設置されている。この真空バルブ33
8、真空扉333のによる2重密閉があるため、運転中
に処理対象物体由来の蒸発物を凝縮回収したり、フィル
ターの取替えを行うことができる。また前述のように、
回収装置には窒素等の冷却ガスを循環させて冷却すると
回収時間も短く、火災なども起こりにくい。
【0197】真空バルブ338の後段には前述の処理系
を減圧する、ロータリーポンプ、ブースターポンプ、エ
ジェクター付水封ポンプ等の減圧装置339と、減圧装
置につらなり、ガス中に残留ダイオキシンやNOx、S
Clなどその他の公害ガスを除去する公害ガス
除去装置340が配設されている。この公害ガス除去の
ための公害ガス除去装置340はヒーターでガスを高温
加熱し、約10秒以内にエジェクター式冷却装置にガス
を混入して急冷して有機ハロゲン化物の再合成を防止す
る。その装置は前述のようにエジェクター方式を用いる
ようにすればよい。使用する水はアルカリ性にして循環
し、上記ガスと混合して有害成分をすることが好まし
い。また乾式処理であるプラズマ分解、コロナ放電分
解、グロー放電分解などほかの手法を用いるようにして
もよい。
【0198】公害ガス除去装置340を出たガスはそれ
につらなり、さらに残留する公害ガスを吸着する吸着装
置341とそれにつらなり前記真空ポンプ339以後の
装置のガスを吸引する吸引ポンプ342に導入される。 (実施形態10)本発明を適用してシュレッダーダスト
の処理を行った。自動車のシュレッダーダストを試料と
して作成した。この試料は以下のような6種のフラクシ
ョンからなっている。なお自動車はミニカ(三菱自動車
工業製)を用いた。
【0199】(1)塩化ビニル(10wt%) (2)ポリプロピレン(10wt%) (3)ポリウレタン(10wt%) (4)ゴム(10wt%) (5)ポリウレタン(10wt%) (6)その他(50wt%) (6)のフラクションはプレス処理を行った。このよう
なシュレッダーダストを常圧熱分解(600°C、80
0°C)、減圧熱分解(600°C、800°C)で処
理し、その熱分解残渣中に含まれるダイオキシンの濃度
を測定した。
【0200】図11は熱分解の処理条件を説明するため
の図である。600°Cの場合、常温から600°Cま
で2時間で昇温し、600°Cで2.5時間保持した後
に冷却した。800°Cの場合、常温から800°Cま
で2.5時間で昇温し、その温度で2.15時間保持し
たあと冷却した。なお、減圧熱分解の冷却の場合本発明
の減圧置換が適用されているが、常圧熱分解の冷却の場
合には本発明を適用せずに空気冷却した。さらにダイオ
キシンが残留している800°Cの常圧での熱分解残渣
はさらに800°Cで減圧熱分解し、その熱分解残渣中
に含まれるダイオキシンの濃度を測定した(図中800
℃熱分解Bのフラクション)。
【0201】図12にその測定結果を示す。測定はPCDD
sとPCDFsとを別に行い、これらの和をダイオキシン濃
度(ng/g)とした。また図中n.d.(not d
etected)はダイオキシンが検出されなかったこ
とを示している。
【0202】このように本発明によれば、加熱残渣中の
ダイオキシンを大幅に低減することができる。特に常圧
の熱分解では、800°Cで処理してもダイオキシンが
残留しているが、この残渣を減圧下で再処理した場合に
は、ダイオキシンを除去することができている。ここで
はシュレッダーダストを処理対象物体とした処理例につ
いて説明したが、土壌、焼却灰、汚泥などの場合にも同
様の結果を得ることができる。本発明は廃棄物処理装置
として一般工場用の少量処理などに適した手動式として
も、自治体などの多量処理に適した連続処理炉としても
よく、処理コストに応じて組み合わせることができる。 (実施形態11)図13、図14、図15、図16は本
発明の処理装置の構成の別の例を概略的に示す図であ
る。
【0203】図13、図14、図15では加熱処理室と
して常圧熱分解のための乾留チャンバ701と、減圧熱
分解のための真空蒸発チャンバ702の2室を備えてい
る。また加熱残渣を冷却するための冷却室703をその
後段に配設している。そして、これらの処理室は真空扉
によって開閉可能に隔てられている。
【0204】図13、図14、図15に例示した構成で
は、例えば土壌などの処理対象物体は乾留加熱チャンバ
701へ導入され熱分解される、ついで真空蒸発チャン
バ702へ導入され例えば砒素、カドミウム、鉛などの
重金属を蒸発除去される。そして、処理対象物体の加熱
残渣は冷却チャンバ703へ導入され前述同様の有機ハ
ロゲン化物フリーかつ有機ハロゲン化物生成能をゆうし
ない雰囲気で冷却される。系内の排気はブースターポン
プ705、712、ロータリーポンプ706、713に
より行っている。処理対象物体のガス状排出物の処理は
前述同様にガス処理装置により行う構成となっている。
乾留加熱チャンバ701からのガス状排出物は、ガスク
ラッキング装置707、ガス状排出物中の蒸発物を凝縮
回収するコンデンサ708を経てガス処理装置714に
導入される。真空加熱チャンバ702からのガス状排出
物はコンデンサ709、オイルフィルタ711を経てガ
ス処理装置714へ導入される。ガス処理装置714
は、ガスクラッキング装置715、ジェットスクラバ7
16、活性炭フィルター、排気ブロワ718を備えてい
る。また図15の例ではガス処理装置714ではガスク
ラッキング装置715を省略している。また、ジェット
スクラバ716に代えてガス状排出物を燃焼させるガス
燃焼装置を、活性炭フィルタ717に代えてガス状排出
物をアルカリ洗浄するアルカリシャワーを備えるように
してもよい。
【0205】図13、図15では乾留加熱チャンバ70
1に処理対象物体を導入するためのローディングチャン
バ704と乾留加熱チャンバを共通にしているが、個別
に備えるようにしてもよい。また図15ではガス処理装
置として油ジェットスクラバー708bを装備し、ここ
でガス状排出物中の油分を回収する構成となっているが
コンデンサ708を備えるようにしてもよい。
【0206】図16は本発明の処理装置の構成の別の例
を概略的に示す図である。
【0207】図16の例は、従来より地方自治体等で用
いられているごみ焼却炉に付加することができる本発明
の処理装置の例である。ここでは加熱炉からの加熱残渣
の取出し処理を、図9の入り口側の投入操作と同様に行
う構成を例示した。このような構成により各種廃棄物の
焼却残渣中に含まれるダイオキシンなどの有機ハロゲン
化物の濃度を低減することができる。
【0208】図15、図16の例示した処理装置におい
ても前述した本発明の処理装置同様、冷却チャンバを並
列に複数備えるようにしてもよい。これにより各室での
処理に時間を要する場合にも生産性を向上することがで
きる。また各室には複数のトレーを導入して処理を行う
ようにしてもよい。 (実施形態12)図17は本発明の単炉構成での実施態
様を示す図である。減圧炉1は、制御装置2を備えると
ともに通常二重に配置した真空扉3を介して恒温ハロゲ
ン除去装置4を備える。減圧炉1は制御装置2によって
温度制御される加熱手段を備えた蒸し焼き炉(熱分解
炉)であり、排気系である真空ポンプ5の作用で常圧か
ら所定真空度に維持されつつ、廃車等の処理対象物体を
蒸し焼き(熱分解)処理する。
【0209】ガス状排出物中に含まれる塩素などのハロ
ゲンを除去する手段である恒温ハロゲン除去装置(恒温
塩化物除去装置)4は減圧炉1からの蒸発ガスが導入さ
れる室で、室温は約400℃〜約1000℃程度の所定
値に設定されている。またこの例では恒温ハロゲン除去
装置4は2室から構成されており、第1室4aにはガス
状排出物中の塩素と反応して塩化物を構成する鉄などの
金属、ダライ粉及び/または水酸化カルシウムなどの化
合物が装填される。またガス状排出物中のハロゲンの固
定反応や、ガス状排出物中の有機ハロゲン化物の分解を
促進する触媒などが装填される。
【0210】第2室4bは第1室4aを通過してしまっ
たハロゲンを吸着するための室であり、内部には例えば
球状ゼオライト等のゼオライト、活性炭などの吸着材が
装填される。恒温ハロゲン除去装置4内は、この吸着材
の吸着効果、吸着効率を高めるためになるべく低温に維
持することが好ましい。第1室4aを通過したガス状排
出物は、第2室4b内で冷却されることになるが、この
冷却はガス状排出物の温度がダイオキシン類などの有機
ハロゲン化物の再生温度範囲への滞留時間ができるだけ
短くなるように急速に行うことが好ましい。
【0211】このように恒温ハロゲン除去装置4は、減
圧炉1内の真空度が機器の故障、処理対象物体の構成等
により設定値に至らない場合に、蒸発ガスを含むガス状
排出物を加熱し、ガス状排出物中に含まれるダイオキシ
ンなどの脱塩素化を行うとともに、塩素と金属ダライ
粉、水酸化カルシウム等を反応させて塩化物として固定
し、さらに反応しきれずに流出しようとする塩素を吸着
材に吸着させて除去する役目を果たすものである。
【0212】恒温ハロゲン除去装置4と真空ポンプ5と
の間にはガス状排出物に含まれる金属、水、油、酸化物
等を凝縮させて回収する蒸発物回収除去のための凝縮装
置(コンデンサ)6が設置される。凝縮装置6はガス状
排出物中に含まれる金属、水、油、酸化物等を凝縮させ
て回収する。凝縮装置6は必要に応じて複数系統設置す
ることもある。
【0213】その後蒸発ガスは真空ポンプ5の後段に設
置された、ガス状排出物中のSOx等を除去するフィル
タである除去装置7に送られ、そこにおいてNOx、塩
素、NH(アンモニア)及びSOxを除去されて無害
化された後、系外に排出される。除去装置7は例えばハ
ニカム形状にしたゼオライト、活性炭、その他の吸着材
を含む。 (実施形態13)図18は本発明の連続炉構成での実施
態様を示す図である。図18に例示した処理装置は基本
的には図17に例示した各減圧炉1を連結して連続炉を
構成したものである。この場合例えば連即して設置する
加熱炉では、それぞれの炉内における熱分解温度が徐々
に高くなるように設定する。
【0214】例えば予熱室である第1炉1aでは、常圧
下において例えば土壌、汚泥、農産物、水産物、プラス
ティック、繊維、ゴム、金属、金属酸化物等の処理対象
物体を約0〜100℃程度の範囲で加熱することによ
り、主に水分及び油分を処理対象物体から蒸発させる。
炉内雰囲気を置換して非酸化性雰囲気にするための置換
室である第2炉1bでは、炉内を約1〜500Torr
程度に保持し、約100〜160℃の範囲で加熱するこ
とにより、主に残留油及び塩素などのハロゲンを処理対
象物体から蒸発させる。この約180℃以下の温度条件
においてはダイオキシンは生成しないので、この段階で
できるだけ多くの水分、油などの蒸発可能な有機物成分
及び塩素などのハロゲンを蒸発させることが、有機ハロ
ゲン化物の低減のためには好ましい。このような構成に
より、後段の減圧炉における圧力制御に負担がかからな
くなる。また、ダイオキシン類などの有害な有機ハロゲ
ン化物の生成する可能性を低減することができる。
【0215】また比較的低温に維持される第1炉1a及
び第2炉1bではダイオキシン類が発生しないので、こ
れらに接続して設置される蒸発物(ガス状排出物を含
む)処理系においては前述した恒温ハロゲン除去装置4
などのハロゲントラップの配設を省略することもでき
る。
【0216】第3炉1cでは真空度を約10−1〜約1
−4Torrに保持し、約180〜400℃程度の範
囲で加熱して例えば土壌、汚泥、農産物、水産物、プラ
スティック、繊維、ゴム、金属、金属酸化物等の処理対
象物体を熱分解する。そして第4炉1dでは真空度を約
10−2〜約10−6Torrに保持し、約400〜約
1400℃の範囲で処理対象物体を加熱する。また上記
各炉1a乃至1dに設置される蒸発物処理ラインの末端
は、個別にまたは複数結集して装置外へ向けられ、そこ
から無公害化された蒸発ガスが系外へと排出される。
【0217】また最終段の第4炉1dに隣接して冷却沈
殿室8が設けられている。この冷却凝縮室8内は、減圧
下において水冷管その他の熱交換装置等で50〜200
℃の低温に保持され第4炉1dから流入してくる蒸発ガ
スを冷却して処理対象物体からの蒸発物を凝縮させ、冷
却兼空気置換室9の入り口真空パッキンを保護する。
【0218】空気置換室9は冷却凝縮室8に隣接設置さ
れ、冷却凝縮室8と同様に常圧下で窒素ガスが供給さ
れ、水冷管そのほかの熱交換器等により約50℃〜15
0℃程度の低温に冷却される。処理対象物体は室内で十
分に冷却された後、この空気置換室9において処理物が
取り出される。
【0219】上記処理方法及び処理装置は例えば地方自
治体のゴミ処理施設や、工場等からでるダイオキシン類
などの有機ハロゲン化物を含む、加熱残渣、焼却飛灰、
残灰、あるいは残液などの処理対象物体、並びに、ゴミ
処理施設、廃棄物処理施設、工場の煙突等からの降り注
ぎによりダイオキシン類などの有機ハロゲン化物を含有
する土壌などの処理対象物体の処理にも適用することが
できる。
【0220】本発明は上述したとおり、廃車等の熱分解
処理を加熱室内における処理圧力と温度の両者を変化さ
せつつ行いダイオキシンの発生しない初期処理段階にお
いて水分、油分、塩素等を蒸発させることができる。こ
のため後続の処理段階における蒸発ガスの発生量を抑制
することができ、圧力制御が容易となる。また室内の昇
温も段階的に行うので無理がなく、廃車等の熱分解を円
滑に行うことができる。
【0221】本発明に係る方法及び処理装置は、これ以
外にも例えば自治体のゴミ処理施設や工場等からでる加
熱残渣、焼却飛灰、残灰、あるいは残液中のに含まれる
ダイオキシンにも適用することができる。
【0222】また本発明によれば、機器の故障等によっ
て減圧炉内が所定の真空度に至らない状況に陥っても、
蒸発ガスの脱塩素化を十分に達成してダイオキシンが生
成されることを防止することができる。
【0223】
【発明の効果】本発明は上述した通りであって、ダイオ
キシンの生成抑制のためには反応性の塩素原子と酸素の
量をコントロールすることが有効との見地から、熱分解
により発生する分解ガスを還元レトルト内に導入するこ
とにより塩素及び酸素を除去するとともに、この還元レ
トルトから出るガス中の酸素及び塩素の濃度分析を行
い、それに基いて炉内に還元剤を投入するとともに温度
調整及び圧力調整を行うものであって、熱分解に際して
のダイオキシンの発生を抑制するとともに、発生したダ
イオキシン、あるいは、残灰、土壌等中に残留するダイ
オキシンの分解除去を、確実に行い得る効果がある。
【0224】また、本発明においては減圧下で熱分解を
行うことで、より効率のよいダイオキシンの発生抑制、
分解処理が可能となり、その場合真空ポンプとして水封
ポンプを用いることで、家庭ゴミやシュレッダーダスト
等の水分が多く発生する熱分解処理を可能にする効果が
ある。
【0225】更に、熱分解により発生するガス状排出物
を、凝縮による蒸発金属の回収工程、油膜による粉体除
去工程、アルカリ溶液との接触による塩類生成工程及び
イオン交換樹脂膜による塩類除去工程を経て処理する場
合は、ダイオキシンの除去が一層確実なものとなる効果
がある。
【0226】本発明は、処理対象物体の加熱残渣をダイ
オキシンなどの有機ハロゲン化物含有ガスを除去してか
ら冷却することにより、加熱残渣中にダイオキシン等の
有機ハロゲン化物が含まれないようにすることができ
る。
【0227】本発明の処理装置を従来の廃棄物処理の燃
焼炉や蒸焼炉の後に追加することにより、加熱残渣中の
ダイオキシンなどを効果的に減少させることができる。
【0228】また、ダイオキシンを含む土壌や焼却灰な
どの加熱残渣、これらから流れ出した汚泥や水、油など
も上記発明を使用することにより、残渣ダイオキシンを
除去することができる。
【0229】さらに本発明では加熱残渣ばかりでなく処
理対象物体からのガス状排出物中の有害物質も低減する
ことができる。またガス状排出物処理系に有害物質対策
を多重に備えることにより安全、確実に処理を行うこと
ができる。
【0230】また加熱中の炉内に還元性物質を投入しガ
ス状排出物中のダイオキシンを低減、除去してから加熱
残渣を冷却するガス置換方法と異なる方式も実現されて
おり、必要に応じて組み合わせて用いるようにすればよ
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態の要部構成図である。
【図3】本発明の実施形態における油粉体トラップの構
成図である。
【図4】本発明の他の実施形態の要部構成図である。
【図5】本発明の更に他の実施形態の全体構成図であ
る。
【図6】チャウドリーらが推定したダイオキシンの発生
系統図である。
【図7】本発明の処理装置の構成の例を概略的に示す図
である。
【図8】本発明の処理装置の構成の例を概略的に示す図
である。
【図9】本発明の処理装置の構成の例を概略的に示す図
である。
【図10】本発明の処理装置の構成の例を概略的に示す
図である。
【図11】処理対象物体の処理条件を説明するための図
である。
【図12】加熱残渣の残留ダイオキシン濃度の測定結果
を示す図である。
【図13】本発明の処理装置の構成の例を概略的に示す
図である。
【図14】本発明の処理装置の構成の例を概略的に示す
図である。
【図15】本発明の処理装置の構成の例を概略的に示す
図である。
【図16】本発明の処理装置の構成の例を概略的に示す
図である。
【図17】本発明の処理装置の構成の例を概略的に示す
図である。
【図18】本発明の処理装置の構成の例を概略的に示す
図である。
【符号の説明】
1 熱分解炉 2 制御装置 3 回収装置 5 センサ 18 処理対象物体 20 加熱手段 21 冷却手段 40 真空バルブ 41 ブースターポンプ 47 水封ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 11/00 F23G 7/14 C07B 35/06 B09B 3/00 303A C07D 319/24 303C F23G 7/00 303E 7/14 303H 303L 303M 303P 303Z B01D 53/34 134E 136A 136Z (72)発明者 三島 泰雄 愛知県豊田市堤町寺池66番地 株式会社豊 栄商会内 (72)発明者 高宮 勝雄 愛知県豊田市堤町寺池66番地 株式会社豊 栄商会内 Fターム(参考) 2E191 BA12 BB01 BC01 BD11 BD13 4D002 AA02 AA12 AA17 AA18 AA28 AA29 AC10 BA02 BA06 BA12 BA13 BA14 CA01 DA02 DA05 DA06 DA08 DA11 DA12 DA21 DA35 DA70 EA02 FA02 FA04 GA02 GA03 GB02 GB03 GB06 4D004 AA02 AA04 AA07 AA22 AA28 AA36 AA41 AA46 AB03 AB06 AB07 AC05 CA22 CA32 CB09 CB32 CB45 CC01 DA02 DA06 4D059 AA09 AA12 AA14 AA30 BD01 BD12 BD32 CA14 EB06 EB08 4H006 AA05 AC13 BC10 BC11 BD84

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ハロゲン化物と重金属とを含む処理
    対象物体を減圧下で加熱する工程と、 この加熱により生じるガス状排出物を減圧下で加熱する
    工程と、 前記加熱により前記処理対象物体から蒸発した前記重金
    属を凝縮する工程とを有することを特徴とする処理方
    法。
  2. 【請求項2】 前記加熱工程及び前記凝縮工程は、前記
    処理対象物体を加熱する空間を減圧するための排気系内
    で行われることを特徴とする請求項1に記載の処理方
    法。
  3. 【請求項3】 有機ハロゲン化物と重金属とを含む処理
    対象物体を気密に保持することができる気密領域と、 前記有機ハロゲン化物の少なくとも一部が熱分解し、前
    記重金属の少なくとも一部が蒸発するように、前記気密
    領域を減圧し、加熱する手段と、 前記加熱により生じるガス状排出物中を減圧下で加熱す
    る手段と前記加熱により前記処理対象物体から蒸発した
    前記重金属を減圧下で凝縮する手段とを具備することを
    特徴とする処理装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の処理装置において、 前記気密領域を減圧するための排気系を有し、 前記ガス状排出物中を減圧下で加熱する手段は、前記排
    気系内で減圧し、加熱することを特徴とする処理装置。
  5. 【請求項5】 前記処理対象物体の加熱残渣は、前記気
    密領域内を実質的に前記有機ハロゲン化物フリーかつ有
    機ハロゲン化物生成能を有しない置換ガスで置換した後
    に冷却することを特徴とする請求項3に記載の処理装
    置。
  6. 【請求項6】 重金属を第1の濃度で含有し、かつ有機
    ハロゲン化物を含有する第1の土壌から、前記重金属を
    第1の濃度より低い第2の濃度で含有する第2の土壌を
    生産する土壌の生産方法において、 前記第1の土壌を気密領域に導入し、 前記第1の土壌を減圧下で加熱することにより前記有機
    ハロゲン化物の少なくとも一部を熱分解するとともに、
    前記重金属の少なくとも一部を蒸発し、 この熱分解により生じるガス状排出物中を減圧下で加熱
    し、 前記蒸発した重金属を減圧下で凝縮することを特徴とす
    る土壌の生産方法。
  7. 【請求項7】 前記有機ハロゲン化物はダイオキシン類
    であることを特徴とする請求項6に記載の土壌の生産方
    法。
  8. 【請求項8】 前記土壌の熱分解により生じたガス状排
    出物中のハロゲン濃度を低減することを特徴とする請求
    項6に記載の土壌の生産方法。
  9. 【請求項9】 前記第1の土壌の熱分解残渣は、前記気
    密領域内を実質的に前記有機ハロゲン化物フリーかつ有
    機ハロゲン化物生成能を有しない置換ガスで置換した後
    に冷却することを特徴とする請求項6に記載の土壌の生
    産方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110586621A (zh) * 2019-09-20 2019-12-20 中核环保产业有限公司 一种含汞或有机污染固体废物的成套高效处理设备及方法

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