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JP2003080628A - 熱伝導性シート状積層体 - Google Patents

熱伝導性シート状積層体

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Publication number
JP2003080628A
JP2003080628A JP2001277409A JP2001277409A JP2003080628A JP 2003080628 A JP2003080628 A JP 2003080628A JP 2001277409 A JP2001277409 A JP 2001277409A JP 2001277409 A JP2001277409 A JP 2001277409A JP 2003080628 A JP2003080628 A JP 2003080628A
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JP
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heat
sheet
foam
laminate
resin layer
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Application number
JP2001277409A
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Takuro Suzuki
卓郎 鈴木
Nobuo Matsuoka
宣夫 松岡
Mamoru Ubukata
護 生方
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Achilles Corp
Original Assignee
Achilles Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子機器部品等における発熱体と放熱体の間
に取り付けるスペーサーとしての熱伝導性シート状積層
体について、凹凸面への追従性がよく、貼着時にシート
貼着面に空気溜まりが入ることなく有効に放熱性と熱伝
導性を確保し得る熱伝導性シート状積層体の提供。 【解決手段】 発泡セル表面に金属を付着させてなり、
その80%圧縮応力が100gf/cm以下である合
成樹脂フォームの少なくとも片面に、熱伝導性充填材を
含有した軟質樹脂層を積層したことを特徴とする熱伝導
性シート状積層体であり、特に合成樹脂フォームとして
は、ポリウレタン樹脂フォームである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発熱体の凹凸面へ
の追従性がよく、貼着時にシート貼着面に空気溜まりが
入り込むことがなく、有効な放熱性と熱伝導性を有する
熱伝導性シート状積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子機器部品デバイス、あるい
はパーソナルコンピューターにおける各種部品およびド
ライブ等のデバイスは、使用時に発熱を伴うものが多
く、そのままでは熱の影響により部品の破損、誤作動を
招く恐れがある。したがって、これらデバイスにあって
は、適切な方法により熱を逃してやる手段が講じられて
いる。このような手段として、一般的にはデバイス等の
発熱体からの熱を、熱伝導体を介してヒートシンク等の
放熱体に逃してやる方法が採用されており、さらに、必
要に応じて、該放熱体をファンにより強制的に空気冷却
される手段も採用されている。
【0003】熱伝導のためには、発熱体と放熱体は互い
に密に接触していることが望ましいが、両者の表面状態
は完全に一致するものではなく、その差異により、発熱
体と放熱体との接触面には微小な凹凸や段差が生じ、有
効に熱伝導が行われない場合が生じていた。このような
点を解決する手段として、液状のシリコーングリス等を
使用することが広く行われている。しかしながら、液状
のグリスを均一に塗布するには手間がかかり、困難なも
のであり、また使用中に流動してしまう等の問題があっ
た。さらに、大きな凹凸面に対してはシリコーングリス
自体の密着性の問題があり、実質的に使用することは困
難である。
【0004】したがって、発熱体と放熱体との間を、熱
伝導性のスペーサーを介し接触させることが行われてお
り、例えば、熱伝導性を高めた低硬度シリコーンゴムシ
ート等のシート状物を発熱体と放熱体との間に貼着させ
ることも広く行われている。このようなシート状物の貼
着は、発熱体と放熱体との接触面の間に生じる比較的微
細な凹凸面には追従するものの、貼着の際にシートと発
熱体との間、あるいはシートと放熱体との間の貼着面に
空気溜まりが入りやすく、本来の熱伝導性能が充分に発
揮されない場合がある。すなわち、空気は高い断熱作用
を有しているものであることより、貼着面に空気溜まり
が存在すると、発熱体からヒートシンクへの熱の伝導さ
せる能力を著しく低下させてしまうこととなる。
【0005】このような問題を解決するために種々の技
術が提案されており、例えば、特開平5−198709
号公報には、熱伝導性材料の表面と該熱伝導性材料が接
合される基材との間から空気を排除するための手段を含
む熱伝導性材料が開示されている。この場合の空気を排
除する手段としては、熱伝導性材料および/またはヒー
トシンクまたは熱源の1つ若しくは両方の表面における
一連の溝、またはチャンネルまたは一連の貫通穴からな
っており、熱伝導性材料と放熱体または発熱体との間に
圧力が加えられるにしたがって、前記溝、チャンネルま
たは貫通穴を通して空気を追い出せるような構造が例示
されている。しかしながら、該発明は、比較的小さな基
材面に対しては有効であるが、熱伝導性材料と基材が平
行して配置され、さらにある程度の力で両者が押さえら
れている必要があり、この両者を押さえる力(押圧)が
小さいと逆に空隙が生じてしまう問題点がある。
【0006】また、特開平11−67992号公報には
熱伝導性のフィラーを含有したシリコーン固形物表面に
凸部を設け、該凸部に深さ0.1mm以上、幅0.3m
m以上の溝を形成させることにより、放熱体との密着を
確保し、空気のトラップを防止した放熱シート(スペー
サー)に関する技術が開示されている。この技術にあっ
ても、比較的小さな面積を有する放熱体と発熱体に対し
ては有効であるが、放熱体と発熱体の両者をある一定以
上の力で押さえる必要があり、この両者を押さえる力
(押圧)が小さいと逆に空隙が生じてしまう問題点があ
る。
【0007】さらにまた、特開2001−9851号公
報には、例えばプラズマディスプレイパネルの裏面に貼
着する、シートの表裏面の少なくとも一方の面に条溝ま
たは突条が形成された放熱性粘着剤シートに関する技術
が開示されている。該放熱性の粘着剤シートは比較的大
きな面積の発熱体等に貼着することができ、また粘着剤
を使用しているため、初期圧着することにより外圧を逐
次加えなくともよいものである反面、不用時に剥がすこ
とができず、また、脱着時に被貼着面を汚染ししまう問
題が発生する。さらに、放熱体と発熱体の両方はある程
度平坦な平行配置である必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、
上記の問題点を鑑み、電子機器部品等における発熱体と
放熱体の間に取り付けるスペーサーとしての熱伝導性シ
ート状積層体について、凹凸面への追従性がよく、貼着
時にシート貼着面に空気溜まりが入ることなく有効に放
熱性と熱伝導性を確保し得る熱伝導性シート状積層体を
提供することを課題とする。
【0009】かかる課題を解決するべく本発明者らは鋭
意検討を加えた結果、柔軟性のある合成樹脂フォームが
発熱体と放熱体との接触面に生じる凹凸面に対して少な
い力でも密着させることができること、また合成樹脂フ
ォームの発泡セル表面の全体に熱伝導性のある金属を化
学メッキ法あるいはその他の手段により付着させれば樹
脂フォーム自体に熱伝導性が確保しうること、さらに、
フォームの少なくとも片面に熱伝導性の軟質樹脂層を積
層させたシート状積層体とすれば、凹凸面への追従性が
良好であるとともに、貼着時にシート貼着面に空気溜ま
りが入ることなく有効に放熱性と熱伝導性を確保するこ
とができことを確認し、本発明を完成したのである。
【0010】
【課題を解決するための手段】しかして、上記の課題を
解決するための請求項1に記載の本発明は、発泡セル表
面に金属を付着させてなり、その80%圧縮応力が10
0gf/cm以下である合成樹脂フォームの少なくと
も片面に、熱伝導性充填材を含有した軟質樹脂層を積層
したことを特徴とする熱伝導性シート状積層体である。
【0011】このような柔軟性のある合成樹脂フォーム
としては、種々の樹脂成分に基づく連続気泡性樹脂フォ
ームが挙げられる。連続気泡性樹脂フォームとしては、
ウレタン系樹脂フォーム、ポリエチレン系樹脂フォーム
が好ましく使用され、そのなかでも、特にポリウレタン
フォームが好ましく使用される。
【0012】また、請求項2に記載の本発明は、請求項
1に記載の発明において、熱伝導性充填材を含有した軟
質樹脂層の熱伝導率λが0.2W/m・K以上である熱
伝導性シート状積層体である。かかる熱伝導率を確保す
ることにより、軟質樹脂層に積層されるフォームへの熱
の伝導が良好に行い得るのである。
【0013】さらに請求項3に記載の本発明は、請求項
1に記載の発明において、熱伝導性充填材を含有した軟
質樹脂層の樹脂が、シリコーン系重合体、アクリル系重
合体、ウレタン系重合体、エチレンプロピレン系重合
体、スチレン系重合体またはイミド系重合体から選択さ
れる重合体よりなるものである熱伝導性シート状積層体
である。
【0014】さらにまた請求項4に記載の本発明は、請
求項1に記載の発明において、軟質樹脂層に含有される
熱伝導性充填材が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウ
ム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、水酸
化アルミニウム、アルミニウム、銀、銅および鉄から選
択される物質からなるものである熱伝導性シート状積層
体である。
【0015】また請求項5に記載の本発明は、請求項1
に記載の発明において積層される合成樹脂フォームと熱
伝導性充填材を含有する軟質樹脂層が、接着剤を用いる
ことなく投錨接着していることを特徴とする熱伝導性シ
ート状積層体である。かかる投錨接着により、接着剤の
使用による熱伝導の低下を回避し、熱伝導性を有する樹
脂フォームならびに熱伝導性充填材を含有する軟質樹脂
層が一体となって、本発明の熱伝導性シート状積層体は
優れた熱伝導性を発揮することとなるのである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明を構成する合成樹脂
フォーム、軟質樹脂層等の詳細に説明しながら、本発明
を説明する。
【0017】本発明で使用しうる合成樹脂フォームとし
ては、柔軟性を有する種々の樹脂成分に基づく比較的低
密度の連続気泡性樹脂フォーム(発泡体)等が挙げら
れ、具体的には、ウレタン系樹脂フォーム、エチレン系
樹脂フォーム、スチレン系樹脂フォーム、EVA系フォ
ーム、ゴムスポンジであり、なかでもポリウレタンフォ
ームが好ましく使用される。
【0018】本発明において好ましく使用されるポリウ
レタンフォームとしては、整泡剤、触媒、発泡剤等の存
在下に、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との
反応により生成されるスラブ発泡ポリウレタンフォーム
であり、エステル系、エーテル系のいずれのポリオール
成分を使用することができる。このスラブ発泡ポリウレ
タンフォームを所定の寸法に裁断することによりシート
状のフォームが得られる。また樹脂フォームとしての発
泡倍率、密度、通気度等は特に制限されるものではない
が、その性質上、低密度で連続気泡性を有するフォーム
を用いるのが好ましい。さらに発泡セル表面を形成する
骨格と膜のうち、膜を取り除いた無膜フォームがより好
ましい。
【0019】合成樹脂フォームには、後記する種種の方
法により、熱伝導性を有する金属が発泡セル表面に付着
されている。なお、本明細書においていう、「発泡セル
表面」とは、樹脂フォーム(発泡体)の気泡を形成する
骨格や骨格間に存在する膜をいう。
【0020】金属が付着された後の樹脂フォームにあっ
ては、JIS−K6767に規定する圧縮固さ試験法に
より測定した場合、元の厚みに対して80%圧縮したと
きの応力(80%圧縮応力)が、100gf/cm
り小さいことが要求される。この応力が100gf/c
より大きい場合には凹凸面への追従性(馴染み)が
悪く、また製造された熱伝導シート状積層体を発熱体等
に装着するときに強い圧着力を必要とし好ましいのもと
はいえない。そのために、樹脂フォームの密度や発泡セ
ル表面に対する金属の付着量を制御して、所望の圧縮応
力が得られるようにする必要がある。
【0021】また、樹脂フォームの厚みは特に制限され
るものではないが、0.1〜5.0mmの範囲のものが
使用され、好ましくは0.8〜4.0mm程度の厚みの
ものである。樹脂フォームの厚みが0.1mmよりも薄
い場合には、そのような薄い樹脂フォーム自体を作成す
ることが困難であるばかりでなく、シート積層体として
軟質樹脂層へ積層させることも困難なものとなる。ま
た、フォームの厚みが5.0mmを越える場合には、使
用時に金属を付着させたフォームを十分に圧縮できない
ため、空隙を生じることとなり、有効に熱伝導させるこ
とが難しくなり、熱抵抗値が大きくなるため、使用上好
ましいものとはいえなくなる。
【0022】かかる樹脂フォームの発泡セル表面に金属
を付着させる方法としては、化学メッキ法(無電解メッ
キ法)、化学メッキ法−電解メッキ法との組み合わせに
よる方法、真空蒸着法、イオンプレーテイング法、スパ
ッタリング法、導電性塗料塗布法等により金属をフォー
ムのセル表面に付着させることによりことにより行われ
る。そのなかでも、特に簡便な装置でありながら、金属
付着量のコントロールが可能な点および生産性の点で、
化学メッキ法または化学メッキ法−電解メッキ法との組
み合わせによる方法が好適に使用される。
【0023】かかる方法により発泡セル表面に付着され
る金属としては、銅(Cu)、鉄(Fe)、亜鉛(Z
n)、錫(Sn)、クロム(Cr)、銀(Au)、金
(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)等
の熱伝導性の金属が用いられる。これらの金属は単独で
使用してもよく、また複数組み合わせて使用してもよ
い。なかでも加工性ならびに熱伝導性の点から、銅(C
u)が特に好ましく使用できる。
【0024】樹脂フォームの発泡セル表面に付着させる
金属の量は、特に制限されるものではない。例えば、付
着対象のフォームの厚み、密度、発泡セル構造(大き
さ)等により一概に特定できないが、フォームの持つ柔
軟性と圧縮復元性が損なわれることがない程度で所望の
熱伝導性を確保し得る量、具体的には、概ね、0.03
g/cm〜0.5g/cm程度の付着量を付着させ
るのが好ましい。
【0025】一方、発泡セル表面に金属を付着した樹脂
フォームの少なくとも片面に積層させる熱伝導性充填材
を含有した軟質樹脂層としては、軟質樹脂をマトリック
スとし、熱伝導性充填材をフィラーとして均質に混入さ
せた、いわゆる熱伝導性シートとしての機能を発揮する
樹脂層である。このような軟質樹脂層を形成する樹脂と
しては、シリコーン系重合体、アクリル系重合体、ウレ
タン系重合体、エチレン−プロピレン系重合体、スチレ
ン系重合体、イミド系重合体から選択される重合体によ
り形成される。そのなかでも加工性、性能の点で、特に
シリコーン系重合体あるいはアクリル系重合体が好適に
使用される。
【0026】シリコーン系重合体としては、一分子中に
ビニル基とH−Si基の両方を有する一液性のシリコー
ン、N末端あるいは側鎖にビニル基を有するオルガノポ
リシロキサンと末端あるいは側鎖に2個以上のH−Si
基を有するオルガノポリシロキサンとの架橋物である二
液性シリコーン、あるいは熱可塑性樹脂と同様の加工が
可能なミラブル型シリコーンを用いることができる。
【0027】一液性シリコーンあるいは二液性シリコー
ンの場合には、これらのシリコーン樹脂に熱伝導性フィ
ラーを配合し、混練した後、フッ素樹脂などからなる離
型性を有する耐熱フィルム等にキャスティングすること
により製膜(成形)させ、加熱硬化、キュアリングする
ことにより固化した樹脂シートを作成することができ
る。一方、ミラブル型シリコーンの場合には、カレンダ
ー装置または押出装置によりシート化することが可能で
ある。この場合、熱伝導性充填材を予め混合してペレッ
ト化させるか、またはブロック化させることも可能であ
り、直接カレンダー法あるいは押出装置によりシート化
することができる。
【0028】アクリル系重合体としては、メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレ
ート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタ
クリレート、tert−ブチルメタクリレート、エチル
ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デ
シルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル;あるいは(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ク
ロトン酸、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミ
ド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクレレート、N−ジエチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベン
ゼン、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メ
タ)アクリレート等のモノマーなどの共重合体を広く使
用することが可能である。なお、これらの重合体にあっ
ては、所望の性能が得られるよう、適宜組成を変更する
こともできる。
【0029】上記のアクリル系重合体を樹脂成分として
使用して本発明の熱伝導性充填材を含有する軟質樹脂層
を製造する場合には、樹脂成分が溶解された状態下、ま
たは水に分散されたエマルジョンの状態下、およびバル
ク重合により比較的低分子の液体の状態下に所望の熱伝
導性充填材を混合し、離型性の担体(例えば離型シー
ト)上にコーティングし、乾燥、架橋、固化させること
によりシート化させることが可能である。また、アクリ
ルエラストマーとしてペレット化されたものに熱伝導性
充填材を配合し、Tダイ押出機によりシート化させるこ
とも可能である。
【0030】ウレタン系重合体を軟質樹脂成分として使
用して本発明の熱伝導性充填材を含有する軟質樹脂層を
製造する場合には、ポリオール成分、ポリイソシアネー
ト成分および触媒等を混合させた液状シロップを用い、
これに熱伝導性充填材を配合し、離型性の担体(例えば
離型シート)上にコーティングし、加熱、架橋、硬化さ
せることにより製造することができる。また、ウレタン
系熱可塑性エラストマーとしてすでに重合された状態の
樹脂ペレットを使用し、これに熱伝導性充填材を配合
し、Tダイ押出機またはカレンダー機によりシート化す
ることで製造することもできる。
【0031】さらにエチレン−プロピレン系重合体を軟
質樹脂成分として使用して本発明の熱伝導性充填材を含
有する軟質樹脂層を製造する場合には、例えば、エチレ
ン−プロピレン系重合体としてエチレン−プロピレンゴ
ム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重
合体ゴム(EPDM)、ポリプロピレンまたはポリエチ
レンとEPDMの混合物からなるオレフィン系熱可塑性
エラストマー(TPO)等を使用し、これらの重合体を
ペレット化すると共に、所望の熱伝導性充填材を配合
し、この混合物をTダイ押出機またはカレンダー機によ
りシート化することにより製造することができる。
【0032】また、スチレン系重合体を軟質樹脂成分と
して使用して本発明の熱伝導性充填材を含有する軟質樹
脂層を製造する場合には、例えばスチレン系重合体とし
てスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン
−イソブチレン共重合体(SIS)、スチレン−イソブ
テン−ブタジエン共重合体(SIBS)等を使用し、こ
れらのスチレン系重合体を溶剤に溶解し、これに所望の
熱伝導性充填材を配合した後、離型性の担体(例えば離
型シート)上にコーティングし、加熱、乾燥させること
によりシート化させることで製造することができる。ま
たスチレン系重合体を樹脂ペレット化し、このペレット
に熱伝導性充填材を混練し、カレンダー機またはTダイ
押出機によりシート化するにより製造することもでき
る。
【0033】イミド系重合体を軟質樹脂成分として使用
して本発明の熱伝導性充填材を含有する軟質樹脂層を製
造する場合には、そのようなイミド系重合体としてはジ
カルボン酸とジアミンから合成されるものであり、芳香
族ポリイミド、脂肪族ポリイミドのいずれも使用するこ
とができる。さらに、重合されたポリイミド樹脂を溶剤
に溶解したワニスも好適に使用することができる。これ
らの樹脂成分を用い、これに所望の熱伝導性充填材を配
合した後、離型性の担体(例えば離型シート)上にコー
ティングし、加熱、固化、キュアリングすることにより
製膜させ、製造することができる。
【0034】上記したこれらの軟質樹脂に含有される熱
伝導性充填材としては、酸化アルミニウム、酸化マグネ
シウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミ
ニウム、アルミニウム、鉄、銀、銅等が用いられ、これ
らを単独あるいは複数組み合わせて使用することができ
る。
【0035】これらの熱伝導性充填材は、好ましくは粒
子の状態で軟質樹脂に含有され、そのような粒子の大き
さならびに形状は特に限定されるものではないが、粒子
として擬球形状であり、粒径としてほぼ0.5〜80μ
m程度のものが好ましく使用される。
【0036】熱伝導性充填材の軟質樹脂に対する含有量
は、所望の熱伝導率を得る量を含有させればよい。特に
本発明にあっては、熱伝導性充填材を含有する軟質樹脂
層の熱伝導率λが0.2W/m・Kより大きなものであ
ることが必要である。熱伝導率λが0.2W/m・Kに
満たない場合には、当該樹脂層により熱が遮断されるこ
ととなり、発熱体からヒートシンク等の放熱体への熱伝
導が行われず、好ましいものではない。したがって、か
かる熱伝導率を確保するためには、軟質樹脂組成の混合
物100重量部に対して約80〜約300重量部を含有
させることにより、所望の熱伝導率を得ることができる
ことが判明した。なお、熱伝導性充填材に加え、一般的
に使用されている樹脂充填材として、たとえば炭酸カル
シウム、クレー、カオリン等を組み合わせ含有させるこ
ともできる。
【0037】軟質樹脂に対する熱伝導性充填材の混合方
法は、特に限定されるものではなく、樹脂成分の種類、
充填材の種類、配合量により適宜選定することができ
る。具体的には、軟質樹脂の原料が液状の場合には、デ
イゾルバーミキサー、ホモミキサー等の攪拌機により行
うことができる。また、樹脂原料が固体の場合には、バ
ンバリーミキサー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキ
サー、スクリュー押出機等の混練装置を使用することが
でき、さらにTダイ押出機によりシート化する際に同時
に混練することもできる。
【0038】本発明が提供する熱伝導性シート状積層体
は、発泡セルの表面に金属を付着させた合成樹脂フォー
ムの少なくとも片面に、熱伝導性充填材を含有した軟質
樹脂層を積層させることにより製造される。この場合の
積層体の製造方法は、上記した熱伝導性充填材を含有す
る軟質樹脂混合組成物の性状にしたがって、適宜選択さ
れる。
【0039】具体的には、熱伝導性充填材を含有する軟
質樹脂混合物が、液状の組成物である場合には、コーテ
ィング法により離型性を有する担体(離型シート)上に
所望の厚みに樹脂混合物をコーティングし、その上に発
泡セルの表面に金属を付着させた合成樹脂フォームを積
層(ラミネート)させ、各種の手段により固化あるいは
硬化させることにより製造することができる。なお、こ
の場合において、樹脂層が完全に固化あるいは硬化する
前に、発泡セル表面に金属を付着させた合成樹脂フォー
ムをラミネートすることにより、液状組成物の一部がフ
ォームの表面に染み込むことにより、投錨効果(アンカ
ー効果)を発現し、接着剤を介することなく積層するこ
とが可能となる。軟質樹脂層の固化あるいは硬化は、例
えば熱オーブンによる加熱固化の他、UV、EB等のエ
ネルギー波照射硬化法などを用いて行うことができる。
【0040】また、軟質樹脂成分が樹脂ペレットなどと
した熱可塑性の固形組成物の場合には、Tダイを備えた
押出機や、溶融状態でのカレンダーロール等による混
練、圧延でシート化することもできる。この際にあって
も、シートが完全に冷却固化される前に、発泡セル表面
に金属を付着させた合成樹脂フォームをラミネートさせ
ることにより、樹脂の一部がフォームに染み込み、両者
の接着性を発揮することとなる。
【0041】発泡セルの表面に金属を付着させた合成樹
脂フォームを積層させる軟質樹脂層の厚みとしては、
0.3〜2.0mm程度の範囲であり、より好ましくは
0.4〜0.8mm程度である。樹脂層の厚みが0.3
mmより薄い場合には、合成樹脂フォームとの間に充分
な接着強度が得られず、また、厚みが2.0mmより厚
い場合には、樹脂層に柔軟性がなくなり、発熱体等の凹
凸面への追従性が確保できず、また被着体と樹脂層との
境界に空気溜まりが封入されやすくなる。
【0042】本発明が提供する熱伝導性シート状積層体
は、発泡セルの表面に金属を付着させた合成樹脂フォー
ムの少なくとも片面に熱伝導性充填材を含有する軟質樹
脂層を積層したものであるが、熱伝導性充填材を含有す
る軟質樹脂層は、樹脂フォームの両面に積層させること
も可能である。この場合にあっては、フォームの両面に
積層させる樹脂層の樹脂組成、層厚みは、それぞれ同一
であっても、異なっていてもよい。ただし、本発明の熱
伝導性シート状積層体を、熱伝導性のスペーサーとして
使用する場合は、金属を付着させた合成樹脂フォームの
片面のみに熱伝導性充填材を含有する軟質樹脂層を積層
したものとすることが好ましい。金属を付着させた合成
樹脂フォーム面は、より空気溜まりが発生し難く、より
凹凸面に追従する。
【0043】また、軟質樹脂層自体が、複数の層構造を
有していてもよく、例えば、フォームにウレタン系の軟
質樹脂層を積層させ、さらに接着性能を有するアクリル
系の軟質樹脂層を積層させることもできる。この場合に
あっては、各層を構成する軟質樹脂層には、それぞれ熱
伝導性充填材を含有させておく必要はあるが、接着剤に
あっては、その接着剤層の厚みが極めて薄いものとなる
ため、必ずしも熱伝導性充填剤を含有することは必要な
い。
【0044】以上のようにして提供される本発明の熱伝
導性シート状積層体は、所定の形状に打抜裁断され、電
気機器部品あるいは電子機器部品の発熱体と放熱体(シ
ートシンク)の間に装着され、発熱体からの熱を放熱体
(シートシンク)へ、効率よく伝導させ、放熱を行うこ
とが可能となる。この場合における本発明の熱伝導性シ
ート状積層体の装着は、軟質樹脂層側をなるべく平坦な
面に装着し、次いである一定の押圧により他方の面に圧
着させることにより、凹凸面に柔軟に馴染みさせ(追従
させ)、その結果、有効に熱伝導性特性を発揮し得るこ
ととなる。
【0045】
【実施例】以下に本発明を実施例、比較例によりより詳
細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0046】実施例1〜4: (a)金属付着樹脂フォームの製造 定法に従い3種類のスラブ発現ポリウレタンフォームを
製造した。得られたポリウレタンフォームを裁断して厚
さ3.5mmのシートとした(表1)。
【0047】
【表1】
【0048】以上で得られたポリウレタンフォームを使
用し、表2中に記載する量の金属を化学メッキ法または
化学メッキ−電解メッキ法を組み合わせて、発泡セル表
面に付着させた。得られた発泡セルの表面に金属を付着
させたポリウレタンフォームの80%圧縮応力は、JI
S−K6767に記載の「圧縮硬さ試験法」により試験
した結果、表中に記載する値のものであった。
【0049】(b)熱伝導性充填材含有軟質樹脂層の調
製 表1中に記載の軟質樹脂成分を用い、これに表中に記載
する量の熱伝導性充填材を含有させ、シリコーン系重合
体にあっては、押出機にて、厚み0.4mmを有する軟
質樹脂層を製造し、アクリル系重合体にあっては、シリ
コーンコーティング離型紙上にキャスティングし、加熱
硬化させて、厚み0.4mmを有する軟質樹脂層を製造
した。得られた軟質樹脂層の熱伝導率λは、表中に記載
のとおりであった。
【0050】(c)熱伝導性シート状積層体の製造 上記(a)で得られた金属付着ポリウレタンフォームを
用い、上記(b)の熱伝導性充填材含有軟質樹脂層を積
層させ、本発明の熱伝導性シート状積層体を製造した。
積層体の製造は、(b)の熱伝導性充填材含有の軟質樹
脂層が完全に固化および硬化する前に(a)で得られた
金属付着ポリウレタンフォームをラミネートし、その状
態で固化および硬化を行い、軟質樹脂層にポリウレタン
フォームの表面が染み込むことによる投錨接着により両
者を積層した。
【0051】得られた熱伝導性シート状積層体は、金属
付着ポリウレタンフォームの厚みが3.5mmを有し、
軟質樹脂層が0.4mm厚であり、軟質樹脂層にポリウ
レタンフォームの表面が投錨接着しているものであり、
全体の厚みは約3.8mmであった。
【0052】
【表2】
【0053】1)シリコーン系重合体:GE東芝シリコ
ーン社製 TSE2323−5E2)アクリル系重合
体:大日本インキ化学工業社製 クイックマスター S
PS−809
【0054】比較例1〜3: (a)比較例1 比較例1として、上記の実施例1で使用した熱伝導性充
填材を含有する軟質樹脂組成物成分と同一のものを使用
して、同様に熱伝導性シート状積層体を製造した。ただ
し、樹脂フォームの80%圧縮応力は、比較例1にあっ
ては250gf/cmであった。 (b)比較例2 比較例2は、上記実施例3において、樹脂フォームの発
泡セル表面に金属を付着させないものを使用した以外は
同様に処理を行ったものである。 (c)比較例3 比較例3は、上記実施例3において軟質樹脂成分に熱伝
導性充填材を含有しないものを用いた。 (d)比較例4 比較例4は、金属付着ポリウレタンフォームと軟質樹脂
層を投錨接着させずに、通常の接着剤にてラミネートし
たもので、実施例2に対応するものである。ただし全体
の厚みは3.9mmであった。
【0055】試験例1:凹凸面への追従性試験 上記の実施例1〜4、比較例1〜4で得られた熱伝導性
シート状積層体について、凹凸面を有する被着体への装
着を検討し、その追従性を評価した。その結果、実施例
1〜4で得られた本発明の熱伝導性シート状積層体は、
凹凸面への追従性に優れていたものの、比較例1にあっ
ては、凹凸面への追従性は実施例1〜4のものに比較し
て悪いものであった。それらの結果を、併せて上記の表
2中に示した。
【0056】試験例2:発熱体への装着による熱伝導性
試験 実施例1〜4、および比較例1〜4で得られた熱伝導性
シート状積層体を用いて、熱伝導性シートの性能を試験
した。性能はシート積層体の熱抵抗を評価することで行
った。試験は湿度センサーを内蔵した断面積25cm
(5cm×5cm)、厚み10mmのアルミニウム板2
枚を用意し、その一方に熱量Q=30Wのヒーターを取
り付ける。さらに作成したシート積層体の軟質樹脂膜側
をヒーターを取り付けた側のアルミニウム板に装着す
る。シート積層体のフォーム側にもう一方のアルミニウ
ム板を重ね荷重が2,500g(100g/cm)に
なるように重量を加えた。
【0057】測定は熱量Q=30Wを加え、2枚のアル
ミ板の温度を測定し、一定になったところ(安定したと
ころ)で、その温度差を測定することにより、次式より
熱抵抗を算出した。
【数1】Rb=ΔT/Q(℃/W) その結果をあわせて表2中に示した。表中に示した結果
からも明らかなように、本発明の熱伝導性シート状積層
体は、いずれも良好な熱伝導性を示した。これに対して
発泡セル表面に金属を付着しなかった比較例2、熱伝導
性充填材を含有しなかった比較例3にあっては、熱抵抗
が高く、実質的に熱伝導の性質を示さないものであっ
た。さらに比較例4にあっては、投錨接着されていない
ため熱伝導性が悪化した。
【0058】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明が提供す
る熱伝導性シート状積層体は、発泡セル表面に金属を付
着させてなる、その80%圧縮応力が100gf/cm
以下である合成樹脂フォームの少なくとも片面に、熱
伝導性充填材を含有した軟質樹脂層を積層したことを特
徴とする熱伝導性シート状積層体であり、特に、柔軟性
のある合成樹脂フォームの発泡セル表面の全体に熱伝導
性のある金属を化学メッキ法あるいはその他の手段によ
り付着させることにより、樹脂フォーム自体に熱伝導性
を確保した点、さらに、フォームの柔軟性を生かすこと
により、凹凸面に対して少ない力でも密着させることが
できる点、さらには、熱伝導性の軟質樹脂層を樹脂フォ
ームと積層させることにより、貼着時にシート貼着面に
空気溜まりが入ることなく有効に放熱性と熱伝導性を確
保することができ得る点に特徴を有するものである。
【0059】したがって、これまでの複雑な構造を有す
る放熱性シートに比較して、簡便に電子機器部品の発熱
デバイスの放熱を確保し得るものであり、また、発熱デ
バイスの形状の大きさ等に左右されず、ヒートシンク等
との装着を行い得る利点を有する。
【0060】さらに、発熱体と放熱体との接触面に多少
の凹凸形状あるいは段差が存在しても、本発明の熱伝導
性シート状積層体を用いることにより両者を密着状態で
接触させることが可能となり、極めて有効に、発熱体か
らの熱を放熱し得る利点を有する。
【0061】また、従来提供されている熱伝導性シート
(スペーサー)に比較して、簡便な構造を有する熱伝導
性シート状積層体であることより、製造コストの低減が
図れ、その点での産業上の有用性は多大なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA13C AA17C AA18C AA19C AB01B AB02C AB10C AB17C AB24C AK01A AK01C AK12C AK25C AK49C AK51 AK51C AK52C AK64C BA03 BA07 BA10A BA10C CA23C DJ01A EC14 GB41 JJ01C JJ06 JJ10C JK13C JK20A

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡セル表面に金属を付着させてなり、
    その80%圧縮応力が100gf/cm以下である合
    成樹脂フォームの少なくとも片面に、熱伝導性充填材を
    含有した軟質樹脂層を積層したことを特徴とする熱伝導
    性シート状積層体。
  2. 【請求項2】 熱伝導性充填材を含有した軟質樹脂層の
    熱伝導率λが0.2W/m・K以上である請求項1に記
    載の熱伝導性シート状積層体。
  3. 【請求項3】 熱伝導性充填材を含有した軟質樹脂層の
    樹脂が、シリコーン系重合体、アクリル系重合体、ウレ
    タン系重合体、エチレンプロピレン系重合体、スチレン
    系重合体またはイミド系重合体から選択される重合体よ
    りなるものである請求項1に記載の熱伝導性シート状積
    層体。
  4. 【請求項4】 熱伝導性充填材が、酸化アルミニウム、
    酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒
    化ケイ素、水酸化アルミニウム、アルミニウム、銀、銅
    または鉄から選択される物質からなるものである請求項
    1に記載の熱伝導性シート状積層体。
  5. 【請求項5】 合成樹脂フォームが、熱伝導性充填材を
    含有する軟質樹脂層に接着剤を用いることなく投錨接着
    していることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性シ
    ート状積層体。
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