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JP2003011276A - 樹脂被覆金属容器 - Google Patents

樹脂被覆金属容器

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Publication number
JP2003011276A
JP2003011276A JP2001203792A JP2001203792A JP2003011276A JP 2003011276 A JP2003011276 A JP 2003011276A JP 2001203792 A JP2001203792 A JP 2001203792A JP 2001203792 A JP2001203792 A JP 2001203792A JP 2003011276 A JP2003011276 A JP 2003011276A
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JP
Japan
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resin
film
vinyl polymer
polyester resin
inorganic particles
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Application number
JP2001203792A
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English (en)
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Hikari Tachiki
光 立木
Hiroshi Oishi
浩 大石
Hiroshi Jodai
洋 上代
Kazunari Niki
一成 仁木
Yasuhiro Kikuchi
安広 菊地
Yoshihiro Nomi
義広 納見
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い隠蔽性を有し、成形性に優れる樹脂組成
物を被覆した金属板を加工してなる樹脂被覆金属容器を
提供すること。 【解決手段】 固有粘度0.3dl/g以上のポリエステル樹
脂及び極性基を有するユニットを1質量%以上含有するビ
ニル重合体を含む混合物に、極性を有する白色無機粒子
を10〜50質量%添加してなる樹脂組成物を、直接及び/又
はフィルムに加工してから、金属板の少なくとも片面に
被覆した後、当該金属板を成形加工してなる樹脂被覆金
属容器であって、ポリエステル樹脂とビニル重合体の界
面に偏在する無機粒子数が全無機粒子の20%以上、及び
/又は、無機粒子が偏在するポリエステル樹脂とビニル
重合体の界面層数が全界面層数の20%以上である樹脂被
覆金属容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂被覆金属容器
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル樹脂は、機械的性質、電気
的性質、耐熱性に優れ、広く自動車部品や電気製品の部
品、筐体等の成形材料として使用されている。さらに、
加工時の潤滑、耐磨耗性、水蒸気や酸素などの金属腐食
要因物質のガスバリア性及び金属との密着性に優れてお
り、耐腐食性や加工性を向上したり、表面に意匠性を付
与することを目的に、金属被覆材料としても広く使用さ
れている。
【0003】ポリエステル樹脂を金属材料の被覆材料に
使用する場合、これらの特性をさらに向上させる方法と
して、特開平7-195617号公報や特開平7-290644号公報に
開示されるようにポリエステル樹脂とアイオノマー樹脂
とをアロイ化する方法が知られている。本法ではアイオ
ノマー樹脂により、機械的性質、金属との密着性が改善
される。さらにはWO99/27026に開示されるように、前記
のポリエステル樹脂とアイオノマーのような極性基を有
するビニル重合体との樹脂組成物に対してさらにゴム弾
性体樹脂を添加し、ポリエステル樹脂極性基を有するビ
ニル重合体により弾性体樹脂をカプセル化したゴム状弾
性体を微分散する技術が開示され、より一層耐衝撃や熱
安定性が改善されることが知られている。
【0004】また、金属容器外面被覆等に用いられる樹
脂、特にフィルムについては、従来使用されている白色
塗料の下塗りを省略するために、上記特性に加えて、隠
蔽性が高く、厳しい成形加工にも使用でき、美麗感があ
り印刷に適している白色フィルムが求められている。例
えばポリエステル樹脂からなる白色フィルムにおいて隠
蔽性を発現させるには、白色顔料粒子を高濃度に添加す
る方法、顔料濃度の異なる白色フィルムを多層化する方
法、フィルム中に微小な気泡を含有させる方法等が挙げ
られる。顔料の添加量を増加させる方法により高い隠蔽
性を持たせると、フィルム自体が脆くなり、加工時の破
断が多発し、また、フィルムが成形に耐えることができ
ずに、割れやひび割れ等が課題となる。また、これらの
対策として、顔料濃度の異なる白色フィルムを多層化す
る方法が提案されているが、薄膜フィルム多層化といっ
た工程が必要となること、また場合により厳しい成形加
工時に多層化されたフィルム界面での剥離等が発生する
ことがある。また、微小な気泡を多量に含有させる方法
により高い隠蔽性を持たせる場合、気泡の大きさを制御
する必要があり、また、得られたフィルムは一般に成形
加工性が悪化する。厚みを増大させることで隠蔽性を増
大させることも可能であるが、フィルムコストの増加に
つながるため好ましい方法とはいえない。このため、高
い隠蔽性と優れた成形性といった背反する特性を兼備し
た白色フィルムが、容器等の成形加工速度向上、付与す
る意匠性の多様化に伴い、一層望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
問題点を解決することにあり、特に高い隠蔽性を有し、
成形性に優れるといった背反する特性を兼備する樹脂組
成物を被覆した金属板を加工してなる樹脂被覆金属容器
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく、上記のポリエステル樹脂とアイオノマ
ーのような極性基を有するビニル重合体との樹脂組成物
についてさらに検討した結果、当該樹脂組成物は、特定
の極性を有する白色無機粒子を特定量添加することによ
り、前記ポリエステル樹脂と前記アイオノマーのような
極性基を有するビニル樹脂との界面密着力を増加し、こ
の結果、高い隠蔽性と優れた成形加工性といった背反す
る特性を兼備し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、固有粘度0.3dl/g以
上のポリエステル樹脂及び極性基を有するユニットを1
質量%以上含有するビニル重合体を含む混合物に、極性
を有する白色無機粒子を10〜50質量%添加してなる樹脂
組成物を、直接及び/又はフィルムに加工してから、金
属板の少なくとも片面に被覆した後、当該金属板を成形
加工してなる樹脂被覆金属容器であって、前記ポリエス
テル樹脂と前記ビニル重合体の界面に偏在する前記無機
粒子数が全無機粒子の20%以上、及び/又は、前記無機
粒子が偏在する前記ポリエステル樹脂と前記ビニル重合
体の界面層数が全界面層数の20%以上であることを特徴
とする樹脂被覆金属容器である。
【0008】また、前記樹脂組成物が、ゴム状弾性体樹
脂を前記ビニル重合体の一部又は全部の相に内包する樹
脂被覆金属容器である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明に使用するポリエステル樹脂は、ヒ
ドロキシカルボン酸化合物残基のみを、また、ジカルボ
ン酸残基及びジオール化合物残基を、あるいは、ヒドロ
キシカルボン酸化合物残基とジカルボン酸残基及びジオ
ール化合物残基とをそれぞれ構成ユニットとする熱可塑
性ポリエステルである。また、これらの混合物であって
も良い。
【0011】ヒドロキシカルボン酸化合物残基の原料と
なるヒドロキシカルボン酸化合物を例示すると、p-ヒド
ロキシ安息香酸、p-ヒドロキシエチル安息香酸、2-(4-
ヒドロキシフェニル)-2-(4'-カルボキシフェニル)プロ
パン等が挙げられ、これらは単独で使用しても、また、
2種類以上を混合して使用しても良い。
【0012】また、ジカルボン酸残基を形成するジカル
ボン酸化合物を例示すると、テレフタル酸、イソフタル
酸、オルソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,
3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン
酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、ジフェ
ニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等
の芳香族ジカルボン酸及びアジピン酸、ピメリン酸、セ
バシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、マロン
酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸等の脂肪族ジカルボ
ン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボ
ン酸等が挙げられ、これらは単独で使用しても、また、
2種類以上を混合して使用しても良い。
【0013】次に、ジオール残基を形成するジオール化
合物を例示すると、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プ
ロパン(以下、「ビスフェノールA」と略称する)、ビス
(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2-ヒドロキシフ
ェニル)メタン、o-ヒドロキシフェニル-p-ヒドロキシフ
ェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4- ヒドロ
キシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)スルフォン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4
-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、ビ
ス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス
(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5-ジ
メチル-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5-ジ
メチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5-ジ
メチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1-ビス(4
-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(3,5-ジメチル-
4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-
ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキ
シフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4
-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-クロロ-4-
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-ブロモ-4-
ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフ
ルオロ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,
4'-ビフェノール、3,3',5,5'-テトラメチル-4,4'-ジヒ
ドロキシビフェニル、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノ
ン等の芳香族ジオール、及びこれら芳香族ジオールの芳
香環部位が部分的に水素添加されたもの、及びエチレン
グリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリ
コール、テトラメチレングリコール、1,4-ブタンジオー
ル、ペンタメチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、水添ビスフェノールA等の脂肪族ジオール、シクロ
ヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール等が挙げら
れ、これらは単独で使用することも、また、2種類以上
を混合して使用することもできる。
【0014】また、これらから得られるポリエステル樹
脂を単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても
良い。本発明に使用するポリエステル樹脂は、これらの
化合物又はその組み合わせにより構成されていれば良い
が、中でも芳香族ジカルボン酸残基とジオール残基より
構成される含芳香族ポリエステル樹脂であることが、加
工性、熱的安定性の観点から好ましい。
【0015】また、本発明に使用するポリエステル樹脂
は、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエ
タン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタ
ン、ペンタエリスリトール等の多官能化合物から誘導さ
れる構成単位を少量、例えば2モル%以下の量を含んでい
ても良い。
【0016】耐熱性や加工性の面から、これらのジカル
ボン酸化合物、ジオール化合物の組み合わせの中で最も
好ましい組み合わせは、テレフタル酸50〜95モル%、イ
ソフタル酸及び/又はオルソフタル酸50〜5モル%のジカ
ルボン酸化合物と、炭素数2〜5のグリコールのジオール
化合物との組み合わせである。
【0017】本発明に使用する好ましいポリエステル樹
脂を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレ
ート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレン-2,
6-ナフタレート等が挙げられるが、中でも適度の機械特
性、ガスバリア性、及び金属密着性を有するポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
エチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレン-2,6-ナフタ
レートが最も好ましい。
【0018】なお、本発明の樹脂組成物に含まれるポリ
エステル樹脂は、特にポリエステル製造触媒の残留物な
どであるゲルマニウム、アンチモン、チタン等の金属化
合物を含むことがある。本発明の樹脂組成物に用いるポ
リエステル樹脂中の金属化合物の含有量は、特に限定さ
れないが、フレーバー性を損失しないためにも重合触媒
の残渣としての金属化合物が50ppm以下であることが好
ましい。
【0019】本発明に使用するポリエステル樹脂は、25
℃のo-クロロフェノール中、0.5%の濃度で測定した固有
粘度が0.3dl/g以上でなければならない。0.3dl/g未満の
場合は、高分子効果が発現できない。固有粘度の上限
は、特に規定するものではないが、固有粘度が2.0dl/g
超では成形性が不良となり、2.0dl/g以下であることが
好ましい。より好ましくは、固有粘度が0.7〜1.5dl/gで
あり、0.7dl/g未満ではポリエステル樹脂自体の材料強
度が不十分で、厳しい形成加工条件下で、割れが生じる
場合がある。また、1.5dl/g超では添加する無機粒子の
分散性が悪化する場合がある。
【0020】本発明に使用するポリエステル樹脂は、非
晶性であっても結晶性であっても良く、結晶性である場
合には、結晶融解温度(Tm)が、100℃以上であることが
好ましい。100℃未満では、加熱処理等、熱によって変
形する場合がある。さらに、Tmが210〜265℃であり、好
ましくは210〜245℃であり、低温結晶化温度(Tc)が、11
0〜220℃、好ましくは120〜215℃であることが望まし
い。Tmが265℃超もしくは、Tcが220℃超の場合は、混練
時にビニル重合体が分解する場合がある。Tmが210℃未
満もしくは、Tcが110℃未満の場合は、耐熱性が不充分
で加工時にフィルム形状を保持できない場合がある。ガ
ラス転移温度(Tg、サンプル量約10mg、昇温速度10℃/分
の示差型熱分析装置(DSC)で測定)が、50〜120℃、より
好ましくは60〜100℃であることが望ましい。また、非
晶質である場合は、上記のTgが100℃以上であることが
望ましい。非晶質でかつTgが100℃未満の場合は、耐熱
性が不充分で加工時に割れ等が発生する場合がある。
【0021】本発明に使用する樹脂組成物では、極性基
を有するユニットを1質量%以上含有するビニル重合体を
含有する事を必須とする。極性基を有するユニットを1
質量%以上含有するビニル重合体とは、ポーリングの電
気陰性度の差が0.45(eV)0.5以上有る元素が結合した基
を有するユニットを1質量%以上含有するビニル重合体で
ある。極性基を有するユニットが1質量%未満では、耐衝
撃性が低下する場合がある。ポーリングの電気陰性度の
差が0.45(eV)0.5以上有る元素が結合した基を具体的に
例示すると、-C-O-、-C=O、-COO-、エポキシ基、C2O3
C2O2N-、-CN、-NH 2、-NH-、-X(X: F, Cl, Br)、-SO3-、
等が挙げられる。また、極性基として金属イオンで中和
された酸根イオンを有していてもよい。この場合、金属
イオンの例としてはNa+、K+、Li+、Zn2+、Mg2+、Ca2+
Co2+、Ni2+、Pb2+、Cu2+、Mn2+、Ti 3+、Zr3+、Sc3+等の
1価、2価又は3価の金属陽イオンが挙げられる。
【0022】極性基を有するユニットを例示すると、-C
-O-基を有する例としてビニルアルコール、-C=O基を有
する例としてビニルクロロメチルケトン、-COO-基を有
する例としてアクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル等のビニル酸及びその金属塩若しく
はエステル誘導体、エポキシ基を有する例としてはアク
リル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリ
ル酸グリシジル、イタクリル酸グリシジル等のα,β-不
飽和酸のグリシジルエステル、C2O3基を有する例として
無水マレイン酸、C2O2N-基を有する例として無水マレイ
ン酸のイミド誘導体、-CN基を有する例としてアクリロ
ニトリル、-NH2基を有する例としてアクリルアミン、-N
H-基を有する例としてアクリルアミド、-X基を有する例
として塩化ビニル、-SO3-基を有する例としてスチレン
スルホン酸、等が挙げられ、また、これらの酸性官能基
の全部または一部が、上記の金属イオンで中和された化
合物が挙げられ、これらが単独でまたは複数でビニル重
合体に含有されていても良い。
【0023】本発明に使用するビニル重合体は、極性基
を有するユニットを1質量%以上含有するビニル重合体で
あり、そのようなビニル重合体を例示すると、上記の極
性基含有ビニル系ユニットの単独若しくは2種類以上の
重合体、及び上記極性基含有ビニル系ユニットと下記一
般式(i)で示される無極性ビニルモノマーとの共重合体
等が挙げられる。 -CHR1=CR2R3- (i) (式中、R1、R3は、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基
若しくは水素を、R2は、炭素数1〜12のアルキル基、フ
ェニル基若しくは水素を示す。) 一般式(i)の無極性ビニルモノマーを具体的に示すと、
エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチ
ル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1
-ドデセン等のα-オレフィン、イソブテン、イソブチレ
ン等の脂肪族ビニルモノマー、スチレンモノマーの他に
o-、m-、p-メチルスチレン、o-、m-、p-エチルスチレ
ン、t-ブチルスチレン等のアルキル化スチレン、α-メ
チルスチレン等のスチレン系モノマー付加重合体単位等
の芳香族ビニルモノマー等が挙げられる。
【0024】極性基含有ユニットの単独重合体を例示す
ると、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。また、極性基含有
ユニットと無極性ビニルモノマーとの共重合体を例示す
ると、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アク
リル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びこ
れらの共重合体中の酸性官能基の一部若しくは全部を金
属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレン-アク
リル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共
重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチ
レン-メタクリル酸エチル共重合体、エチレン-グリシジ
ルメタクリレート共重合体、エチレン-無水マレイン酸
共重合体、ブテン-エチレン-グリシジルメタクリレート
共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、ス
チレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-無水マレ
イン酸共重合体等及びそれらの酸性官能基のすべて、ま
たは一部が金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂類
が挙げられる。
【0025】アイオノマー樹脂としては、公知のアイオ
ノマー樹脂を広く使用することができる。具体的には、
ビニルモノマーとα,β-不飽和カルボン酸との共重合体
で共重合体中のカルボン酸の一部若しくは全部を金属陽
イオンにより中和したものである。
【0026】ビニルモノマーを例示すると、上記のα-
オレフィンやスチレン系モノマー等であり、α,β-不飽
和カルボン酸を例示すると炭素数3〜8のα,β-不飽和カ
ルボン酸で、より具体的にはアクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチルエ
ステル、無水マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステ
ル等が挙げられる。
【0027】中和する金属陽イオンを例示すると、N
a+、K+、Li+、Zn2+、Mg2+、Ca2+、Co2+、Ni2+、Pb2+、C
u2+、Mn2+、Ti3+、Zr3+、Sc3+等の1価、2価または3価の
金属陽イオンが挙げられる。また、金属陽イオンで中和
されていない残余の酸性官能基の一部は、低級アルコー
ルでエステル化されていても良い。
【0028】アイオノマー樹脂を具体的に例示すると、
エチレンとアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカ
ルボン酸との共重合体、あるいはエチレンとマレイン
酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸との共重合体で
あって、共重合体中のカルボキシル基の一部若しくは全
部がナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシ
ウム、カルシウム等の金属イオンで中和された樹脂が挙
げられる。
【0029】これらの中で、耐衝撃性向上能が高く、ポ
リエステル樹脂と後述のゴム状弾性樹脂体との相溶性を
改善する目的で最も好ましいのが、エチレンとアクリル
酸又はメタクリル酸の共重合体(カルボキシル基を有す
る構成単位が2〜15モル%)で、重合体中のカルボキシル
基の30〜70%がNa、Zn等の金属陽イオンで中和されてい
る樹脂である。
【0030】ガラス転移温度(Tg、サンプル量約10mg、
昇温速度10℃/分の示差熱型分析装置(DSC)で測定)が50
℃以下、室温でのヤング率が1000MPa以下、及び破断伸
びが50%以上であるビニル重合体が、より耐衝撃性を向
上するために好ましい。
【0031】本発明で使用する好ましいビニル重合体を
例示すると、メタクリル酸、アクリル酸、及びこれらの
酸性官能基の一部もしくは全部が金属イオンで中和され
た極性オレフィン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシ
ジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、無水マ
レイン酸、酢酸ビニルとα-オレフィンの共重合体が挙
げられる。
【0032】特に、耐衝撃性が高い点で、さらに好まし
くは、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アク
リル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びこ
れらの共重合体中の酸性官能基の一部もしくは全部を金
属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレン-アク
リル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共
重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチ
レン-メタクリル酸エチル共重合体、エチレン-グリシジ
ルメタクリレート共重合体、エチレン-グリシジルアク
リレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル-グリシジルメ
タクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル-グリシジ
ルアクリレート共重合体、エチレン-一酸化炭素-グリシ
ジルメタクリレート共重合体、エチレン-一酸化炭素-グ
リシジルアクリレート共重合体、エチレン-無水マレン
イ酸共重合体、ブテン-エチレン-グリシジルメタクリレ
ート共重合体、ブテン-エチレン-グリシジルアクリレー
ト共重合体が挙げられる。
【0033】バリア性確保の観点から、α-オレフィン
と極性基を有するユニットとの共重合体が、好ましい組
み合わせである。なお、本発明に使用するビニル重合体
は、極性基を有するユニットを1質量%以上含有するビニ
ル重合体であれば良く、上記の具体例に限定されるもの
ではない。
【0034】また、ビニル重合体の分子量は特に限定す
るものではないが、数平均分子量で2000以上500000以下
が好ましい。2000未満や500000超では、耐衝撃性が低下
する場合がある。
【0035】ビニル重合体の分散形状、状態は特に規制
するものではないが、好ましくは平均粒径が5μm以下の
粒状で分散していること、さらに好ましくは、平均粒径
が1μm以下の粒状に分散していることである。5μm超で
は、フィルム加工が困難となることがある。平均粒径が
1μm以下の粒状に分散させることにより衝撃性が増大
し、加熱環境下での変形応力緩和効果が大きくなる。
【0036】また、ビニル重合体の量は、体積比で20%
以下が好ましい。体積比で20%超では、樹脂組成物の耐
熱性等の基本特性が変化する場合がある。
【0037】さらに、本発明で使用する樹脂組成物に
は、極性を有する白色無機粒子を、ポリエステル樹脂と
ビニル重合体の合計質量に対して、10〜50質量%添加さ
れてなければならない。極性を有する白色無機粒子と
は、ポーリングの電気陰性度の差が0.45(eV)0.5以上あ
る元素(I)-元素(II)結合を分子内に有する白色無機粒子
である。ポリエステル樹脂とビニル重合体の合量に対
し、本成分含有量が10質量%未満であれば、ポリエステ
ル樹脂相とビニル重合体相との界面の密着力強化効果
や、十分な隠蔽効果が得られない。50質量%超では樹脂
組成物が脆化し、製膜性、加工性が低下する。極性を当
該範囲に制御することにより、当該成分とポリエステル
樹脂の極性ユニットやビニル重合体間の極性基間で、水
素結合、イオン相互作用、配位相互作用などの静電的相
互作用、あるいは共有結合が生じる。この結果、白色無
機粒子とビニル重合体の複合作用による隠蔽効果向上と
共に、界面の密着力が強化され、無機物を添加すること
による樹脂組成物の機械的強度の低下を抑制でき、成形
加工時の割れやひびが抑制される。これらの相互作用を
さらに強くするためには、ポーリングの電気陰性度の差
が1.0(eV)0.5以上であることが好ましい。なお、白色無
機粒子に対し、質量比で10%までであれば、隠蔽性、白
色度等、白色無機粒子添加効果を損なうことなく、ま
た、衛生性に問題がなければ不純物等の他の無機物が混
入していてもよい。
【0038】本発明で使用する白色無機粒子は、ポーリ
ングの電気陰性度の差が0.45(eV)0. 5以上ある極性を有
していればよく、特に化学構造を限定するものでない
が、隠蔽性、熱安定性が高く、水溶液等溶液中で人体に
対して有毒となる種々のイオンを発生しない粒子が好ま
しく、金属酸化物および金属の炭酸塩、硫酸塩、硝酸
塩、リン酸塩、珪酸塩、水酸化物等が挙げられる。具体
的に白色無機粒子を例示すると、酸化チタン(チタン
白、ルチル型およびアナターゼ型等、TiO2)、酸化亜鉛
(亜鉛華、ZnO)、酸化鉄(Fe3O4)、シリカ(珪石粉、Si
O2)、ホワイトカーボン(SiO 2・nH2O)、珪藻土(SiO2・nH
2O)、タルク(滑石粉、3MgO・4SiO2・H2O)、硫酸バリウ
ム(BaSO4)、硫酸カルシウム(CaSO4)、炭酸バリウム(BaC
O3)、炭酸カルシウム(CaCO3)、石膏(CaSO4・2H2O)、ク
レー(例えばAl2O3・2SiO2・2H2Oなど)、炭酸マグネシウ
ム(例えば、3MgCO3・Mg(OH)2・3H2O〜MgCO3・3Mg(OH)2
・11H2Oなど)、アルミナ(Al(OH)3) 等が挙げることがで
きる。これらは単独で使用することも、また、2種類以
上を混合して使用することもできる。
【0039】中でも隠蔽性、熱安定性が高く、人体に対
して所定量範囲内で無毒であり、ポーリングの電気陰性
度の差が1.0(eV)0.5以上の結合を有し、ビニル重合体中
の極性ユニットとの相互作用が強く、界面の密着力が強
化され、成形加工時の割れやひびが抑制できる観点から
好ましいのは、金属酸化物である。具体的に当該無機粒
子を例示すると、酸化チタン(チタン白、ルチル型およ
びアナターゼ型等、TiO 2:2.0(eV)0.5)、酸化亜鉛(亜鉛
華、ZnO:1.9(eV)0.5)、酸化鉄(Fe3O4:1.7(eV)0.5)、シ
リカ(珪石粉、SiO2:1.7(eV)0.5)、等が挙げられる。中
でも、隠蔽力が高く汎用性のある酸化チタンが特に好ま
しい。添加される酸化チタン種としては特に限定され
ず、ルチル型、アナターゼ型、ブルカライト型等いずれ
でも構わないが、隠蔽性の観点からルチル型が好まし
い。
【0040】これらの白色無機粒子の分散形状、状態は
特に規制するものではないが、隠蔽性の観点から、好ま
しくはこれらの粒子の平均粒径が0.1〜1.0μmの粒状で
組成物中に分散していること、さらに好ましくは、平均
粒径が0.2〜0.5μmの粒状に分散していることが望まし
い。平均粒子径が0.1μm以下では、ポリエステル樹脂相
への分散性が低下する。また、平均粒子径が1.0μm超で
は、得られるフィルム表面にザラツキ感が生じ、外観を
損ねる場合がある。ポリエステル樹脂相とビニル重合体
相の界面強度を増強する観点から、これらの成分は当該
界面に局在していることが好ましい。具体的には、無機
粒子数(X1)のうち、個数で20%以上の粒子が、前記ポリ
エステル樹脂相と前記ビニル重合体相の界面に偏在する
か、前記ポリエステル樹脂と前記ビニル重合体との界面
数(X2)のうち、界面数で20%以上に前記白色無機粒子が
存在するように分散していることが好ましい。より好ま
しくは、X1の50%以上が当該界面に存在するか、X2の50%
以上に前記粒子が1個以上ある分散状態である。このよ
うな分散状態は、ミクロな視点では偏在しているもの
の、前記ビニル重合体相が前記ポリエステル樹脂相に微
分散されているためマクロな視点では、結果的に前記白
色無機粒子の分散性を向上させており、前記ビニル重合
体相とともに光散乱強度を向上させ、高い隠蔽効果をも
たらす。また、ポリエステル樹脂相の隠蔽性の観点から
は白色無機粒子がポリエステル樹脂相にも分散している
ことが好ましく、特に、X1の10%以上がポリエステル樹
脂相に分散していることが好ましい。
【0041】これらの分散状態は、ポリエステル樹脂
相、ビニル重合体相、白色無機粒子を公知の方法で識別
することにより観察できる。具体的な方法として以下の
方法が例示できる。必要に応じてポリエステル樹脂相と
白色無機粒子相とを染色コントラストで識別可能にした
後、ビニル重合体のみを溶解する溶媒によりビニル重合
体相をエッチングし、電子顕微鏡で観察する。エッチン
グされた面(ポリエステル樹脂相とビニル重合体相の界
面)への白色無機粒子の偏在状態を画像処理法などを利
用して数値化できる。具体的には、識別した白色無機粒
子を無作為に任意抽出し、ポリエステル樹脂相とビニル
重合体相の界面に存在する白色無機粒子の個数比、ある
いは、ポリエステル樹脂相とビニル重合体相の界面層を
同様に抽出し、白色無機粒子が存在している界面層の個
数比により偏在状態を定量的に評価できる。偏在判別対
象とする白色無機粒子あるいは界面層の個数は特に限定
しないが、約5000倍に拡大した観察視野(5cm×5cm)中の
全数を評価することが好ましく、統計上の有為性から、
同評価を10視野以上、より好ましくは20視野以上行うこ
とが望ましい。
【0042】さらに、ビニル重合体の一部の相、好まし
くは全相には、ゴム状弾性体が内包されていることが、
樹脂組成物の耐衝撃性や成形加工時での変形応力緩和効
果を増大する観点から望ましい。ゴム状弾性体には、公
知のゴム状弾性体樹脂を広く使用できる。中でも、発現
部のガラス転移温度(Tg、サンプル量約10mg、昇温速度1
0℃/分の示差型熱分析装置(DSC)で測定)が50℃以下、室
温でのヤング率が1000MPa以下、及び破断伸びが50%以上
であるゴム状弾性体樹脂が好ましい。ゴム弾性発現部の
Tgが50℃超、室温でのヤング率が1000MPa超、及び破断
伸びが50%未満では、十分に耐衝撃性や成形加工時での
変形応力緩和効果を発現できない。さらに、これらの効
果をより増大する観点から、Tgが10℃以下、より望まし
くは-30℃以下であることが好ましい。さらには、室温
でのヤング率は100MPa以下、より望ましくは10MPa以下
であることが、破断伸びは100%以上、より望ましくは30
0%以上であることが、好ましい。
【0043】ゴム状弾性体を具体的に例示すると、山下
晋三著「ゴムエラストマー活用ハンドブック」工業調査
会発行(1985年)に記載されている固形ゴム、ラテック
ス、熱可塑性エラストマー、液状ゴム、粉末ゴムなどが
挙げられる。なかでも、被膜加工性から最も好ましいの
が、固形ゴムと熱可塑性エラストストマーであり、金属
腐食要因物へのバリア性の観点から最も好ましいのが、
ポリオレフィン系のゴム状弾性体である。具体的に好ま
しいポリオレフィン系のゴム状弾性体を例示すると、エ
チレン-プロピレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合
体、エチレン-1-ペンテン共重合体、エチレン-3-エチル
ペンテン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体等の
エチレンと炭素数3以上のα-オレフィンの共重合体、も
しくは、前記2元共重合体にブタジエン、イソプレン、5
-メチリデン-2-ノルボーネン、5-エチリデン-2-ノルボ
ーネン、シクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン等を共
重合したエチレン、炭素数3以上のα-オレフィン及び非
共役ジエンからなる3元共重合体である。その中でも、
エチレン-プロピレン共重合体やエチレン-1-ブテン共重
合体の2元共重合体、若しくは、エチレン-プロピレン共
重合体やエチレン-1-ブテン共重合体に、非共役ジエン
として5-メチリデン-2-ノルボーネン、5-エチリデン-2-
ノルボーネン、シクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン
を使用し、α-オレフィン量を20〜60モル%、非共役ジエ
ンを0.5〜10モル%共重合した樹脂が、被膜加工性から最
も好ましい。
【0044】ビニル重合体相にゴム状弾性体を内包する
方法を具体的に例示すると、ゴム状弾性体の化学構造に
応じてビニル重合体内の極性ユニットの割合を1質量%以
上の範囲で制御し、ビニル重合体相がゴム状弾性体相と
ポリエステル樹脂相との界面に存在するように3者間の
界面張力、すなわち、ぬれ性を制御することによって達
成できる。
【0045】本発明で用いる樹脂組成物での、ビニル重
合体相にゴム状弾性体を内包した分散状態とは、面積比
で、ゴム状弾性体樹脂相の界面の80%以上、好ましくは9
5%以上をビニル重合体が被覆し、ポリエステル樹脂とゴ
ム状弾性体との直接接触面積を20%未満とした構造であ
る。このような構造とすることにより、ビニル重合体で
カプセル化されたゴム状弾性体の微細分散が容易とな
り、耐衝撃性、製膜性が向上する。また、ゴム状弾性体
は一般に金属板との密着性が低いが、極性基を有するビ
ニル重合体が金属板との密着性を有するため、微細分散
したゴム状弾性体が金属板に接しても樹脂組成物と金属
板との密着性を確保できる効果を有する。内包状態は、
ゴム状弾性体とビニル重合体とを公知の染色法などで識
別し、電子顕微鏡などで観察することにより判別でき
る。
【0046】ゴム状弾性体の添加量は特に規定しない
が、好ましい添加量はポリエステル樹脂に対してビニル
重合体とゴム状弾性体の含量が50質量%以下である。50
質量%超では硬度が低下する場合がある。
【0047】また、本発明で用いる樹脂組成物には、他
の目的、すなわち剛性、線膨張特性、潤滑性、表面硬
度、熱安定、光安定、酸化安定、離型、染色の付与、帯
電防止、抗菌抗カビ等を目的に、公知のこれらの人体に
対して無毒とされる物性改質剤を適正量添加してもよ
い。中でも、酸化防止剤では、特にラジカル禁止剤が好
ましく、フェノール系ラジカル禁止剤、スルフィド系ラ
ジカル禁止剤、および窒素系ラジカル禁止剤から選ばれ
る1種または2種以上添加されることが好ましい。
【0048】本発明で使用する樹脂組成物の混合には、
樹脂混練法、溶媒混合法等の公知の樹脂混合方法を広く
使用できる。樹脂混練法を例示すると、タンブラーブレ
ンダー、ヘンシェルミキサー、V 型ブレンダー等により
ドライブレンドで混合した後、1軸若しくは2軸押出機、
ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法が
挙げられる。また、溶媒混合法を例示すると、樹脂組成
物に含まれる原料樹脂の共通溶媒に各樹脂を溶解した
後、溶媒を蒸発させたり、共通の貧溶媒に添加して析出
した混合物を回収する方法等がある。
【0049】溶融混合により混練する場合は、必要に応
じていずれか一つもしくは複数の樹脂内に白色無機粒子
を予め混合したマスターバッチを用意し、これらのマス
ターバッチを一部もしくは全部に使用して溶融混合して
もよい。また、逆に予め樹脂成分のみを溶融混合したの
ち、無機粒子を添加して溶融混合してもよい。隠蔽性の
観点から、白色無機粒子がポリエステル樹脂相にも分散
していることが好ましく、ポリエステル樹脂に白色無機
粒子を予め高濃度に混合したマスターバッチを用いた溶
融混合がより好ましい。
【0050】本発明に使用する樹脂組成物の形態は、直
接用いても、及び/又はフィルムに加工して用いてもか
まわない。フィルムに加工して用いる場合は、少なくと
も前記樹脂組成物を単独で成形し、又は他の樹脂または
樹脂組成物及び/又は接着剤と組み合わせて積層してな
る樹脂フィルムを用いてもかまわない。単独成形する場
合は、公知の製法を広く適用できる。具体的には、溶媒
キャスト法、熱圧縮法、カレンダー法、Tダイスキャス
ト法、Tダイス1軸もしくは2軸延伸法、インフレーショ
ン法などが挙げられるが、特にこれらに限定されるもの
ではない。また、単独成形したフィルム上に、フレーバ
ー性、溶出物の流出防止等の目的から、他の樹脂または
樹脂組成物よりなるフィルムを積層する場合も公知の積
層方法が使用できる。具体的には、多層Tダイス法によ
り成形時に積層する方法や、単独成形したフィルムに熱
圧着もしくは接着剤を介して積層する方法などが挙げら
れる。単独成形したフィルムに熱圧着もしくは接着剤を
介して積層する場合は、単独成形した前記フィルムの表
面張力を増大して密着性を増強するため、コロナ放電処
理やプラズマ処理などの公知のフィルム処理してもかま
わない。
【0051】また、接着剤には、特公昭60-12233号公報
に開示されるポリエステル樹脂系の水系分散剤、特公昭
63-13829号公報に開示されるエポキシ系接着剤、特開昭
61-149341号公報に開示される各種官能基を有する重合
体等公知の接着剤を広く使用できる。接着する層、本発
明で用いる樹脂組成物層の主成分に応じて主成分樹脂に
有効な接着剤を選択することが好ましい。さらに、本発
明で用いるフィルムの上下層に、表面硬度付与や意匠性
付与などの目的で、公知の人体に対して無毒な有機物層
もしくは無機物層を積層してもよい。
【0052】さらに、印刷性向上のために前記コロナ放
電処理やプラズマ処理などの公知のフィルム処理しても
かまわない。
【0053】本発明で用いる金属板は、少なくとも前記
樹脂組成物を、直接及び/又は加工してなるフィルムが
表面を被覆した金属板である。金属板は特に限定するも
のではないが、ブリキ、薄錫めっき鋼板、電解クロム酸
処鋼板(ティンフリースチール)、ニッケルめっき鋼板等
の容器用鋼板や、アルミニウム等の金属容器に用いられ
る金属板が挙げられる。また、金属板への被覆も片面又
は両面の何れであっても良い。また、本発明で用いる樹
脂組成物を金属板へ被覆した際の被覆膜厚みは、特に制
限するものではないが、1〜300μmであることが好まし
い。1μm 未満では被膜の耐衝撃性が十分でない場合が
あり、300μm超では経済性が悪い。
【0054】金属板への被覆には、公知の方法が使用で
きる。具体的には、(1) あらかじめ混練機により原料樹
脂を溶融混練することで調製した本樹脂組成物をTダイ
ス付の押出機でフィルム化し、これを金属板に熱圧着す
る方法(この場合、フィルムは無延伸でも、1方向若しく
は2方向に延伸してあっても良い)、(2) Tダイスから出
たフィルムを直接熱圧着する方法、が挙げられる。さら
にフィルムを直接熱圧着する別の方法としては、(3) T
ダイス付の押出機のホッパに本樹脂組成物の代わりに、
本樹脂組成物の原料となる樹脂及び無機粒子を投入し、
押出機内で本樹脂組成物に混練し、それを直接熱圧着す
る方法が挙げられる。更に、本発明で用いる樹脂組成物
は、被覆後の膜内部に結晶化度を傾斜させなくても十分
な耐衝撃性を発現できる。従って、(4) 樹脂組成物を溶
融してバーコーターやロールでコーティングする方法、
(5) 溶融した樹脂組成物に金属板を漬ける方法、(6) 樹
脂組成物を溶媒に溶解してスピンコートする方法、(7)
接着剤等により金属板に被覆することも可能であり、被
覆方法は特に限定されるものではない。
【0055】金属板への被覆方法として作業能率から最
も好ましいのは、上記(1)、(2)及び(3)の方法である。
(2)の方法を使用して被覆する場合は、フィルム厚みは
上記と同様の理由により、1〜300μmであることが好ま
しい。さらに、膜の表面粗度は、フィルム表面粗度を任
意に1mm長測定した結果が、Rmaxで500nm以下であること
が好ましい。 Rmaxが500nm超では、熱圧着で被覆する際
に気泡を巻き込む場合がある。また、前記樹脂組成物の
高い衝撃性のため、延伸をすることなく使用しても高い
衝撃性を発揮する。そのため、延伸することなく容器用
金属被覆材料として使用可能であり、省工程化が可能で
ある。また、無延伸で容器用金属被覆材料として使用す
る場合には、温度、通板速度などの制御で薄膜内の結晶
化度を制御する必要が無いため、プロセスウィンドウの
拡大、高速製造が可能となる。さらに、製膜時、被覆時
の結晶化度を制御するための成形温度制御が容易である
ため、性能の安定した容器製品の製造が可能となる。
【0056】また、前記樹脂組成物を、直接及び/又は
加工してなるフィルムを金属板に被覆する際には、金属
板の片面及び/又は両面に、少なくとも前記記樹脂組成
物あるいは前記フィルムを用いて単一層状に又は多層状
に積層して被覆することが必須である。この際に、1種
類又は2種類以上の樹脂あるいはフィルムを用いて金属
板の片面及び/又は両面に単一層状にあるいは多層状に
積層しても良く、また、必要に応じて、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリカーボネート等のポリエステル樹脂
および当該フィルムや、ポリエチレン等のポリオレフィ
ン樹脂および当該フィルムや、6-ナイロン等のポリアミ
ド樹脂および当該フィルムや、アイオノマー樹脂および
当該フィルム等の他の公知の樹脂および当該フィルム、
あるいは、結晶/非結晶ポリエステル樹脂組成物および
当該フィルム、ポリエステル/アイオノマー樹脂組成物
および当該フィルム、ポリエステル/ポリカーボネート
樹脂組成物および当該フィルム等の公知の樹脂組成物お
よび当該フィルムを、その下層及び/又は上層に積層し
て被覆しても良い。具体的な積層方法としては、上述の
(1)、(2)及び(3)の方法を使用する場合、多層のTダイス
を使用して本発明で用いる樹脂フィルムと他の樹脂フィ
ルムや樹脂組成物フィルムとの多層膜を製造し、これを
熱圧着する方法がある。また、上述の(4)〜(6)の方法を
使用する場合、他の樹脂組成物を被覆した後に本発明で
使用する樹脂組成物を被覆したり、逆に本発明で使用す
る樹脂組成物を被覆した後に他の樹脂組成物を被覆する
ことにより、多層に積層することが可能である。
【0057】本発明で使用する樹脂被覆金属板は、前記
樹脂組成物を、直接及び/又は加工してなるフィルムが
被覆された金属板であり、被覆は片面であっても両面で
あっても良い。金属板の厚みは特に制限するものではな
いが、0.01〜5mmであることが好ましい。0.01mm未満で
は強度が発現し難く、5mm超では加工が困難である。
【0058】本発明の樹脂被覆金属容器は、前記樹脂被
覆金属板からなる金属容器で公知の加工法により成形で
きる。具体的にはドローアイアニング成形、ストレッチ
ドロー成形などが挙げられるが、前記樹脂被覆金属板を
使用した樹脂被覆金属容器であればよく、成形法は例示
した成形法に限定するものではない。なお、成形加工さ
れた前記容器は、公知の方法によって外表面に印刷層が
付与されて製品とされる。
【0059】本発明の樹脂被覆金属容器は、固有粘度0.
3dl/g以上のポリエステル樹脂及び極性基を有するユニ
ットを1質量%以上含有するビニル重合体を含む混合物
に、極性を有する無機粒子を10〜50質量%添加した樹脂
組成物を、直接及び/又はフィルムに加工してから、金
属板に被覆した後、当該金属板を形成加工してなる樹脂
被覆金属容器である。
【0060】使用する樹脂組成物は、ポーリングの電気
陰性度の差が0.45(eV)0.5以上の極性がある白色無機粒
子を添加しているので、当該白色無機粒子成分とポリエ
ステル樹脂のカルボニル基や末端の官能基などの極性ユ
ニットやビニル重合体の極性ユニット間で共有結合や静
電的な相互作用を及ぼすことができる。これ故、ポリエ
ステル樹脂相とビニル共重合体相間の界面の接着力を増
強したり、光散乱効果を高め、高い隠蔽性を発現するこ
とができる。さらに本効果は、無機粒子の極性、分散状
態、ポリエステル樹脂の固有粘度を特定したり、ゴム状
弾性体を特定の分散状態にして添加することにより顕著
に発現させることができる。
【0061】この結果、使用する樹脂組成物は、白色無
機粒子を添加することによる隠蔽性と成形加工性といっ
た背反する特性を高いレベルで有する。さらにポリエス
テル樹脂、極性基を有するユニットを1質量%以上含有す
るビニル重合体からなる樹脂組成物が元来有する耐衝撃
性、耐薬品性、成形性、耐熱性、腐食要因物質のガスバ
リヤ性、耐水性及び金属との密着性を損なうことはな
い。さらに使用する前記樹脂組成物を被覆した金属板
は、良好な成形加工性、耐腐食性などの特性を兼備でき
る本発明の樹脂被覆金属容器は、前記樹脂組成物を、直
接及び/又はフィルムに加工してから、金属板の少なく
とも片面に被覆した後、当該金属板を加工してなる金属
容器であって、耐衝撃性、耐薬品性、成形加工性、耐熱
性、腐食要因物質のガスバリヤ性、耐水性及び金属との
密着性が良好で、特に、従来技術において課題であっ
た、隠蔽性と成形加工性に優れ、多様かつ美麗な印刷等
の意匠を施すことが可能である。従って、外観性、美粧
性に優れ、極めて美麗で、食品保護効果の高い美粧金属
容器を提供することができ、清涼飲料水や食品の容器と
して好適に使用することができる。
【0062】
【実施例】次に、実施例及び比較例に基づいて、本発明
をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱
しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0063】以下の実施例及び比較例において、ポリエ
ステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート(PET)[ユ
ニチカ(株)製SA-1346P、 MA-1344]、ポリブチレンテレ
フタレート(PBT)[ポリプラスチックス(株)製ジュラネッ
クス2001] 、極性基を有するユニットを1質量%以上有す
るビニル重合体としてエチレン-メタクリル酸グリシジ
ル共重合物[住友化学工業(株)製ボンドファースト2C]、
エチレン-アクリル酸アルキル-メタクリル酸グリシジル
共重合物[住友化学工業(株)製ボンドファースト7L]、エ
チレン系アイオノマー[三井デュポン(株)製ハイミラン1
706]、ゴム状弾性体としてエチレン-プロピレンゴム(EP
R)[JSR(株)製EP07P]、エチレン-ブテンゴム(EBM)[JSR
(株)製EBM2041P]を使用した。また、溶融混練に際して
は、フェノール系抗酸化剤[旭電化(株)製アデカスタブA
O-60]を用いた。
【0064】(実施例1〜10)各樹脂と各種無機粒子とを
表1に示す各組成比で、V型ブレンダーを使用してドライ
ブレンドした。なお、フェノール系抗酸化剤AO-60は、
いずれの場合も樹脂組成物100質量部に対して0.1質量部
を添加した。この混合物を2軸押出機で260℃で溶融混練
し、各種白色無機粒子を含有する樹脂組成物ペレットを
得た。なお、各無機粒子ポーリングの電気陰性度の差
は、二酸化チタン:2.0(eV)0.5、硫酸バリウム:2.6(eV)
0.5、シリカ:1.7(eV)0.5、アルミナ:2.0(eV)0.5であ
り、また、添加した各無機粒子の平均粒径は、二酸化チ
タン:0.4μm、硫酸バリウム:0.8μm、シリカ:0.5μm、
アルミナ:0.6μmであった。
【0065】本樹脂組成物からミクロトームで超薄切片
を切り出した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエステル
樹脂中のビニル重合体及びゴム状弾性体の分散状態を透
過型電子顕微鏡で解析した。この結果、実施例1〜4の
ビニル重合体は、等価球換算径は1μm以下でポリエステ
ル樹脂中に微細分散しており、また、実施例5〜10のゴ
ム状弾性体樹脂は、何れもビニル重合体でほぼ100%カプ
セル化されており、ゴム状弾性体樹脂の等価球換算径は
1μm以下でポリエステル樹脂中に微細分散していた。ま
た、いずれも添加した各種無機粒子数の20%以上がポリ
エステル樹脂とビニル重合体の界面に偏在していた。
【0066】
【表1】
【0067】本ペレットを使用して、押出しTダイスで1
5μm厚みのフィルムを得た(押出温度:280℃)。本フィル
ムの隠蔽性を下記に示す評価方法により、評価を行っ
た。また、本フィルムを250℃に加熱した2.5m厚みのテ
ィンフリースチールの片面に張り合わせ、水冷により10
秒以内に100℃以下まで急冷した。このようにして得ら
れた常温の樹脂被覆金属板について、下記に示す評価方
法により、密着性、成形加工性、耐レトルト性、常温耐
衝撃性及び低温耐衝撃性の各項目の評価を行った。
【0068】<隠蔽性>上記の白色フィルム(厚さ15μm)
について、マクベス社製透過濃度計TD932を使用し、透
過ノズル径を3mmとし、入射光量と透過光量に基ずき、
透過光濃度を測定して遮蔽性を評価した。評価は、◎:
0.5以上、○:0.45〜0.5、△:0.4〜0.45、及び×:0.4以
下とした。隠蔽性の結果を表2に示す。
【0069】<密着性>上記の白色フィルム被覆金属板
を、フィルムのみにカッターナイフでクロスカット(5cm
×5cm)を施し、クエン酸1.5質量%-食塩1.5質量%の水溶
液(UCC液)に室温で24時間浸漬した後、フィルムの剥が
れた幅(mm)(10サンプルの平均)で評価した。評価は、
◎:0.0mm、○:0.0〜0.5mm、△:0.5〜2.0mm、及び×:2 .
0mm超とした。密着試験の結果を表2に示す。
【0070】<成形加工性>上記の白色フィルム被覆金
属板を、扱き率70%で扱き加工し、成形加工性を加工後
のフィルム健全性、および鋼板との密着性により評価し
た。評価は、◎:フィルム剥離0.0mm、○:フィルム剥離1
mm未満 、△:フィルム剥離2mm未満、及び×:加工中にフ
ィルム破損とした。加工追従性試験の結果を表2に示
す。
【0071】<耐レトルト性>上記の白色フィルム被覆
金属板を、レトルト処理(水蒸気存在、加圧下、130℃、
30分)し、フィルムの剥離状況、外観変化(凹凸、収縮、
剥離等)を目視で確認した。評価は、◎:異常なし、○:
若干の変化 、△:表面がかなり変化する、及び×:下地
が露出とした。耐レトルト試験の結果を表2に示す。
【0072】<常温耐衝撃性及び低温耐衝撃性>本白色
フィルム被覆金属板の耐衝撃性評価をデュポン式の落垂
衝撃試験で行なった。30cmの高さから金属板に0.5kgの
鉄球を落とした後、サンプルの凸状に膨らんだ側(r=8m
m)が上面となるように金属板を底面にして、凸状部位の
周囲に柔らかいゴム状の樹脂で壁を形成し、その中に1.
0%食塩水を入れて、サンプルを陽極とし、凸状部位近傍
に設置した白金を陰極として+6Vの電圧をかけた際のERV
値(mA)を測定した。ERV値は以下の指標により評価し
た。また、樹脂被覆金属板を0℃の恒温槽に24時間入れ
た後、同様の耐衝撃性評価を行い、低温での耐衝撃性を
評価した。評価は、◎:全サンプルが0.01mA未満、○:1
〜3サンプルが0.01mA以上、△:3〜6サンプルが0.01mA以
上、×:7サンプル以上が0.01mA以上、の基準で行なっ
た。結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】(比較例1〜5)実施例1〜10と同様な方法に
て、樹脂組成物を表3に示す各組成比で、V型ブレンダー
を使用してドライブレンドした。なお、フェノール系抗
酸化剤AO-60は、いずれの場合も樹脂組成物100質量部に
対して0.1質量部を添加した。この混合物を2軸押出機で
260℃で溶融混練し、無機粒子として二酸化チタンを含
有した樹脂組成物ペレットを得た。
【0075】本樹脂組成物からミクロトームで超薄切片
を切り出した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエステル
樹脂中のビニル重合体及びゴム状弾性体樹脂の分散状態
を透過型電子顕微鏡で解析した。この結果、比較例1、2
のビニル重合体は、等価球換算径は1μm以下でポリエス
テル樹脂中に微細分散しており、また、比較例3〜5のゴ
ム状弾性体樹脂は、何れもビニル重合体でほぼ100%カプ
セル化されており、ゴム状弾性体樹脂の等価球換算径は
1μm以下でポリエステル樹脂中に微細分散していた。
【0076】
【表3】
【0077】実施例1〜10と同様に、本ペレットを使用
して押出しTダイスで15μm厚みのフィルムを得ようとし
たが(押出温度:280℃)、比較例2および4は白色無機粒子
を50質量%超添加しているため、安定的に製膜できなか
った。安定製膜できた比較例1、3および5のフィルムに
ついてのみ、隠蔽性を実施例1〜10に示す評価方法によ
り、評価を行った。また、前記安定製膜できたフィルム
についてのみ、250℃に加熱した2.5mm厚みのティンフリ
ースチールの片面に張り合わせ、水冷により10秒以内に
100℃以下まで急冷した。このようにして得られた常温
の樹脂被覆金属板について、実施例1〜10と同様の評価
方法により、密着性、形成加工性、耐レトルト性、常温
耐衝撃性及び低温耐衝撃性の各項目の評価を行った。結
果を表4に示す。
【0078】
【表4】
【0079】実施例1〜10および比較例1〜5の結果より
明らかなように、ポリエステル樹脂および極性基を有す
るユニットを1質量%以上含有するビニル重合体、あるい
は、ポリエステル樹脂、極性基を有するユニットを1質
量%以上含有するビニル重合体およびゴム状弾性体から
なる混合物に、極性を有する白色無機粒子を特定量添加
してなる樹脂組成物よりなるフィルムは、当該樹脂組成
物が元来有している諸物性を保持しつつ高い隠蔽性を有
していた。特に、一般のフィルムでの課題であった、隠
蔽性確保のために無機粒子を添加することによる密着
性、形成加工性等の低下は認められないことが解った。
【0080】(実施例11、12および比較例6、7)ポリエス
テル樹脂としてポリエチレンテレフタレート(PET)[ユニ
チカ(株)製SA-1346P、MA-1344]、およびそれぞれに二酸
化チタン(平均粒子径0.2〜0.3μm)を50%含有するマスタ
ーバッチポリエチレンテレフタレートをあらかじめ調製
した。それぞれのポリエチレンテレフタレート、対応す
るそれぞれ二酸化チタンを50%含有するマスターバッ
チ、極性基を有するユニットを1質量% 以上有するビニ
ル重合体としてハイミラン1706、ゴム状弾性体としてエ
チレン-ブテンゴム(EBM)を、表5に示す各組成比で、V型
ブレンダーを使用してドライブレンドした。なお、フェ
ノール系抗酸化剤AO-60は、いずれの場合も樹脂組成物1
00質量部に対して0.1質量部を添加した。この混合物を2
軸押出機で260℃で溶融混練して二酸化チタン粒子を含
有(最終濃度20%)する樹脂組成物ペレット2種を得た。
【0081】また、比較例として表5に示すように、前
記ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート
(PET)[ユニチカ(株)製SA-1346P、MA-1344]、およびそれ
ぞれに二酸化チタン(平均粒子径0.2〜0.3μm)を50%含有
するマスターバッチポリエチレンテレフタレートのみを
用い、実施例11、12と同様に二酸化チタン粒子を含有
(最終濃度20%)する樹脂組成物ペレット2種を得た。
【0082】
【表5】
【0083】実施例11、12に示す2種の樹脂組成物から
ミクロトームで超薄切片を切り出した後、ルテニウム酸
で染色し、ポリエステル樹脂中のビニル重合体指摘及び
ゴム状弾性体樹脂の分散状態を透過型電子顕微鏡で解析
した。この結果、実施例1〜10と同様に何れもゴム状弾
性体樹脂はビニル重合体でほぼ100%カプセル化されてお
り、ゴム状弾性体樹脂の等価球換算径は1μm以下でポリ
エステル樹脂中に微細分散していた。また、いずれも添
加した各種無機粒子数の20%以上がポリエステル樹脂と
ビニル重合体の界面に偏在していた。
【0084】実施例11、12のペレットおよび比較例6、7
のペレットをそれぞれ使用して、押出しTダイスで15μm
厚みの白色フィルムを得た(押出温度:280℃)。本フィル
ムの隠蔽性を実施例1〜10に示す評価方法により、評価
を行った。また、本フィルムを250℃に加熱した2.5mm厚
みのティンフリースチールの両面に張り合わせ、水冷に
より10秒以内に100℃以下まで急冷した。このようにし
て得られた常温の樹脂被覆金属板を、150mm径の円盤状
に切り取り、絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞
り加工し、55mm径の側面無継目容器(以下容器と略す)を
各々10個作製した。
【0085】これらの容器について、以下の観察及び試
験を行い、各々下記の基準で評価した結果を表6に示
す。
【0086】<深絞り加工性>深絞り加工性後の容器外
面、内面のフィルムの外観変化(剥離、破断等)を目視で
確認した。評価は、○:全10個について異常が認められ
ない、△:1〜5個について変化が認められる 、×:6個以
上について変化が認められる、とした。
【0087】<耐レトルト性>上記の樹脂被覆金属板
を、定法によりレトルト処理し、容器外面、内面のフィ
ルムの外観変化(凹凸、収縮、剥離等)を目視で確認し
た。評価は、○:全10個について異常が認められない、
△:1〜5個について変化が認められる、×:6個以上につ
いて変化が認められる、とした。
【0088】<耐衝撃性>深絞り加工性後の容器に、蒸
留水を満注し、各サンプルにつき10個ずつ高さ10cmから
塩ビタイル床面に落とした後、容器内の前記ERV試験を
行った。評価は、○:全10個について0.1mA以下であっ
た、△:1〜5個について0.1mA超であった、×:6個以上に
ついて0.1mA超であった、とした。
【0089】
【表6】
【0090】実施例11、12と比較例6、7より、同じ酸化
チタンを用い、濃度を同一にした場合、本発明で用いる
白色フィルムの方が高い隠蔽性を示し、容器成形加工に
おいても全く問題はなかった。さらに、本発明の容器は
耐レトルト性、耐衝撃性を有した。さらに、実施例11、
12の容器に、ウレタン樹脂を主たるバインダーとして使
用されている有色インキを用いてグラビア印刷方法に
て、アルファベットの”ABCDEFG”の文字の印刷を施
し、印刷後、80℃/1分間の乾燥を行った結果、当該被覆
フィルム上の文字、にじみは認められなかった。
【0091】上記実施例1〜12および比較例1〜7で明ら
かなように、ポリエステル樹脂、ビニル重合体、ゴム状
弾性体に、所定の極性を有する白色無機粒子を所定量添
加することにより得られる樹脂組成物を被覆した金属容
器は、ポリエステル樹脂とビニル重合体からなる樹脂組
成物が元来有する形成加工性、耐衝撃性、金属との密着
性等の優れた物理特性を損なうことなく、高い隠蔽性、
印刷性を有することが解った。
【0092】
【発明の効果】本発明の樹脂被覆金属容器は、極性を有
する白色無機粒子を特定の分散状態としているので、当
該白色無機粒子成分とポリエステル樹脂のカルボニル基
や末端の官能基などの極性ユニットやビニル重合体の極
性ユニット間で共有結合や静電的な相互作用を及ぼすた
め、ポリエステル樹脂相とビニル共重合体相間の界面の
接着力を増強し、また高い隠蔽効果を有する。
【0093】さらにポリエステル樹脂、極性基を有する
ユニットを1質量%以上含有するビニル重合体が元来有す
る耐衝撃性、耐薬品性、成形性、耐熱性、腐食要因物質
のガスバリヤ性、耐水性及び金属との密着性を損なうこ
とはない。
【0094】従って、本発明の樹脂被覆金属容器は、耐
衝撃性、耐薬品性、成形性、耐熱性、腐食要因物質のガ
スバリヤ性、耐水性及び金属との密着性が良好で、特
に、隠蔽性、成形加工性にすぐれ、多様かつ美麗な意匠
を付与することが可能となる。従って、外観性、美粧性
に優れ、極めて美麗で、食品保護効果の高い美粧金属容
器を提供することができ、清涼飲料水や食品の容器とし
て好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 65/40 B65D 65/40 D C08K 3/00 C08K 3/00 C08L 57/00 C08L 57/00 67/00 67/00 (72)発明者 上代 洋 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 仁木 一成 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 菊地 安広 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 納見 義広 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 3E086 AB01 BA04 BA13 BA15 BB01 BB41 BB74 CA01 CA11 4F100 AA21B AB01A AB03A AK41B AK42B AK65B AK70B AL05B AN02B BA02 BA07 DA01 GB16 GB32 JA06B JJ03 JK10 JL01 JL10 JN02 YY00B 4J002 BE02X BE05X BF02X BG01X BG04X BG10X BG12X BH02X CF03W CF04W CF05W CF06W CF07W CF08W CF14W CF18W DE106 DE116 DE136 DE236 DG046 DG056 DJ016

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固有粘度0.3dl/g以上のポリエステル樹
    脂及び極性基を有するユニットを1質量%以上含有するビ
    ニル重合体を含む混合物に、極性を有する白色無機粒子
    を10〜50質量%添加してなる樹脂組成物を、直接及び/又
    はフィルムに加工してから、金属板の少なくとも片面に
    被覆した後、当該金属板を成形加工してなる樹脂被覆金
    属容器であって、前記ポリエステル樹脂と前記ビニル重
    合体の界面に偏在する前記無機粒子数が全無機粒子の20
    %以上、及び/又は、前記無機粒子が偏在する前記ポリ
    エステル樹脂と前記ビニル重合体の界面層数が全界面層
    数の20%以上であることを特徴とする樹脂被覆金属容
    器。
  2. 【請求項2】 前記樹脂組成物が、ゴム状弾性体樹脂を
    前記ビニル重合体の一部又は全部の相に内包する請求項
    1記載の樹脂被覆金属容器。
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