JP2003030814A - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
有し、長期保存性に優れた磁気記録媒体を提供するこ
と。 【解決手段】 支持体上に非磁性粉末または強磁性粉末
と結合剤とを分散させてなる下層の上に少なくとも一層
の強磁性粉末と結合剤を分散した磁性層を有する磁気記
録媒体において、該結合剤が特定のジオールを含むポリ
エステルポリオールと鎖延長剤と有機ジイソシアネート
から得られるポリウレタン樹脂を含み、かつ磁性層表面
のC/Feのピーク比が7〜11であることを特徴とす
る磁気記録媒体。
Description
させてなる磁性層を支持体上に設けた磁気記録媒体に関
する。 【0002】 【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープあるいはフロッピー(登録商標)ディスクなどと
して広く用いられている。磁気記録媒体は、強磁性粉末
が結合剤(バインダ)中に分散された磁性層を支持体上
に積層している。 【0003】磁気記録媒体は、電磁変換特性、走行耐久
性および走行性能などの諸特性において高いレベルにあ
ることが必要とされる。すなわち、音楽録音再生用のオ
ーディオテープにおいては、より高度の原音再生能力が
要求されている。また、ビデオテープについては、原画
再生能力が優れているなど電磁変換特性が優れているこ
とが要求されている。このような優れた電磁変換特性を
有すると同時に、磁気記録媒体は前述のように良好な走
行耐久性を持つことが要求されている。そして、良好な
走行耐久性を得るためにのアプローチの一つとして結合
剤の分散性を改善する方法が取られている。 【0004】特開平11−39639号公報(以下、
「文献A」という)には、脂肪族二塩基酸及び特定な分
岐脂肪族ジオールからなるポリエステルポリオールから
なるポリエステルポリウレタンを開示、粉体の分散安定
性の向上、出力の向上、ヘッド汚れの防止、ドロップア
ウト(DO)増加の抑制、長期保存性(60℃、dry
1週間後のμ値(摩擦係数)の改善)の向上が図れる旨
の記載がある。上述の文献Aは、本出願人によるもので
あり、高強度、高分散性のポリウレタンを結合剤として
用いることを特徴とするが、高温高湿条件下の長期保存
性については十分な性能を発揮できないなどの問題があ
った。 【0005】特に高温高湿度下において長期にテープを
保存した場合に塩酸ガス等によるテープ中の素材の変
質、例えばエステル潤滑剤の加水分解によって発生する
脂肪酸が、磁性層表面に移動析出、結晶化することがあ
り、従来よりも記録密度が向上しているため、より微小
な異物もその影響が大きくなってきているという問題が
あった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、次の磁気記
録媒体を提供することを課題とするものである。 優れた分散性、塗膜平滑性、電磁変換特性を有する磁
気記録媒体を提供する。 長期保存性に優れた磁気記録媒体を提供する。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、支持体上に非
磁性粉末または強磁性粉末と結合剤とを分散させてなる
下層の上に少なくとも一層の強磁性粉末と結合剤を分散
した磁性層を有する磁気記録媒体において、該結合剤が
ポリエステルポリオールと鎖延長剤と有機ジイソシアネ
ートから得られるポリウレタン樹脂を含み、且つオージ
ェ電子分光法で磁性層表面を測定した際のC/Feのピ
ーク比が7〜11であり、前記ポリウレタンはそのポリ
エステルポリオール中の二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含
み、ジオール成分の70モル%以上が炭素数2以上のア
ルキル分岐側鎖を持ち環構造をもたないジオールからな
るポリウレタン(1)、又はポリエステルポリオール中
の二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含みジオール成分の70
モル%以上が1分子中の分岐側鎖炭素数の合計が2以上
のアルキル分岐脂肪族ジオールであり、鎖延長剤が1分
子中の分岐側鎖炭素数の合計が3以上のアルキル分岐脂
肪族ジオールを含むポリウレタン(2)であることを特
徴とする磁気記録媒体である。 【0008】本発明の好ましい態様は以下の通りであ
る。 (1) 前記磁性層及び/又は下層は、エステル系潤滑剤を
含有することを特徴とする上記磁気記録媒体。 (2)磁性層の厚みが好ましくは0.1〜0.5μm、更
に好ましくは0.1〜0.3μmであることを特徴とす
る上記磁気記録媒体。 (3)前記エステル系潤滑剤の融点が10℃以下であるこ
とを特徴とする上記磁気記録媒体。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体は、特定の
結合剤と特定の表面潤滑性を有した磁性層を有すること
を特徴とする。本発明で用いる結合剤は、特定構造のポ
リウレタン樹脂(以下、「本発明のポリウレタン樹脂」
ともいう)を少なくとも含有する。本発明のポリウレタ
ン樹脂は、従来、磁気記録媒体を高温高湿環境で保存す
るとポリウレタン分子中の比較的低分子量であり、且つ
柔らかい成分が塗膜表面に析出しやすい欠点が改善さ
れ、また溶剤への溶解性が改良されるので、高い分散性
を維持しながら通常よりも高いウレタン基濃度を有する
ことによりTgが高く、耐久性が向上する。これにより
磁気記録媒体を高温保存しても摩擦係数の上昇が抑えら
れる。また、本発明は、磁性層表面をオージェ電子分光
法で表面を測定した際のC(炭素)/Fe(鉄)のピー
ク比を7〜11とする。このオージェ電子分光法による
C/Feのピーク比の測定条件は、以下の通りである。 装置:Φ社製PHI−660型 測定条件:1次電子線加速電圧3KV 試料電流130nA 倍率250倍 傾斜角度30° 上記条件で、運動エネルギ−(Kinetic Ene
rgy)130〜730eVの範囲を3回積算し、炭素
のKLLピークと鉄のLMMピークの強度を微分形で求
め、C/Feの比をとることでピーク比を求める。本発
明は、このC/Feのピーク比を7以上とすることによ
り、良好な表面の潤滑性能を発揮して、磁気ヘッドの走
行に対する耐久性を向上できる。また、11以下とする
ことにより、エステル系潤滑剤等の加水分解が抑制さ
れ、脂肪酸発生量が低下し、磁性層表面に移動析出、結
晶化する量が低減され、保存性が改善される。即ち、本
発明のポリウレタン樹脂を用い、かつC/Feのピーク
比を7〜11とすることにより保存性及び電磁変換特性
が改善される。 【0010】C/Feのピーク比を本発明範囲に制御す
る手段としては、潤滑剤、界面活性剤等の種類、量、そ
れらを複数用いる場合の併用比率等を選定することが挙
げられる。本発明に好ましく使用することができる潤滑
剤としては、ジアルコキシポリシロキサン(アルコキシ
は炭素数1〜4個)、モノアルキルモノアルコキシポリ
シロキサン(アルキルは炭素数1〜5個、アルコキシは
炭素数1〜4個)などのシリコンオイル;炭素数12〜
20個の一塩基性脂肪酸と炭素数3〜12個の一価また
は多価のアルコールから成る脂肪酸エステル類、アルキ
ル燐酸エステル類、炭素数10〜22の飽和脂肪酸類、
不飽和脂肪酸類や脂肪酸アミド類等が挙げられる。 【0011】上記の中でも脂肪酸エステルが好ましい。
脂肪酸エステルの原料となるアルコールとしてはエタノ
ール、ブタノール、フェノール、ベンジルアルコール、
2−メチルブチルアルコール、2−ヘキシルデシルアル
コール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エ
チレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレング
リコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、sec−ブチルアルコール等のモノ
アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ソルビタ
ン誘導体等の多価アルコールが挙げられる。脂肪酸エス
テルの原料となる脂肪酸としては酢酸、プロピオン酸、
オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリ
スチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ア
ラキン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エラ
イジン酸、パルミトレイン酸等の脂肪族カルボン酸また
はこれらの混合物が挙げられる。脂肪酸エステルとして
の具体例は、ブチルステアレート、sec−ブチルステ
アレート、イソプロピルステアレート、ブチルオレエー
ト、アミルステアレート、3−メチルブチルステアレー
ト、2−エチルヘキシルステアレート、2−ヘキシルデ
シルステアレート、ブチルパルミテート、2−エチルヘ
キシルミリステート、ブチルステアレートとブチルパル
ミテートの混合物、ブトキシエチルステアレート、2−
ブトキシ−1−プロピルステアレート、ジプロピレング
リコールモノブチルエーテルをステアリン酸でエステル
化したもの、ジエチレングリコールジパルミテート、ヘ
キサメチレンジオールをミリスチン酸でアシル化してジ
オールとしたもの、グリセリンのオレエート等の種々の
エステル化合物を挙げることができる。 【0012】本発明では、脂肪酸エステル等のエステル
系潤滑剤を磁性層及び/又は下層に用いることが好まし
い。 【0013】ここで、本発明の磁気記録媒体の層構成に
ついて説明する。本発明では、下層の上に磁性層を設け
る構成であれば、特に制限はない。下層は、非磁性粉末
または強磁性粉末と結合剤とを分散させてなるものであ
り、非磁性粉末のものを主体に選択した場合には非磁性
層が、強磁性粉末を主体に選択した場合には磁性層が下
層として構成され得る。下層が非磁性層の場合を下層非
磁性層、下層が磁性層の場合を下層磁性層ともいうが、
両者を総称する場合は、単に下層ともいう。また、下層
及び下層上に設けられる磁性層(「上層磁性層」ともい
う)は、各々単層でも複層でもよい。 【0014】本発明では、磁性層及び/又は下層には、
特にエステル系潤滑剤として融点が10℃以下、更に好
ましくは7〜1℃である脂肪酸エステルを用いることが
好ましい。融点が10℃以下の脂肪酸エステルとして
は、2−エチルヘキシルステアレート、イソヘキサデシ
ルステアレート、オレイン酸オレイル、ネオペンチルグ
リコールジデカノエート等が挙げられる。脂肪酸エステ
ルは、脂肪酸エステル原料の脂肪酸及びアルコール由来
の分岐/直鎖、シス/トランス等の異性構造、分岐位置
を選択することにより加水分解しにくいものを選択する
ことができる。また、潤滑剤組成としては、脂肪酸エス
テルと脂肪酸及び脂肪酸アミドを併用することがより好
ましく、脂肪酸としては、例えば、常温で固体の飽和脂
肪酸(炭素数10から22)が挙げられ、脂肪酸アミド
としては炭素数8〜22の脂肪酸アミド、例えば、ステ
アリン酸アミドが挙げられる。 【0015】これらの潤滑剤総量は結合剤100質量部
に対して1〜30質量部の範囲で添加される。特に、脂
肪酸エステルは、強磁性粉末(上層磁性層または下層磁
性層)または非磁性粉末(下層非磁性層の主体となる粉
体)100質量部に対し、通常、0.5〜3.0質量
部、好ましくは、0.7〜2.5質量部用いられ、脂肪
酸は、強磁性粉末(上層磁性層または下層磁性層)また
は非磁性粉末(下層非磁性層の主体となる粉体)100
質量部に対し、通常、0.1〜2.0質量部、好ましく
は、0.3〜1.5質量部用いられ、脂肪酸アミドは、
強磁性粉末(上層磁性層または下層磁性層)または非磁
性粉末(下層非磁性層の主体となる粉体)100質量部
に対し、通常、0.1〜2.0質量部、好ましくは、
0.2〜1.0質量部用いられる。これら潤滑剤は下層
及び磁性層の各々に含有させることが好ましいが、下層
と磁性層とでその添加量を適宜変更することは、各潤滑
剤の磁性層表面への滲み出し量を調整する手段となり得
る。 【0016】本発明のポリウレタン樹脂は、ポリエステ
ルポリオールと鎖延長剤と有機ジイソシアネートから得
られる。そのポリエステルポリオールは、その構成成分
として(1)脂肪族二塩基酸及びジオールを含み、該ジ
オール成分の70モル%以上が炭素数2以上のアルキル
分岐側鎖を持ち環構造をもたないものか、又は(2)脂
肪族二塩基酸及びジオールを含み、該ジオール成分の7
0モル%以上が1分子中の分岐側鎖炭素数の合計が2以
上のアルキル分岐脂肪族ジオールであるものである。 【0017】そして、上記(1)のポリエステルポリオ
ールを少なくとも成分とするポリウレタン樹脂をポリウ
レタン樹脂(1)と称し、上記(2)のポリエステルポ
リオールと鎖延長剤として1分子中の分岐側鎖炭素数の
合計が3以上のアルキル分岐脂肪族ジオールを含むポリ
ウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(2)と称する。本発
明のポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂(1)及び
/又はポリウレタン樹脂(2)を含むものである。 【0018】上記(1)のポリエステルポリオール成分
の炭素数2以上のアルキル分岐側鎖を持ち環構造をもた
ないジオールを以下、ジオールAとも言う。ジオールA
は、アルキル分岐側鎖として少なくとも1個は、炭素数
2以上のものを有する必要があるが、メチル基、更には
他の基、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基等を有し
ていてもよい。このアルキル分岐側鎖としては、好まし
くは炭素数2〜4のものが挙げられ、ジオールAは、好
ましくは1〜2個有したものである。ジオールAの主鎖
の炭素数は、好ましくは3〜6である。また、ジオール
Aは、該ポリエステルポリオールのジオール成分中70
モル%以上、好ましくは80〜100モル%含む。この
ジオールA以外のジオール成分としては、例えば、炭素
数2〜9の直鎖ジオール、炭素数6〜24の環状ジオー
ル等が例示される。 【0019】上記(2)のポリエステルポリオール成分
の1分子中の分岐側鎖炭素数の合計が2以上のアルキル
分岐脂肪族ジオールを以下、ジオールBとも言う。ジオ
ールBは、アルキル分岐側鎖の炭素数の合計が2以上と
なる必要があるが、必ずしもアルキル分岐側鎖以外の基
を全く排除するものではなく、必要により環状構造の
基、例えば、脂環族基、更には他の基、例えば、ハロゲ
ン原子、アルコキシ基等を有していてもよい。このアル
キル分岐側鎖としては、好ましくはメチル基が挙げら
れ、ジオールBは、好ましくはメチル基を2〜3個有し
たものである。ジオールBの主鎖の炭素数は、好ましく
は3〜6である。また、ジオールBは、該ポリエステル
ポリオールのジオール成分中70モル%以上、好ましく
は80〜100モル%含む。このジオールB以外のジオ
ール成分としては、例えば、炭素数2〜9の直鎖ジオー
ル、炭素数6〜24の環状ジオール等が例示される。 【0020】ポリウレタン樹脂(2)の鎖延長剤として
用いられる1分子中の分岐側鎖炭素数の合計が3以上の
アルキル分岐脂肪族ジオールを以下、ジオールCとも言
う。ジオールCは、アルキル分岐側鎖の炭素数の合計が
3以上となる必要があるが、必ずしもアルキル分岐側鎖
以外の基を全く排除するものではなく、ジオールBと同
様に必要により環状構造の基、例えば、脂環族基、更に
は他の基、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基等を有
していてもよい。このアルキル分岐側鎖としては、好ま
しくはエチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、ジ
オールCは、好ましくはこれらの基を2〜3個有したも
のである。ジオールCの主鎖の炭素数は、好ましくは3
〜6である。 【0021】本発明において用いることができるジオー
ルAまたはジオールBとしては、2,2−ジメチル−
1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,5
−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3
−プロパンジオール、3−メチル−3−エチル−1,5
−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,
3−プロパンジオール、3−メチル−3−プロピル−
1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−ブチル−
1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−ブチル
1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3
−プロパンジオール、3,3−ジエチル−1,5−ペン
タンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロ
パンジオール、3−エチル−3−ブチル−1,5−ペン
タンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,3−プ
ロパンジオール、3−エチル−3−プロピル−1,5−
ペンタンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパ
ンジオール、3,3−ジブチル−1,5−ペンタンジオ
ール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオー
ル、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオール、
2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオー
ル、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオ
ール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プ
ロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−1,
3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタン
ジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、
3ブチル−1,5−ペンタンジオール、3−オクチル−
1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチル−1,5−
ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタン
ジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2
−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−
1,6−ヘキサンジオール、5−エチル−1,9−ノナ
ンジオール、5−プロピル−1,9−ノナンジオール、
5−ブチル−1,9−ノナンジオール等を挙げることが
できる。 【0022】なかでもジオールAとして好ましいもの
は、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチ
ル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−
1,3−プロパンジオールを挙げることができる。 【0023】また、ジオールBとして好ましいものは、
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3,3
−ジメチル−1,5−ペンタンジオールを挙げることが
できる。 【0024】また、ジオールCとしては、2−メチル−
2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−
3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−
2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル
−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチ
ル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチ
ル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−
ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチ
ル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチ
ル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチ
ル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロ
ピル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−プ
ロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル
−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,
5−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−
プロパンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペン
タンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プ
ロパンジオール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−
ペンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオ
ール、2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−
プロピル−1,5−ペンタンジオール、3−ブチル−
1,5−ペンタンジオール、3−オクチル−1,5−ペ
ンタンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジ
オール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、
2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル
−1,6−ヘキサンジオール、5−プロピル−1,9−
ノナンジオール、5−ブチル−1,9−ノナンジオール
等を挙げることができる。これらのなかでも好ましいも
のは、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオ
ール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールを
挙げることができる。 【0025】本発明のポリウレタン樹脂成分のポリエス
テルポリオールに用いることのできる脂肪族二塩基酸と
しては、好ましくは炭素数4〜10のものが挙げられ
る。この脂肪族二塩基酸の脂肪族とは、鎖状構造のもの
を指し、酸素、イオウなどのヘテロ原子が主鎖に包含さ
れてもよい。具体的には、コハク酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリ
ン酸、スベリン酸等を挙げることができる。これらのな
かでも好ましいものは、コハク酸、アジピン酸、セバシ
ン酸である。 【0026】ポリエステルポリオールの全二塩基酸成分
のうち脂肪族二塩基酸の含量は、70モル%以上が好ま
しく、更に80〜100モル%が好ましい。70モル%
よりも少ないと実質的に芳香族二塩基酸などの環状構造
を有する二塩基酸成分が増えるので溶剤溶解性が低下
し、分散性が低下する傾向がある。 【0027】次に本発明のポリウレタン樹脂の構成成分
ある有機ジイソシアネートについて記す。有機ジイソシ
アネートには、2,4−トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4
−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネ
ート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニ
トロジフェニル−4.4’−ジイソシアネート、2,
2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、
m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイ
ソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネー
ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’
−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート
等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジ
イソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロ
ンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネー
ト、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環
族ジイソシアネート等を挙げることができる。好ましく
は芳香族ジイソシアネートであり、さらにこのましくは
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2−
トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネートである。 【0028】ポリウレタンの分子量は、質量平均分子量
(Mw)が30000〜70000が好ましい。さらに
好ましくは40000〜60000である。30000
未満であると、塗膜強度が低下し、耐久性が低下する。
70000以上であると、溶剤への溶解性が低下し、分
散性が低下する。 【0029】ポリウレタンのガラス転移温度(Tg)
は、50℃〜150℃であることが好ましく、より好ま
しくは70℃〜120℃であり、更に好ましくは80℃
〜100℃である。50℃未満では、高温での塗膜強度
が低下するので耐久性、保存性が低下する。150℃以
上ではカレンダー成型性が低下し、電磁変換特性が低下
することとなる。 【0030】本発明のポリウレタン樹脂は、極性基を有
するものが好ましい。極性基としては、−SO3M、−
OSO3M、−COOM、−P=O(OM)2、−O−P
=O(OM)2、−NR2、−N+R2R’COO-(ここ
でMは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、R、
R’は炭素数1〜12のアルキル基を示す)から選ばれ
るものが用いられる。極性基は、本発明のポリウレタン
樹脂に使用されるジオール成分、二塩基酸成分或いは本
発明のポリエステルポリオール以外のポリオール等に導
入したモノマーを用いて重合して本発明のポリウレタン
樹脂としてもよいし、生成した樹脂に極性基を導入して
もよい。 【0031】併用できるポリオール成分としてはポリエ
ステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエー
テルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール
などが用いられる。上記極性基を有したモノマーとして
は、具体的には、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、
5−カリウムイソフタル酸、ナトリウムスルホテレフタ
ル酸、カリウムテレフタル酸、2−ナトリウムスルホ−
1,4−ブタンジオール、2−カリウムスルホ−1,4
−ブタンジオール、ビス(2−ヒドロキシエチル)ホス
フィン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸、ジメ
チロールプロピオン酸ナトリウム、ナトリウムスルホコ
ハク酸など、または他のグリコール、ジカルボン酸とと
もに脱水縮合して得られる極性基含有ポリエステルポリ
オール、上記極性基含有ジオールを開始剤としてε−カ
プロラクトンなどのラクトンを開環重合して得られる極
性基含有ポリエステルポリオールや極性基含有ジオール
にエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキ
レンオキシドを付加した極性基含有ポリエーテルジオー
ルなどがある。 【0032】本発明のポリウレタン樹脂の極性基として
は、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−
COOMが好ましい。 更に好ましくは−SO3M、−O
SO3Mである。極性基の含有量は、1×10-5eq/
g〜2×10-4eq/gであることが好ましく、1×1
0-5eq/g未満であると磁性体への吸着が不十分とな
るので分散性が低下する傾向がある。2×10-4eq/
g以上であると溶剤への溶解性が低下するので分散性が
低下する傾向がある。 【0033】本発明のポリウレタン樹脂中のウレタン基
濃度は、3.0mmol/g〜4.0mmol/gであ
ることが好ましく、より好ましくは3.3mmol/g
〜3.7mmol/gである。3.0mmol/gより
も少ないと塗膜のガラス転移温度(Tg)が低下し、耐
久性が低下する。4.0mmol/gよりも多いと溶剤
への溶解性が低下し、分散性が低下するとともに、必然
的にポリオールを含有できなくなるために分子量の調整
を行うことが困難となる等の合成上の不都合が生じやす
い。 【0034】本発明のポリウレタン樹脂中のOH基含有
量は、1分子当たり3個〜20個であることが好まし
く、更に好ましくは1分子当たり3個〜15個である。
1分子当たり3個未満では、イソシアネート硬化剤との
反応性が低下するために塗膜強度が低下し、耐久性が低
下する。一方、1分子当たり15個以上では、溶剤への
溶解性が低下するので分散性が低下する。 【0035】本発明のポリウレタン樹脂は、下層及び磁
性層に少なくとも結合剤成分として含有されるものであ
る。下層及び磁性層に使用される該結合剤は、本発明の
ポリウレタン樹脂のみでもよいが、他の樹脂を併用して
もよく、また、通常、ポリイソシアネートなどの硬化剤
が含まれる組成物である。 【0036】併用される樹脂としては、塩化ビニル系樹
脂等が挙げられる。塩化ビニル系樹脂の重合度は100
〜500が好ましく、150〜400が更に好ましく、
200〜300が特に好ましい。塩化ビニル系樹脂はビ
ニル系モノマー、例えば酢酸ビニル、ビニルアルコー
ル、塩化ビニリデン、アクリロニトリルなどを共重合さ
せたものでもよい。 【0037】中でも塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビ
ニルと酢酸ビニルとを含む共重合体が好ましい。酢酸ビ
ニルは、この共重合体に好ましくは1〜15質量%含有
されると本発明のポリウレタン樹脂との相溶性が高く、
且つ塗布液の高剪断速度における粘度が低くなり極めて
平滑な磁性層が得られるという効果を奏する。 【0038】塩化ビニル系樹脂は、本発明のポリウレタ
ン樹脂と同様な極性基を有していることが好ましく、極
性基の含有量は、1×10-5〜1×10-3eq/gが好まし
い。この範囲より多いと粘度が高く分散性が低下する傾
向がある。この範囲より少なくとも分散性が低下する傾
向がある。また、塩化ビニル系樹脂はエポキシ基を有し
ていることが好ましく、含有されるエポキシ基量は、好
ましくは1×10-4〜1×10-2eq/g、更に好ましく
は、5×10-4〜2×10-3eq/gである。 【0039】更に、塩化ビニル系樹脂は、OH基を有し
ていることが好ましい。塩化ビニル系樹脂にOH基を導
入するとイソシアネート硬化剤と反応し架橋構造を形成
し、力学強度が向上するので好ましい。OH基の導入法
としては、ビニルアルコールのようにポリマー主鎖に直
結するよりも主鎖から炭化水素鎖、ポリアルキレングリ
コール鎖を介して結合したものの方が硬化性が高く好ま
しい。また、OH基は2級、1級が好ましい。塩化ビニ
ル系樹脂へのOH基の導入は、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、4−ヒドロキシブチルアリルエーテルなどの
ビニルモノマーの共重合で行うことができる。 【0040】塩化ビニル系樹脂のOH基含量は、好まし
くは1×10-4〜5×10-3eq/g、更に好ましく
は、2×10-4〜2×10-3eq/gである。塩化ビニ
ル系樹脂は、通常、0〜15質量%の範囲で他の共重合
可能なモノマーを含有することができる。このような共
重合可能なモノマ−としては、(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル、カルボン酸ビニルエステル、アリルエーテ
ル、スチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、3−ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアリルエ
ーテル、その他のビニルモノマ−が挙げられる。 【0041】本発明において、併用される結合剤成分と
しては、その他、ニトロセルロース樹脂などのセルロー
ス誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、
ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ
樹脂等が挙げられ、これらは、単独でも組み合わせでも
使用することができる。通常、本発明のポリウレタン樹
脂は結合剤中に50〜100質量%を含有されているこ
とが好ましく、さらに好ましくは70〜100質量%の
量である。特に好ましくは80〜100質量%の量であ
る。50質量%未満では、分散性が低下する。 【0042】上記併用される樹脂は、極性基を有してい
るものが好ましく、極性基及びその使用量は、言及のな
いものについては本発明のポリウレタン樹脂と同程度で
ある。また塩化ビニル系樹脂と併用する場合は、該結合
剤として本発明のポリウレタン樹脂と極性基含有塩化ビ
ニル系樹脂との質量比は、好ましくは85/15〜10
0/0、更に好ましくは90/10〜100/0、特に
好ましくは95/5〜100/0の範囲の樹脂を含む組
成物が挙げられる。 【0043】結合剤成分となる硬化剤としてはポリイソ
シアネート硬化剤、エポキシ硬化剤などがあるがポリイ
ソシアネート硬化剤が好ましい。ポリイソシアネート硬
化剤の例としては、本発明のポリウレタン樹脂の構成成
分となる前記有機ジイソシアネート化合物、前記ジイソ
シアネートとトリメチロールプロパン、グリセリンなど
多価アルコールとの反応物、たとえばトリレンジイソシ
アネート3モルとトリメチロールプロパン1モルとの反
応生成物(例、デスモジュールL−75(バイエル社
製))、キシリレンジイソシアネートあるいは、ヘキサ
メチレンジイソシアネート3モルとトリメチロールプロ
パン1モルとの反応生成物、ヘキサメチレンジイソシア
ネート3モルとのビューレット付加化合物などがある。
またジイソシアネート化合物を重合したイソシアヌレー
ト型のポリイソシアネートとしてトリレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの3、5、
7量体がある。またMDI(4,4−ジフェニルメタン
ジジイソシアネート)の多量体であるポリメリックMD
Iなどがある。磁性層に含まれるポリイソシアネート化
合物は、結合剤中に10〜50質量%の範囲で含有され
ていることが好ましく、さらに好ましくは20〜40質
量%の範囲である。 【0044】また、電子線照射による硬化処理を行う場
合には、ウレタンアクリレート等のような反応性二重結
合を有する化合物を使用することができる。樹脂成分と
硬化剤との合計(すなわち結合剤)の質量は、強磁性粉
末100質量部に対して、通常15〜40質量部の範囲
内にあることが好ましく、さらに好ましくは20〜30
質量部である。 【0045】本発明は、磁気記録媒体中の塩素含有量が
同媒体1m2当たり好ましくは35mg以下、更に好ま
しくは20mg以下、特に好ましくは10mg以下とす
ることができる。 【0046】本発明の磁気記録媒体に使用される強磁性
粉末は、強磁性酸化鉄、コバルト含有強磁性酸化鉄又は
強磁性合金粉末でBET法による比表面積(SBET)が
通常、40〜80m2/g 、好ましくは50〜70m2
/g である。結晶子サイズは通常、12〜25nm、
好ましくは13〜22nmであり、特に好ましくは14
〜20nmである。 【0047】強磁性金属粉末としてはFe、Ni、Fe
−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe等
が挙げられ、本発明においては、高記録密度媒体に使用
されるFeを主体とするものが好ましく、通常、Feが
強磁性金属粉末の50原子%以上、好ましくは、55〜
90原子%であり、併用され得る元素としては、Y、C
o等が好ましい。本発明において、それら元素は飽和磁
化σsを大きくしかつ緻密で薄い酸化膜を形成すること
ができるので特に好ましい。強磁性粉末中のイットリウ
ム含有量は、鉄原子に対してイットリウム原子の比、Y
/Feが0.5原子%〜20原子%が好ましく、更に好
ましくは、5〜10原子%である。0.5原子%よりも
少ないと強磁性粉末の高σs化できないために磁気特性
が低下し、電磁変換特性が低下する。20原子%よりも
大きいと鉄の含有量が少なくなるので磁気特性が低下
し、電磁変換特性が低下する。さらに、鉄100原子%
に対して総和で通常、20原子%以下、好ましくは、7
〜20原子%の割合で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、
スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガ
ン、銅、亜鉛、モリブデン、ロジウム、パラジウム、
金、錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タ
ングステン、レニウム、金、鉛、リン、ランタン、セリ
ウム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマス等を
含むことができる。 【0048】Yを含む強磁性金属粉末は、同粒子間の磁
気的エネルギーが強く分散しにくいのであるが、本発明
のポリウレタン樹脂を含む結合剤を用いて分散すること
によって、電磁変換特性、走行耐久性に優れた磁気記録
媒体を得ることができる。 【0049】これらの強磁性粉末の製法は既に公知であ
り、本発明で用いる強磁性粉末についても公知の方法に
従って製造することができる。強磁性粉末の形状には、
針状、粒状、サイコロ状、米粒状および板状のものなど
が使用される。とくに針状の強磁性粉末を使用すること
が好ましい。 【0050】例えば、本発明で好適に用いられるコバル
ト、イットリウムを導入した強磁性金属粉末の製造方法
の一例を示す。第一鉄塩とアルカリを混合した水性懸濁
液に、酸化性気体を吹き込むことによって得られるオキ
シ水酸化鉄を出発原料とする例を挙げることができる。
このオキシ水酸化鉄の種類としては、α一FeOOHが
好ましく、その製法としては、第一鉄塩を水酸化アルカ
リで中和してFe(OH)2 の水性懸濁液とし、この懸
濁液に酸化性ガスを吹き込んで針状のα一FeOOHと
する第一の製法がある。一方、第一鉄塩を炭酸アルカリ
で中和してFeCO3 の水性懸濁液とし、この懸濁液に
酸化性気体を吹き込んで紡錘状のα一FeOOHとする
第二の製法がある。このようなオキシ水酸化鉄は第一鉄
塩水溶液とアルカリ水溶液とを反応させて水酸化第一鉄
を含有する水溶液を得て、これを空気酸化等により酸化
して得られたものであることが好ましい。この際、第一
鉄塩水溶液にNi塩や、Ca塩、Ba塩、Sr塩等のア
ルカリ土類元素の塩、Cr塩、Zn塩などを共存させて
も良く、このような塩を適宣選択して用いることによっ
て粒子形状(軸比)などを調製することができる。第一
鉄塩としては、塩化第一鉄、硫酸第一鉄等が好ましい。
またアルカリとしては水酸化ナトリウム、アンモニア
水、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等が好ましい。
また、共存させることができる塩としては、塩化ニッケ
ル、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウ
ム、塩化クロム、塩化亜鉛等の塩化物が好ましい。 【0051】次いで、鉄にコバルトを導入する場合は、
イットリウムを導入する前に、硫酸コバルト、塩化コバ
ルト等のコバルト化合物の水溶液を前記のオキシ水酸化
鉄のスラリーに攪拌混合する。コバルトを含有するオキ
シ水酸化鉄のスラリーを調製した後、このスラリーにイ
ットリウムの化合物を含有する水溶液を添加し、攪拌混
合することによって導入することができる。これら強磁
性粉末には、イットリウム以外にもネオジム、サマリウ
ム、プラセオジウム、ランタン等を導入することができ
る。これらは、塩化イットリウム、塩化ネオジム、塩化
サマリウム、塩化プラセオジウム、塩化ランタン等の塩
化物、硝酸ネオジム、硝酸ガドリニウム等の硝酸塩など
を用いて導入することができ、これらは、二種以上を併
用しても良い。 【0052】また、よく知られているように強磁性金属
粉末は徐酸化処理により、化学的に安定にするためにそ
の粒子表面に酸化被膜が形成せしめられる。強磁性金属
粉末は、少量の水酸化物、または酸化物を含んでもよ
い。徐酸化の時に使用するガス中に炭酸ガスが含有され
ていると、強磁性金属粉末表面の塩基性点に吸着するの
で、このような炭酸ガスが含まれていてもよい。 【0053】磁気記録媒体の表面粗さを小さくするため
に、強磁性金属粉末の平均長軸長は通常、0.04〜
0.15μm、より好ましくは0.05〜0.12μ
m、平均針状比は通常、4〜10であって、好ましくは
4〜8であることが望ましい。 【0054】強磁性金属粉末粒子中の結晶を観察した
時、単結晶で形成された粒子の全粒子に対する割合を結
晶率と定義すると結晶率が30〜100%が好ましく、
より好ましくは35〜100%である。本発明の強磁性
金属粉末の飽和磁化σsは100A・m2/kg以上が好
ましく、さらに好ましくは110〜160A・m2/k
gである。強磁性金属粉末の抗磁力Hcは1800〜3
000エルステッド(143〜239kA/m)が好ま
しく、更に好ましくは1900〜2800エルステッド
(151〜223kA/m)である。 【0055】また、強磁性金属粉末には、後述する分散
剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあ
らかじめ処理を行うこともできる。具体的には、特公昭
44−14090号公報、特公昭45−18372号公
報、特公昭47−22062号公報、特公昭47−22
513号公報、特公昭46−28466号公報、特公昭
46−38755号公報、特公昭47−4286号公
報、特公昭47−12422号公報、特公昭47−17
284号公報、特公昭47−18509号公報、特公昭
47−18573号公報、特公昭39−10307号公
報、特公昭48−39639号公報、米国特許3026
215号、同3031341号、同3100194号、
同3242005号、同3389014号などに記載さ
れている。 【0056】強磁性金属粉末の含水率は0.01〜2質
量%とするのが望ましい。後述する結合剤の種類によっ
て強磁性金属粉末の含水率は最適化するのが望ましい。
強磁性金属粉末は、タップ密度は0.2〜0.8g/c
cが望ましい。0.8g/ccを越えると強磁性金属粉
末を徐酸化するときに均一に徐酸化されないので強磁性
金属粉末を安全にハンドリングのすることが困難であっ
たり、得られたテープ等の磁化が経時で減少する傾向が
ある。0.2cc/g未満では分散が不十分になりやす
い傾向がある。 【0057】上記の樹脂成分、硬化剤および強磁性粉末
を、磁性塗料の調製の際に通常使用されているメチルエ
チルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチ
ル等の溶剤と共に混練分散して磁性塗料とする。混練分
散は通常の方法に従って行うことができる。なお、通
常、磁性塗料中には、上記成分以外に、α−Al2O3、
Cr2O3等の研磨剤、カーボンブラック等の帯電防止剤
などの通常使用されている添加剤あるいは充填剤を含
む。 【0058】下層非磁性層に用いる非磁性粉末は、金属
酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭
化物、金属硫化物等の無機質化合物から選択することが
できる。具体的には、α化率90〜100%のα−アル
ミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化
クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化
珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化ケイ素、
酸化すず、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化
ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン
などが単独または組合せて使用される。特に好ましいの
は二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであ
り、更に好ましいのは二酸化チタンである。これら非磁
性粉末の平均粒子径は0.005〜2μmが好ましい
が、必要に応じて平均粒子径の異なる非磁性粉末を組み
合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして
同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましい
のは非磁性粉末の平均粒子径は0.01μm〜0.2μ
mである。非磁性粉末のpHは6〜9の間が特に好まし
い。非磁性粉末の比表面積は通常、1〜100m2/
g、好ましくは5〜50m2/g、更に好ましくは7〜
40m2/g である。非磁性粉末の結晶子サイズは0.
01μm〜2μmが好ましい。DBPによる吸油量は通
常、5〜100ml/100g、好ましくは10〜80
ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/10
0gである。比重は通常、1〜12、好ましくは3〜6
である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれで
も良い。これらの非磁性粉末の表面は表面処理により表
面にAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、
Sb2O3、ZnOを存在させることが好ましい。特に分
散性の向上に好ましいものはAl 2O3、SiO2、Ti
O2、ZrO2であるが、更に好ましいのはAl2O3、S
iO2、ZrO2 である。これらは組み合わせて使用し
ても良いし、単独で用いることもできる。また、共沈さ
せた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナを存在
させた後にその表層にシリカを存在させる処理をする方
法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表
面処理層は多孔質層にしても良いが、均質で密である方
が一般には好ましい。 【0059】下層にカーボンブラックを混合させて公知
の効果であるRsを下げることができるとともに、所望
のマイクロビッカース硬度を得る事ができる。このため
にはゴム用ファーネスブラック、ゴム用サーマルブラッ
ク、カラー用カーボンブラック、アセチレンブラック等
を用いることができる。カーボンブラックの比表面積は
100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2
/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好
ましくは30〜200ml/100gである。カーボン
ブラックの平均粒子径は5〜80nm、好ましく10〜
50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。カ
ーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜1
0%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。本
発明に用いられるカーボンブラックの具体的な例として
はキャボット社製、BLACKPEARLS 200
0、1300、1000、900、800,880,7
00、VULCAN XC−72、三菱化学社製、#3
050B,3150B,3250B、#3750B、#
3950B、#950、#650B,#970B、#8
50B、MA−600、コロンビアカーボン社製、CO
NDUCTEX SC、RAVEN 8800、800
0、7000、5750、5250、3500、210
0、2000、1800、1500、1255、125
0、アクゾー社製ケッチェンブラックECなどが挙げら
れる。 【0060】下層磁性層である場合には、強磁性粉末と
しては、γ−Fe2O3、Co変性γ−Fe2O3、α−F
eを主成分とする合金、CrO2 等が用いられる。特
に、Co変性γ−Fe2O3が好ましい。本発明の下層磁
性層に用いられる強磁性粉末は上層磁性層に用いられる
強磁性粉末と組成及び/又は磁気特性が異なるものが選
択される。例えば、長波長記録特性を向上させるために
は、下層磁性層の抗磁力Hcは上層磁性層のそれより低
く設定することが望ましく、下層に強磁性酸化鉄粉末を
上層磁性層に強磁性金属粉末を適用することができる。
また下層磁性層の残留磁束密度Brを上層磁性層のそれ
より高くする事が有効である。下層磁性層または下層非
磁性層の製造に使用する結合剤、潤滑剤、分散剤、添加
剤、溶剤あるいは分散方法等は、上層磁性層に使用のも
のと同様のものを適用することができる。 【0061】本発明に用いることのできる支持体として
は二軸延伸を行ったポリエチレンナフタレート、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリ
アミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダ
ゾール等の公知のものが使用できる。好ましくはポリエ
チレンナフタレート、芳香族ポリアミドである。これら
の支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接
着処理、熱処理などを行っても良い。また本発明に用い
ることのできる支持体は中心面平均表面粗さがカットオ
フ値0.25mmにおいて0.1〜20nm、好ましく
は1〜10nmの範囲という優れた平滑性を有する表面
であることが好ましい。また、これらの支持体は中心面
平均表面粗さが小さいだけでなく1μm以上の粗大突起
がないことが好ましい。 【0062】本発明の磁気記録媒体の製造方法は例え
ば、走行下にある支持体の表面に下層塗布液及び上層磁
性層塗布液を、上層磁性層の乾燥厚みが好ましくは0.
1〜0.5μmの範囲内、より好ましくは0.1〜0.
3μm、下層の乾燥厚みが0.05〜5μmの範囲内、
より好ましくは0.07〜3μmになるように塗布す
る。ここで下層塗布液及び上層磁性層塗布液を逐次ある
いは同時に重層塗布してもよい。 【0063】上記磁性塗料を塗布する塗布機としては、
エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコー
ト、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコー
ト、含浸コート、リバースロールコート、トランスファ
ーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャス
トコート、スプレイコート、スピンコート等が利用でき
る。 これらについては例えば株式会社総合技術センタ
ー発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月3
1日)を参考にできる。 【0064】本発明の磁気記録媒体の製造に適用する塗
布装置、方法の例として以下のものを提案できる。 (1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、
ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置に
より、まず下層を塗布し、下層が未乾燥の状態のうちに
特公平1−46186号公報、特開昭60−23817
9号公報、特開平2−265672号公報等に開示され
ているような支持体加圧型エクストルージョン塗布装置
により、上層磁性層を塗布する。 (2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17
971号公報、特開平2−265672号公報に開示さ
れているような塗布液通液スリットを2個有する一つの
塗布ヘッドにより上層磁性層及び下層をほぼ同時に塗布
する。 (3)特開平2−174965号公報に開示されている
ようなバックアップロール付きのエクストルージョン塗
布装置により、上層磁性層及び下層をほぼ同時に塗布す
る。 【0065】本発明で用いる支持体の磁性塗料が塗布さ
れていない面にバックコート層(バッキング層)が設け
られていてもよい。バックコート層は、支持体の磁性塗
料が塗布されていない面に、研磨剤、帯電防止剤などの
粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバックコート
層形成塗料を塗布して設けられた層である。粒状成分と
して各種の無機顔料やカーボンブラックを使用すること
ができ、また結合剤としてはニトロセルロース、フェノ
キシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を
単独またはこれらを混合して使用することができる。な
お、支持体の磁性塗料およびバックコート層形成塗料の
塗布面に接着剤層が設けられてもよい。 【0066】これら塗布層は、塗布層中に含まれる強磁
性粉末を磁場配向処理を施した後に乾燥される。このよ
うにして乾燥された後、塗布層に表面平滑化処理を施
す。表面平滑化処理には、たとえばスーパーカレンダー
ロールなどが利用される。表面平滑化処理を行うことに
より、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し
磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変
換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。カレン
ダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリア
ミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロール
を使用する。また金属ロールで処理することもできる。 【0067】本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平
均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜
4nm、好ましくは1〜3nmの範囲という極めて優れ
た平滑性を有する表面であることが好ましい。その方法
として、例えば上述したように特定の強磁性粉末と結合
剤を選んで形成した磁性層を上記カレンダー処理を施す
ことにより行われる。カレンダー処理条件としては、カ
レンダーロールの温度を60〜100℃の範囲、好まし
くは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜10
0℃の範囲であり、圧力は通常、100〜500Kg/
cm(980〜4900N/cm)の範囲であり、好ま
しくは200〜450Kg/cm(1960〜4410
N/cm)の範囲であり、特に好ましくは300〜40
0Kg/cm(2940〜3920N/cm)の範囲の
条件で作動させることによって行われることが好まし
い。このようにして硬化処理された積層体を次に所望の
形状にする。得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使
用して所望の大きさに裁断して使用することができる。 【0068】以上のように、本発明のポリウレタンは、
ポリオール成分として、脂肪族の二塩基酸と従来よりも
分枝脂肪族ジオールを多く含有しているので溶剤への溶
解性が高く、強磁性粉末の分散性にも優れる。更にウレ
タン基濃度が高いので従来の脂肪族系ウレタンに比べて
高Tgが得られるので走行耐久性にも優れる。 【0069】また、水素結合成分であるウレタン基濃度
を増加させることは、乾燥塗膜中での分子間相互作用の
向上によりにTgなどの塗膜強度が向上する一方、溶剤
溶解性が低下し塗布液粘度が増加する為に分散性が低下
してしまうが、本発明のポリウレタンはウレタン基濃度
が大であるとともにポリエステルポリオール成分として
脂肪族の二塩基酸と分枝脂肪族ジオールを用いているの
で溶剤溶解性が低下しない特徴を合わせもつ。これは分
岐をもつことで塗布液中でのポリウレタン分子間の会合
を防止できているためと考えられる。 【0070】また、本発明のポリウレタン樹脂を含む結
合剤は、エステル系潤滑剤等の潤滑剤と相互作用し、磁
性層のC/Feのピーク比を7〜11に調整するために
寄与するものと考えられる。 【0071】 【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明をさ
らに詳細に説明する。以下に記載の「部」は「質量部」
を示し、%は質量%を示す。 (ポリウレタン樹脂:本発明のポリウレタン樹脂A、
B、C及び本発明外のポリウレタン樹脂D、Eの合成
例)還流式冷却器、攪拌機を具備し、予め窒素置換した
容器に表1に示したポリエステルポリオールと、表2に
示した鎖延長剤のジオールとDEIS(スルホイソフタ
ル酸ジメチルエステル)をシクロヘキサノン中にて窒素
気流下で60℃で溶解した。表1において、配合量はモ
ル%で示す。また分子量は水酸基価で求めた。 次い
で、触媒として、ジ−n−ジブチルスズジラウレート6
0ppmを加え15分間溶解した。さらに表2に示した
量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(M
DI)を加え90℃にて6時間加熱反応し、ポリウレタ
ン溶液を得た。表2に得られたポリウレタンの重量平均
分子量、ガラス転移温度を示す。 【0072】 【表1】 【0073】 【表2】 【0074】〔実施例1〕 (上層磁性層用塗料) 強磁性合金粉末(組成:Fe 89原子%,Co 5原
子%,Y 6原子%、Hc:2000エルステッド(159
kA/m),結晶子サイズ:15nm,S BET:59m2
/g,平均長軸長:0.12μm,平均針状比:7,σ
s:150A・m2/kg)100部をオープンニーダ
ーで10分間粉砕し、次いで ポリウレタン樹脂A 10部(固形分) 塩化ビニル系樹脂 1.7部 (塩化ビニル/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート
=86/9/5の共重合体にヒドロキシエチルスルフォ
ネートナトリウム塩を付加した化合物、SO3Na=6
×10-5eq/g,エポキシ=10-3eq/g,Mw:
30,000) シクロヘキサノン 60部 を加え60分間混練し、次いで 研磨剤(Al2O3)(平均粒子径:0.3μm) 2部 カーボンブラック(平均粒子径:40nm) 2部 メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ポリイソシアネート 5部(固形分) (日本ポリウレタン製コロネート3041) 2−エチルヘキシルステアレート 0.5部 ステアリン酸 0.5部 ステアリン酸アミド 0.3部 メチルエチルケトン 50部 を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平
均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、上層用磁性
塗料を調製した。 【0075】 (下層非磁性用塗料) α−Fe2O3 85部 (平均粒子径:0.15μm、SBET:52m2/g、表面処理Al2O3、 SiO2、pH:6.5〜8.0) カーボンブラック(平均粒子径:40nm) 15部 をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで ポリウレタン樹脂A 10部(固形分) 塩化ビニル系樹脂 1.7部 (塩化ビニル/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート
=86/9/5の共重合体にヒドロキシエチルスルフォ
ネートナトリウム塩を付加した化合物、SO3Na=6
×10-5eq/g,エポキシ=10-3eq/g,Mw:
30,000) シクロヘキサノン 60部 を加え60分間混練し、次いで メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに 2−エチルヘキシルステアレート 0.5部 ステアリン酸 1.2部 ステアリン酸アミド 0.3部 メチルエチルケトン 50部 を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平
均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層用塗料
を調製した。 【0076】接着層としてスルホン酸含有ポリエステル
樹脂を乾燥後の厚さが0.1μmになるようにコイルバ
ーを用いて厚さ4μmのアラミド支持体の表面に塗布し
た。次いで得られた下層用塗料を1.0μmに、さらに
その直後に上層磁性塗料を乾燥後の厚さが0.1μmに
なるように、リバースロールを用いて同時重層塗布し
た。磁性塗料塗布された非磁性支持体を、磁性塗料が未
乾燥の状態で0.5T(テスラ)のCo磁石と0.5T
のソレノイド磁石で磁場配向を行ない、塗布したものを
金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金
属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによるカ
レンダー処理を(速度100m/min、線圧300Kg/c
m(線圧2840N/cm)、温度90゜C)で行なっ
た後3.8mm幅にスリットした。 【0077】(実施例2〜8及び比較例1〜5)ポリウ
レタン樹脂種、エステル系潤滑剤(2−エチルヘキシル
ステアレート)添加量、磁性層の塗布厚み(乾燥後)を
表2のように変更して実施例1と同様の方法で作成し
た。得られた試料を以下により測定、評価し、その結果
を表3に示す。 【0078】測定方法 C/Feのピーク比:前記によった。 長期保存性:テープを60℃、90%RH環境下に8
週間保存し、磁性層表面を微分干渉顕微鏡200倍で観
察した。微細な結晶が発生していたものを×、結晶の発
生には至らないが変色していたものを△、変化がなかっ
たものを○とした。 出力:試料テープにドラムテスター(交洋製作所製)
を用いて記録波長0.5μm、ヘッド速度10m/秒の
条件で記録し、再生した。比較例3のテープの再生出力
を100%としたときの各試料テープの相対的な再生出
力を評価した。 【0079】 【表3】【0080】上表より、本発明のポリウレタン樹脂を用
いるが、C/Feのピーク比が本発明の範囲外である比
較例1、2及び5は、再生出力は、実施例と同程度であ
るが、長期保存性が劣る。また、本発明のポリウレタン
樹脂ではないポリウレタン樹脂を用いると共にC/Fe
のピーク比が本発明の範囲内である比較例3、4は、長
期保存性と再生出力が、実施例に比べて劣る。 【0081】 【発明の効果】本発明のポリウレタン樹脂を含有する磁
気記録媒体は、次の効果を奏する。 電磁変換特性が向上する。 長期保存性が向上する。 塩酸発生が抑制され、ヘッド等の走行系の腐食が改良
される。 塩化ビニル系樹脂の使用が抑制できるので、環境保全
に有用な磁気記録媒体を提供できる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 支持体上に非磁性粉末または強磁性粉末
と結合剤とを分散させてなる下層の上に少なくとも一層
の強磁性粉末と結合剤を分散した磁性層を有する磁気記
録媒体において、該結合剤がポリエステルポリオールと
鎖延長剤と有機ジイソシアネートから得られるポリウレ
タン樹脂を含み、且つオージェ電子分光法で磁性層表面
を測定した際のC/Feのピーク比が7〜11であり、
前記ポリウレタンはそのポリエステルポリオール中の二
塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオール成分の70モ
ル%以上が炭素数2以上のアルキル分岐側鎖を持ち環構
造をもたないジオールからなるポリウレタン(1)、又
はポリエステルポリオール中の二塩基酸が脂肪族二塩基
酸を含みジオール成分の70モル%以上が1分子中の分
岐側鎖炭素数の合計が2以上のアルキル分岐脂肪族ジオ
ールであり、鎖延長剤が1分子中の分岐側鎖炭素数の合
計が3以上のアルキル分岐脂肪族ジオールを含むポリウ
レタン(2)であることを特徴とする磁気記録媒体。
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