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JP2003096287A - ポリエステル系樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル系樹脂組成物およびその製造方法

Info

Publication number
JP2003096287A
JP2003096287A JP2001285743A JP2001285743A JP2003096287A JP 2003096287 A JP2003096287 A JP 2003096287A JP 2001285743 A JP2001285743 A JP 2001285743A JP 2001285743 A JP2001285743 A JP 2001285743A JP 2003096287 A JP2003096287 A JP 2003096287A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
formula
mol
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001285743A
Other languages
English (en)
Inventor
Toyoaki Ishiwatari
豊明 石渡
Hiroshi Sakurai
博志 櫻井
Masayuki Jokai
真之 畳開
Shunichi Matsumura
俊一 松村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP2001285743A priority Critical patent/JP2003096287A/ja
Publication of JP2003096287A publication Critical patent/JP2003096287A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、機械特性、帯電防止効果、帯電防止
効果持続性等に優れ、各種成形物や電気・電子部材など
に好適に用いることができる樹脂組成物とその製造法と
を提供する。 【解決手段】 本発明に係るポリエステル系樹脂組成物
は、特定の構造の全芳香族ポリエステルカーボネート
と、ナフタレンジカルボン酸成分、スルホン酸塩基で置
換された芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成
分、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分よりな
る特定の組成のポリエーテルエステルとを含んでなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、帯電防止効果を
有するポリエステル系樹脂組成物に関する。更に詳しく
は、耐熱性に優れ、帯電防止効果が持続するポリエステ
ル系樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック材料は優れた諸特性を生か
し、電気電子用部材、自動車用部材、医療用部材、生活
用品、その他各種成形物として使用される。
【0003】ところで、一般にプラスチックには、電気
絶縁性が高いという特徴があるが、そのために帯電した
静電気が散逸しにくく、製品へのほこりの付着、作業者
への電撃、計器類やICチップ類の誤動作といった問題
が生じている。そこで各種のプラスチック材料に対して
帯電防止方法の研究がなされてきた。
【0004】プラスチックの帯電防止方法としては、内
部添加型と塗布型がある。塗布型では、別工程が必要で
あり、製造プロセス上は、内部添加型の方が有利であ
る。
【0005】内部添加型による方法ではこれまで、アル
キルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩とい
ったイオン性界面活性剤をポリマー中に練り込む方法
が、効果や経済性に優れるために一般的に採用されてき
た。
【0006】中でもイオン性界面活性剤としてアルキル
(アリール)スルホン酸塩を利用した系はよく検討され
ており、帯電防止効果の大きいものとして、例えば、ア
ルカンのセカンダリー位をスルホン酸金属塩に置換した
もの(特開平5−222241号公報)、ホスホニウム
塩を利用したもの(特開昭62−230835号公報)
が開示されている。
【0007】しかし、こうした低分子量の界面活性剤を
利用する方法では、かかる界面活性剤が樹脂表面に染み
出すために、帯電防止効果は高いものの、拭いたり、水
洗いしたりするとその効果が低下するという問題点があ
る。
【0008】また、永久的な帯電防止効果を付与するも
のとして、ポリマーの末端にフェノールスルホン酸のホ
スホニウム塩を化学的に結合させ、永久的な帯電防止効
果を発現させる方法(特開昭63−263627号公
報、特開昭64−14268号公報)が開示されてい
る。
【0009】しかし、この方法では、確かに永久的な帯
電防止効果があるものの、分子末端を利用するためにポ
リマーを高重合度化すると帯電防止効果が少なくなり、
帯電防止性の末端基数を増加して帯電防止効果を高める
と物性が低下するという問題がある。
【0010】ところで、特開平6−57153号公報に
おいて、ポリアルキレングリコール、グリコールおよび
多価カルボン酸からなるポリエーテルエステルが記載さ
れている。かかるポリマーは他の熱可塑性樹脂に混合す
ることにより永久的な帯電防止性を示すものの、かかる
ポリマー単独ではその効果が不足する。そこで更に帯電
防止効果を上げるために、ドデシルスルホン酸ナトリウ
ム等のイオン性界面活性剤を併用することについても述
べられている。
【0011】しかしながら、そうした場合には水洗いに
より帯電防止効果が低下し、効果の永久性が不十分とい
う問題がある。
【0012】更にこのポリエーテルエステルは、熱可塑
性の各種ポリマーに適用されるものの、全芳香族ポリエ
ステル等、ポリエーテル成分との親和性の良いポリマー
については、効果があまりないという問題がある。
【0013】また、特開平9−249805号公報およ
び特開平9−176412号公報にポリスチレンやポリ
カーボネートに特定のポリエーテルエステルを混練する
方法が開示されており、帯電防止効果の耐久性等の面で
の改善案として提案されている。しかしながら、近年、
これら帯電防止効果を備えた樹脂組成物においてより、
耐熱性に優れた材料が求められてきている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】そこで本願発明の目的
は、帯電防止効果に優れ、かつ耐熱性・機械特性に優れ
た、樹脂組成物を提供することにある。また本願発明の
他の目的は、帯電防止効果を有する該樹脂組成物の製造
方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】すなわち、本願発明の1
態様は、全芳香族ポリエステルカーボネート(A)とポ
リエーテルエステル(B)とを含んでなるポリエステル
系樹脂組成物であって、全芳香族ポリエステルカーボネ
ート(A)が、下記式(I)
【0016】
【化21】
【0017】[上記式(I)中のA1は非反応性の置換
基を有していても良い芳香族基であり、A2、A3は各々
置換されてもよいフェニレン基である。Xは下式群(I
I)
【0018】
【化22】
【0019】から選ばれる基を表す。上記式群(II)
中のR1、R2、R3およびR4は、各々独立に水素原子、
ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5ま
たは6のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール
基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる少
なくとも1種の基である。qは4〜10の整数を示
す。]で示される構造単位(A−1)と下記式(II
I)
【0020】
【化23】
【0021】[式(III)中、A2、A3、Xはそれぞ
れ上記式(I)の定義と同じである。]で示される構造
単位(A−2)とを、構造単位(A−1)と(A−2)
との合計量に対し構造単位(A−1)が50モル%以上
100モル%以下の割合で含有し、ポリエーテルエステ
ル(B)が、ナフタレンジカルボン酸成分(B−1)
と、下記式(IV)
【0022】
【化24】
【0023】[式(IV)中、Arは炭素数6〜12の
3価の芳香族基を表わし、M+は金属イオン、テトラア
ルキルホスホニウムイオンまたはテトラアルキルアンモ
ニウムイオンを表わす。]で示されるスルホン酸塩基で
置換された芳香族ジカルボン酸成分(B−2)と、炭素
数2〜10の脂肪族ジオール成分(B−3)と、数平均
分子量200〜50000のポリ(アルキレンオキシ
ド)グリコール成分(B−4)と、よりなり、(B−
1)と(B−2)との合計量に対し、(B−1)を50
モル%以上95モル%以下の割合で含有し、(B−
1)、(B−2)、(B−3)および(B−4)の4成
分の合計量に基づく(B−4)の含有量が10重量%以
上40重量%以下の範囲内であることを特徴とするポリ
エステル系樹脂組成物である。
【0024】本願発明の他の1態様は、全芳香族ポリエ
ステルカーボネート(A)とポリエーテルエステル
(B)とを溶融混合してなるポリエステル系樹脂組成物
であって、混合前において、全芳香族ポリエステルカー
ボネート(A)が、上記(I)で示される構造単位(A
−1)と上記式(III)で示される構造単位(A−
2)とを、構造単位(A−1)と(A−2)との合計量
に対し構造単位(A−1)が50モル%以上100モル
%以下の割合で含有し、ポリエーテルエステル(B)
が、ナフタレンジカルボン酸成分(B−1)と、上記
(IV)で示されるスルホン酸塩基で置換された芳香族
ジカルボン酸成分(B−2)と、炭素数2〜10の脂肪
族ジオール成分(B−3)と、数平均分子量200〜5
0000のポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分
(B−4)と、よりなり、(B−1)と(B−2)との
合計量に対し、(B−1)を50モル%以上95モル%
以下の割合で含有し、(B−1)、(B−2)、(B−
3)および(B−4)の4成分の合計量に基づく(B−
4)の含有量が10重量%以上40重量%以下の範囲内
であることを特徴とするポリエステル系樹脂組成物であ
る。
【0025】本願発明のさらに他の1態様は、上記式
(I)で示される構造単位(A−1)と上記(III)
で示される構造単位(A−2)と、ナフタレンジカルボ
ン酸成分(B−1)と、上記式(IV)で示されるスル
ホン酸塩基で置換された芳香族ジカルボン酸成分(B−
2)と、炭素数2〜10の脂肪族ジオール成分(B−
3)と、数平均分子量200〜50000のポリ(アル
キレンオキシド)グリコール成分(B−4)と、よりな
り、構造単位(A−1)と(A−2)との合計量に対し
構造単位(A−1)を50モル%以上100モル%以下
の割合で含有し、(B−1)と(B−2)との合計量に
対し、(B−1)を50モル%以上95モル%以下の割
合で含有し、(B−1)、(B−2)、(B−3)およ
び(B−4)の4成分の合計量に基づく(B−4)の含
有量が10重量%以上40重量%以下の範囲内であり、
フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン(重
量比60/40)の混合溶媒中、濃度1.2g/100
mLで35℃にて測定した還元粘度が0.4以上である
ことを特徴とするポリエステル系樹脂組成物である。
【0026】本願発明のさらに他の1態様は、このよう
な全芳香族ポリエステルカーボネート(A)とポリエー
テルエステル(B)とを溶融混合することによるポリエ
ステル系樹脂組成物の製造方法である。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本願発明に係るポリエステ
ル系樹脂組成物およびその製造方法について詳細に説明
する。
【0028】本願発明の1態様に係る樹脂組成物は、上
記全芳香族ポリエステルカーボネート(A)と上記ポリ
エーテルエステル(B)とを含んでなる。
【0029】その組成は、全芳香族ポリエステルカーボ
ネート(A)が100重量部に対し、ポリエーテルエス
テル(B)が5重量部以上40重量部の範囲であること
が望ましい。
【0030】ポリエーテルエステル(B)が5重量部未
満の場合、帯電防止効果が充分でなく、また、40重量
部より多いと耐熱性が不十分となる場合が多い。
【0031】より好ましくは、7重量部以上35重量部
以下であり、さらに好ましくは、10重量部以上30重
量部以下である。
【0032】本願発明における全芳香族ポリエステルカ
ーボネート(A)は、全芳香族ポリエステル成分である
構造単位(A−1)および/またはポリカーボネート成
分である構造単位(A−2)とを含んでなり、構造単位
(A−1)と(A−2)との合計量に対し構造単位(A
−1)を50モル%以上100モル%以下の割合で含有
する。
【0033】構造単位(A−2)が0モル%の時、全芳
香族ポリエステルカーボネート(A)は実質的に全芳香
族ポリエステルであり、0モル%より高い値のとき、全
芳香族ポリエステルカーボネートとなる。すなわち、本
願発明に係る全芳香族ポリエステルカーボネート(A)
には実質的にカーボネート成分を含まない場合も含まれ
る。
【0034】構造単位(A−1)が50モル%未満の場
合は、得られる樹脂組成物の耐熱性が不十分となる場合
が多い。好ましくは、構造単位(A−2)が1モル%以
上50モル%以下であり、より好ましくは、3モル%以
上45モル%以下である。
【0035】また、上記式(I)中のA1は非反応性の
置換基を有していても良い芳香族基であり、フェニレン
基、ジフェニレン基、ナフチレン基、ジフェニレンエー
テル基、ジフェニレンスルホン基、ジフェニレンインダ
ン基などを例示することができる。この中でも特に、m
−フェニレン基、p−フェニレン基が好ましい。
【0036】上記式(I)および(III)中、A2
よびA3は各々独立に非反応性の置換基を有していても
よいフェニレン基である。非反応性の置換基としては、
メチル基、エチル基といった炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数5または6のシクロアルキル基、塩素、臭素
などのハロゲン基、炭素数6〜12のアリール基、およ
びベンジル基などの炭素数7〜12のアラルキル基を例
示することができる。A2およびA3の好ましい例として
は、p−フェニレン基を挙げることができる。
【0037】また、式群(II)中のR1、R2、R3
よびR4は、各々独立に水素原子、メチル基、エチル基
といった炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5または6
のシクロアルキル基、塩素、臭素などのハロゲン基、炭
素数6〜12のアリール基、およびベンジル基などの炭
素数7〜12のアラルキル基などから選ばれる少なくと
も1種の基である。qは4〜10の整数を示す。この中
でも特に好ましい例としては下記式
【0038】
【化25】
【0039】が挙げられる。
【0040】なお、構造単位(A−1)および構造単位
(A−2)はそれぞれ、2種以上併用することができ
る。また、物性を損なわない範囲(例えば10モル%以
下)で、その他の成分を含んでいても良い。
【0041】本願発明に用いられる全芳香族ポリエステ
ルカーボネート(A)は、従来公知のいずれの製造方法
を用いて製造しても良い。例えば、芳香族ジオールと芳
香族ジカルボン酸クロライド、ホスゲンなどを原料とす
る界面重合法、芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸フ
ェニルエステル、ジアリールカーボネートなどを原料と
する溶融重合法、芳香族ジオールのジアセテート誘導体
と芳香族ジカルボン酸、ジアリールカーボネートなどを
原料とする溶融重合法、芳香族ジオール、芳香族ジカル
ボン酸およびジアリールかボーネートを用いる溶融重
合、また、これらの方法により得られるプレポリマーを
固相重合せしめる固相重合法などが例示される。
【0042】なかでも、芳香族ジオールと芳香族ジカル
ボン酸とジアリールカーボネートとを原料とする溶融重
合法が好ましい例として挙げることができる。具体的に
は、原料として下記式(VIII)
【0043】
【化26】
【0044】で表わされる芳香族ジカルボン酸(a)お
よび下記式(V)
【0045】
【化27】
【0046】で表わされる芳香族ジオール(b)および
下記式(VI)
【0047】
【化28】
【0048】で表わされるジアリールカーボネート
(c)を用いることができる。
【0049】ここで、上記式(VIII)、(V)中の
1、A2、A3およびXは上記式(I)における定義と
同じである。
【0050】好ましい例も上記式(I)の場合と同じで
あり、ジカルボン酸(a)としては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタル
酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−
2,7−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボ
ン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジ
カルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェ
ニルインダンジカルボン酸等を好ましい例として挙げら
れる。
【0051】これら芳香族ジカルボン酸は単独で用いて
も良く、複数を同時に用いても良い。
【0052】特に、テレフタル酸とイソフタル酸を同時
に用いることが好ましい。その場合、テレフタル酸とイ
ソフタル酸の割合は、モル%で10/90〜90/10
が好ましい。より好ましくは、20/80〜80/20
である。
【0053】芳香族ジオール(b)としては、ビスフェ
ノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シ
クロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−
ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジクロロ−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、ハイドロキノン、4,
4’−ジヒドロキシビフェニル等が例示され、これらの
うちビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0054】さらに好ましい例としては、ビスフェノー
ルAを挙げることができる。また、これらジオール成分
は、2種以上を併用してもよい。
【0055】また、上記式(VI)中のR8、R9は各々
独立にハロゲン原子やアルキル基、シクロアルキル基、
アラルキル基などの非反応性の置換基を有していても良
い芳香族基であり、フェニル基、メチルフェニル基、ク
ロロフェニル基、ナフチル基などが例示できる。この中
でもフェニル基が特に好ましい。
【0056】すなわち、ジアリールカーボネート(c)
の好ましい例としては、ジフェニルカーボネート、ジ−
p−トリルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジ
−p−クロロフェニルカーボネート、フェニル−p−ト
リルカーボネート等が挙げられるが、これらのうちジフ
ェニルカーボネートが特に好ましい。
【0057】炭酸ジエステルは置換されていてもよく、
単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0058】本願発明における全芳香族ポリエステルカ
ーボネート(A)は、フェノール/1,1,2,2−テ
トラクロロエタン(重量比60/40)の混合溶媒中3
5℃で測定した還元粘度(濃度1.2g/dL)が0.
4dL/g以上であることが好ましい。
【0059】還元粘度が0.4dL/gより小さいと機
械物性低下の原因となる。
【0060】還元粘度に対する上限は、かかるポリマー
が実質的に線状の重合体であるので、帯電防止効果の点
でも機械物性の点でも高い方が好ましいが、実質的な重
合度の上限は4.0dL/g程度である。
【0061】還元粘度はより好ましくは0.5dL/g
以上であり、さらに好ましくは0.55dL/g以上で
ある。
【0062】更に、上記化合物(a)、(b)、(c)
から本願発明に用いられる全芳香族ポリエステルカーボ
ネート(A)を製造するには、原料の芳香族ジカルボン
酸成分(a)、芳香族ジオール成分(b)、およびジア
リールカーボネート(c)を下記式(1)、(2) 0.5≦Ma/Mb≦1.1 (1) 0.95≦(Ma+Mb)/Mc≦1.05 (2) を同時に満足するモル割合で使用することが好ましい。
【0063】ここで上記数式(1)、(2)中、Maは
芳香族ジカルボン酸成分(a)、Mbは芳香族ジオール
成分(b)、Mcはジアリールカーボネート(c)の各
モル数である。
【0064】上記式(1)の値Ma/Mbが1以上であ
るとき実質的に得られるポリマーは全芳香族ポリエステ
ルである。
【0065】値Ma/Mbが1未満であるとき実質的に
得られるポリマーは全芳香族ポリエステルカーボネート
(A)である。
【0066】上記式(1)において、Ma/Mb<0.
5のとき、全芳香族ポリエステルカーボネート(A)の
耐熱性が不十分となり、好ましくない場合が多い。
【0067】また、Ma/Mb>1.1のとき、十分な
重合度の全芳香族ポリエステルカーボネート(A)を得
ることが困難となり、得られるポリエステル系樹脂組成
物の耐熱性や機械特性の低下を招くことがある。
【0068】また、高分子量体を得るために長時間が必
要となり、その結果、着色した全芳香族ポリエステルカ
ーボネート(A)となり、得られるポリエステル系樹脂
組成物の色相が悪くなり、好ましくない場合が多い。
【0069】上記式(2)において、Mc/(Ma+M
b)<0.95のとき、得られる全芳香族ポリエステル
カーボネート(A)のカルボン酸末端基を20モル/t
(トン)以下とするために長時間を必要とし、好ましく
ない場合が多い。
【0070】また、Mc/(Ma+Mb)>1.05の
とき、得られる全芳香族ポリエステルカーボネート
(A)の着色が激しくなり、その結果、得られるポリエ
ステル系樹脂組成物の品質を低下させるため、好ましく
ない場合が多い。
【0071】本願発明に使用される全芳香族ポリエステ
ルカーボネート(A)を製造する場合、上記化合物
(a)、(b)、(c)とともに、物性を損なわない範
囲で、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン二
酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸等の脂肪族または脂環族のジカルボン酸およびそのエ
ステル形成性誘導体、エチレングリコール、トリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール等の脂肪族または脂環族のジ
オールおよびそのエステル形成性誘導体、p−ヒドロキ
シ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ
−2−ナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸およびその
エステル形成性誘導体等を共重合しても構わない。
【0072】本願発明に使用される全芳香族ポリエステ
ルカーボネート(A)を製造する場合、上記化合物
(a)、(b)、(c)を触媒の存在下で反応させるの
が好ましい。触媒として下記式(VII)
【0073】
【化29】
【0074】で示されるピリジン系化合物の存在下で反
応を行うことが好ましい。
【0075】上記式(VII)中、R5、R6は、各々独
立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜
10のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基
および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる少な
くとも1種の基である。また、R5とR6との間に結合が
あってもよい。R7は水素原子、炭素数1〜6のアルキ
ル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜
12のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基
から選ばれる少なくとも1種の基である。nは1〜4の
整数を示す。
【0076】例として、4−ジメチルアミノピリジン、
4−ジエチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジ
ン、4−ピペリジノピリジン、4−ピロリノピリジン、
2−メチル−4−ジメチルアミノピリジン等を挙げるこ
とができるが、これらに限定されない。
【0077】特に好ましい例としては4−ジメチルアミ
ノピリジンを挙げることができる。これらの化合物は単
独で用いても良く、また、二種以上を組み合わせても良
い。
【0078】これらの化合物は、特に限定するものでは
ないが、芳香族ジヒドロキシ化合物(b)に対して0.
01モル%〜10モル%の量とすることが好ましく、
0.05モル%〜1モル%の量とすることがより好まし
い。また、かかるピリジン化合物を有機酸塩または無機
酸塩の形で用いても良い。
【0079】また触媒として上記ピリジン化合物と共に
従来のエステル交換触媒を用いても良い。これらエステ
ル交換触媒としては、例えば、錫、アンチモン、ストロ
ンチウム、亜鉛、コバルト、ニッケル、チタン、ゲルマ
ニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の単体、酸
化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩等の無機酸塩
類、有機酸塩類、錯塩等が挙げられる。
【0080】これら従来公知のエステル交換触媒の使用
量は特に制限はないが、芳香族ジヒドロキシ化合物
(b)に対して0.001モル%〜1モル%の量とする
ことが好ましい。より好ましくは、0.005モル%〜
0.1モル%である。
【0081】また、特に限定するものではないが、本願
発明に用いられる全芳香族ポリエステルカーボネート
(A)はそのカルボン酸末端基が20モル/t以下であ
ることが好ましい。
【0082】カルボン酸末端基が20モル/tを超える
と、最終的に得られる樹脂組成物の溶融加工時に発泡し
てしまうことがある。
【0083】カルボン酸末端基は好ましくは0.01〜
18モル/t、より好ましくは0.05〜15モル/t
である。
【0084】カルボン酸末端基を0.01モル/t未満
とするためには特殊な末端封止剤と反応させるか、ある
いは長時間反応させる必要があり、着色などの点から好
ましくない場合が多い。
【0085】更には、フェノール性末端基とカルボン酸
末端基の合計量は300モル/t以下であることが好ま
しい。
【0086】この合計量が300モル/tを超えると、
最終的に得られる樹脂組成物の溶融加工時に激しく着色
することがある。
【0087】また、フェノール性末端基とカルボン酸末
端基の合計量はより好ましくは0.05〜250モル/
t、さらに好ましくは0.1〜200モル/tである。
【0088】フェノール性末端基とカルボン酸末端基と
の合計量を0.05モル/t未満とするためには特殊な
末端封止剤と反応させるか、あるいは長時間反応させる
必要があり、着色などの点から好ましくない場合が多
い。
【0089】上記式(VII)で表わされるピリジン化
合物系触媒を用いると、得られる全芳香族ポリエステル
中のカルボン酸末端基が20モル/t以下であり、かつ
フェノール性末端基とカルボン酸末端基の合計量が10
0モル/t以下となり、好ましい末端基量の全芳香族ポ
リエステルカーボネート(A)を得ることが可能とな
る。
【0090】本願発明に使用される全芳香族ポリエステ
ルカーボネート(A)を溶融重合する際の重合温度は2
80〜400℃とすることが好ましい。ここで、重合温
度とは重合後期あるいはその終了時における温度、すな
わち最高到達温度を意味する。
【0091】重合温度が280℃よりも低いとポリマー
の熔融粘度が高くなるため高重合度のポリマーを得るこ
とができず、また400℃よりも高いとポリマーの劣化
等が生じ易くなり好ましくない場合が多い。
【0092】本願発明に使用される全芳香族ポリエステ
ルカーボネート(A)を溶融重合する際、重合反応温度
の初期は比較的低温とし、これを徐々に昇温して最終的
に上記重合温度にすることが好ましい。この際の初期重
合反応の反応温度は好ましくは160〜320℃であ
る。
【0093】この重合反応は常圧下、または減圧下で実
施される。また、常圧時には窒素、アルゴン等の不活性
ガス雰囲気下とすることが好ましい。
【0094】重合反応時間は特に制限はないがだいたい
1〜20時間程度である。
【0095】本願発明に使用される全芳香族ポリエステ
ルカーボネート(A)は単独で用いても良く、また2種
以上を併用しても構わない。
【0096】本願発明に使用される全芳香族ポリエステ
ルカーボネート(A)を溶融重合する際、必要に応じて
安定剤、着色剤、顔料、滑剤等の各種添加剤を添加して
も構わない。
【0097】本願発明に使用される全芳香族ポリエステ
ルカーボネート(A)中の塩素原子含有量は、特に限定
されるものではないが、100重量ppm以下であるこ
とが好ましい。
【0098】100重量ppmを超えると、樹脂組成物
の溶融加工時着色が激しくなることがあり、好ましくな
い場合が多い。芳香族ポリエステル(カーボネート)中
の塩素原子含有量はより好ましくは80重量ppm以
下、さらに好ましくは50重量ppm以下である。
【0099】本願発明におけるポリエーテルエステル
(B)を構成する成分のひとつであるナフタレンジカル
ボン酸成分(B−1)を形成するための原料としては、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレン
ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を挙げる
ことができ、ナフタレンがアルキル置換、ハロゲン置換
されていてもよい。
【0100】エステル形成性誘導体としては、2,6−
ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸ジエチル、2,7−ナフタレンジカルボン
酸ジメチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジエチル
等の芳香族ジカルボン酸ジアルキルエステルを挙げるこ
とができる。
【0101】これらのナフタレンジカルボン酸およびこ
れらのエステル形成性誘導体は単独で使用しても2種以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0102】また、ナフタレンジカルボン酸成分(B−
1)の一部を形成するための原料について、好ましくは
20モル%以下をテルフタル酸、イソフタル酸、ジフェ
ニル−4,4’−ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン
酸等のジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導
体などの異種以上で置き換えてもよい。
【0103】本願発明において用いられるスルホン酸塩
基(−SO3 -+)で置換された芳香族ジカルボン酸成
分(B−2)は、下記式(IV)
【0104】
【化30】
【0105】で表わされる。
【0106】上記式(IV)において、M+は金属イオ
ン、テトラアルキルホスホニウムイオン、テトラアルキ
ルアンモニウムイオンのうちから選ばれるイオンを表わ
す。
【0107】M+としては、ナトリウムイオン、カリウ
ムイオン、イリウムイオン、等のアルカリ金属イオン、
カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土
類金属イオン、亜鉛イオン等の金属イオン、テトラブチ
ルホスホニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオ
ン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラメチルア
ンモニウムイオン等である。
【0108】これらのイオンの中で金属イオンが好まし
く、アルカリ金属イオン、亜鉛イオンがより好ましい。
ただし2価の金属イオンの場合にはスルホン酸塩基2モ
ルに対し、金属イオン1モルが対応するものとする。
【0109】上記式(IV)中のArは、ベンゼン環、
ナフタレン環等の炭素数6〜12の3価の芳香族基であ
り、これらはまた、アルキル基、フェニル基、ハロゲ
ン、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
【0110】かかる芳香族ジカルボン酸成分を形成する
ための原料としては、4−ナトリウムスルホ−イソフタ
ル酸、5−ナトリウムスルホ−イソフタル酸、4−カリ
ウムスルホ−イソフタル酸、5−カリウムスルホ−イソ
フタル酸、2−ナトリウムスルホ−テレフタル酸、2−
カリウムスルホ−テレフタル酸、4−スルホ−イソフタ
ル酸亜鉛、5−スルホ−イソフタル酸亜鉛、2−スルホ
−テレフタル酸亜鉛、4−スルホ−イソフタル酸テトラ
アルキルホスホニウム塩、5−スルホ−イソフタル酸テ
トラアルキルホスホニウム塩、2−スルホ−テレフタル
酸テトラアルキルホスホニウム塩、4−スルホ−イソフ
タル酸テトラアルキルアンモニウム塩、5−スルホ−イ
ソフタル酸テトラアルキルアンモニウム塩、2−スルホ
−テレフタル酸テトラアルキルアンモニウム塩、4−ナ
トリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4
−ナトリウムスルホ−2,7−ナフタレンジカルボン
酸、4−カリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、4−カリウムスルホ−2,7−ナフタレンジカル
ボン酸、4−スルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸
亜鉛、4−スルホ−2,7−ナフタレンジカルボン酸亜
鉛、またはこれらのジメチルエステル、ジエチルエステ
ルなどの芳香族ジカルボン酸エステル等を挙げることが
できる。
【0111】これらの中で、Arが置換基を有さず、M
+がナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンであ
ることが、帯電防止性、重合性、機械特性、色相の面で
より好ましい。
【0112】上記化合物としては、4−ナトリウムスル
ホ−イソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホ−イ
ソフタル酸ジメチル、4−カリウムスルホ−イソフタル
酸ジメチル、5−カリウムスルホ−イソフタル酸ジメチ
ル、2−ナトリウムスルホ−テレフタル酸ジメチル、2
−カリウムスルホ−テレフタル酸ジメチル、4−ナトリ
ウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチ
ル、4−ナトリウムスルホ−2,7−ナフタレンジカル
ボン酸ジメチル、4−カリウムスルホ−2,6−ナフタ
レンジカルボン酸ジメチル、4−カリウムスルホ−2,
7−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主として用いる
ことがさらに好ましい。
【0113】本願発明によれば、ポリエーテルエステル
(B)を構成する2種のジカルボン酸成分は、(B−
1)と(B−2)との合計量に対し、(B−1)を50
モル%以上95モル%以下の割合で含有する。
【0114】(B−2)の割合が5モル%未満では、最
終的に得られる本願発明の樹脂組成物の帯電防止効果が
十分でなかったり、水洗いや表面拭き取り時に対する帯
電防止効果の耐久性が充分ではない場合が多くなる。
【0115】逆に(B−2)が50モル%を超えると、
重合反応が困難になり、充分な重合度のポリエーテルエ
ステル(B)を得にくくなったり、取扱性が悪化する場
合が多くなる。
【0116】上記(B−1)および(B−2)の好まし
い割合は、(B−1)と(B−2)との合計量に対し、
(B−1)が60〜94モル%、さらに好ましくは70
〜93モル%である。
【0117】本願発明に用いる炭素数2〜10の脂肪族
ジオール成分(B−3)を形成するための原料として
は、具体的にはエチレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコ
ール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5
−ペンタンジオール等を例示することができる。かかる
(B−3)を形成するための原料は、ジエチレングリコ
ールのようにエーテル結合、チオジエタノールのように
チオエーテル結合を含んでいてもよい。
【0118】また、下記式(B−31)、(B−32)
【0119】
【化31】
【0120】で表わされるような炭素数10〜30のジ
オールを上記脂肪族ジオール成分(B−3)の一部を形
成するための原料として使用することも、ポリエーテル
エステル(B)全体の屈折率を向上させる上で好まし
い。
【0121】例えば、ポリエーテルエステル(B)全体
の屈折率を向上させると、実質的に全芳香族ポリエステ
ルカーボネート(A)との屈折率差が小さくなり、樹脂
組成物であるにもかかわらず、透明感が得られやすくな
ったりでき、用途に応じて外観の透明度を調整すること
も可能である。
【0122】上記式(B−31)中、Ar1は、ベンゼ
ン環、ナフタレン環等の炭素数6〜12の2価の芳香族
基であり、上記式(B−32)中、A2およびA3は式
(I)中のものと同じ定義である。また、Yは式(I)
中のXと同じ定義に加え、下記式群
【0123】
【化32】
【0124】から選ばれる。
【0125】かかる脂肪族ジオール成分(B−3)を形
成するための原料は単独で用いてもよいし、2種以上を
併用してもよい。この中で1,6−ヘキサンジオール、
ジエチレングリコールが、帯電防止効果の面で好まし
い。
【0126】本願発明におけるポリエーテルエステル
(B)の構成成分のひとつであるポリ(アルキレンオキ
シド)グリコール成分(B−4)を形成するための原料
としてはポリエチレングリコールから主としてなるポリ
アルキレングリコールが好ましく、ポリプロピレングリ
コール等を共重合成分として含んでいてもよい。
【0127】かかるポリ(アルキレンオキシド)グリコ
ール成分(B−3)の数平均分子量は200〜5000
0のものを用いる。
【0128】かかる分子量が200に満たない場合に
は、充分な帯電防止効果が得られない。また、実用性の
観点からは、かかる分子量の上限は50000程度であ
る。
【0129】ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの
好ましい分子量は500〜30000であり、さらに好
ましくは、1000〜20000である。
【0130】さらにこうした分子量の範囲内において、
かかるポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分(B
−3)は芳香族環を分子内に有していてもよい。こうし
たポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしては、下
記式(B−41)、(B−42)
【0131】
【化33】
【0132】の構造を有するものが例示できる。
【0133】ここで、上記式(B−41)および(B−
42)中、Ar1、A2、A3は式(B−31)、(B−
32)のものと同じ定義である。また式(B−42)
中、Yは式(B−32)中のものと同じ定義である。ま
た、r、s、t、uは2〜60までの整数を示す。
【0134】上記ポリ(アルキレンオキシド)グリコー
ル成分(B−4)について、最終的に得られる樹脂組成
物の色調、帯電防止効果の点から、かかるポリ(アルキ
レンオキシド)グリコールの使用量は、ポリエーテルエ
ステル(B)を構成する(B−4)の含有量が(B−
1)、(B−2)、(B−3)および(B−4)の仕込
みの合計量に対して10〜40重量%の範囲となるよう
にする。
【0135】10重量%より少ないと帯電防止効果が充
分でなく、40重量%より多い場合には、ポリエーテル
エステル(B)の取扱性が悪化したり、最終的な樹脂組
成物を製造する際や成形する際に熱分解が起こり易くな
り、品質が低下したり、樹脂組成物の耐熱性が不十分と
なったりすることがあり、好ましくない場合が多い。よ
り好ましい(B−4)の含有量は、(B−1)、(B−
2)、(B−3)および(B−4)の4成分の合計量に
基づいて12〜35重量%の範囲であり、さらに好まし
くは15〜30重量%の範囲である。
【0136】本願発明におけるポリエーテルエステル
(B)は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロ
エタン(重量比60/40)の混合溶媒中35℃で測定
した還元粘度(濃度1.2g/dL)が0.3dL/g
以上であることが好ましい。
【0137】還元粘度が0.3dL/gより小さいと耐
熱性や機械物性低下の原因となり得る。
【0138】還元粘度に対する上限は、かかるポリマー
が実質的に線状の重合体であるので、帯電防止効果の点
でも機械物性の点でも高い方が好ましいが、実質的な重
合度の上限は4.0dL/g程度である。還元粘度はよ
り好ましくは0.4dL/g以上であり、さらに好まし
くは0.5dL/g以上である。
【0139】本願発明におけるポリエーテルエステル
(B)は、上記成分(B−1)、(B−2)、(B−
3)および(B−4)を形成するための原料をエステル
交換触媒の存在下、150〜300℃で加熱溶融し、重
縮合反応せしめることによって得ることができる。
【0140】エステル交換触媒としては、通常のエステ
ル交換反応に使用できるものなら、特に制限はない。か
かるエステル交換触媒としては、三酸化アンチモン等の
アンチモン化合物、酢酸第一スズ、ジブチルスズオキサ
イド、ジブチルスズジアセテート等のスズ化合物、テト
ラブチルチタネート等のチタン化合物、酢酸亜鉛等の亜
鉛化合物、酢酸カルシウム等のカルシウム化合物、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩等が例示
される。これらのうち、テトラブチルチタネートが好ま
しく用いられる。
【0141】また、上記触媒の使用量としては、通常の
エステル交換反応における使用量でよく、概ね、使用す
る酸成分1モルに対し、0.01〜0.5モル%が好ま
しく、0.02〜0.3モル%がより好ましい。
【0142】また、反応時には酸化防止剤などの各種安
定剤を併用することも好ましい。
【0143】上記成分(B−1)〜(B−4)を形成す
るための原料を加熱溶融し、重縮合する温度としては、
初期反応として、150〜200℃で数十分〜十数時間
エステル化反応および/またはエステル交換反応を留出
物を留去しながら行った後、反応物を高分子量化する重
合反応を180〜300℃で行うのが良い。
【0144】180℃より温度が低いと反応が遅くな
り、300℃より温度が高いと分解などの副反応が起こ
り易くなるためである。
【0145】重合反応温度は200〜280℃がより好
ましく、220〜260℃が更に好ましい。この重合反
応の反応時間は反応温度や触媒量にもよるが、通常は数
十分から数十時間程度である。
【0146】また、必要に応じて、重合後期に高重合度
化剤等を用いて高重合度化することもできる。高重合度
化剤としては、従来公知のものであれば、特に制限は無
く用いることができ、例えば、ジアリールカーボネー
ト、芳香族ジカルボン酸ジアリールエステルなどを例示
することができる。
【0147】本願発明のポリエステル系樹脂組成物の製
造方法は、特に限定されるものではないが、前記の全芳
香族ポリエステルカーボネート(A)、ポリエーテルエ
ステル(B)および必要に応じて後述する各種添加剤を
通常用いられている方法で、溶融混練することにより容
易に混合して製造することができる。
【0148】上記(A)、(B)の各成分および後述す
る各種添加剤の混合順序に対しては、例えばすべて同時
に混合する方法、2種をあらかじめ混合しておいた後、
他の1成分と混合する方法等が挙げられる。こうした混
合は、従来公知の方法で実施可能である。
【0149】こうした方法の中では、すべてを同時に混
合する方法あるいは、各種添加剤が必要な場合には、
(B)と各種添加剤とをあらかじめ混合しておいた後、
(A)を混合する方法が帯電防止効果や取扱性の点で好
ましい。
【0150】すべてを同時に混合する方法としては、一
軸あるいは二軸の溶融押し出し機を用いて溶融混合す
る。これらを混合する温度としては、(A)と(B)の
成分比率などにもよるが、概ね230〜400℃であ
る。
【0151】混合温度が230℃未満の場合、混合が充
分でなかったりすることがあり、好ましくない場合が多
い。400℃より温度が高いと分解などの劣化を起こす
ことがあり好ましくない場合が多い。溶融混合温度はよ
り好ましくは、240〜380℃、さらに好ましくは2
60〜360℃である。
【0152】複数の段階に分けて混合する方法として
は、(B)および各種添加剤をあらかじめ混合しておい
た後、(A)を混合することが、帯電防止効果や成形時
の取扱性の点で好ましい。
【0153】ここで(B)と各種添加剤とを溶融混合す
る方法としては、例えば、(B)が重合反応した後、そ
のまま重合反応槽に各種添加剤を添加して混合する方
法、また、一軸あるいは二軸の溶融押し出し機を用いて
両者を混合する方法が挙げられる。
【0154】溶融混合する温度としては、概ね140〜
300℃である。140℃より温度が低いと混合が充分
でないことがあり、300℃より温度が高いと分解など
の劣化を起こすことがあり好ましくない場合が多い。溶
融混合温度はより好ましくは160℃〜270℃であ
り、さらに好ましくは200〜250℃である。
【0155】こうして製造された(B)および各種添加
剤との混合物をさらに全芳香族ポリエステルカーボネー
ト(A)と溶融混合するが、その方法としては、基本的
に前述のすべてを同時混合する方法と同じである。
【0156】更に、本願発明におけるポリエステル系樹
脂組成物には、必要に応じて各種の添加剤を加えてもよ
い。かかる各種の添加剤としては、ガラス繊維、金属繊
維、アラミド繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウィ
スカー、炭素繊維、アスベストのような繊維状強化剤、
タルク、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、ガラスフレーク、ミルドファイ
バー、金属フレーク、金属粉末のような各種充填剤、り
ん酸エステル、亜りん酸エステルに代表されるような熱
安定剤あるいは触媒失活剤、酸化安定剤、光安定剤、滑
剤、顔料、難燃化剤、難燃助剤、可塑剤などの添加剤を
適宜配合しても差し支えない。
【0157】また、必要に応じて、アルキルスルホン酸
金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキル
ナフタレンスルホン酸金属塩といったイオン性界面活性
剤を、帯電防止効果向上を目的として添加することも可
能である。この場合、該イオン性界面活性剤の添加量は
樹脂組成物の物性を損なわない範囲(例えば、全芳香族
ポリエステルカーボネート(A)100重量部に対し、
10重量部以下)で添加するのが好ましい。
【0158】なお、上記は、あくまでも実施のいくつか
の態様を示すものであり、どのような原料を元に作製し
たとしても、その組成物自体が本願発明の要件を満たす
場合には、本願発明のポリエステル系樹脂組成物の範疇
に属する。
【0159】一方、上記(A),(B)は溶融混合する
と、不均化反応等の各種反応を引き起こす。従って、そ
の溶融物は、たとえば、最初に(A)と(B)とのみを
溶融混合に供したとしても、溶融混合中に(A)と
(B)との組成の成分の量は減少し、他の組成の成分が
生成し増加することになる。
【0160】本願発明のポリエステル系樹脂組成物は、
このような溶融物及びその固化物、その後での処理で組
成を変化させた組成物や成形物をも含むものである。
【0161】すなわち、本願発明のポリエステル系樹脂
組成物には、上記(A)と(B)とを含んでなるポリエ
ステル系樹脂組成物と共に、上記(A)と(B)とを溶
融混合してなるポリエステル系樹脂組成物も含まれる。
【0162】また、上記(A),(B),(A−1),
(A−2),(B−1),(B−2),(B−3),
(B−4)の量比、作製方法、化学構造、溶液粘度等に
ついての説明は、上記のいずれの場合についても適用す
ることが可能である。
【0163】さらに、本願組成物が、その化学的組成を
変化しうる物である点に着目すると、本願発明は、上記
(A−1),(A−2),(B−1),(B−2),
(B−3),(B−4)の量比、化学構造が特定のもの
であることがその本質であるといえる。
【0164】この場合、フェノール/1,1,2,2−
テトラクロルエタン(重量比60/40)の混合溶媒
中、濃度1.2g/100mLで35℃にて測定したリ
エステル系樹脂組成物の還元粘度が0.4以上であるこ
とを要求するのは、主に耐熱性や機械的強度を確保する
ためである。
【0165】なお、これらのポリエステル系樹脂組成物
をたとえばフィルムとした場合、乳濁化していることが
多い。そして顕微鏡下で観察した場合、非相溶状態にあ
る部分を含むことが観察された。恐らく(A)と(B)
とが非相溶状態にあるためと思われている。
【0166】しかも、この乳濁の度合いとフィルムの帯
電防止性能との間に何らかの関係があるらしく、長期の
溶融混合や入念な混練を行ったときには、この乳濁の度
合いが低下し、また顕微鏡下で観察した場合に非相溶状
態にある部分が少なくなるにつれ、フィルムの帯電防止
性能が低下する場合も観察された。
【0167】すなわち、本願発明のポリエステル系樹脂
組成物の帯電防止性能は、非相溶状態にある部分が存在
することによって左右され、乳濁の度合いとして把握で
きることが判明した。
【0168】乳濁の度合いとしては、厚み2mmの成形
板で測定したヘーズが5〜90%であることが望ましい
ことが判明した。
【0169】帯電防止性能としては、本願発明のポリカ
ーボネート樹脂組成物は、温度20℃、相対湿度60%
の雰囲気における成形物の表面固有抵抗率が1.0×1
14Ω/□以下であることが好ましい。
【0170】1.0×1014Ω/□を越えると帯電防止
効果が不足し実用性に欠ける場合がある。表面固有抵抗
率は帯電防止効果を充分発揮する抵抗率であれば小さい
ほどよいが、通常1.0×108Ω/□程度が下限であ
る。
【0171】耐熱性の観点からは、本願発明のポリエス
テル系樹脂組成物は熱変形温度(HDT)が110℃以
上であることが耐熱性の観点から好ましい。より好まし
くは115℃以上、更に好ましくは120℃以上であ
る。
【0172】
【発明の効果】本願発明のポリエステル系樹脂組成物は
耐熱性、機械特性、帯電防止効果、帯電防止効果持続性
等に優れた樹脂組成物であり、各種成形物や電気・電子
部材などに好適に用いることができる。
【0173】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本願発明
を詳述するが、本願発明はこれらによって何ら限定され
るものではない。なお例中の「部」は特に断らない限り
「重量部」を意味する。
【0174】なお、還元粘度は、フェノール/1,1,
2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(重量比60/4
0)中、濃度1.2g/dLで温度35℃で測定した値
である。
【0175】また、表面固有抵抗率は、各樹脂組成物を
射出成形し、厚み2mmの成形板を作製し、20℃、湿
度60%の雰囲気下で24時間放置した後、超絶縁計
(東亜電波工業株式会社製SM−8210)を用いて印
加電圧1000Vにて測定した。
【0176】帯電防止効果持続性の確認のためのテスト
は、成形品を30℃の流水で2時間洗浄し、清浄な紙で
水分をふき取り、同様の条件(20℃、湿度60%の雰
囲気下で24時間放置)で乾燥し、表面固有抵抗率の測
定を行うことによった。
【0177】衝撃強度はASTM D256に従い1/
8インチで、熱変形温度(HDT)はASTM D64
8に従い、1/8インチ、荷重18.6kg/cm2
測定した。
【0178】ヘーズは、各樹脂組成物を射出成形し、厚
み2mmの成形板を作成し、ASTM D1003に従
い測定した。
【0179】[参考例1] <全芳香族ポリエステルカーボネート(以下PECと称
する)の合成方法>465部のテレフタル酸、199部
のイソフタル酸、1003部のビスフェノールA、17
98部のジフェニルカーボネートおよび触媒として0.
49部の4−ジメチルアミノピリジンを精留塔および撹
拌装置を備えた反応器に入れ、容器内を窒素置換した
後、0.0400MPa、200℃で溶融重合反応を開
始した。
【0180】フェノールの留出および炭酸ガスの発生を
確認した後、30分後に220℃に昇温し、230℃、
0.0267MPaとした。開始から3時間後、原料が
均一に溶解していることを確認した。
【0181】その後、反応物を撹拌装置および真空留出
系を備えた反応器に入れ、60分間で280℃、0.0
133MPaとした。
【0182】その後更に昇温・減圧し、反応開始から5
時間後、系内を320℃、66.6Paとし、2時間溶
融重合を行い、PECを得た。得られたPECは、全芳
香族ポリエステルカーボネート(A)の一例であり、そ
のテレフタル酸残基、イソフタル酸残基、ビスフェノー
ルA残基のモル比は0.7:0.3:1.1であり、上
記式(I)で表わされる構造単位と上記式(III)で
表わされる構造単位のモル比は91:9であった。
【0183】また、得られたPECの還元粘度は0.6
8dL/gであった。
【0184】[参考例2] <ポリエーテルエステル1(以下PEE1と称する)の
合成方法>1074部の2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジメチル(全酸成分の80モル%)、326部の5−
ナトリウムスルホ−イソフタル酸ジメチル(全酸成分の
20モル%)、910部の1,6−ヘキサメチレングリ
コール、727部のポリエチレングリコール(数平均分
子量2000、生成ポリマー全体の30重量%)、およ
び1.3部のテトラブチルチタネートを精留塔および撹
拌装置を備えた反応器に入れ、容器内を窒素置換した
後、常圧下、220℃でメタノールを留去しながら5時
間反応を行った後、反応物を撹拌装置および真空留出系
を備えた反応器に入れ、45分間で240℃まで昇温し
た。
【0185】その時点で徐々に反応系内を減圧し、60
分後26.7Paとし、150分後に重合体を得た。得
られたPEE1はポリエーテルエステル(B)の一例で
あり、その還元粘度は1.11dL/gであった。 [参考例3] <ポリエーテルエステル2(以下PEE2と称する)の
合成方法>976部の2,6−ナフタレンジカルボン酸
ジメチル(全酸成分の80モル%)、296部の5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸ジメチル(全酸成分の20
モル%)、885部の1,6−ヘキサメチレングリコー
ル、386部のポリエチレングリコール(数平均分子量
2000、生成ポリマー全体の20重量%)、及び1.
3部のテトラブチルチタネートを精留塔及び攪拌装置を
備えた反応容器に入れ、容器内を窒素置換した後、常圧
下、220℃に昇温した。220℃でメタノールを留去
しながら5時間反応を行った後、反応物を攪拌装置を備
えた真空留出系を有する反応器に入れ、45分間で24
0℃まで昇温した。その時点で徐々に反応系内を減圧
し、60分後26.7Paとし、150分後に重合体を
得た。得られたPEE2はポリエーテルエステル(B)
の一例であり、還元粘度は1.21dL/gであった。
【0186】[実施例1〜6]上記参考例1で得られた
PECおよび参考例2,3で得られたPEE1,PEE
2を表−1に示す割合で、30mm同方向回転二軸押し
出し機((株)池貝製PCM−30)を用いて300℃
で混合し、ペレットを得た。
【0187】得られたペレットを用い、シリンダー温度
290℃、金型温度100℃にて射出成形した。得られ
た成形物をもちいて、還元粘度、HDT、表面固有抵抗
率、衝撃強度を測定した。各測定値を表−1に示す。な
お二軸押し出し機内の滞留時間は5分であった。
【0188】得られたペレットを電子顕微鏡で観察した
ところ、図1の如く非相溶の部分が観察された。
【0189】
【表1】
【0190】[実施例7]二軸押し出し機内の滞留時間
を表2のように変更した以外は実施例3と同様に成形を
行った。得られた結果を実施例3の結果と共に表2に示
す。
【0191】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】非相溶の部分を示す図である。
【符号の説明】
1 非相溶部分
フロントページの続き (72)発明者 畳開 真之 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 松村 俊一 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4J002 CF10X CF11X CF14X CG00W CG01W CG03W GQ00

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全芳香族ポリエステルカーボネート
    (A)とポリエーテルエステル(B)とを含んでなるポ
    リエステル系樹脂組成物であって、 全芳香族ポリエステルカーボネート(A)が、 下記式(I) 【化1】 [上記式(I)中のA1は非反応性の置換基を有してい
    ても良い芳香族基であり、A2、A3は各々置換されても
    よいフェニレン基である。Xは下式群(II) 【化2】 から選ばれる基を表す。上記式群(II)中のR1
    2、R3およびR4は、各々独立に水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5または6の
    シクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基および
    炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる少なくとも
    1種の基である。qは4〜10の整数を示す。]で示さ
    れる構造単位(A−1)と下記式(III) 【化3】 [式(III)中、A2、A3、Xはそれぞれ上記式
    (I)の定義と同じである。]で示される構造単位(A
    −2)とを、構造単位(A−1)と(A−2)との合計
    量に対し構造単位(A−1)が50モル%以上100モ
    ル%以下の割合で含有し、 ポリエーテルエステル(B)が、 ナフタレンジカルボン酸成分(B−1)と、 下記式(IV) 【化4】 [式(IV)中、Arは炭素数6〜12の3価の芳香族
    基を表わし、M+は金属イオン、テトラアルキルホスホ
    ニウムイオンまたはテトラアルキルアンモニウムイオン
    を表わす。]で示されるスルホン酸塩基で置換された芳
    香族ジカルボン酸成分(B−2)と、 炭素数2〜10の脂肪族ジオール成分(B−3)と、 数平均分子量200〜50000のポリ(アルキレンオ
    キシド)グリコール成分(B−4)と、よりなり、 (B−1)と(B−2)との合計量に対し、(B−1)
    を50モル%以上95モル%以下の割合で含有し、 (B−1)、(B−2)、(B−3)および(B−4)
    の4成分の合計量に基づく(B−4)の含有量が10重
    量%以上40重量%以下の範囲内であることを特徴とす
    るポリエステル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 全芳香族ポリエステルカーボネート
    (A)の100重量部に対しポリエーテルエステル
    (B)を5重量部以上40重量部以下含有することを特
    徴とする請求項1に記載のポリエステル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 全芳香族ポリエステルカーボネート
    (A)とポリエーテルエステル(B)とを溶融混合して
    なるポリエステル系樹脂組成物であって、混合前におい
    て、 全芳香族ポリエステルカーボネート(A)が、 下記式(I) 【化5】 [上記式(I)中のA1は非反応性の置換基を有してい
    ても良い芳香族基であり、A2、A3は各々置換されても
    よいフェニレン基である。Xは下式群(II) 【化6】 から選ばれる基を表す。上記式群(II)中のR1
    2、R3およびR4は、各々独立に水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5または6の
    シクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基および
    炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる少なくとも
    1種の基である。qは4〜10の整数を示す。]で示さ
    れる構造単位(A−1)と下記式(III) 【化7】 [式(III)中、A2、A3、Xはそれぞれ上記式
    (I)の定義と同じである。]で示される構造単位(A
    −2)とを、構造単位(A−1)と(A−2)との合計
    量に対し構造単位(A−1)が50モル%以上100モ
    ル%以下の割合で含有し、 ポリエーテルエステル(B)が、 ナフタレンジカルボン酸成分(B−1)と、 下記式(IV) 【化8】 [式(IV)中、Arは炭素数6〜12の3価の芳香族
    基を表わし、M+は金属イオン、テトラアルキルホスホ
    ニウムイオンまたはテトラアルキルアンモニウムイオン
    を表わす。]で示されるスルホン酸塩基で置換された芳
    香族ジカルボン酸成分(B−2)と、炭素数2〜10の
    脂肪族ジオール成分(B−3)と、 数平均分子量200〜50000のポリ(アルキレンオ
    キシド)グリコール成分(B−4)と、よりなり、 (B−1)と(B−2)との合計量に対し、(B−1)
    を50モル%以上95モル%以下の割合で含有し、 (B−1)、(B−2)、(B−3)および(B−4)
    の4成分の合計量に基づく(B−4)の含有量が10重
    量%以上40重量%以下の範囲内であることを特徴とす
    るポリエステル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 全芳香族ポリエステルカーボネート
    (A)の100重量部に対しポリエーテルエステル
    (B)を5重量部以上40重量部以下の割合で溶融混合
    することを特徴とする請求項3に記載のポリエステル系
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリエーテルエステル(B)が、フェノ
    ール/1,1,2,2−テトラクロルエタン(重量比6
    0/40)の混合溶媒中、濃度1.2g/100mLで
    35℃にて測定した還元粘度が0.3以上である請求項
    1〜4のいずれかに記載のポリエステル系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 全芳香族ポリエステルカーボネート
    (A)が溶融重合により得られることを特徴とする請求
    項1〜5のいずれかに記載のポリエステル系樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 全芳香族ポリエステルカーボネート
    (A)が、 下記式(VIII) 【化9】 [上記式(VIII)中のA1は上記式(I)における
    定義と同じである。]で示される芳香族ジカルボン酸成
    分(a)と、 下記式(V) 【化10】 [上記式(V)中のA2、A3、Xは上記式(I)におけ
    る定義と同じである。]で示される芳香族ジオール成分
    (b)と、 下記式(VI) 【化11】 [上記式(VI)中、R8、R9は各々独立に非反応性の
    置換基を有してもよい芳香族基である。]で表わされる
    ジアリールカーボネート(c)とを、 下記式(1)、(2) 0.5≦Ma/Mb≦1.1 (1) 0.95≦(Ma+Mb)/Mc≦1.05 (2) [上記数式(1)、(2)中、Maは芳香族ジカルボン
    酸成分(a)、Mbは芳香族ジオール成分(b)、Mc
    はジアリールカーボネート(c)の各モル数である。]
    を同時に満足するモル割合で使用し、 下記式(VII) 【化12】 [上記式(VII)中、R5、R6は、各々独立に水素原
    子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10のシク
    ロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基および炭素
    数7〜12のアラルキル基から選ばれる少なくとも1種
    の基である。また、R5とR6との間に結合があってもよ
    い。R7は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素
    数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリ
    ール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれ
    る少なくとも1種の基である。nは1〜4の整数を示
    す。]で示されるピリジン系化合物の存在下で反応を行
    うことにより得られる、ことを特徴とする請求項1〜6
    のいずれかに記載のポリエステル系樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 下記式(I) 【化13】 [上記式(I)中のA1は非反応性の置換基を有してい
    ても良い芳香族基であり、A2、A3は各々置換されても
    よいフェニレン基である。Xは下式群(II) 【化14】 から選ばれる基を表す。上記式群(II)中のR1
    2、R3およびR4は、各々独立に水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5または6の
    シクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基および
    炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる少なくとも
    1種の基である。qは4〜10の整数を示す。]で示さ
    れる構造単位(A−1)と下記式(III) 【化15】 [式(III)中、A2、A3、Xはそれぞれ上記式
    (I)の定義と同じである。]で示される構造単位(A
    −2)と、 ナフタレンジカルボン酸成分(B−1)と、 下記式(IV) 【化16】 [式(IV)中、Arは炭素数6〜12の3価の芳香族
    基を表わし、M+は金属イオン、テトラアルキルホスホ
    ニウムイオンまたはテトラアルキルアンモニウムイオン
    を表わす。]で示されるスルホン酸塩基で置換された芳
    香族ジカルボン酸成分(B−2)と、炭素数2〜10の
    脂肪族ジオール成分(B−3)と、 数平均分子量200〜50000のポリ(アルキレンオ
    キシド)グリコール成分(B−4)と、よりなり、構造
    単位(A−1)と(A−2)との合計量に対し構造単位
    (A−1)を50モル%以上100モル%以下の割合で
    含有し、 (B−1)と(B−2)との合計量に対し、(B−1)
    を50モル%以上95モル%以下の割合で含有し、 (B−1)、(B−2)、(B−3)および(B−4)
    の4成分の合計量に基づく(B−4)の含有量が10重
    量%以上40重量%以下の範囲内であり、フェノール/
    1,1,2,2−テトラクロルエタン(重量比60/4
    0)の混合溶媒中、濃度1.2g/100mLで35℃
    にて測定した還元粘度が0.4以上であることを特徴と
    するポリエステル系樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 非相溶状態にある部分を含むことを特徴
    とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル系
    樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 厚み2mmの成形板で測定したヘーズ
    が5〜90%であることを特徴とする請求項1〜9のい
    ずれかに記載のポリエステル系樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 20℃、湿度60%の雰囲気における
    表面固有抵抗率が1×1014Ω/□下である請求項1〜
    10のいずれかに記載のポリエステル系樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 全芳香族ポリエステルカーボネート
    (A)とポリエーテルエステル(B)とを溶融混合す
    る、請求項1〜11のいずれかに記載のポリエステル系
    樹脂組成物の製造方法であって、 全芳香族ポリエステルカーボネート(A)が、 下記式(I) 【化17】 [上記式(I)中のA1は非反応性の置換基を有してい
    ても良い芳香族基であり、A2、A3は各々置換されても
    よいフェニレン基である。Xは下式群(II) 【化18】 から選ばれる基を表す。上記式群(II)中のR1
    2、R3およびR4は、各々独立に水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5または6の
    シクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基および
    炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる少なくとも
    1種の基である。qは4〜10の整数を示す。]で示さ
    れる構造単位(A−1)と下記式(III) 【化19】 [式(III)中、A2、A3、Xはそれぞれ上記式
    (I)の定義と同じである。]で示される構造単位(A
    −2)とを、構造単位(A−1)と(A−2)との合計
    量に対し構造単位(A−1)が50モル%以上100モ
    ル%以下の割合で含有し、 ポリエーテルエステル(B)が、 ナフタレンジカルボン酸成分(B−1)と、 下記式(IV) 【化20】 [式(IV)中、Arは炭素数6〜12の3価の芳香族
    基を表わし、M+は金属イオン、テトラアルキルホスホ
    ニウムイオンまたはテトラアルキルアンモニウムイオン
    を表わす。]で示されるスルホン酸塩基で置換された芳
    香族ジカルボン酸成分(B−2)と、 炭素数2〜10の脂肪族ジオール成分(B−3)と、 数平均分子量200〜50000のポリ(アルキレンオ
    キシド)グリコール成分(B−4)と、よりなり、 (B−1)と(B−2)との合計量に対し、(B−1)
    を50モル%以上95モル%以下の割合で含有し、 (B−1)、(B−2)、(B−3)および(B−4)
    の4成分の合計量に基づく(B−4)の含有量が10重
    量%以上40重量%以下の範囲内であるポリエステル系
    樹脂組成物の製造方法。
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