[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2003070364A - 育苗用ポット及びその製造方法 - Google Patents

育苗用ポット及びその製造方法

Info

Publication number
JP2003070364A
JP2003070364A JP2001268818A JP2001268818A JP2003070364A JP 2003070364 A JP2003070364 A JP 2003070364A JP 2001268818 A JP2001268818 A JP 2001268818A JP 2001268818 A JP2001268818 A JP 2001268818A JP 2003070364 A JP2003070364 A JP 2003070364A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pot
seedling
growing
molding
pulp
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001268818A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Yamamoto
秀男 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2001268818A priority Critical patent/JP2003070364A/ja
Publication of JP2003070364A publication Critical patent/JP2003070364A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cultivation Receptacles Or Flower-Pots, Or Pots For Seedlings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 移植の作業効率に優れると共に環境保護にも
貢献でき、しかも十分なコストダウンを図る。 【解決手段】 育苗用ポット1を、サトウキビの残滓
と、麦藁,葦,一年草などの乾燥草葉とを含んだパルプ
状(紙状)材料から、プレス成形により育苗トレーの形
状に応じたほぼ八角形状の有底容器状に構成する。育苗
用ポット1の底部及び前後左右の側壁部の下部部分に、
透孔1a及び透孔1bを形成する。育苗用ポット1の表
面に、分解期間調整用のパラフィン膜を形成する。育苗
用ポット1は、天然の一年生植物の繊維から構成される
ので、土中で比較的短期間で容易に分解(腐食)する生
分解性を呈し、表面のパラフィン膜も土中で容易に風化
する。従って、育苗用ポット1から苗を取り出すことな
くそのまま移植することが可能となり、しかも安価な材
料から構成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土中で分解する生
分解性を有する育苗用ポット及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】例えば野菜、草花、花
木等の育苗(肥培)管理に用いられる育苗用ポットは、
従来より、一般に塩ビやポリエチレン等のプラスチック
から円形ポット形状に構成されている。ところが、この
ようなプラスチック製の育苗用ポットでは、苗を畑や大
型の鉢等に移植する際に、いちいち苗をポットから取出
さなければならず、移植の作業効率の悪いものとなって
いると共に、苗の根を傷めてしまう虞もあった。更に
は、使用後のポットをゴミとして処分する必要があり、
環境悪化等を招いてしまうことになる。
【0003】そこで、上記問題点を解決すべく、例えば
特開平9−322658号公報などに示されるように、
土中で分解する生分解性プラスチックから育苗用ポット
を構成することが考えられている。しかしながら、生分
解性プラスチックは材料コストが高いため、それを用い
た育苗用ポットも高価なものとなり、そのような価格面
の問題から十分に普及するには至っていないのが現状で
ある。
【0004】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、移植の作業効率に優れると共に環境保
護にも貢献でき、しかも十分なコストダウンを図ること
ができる育苗用ポットを提供するにあり、さらにそのよ
うな育苗用ポットを製造するに適する育苗用ポットの製
造方法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、育苗用ポッ
トを構成する材料として、従来考えられていた生分解性
プラスチックに代えて、生分解性プラスチックと同等以
上の機能を備えながらも、より安価なものを探求すべ
く、様々な試作,研究を重ねた。その結果、サトウキビ
の残滓と稲藁,麦藁,葦,一年草などの乾燥草葉とを含
んでなるパルプ状材料が、土中で比較的短期間で分解
(腐食)していわば土に還る自然のサイクルを呈するよ
うになり、また、成形が容易であり、成形品が育苗用ポ
ットとして十分な強度,剛性が得られることを確認し、
本発明を成し遂げたのである。
【0006】即ち、本発明の請求項1の育苗用ポット
は、60〜80重量%のサトウキビの残滓と、40〜2
0重量%の稲藁,麦藁,葦,一年草などの乾燥草葉とを
含んだパルプ状材料から、ポット形状に形成されてなる
ところに特徴を有する。これによれば、サトウキビの残
滓と稲藁等の乾燥草葉とを原料としたパルプ状材料、つ
まり、天然(自然)の一年生植物の繊維から構成される
ことにより、土中で比較的短期間で容易に分解(腐食)
するようになり、育苗用ポットから苗を取り出すことな
くそのまま移植することが可能となる。ちなみに、本発
明者の研究によれば、土壌の質や温度(季節)等により
左右されるが、土中で約3週間〜2ケ月で分解する。従
って、移植の作業効率を向上させることができると共
に、苗の根を傷めてしまうことを未然に防止でき、更に
はゴミの発生もないため環境保護を図ることができる。
【0007】このとき、パルプ状材料中のサトウキビの
残滓と乾燥草葉との配合を上記のようにすることが望ま
しく、サトウキビの残滓には多量の澱粉質を含むため、
別途の粘着剤等を加えなくとも粘着性が得られ、繊維を
紙状に固めることができて成形性にも優れ、また紙状の
成形品として十分な強度,剛性を得ることができる。そ
して、生分解性プラスチックといった高価な材料と異な
り、材料となるサトウキビの残滓及び乾燥草葉は、いず
れもいわば廃棄物の再利用を図るようなものであって安
価に入手することができ、ひいては製品を安価に提供す
ることが可能となる。また、木材パルプのような森林資
源を使用するものではなく、資源保護も図ることができ
る。
【0008】また、本発明の請求項4の育苗用ポットの
製造方法は、上記した育苗用ポットを製造するための方
法にあって、パルプ状材料を水に溶かした状態の成形材
料を、透水性を有した成形型装置に供給しポット形状に
プレス成形する成形工程と、成形品を加熱して水分を除
去する乾燥工程とを含むところに特徴を有する。これに
よれば、パルプ状材料を締め固めて十分な強度,剛性を
備えるポットを成形することができ、簡単な工程で上記
したような育苗用ポットを製造することが可能となる。
【0009】ここで、育苗用ポットを用いて育苗(肥
培)管理を行う際には、一般に育苗トレーが用いられる
が、この場合、育苗用ポットを、育苗トレーの形状に応
じたほぼ八角形状の有底容器状に構成すると共に、その
底部及び側壁部下部に透孔を形成することが望ましい
(請求項2の発明)。
【0010】これにより、育苗トレーに育苗用ポットを
隙間なくセットすることができ、また、育苗トレーに育
苗用ポットをセットする作業の自動化や、その育苗用ポ
ットに対して土を入れ種を蒔いたりする作業の機械化
(自動化)を進めることも可能となる。これと共に、育
苗用ポットの底部及び側壁部下部に形成された透孔によ
り、育苗期間において、苗の根の部分に対する、通気
性、透光性が確保されるので、根のいわゆるルーピング
を防止でき、発根を良好とすることができる。また、土
中への移植後には、透孔を通して根を外へ延ばすことが
できる。
【0011】この場合、前記透孔を形成するにあたって
は、上記成形工程において成形品の底部に透孔が形成さ
れるようにすると共に、上記乾燥工程の後に、成形品の
側壁部下部に透孔を形成する孔形成工程を行うようにす
れば良い(請求項5の発明)。これによれば、型構造を
徒に複雑化することなく、育苗用ポットの底部及び側壁
部下部に対し、合理的に透孔を形成することができる。
【0012】ところで、育苗(肥培)期間においても、
ポット内には土が入っているため緩やかにではあるが分
解が進行する事情がある。この場合、育苗期間は、苗の
種類によって異なり、例えば、野菜の苗では育苗期間が
2ケ月程度であるのに対し、花の育苗期間は3〜4ケ月
必要であったりする。そのため、育苗用ポットがあまり
早期(育苗期間中)に分解してしまうと、移植が旨く行
えなくなる場合が生ずる。
【0013】そこで、本発明者は、上記した育苗用ポッ
トにあって、分解期間をいかにコントロール(遅く)す
るかを更なる課題として試験,研究を重ね、育苗用ポッ
トの表面にパラフィン膜を形成することにより、分解期
間を遅くすることができることを確認したのである(請
求項3の発明)。
【0014】このとき、パルプ状材料からなるポットの
表面にパラフィンがコーティングされることによって、
ポットの分解が抑制され、パラフィン膜が土中で風化し
た後ポットの分解が開始されるので、分解期間をその分
遅くすることができる。この場合、パラフィン膜は例え
ば2,3ケ月程度で風化し、パラフィン膜を厚く形成す
るほど分解期間を長くすることができる。また、パラフ
ィン膜が通水性を阻害するため、育苗期間中におけるポ
ット内の水分の保持の機能も呈するようになる。さらに
は、ポットの表面の滑りが良くなり、例えば積重ねた状
態のものを1個ずつ取出す際の取扱い性が良くなるとい
ったメリットも得ることができる。パラフィンが、苗や
環境に対し有害となることもない。
【0015】そして、育苗用ポットの表面にパラフィン
膜を形成するためには、液状のパラフィンを塗布し乾燥
させる等の様々な方法が考えられるが、上記した製造方
法を採用する場合には、成形材料に固形パラフィンの粉
末を混合しておき、成形工程において、その成形材料を
固形パラフィンの融点以上の温度まで加熱する方法を採
用することが好ましい(請求項6の発明)。
【0016】これによれば、成形工程において、成形材
料中の固形パラフィンが融解してポットの表面に滲み出
し、その後冷却されることによってポットの表面にパラ
フィン膜が形成されるようになるので、別途のパラフィ
ン膜形成の工程を設けずとも、簡単にパラフィン膜を形
成することができる。固形パラフィンの融点は高々70
℃程度なので、特に高温に加熱する必要もない。また、
本発明者の研究では、固形パラフィンの粉末の配合量と
しては、パルプ状材料100重量部に対して10〜30
重量部とすることが望ましく、これにより適切な分解期
間を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例につい
て、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例に
係る育苗用ポット1の外観を示しており、この育苗用ポ
ット1は、サトウキビの残滓と、麦藁,葦,一年草など
の乾燥草葉とを含んだパルプ状(紙状)材料から、下方
に行くほどすぼまるような緩やかなテーパ状をなすポッ
ト形状(有底容器状)に構成されている。この育苗用ポ
ット1の製造方法については、後に詳述する。
【0018】この場合、本実施例では、この育苗用ポッ
ト1は、育苗トレー2(図2参照)の形状に応じたほぼ
八角形状(四角形の4つの角部をいわゆる面取りした状
態)の有底容器状に構成されている。また、この育苗用
ポット1の底部には、中央部に位置して1個の比較的大
きな透孔1aが形成されていると共に、前後左右の側壁
部の下部部分には、各4個の比較的小さな透孔1bが形
成されている。
【0019】そして、本実施例では、この育苗用ポット
1の表面には、外面及び内面の全面に分解期間調整用の
パラフィン膜が形成されている。尚、育苗用ポット1を
構成する壁の厚みは、パラフィン膜を含めて約1mm程度
とされ、十分な強度が得られると共に、薄肉のプラスチ
ック製の育苗用ポットと比べて高い剛性を備えたものと
されている。
【0020】この育苗用ポット1を用いて野菜、草花、
花木等の育苗(肥培)管理を行うにあたっては、図2に
示すような育苗トレー2が用いられる。この育苗トレー
2は、例えばプラスチック成形品からなり、図2(a)
に示すように、この場合縦4列、横6列の合計24個の
ポット収容部2aを有している。育苗トレー2は、上部
に、各ポット収容部2aを区画する格子状の枠部2bを
有し、その枠部2bの格子の各交点部分2cが45度傾
いた正方形状(端辺部では三角形状)をなしている。そ
して、各ポット収容部2aにおいて、前記各交点部分2
bの各辺部から連続して下方に延びる4本の繋ぎ部2d
を介して前記育苗用ポット1の底部を支えるほぼ四角形
の網状底部2eが一体的に設けられている。
【0021】この育苗トレー2の各ポット収容部2aに
前記育苗用ポット1を収容した状態で、各育苗用ポット
1内へ土を入れて種を蒔き、その後水を撒いたりして育
苗が行われる。このとき、図2(b)に示すように、育
苗用ポット1の形状が、ポット収容部2aの形状に応じ
たほぼ八角形状とされているので、育苗トレー2の上面
部において、育苗用ポット1が隙間なくセットされるよ
うになり、隙間から土がこぼれたりすることなく土を入
れることができ、また水撒き等も効率的に行うことがで
きる。育苗後の苗の出荷等も育苗トレー2毎行われる。
【0022】次に、上記育苗用ポット1を製造するため
の本実施例に係る製造方法について、図3及び図4も参
照して述べる。図3は、育苗用ポット1の製造工程全体
を概略的に示しており、図4はそのうち成形工程及び乾
燥工程の様子を示している。ここで、図3に示すよう
に、まず、原料となる、糖分を抽出した後のサトウキビ
の残滓3、及び、稲藁,麦藁,葦,一年草などを刈取っ
て乾燥させた乾燥草葉4を、細かな繊維とするパルプ化
の工程P1が実行される。
【0023】次いで、パルプ状とされたそれらサトウキ
ビの残滓3及び乾燥草葉4を水と共に混合し、漉いて乾
燥させ、フェルト状とする板紙化の工程P2が実行され
る。このとき、両原料の配合割合は、サトウキビの残滓
3が60〜80重量%、乾燥草葉4が40〜20重量%
とされる。また、この場合、サトウキビの残滓3には多
量の澱粉質を含むため、特別な粘着剤等を加えなくとも
粘着性が得られ、繊維を紙状に固めることができる。こ
れにて、いわば中間原料としての板紙状のパルプ状材料
5が得られる。
【0024】上記育苗用ポット1を成形するにあたって
は、前記パルプ状材料5を再び水6に溶かして(分散さ
せて)、いわば紙粘土状(ドロドロの状態)の成形材料
9とすることが行われる。このとき、本実施例において
は、この成形材料9には、固形パラフィンの粉末7が混
合されると共に、少量の添加剤8が添加される。更に、
前記水6は、前記固形パラフィンの融点である約70℃
程度の湯とされる。また、前記固形パラフィンの粉末7
の配合量は、パルプ状材料5の100重量部に対して、
10〜30重量部とされる。尚、前記添加剤8として
は、水溶性防水剤が全体の0.2〜1.1重量%程度混
合される。また、必要に応じて、水溶性防油剤を添加し
たり、育苗用ポット1に所望の着色を行うための顔料を
添加することもできる。
【0025】さて、本実施例では、前記成形材料9から
育苗用ポット1を製造(成形)するために、図4に示す
ような成形型装置10が用いられる。この成形型装置1
0は、図4(a)に示すように、ベッド11上に育苗用
ポット1の外面に対応したメス型(下型)12を有する
と共に、ラム(図示せず)に育苗用ポット1の内面に対
応したオス型(上型)13を有して構成される。
【0026】このとき、図示はしないが、前記メス型1
2は、多数の小孔を有した網目状(多孔状)に構成さ
れ、透水性(成形材料9中の水を下方に排出する機能)
を有している。さらに、メス型12(あるいはオス型1
3)には、育苗用ポット1の底部に透孔1aを形成する
ための凸部が設けられている。また、詳しく図示はしな
いが、この成形型装置10には、材料を供給するための
機構(図4(b)にノズル14のみ図示)や、成形品1
5に対して熱風を供給する機構等も設けられている。
【0027】そして、図3に戻って、育苗用ポット1を
製造(成形)するには、前記成形材料9を前記成形型装
置10に供給してポット形状にプレス成形して成形品1
5を得る成形工程P3が実行され、引続き、成形品15
を加熱して水分を除去する乾燥工程P4が実行される。
これら成形工程P3及び乾燥工程P4は、図4に示すよ
うな順に進行する。
【0028】即ち、成形型装置10の型開き状態(a)
で、まず、ノズル14からメス型12上に所要量の成形
材料9が供給される(b)。このとき、成形材料9は、
パラフィンの融点以上の温度である約70℃とされてい
ることにより、成形材料9内で、固形パラフィンの粉末
7は溶融状態とされている。また、メス型12は透水性
を有しているため、成形材料9の中の水分がある程度メ
ス型12を通して排出されるようになる。
【0029】次いで、オス型13を下降させて型締め
し、プレス成形することが行われる(c)。このときの
加圧力により、パルプ状材料5が締め固められてポット
形状の成形品15とされると共に、ある程度の水分が排
出されるようになる。また、底部の透孔1aも形成され
るようになる。この後、オス型13が上昇されて型開き
され、熱風供給機構により、成形品15(メス型12)
に対して例えば120℃の熱風が供給される(d)。こ
れにより、成形品15中の水分が除去(全体の約70%
が除去)されるようになり、またこのとき、成形材料9
中の固形パラフィン7が成形品15の表面に滲み出すよ
うになる。
【0030】この後、成形品15が脱型され、自然乾
燥、自然冷却されるようになる(e)。これにより、さ
らに成形品15の水分が除去されると共に、パラフィン
が固化して成形品15の表面全体にパラフィン膜が形成
されるようになる。このパラフィン膜は、成形材料9中
の固形パラフィンの粉末7の配合量に応じた厚みで形成
されるようになる。そして、この状態の成形品15で
は、底部の透孔1aは形成されているものの、側壁部の
透孔1bは未だ形成されていない。そこで、図3に戻っ
て、成形品15に対して例えばプレスにより透孔1bを
形成する孔形成工程P5が実行される。これにより、上
記育苗用ポット1が得られるのである。
【0031】さて、上記育苗用ポット1を用いて野菜、
草花、花木等の育苗(肥培)管理が行えわれるのである
が、この際、上述のように、育苗トレー2に育苗用ポッ
ト1を隙間なくセットすることができるので、効率的な
育苗(肥培)管理を行うことができ、自動化、機械化も
可能となる。これと共に、育苗用ポット1の底部及び側
壁部下部に形成された透孔1a及び1bにより、育苗期
間において、苗の根の部分に対する、通気性、透光性が
確保されるので、根のいわゆるルーピングを防止でき、
発根を良好とすることができる。また、後の土中への移
植後には、透孔1a,1bを通して根を外へ延ばすこと
ができる。
【0032】そして、育苗用ポット1は、サトウキビの
残滓3と稲藁等の乾燥草葉4とを原料としたパルプ状材
料5、つまり、天然(自然)の一年生植物の繊維から構
成されるので、土中で比較的短期間(例えば約3週間〜
2ケ月)で容易に分解(腐食)するいわゆる生分解性を
呈することが確認されている。また、育苗用ポット1の
表面のパラフィン膜自体も、土中で容易に風化するよう
になる。
【0033】従って、育苗用ポット1により苗を育成さ
せた後、畑に移植(定植)させたり、より大きな鉢等に
移植するにあたり、育苗用ポット1から苗を取り出すこ
となくそのまま移植することが可能となり、移植後は、
育苗用ポット1はいわば土に還るようになる。この結
果、移植の作業効率を向上させることができると共に、
苗の根を傷めてしまうことを未然に防止でき、更には、
ゴミの発生もないため環境保護を図ることができる。ま
た、パルプ状材料5中のサトウキビの残滓3と乾燥草葉
4との配合を上記のようにしたことにより、成形性に優
れ、また紙状の成形品として十分な強度,剛性を得るこ
とができる。
【0034】しかも、この育苗用ポット1は、生分解性
プラスチックといった高価な材料と異なり、サトウキビ
の残滓3及び乾燥草葉4を材料とするものであり、これ
らはいずれもいわば廃棄物の再利用を図るようなもので
あって安価に入手することができ、ひいては製品を安価
に提供することが可能となる。また、木材パルプのよう
な森林資源を使用するものではなく、資源保護も図るこ
とができる。ちなみに、生分解性プラスチック製の育苗
用ポットよりも大幅なコストダウンを図ることができ、
従来のポリエチレン製等の育苗用ポットと比べても同等
以下の安価で提供することが可能となる。
【0035】しかして、育苗(肥培)期間においても、
育苗用ポット1内には土が入っているため緩やかにでは
あるが分解が進行する事情があり、本発明者の研究によ
れば、仮にパラフィン膜のないパルプ状材料5のみのポ
ットでは、土壌の質や温度(季節)等により左右される
が、土中で約3週間〜2ケ月で分解する。この場合、育
苗期間は、苗の種類によって異なり、例えば、野菜の苗
では育苗期間が2ケ月程度であるのに対し、花の育苗期
間は3〜4ケ月必要であったりする。そのため、育苗用
ポット1があまり早期(育苗期間中)に分解してしまう
と、移植が旨く行えなくなる虞が生ずる。
【0036】これに対し、育苗用ポット1の表面にパラ
フィン膜がコーティングされることによって、ポット1
の分解が抑制され、パラフィン膜が土中で風化した後ポ
ット1の分解が開始されるので、分解期間をその分遅く
することができる。この場合、パラフィン膜は例えば
2,3ケ月程度で風化し、パラフィン膜を厚く形成する
ほど分解期間を長くすることができる。本発明者の研究
によれば、図5に示すように、パラフィン膜の厚み言換
えれば成形材料9中の固形パラフィン7の配合量が多く
なるほど、分解期間が長くなる関係にあることが確認さ
れている。従って、例えば苗の種類に応じて固形パラフ
ィン7の配合量を調整することによって、分解期間を調
整することが可能となるのである。
【0037】このとき、固形パラフィンの粉末7の配合
量としては、パルプ状材料5が100重量部に対し、1
0〜30重量部とすることが望ましく、これにより適切
な分解期間を得ることができるのである。また、パラフ
ィン膜が通水性を阻害するため、育苗期間中における育
苗用ポット1内の水分の保持の機能も呈するようにな
る。さらには、育苗用ポット1の表面の滑りが良くな
り、例えば順に嵌込みながら積重ねた状態のものを1個
ずつ取出す際の取扱い性が良くなるといったメリットも
得ることができる。パラフィンが苗や環境に対し有害と
なることもない。
【0038】そして、本実施例の育苗用ポット1の製造
方法によれば、パルプ状材料5を締め固めて十分な強
度,剛性を備える成形品15を成形することができ、簡
単な工程で上記したような育苗用ポット1を製造するこ
とが可能となる。また、この場合、育苗用ポット1に透
孔1a,1bを形成するにあたって、成形工程において
成形品15の底部に透孔1aが形成されるようにすると
共に、上記乾燥工程の後に、成形品15の側壁部下部に
透孔1bを形成するようにしたので、成形型装置10の
型構造を徒に複雑化することなく、育苗用ポット1の底
部及び側壁部下部に対し、合理的に透孔1a,1bを形
成することができる。
【0039】さらに、特に本実施例では、育苗用ポット
1の表面にパラフィン膜を形成するために、成形材料9
に固形パラフィンの粉末7を混合しておき、成形工程に
おいて、その成形材料9を固形パラフィン7の融点以上
の温度まで加熱する方法を採用したので、例えば成形品
15に対して液状のパラフィンを塗布し乾燥させる等の
別途のパラフィン膜形成の工程を設けずとも、簡単にパ
ラフィン膜を形成することができる。固形パラフィン7
の融点は高々70℃程度なので、特に高温に加熱する必
要もなく、工程や装置が複雑化したり、多大なエネルギ
ーを必要とすることもない。
【0040】このように本実施例の育苗用ポット1によ
れば、従来のポリエチレン製等のポットと異なり、移植
の作業効率に優れると共に環境保護にも貢献することが
でき、しかも、生分解性プラスチック製のポットに比べ
て十分なコストダウンを図ることができるという優れた
効果を得ることができる。また、本実施例の育苗用ポッ
ト1の製造方法によれば、簡単な工程で上記のような優
れた育苗用ポット1を製造することが可能となるもので
ある。
【0041】尚、上記実施例では、育苗用ポット1の表
面にパラフィン膜を形成するようにしたが、育苗期間が
短い種類の苗に用いる場合には、パラフィン膜を形成す
る必要はなく、その分安価に済ませることができる。そ
の他、育苗用ポット1全体の形状は円形容器状,四角筒
状等であっても良く、透孔1a,1bの形成位置、個
数、大きさ等についても種々変更することができる等、
本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し
得るものである。
【0042】
【発明の効果】以上の説明にて明らかなように、本発明
の育苗用ポットによれば、移植の作業効率に優れると共
に環境保護にも貢献でき、しかも十分なコストダウンを
図ることができるという優れた効果を奏する。また、本
発明の育苗用ポットの製造方法によれば、簡単な工程で
上記のような優れた育苗用ポットを製造することが可能
となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、育苗用ポット
の斜視図
【図2】育苗トレー(a)及びそれに育苗用ポットをセ
ットした様子(b)を示す図
【図3】育苗用ポットの製造工程を概略的に示す図
【図4】成形工程及び乾燥工程における様子を示す図
【図5】固形パラフィンの配合量と分解期間との関係を
示す図
【符号の説明】
図面中、1は育苗用ポット、1a,1bは透孔、2は育
苗トレー、3はサトウキビの残滓、4は乾燥草葉、5は
パルプ状材料、7は固形パラフィン、9は成形材料、1
0は成形型装置、15は成形品を示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 60〜80重量%のサトウキビの残滓
    と、40〜20重量%の稲藁,麦藁,葦,一年草などの
    乾燥草葉とを含んだパルプ状材料から、ポット形状に形
    成されてなる育苗用ポット。
  2. 【請求項2】 育苗トレーの形状に応じたほぼ八角形状
    の有底容器状に構成されると共に、その底部及び側壁部
    下部に透孔が形成されていることを特徴とする請求項1
    記載の育苗用ポット。
  3. 【請求項3】 表面に分解期間調整用のパラフィン膜が
    形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の
    育苗用ポット。
  4. 【請求項4】 60〜80重量%のサトウキビの残滓
    と、40〜20重量%の稲藁,麦藁,葦,一年草などの
    乾燥草葉とを含んだパルプ状材料からなる育苗用ポット
    を製造するための方法であって、 前記パルプ状材料を水に溶かした状態の成形材料を、透
    水性を有した成形型装置に供給しポット形状にプレス成
    形する成形工程と、 成形品を加熱して水分を除去する乾燥工程とを含むこと
    を特徴とする育苗用ポットの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記成形工程において成形品の底部に透
    孔が形成されるようになっていると共に、前記乾燥工程
    の後に、成形品の側壁部下部に透孔を形成する孔形成工
    程が行われることを特徴とする請求項4記載の育苗用ポ
    ットの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記成形材料には、前記パルプ状材料1
    00重量部に対して10〜30重量部の固形パラフィン
    の粉末が混合されると共に、前記成形工程においては、
    該成形材料が固形パラフィンの融点以上の温度まで加熱
    されることを特徴とする請求項4又は5記載の育苗用ポ
    ットの製造方法。
JP2001268818A 2001-09-05 2001-09-05 育苗用ポット及びその製造方法 Pending JP2003070364A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001268818A JP2003070364A (ja) 2001-09-05 2001-09-05 育苗用ポット及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001268818A JP2003070364A (ja) 2001-09-05 2001-09-05 育苗用ポット及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003070364A true JP2003070364A (ja) 2003-03-11

Family

ID=19094749

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001268818A Pending JP2003070364A (ja) 2001-09-05 2001-09-05 育苗用ポット及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003070364A (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006115707A (ja) * 2004-10-19 2006-05-11 Tanaka:Kk アマモ苗育成用兼アマモ場造成用容器およびその使用方法
CN102422792A (zh) * 2011-09-14 2012-04-25 郑立云 一种节水抑草型连盖营养钵
KR101174501B1 (ko) * 2009-12-31 2012-08-22 대한민국 친환경 기능성 원예용 포트
WO2013019105A2 (en) 2011-07-29 2013-02-07 Holding P.M.M. Hoff B.V. A plant tray for propagating plants, a tray, a cup, and methods
CN103098672A (zh) * 2011-09-14 2013-05-15 郑立云 一种节水抑草型连盖营养钵
CN103404389A (zh) * 2011-09-14 2013-11-27 郑立云 一种节水抑草型褶皱连盖营养钵
KR101548900B1 (ko) * 2015-01-28 2015-09-01 한기성 딸기모종용 포트
KR101645455B1 (ko) * 2015-06-26 2016-08-04 장현식 딸기 제자리육묘를 위한 개별육묘포트 및 이를 이용한 딸기 제자리정식 고설재배방법
FR3051097A1 (fr) * 2016-05-10 2017-11-17 Mp Pro Pot ou godet biodegradable
CN107512962A (zh) * 2017-09-30 2017-12-26 太仓市南杨农场专业合作社 一种环保型育秧盘用壳体
CN107593369A (zh) * 2017-11-02 2018-01-19 吉林禾动力生物科技有限公司 一种可生物降解的育秧盘及其制备方法
WO2021169728A1 (zh) * 2020-02-28 2021-09-02 扬州大学 一种培育机插水稻壮秧的基质型秧盘及其制造方法
CN113372160A (zh) * 2021-06-10 2021-09-10 魏常炬 一种利用生活垃圾提取分离的优质肥颗粒及其制备方法与应用
CN116590962A (zh) * 2023-05-29 2023-08-15 东北农业大学 一种秸秆纤维基结球蔬菜苗钵材料制造技术

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006115707A (ja) * 2004-10-19 2006-05-11 Tanaka:Kk アマモ苗育成用兼アマモ場造成用容器およびその使用方法
JP4677759B2 (ja) * 2004-10-19 2011-04-27 株式会社田中 アマモ苗育成およびアマモ場造成方法
KR101174501B1 (ko) * 2009-12-31 2012-08-22 대한민국 친환경 기능성 원예용 포트
WO2013019105A2 (en) 2011-07-29 2013-02-07 Holding P.M.M. Hoff B.V. A plant tray for propagating plants, a tray, a cup, and methods
CN102422792A (zh) * 2011-09-14 2012-04-25 郑立云 一种节水抑草型连盖营养钵
CN103098672A (zh) * 2011-09-14 2013-05-15 郑立云 一种节水抑草型连盖营养钵
CN103404389A (zh) * 2011-09-14 2013-11-27 郑立云 一种节水抑草型褶皱连盖营养钵
KR101548900B1 (ko) * 2015-01-28 2015-09-01 한기성 딸기모종용 포트
KR101645455B1 (ko) * 2015-06-26 2016-08-04 장현식 딸기 제자리육묘를 위한 개별육묘포트 및 이를 이용한 딸기 제자리정식 고설재배방법
FR3051097A1 (fr) * 2016-05-10 2017-11-17 Mp Pro Pot ou godet biodegradable
CN107512962A (zh) * 2017-09-30 2017-12-26 太仓市南杨农场专业合作社 一种环保型育秧盘用壳体
CN107593369A (zh) * 2017-11-02 2018-01-19 吉林禾动力生物科技有限公司 一种可生物降解的育秧盘及其制备方法
CN107593369B (zh) * 2017-11-02 2021-02-02 吉林禾动力生物科技有限公司 一种可生物降解的育秧盘及其制备方法
WO2021169728A1 (zh) * 2020-02-28 2021-09-02 扬州大学 一种培育机插水稻壮秧的基质型秧盘及其制造方法
CN113372160A (zh) * 2021-06-10 2021-09-10 魏常炬 一种利用生活垃圾提取分离的优质肥颗粒及其制备方法与应用
CN116590962A (zh) * 2023-05-29 2023-08-15 东北农业大学 一种秸秆纤维基结球蔬菜苗钵材料制造技术

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10039238B2 (en) Mixture for biodegradable articles
JP2003070364A (ja) 育苗用ポット及びその製造方法
KR20080042226A (ko) 환경친화형 육묘포트
SK284692B6 (sk) Sadbová a kultivačná nádoba a spôsob jej výroby
US3102364A (en) Cellulosic molded transplanter pot or other products containing bagasse components
EP1969920B1 (en) Organic fiber sowing vessels and pots for seedlings and plants and making method therefor
JP2005333850A (ja) 植物育成床
CN2181174Y (zh) 育苗容器
JP2001148944A (ja) 育苗セット及び育苗方法
JPH0856498A (ja) 生分解性資化性の農園芸用育苗ポット
KR102107719B1 (ko) 식생용 천연 포트
PL236220B1 (pl) Biodegradowalna doniczka do hodowli roślin
SK281328B6 (sk) Záhradnícky kontajner z tvarovanej vlákniny odolný proti degradácii a spôsob jeho výroby
JPH08140490A (ja) 育苗用容器
JP3786286B1 (ja) 園芸用ポットの製造方法および園芸用ポット
KR20240109789A (ko) 펄프몰드 생분해성 육묘포트 및 그의 제조방법
GB2591986A (en) Plant pot
KR101410470B1 (ko) 지렁이 분변토 포트
US20240284845A1 (en) Natural fiber-based propagation medium
EP2096093B1 (fr) Matériau horticole biodégradable et d'intérêt agronomique
JP2003304751A (ja) 植物ポット
JP2023055562A (ja) 苗木ポットおよびその製造方法
WO2024047334A1 (en) Plant container composition
JP2004344005A (ja) 植物繊維製プランター及びその製造方法
KR20240158702A (ko) 씨앗 캡슐 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20040830