JP2003013103A - 導電粉末の製造方法、導電粉末、導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品 - Google Patents
導電粉末の製造方法、導電粉末、導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、耐酸化性を有する導電粉末を効率
よく製造する方法、導電粉末、およびこのような導電粉
末を用いた導電性ペーストを提供することで、有機物の
分解ならびに除去に十分な温度の酸化雰囲気中での脱バ
インダー処理を可能とし、このような導電性ペーストを
用いて内部電極を形成する積層セラミック電子部品の歩
留まりならびに生産性を向上させることにある。 【解決手段】 本発明の導電粉末の製造方法は、Ni粉
末,Cu粉末,Niまたは/およびCuを主成分とする
合金粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種の卑金
属粉末とCo塩とを含む金属溶液に、水素化硼化物また
は/およびアミンボランを含む還元溶液を添加・混合し
て、卑金属粉末の表面に、卑金属粉末の平均粒径よりも
小さく、卑金属粉末100重量部に対して50重量部以
下のCo−B合金粉末を析出させることを特徴とする。
よく製造する方法、導電粉末、およびこのような導電粉
末を用いた導電性ペーストを提供することで、有機物の
分解ならびに除去に十分な温度の酸化雰囲気中での脱バ
インダー処理を可能とし、このような導電性ペーストを
用いて内部電極を形成する積層セラミック電子部品の歩
留まりならびに生産性を向上させることにある。 【解決手段】 本発明の導電粉末の製造方法は、Ni粉
末,Cu粉末,Niまたは/およびCuを主成分とする
合金粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種の卑金
属粉末とCo塩とを含む金属溶液に、水素化硼化物また
は/およびアミンボランを含む還元溶液を添加・混合し
て、卑金属粉末の表面に、卑金属粉末の平均粒径よりも
小さく、卑金属粉末100重量部に対して50重量部以
下のCo−B合金粉末を析出させることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐酸化性を有する
導電粉末の製造方法、上述の製造方法によって得られる
導電粉末、上述の導電粉末を含有してなる導電性ペース
ト、および上述の導電性ペーストを用いて内部電極が形
成された積層セラミック電子部品に関するものであり、
特に、積層セラミックコンデンサの内部電極形成に好適
な導電性ペーストに用いられる耐酸化性を有する導電粉
末の製造方法、導電粉末、導電性ペーストおよび積層セ
ラミックコンデンサに関する。
導電粉末の製造方法、上述の製造方法によって得られる
導電粉末、上述の導電粉末を含有してなる導電性ペース
ト、および上述の導電性ペーストを用いて内部電極が形
成された積層セラミック電子部品に関するものであり、
特に、積層セラミックコンデンサの内部電極形成に好適
な導電性ペーストに用いられる耐酸化性を有する導電粉
末の製造方法、導電粉末、導電性ペーストおよび積層セ
ラミックコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、積層セラミック電子部品、例えば
積層セラミックコンデンサのように、生のセラミック積
層体とペースト塗布膜を同時焼成して焼結させる場合に
用いられる、内部電極形成用の導電性ペーストとして
は、高温下でも酸化に対して安定で、かつ素体セラミッ
ク焼成温度より融点の高いPd,Ag−Pd,Pt等の
貴金属粉末と、有機ビヒクルと、を含有してなる導電性
ペーストが用いられてきた。しかし、これら貴金属粉末
は高価であり、かつ価格が安定しないことから、近年で
はNi粉末,Cu粉末,またはこれらを主成分として含
有する粉末等の卑金属粉末を含有してなる導電性ペース
トを用いて内部電極を形成した、低コストな積層セラミ
ックコンデンサや多層セラミック基板等の積層セラミッ
ク電子部品が生産されている。
積層セラミックコンデンサのように、生のセラミック積
層体とペースト塗布膜を同時焼成して焼結させる場合に
用いられる、内部電極形成用の導電性ペーストとして
は、高温下でも酸化に対して安定で、かつ素体セラミッ
ク焼成温度より融点の高いPd,Ag−Pd,Pt等の
貴金属粉末と、有機ビヒクルと、を含有してなる導電性
ペーストが用いられてきた。しかし、これら貴金属粉末
は高価であり、かつ価格が安定しないことから、近年で
はNi粉末,Cu粉末,またはこれらを主成分として含
有する粉末等の卑金属粉末を含有してなる導電性ペース
トを用いて内部電極を形成した、低コストな積層セラミ
ックコンデンサや多層セラミック基板等の積層セラミッ
ク電子部品が生産されている。
【0003】上述のような積層セラミック電子部品の製
造工程においては、Ni粉末やCu粉末の酸化を防止す
るため、脱バインダー工程および本焼成工程における雰
囲気制御が非常に重要となる。このうち、脱バインダー
工程においては、これら卑金属粉末の酸化を防止するた
め、窒素気流中等の中性雰囲気か、もしくはこれら卑金
属粉末が酸化しない程度のごく低温の酸化雰囲気によ
り、有機物の分解を目的とした熱処理が行われている。
造工程においては、Ni粉末やCu粉末の酸化を防止す
るため、脱バインダー工程および本焼成工程における雰
囲気制御が非常に重要となる。このうち、脱バインダー
工程においては、これら卑金属粉末の酸化を防止するた
め、窒素気流中等の中性雰囲気か、もしくはこれら卑金
属粉末が酸化しない程度のごく低温の酸化雰囲気によ
り、有機物の分解を目的とした熱処理が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】有機物を熱分解させる
ためには、その燃焼に必要な十分な酸素量と温度が要求
されるが、従来の卑金属粉末を含有してなる導電性ペー
ストを用いる場合には、上述したように、窒素気流中等
の中性雰囲気か、もしくはこれら卑金属粉末が酸化しな
い程度のごく低温の酸化雰囲気中で脱バインダーを行な
わなければならない。したがって、工程雰囲気のバラツ
キによる有機物の分解や除去が不十分となると、残留し
たカーボン成分が本焼成時にセラミックの焼結を阻害
し、セラミックが焼結不足となり、十分な静電容量や絶
縁抵抗が得られないという問題が発生する。
ためには、その燃焼に必要な十分な酸素量と温度が要求
されるが、従来の卑金属粉末を含有してなる導電性ペー
ストを用いる場合には、上述したように、窒素気流中等
の中性雰囲気か、もしくはこれら卑金属粉末が酸化しな
い程度のごく低温の酸化雰囲気中で脱バインダーを行な
わなければならない。したがって、工程雰囲気のバラツ
キによる有機物の分解や除去が不十分となると、残留し
たカーボン成分が本焼成時にセラミックの焼結を阻害
し、セラミックが焼結不足となり、十分な静電容量や絶
縁抵抗が得られないという問題が発生する。
【0005】また、逆に、有機物の熱分解を確実に行な
うために、十分な酸素を与え高温で熱処理を行なうと、
脱バインダー時に卑金属粉末が酸化し、卑金属粉末の酸
化膨張による脱バインダー時の層剥がれといった構造不
良や、酸化による卑金属粉末の焼結不足による取得容量
の低下や、等価直列抵抗ならびにtanδの増加等の不
具合が発生する。したがって、脱バインダー時において
微妙な雰囲気管理が必要となり、工程管理が煩雑となり
工程不良原因となる問題がある。
うために、十分な酸素を与え高温で熱処理を行なうと、
脱バインダー時に卑金属粉末が酸化し、卑金属粉末の酸
化膨張による脱バインダー時の層剥がれといった構造不
良や、酸化による卑金属粉末の焼結不足による取得容量
の低下や、等価直列抵抗ならびにtanδの増加等の不
具合が発生する。したがって、脱バインダー時において
微妙な雰囲気管理が必要となり、工程管理が煩雑となり
工程不良原因となる問題がある。
【0006】このような問題を解決する方法として、特
開平1−258306号公報,特開平1−265406
号公報ならびに特開平1−80008号公報において、
卑金属粉末の酸化防止のため、Ni粉末にB粉末または
B化合物粉末の1種もしくは1種以上を含ませるととも
に、無機質フィラーおよび有機ビヒクルを含有させた導
電性ペーストが開示されている。しかしながら、この方
法では、ペースト混練が不十分である場合、B粉末また
はB化合物の分散状態が不均一になり、卑金属粉末の耐
酸化性がばらつくという問題がある。
開平1−258306号公報,特開平1−265406
号公報ならびに特開平1−80008号公報において、
卑金属粉末の酸化防止のため、Ni粉末にB粉末または
B化合物粉末の1種もしくは1種以上を含ませるととも
に、無機質フィラーおよび有機ビヒクルを含有させた導
電性ペーストが開示されている。しかしながら、この方
法では、ペースト混練が不十分である場合、B粉末また
はB化合物の分散状態が不均一になり、卑金属粉末の耐
酸化性がばらつくという問題がある。
【0007】そこで、卑金属粉末の表面にB粉末または
B化合物を析出させることで、B粉末またはB化合物の
分散状態を向上させる方法が考えられる。卑金属粉末の
表面に金属(合金)を析出させる方法として、例えば特
開昭63−27567号公報で開示されているような、
従来の無電解めっき法が挙げられる。いわゆる無電解め
っき法とは、金属塩,還元剤,錯化剤,pH調整剤など
を適宜調整して得た、1液からなる無電解めっき液に被
めっき物を浸漬して、推測あるいは経験則により定めら
れた時間反応させた後に、反応を停止させる方法であ
る。しかしながら、従来の無電解めっき法の場合、被め
っき物が粉末であると例えば板状の被めっき物と比べて
比表面積が大きいため、めっき反応の速度が異常に速
く、所望の金属析出量の制御が困難な問題がある。ま
た、従来の無電解めっき液は、金属塩濃度が希薄であ
り、粉末のような比表面積が大きな被めっき物の場合、
粉末の投入時にめっき液が急速に分解し、粉末表面への
金属の析出が不充分になる問題がある。
B化合物を析出させることで、B粉末またはB化合物の
分散状態を向上させる方法が考えられる。卑金属粉末の
表面に金属(合金)を析出させる方法として、例えば特
開昭63−27567号公報で開示されているような、
従来の無電解めっき法が挙げられる。いわゆる無電解め
っき法とは、金属塩,還元剤,錯化剤,pH調整剤など
を適宜調整して得た、1液からなる無電解めっき液に被
めっき物を浸漬して、推測あるいは経験則により定めら
れた時間反応させた後に、反応を停止させる方法であ
る。しかしながら、従来の無電解めっき法の場合、被め
っき物が粉末であると例えば板状の被めっき物と比べて
比表面積が大きいため、めっき反応の速度が異常に速
く、所望の金属析出量の制御が困難な問題がある。ま
た、従来の無電解めっき液は、金属塩濃度が希薄であ
り、粉末のような比表面積が大きな被めっき物の場合、
粉末の投入時にめっき液が急速に分解し、粉末表面への
金属の析出が不充分になる問題がある。
【0008】このようなさらなる問題を解決する手段と
して、例えば特開昭60−59070号公報において、
被めっき物である粉末を分散させた溶液に、無電解めっ
き液を添加する方法が開示されており、また特開昭62
−30885号公報において、被めっき物である粉末を
分散させた水溶液に、還元溶液と金属溶液の2液を同時
に添加する方法が開示されている。しかしながら、いず
れの方法による場合であっても、被めっき物である粉末
の表面近傍以外の場所、例えば反応容器の内壁、あるい
は単独で反応析出が生じるという問題がある。
して、例えば特開昭60−59070号公報において、
被めっき物である粉末を分散させた溶液に、無電解めっ
き液を添加する方法が開示されており、また特開昭62
−30885号公報において、被めっき物である粉末を
分散させた水溶液に、還元溶液と金属溶液の2液を同時
に添加する方法が開示されている。しかしながら、いず
れの方法による場合であっても、被めっき物である粉末
の表面近傍以外の場所、例えば反応容器の内壁、あるい
は単独で反応析出が生じるという問題がある。
【0009】本発明の目的は、上述の問題点を解消すべ
くなされたもので、耐酸化性を有する導電粉末を製造す
る方法、導電粉末、およびこのような導電粉末を用いた
導電性ペーストを提供することで、有機物の分解ならび
に除去に十分な温度の酸化雰囲気中での脱バインダー処
理を可能とし、このような導電性ペーストを用いて内部
電極を形成する積層セラミック電子部品の歩留まりなら
びに生産性を向上させることにある。
くなされたもので、耐酸化性を有する導電粉末を製造す
る方法、導電粉末、およびこのような導電粉末を用いた
導電性ペーストを提供することで、有機物の分解ならび
に除去に十分な温度の酸化雰囲気中での脱バインダー処
理を可能とし、このような導電性ペーストを用いて内部
電極を形成する積層セラミック電子部品の歩留まりなら
びに生産性を向上させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の導電粉末の製造方法は、Ni粉末,Cu粉
末,Niまたは/およびCuを主成分とする合金粉末か
らなる群より選ばれる少なくとも1種の卑金属粉末とC
o塩とを含む金属溶液に、水素化硼化物または/および
アミンボランを含む還元溶液を添加・混合して、卑金属
粉末の表面に、卑金属粉末の平均粒径よりも小さく、卑
金属粉末100重量部に対して50重量部以下のCo−
B合金粉末を析出させることを特徴とする。
に、本発明の導電粉末の製造方法は、Ni粉末,Cu粉
末,Niまたは/およびCuを主成分とする合金粉末か
らなる群より選ばれる少なくとも1種の卑金属粉末とC
o塩とを含む金属溶液に、水素化硼化物または/および
アミンボランを含む還元溶液を添加・混合して、卑金属
粉末の表面に、卑金属粉末の平均粒径よりも小さく、卑
金属粉末100重量部に対して50重量部以下のCo−
B合金粉末を析出させることを特徴とする。
【0011】また、本発明の導電粉末の製造方法は、上
述の析出工程の後に、Co−B合金粉末が表面に析出し
た卑金属粉末を100℃以上で熱処理する熱処理工程を
さらに備えることが好ましい。
述の析出工程の後に、Co−B合金粉末が表面に析出し
た卑金属粉末を100℃以上で熱処理する熱処理工程を
さらに備えることが好ましい。
【0012】また、本発明の導電粉末の製造方法は、上
述の析出工程の後に、Co−B合金粉末が表面に析出し
た卑金属粉末を粉砕処理する粉砕工程をさらに備えるこ
とが好ましい。
述の析出工程の後に、Co−B合金粉末が表面に析出し
た卑金属粉末を粉砕処理する粉砕工程をさらに備えるこ
とが好ましい。
【0013】また、本発明の導電粉末の製造方法におけ
る、卑金属粉末の平均粒径は、1.0μm以下であるこ
とが好ましい。
る、卑金属粉末の平均粒径は、1.0μm以下であるこ
とが好ましい。
【0014】また、本発明の導電粉末の製造方法におけ
る、Co−B合金粉末の平均粒径は、0.1μm以下で
あり、かつ卑金属粉末の平均粒径の1/2以下であるこ
とが好ましい。
る、Co−B合金粉末の平均粒径は、0.1μm以下で
あり、かつ卑金属粉末の平均粒径の1/2以下であるこ
とが好ましい。
【0015】本発明の導電粉末は、上述の本発明の製造
方法によって得られたことを特徴とする。
方法によって得られたことを特徴とする。
【0016】本発明の導電性ペーストは、上述の本発明
の導電粉末と、有機ビヒクルと、を含有してなることを
特徴とする。
の導電粉末と、有機ビヒクルと、を含有してなることを
特徴とする。
【0017】本発明の積層セラミック電子部品は、複数
のセラミック層が積層されてなるセラミック積層体と、
セラミック層間に形成された複数の内部電極と、を備え
る積層セラミック電子部品であって、内部電極は、本発
明の導電性ペーストを用いて形成されていることを特徴
とする。
のセラミック層が積層されてなるセラミック積層体と、
セラミック層間に形成された複数の内部電極と、を備え
る積層セラミック電子部品であって、内部電極は、本発
明の導電性ペーストを用いて形成されていることを特徴
とする。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の導電粉末の製造方法は、
被めっき物である卑金属粉末、具体的にはNi粉末,C
u粉末,Niまたは/およびCuを主成分とする合金粉
末からなる群より選ばれる少なくとも1種の卑金属粉末
と、さらにCo塩を含有してなる金属溶液を準備し、こ
れに水素化硼化物または/およびアミンボランを含む還
元溶液を添加・混合することで、卑金属粉末の表面に、
卑金属粉末の平均粒径よりも小さく、卑金属粉末100
重量部に対して50重量部以下のCo−B合金粉末を析
出させることを特徴とする。卑金属粉末とCo塩をあら
かじめ混合しておくことにより、還元溶液の添加・混合
時に、卑金属粉末表面の触媒作用によって還元剤が粉末
表面で分解し、電子を放出する。したがって、卑金属粉
末の近傍にはNiイオンが高濃度で存在するため、Ni
イオンの還元がすぐに生じて、卑金属粉末の表面にCo
−B合金粉末が析出する。なお、還元溶液中の水素化硼
化物やアミンボラン等の濃度ならびに液相還元反応の反
応温度等を調整することにより、Co−B合金粉末の平
均粒径や析出量を調整することができ、特に限定はしな
いが、例えば0.10μm以下のCo−B合金粉末を析
出させることができる。
被めっき物である卑金属粉末、具体的にはNi粉末,C
u粉末,Niまたは/およびCuを主成分とする合金粉
末からなる群より選ばれる少なくとも1種の卑金属粉末
と、さらにCo塩を含有してなる金属溶液を準備し、こ
れに水素化硼化物または/およびアミンボランを含む還
元溶液を添加・混合することで、卑金属粉末の表面に、
卑金属粉末の平均粒径よりも小さく、卑金属粉末100
重量部に対して50重量部以下のCo−B合金粉末を析
出させることを特徴とする。卑金属粉末とCo塩をあら
かじめ混合しておくことにより、還元溶液の添加・混合
時に、卑金属粉末表面の触媒作用によって還元剤が粉末
表面で分解し、電子を放出する。したがって、卑金属粉
末の近傍にはNiイオンが高濃度で存在するため、Ni
イオンの還元がすぐに生じて、卑金属粉末の表面にCo
−B合金粉末が析出する。なお、還元溶液中の水素化硼
化物やアミンボラン等の濃度ならびに液相還元反応の反
応温度等を調整することにより、Co−B合金粉末の平
均粒径や析出量を調整することができ、特に限定はしな
いが、例えば0.10μm以下のCo−B合金粉末を析
出させることができる。
【0019】なお、卑金属粉末の表面にCo−B合金粉
末を析出させる場合、析出させた後に100℃以上で熱
処理を行ない、さらに粉砕処理を行なうことが好まし
い。熱処理を行なうことで、粉末の粉砕処理時ならびに
ペースト作製時にCo−B合金粉末が卑金属粉末の表面
から離脱することが抑制されて本発明の効果が顕著とな
る。また、Co−B合金粉末の析出や熱処理を行なうこ
とで、粉末の凝集が起こり易いため、熱処理後に粉砕処
理を行なうことが好ましい。
末を析出させる場合、析出させた後に100℃以上で熱
処理を行ない、さらに粉砕処理を行なうことが好まし
い。熱処理を行なうことで、粉末の粉砕処理時ならびに
ペースト作製時にCo−B合金粉末が卑金属粉末の表面
から離脱することが抑制されて本発明の効果が顕著とな
る。また、Co−B合金粉末の析出や熱処理を行なうこ
とで、粉末の凝集が起こり易いため、熱処理後に粉砕処
理を行なうことが好ましい。
【0020】また、析出させて得られるCo−B合金粉
末の平均粒径は、卑金属粉末の平均粒径よりも小さいこ
とを要する。卑金属粉末の平均粒径よりも小さい場合
に、上述したように酸化硼素が卑金属粉末を被覆し、卑
金属粉末の耐酸化性が高まるという本発明の効果が得ら
れる。他方、卑金属粉末の平均粒径以上であると、この
ような導電粉末を含有してなる導電性ペーストを用いて
内部電極を形成した積層セラミック電子部品は、卑金属
粉末の酸化膨張による脱バインダー時の層剥がれといっ
た構造不良や、酸化による卑金属粉末の焼結不足による
取得容量の低下や、等価直列抵抗ならびにtanδの増
加等の不具合が発生する。
末の平均粒径は、卑金属粉末の平均粒径よりも小さいこ
とを要する。卑金属粉末の平均粒径よりも小さい場合
に、上述したように酸化硼素が卑金属粉末を被覆し、卑
金属粉末の耐酸化性が高まるという本発明の効果が得ら
れる。他方、卑金属粉末の平均粒径以上であると、この
ような導電粉末を含有してなる導電性ペーストを用いて
内部電極を形成した積層セラミック電子部品は、卑金属
粉末の酸化膨張による脱バインダー時の層剥がれといっ
た構造不良や、酸化による卑金属粉末の焼結不足による
取得容量の低下や、等価直列抵抗ならびにtanδの増
加等の不具合が発生する。
【0021】また、Co−B合金粉末の卑金属粉末表面
への析出量は、卑金属粉末100重量部に対して、50
重量部以下であることを要する。Co−B合金粉末の析
出量が50重量%以下であれば、適量のCo−B合金粉
末が熔融し、内部電極が電極としての機能を損なうこと
がない。なお、Co−B合金粉末の析出量の下限値は特
に限定はしないが、Co−B合金粉末の析出量が0.1
重量%程度あれば、導電粉末の酸化開始温度が上昇し、
すなわち卑金属粉末の耐酸化性を向上させる効果が得ら
れ、このような導電粉末を粉末を含有してなる導電性ペ
ーストを用いて内部電極を形成した積層セラミック電子
部品において、導電粉末の酸化膨張による脱バインダー
時の層剥がれといった構造不良の発生、酸化による導電
粉末の焼結不足による取得容量の低下、等価直列抵抗な
らびにtanδの増加等の不具合の発生を抑制すること
ができる。
への析出量は、卑金属粉末100重量部に対して、50
重量部以下であることを要する。Co−B合金粉末の析
出量が50重量%以下であれば、適量のCo−B合金粉
末が熔融し、内部電極が電極としての機能を損なうこと
がない。なお、Co−B合金粉末の析出量の下限値は特
に限定はしないが、Co−B合金粉末の析出量が0.1
重量%程度あれば、導電粉末の酸化開始温度が上昇し、
すなわち卑金属粉末の耐酸化性を向上させる効果が得ら
れ、このような導電粉末を粉末を含有してなる導電性ペ
ーストを用いて内部電極を形成した積層セラミック電子
部品において、導電粉末の酸化膨張による脱バインダー
時の層剥がれといった構造不良の発生、酸化による導電
粉末の焼結不足による取得容量の低下、等価直列抵抗な
らびにtanδの増加等の不具合の発生を抑制すること
ができる。
【0022】また、卑金属粉末の平均粒径は、1.0μ
m以下であることが好ましい。一般的に、卑金属粉末は
平均粒径が小さくなるほど比表面積が増えて活性にな
り、酸化が起こりやすくなる。特に、卑金属粉末の平均
粒径が1.0μm以下の場合に酸化が起こりやすくなる
傾向がある。そのため、本発明において、卑金属粉末の
平均粒径が1.0μm以下である場合に本発明の耐酸化
効果が十分に発揮される。卑金属粉末の平均粒径が1.
0μmを超える粉末を用いた場合も本発明の耐酸化効果
は得られるが、もともと比表面積が小さく酸化に対して
敏感でないため、その耐酸化効果は1.0μm以下の粉
末の場合ほど顕著ではない。
m以下であることが好ましい。一般的に、卑金属粉末は
平均粒径が小さくなるほど比表面積が増えて活性にな
り、酸化が起こりやすくなる。特に、卑金属粉末の平均
粒径が1.0μm以下の場合に酸化が起こりやすくなる
傾向がある。そのため、本発明において、卑金属粉末の
平均粒径が1.0μm以下である場合に本発明の耐酸化
効果が十分に発揮される。卑金属粉末の平均粒径が1.
0μmを超える粉末を用いた場合も本発明の耐酸化効果
は得られるが、もともと比表面積が小さく酸化に対して
敏感でないため、その耐酸化効果は1.0μm以下の粉
末の場合ほど顕著ではない。
【0023】また、Co−B合金粉末の平均粒径は0.
10μm以下で、かつ卑金属粉末の平均粒径の1/2以
下であることが好ましい。上述の範囲内である場合、C
o−B合金粉末が卑金属粉末の表面をより均一に被覆す
ることができ、卑金属粉末の耐酸化性が十分に得られ
る。
10μm以下で、かつ卑金属粉末の平均粒径の1/2以
下であることが好ましい。上述の範囲内である場合、C
o−B合金粉末が卑金属粉末の表面をより均一に被覆す
ることができ、卑金属粉末の耐酸化性が十分に得られ
る。
【0024】次に、本発明による一つの実施形態におけ
る導電粉末について、図1(a)および図1(b)に基
づいて詳細に説明する。導電粉末1は、図1(a)に示
すように、卑金属粉末2と、Co−B合金粉末3aと、
からなる。
る導電粉末について、図1(a)および図1(b)に基
づいて詳細に説明する。導電粉末1は、図1(a)に示
すように、卑金属粉末2と、Co−B合金粉末3aと、
からなる。
【0025】卑金属粉末2は、例えば、Ni粉末,Cu
粉末,Ni−P合金粉末,Ni−Cr合金粉末,Cu−
Zn合金粉末,Pd粉末が付着したNi粉末,Agが付
着したNi粉末,Pd−Ag合金粉末が付着したNi粉
末、Pt粉末が付着したNi粉末、Pd粉末が付着した
Cu粉末,Agが付着したCu粉末,Pd−Ag合金粉
末が付着したCu粉末、Pt粉末が付着したCu粉末等
が挙げられ、積層セラミック電子部品のセラミック特性
に合わせ適宜選択される。
粉末,Ni−P合金粉末,Ni−Cr合金粉末,Cu−
Zn合金粉末,Pd粉末が付着したNi粉末,Agが付
着したNi粉末,Pd−Ag合金粉末が付着したNi粉
末、Pt粉末が付着したNi粉末、Pd粉末が付着した
Cu粉末,Agが付着したCu粉末,Pd−Ag合金粉
末が付着したCu粉末、Pt粉末が付着したCu粉末等
が挙げられ、積層セラミック電子部品のセラミック特性
に合わせ適宜選択される。
【0026】Co−B合金粉末3aは、卑金属粉末2の
表面に析出しており、卑金属粉末2の平均粒径よりも小
さく、析出量は卑金属粉末100重量部に対して50重
量部以下である。本発明の導電粉末を構成するCo−B
合金粉末3aを分析した結果、この合金粉末は非晶質で
あり、また合金粉末中に含まれているB成分の構成割合
は約25モル%であった。なお、Co−B合金粉末に含
まれるB成分の構成割合については、特に限定はしな
い。
表面に析出しており、卑金属粉末2の平均粒径よりも小
さく、析出量は卑金属粉末100重量部に対して50重
量部以下である。本発明の導電粉末を構成するCo−B
合金粉末3aを分析した結果、この合金粉末は非晶質で
あり、また合金粉末中に含まれているB成分の構成割合
は約25モル%であった。なお、Co−B合金粉末に含
まれるB成分の構成割合については、特に限定はしな
い。
【0027】次に、本発明による一つの実施形態におけ
る、上述の導電粉末1に熱を加えた場合について、図1
(b)に基づいて詳細に説明する。加熱された導電粉末
1aは、卑金属粉末2と、酸化硼素膜3bとからなる。
る、上述の導電粉末1に熱を加えた場合について、図1
(b)に基づいて詳細に説明する。加熱された導電粉末
1aは、卑金属粉末2と、酸化硼素膜3bとからなる。
【0028】酸化硼素膜3bは、Co−B合金粉末3a
に含まれるB成分を酸化させた後、熔融させて卑金属粉
末の表面を略被覆するように残留させたものである。C
o−B合金粉末3aは、温度が上昇すると、まずB成分
が酸化して酸化硼素になり、さらに温度が上昇すると酸
化硼素が熔融する。このように酸化硼素が卑金属粉末の
表面を略被覆することによって、卑金属粉末の酸化を防
止する。つまり、Co−B合金粉末を卑金属粉末の表面
に析出させた導電粉末を含有する導電性ペーストは、ペ
ースト中にB粉末またはB化合物を添加して分散させた
導電性ペーストに比べて、ペースト中にCo−B合金粉
末が均一に分散され、卑金属粉末の耐酸化性のばらつき
が少なくなる。また、卑金属粉末の近傍にCo−B合金
粉末が存在することで、酸化硼素が卑金属粉末を被覆す
る割合が高くなり、このような導電粉末を含有してなる
導電性ペーストを用いて内部電極を形成した積層セラミ
ック電子部品は、その製造過程である焼成工程におい
て、酸化硼素が卑金属粉末の表面を略被覆することか
ら、卑金属粉末の耐酸化性が高まる。
に含まれるB成分を酸化させた後、熔融させて卑金属粉
末の表面を略被覆するように残留させたものである。C
o−B合金粉末3aは、温度が上昇すると、まずB成分
が酸化して酸化硼素になり、さらに温度が上昇すると酸
化硼素が熔融する。このように酸化硼素が卑金属粉末の
表面を略被覆することによって、卑金属粉末の酸化を防
止する。つまり、Co−B合金粉末を卑金属粉末の表面
に析出させた導電粉末を含有する導電性ペーストは、ペ
ースト中にB粉末またはB化合物を添加して分散させた
導電性ペーストに比べて、ペースト中にCo−B合金粉
末が均一に分散され、卑金属粉末の耐酸化性のばらつき
が少なくなる。また、卑金属粉末の近傍にCo−B合金
粉末が存在することで、酸化硼素が卑金属粉末を被覆す
る割合が高くなり、このような導電粉末を含有してなる
導電性ペーストを用いて内部電極を形成した積層セラミ
ック電子部品は、その製造過程である焼成工程におい
て、酸化硼素が卑金属粉末の表面を略被覆することか
ら、卑金属粉末の耐酸化性が高まる。
【0029】次に、本発明の導電性ペーストを説明す
る。本発明の導電性ペーストは、上述した本発明の導電
粉末と、有機ビヒクルと、を含有してなる。有機ビヒク
ルの材料は、特に限定はしないが、従来より積層セラミ
ック電子部品の内部電極形成に好適な導電性ペーストに
一般的に用いられている有機ビヒクル、具体的には、例
えばエチルセルロース樹脂等の有機バインダーをテルピ
ネオール等の溶剤に溶解させたもの等を適宜用いること
ができる。
る。本発明の導電性ペーストは、上述した本発明の導電
粉末と、有機ビヒクルと、を含有してなる。有機ビヒク
ルの材料は、特に限定はしないが、従来より積層セラミ
ック電子部品の内部電極形成に好適な導電性ペーストに
一般的に用いられている有機ビヒクル、具体的には、例
えばエチルセルロース樹脂等の有機バインダーをテルピ
ネオール等の溶剤に溶解させたもの等を適宜用いること
ができる。
【0030】次に、本発明の積層セラミック電子部品の
一つの実施形態について、図2に基づいて詳細に説明す
る。すなわち、積層セラミック電子部品11は、セラミ
ック積層体12と、内部電極13,13と、端子電極1
4,14と、めっき膜15,15とから構成される。
一つの実施形態について、図2に基づいて詳細に説明す
る。すなわち、積層セラミック電子部品11は、セラミ
ック積層体12と、内部電極13,13と、端子電極1
4,14と、めっき膜15,15とから構成される。
【0031】セラミック積層体12は、BaTiO3を
主成分とする誘電体材料からなるセラミック層12aが
複数積層された生のセラミック積層体が焼成されてな
る。
主成分とする誘電体材料からなるセラミック層12aが
複数積層された生のセラミック積層体が焼成されてな
る。
【0032】内部電極13,13は、セラミック積層体
12内のセラミック層12a間にあって、複数の生のセ
ラミック層12a上に本発明の導電性ペーストが印刷さ
れ、生のセラミック層とともに積層されてなる生のセラ
ミック積層体と同時焼成されてなり、内部電極13,1
3のそれぞれの端縁は、セラミック積層体12の何れか
の端面に露出するように形成されている。
12内のセラミック層12a間にあって、複数の生のセ
ラミック層12a上に本発明の導電性ペーストが印刷さ
れ、生のセラミック層とともに積層されてなる生のセラ
ミック積層体と同時焼成されてなり、内部電極13,1
3のそれぞれの端縁は、セラミック積層体12の何れか
の端面に露出するように形成されている。
【0033】端子電極14,14は、セラミック積層体
12の端面に露出した内部電極13,13の一端と電気
的かつ機械的に接合されるように、端子電極形成用の導
電性ペーストがセラミック積層体12の端面に塗布され
焼付けられてなる。
12の端面に露出した内部電極13,13の一端と電気
的かつ機械的に接合されるように、端子電極形成用の導
電性ペーストがセラミック積層体12の端面に塗布され
焼付けられてなる。
【0034】めっき膜15,15は、例えば、SnやN
i等の無電解めっきや、はんだめっき等からなり、端子
電極14,14上に少なくとも1層形成されてなる。
i等の無電解めっきや、はんだめっき等からなり、端子
電極14,14上に少なくとも1層形成されてなる。
【0035】なお、本発明の積層セラミック電子部品の
セラミック積層体12の材料は、上述の実施形態に限定
されることなく、例えばPbZrO3等その他の誘電体
材料や、絶縁体、磁性体、半導体材料からなっても構わ
ない。また、本発明の積層セラミック電子部品の内部電
極13の枚数は、上述の実施形態に限定されることな
く、何層形成されていても構わない。また、端子電極の
形成位置ならびに個数は、上述の実施形態に限定されな
い。また、めっき膜5,5は、必ずしも備えている必要
はなく、また何層形成されていても構わない。
セラミック積層体12の材料は、上述の実施形態に限定
されることなく、例えばPbZrO3等その他の誘電体
材料や、絶縁体、磁性体、半導体材料からなっても構わ
ない。また、本発明の積層セラミック電子部品の内部電
極13の枚数は、上述の実施形態に限定されることな
く、何層形成されていても構わない。また、端子電極の
形成位置ならびに個数は、上述の実施形態に限定されな
い。また、めっき膜5,5は、必ずしも備えている必要
はなく、また何層形成されていても構わない。
【0036】
【実施例】(実施例1)まず、表1に示した平均粒径
(0.5μmまたは1.0μm)のNi粉末とCo塩
(CoSO4・7H2O)とを純水中に溶解させた金属溶
液と、水素化硼素ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを
純水中に溶解させた還元溶液と、を調整し、金属溶液に
還元溶液を添加して、表1に示したCo−B合金粉末の
析出量ならびに平均粒径となるように、Ni粉末の表面
にCo−B合金粉末を還元析出させ、これを純水で十分
に洗浄して、Co−B合金粉末を析出させた試料1〜7
の導電粉末を得た。
(0.5μmまたは1.0μm)のNi粉末とCo塩
(CoSO4・7H2O)とを純水中に溶解させた金属溶
液と、水素化硼素ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを
純水中に溶解させた還元溶液と、を調整し、金属溶液に
還元溶液を添加して、表1に示したCo−B合金粉末の
析出量ならびに平均粒径となるように、Ni粉末の表面
にCo−B合金粉末を還元析出させ、これを純水で十分
に洗浄して、Co−B合金粉末を析出させた試料1〜7
の導電粉末を得た。
【0037】また、3液混合の比較例として、平均粒径
0.5μmのNi粉末を純水中に分散させたNi水溶液
と、Co塩(CoSO4・7H2O)を純水中に溶解させ
た金属溶液と、水素化硼素ナトリウムおよび水酸化ナト
リウムを純水中に溶解させた還元溶液と、を準備し、N
i水溶液に、金属溶液と還元溶液を同時に添加して、N
i粉末の表面にCo−B合金粉末を還元析出させ、これ
を純水で十分に洗浄して、Co−B合金粉末を析出させ
た試料8の導電粉末を得た。
0.5μmのNi粉末を純水中に分散させたNi水溶液
と、Co塩(CoSO4・7H2O)を純水中に溶解させ
た金属溶液と、水素化硼素ナトリウムおよび水酸化ナト
リウムを純水中に溶解させた還元溶液と、を準備し、N
i水溶液に、金属溶液と還元溶液を同時に添加して、N
i粉末の表面にCo−B合金粉末を還元析出させ、これ
を純水で十分に洗浄して、Co−B合金粉末を析出させ
た試料8の導電粉末を得た。
【0038】また、2液混合の比較例として、平均粒径
0.5μmのNi粉末と、Co塩(CoSO4・7H
2O)を純水中に溶解させた金属溶液と、水素化硼素ナ
トリウムおよび水酸化ナトリウムを純水中に溶解させた
還元溶液と、を準備し、Ni粉末を還元溶液中に分散さ
せた後、金属溶液を添加して、Ni粉末の表面にCo−
B合金粉末を還元析出させ、これを純水で十分に洗浄し
て、Co−B合金粉末を析出させた試料9の導電粉末を
得た。
0.5μmのNi粉末と、Co塩(CoSO4・7H
2O)を純水中に溶解させた金属溶液と、水素化硼素ナ
トリウムおよび水酸化ナトリウムを純水中に溶解させた
還元溶液と、を準備し、Ni粉末を還元溶液中に分散さ
せた後、金属溶液を添加して、Ni粉末の表面にCo−
B合金粉末を還元析出させ、これを純水で十分に洗浄し
て、Co−B合金粉末を析出させた試料9の導電粉末を
得た。
【0039】また、従来の導電粉末として、表1に示し
た平均粒径のNi粉末を準備し、これを試料10〜14
の導電粉末とした。
た平均粒径のNi粉末を準備し、これを試料10〜14
の導電粉末とした。
【0040】そこで、Co−B合金粉末が析出したNi
粉末の耐酸化性の確認のため、試料1〜9,13,14
の導電粉末の酸化開始温度を、示差熱天秤を用いて空気
気流中での室温より1000℃までの質量変化を測定
し、導電粉末の酸化による重量増加が始まる温度を酸化
開始温度と規定し、これを表1にまとめた。なお、試料
10〜12の導電粉末については、導電性ペーストを作
製後にこれを乾燥させて再び粉末化させ、同じく示差熱
天秤を用いて上述の試料1〜9,13,14と同様に測
定を行ない、これを表1にまとめた。
粉末の耐酸化性の確認のため、試料1〜9,13,14
の導電粉末の酸化開始温度を、示差熱天秤を用いて空気
気流中での室温より1000℃までの質量変化を測定
し、導電粉末の酸化による重量増加が始まる温度を酸化
開始温度と規定し、これを表1にまとめた。なお、試料
10〜12の導電粉末については、導電性ペーストを作
製後にこれを乾燥させて再び粉末化させ、同じく示差熱
天秤を用いて上述の試料1〜9,13,14と同様に測
定を行ない、これを表1にまとめた。
【0041】
【表1】
【0042】表1から明らかであるように、Ni粉末と
Co塩を含む金属溶液に還元剤を含む還元溶液を添加し
て得た試料2の導電粉末の酸化開始温度は355℃であ
るが、Ni粉末を含む水溶液にCo塩を含む金属溶液と
還元剤を含む還元溶液を同時添加して得た試料8の導電
粉末の酸化開始温度は315℃、Ni粉末と還元剤を含
む還元溶液にCo塩を含む金属溶液を添加して得た試料
9の導電粉末の酸化開始温度も315℃であり、試料2
の導電粉末の酸化開始温度が高いことが分かる。試料
2,8,9の導電粉末は、Ni粉末の平均粒径、Co−
B合金粉末とNi粉末の粒径比、ならびにCo−B合金
粉末の析出量が、それぞれ0.5μm,0.10,1.
0重量%で共通していることから、反応析出の方法、す
なわちNi粉末とCo塩を含む金属溶液に還元剤を含む
還元溶液を添加することで、導電粉末の耐酸化性効率が
高まることが分かる。
Co塩を含む金属溶液に還元剤を含む還元溶液を添加し
て得た試料2の導電粉末の酸化開始温度は355℃であ
るが、Ni粉末を含む水溶液にCo塩を含む金属溶液と
還元剤を含む還元溶液を同時添加して得た試料8の導電
粉末の酸化開始温度は315℃、Ni粉末と還元剤を含
む還元溶液にCo塩を含む金属溶液を添加して得た試料
9の導電粉末の酸化開始温度も315℃であり、試料2
の導電粉末の酸化開始温度が高いことが分かる。試料
2,8,9の導電粉末は、Ni粉末の平均粒径、Co−
B合金粉末とNi粉末の粒径比、ならびにCo−B合金
粉末の析出量が、それぞれ0.5μm,0.10,1.
0重量%で共通していることから、反応析出の方法、す
なわちNi粉末とCo塩を含む金属溶液に還元剤を含む
還元溶液を添加することで、導電粉末の耐酸化性効率が
高まることが分かる。
【0043】また、Ni粉末の平均粒径が0.5μmで
あり、Co−B合金粉末が表面に析出している試料1〜
5の導電粉末は、Ni粉末の平均粒径が同じく0.5μ
mであり、Co−B合金粉末が析出していない試料13
の導電粉末と比較して、酸化開始温度が高温方向へ推移
しており、その程度はCo−B合金粉末の析出量に比例
していることが分かる。
あり、Co−B合金粉末が表面に析出している試料1〜
5の導電粉末は、Ni粉末の平均粒径が同じく0.5μ
mであり、Co−B合金粉末が析出していない試料13
の導電粉末と比較して、酸化開始温度が高温方向へ推移
しており、その程度はCo−B合金粉末の析出量に比例
していることが分かる。
【0044】また、Ni粉末の平均粒径が0.5μm、
Co−B合金粉末の平均粒径が0.05μm、Co−B
合金粉末の析出量ならびに添加量がそれぞれ0.1重量
%,1.0重量%,10.0重量%である、試料1と試
料10,試料2と試料11,試料3と試料12の導電粉
末を比較すると、酸化開始温度はそれぞれ325℃と3
05℃,355℃と310℃,495℃と455℃であ
り、Ni粉末の表面にCo−B合金粉末を析出させた試
料1〜3の導電粉末のほうが、耐酸化性が高く優れるこ
とが分かる。
Co−B合金粉末の平均粒径が0.05μm、Co−B
合金粉末の析出量ならびに添加量がそれぞれ0.1重量
%,1.0重量%,10.0重量%である、試料1と試
料10,試料2と試料11,試料3と試料12の導電粉
末を比較すると、酸化開始温度はそれぞれ325℃と3
05℃,355℃と310℃,495℃と455℃であ
り、Ni粉末の表面にCo−B合金粉末を析出させた試
料1〜3の導電粉末のほうが、耐酸化性が高く優れるこ
とが分かる。
【0045】また、Ni粉末の平均粒径が1.0μmで
あり、Co−B合金粉末が表面に析出している試料7の
導電粉末についても、Ni粉末の平均粒径が同じく1.
0μmであり、Co−B合金粉末が析出していない試料
14の導電粉末と比較して、酸化開始温度が高温方向へ
推移していることが分かる。 (実施例2)次いで、試料1〜14の導電粉末を用い
て、導電性ペーストを作製した。すなわち、表2に示す
ように、導電粉末50重量%と、有機バインダーである
エチルセルロース樹脂20重量部と溶剤であるテルピネ
オール80重量部とを混合してなる有機ビヒクル50重
量%と、を混合した後に三本ロールにて分散処理を行な
い、試料1〜14の導電性ペーストを作製した。なお、
試料10〜12の導電性ペーストについては、上述の混
合の際に、それぞれ0.1重量%,1.0重量%,1
0.0重量%のCo−B合金粉末をさらに添加し同時に
混合した後に三本ロールにて分散処理を行ない、試料1
0〜12の導電性ペーストとした。
あり、Co−B合金粉末が表面に析出している試料7の
導電粉末についても、Ni粉末の平均粒径が同じく1.
0μmであり、Co−B合金粉末が析出していない試料
14の導電粉末と比較して、酸化開始温度が高温方向へ
推移していることが分かる。 (実施例2)次いで、試料1〜14の導電粉末を用い
て、導電性ペーストを作製した。すなわち、表2に示す
ように、導電粉末50重量%と、有機バインダーである
エチルセルロース樹脂20重量部と溶剤であるテルピネ
オール80重量部とを混合してなる有機ビヒクル50重
量%と、を混合した後に三本ロールにて分散処理を行な
い、試料1〜14の導電性ペーストを作製した。なお、
試料10〜12の導電性ペーストについては、上述の混
合の際に、それぞれ0.1重量%,1.0重量%,1
0.0重量%のCo−B合金粉末をさらに添加し同時に
混合した後に三本ロールにて分散処理を行ない、試料1
0〜12の導電性ペーストとした。
【0046】
【表2】
【0047】次いで、試料1〜14の導電性ペーストを
用いて内部電極を形成した、設計段階の静電容量が2.
0μFである積層セラミックコンデンサを作製する。す
なわち、BaTiO3を主成分とするセラミック層を準
備し、所定枚数のセラミック層の表面上に一方の端縁が
セラミック層の何れかの端面側に露出するように、試料
1〜14の導電性ペーストを用いて内部電極となるべき
電極膜を印刷し、これら複数のセラミック層を所定枚数
積層し圧着して、試料1〜14の生のセラミック積層体
を複数準備した。
用いて内部電極を形成した、設計段階の静電容量が2.
0μFである積層セラミックコンデンサを作製する。す
なわち、BaTiO3を主成分とするセラミック層を準
備し、所定枚数のセラミック層の表面上に一方の端縁が
セラミック層の何れかの端面側に露出するように、試料
1〜14の導電性ペーストを用いて内部電極となるべき
電極膜を印刷し、これら複数のセラミック層を所定枚数
積層し圧着して、試料1〜14の生のセラミック積層体
を複数準備した。
【0048】次いで、試料1〜14の生のセラミック積
層体を脱バインダーさせるにあたり、条件を表3のよう
に設定した。すなわち、耐酸化性の無い導電粉末を用い
た導電性ペーストの場合に導電粉末の酸化が生じ易い条
件として、トップ温度450℃,キープ1時間,Air
雰囲気と設定し、これを脱バインダー条件Aとした。他
方、導電粉末の酸化は生じにくいが、有機バインダーの
熱分解が不十分となり易い条件として、トップ温度30
0℃,キープ1時間,N2雰囲気と設定し、これを脱バ
インダー条件Bとした。
層体を脱バインダーさせるにあたり、条件を表3のよう
に設定した。すなわち、耐酸化性の無い導電粉末を用い
た導電性ペーストの場合に導電粉末の酸化が生じ易い条
件として、トップ温度450℃,キープ1時間,Air
雰囲気と設定し、これを脱バインダー条件Aとした。他
方、導電粉末の酸化は生じにくいが、有機バインダーの
熱分解が不十分となり易い条件として、トップ温度30
0℃,キープ1時間,N2雰囲気と設定し、これを脱バ
インダー条件Bとした。
【0049】
【表3】
【0050】次いで、上述の脱バインダー処理後に焼成
し、さらにセラミック積層体の両端面にAgを導電成分
とする端子電極形成用の導電性ペーストを浸漬塗布し、
乾燥させた後これを焼付けて、内部電極に電気的かつ機
械的に接合された一対の端子電極を備える、試料1〜1
4の積層セラミックコンデンサを10000個ずつ得
た。
し、さらにセラミック積層体の両端面にAgを導電成分
とする端子電極形成用の導電性ペーストを浸漬塗布し、
乾燥させた後これを焼付けて、内部電極に電気的かつ機
械的に接合された一対の端子電極を備える、試料1〜1
4の積層セラミックコンデンサを10000個ずつ得
た。
【0051】そこで、まず試料1〜14の導電性ペース
トをガラス板上にドクターブレードを用いて5μmの厚
さに塗布して、これを100℃で乾燥させた後、触針式
膜厚計で十点表面粗さ(Rz)を測定し、これを表4に
まとめた。次いで、試料1〜14の積層セラミックコン
デンサを100個ずつ抜き取り、静電容量(100個平
均),ショート不良発生率,層剥がれ不良発生率を測定
し、先に表4にまとめた十点表面粗さ(Rz)を含む4
項目を総合して評価を付し、これらを表4にまとめた。
トをガラス板上にドクターブレードを用いて5μmの厚
さに塗布して、これを100℃で乾燥させた後、触針式
膜厚計で十点表面粗さ(Rz)を測定し、これを表4に
まとめた。次いで、試料1〜14の積層セラミックコン
デンサを100個ずつ抜き取り、静電容量(100個平
均),ショート不良発生率,層剥がれ不良発生率を測定
し、先に表4にまとめた十点表面粗さ(Rz)を含む4
項目を総合して評価を付し、これらを表4にまとめた。
【0052】なお、評価は、静電容量が2.0±0.2
μF、ショート不良発生率が0%、層剥がれ不良発生率
が0%であり、Co−B合金粉末を析出させていない試
料13,14の導電粉末を用いた積層セラミックコンデ
ンサと比較して表面粗さが略同等である、本発明の範囲
内である試料について○を、本発明の範囲外の試料につ
いて×を付した。
μF、ショート不良発生率が0%、層剥がれ不良発生率
が0%であり、Co−B合金粉末を析出させていない試
料13,14の導電粉末を用いた積層セラミックコンデ
ンサと比較して表面粗さが略同等である、本発明の範囲
内である試料について○を、本発明の範囲外の試料につ
いて×を付した。
【0053】
【表4】
【0054】表4から明らかであるように、本発明の反
応析出方法である、Ni粉末とCo塩を含む金属溶液に
還元剤を含む還元溶液を添加する方法により、Ni粉末
の平均粒径よりも小さく、Ni粉末100重量部に対し
て50重量部以下のCo−B合金粉末を析出させた試料
1〜4,7の導電粉末を用いた積層セラミックコンデン
サは、静電容量が1.8〜2.0μFであり、ショート
不良発生率,層剥がれ不良発生率が何れも0%であり、
Co−B合金粉末を析出させていない試料13,14の
導電粉末を用いた積層セラミックコンデンサと比較して
表面粗さも略同等あるいは低く優れることから、本発明
の範囲内となった。
応析出方法である、Ni粉末とCo塩を含む金属溶液に
還元剤を含む還元溶液を添加する方法により、Ni粉末
の平均粒径よりも小さく、Ni粉末100重量部に対し
て50重量部以下のCo−B合金粉末を析出させた試料
1〜4,7の導電粉末を用いた積層セラミックコンデン
サは、静電容量が1.8〜2.0μFであり、ショート
不良発生率,層剥がれ不良発生率が何れも0%であり、
Co−B合金粉末を析出させていない試料13,14の
導電粉末を用いた積層セラミックコンデンサと比較して
表面粗さも略同等あるいは低く優れることから、本発明
の範囲内となった。
【0055】これに対して、3液混合の比較例である、
Ni粉末を含む水溶液にCo塩を含む金属溶液と還元剤
を含む還元溶液を同時添加する方法により、Ni粉末の
平均粒径よりも小さく、Ni粉末100重量部に対して
50重量部以下のCo−B合金粉末を析出させた試料8
の導電粉末を用いた積層セラミックコンデンサは、静電
容量が1.8μFであり、ショート不良発生率が0%で
あったが、層剥がれ不良発生率が3%生じたため、本発
明の範囲外となった。
Ni粉末を含む水溶液にCo塩を含む金属溶液と還元剤
を含む還元溶液を同時添加する方法により、Ni粉末の
平均粒径よりも小さく、Ni粉末100重量部に対して
50重量部以下のCo−B合金粉末を析出させた試料8
の導電粉末を用いた積層セラミックコンデンサは、静電
容量が1.8μFであり、ショート不良発生率が0%で
あったが、層剥がれ不良発生率が3%生じたため、本発
明の範囲外となった。
【0056】また、2液混合の比較例である、Ni粉末
と還元剤を含む還元溶液にCo塩を含む金属溶液を添加
する方法により、Ni粉末の平均粒径よりも小さく、N
i粉末100重量部に対して50重量部以下のCo−B
合金粉末を析出させた試料9の導電粉末を用いた積層セ
ラミックコンデンサは、静電容量が1.8μFであり、
ショート不良発生率が0%であったが、層剥がれ不良発
生率が5%生じたため、本発明の範囲外となった。
と還元剤を含む還元溶液にCo塩を含む金属溶液を添加
する方法により、Ni粉末の平均粒径よりも小さく、N
i粉末100重量部に対して50重量部以下のCo−B
合金粉末を析出させた試料9の導電粉末を用いた積層セ
ラミックコンデンサは、静電容量が1.8μFであり、
ショート不良発生率が0%であったが、層剥がれ不良発
生率が5%生じたため、本発明の範囲外となった。
【0057】また、本発明の反応析出方法により、Ni
粉末の平均粒径よりも小さいが、Ni粉末100重量部
に対して70重量部のCo−B合金粉末を析出させた試
料5の導電粉末を用いた積層セラミックコンデンサは、
静電容量が0.9μFで低く許容範囲外であったため、
本発明の範囲外となった。
粉末の平均粒径よりも小さいが、Ni粉末100重量部
に対して70重量部のCo−B合金粉末を析出させた試
料5の導電粉末を用いた積層セラミックコンデンサは、
静電容量が0.9μFで低く許容範囲外であったため、
本発明の範囲外となった。
【0058】また、本発明の反応析出方法により、Ni
粉末100重量部に対して50重量部以下のCo−B合
金粉末を析出させているが、Co−B合金粉末の平均粒
径がNi粉末の平均粒径と同等である試料6の導電粉末
を用いた積層セラミックコンデンサは、静電容量が0.
5μFで低く許容範囲外であり、層剥がれ不良発生率が
35%で高く劣ったため、本発明の範囲外となった。
粉末100重量部に対して50重量部以下のCo−B合
金粉末を析出させているが、Co−B合金粉末の平均粒
径がNi粉末の平均粒径と同等である試料6の導電粉末
を用いた積層セラミックコンデンサは、静電容量が0.
5μFで低く許容範囲外であり、層剥がれ不良発生率が
35%で高く劣ったため、本発明の範囲外となった。
【0059】また、導電性ペースト中にCo−B合金粉
末を添加した試料10〜12の積層セラミックコンデン
サは、静電容量が1.4μFで低く許容範囲外であり、
層剥がれ不良発生率が25〜35%で高く劣った。
末を添加した試料10〜12の積層セラミックコンデン
サは、静電容量が1.4μFで低く許容範囲外であり、
層剥がれ不良発生率が25〜35%で高く劣った。
【0060】また、従来のNi粉末である試料13,1
4の導電粉末を用いた試料13A,13B,14A,1
4Bの積層セラミックコンデンサは、脱バインダー条件
がAir雰囲気中でトップ温度が高い場合には、静電容
量が極端に低くなって層剥がれ不良発生率が高くなり、
N2雰囲気中でトップ温度が低い場合には、ショート不
良発生率が高くなることが分かる。
4の導電粉末を用いた試料13A,13B,14A,1
4Bの積層セラミックコンデンサは、脱バインダー条件
がAir雰囲気中でトップ温度が高い場合には、静電容
量が極端に低くなって層剥がれ不良発生率が高くなり、
N2雰囲気中でトップ温度が低い場合には、ショート不
良発生率が高くなることが分かる。
【0061】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、Ni粉
末,Cu粉末,Niまたは/およびCuを主成分とする
合金粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種の卑金
属粉末とCo塩とを含む金属溶液に、水素化硼化物また
は/およびアミンボランを含む還元溶液を添加・混合し
て、卑金属粉末の表面に、卑金属粉末の平均粒径よりも
小さく、卑金属粉末100重量部に対して50重量部以
下のCo−B合金粉末を析出させることを特徴とするこ
とで、耐酸化性を有する導電粉末およびこのような導電
粉末を用いた導電性ペーストを提供することができ、有
機物の分解ならびに除去に十分な温度の酸化雰囲気中で
の脱バインダー処理を可能とし、このような導電性ペー
ストを用いて内部電極を形成する積層セラミック電子部
品の歩留まりならびに生産性を向上させることができ
る。
末,Cu粉末,Niまたは/およびCuを主成分とする
合金粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種の卑金
属粉末とCo塩とを含む金属溶液に、水素化硼化物また
は/およびアミンボランを含む還元溶液を添加・混合し
て、卑金属粉末の表面に、卑金属粉末の平均粒径よりも
小さく、卑金属粉末100重量部に対して50重量部以
下のCo−B合金粉末を析出させることを特徴とするこ
とで、耐酸化性を有する導電粉末およびこのような導電
粉末を用いた導電性ペーストを提供することができ、有
機物の分解ならびに除去に十分な温度の酸化雰囲気中で
の脱バインダー処理を可能とし、このような導電性ペー
ストを用いて内部電極を形成する積層セラミック電子部
品の歩留まりならびに生産性を向上させることができ
る。
【0062】また、上述の卑金属粉末の平均粒径は、
1.0μm以下であることを特徴とすることで、一般に
卑金属粉末は粒径が小さくなるほど比表面積が増えて活
性になり、酸化が起こりやすくなるが、卑金属粉末の耐
酸化性を向上させるという本発明の効果が顕著となり、
また積層セラミック電子部品のさらなる薄層化や多層化
に貢献できる効果がある。
1.0μm以下であることを特徴とすることで、一般に
卑金属粉末は粒径が小さくなるほど比表面積が増えて活
性になり、酸化が起こりやすくなるが、卑金属粉末の耐
酸化性を向上させるという本発明の効果が顕著となり、
また積層セラミック電子部品のさらなる薄層化や多層化
に貢献できる効果がある。
【0063】また、上述のCo−B合金粉末の平均粒径
は、0.1μm以下であり、かつ卑金属粉末の平均粒径
の1/2以下であることを特徴とすることで、Co−B
合金粉末が卑金属粉末の表面をより均一に被覆すること
ができ、卑金属粉末の耐酸化性が十分に得られるという
効果がある。
は、0.1μm以下であり、かつ卑金属粉末の平均粒径
の1/2以下であることを特徴とすることで、Co−B
合金粉末が卑金属粉末の表面をより均一に被覆すること
ができ、卑金属粉末の耐酸化性が十分に得られるという
効果がある。
【図1】本発明に係る一つの実施形態の導電粉末の断面
図であり、(a)は卑金属粉末の表面にCo−B合金粉
末が析出した状態の説明図であり、(b)は酸化硼素が
卑金属粉末の表面を略被覆した状態の説明図である。
図であり、(a)は卑金属粉末の表面にCo−B合金粉
末が析出した状態の説明図であり、(b)は酸化硼素が
卑金属粉末の表面を略被覆した状態の説明図である。
【図2】本発明に係る一つの実施形態の積層セラミック
電子部品の断面図である。
電子部品の断面図である。
1 導電粉末
2 卑金属粉末
3a Co−B合金粉末
11 積層セラミック電子部品
12a セラミック層
12 セラミック積層体
13 内部電極
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
H01B 1/00 H01B 1/00 L
1/22 1/22 A
13/00 501 13/00 501Z
H01G 4/12 361 H01G 4/12 361
4/30 311 4/30 311Z
Fターム(参考) 4K017 AA02 BA03 BA05 BB06 DA07
DA08 EA03
4K018 BA02 BA04 BC01 BC22 BD04
5E001 AB03 AH01 AJ01
5E082 AB03 EE31
5G301 DA02 DA06 DA10 DD01 DE03
Claims (8)
- 【請求項1】 Ni粉末,Cu粉末,Niまたは/およ
びCuを主成分とする合金粉末からなる群より選ばれる
少なくとも1種の卑金属粉末とCo塩とを含む金属溶液
に、水素化硼化物または/およびアミンボランを含む還
元溶液を添加・混合して、 前記卑金属粉末の表面に、前記卑金属粉末の平均粒径よ
りも小さく、前記卑金属粉末100重量部に対して50
重量部以下のCo−B合金粉末を析出させることを特徴
とする、導電粉末の製造方法。 - 【請求項2】 前記析出工程の後に、前記Co−B合金
粉末が表面に析出した前記卑金属粉末を100℃以上で
熱処理する熱処理工程をさらに備えることを特徴とす
る、請求項1に記載の導電粉末の製造方法。 - 【請求項3】 前記析出工程の後に、前記Co−B合金
粉末が表面に析出した前記卑金属粉末を粉砕処理する粉
砕工程をさらに備えることを特徴とする、請求項1また
は2に記載の導電粉末の製造方法。 - 【請求項4】 前記卑金属粉末の平均粒径は、1.0μ
m以下であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか
に記載の導電粉末の製造方法。 - 【請求項5】 前記Co−B合金粉末の平均粒径は、
0.1μm以下であり、かつ前記卑金属粉末の平均粒径
の1/2以下であることを特徴とする、請求項1〜4の
何れかに記載の導電粉末の製造方法。 - 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載の製造方法
によって得られたことを特徴とする、導電粉末。 - 【請求項7】 請求項6に記載の導電粉末と、有機ビヒ
クルと、を含有してなることを特徴とする、導電性ペー
スト。 - 【請求項8】 複数のセラミック層が積層されてなるセ
ラミック積層体と、前記セラミック層間に形成された複
数の内部電極と、を備える積層セラミック電子部品であ
って、 前記内部電極は、請求項7に記載の導電性ペーストを用
いて形成されていることを特徴とする、積層セラミック
電子部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001193007A JP2003013103A (ja) | 2001-06-26 | 2001-06-26 | 導電粉末の製造方法、導電粉末、導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001193007A JP2003013103A (ja) | 2001-06-26 | 2001-06-26 | 導電粉末の製造方法、導電粉末、導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003013103A true JP2003013103A (ja) | 2003-01-15 |
Family
ID=19031370
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001193007A Pending JP2003013103A (ja) | 2001-06-26 | 2001-06-26 | 導電粉末の製造方法、導電粉末、導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003013103A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2004070748A1 (ja) * | 2003-02-05 | 2006-05-25 | Tdk株式会社 | 電子部品およびその製造方法 |
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KR20120015997A (ko) * | 2010-08-13 | 2012-02-22 | 삼성전자주식회사 | 도전성 페이스트, 상기 도전성 페이스트를 사용하여 형성된 전극을 포함하는 전자 소자 및 태양 전지 |
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-
2001
- 2001-06-26 JP JP2001193007A patent/JP2003013103A/ja active Pending
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