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JP2003055711A - 鋼部材の表面処理方法およびその焼入れ部品 - Google Patents

鋼部材の表面処理方法およびその焼入れ部品

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Publication number
JP2003055711A
JP2003055711A JP2001246924A JP2001246924A JP2003055711A JP 2003055711 A JP2003055711 A JP 2003055711A JP 2001246924 A JP2001246924 A JP 2001246924A JP 2001246924 A JP2001246924 A JP 2001246924A JP 2003055711 A JP2003055711 A JP 2003055711A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel member
quenching
temperature
shot peening
surface treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001246924A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuyuki Oda
和幸 織田
Yukio Arimi
幸夫 有見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2001246924A priority Critical patent/JP2003055711A/ja
Publication of JP2003055711A publication Critical patent/JP2003055711A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋼部材をオーステナイト化温度以上に急速加熱
し、続いて焼入れを施す工程の前段階において、鋼部材
にショットピーニングを施すことで、鋼部材の表面を塑
性加工または鋼部材に圧縮残留応力を付与することがで
き、このショットピーニング後に上記温度以上に急速加
熱して焼入れを行なうことで、より一層微細で、かつ安
定したオーステナイト結晶粒を確保することができ、疲
労強度の向上を図ることができる鋼部材の表面処理方法
の提供を目的とする。 【解決手段】鋼部材の表面処理方法であって、上記鋼部
材を浸炭焼入れまたは浸炭窒化焼入れする浸炭工程S1
と、上記鋼部材にショットピーニングを施すショットピ
ーニング工程S2と、上記ショットピーニングの後、上
記鋼部材をオーステナイト化温度以上に急速加熱し、続
いて焼入れを施す焼入れ工程S3とを備えたことを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばデファレ
ンシャルギヤやピニオンギヤなどのギヤまたは、その他
の動力伝達部材のように耐摩耗性、耐疲労強度が要求さ
れるような鋼部材の表面処理方法およびその焼入れ部品
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に上述例の鋼部品には、ねじれ疲労
強度、引張疲労強度、曲げ疲労強度、面圧疲労強度、並
びに耐摩耗性が要求され、特にデファレンシャルギヤや
ピニオンギヤなどの動力伝達部品については、より一層
高い耐摩耗性および耐疲労性が要求される。そこで、従
来、特開平7−316640号公報に記載のような鋼部
材の表面処理方法が既に発明されている。
【0003】この表面処理方法は、低炭素鋼からなる素
材をオーステナイト化温度以上に加熱して浸炭処理を施
した後に、オーステナイト化温度未満に冷却し、この冷
却された素材をオーステナイト化温度以上に急速加熱
し、続いて焼入れ処理(高周波焼入れ処理)を施すもので
ある。
【0004】この従来の表面処理方法によれば、浸炭処
理により素材表面の硬さを高めて、耐摩耗性の向上を図
ることができると共に、上述の焼入れ処理によりオース
テナイト結晶粒の微細化を図って、耐疲労強度を高める
ことができる。しかし、近年、上述の表面処理方法によ
る耐摩耗性および耐疲労強度に対して、さらに高い耐摩
耗性、耐疲労強度が要求されつつある。
【0005】一方、特開平10−231908号公報に
は鋼部材に浸炭焼入れを施し、その後、該鋼部材に高周
波焼入れ、焼もどしを施した後に、ショットピーニング
を行なう鋼部材の表面処理方法が開示されているが、高
周波焼入れの後にショットピーニング処理を施しても、
結晶粒の微細化には何等寄与しないものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、鋼部材を
オーステナイト化温度以上に急速加熱し、続いて焼入れ
を施す工程の前段階において、鋼部材にショットピーニ
ングを施すことで、鋼部材の表面を塑性加工または鋼部
材に圧縮残留応力を付与することができ、このショット
ピーニング後に上記温度以上に急速加熱して焼入れを行
なうことで、より一層微細で、かつ安定したオーステナ
イト結晶粒を確保することができ、疲労強度の向上を図
ることができる鋼部材の表面処理方法の提供を目的とす
る。
【0007】この発明はまた、オーステナイト結晶粒が
微細化し、疲労強度の向上を図った鋼部材(部品)を得る
ことができる焼入れ部品の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明による鋼部材の
表面処理方法は、上記鋼部材を浸炭焼入れまたは浸炭窒
化焼入れする浸炭工程と、上記鋼部材にショットピーニ
ングを施すショットピーニング工程と、上記ショットピ
ーニングの後、上記鋼部材をオーステナイト化温度以上
に急速加熱し、続いて焼入れを施す焼入れ工程とを備え
たものである。上記構成のショットピーニングは、エア
ノズルによるショットピーニングであってもよく、また
はインペラによるショットピーニングであってもよい。
【0009】上記構成によれば、浸炭工程で鋼部材が浸
炭焼入れ、または浸炭窒化焼入れされるので、鋼部材の
表面の硬さが高まり、耐摩耗性の向上を図ることができ
る。しかも、上記焼入れ工程の前段階において、鋼部材
にショットピーニングを施すので、この鋼部材の表面を
塑性加工または鋼部材に圧縮残留応力を付与することが
でき、このショットピーニング工程の後に、鋼部材をオ
ーステナイト化温度以上に急速加熱し、続いて焼入れを
行なうので、同じ条件で焼入れを行なっても上記ショッ
トピーニング処理を施さないものと比較して、オーステ
ナイト結晶粒がより一層微細化されて、疲労強度の向上
を図ることができる。
【0010】この発明の一実施態様においては、上記焼
入れ工程は高周波加熱による焼入れ工程に設定されたも
のである。上記構成によれば、低温短時間加熱を行なう
ことができる。
【0011】この発明の一実施態様においては、上記急
速加熱の温度は830〜1100℃の範囲に設定された
ものである。上記構成によれば、急速加熱の温度を上記
範囲に設定したので、確実なオーステナイト化が得ら
れ、より一層良好なオーステナイト結晶粒の微細化を図
ることができる。
【0012】すなわち、急速加熱の温度が830℃未満
の場合には、オーステナイト化温度に達しない反面、1
100℃を超過する場合には、ショットピーニングによ
る結晶粒微細化の効果が得られないので、上記温度範囲
とするものである。なお、上記温度範囲を880〜11
00℃とし、浸炭層内部までオーステナイト化すること
が望ましい。
【0013】この発明による焼入れ部品は、鋼部材に表
面処理が施された焼入れ部品であって、上記鋼部材に浸
炭焼入れまたは浸炭窒化焼入れが施された後に、ショッ
トピーニングが施され、その後、上記鋼部材をオーステ
ナイト化温度以上に急速加熱し、続いて焼入れが施され
たものである。
【0014】上記構成によれば、鋼部材は、まず浸炭焼
入れ、または浸炭窒化焼入れされるので、の表面の硬さ
が高まり、耐摩耗性の向上を図ることができる。しか
も、上記焼入れ処理の前段階において、鋼部材にショッ
トピーニングを施すので、この鋼部材の表面を塑性加工
または鋼部材に圧縮残留応力を付与することができ、こ
のショットピーニング処理の後に、鋼部材をオーステナ
イト化温度以上に急速加熱し、続いて焼入れを行なうの
で、同じ条件で焼入れを行なっても上記ショットピーニ
ング処理を施さないものと比較して、オーステナイト結
晶粒がより一層微細化されて、疲労強度の向上を図るこ
とができ、特に高い耐摩耗性、耐疲労強度が要求される
動力伝達部材に有効となる。
【0015】
【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳
述する。図面は鋼部材の表面処理方法およびその焼入れ
部品を示し、まず図1に示す組成の鋼部材(JIS S
CM420に相当するクロムモリブデン鋼)を準備す
る。
【0016】すなわち、上述の鋼部材は、C(炭素)=
0.18wt%、Si(ケイ素)=0.11wt%、Mn(マ
ンガン)=0.73wt%、P(リン)=0.014wt%、
S(イオウ)=0.021wt%、Cr(クロム)=1.10
wt%、Mo(モリブデン)=0.39wt%、Al(アルミ
ニウム)=0.034wt%、Nb(ニオブ)=0.035w
t%、N(窒素)=0.014wt%、残部Fe(鉄)の材料
化学成分を有する。
【0017】この実施例は上記組成の鋼部材(低炭素鋼)
を表面処理するものであるが、図2に示す浸炭工程S1
で、上記鋼部材を浸炭焼入れ、または浸炭窒化焼入れ
(浸炭と窒化とを同時に行なう焼入れ)する。
【0018】この浸炭焼入れ、または浸炭窒化焼入れ
は、図3にそのヒートパターンを示すように、浸炭温度
950℃、浸炭時間60分で、カーボンポテンシャル
(表面炭素濃度)Cp=1.2%を目標として浸炭処理し
た後に、拡散温度950℃、拡散時間40分で、カーボ
ンポテンシャル(表面炭素濃度)Cp=1.0%を目標と
して拡散処理し、次に焼入れ温度850℃にて鋼部材を
冷却温度120℃の焼入れオイルに浸漬して、焼入れを
行なう。この浸炭焼入れ、または浸炭窒化焼入れにより
鋼部材の表面の硬さが高まり、耐摩耗性の向上を図るこ
とができ、また次工程のショットピーニングに対抗して
得る表面硬さが確保できる。
【0019】なお、上述の浸炭温度は900〜1000
℃浸炭深さは0.4mm以上、カーボンポテンシャル(表
面炭素濃度)は0.6〜1.2%の範囲に調整すること
ができる。
【0020】次に、図2に示す工程図のショットピーニ
ング工程S2で、上記浸炭焼入れ、または浸炭窒化焼入
れ後の鋼部材に対して、ショットピーニング処理を施
す。このショットピーニング処理は、図4に説明図で示
すように鋼部材10(但し、図示の便宜上、テストピー
スとしてのワークを示す)にエアノズルタイプのショッ
トピーニング装置におけるノズル11を対向させ、エア
圧5MPa、投射材としてビッカース硬さがHv700
で、かつ直径が0.6〜0.8mmφの鋼球(ショット材)
を用い、上記鋼部材10を図4の矢印方向に回転させな
がらカバレージ300%以上になるように鋼球を投射す
る。このショットピーニング処理により鋼部材110の
表面がムラなく塑性加工または鋼部材10に均一に圧縮
残留応力を付与することができる。
【0021】ここで、鋼球の直径は0.6〜0.8m
mφ、硬さはHv600〜800、投射速度は50m/sec
以上、カバレージは300%以上、アークハイトは0.
5〜1.1mmAの範囲内で任意に選定することができ
る。また図4のエアノズルタイプのショットピーニング
装置に代えて図5に示すインペラ式の投射器12を用い
て上述と同等のショットピーニング処理条件を確保する
ように成してもよい。
【0022】次に、図2に示す工程図の高周波焼入れ工
程S3で、ショットピーニング処理終了後の鋼部材10
をオーステナイト化温度(オーステナイトの一相のみと
なる温度)以上に急速加熱し、続いて焼入れを施す。
【0023】ここで、上述のオーステナイト化温度は鋼
部材10中の炭素量により異なり、図1で示す組成の鋼
部材10は炭素量が0.18wt%の低炭素鋼であるか
ら、図6に変態線図(鉄・炭素系平衡状態図)で示す如く
830℃となる。つまりAC3変態点(いわゆるGS線
で、Gは911℃のポイント、Sは共折点で炭素量0.
765%に相当する)オーステナイト化温度となる。
【0024】そこで、この実施例では図7にヒートパタ
ーンを示すように、浸炭層内部までオーステナイト化さ
せるためにAC3変態点の830℃よりさらに高温の8
30℃まで急速加熱し、この急速加熱につづいて鋼部材
10を冷却温度120℃の焼入れオイルに浸漬して、焼
入れを行なう。
【0025】しかも、上述の高周波焼入れ工程S3で
は、高周波誘導加熱装置を用いて、鋼部材10を高周波
加熱し、これにより低温短時間加熱を達成する。なお、
上述の高周波加熱による鋼部材10の加熱温度は830
〜1100℃の範囲、望ましくは880〜1100℃の
範囲に調整することができる。
【0026】次に、図2に示す工程図の焼戻し工程S4
で、高周波焼入れ処理終了後の鋼部材10を焼戻し処理
する。この焼戻し処理は図8にヒートパターンを示すよ
うに、焼戻し温度180℃で、120分間鋼部材10を
加熱した後に、空冷して該鋼部材10のじん性向上を図
るものである。
【0027】具体的には図4、図5で示したテストピー
スとしてのワークに代えて、図2に示す各工程S1,S
2,S3,S4により図9に示すような焼入れ部品とし
てのデフピニオン13(動力伝達部材)が表面処理され
る。
【0028】次に本実施例の表面処理方法による鋼部材
10,13と、比較例の鋼部材とのオーステナイト結晶
粒度の関係を比較するために、図2の工程S1〜S4に
より表面処理した本実施例の鋼部材10,13と、図2
の工程中、ショットピーニング工程S2を省略した比較
例の鋼部材とを設けて、高周波加熱温度に対するオース
テナイト結晶粒度を実測した結果を図10に示す。
【0029】ここに、GCNOは粒度ナンバのことで、
粒度ナンバが大きい程、結晶粒度が小さいことを示して
いる。また高周波加熱温度を低くする程、オーステナイ
ト結晶粒度が小さくなる。
【0030】しかも高周波焼入れの前段階でショットピ
ーニング処理を施した本実施例のもの(図10に○印で
示す)は、ショットピーニング処理を施さない比較例の
もの(図10において四角印にハッチングを施して示す)
に対して、特に低温側でオーステナイト結晶粒度が微細
になっており、絶対温度1173K(900℃)以下の温
度領域ではオーステナイト結晶粒度GCNO14以上が
可能となった。
【0031】次に本実施例の表面処理方法による鋼部材
と、比較例の鋼部材との曲げ応力を比較するために、ま
ず図11に示すようなテストピース14(回転曲げ疲労
試験片)を形成した。このテストピース14は直径15m
mφで長さが80mmの丸棒状の中央部に凹部14a(いわ
ゆるノッチ)が形成されたものである。
【0032】そして、上述のテストピース14に対して
図2の工程S1〜S4により表面処理した本実施例のも
のと、図2の工程中、ショットピーニング工程S2を省
略した比較例のものと、浸炭処理のみを施した比較例の
ものとを設け、図11に示すテストピース14の両端を
治具でチャックし、凹部14aの上方から荷重を付加し
て、回転曲げ疲労試験を実施した結果を図12に示す。
【0033】図12は横軸にテストピース14が凹部1
4aから破損するリサイクル数をとり、縦軸に曲げ応力
をとったもので、横軸は寿命比に相当し、縦軸は強度比
に相当する。
【0034】浸炭処理のみを施した比較例のものを黒丸
印で示し、浸炭処理の後にショットピーニングを行なう
ことなく高周波焼入れ処理した比較例のものを丸印にハ
ッチングを施して示し、本実施例のものを白丸印で示し
ている。
【0035】図12から明らかなように、高周波焼入れ
の前段階でショットピーニング処理を施した本実施例の
ものは、何れの比較例のものと比較しても曲げ疲労強度
が大幅に向上している。
【0036】図13はビッカース硬さを比較するため
に、図2の工程S1〜S4により表面処理した本実施例
のものと、図2の工程中、ショットピーニング工程S2
を省略した比較例のものと、浸炭処理のみを施した比較
例の鋼部材を設けて、それぞれのビッカース硬さを実測
した結果を示す。
【0037】この図13において浸炭処理のみを施した
比較例のものは黒丸印で示し、浸炭処理の後にショット
ピーニングを行なうことなく高周波焼入れ処理した比較
例のものを丸印にハッチングを施して示し、本実施例の
ものを白丸印で示している。
【0038】ビッカース硬さにおいては、浸炭処理の後
に高周波焼入れ処理とを施した比較例のものと、本実施
例のものとでは大差は認められなかった。一方、浸炭処
理のみを施した比較例の鋼部材のオーステナイト結晶粒
度はGCNO=9、浸炭処理に高周波焼入れを行なった
比較例の鋼部材の鋼部材のオーステナイト結晶粒度はG
CNO=11、高周波焼入れ処理の前段階でショットピ
ーニング処理を施した本実施例の鋼部材のオーステナイ
ト結晶粒度はGCNO=14で、オーステナイト結晶粒
が微細化し、疲労度が向上する。
【0039】このように上記実施例の鋼部材の表面処理
方法は、上記鋼部材を浸炭焼入れまたは浸炭窒化焼入れ
する浸炭工程S1と、上記鋼部材にショットピーニング
を施すショットピーニング工程S2と、上記ショットピ
ーニングの後、上記鋼部材をオーステナイト化温度以上
に急速加熱し、続いて焼入れを施す焼入れ工程S3とを
備えたものである。
【0040】この構成によれば、浸炭工程S1で鋼部材
が浸炭焼入れ、または浸炭窒化焼入れされるので、鋼部
材の表面の硬さが高まり、耐摩耗性の向上を図ることが
できる。しかも、上記焼入れ工程S3の前段階におい
て、鋼部材にショットピーニングを施すので、この鋼部
材の表面を塑性加工または鋼部材に圧縮残留応力を付与
することができ、このショットピーニング工程S2の後
に、鋼部材をオーステナイト化温度以上に急速加熱し、
続いて焼入れを行なうので、同じ条件で焼入れを行なっ
ても上記ショットピーニング処理を施さないものと比較
して、オーステナイト結晶粒がより一層微細化されて、
疲労強度の向上を図ることができる。
【0041】また、上記焼入れ工程S3は高周波加熱に
よる焼入れ工程に設定されたものである。この構成によ
れば、低温短時間加熱を行なうことができる。
【0042】さらに、上記急速加熱の温度は830〜1
100℃の範囲に設定されたものである。この構成によ
れば、急速加熱の温度を上記範囲に設定したので、確実
なオーステナイト化が得られ、より一層良好なオーステ
ナイト結晶粒の微細化を図ることができる。
【0043】すなわち、急速加熱の温度が830℃未満
の場合には、オーステナイト化温度に達しない一方、1
100℃を超過する場合には、ショットピーニングによ
る結晶粒微細化の効果が得られないので、上記温度範囲
とするものである。なお、上記温度範囲を880〜11
00℃とし、浸炭層内部までオーステナイト化すること
がより一層望ましい。
【0044】また、上記実施例による焼入れ部品(デフ
ピニオン13参照)は、鋼部材に表面処理が施された焼
入れ部品であって、上記鋼部材に浸炭焼入れまたは浸炭
窒化焼入れが施された後に、ショットピーニングが施さ
れ、その後、上記鋼部材をオーステナイト化温度以上に
急速加熱し、続いて焼入れが施されたものである。
【0045】この構成によれば、鋼部材は、まず浸炭焼
入れ、または浸炭窒化焼入れされるので、の表面の硬さ
が高まり、耐摩耗性の向上を図ることができる。しか
も、上記焼入れ処理の前段階において、鋼部材にショッ
トピーニングを施すので、この鋼部材の表面を塑性加工
または鋼部材に圧縮残留応力を付与することができ、こ
のショットピーニング処理の後に、鋼部材をオーステナ
イト化温度以上に急速加熱し、続いて焼入れを行なうの
で、同じ条件で焼入れを行なっても上記ショットピーニ
ング処理を施さないものと比較して、オーステナイト結
晶粒がより一層微細化されて、疲労強度の向上を図るこ
とができ、特に高い耐摩耗性、耐疲労強度が要求される
動力伝達部材(デフピニオン13参照)に有効となる。
【0046】図14は鋼部材の表面処理方法の他の実施
例を示し、図2で示した各工程S1〜S4の次に鋼部材
に対して再度、ショットピーニング工程S5を設けたも
のである。
【0047】このショットピーニング処理の処理条件は
前述のショットピーニング工程S2における処理条件よ
りも緩和させることが望ましく、焼戻し工程S4後の上
述のショットピーニング処理により、鋼部材の圧縮残留
応力を高めるものである。このように構成しても、その
他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様
であるから、図14において前図と同一の部分には同一
符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0048】この発明の構成と、上述の実施例との対応
において、この発明の焼入れ部品は、実施例の動力伝達
部材としてのデフピニオン13に対応するも、この発明
は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではな
い。
【0049】
【発明の効果】この発明の鋼部材の表面処理方法によれ
ば、鋼部材をオーステナイト化温度以上に急速加熱し、
続いて焼入れを施す工程の前段階において、鋼部材にシ
ョットピーニングを施すことで、鋼部材の表面を塑性加
工または鋼部材に圧縮残留応力を付与することができ、
このショットピーニング後に上記温度以上に急速加熱し
て焼入れを行なうことで、より一層微細で、かつ安定し
たオーステナイト結晶粒を確保することができ、疲労強
度の向上を図ることができる効果がある。また、この発
明の焼入れ部品によれば、オーステナイト結晶粒が微細
化し、疲労強度の向上を図った鋼部材(焼入れ部品)を得
ることができる効果があり、特に、動力伝達部材として
用いる際に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鋼部材の材料化学成分の一例を示す説明図。
【図2】 本発明の鋼部材の表面処理方法を示す工程
図。
【図3】 浸炭焼入れのヒートパターンを示す説明図。
【図4】 エアノズル式ショットピーニング装置による
ショットピーニング処理の説明図。
【図5】 インペラ式ショットピーニング装置によるシ
ョットピーニング処理の説明図。
【図6】 鉄−炭素系平衡状態図。
【図7】 高周波焼入れのヒートパターンを示す説明
図。
【図8】 焼戻しのヒートパターンを示す説明図。
【図9】 本発明の焼入れ部品の一例を示す断面図。
【図10】 高周波加熱温度とオーステナイト結晶粒度
との関係を示す説明図。
【図11】 回転曲げ疲労試験片を示す側面図。
【図12】 曲げ疲労試験の結果を示す特性図。
【図13】 ビッカース硬さの実測結果を示す説明図。
【図14】 本発明の鋼部材の表面処理方法の他の実施
例を示す工程図。
【符号の説明】
10…鋼部材 13…デフピニオン(焼入れ部品) S1…浸炭工程 S2…ショットピーニング工程 S3…焼入れ工程

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼部材の表面処理方法であって、上記鋼部
    材を浸炭焼入れまたは浸炭窒化焼入れする浸炭工程と、
    上記鋼部材にショットピーニングを施すショットピーニ
    ング工程と、上記ショットピーニングの後、上記鋼部材
    をオーステナイト化温度以上に急速加熱し、続いて焼入
    れを施す焼入れ工程とを備えた鋼部材の表面処理方法。
  2. 【請求項2】上記焼入れ工程は高周波加熱による焼入れ
    工程に設定された請求項1記載の鋼部材の表面処理方
    法。
  3. 【請求項3】上記急速加熱の温度は830〜1100℃
    の範囲に設定された請求項1または2記載の鋼部材の表
    面処理方法。
  4. 【請求項4】鋼部材に表面処理が施された焼入れ部品で
    あって、上記鋼部材に浸炭焼入れまたは浸炭窒化焼入れ
    が施された後に、ショットピーニングが施され、その
    後、上記鋼部材をオーステナイト化温度以上に急速加熱
    し、続いて焼入れが施された焼入れ部品。
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