JP2003069507A - 空間分割多重/空間分割多元接続ワイヤレス光通信システム - Google Patents
空間分割多重/空間分割多元接続ワイヤレス光通信システムInfo
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Abstract
分割多重/空間分割多元ワイヤレス光通信システムを提
供する。 【解決手段】 情報を搬送する複数のダウンリンク信号
光2017を送信する基地局1002とともに用いられ
る端末装置1003は、複数のダウンリンク信号光20
17のうち、少なくとも1つが入射する受信回路104
を備えている。受信回路104は、少なくとも1つのダ
ウンリンク信号光2017が入射し、少なくとも1つの
ダウンリンク信号光2017の強度を示す電気信号11
14を出力する光電変換増幅部1113と、電気信号1
114のピーク値1116およびボトム値1117を検
出する検出部113と、ピーク値1116とボトム値1
117と電気信号1114とに基づいて、少なくとも1
つのダウンリンク信号光2017のうち強度振幅が最大
であるダウンリンク信号光が搬送する情報を取得する、
取得部116とを含む。
Description
機能を備えた端末装置を基地局を介して高速の通信イン
ターフェイスを備えた機器あるいはそれら機器で構成さ
れた有線ネットワークにワイヤレスアクセスさせるため
のシステムに関する。特に、家庭内やオフィス内あるい
は店舗内等での特定のスペースにおいて、データ転送を
高速に行うことのできる空間分割多重/空間分割多元接
続ワイヤレス光通信システムに関する。
術、半導体メモリ技術等の進展に伴い、携帯電話や、携
帯電話に接続された携帯情報端末装置がモバイル形態で
インターネットに接続されるようになってきている。こ
のようなモバイルインターネット接続において、比較的
大容量のコンテンツをワイヤレス送受信するアプリケー
ションの可能性が模索されている。例えば、携帯電話や
PHS端末に1曲単位で音楽を配信するシステムの可能
性が模索されている。
る携帯端末装置に、圧縮されたコンテンツをPCからシ
リアル接続あるいはUSB接続を介して転送することも
行われている。このような圧縮されたコンテンツは、例
えば、ユーザがCDに録音された音楽をPC(パーソナ
ルコンピュータ)を用いて圧縮符号化したり、あるい
は、既に圧縮されたコンテンツをインターネット経由で
PCにダウンロードすることによって得られる。
ためには、著作権保護機能が実現される必要があるとと
もに、データの転送速度を高くする必要がある。現状の
システムでは端末装置へのデータ転送速度が遅いため、
一定時間内に転送可能なコンテンツの量が制限される。
このため、このような端末装置を携帯型の音楽プレーヤ
として使うことは不便である。
光ファイバを用いた100Mb/sあるいは1Gb/s
の高速ネットワークをIEEE802.3規格群に準拠
する機器によって構築することが標準的になり、家庭内
においてはPCや周辺機器およびデジタル家電製品の間
を接続するネットワークが実用に供されようとしてい
る。このようなネットワークとしては、IEEE80
2.3規格群のほか、480Mb/sのデータ転送速度
を実現するユニバーサルシリアルバス規格(USB2.
0)や、100/200/400/800/1600M
b/s等のデータ転送速度を実現するP1394bやI
EEE1394−1995、P1394aを含むIEE
E1394規格群に準じるネットワークが有望視されて
いる。さらにxDSLやCATV網、FTTH等の高速
の加入者アクセス系通信インフラ構築が進むと、ユーザ
は比較的大容量のデータが過剰な待ち時間なく伝送でき
るようになる。このようにオフィスや家庭で、有線系高
速ネットワークが構築されてきている。
においては、常にRFシステムの競合対象として、赤外
線を用いたシステムが研究対象とされてきた。赤外線に
よるIM/DD(強度変調/直接検波)方式ではマルチ
パスフェージングは問題にならないため、マルチパス歪
が問題とならない範囲の高速化においては、RFシステ
ムよりもコスト面で有利なはずである。しかしながら現
実には、RFシステムを凌駕する通信速度を有する赤外
線通信システムは実現していない。これは、受光パワー
が距離の2乗に反比例する減衰特性と主に背景光雑音に
よる受信感度の低下および送受信機の消費電力の増大を
克服することが実際に容易ではなく、従来の赤外線通信
システムは基本的に複数の端末が1つの空間(赤外線媒
体)を共有することを前提にしているからである。
なカバーエリアを達成するために、放射角の広い光源や
視野角の広い受信機を利用したり、天井や壁で反射され
た光を利用する非見通し(Non−LOS)の通信形態
が提案されている。このような通信形態ではマルチパス
歪の影響が避けられない。マルチパス歪による悪影響を
取り除くために、送受信機が高コスト化してしまう。一
般に、赤外線通信システムに関する従来の技術は、RF
無線システムに似た使い勝手を実現するために無指向性
を必要以上に追求していた。また、そのような使い勝手
が要求される用途に上述のような通信形態の赤外線通信
システムを適用することに固執する傾向があった。 一
方、Non−LOSに限らず、LOSの通信形態の赤外
線通信システムにおいても、スループットを向上させる
ために、1つの基地局でカバーするセルのサイズを小さ
くして、1つの基地局内に複数の端末を収容する、いわ
ゆるセルラー方式が提案されている。しかし、このよう
なセルラー方式では、セル内、セル間で周波数や時間、
符号等の分割多重化方式および後述するキャリアセンス
方式とを組み合わせる必要がある。このため通信システ
ムのコストが増加したり、通信速度が制限されたりす
る。
的が既存の有線系通信システムの置き換えに偏っている
ことも問題を難しくする一因である。すなわち、既存の
有線系通信システムに用いられているキャリアセンスに
よる衝突検知あるいは回避の手続き、すなわちMAC
(メディアアクセス制御)を赤外線通信システムにも導
入する必要があった。例えば、Ethernet(R)
(イーサネット(R))あるいはIEEE802.3規
格完全準拠の赤外線LAN製品では、比較的大型の送受
信機を採用し、送受信を光学的に分離して全2重化およ
び高速化を図っている。
によってパケット衝突を非常に低減させて帯域占有型ネ
ットワークを構築することが可能になっているが、光L
ANおよびRF無線LANにおいては、多元接続による
スループット低下を回避する有効な方策が提案されてい
なかった。特にRF無線LANでは、その帯域に関する
法規制が存在するため、多元接続によるスループット低
下を回避することはより困難である。MACを行うこと
によるオーバーヘッドに加え、アクセスポイント間のチ
ャンネル競合を回避する必要があるので、RF無線LA
Nや光LANの普及が進んで端末の数が多くなるにつ
れ、スループットが低下してしまうというジレンマがあ
る。
ーフェイスの代替を狙ったIrDA規格では、物理的に
は完全な1対1通信の場合においても、周到な衝突回避
メカニズムを採用しているので、ターンアラウンドタイ
ムが増加し、スループットが大きく制限されている。
ては、基地局にアダブティブアレイアンテナを用いて移
動局をトラッキングすることにより加入者容量を飛躍的
に高める技術が知られている。このような空間分割多元
接続(SDMA)システムは、RF帯や準ミリ波、ミリ
波を媒体とする大規模で公共性の高いネットワークシス
テムにおいては高いコストパフォーマンスを示す。しか
し、これらRF帯や準ミリ波/ミリ波帯のSDMAシス
テムは、家庭内やオフィスの一角で用いられる小規模な
ネットワークとしては安価な解決策ではない。
にあたって帯域占有型のチャンネルを実現する純粋な空
間分割多重/空間分割多元接続方式は特に有望である。
上述のように、ワイヤレス光通信ではマルチパスフェー
ジングは生じないため、基地局に無線SDMAシステム
のような複雑なアレイ信号処理アルゴリズムを用いる必
要はなく、小規様なシステムでも高いコストパフォーマ
ンスが期待できる。
を用いて端末装置をトラッキングし、電気的な多重化を
用いない空間多重システムの提案がなされている。この
ような空間多重システムは、例えば、特開平3−109
837号公報やProc.of the 8th In
ternational Symposium on
Personal, Indoor and Mobi
le RadioCommun.,1997,VOl.
3,P.964〜8に開示されている。これらの提案に
おいては、チャンネル間干渉(Co−Channel
Interference、CCI)はあまり重要視さ
れてこなかった。なぜなら、マルチビーム送信機の発光
素子アレイと角度分解型の受信機の受光素子アレイの各
要素がレンズ系を通して空間に張る角度を、アレイ素子
の配列密度を上げることで狭くすることができ、端末装
置と基地局の間をピンポイントでトラッキングするから
である。これによって、空間に送出される光出力が比較
的小さくとも相手受信機の受光面上に十分な照射強度が
得られ、マルチパス信号成分はアレイ素子上で完全に分
離されて高速通信時のマルチパス歪によるシンボル間干
渉も十分抑制される。
重システムでは、以下の(1)〜(3)に示される問題
点があった。
地局で、例えば、家庭内の1部屋全体をカバーしようと
すれば、必然的に素子数の多い、すなわちダイサイズの
大きなアレイ素子を用いることとなり、基地局のコスト
が高くなる。
Siを材料とする受光アレイ素子を用いることが望まし
く、そのためには基地局送信機の光源として、近赤外領
域から可視光領域のVCSEL(面発光レーザ)アレイ
を用いるのが現実的である。しかしながら、VCSEL
各素子から10mW以上の光出力を安定に得ることは技
術的に容易ではない。その上、μmオーダーの領域で発
光するアレイ素子の各要素がレンズシステムを通して直
接空間に投影されるため、IEC60825−1規格に
従ってアイセーフティを考慮すれば、現状では、家庭内
の1部屋をカバーするといった実用的な通信距離を得る
光出力を送出することは事実上困難である。1.2μm
以上の波長帯を使用してアイセーフティを確保した場合
には、近い将来ホームネットワーク等に適用できるほど
安価な解決策とはならない。
子を用いる場合、所望の空間セルサイズに対して、セル
間隔はレンズシステムの設計とアレイ素子間隔で調整で
きるものの、実際のビーム形状、すなわち、放射角度特
性を制御することは容易ではない。従って、上述した問
題点(1)および(2)を解決するために、ある程度セ
ルサイズを大きくしたとしても、端末装置が受信を行う
際に、隣接するセル間の干渉問題は避けがたく、実空間
のほとんどが正しく受信できないデッドゾーンとなる。
ーマンスの優れた空間多重システムを実現することがで
きなかった。
接続される高速ネットワークやそれに接続される機器の
通信インターフェイスと、いわゆるモバイル端末装置の
ワイヤレスインターフェイスとの間には、両者の市場が
如何に発展を続けようとも、従来技術の延長線上では解
消しがたい通信速度のギャップが存在する。これは端末
装置のマルチメディア化あるいはアプリケーションの開
発にとって大きな障害となり得るものである。このギャ
ップの原因としては、上述した各無線通信媒体が抱える
物理的/技術的困難に加えて、携帯端末装置の処理能力
や消費電力、不揮発性メモリ媒体の読み書き動作速度の
制約等が挙げられる。
帯端末装置と、有線系高速ネットワークに接続された機
器とを最も効率よく接続するためのワイヤレス通信シス
テムを提供する。すなわち、携帯端末装置として許容で
きるサイズおよび消費電力を実現し、かつ、有線ネット
ワークに多元接続した場合でも、データ転送速度が十分
に高速なワイヤレスインターフェイスを提供する。本明
細書では、現在、標準化活動が活発に行われている次世
代携帯電話や、2.4GHz帯や5GHz帯のRF無線
システムよりもさらに高速な、端末装置一台当たり10
0Mb/s以上のスループットを低コストに実現できる
帯域占有型のワイヤレスチャンネルのシステム構成と使
用形態とが開示される。
末装置のシームレスな接続を実現するにあたって、未だ
明らかとされていない、コストパフォーマンスに優れ、
特に携帯端末装置に適した高速ワイヤレス通信インター
フェイスおよび高速ワイヤレス通信システムの構成およ
びそのその利用シーンを開示することである。
在直面している下記(1)〜(4)の問題を考慮してな
された。
レス光通信においても、媒体(光)が伝播する空間を共
有した上で、カバーエリアの拡大および使い勝手を向上
させることと通信速度を高速化することとは本質的に両
立しがたい。
ットワークや無指向性のRF通信と同等の衝突検知ある
いは回避手続き等のアクセス制御を実現するために、小
型軽量/低消費電力/低コストといったワイヤレス光通
信本来の特質が損なわれており、高速化へのポテンシャ
ルが活かされる余地がなくなっている。
出しワイヤレス通信の高速化/大容量化を可能にする空
間分割多重/空間分割多元技術をホームネットワークや
SOHO環境で安価に適用し実用化するための技術開発
が不足している。
格段に高速のワイヤレスインターフェイスを利用するシ
ーンが明らかではなく、上記問題点(3)との悪循環を
生んでいる。
ものであり、その目的は、高速で、コストパフォーマン
スの優れた空間分割多重/空間分割多元ワイヤレス光通
信システムを提供することである。
報を搬送する複数のダウンリンク信号光を送信する基地
局とともに用いられるワイヤレス光インターフェイスを
備えた端末装置であって、前記ワイヤレス光インターフ
ェイスは、前記複数のダウンリンク信号光のうち、少な
くとも1つが入射する受信回路を含み、前記受信回路
は、前記少なくとも1つのダウンリンク信号光が入射
し、前記少なくとも1つのダウンリンク信号光の強度を
示す電気信号を出力する光電変換増幅部と、前記電気信
号のピーク値およびボトム値を検出する検出部と、前記
ピーク値と前記ボトム値と前記電気信号とに基づいて、
前記少なくとも1つのダウンリンク信号光のうち強度振
幅が最大であるダウンリンク信号光が搬送する前記情報
を取得する、取得部とを含む。これにより上記目的が達
成される。
つのダウンリンク信号光のクロック周波数以下の帯域に
おいて、実質的に群遅延平坦な特性を有する帯域制限フ
ィルタを含み、前記光電変換増幅部と前記検出部と前記
取得部とは直流結合されてもよい。
は、所定の波長を有するレーザ光であり、前記端末装置
は、前記受信回路の受信視野半値全角の範囲内に入射す
る前記所定の波長を有するレーザ光を遮断しない特性を
有する光学的バンドパスフィルタをさらに備え、前記光
電変換増幅部には、前記光学的バンドパスフィルタを介
して前記少なくとも1つのダウンリンク信号光が入射し
てもよい。
°以上30°以下であってもよい。
れたデジタルオーディオ・ビデオデータを記憶する不揮
発性記憶媒体と、前記デジタルオーディオ・ビデオデー
タを再生する再生部とをさらに備えていてもよい。
れたデジタルオーディオ・ビデオデータを生成するデー
タ生成部と、前記デジタルオーディオ・ビデオデータを
記憶する不揮発性記憶媒体とをさらに備えていてもよ
い。
能に構成された接続部をさらに備え、前記接続部は、前
記携帯電話網を介してデータベースセンターに、前記基
地局から前記端末装置に送信されることが所望されるコ
ンテンツの購入申し込みを送信する機能を有していても
よい。
ンスは、前記ワイヤレス光インターフェイスを有する端
末装置のユーザ認証および課金処理に関する情報を含
み、該情報に基づいて前記端末装置のユーザが所望する
コンテンツの購入申し込みが送信されてもよい。
フェイスを備える端末装置とともに用いられ、前記端末
装置を基地局を介してデジタル機器に接続するための基
地局であって、複数のビーム光源を含むマルチビーム送
信機と、角度分解型の光受信機と、前記デジタル機器に
接続するための第1のインターフェイスとを備え、前記
複数のビーム光源のそれぞれの指向方向は、予め定めら
れた大きさの複数の空間セルを形成するために、互いに
異なる特定の方向に設定されている。これにより、上記
目的が達成される。
を反映して構成される少なくとも1つの表示要素を含む
表示装置をさらに備え、前記少なくとも1つの表示要素
は、前記複数の空間セルの1つの空間セルに前記端末装
置が収容されているか否かを表示してもよい。
間セルの少なくとも1つに向けてトレーニングシーケン
スを送信し、前記端末装置は、前記トレーニングシーケ
ンスの受信結果に基づいて、前記端末装置の現在の位置
において前記基地局との双方向通信を開始することの適
否を判定してもよい。
値全角φtは、前記複数の空間セルのうち対応する空間
セルの広がり角θと、0.5≦C≦1.3の範囲の定数
Cとに対して、φt=C・θという関係を満たし、前記
トレーニングシーケンスは、前記複数の空間セルの全て
に向けて送信されてもよい。
容されている第1の空間セルと、前記端末装置が収容さ
れていない空間セルであって、前記第1の空間セルに隣
接する第2の空間セルとを含み、前記マルチビーム送信
機は、前記第1の空間セルに向けて前記トレーニングシ
ーケンスを第1の光出力で送信し、前記第2の空間セル
に向けて前記トレーニングシーケンスを前記第1の光出
力よりも低い第2の光出力で送信してもよい。
値全角φtは、前記複数の空間セルのうち対応する空間
セルの広がり角θと、0.5≦C≦0.9の範囲の定数
Cとに対して、φt=C・θという関係を満たし、前記
トレーニングシーケンスは、前記複数の空間セルのう
ち、前記端末装置が収容されている空間セルのみに向け
て送信されてもよい。
値全角φtは、前記複数の空間セルのうち対応する空間
セルの広がり角θと、1.0≦C≦1.3の範囲の定数
Cとに対して、φt=C・θという関係を満たし、前記
トレーニングシーケンスは、前記複数の空間セルの全て
に向けて送信され、前記トレーニングシーケンスは、デ
ューティー比が実質的に50%に等しい矩形周期波を含
み、前記矩形周期波は、前記複数の空間セルのうち、互
いに隣接する2つの空間セルに向けて互いに逆相で送信
される部分と同相で送信される部分とを含んでもよい。
は、前記端末装置が備える前記ワイヤレス光インターフ
ェイスの通信速度よりも高くてもよい。
の範囲であり、前記基地局は、前記端末装置が有する前
記ワイヤレス光インターフェイスの通信速度と実質的に
等しい通信速度を有する第2のインターフェイスをさら
に備え、前記ワイヤレス光インターフェイスの通信速度
のj倍と、前記第2のインターフェイスの通信速度との
合計は、前記第1のインターフェイスの通信速度と実質
的に等しいか、より小さくてもよい。
1394規格群のいずれかに準拠し、前記マルチビーム
送信機は、予め定められた周期で前記トレーニングシー
ケンスを送信し、前記一定周期Tcは、Tc=125/
Z(μs)(Zは自然数または自然数の逆数)を満たし
てもよい。
802.3zあるいは802.3ab規格に準拠しても
よい。
とは独立にワイヤレス通信を介して所定の起動信号を受
け取る起動部をさらに備え、前記基地局は、前記起動部
が前記所定の起動信号を受け取ることに応答して起動し
てもよい。
ヤレス光インターフェイスが提供する帯域幅を動的に前
記端末装置および前記基地局に割り当てるための制御情
報を含んでもよい。
ヤレス光インターフェイスを通じて、前記端末装置のユ
ーザ認証および課金に関する情報を含み、該情報に基づ
いて該端末装置のユーザが所望するコンテンツの購入申
し込みが送信されてもよい。
ANシステム、RFワイヤレスLANシステムやその派
生技術、また空間多重型光通信システムとは異なる、新
たな空間分割多重/空間分割多元ワイヤレス光通信シス
テムが開示される。この空間分割多重/空間分割多元ワ
イヤレス光通信システムは、物理層での高速性のみなら
ず、メディアアクセス制御に伴うオーバーヘッドが極め
て少なく、高いスループットを発揮することができ、ホ
ームネットワーク等にも適用可能な十分に低いコストで
実現することができる。
レス光通信システムの可能性を最大限に発揮するため
の、空間分割多重/空間分割多元ワイヤレス光通信シス
テムの適用の広範な具体例が開示される。
域占有型の空間分割多重/空間分割多元接続ワイヤレス
光通信システムの実施の形態を説明する。
e−Division Multiplexing、S
DM)/空間分割多元接続(Space−Divisi
onMultiple Access、SDMA)ワイ
ヤレス光通信システム1001の構成を示す。ワイヤレ
ス光通信システム1001は、基地局1002と端末装
置1003とを備える。
004と、角度分解型受信機1005と、インターフェ
イス1007とを備える。基地局1002は、基地局1
002を中心として予め定められた広がり角を有する複
数の空間セル1006を形成する。1つの空間セル10
06には、最大で1つの端末装置1003が収容され
る。従って、1つの空間セル1006の内部では、端末
装置1003は、各々が備える帯域幅を占有する。本明
細書中で、端末装置1003が空間セルに収容されると
は、基地局1002が形成する複数の空間セルのうちの
1つの内部に端末装置1003が存在し、その端末装置
1003と基地局1002との間で通信が行われるか、
あるいは、通信を行い得る状態で基地局および/または
端末装置の内部システムが待機していることをいう。な
お、図1には基地局1002が形成する空間セルが3個
示されているが、基地局1002が形成する空間セルの
個数は3に限定されない。
けては、アップリンク信号光2016が送信される。ア
ップリンク信号光2016は、端末装置1003から基
地局1002に伝送されるべき情報を搬送する。基地局
1002から端末装置1003に向けては、ダウンリン
ク信号光2017が送信される。ダウンリンク信号光2
017は、基地局1002から端末装置1003に伝送
されるべき情報を搬送する。
は、端末装置1003から基地局1002に向かう通信
リンクをいい、「ダウンリンク」とは、基地局1002
から端末装置1003に向かう通信リンクをいう。
003との間のインターフェイスには、ワイヤレス光イ
ンターフェイスが用いられる。すなわち、端末装置10
03は、基地局1002と通信するためのワイヤレス光
インターフェイス(図1には示されていない、図13を
参照して後述される)を備える。また、基地局1002
のマルチビーム送信機1004と角度分解型受信機10
05とは、全体として、空間セル1006の数に等しい
(複数の)ワイヤレス光インターフェイスとして機能す
る。
07(第1のインターフェイス)と接続線1010とに
よって外部のデジタル機器1012に接続される。接続
線1010は、例えば、イーサネット(R)ケーブル等
の高速ネットワークに対応した接続線である。基地局1
002は、端末装置1003を基地局1002を介して
デジタル機器1012に接続する機能を有する。インタ
ーフェイス1007の通信速度は、典型的には、端末装
置1003のワイヤレス光インターフェイスの通信速度
よりも高速である。但し、SDM/SDMAワイヤレス
光通信システムの導入の初期段階等において、基地局と
同時に双方向通信を行い得る端末装置数を最大1つに限
定し、システムの簡略化を図る場合には、インターフェ
イス1007の通信速度と端末装置1003のワイヤレ
ス光インターフェイスの通信速度は実質的に等しくても
よい。
機器である。デジタル機器1012は、ワイヤレス光イ
ンターフェイスよりも転送能力の高いインターフェイス
を備えたHDD等の大容量記憶装置を内蔵することが望
ましい。そのようなデジタル機器1012の典型例とし
て、デスクトップコンピュータやセットトップボックス
が挙げられる。また、基地局1002は、デジタル機器
1012と一体化されるか、デジタル機器1012に内
蔵されてもよい。その場合、そのような大容量記憶装置
と基地局機能との間のインターフェイスが、インターフ
ェイス1007として機能する。
器であることに限定されない。デジタル機器1012
は、例えば、複数の機器によって構成されたネットワー
クであってもよい。
08を随意に(省略可能に)備える。インターフェイス
1008は、デジタル機器1013を基地局1002に
接続するためのインターフェイス(第2のインターフェ
イス)であり、インターフェイス1008の通信速度
は、典型的には、ワイヤレス光インターフェイスの通信
速度に実質的に等しい。基地局1002がインターフェ
イス1008を備える場合、基地局1002は、インタ
ーフェイス1008と接続線1011とによって、デジ
タル機器1013に接続され得る。この場合、基地局1
002は、基地局1002を介してデジタル機器101
3とデジタル機器1012とを接続する機能を有する。
このように、デジタル機器1013は、基地局1002
を介してデジタル機器1012に接続されるという点に
おいて、端末装置1003と同様に扱われる。デジタル
機器1013と端末装置1003との相違点は、基地局
1002が通信を行う際のインターフェイスである。基
地局1002は、端末装置1003とはワイヤレス光イ
ンターフェイスを介して通信を行う一方、デジタル機器
1013とはインターフェイス1008を介して(例え
ば、有線の形態で)通信を行う。基地局1002とデジ
タル機器1013とのこのような接続形態は、デジタル
機器1013が携帯性を重視されない機器である場合に
好適に用いられ得る。デジタル機器1013は、例え
ば、デスクトップコンピュータである。空間セル100
6の「予め定められた広がり角」とは、空間セル100
6が張る角をいい、空間セル1006の大きさが、ユー
ザサイズ(1人のユーザを収容するのに適したサイズ)
であるように設定される。ワイヤレス光通信システム1
001では、端末装置1003は携帯型の端末装置であ
ることを前提としている。すなわち、端末装置1003
は、典型的には、ユーザの手に保持された状態で使用さ
れる。このため、端末装置1003のユーザが、端末装
置1003のそれぞれと基地局1002との間の通信リ
ンクを初期化する際に、端末装置1003を適した位置
へ移動させることが可能である。複数の空間セル100
6の1つには、最大で1つの端末装置1003しか収容
されないように、ユーザは端末装置1003を移動させ
る。
1006の個数に等しい数のビーム光源720を含む。
ビーム光源720のそれぞれは、空間セル1006に向
けてダウンリンク信号光2017を送信する。ダウンリ
ンク信号光2017は、その空間セル1006に収容さ
れる端末装置1003に受信される。基地局1002が
予め定められた広がり角を有する(すなわち、予め定め
られた大きさの)複数の空間セル1006を形成するた
めに、ビーム光源720の指向方向は、互いに異なる特
定の方向に設定されている。
セル1006のそれぞれに収容された端末装置1003
から送信されるアップリンク信号光2016を受信す
る。角度分解型受信機1005は、受信されたアップリ
ンク信号光2016が送信された角度を区別する。すな
わち、複数の空間セル1006のうち、どの空間セルに
収容された端末装置1003からのアップリンク信号光
2016であるかを区別する。このように、角度分解型
受信機1005は、角度分解機能を有する光受信機であ
る。
て、端末装置1003は、収容された空間セル1006
に割り当てられたチャンネル(空間チャンネル)の帯域
を占有して基地局1002と双方向通信を行うことが可
能になる。このため、高速なSDM/SDMAワイヤレ
ス光通信システムが実現される。
子を用いずに、マルチビーム送信機1004によって複
数の空間セル1006を形成している。このため、本発
明のワイヤレス光通信システム1001は、基地局の送
信機と受信機との両方にアレイ素子を用いる従来技術の
空間多重システムに比較して、基地局のコストを大幅に
低減することが可能になる。このようにして、コストパ
フォーマンスに優れたSDM/SDMAワイヤレス光通
信システムが実現される。
ユーザからの要求、すなわち、端末装置1003からの
コマンドの発行に従って、端末装置1003から基地局
1002へ、あるいはその逆向きに、可能な限り高スル
ープットで大容量の転送を行うことを重要視する。すな
わち、通信パケット/フレーム単位の伝送レイテンシを
低減することを目的とするものではなく、スループット
向上のための基地局1002におけるフレーム変換やア
ドレス解決、基地局/端末装置双方での効率的なバッフ
ァリング等がより重視される。
各種外部インターフェイスと比べ格段に高速な帯域占有
型のワイヤレス光通信システムが実現される。蓄積交換
あるいは回線交換方式と最適な伝送制御手順やフロー制
御手順を組み合わせて、大量のデータ転送に適したシス
テムが構成される。ワイヤレス光通信システム1001
において基地局1002と端末装置1003との間の通
信路は、帯域占有型の高速チャンネルであるため、半2
重モードの場合であってもMPEG2符号化されたHD
TVレベルのAVコンテンツを擬似的に全2重化してリ
アルタイムで双方向通信したり、ストリーミングに対応
することも可能である。本願において開示されるのは、
物理層レベルから、低レベルのリンク確立に係る部分で
あって、種々のパケット/フレーム構成やビット指向/
バイト指向のプロトコル、手順等を適宜用いることがで
きる。
においては基地局1002と端末装置1003との間の
通信は半2重モードに限定されない。基地局1002と
端末装置1003との間の通信は全2重モードであって
もよい。
の空間セル1006の配置を示す。各空間セル1006
が3次元空間に対して張る角は、Θ方向とΨ方向とにつ
いて定義される。各空間セルの軸は、Θ方向に間隔θで
並列されている。
端末装置1003の間隔が、ある一定の距離(概ね1人
のユーザが占める空間の大きさ)よりも短くなる程度に
端末装置1003が密集することは想定していない。こ
のため、複数の空間セル1006のそれぞれのサイズ
は、基地局1002と端末装置1003とが通信するこ
とが可能な最大の距離において、空間セル1006の中
心軸を法線とする平面上で直径50〜200cm程度が
想定される。この値は、基地局の送信機と受信機との両
方にアレイ素子を用いる従来技術の空間多重システムよ
りも大きく、1つのセルに複数の端末装置を収容し得る
セルラーシステム(一般的にはその直径が3〜5m程
度)よりも小さい。
信することが可能な最大の距離は、例えば、5〜7mに
設定される。この距離は、一般的な赤外線リモートコン
トロールの到達距離と同程度であり、ワイヤレス光通信
システム1001が家庭の1部屋やオフィスや店舗等に
設置された場合に適切な距離である。なお、このような
状況では、基地局1002と端末装置1003とが通信
することが可能な最小の距離は、1m以上に設定されて
も支障はない。
信距離および、最小通信距離は、本発明のワイヤレス光
通信システム1001の用途に応じて適切に設定され
る。
信機1004の周辺回路および角度分解型受信機100
5の周辺回路の構成の例を示す。なお、図3は、空間セ
ル1006の個数が5である場合の構成を示す。
mの開口部を備えたレンズシステム710と、25個の
2.5mmピッチの要素素子751を有する5×5の2
次元光電変換アレイ素子(フォトダイオードアレイ素
子)711とを含む。レンズシステム710と、フォト
ダイオードアレイ素子711とは、インデックスマッチ
ングを確保するために、通常の光学設計に基づいて、レ
ンズシステム710の材質の屈折率とフォトダイオード
アレイの屈折率との間の屈折率を有する熱硬化樹脂等の
接着剤によって接着されている。レンズシステム710
は、例えば、トリプレットレンズシステムである。
ーターボード712を介してマザーボード730に搭載
されている。ドーターボード712の裏面には、フォト
ダイオードアレイ素子711の要素と同じ数のプリアン
プバンク713が実装されている。プリアンプバンク7
13により、全てのフォトダイオードアレイ要素751
からの電気(電流)信号が電圧信号として増幅され、増
幅された電圧信号がマザーボード730上に引き出され
る。プリアンプバンク713の実装形態としては、複数
のプリアンプバンク713がマザーボード730上に個
別に配置されていてもよいし、プリアンプアレイとして
1チップに形成されてもよい。複数のプリアンプバンク
713が形成されたチップは、フォトダイオードアレイ
素子711とフリップチップボンディングされてマザー
ボード730に搭載されてもよい。
(図1)から送信されたアップリンク信号光2016
は、空間セル1006に対応する1つの単位ピクセル上
に集光する。単位ピクセルは、複数の要素素子751を
含み得る。レンズシステム710のトータル視野角の範
囲内の端末装置1003から送信されたアップリンク信
号光は、フォトダイオードアレイ素子711の受光面上
に光スポット(信号光スポット)を形成する。角度分解
型受信機1005の分解能は、この光スポットの高コン
トラスト領域が常に1つの単位ピクセル内に収まるよう
に設計される。
間が空間セルに分割される方向(Θ方向)に配列する5
つの単位ピクセルを含む。具体的には、空間が空間セル
に分割されない方向(Ψ方向)に配列する5つの要素素
子751が1つにグループ化されて1つの単位ピクセル
を形成し、それぞれのグループがアナログコンバイナバ
ンク714で束ねられて後段の比較回路バンク715に
接続される。信号光スポットが、Ψ方向に配列する複数
の要素素子にまたがって形成された場合、プリアンプバ
ンク713の各要素からの電気信号は、アナログコンバ
イナバンク714によって重み付けして合成されるか、
または最大の電気信号が選択(Select Bes
t)され、得られた電圧信号が比較回路バンク715に
入力される。
aximal−Ratio Combining)また
はEGC(Equal−Gain Combinin
g)が用いられ得る。比較回路バンク715は、PLL
および重み付けのための誤差算出回路等(図示せず)を
含む。比較回路バンク715の出力は、ポストアンプバ
ンク716に入力される。このようにして、最大5チャ
ンネルのデジタルデータが復号化される。フォトダイオ
ードアレイ711〜ポストアンプバンク716は、全体
として、角度分解型受信機1005の受信回路717を
構成する。
アレイ素子711は、2次元アレイである。しかし、図
2示されるように空間セルが1次元的に配置される場
合、例えば、フォトダイオードアレイ素子711に代え
て10個の1mm角の要素素子を含む1×10の1次元
フォトダイオードアレイを用い、レンズシステム710
に代えて2軸で非対称な特性を有するレンズシステムを
用いてもよい。フォトダイオードアレイ素子に含まれる
要素素子の数が増えた場合には、2次元アレイを用いる
よりも1次元アレイを用いた方がコストを低減すること
ができる。
トダイオードアレイ素子711を用い、フォトダイオー
ドアレイ素子711の全アレイ要素に共通のレンズシス
テムを備えるのが望ましい。本発明の主旨から外れない
限りにおいては、ディスクリートの受光素子を並列に用
いてもよい。しかし、ディスクリートの受光素子を用い
た場合には、SDM/SDMAワイヤレス光通信システ
ムに適した特性は得がたい。従って、SDM/SDMA
ワイヤレス光通信システム1001(図1)は、フォト
ダイオードアレイ素子を含む角度分解型受信機を備える
ことが好ましい。
源720を有する。図3に示される例では、1つの空間
セル当たり2個のビーム光源720が対(つい)にして
設けられており、これにより、空間セルが張るΨ方向の
十分大きな角度が実現される。ビーム光源720は、例
えば、レーザダイオード光源である。
(Automatic PowerControl)バ
ンク722は、SDM/SDMAコントローラ723に
より制御される。SDM/SDMAコントローラ723
は、各空間セルに対応するビーム光源720の光出力を
ほぼ同一レベルに摘えたり、全てのビーム光源720の
光出力レベルを一斉に変更したり、個別にコントロール
する機能を有していることが望ましい。なお、ドライバ
バンク722および/またはAPCバンク721は、ビ
ーム光源720が装着されたブロック2301に内蔵さ
れてもよい。
ーム光(ダウンリンク信号光)を送信することにより、
ダウンリンク空間セルを形成する。一方、角度分解型受
信機1005の各単位ピクセルは、1つのアップリンク
空間セルを見込む。
機1004の各ビーム光源720の指向半値全角φt
(i)および角度分解型受信機1005の各単位ピクセ
ルが見込む視野角φr(i)を1対1に対応させて設定
して、予め定めた広がり角θ(i)(空間セル(i)が
張る角)を有する空間セル(i)を形成する。すなわ
ち、ダウンリンク空間セルのそれぞれとアップリンク空
間セルのそれぞれとが一致して、これが1つの空間セル
となる。ここで添字iは複数存在する空間セルに便宜的
に付与される番号である。以下の説明では、特に断らな
い限りφt(i)およびφr(i)は全ての空間セルに
ついて(すなわち、全ての添字iについて)等しいもの
とし、(i)を省略する場合がある。ただし、本発明の
適用は、φt(i)およびφr(i)が全ての空間セル
について等しいことには限定されない。
型受信機1005とは、基地局1002のワイヤレス光
インターフェイス部(5つのワイヤレス光インターフェ
イス)として機能する。図3に示される構成によれば、
ワイヤレス光インターフェイス部の後段には、バックエ
ンドデジタル回路を直接接続することができる。ワイヤ
レス光インターフェイス部には、光ファイバを媒体とす
るデジタル通信インターフェイスと整合性の高い符号化
方式(例えば4B5B NRZIや8B10BNRZ)
が使用されるのが好ましい。
ては、基地局1002よって形成される個々の空間セル
に端末装置1003を収容し帯域を占有させる。このよ
うな空間セルの配置の具体例を以下に説明する。
ム1001を家庭内で使用する場合に好適に採用され得
る空間セルの配置例を示す。
5mの場所における幅dが1.5m(θ=17°)であ
る5つの空間セル1006が示されている。5つの空間
セルによって、Θ方向に約90°のカバーエリアが確保
されている。この場合、基地局1002の角度分解型受
信機1005(図4には示されていない、図3参照)
は、Θ方向に約90°の視野角(Field−of−v
iew、FOV)を有することが必要である。Ψ方向の
視野角は、ユーザが手に端末装置1003を保持して立
ちあがった状態で、端末装置1003と基地局1002
との間で通信が可能な程度のカバーエリアが確保できる
ように設定されれば十分である。
の配置例は、基地局1002が、カバーエリアとなる空
間領域において端末装置1003をユーザが保持する高
さと同じかまたは若干高い位置に設置される場合に有効
な配置例である。基地局1002が天井に設置されなく
てもよいので、設置が簡便に行えるというメリットがあ
る。
れ得る場面として、家庭内やオフィスあるいはデジタル
コンテンツを販売する店舗等の場面が想定される。
内で利用される場合、基地局1002は、例えば、IE
EE1394規格に従ってネットワーク化されたデジタ
ル家電機器、パーソナルコンピュータ(PC)およびP
Cの周辺機器に接続される。すなわち、これらのデジタ
ル家電機器、PCおよびPCの周辺機器が、図1に示さ
れる外部のデジタル機器1012として機能する。
1002を介してこれらのデジタル家電機器、PCおよ
びPCの周辺機器にワイヤレスアクセスする環境が提供
される。TV等のディスプレイ機器が備えられた部屋は
ワイヤレスアクセス環境としてより好適である。このよ
うなディスプレイ機器と基地局1002を接続すること
により、基地局1002とユーザとの間のユーザインタ
ーフェイスを提供することができるからである。このよ
うな部屋でワイヤレス光通信システム1001が用いら
れる場合、基地局1002は、例えば、TV機器の上に
置かれるセットトップボックスに組込まれ得る。
内で利用される場合には、基地局1002に常時複数の
ユーザが端末装置1003を用いて通信を行うという場
面は、あまり発生しないと考えられる。むしろ、散発的
に各ユーザが好みに応じて通信を行うという利用形態が
想定される。従って、同時に使用される空間セル(空間
チャンネル)の最大数は2〜4程度であり、通常は1つ
の空間チャンネルだけが使用されるという利用形態(ユ
ーザモデル)が想定される。
における空間セルの広がりdが数m以上に広がると、ワ
イヤレス光通信の高速性のメリットを十分に活かすこと
ができなくなる。上述したように、ワイヤレス光通信で
は、受光パワーが距離の2乗に反比例するからである。
て、空間を空間セルに分割する目的は、空間チャンネル
の高速性を確保するためにユーザサイズの空間セルを形
成すると同時に、カバーエリアとなる3次元空間のあら
ゆる場所から端末装置1003のアクセスを許容するこ
とである。従って、空間チャンネル数は、上述したユー
ザモデルにおいて想定されるユーザの最大数よりも多い
ことが好ましく、3〜4程度に設定される。
の最大通信距離Dは、ユーザが実際に利用する場合の最
頻値を考慮して3〜5mに設定されることが実用的であ
る。また、実際に利用され得る通信の最小距離D_mi
nは、1m程度に設定することが妥当である。この場
合、静的なダイナミックレンジは13〜17dB程度の
範囲となる。静的なダイナミックレンジの算出方法は、
図23を参照して後述される。
(図1)において、異なる端末装置どうしが互いに通信
する機能を備えていてもよい。この場合、異なる端末装
置どうしの最大通信距離と、基地局1002と端末装置
1003との間の最小通信距離との間には、直接の関連
性はない。例えば、基地局1002と端末装置1003
との間の最小通信距離を1mに設定した場合でも、端末
装置−端末装置間の通信距離は、1cm〜1m以内に設
定され得る。これは、例えば受信機のレンズの直径や送
信機光源の光出力、およびそれらの角度特性等の物理的
条件を、基地局1002と端末装置1003との間で非
対称にすることにより容易に実施され得る。
のアップリンクの最大通信距離Dは、基地局1002の
角度分解型受信機1005の受信感度に応じて角度分解
型受信機1005のレンズシステム710(図3)の口
径を適切に設計することにより、適切に設定される。
基地局1002から距離Dだけ離れた場所における空間
セルの広がりdを0.5〜2mであるとすると、空間セ
ルの広がり角θ=2・arctan(d/2D)は、概
ね6°≦θ≦40°となる。従って、基地局1002の
角度分解型受信機1005のトータルの視野全角を±4
5°(中心から両方向に45°ずつ)確保した場合、形
成される空間セル1006の数は最大15個、最小2個
となる。
ルコンテンツの店舗等において複数のユーザが頻繁に同
時にアクセスする環境における空間セルの配置の例を示
す。図5Aおよび図5Bに示される例でも、空間セルは
1次元的に配置されている。
装置がイーサネット(R)でネットワーク化されたLA
N環境を備えたオフィスにおいてワイヤレス光通信シス
テム1001が使用される場合、これらのネットワーク
化された機器が全体として図1に示されるデジタル機器
1012として機能する。すなわち、これらのPCおよ
び周辺機器やストレージ装置に、端末装置1003から
基地局1002を介してワイヤレスにアクセスすること
が可能な環境が提供される。ユーザインターフェイスと
して端末1003が有するディスプレイ画面を利用して
もよいし、図4を参照して説明した利用形態と同様に、
TV機器等の他のディスプレイ機器を利用してもよい。
このようなディスプレイ画面あるいはディスプレイ機器
によってユーザの操作を補助することは、ワイヤレスア
クセス環境として望ましい。ケーブル接続によるアクセ
スとは異なり、ワイヤレスアクセスでは、基地局と端末
装置との間が有形物によって接続されないため、ユーザ
は基地局と端末装置との間のリンクが正常に確立されて
いるか否かについてしばしば不安になるからである。
に複数のユーザが頻繁に入れ替わって多元接続するよう
な利用形態が想定される。従って、最小でも4つ程度、
最大では10チャンネル以上の空間チャンネルが同時に
使用されるユーザモデルが想定される。このため、図5
Aに示される例では、図4に示される例と比較して、1
つの空間セルが張るΘ方向の角度をより狭くすることに
より、空間セルの数より多くし、カバーエリアとなる3
次元空間のあらゆる場所から多数の端末装置1003が
アクセスすることを可能にしている。
大通信距離Dは、ユーザが実際に利用する場合の最頻値
を考慮して、D=5〜7mに設定される。実際に利用さ
れ得る最小距離D_minは、1mよりも大きな値に設
定されてもよい。ユーザの位置を限定することにより、
最小距離D_minを大きく設定した場合であってもワ
イヤレス光通信システム1001の使い勝手を損なうこ
とはない。例えば、図5Aおよび図5Bに示される例
は、ユーザは、基地局1002に関してカウンター10
81よりも遠い位置で基地局1002との通信を行うこ
とを前提としている。このため、最小距離D_min
(図5B)は、カウンター1081と基地局1002と
の距離よりもわずかに小さい程度に設定されればよい。
地局1002を設置する場所の自由度も高い。なお、最
大通信距離D=5〜7m、最小距離D_min=1mに
設定した場合、静的なダイナミックレンジは17〜20
dB程度の範囲である。
に、基地局1002から最大通信距離Dだけ離れた場所
における空間セルのΘ方向の広がりd=0.5〜2mと
すると、空間セル広がり角θは、概ね4°≦θ≦23°
となる。基地局1002の角度分解型受信機1005の
トータルな視野角を±45°確保する場合、形成される
空間セルの数は最大20、最小4である。
的に配置されている例を示す。図6Aおよび図6Bに示
される例では、空間セル1006は格子状に配置されて
いる。このような配置例は、基地局1002が、カバー
エリアとなる空間領域内において、ユーザや端末装置よ
りも比較的高い位置に設置される場合に好適な配置例で
ある。このような配置例は、学校や会議室等の公共のス
ペース等での利用に最適であり、図4、図5Aおよび図
5Bを参照して説明した配置例と同様に、種々の利用形
態が想定される。基地局1002は、例えば天井や璧の
高い位置に設置される。2次元的に空間セルを配置する
ことにより、2次元的に端末装置1003を収容するこ
とができ、空間チャンネル数を増大させることができ
る。2次元的に空間セルを配置する際に、空間セルの列
を列毎にずらせて蜂の巣状の空間セル配置としてもよ
い。このように空間セルを配置すれば、基地局に近いユ
ーザがより遠い位置のユーザに対する遮蔽物となること
が回避されやすくなる。 図6Aおよび図6Bから理解
される2次元的配置の特徴の1つは、実際にユーザが利
用するエリアは、床面上や机上あるいはユーザの身長程
度の面的な空間であって、静的なダイナミックレンジが
狭いことである。図23を参照して後述されるように、
静的なダイナミックレンジが狭いと、アップリンクおけ
る空間チャンネルの干渉の問題が回避されやすい。この
ため、空間セルの構成は比較的設計し易い。
大きさ、すなわち利用エリア面上における空間セルの直
径を各ユーザに対して同等に揃えた場合に、基地局10
02に相対的に近い空間セルと遠い空間セルとで広がり
角が大きく異なり得ることである。すなわち、マルチビ
ーム送信機1004(図3)の各ビーム光源720の指
向半値全角φt(i)と角度分解型受信機1005の各
単位ピクセルが見込む視野角φr(i)とはそれぞれ、
添字iによって大きく異なり得る。
チビーム送信機1004のビーム光源が単峰で2軸対称
な緩やかな放射角度分布特性を持ったもので構成される
場合も、各ビーム光源の光軸の配向と光出力の設定に従
って、あらゆる形状の空間セル配置を構成することがで
きる。例えば、4角形の空間セルを図6Aに示されるよ
うに格子状に配置した場合や、6角形の空間セルを蜂の
巣状に稠密配置した場合においても、空間セルの間のデ
ッドリーンの発生を十分抑制することができる。
次元的な空間セルの配置も、本発明のワイヤレス光通信
システム1001では採用することができる。
001(図1)では空間セル1006の配置は、ワイヤ
レス光通信システム1001が使用される状況に応じて
適宜設定される。基地局1002が形成する空間セルの
広がり角やサイズは、基地局1002のマルチビーム送
信機1004の構成と種々のパラメータから決定され
る。具体的には、マルチビーム送信機1004の各ビー
ム光源720(図3)の光軸が配向される角度間隔か
ら、空間セルの広がり角が決定され、各ビーム光源72
0の放射角度特性と光出力とから、最大通信距離や空間
セルのサイズが決定される。
特性、各光出力(光出力マージン)が互いに等しくない
場合であっても、各空間セルの広がり角やサイズは実験
的にあるいは理論的に算出され得る。
各ビーム光源720の光軸がなす角度間隔のみに依存す
る。各ビーム光源720の放射角度特性が、空間セルの
広がり角について決まる望ましい設定値からずれていて
も、空間セルのサイズは変化せず、各空間セルの境界に
おけるダウンリンクのデッドゾーンの割合が変化する。
るように、空間セル1006が1次元的に配置される場
合には、複数の光源を束ねて1つのダウンリンク空間セ
ルを形成してもよいし、Θ方向およびΨ方向の2方向に
ほぼ2軸対称な角度分布を持つ光源と、シリンドリカル
レンズ等の光学系とを組み合わせることにより、Θ方向
とΨ方向とで非対称な角度分布特性を実現してもよい。
上述したように、図3に示されるマルチビーム送信機1
004では、Ψ方向に配列された2つのビーム光源72
0を束ねて1つのダウンリンク空間セルを形成してい
る。
が大きくならないように空間セルの配置を決定するため
には、特にマルチビーム送信機1004の各ビーム光源
720のΘ方向(隣接する空間セル1006が境界を接
して配置される方向)の放射角度分布特性を適切に設定
する必要がある。一方、Ψ方向の放射角度分布特性は、
ユーザの使い勝手を損なわない範囲で自由に設定されて
よい。すなわち、Ψ方向に空間セル1006が張る角度
が極端に小さくなりすぎないようにすれば十分であり、
厳密にΨ方向の放射角度分布特性を調節する必要はな
い。
間セル1006が2次元的に配置される場合には、Θ方
向およびΨ方向の2方向について放射角度分布特性が規
定されるべきであることは言うまでもない。
720の出力は、所定の空間セルをカバーするために、
所望の通信距離を確保しつつ、隣接する空間セルに向け
て送信されるビーム光との干渉が起こらないように設定
される。
機1004のビーム光源720の放射角度分布特性を示
す。放射角度分布特性は、典型的には、ビーム光の強度
の、光軸からの隔たり角度に対する関係(遠視野像パタ
ーン)として表現される。図7Aおよび図7Bでは、通
常の遠視野像パターンの表現と同様に、横軸は光源光軸
に対する角度Θ、縦軸は見かけ上の光源サイズの変化分
(cosΘ)を考慮した輝度、すなわち、光度で示され
ている。
型のヘビサイド関数で表される遠視野像パターンを示
す。マルチビーム送信機1004のビーム光源720が
パターン21に示される放射角度分布特性を有している
場合に、各ビーム光源720のパターンの境界が互いに
接するように空間セルを並列すれば、ダウンリンクにお
いてデッドゾーンが発生する問題や干渉が発生する問題
は起こらない。しかし、パターン21に示される放射角
度分布特性を実現するためには、ビーム光源720に複
雑な光学系を用いなければならず、コストを考慮すると
現実的ではない。ビーム光源720は、通常、単峰では
あるが裾を引いた遠視野像パターンにより示される放射
角度分布特性を有する。図7Aに示されるパターン22
および25、図7Bに示されるパターン23および24
は、このような遠視野像パターンの例を示す。
化ランバーシアン関数でよく近似される場合の放射角度
分布特性を示す。
て、メインローブ以外への散乱成分が多く含まれる場合
の放射角度分布特性を示す。
源720をΘ方向に並列することにより1つのチャンネ
ルとして駆動する場合のように、遠視野像パターンがタ
ブルピークを有する場合の放射角度分布特性を示す。複
数の光源の重なり具合に応じて、パターン24には種々
の変形例があり得る。
い角度範囲に遠視野像パターンにサブピークがある場合
の放射角度分布特性を示す。ゲインガイドあるいはブロ
ードエリアのレーザダイオード等をビーム光源720と
して用いた場合に、遠視野像パターンにこのようなサブ
ピークが現れることがある。
しても、光軸周りのメインローブにおける光強度のピー
ク値、あるいは単峰ではない場合には、メインローブ内
での平均光強度ピーク値に対して、放射角度分布特性の
指向半値全角を適宜定義することができる。以下の説明
では、マルチビーム送信機1004のビーム光源720
として、一般化ランバーシアンのビーム光源が用いられ
るものとするが、本発明はこれに限定されない。
れた広がり角θを持つ空間セルを1つのビーム光源72
0からのビーム光によって形成するために要求される最
低限の光出力以上でなければならない。
全角がφtである一般化ランバーシアン光源を用いて単
独の空間セルにビーム光を照射する例を示す。図8に
は、図2に示される平面H上において、ビーム光源72
0から照射されるビーム光の等照射強度線が示されてい
る。ビーム光源720からの距離Dにおけるθ方向の空
間セルの広がり(直径)をdとすれば、θ=2・arc
tan(d/2D)である。ビーム光源720の光出力
は、直径dの両端の点(点1026および点1027)
において所定の照射強度が得られるように、すなわち2
等辺3角形1025の領域内で所定値以上の照射強度が
得られるように、決定される。直径dの両端の点におい
て、端末装置の受信機におけるトータルの入力換算雑音
と所望のビット誤り率(BER)に対し、必要最低限の
信号対雑音比(Signal toNoise Rat
io、SNR)が確保されるような光出力を光出力のマ
ージン=0dBと定義する。曲線26は、この時の等照
射光強度線を示す。ビーム光源720の放射角度分布特
性が、パターン22〜25(図7Aおよび図7B)に示
される場合、単独のダウンリンク空間セルは、ビーム光
源720からの距離が距離Dよりも小さい場所におい
て、指向半値全角φtに依存して予め定められた空間セ
ル(平面H上の2等辺3角形1025)よりも外側にふ
くらむ。
定数Cを用いて、φt=C・θと表される。定数Cの値
が大きいことは、空間セルの広がり角θと比較して指向
半値全角φtが大きいことを示す。定数Cは、ビーム光
源720の放射角度分布特性を代表するパラメータの1
つである。
信システム1001の1つのビーム光源720に要求さ
れる光出力と、定数Cとの関係を示す。図9の縦軸は、
1つのビーム光源720に要求される光出力の最小値を
1とした相対値を示す。図9に示されるように、定数C
=φt/θが0.8の近傍において、1つのビーム光源
720に要求される光出力が最小化される。また、定数
Cが0.5≦C≦1.8の範囲内である場合に、1つの
ビーム光源720に要求される光出力は、最小値から3
dB以内の上昇にとどまる、すなわち、最小値の約2倍
以内にとどまることが分かる。従って、1つのビーム光
源720に要求される光出力を考慮した場合に、定数C
は、0.5≦C≦1.8の範囲内に設定されることが好
ましい。
力を最小化するような定数Cの値をC_minとする。
される光出力を最小化するC_minの値と、空間セル
の広がり角θとの関係を示す。C_minの値は、空間
セルの広がり角θに依存して多少変化する。C_min
の値は、通信距離には依存しない。従って、通信距離が
変化した場合でも、図9に示される関係は変化せず、定
数Cは、0.5≦C≦1.8の範囲内に設定されること
が好ましい。
の空間セルにおいて1つのビーム光源720に要求され
る光出力のみを考慮して決められた値であった。しか
し、定数Cは隣接する複数の空間セル間でのチャンネル
間干渉をさらに考慮して、適切に設定される。既に述べ
たように、ビーム光源720は、遠視野像パターンが裾
を引いた形状である放射角度分布特性を有するために、
1つの空間セルに向けて送信されたダウンリンク信号光
の裾の部分が、隣接する空間セルに位置する端末装置に
も干渉信号光として受光されてしまう。
ステム1001では、端末装置1003は、複数のダウ
ンリンク信号光を受光し得る。端末装置1003は、受
光された複数のダウンリンク信号光のうち、光強度振幅
が最大の1つのダウンリンク信号光が搬送する情報を取
得する機能(分離機能)を備えている。このような分離
機能により、端末装置1003は、干渉信号光の存在下
でも、その端末装置が収容されている空間セルに向けて
送信されたダウンリンク信号光(所定のダウンリンク信
号光)が搬送する情報を取得する、すなわち、ダウンリ
ンク通信を正常に行うことができる。本発明のSDM/
SDMAワイヤレス光通信システム1001において
は、SIR(Signal to Interfere
nce Ratio、信号光対全干渉信号光強度比)お
よびSNR(Signal toNoise Rati
o)を、予め十分に制御してシステムを設計できるから
である。ここで、SIRは、端末装置1003に入射す
る複数のダウンリンク信号光のうち、所定のダウンリン
ク信号光の光強度と、他のダウンリンク信号光(干渉信
号光)のトータルの光強度との比として定義される。
離機能を備える場合であっても、ダウンリンク通信を正
常に行うことができない場合が発生し得る。例えば、所
定のダウンリンク信号光の光強度振幅が、受光された全
てのダウンリンク信号光の光強度振幅(トータルの光強
度振幅)の半分程度であり、なおかつ、所定のダウンリ
ンク信号光の光強度振幅の信号対雑音強度比が十分では
ない場合である。このような状況は、例えば、通信距離
が遠く、かつ空間セルの境界近傍に端末装置1003が
位置する場合に発生し得る。
は、端末装置が基地局1002とのダウンリンク通信を
正常に行うことができない領域(デッドゾーン)が発生
する。各々のビーム光源720からは、少なくとも光出
力マージン0dB以上でビーム光(ダウンリンク信号
光)が送信されるのを前提としても、チャンネル間干渉
によるデッドソーンが実際の3次元空間に占める割合
は、各ビーム光源720の指向半値全角φtの設定(す
なわち、定数Cの設定)に応じて大きく変化する。
較して各ビーム光源720の指向半値全角φtの値が大
きい場合(φt>>θ)のデッドゾーンを示す。ハッチ
ング領域2021は、図2に示される平面H上でのデッ
ドゾーンを示す。
較して各ビーム光源720の指向半値全角φtの値が小
さい場合(φt<<θ)のデッドゾーンを示す。ハッチ
ング領域2022は、図2に示される平面H上でのデッ
ドゾーンを示す。
ーム光源720(図3)の光出力マージンを0dBに設
定した場合のデッドゾーンを示す。図11Aに示される
ように、相対的に広いビーム光源(φt>>θ)を用い
ればほとんどの空間領域がデッドゾーンとなる。つま
り、ほとんどの空間領域で、端末装置1003は基地局
1002との間でダウンリンク通信を正常に行うことが
できなくなる。逆に、図11Bに示されるように、相対
的に狭いビーム光源(φt<<θ)を用いれば、ほとん
どの空間領域で、端末装置1003は基地局1002と
の間でダウンリンク通信を正常に行うことができるよう
になる。
が緩慢なため、光出力のマージンを0dBに設定するこ
とによりSNRが十分確保できた場合でも、所定のビッ
ト誤り率が達成される領域が狭くなり、チャンネル間干
渉の影響が顕在化する。要求されるSNRはSIRが低
いほど大きくなるので、通信距離が大きくなるほど(端
末装置1003が基地局1002から離れるほど)、等
BER面が空間セル境界面から離れて空間セル内部に侵
入する。また、一般的に、干渉信号光の数が多くSIR
が低い場合には、SNRを高めてもBERフロアが生じ
て所望のBERを達成することができない。ワイヤレス
光通信システム1001においては、ビーム光源720
の放射角度分布特性を適切に設定することにより、干渉
チャンネル数(干渉光信号となるダウンリンク光信号の
数)を空間セルが1次元的に配置される場合で通常1
つ、2次元的に配置されるワーストケースでも最大3つ
までに抑えることができる。これにより、BERフロア
レベルは所望のBERよりも十分低いレベルに抑制され
る。
わち光出力マージンと放射角度分布特性に対して、ダウ
ンリンク空間チャンネルの望ましい設計を実験的、理論
的に評価した。
次元的に配置された種々の場合について、BERが10
−8以下でが受信可能な領域が3次元空間のカバーエリ
アに対して占める割合と、空間セル1006の広がり角
θに対するビーム光源720の指向半値全角φtの比
(定数C)との関係を示す。光出力マージンは0〜3d
Bの範囲で変化させた。
間において、その90%以上が受信可能領域となるSD
Mダウンリンクを実現するためには、ビーム光源720
の指向半値全角φtをC≦1.0の範囲で設定すること
が必要であり、C≦0.8の範囲で設定することがより
好ましいことが分かる。また受信可能領域の割合を80
%程度まで許容すれば、ビーム光源720の指向半値全
角φtをC≦1.3の範囲で設定することが必要であ
り、C≦1.1の範囲で設定することがより好ましいこ
とが分かる。
は、これまでの説明から明らかなように、端末装置10
03がある空間セル1006内の境界近くに存在して
も、境界を接する他の空間チャンネルのダウンリンク信
号に引き込まれないよう、ワイヤレス光通信システム1
001を設計することができる。ここで、他の空間チャ
ンネルのダウンリンク信号への引き込みとは、端末装置
1003の受信回路が、境界を接する他の空間セルに送
信されているダウンリンク信号光を受光して復号化して
しまうことをいう。全ての空間セルのそれぞれにダウン
リンク信号が送信されている場合には、端末装置100
3に入射する複数のダウンリンク信号光のうち、端末装
置1003が存在する空間セルに向けて送信されるダウ
ンリンク信号光の光強度振幅が最大となるので他の空間
チャンネルのダウンリンク信号への引き込みは発生しな
い。しかし、その空間セルにダウンリンク信号が送信さ
れない期間(例えば、NRZ信号で‘0’が続いている
間)がある場合、その期間において、端末装置1003
の受信回路は、境界を接する他の空間セルに送信されて
いるダウンリンク信号光のみを受光し、復号化してしま
うことがあり得る。
信先アドレスや送信元アドレスが明示されるため、他の
空間チャンネルのダウンリンク信号への引き込みによっ
て、必ずしも通信自体が不可能になるわけではない。し
かし、他の空間チャンネルのダウンリンク信号への引き
込みが発生すると、パケット再送等を行う必要があり、
スループットが低下し得る。本発明のワイヤレス光通信
システムにおいては、上述した定数Cを適切に設定する
ことにより、また、後述する基地局1002のシステム
設計および端末装置1003の受信回路の設計を適切に
行うことにより、この問題を回避することができる。
持つダウンリンク空間セルを形成するビーム光源におい
て、要求される光出力とダウンリンクのチャンネル間干
渉とを考慮すると、定数Cは少なくとも0.5≦C≦
1.3の範囲内で設定され、最も好ましくは、0.5≦
C≦0.8の範囲を満たして設定されるべきである。
720の指向半値全角φtを小さくするに従って、ビー
ム光源720の光源サイズを大きくする必要がある。光
源サイズが大きくなりすぎると実装が困難であるので、
実質的にφtの下限が制約され得る。上述した定数Cの
好ましい範囲は、アイセーフティが確保されるか否かに
かかわらず、SDM/SDMAワイヤレス光通信システ
ム1001に本質的に要求される範囲である。SDM/
SDMAワイヤレス光通信システム1001の端末装置
1003に、近赤外領域においてIrDA規格と同程度
の最低受信感度を有する受信機を使用した場合、ビーム
光源720の光源サイズを8mm程度まで許容してIE
C60825−1規格に従えば、ダウンリンクの最大通
信距離は7m程度に制限される。現在、AEL(All
owed Exposure Level)の見直し作
業が進められている。AEL見直し作業に伴って、ダウ
ンリンクの最大通信距離の制限が緩和されれば、本発明
の原理をより大規模なSDM/SDMA)ワイヤレス光
通信システムにも適用し得る。
構成を説明する。
構成の例を示す。
と、光送信機光源100を駆動する駆動回路103と、
受光部(レンズ系)101と、受信回路104とを含
む。駆動回路103と、受信回路104とは、制御部1
05により制御される。省略可能に設けられる光学的バ
ンドパスフィルタ102は、パスバンド幅が約30nm
の光学的特性を有している。光学的バンドパスフィルタ
102は、基地局1002(図1)のマルチビーム送信
機1004が半導体レーザ素子を光源として用いた場合
に好適に使用され得る。光送信機光源100と、受光部
101と、光学的バンドパスフィルタ102と、駆動回
路103と、受信回路104と、制御部105とは、端
末装置1003において、ワイヤレス光通信トランシー
バ(ワイヤレスインターフェイス)として機能する。こ
のうち、光送信機光源100と、駆動回路103と、制
御部105とは送信機として機能し、受光部101と、
光学的バンドパスフィルタ102と、受信回路104
と、制御部105とは、受信機として機能する。
とFIFOバッファ1101またはDRAM等の高速メ
モリとともに高速バス1102に接続され、端末装置1
003(ホストシステム)の広帯域ペリフェラルI/O
2104として機能する。広帯域ペリフェラルI/O2
104と、高速バス1102との間の通信プロトコルお
よびインターフェイスには任意の通信プロトコルおよび
インターフェイスが採用され得る。しかし、端末装置1
003のコストの低減を考慮すると、既存の通信プロト
コル(例えばIEEE802.3u)および既存のカー
ド型ホストインターフェイス(例えばPC Card)
が採用されることが好ましい。広帯域ペリフェラルI/
O2104がカード型ワイヤレス光インターフェイスと
して端末装置1003に搭載されることは、端末装置1
003の製造コストを低減することに非常に有効であ
る。この場合、カードに内蔵される制御部105は、I
EEE802.3コントローラおよびワイヤレスインタ
ーフェイス用のコントローラの2部構成としてもよい。
端末装置1003は、さらに、ディスプレイ108お
よび操作部109を備える。これにより、端末装置10
03を基地局1002(図1)に対する、または、端末
装置1003が基地局1002を介して接続されるデジ
タル機器1012(図1)に対する双方向リモートコン
トローラとして用いることも可能になる。
て、端末装置1003は、主にユーザに携帯されるモバ
イル端末装置が想定される。端末装置1003は、例え
ば、携帯音楽プレーヤ等の専用機や、PDA、ノートP
CやB5サイズ以下のウルトラポータブルPC、高機能
のモバイルフォン(携帯電話またはPHS)等、あらゆ
る携帯端末装置の形態を取り得る。このような携帯端末
装置と同様のワイヤレス光インターフェイス(またはそ
の変形)を備える据置型の情報通信機器が基地局に収容
されてもよい。そのような据置型の情報通信機器は、例
えば、図1において、接続線1011とインターフェイ
ス1008(第2のインターフェイス)とを介して基地
局1002に接続されている、デジタル機器1013で
ある。
メモリーや1〜2.5インチ程度のHDD、MRAMや
強誘電体メモリ等を用いた大容量の不揮発性記憶媒体を
備えている。このような携帯端末装置が端末装置100
3として機能する場合、ワイヤレス光通信システム10
01の用途として、他の情報通信機器(デジタル機器)
から大容量のデジタルコンテンツを携帯端末装置に転送
してユーザが携帯するための用途、あるいは逆に携帯端
末装置で生成されたデジタルコンテンツを他の情報通信
機器(デジタル機器)に伝送するための用途が想定され
る。このような場合、先に述べたような端末装置100
3のワイヤレスインターフェイス用コントローラの構成
に加え、DMA(Direct Memory Acc
ess)コントローラ及び例えば64MB乃至256M
B以上のDRAMを備えることで、より一層、大容量フ
ァイルの一括転送に適した構成とすることができる。特
に、一度のファイル転送でDRAM容量を使い切った
り、DRAMから前記不揮発性記憶媒体への大量の書き
込みを繰り返すなど、負荷の高い使い方が想定される場
合は、ワイヤレス光インターフェイス自身もバスマスタ
方式のDMA転送に対応し、専用DMAコントローラを
用意するのが好ましい。
受光された複数のダウンリンク信号光のうち、光強度振
幅が最大の1つのダウンリンク信号光が搬送する情報を
取得する機能(分離機能)を備えている。これにより、
ダウンリンク通信における干渉の問題が最小限に抑制さ
れる。本発明のワイヤレス光通信システム1001の端
末装置1003の分離機能の原理を説明する。
ム送信機1004から送信されるダウンリンク信号光の
平面V上での等光強度線を示す。マルチビーム送信機1
004は、ダウンリンク信号光13〜15を送信する。
平面Vは、ダウンリンク信号光14を送信するビーム光
源の光軸1014に直交する平面である。
は、同時に異なる情報(デジタルシーケンス)を搬送す
る。従って、端末装置で受信される信号光はビット時間
単位で変動する複数のレベル値を取る。
5に対応する空間セルの内部の点Pにおける光強度を示
す。波形1015〜1017はそれぞれ、点Pにおい
て、ダウンリンク信号光13〜15が搬送するデジタル
シーケンスに対応する光強度を示す。波形1018は、
点Pに位置する端末装置1003に受信される、複数の
ダウンリンク信号光13〜15の光強度(トータルの光
強度)を示す。
3)は、波形1018のレベル値に影響を及ぼし得る主
要な空間セルに向けて送信されるダウンリンク信号光の
全てが値「1」のデータを搬送する場合の受信信号光ピ
ーク値16と、全てが値「0」のデータを搬送する場合
の受信信号光ボトム値17との中間値18(平均値)に
実質的に等しい値を最適な閾値として設定する。端末装
置1003の受信回路104は、基地局1002が送信
する複数のダウンリンク信号光のうち、少なくとも1つ
を受信し、受信された少なくとも1つのダウンリンク信
号光に対してこの閾値を用いて閾値処理を行うことによ
り、所定の空間セル(端末装置1003が収容されてい
る空間セル)に向けて送信されるダウンリンク信号光1
4が搬送する情報を取得(分離)することができる(分
離機能)。すなわち、波形1018によって示される信
号光の強度が閾値18よりも大きいか否かを判定するこ
とによって、波形1016によって示される信号光が搬
送する情報が取得される。
ム値17との差2018は、端末装置1003に受光さ
れた複数のダウンリンク信号光のトータルの光強度振幅
である。また、波形1016のピーク値とボトム値との
差2019は、ダウンリンク信号光14の光強度振幅で
ある。端末装置1003は、理論的には、光強度振幅2
019が光強度振幅2018の半分よりも大きい場合
(すなわち、所望のダウンリンク信号光14の光強度振
幅が、干渉信号光のトータルの光強度振幅よりも大きい
場合)に、複数のダウンリンク信号光13〜15の光強
度振幅のうち最大の光強度振幅を有するダウンリンク信
号光14を分離することができる。
のバイナリ符号化方式を用いて符号化される場合にも、
空間分割多重化された全てのチャンネルを反映するピー
ク値とボトム値とから、同様に最適な閾値を求めて空間
多重化されたダウンリンク信号光が搬送する情報を分離
することができる。また、このようにして最適な閾値を
求める方法は、基地局1002と端末装置1003とが
パスバンド信号を用いたデジタル通信を行う場合におい
ても、そのベースバンド信号に対して同様に有効であ
る。しかしながら、PAM(Pulse Amplit
ude Modulation)やQAM(Quadr
ature Amplitude Modulatio
n)のように信号振幅が多値化される場合には、原理的
に空間多重化された信号を分離することはできない。
号対全干渉信号比SIR(Signal−Interf
erence Ratio)に依存して、各空間チャン
ネルに送信されるデータシーケンスによって決定され
る。信号対全干渉信号比SIRは、重なり合う空間セル
の数、各空間セル内での端末装置1003の位置、基地
局1002のマルチビーム送信機1004のビーム光源
720の放射角度分布特性および各ビーム光の光出力の
均一性等から決まる。
ウンリンク空間チャンネル間のビット同期ずれがあれば
その影響を受ける。しかし、ワイヤレス光通信システム
1001では、基地局1002と端末装置1003とが
見通し通信を行うことを前提としているので、空間セル
の境界領域のある1点に存在する端末装置1003に対
して複数の干渉信号光がある場合でも、同期ずれは発生
しない。
複雑ではあるが、既に述べたようにSIRは、重なり合
う空間セルの数、各空間セル内での端末装置1003の
位置、基地局1002のマルチビーム送信機1004の
ビーム光源720の放射角度分布特性および各ビーム光
の光出力の均一性等のパラメータから決まる。これらの
パラメータは何れも、予め設定されるものであり、ワイ
ヤレス光通信システム1001の動作時には、空間座標
のみの関数として表される。従って、端末装置1003
が空間内で移動するか、あるいは基地局1002のビー
ム光源720が急激に劣化しない限り、最適閾値は変わ
らない。このため、基地局1002および端末装置10
03のいずれにも、メディアアクセス制御(MAC)の
負荷が軽いワイヤレス光通信システム1001が実現さ
れる。
tion Modulation)のように、各シンボ
ル毎に一定振幅のチップパルスが必ず送出され、さらに
それらが空間多重化される場合、受信信号シンボル期間
における振幅最大のチップを選択することにより信号光
強度が最大であるダウンリンク信号光(空間チャンネル
成分)が分離され得る。しかしながら、あるシンボル期
間における信号強度が最大のダウンリンク信号光と、所
望の空間チャンネル(端末装置が収容されている空間セ
ルに対応するチャンネル)のダウンリンク信号光とは異
なる場合がある。例えば、所望の空間チャンネルに信号
が送出されていない場合である。このような場合には、
分離された光強度振幅最大のダウンリンク信号光が所望
の空間チャンネル以外の空間チャンネルのダウンリンク
信号光であることを知る手段として、NRZの場合と同
様に、空間分割多重化された全てのチャンネルを反映す
るピーク値に対して最適化された閾値を用いて硬判定す
ることにより、端末装置1003の受信回路が不所望な
空間チャンネルに引き込まれるのが防止される。
ワイヤレス光通信システム1001においては、基地局
1002から複数のダウンリンク信号光2017が必ず
しも同じ符号化を用いて情報を搬送する必要はない。そ
れぞれのビット時間幅(例えばNRZやNRZI符号化
の場合)あるいはチップ時間幅(例えばPPM符号化の
場合)が等しければ、端末装置1003の受信回路にお
いて、それらを分離し、端末装置1003がその端末装
置に向けられた(例えばNRZ符号化されている)情報
を取得することが可能である。 ここで、端末装置10
03の受信機における判定閾値の最適化は、従来の加入
者系光ファイバー通信におけるPON(Passive
Optical Netvork)−FTTHシステ
ムのような、時間領域で多重化されたチャンネルに対し
てガード時間で区切られたバースト毎に閾値を最適化し
て受信する、いわゆるバーストモードレシーバとは本質
的に異なるものである。
003の受信機における判定閾値の最適化の特徴をより
明らかにするため、従来のPON−FTTHシステムの
簡単なシステム構成とNRZ符号化を用いた場合の受信
信号の例をそれぞれ図37Aおよび図37Bに示す。
ptical Network Unit)の構成を示
す。
いて、各家庭から送出された光バースト信号の信号波形
(信号波形1261〜1263)と、それらの光バース
ト信号がスターカプラを経て時分割多重化され、局側の
OSU(Optical Subscriber Un
it)あるいはOLT(Optical LineTe
rminal)で受信された場合の受信信号の信号波形
1264とを示す。OSUにおいては、ガードタイムで
区切られた各バースト毎に先頭数ビット以内に光受信機
の判定閾値が最適化され、アップリンクチャンネルが分
離される。各バースト期間における最適閾値は一定であ
る。図37Bに示されるように、光バースト信号126
1〜1263は時分割多重化されているので、同じ時間
において強度が重畳されることはない。
システム1001においては、複数の空間チャンネルの
ダウンリンク信号光およびアップリンク信号光は、時分
割多重化されない。信号光が時分割多重化された場合に
は、帯域を占有することができなくなり、チャンネル数
が増えるに従ってスループットが低下してしまい、通信
の高速化が阻害される。
ては、閾値自体を受信ベースバンド信号に追従させて最
適化するのが望ましい。原理的には、AGC(Auto
matic Gain Control)回路を経たフ
ィードバックによって、端末装置1003の受信回路に
影響を与える空間チャンネルの全てを反映したピーク値
を所定レベルに揃えた上で、固定閾値に基づいて識別を
行う受信回路によっても、所望のダウンリンク信号光
(空間チャンネル成分)を分離することは可能である。
しかしながら、各バースト毎にベースバンド光信号のピ
ーク値およびボトム値が一定であるPONシステム(図
37Aおよび図37B)とは異なり、このようなAGC
回路を用いた受信回路を端末装置1003に適用するに
は、AGCのタイミング抽出や高速応答性に相応の工夫
が必要となる。
03の受信回路104(受信フロントエンド)のブロッ
ク図を示す。
化されたダウンリンク信号光(少なくとも1つのダウン
リンク信号光2017)を電流信号に変換する。プリア
ンプ111は、この電流信号を線形領域で増幅し、少な
くとも1つのダウンリンク信号光の強度を示す電気信号
(電圧信号)に変換する。
信回路104において波形が歪むと、その歪みによって
ピーク値16およびボトム値18に誤差が生じ得、空間
多重化されたダウンリンク信号光を誤りなく分離するこ
とができなくなる。また、判定閾値の最適化過程におけ
る精確性が極めて重要である。従って、プリアンプ11
1の直後に設けられるローパスフィルタ112(帯域制
限フィルタ)は、ダウンリンク信号光の信号帯域に対し
て、実質的に波形歪みやリンギングの生じ難い帯域制限
機能を果たすために、ダウンリンク信号光のクロック周
波数以下の帯域において、実質的に群遅延平坦な特性を
有することが好ましい。なお、「ある帯域において実質
的に群遅延平坦」であるとは、その帯域内で、遅延時間
が周波数によって変化しないか、または、その変化によ
り引き起こされる波形歪みやリンギングが、通常の受信
回路104の設計において、複数のダウンリンク信号光
から1つの(強度振幅が最大の)ダウンリンク信号光を
分離することを不可能にするほど大きくないことをい
う。
以下で説明する特性を有することが好ましい。
システム1001が125Mb/sの8B10B NR
ZI符号化(1ビット時間8ns、正味のデータレート
100Mb/s)を採用し、ダウンリンク信号光の10
%〜90%立ち上がり/立ち下がり時間が約1〜2ns
で高速駆動されている場合、端末装置1003の受信回
路において、ローパスフィルタ112として、約140
MHzの−3dB帯域を有する5次のベッセルローパス
フィルタを用いることが好ましかった。
ベッセル特性あるいは比較的低次のバタワース特性を備
え、クロック周波数(上述した例では125MHz)以
下の帯域においては、ほぼその全域にわたって群遅延時
間が平坦な位相特性を有するように、−3dB周波数f
cを設定することが好ましい。これにより、多重化され
たダウンリンク信号光に対して実質的に波形歪みの生じ
ない特性が実現され、判定閾値設定の精確性を向上させ
ることができる。
分に短い許容値上限(上述した例では、1ns)に至
る、クロック周波数の上限をfdとすると、ローパスフ
ィルタ112がフィルタ次数nのベッセル特性を有する
場合、nの増大に伴い、比fd/fcが単調に増加す
る。例えば、フィルタ次数nが2、3、5および8の場
合に、それぞれ、比fd/fcは0.4、0.7、0.
9および1.3となる。ローパスフィルタ112が5次
のベッセル特性を有する場合、fc=125MHz/
0.9となり、これは約140MHzであるので、上述
した実験結果と符合する。ある周波数fdについて、f
cを低減し、SNRを向上させる観点からは、構成は複
雑となるが比較的高次のベッセルフィルタを用いること
が好ましい。これにより、最良の遅延特性を有する受信
回路を実現することができる。
ス特性を有する場合、次数nの増大に伴い、比fd/f
cは、わずかずつ単調に減少する。例えば、フィルタ次
数nが2、3および8の場合に、それぞれ、比fd/f
cは0.5、0.5および0.3となる。ローパスフィ
ルタ112がバタワース特性を有する場合、あるfdに
ついては、ローパスフィルタ112がベッセル特性を有
する場合よりも相対的にfcを大きくとる必要が生じ
る。このため、SNRの観点からは不利となる。
ワイヤレス光通信システムのダウンリンクにおいては、
基地局マルチビーム送信機1004のビーム光源に比較
的発光サイズの大きいディスクリート素子を用いること
が可能である。従って、基地局側でアイセーフティの確
保されたレーザダイオードを用いて送信光パワーの増大
を図るのは比較的容易である。すなわち、端末装置10
03の受信回路においては波形歪みの低減に設計の重点
を置き、比較的低次のバタワースフィルタを用いてコス
トパフォーマンスに優れる受信回路を構成することが可
能である。もちろん、上述したベッセルフィルタを用い
る場合も同様に、コスト低減を優先して基地局側でパワ
ーペナルティを補い比較的低次のものを採用することが
できる。
号化速度/波形(周波数成分)と受信回路の非白色雑音
等にも依存するが、NRZ系の信号に対しては一般的に
比fd/fc≧0.5程度を目安とし、3次以上のベッ
セル特性あるいは3次以下のバタワース特性を備え、ク
ロック周波数以下の帯域においては、ほぼその全域にわ
たって群遅延時間平坦な位相特性を有するように、−3
dB周波数fcを拡大して設定することにより、ダウン
リンク信号光に対して、実質的に波形歪みやリンギング
歪みの生じ難い帯域制限機能を設けることができる。
信号(受信電圧信号1114)は、フォトダイオード1
10が受け取った少なくとも1つのダウンリンク信号光
の強度(光強度)を示す。
リアンプ111およびローパスフィルタ112は、少な
くとも1つのダウンリンク信号光が入射し、入射した少
なくとも1つのダウンリンク信号光の強度を示す電気信
号(受信電圧信号1114)を出力する光電変換増幅部
1113として機能する。
プ111とは一体に形成されていてもよい。フォトダイ
オード110は、例えば、p(i)nフォトダイオード
であるが、p(i)nフォトダイオードに替えて、アバ
ランシェフォトダイオード、ショットキフォトダイオー
ド、フォトトランジスタ等の任意の光電変換素子が使用
され得る。
は、受信電圧信号のピーク値検出・保持回路114およ
びボトム値検出・保持回路115を含む。閾値設定回路
ブロック113は、ピーク値検出・保持回路114の出
力(ピーク値1116)とボトム値検出・保持回路11
5との出力(ボトム値1117)とのほぼ中間値に最適
化された判定閾値1115を比較回路116に出力す
る。
ム値検出・保持回路115においては、例えば、各々の
回路に備えられた容量成分に、ピーク値1116および
ボトム値1117のレベルに応じた電荷をチャージする
ことによって、各電圧レベルが生成・保持され得る。電
圧レベルの安定性を確保するためには、容量成分が大容
量であることが要求され、一方で、レベル生成における
高速応答性を確保するには小容量であることが要求され
る。従って、ピーク値検出・保持回路114およびボト
ム値検出・保持回路115は、少なくとも、判定閾値レ
ベル1115の最適化が行われる繰り返し周期にわたっ
て、ピーク値1116およびボトム値1117の安定性
が確保されるような容量を持つことを前提として、チャ
ージアップの高速化を図るために様々な回路構成上の工
夫がなされ得る。あるいは、ピーク値およびボトム値の
検出機能にはサンプルホールド回路を、保持機能には高
速A/Dコンバータを使用してもよい。これにより、よ
り精確な閾値レベル設定回路が実現され得る。
信システム1001では、一定の周期Tc毎に、端末装
置1003が閾値の最適化を実行できるように、基地局
からのダウンリンクフレーム(パケット)のシーケンス
が設計される。この一定の周期Tcは、閾値設定回路ブ
ロック113における閾値レベルの最大保持時間よりも
短い。また、ピーク値およびボトム値の検出・保持回路
114および115は、制御部105(図13)から一
定の周期Tcに合わせた適切なタイミングでリセット端
子2102および2103に送られるリセット信号によ
ってリセットされ、新たな最適閾値レベルを生成・保持
することができる。
電圧信号1114と、閾値設定回路ブロック113から
出力される判定閾値1115とが、比較回路116にお
いて比較される。これにより、所望のチャンネル成分
(フォトダイオード110が受け取った少なくとも1つ
のダウンリンク信号光のうち、強度振幅が最大であるダ
ウンリンク信号光)が分離される(搬送する情報が取得
される)。
1116と、ボトム値1117と、受信電圧信号111
4とに基づいて、強度振幅が最大であるダウンリンク信
号光が搬送する情報を取得する取得部として機能する。
ことにより、空間分割多重化された複数のダウンリンク
信号光から所望の空間チャンネルのダウンリンク信号光
を受信回路104において誤りなく分離(demult
iplexing)することができる。これにより、1
つの端末装置は、1つの空間セルにおいて、その空間セ
ルに割り当てられた帯域を占有して基地局との通信を行
うことができ、高速なSDM/SDMAワイヤレス光通
信システムが実現される。
機能を有していることに起因して、基地局1002(図
1)のマルチビーム送信機1004の各ビーム光源72
0(図3)に要求される放射角度分布特性への要求条件
が緩和される。すなわち、マルチビーム送信機1004
に、遠視野像パターンが裾を引いた形状(例えば、一般
化ランバーシアン分布でよく近似される形状)である放
射角度分布特性を有するビーム光源を用いることができ
る。このために、基地局のコストが低減され、コストパ
フォーマンスに優れたSDM/SDMAワイヤレス光通
信システムが実現される。マルチビーム送信機1004
にこのようなビーム光源を用いた場合であっても、ダウ
ンリンク通信におけるチャンネル間干渉によるデッドゾ
ーンが十分に抑圧され、通信距離範囲内のほとんどの領
域で基地局との双方向通信が正しく行われ、3次元的
な、実用的なカバーエリアが達成される。なお、端末装
置1003の受信回路104が影響を受ける全ての空間
チャンネルが多重化されたバースト状の受信信号が端末
装置1003に受信された場合、閾値の最適化は数ビッ
ト程度のごく短時間に完了する。
うフォトダイオード110から比較回路116までの回
路は直流結合される。すなわち、光電変換部1113
と、閾値設定回路ブロック113と、比較回路116と
は直流結合される。受信回路104にAC結合が含まれ
る場合、ビット時間単位で変動する空間多重化された受
信信号光のピーク値およびボトム値に対して、安定かつ
精確に比較判定の閾値を最適化するのは困難である。受
信回路104にAC結合が含まれる場合、ピーク値およ
びボトム値を検出、保持した上で、いずれか一方を比較
回路116の判定閾値に対するバイアス電圧とし、さら
に両者の差から最適な比較閾値を設定しなければなら
ず、比較回路の動作を安定で、精確性、信頼性の高いも
のにすることが困難だからである。
出力は、差動増幅ポストアンプ117によって、後段の
デジタル信号処理に十分な一定振幅の電圧レベルに増幅
される。このようなリミティングアンプとしての機能
は、比較回路116が備えてもよい。しかし、十分なゲ
インを得るためには、通常、差動増幅ポストアンプ11
7によってこの機能が実現されることが好ましい。差動
増幅ポストアンプ117は、フォトダイオード110か
ら差動増幅ポストアンプ117までの各素子のオフセッ
ト補償や入力ダイナミックレンジと必要なゲイン等を考
慮して適切に設計される。
の問題を解決するために、端末装置1003の受信回路
104が備えることが望ましい特徴を図16、図17、
図18Aおよび図18Bを参照して説明する。ワイヤレ
ス光通信に特有の問題とは、背景光が非常に強く、端末
装置1003の置かれた状況に応じて、背景光自体の強
度と、それに伴う雑音レベルが大きく変動することであ
る。背景光レベル自体の変動は通信動作中の短期間にお
いては大きくはないが、利用される状況を広く考慮する
と大変大きな幅となり得る。これを解決するための周知
の技術として、受信信号を交流結合して前記ボトムレベ
ルのオフセットの影響を除去し、同時に背景光による低
周波雑音成分を低減することが行われている。しかし、
図15を参照して説明したように、受信回路104にA
C結合を用いてDC信号成分を低減する構成は、端末装
置1003には採用し難い。
003の受信回路104から発生する雑音成分の他、背
景光のDC成分によってフォトダイオード110(図1
5)から生じるショット雑音や、端末装置1003の周
囲のインバータを用いた蛍光灯からの1MHz以下程度
の雑音成分を低減することが必要である。
素子であるフォトダイオード110に備えられたレンズ
系101(図13)の視野と、光学的バンドパスフィル
タ102の透過率入射角度依存性との両方によって決定
される。
04のビーム光源720として、単色性の高い(すなわ
ち、所定の波長を有するレーザ光を発光する)レーザダ
イオードを用いた場合には、端末装置1003に必要と
される視野角内において光学的バンドパスフィルタ10
2がビーム光源720の光束(レーザ光)を遮断しない
ことが望ましい。
レンズ系101からなる受光部が本来有する受光感度と
波長との関係を示す。曲線121〜123のそれぞれ
は、端末装置1003の受信機の光軸(図13に示され
る光軸1104)に対する入射角が0°、10°および
20°の場合の関係を示す。
2として平板の誘電体多層膜を用いた場合の、透過率と
波長との関係を示す。曲線124〜126のそれぞれ
は、端末装置1003の受信機の光軸に対する入射角が
0°、10°および20°である場合の、光学的バンド
パスフィルタ102の透過率と、波長との関係を示す。
る受光部を備える端末装置1003の視野角は、実際に
は図16に示される特性と図17に示される特性との積
でよく表現される。従って、基地局1002のマルチビ
ーム送信機1004のレーザ光源の発振波長は、図17
に矢印1121で示した範囲、すなわち、入射角0°で
の短波長側の50%透過波長1122と、想定する受信
視野半値半角(例えば、10°とする)である入射角1
0°での長波長側の50%透過波長1123との間であ
れば許容される。受信視野半値半角が10°である場
合、受信視野半値全角は20°である。
02は、受信回路104のフォトダイオード110の受
信視野半値全角1103の範囲内で受信回路104に入
射する所定の波長を有するレーザ光を遮断しない特性を
有することが好ましい。図15に示される光電変換部1
113には、この光学的バンドパスフィルタ102を介
してダウンリンク信号光2017が入射する。
バンドパスフィルタ102とは、一体として形成されて
もよい。例えば、半球レンズの表面あるいは内面に波長
選択性を有する樹脂を接着したり、多層膜を蒸着するこ
とによって、透過波長範囲において入射角依存性が低減
された光学的バンドパスフィルタ102が実現されるこ
とが好ましい。この場合にはレンズ系101の設計によ
って端末装置1003の受信機の視野が制限される。
ィルタ102を端末装置1003がさらに備えることに
よって、端末装置1003の受信機で受信される背景光
の波長範囲を限定し、ワイヤレス光SDM/SDMAシ
ステムに特有の問題が総合に解決されて、より優れた帯
域占有型のSDM/SDMAワイヤレス光通信システム
1001が実現される。
システム1001においては、基地局1002のビーム
光源720の放射角度分布特性が主要な役割を果たす。
すなわち、既存の製品として存在しない発光素子光源の
開発が必要となるが、その際、端末装置1003に用い
られる受光素子(図15に示されるフォトダイオード1
10)の受光感度や周波数応答特性、既存規格との整合
性等を鑑みて、ビーム光源720のレーザダイオードの
発振波長が設定されるとよい。端末装置1003を特に
コンシューマ向けの低コストな構成にするためには、端
末装置1003の受光素子にSiが用いられ得る。さら
に、アイセーフティを比較的容易に確保することを考慮
すれば、基地局1002のビーム光源720としては、
780〜920nm程度の範囲で発振する、GaAs基
板上のInGaAs、GaAs、AlGaAs、InG
aAsP等から成る活性層材料を備えたレーザダイオー
ドを用いるのが好ましい。
の視野角の設定値がワイヤレス光通信システム1001
の使い勝手に大きく影響し、アプリケーションにおける
重要な指標となる。発明者は、端末装置1003の受信
機の視野角の好ましい値を求めるために、人間が手動で
光軸合わせをする場合の誤差の分布を測定する実験を行
った。
が、ある軸を有する物体を意図的に標的に差し向ける際
の角度ずれの確率密度分布の測定例を示す。図18A
は、複数の被験者が各々100回ずつ、1秒程度の瞬時
に光軸合わせを行った場合の角度ずれの確率密度分布を
示し、図18Bは、同様のことが10秒程度かけて注意
深く行われた場合の角度ずれの確率密度分布を示す。
が瞬時に行われた場合には、角度ずれの確率密度分布は
分散σ≒5°相当のレーリー分布に従い、注意深く行わ
れた場合には、角度ずれの確率密度分布は分散σ≒2°
相当のレーリー分布に従うことが分かる。
野角としては、角度ずれの確率密度分布の分散σの3倍
程度、すなわち、受信視野半値半角が5°以上15°以
下であればよい。これは、受信視野半値全角(図13に
示される角度1103)で表わすと、10°以上30°
以下となる。
野角を有する場合、端末装置1003は、ユーザが端末
装置1003を意識的に基地局1002に指向させるこ
とが自然なアプリケーションにおいて、背景光雑音の影
響を最小限にとどめ、使い勝手を損なうことなく、好適
に使用することができる。ユーザは、ワイヤレス光通信
システム1001のパフォーマンスを最大限に享受する
ことができる。
装置1003の受信機の視野角と同程度の放射角度分布
特性を有することが好ましい。端末装置1003の送信
機として、周知のIrDA規格と同様またはより低出力
の光送信機を用いた場合でも、基地局1002にはより
大口径の角度分解型受信機1005が備えられているの
で十分な信号強度と極めて低い背景光レベルが達成され
る。このため、一定の通信距離に対しては、アップリン
クの方がダウンリンクよりも容易に達成される。従っ
て、端末装置1003の送信機は、基地局1002にア
ップリンク信号光を送信することが可能な任意の構成を
有し得る。
信機1005において用いられ得るフォトダイオードア
レイ素子500(アレイ素子)を示す。フォトダイオー
ドアレイ素子500は、例えば、ワイヤレス光通信シス
テム1001が、図2に示される空間セル配置を採用す
る場合に、図3に示されるフォトダイオードアレイ素子
711として用いられ得る。フォトダイオードアレイ素
子500は、3×3のpinフォトダイオードアレイ素
子であり、図19には、光照射面となるp側から見た図
が示されている。
数のアレイ要素501(要素素子)を含む。複数のアレ
イ要素501のそれぞれは、個別にアドレス可能なアノ
ード電極502で囲まれている。アレイ要素501のそ
れぞれに対応する電流信号は、端子503から取り出さ
れる。アレイ要素501は、少なくともp++層を貫通
するギャップ領域504により互いに仕切られている。
これにより、クロストークが低減される。
19に示される構成に限定されず、例えば、p側をコモ
ンとし,n側にギャップ領域を形成して個別アドレス可
能とする構成を有していても十分に実用的である。フォ
トダイオードアレイ素子500がp(i)n構造を含む
場合には、いずれの形態においても、p側を光照射面と
することが好ましい。フォトダイオードの応答速度が速
くなるからである。また、フォトダイオードアレイ素子
500が、p側をコモンとし,n側にギャップ領域を形
成して個別アドレス可能とする構成を有している場合に
は、プリアンプアレイチップをフォトダイオードアレイ
素子500とフリップチップボンディングしたり、ドー
ターボードを介して各プリアンプ部を個別に実装するこ
とによって配線容量を小さくすることが可能である。配
線容量を小さくすることは、高速化の観点から、有利で
ある。例えば、図3に示されるフォトダイオードアレイ
素子711は、p側をコモンとする構成を有しており、
ドーターボード712に搭載されている。
トレンズシステム505との位置関係を示す。トリプレ
ットレンズシステム505は、図3に示されるレンズシ
ステム710として用いられ得る。
ットレンズシステム505とは別々の部材として示され
ているが、実際にはアレイ素子500とトリプレットレ
ンズシステム505とはインデックスマッチングを取っ
て接着されている。図20の説明において、ワイヤレス
光通信システム1001が、図2に示される空間セル配
置を採用しているものとする。
単位ピクセルを構成する。図20に示される例では、3
つのアレイ要素501が単位ピクセル506を構成して
いる。単位ピクセル506の形状は、予め定めた空間セ
ル1006(図2)の境界を主光線として受光面上に投
影した像と概ね一致するように定められる。単位ピクセ
ル506毎に、各アレイ要素からの信号出力が束ねら
れ、比較回路バンク715に接続される(図3参照)。
域を低減するために、6角形または4角形の形状を有す
る。単位ピクセル506の形状と、予め定めた空間セル
1006(図2)の境界を主光線として受光面上に投影
した像との一致は、近似的に成り立てばよい。単位ピク
セル506の形状は、基地局1002において、マルチ
ビーム送信機1004と角度分解型受信機1005との
取り付け位置の違いによって生じる微小な視差を補正す
るように決定される。
ットがΘ方向に2つの単位ピクセル506にまたがる場
合、基地局1002からその端末装置1003に、マル
チビーム送信機1004の対応する光源を用いて、いず
れか1つの単位ピクセル506に信号光スポットが収ま
るように、端末装置1003を移動させるべき方向をユ
ーザに指示することができる。このような移動方向の指
示は、例えば、端末装置1003の表示画面にユーザが
移動すべき方向を示す矢印を表示することによって行わ
れ得る。
な、空間セル数が比較的少ない家庭内におけるユーザモ
デルでは、必ずしもこのような移動方向の指示を行う必
要はない。すなわち、単に最大信号強度が得られる単位
ピクセル506あるいはアレイ要素501(図20)を
選択して空間チャンネルを形成すれば、実用上十分な場
合が多い。
機1005の構成により、各単位ピクセルピクセルが見
込む視野角φr(i)が、空間セルの広がり角θ(i)
に概ね等しく設定され、アップリンク空間チャンネルが
形成される。ここで、“概ね”とは、角度分解型受信機
1005の分解能に依存するという意味である。角度分
解型受信機1005のレンズシステム710において
は、各種の収差が合成されて像のコントラストや解像力
が影響を受ける。
1は、各種の収差が合成されて解像力が影響を受けるこ
とにより分解能が低下することを前提として設計され
る。単位ピクセル506の形状と、予め定めた空間セル
1006(図2)の境界を主光線として受光面上に投影
した像との一致が近似的に成り立てばよいのも、この理
由による。本発明のワイヤレス光通信システム1001
では、予めある一定レベルまで分解能が低下することを
許容することにより、現実的でコストパフォーマンスに
優れたシステムが実現される。
が、角度分解型受信機1005のレンズシステム710
の開口に入射し、アレイ受光素子500の表面(平面
A)に形成するスポット508を示す。図21に示され
る例では、端末装置1003からの信号光は、ほぼ平行
光とみなせるような距離から入射するものとする。平面
Aは、レンズシステム710の焦点面である。
アグラム)508は、アレイ要素507内に収まるよう
に設計される。なお、アレイ要素507は、図19に示
される複数のアレイ要素501のうちの1つである。角
度分解型受信機1005(図1)の分解能は、高コント
ラスト領域(いわゆる“芯”の部分)509の大きさに
よって定義される。アレイ要素501(図20)あるい
は単位ピクセル506の視野角および角度分解型受信機
1005の分解能は、空間セル1006(図1)および
送信機ビーム光源720(図3)の特性と比較し易くす
るため角度領域において表現すると都合がよい。ここ
で、単位ピクセル506の視野角をφr(i)とし、角
度分解型受信機1005の分解能をΔφr(i)とす
る。
φr(i)と、角度分解型受信機1005の分解能Δφ
r(i)との関係を示す。図22に示されるように、あ
る単位ピクセルの視野角φrは、空間セルの広がり角θ
(i)内の全方向から入射した信号光が形成するスポッ
ト510(分解能をΔφr(i)の広がりを有する)の
重ねあわせとして定義される。図22から明らかなよう
に、φr(i)=θ(i)+Δφr(i)である。これ
は、単位ピクセル506の視野角φr(i)が空間セル
の広がり角θ(i)よりも大きいことを示す。すなわ
ち、アレイ受光素子を用いて角度分解型受信機1005
を構成すれば、隣接するアップリンク空間セルは分解能
が0でないことに起因してオーバーラップする。
低減される場合、単位ピクセル毎のフロントエンド受信
回路として、既に説明したAGCフィードバック回路に
よる等価的な閾値最適化を行う受信回路も好適に用いる
ことができる。ただし、Δφr(i)<θ(i)を満た
さない低分解能のレンズシステムや、コントラストの低
いレンズシステムを用いる場合にも対応するためには、
図14Aおよび図14Bを参照して説明した、判定閾値
自体を最適化する受信回路を基地局1002の角度分解
型受信機1005にも適用することにより、角度分解型
受信機1005が所望のアップリンク信号光の分離機能
を有することがより好ましい。
機能を有するだけでは、アップリンク通信における遠近
問題を完全に解決することはできない。遠近問題とは、
端末装置1003が基地局1002に近づくほど、他の
空間セルのアップリンク信号光(空間チャンネル)に干
渉するという問題をいう。特に、基地局1002と、端
末装置1003とのリンク初期化プロセスにおいて、端
末装置1003が基地局1002への最初の送信を行う
際に、アップリンク通信を行っている他の空間チャンネ
ルに干渉する可能性が高い。
明する図である。図23において、図1に示される構成
要素と同一の構成要素には同一の参照番号を付し、その
説明を省略する。空間セル(n)内で、基地局1002
から最大通信距離d1(例えば、5m)に位置する端末
装置1003−1が基地局へのアップリンクを行ってい
る最中に、別の端末装置1003−2が空間セル(n+
1)内の、セル(n)側の境界近傍の最小通信距離d2
(例えば1m)からアップリンクを開始する場合を考え
る。端末装置1003−1の信号スポットが単位ピクセ
ル(n)に完全に収まっているとし、端末装置1003
−1の送信機光源の光軸1271が、端末装置1003
−1と基地局1002(の角度分解型受信機1005)
とを結ぶ直線1272となす角δを端末装置1003−
1の送信機の角度ずれとする。遠近問題が発生しがちな
ワーストケースは、図23に示されるように、端末装置
1003−1の送信機の角度ずれが、その端末装置10
03−1の送信機の光源半値半角に等しく、端末装置1
003−2の角度ずれが0の場合である。この場合に
は、角度分解型受信機1005の開口部における端末装
置1003−1からのアップリンク信号光のパワーと、
端末装置1003−2からのアップリンク信号光のパワ
ーとの大きさのダイナミックレンジ(静的なダイナミッ
クレンジ)は、通信距離の2乗比と3dBの角度ずれマ
ージンとが加算された値である。
おける静的なダイナミックレンジDは、(数1)により
求められる。
遠い位置にある端末装置1003−1と、基地局から近
い位置にある端末装置1003−2とからのアップリン
ク信号光によって、角度分解型受信機1005のアレイ
素子711の受光面上に形成される光スポットを示す。
ピクセルである単位ピクセル513は、図23に示され
る空間セル(n+1)に対応している。単位ピクセル5
11は、図23に示される空間セル(n)に対応してい
る。光スポット514は、基地局1002から近い位置
にある端末装置1003−2からのアップリンク信号光
によって形成される。光スポット512は、基地局10
02から遠い位置にある端末装置1003−1からの信
号光によって形成される。図24に示されるように、光
スポット512の単位ピクセル511内部における強度
の積分値よりも、光スポット514の単位ピクセル51
1内部における強度の積分値の方が大きくなる場合があ
る。このような場合には、単位ピクセル511におい
て、所望のアップリンク信号光の強度よりも、干渉信号
光の強度の方が大きくなり、所望のアップリンク信号光
(所望の空間セルに収容された端末装置1003からの
アップリンク信号光)が搬送する情報を取得できなくな
る。このような遠近問題は、主に、角度分解型受信機1
005のレンズシステム710(図3)の分解能に依存
する。また、所望のアップリンク信号光よりも干渉信号
光の方が大きくなった場合には、角度分解型受信機10
05が図14Aおよび図14Bを参照して説明した分離
機能を備えていたとしても、所望のアップリンク信号光
を分離することはできない。所望のアップリンク信号光
の光強度振幅が、干渉信号光の光強度振幅以下になって
しまうからである。
の(1)〜(3)が想定され得る。 (1)角度分解型受信機1005の分解能を高める。こ
れにより、複数の端末装置1003−1および1003
−2(図23)が空間セルの境界近傍で同時にアップリ
ンク送信を行っても、各々の端末装置からのアップリン
ク信号光が角度分解型受信機1005のアレイ素子の受
光面上で1つの単位ピクセル内に集光するようになる。 (2)端末装置が出力パワーコントロールを行う。すな
わち、基地局1002から近い距離に位置する端末装置
1003−2は、低い光出力でアップリンク信号光を送
信することによりアップリンク通信を行い、遠い距離に
位置する端末装置1003−1は、高い光出力でアップ
リンク信号光を送信することによりアップリンク通信を
行うようにする。 (3)チャンネル間干渉を発生させ得る3次元空間座標
に端末装置を位置させないようにする。すなわち、図2
3に示される端末装置1003−2の位置のように、基
地局1002に近く、かつ、空間セルの境界1273に
近い位置は、チャンネル間干渉を発生させ得る3次元空
間座標であるので、このような位置にいるユーザにはそ
の場所からの移動を促し、端末装置の位置制御を行う。
分解型受信機1005の分解能を高くすると、光スポッ
トが単位ピクセル間のギャップ領域(例えば、図24に
示されるギャップ領域1551)に入り、信号光が受信
できない場合が生じ得る。また、角度分解型受信機10
05のアレイ要素(図19に示されるアレイ要素50
1)よりも小さい光スポットをそれ以上に絞ってもDC
ゲインは得られない。それどころか、キャリア発生領域
がアレイ要素における微小領域に集中することにより、
受光素子の帯域幅が実効的に減少し、高速応答に適さな
くなることがある。さらに、高い分解能を有するレンズ
システムを受光素子の感度のある波長領域の少なくとも
一部に対して、トータルでの広視野角を確保しながら設
計することは大変困難であるという問題点もある。
ールの方法は、メディアアクセス制御の負担が増加す
る、スループットが低くなるという問題点がある。ま
た、端末装置1003が最初に送信を開始する際におい
て遠近問題を解決することができず、出力パワーコント
ロールの方法だけでは遠近問題を本質的に解決すること
はできないという問題点もある。
ンネル間干渉を発生させ得る3次元空間座標に端末装置
1003を位置させないようにすることが、遠近問題を
解決する最も合理的な方法であることが発明者により見
出された。
度分解型受信機1005のレンズシステムの分解能に対
する要求は、それほど厳しいものでなくてもよい。従っ
て、角度分解型受信機に対する要求が単純化されて設計
に自由度が生じる。この結果、角度分解型受信機100
5のレンズシステムの設計と協調して受光アレイ素子の
ダイサイズを小さくし、アレイ素子の各要素間のピッチ
や各要素の形状に自由度を与えることができるというメ
リットが得られる。また一律に製造されるアレイ素子を
仕様の異なるシステムで使用することができるというメ
リットが得られる。従って、基地局1002を低コスト
化することができ、ワイヤレス光通信システム1001
のコストパフォーマンスを高めることができる。
には、端末装置1003におけるメディアアクセス制御
の負担が低減する。従って、SDM/SDMAワイヤレ
ス光通信システム1001のコストパフォーマンスを高
くすることができる。特に、端末装置1003が複雑な
構成を有さなくてもよくなるので、端末装置1003の
コストを低減することができる。これにより端末装置1
003を所有するユーザが増え、SDM/SDMAワイ
ヤレス光通信システム1001の普及が促進されるとい
うメリットが得られる。
の空間セルを形成し、SDMダウンリンクおよびSDM
Aアップリンクにおけるチャンネル間干渉あるいは衝突
を回避して、コストパフォーマンスに優れた帯域占有型
のSDM/SDMAワイヤレス光通信システム1001
が実現される。
始しても差し支えないように、その位置を物理的に制御
することは、メディアアクセス制御を物理層レベルにお
いても積極的に取り込むことを意味している。これが可
能であるのは、SDM/SDMAワイヤレス光通信シス
テム1001において、媒体が空間分割多重化された光
であるという特徴と端末装置1003が携帯型の端末装
置であるという特徴とに起因している。メディアアクセ
ス制御を物理層レベルで行うことにより、物理層レベル
よりも上層におけるメディアアクセス制御の負荷が非常
に少なくなる。このため、従来の無線通信システムに比
べて格段にスループットの高い、帯域占有型のSDM/
SDMAワイヤレス光通信システムシステムが実現され
る。
1)において、上記(3)に示される方法に従って遠近
問題を避けるためには、端末装置1003の側で、端末
装置1003の望ましい場所(その場所で基地局へのア
ップリンクを開始しても遠近問題が生じない場所)を知
る必要がある。ワイヤレス光通信システム1001にお
いて、端末装置1003の望ましい場所を知る(あるい
は、逆に望ましいくない場所を知る)方法として、下記
の(3−1)または(3−2)の方法が用いられ得る。 (3−1)端末装置1003のユーザの視覚に基づく方
法 (3−2)端末装置1003でのダウンリンク信号光の
受信結果に基づく方法 以下、図25A、図25B、図26Aおよび図26Bを
参照して、上記(3−1)の方法が説明され、図27〜
図32を参照して、上記(3−2)の方法が説明され
る。
ーザに視覚的に示すための表示装置を備えた基地局14
0の使用形態を示す。基地局140は、図1に示される
基地局1002として使用され得る。図25Aに示され
る例では、3個の空間セル1006−1〜1006−3
が1次元的に配置され、全体として3次元的なカバーエ
リアが実現されている。空間セル1006−1には新規
に端末装置1003−1およびそのユーザが参入しよう
としており、空間セル1006−2には既に端末装置1
003−2が収容されている。端末装置1003−1お
よび1003−2のそれぞれは、例えば、図13に示さ
れる端末装置1003であり得る。
図25Bにおいて、図1に示される構成要素と同一の構
成要素には同一の参照番号を付し、その説明を省略す
る。
る。表示装置143は、表示要素144、146および
148(第1の表示要素)と、表示要素145および1
47(第2の表示要素)とを含む。表示要素144〜1
48のそれぞれは、空間セル1006−1〜1006−
3(図25A)の空間的配置を反映している。具体的に
は、第1の表示要素144、146および148はそれ
ぞれ、空間セル1006−1〜1006−3に対応して
いる。第2の表示要素145および147はそれぞれ、
空間セル1006−1と空間セル1006−2との境界
および空間セル1006−2と空間セル1006−3と
の境界に対応している。表示要素144〜148のそれ
ぞれは、例えば、LEDであり得る。
セルに端末装置が収容されている場合に点灯し、そうで
ない場合には消灯する。図25Aに示される例では、第
1の表示要素144(空間セル1006−1に対応)は
消灯し、第1の表示要素146(空間セル1006−2
に対応)は点灯している。第1の表示要素148も、空
間セル1006−3の状況に応じて同様に点灯/消灯す
る。
する空間セル1006−1または1006−2に収容さ
れている端末装置(端末装置1003−1および100
3−2)と基地局140との間の通信状況を表示する。
図25Aに示される例では、表示要素145は、例え
ば、基地局140が端末装置1003−2または基地局
140のいずれかからの何らかの処理の応答待ちの場合
(あるいはバースト的なトラヒックがある場合)に点灯
し、空間セル1006−2に収容された端末装置100
3−2と基地局140とが継続的に通信を行っている場
合(大量データ転送時)には点滅するように動作させ得
る。
の表示要素145は、端末装置1003−2と基地局1
40との間の通信帯域が主にダウンリンクに使用されて
いる場合には点灯し、主にアップリンクに使用されてい
る場合には点滅するようにしてもよい。さらに、端末装
置1003−2は空間セル1006−2の占有権を破棄
しないが一旦基地局140とのリンクを切断する場合に
は消灯するようにしてもよい。これらの動作アルゴリズ
ムや表示機能は全て、基地局140が備える機能として
予め組み込んだり、適宜変更し得るように設計すること
が可能である。第2の表示要素145(および147)
により、既に端末装置1003−2を収容している空間
セル1006−2に隣接する他の空間セル1006−1
(および1006−3)に参入しようとする端末装置の
ユーザ自身に対して、端末装置1003−2から基地局
140への通信状態(アップリンクパケットの送信頻
度)に応じた、より詳細なアップリンクチャンネル間干
渉を警告する表示を行うことができる。第2の表示要素
147も第2の表示要素145と同様に機能する。
8として用いられるLEDは、比較的広い放射角度分布
特性を有していることが好ましい。この場合、ユーザが
所定の空間セルの外部にいる場合にも表示要素を視認す
ることができるからである。
セル1006−1〜1006−3の配置を反映して構成
される少なくとも1つの表示要素144〜148を含む
表示装置143を備える。少なくとも1つの表示要素1
44、146および148のそれぞれは、複数の空間セ
ル1006−1〜1006−3の1つの空間セルに端末
装置が収容されているか否かを表示する。
ーザが、使用されていない空間セルを認識し、他のアッ
プリンクチャンネルに干渉し得る境界領域を避けて、基
地局への通信を開始することができる。すなわち、端末
装置の位置制御が実現される。また、端末装置自体はキ
ャリアセンスを行う必要がない。また、基地局140の
構成が簡単であるため、小規模なシステムで定常的に複
数の端末装置の同時アップリンクを考慮する必要がない
場合に、最も高いコストパフォーマンスのSDM/SD
MAワイヤレス光通信システムを構築することができ
る。
40のバリエーションである基地局140aの前面を示
す。基地局140aは、基地局140の代わりに用いら
れ得る。図26Aにおいて、図25Bに示される構成要
素と同一の構成要素には、同一の参照番号を付し、その
説明を省略する。
置143に代えて、表示装置153を備える。表示装置
153は、表示要素154〜156を含む。表示要素1
54〜156は、空間セル1006−1〜1006−3
(図25A)にそれぞれ対応している。表示装置153
においては、表示要素の数は空間セルの数と等しい(3
個)。表示要素154〜156のそれぞれは、例えば、
LEDである。
て用いられ得るLEDの放射角度分布特性を示す。図2
6Bに示されるように、表示要素154〜156に用い
られるLEDは、指向半値全角φが空間セルの広がり角
θの半分程度であり、かつ減衰が急峻な放射角度分布特
性を有する。マルチビーム送信機1004のビーム光源
720の各光軸と、表示要素154〜156の光軸と
は、空間セルを配置する方向(図25Aに示される例で
は、空間セルの1次元配置方向Θ)に関してほぼ一致し
ている。表示要素154〜156のそれぞれは、対応す
るビーム光源720と近接させて配置することが好まし
い。
角度分布特性をこのように設定することにより、表示要
素154〜156のそれぞれは、対応する空間セル(図
25Aに示される空間セル1006−1〜1006−
3)の内部にユーザがいる場合にしか視認することがで
きない。また、ユーザが空間セルの境界付近(他のアッ
プリンクチャンネルに干渉するおそれのある領域)にい
る場合にも視認することができない。従って、基地局1
40aは、ユーザに空間セルのサイズが予め知られてい
ない場合にも好適に使用され得る。表示要素154〜1
56のそれぞれは、対応する空間セルに端末装置100
3が収容されていない場合に、点灯(または点滅)する
ことが好ましい。これにより、点灯(または点滅)する
表示要素を視認することができたユーザは、いかなるタ
イミングで基地局に対して端末装置1003からの送信
を開始しても、アップリンク空間セル内で干渉を起こす
ことがない。表示要素を視認することができないユーザ
は、視認することができる位置に移動することによっ
て、基地局に対して端末装置1003からの送信を開始
することができるようになる。このように、端末装置の
位置制御が行われ、アップリンクのチャンネル間干渉を
完全に抑止して完全にランダムな多元接続を行うことが
可能になる。
指向半値全角φが、空間セルの広がり角θと同程度(あ
るいはそれ以上)である場合には、他のアップリンクチ
ャンネルに干渉するおそれのある領域にいるユーザにも
表示要素154〜156の1つが視認され得る。このよ
うな場合には、遠近問題を完全に解決するために、表示
装置153に、図25Bを参照して説明した第2の表示
要素145および147を設けてもよい。この場合、表
示装置153に設けられる第2の表示要素には、表示要
素154〜156に要求されるほど減衰が急峻な放射角
度分布特性は必要ではない。
め空間セルのサイズがユーザに知られている場合に有効
である。
間セルの配置を反映して構成される少なくとも1つの表
示要素154〜156を含む表示装置153を備える。
少なくとも1つの表示要素154〜156のそれぞれ
は、複数の空間セルの1つの空間セルに端末装置が収容
されているか否かを表示する。
ーザが、使用されていない空間セルを認識し、他のアッ
プリンクチャンネルに干渉し得る境界領域を避けて、基
地局への通信を開始することができる。また、端末装置
自体はキャリアセンスを行う必要がない。また、基地局
140aの構成が簡単であるため、小規模なシステムで
定常的に複数端末装置の同時アップリンクを考慮する必
要がない場合に、最も高いコストパフォーマンスのSD
M/SDMAワイヤレス光通信システムを構築すること
ができる。
Aおよび図26Bを参照して説明した、空間セルの空間
的な配置を反映して構成される表示要素を含む表示装置
を用いれば、基地局から(端末装置にではなく)端末装
置を保持するユーザ自身に与えられる信号に基づいて、
ユーザはアップリンク開始の可否を判断することができ
る。
置1003を収容しているか否か、また、その空間セル
においてアップリンク通信が行われているか否か、また
はアップリンク待ちであるか否か等の、チャンネル間干
渉に関係する空間セルの状態が表示される。このような
表示要素には可視光LEDを用いることが望ましい。数
m程度の距離での使用であれば非常に微弱な光出力(μ
W〜mW程度)で十分であるため、アイセーフティの観
点からの放射角度分布特性の制限は緩和される。従っ
て、このような可視光LEDは、数°以下の広がり乃至
は平行光に近い放射角度分布特性を有し得る。これによ
り、LEDからの可視光信号がユーザに目視で確認され
る方向からアップリンク送信を行わないように警告する
ことができる。あるいは、ユーザに目視で確認される方
向からであれば、いかなるタイミングで基地局に対して
アップリンク送信を開始してもチャンネル間干渉が生じ
ないように、空間セルおよび表示装置を構成することも
できる。特に後者の場合、完全にランダムな多元接続を
行うことが可能であり、基地局1002のマルチビーム
送信機1004(図3)の各ビーム光源720の放射角
度分布特性と、角度分解型受信機1005の角度分解能
に対する要求を最大限に緩和することができる。
配置を反映して構成される表示要素からなる表示装置を
備えることによって、新たに参入する端末装置1003
のユーザが、占有されていない空間セルを認識してその
空間セルの付近に移動し、他のアップリンクチャンネル
に干渉し得る境界領域を避けて基地局への通信を開始す
ることができる。また、ユーザ自身がアップリンク開始
可否の判断を行うため、端末装置はキャリアセンスを行
う必要がない。
ることもできる。液晶画面を備えたディスプレイ装置に
よって、図25Bに示される表示装置143または図2
6Aに示される表示装置153と同様に、空間セルの配
置を反映した複数の要素を表示してもよい。基地局から
の音声ガイダンス信号を用いたり、視覚と聴覚とを併用
したガイダンス信号によって、ユーザにとってより分か
りやすく端末装置の位置を指示してもよい。
に表示してもよい。このような実寸大の表示と、図25
Bに示される表示装置143または図26Aに示される
表示装置153とを併用してもよい。カメラによって端
末装置の位置認識を行った結果をディスプレイ上に表示
するようにしてもよい。
02とが双方向の通信を開始した後に、端末装置100
3が移動すべき方向をその端末装置1003の表示画面
に表示し、端末装置1003を最適な空間位置へ導くこ
とができる。端末装置1003が移動すべき方向は、基
地局1002の角度分解型受信機1005において、そ
の端末装置1003が収容された空間セルに対応する単
位ピクセルの他には同一の信号成分が現れる単位ピクセ
ルが存在しないように決定されればよい。
6Bを参照して説明した、表示装置およびそれらのバリ
エーションは、構成が非常に簡便であるため、比較的空
間セルの数が少ない場合あるいは空間セルの広がり角が
大きい場合に有効である。特に、ワイヤレス光通信シス
テム1001の規模が小さく、基地局1002には一度
に1つの端末装置1003しか収容されない場合、すな
わち、定常的な複数の同時アップリンクを考慮する必要
がない場合に、基地局1002が端末装置を収容してい
るか否かを新規に参入する端末装置のユーザに視覚的に
示すことは有効である。この場合も、端末のワイヤレス
光インターフェイスはその帯域幅を占有することができ
る。
よび図26Bを参照して説明した、表示装置を用いた端
末装置の位置制御は、あくまでもユーザ自身の判断に基
づくものである。表示装置を用いた端末装置の位置制御
を行うか否かに関連して、基地局1002のビーム光源
720の放射角度分布特性が設定される必要はない。ビ
ーム光源720の放射角度分布特性は、要求される光出
力とダウンリンクチャンネル間干渉を考慮して導出され
た0.5≦C≦1.3の転囲、最も望ましくは0.5≦
C≦0.8の範囲を満たして適宜設定され、かつ、端末
装置1003は図15を参照して詳しく説明した受信回
路を備えていればよい。ただし、特に、ワイヤレス光通
信システム1001の規模が小さく、基地局1002に
は一度に1つの端末装置1003しか収容されない場
合、端末装置1003には、図15における検出部11
3を省略して固定閾値で判定を行う受信回路や、あるい
はAGC機能を備える一般的な受信回路を使用してもよ
い。 しかしながら、比較的空間セルの構成規模が大き
い、あるいは空間セルの広がり角が狭い場合には、図2
5Aおよび図25B、図26Aおよび図26Bを参照し
て説明した、端末装置の望ましい場所をユーザに視覚的
に示すための表示装置は、遠近問題の解決に不十分であ
り得る。
法(端末装置1003でのダウンリンク信号光の受信結
果に基づく方法)による端末装置の位置制御が行われ
る。すなわち、図11Aおよび図11Bを参照して説明
した、マルチビーム送信機1004の各ビーム光源72
0の指向半値角φtを適切に設定することにより、ダウ
ンリンク信号光を用いた端末装置の位置制御がなされ
る。
Bに示される判定閾値の最適化処理を行う場合、図11
Aと図11Bとから分かるように、ダウンリンクにおけ
る隣接空間セルからの干渉が起こる領域(デッドゾー
ン)は、ビーム光源720の指向半値全角φtに依存し
て変化する。この性質を利用して、ビーム光源720の
指向半値全角φtを適切に制御すれば、ダウンリンク信
号光の受信状態に応じて、端末装置が空間セル中のどの
位置にいるか(すなわち、アップリンク通信を開始して
よいか否か)を判定することができる。
信号(端末位置制御信号)に、各空間セルが端末装置1
003を収容しているか否かという「空き情報」や、収
容されるべき空間セルに隣接する空間セルにおいて既に
他の端末装置1003がアップリンク中であるか否か、
あるいはアップリンク送信の待機中であるか否かといっ
た「ビジー情報」が含められ得る。新規に参入しようと
する端末装置は、そのような情報に基づいて、アップリ
ンク通信を開始してよいか否かを判定することができ
る。アップリンク通信の開始は、端末装置と基地局との
間の双方向通信の開始を意味する。
ルに対して同時に送信されれば、端末装置1003の有
する判定閾値の最適化の機能により、カバーエリアとし
て想定される3次元空間のほとんど至るところで、新た
に参入する端末装置1003がアップリンクを開始する
ことが可能か否かをその場で判定し、問題があればユー
ザに移動を促すことができる。
は、予め知られた特定のシーケンスを端末装置1003
が受信し、発生する誤りを直接カウントするか、間接的
にクロック抽出が可能か否か、あるいは受信SNRを見
積もる処理を行うことによって、その特定のシーケンス
が受信不可能であったと判定することができる。従っ
て、図11Bに示される場合(全ての空間セルに向けて
端末位置制御信号が送信される場合)とは対照的に、新
規参入する端末装置1003が位置すべきではない空間
セル(すなわち、既に他の端末装置が収容されている空
間セル)に向けて、予め知られたシーケンスを送信する
ことにより、当該空間セルとユーザが参入しようとして
いる空間セルとの境界近傍のチャンネル間干渉を起こし
得る空間領域から離れるように、新規参入する端末装置
1003のユーザに促すことができる。
003の位置を制御するだけでなく、端末位置制御信号
の先頭の一部分または全部が端末装置1003の受信回
路104(図15)における判定閾値の最適化処理(閾
値のトレーニング)のために使用され得る。空間セルの
全てに向けて同一のシーケンスが送信されることによ
り、閾値の最適化が全ての端末装置において、その同一
のシーケンスの時間程度のごく短時間に完了される。な
お、そのような同一のシーケンスを含む端末位置制御信
号は、全体として、端末装置1003に対するトレーニ
ングシーケンスとみなされる。言いかえると、トレーニ
ングシーケンスが端末位置制御信号としても機能する。
すべき空間セルを選択して、一定の周期Tc毎に同期し
てトレーニングシーケンスを送信する。端末装置100
3が基地局1002と通信を開始する際における初期状
態は、常にトレーニングシーケンスの受信から開始され
る。また、上述の閾値最適化のトレーニングシーケンス
に使用される、端末位置制御信号の先頭の一部分は、一
定周期Tc毎にごく短時間送出されてもよいし、パケッ
トの一部として送出されてもよい。また、イーサネット
(R)やIEEE802.3、IEEE1394規格等
の光ファイバリンクで採用されているアイドリング信号
のような、リンク形成後は常時送出されている信号をト
レーニングシーケンスとして利用してもよい。この場
合、基地局は、所定のアルゴリズムに従って、このよう
なアイドリング信号を送信すべき空間チャンネルの全て
に同期して送出する。リンク形成後は常時送出されてい
るアイドリング信号としては、例えば、「010101
…」のように値が繰り返し変化する信号が挙げられる。
機1004のビーム光源の指向半値全角φt(i)の設
定とトレーニングシーケンスが送信される空間セルの選
択方法、リンク初期化手順を規定することによって、端
末装置1003がアップリンクを開始する以前に位置制
御が完遂され、端末装置1003の側で基地局への送信
可否を判断することができる。特に、基地局1002が
一定の周期Tc毎に同期してトレーニングシーケンスを
送信することにより、端末装置1003がユーザによっ
て移動される状況下にあってもリンク初期化プロセスが
継続される。さらに、ワイヤレス光通信システム100
1では、端末装置1003と基地局1002との間は見
通し距離での通信を行うため、同期ずれが発生しないの
で、端末装置の受信回路に要求される帯域幅が最小化さ
れる。
空間セルの指向半値全角φt(i)を制御しつつ、リン
ク初期化手順において、トレーニングシーケンスによっ
て端末制御の位置制御を行うことにより、遠近問題を解
決する具体的な方法を説明する。このようなリンク初期
化手順は、新規に基地局と通信を開始しようとする端末
(新規参入端末)について行われる。また、一旦基地局
と双方向通信をした端末装置がそのリンクを維持した
り、より良好な通信状態を得るために、このようなリン
ク初期化手順が用いられてもよい。以下の説明では、基
地局の送信機ビーム光源720の放射角度分布特性や角
度分解型受信機1005の分解能に対する要求と、実現
可能な通信距離範囲のトレードオフの関係が明確にされ
る。ワイヤレス光通信システム1001の設計において
は、通信距離範囲と、端末装置1003の送信機の角度
ずれによる基地局角度分解型受信機1005での静的な
ダイナミックレンジを考慮しつつ、ワイヤレス光通信シ
ステム1001を最適に設計することによって遠近問題
が解決される。
て端末装置の位置制御が行われる例を示す。図27に
は、基地局一端末装置間の通信距離を1〜5mとした場
合、すなわち、17dBの静的ダイナミックレンジを考
慮した場合に、基地局の角度分解型受信機1005にお
ける既存アップリンク(空間セル(n−1))が、隣接
する空間セル(n)内の端末装置からチャンネル間干渉
を受けながらも、10− 8以下のBERで受信可能な範
囲(ハッチング領域1160)が示されている。図27
〜図30に示されるハッチング領域の境界は、端末装置
の光軸角度ずれの確率密度分布を考慮して、95%以上
の確率で既存アップリンクのBERが10 −8以下とな
るCDF(Cumulative Distribut
ion Function)から求められたものであ
る。すなわち、このハッチング領域よりも上側(縦軸Y
座標が大きい領域)に存在する新規参入端末装置は、空
間セル(n−1)の既存アップリンクに干渉しない(既
存アップリンクのBERが影響を受けない)とみなすこ
とができる。ここでは、基地局1002の角度分解型受
信機1005は、分解能Δφrが空間セルの広がり角θ
の1/5程度のレンズシステムを用いるものとした。
装置1003間を結ぶ各空間セル光軸上の距離(軸方向
距離)であり、空間セルのそれぞれに対して定義され
る。縦軸Yは、各空間セルの光軸(各ビーム光源の光
軸)に垂直な径方向において、広がり角θ(i)で定め
られる空間セルの半径に対する比率(%)である。すな
わちY軸は各ビーム光源の光軸に対する角度に1対1に
対応させることができる。空間セルのサイズとしては、
最大通信距離5mにおける空間セル幅を1m、すなわち
各空間セルの広がり角θ=2・arctan(0.5/
5)≒11.5°とした。基地局1002のマルチビー
ム送信機1004の各ビーム光源720は、C=0.8
とし、指向半値全角φt=2・0.8・arctan
(0.5/5)≒9°である。各ビーム光源720は、
最大通信距離5mにおける空間セル境界上でBERが1
0−8を満たす光出力にマージン+3dBを加えて駆動
されている。
生させた27−1擬似ランダムパターンが空間セル(n
−1)、(n)および(n+1)に向けて同一の光出力
で各々送信された場合に、空間セル(n)内部に存在す
る端末装置1003が判定閾値を最適化し、空間セル
(n)に対する擬似ランダム信号をBERが10−8以
下で分離して受信し得た空間座標(○印)およびBER
がl0−8の境界線1161が示されている。
(2本の曲線1161に挟まれた領域)内のほとんどの
領域は、ハッチング領域1160と重複していない。こ
のため、基地局1002がトレーニングシーケンスを一
定時間Tc毎に各空間セル(n−1)、(n)および
(n+1)に向けて同一の光出力で送信し、空間セル
(n)の内部から新規参入する端末装置1003がその
トレーニングシーケンスを受信できた場合に、端末装置
1003はその情報内容から送信開始の可否を判断する
ことができる。
シーケンスは、空間セル(n)と、空間セル(n)に瞬
接する空間セル(n−1)および(n+1)に端末装置
1002が収容されているか否かの情報を含むとよい。
空間セル(n一1)と反対側に位置する空間セル(n+
1)は、基地局において区別され得る。上述したよう
に、ワイヤレス光通信システム1001では、主に、最
近接の空間セルからのみチャンネル間干渉を受けるもの
とする。1つの空間セルに端末装置が収容されているか
否かの情報(「空き情報」)は、1ビットで表わすこと
ができる。空間セル配置が1次元的である場合、空間チ
ャンネルの「空き情報」は3ビットで表わすことができ
る。空間チャンネル(n)に新規に参入しようとする端
末装置は、この「空き情報」に基づいて、その空間チャ
ンネル(n)が空いていることを知ってアップリンクを
開始し得る。
する端末装置のユーザは、例えば、「空き情報」により
「隣接する空間セル(n−1)に別の端末装置が収容さ
れている」旨を知ることができる。このような場合、そ
のユーザは、アップリンク通信の開始を自粛したり、基
地局から離れた位置へ移動してからアップリンク通信を
行うことにより、既存の空間セル(n−1)のアップリ
ンクへの干渉を回避することができる。すなわち、端末
装置の位置制御がなされる。
は、空間セル(n)に隣接する空間セル(n−1)また
は(n+1)に端末装置が収容されている場合に、それ
らの空間セルに収容される端末装置がアップリンク中か
否か、あるいは、当該空間セルの状態を表す「ビジー情
報」である。当該空間セルの状態とは、例えば、収容さ
れた端末装置は、以後10Tcサイクルの期間はダウン
ロードモードに入り、収容された端末装置は、各サイク
ルの特定の時間領域においてのみACKまたはNAK
(negative ACK)をアップリンクし得ると
いう状態である。
あるいはその情報に基づく新規端末装置における判定基
準の詳細は、ワイヤレス光通信システム1001のイン
プリメンテーション毎に適宜設計されるべきであり、本
明細書により限定されない。
ーフェイスは、任意のプロトコルに従い得る。本発明の
ワイヤレス光通信システムにおいては、基地局と端末装
置間のワイヤレス光インターフェイスが従うプロトコル
が何であっても、上述した原理に基づいてアップリンク
の遠近問題を回避することができる。基地局と端末装置
間のワイヤレス光インターフェイスは、例えば、基地局
が備える第1のインターフェイス1007(図1)ある
いは第2のインターフェイス(図1)が準拠する規格の
プロトコルに従ってもよい。この場合、「空き情報」や
「ビジー情報」等のトレーニングシーケンスが含む情報
は、基地局と端末装置間のワイヤレス光インターフェイ
スが従うプロトコルが用いる制御信号中に、その制御信
号の一部を変更して格納されてもよいし、各々個別に定
義された上で連結されてもよい。また、トレーニングシ
ーケンスが含む情報は、伝送されるパケットのデータ部
分(ペイロード部分)に拡張して格納されてもよいが、
この場合は、当然ながら転送効率が落ちる。
は、ワイヤレス光通信システム1001が採用するプロ
トコルに応じて変化し得る。どのようなプロトコルを採
用した場合でも、端末装置1003において予め設けら
れた一定の判定基準に基づいてアップリンク通信の開始
の適否を判定することができる。
手続きによって、基地局との通信距離約2m以上であれ
ば、○印を含む領域(2本の曲線1161に挟まれた領
域)とハッチング領域1160とは重複しないので、遠
近問題が回避されることが理解される。角度分解型受信
機1005の分解能Δφrをより小さくすれば、この通
信距離は短距離側に拡張される。
が双方向通信を開始した後は、基地局1002の側で端
末装置1003を適切な空間位置へ導くことが可能であ
る。すなわち、基地局1002の角度分解型受信機10
05において、端末装置1003が収容された空間セル
に対応する単位ピクセルの以外には、その単位ピクセル
と同一成分の信号が現れないように、端末装置1003
を誘導することができる。端末装置1003の誘導は、
例えば、トレーニングシーケンスが、端末装置1003
が移動すべき方向を示した「移動情報」を含むことによ
って実現され得る。
は、全空間チャンネルに共通の同一シーケンス(プリア
ンブルまたはフラグ)を設け、そのような共通部分に引
き続いて、上述した各種の情報が付加されることが好ま
しい。既に述べたように、共通部分として、アイドリン
グ信号のような常時送信される信号を用い、このアイド
リング信号を全チャンネルで同期させてもよい。また、
場合によっては、一旦上述した手続によってリンクを最
適に形成した後は、トレーニングシーケンスから上述し
た各種の情報を削除して共通部分のみとすることもでき
る。
制御、すなわち、各空間セルに向けて同一の光出力でト
レーニングシーケンスを送信することによる端末装置の
位置制御では、各ビーム光源720の指向半値全角φt
(i)=C・θ(i)を0.5≦C≦1.3の範囲内で
設定することにより、基地局受信機の分解能Δφrは概
ね、θ(i)の1/5程度まで許容し得ることが見出さ
れた。これにより、実用的なSDM/SDMAワイヤレ
ス光通信システムを構築しつつ基地局送信機のビーム光
源の角度特性に対する要求は最大限緩和される。すなわ
ち、各ビーム光源720の指向半値全角φt(i)は、
図9を参照して説明したCの範囲と同程度に設定し得
る。あるいはまた、基地局と端末装置との間の通信距離
を1〜3m等の比較的短距離に設定することによって、
分解能Δφrの許容範囲をθ(i)の半分程度にまで拡
大することが可能である。 図27を参照して説明した
例では、基地局マルチビーム送信機1004のビーム光
源720の放射角度特性に対する要求は最大限緩和され
るが、端末制御の位置制御に関しては、トレーニングシ
ーケンスに含まれる情報に頼っている。例えば、端末装
置が新規に参入しようとする空間セルに隣接する空間セ
ルにおいて、アップリンク通信が行われていることがト
レーニングシーケンスに含まれる「ビジー情報」によっ
て分かると、新規に参入しようとする端末のユーザはア
ップリンクの開始を自粛したり、基地局1002から遠
ざかった位置に移動する。このような方法は、ベストエ
フォート型の遠近問題回避手段と言うことができる。と
はいうものの、もし、既存アップリンクが、新規に参入
した端末装置の干渉を受けCRC(Cyclic Re
dundancy Check)等によって誤りを検知
した場合、基地局は自動的に再送することもできる。こ
の場合にも、本発明のワイヤレス光通信システムにおい
ては、空間チャンネルの帯域が各端末装置に占有されて
いるので、スループットはほとんど低下しない。実際に
は、2〜4mの通信距離において遠近問題を防止できれ
ば十分に実用的である。
末装置の位置制御では、基地局1002のマルチビーム
送信機1004のビーム光源の放射角度特性に対する要
求が穏やかで、ダウンリンク空間セルのデッドゾーンを
抑制し、アップリンクにおけるチャンネル間干渉を十分
実用的に防止することができる。
の3次元空間のほとんど至るところで端末装置に受信さ
れる。トレーニングシーケンスの構成として、全空間チ
ャンネルに共通の同一シーケンス(いわゆるプリアンブ
ルあるいはフラグ)を設けて、受信信号に全ての空間チ
ャンネルを反映させて、端末装置受信機が最適閾値の設
定に要する時間を最小化する。
アップリンク信号の強度を端末装置にトレーニングシー
ケンスあるいはデータとしてフィードバックし、ユーザ
が手動で端末装置送信機の光軸合わせ行うことを補助す
ることもできる。
基地局1002のマルチビーム送信機1004から送出
する信号光のパワーコントロールを行うことによって遠
近問題を解決する方法を説明する。
て端末装置の位置制御が行われる他の例を示す。
信距離を1〜5m、すなわち17dBの静的ダイナミッ
クレンジを考慮した場合に、基地局受信機における既存
アップリンク(空間セル(n−1))が、隣接する空間
セル(n)内の端末装置からチャンネル間干渉を受けな
がらもBERが10−8以下で受信することが可能な範
囲(ハッチング領域1170)が示されている。
の角度分解型受信機1005の分解能Δφrは、空間セ
ルの広がり角θの半分程度になるようなレンズシステム
を用いた。空間セルのサイズとしては、最大通信距離5
mにおける空間セル幅を1m、すなわち各空間セルの広
がり角θは約11°とした。マルチビーム送信機100
4の各ビーム光源720の放射角度分布特性は、C=
0.7、指向半値全角φt=2・0.7・arctan
(0.5/5)≒8°である。
のマルチビーム送信機1004において、トレーニング
シーケンスを送信する際にパワーコントロールを行い、
リンク初期化手順を開始する端末装置をアップリンクで
干渉し得る空間領域から移動するようにユーザに促すこ
とを可能にする。ここで、空間セル(n)には端末装置
が収容されておらず、空間セル(n)に隣接する空間セ
ル(n−1)および(n+1)には端末装置が収容され
ているものとする。空間セル(n)に新規に参入しよう
とする端末装置が空間セル(n)からアップリンクを開
始しようとする場合について説明する。
は、光出力マージンが0dBで駆動され、空間セル(n
−1)および(n+1)に対しては、光出力マージン+
3dBで駆動される。このように、各ビーム光源のパワ
ーコントロールは、図3に示されるSDM/SDMAコ
ントローラ723によって行われる。
ターンが空間多重化されて送信された場合に、空間セル
(n)の内部に存在する端末装置が空間セル(n)に対
するダウンリンク信号光を分離してBERがl0−8以
下で受信し得た位置(○印)およびBERが10−8の
境界線1171が示されている。図28から明らかなよ
うに、新規参入端末装置が、空間多重化されたトレーニ
ングシーケンスから空間セル(n)へのダウンリンク信
号光を分離して、低BERで受信し得る境界線1171
は、図27に示される境界線1161のと比較して、空
間セル(n)の内部に移動している。ハッチング領域1
170は、トレーニングシーケンスを低BERで受信し
得る境界線1171の内部に入りこまないので、遠近問
題は確実に防止される。
説明した位置制御と同様に行われる。トレーニングシー
ケンスには、図27を参照した説明と同様に、例えば、
空間チャンネルの「空き情報」が含まれる。空間チャン
ネル(n)に新規に参入しようとする端末装置は、この
「空き情報」に基づいて、その空間チャンネル(n)が
空いていることを知ってアップリンクを開始し得る。
制御、すなわち、端末装置が収容されている空間セルと
端末装置が収容されていない空間セルとでトレーニング
シーケンスを送信する光出力を変えてトレーニングシー
ケンスを送信することによる端末装置の位置制御では、
マルチビーム送信機1004のビーム光源720の指向
半値全角φt(i)を0.5≦C≦1.3の範囲で設定
することにより、基地局1002の角度分解型受信機1
005の分解能Δφrの目安として概ねθ(i)の半分
程度まで許容することができる。また、想定される様々
なケースの遠近問題が確実に防止される。
出力で信号光が送信される空間チャンネルにおいても、
一定の通信距離を確保するため、光出力マージンは最低
限0dBに設定される。空間セル(n−1)および(n
+1)のように、相対的に高い光出力で信号光が送信さ
れる空間チャンネルにおける光出力の増大分は、1.5
〜5dBの範囲に設定されることが好ましい。特に、マ
ルチビーム送信機1004のビーム光源720の指向半
値全角φt(i)=C・θを0.5≦C≦0.8の範囲
とし、光出力の増大分を2dB以上とすることが好まし
い。これにより、端末装置を収容していない空間チャン
ネルに対する光出力マージンを0dBとした場合におい
ても、遠近問題を完全に防止しつつ、基地局全体の送信
光パワーが最小化され、かつ、基地局1002の角度分
解型受信機1005の分解能Δφrをθ(i)以下の程
度まで許容し得ることが見出された。
制御によれば、マルチビーム送信機1004のビーム光
源720の放射角度分布特性に対する要求を最大限緩和
しつつ、角度分解型受信機1005の分解能に対する要
求も緩和される。角度分解型受信機1005の分解能を
高くすると、双方向通信可能な範囲は拡大する。遠近問
題を完全に排除しつつ双方向通信可能な範囲を拡張する
か、または角度分解型受信機1005の分解能Δφrへ
の要求を緩和するかは、ワイヤレス光通信システム10
01のインプリメンテーションに際して適宜選択され得
る。
の位置制御では、ダウンリンクカバーエリアも広い。ト
レーニングシーケンスはカバーエリア内の3次元空間の
ほとんど至るところで端末装置に受信される。端末装置
が基地局との双方向通信の開始の可否を判定する方法
は、図27を参照して説明した端末装置の位置制御にお
ける場合と同様である。
照した説明と同様に、「移動情報」を含めてもよい。ま
た、ペイロード部分(基地局1002と端末装置100
3との間で実質的なデータの送受信が行われる部分)に
おいては、基地局1002におけるパワーコントロール
は必ずしも行う必要がない。また、移動情報により端末
位置制御が完了した後のトレーニングシーケンスについ
ても同様である。すなわち、いずれかの段階で空間セル
(n)に端末装置が収容されたとみなされれば、他の使
用中の空間セルと同様に、空間セル(n)にも増大され
た光出力でビーム光源が駆動される。これにより、ダウ
ンリンクの通信品質は、図27を参照して説明した場合
と同様に、確保される。
御された端末装置の位置において端末装置と基地局10
02とが双方向通信を開始した後で、パワーコントロー
ルを中止して全空間セルに向けて等しいマージンの光出
力でダウンリンク信号光が送信されれば、受信BERは
常に低減される。
た端末装置の位置制御では、定数Cは、0.5≦C≦
1.3の範囲、より好ましくは、0.5≦C≦0.8の
範囲とし、トレーニングシーケンスは、基地局が形成す
る全ての空間セルに向けて送信される。すなわち、端末
装置が収容されている空間セル(第1の空間セル)に向
けて第1の光出力でトレーニングシーケンスが送信さ
れ、端末装置が収容されていない空間セル(第2の空間
セル)に向けては第2の光出力でトレーニングシーケン
スが送信される。第2の光出力は、第1の光出力よりも
1.5〜5dB高くなるように、コントロールされる。
空間セルに向けて共通の同一シーケンスが送信され、こ
れにより端末装置受信機において最適閾値の設定に要す
る時間が最小化される。また、トレーニングシーケンス
には、空き情報やビジー情報が含められる。また、一旦
リンクが張られた後に、端末装置が移動すべき方向を示
す移動情報を含めるのも望ましい。
を収容している空間チャンネルに対してのみ送信する端
末装置の位置制御を説明する。
て端末装置の位置制御が行われる他の例を示す。
離を1〜7m、すなわち19dBの静的ダイナミックレ
ンジを考慮した場合に、基地局受信機における既存アッ
プリンク(空間セル(n一1))が、隣接する空間セル
(n)内の端末装置からチャンネル間干渉を受けながら
もBERが10の−8以下で受信することが可能な範囲
(ハッチング領域1180)が示されている。
の角度分解型受信機1005の分解能Δφrは、空間セ
ルの広がり角θの半分程度になるようなレンズシステム
を用いた。空間セルのサイズとしては、最大通信距離7
mにおける空間セル幅を1.5m、すなわち各空間セル
の広がり角θ=2・arctan(0.75/7)≒1
2°とした。マルチビーム送信機1004の各ビーム光
源720の放射角度分布特性は、C=0.6、指向半値
全角φt=2・0.6・arctan(0.75/7)
≒7°である。
04において、トレーニングシーケンスは、端末装置を
収容している空間セルにのみ送信される。ここで、空間
セル(n)には端末装置が収容されておらず、空間セル
(n)に隣接する空間セル(n−1)および(n+1)
には端末装置が収容されているものとする。空間セル
(n)に新規に参入使用とする端末装置が空間セル
(n)からアップリンクを開始しようとする場合につい
て説明する。
を行う場合には、いずれも光出力マージン0dBで駆動
される。
ターンが空間セル(n−1)および(n+1)に対して
のみ送信された場合に、空間セル(n)内部に存在する
端末装置が、その擬似ランダムパターンに対して判定閾
値を最適化してBERが10 −8以下で受信し得た境界
線1181およびBERが10−2を超えて悪化した境
界線1182が示されている。図29から明らかなよう
に、端末装置が参入しようとする空間セル(n)の内部
において、隣接空憫セル(n−1)のトレーニングシー
ケンスがBERが10−8以下で受信され得る空間領域
(図29に○印で示されている)には、短距離側のチャ
ンネル間干渉を生じ得る領域1180が完全に含まれ
る。従って、トレーニングシーケンスを誤りなく受信で
きた場合には、隣接する空間セルに端末装置が既に収容
されていることを意味するので、アップリンクを開始す
べきではないと判定される。この場合、ユーザは適切な
場所に移動すればよい。あるいは逆に、端末装置が、参
入しようとする空間セル(n)内部において、隣接空間
セル(n−1)または(n+1)のトレーニングシーケ
ンスの受信において、予め定められた特定のシーケンス
を高い誤り率で受信した場合には、その位置からは既存
のアップリンクチャンネルに干渉することがないので、
アップリンクを開始することが可能であると判定され
る。すなわち、端末装置の位置制御がなされる。
の構成としては、実際には全チャンネルに共通である受
信回路が判定閾値のトレーニングに用いるシーケンスの
みとして、「移動情報」や「空き情報」を含まなくても
よい。この場合でも端末装置の位置は制御され、通信範
囲の全域にわたって完全に遠近問題が防止される。誤り
率を検知するための予め知られた特定のシーケンスとし
ては、上述したように直接誤りを計数する以外に、端末
装置の受信機のクロック抽出回路から発生させるクロッ
ク信号と受信信号とをさらに別の位相比較回路に入力し
て、クロックがロックされたことを示す表示信号を生成
し、適切な閾値でモニタすることによっても実現され
る。いすれの検知手段においても、SNRで3dB程
度、BERで10−1〜10−2程度まで動作する。特
定のシーケンスとしては、より単純な繰り返しパターン
が少なくともBERの逆数程度の長さで連続するシーケ
ンスが使用されるのが好ましい。トレーニングシーケン
スには、必要であれば、図27を参照して説明したトレ
ーニングシーケンスと同様に、空き情報が含められても
よく、一旦リンクが張られた後に移動情報を含めてもよ
い。
信距離範囲の最短距離(図29に示される例では、10
0cm)の位置において、BER=10−2の境界線1
182は、空間セル(n)の中心軸(50%)を越えな
いように設定される。これにより、新たに参入する端末
装置に行き場所がなくなる(アップリンク開始可能と判
定される領域がなくなる)という事態が回避される。こ
のためには、想定される空間セルの広がり角θ(i)
が、4°≦θ(i)≦40°程度の範囲内においては、
定数Cの上限を概ね0.9に設定する必要があることが
見出された。また、定数Cの下限は、ビーム光源720
の消費電力を不必要に増大させないように決定されれば
よい。結局、ビーム光源720の放射角度分布特性は、
0.5≦C≦0.9の関係を満たすように設定されるこ
とが好ましい。
制御では、端末装置1003の受信回路104(図1
5)の判定閾値は、以下のように設定されることが好ま
しい。すなわち、予め受信回路の入力換算雑音成分を想
定し、トレーニングシーケンス受信時に判定閾値を入力
換算雑音成分のrms値(平方自乗平均値)の10倍以
内、より好ましくは、1.5〜3倍の範囲の一定値に設
定される。これにより、発生エラー数のカウント精度は
向上する。このため、トレーニングシーケンスの長さを
最小限に短縮することができる。一旦、端末装置が空間
セルに収容きれた後は、図14Aおよび図14Bを参照
して説明した、受信信号のピーク値に基づく判定閾値の
最適化が行われ、双方向通信が行われる。なお、トレー
ニングシーケンスの受信時に一定値に設定された判定閾
値を受信信号のピーク値に基づく判定閾値の最適化処理
における下限値として用いてもよい。
御では、定数Cは、0.5≦C≦0.9の範囲とし、ト
レーニングシーケンスは、端末装置が収容されている空
間セルのみに向けて送信される。基地局1002の角度
分解型受信機1005の分解能Δφrは、概ね空間セル
の広がり角θ以下の程度まで許容される。
制御によれば、基地局1002の角度分解型受信機10
05の分解能に対する要求が最も穏やかで、ダウンリン
クカバーエリアが最も広く、アップリンクチャンネル間
干渉も完全に防止することが可能なSDM/SDMAワ
イヤレス光通信システムが実現され得る。また、トレー
ニングシーケンスが含むべき情報も少なくて済む。
て端末装置の位置制御が行われる他の例を示す。図30
には、基地局一端末装置間の通信距離を1〜4m、すな
わち15dBの静的ダイナミックレンジを考慮した場合
に、基地局受信機における既存アップリンク(空間セル
(n−1))が、隣接する空間セル(n)内の端末装置
からチャンネル間干渉を受けながらもBERが10−8
以下で受信することが可能な範囲(斜線領域1200)
が示されている。
の角度分解型受信機1005の分解能Δφrは、空間セ
ルの広がり角θの1/5程度になるようなレンズシステ
ムを用いた。空間セルのサイズとしては、最大通信距離
4mにおける空間セル幅を1m、すなわち各空間セルの
広がり角θ=2・arctan(0.5/4)≒14°
とした。マルチビーム送信機1004の各ビーム光源7
20の放射角度分布特性は、C=0.6、指向半値全角
はφt=2・1.1・arctan(0.5/4)≒1
6°である。
04において、トレーニングシーケンスは全ての空間セ
ルに送信される。トレーニングシーケンスは、デューテ
ィー比が実質的に50%に等しい矩形周期波を含む。こ
の矩形周期波は、互いに隣接する2つの空間セルに向け
て互いに互いに逆相で送信される部分と、同相で送信さ
れる部分とを含む。
ル(n−1)とに送信される互いに逆相の信号シーケン
スと、それらの信号シーケンスが重畳された信号シーケ
ンスとを示す。
ル(n)に送信される信号シーケンスを示し、波形11
92は、空間セル(n−1)に送信される信号シーケン
スを示す。図31には、信号シーケンス1191と信号
シーケンス1192とが互いに逆相で送信されている部
分が示されている。
位置し、空間セル(n)と空間セル(n−1)との境界
付近に位置する端末装置で受信される、空間多重化され
た受信信号の波形を示す。空間分割多重化された受信信
号の波形1193も、波形1191および波形1192
と同一の周期を有する繰り返し波形であり、その振幅は
一定で、[1−1/SIR]に比例する。
内部から、空間セル(n)と空間セル(n−1)との境
界に近づくほと減少し、境界上で0(すなわち、SIR
=1)となる。これにより、図27〜図29を参照して
説明した、各空間セルに同一のシーケンスが送信される
場合と比較して、境界付近におけるBERが意図的に高
められる。従って、矩形周期波のうち、隣接する空間セ
ルに逆相で送信される部分(逆相部分)は、空間セルの
境界付近では受信することができない、すなわち、デッ
ドゾーンが発生する。矩形周期波を予め知られた特定の
シーケンスとして受信し、誤りが発生する場合には、そ
の位置(デッドゾーン内)においては端末装置は基地局
との双方向通信を開始することが不適切であると判定さ
れる。端末装置のユーザは、逆相部分の受信時に発生す
るデッドゾーンを避けるように移動する。すなわち、端
末装置の位置制御がなされる。
「10101・・・」の繰り返しシーケンスを用いるの
が望ましい。これにより、アップリンクの開始が可能と
判断された後は、同相部分によって端末装置受信機の比
較回路め判定閾値を最適化し、双方向通信を維持するこ
とが容易になる。さらに、逆相部分において端末装置に
受信される信号は、常に周期波の波形と相似の矩形波と
なる。これにより、端末装置の受信機における検出が容
易になる。
は端末装置が収容されておらず、空間セル(n)に隣接
する空間セル(n−1)および(n+1)には端末装置
が収容されており、新規に参入使用とする端末装置が空
間セル(n)からアップリンクを開始しようとする場合
について説明する。各ビーム光源720はいずれも光出
力マージン+3dBで駆動される。
する端末装置が、空間多重化された矩形周期波の逆相部
分を判定閾値を最適化して受信し、BERが10−2以
上に悪化した境界線1201が示されている。図30か
ら明らかなように、想定される通信距離の全域にわたっ
て、逆相部分の受信において発生するデッドゾーン(2
本の境界線1201に挟まれた領域)が2つの空間セル
の境界からほぼ一定の割合でふくらんでいる。デッドゾ
ーンよりも上側(Y座標が大きい側)の領域と、ハッチ
ング領域1200(すなわち空間セル(n−1)におい
てアップリンクチャンネル間干渉が生じる領域)とは、
基地局からの距離が約1.5m〜4mの範囲において重
複しない。従って、基地局からの距離が約1.5m〜4
mの範囲にある新規に参入する端末装置が逆相部分を誤
りなく受信した場合、アップリンクを開始しても遠近問
題は発生しない。
つの空間セルに向けて矩形周期波が同相で基地局100
2のマルチビーム送信機1004から送信される。この
同相部分が、空間分割多重化されたダウンリンク信号光
を受信するための判定閾値のトレーニングに用いられ
る。最適化された閾値は、次のトレーニングシーケンス
を受信する前にリフレッシュされる。トレーニングシー
ケンスのうち、同相部分以降は、図27〜図29を参照
して説明したトレーニングシーケンスと同様に考えるこ
とができる。なお、逆相部分における誤りの検知は、直
接誤りを計数する以外に、端末装置受信機のクロック抽
出回路からクロックロック表示のための信号を作り、そ
の信号を適切な閾値でモニタすることによっても実現さ
れる。いずれの検知方法を用いた場合でも、予め知られ
た特定のシーケンスとして矩形周期波を用いることで、
逆相部分において空間多重化された受信信号がその特定
のシーケンスと相似の波形となることに起因して検知が
容易になる。このため、SNRで3dB程度、すなわち
BERで10−1〜10−2程度の領域まで安定に動作
する。逆相部分は、少なくともBERの逆数程度の長さ
を有していることが好ましい。また、トレーニングシー
ケンスには、空間セルの空き情報、ビジー情報が含めら
れてもよく、一旦リンクが張られた後に移動情報を含め
てもよい。
末装置の位置制御、すなわち、逆相部分と同相部分とを
含む矩形周期波を含むトレーニングシーケンスを用いた
端末装置の位置制御では、各ビーム光源720の指向半
値全角φt(i)=C・θ(i)を1.0≦C≦1.3
の範囲で設定することにより、端末装置において誤りを
実用的に計数し得るBERが10−2程度の境界線と、
実際の通信で要求されるのBERが10−8以下程度の
境界線とが空間内で近接し、想定される様々なケースの
遠近問題を防止できることが見出された。この場合、基
地局1002の角度分解型受信機1005の分解能Δφ
rは、概ねθ(i)の1/5程度まで許容される。ま
た、基地局1002と端末装置との間の通信距離を比較
的近距離(例えば、1〜3m)に限定すれば、分解能Δ
φrの許容範囲はθ(i)の半分程度まで拡大される。
ム1001においては、1つの空間セル内の境界近傍の
ある1点において、オーバーラップにより干渉ダウンリ
ンク信号として影響し得る空間セル(干渉空間セル)
は、ほとんどの場合に1つである。特に、空間セルが1
次元的に配置された場合には、干渉空間セルは常に1つ
とみなすことができる。また、空間セルが2次元的に配
置された場合でも、それらの空間セルが正方あるいは長
方の格子状に配置されていれば、ほとんどの空間領域で
干渉空間セルは1つである。従って、基地局1002が
形成する全ての空間セルに対して、隣接する2つの空間
セルに互いに逆相になるような矩形周期波を送信するこ
とが可能である。図31および図30を参照して説明し
た、逆相部分と同相部分とを含む矩形周期波を含むトレ
ーニングシーケンスを用いて端末装置の位置制御を行う
方法は、空間セルが1次元的に配置された場合および空
間セルが格子状に2次元的に配置された場合にも好適に
実施することができる。
御では、定数Cは、1.0≦C≦1.3の範囲とし、ト
レーニングシーケンスは、基地局1002が形成する全
ての空間チャンネルに対して送信されるデューティー比
ほぼ50%の矩形周期波を含み、かつ矩形周期波は隣接
する空間セルで互いに逆相で送信される部分と同相で送
信される部分とを含む。
じ得る空間領域(空間セルの境界領域)でのBERを高
め、かつ境界領域におけるBERの変化を急峻とし遠近
問題が防止される。矩形周期波を用いることにより、逆
相部分に対する誤り発生の検知はより容易に実施され
る。また同相部分においては、端末装置の受信機の判定
閾値の最適化が容易に行われる。
ーム送信機1004のビーム光源720の放射角度分布
特性および角度分解型受信機1005の分解能の双方に
対する要求が穏やかである。
ップリンクのチャンネル間干渉を抑圧してSDM/SD
MAワイヤレス光通信システムを実用的に構成するため
の、端末装置の位置制御方法を説明した。上述した種々
のトレーニングシーケンスは、基地局1002と端末装
置1003との間で送受信されるフレーム構造における
一般的なヘッダとして送信することが可能である。冗長
性を有するロバストヘッダを有するフレーム構造や、ヘ
ッダ部分のみ送信光出力を高める等によりペイロード部
分よりもヘッダ部分での誤り発生率を低減したフレーム
構造を採用した場合でも、トレーニングシーケンスをそ
のヘッダ部分として基地局1002から各空間セルに向
けて送信することができる。ヘッダ部で発生する誤り率
を鑑みて、図27〜図30を参照して説明した端末位置
の制御方法のうち、適切な方法を選択してもよい。選択
された方法に応じて、基地局マルチビーム送信機のビー
ム光源の指向半値全角φt(i)および光出力マージン
を適宜設定し、ヘッダ(トレーニングシーケンス)を送
信すべき空間セルを基地局が選択して端末装置の位置制
御を行うことができる。
アンブル部以外の各情報(空き情報やビジー情報等)
は、想定される全ての組み合わせが高々数ビット〜数バ
イト程度のバイナリ符号によっても表現され得る。各情
報をこのようにバイナリ符号によって表現し、情報量を
圧縮することは、プロトコルの軽量化の観点から好まし
い。
ーニングシーケンスを用いた端末装置の位置制御では、
マルチビーム送信機1004は、複数の空間セルの少な
くとも1つに向けてトレーニングシーケンスを送信し、
端末装置は、トレーニングシーケンスの受信結果に基づ
いて、端末装置の現在の位置において基地局へのアップ
リンクを開始することの適否、すなわち、基地局との間
で双方向通信を開始することの適否を判定する。このよ
うな位置制御は、図25A、図25B、図26Aおよび
図26Bを参照して説明した、ユーザの視覚に基づく端
末装置の位置制御と比較して、空間セルの構成規模が大
きく空間セルの広がり角が狭い場合にでも好適に用いら
れ、遠近問題が回避される。リンク初期化手順における
端末装置の位置制御は、端末装置がアップリンク通信を
全く行うことなしに完遂される。端末装置の側で基地局
への送信可否が判定される。トレーニングシーケンス
は、好適には予め定められた周期Tc毎に同期して送信
される。これにより、端末装置がユーザによって移動さ
れる状況下にあっても、リンク初期化手順が継続され
る。また、端末装置受信機の回路に要求される帯域幅が
最小化される。
シーケンスを受信して、制御情報を取得することによっ
て、空間多重化されたチャンネルを通して多元接続する
際のチャンネル競合あるいはチャンネル間干渉が回避さ
れる。従って各端末装置は、従来の空間を共有する形態
のワイヤレス光通信システムが有しているターンアラウ
ンドタイム等を用いた周到な衝突回避手順によって著し
いスループットの低下を被ることがなくなる。また、上
記諸作用を生み出す主な構成要素の1つである端末装置
受信機の判定閾値最適化機能によって、基地局を介さな
い端末装置間のPeer−to−Peerの通信におい
て、仮に複数の端末が通信範囲内にある場合にもまった
く同様に物理層レベルで衝突回避がなされるため、端末
装置に真に高効率なワイヤレス光通信インターフェイス
を提供することができる。
端末位置の制御原理は、簡単のため空間セルが1次元方
向(図2におけるΘ方向)に配置される場合のみを説明
したが、空間セルの配置が2次元的であっても同様に適
用され得る。
1001(図1)において、基地局1002が形成する
空間セル1006の数の好ましい値を説明する。
の数(空間セルの数)には、まず角度分解型受信機10
05のコスト上の観点から制約が生じる。角度分解型受
信機1005のレンズシステム710を、望ましい波長
範囲および視野角の全域にわたって信号光のスポットサ
イズ509(図21)が1mmよりも十分に小さくなる
ように、角度分解型受信機1005のレンズシステム7
10(図3)を設計することは困難である。また、スポ
ットサイズを絞りすぎることは、アレイ素子711の特
性上も得策ではない。コスト面からも10mm角を大幅
に超えるダイサイズのアレイ素子を用いることは好まし
くない。従って、角度分解型受信機1005の制約か
ら、基地局1002が形成する空間チャンネルの数とし
て、1次元的配置の場合で10チャンネル程度、2次元
的配置の場合で最大100チャンネル程度が限度とな
る。
得るアップリンク空間チャンネル数の上限が存在する。
すなわち、角度分解型受信機1005の受信回路717
(図3)において、主にプリアンプバンク713(プリ
アンプアレイ)に供給されるバイアス電流によるジュー
ル熱によって、同時に動作させ得るアップリンク空間チ
ャンネル数が制限される。動作温度は、同時動作させる
チャンネル数とシステムの放熱特性から決まる。動作温
度が高くなると、特にレンズシステム710とアレイ素
子711との接着剤の耐熱性が問題になる。このような
接着剤には、レンズシステム710とアレイ素子711
とのインデックスマッチングの機能を有する熱硬化樹脂
等の接着剤が用いられるからである。発明者らの実験に
よれば、100Mb/sの受信フロントエンド回路を構
成した場合、同時動作する空間チャンネルの数が18チ
ャンネルまでであれば、接着剤の耐熱性の問題は生じな
かった。同時動作する空間チャンネルの数が20チャン
ネル以上になると、接着剤の耐熱性の問題が生じた。し
かし、このような接着剤の耐熱性の問題は、半導体プロ
セス技術等の進歩によって、受信フロントエンド回路の
発熱量が低減されれば改善されるものであり、ワイヤレ
ス光通信システム1001が本質的に有している問題で
はない。
1における、より本質的な空間チャンネル数の制限の問
題は、端末装置が占有する通信帯域幅を高める(例え
ば、100Mb/s以上に)ことに起因して生じる。
慮した場合に、空間チャンネル数がどのように設定され
るべきかを説明する。
ス光インターフェイス(図1に示されるマルチビーム送
信機1004および角度分解型受信機1005)と、こ
れに準ずる通信速度を有するデジタル通信インターフェ
イス(図1に示されるインターフェイス1008)を備
える。基地局1002は、さらに、これらのインターフ
ェイスよりも高速のデジタルインターフェイス(図1に
示されるインターフェイス1007)が別に備えられ
る。端末装置1003のワイヤレス光インターフェイス
の帯域を最大限に活用することを保証するように、高速
のデジタルインターフェイス1007の通信速度(例え
ば、ビットレートで表わされる)が決定される。
速度がワイヤレス光インターフェイスの通信速度よりも
高いことにより、基地局1002は、高速のインターフ
ェイスを備えた外部のデジタル機器(あるいは、そのよ
うな機器から構成されたネットワーク)に接続すること
が可能になる。これにより、複数の端末装置に対して帯
域を占有させるワイヤレスネットワークが構築される。
より対線や光ファイバ等を媒体とするより高速なネット
ワーク環境に端末装置からワイヤレスアクセスして、端
末装置のワイヤレスインターフェイスが備える帯域幅を
浪費しない高速のダウンロード/アップロード環境が実
現され、帯域を保証した新規な高速ワイヤレス通信シス
テムのアプリケーション開発が促進される。
ヤレス光インターフェイスを含めた相対的に低速の通信
インターフェイスのビットレートの総計が、基地局が備
えるより高速のデジタル通信インターフェイスのビット
レートと実質的に等しいか、それを下回るものとするこ
とが必要である。同様に、基地局1002の内部を接続
するバックプレーン2014(図1)がボトルネックと
ならないように、バックプレーン2014も十分高速に
動作することが必要である。
築に向けた有線デジタル通信技術の開発状況を鑑みれ
ば、IEEE1394.bあるいはIEEE802.3
zあるいは802.3ab(ギガビットイーサネット
(R))等のデジタル通信規格が標準化され、普及しつ
つある。これらの規格に従ったネットワークによれば、
あらゆるコンテンツに対して必要かつ十分な帯域幅が提
供され得る。上述した各種デジタル通信規格のうち、I
EEE1394.bでは、400Mb/s、800Mb
/s、1Gb/s等のビットレートがサポートされ、I
EEE802.3zあるいは802.3abでは1.6
Gb/sのビットレートがサポートされている。基地局
1002が備える高速のデジタルインターフェイス10
07が、これらの各種デジタル通信規格に従う場合、端
末装置1003が備えるワイヤレス光インターフェイス
のビットレートを100Mb/s、200Mb/s、2
50Mb/sおよび400Mb/sのうちから選択する
ことは、大変好ましい。
1においては、空間チャンネルの総数jを2≦j≦16
の範囲に設定することが適切である。さらに、端末装置
1003が備えるワイヤレス光インターフェイスの通信
速度のj倍と、ワイヤレス光インターフェイスの通信速
度に実質的に等しいデジタル通信インターフェイス10
08(第2のインターフェイス)の通信速度との合計
が、基地局が備えるより高速のデジタルインターフェイ
ス1007(第1のインターフェイス)の通信速度と実
質的に等しいか、それを下回ることが好ましい。なお、
端末装置1003が備えるワイヤレス光インターフェイ
スの通信速度のj倍は、基地局1002が備える複数の
ワイヤレス光インターフェイスの通信速度の合計に等し
い。また、基地局1002がデジタル通信インターフェ
イス1008を複数備える場合、第2のインターフェイ
スの通信速度とは、複数のデジタル通信インターフェイ
ス1008のそれぞれの通信速度の和として定義され
る。
に」他のインターフェイスの通信速度と等しいとは、ワ
イヤースピードではなく、正味のデータレートによって
表される通信速度が等しいことを意味する。また、イン
ターフェイスの通信速度の和は、単に基地局1002が
物理的に備える各インターフェイスのポート数に関して
定義されるものではなく、帯域を占有して動作し得るチ
ャンネルの数に関して定義される。例えば、上述した空
間チャンネルの総数jは、帯域を占有して動作し得る空
間チャンネルの数である。また、基地局1002がデジ
タル通信インターフェイス1008を複数備える場合、
第2のインターフェイスの通信速度は、それらが帯域占
有型の物理層である場合には、複数のデジタル通信イン
ターフェイス1008のそれぞれの通信速度の和として
定義される。しかし、それらが帯域を共有する物理層で
ある場合、第2のインターフェイスの通信速度は、その
共有帯域全体として定義される。従って、例えば、第2
のインターフェイスとワイヤレス光インターフェイスと
が、同時に第1のインターフェイスを通して他のデジタ
ル機器にアクセスすることを前提としない場合には、第
2のインターフェイスとワイヤレス光インターフェイス
とのうち、占有する帯域幅の広い方に応じて、第1のイ
ンターフェイスの通信速度が設定されればよい。
より、基地局1002、特に角度分解型受信機1005
のレンズシステム710(図3)、受光アレイ素子71
1、受信フロントエンド回路716、さらには基地局内
部のバックプレーン2014(バックプレーンバスある
いはバックプレーンスイッチ)を実用的に構成すること
ができる。また、従来のワイヤレス通信システムでは実
現不可能なために、その開発すら行われてこなかった、
新たな高速ワイヤレス通信のアプリケーションが可能に
なる。
接続させるワイヤレスネットワークが構築され、基地局
1002のマルチビーム送信機1004および角度分解
型受信機1005の構成がコストパフォーマンスや消費
電力の観点から現実的なものとなる。すなわち、ビーム
光源720(図3)や受光アレイ素子711の要素数を
必要最低限にとどめて、基地局1002の内部のシステ
ム構成に、既存の高速バックプレーンやデジタル通信技
術が利用できる。
ことにより、基地局1002が動作状態にある場合に、
角度分解型受信機1005のアップリンクチャンネルの
全てを常時受信可能な状態(スタンバイ状態)に維持し
た場合でも、全体の消費電力をデジタル家電機器として
許容できる範囲に収めることができる。角度分解型受信
機1005のアップリンクチャンネルの全てを常時受信
可能な状態に維持した場合には、基地局1002におい
て、新規に参入しようとする端末に応答するために定期
的に(間欠的に)カバーエリアをスキャンすることは不
要になるので、基地局1002の構成が簡単になるとい
うメリットが得られる。
イヤレス光通信システム1001の基地局1002の内
部構成の具体例と、ワイヤレス光通信システム1001
の特徴を活かした具体的な利用形態とを説明する。以下
の説明により、チャンネル間の直交性を生み出しワイヤ
レス通活の高速化/大容量化を可能にするSDM/SD
MA技術をホームネットワークやSOHO環境で安価に
適用し実用化するため方策が理解される。また、従来に
比べ格段に高速のワイヤレスインターフェイス有する携
帯端末装置の利用するシーンが明らかにされる。
デジタル機器と高い親和性で接続し得る基地局210を
示す。基地局210は、図1に示されるワイヤレス光通
信システム1001において、基地局1002として用
いられ得る。
に示される空間セル1006と同様に1次元的に配置さ
れる。
004と角度分解型受信機1005とは、空間セルを分
割する方向(図4に示されるΘ方向)に垂直な方向に沿
う1つの軸1211上に縦列に設置されている。この構
成によれば、マルチビーム送信機1004と角度分解型
受信機1005との間で、空間セルを分割する方向の視
差が生じないので、アップリンク空間セルとダウンリン
ク空間セルとを1対1に対応させて空間セルを形成する
ことが容易になる。
いてIEEE1394規格に対応したデジタルネットワ
ークへのワイヤレスアクセスポイントとして機能する。
基地局および端末装置が備えるワイヤレス光インターフ
ェイスの正味のデータレートは100Mb/sであり、
基地局はさらに、IEEE1394/S400規格に対
応するDSポート213を2つ備える。基地局210と
各端末装置との間の通信距離は1〜5mをカバーし、4
つの空間チャンネルを形成する。また、図28を参照し
て説明したように、基地局210の動作中はトレーニン
グシーケンスが4つの空間セルの全てに送信され、既に
端末装置を収容している空間セルに対応するビーム光源
720の光出力が3dB高くなるように、各ビーム光源
720がパワーコントロールされる。新規に参入する端
末装置は、まず予め定められたトレーニングシーケンス
を受信する。この時点では、端末装置の送信機は何らの
光信号をも送出していない。端末装置の内部システム
は、図28を参照して説明したリンク確立プロセスと同
様に、受信回路からの出力と予め定められた判定基準に
基づいて、基地局210へのアップリンク送信の可否を
判定する。図28を参照して詳しく説明したように、上
記パワーコントロール機能を有するSDM/SDMAワ
イヤレス光通信システムにおいては、新規参入する端末
装置が、その端末装置がその時点で存在する空間セルに
は端末装置は未収容であるという情報をトレーニングシ
ーケンスから取得した場合に、その空間位置においてア
ップリンクを開始してもよいと判定され、収容済みとい
う情報を取得すれば開始すべきではないと判定されれば
十分である。
た場合、端末装置はそのディスプレイ上に、その端末装
置のユーザに対してアップリンク開始が可能である旨を
表示し、双方向通信の開始を促す。また、この時点で端
末装置送信機のドライバ回路がイネーブル状態になる。
端末装置送信機のドライバ回路がイネーブル状態になる
と、例えばアイドリング信号を用いたリンクの確立や、
基地局210に有線接続されたサーバ機器等の検索/表
示等がバックグラウンド処理として開始されるようにし
てもよい。また、端末装置送信機のドライバ回路がイネ
ーブル状態になると、接続するサーバ機器とのユーザ認
証プロセスが開始されるようにしてもよい。上述のよう
なプロセスを経て、例えば端末装置のディスプレイ上
に、ユーザのサーバ機器に対するアクションリストや、
サーバ機器が保持するコンテンツの一覧等がメニュー表
示される。これに応じてユーザがアクション(例えばダ
ウンロードするファイルの選択やダウンロード転送開始
を指示するクリック動作)等を起こすと、各種コマンド
やデータの通信が、基地局210、端末装置および基地
局210に接続されたデジタル機器との間で行われてい
く。
判定された場合、端末装置はそのディスプレイ上に、そ
の端末装置のユーザに対して端末装置の移動を促す表示
を行う。この時点では、端末装置の送信機は何ら光信号
も送出していないため、基地局210の角度分解型受信
機では新規参入端末装置の存在を認識できず、各端末装
置に対して明示的に(例えば端末装置のアドレスを指定
して)移動を指示することはできない。しかしながら、
基地局210から全空間セルに対して送出されるトレー
ニングシーケンスには、各空間セルの両隣りも含め、他
の端末装置の有無を示す情報(空き情報)や通信状況を
示す情報(ビジー情報)が含められ得るので、新規参入
端末装置はユーザに対して移動すべき方向を指示するこ
とができる。さらに、ユーザは、他のユーザが近くにい
るか否か、あるいは、ユーザのごく近くにワイヤレス光
インターフェイスを備えた他の端末装置が存在するか否
かを、容易に認識し得る。従って、上述の手続きにおい
て、ユーザが端末装置をアップリンク開始可能と判定さ
れる空間位置に移動することには実用上ほとんど困難は
伴わない。
ンターフェイスボード214と、IEEE1394ボー
ド215と、メインボード216とが設けられる。
示される第1のインターフェイス1007として機能
し、IEEE1394a規格に準拠している。実際に
は、2つのDSポート213のいずれか一方が第1のイ
ンターフェイスとして機能するが、一方に固定して割り
当てられる必要はない。残る一方のDSポート213は
第2のインターフェイスとして機能し得るが、ワイヤレ
ス光インターフェイスが使用されている際に同時にアク
ティブには動作しないことが想定されている。もちろ
ん、2つのDSポート213の間で帯域を共有しない
(すなわち、2つのDSポート213が別々のホストイ
ンターフェイス(OHCI)を備える)構成としてもよ
い。あるいは、DSポート213に替えてP1394b
対応のβポートが用いられてもよい。
バックエンドシステムとなるCPU1212および周辺
回路(図示せず)が設けられる。ワイヤレス光インター
フェイスボード214と、IEEE1394ボード21
5とは、1.06GB/sの転送速度を有するPCI−
Xバスを共有してメインボード216に接続される。ワ
イヤレス光インターフェイスボード214は、4つの空
間チャンネルに対応する角度分解型受信機1005の受
信回路717(図32には示されていない、図3参照)
とマルチビーム送信機1004の駆動回路のバンク(図
3に示される光源ドライババンク722およびAPCバ
ンク721)に加えて、送受信信号をIEEE139
4.b規格に準拠したβポートに直結可能な信号に変換
するコンバータのバンク(図示せず)を搭載する。この
構成により、ワイヤレス光インターフェイスを介して行
われる通信は、必ずしもIEEE1394(P1394
b)で定義される光リンク(βポート)のプロトコル仕
様を完全にサポートする必要はない。例えば、送受信フ
ロントエンド(トランシーバ)部分にはP1394bと
ワイヤレス光インターフェイスとで共通の部品を用いて
もよいし、P1394bに対応した物理層LSIの8B
10Bの符号化機能を利用して独自の情報系列をワイヤ
レス光インターフェイスのデータレートで生成してもよ
い。
トを備える4本のPHYバンクと1394スイッチ(図
示せず)とを搭載する。1394スイッチは、4本のP
HYと2つのDSポート213との間のブリッジ機能を
有する。すなわち、1394スイッチは、基地局210
の内部において、プロトコルを端末装置に代わってエミ
ュレートすることができる。これにより、第1のインタ
ーフェイス(2つのDSポート213のうち一方)を介
して基地局210に接続されたデジタル機器は、ワイヤ
レス光インターフェイスを介して基地局210に接続さ
れた端末装置があたかもIEEE1394規格に準じる
デバイスであるかのように、端末装置との通信を行うこ
とができる。 基地局210は、必要に応じて、収容さ
れた端末装置から基地局210を介して行われるアービ
トレーション(バス調停過程)や応答動作を代行してワ
イヤレスSl00ポートを仮想的にサポートし、端末装
置との間のアドレス解決を行う。また、基地局210
は、ワイヤレス区間の伝送データをバッファリングしパ
ケット構成を最適化することで、ワイヤレス区間のメデ
ィアアクセス制御をシンプルに保つ。これにより、ワイ
ヤレス光インターフェイスの帯域は最大限に利用され得
る。逆に、ワイヤレス区間に送信される固有のトレーニ
ングシーケンスが第1あるいは第2のインターフェイス
を通じて有線区間に送信されることもない。
E1394対応の最大4チャンネルのSDM/SDMA
ワイヤレススイッチとして機能する。
ネットワークのサイクルマスタとして設定されるのが好
ましい。マルチビーム送信機1004から送信されるト
レーニングシーケンスは、IEEE1394ネットワー
クの125μsのアイソクロナスサイクル(あいるは、
アービトレーション動作)に合わせて、サイクルスター
トパケットと同期して、予め定められた周期Tc=12
5μs毎に送信される。ここで、上述した基地局210
と端末装置の双方向通信開始可否の判断からユーザのア
クション(指示)開始に至るまでの諸手続きは、人間
(ユーザ)が端末装置ディスプレイを見ながら行う等、
何らかの動作を伴うものであり、少なくとも10ミリ秒
から秒の時間を要する。ユーザにとっては、トレーニン
グシーケンスがTc=125μs毎に送信されること
は、実質的に基地局210からリアルタイムに応答が返
ってくるのに等しい。さらにワイヤレス区間を含めた通
信路も十分に高速である。従って、ユーザは何らのスト
レスも感じずに端末装置および基地局に接続されたデジ
タル機器を操作することができる。ただし、トレーニン
グシーケンスは、125μs周期に一度送信されること
に限定されない。基地局210は、端末装置の仕様に応
じて、すなわち、端末装置が最適閾値を保持できる時間
仕様に合わせて、125μsのZ倍(Zは自然数)の周
期に一度、あるいは125μsの周期にZ回トレーニン
グシーケンスを送信(ブロードキャスト)してもよい。
このような周期でトレーニングシーケンスを送信するこ
とにより、ワイヤレス光インターフェイスと、IEEE
1394規格に準拠するインターフェイスとの親和性が
高まるとともに、ワイヤレス光インターフェイスの高い
効率化が達成される。
る端末装置受信回路の閾値の最適化に関しては、端末装
置を収容しているか否か、あるいは基地局210が図2
7〜図30を参照して説明したいずれの制御方法を採用
するかによらず、P1394.bの光リンク(βポー
ト)として規定されるアイドリング信号を、前記先頭部
分に該当する期間だけ、基地局が備える全空間チャンネ
ルに送信するようにすればよい。あるいは、上記アイド
リング信号よりも信号周波数の低いトレーニングシーケ
ンス(例えばIEEE802.3uでのオートネゴシエ
ーションやIEEE1394でのアービトレーションに
用いられるトレーニングシーケンス)を、前記先頭部分
に該当する期間だけ、基地局が備える全空間チャンネル
に送信することで、閾値最適化の機能を含む端末装置の
受信回路の構成を単純化することもできる。
EEE1394規格に対応するワイヤレススイッチとし
て機能し、有線区間(IEEE1394規格群に準拠)
とワイヤレス光インターフェイスの通信区間をシームレ
スに接続して、ホームネットワーク環境を構成する各種
デジタル機器との親和性に優れたアクセスポイントを端
末装置に提供できる。また、端末装置のワイヤレス光イ
ンターフェイスが備える帯域幅を浪費しない、デジタル
コンテンツの高速なダウンロード/アップロード環境が
実現され、新規なワイヤレス通信システムのアプリケー
ションの開発が促進される。
基地局210および端末装置が備えるバッファサイズが
小さくてすむことは言うまでもないが、周期Tcが短か
すぎると、ワイヤレス光通信システムにおいてより重要
視するスループット特性には悪影響を与える。端末装置
受信回路の最適閾値が安定に保持できる時間を延ばし、
周期Tcを大きく取ることが望ましい。
EE1394対応リモートコントロールとして使用する
ようなアプリケーションにおいては、端末装置と基地局
210とのリンクが継続されている期間、基地局がリソ
ースマネージャとしてワイヤレス光インターフェイス経
由のトランザクションを常に優先するマネージメントを
行うことが望ましい。
01により、IEEE1394規格との親和性が高い家
庭内ネットワークを構成した例を示す。図33に示され
る例では、ワイヤレス光通信システム1001におい
て、図32に示される基地局210が基地局1002
(図1)として用いられている。図33において、図1
に示される構成要素と同一の構成要素には同一の参照番
号を付す。図33に示される例では、端末装置1003
(携帯端末装置)は、デジタル音楽プレーヤの機能を備
える。また、基地局210に接続線1010により接続
されるデジタル機器1012は、CDプレーヤである。
基地局210は、基地局210を介して端末装置100
3をCDプレーヤ1012に接続する機能を有する。
の容量を有するハードディスクドライブ(HDD)12
21を備える。CDプレーヤ1012は、PCM録音さ
れたCD音楽データをリッピングして高圧縮デジタルフ
ァイルに変換するエンコーダ機能を有する。高圧縮デジ
タルファイルの圧縮フォーマットは、例えば、MP3フ
ォーマットである。MP3フォーマットは、不可逆的な
圧縮符号化のフォーマットの1つである。ユーザが所有
するCD等のAVコンテンツは、このような圧縮フォー
マットでHDD1221に蓄積されている。基地局21
0は、TV機器223に接続されている。TV機器22
3は、端末装置1003からCDプレーヤ1012にア
クセスする際の操作性を向上させるユーザインターフェ
イスとして利用される。あるいは、CDプレーヤ101
2がTV機器223に接続されていてもよい。
0を経由してCDプレーヤ1012のリモートコントロ
ーラとして使用し、CDプレーヤ1012のHDD12
21に蓄積された音楽コンテンツ群の中から好みのデジ
タルファイルを選択し、選択されたデジタルファイルを
端末装置1003にワイヤレスでダウンロードする。
222と、MP3デコーダ1223とを備える。ダウン
ロードされたデジタルファイルは、不揮発性記憶媒体1
222に記憶される。MP3デコーダ1223は、不揮
発性記憶媒体1222に記憶されたMP3フォーマット
のデジタルファイル(デジタルオーディオデータ)を復
号し、再生する。このように、MP3デコーダ1223
は、不揮発性記憶媒体1222に記憶された、不可逆的
に圧縮符号化されたデジタルオーディオデータを再生す
る再生部として機能する。
1003へのダウンロードに使用される際、極めて小さ
くはあるが存在するワイヤレス区間(CDプレーヤ10
12〜端末装置1003の通信パスのうち、基地局21
0と端末装置1003との間の区間)のオーバーヘッド
を除いた帯域幅のうち、例えば95%をダウンリンクに
割り当て、5%を端末装置からのACKあるいはNAK
のためのアップリンクに割り当ててTDD(time
division duplex)が行われてもよい。
ダウンロード(ファイル転送)時のARQ(Autom
atic Repeat Request)としては、
GBN(Go−Back−N)やSERJ(Selec
tive−Reject)を用いることにより再送制御
を効率よく行うことができる。また、ワイヤレス区間の
メディアアクセス制御は、図27〜図30を参照して説
明したように、一旦リンクが初期化された後は、ユーザ
が大幅に移動しない限り行う必要がない。端末装置10
03の受信機の判定閾値のトレーニングは行う必要があ
るが、これには高々数ビット程度の時間しか要しない。
従って、図33に示されるワイヤレス光通信システム1
001によれば、従来にない極めて高いスループットを
有するワイヤレス高速ファイル転送システムが実現され
る。
光インターフェイスと同等以上の高速な書き込み速度を
有することが好ましい。不揮発性記憶媒体1222の容
量は、32Mバイト〜数Gバイト程度以上であることが
想定される。高速書き込みが可能で、かつ大容量化が可
能な不揮発性記憶媒体1222として、1〜2.5イン
チ程度のHDDが用いられてもよい。あるいは、一旦大
容量のDRAM等の高速な揮発性記憶媒体にワイヤレス
光インターフェイスを介して受け取ったデータを格納
し、次いで、格納されたデータをより低速の不揮発性記
憶媒体(例えば、HDD)に書きこんでもよい。基地局
210においてフレーム構成等のために必要な遅延時間
を考慮しても、64Mバイト程度の容量のファイル転送
は、転送開始後、数秒で完了する。
プロセスの利便性が、統合されたワイヤレス環境におい
て格段に向上し、実質の転送時間も大幅に短縮される。
従来の同種の携帯音楽プレーヤのユーザは、不揮発性記
憶媒体をデジタルAVファイルが蓄積されたPC等に直
接接続して長時間の転送を行うことを余儀なくされてい
た。また、ユーザの多くは、記憶媒体の抜き差しによる
煩雑な書き込みプロセスあるいはケーブル接続による長
時間のデータ転送を敬遠して、高価な記憶媒体を複数購
入していた。図33に示されるワイヤレス光通信システ
ム1001の利用形態によれば、このような不利益な状
況が打開される。また、デジタルシステムを使用する初
心者にとっても、非PC機器によるユーザフレンドリな
ワイヤレスアクセス環境が提供される。
ム1001の初期的な利用形態としては、CDプレーヤ
1012が基地局210を内蔵し、端末装置1003か
ら直接ワイヤレスアクセスするようにしてもよい。ある
いは、CDプレーヤ1012の数10GB以上の容量の
HDD1221を単体の外部ストレージ装置として取り
出し、その外部ストレージ装置をCDプレーヤ1012
と基地局210と双方に接続し、端末装置1003から
基地局210を介してその外部ストレージ装置にアクセ
スするようにしてもよい。また、CDプレーヤ1012
が、CDやCD−R/RWに加えて、DVDファミリー
向けのピックアップを備え、AVコンテンツ全般にわた
るジュークボックスの機能を有していてもよい。この場
合、端末装置1003は、不可逆的に圧縮符号化された
デジタルオーディオデータを再生する機能を有するMP
3デコーダ1223に代えて、あるいは、それに加え
て、不可逆的に圧縮符号化されたデジタルオーディオ・
ビデオデータを再生する機能を有するデコーダ(再生
部)を備えることが好ましい。これにより、端末装置1
003は画像ビューアとして機能し得る。
C、サーバやストレージ装置が基地局210に接続され
てもよい。
通信プロトコルのオーバーヘッドが極めて小さく、さら
に外部のデジタル機器(図33に示される例では、CD
プレーヤ1012)との親和性にも優れるので、実際の
転送速度は端末装置1003のワイヤレス光インターフ
ェイスのデータレート速度に近いものとなる。
ム1001によれば、基地局210が接続されているP
C、サーバやストレージ装置から、例えばMP3に代表
されるデジタル音楽ファイルはアルバム単位あるいは不
揮発性記憶媒体1222の容量でワイヤレスにダウンロ
ードされ、ごく短時間に転送を完了することができる。
従って、特に携帯型の音楽プレーヤや、画像ビューアと
して機能する端末装置1003の利便性が格段に向上す
る。また、カバーエリアが基地局210の周辺に限定さ
れ、基地局210がユーザサイズの空間セルを形成する
ので、ワイヤレス光通信システム1001は、第3者の
盗聴やなりすましに対して堅牢である。
イヤレス光通信システム1001の典型的な利用形態
は、従来の光無線LANシステムやRF帯無線LAN等
とは大きく異なっている。すなわち、端末装置1003
のワイヤレス光インターフェイスが、基地局210との
リンクを確立するプロセス、デジタル機器1012等に
対するリモートコントロールとして機能するプロセス、
データ転送等を行うプロセスの全てがごく短時間に終了
する(すなわちユーザの動作等が律則段階となる)の
で、ワイヤレスリンクを常時保持する必要がない。従っ
て、端末装置1003は、ユーザのアクションあるいは
基地局210やデジタル機器1012等の応答にあわせ
てワイヤレス光インターフェイスをアクティブにする動
作モードに従って動作し得る。これにより、待機消費電
力を低減することができる。
度の指向性を有することが許容される。また、ワイヤレ
ス光インターフェイスは見通し通信を前提として設計さ
れ得る。これにより、ワイヤレス光インターフェイスに
要求される設計条件が緩和される。
01により、IEEE1394規格との親和性が高い家
庭内ネットワークを構成した例を示す。図34に示され
る例では、ワイヤレス光通信システム1001におい
て、基地局230が基地局1002(図1)として用い
られており、端末装置231が端末装置1003(図
1)として用いられている。図34において、図1に示
される構成要素と同一の構成要素には同一の参照番号を
付す。
タルカメラあるいはデジタルカムコーダ機能を有する。
端末装置231は、撮影部1233と、不揮発性記憶媒
体1231を備える。端末装置231には、不揮発性記
憶媒体1231の容量に応じて、撮影部1233により
撮影された静止画や動画が蓄積される。撮影部1233
は、例えば、撮影した静止画をJPEG形式に圧縮符号
化したり、撮影した動画をMPEG形式に圧縮符号化す
る機能を有する。JPEGおよびMPEGはそれぞれ、
不可逆的な圧縮符号化方式の1つである。このように、
撮影部1233は、不可逆的に圧縮符号化されたデジタ
ルオーディオ・ビデオデータを生成する生成部として機
能する。
IEEE1394対応HDD1232を備え、ストレー
ジ兼サーバ装置(ホームサーバ)としても機能する。
で端末装置231を用いて撮影した静止画や動画(デジ
タルオーディオ・ビデオデータ)は、不揮発性記憶媒体
1231に記憶される。ユーザが端末装置231を家庭
に持ち帰って、デジタルオーディオ・ビデオデータを基
地局230のHDD1232にワイヤレス光インターフ
ェイス1234を用いて手軽にアップロードすることが
できる。これにより、端末装置231が備える不揮発性
記憶媒体1231は、繰り返して利用可能となる。基地
局230はTV機器233に接続されている。TV機器
233は、端末装置231から基地局230にアクセス
する際に、操作性を向上させるユーザインターフェイス
として利用される。端末装置231は、基地局230の
リモートコントロール装置として機能し、不揮発性記憶
媒体1231に蓄積されたコンテンツ(デジタルオーデ
ィオ・ビデオデータ)を選択して、あるいはその全てを
一括して、基地局230にワイヤレスアクセスして送信
(アップロード)する。
ーザインターフェイス(TV機器233)を利用して端
末装置231から加工編集して、基地局230に保存し
たり、加工編集した結果を基地局230に接続されてい
るネットワークヘ発信したり、再び端末装置231自身
にダウンロードしたりできる。これらの処理は全て、端
末装置231からの操作で行うことができるので、これ
らの処理をシームレスに実行することができる。あるい
は、アップロードされるコンテンツをその場でTV機器
233の画面で鑑賞することも好ましい利用形態の1つ
である。その際、端末装置231は直接、再生装置とし
て利用されてもよい。
端末装置231からのアップロードに使用される際、極
めて小さくはあるが存在するワイヤレス区間のオーバー
ヘッドを除いた帯域幅のうち、例えば95%をアップリ
ンクに割り当て、5%を基地局230からのACKある
いはNAKに割り当ててTDDが行われてもよい。TD
Dプロセスは、端末装置231が備えるバッファサイズ
に依存して最適化されるのが望ましい。ワイヤレス区間
のメディアアクセス制御は、図27〜図30を参照して
説明したように、一旦リンクが初期化された後は、ユー
ザが大幅に移動しない限り行う必要がない。端末装置2
31の受信機の判定閾値のトレーニングは行う必要があ
るが、これには高々数ビット程度の時間しか要しない。
従って、図34に示されるワイヤレス光通信システム1
001によれば、従来にない極めて高いスループットを
有するワイヤレス高速ファイル転送システムが実現され
る。
光インターフェイスと同等以上の高速な読み出し速度を
有することが好ましい。不揮発性記憶媒体1231の容
量は、32Mバイト〜数Gバイト程度以上であることが
想定される。高速書き込みが可能で、かつ大容量化が可
能な不揮発性記憶媒体1231として、1〜2.5イン
チ程度のHDDが用いられてもよい。
プロセスの利便性が、統合されたワイヤレス環境におい
て格段に向上し、実質の転送時間も大幅に短縮される。
従来の同種のデジタルカメラ/カムコーダ等のユーザ
が、記録媒体の抜き差しによる煩雑な書き込みのプロセ
スあるいは長時間のデータ転送を敬遠して、高価な記録
媒体を複数購入していた。図34に示されるワイヤレス
光通信システム1001の利用形態によれば、このよう
な不利益な状況が打開される。また、撮影したデジタル
コンテンツの鑑賞や加工編集作業においても、端末装置
231をリモートコントロールとして使用でき、システ
ムの利便性が格段に向上する。さらに、上記のようなデ
ジタルシステムを使用する初心者にとっても、非PC機
器によるユーザフレンドリなワイヤレスアクセス環境が
提供される。
ム1001によれば、デジタルオーディオ・ビデオデー
タを蓄積する機能を備えた端末装置231において、不
揮発性記憶媒体231に記憶されている任意のデジタル
オーディオ・ビデオデータが、基地局230に(あるい
は、基地局230を介して他のデジタル機器)に瞬時に
転送・保存される。また、撮影したデジタルコンテンツ
の鑑賞や加工編集作業のために記録媒体を他の機器へ差
し換えたり、ケーブルを接続したりする手間が不要にな
る。これにより、端末装置231の利便性が格投に向上
する。
て蓄積された情報のリアルタイム再生を行うこともでき
る。また、基地局230のカバーエリアは、基地局23
0の周辺に限定され、基地局230は、ユーザサイズの
空間セルを形成するので、ワイヤレス光通信システム1
001は第3者による盗聴やなりすましに対して堅牢で
ある。
イヤレス光通信システム1001の典型的な利用形態
は、従来の光無線LANシステムやRF帯無線LAN等
とは大きく異なっている。すなわち、端末装置231の
ワイヤレス光インターフェイス1234が、基地局23
0とのリンクを確立するプロセス、基地局230等に対
するリモートコントロールとして機能するプロセス、デ
ータ転送等を行うプロセスの全てがごく短時間に終了す
る(すなわちユーザの動作等が律則段階となる)ので、
ワイヤレスリンクを常時保持する必要がない。従って、
端末装置231は、ユーザのアクションあるいは基地局
230や他のデジタル機器の応答にあわせてワイヤレス
光インターフェイスをアクティブにする動作モードに従
って動作し得る。これにより、待機消費電力を低減する
ことができる。
度の指向性を有することが許容される。また、ワイヤレ
ス光インターフェイスは見通し通信を前提として設計さ
れ得る。これにより、ワイヤレス光インターフェイスに
要求される設計条件が緩和される。
と高い親和性で接続することができる基地局240の構
成を示す。基地局240は、図1に示すワイヤレス光通
信システム1001において、基地局1002として使
用され得る。
Aおよび図5Bに示される空間セル1006と同様に、
1次元的に配置される。基地局240と端末装置との間
の通信距離は、1〜5mであり、空間セルのサイズは、
最大通信距離5mでの空間セル幅が1mになるように設
定される(空間セルの広がり角θ≒6°)。マルチビー
ム送信機1004の各ビーム光源の、空間セルの分割方
向についての放射角度分布特性は、指向半値全角φt=
4°である。
角度分解型受信機1005の視野角は±約25°であ
る。図29を参照して説明したように、基地局の動作中
はトレーニングシーケンスが端末装置を収容している空
間セルのみに向けて送信される。
のうち、同時に最大6個まで100Mb/sのワイヤレ
ス光インターフェイスを備えた端末装置を収容して、6
つのSDM/SDMAチャンネルを提供する。トレーニ
ングシーケンスは、端末装置を収容している空間セル
(最大6つ)にのみ送出されると述べたが、基地局24
0は8個のワイヤレス光インターフェイスを備えてい
る。従って、6つのSDM/SDMAチャンネルの全て
に端末装置が収容されている場合でも、新規参入端末装
置がトレーニングシーケンスを受信しない(すなわち、
その端末装置がアップリンクを開始することが可能と判
断する)ような空間セル(使用されていない空間セル)
があり得る。このような領域から新規参入端末装置がア
ップリンクを開始しても、図29を参照して説明したよ
うに、既存のチャンネルへの干渉は発生しない。なお、
このような場合には、基地局240は新規参入端末装置
にACKを送信することができない。新規参入端末装置
は、アップリンクを開始してから所定の時間内に基地局
240からのACKを受信しない場合には、空きチャン
ネルが存在しないと判断することができる。
ェイス部241(マルチビーム送信機1004および角
度分解型受信機1005)に加えて、4つのファースト
イーサネット(R)(IEEE802.3u/100B
ase−TX)ポート242(各100Mb/s)と1
つのギガビットイーサネット(R)(IEEE802.
3z/100Base−SX)ポート243とを備え
る。
は100Mb/sのデータレートのワイヤレス光インタ
ーフェイスを備える。基地局240は複数の100Mb
/sのファーストイーサネット(R)ポート242と、
少なくとも1つの1Gb/sのアップリンクポート24
3とを備えている。このように、基地局240自体がI
EEE802.3zあるいは802.3ab対応のレイ
ヤー2または3スイッチとして機能して、ポート242
および243の一部または全てが、外部のデジタル機器
に基地局240を接続するインターフェイス(第1のイ
ンターフェイス)として機能することが好ましい。
ンボード1241上に、ワイヤレス光インターフェイス
部241と、ファーストイーサネット(R)ポート24
2と、アップリンクポート243とが、スイッチングフ
ァブリック1240を介して接続されている。
フェイス部241として、8個の空間チャンネルに対応
する角度分解型受信機1005およびマルチビーム送信
機1004の各々8本のフロントエンドバンクと、受信
回路245および駆動回路246を各2個と、送受信別
のバッファ244および247と、ワイヤレス光インタ
ーフェイス部241のコントローラ248が搭載され
る。
トローラ250と、送受信別に最大6本のチャンネルを
同時に接続することができるフレーマ249とがバック
エンド回路として搭載される。
信機1005の8本のフロントエンドバンクのうち4本
が接続されている。1つの駆動回路246には、マルチ
ビーム送信機1004の8本のフロントエンドバンクの
うち4本が接続されている。コントローラ248は、そ
れぞれの受信回路245に接続された4本のフロントエ
ンドバンクのうち3本を選択し、それぞれの駆動回路2
46に接続された4本のフロントエンドバンクのうち3
本を選択する。
符号化方式としては、ファーストイーサネット(R)
(100Base−FXや−SX)と同じ4B5B N
RZI符号化が用いられ、フレーマ249はニブル(4
ビット)単位のシリアライザ/デシリアライザを含む。
は、4本の100Base−TXポート242と、それ
に続く2ポートごとのトランスフォーマと、4ポートP
HYと、スイッチコントローラ1242とが設けられ
る。ギガビットイーサネット(R)ポート部には、1つ
の1000Base−SXトランシーバ243と、PH
Yと、スイッチコントローラ1243とが設けられる。
えば、高速スイッチングASICであり得る。スイッチ
ングファブリック1240は、CPU1244およびフ
ォワーディングエンジン1245からの制御を受けて、
アドレス解決ユニット1246を通してアドレステーブ
ル1247を参照しながら、上記各ポート(ワイヤレス
光インターフェイス241と、ファーストイーサネット
(R)ポート242およびギガビットイーサネット
(R)ポート243)の間を高速にスイッチ処理する。
合には、基地局240の内部構成として、図32に示し
たような十分高速なバスを共有する形態も使用可能であ
る。また、いずれのバックプレーン構成を採る場合で
も、チャンネル数に応じて、部品が実装されるボードの
枚数を1枚にしてもよい。
ー2またはレイヤー3スイッチとして動作し、端末装置
が備えるワイヤレスインターフェイスの帯域を保証した
様々なサービスを構築することができ、有線/無線イン
ターフェイスの混在するシームレスなアクセス環境が実
現される。
間隔Tcには、既に説明したように、端末装置が最適閾
値を保持可能な時間の上限やリンク初期化プロセスの応
答性向上のための上限が存在する。一方、IEEE80
2.3の場合、先頭のプリアンブル(7オクテット)お
よびデリミタ(1オクテット)を除いたフレーム長は、
最小値が64オクテットであり、最大値が1518オク
テットであると定められている。ここで、1オクテット
は8ビットである。従って、ワイヤレス光通信システム
1001(図1)においては、トレーニングシーケンス
の繰返し周期Tcをフレーム長の最大値よりも長く、か
つできるだけ近い値に設定するのが好ましい。例えば、
4B5B符号化を用いる100Mb/sのワイヤレス光
インターフェイスの場合、1518バイトのパケット長
(フレーム長の最大値)は約97μsであり、Tc=1
00μsに設定し得る。基地局1002からのダウンリ
ンクフレーム(パケット)は、それが存在するならば常
に、各空間セルに共通の、周期Tc毎の基準時刻に送信
が開始される。また、Tcよりも遥かに短いフレームが
Tc内に複数個送信される場合も、その基準時刻の直前
にはフレームが一旦保留され(基準時刻にフレームがま
たがらないように待ち状態にされ)、基準時刻に再度送
信が開始される。既に説明したように、SDM/SDM
Aワイヤレス光通信システム1001においては、パケ
ット/フレーム単位のレイテンシを低減することより
も、バースト転送時のスループットを向上することが重
要視される。従って、トレーニングシーケンスを短く
し、トレーニングシーケンスの繰返し周期Tcをフレー
ム長の最大値よりも長く、かつできるだけ近い値に設定
するのが特に好ましい。また、より上位のプロトコル層
がACKを要求する場合、上記の帯域幅(100Mb/
s×97/100)をTDDで動的に割り当て、バルク
ファイルのダウンロードまたはアップロードに最適化し
たシステム構成をとることができる。既に説明したよう
に、トレーニングシーケンスには端末位置制御情報を付
加し得る。その情報量は小さいため、例えばワイヤレス
区間におけるデリミタ(8ビット)を拡張してこれに割
り当てることができる。
001におけるメディアアクセス制御のためのオーバー
ヘッドは極めて小さく、半2重モードのギガビットイー
サネット(R)で利用されるフレームバースティング
(数フレームの連続転送)時にも、ワイヤレス区間がボ
トルネックとなるのを回避してイーサネット(R)ネッ
トワークとの親和性を高めることができる。
ビットイーサネット(R)のアップリンクポート243
は、基地局1002の第1のインターフェイス1007
(図1)として機能し、ファーストイーサネット(R)
ポート242は第2のインターフェイス1008(図
1)として機能する。すなわち、基地局240の第1の
インターフェイスは、IEEE802.3zあるいは8
02.3ab規格に準拠する。ただし、同時にワイヤレ
スアクセスすることが可能なチャンネル数を1つに設定
する場合には、ファーストイーサネット(R)ポート2
42のいずれか1つが第1のインターフェイスとして用
いられ得る。同時にワイヤレスアクセスすることが可能
なチャンネル数が1つであるようなワイヤレス光通信シ
ステムは、例えば、家庭用途に用いられ得る。このよう
なワイヤレス光通信システムでは、複数の空間セルは、
複数の端末が同時にワイヤレスアクセスすることを可能
にする目的のためでなく、広いカバーエリアを達成する
目的のために設けられる。これにより、基地局240は
高速なイーサネット(R)対応のワイヤレススイッチと
して機能して、オフィスやSOHOにおけるLAN環境
を構成するサーバシステム、PC等デジタル機器との親
和性に優れた端末装置のアクセスポイントが提供され
る。従って、端末装置のワイヤレス光インターフェイス
が備える帯域幅を無駄にせずに、高速のダウンロード/
アップロード環境が実現され、新たなワイヤレス通信シ
ステムのアプリケーションの開発が促進される。
ては、実質のデータ転送速度を端末装置のワイヤレス光
インターフェイスのデータレート速度に近いものにする
ことができるという特徴を活かして、新規なコンテンツ
配信システムを構築することができる。このようなコン
テンツ配信システムを図36を参照して説明する。コン
テンツ配信システムにおいて、基地局を設けるのに好適
な空間としては、デジタルコンテンツを販売する情報キ
オスク等の店舗、あるいは従来のCDやDVDソフトパ
ッケージを販売する店舗が想定され、基地局を中心とし
た特定の範囲がサービスエリアとなる。
01を用いたコンテンツ配信システム1251の構成を
示す。コンテンツ配信システム1251は、ワイヤレス
光通信システム1001と、ストレージ・サーバシステ
ム254と、データベースセンター255(認証・課金
サイト)とを含む。ワイヤレス光通信システム1001
においては、図1に示される基地局1001として、図
35を参照して説明した基地局240が用いられてい
る。また、端末装置1003として、端末装置253が
用いられている。外部のデジタル機器1012として、
ストレージ・サーバシステム254が用いられている。
する店舗に設置される。
来店頭で販売されていたコンテンツは、全てストレージ
・サーバシステム254に蓄積され、ギガビットイーサ
ネット(R)によってネットワーク化されている。ワイ
ヤレスインターフェイスを備えた基地局240もストレ
ージ・サーバシステム254に接続されており、端末装
置253は基地局240にワイヤレスアクセスして、購
入したデジタルコンテンツを瞬時にダウンロードする。
能を有するモバイルフォン(携帯電話またはPHS)で
ある。端末装置253は、データ通信機能を含む電話機
能を内蔵したPDAやノートPC等であってもよい。端
末装置253は、携帯電話網257に接続することが可
能な接続部1254と、不揮発性記憶媒体1253とを
含む。端末装置253の接続部1254は、携帯電話網
257および/またはインターネット258を介して、
購入コンテンツ(基地局240から端末装置253に送
信されることが所望されるコンテンツ)のリクエスト
(購入申し込み)(A)をデータベースセンター255
に対して送信する。これに応答して、データベースセン
ター255はユーザの個人認証および決済/課金を行
う。接続部1254は、公知のモバイルフォンの技術に
より、携帯電話網にアクセス可能に構成されている。
プの後、データベースセンター255から、決済/課金
ステップが完了した旨と、購買されたコンテンツ内容と
を示す情報が、インターネット258経由でストレージ
・サーバシステム254に送信される(B)。
地局240を介して端末装置253にアクセス許可情報
が送信され、ディスプレイ1252に表示され、ユーザ
に確認される。あるいは、アクセス許可情報は、端末装
置253が有するモバイルフォンのデータ通信機能によ
って、データベースセンター255から端末装置253
に直接送信されてもよい(B’)。
端末装置253から基地局240を介してストレージ・
サーバシステム254にワイヤレス接続し、さらにスト
レージ・サーバシステム254との間で少なくとも個人
認証が再確認(C)された後、購買手続きの完了したさ
れたデジタルコンテンツが基地局240から端末装置2
53にダウンロードされる(D)。
は、端末装置253の不揮発性記憶媒体1253に記憶
され、ユーザが所望するタイミングで再生され得る。
ば、同時に複数のユーザに対してダウンロードを行うこ
とが可能であり、そのダウンロードにかかる時間は短
い。例えば、ダウンロードにかかる時間は、音楽CD1
枚をMP3フォーマットに変換して転送する場合で数秒
程度、MPEG2形式で収録されたDVD1枚をそのま
ま転送する場合でも1分程度である。販売サイトにおい
ては、カウンター等(図36には示されていない。図5
A参照)の端末装置253のための配置場所を予め空間
セルに適合させて配置することが可能である。これによ
り、ユーザは必ずしも転送時間中に端末装置253を保
持し続ける必要はない。従って、DVDに収録された映
画等の、端末装置253で再生することを想定されてい
ない(画面の小さい端末装置253で再生して鑑賞する
メリットがあまりない)コンテンツを端末装置253に
ダウンロードして家庭に持ち帰り、ホームサーバ(図3
6には示されていない、図34参照)にアップロードし
て大画面で鑑賞する、といった利用形態を実現すること
ができる。
は対照的に、いわゆるブロードバンドのインターネット
接続による各家庭へのオンライン配信システム等も検討
されている。本発明の配信システムでは、ダウンロード
が実際の店舗において行なわれるので、ユーザは、例え
ば、店舗内の高精細大画面ディスプレイで実際に試聴し
てからコンテンツを購入するか否かを判断でき、不所望
なコンテンツを購入してしまうというリスクを低減する
ことができる。このように、本発明の配信システムは、
家庭へのオンライン配信システムと比較して、ユーザに
とってのメリットが大きい。
ークを増強し、設置する基地局数を増加させれば、端末
装置への転送速度を損なうことなくユーザ数の増加に対
処することができる。このような利点は、ワイヤレス光
通信システム1001において、ワイヤレス区間のサー
ビスエリアが基地局周辺に限定されたユーザサイズの空
間セルであることに起因してもたらされる。
システム254は、必ずしも展開される全ての店舗サイ
トに構築する必要はない。店舗間を高速専用線や光ファ
イバ網で接続して、RAID対応のストレージ・サーバ
システム254に格納されるコンテンツを共有して基地
局を設置することによって情報キオスクの販売網を拡張
する利用形態も望ましい。
55における個人認証/本人認証は、モバイルフォンと
してのデータ通信機能やSIMカード等を利用して行わ
れ得る。この場合、ワイヤレス光通信システム1001
は、単にストレージ・サーバシステム254に直接ワイ
ヤレスアクセスすることが可能な高速インターフェイス
として利用されている。このような認証/課金プロセス
を有するコンテンツ配信システムは容易に構築すること
ができる。なぜなら、既存の認証/課金サイトまたはサ
ービスを利用することができるため、ワイヤレス光通信
システムの詳細にかかわらず実現できるからである。
は基地局周辺に限定され、ワイヤレス光通信システム1
001はユーザサイズの空間セルを備える空間多重型の
光通信システムであることから、第3者の盗聴またはな
りすましに対して非常に堅牢である。したがって、上記
の認証および課金のプロセスをワイヤレス光インターフ
ェイスを通じて行うことによって、コンテンツ配信シス
テムとしてのセキュリティをより強固に確実なものにで
きる。
を、これまでに詳しく説明してきた本願SDM/SDM
Aワイヤレス光通信システムのアクセス制御の枠組みの
上に構築することは比較的容易である。例えば、端末装
置253から基地局240側に、トレーニングシーケン
スへの応答として送られるパケット/フレームの一部
に、端末装置253からのユーザ認証および課金に関す
る情報を含めてもよい。基地局240自身、またはセキ
ュアな通信路を介して接続される認証/課金サイト25
5は、この情報に基づいて処理する。
3に通知されるべき、アクセスの継続許可および切断要
求などの情報は、基地局240から端末装置253への
トレーニングシーケンスに含められるのが最も望まし
い。認証および課金に関して予め定められたビットパタ
ーンを含むようトレーニングシーケンスを拡張すること
により、上記処理プロセスの効率さらにはデータ転送の
効率を格段に向上させることができる。尚、上記認証/
課金に関する情報は、前記トレーニングシーケンスまた
は他のプロトコルによるオーバヘッドを除いたペイロー
ド部分に含めて送受信されてもよい。しかしながら、こ
の場合には端末装置が全てのペイロードをフレーム/パ
ケット毎に毎回デコードすることになり、端末装置の処
理能力によっては実際のデータ転送および書込みがそれ
ほど高速には行えなくなる。
特にユーザサイズの空間セルを用いるワイヤレス光通信
システムにおいては、仮に暗号化によるセキュリティ強
化を行わないシステムであるとしても、確実に盗聴また
はなりすましを防止することができるため、端末装置も
含めて極めて低いトータルコストでコンテンツ配信シス
テムを構築することができる。
イヤレス光通信システム1001の典型的な利用形態
は、従来の光無線LANシステムやRF帯無線LAN等
とは大きく異なっている。すなわち、端末装置253の
ワイヤレス光インターフェイスが、基地局240とのリ
ンクを確立し認証等を行うプロセス、基地局240等に
対するリモートコントロールとして機能するプロセス、
データ転送等を行うプロセスの全てがごく短時間に終了
する(すなわちユーザの動作等が律則段階となる)の
で、ワイヤレスリンクを常時保持する必要がない。従っ
て、端末装置253は、ユーザのアクションあるいはス
トレージ・サーバシステム254の応答にあわせてワイ
ヤレス光インターフェイスをアクティブにする動作モー
ドに従って動作し得る。これにより、待機消費電力を低
減することができる。
度の指向性を有することが許容される。また、ワイヤレ
ス光インターフェイスは見通し通信を前提として設計さ
れ得る。これにより、ワイヤレス光インターフェイスに
要求される設計条件が緩和される。 コンテンツ配信シ
ステム1251において、コンテンツ販売店舗あるいは
情報キオスクのシステム構築に要する初期投資および維
持管理コストは、膨大なディスクパッケージを常に流通
/在庫させる従来の配信システムに比較して非常に低減
される。従って、版権者/著作権者と流通業者とが負担
するコストがともに削減される。コストが削減されるこ
とにより、サービスが向上する等のユーザにとってのメ
リットが生じる。
おいては、デジタルコンテンツがインターネットに直接
流出するわけではないので、版権者/著作権者が不利益
を披る可能性は皆無に等しい。ただし、購入後のコンテ
ンツの不正コピー対策は、不揮発性記憶媒体1253の
仕様に依存する。データベースセンター255におい
て、コンテンツ購入時にコピー情報を管理することは、
不正コピーに関する問題の望ましい解決手段の1つであ
る。
セルの構成、基地局が備えるデジタル通信インターフェ
イス(第1のインターフェイス)、端末装置の利用シー
ン等の組み合わせは、現段階あるいは比較的近い将来に
おけるホームネットワークやSOHO環境で最適なワイ
ヤレスアクセス手段となる。しかしながら、図32〜図
36に示される利用形態によって、本発明のワイヤレス
光通信システム1001の利用形態が限定されることを
出願人は意図していない。個々の具体例において説明し
た構成要素は、本明細書中の教示に基づいて、適宜変更
され得る。例えば、デジタル通信インターフェイスとし
て、FDDI(Fiber Distributed
Data Interface)やファイバチャネル、
FC−ALスイッチによるSAN(Storage A
rea Network)、さらにはATMスイッチを
基地局に備えたATMネットワークヘのワイヤレスアク
セス環境など、様々な帯域占有型ワイヤレス光SDM/
SDMA通信システムを構成することが可能である。
信システム1001は、家庭や店舗等のさまざまな場所
で、様々な用途に使用し得る。以下、ワイヤレス光通信
システム1001を家庭内ネットワークに適用する場合
のオプションについて説明する。
ては、基地局1002の角度分解型受信機1005は、
相対的に大口径のレンズシステム710とアレイ素子7
11を用いて構成される(図3)。これは、アップリン
クにおける高いSNRを実現し、端末装置のワイヤレス
光インターフェイスどうしの通信距離の数倍以上にわた
る実用的な広いカバーエリアを実現するためである。し
かしながら、角度分解型受信機1005は、この構成に
より、動作時の消費電力が大きくなりがちである。ワイ
ヤレス光通信システム1001が家庭内ネットワークに
適用される場合、ワイヤレス光通信システム1001を
使用しない時には角度分解型受信機1005を停止また
は休止状態にすることが省電力化の観点から望ましい。
角度分解型受信機1005が停止または休止状態にある
場合に、角度分解型受信機1005を動作状態へと遷移
させるためには(すなわち、基地局1002を起動させ
るためは)、角度分解型受信機1005の使用を前提と
せずに、別のリモートコントロール機能が必要である。
003(図1)は、ワイヤレス光インターフェイスより
も低速の、端末装置1003から基地局1002を起動
する際に使用するリモートコントロール通信機能を備え
ることが好ましい。ここで、起動とは、休止状態からの
復帰も含む。このリモートコントロール通信機能には、
既存の赤外線リモコンの規格が採用されてもよいし、R
F帯の無線通信が採用されてもよい。このリモートコン
トロール通信機能に関しては、端末装置1003が送信
機能だけを有し、基地局1002は受信機能だけを有し
ていれば十分である。図1に示される起動部2015
は、基地局1002が有するそのような受信機能を実現
する。起動部2015はワイヤレス通信(例えば、既存
の赤外線リモコンの規格に従う通信またはRF帯の無線
通信)を介して所定の起動信号を受け取り、基地局10
02は、起動部2015が所定の起動信号を受け取るこ
とに応答して起動する。
して専用の端末(基地局1002を起動させるためにの
み使用される端末)が存在してもよい。しかしながら、
端末装置1003の送信機光源および光学系(図13に
示される光送信機光源100)を共用するソフトウェア
ベースの赤外線リモートコントロール機能が端末装置1
003に備えられることにより、家庭内において端末装
置1003にアクセスポイントを提供するワイヤレス光
通信システム1001の利便性は一段と向上する。
範囲として規定される数値は、端末装置の受信機視野角
の設定範囲のみならず他の全ての項目において、各部品
等の設計・製造段階における典型値(Typical
値、Typ.値)に対して求められる範囲を指してい
る。通常、典型値に対して許容される最大値や最小値の
範囲に特性は分布するものである。典型値が本願の特許
請求の範囲として規定される数値範囲に含まれれば、個
別の各部品等が本願の特許請求の範囲として規定される
数値範囲をわずかに逸脱していても本発明に含まれるこ
とは言うまでもない。逆に、実際に使用される各部品は
選別されており、本願の特許請求の範囲として規定され
る数値範囲に含まれる特性を有するが、各部品の典型値
はその数値範囲に含まれない場合等も同様である。
イヤレス光通信システムにおいて用いられる端末装置
は、複数のダウンリンク信号光のうち、少なくとも1つ
が入射する受信回路を備える。受信回路は、少なくとも
1つのダウンリンク信号光が入射し、前記少なくとも1
つのダウンリンク信号光の強度を示す電気信号を出力す
る光電変換増幅部と、電気信号のピーク値およびボトム
値を検出する検出部と、ピーク値とボトム値と電気信号
とに基づいて、少なくとも1つのダウンリンク信号光の
うち強度振幅が最大であるダウンリンク信号光が搬送す
る情報を取得する、取得部とを含む。
ことにより、端末装置は、複数のダウンリンク信号光か
ら1つのダウンリンク信号光を受信回路104において
誤りなく分離することができる。これにより、1つの端
末装置は、1つの空間セルにおいて、その空間セルに割
り当てられた帯域を占有して基地局との通信を行うこと
ができ、高速な空間分割多重/空間分割多元ワイヤレス
光通信システムが実現される。
機能を有していることに起因して、基地局が複数のダウ
ンリンク信号光を送信するための光源に要求される放射
角度分布特性への条件が緩和される。このために、基地
局のコストが低減され、コストパフォーマンスに優れた
空間分割多重/空間分割多元ワイヤレス光通信システム
が実現される。
ヤレス光通信システムにおいて用いられる基地局は、こ
の基地局を介して端末装置をデジタル機器に接続する。
この基地局は、複数のビーム光源を含むマルチビーム送
信機と、角度分解型の光受信機と、デジタル機器に接続
するための第1のインターフェイスとを備えている。複
数のビーム光源のそれぞれの指向方向は、予め定められ
た大きさの複数の空間セルを形成するために、互いに異
なる特定の方向に設定されている。このように、空間が
セルに分割されて、1つの空間セルは1つのビーム光源
が割り当てられる。端末装置は、収容された空間セルに
割り当てられたチャンネル(空間チャンネル)の帯域を
占有して基地局と双方向通信を行うことが可能になる。
このため、高速な空間分割多重/空間分割多元ワイヤレ
ス光通信システムが実現される。
ずに、マルチビーム送信機によって複数の空間セルを形
成している。このため、基地局のコストを低減すること
が可能になり、コストパフォーマンスに優れた空間分割
多重/空間分割多元ワイヤレス光通信システムが実現さ
れる。
ステム1001の構成を示すブロック図である。
006の配置を示す図である。
の周辺回路および角度分解型受信機1005の周辺回路
の構成の例を示す図である。
家庭内で使用する場合に好適に採用され得る空間セルの
配置例を示す図である。
いて複数のユーザが頻繁に同時にアクセスする環境にお
ける空間セルの配置の例を示す図である。
いて複数のユーザが頻繁に同時にアクセスする環境にお
ける空間セルの配置の例を示す図である。
す図である。
す図である。
20の放射角度分布特性を示す図である。
20の放射角度分布特性を示す図である。
ある一般化ランバーシアン光源を用いて単独の空間セル
にビーム光を照射する例を示す図である。
001の1つのビーム光源720に要求される光出力
と、定数Cとの関係を示す図である。
を最小化するC_minの値と、空間セルの広がり角θ
との関係を示す図である。
ム光源720の指向半値全角φtの値が大きい場合のデ
ッドゾーンを示す図である。
ム光源720の指向半値全角φtの値が小さい場合のデ
ッドゾーンを示す図である。
3次元空間のカバーエリアに対して占める割合と、定数
Cとの関係を示す図である。
す図である。
04から送信されるダウンリンク信号光の平面V上での
等光強度線を示す図である。
空間セルの内部の点Pにおける光強度を示す図である。
路104(受信フロントエンド)のブロック図である。
1からなる受光部が本来有する受光感度と波長との関係
を示す図である。
の誘電体多層膜を用いた場合の、透過率と波長との関係
を示す図である。
図的に標的に差し向ける際の角度ずれの確率密度分布の
測定例を示す図である。
図的に標的に差し向ける際の角度ずれの確率密度分布の
測定例を示す図である。
において用いられ得るフォトダイオードアレイ素子50
0を示す図である。
テム505との位置関係を示す図である。
型受信機1005のレンズシステム710の開口に入射
し、アレイ受光素子500の表面に形成するスポット5
08を示す図である。
と、角度分解型受信機1005の分解能Δφr(i)と
の関係を示す図である。
る。
−1と、基地局から近い位置にある端末装置1003−
2とからのアップリンク信号光によって、角度分解型受
信機1005のアレイ素子711の受光面上に形成され
る光スポットを示す図である。
に示すための表示装置を備えた基地局140の使用形態
を示す図である。
ーションである基地局140aの前面を示す図である。
るLEDの放射角度分布特性を示す図である。
位置制御が行われる例を示す図である。
位置制御が行われる他の例を示す図である。
位置制御が行われる他の例を示す図である。
位置制御が行われる他の例を示す図である。
1)とに送信される互いに逆相の信号シーケンスと、そ
れらの信号シーケンスが重畳された信号シーケンスとを
示す図である。
と高い親和性で接続し得る基地局210を示す図であ
る。
IEEE1394規格との親和性が高い家庭内ネットワ
ークを構成した例を示す図である。
IEEE1394規格との親和性が高い家庭内ネットワ
ークを構成した例を示す図である。
で接続することができる基地局240の構成を示す図で
ある。
コンテンツ配信システム1251の構成を示す図であ
る。
Network Unit)の構成を示すブロック図
である。
号波形と、それらの光バースト信号がスターカプラを経
て時分割多重化され、局側のOSUあるいはOLTで受
信された場合の受信信号の信号波形とを示す図である。
Claims (22)
- 【請求項1】 情報を搬送する複数のダウンリンク信号
光を送信する基地局とともに用いられるワイヤレス光イ
ンターフェイスを備えた端末装置であって、 前記ワイヤレス光インターフェイスは、 前記複数のダウンリンク信号光のうち、少なくとも1つ
が入射する受信回路を含み、前記受信回路は、 前記少なくとも1つのダウンリンク信号光が入射し、前
記少なくとも1つのダウンリンク信号光の強度を示す電
気信号を出力する光電変換増幅部と、 前記電気信号のピーク値およびボトム値を検出する検出
部と、 前記ピーク値と前記ボトム値と前記電気信号とに基づい
て、前記少なくとも1つのダウンリンク信号光のうち強
度振幅が最大であるダウンリンク信号光が搬送する前記
情報を取得する、取得部とを含む、端末装置。 - 【請求項2】 前記光電変換増幅部は、前記少なくとも
1つのダウンリンク信号光のクロック周波数以下の帯域
において、実質的に群遅延平坦な特性を有する帯域制限
フィルタを含み、前記光電変換増幅部と前記検出部と前
記取得部とは直流結合される、請求項1に記載の端末装
置。 - 【請求項3】 前記複数のダウンリンク信号光のそれぞ
れは、所定の波長を有するレーザ光であり、前記端末装
置は、前記受信回路の受信視野半値全角の範囲内に入射
する前記所定の波長を有するレーザ光を遮断しない特性
を有する光学的バンドパスフィルタをさらに備え、前記
光電変換増幅部には、前記光学的バンドパスフィルタを
介して前記少なくとも1つのダウンリンク信号光が入射
する、請求項1に記載の端末装置。 - 【請求項4】 前記受信回路の受信視野半値全角は、1
0°以上30°以下である、請求項1に記載の端末装
置。 - 【請求項5】 前記端末装置は、 不可逆的に圧縮符号化されたデジタルオーディオ・ビデ
オデータを記憶する不揮発性記憶媒体と、 前記デジタルオーディオ・ビデオデータを再生する再生
部とをさらに備えた、請求項1に記載の端末装置。 - 【請求項6】 前記端末装置は、 不可逆的に圧縮符号化されたデジタルオーディオ・ビデ
オデータを生成するデータ生成部と、 前記デジタルオーディオ・ビデオデータを記憶する不揮
発性記憶媒体とをさらに備えた、請求項1に記載の端末
装置。 - 【請求項7】 前記端末装置は、携帯電話網にアクセス
可能に構成された接続部をさらに備え、 前記接続部は、前記携帯電話網を介してデータベースセ
ンターに、前記基地局から前記端末装置に送信されるこ
とが所望されるコンテンツの購入申し込みを送信する機
能を有する、請求項1に記載の端末装置。 - 【請求項8】 前記基地局が送信するトレーニングシー
ケンスは、前記ワイヤレス光インターフェイスを有する
端末装置のユーザ認証および課金処理に関する情報を含
み、該情報に基づいて前記端末装置のユーザが所望する
コンテンツの購入申し込みが送信される、請求項1に記
載の端末装置。 - 【請求項9】 ワイヤレス光インターフェイスを備える
端末装置とともに用いられ、前記端末装置を基地局を介
してデジタル機器に接続するための基地局であって、 複数のビーム光源を含むマルチビーム送信機と、 角度分解型の光受信機と、 前記デジタル機器に接続するための第1のインターフェ
イスとを備え、 前記複数のビーム光源のそれぞれの指向方向は、予め定
められた大きさの複数の空間セルを形成するために、互
いに異なる特定の方向に設定されている、基地局。 - 【請求項10】 前記基地局は、前記複数の空間セルの
配置を反映して構成される少なくとも1つの表示要素を
含む表示装置をさらに備え、 前記少なくとも1つの表示要素は、前記複数の空間セル
の1つの空間セルに前記端末装置が収容されているか否
かを表示する、請求項9に記載の基地局。 - 【請求項11】 前記マルチビーム送信機は、前記複数
の空間セルの少なくとも1つに向けてトレーニングシー
ケンスを送信し、 前記端末装置は、前記トレーニングシーケンスの受信結
果に基づいて、前記端末装置の現在の位置において前記
基地局との双方向通信を開始することの適否を判定す
る、請求項9に記載の基地局。 - 【請求項12】 前記複数のビーム光源のそれぞれの指
向半値全角φtは、前記複数の空間セルのうち対応する
空間セルの広がり角θと、0.5≦C≦1.3の範囲の
定数Cとに対して、φt=C・θという関係を満たし、 前記トレーニングシーケンスは、前記複数の空間セルの
全てに向けて送信される、請求項11に記載の基地局。 - 【請求項13】 前記複数の空間セルは、前記端末装置
が収容されている第1の空間セルと、前記端末装置が収
容されていない空間セルであって、前記第1の空間セル
に隣接する第2の空間セルとを含み、 前記マルチビーム送信機は、前記第1の空間セルに向け
て前記トレーニングシーケンスを第1の光出力で送信
し、前記第2の空間セルに向けて前記トレーニングシー
ケンスを前記第1の光出力よりも低い第2の光出力で送
信する、請求項12に記載の基地局。 - 【請求項14】 前記複数のビーム光源のそれぞれの指
向半値全角φtは、前記複数の空間セルのうち対応する
空間セルの広がり角θと、0.5≦C≦0.9の範囲の
定数Cとに対して、φt=C・θという関係を満たし、 前記トレーニングシーケンスは、前記複数の空間セルの
うち、前記端末装置が収容されている空間セルのみに向
けて送信される、請求項11に記載の基地局。 - 【請求項15】 前記複数のビーム光源のそれぞれの指
向半値全角φtは、前記複数の空間セルのうち対応する
空間セルの広がり角θと、1.0≦C≦1.3の範囲の
定数Cとに対して、φt=C・θという関係を満たし、 前記トレーニングシーケンスは、前記複数の空間セルの
全てに向けて送信され、前記トレーニングシーケンス
は、デューティー比が実質的に50%に等しい矩形周期
波を含み、前記矩形周期波は、前記複数の空間セルのう
ち、互いに隣接する2つの空間セルに向けて互いに逆相
で送信される部分と同相で送信される部分とを含む、請
求項11に記載の基地局。 - 【請求項16】 前記第1のインターフェイスの通信速
度は、前記端末装置が備える前記ワイヤレス光インター
フェイスの通信速度よりも高い、請求項9に記載の基地
局。 - 【請求項17】 前記複数の空間セルの数jは2≦j≦
16の範囲であり、前記基地局は、 前記端末装置が有する前記ワイヤレス光インターフェイ
スの通信速度と実質的に等しい通信速度を有する第2の
インターフェイスをさらに備え、 前記ワイヤレス光インターフェイスの通信速度のj倍
と、前記第2のインターフェイスの通信速度との合計
は、前記第1のインターフェイスの通信速度と実質的に
等しいか、より小さい、請求項16に記載の基地局。 - 【請求項18】 前記第1のインターフェイスは、IE
EE1394規格群のいずれかに準拠し、前記マルチビ
ーム送信機は、予め定められた周期で前記トレーニング
シーケンスを送信し、 前記一定周期Tcは、Tc=125/Z(μs)(Zは
自然数または自然数の逆数)を満たす、請求項11に記
載の基地局。 - 【請求項19】 前記第1のインターフェイスは、IE
EE802.3zあるいは802.3ab規格に準拠す
る、請求項9に記載の基地局。 - 【請求項20】 前記基地局は、前記角度分解型の光受
信機とは独立にワイヤレス通信を介して所定の起動信号
を受け取る起動部をさらに備え、 前記基地局は、前記起動部が前記所定の起動信号を受け
取ることに応答して起動する、請求項9に記載の基地
局。 - 【請求項21】 前記トレーニングシーケンスは、前記
ワイヤレス光インターフェイスが提供する帯域幅を動的
に前記端末装置および前記基地局に割り当てるための制
御情報を含む、請求項11乃至15に記載の基地局。 - 【請求項22】 前記トレーニングシーケンスは、前記
ワイヤレス光インターフェイスを通じて、前記端末装置
のユーザ認証および課金に関する情報を含み、該情報に
基づいて該端末装置のユーザが所望するコンテンツの購
入申し込みが送信される、請求項11乃至15に記載の
基地局。
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