[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2002527041A - 淋菌(Neisseriagonorrhoeae)または髄膜炎菌(Neisseriameningitidis)に対する組換えピリンを含有するワクチン - Google Patents

淋菌(Neisseriagonorrhoeae)または髄膜炎菌(Neisseriameningitidis)に対する組換えピリンを含有するワクチン

Info

Publication number
JP2002527041A
JP2002527041A JP2000546019A JP2000546019A JP2002527041A JP 2002527041 A JP2002527041 A JP 2002527041A JP 2000546019 A JP2000546019 A JP 2000546019A JP 2000546019 A JP2000546019 A JP 2000546019A JP 2002527041 A JP2002527041 A JP 2002527041A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pilin
class
amino acid
neisseria
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000546019A
Other languages
English (en)
Inventor
メトカルフ,トーマス・エヌ,ザサード
ザガースキ,ロバート・ジエイ
オーイ,ペギー
Original Assignee
アメリカン・サイアナミド・カンパニー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by アメリカン・サイアナミド・カンパニー filed Critical アメリカン・サイアナミド・カンパニー
Publication of JP2002527041A publication Critical patent/JP2002527041A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/11DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/195Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
    • C07K14/22Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria from Neisseriaceae (F)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/01Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif
    • C07K2319/02Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif containing a signal sequence

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 淋菌(Neisseria gonorrhoeae)および髄膜炎菌(Neiss eria meningitidis)のそれぞれのpilE遺伝子をクローン化し、そしてそれらの対応する組換えピリンタンパク質を発現させる。さらにキメラpilE遺伝子を構築し、ここでピリンタンパク質のアミノ−末端領域をコードする髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)クラスIのpilE遺伝子の領域を、対応する淋菌(Neisseria gonorrhoea e)のpilE遺伝子の領域に置き換える。さらに、キメラp ilE遺伝子を構築し、ここでピリンタンパク質のカルボキシ−末端領域をコードする髄膜炎菌(Neisseria meni ngitidis)クラスIIのpilE遺伝子の領域を、対応する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のpilE遺伝子の領域に置き換える。組換えピリンタンパク質は淋菌(Neisseriag onorrhoeae)または髄膜炎菌(Neisseria meningitidi s)により引き起こされる疾患を防御するためのワクチンに使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)または髄膜炎菌(Neisseria menin
gitidis)により引き起こされる疾患を防御するためのワクチン中の組換えピリ
ンタンパク質の使用に関する。
【0002】 発明の背景 淋菌(N.gonorrhoeae)および髄膜炎菌(N.meningitidis)はグラム陰性球菌
である。淋菌(N.gonorrhoeae)および髄膜炎菌(N.meningitidis)は遺伝的に
大変緊密に関係しているが、それらが引き起こす疾患の臨床的な症状は大変異な
る。淋菌(N.gonorrhoeae)は淋病を引き起こし、一方髄膜炎菌(N.meningitidi
s)は髄膜炎菌性髄膜炎を引き起こす。このようなナイセリア属の菌は、身体の
粘膜表面を阻害する。
【0003】 IV型ピリは、ジケロバクター(Dichelobacter)(正式にはバクトロイデス(Bac
teroides))ノドウス(nodous)、エイケネーラ コルロデンス(Eikenella corro
dens)、キンゲーラ デニトリフィカンス(Kingella denitrificans)、モラクセ
ーラ ボビス(Moraxella bovis)、エム.ラクナタ(M.lacunata)、エム.ノンリ
キファシエンス(M.nonliquefaciens)、淋菌(N.gonorrhoeae)、髄膜炎菌(N.
meningitidis)および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を含む多数のグラム-
陰性バクテリアの表面上の非鞭毛状態の毛髪様構造である(参考文献1、2に記
載)。コレラ菌(Vibrio cholera)に由来する、トキシンが同時に調節するピリ
および腸内病原菌である大腸菌(Escherchia coli)の束を形成するピリは、IV型
ピリに対して限られた類似性を現し、そしてより関連性はより遠いと考えられて
いる(1、2)。淋菌(N.gonorrhoeae)および髄膜炎菌(N.meningitidis)の
両方について、ピリをもつ(pilliated)バクテリアはヒト起源の種々の上皮細胞
に、ピリをもたない(nonpiliated)細胞よりも高い結合活性で付着し、そしてこ
のようにピリは粘膜の感染部位に微生物を付けることにより毒性因子として作用
すると考えられている。
【0004】 IV型ピリは幅が5〜7nM、そして長さが5μMである。ピリンタンパク質サブ
ユニットは直列に連結して、長く、薄いポリマーを形成する。病原菌であるナイ
セリア属の場合、このピリは外見上はホモポリマーの性質で、単一の構造的サブ
ユニットから成るピリンタンパク質である。このピリンタンパク質は、13,000〜
22,000ダルトンの分子量を有する(1、2、3)。
【0005】 事実上、ピリンタンパク質は、約107ダルトンの分子量を有するピラス(pilus
)(ピリ:ピラスの複数形)と呼ばれる約107ダルトンの分子量を有するヘリック
ス構造にバクテリアの外膜で集成される。精製したピリをpH12のリン酸バッファ
ーに透析する時、完全なピリはピリンオリゴマーと呼ばれるピリンタンパク質の
凝縮物に不可逆的に解離する(4)。このようなピリンオリゴマーの凝縮物(約
600,000ダルトンの分子量)は、完全なピラスよりもサイズが大変小さい。
【0006】 淋菌(N.gonorrhoeae)は、Schoolnikおよび共同研究者により最初に単離、そ
して配列決定された単一のピリンタンパク質を発現する(5)。淋菌のピリンタ
ンパク質は、3つの領域から成る:(a)高度に保存されたアミノ末端領域(残
基1〜53);(b)限られた量の配列変動を現す中央の1/3(残基54〜124)
、および(c)高度に可変のジスルフィドループを含むタンパク質のカルボキシ
の1/3(残基125〜160)。
【0007】 自然な感染過程中に、ピリは高い頻度の相および抗原性変異を受ける(3、6
)。この変異の遺伝的性質は極めて複雑であり、そして徹底的に研究された。淋
菌(Neisseria gonorrhoeae)の各株は、ピリン分子の1次アミノ酸配列を変え
る能力、すなわちそのピリの抗原性の性質を変える能力を有する。この変異の原
因である分子メカニズムには、発現遺伝子座(pilE)および多数の(17〜19の)、
プロモーターのない、サイレントな(pilS)遺伝子との間の非相互組換えが関与
する(6)。ピリン配列(またはそれらの部分)は、pilS遺伝子座から発現遺伝
子座に移動して、新たなピリン変異体を生成し、これは次いで淋菌が大変多数の
ピリンタンパク質を発現することを可能とする。
【0008】 淋菌(N.gonorrhoeae)とは対照的に、髄膜炎菌(N.meningitidis)はクラスI
およびクラスIIと命名された2種のピリンの明らかに異なるクラスを発現する。
淋菌におけるように髄膜炎菌のクラスIピリは、抗原性および相変異を受ける(
3)。クラスIピリンは、分子量(17〜20kd)、および淋菌のピリンに高度に保存
されたエピトープに結合するモノクローナル抗体(SM1)との反応性に関して類
似であることが示された(3)。多数のクラスIピリンがクローン化され、そし
てアミノ酸配列は淋菌のピリンの配列に高度な類似性を有することが示された(
7)。対照的に、クラスIIピリンはSM1抗体に反応せず、そしてより低い分子量
(13〜16kd)を有する。クラスIIピリンを発現する幾つかの株は、淋菌のピリに
対するポリクローナル抗血清と反応することが示された(3)。Aho et al.は(
7)最近、クラスIIピリンの配列を決定した。ナイセリア属のピリンの最初の1
/3は、本質的に同一である。クラスIIピリンタンパク質はクラスIピリンおよ
び淋菌のピリンタンパク質とは、大きな欠失が生じたタンパク質の超可変領域で
異なる。Achtman et al.(8)は、クラスIまたはクラスIIピリンに関するモノ
クローナル抗体を使用して、アフリカから単離した幾つかの血清グループAが両
方の抗体に結合したことを証明した。クラスIIピリを発現する株も、短縮された
サイレントなクラスIピリン遺伝子を有することが証明された(7)。まとめて
考えると、このようなデータは単一の髄膜炎菌の細胞が両ピリンタンパク質を同
時に発現するかもしれないという可能性を示唆している。
【0009】 ピリは粘膜細胞との最初の接触を媒介すると考えられているので、ピリをもつ
バクテリアにより引き起こされる疾患を予防するための、ワクチン抗原としてこ
のような構造を使用することにはかなりの関心がもたれてきた。ヒトを対象とし
た旅行者下痢および淋病に対してピリワクチンが試験された(9)。しかし今日
まで、それらはホモロガスな株に対してのみ効果的であった。ピリに基づく多数
のワクチンが、畜牛の感染性角結膜炎(伝染性角結膜炎)(1)、ヒツジの腐蹄
病(1、10)および子豚(9)もしくは子牛(9)の下痢のような家畜に影響
を及ぼす疾患に関して報告された。このような各獣医学的例において、ピリワク
チンはホモロガスなピリを発現する株による攻撃誘発に対しては防御を提供した
が、ヘテロロガスなピリに対してはしなかった。
【0010】 最初の淋菌のワクチンは全生物体を含み、そしてわずかに防御するか、または
防御しなかった(11)。淋菌に対する最近のワクチン開発は、精製された表面成
分、特にピリ(9、11)およびポーリンタンパク質(P.IまたはPor)(11)に集
中した。しかし今日まで、ピリだけがヒトを攻撃誘発から防御し、しかしこの防
御はホモロガスな株に対する防御に限られた(12)。淋菌のピリの変性状態(4
)は、マウスおよびモルモットにおいてインビトロでヘテロロガスなピリに結合
する抗体を生成することが示された。しかしこれは液体培地(工業的生産に必要
)でピリを持つ淋菌を成長させることが難しいので、大量販売用に価値のある方
法とは考えられなかった(1)。最初のヒト攻撃誘発実験の成功に基づき、淋菌
のピリワクチンは大規模なプラセボ−制御二重盲検で効力を試験された(12)。
この試験では、ワクチンは淋菌に感染した男性有志を防御することができなかっ
た。この説明はほぼ、ピラスの異種性であると仮定された(12)。
【0011】 実際に淋菌および髄膜炎菌の両方でピリンタンパク質の抗原的可変性が、ピリ
−に基づくワクチンの開発において主な障害であると繰り返し言われてきた(3
、13、14、15、16、17)。集成した完全なピラス上の優性免疫エピト
ープはジスルフィドループであり、これは最大の配列変異を現す(17、18)
。これは、淋菌(N.gonorrhoeae)のPgh3-2に由来するホルマリン−処理した完
全なピリを用いて行った朝鮮での実地試験の失敗の原因であろう(12)。さら
に技術文献には精製したピリまたはピリン断片に対する抗血清が、変性した(ウ
エスタンブロット)または単離したナイセリア属のピリには結合したが、細菌表
面のヘテロロガスなピリには結合しなかった多数の文献を含む(16、17、1
9、20)。これが抗原性の変異か、または集成したピラス中のエピトープの隠
蔽がどうかは完全に解明されなかった。このことはインビトロで機能的な活性を
現すモノクローナル抗体だけがヘテロロガスなピリに結合しないものであったこ
とを証明する幾つかの報告によりさらに確認された(3)。エム.ボビス(M.bov
is)およびディ.ノドサス(D.nodosus)に由来する完全なピリについて、ピリによ
り誘導される防御免疫反応が可能であることが示された(10)。しかしこのよ
うなワクチンは、ヘテロロガスなピリではなくホモロガスなピリを発現するバク
テリアを用いた攻撃誘発に対してのみ防御できた(10、21)。科学界のコン
センサスでは、可能である場合にはピリに基づくワクチンはホモロガスなピリを
発現するバクテリアに対してのみ防御されるだろうと思われている。
【0012】 集成したピリの組換え発現は、多数の微生物について記載され、そして適切な
輸送および集成遺伝子の存在に依存する(22)。ナイセリア属では、ピリの集
合および送出(export)に関与するタンパク質をコードする遺伝子は、単一の連続
したオペロンには見いだされないので、この取り組みは実施できない。欧州特許
第202,260号明細書中で選択された代替法は、異なるのIV型ピリ(例えば緑膿菌(
Pseudomonas aeruginosa))の集成に必要とされるタンパク質をすでに保有する
バクテリア宿主中でIV型ピリン遺伝子を発現させることであった(23)。しか
しHoyne et al.により報告されるように、シュードモナス属(Pseudomonas)の
外膜での淋菌のピリの発現および集成は不安定であった(24)。組換え株を選
択的な抗生物質の存在下で液体培地中で成長させた時、野生型の、ピリをもつシ
ュードモナス(Pseudomonas)が過剰成長した。著者は以下のように述べた: 「宿主株中での外来のmePhe[N-メチルフェニルアラニン]ピラス生成の適合性
は、宿主の分岐進化の程度および供与体のピラス集成システムに依存するだろう
。観察された淋菌のピリを発現するPAK/2PfS[緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)
]の不安定さは、mePheピリの種間発現の限界がこの例で達成されたことを示し
ているかもしれない。」(24)。
【0013】 この結果からシュードモナス属(Pseudomonas)における淋菌ピリの発現は、
工業的に価値ある取り組みとは見られなかった。
【0014】 Elleman、Egertonおよび共同研究者は、ジケロバクター ノドサス(Dicheloba
cter nodosus)に由来する完全なピリを使用して、ヒツジの腐蹄病に対するワク
チンの開発を記載した。実地試験では、完全なピリがホモロガスなピリを発現し
ているディ.ノドサス(D.nodosus)に対して防御した。これは大規模使用のワク
チンが、幅広い防御を達成するためには8または9種の異なるピリを含む必要が
あろうことを意味していた。この取り組みを成功させるために、ディ.ノドサス
D.nodosus)のピリン遺伝子をクローン化し、そして大腸菌(E.coli)で発現さ
せた(25)。組換えピリンタンパク質は、内膜に着いていることが分かった。
組換えピリンを発現する超音波処理した大腸菌(E.coli)細胞から成るワクチン
を攻撃誘発実験で試験した時、組換え体の大腸菌(E.coli)細胞は精製した天然
のピリに見られる抗体力価と同様の抗体力価を生じた(25)。しかし、組換え
体の大腸菌(E.coli)細胞ワクチンにより誘導される凝集力価は、完全なピリに
ついて見られるものより有意に低く(690対47,800)、そして防御に関連する力価
(5,000〜10,000)未満であった(25、26)。
【0015】 ディ.ノドサス(D.nodosus)を用いた能動的な攻撃誘発後に、組換え体ピリン
ワクチンは、完全なピリについて見られるものとは対照的に、有意な防御活性を
示すことができなかった。Emeryおよび共同研究者は、完全なピリの変性が動物
にピリが防御を誘導する能力を破壊することを示した(27)。さらに界面活性
剤(オクチル-β-D-グルコシド)または低いpH(2.2)のいずれかで解離したピ
リは、攻撃誘発後の重篤な損傷の形成に対して、防御を誘導するためのタンパク
質の効力が減少していた(28)。これは群間で抗体力価に有意な差異が無いと
いう事実にもかかわらずであった。著者は「処理により破壊される4次構造に関
連する1以上のエピトープがあるかもしれない」と述べた。彼らはさらに以下の
ように述べている: 「ワクチンとして大腸菌(E.coli)が発現した生成物の失敗は、生成物が宿主
細胞膜内に物理的に封鎖されるからであるが、予備実験ではこれが非効力の主要
原因ではないことが示された(公開されたデータではない)。ワクチンとして大
腸菌(E.coli)が発現した生成物の失敗の別の説明は、発現される単量体のプレ
ピリン単位が、恐らくリーダー配列の存在ために重要なエピトープの適切な提示
に関する天然の配置に会合できないのだろう。」(28) Ellemanおよび共同研究者は、組換えピリ上の立体配座的エピトープの存在の
重要性を確認し、そして彼らは抗原のより良い提示により免疫反応を上昇させる
ことが必要であろうと確認した。彼らは2つの方法を提案した:細胞の表面上で
フィラメント状のピリに集成することができるように、大腸菌(E.coli)膜に由
来するタンパク質を精製するか、または緑膿菌(P. aeruginosa)でのタンパク質
を発現させる。「免疫原性を大きく向上させ、そしてタンパク質の精製は単純に
すべきである」ことから、後者の方法が好ましかった(25)。
【0016】 さらにまたEllemanおよび共同研究者は、ディ.ノドサス(D.nodosus)について
成熟したフィンブリエ(完全なピリ)に劣るワクチン候補として、ピリン(ピリ
のサブユニットタンパク質)の使用も考察した: 「完全なフィンブリエは、等しい用量のフィンブリエ状サブユニットタンパク
質よりは、より強力な、しかも適切な(すなわちK-凝集化)を引き起こすようで
ある。約5,000の血清学的なK-凝集力価は、一般にビー.ノドサス(B.nodosus)
の所定の株を用いた感染に対して十分な防御免疫と同一基準の最小反応とみなさ
れている。この反応のレベル(そしてより大きな規模の次元まで)は、成熟フィ
ンブリエを用いたワクチン接種で容易に達成されるが、わずかなよくないレベル
の血清K-凝集化抗体を誘導する単離したサブユニットタンパク質では達成されな
い。」(23)。
【0017】 さらなるデータでは、フィンブリエ(ピラス)のサブユニットタンパク質が価
値あるワクチン候補ではないことがAlves et al.により最近報告されたことを示
唆している(29)。マウスを 大腸菌(E.coli) CFA/I フィンブリエ接着タン
パク質(例えばピリン)をコードするポリヌクレオチドワクチンで免疫感作した
時、誘導される抗体は自然な、完全なCFA/I フィンブリエにより誘導される抗体
とは明らかに異なった。さらに組換えタンパク質に対する抗体は、天然のタンパ
ク質に対する抗血清とは対照的に、凝集活性を表さなかった。
【0018】 上記に記載したすべての研究にもかかわらず、効果的なピラスに基づく淋菌ま
たは髄膜炎菌のワクチンが開発されるべきである。髄膜炎菌のワクチンは、血清
型A、C、Y、W135夾膜を保有するものに限られる。
【0019】 したがって、淋菌(N. gonorrhoeae)または髄膜炎菌(N. meningitidis)の
すべての血清型により引き起こされる疾患に対して防御するためのワクチン中に
包含する成分を同定する必要がある。
【0020】 発明の要約 このように本発明の目的は、それぞれ淋菌(N. gonorrhoeae)または髄膜炎菌
N. meningitidis)に由来する適当な抗原性構造を同定することであり、これ
らはこのようなバクテリアに対して能力のあるワクチン候補を構成することがで
きる。このような候補は、各病原性ナイセリア微生物の多様な単離物を認識し、
そして結合する抗体を誘導しなければならない。
【0021】 以下に記載するように本発明のこのようなおよび他の目的は、各淋菌(N. gon
orrhoeae)または髄膜炎菌(N. meningitidis)の組換えピリンタンパク質(rピ
リン)のクローニングおよび発現により達成される。
【0022】 また本発明は、クラスI髄膜炎菌のピリンタンパク質のアミノ−末端領域が、
淋菌のピリンタンパク質の対応するアミノ−末端領域に置き換えられている組換
え体である髄膜炎菌キメラのクラスIピリンタンパク質を発現するプラスミドの
構造に関する。このプラスミドは、完全長の髄膜炎菌のpilE遺伝子から発現した
クラスI髄膜炎菌のrピリンタンパク質よりも、有意に高い量の髄膜炎菌キメラの
クラスI rピリンタンパク質を発現する。
【0023】 髄膜炎菌キメラのクラスI rピリンタンパク質の発現を得るために、キメラD
NA配列を最初に適当なプラスミドベクターに挿入する。次に適当な宿主細胞を
、プラスミドで形質転換またはトランスフェクトする。本発明の態様では、宿主
細胞は大腸菌(Escherichia coli)株である。次に宿主細胞を、宿主細胞による該
キメラのクラスIrピリンタンパク質の発現が可能となる条件下で培養する。
【0024】 さらに本発明は、クラスII髄膜炎菌のピリンタンパク質のカルボキシ−末端領
域が、淋菌のピリンタンパク質の対応するカルボキシ−末端領域に置き換えられ
ている組換え体である髄膜炎菌キメラのクラスIIピリンタンパク質を発現するプ
ラスミドの構造に関する。
【0025】 髄膜炎菌キメラのクラスII rピリンタンパク質の発現を得るために、キメラD
NA配列を最初に適当なプラスミドベクターに挿入する。次に適当な宿主細胞を
、プラスミドで形質転換またはトランスフェクトする。本発明の態様では、宿主
細胞は大腸菌(Escherichia coli)株である。次に宿主細胞を、宿主細胞による該
キメラのクラスIIrピリンタンパク質の発現が可能となる条件下で培養する。
【0026】 本発明の別の態様では、単離および精製されたrピリンタンパク質(淋菌の、
髄膜炎菌の、またはキメラの)を、哺乳動物宿主に防御免疫反応を誘導するワク
チン組成物を調製するために使用することである。このワクチン組成物は、さら
にアジュバント、希釈剤またはキャリアーを含んで成ることができる。そのよう
なアジュバントの例には、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、MPL(
商標)、Stimulon(商標)QS-21、IL-21およびコレラトキシンを含む。ワクチン
組成物は、淋菌(N. gonorrhoeae)または髄膜炎菌(N. meningitidis)により
引き起こされる疾患に対して宿主を防御するために免疫原的に十分な量で哺乳動
物宿主に投与される。
【0027】 発明の詳細な説明 本発明は、淋菌(N. gonorrhoeae)または髄膜炎菌(N. meningitidis)の組
換えピリンタンパク質を含んで成るワクチン組成物に関する。上記に検討した技
術の教示にもかかわらず、大腸菌(E.coli)で発現させたそのような組換えピリ
ンタンパク質の使用を調査することを決定した。驚くべきことには、このような
組換えピリンタンパク質は、ワクチン候補としての特性を示した。
【0028】 淋菌のpilE遺伝子の大腸菌(E.coli)中でのクローニングを記載した最初の報告
は1982年であった(30)。それから、pilEの分子特性の決定が数々の研究室で
行われ、ピリンタンパク質の発現を制御する遺伝的因子、ピリンタンパク質の輸
送、ピリン配列の変異およびピリの宿主接着特性が調査された。しかし組換えピ
リンタンパク質および組換え的に発現したピリンタンパク質の免疫反応を記載し
た報告はない。
【0029】 淋菌の組換えピリンタンパク質をコードするpilE遺伝子のクローニングおよび
発現は、以下の実施例2に記載されている。発現はTOP10F'と命名した大腸菌(E.
coli)株を、pilE遺伝子を含むプラスミドで形質転換することにより行った。成
功裏のクローニングおよび発現に続いて、pilE遺伝子のシークエンシングにより
天然の配列との同一性を確認した。クローニングを補助するために、NcoI部位を
導入し、これには1塩基の修飾が必要とされた。その結果、7個のアミノ酸長の
シグナルペプチド中の第2アミノ酸が、アスパラギンからアスパラギン酸へ変化
した。
【0030】 実施例2において pilE遺伝子を含むプラスミド(pPX2000と命名)は、アン
ピシリン耐性(AmpR)マーカーを含む。実施例3に記載するように、AmpRの代わ
りにカナマイシン耐性(KanR)を含むように別のプラスミドを構築した。このpP
X2002と命名されたプラスミドは、大腸菌(E.coli)TOP10F'株で形質転換した後
、淋菌のrピリンをAmpRマーカーを含むpPX2000から得られたレベルと同じレべ
ルで発現した。
【0031】 実施例4に記載するように、同様の手順を使用して髄膜炎菌(N. meningitidi
s)のクラスIpilE遺伝子を含むpPX2003と命名されたプラスミドを構築した。Nco
I部位(CC ATG G)を導入し、シグナルペプチドをコードする遺伝子の始まりを延
ばした。これはシグナルペプチドの第2アミノ酸残基をアスパラギンからアスパ
ラギン酸へ変えた(第1残基はメチオニンを残した)。AmpRマーカーも含めた。
この構築物は大腸菌(E.coli)TOP10F'株で形質転換した後、髄膜炎菌のクラスI
rピリンを発現した。しかし発現レベルはpPX2000またはpPX2002から得られた淋
菌のrピリンよりも有意に低かった。理論に拘束されることなく、この低い発現
レベルは組換えクラスIpilEに存在する逆方向反復の数によるものであろう。
【0032】 髄膜炎菌のピリンの発現を上昇させるために、実施例5に記載するように、キ
メラプラスミドを構築した。髄膜炎菌のクラスIrリピリンの最初の60アミノ酸
をコードするpPX2003中のDNAを、pPX2002中の淋菌のDNAに由来する均等な
領域と置き換える。生成したpPX2004と命名したAmpRプラスミドは、配列番号1
に説明するヌクレオチド配列を有する。プラスミドpPX2004はTOP10F'と命名した
大腸菌(E.coli)K12株を形質転換するために使用した。導入後、pPX2003から発
現した髄膜炎菌のrピリンの量に比べてキメラrピリンの発現は有意に上昇した
。キメラ構築物の発現レベルは、pPX2002から発現される淋菌のrピリンの量に匹
敵した。キメラのクラスIrピリンは、167アミノ酸長であり(シグナルを含む)
(配列番号2)、これは予想されたサイズと一致する。
【0033】 組換えプラスミドpPX2004を宿すTOP10F'と命名した大腸菌(E.coli)K12株のサ
ンプルは、出願人により1998年1月27日に、米国、20110〜2209 バージニア州 、
マナサス、ボーレバート ユニバーシティ 10801のアメリカン・タイプカルチャー
・コレクションに寄託され、そしてATCC寄託番号ATCC98637を割り当てられた。
【0034】 実施例6に記載するように、髄膜炎菌(N. meningitidis)のクラスIIpilE
伝子の3'末端が淋菌(N. gonorrhoeae)に由来する対応する領域に置き換えら
れたキメラプラスミドを構築した。具体的にはジスルフィドループをコードする
pPX8001中のDNA(髄膜炎菌(N. meningitidis)FAM18株の髄膜炎菌のクラスI
Iピリンの最後の22アミノ酸)を、同様の(しかしより大きい)領域にさらにpPX
2000中の淋菌(N. gonorrhoeae)Pgh3-1株からの淋菌の(pilE)DNAに由来する
全部で44アミノ酸のカルボキシ-末端領域の部分を加えたものと置き換える。生
成したpPX8017と命名したAmpRプラスミドは、配列番号3に説明するヌクレオチ
ド配列を有し、ここでヌクレオチド1〜378は髄膜炎菌(N. meningitidis)のク
ラスIIに由来し、そしてヌクレオチド379〜510は淋菌(N. gonorrhoeae)に由来
する。プラスミドpPX8017はTOP10F'と命名した大腸菌(E.coli)K12株を形質転換
するために使用した。導入後、170アミノ酸長(7個のアミノ酸長のシグナルを
含む)(配列番号4)のキメラのクラスIIrピリンが発現し、これはアミノ酸1
〜126が髄膜炎菌(N. meningitidis)クラスIIに由来し、そしてアミノ酸127〜1
70が淋菌(N. gonorrhoeae)に由来する。このキメラIIrピリンは予想されたサ
イズと一致した。クローニングを考慮してNcoI部位を導入した。シグナル配列の
第2アミノ酸をリシンからグルタミン酸に変えるこの変化は、抗原性または免疫
原性にいかなる効果も持たないと予想された。
【0035】 組換えプラスミドpPX8017を宿すTOP10F'と命名した大腸菌(E.coli)K12株のサ
ンプルは、出願人により1999年4月15日に、米国、20110〜2209 バージニア州 、
マナサス、ボーレバート ユニバーシティ10801 のアメリカン・タイプカルチャ
ー・コレクションに寄託され、そしてATCC寄託番号ATCC207199を割り当てられた
【0036】 種々の宿主細胞−ベクター系が、実施例2〜6に詳細したものに加えて、本発
明のワクチンで使用する淋菌の、髄膜炎菌の、そしてキメラのrピリンを発現す
るための使用に適している。このベクター系は使用する宿主細胞と適合している
。適当な宿主細胞は、プラスミドDNA、コスミドDNAまたはバクテリオファ
ージDNAで形質転換されたバクテリア;ワクシニアウイルスおよびアデノウイ
ルスのようなウイルス;ピチア(Pichia)細胞のような酵母;Sf9またはSf21細胞
のような昆虫細胞;またはチャイニーズハムスター卵母細胞のような哺乳動物細
胞系;ならびに他の通例の微生物を含む。
【0037】 種々の通例の転写および翻訳要素を宿主細胞−ベクター系に使用することがで
きる。プラスミドベクターが宿主細胞中に挿入された時、pilE DNAを宿主細
胞が発現できるように、pilE DNAを発現系に挿入し、そしてプロモーターお
よび他の制御要素をベクター中の特異的部位に連結する。
【0038】 プラスミドは使用する宿主−ベクター系に依存して、形質転換、形質導入、ト
ランスフェクションまたは感染により宿主細胞に導入する。次に宿主細胞は、宿
主細胞によるrピリンタンパク質の発現が可能となる条件下で培養される。
【0039】 本発明はさらに、アミノ−末端領域が淋菌のpilE遺伝子に由来し、そして中央
およびカルボキシ−領域が髄膜炎菌のpilE遺伝子に由来する髄膜炎菌キメラのク
ラスIrピリンタンパク質をコードするDNA配列を含んで成る単離および精製
されたDNA配列に関する(配列番号1)。配列番号1のヌクレオチド1〜501
はプロセッシング前の髄膜炎菌のキメラのクラスIrピリンタンパク質をコード
し;ヌクレオチド22〜501は、成熟タンパク質へのプロセッシング後の髄膜炎菌
キメラのクラスIrピリンタンパク質をコードする。さらに本発明は、プロセッ
シング前の配列番号2のアミノ酸1〜167のアミノ酸配列を有するか、あるいは
成熟タンパク質へのプロセッシング後の配列番号2のアミノ酸8〜167のアミノ
酸配列を有する髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタンパク質に関する。淋菌の
rピリンまたは髄膜炎菌キメラのクラスIrピリン構築物により生成される全タ
ンパク質のおよそ10%が、シグナル配列を欠き、これはプロセッシングにより除
去された。
【0040】 本発明はさらに、カルボキシ−末端領域が淋菌のpilE遺伝子に由来し、そして
中央およびアミノ−末端領域が髄膜炎菌のpilE遺伝子に由来する髄膜炎菌キメラ
のクラスIIrピリンタンパク質をコードするDNA配列を含んで成る単離および
精製されたDNA配列に関する(配列番号3)。配列番号3のヌクレオチド1〜
510はプロセッシング前の髄膜炎菌キメラのクラスIIrピリンタンパク質をコー
ドし;ヌクレオチド22〜510は、成熟タンパク質へのプロセッシング後の髄膜炎
菌キメラのクラスIIrピリンタンパク質をコードする。さらに本発明は、プロセ
ッシング前の配列番号4のアミノ酸1〜170のアミノ酸配列を有するか、あるい
は成熟タンパク質へのプロセッシング後の配列番号4のアミノ酸8〜170のアミ
ノ酸配列を有する髄膜炎菌キメラのクラスIIrピリンタンパク質に関する。
【0041】 髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタンパク質および髄膜炎菌キメラのクラスI
Irピリンタンパク質をそれぞれコードするpPX2004およびpPX8017に含まれるキ
メラDNA配列に加えて、本発明はさらに遺伝子暗号の重複性によりキメラrピ
リンタンパク質をコードする配列と生物学的に均等なDNA配列を含んで成り、
すなわちこのような他のDNA配列は、本明細書に説明するヌクレオチド配列と
は異なるが、配列番号1または配列番号3のDNA配列によりコードされるアミ
ノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列が特徴である。
【0042】 特に本発明は、Sambrook et al.により記載されたような標準的な高緊縮サザ
ンハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1または配列番号3の配列とのハ
イブリダイゼーションが可能となるように、配列番号1または配列番号3の配列
と十分に重複しているDNA配列を意図する(31)。
【0043】 また本発明は、髄膜炎菌キメラのクラスIまたはクラスIIrピリンタンパク質
とは異なるアミノ酸配列をコードするが、このようなタンパク質(配列番号2ま
たは配列番号4)について記載したものの1つと生物学的に均等なアミノ酸配列
をコードするDNA配列も含んで成る。そのようなアミノ酸配列は、それらの配
列が配列の4次配置がrピリンタンパク質と本質的に変わらないようなrピリン
配列の小さな欠失、挿入または置換により変化しただけであるならば、生物学的
にはこのようなキメラrピリンタンパク質と均等であると言うことができる。
【0044】 例えばアミノ酸であるアラニン、疎水性アミノ酸のコドンは、グリシンのよう
な別のより疎水性が低い残基、またはバリン、ロイシンもしくはイソロイシンの
ようなより疎水性が高い残基をコードするコドンに置換することができる。同様
に、1つの負に荷電した残基を別な残基に、例えばアスパラギン酸をグルタミン
酸に変える、あるいは1つの正に荷電した残基を別の残基に、例えばリシンをア
ルギニンに変えることをもたらす変化、ならびにそれらの疎水親水指数において
残基の類似性に基づく変化も生物学的に均等な生成物を生じると期待される。タ
ンパク質分子のN-末端またはC-末端部分の改変をもたらすヌクレオチドの変化
もタンパク質の活性を改質させるとは予想されない。
【0045】 さらに既知の可変領域中での変化は、保存された領域の4次配置がrピリンタ
ンパク質と本質的に変化していない場合、生物学的に均等であることが知られて
いる。生物学的に均等な配列の別の定義は、交差−反応性の免疫反応を生じるこ
とができる配列である。特に髄膜炎菌キメラのクラスIおよびクラスII組換えピ
リンは、改質されたキメラ組換えピリンが未だに交差反応性の免疫応答を生じる
ことができるかぎり、淋菌のピリンに由来する対応した挿入物を長くする、また
は短くすることにより改質してもよい。
【0046】 提案したそれぞれの改質は、コードされる生成物の構造的または生物学的活性
の保持の測定のような当該技術分野での日常的な技術の範囲内にある。したがっ
て、用語「髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタンパク質」または「髄膜炎菌キ
メラのクラスIIrピリンタンパク質」という用語は明細書または特許請求の範囲
で使用する場合、すべてのそのような生物学的に均等なタンパク質の生成をもた
らす修飾および変異を包含すると理解されるだろう。
【0047】 実施例7で記載するように、淋菌のrピリンタンパク質はそれを発現するため
に使用する大腸菌(E.coli)の細胞膜に結合している。Empigen(商標)BB、Triton
(商標)X-100、還元型Triton(商標)X-100、オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG)
、Zwittergent(商標)3-10または3-14を含め、種々の界面活性剤が大腸菌(E.col
i)に由来するrピリンタンパク質を選択的に可溶化することができる。
【0048】 遠心、透析およびカラムでの分画後、精製したrピリンを得る。
【0049】 実施例8に記載するように、キメラのクラスIrピリンは、大腸菌(E.coli
の破壊、遠心による清澄化、濾過および2つのカラムでの分画により単離、そし
て精製した。
【0050】 実施例9に記載するように、髄膜炎菌キメラのクラスIIrピリンは、大腸菌(
E.coli)の破壊、遠心による清澄化、濾過および2つのカラムでの分画により単
離、そして精製した。
【0051】 精製した淋菌のrピリンは、実施例10に記載するように繰り返しN-末端シー
クエンシングに供した。20〜40アミノ-末端残基のシークエンシングは、DNA
配列から推定されるアミノ酸配列と一致する結果を与えた。rピリン(シグナル
を含む)の分子量は、マススペクトロメトリーにより18,006ダルトンになると決
定され、これはアミノ酸含量に基づき予想された17,981ダルトンの質量と良く合
う。対照的に、rピリンをサイズ排除カラムクロマトグラフィーにかけた時、68
,899ダルトンの見かけ上の分子量が得られた。これはrピリンが凝集しているこ
とを示唆した。界面活性剤を除去するためのPBSに対するrピリンの透析では、
ゲル濾過により測定される452,349ダルトンの見かけ上の分子量を有する材料を
もたらした。これはさらに凝集を受けたことを示唆した。
【0052】 実施例11に詳細に記載するように、免疫血清はモルモットまたはマウスを精
製した淋菌のrピリンで免疫感作することにより得られる。実施例12に説明す
るように、ウエスタンブロット分析ではrピリンに対する抗血清はピリを持つ淋
菌細胞から精製した全細胞溶解物に結合したが、ピリをもたない細胞溶解物に結
合は見られなかった。対照的に、ピリンオリゴマーに対する抗血清は、ピリを持
つ、およびピリを持たない細胞溶解物の両方に結合した。
【0053】 実施例13に詳細に記載するように、ELISAにより分析する時、淋菌のrピリ
ンに対してこのプールした抗血清は精製した淋菌rピリンタンパク質への結合に
対して、高い終点力価を有した。また実施例13では、種々のアジュバントの効
果も詳細に記載する。rピリンをMPL(商標)単独で、またはMPL(商標)にリン
酸アルミニウムを加えて、あるいはStimulon(商標)QS-21で補強する時、マウ
スで良好な体液性免疫反応が得られた。
【0054】 実施例14に説明するように、全細胞ELISAではrピリンに対する抗血清がピ
リを持つ細胞に結合するが、特定の淋菌株の同遺伝子型のピリを持たない細胞に
は結合しないことが示された。
【0055】 実施例15に記載するように、マウスは天然のコレラトキシンを含む、または
含まない淋菌のrピリンで鼻内で免疫感作された。マウスをアジュバント無しの
rピリンで免疫感作した後に生成したプール血清から抗原ELISAで検出される有
意な免疫反応があった;この反応は天然のコレラトキシンを加えることにより増
強された。プール血清は、完全な、ピリを持つ淋菌細胞への結合に関して低いEL
ISA力価を有した;この結合はマウスを天然のコレラトキシンで免疫感作した時
も大きく増強された。
【0056】 実施例16に示すように、免疫電子顕微鏡では、rピリンに対する抗体が淋菌
の表面のピリフィラメントの長さに沿って結合することが示された。これは抗体
が、インビボでバクテリアの表面上に存在するエピトープに結合することを示唆
した。
【0057】 実施例17は、ヘテロロガスなピリを持つバクテリアの単離物に対して結合す
るrピリン抗血清について得られた力価は、組換え体のピリンオリゴマーに対す
る抗血清について得られたものに比較して高いことを示す。このrピリンは、r
ピリンをpH12のリン酸バッファーに対して透析することによりrピリンオリゴ
マーに転換される。
【0058】 ピリは淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のヒト粘膜細胞への最初の結合を媒介
する。それゆえに抗原が、このようなバクテリアのこのような細胞への付着を阻
害する抗体を誘導することができれば、これはそのような抗原がワクチン候補で
あることを証拠を提供することになるだろう。
【0059】 実施例18に検討するように、rピリンに対するモルモット抗血清は、淋菌が
発現するヘテロロガスなピリのヒトの頸部上皮細胞への結合を有意に阻害した。
淋菌のピリ化(piliation)は、このバクテリアの感染性と関連する(2、3、3
2)。
【0060】 このようなデータは、組換えピリンが完全な淋菌細胞上の多様なピリに結合す
る抗体を生成することができ、そして抗血清は免疫感作されたヒトを淋菌のコロ
ニー形成化および感染から防御する機能的活性(バクテリアの接着の阻害)を現
すことを示している(32、33)。以前にディ.ノドサス(D.nodosus)に由来す
る組換えピリンを発現する大腸菌(E.coli)細胞での免疫感作は免疫原性であっ
たことが報告されたが(23、25、28)、攻撃誘発に対しては防御性ではな
かった。このような結果により、これらの研究者達は集成されたピラスを選んで
組換え体のサブユニットであるピリンの使用からは退いた。しかし本明細書に記
載するデータは、精製後、組換え的に発現されたピリンタンパク質が淋菌のコロ
ニー形成からヒトを防御することに関連するにちがいない免疫反応を誘導するこ
とを示唆している。すなわちこのようなデータは、rピリンが淋菌(Neisseria
gonorrhoeae)に対する能力のあるワクチン候補であるという観点を支持してい
る。
【0061】 実施例19に記載するように、髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタンパク質
を、N-末端シークエンシングにかけた。35アミノ-末端残基のシークエンシング
により、DNA配列から推定されるアミノ酸配列と一致する結果が得られた。キ
メラのrピリン(シグナルを含む)の分子量は、マス スペクトロメトリーによ
り17,659ダルトンと決定され、これはアミノ酸含量に基づく17,676ダルトンの予
測される質量に良く合う。対照的に、髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタンパ
ク質を界面活性剤を使用したサイズ排除カラムクロマトグラフィーにかけた時、
69,480ダルトンの見かけ上の分子量が得られた。淋菌のrピリンのようにこれは
髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタンパク質が凝集していることを示唆した。
【0062】 実施例20に詳細に記載するように、ELISAにより分析する時、髄膜炎菌キメ
ラのクラスIrピリンタンパク質に対してこのプールした抗血清は、髄膜炎菌の
クラスIrピリンタンパク質およびピリを持つ髄膜炎菌細胞の両方に対して高い
終点力価を有した。また実施例20に詳細に記載するように、アジュバント、特
にStimulon(商標)QS-21は、髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタンパク質に対
する抗血清の髄膜炎菌のクラスIrピリンタンパク質およびピリを持つ髄膜炎菌
細胞の両方に対する結合について、有意な反応を生じた。
【0063】 実施例21に記載するように、免疫電子顕微鏡では、髄膜炎菌キメラのクラス
Irピリンタンパク質に対する抗体が、髄膜炎菌のピリの長さに沿って結合する
ことが示された。これは抗体が、インビボでバクテリアの表面上に存在するエピ
トープに結合することを示唆した。
【0064】 実施例4では、淋菌のrピリンに対する抗血清が、ピリを持つ髄膜炎菌細胞を
認識し、そしてそれに結合することを示した。実施例22では、髄膜炎菌キメラ
のクラスIrピリンタンパク質に対して生じた抗血清は、ピリを持つ髄膜炎菌細
胞に結合することが示された。
【0065】 実施例23に記載するように、ラットの子を髄膜炎菌キメラのクラスIrピリ
ンタンパク質に対するモルモットの抗血清で受動免疫すると、インビボで髄膜炎
菌の菌血症の予防に役立つことができる。この免疫血清を受けた動物において、
コロニー形成のレベルに有意な減少があった。さらに、組換え的に発現したピリ
ンを使用して生じた免疫反応は、インビボでヘテロロガスなピリンタンパク質を
発現する髄膜炎菌に対して防御することができる。
【0066】 実施例24に記載するように、マウスはコレラトキシンを含む、または含まな
い髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンで鼻内に免疫感作し、ここでコレラトキシ
ンはアミノ酸位置29のグルタミン酸がヒスチジンに置き換えられた突然変異体の
状態である(CT-CRM、E29H)。マウスをアジュバント無しのrピリンで免疫感作
した後に生成したプール血清から抗原ELISAで検出される有意な免疫反応があっ
た;この反応は突然変異体CT-CRM、E29Hコレラトキシンを加えることにより増強
された。
【0067】 実施例25に記載するように、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のクラス
I株によるマウスの鼻咽腔のコロニー形成の阻害が、MPL(商標)で補強した髄膜炎
菌キメラのクラスIrピリンで皮下に免疫感作したマウスで示された。
【0068】 実施例26に記載したように、ウエスタンブロット分析では髄膜炎菌のキメラ
のクラスIIrピリンで免疫感作したモルモットから得た抗血清がクラスIまたは
クラスIIピリンのいずれかを発現するピリを持つ髄膜炎菌細胞に由来する全細胞
溶解物に結合することを示した。
【0069】 実施例27に記載するように、部分精製した髄膜炎菌キメラのクラスIIピリン
に対して誘導された抗血清は、ホモロガスなバクテリア株に由来する髄膜炎菌細
胞に結合した。
【0070】 まとめて考えると、このようなデータはrピリン、特に髄膜炎菌キメラのクラ
スIおよびIIrピリンタンパク質が髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対す
る能力のあるワクチン候補であるという観点を支持している。
【0071】 淋菌のrピリンタンパク質は、哺乳動物に淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に
より引き起こされる疾患に対する防御を付与するワクチンの調製に有用である。
髄膜炎菌のrピリンタンパク質、髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタンパク質
および髄膜炎菌キメラのクラスIIrピリンタンパク質は、哺乳動物に髄膜炎菌(
N. meningitidis)により引き起こされる疾患に対する防御を付与するワクチン
の調製に有用である。
【0072】 さらに、様々なナイセリア種に対する交差−防御は、哺乳動物に髄膜炎菌(N.
meningitidis)により引き起こされる疾患に対する防御を付与するために淋菌
のrピリンタンパク質を含有するワクチンで免疫感作することにより、あるいは
哺乳動物に淋菌(N. gonorrhoeae)により引き起こされる疾患の防御を付与する
ために髄膜炎菌のrピリンタンパク質、髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタン
パク質または髄膜炎菌キメラのクラスIIrピリンタンパク質を含むワクチンを免
疫感作することにより与えられる。
【0073】 このようなワクチン組成物は、単離され、そして精製されたrピリンタンパク
質を含んで成り、ここでワクチン組成物は哺乳動物宿主に防御免疫反応を誘導す
る。
【0074】 rピリンタンパク質を含有するワクチンは、免疫的に許容できる希釈剤または
キャリアーと通例の様式で混合して、注射可能な液体溶液または懸濁液を調製す
ることができる。ワクチンにより誘導される抗体のレベルは、Stimulon(商標)
QS-21(アクイラ バイオファーマシューティカルズ社(Aquila Biopharmaceutic
als Inc.)、フラミンガム、マサチューセッツ州)、MPL(商標)(3-o-脱アシ
ル化モノホスホリル リピッドA;RIBI イムノケム リサーチ社(ImmunoChem Re
search,Inc.)、ハミルトン、モンタナ州) 、リン酸アルミニウム、水酸化アルミ
ニウム、IL-12(ジェネティックス インスティチュート(Genetics Institute)
、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)およびコレラトキシン(野生型または突
然変異体状態のいずれか、例えば米国仮出願第60/102,430号明細書に従いアミノ
酸位置29でグルタミン酸が別のアミノ酸、好ましくはヒスチジンに置き換えられ
ている)のような特定のアジュバントを使用して向上させることができる。
【0075】 本発明のワクチンは、ヒトへの皮下、腹腔内または筋肉内注射のような通例の
様式で注射により投与されるか、あるいは経口的、粘膜を介して、鼻内に、また
は膣内投与して、淋菌(N.gonorrhoeae)または髄膜炎菌(N. meningitidis)に
より引き起こされる疾患に対して防御するための能動免疫反応を誘導する。投与
する用量は、当業者により既知の手段で決定される。防御はワクチンの単回投与
により付与することができ、または数回の追加免疫投与を必要とするかもしれな
い。
【0076】 本発明をより良く理解するために、以下の実施例を説明する。実施例は具体的
に説明する目的のためだけであり、本発明の範囲を限定することを意図していな
い。
【0077】
【実施例】
標準的な分子生物学的技法は、Sambrook et al.(31)に記載されているプ
ロトコールに従い使用する。
【0078】 実施例1 バクテリアおよび細胞培養 バクテリアおよび培養条件 淋菌の単離物は、フロリダ州のタンパ;カナダのオタワ;ワシントンD.C.;ワ
シントン州のシアトル;ニューヨーク州のロチェスター;ノースカロライナ州の
チャペルヒル;およびイリノイ州のエバンストンから得た。髄膜炎菌の単離物は
、ノースカロライナ州のチャペルヒル;およびオランダのビルトベンから得た。
【0079】 バクテリアは凍結乾燥状態または−70℃に凍結して必要になるまで保存した
。固体培地で成長させた時、寒天プレートは湿気を帯びた雰囲気および5(重量
/重量)%のCO2を含む恒温機中で37℃でインキューベーションした。淋菌(N.g
onorrhoeae)および髄膜炎菌(N. meningitidis)は、ヘモグロビンを含まない
が、デキストロース(400mg/L)、グルタミン(10mg/L)、コカルボキシレート(2
0μg/L)および硝酸鉄(500μg/L)を補充したGC培養基(デフコ ラボラトリー
ズ(Difco Laboratories)、デトロイト、ミシガン州)で成長させた。髄膜炎菌
N. meningitidis)の液体懸濁カルチャーを、寒天を含まない同じ培地で37℃
で震盪恒温機(70RPM)中で成長させた。マウスの鼻組織のホモジネートに由来
する髄膜炎菌の培養を含む実験では、バクテリアは以下の抗生物質(デフコ):
硫酸コリスチン(75μg/mL)、ニスタチン(125μg/mL)、バンコマイシン(30
μg/mL)および乳酸トリメトプリム(50μg/mL)の混合物を含む上記GC培地で
成長させた。ピリを持つ淋菌はコロニー形態により同定し、そして個々のコロニ
ーは表現型を維持するために毎日継代した。髄膜炎菌細胞のピリを持つ状態は、
NanoVan株(ナノプローブズ(Nanoprobes)、ストーニーブロック、ニューヨーク
州)でpH8にて30秒間染色したサンプルを透過型電子顕微鏡の調査により評価
した。大腸菌(E.coli)は、20g/Lのバクト トリプトン(デフコ)、5g/Lの酵
母エキス(デフコ)、0.6g/LのNaCl、0.2g/Lの KClおよび1(容量/重量)%の
寒天(pH7.5)から成るSOB寒天、または寒天を加えないSOBブロスで成長させた。
幾つかの実験については、バクト トリプトンを等量のHySoy(商標)(シェフィー
ルド プロタクツ、ノースリッチ、ニューヨーク州)に置き換えた。上皮細胞培養 ME-180細胞系(ATCC,ベルツヴィル、メリーランド州)は、もともとは頸部癌
に由来する類表皮癌である。細胞は、10(容量/容量)%のウシ胎児血清(シグ
マ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州)、ペニシリンG(1000単位/mL)(ギ
ブコ BRL)、L-ストレプトマイシン(1mg/mL)(ギブコ BRL)および2mM L-
グルタミンを補充したRPMI1640(ギブコ BRL、ゲチスバーグ、メリーランド州)
中、37℃にて湿気を帯びた5(容量/容量)%のCO2中で成長させた。細胞は3〜
4日毎に分裂した。
【0080】 実施例2 大腸菌(E.coli)中での淋菌のpilEのクローニングおよび発現 ピリを持つ淋菌(N.gonorrhoeae)のPgh3-1株の凍結サンプルを、PCR反応
pilE DNAの供給源として使用した。このpilE遺伝子は、完全なピリンタン
パク質(リーダー配列を含む)の3'および5'末端を認識する以下のプライマー
を使用して増幅させた:
【0081】
【表1】
【0082】 生成したPCR生成物は、pilEコード領域の始めにNcoI部位を、そして末端にBa
mHI部位を含んだ。NcoI部位をクローニングの配慮から遺伝子中に導入した。こ
れによりシグナル配列中の第2アミノ酸がアスパラギン(AAT)からアスパラギ
ン酸(GAT)に変化した。アミノ酸2は通常の成熟タンパク質の正常なプロセッ
シング中に開裂するシグナルペプチドの一部なので、この変化は抗原性または免
疫原性にいかなる効果も及ぼさないと予想された。PCR生成物をpCR(商標)IIT
A クローニングベクター(インビトロゲン(Invitrogen)、カールスバット、カリ
フォルニア州)にクローン化し、連結し、そして大腸菌(E.coli)TOP10F'(イ
ンビトロゲン)中で形質転換した。コロニーは100μg/mLのアンピシリンを含有
するプレートまたは50μg/mLのカナマイシンを含有するプレートで選択した。プ
ラスミドDNAはこのような形質転換体の一晩のカルチャーから単離し、そして
酵素であるEcoRIおよびNotIを使用して制限消化により分析した。
【0083】 pilE PCR DNAフラグメントの存在を確認するために、正しいサイズの挿入
物を含有する4つのクローンを、DNA配列分析に供した。pPX1999と命名した
クローン#17を、pilE遺伝子の供給源として使用した。pPX1999およびpTrcHisA
(インビトロゲン)からのプラスミドDNAを、NcoIおよびBamHI制限酵素で消
化し、DNAフラグメントのゲルを単離し、連結し、そして大腸菌(E.coli)TO
P10F'中で形質転換した。アンピシリン耐性コロニーを選択し、形質転換体の新
たなプラスミドDNAを単離し、そしてBamHIおよびNcoI制限酵素を使用してD
NAの制限分析を行った。正しい制限パターンを持つ2つのクローンをDNA配
列分析にかけた。両方のクローンが正しいDNA配列を有し、そしてpPX2000と
命名された。
【0084】 組換えピリンの発現に関して試験するために、このようなクローンを含有する
カルチャーを震盪フラスコまたは発酵器のいずれかの中で、SOBに100μg/mLのア
ンピシリンおよび12μg/mLテトラサイクリンを加えて成長させた。震盪フラスコ
を使用した時、大腸菌(E.coli)は1リットルの培地中でA600=0.9〜1.0が得
られるまで成長させた。組換えピリンの発現は、イソプロピル-β-D-チオガラク
トピラノシド(IPTG)を1mMの終濃度で添加することにより誘導し、そして1〜4
時間成長させ、その時点で細胞を遠心により回収し(4℃、13,689×gで20分間
)、そして−20℃で保存した。発酵器については、プレートから一晩のカルチャ
ーを使用して、500mLの培地を含有するフラスコに接種し、これを再度、一晩成
長させた。次にこの液体カルチャーは、8.9リットルの培地を含有するBiostat B
発酵器(ブラウン バイオテック(Braun Biotech)、アレンタウン、ペンシルベ
ニア州)を接種するために使用した。発酵器中でのバクテリアの増強された成長
は、HySoy(商標)を含有する培地に1(重量/容量)%の終濃度のデキストロース
を補充した時に得られた。カルチャーがA600=1.0に達した時、1mMの終濃度ま
でIPTGを加え、そして細胞をさらに1〜4時間成長させ、その後に遠心により回
収した(4℃、13,689×gで20分間)。培地を捨て、そして細胞ペレットを−20
℃で保存した。IPTGで誘導すると、rピリンタンパク質の発現は有意に上昇し、
そして誘導後3〜4時間で最大レベルに達した。
【0085】 誘導したカルチャーからのサンプルを、ドデシル硫酸ナトリウムの存在下でポ
リアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分析した。組換えピリンは、
クーマシーブルー染色を使用して視覚化し、そしてその同定は淋菌のピリに特異
的なモノクローナル抗体を用いてウエスタンブロットにより確認した(クローン
#A33020023、バイオスペシフィック(Biospecific)、エミリーヴィル、カリフ
ァルニア州)。
【0086】 実施例3 カナマイシン耐性マーカーを含有する淋菌の組換えpilEプラスミドの構築 AmpRマーカーがKanRマーカーに置き換えたプラスミドを構築した。以下に特記
することを除き、実施例2の手順を使用した。PCR反応はpTrcHisAプラスミド
DNAについて、
【0087】
【表2】
【0088】 を使用して行った。下線を付した配列は、XbaI制限部位をコードする。約3.5kb
のPCR生成物はアンピシリンコード領域無しのpTrcHisA DNAを含んだ。別
のPCR反応は、pACYC177プラスミドDNA(ニューイングランドバイオラボズ(
New England Biolabs)、ベヴァリー、マサチューセッツ州)について、KanFXba
【0089】
【表3】
【0090】 を使用して行った。ここでも下線を付した配列は、XbaI制限部位をコードする。
約860bpのPCR DNA生成物はカナマイシン耐性遺伝子を含んだ。両方のPC
R生成物をアガロースゲルから精製し、DNAをXbaI制限酵素で消化し、抽出し
、そして一緒に連結した。この連結反応のアリコートを、大腸菌(E.coli)TOP1
0F'で形質転換し、そして形質転換ミックスのアリコートを30μg/mL のカナマイ
シンを含有するSOBプレートにまいた。
【0091】 全部で48個のKanRコロニーは、アンピシリンまたはカナマイシンのいずれかを
含有するSOBプレートに2連で画線した。予想どおり、すべてのKanRコロニーは
アンピシリン耐性であった。クローニングの設計は対称的であるので、両方向の
カナマイシン挿入物を単離した。もとのアンピシリン遺伝子と同じ時計回り方向
のカナマイシン挿入物を、さらなる実験のために選択し、そしてpZ564と命名し
た。pZ564中にlacIq遺伝子、trcプロモーターおよび多クローニング部位を含有
するDNA領域は、以下の様式でpPX2000プラスミド(これはpilEも含んだ)から
の同様の領域と置き換えた:pZ564およびpPX2000をSphIおよびXmnI制限酵素で消
化した。pPX2000に由来する約2.2kbのDNAフラグメントおよびpZ564に由来す
る約2.6kbのDNAフラグメントをゲル精製し、一緒に連結し、そして大腸菌(E
.coli)TOP10F'中で形質転換させた。生成した正しいプラスミドをpPX2002と命名
した。
【0092】 同様の誘導のタイムコースおよび組換えピリンタンパク質発現のレベルが、選
択抗生物質をアンピシリンからカナマイシンに変えた時に見られた。
【0093】 実施例4 大腸菌(E.coli)中での髄膜炎菌のクラスI pilEのクローニングおよび発現 淋菌および髄膜炎菌のクラスIピリンのDNAおよびアミノ酸配列の高度にホ
モロガスな性質から(7)、淋菌のrピリン抗血清が髄膜炎菌細胞上に発現した
ピリに結合する能力は、全細胞ELISAを使用して評価した。この抗血清はH355株
由来の髄膜炎菌(N. meningitidis)のピリを持つ細胞に対する結合について151
,100の力価を表した。
【0094】 この株からの全細胞溶解物のウエスタンブロットは、抗血清と結合したピリン
と同時に移動する単一バンドのみを示したので(データは示さず)、この結合は
ピリンタンパク質に対するように思われた。多数の他の髄膜炎菌の株は、全細胞
ELISAで低い力価を現したが、ピリの存在は透過型電子顕微鏡では確認されなか
った。このようなデータに基づき、髄膜炎菌(N. meningitidis)からクラスIピ
リンをクローン化し、そして組換え的に発現することを決定した。最初に髄膜炎
菌(N. meningitidis)に由来するpilEを用いた方法と同じ方法に従った。以下
に特記することを除き、実施例2の手順を使用した。
【0095】 クラスIpilEは、髄膜炎菌(N. meningitidis)H44/76株のゲノムDNAから以
下のプライマーを使用して増幅させた:
【0096】
【表4】
【0097】 予想どおり、約600bpDNAのPCR生成物が得られた。PCR反応生成物のア
リコートを、pTrcHisAの挿入のためにBamHIおよびNcoI制限酵素で消化した。消
化したDNAはアガロースゲルで電気泳動し、そしてDNAフラグメントをゲル
精製した。次にDNAフラグメントを一緒に連結し、そして大腸菌(E.coli)TOP
10F'中で形質転換させた。アンピシリン耐性クローンのミニプラスミドプレップ
分析(Miniplasmid prep analysis)は、BamHIおよびNcoI制限酵素を使用して行
った。正しい制限消化パターンを発現するクローンを、RZ1142と命名し、そして
プラスミドをpPX2003と命名した。
【0098】 誘導後、約15,000ダルトンの分子量を有するクーマシーブルーで染色されたポ
リペプチドの存在は、全細胞溶解物をSDS-PAGEにより分析した時に観察された。
このような4つのクローンに由来する全細胞溶解物のSDS-PAGEおよびウエスタン
ブロットによる分析では、淋菌(N.gonorrhoeae)のLB2株に由来する完全なピリ
に対するポリクローナル抗血清のおよその移動度および反応性を有するタンパク
質の存在が示された。精製されたクラスIrピリンは167アミノ酸長であった。し
かしこの組換えピリンの発現レベルは、同じ条件下で成長させたpPX2000およびp
PX2002のいずれかで得られたレベルよりは有意に低かった。組換え体のクラスIp
ilEのDNA配列の分析では多数の逆位方向反復があり、これは大腸菌(E.coli)
中でのこのタンパク質の低い発現レベルを説明しているかもしれない。
【0099】 実施例5 大腸菌(E.coli)中での淋菌および髄膜炎菌クラスIキメラpilEの構築および発現 髄膜炎菌のピリンタンパク質の発現を上昇させるために、pPX2003(実施例4
に記載した髄膜炎菌のクラスIpilE構築物)中の最初の60アミノ酸をコードする
DNAを、pPX2002(実施例3に記載した淋菌のpilE構築物、7個のアミノ酸シ
グナルペプチドを含む)(配列番号4)に置き換えた。以下に特記することを除
き、実施例2の手順に従った。
【0100】 髄膜炎菌のpilE遺伝子の保存された5'末端領域を、淋菌(N.gonorrhoeae)の
Pgh3-1株に由来する同じ領域に以下の様式で置き換えた。BsmBI部位を髄膜炎菌
pilE遺伝子に以下のように導入した:DNAは以下のプライマーを使用してpP
X2003からPCR増幅した;
【0101】
【表5】
【0102】 およびTaq DNAポリメラーゼ。期待されるPCRのDNA生成物をpCR2.1(イ
ンビトロゲン)に直接導入し、そしてTOP10F'細胞中で形質転換させ、そして生
成したプラスミドをpZ578と命名した。次にBsmBI部位は、以下の方法により淋菌
pilEに導入した。
【0103】
【表6】
【0104】 およびPfu DNAポリメラーゼを使用して、pPX2000に由来するpilEの5'末端を
増幅した。生成した淋菌のPCR生成物およびpZ578を、次にBsmBIで消化し、そ
して一緒に連結した。連結したDNAを次に
【0105】
【表7】
【0106】 プライマーを使用してPCR増幅した。
【0107】 このDNAのPCR生成物は予想されたサイズ(約850bp)であり、そしてNco
IおよびBamHIで消化して約600bpのフラグメントを得た。このフラグメントをゲ
ル単離し、そしてNcoI-およびBamHI-で切断したpPX2000ベクターに直接クローン
化し、淋菌のpilE遺伝子を置き換えた。アンピシリン耐性である生成したプラス
ミドをpPX2004と標識し、そしてTOP10F'を形質転換するために使用した。この形
質転換体の分析では、所望のキメラpilE DNAの存在が示された。IPTGでの誘
導後、発現される髄膜炎菌キメラのクラスIrピリン構築物の量はpPX2003から発
現される髄膜炎菌のrピリンの量と比べて有意な上昇があった。1%オクチル-
β-D-グルコピラノシド(OG)を用いた抽出、および組換え淋菌ピリンについて
実施例7に記載した精製プロトコール(TMAE Fractogel(商標)カラム、0.1%(
重量/容量% Zwittergent(商標)3−14を含む10mM Tris(商標)、pH8.5中)を使
用して、高度に精製された髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタンパク質が得ら
れた(約5mg/グラム細胞湿潤重量を得た)。この材料はSDS-PAGEおよびレーザ
ーデンシトメトリーにより分析した時、90%より高い純度であった。SDS-PAGEで
は、約15,000ダルトンのサイズの主要バンドの存在が示された。髄膜炎菌キメラ
のクラスIrピリンタンパク質も167アミノ酸長であり、そして精製したタンパク
質のアミノ−末端36残基のシークエンシングにより示されるように、7個のアミ
ノ酸のシグナル配列を含む。
【0108】 実施例6 大腸菌(E.coli)中での淋菌および髄膜炎菌クラスIIキメラpilEの構築および発現
髄膜炎菌のクラスIIpilEの最初のクローニングには、ピリを持つ髄膜炎菌(N. meningitidis )FAM18株細胞に由来する染色体DNAの単離およびPCR反応で
のクラスIIpilE DNAの増幅が含まれた。クラスIIpilE 遺伝子は完全なピリン
タンパク質(リーダー配列を含む)の3'および5'末端を認識する以下のプライ
マーを使用して増幅した:
【0109】
【表8】
【0110】 実施例2に類似の方法で、生成したPCR生成物は、pilEコード領域の始めにNc
oI部位および末端にBamHI部位を含んだ。NcoI部位はクローニングを考慮して遺
伝子に導入した。これによりシグナル配列中の第2アミノ酸がリシン(AAA)か
らグルタミン酸(GAA)に変化した。前に述べたように、この変化は抗原性また
は免疫原性にいかなる効果も及ぼさないと予想された。PCR生成物をpCR2.1ク
ローニングベクター(インビトロゲン)にクローン化し、連結し、そして大腸菌
E.coli)TOP10F'中で形質転換した。コロニーは100μg/mLのアンピシリンを含
有するプレートまたは50μg/mLのカナマイシンを含有するプレートで選択した。
プラスミドDNAはこのような形質転換体の一晩のカルチャーから単離し、そし
て酵素であるEcoRIを使用して制限消化により分析した。
【0111】 pPX8001と命名したクローン#8を、pilE遺伝子の供給源として使用した。pPX
8001およびpTrcHisC(インビトロゲン)からのプラスミドDNAを、それぞれNc
oIおよびBamHI制限酵素で消化し、生成したDNAフラグメントをゲル単離し、
連結し、そして大腸菌(E.coli)TOP10F'中で形質転換した。アンピシリン耐性
コロニーを選択した後、新たな形質転換体のプラスミドDNAを単離し、そして
DNAの制限分析をBamHIおよびNcoI制限酵素を使用して行った。正しい制限パ
ターンを持つ2つのコロニーをDNA配列分析にかけた。両方のクローンが正し
いDNA配列を有し、そしてpPX8002と命名された。
【0112】 組換えクラスIIピリンの発現に関して試験するために、このようなクローン(
pPX8002)を含有する10mLのカルチャーを、100μg/mLのアンピシリンおよび12μg
/mLテトラサイクリンを含むSOB中で50mLの管でA600=1.0まで成長させた。組換
えタンパク質の発現は、IPTGを1mMの終濃度で添加することにより誘導し、そし
て培養は3時間続行した。誘導した細胞の全細胞溶解物を、SDS-PAGEにより分離
し、そしてクーマシーブルーを用いて染色した時、新たな(誘導された)バンド
は検出されなかった。これはFAM18 pilE遺伝子産物がクーマシーブルーで認識で
きるより低いレベルで発現したことを示唆した。FAM18 pilEをpET17bプラスミド
にクローン化し、そして大腸菌BL21(DE33)pLysS中でpilEシグナル配列の有り
、または無しで形質転換した時、組換えタンパク質の有意な発現は検出されなか
った。同様な結果は2つの他の髄膜炎菌(N. meningitidis)株(NmB、2996)を
、同じpTrcHisプラスミドおよびTOP10F'発現系にクローン化した時にも得られた
【0113】 具体的には、PCRおよびシークエンシングデータに基づきNMBおよび2996株
もクラスIIピリンを発現すると決定された。pilE遺伝子は、クラスI組のプライ
マー(NMFPILEおよびNMRPILE)およびクラスIIの組のプライマー(PILE2FWDおよ
びPILE2REV)を、鋳型として染色体DNAまたは細胞のいずれかを用いて別個の
反応で使用して、幾つかの髄膜炎菌(N. meningitidis)株から増幅させた。P
CR生成物はpTrcHisCにクローン化し、そしてシークエンシングするか、あるい
は直接シークエンシングした。配列の整列を行った:H44/76株に由来する配列と
同様な配列はクラスIと分類し、一方FAM18株に由来する配列と同様な配列はクラ
スIIと分類した。配列は増幅したすべてから得られたわけでなかった。予備的な
分類も、PCRデータに基づき行った。クラスI株は、クラスIプライマーを用い
たPCR生成物と間違えのないサイズを与えたが、クラスIIプライマーを用いた
PCR生成物とでは与えず、一方、クラスII株は、クラスIIプライマーを用いた
PCR生成物と間違えのないサイズを与えたがクラスIプライマーを用いたPC
R生成物とでは与えなかった。
【0114】 髄膜炎菌のクラスIピリンを用いた実験に基づき、クラスIIpilEの最初の60ア
ミノ酸(保存されたアミノ−末端領域)をコードする領域を、淋菌(N.gonorrho
eae)のPgh3-1株の対応する領域と置き換えた。生成したキメラpilEの発現は、
種々のプロモーターを使用して多数の大腸菌(E.coli)発現株で調査した。調査
した株には:PR13(Rnアーゼ欠失)、BL21(プロテアーゼ欠失)、KS474(細胞
プロテアーゼ欠失)、AD494(ノバゲン(Novagen)、これは細胞質中でジスルフィ
ド結合の形成を可能とする)および3つのTOPP株(ストラタジーン(Stratsgene)
、タンパク質を発現し難くするために有用な非−K12株)を含んだ。すべての場合
で、組換えタンパク質はクーマシーブルー染色したSDS-PAGEでは検出されなかっ
た。別の発現プラスミドpET17b(これはT7プロモーターを含む)を調査して同じ
結果を得た。
【0115】 pPX8002中の天然のクラスIIpilE遺伝子配列が塩基447で終わることは注目する
べきである。天然の髄膜炎菌のクラスIIpilE終止部位から下流(3')、ヌクレ
オチド447〜519に見いだされるDNA配列は、ステムおよびループ構造を形成す
るかもしれない逆位反復を含む。ステムおよびループ構造は、転写の効果的なタ
ーミネーターであることができ、これの省略によりpPX8002中のさらに3'配列(
74塩基)が大腸菌(E.coli)中でキメラのクラスII pilEメッセージの転写に影
響を及ぼすだろうと仮定された。したがってすべての後のクローニングでは、こ
の下流の3'末端配列を保存した。
【0116】 発現を阻害する領域を同定するために、髄膜炎菌(N. meningitidis)株に由
来するクラスIIpilE遺伝子の様々な部分を、淋菌(N.gonorrhoeae)Pgh3-1株のp
ilE遺伝子に由来する対応する領域と系統的に置き換えることに着手した。交換
領域は5'または3'末端から始まり、そして次第に大きくしていった。5'およ
び3'末端の二重交換も、天然のpilEクラスIIに由来するわずか84個の内部領域
のヌクレオチドが残るまで構成した。この領域も交換し、rGCの再構築をもたら
し、そして予想どうり、このクローンはpPX2000と同じクーマシーブルー染色レ
ベルでrピリンを発現した。FAM18 pilE 遺伝子の以下の領域(ヌクレオチド数
で掲げる)をPgh3-1由来の対応する領域(カッコ内に掲げる)と交換した:単一
領域交換は、1〜108(1〜108)、1〜181(1〜181)、1〜294(1〜282)、
439〜499(478〜553)、379〜519(367〜553)、295〜519(283〜553)、295〜3
78(283〜366);二重領域交換は、1〜294(1〜282)&379〜519(367〜553)
、1〜181(1〜181)&439〜499(478〜553)、1〜181(1〜181)&379〜519
(367〜553)、1〜294(1〜282)&439〜499(478〜533)。
【0117】 このような構築物は、大腸菌(E.coli)TOP10F'でpTrcHis発現系を使用して発
現させた時、2つの構築物は組換えタンパク質をクーマシーブルーにより検出で
きるレベルで生産した:第1はヌクレオチド379〜519(これはジスルフィドルー
プおよび3'エクステンションを含んで成る)の交換を含む;および第2は1〜1
81(これは保存5'領域を含んで成る)&379〜519(これはジスルフィドループお
よび3'エクステンションを含んで成る)の両方の交換を含む。5'領域のみの交
換は組換えタンパク質の発現を導かなかったので、そして第1構築物は天然の髄
膜炎菌のピリン配列のほとんどを保持していたので、この構築物(ヌクレオチド
379〜519)をさらなる調査に選択した。髄膜炎菌および淋菌タンパク質のアミノ
酸配列はこの領域で有意に異なるので、ジスルフィドループが有意な抗原性変異
を受けるとよく示されている(17、18)。それゆえに、この領域(例えばジ
スルフィドループ)に対する任意の免疫反応は、髄膜炎菌株の間で最小の交差−
反応性を現すだろう。最後に、淋菌の挿入物は髄膜炎菌のジスルフィドループの
ほぼ2倍のサイズであるので(39残基対18残基)、生成するキメラタンパク質はS
DS-PAGEゲルでおよそ19,000ダルトンの見かけ上の分子量に移動する。
【0118】 このキメラ遺伝子の構築は、以下の様式で行った。5'フラグメントはpPX8002
(FAM18 クラスIIpilE)を以下のプライマーを用いて増幅することにより得た:
【0119】
【表9】
【0120】 淋菌のジスルフィドループ(すなわち、淋菌の遺伝子の3')は、pPX2000から以
下のプライマーを使用して増幅した:
【0121】
【表10】
【0122】 生成したPCR生成物をそれぞれ精製し、制限酵素BsmBIで別個に消化し、次に
連結して完全長のキメラpilEを形成し、これをプライマーPILE2FWDおよびPILERE
Vを使用して増幅した。このPCR生成物を制限酵素であるNcoIおよびBamHIで消
化し、同様に制限処理したpTrcHisCベクターに連結し、そしてTOP10F'コンピテ
ント細胞中で形質転換させた。
【0123】 形質転換体を培養し、そして制限酵素NcoIおよびBamHIを使用して分析した。
正しいサイズの挿入物を持つ4つのクローンを、制限酵素StuIで分析した。その
中の3つが正しい制限マップを提供した。正しい制限パターンを持つ3つクロー
ンのうちの2つをシークエンシングした。クローン#5は正しいDNA配列を持
ち、そしてpPX8017と命名した。このクローンは配列番号3に説明するヌクレオ
チド配列を含み、ここでヌクレオチド1〜378は髄膜炎菌(N. meningitidis)に
由来し、そしてヌクレオチド379〜510は淋菌(N.gonorrhoeae)に由来する。
【0124】 発現は50mLの管中で10mL培養により検査した。細胞はSOBに100μg/mLのアンピ
シリンおよび12μg/mLテトラサイクリンを補充して約A600=1.0まで成長させた
。カルチャーはIPTGを1mMの終濃度で添加することにより誘導した。成長は3〜
4時間成長させ、その時点で細胞を遠心により回収し(4℃、13,689×gで20分
間)、そして−20℃で保存した。発酵器については、プレートまたは凍結ストッ
クから一晩のカルチャーを使用して、500mLの培地を含有するフラスコに接種し
、これを再度、一晩成長させた。次にこの液体カルチャーは、8.9リットルの培
地を含有するBiostat B 発酵器(ブラウン バイオテック(Braun Biotech)、アレ
ンタウン、ペンシルバニア州)を接種するために使用した。発酵器中でのバクテ
リアの増強された成長は、HySoy(商標)を含有する培地に1(重量/容量)%の終
濃度のデキストロースを補充した時に得られた。カルチャーがA600=4.0〜6.0
に達した時、1mMの終濃度でIPTGを加え、そして細胞をさらに2〜4時間成長さ
せ、その後に遠心により回収した(4℃、13,689×gで20分間)。培地を捨て、
そして細胞ペレットを−20℃で保存した。IPTGで誘導すると、キメラのクラスII
rピリンタンパク質の発現は有意に上昇した。
【0125】 誘導したカルチャーからのサンプルを、ドデシル硫酸ナトリウムの存在下でポ
リアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分析した。組換え体の髄膜炎
菌キメラのクラスIIピリンは、クーマシーブルー染色を使用して視覚化し(約19
,000ダルトンの見かけ上の分子量)、そしてその同定は淋菌のペプチド
【0126】
【表11】
【0127】 に対するポリクローナル抗血清を用いてウエスタンブロットにより確認した(こ
のペプチドはクラスIIピリンタンパク質のアミノ末端の保存領域に位置する)。
髄膜炎菌キメラのクラスIIrピリンは、170アミノ酸長であり(シグナルを含む
)(配列番号4)、そのアミノ酸1〜126は髄膜炎菌(N. meningitidis)に由来
し、そしてアミノ酸127〜170は淋菌(N.gonorrhoeae)に由来する。
【0128】 実施例7 大腸菌(E.coli)からの組換え淋菌ピリンの単離および精製 以下の手順を使用して、上記実施例2および3で得られた組換え淋菌ピリンを
精製した。この手順は実施例4で得られた髄膜炎菌の組換えピリンを精製するた
めにも使用し、そして上記実施例5で得られた髄膜炎菌キメラのクラスIrピリ
ンタンパク質を最初に精製するために使用した。続いて髄膜炎菌キメラのクラス
Irピリンタンパク質についての単離手順を、以下の実施例8に記載するように
変更した。
【0129】 rピリンを発現する大腸菌(E.coli)の細胞分画では、1(容量/容量)%の
Triton(商標)X-100がこのタンパク質を溶解する能力に基づき、このタンパク質
が細胞膜、ほとんど内膜に結合していることが示された。この実験を混入してい
る大腸菌(E.coli)のタンパク質を除去するために0.05〜0.1(容量/容量)%
のTriton(商標)X-100の存在下で行った時、pH9.5未満でrピリンはイオン交換カ
ラムに確実には結合しないことが見いだされた。それゆえに、大腸菌(E.coli
の膜調製物に由来するrピリンタンパク質を選択的に溶解するための多数の界面
活性剤の能力を調査した。
【0130】 1リットルのカルチャーから細胞ペレット(約5g湿潤重量)を、30mLの10mM
Hepes(pH7.2)(リサーチ オルガニックス(Research Organics)、クリーブラン
ド、オハイオ州)、1mM EDTAを加えることにより溶かし、そして細胞はMicroflu
idizer 細胞ホモジナイザー(マイクロフルイデックス インターナショナル 社(
Microfluidics International Corp.)、ニュートン、マサチューセッツ州)を使
用して破壊した。溶解物は遠心(12,000g×g、10分)により清澄化し、そして膜
をペレット化した(288,652g×g、1時間)。膜を33mLの10mM Hepes(pH7.4)、1m
M MgCl2に再懸濁し、そして以下の1種の界面活性剤を用いて、室温で1時間抽
出した:(a)Triton(商標)X-100(TX-100)(カルビオケム-ノバビオケム インタ
ーナショナル(Calbiochem-Novabiochem International)、サンディエゴ、カリ
フォルニア州)、(b)還元型Triton(商標)X-100(カルビオケム)、(c)オクチ
ル-β-D-グルコピラノシド(OG)(カルビオケム)、(d)Zwittergent(商標)3-8
(Z3-8)(カルビオケム)、(e)Zwittergent(商標)3-10(Z3-10)(カルビオケム)
、(f)Zwittergent(商標)3-12(Z3-12)(カルビオケム)、(g)Zwittergent(商標
)3-14(Z3-14)(カルビオケム)、(h)Empigen BB(商標)(カルビオケム)または(
i)Tween(商標)80(ICN クリーブランド、オハイオ州)。
【0131】 Empigen BB(商標)(1容量/容量%)、Zwittergent(商標)3-10(1重量/容
量%)、還元型Triton(商標)X-100(1容量/容量%)、Zwittergent(商標)3-10
(1重量/容量%)または3-14(0.1重量/容量%)を含むオクチルグルコシド(
1重量/容量%)は、それぞれ最小の大腸菌(E.coli)タンパク質の混入で組換え
ピリンタンパク質を抽出した。Zwittergent(商標)3-12はたとえ0.1(重量/容量
)%でも組換えタンパク質および有意な数の大腸菌(E.coli)タンパク質の両方を
溶解した。Tween(商標)80は、試験したいずれの濃度(0.1〜1重量/重量%)で
も組換えタンパク質を抽出しなかった。
【0132】 可溶化されたタンパク質は不溶性の膜材料から遠心により分離された(288,65
2g×g、1時間)。上清(rピリンを含有する)を4℃で一晩、以下の非イオン
性界面活性剤の1種を含む10mM Tris(商標)(pH8.5)に対して透析した:(a)0.1
(重量/容量%)Zwittergent(商標)3-14、(b)1(重量/容量%)Zwittergent
(商標)3-10または(c)1(重量/容量%)OG。透析した材料は、10mM Tris(商標
)(pH8.5)および各表面活性剤で平衡化したFractogel(商標)EMD TME-650(S)(EM
セパレーション テクノロジー(Separation Technology)、ウェークフィールド、
リッチモンド州)カラムで分画した。結合したタンパク質は、適切な界面活性剤
を含有する10mM Tris(商標)(pH8.5)中の0から0.2MへのNaClの直線勾配により溶
出した。rピリンを含有する画分をプールし、純度およびタンパク質含量につい
て分析した。場合によりrピリンの純度を上昇させるために、プールした材料を
出発バッファーに対して透析し、そしてTMAEカラムで2度目の分画を行った。
【0133】 カラムから選択的に溶出されたrピリンは、クーマシーブルー染色したSDS-PA
GEゲルのレーザーデンシトメトリーでの分析により評価すると高度に精製されて
いた(>90%均質)。同様の結果は抽出およびカラムクロマトグラフィーを、1
(重量/容量)%Zwittergent(商標)3-10、1(重量/容量)%OGまたは0.1(重
量/容量)%のZwittergent(商標)3-14を用いて行った時に得られた。rピリン
の収量(これは全大腸菌(E.coli)タンパク質の重要な割合を占める)は、SOB培
地を含む1.5リットルの震盪フラスコで成長させた約10mg/Lカルチャーであった
。組換え大腸菌(E.coli)(pPX2002を含む)をHySoy(商標)に基づく培地り使
用して発酵器で成長させた時、精製されたrピリンの収量は、約30mg/Lカルチャ
ーに上昇し、これは1グラムの細胞塊あたり7mgのrピリンに相当する。1%デ
キストロースを発酵器に含めると、rピリンの全収量は、約100mg/Lに上昇した
【0134】 精製したrピリンは、0.05(重量/容量)%のZ3-14を含む10mM リン酸ナトリ
ウム、140mM NaCl(pH7)(PBS)に対して透析し、そして滅菌濾過し、そして4
℃で保存、または−20℃で凍結した。
【0135】 実施例8 大腸菌(E.coli)からの髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンの単離および精製 pPX2004を含量する大腸菌(E.coli)細胞の大規模なカルチャーを、実施例2
に記載するようにBioStat Bファーメンターで成長させた。バクテリア細胞(約8
8グラムの湿潤重量の大腸菌(E.coli)pPX2004)を440mLの10mM Hepes、1mM EDTA(
pH7.5)に再懸濁し、そしてMicrofluidizerモデル110Y(マイクロフルイデック
ス インターナショナル、ニュートン、マサチューセッツ州)を使用して破壊し
た。破壊された細胞は10℃で6,084g×gにて20分遠心するにより清澄化した。上
清を集め、そして膜画分は10℃で205,471×gにて1時間遠心することにより単離
した。ペレットは220mMの10mM Hepes、1mM MgCl2、1(重量/容量)%のオクチ
ル-D-グルコピラノシド(pH7.5)中で均質化することにより再懸濁し、そして室温
で90分間撹拌した。懸濁液を10℃で205,471×gにて1時間遠心した。遠心後、可
溶化されたキメラのクラスIrピリンを含む上清は、0.22μ Nalgene 真空フィル
ターを通して濾過し、そして4℃で保存した。オクチルグルコシド抽出物のpHを
、濃NaOHを用いて8.5に合わせ、そして続いて25mM Tris(商標)、0.1(重量/容
量)%のZwittergent(商標)3-14(pH8.5)で平衡化した200mLのTMAE Fractogel(商
標)カラム(EM セパレーション テクノロジー、ギブスタウン、ニュージャージ
ー州)カラムに添加した。非結合タンパク質は、さらに400mLの平衡化バッファ
ーでカラムから洗い出した。rピリンは25mM Tris(商標)、0.1(重量/容量)%
のZwittergent(商標)3-14(pH8.5)中の直線的なNaCl勾配(0〜0.2M NaCl)により
、10.0mL/分の流速で10カラム容量にわたり溶出した。キメラのクラスIrピリン
を含有する画分をプールし、そしてdH2Oで1:1に希釈し、そして10mM NaPO4
0.1(重量/容量)%のZwittergent(商標)3-14(pH6)で平衡化した100mLの40μm
のセラミック ハイドロキシアパタイトカラム(バイオラッド(Bio-Rad)、ヘリキ
ュラス、カリフォルニア州)にのせた。非結合タンパク質は、さらに200mLの平
衡化バッファーでカラムから洗い出した。キメラのクラスIrピリンは0.1(重量
/容量)%のZwittergent(商標)3-14を含む直線的なNaPO4勾配(10〜150mM NaPO
4)を使用して、5.0mL/分の流速で10カラム容量にわたり溶出した。画分をSDS-PA
GE分析により調査し、そしてキメラのクラスIrピリンを含量する画分をプール
した。精製した材料は、クーマシーブルー染色したゲルをレーザーデンシトメト
リーにより測定すると少なくとも95%純粋であった。精製されたキメラのクラス
Irピリンの収量は、約35mg/g湿潤細胞であった。
【0136】 実施例9 大腸菌(E.coli)からの髄膜炎菌キメラのクラスIIrピリンの単離および精製 特定しない限り、すべての工程は室温で行った。凍結した大腸菌(E.coli)細
胞を、1グラムの細胞あたり10mLの10mM Hepes(pH7.2)、1mM EDTAに再懸濁し
、そしてMicrofluidizer 細胞ホモジナイザーを使用して均質化して細胞を破壊
した。細胞溶解物は13,689g×gにて30分遠心するにより清澄化した。生成した上
清は4℃で388,024×gにて30分間遠心した。上清を捨て、そして膜を含有するペ
レットを−20℃で一晩凍結した。膜ペレットを9mL/管の10mM Hepes(pH7.2)、
1mM MgCl2に再懸濁し、そして1(重量/容量)%のZwittergent(商標)3-16(カ
ルビオケム)で1時間抽出した。懸濁液を388,024×gにて30分間遠心し、そして
生成したペレットを再度、上記のようにZwittergent(商標)3-16で抽出した。遠
心後(388,024×gにて30分)、ペレットを9mLの50mMTris(商標)(pH8.0)、5mM
EDTAに再懸濁し、そして1(重量/容量)%のN-ラウリルサルコシル(シグマ:Si
gma)を用いて、室温で一晩、穏やかに撹拌しながら抽出した。これにより髄膜炎
菌キメラのクラスIIrピリンを可溶化した。不溶性材料は遠心により除去し(38
8,024×gにて30分)、そして捨てた。髄膜炎菌のキメラのクラスIIrピリンを含
む上清にZwittergent(商標)3-14を最終濃度1(重量/容量)%で加え、そして
材料を一晩、50mM Tris(商標)(pH8.0)、10mM EDTA、1(重量/容量)%のZwitt
ergent(商標)3-14に透析した。透析した材料のアリコート(1mL、1.3mgタンパ
ク質)を、50mM Tris(商標)(pH8.0)、10mM EDTA、1(重量/容量)%のZwitterg
ent(商標)3-14で平衡化したMonoQカラム(ファルマシア(Pharmacia)、ピスカタ
ウェイ、ニュージャージー州)カラム(5×10mm)で、0.5mL/分の流速で通した
。キメラのクラスIIrピリンを含有する非結合材料をプールし、そして10mM NaP
O4(pH6.8)、1(重量/容量)%のZwittergent(商標)3-14に一晩透析した。材料
はおよそ80%純度であり、そして以下の実施例26および27に記載の実験に使用
した。この材料のさらなる精製は、これを10mM NaPO4(pH6.8)、1(重量/容量
)%のZwittergent(商標)3-14で平衡化した1mLのハイドロキシアパタイトカラ
ム(バイオラッド)を通すことにより得た。精製された髄膜炎菌キメラのクラスI
Iタンパク質は1(重量/容量)%のZwittergent(商標)3-14を含む直線的な0〜
0.5M NaPO4勾配を使用して溶出した。画分は、クーマシーブルーまたは銀のいず
れかで染色したSDS-PAGEによりキメラのクラスIIrピリンについて調査した。両
方の分析で約19,000ダルトンの分子量を有する単一のポリペプチドバンドの存在
が示された。この材料はポリアクリルアミドゲルのレーザーデンシトメトリーに
より95%より高い純度であった。
【0137】 実施例10 淋菌のrピリンの分析法 タンパク質含量は、ビシンコニン酸タンパク質アッセイ(ピアス(Pierce)、ロ
ックフォード、イリノイ州)により、BSAを標準として決定した。タンパク質調
製物の純度は、クーマシーブリリアントブルー染色したSDSの存在下でのポリア
クリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により測定し、そしてパーソナル デンシ
トメーター(Personal Densitometer)SI(モレキュラ デバイス(Molecular Dev
ice)を用いて分析した。調製物中のピリンの同定は、実施例2に記載したモノク
ローナル抗体を使用してウエスタンブロッティングにより確認し、この抗体は淋
菌(N.gonorrhoeae)のP9株に由来する精製したピリに対して生じる(バイオス
ペシフィック(Biospecific))。ピリンタンパク質のN-末端配列を、アプライド
バイオシステムズ(Applied Biosystems) 477Aタンパク質シークエンサーを使用
して決定した。精製したrピリンをN-末端シークエンシングにかけた時、2つの
配列がしばしば検出された。主要配列は7個のアミノ酸リーダー配列を含む完全
なピリンタンパク質を表した。サンプルの10〜20%からなる少ない配列は、リー
ダー配列が無く、しかも配列がフェニルアラニン、成熟した淋菌のピリンタンパ
ク質のN-末端残基から始まるrピリンタンパク質であった。両方のrピリンタン
パク質形について、アミノ−末端残基のシークエンシングによりDNA配列から
予想される配列に一致する結果を得た。
【0138】 組換えピリンの質量は、Finnagan MAT Lasermat(商標)2000(サン ジョラ、カ
リフォルニア州)を使用してマトリックス 介助 レーザー デソープション 飛行
時間(MALSI-TOF)マススペクトロメトリーにより決定した。装置は、ウマのミオ
グロビンを用いてその予想される16,951.5ダルトンの分子量の0.01%までキャリ
ブレーションした。組換えピリンを等量のシアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸マトリッ
クス(10mg/mL、70:30のアセトニトリル:0.1(容量/容量)%のトリフルオロ酢
酸/水)と混合した。この混合物のアリコート(1μL)を、サンプルのステージ
に沈積させ、風乾し、そしてMALSI-TOFマススペクトロメトリー分析に供した。1
5回のデータ(各分析は10ショットの和を表す)を平均して、rピリンの質量を
決定した。rピリンの分子量(シグナルを持つ)は、18,001ダルトンと決定され
、これはアミノ酸含量に基づき予測された質量17,981ダルトンに良く合う。17,2
32ダルトン(平均)の質量の少量のピークは、各ロットで検出された。組換えピリ
ン2つの形態の分子量の差異(769ダルトン)は、774ダルトンの質量を有するリ
ーダー配列の最初の6個のアミノ酸の損失による(Met Asp Thr Leu Gln Lys)
(配列番号2、アミノ酸1〜6)。
【0139】 大変異なる見かけ上のrピリンの分子量が、0.05(重量/容量)%のZwitterg
ent(商標)3-14を含むPBS中で平衡化した分析用のSuperose(商標)12カラム(ファ
ルマシア、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)を使用してサイズ排除カラム
クロマトグラフィーにより得られた。このような条件下で、タンパク質は68,899
の分子量に相当する位置で溶出した。これは組換えタンパク質が凝集しているこ
とを示唆していた。しかしサイズ排除カラムからのタンパク質の溶出は、タンパ
ク質の形状に大きな影響をうけ得る。速度沈降遠心(velocity sedimentation ce
ntrifugation)実験からの結果は、組換えピリンが溶液中でおよそ45,000ダルト
ンの分子量を有することが示された。界面活性剤(Zwittergent(商標)3-14)を
除去し、そしてタンパク質をPBSのみに対して徹底的に透析した。透析した組換
えタンパク質は溶解性であり、そして高速遠心(122,000×g、1時間)によりペ
レット化しなかった。組換えタンパク質から界面活性剤の完全な除去を確認する
ことはしなかった。この材料のPBS中のゲル濾過による分析では、タンパク質が4
52,349ダルトンの見かけ上の分子量を有することが示された。これはタンパク質
がさらに凝集したことを示唆していた。凝集物中のサブユニットの数は、いずれ
も測定しなかった。
【0140】 452,349という値は、界面活性剤がサンプルから完全に除去されているかどう
かわからないので、タンパク質が未だにミセルであるかもしれないために推定で
あると考えるべきである。ワクチンとして配合される時、rピリンが約15〜30倍
に希釈にされるならば、ワクチン中のrピリンは約450kDの見かけ上の分子量を
有するだろう。
【0141】 実施例11 rピリンから免疫血清の調製 免疫原性の実験は、アジュバントと混合した20μgの精製した淋菌のrピリン
タンパク質を用いて皮下に(s.c.)免疫感作したモルモット(メス、200g)を使
用して行った。実験したアジュバントは:(a)PBS(pH6)中のStimulon(商標)S
Q-21(25μg/用量);(b)PBS(pH7)中のリン酸アルミニウム(レダーレ ラボ
ラトリーズ(Lederle Laboratories)、パールリバー、ニューヨーク州、100μg/
用量);または(c)PBS(pH7)のみを使用した。最初に動物は0、4および8週
に免疫感作され、そして血清を0、4、6および10週に得た。免疫反応のタイ
ムコースの分析は、8週目に第3回目のワクチン接種を与えても免疫反応を強化
しないことを示したので、したがって組換えピリンを用いた後の実験では、6週
目の採血で終了した。
【0142】 淋菌のrピリンの免疫反応をモジュレートするアジュバントの能力を調査する
ために、マウス(メス、8週齢、1群あたり5または10匹の動物)を1〜10μ
gの精製したタンパク質で0、4および6週に皮下に免疫感作し、そして血清を
0、4、6および8週に得た。膣の洗浄は、8週目にRPMI1640(75μL)を膣に滴
下し、そして3〜4回吸引することにより行った。各群からの洗浄流体は一緒に
プールし、そして50μLのウシ胎児血清を各プールに加えた。
【0143】 髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタンパク質に関しては、マウスは0および
4週のみに免疫感作を受け、そして血清を0、4および6週に得た。マウスを対
象としたすべてのrピリンの非経口免疫原性実験に関して、以下のアジュバント
を試験した:(a)PBS(pH6)中のStimulon(商標)SQ-21(25μg/用量);(b)
PBS(pH7)中のリン酸アルミニウム(100μg/用量);または(c)PBS(pH7)中の
MPL(商標)(50μg/用量);(d)PBS(pH7)中のリン酸アルミニウム(100μg/用
量)およびMPL(商標)(50μg/用量);またはPBS(pH7)のみ。
【0144】 髄膜炎菌キメラのクラスIIrピリンについて、モルモットはPBS(pH6)中のSti
mulon(商標)SQ-21(25μg/用量)で補強した20μgのタンパク質の免疫感作を、
0および4週のみに受け、そして血清を0、4および6週に得た。
【0145】 組換え的に発現したピリン(淋菌または髄膜炎菌キメラのクラスI)が、粘膜
の免疫反応を誘導する能力は、マウスを鼻内に(a)1μgの天然のコレラトキ
シンを含む、または含まない1または10μgの淋菌のrピリン(2.5μLの塩水中)
、あるいは(b)1μgの突然変異体CT-CRM、E29Hコレラトキシンを含む、また
は含まない、10μLのPBS(pH7)で希釈した5μgのキメラのクラスIrピリンで免
疫感作することにより評価した。免疫感作は0、2および3に与えた。
【0146】 実施例12 淋菌のrピリンに対する免疫反応のウエスタンブロット分析 精製した淋菌のrピリンを使用して、実施例11に記載したプロトコールに従
いモルモットを免疫感作した。淋菌のrピリンで免疫感作したモルモットに由来
する抗血清は、最初にウエスタンブロットにより分析した(データは示さず)。
これらのブロットは、淋菌のrピリンに対する抗血清がピリを持つ淋菌の細胞に
由来する全細胞溶解物中のピリに対応するバンドを認識することを示した;同じ
淋菌の株に由来するピリを持たない細胞溶解物中に見られる染色されたバンドは
無かった。
【0147】 比較データは、淋菌のピリンオリゴマーで免疫感作したモルモットに由来する
抗血清から得た。ピリンオリゴマーは前に記載した完全なピリの解離により得た
(4)。簡単に説明すると、これには完全なピリを4℃で37mMのリン酸ナトリウ
ム(pH12)に48時間透析し、続いて50mM Tris(商標)、145mM NaCl(pH8.0)に対して
透析することが含まれた。ピリンオリゴマーは次に遠心(100,000×g、1時間)
により清澄化した。遠心後、ピリンオリゴマーは上清に存在した。淋菌のrピリ
ンに対する抗血清と比べると、ピリンオリゴマー抗血清は、ピリを持つ細胞溶解
物中のピリに対して結合する一方、ピリを持つ、またはピリをもたない両方の細
胞に由来する溶解物中の多数の他のバンドにも結合した(データは示さず)。こ
れらのバンドは、ピリンオリゴマー調製物中の混入を表し、そしてピリに関連し
ないと予想される。
【0148】 実施例13 組換え淋菌ピリンELISA 精製されたタンパク質またはバクテリア細胞に対する終点力価は、ELISAによ
り決定した。すべてのELISAの手順において、特定しないかぎりインキューベー
ションは室温で1時間であった。終点力価は、光学的吸収がブランクウェル(1
次抗体を含まない)よりも0.10以上大きい外挿希釈で定めた。モッモットの抗血
清の分析については、精製した組換えピリンを0.1M Tris(商標)(pH8)で1μg/mL
の終濃度に希釈した。アリコート(100μL)をマイクロタイタープレート(Immulo
nII、ヌンク(Nunc)、ナパールヴィレ、イリノイ州)のウェルに加え、そして4
℃で一晩、インキューベーションした。プレートは、0.05(容量/容量)%のTw
een(商標)-20を含有するPBS(PBS-T)で、Skanwash 300プレートワッシャー(スカ
トロン インスツルメントツ(Skatron Instruments)、アレクサンドリア、バージ
ニア州)を使用して5回洗浄した。ウェルは、PBS-T中の200μLの1(重量/容
量)% BSAでブロックし、洗浄し、そして抗血清のアリコート(PBS-T中で、0.1
(重量/容量)% BSAで希釈)をウェルに加えた。次にプレートを洗浄し、そし
て結合した1次抗体は、ウサギ抗−モッモットIgG(重&軽鎖)(ザイムド ラボ
ラトリーズ(Zymed Laboratories)、サウス サンフランシスコ、カリフォルニア
州)(50mM Tris(商標)(pH8)中の0.1(重量/容量)% BSAで1:2000倍希釈)に結
合した100μLのアルカリフォスファターゼを使用して検出した。プレートを洗浄
し、そして発色はウェルあたり100μLのp-ニトロフェノール フォスフェート(シ
グマ)(2mg/mL、0.5M ジエタノールアミン、0.25mM MgCl2、pH9.8中)を使用して
行った。30分後、反応は50μLの3N NaOHを添加することにより止めた。吸収はT
hermomax ELISA プレート リーダー(モレキュラーデバイスイズ(Molecular Devi
ces)、サニーバレ、カリフォルニア州)で、405nmで読んだ。
【0149】 rピリンタンパク質で免疫感作したすべての動物が、表1に表す抗原ELISAに
より示されるように、大変よく反応した。
【0150】
【表12】
【0151】 ★ 3つの異なるrピリンのロットを免疫原として使用した。モッモットは0お
よび4週に免疫感作し(s.c.)、そして0、4および6週に採血した。分析はプー
ルした血清について行った。免疫反応に及ぼすアジュバントの効果 以下のアジュバントが、淋菌のrピリンに対する免疫反応に及ぼす効果を、マ
ウスで実験した:(a)PBS(pH6)中のStimulon(商標)SQ-21;(b)PBS(pH7)
中のリン酸アルミニウム;(c)PBS(pH7)中のMPL(商標);(d)PBS(pH7)中
のリン酸アルミニウムおよびMPL(商標);または(e)PBS(pH7)のみ。マウスの
抗血清の分析については、抗原ELISAプロトコールを以下のように変更した。マ
イクロタイタープレート(Costar、EIA/RIA、コーニンダコスター(Corning Cos
tar)、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を、100μLの1μg/mL rピリン(P
BS中)で37℃にて一晩被覆した。プレートは、0.1(容量/容量)%のTween(商標
)-20を含有するPBSで、Skantron 300プレートワッシャーを使用して5回洗浄し
た。ウェルは、0.1(重量/容量)%のゼラチンおよび0.02(重量/容量)%のN
aN3を含有するPBSでブロックした。1次抗体は、0.1(重量/容量)%のゼラチ
ン、0.05(容量/容量)%のTween(商標)-20(PBS-TG)および0.02(重量/容量)
%のNaN3を含有するPBSで希釈し、そして100μLのアリコートをマイクロタイタ
ープレート中で2時間、インキューベーションした。洗浄後、結合した1次抗体
は、ビオチン化されたウサギ抗−マウスIgG(Fc領域)(ブロックウッド バイオ
メディカル(Brookwood Biomedical)、バーミンガム、アラバマ州)(PBS-TGおよ
び0.02(重量/容量)% NaN3で1:8000倍希釈)を使用して検出した。プレートを
洗浄し、そして2次抗体は、次にPBS-TGおよび0.02(重量/容量)% NaN3で1:5
000倍希釈したストレプトアビジン結合西洋ワサビペルオキシダーゼを使用して
検出した(ザイムド ラボラトリーズ(Zymed Laboratories))(30分間インキュ
ーベーション)。プレートを洗浄し、そして0.03(容量/容量)%の過酸化水素を
含有する0.1M クエン酸(pH4.2)中の0.5mg/mLの2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベン
ゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)を使用して30分間発色させ、そしてSLT340 A
TTC マイクロプレートリーダー(SLTラボインスツルメンツ(Labinstruments)、
リサーチ トライアングル パーク、ノースカロライナ州)を使用して405nmでモ
ニターした。データは対数-対数プロットを使用してプロットし、そして終点力
価はこれまでに記載したように決定した。
【0152】 rピリンをMPL(商標)で補強した時、マウスにおいて体液性免疫反応が得ら
れ、これはStimulon(商標)QS-21で見られる規模と同様であった(表2A)。同
じ動物の膣の洗浄の分析により、これらの動物の膣洗浄液中で証明できるIgG力
価が明らかになった(表2B)。
【0153】
【表13】
【0154】
【表14】
【0155】 ★ Balb/cマウス(1群あたり5匹)は、上記のように補強された10μgのrピリ
ンで、0、4および6週に免疫感作した。動物は0、4、6および8週に採血し
た。分析は8週目のプールした血清について行った。0週の終点力価は5,000
であった。 ★★ プールした膣洗浄液は8週目に得た。 ★★★ 乾燥細胞を使用した全細胞ELISA。 P+:ピリを持つ細胞。P−:ピリをもつ親の細胞から生じたピリを持たない変
異体。
【0156】 実施例14 淋菌全細胞ELISA 完全な集成されたピリ上に見いだされる有意な数の交差反応性エピトープのr
ピリンによる発現を、続いて全細胞ELISAにより確認し、ここで精製したrピリ
ンに対する抗血清は、ヘテロロガスなピリを発現する多数の淋菌株に対して高い
力価を現した。モルモットの抗血清が生きている淋菌細胞に結合する能力は、以
下の手順を使用して行った。マイクロタイタープレート(ImmulonII)を4℃で
一晩、PBS中の100μLの0.01(重量/容量)%のポリ-L-リシン(シグマ)とイン
キューベーションした。バクテリアの一晩の寒天カルチャーはPBS中にダクロン
(Dacron)綿棒で回収し、そして懸濁液の濁度をA600=1.0に調整した。ポリ-
リシン溶液をマイクロタイタープレートから捨て、そしてバクテリア懸濁液の10
0μLのアリコートをウェルに加えた。プレートは、PBSを用いて手で持つNuncプ
レート洗浄機を使用して5回洗浄し、そして1(重量/容量)%のBSAを含有す
る200μLのPBS(PBS-B)でブロックした。次にプレートはPBSを使用して5回洗浄
し、そしてPBS中の0.1(重量/容量)%BSAで希釈した抗血清の100μLのアリコ
ートをウェルに加えた。PBSで5回洗浄した後、結合した抗血清は上記の100μL
の適当なアルカリフォスファターゼ結合物(PBS中の0.1(重量/容量)% BSAで
1:2000倍希釈)を使用して検出した。プレートを洗浄し、発色させ、そして上記
のように吸収を読んだ(発色30分後)。
【0157】 全細胞ELISAにより分析した時、rピリンに対するモルモットの抗血清は多様
な地域から得たピリを持つ単離物に結合したが、同じ淋菌株の対応するピリを持
たない細胞には結合しなかった(表3)。
【0158】
【表15】
【0159】
【表16】
【0160】 ★ 免疫原としてrピリンの3種の異なるロットを使用した。モルモットを免疫
感作し(s.c.)、そしてすでに記載したように採血した。6週目の採血からのプ
ール血清をアッセイした。0週の終点力価は250。 P+:ピリを持つ細胞。P−:ピリを持つ親の細胞から派生したピリを持たない
変異体。
【0161】 rピリンに対するマウス抗血清の全細胞ELISA分析(表2)は、ウェル中にバ
クテリアが乾燥したマイクロタイタープレートを使用して以下の手順で行った。
バクテリアの一晩のカルチャーは、PBS中にダクロン(Dacron)綿棒で回収し、
そして懸濁液の濁度をA600=0.1に調整した。バクテリア懸濁液のアリコート(
100μL)をウェルに加え、そしてプレートを37℃で風乾した。すべての液体を蒸
発させた後、プレートを密閉し、そして使用するまで4℃で保存した。残りの手
順は、マウス抗血清の抗原ELISAについてすでに記載した手順に従い行った。全
細胞ELISAからのデータ(表2および3)は、rピリンがピリを持つ淋菌の表面
上の保存エピトープに結合する抗体を誘導することを示唆している。
【0162】 実施例15 淋菌rピリンに対する粘膜免疫反応の誘導 淋病は生殖器の粘膜の疾患なので、粘膜の免疫感作が粘膜の免疫反応を誘導す
る能力を調査することは興味深かった。これは以下の様式で行った。淋菌のrピ
リン(塩溶液中、10μL中に1または10μg)を、1μgの天然のコレラトキシンを
用いてまたは用いずに、0、1および2週目にマウスの鼻内に免疫感作した。5
匹のSwiss-Websterマウスの群は、コレラトキシンを用いてまたは用いずに0、
1および2週目に鼻内に免疫感作した。分析はプール血清について行った。0週
の終点力価は<50であった。
【0163】 以下の表4に示すように、動物をアジュバントの不在でrピリンを用いて免疫
感作した時、抗原ELISAで有意な免疫反応が検出された(0週の力価<300)。こ
の反応は天然のコレラトキシンを加えることにより強化された。
【0164】
【表17】
【0165】 次に、これらの血清についてそれらが完全な、ピリンの持つ淋菌細胞に結合す
る能力を、淋菌(N.gonorrhoeae)のP1090株に由来する細胞に対して行ったELIS
Aにより調査した。細胞はマイクロタイタープレート上で前記のように乾燥させ
た。表5に示すように、rピリン単独では低い力価が検出された(0週の力価<
300)。ピリを持つ細胞に対する結合は、コレラトキシンを加えことで大きく強
化された。
【0166】
【表18】
【0167】 実施例16 淋菌の免疫電子顕微鏡 抗血清のピリを持つバクテリアに対する結合の視覚化は、以下の手法を使用し
て行った。金を被覆したグリッドに、後期対数期のrecA-ピリ化淋菌(N.gonorrh
oeae)の液体カルチャーに由来するアリコートを5分間スポット添加し、そして
過剰な流体を1枚の濾紙で除去した。グリッドをPBS-Bで5分間、続いてPBS中の
1(重量/容量)%の魚ゼラチン(フルカ(Fluka)、ロンコンコマ、ニューヨー
ク)でブロックした。グリッドを次にPBS-Bで希釈したポリクローナル抗血清を
用いて室温で1〜60分間インキューベーションした。非結合抗体はPBS-Bの液滴
にグリッドを浮動させることにより除去した(4×30秒)。結合した1次抗体は
、PBS-B中で1:5に希釈したロバの抗-モルモットIgG(ジャクソン リサーチラ
ボズ(Jackson Research Labs)、ウエスト グローブ、ペンシルベニア州)に結合
した1滴の12mmのコロイド金上にグリッドを浮動させることにより検出した。次
にグリッドを5回、上記のようにPBS-Bの液滴上で洗浄した。次にサンプルはPBS
中の1(容量/容量)%のグルタルアルデヒド(エレクトロン ミクロスコピー
サイエンス(Electron Microscopy Science)、フォート ワシントン、ペンシルベ
ニア州)で3分間安定化させ、次いで蒸留水中で5×1分間すすぎ、そしてNano
Van染色(ナノプローブス(NanoProbes)、ストーニー ブロック、ニューヨーク
)(pH8)で30秒間、かるく染色した。すべての液体はグリットに1枚の濾紙を
接触させることにより除去し、そして80kvの加速電圧を使用して15〜75,000XでZ
eiss 10C透過型電子顕微鏡で調査した。
【0168】 免疫電子顕微鏡により示されるように(図1A)、組換えピリンに対する抗体
は、淋菌表面上のヘテロロガスなピリフィラメントの長さに沿って結合した。こ
れは抗体がインビボでバクテリアの表面上に存在するであろうこのようなエピト
ープに結合することを示唆した。
【0169】 実施例17 淋菌rピリンオリゴマーの全細胞ELISA このような完全なピリ(またはピリン オリゴマー)に由来するrピリンの生化
学的および免疫学的特性を識別するために、精製したrピリンをpH12のリン酸バ
ッファーに対して透析することによりrピリンオリゴマーに転換した。この材料
(rピリンオリゴマー)により誘導される抗血清は、それが生きているピリを持
つ淋菌に結合する能力について全細胞ELISAを使用して調査した。表6に示すよ
うに、rピリンオリゴマーに対する抗血清は、多様なピリを持つ淋菌細胞に対す
る結合に関して、未処理rピリンにより誘導された抗血清と比べて有意に低い終
点力価を有した。これはrピリンオリゴマーが、通常はrピリンタンパク質上に
存在する有意に多数の交差反応性エピトープを失ったことを示唆している。
【0170】
【表19】
【0171】 ★ モルモット(1群あたり4匹)は、25μgのStimulon(商標)QS-21を用いて補
強した20μgのrピリン抗原で、0および4週目に免疫感作(s.c.)した。6週目
のプール血清を分析した。 ★★ 精製したrピリンを37mMリン酸ナトリウム(pH12)に対して4℃で48時間透
析し、続いてPBSに対して24時間透析した。
【0172】 実施例18 ヒトの頸部への接着阻害 ピリは淋菌(N.gonorrhoeae)のヒトの粘膜細胞への最初の結合を媒介するの
で、rピリン抗体がこのようなバクテリアの上皮細胞への付着を阻害する能力を
調査した。ME-180細胞(これは頸部癌から派生した)を選択した。さらにこのよ
うな実験中にピリを持つ細胞の凝集を最小にするために、細胞は液体懸濁培養で
成長させた。これにはピリの発現を維持するために淋菌Pgh3-1またはI756株のre
cA-誘導体を使用することが必要であった。このようなrecA-株は液体培養では4
〜5時間の成長中に有意な凝集を示さず、これで結果の解釈がより容易となる。
【0173】 このような実験において、8ウェルチャンバースライド(Nunc)にME-180細胞
を細胞が実験の日に80〜90%コンフルエントになるように播いた。recA-淋菌細
胞はPBS中(37℃に暖めた)に綿棒で入れ、そして0.4(重量/容量)%のNaHCO3
を補充した液体GC培地のフラスコに接種し、最終的にA600=0.2とするために使
用した。細胞カルチャーを震盪しながら37℃で120RPMで約4時間インキューベー
【0174】
【外1】
【0175】 液をRPMI1640中で1:8に希釈した。第2の8ウェルチャンバーのウェルを、少
なくとも1時間、300μLのRPMI1640およびウシ胎児血清とインキューベーション
した。RPMI1640ブロックを捨て、そして40μLの抗血清またはRPMI1640(胎児血
【0176】
【外2】
【0177】 FU)を加え、そして37℃/5(容量/容量)%CO2で1時間してインキューベー
ションした。ME180細胞を含むチャンバーウェルスライドは、抗体を含まないRPM
I1640で1回洗浄した。次にプレインキューベーションしたバクテリアおよび抗
血清の混合物をME180細胞に加え、そしてスライドを37℃で30分間インキューベ
ーションした。非結合バクテリア細胞を含有する培地を頸部細胞の単層から取り
出し、そしてウェルをRPMI1640で3回、ゆるやかに洗浄した。最後の洗浄後、チ
ャンバーウェルをスライドから取り出し、細胞をメタノールで30〜60秒間固定し
、そしてWright-Giema染色(VWR サイエンティフィック(Scientific)、ウエス
ト チェスター、ペンシルベニア州)で染色した。水で脱色した後、カバースリ
ップを各ウェル上にのせた。
【0178】 スライドは油浸漬を使用して光学顕微鏡により調査し、そして代表的な写真は
試験領域について判断力をもたない人が撮った。得られた写真もサンプルの同定
に関して判断力を持たない人により分析した。さらにピリを持つ淋菌は凝集の上
皮単層に結合したので、淋菌細胞の結合に及ぼす抗血清の効果は、個々のバクテ
リアに代わりバクテリアの凝集を計数することにより定量した。各ウェルをわた
る10の不規則な走査で観察されたピリを持つバクテリアの凝集の数を測定した。
免疫および正常血清を結合するウェル間のパーセント差異を決定した。ここでも
この分析は分析しているサンプルに関して判断力を持たない人により個別に行っ
た。
【0179】 最初の結果は、ピリを持つまたはピリをもたない細胞がコンフルエントなME18
0細胞の単層に対して異なる結合パターンを有することを示した。淋菌のピリを
持つ株は両方とも典型的にはバクテリアの凝集物としてコンフルエントな単層内
の選択した上皮細胞と結合した。対照的に対応する同遺伝子型のピリを持たない
バクテリアは、結合しなかったか(Pgp3-1)または低いレべルを示したかのいず
れかで、上皮単層に対する結合(I756)は多様である。このように上皮単層上へ
のバクテリアの凝集は、ピリの存在に相関する。
【0180】 次にPgh3-1 rピリンに対するモルモットの抗血清が、ピリを持つ細胞I-756株
のME-180細胞への結合を阻害する能力を試験した。代表的な写真の分析(図2B
(0週)に対して図2A(6週)を比較)では、rピリンに対する抗体がピリを
持つ淋菌の頸部上皮細胞への結合を有意に阻害したことを示した。対照的に、r
ピリン抗血清は 正常なモルモットの血清と比べた時、同じ株に由来するピリを
持たない細胞の結合に効果が無かった(データは示さず)。このような条件下で
結合したバクテリアの数は測定できなかったが、接着は、正常または免疫血清の
いずれかの存在下で結合したバクテリアの凝集を計数することにより定量した。
この方法を使用して、rピリンに対する抗血清は、正常なモルモット血清と比較
して、上皮細胞へ結合したバクテリアの凝集が〜60%減少した。
【0181】 このアッセイでは容易に読み取る定量的データは得られなったが、バクテリア
の凝集を計数することにより得られた予測では、恐らく抗血清の効力の過小評価
をもたらしたことだろう。これはrピリン単独に対する抗血清を用いては克服で
きるとは思われない他の細胞表面成分(例えばOpaタンパク質)により媒介される
結合だからである。
【0182】 実施例19 髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンに関する分析法 実施例10に記載した分析法を、キメラの淋菌クラスIrピリンに使用した。M
ALDI-TOF質量分光法により決定すると、髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタン
パク質のサブユット分子量は17,659ダルトンであり、これはアミノ酸含量に基く
17,676ダルトンの予想質量に大変似ている。このタンパク質は0.05(重量/容量
)%のZwittergent(商標)3-14を含有するPBSで平衡化したSuperose(商標)12カラ
ムを使用してサイズ排除クロマトグラフィーにより分析した時、キメラのクラス
Irピリンは69,480ダルトンの見かけ上の分子量を有する。これは同じ条件下で
分析した淋菌のrピリンの見かけ上の分子量(68,899ダルトン)と本質的に同一
である。
【0183】 精製した髄膜炎菌のクラスIrピリンタンパク質のN−末端配列をエドマン分
解により決定し、そして結果(3種の異なるサンプルに由来する)は予想された
タンパク質配列と一致した。少なくとも35残基をすべての配列に関して決定した
【0184】 実施例20 髄膜炎菌キメラのクラスI rピリン ELISA 精製したタンパク質またはバクテリア細胞に対する終点力価は、実施例13お
よび14に記載した方法を使用してELISAにより決定した。このELISAはそれぞれ
の血液に由来するプール血清を使用して行った。全細胞ELISAは、熱(56℃で60
分間)で殺した、またはマイクロタイタープレート上で直接乾燥させた髄膜炎菌
細胞について行った。細胞懸濁液を620nmで0.1の吸収に希釈し、そして100μLの
アリコートをマイクロタイタープレートのウェルに入れた。各プレートを37℃ま
たは室温で乾燥し、密閉し、そして使用するまで4℃で保存した。全細胞ELISA
に関する手順は以下のように変更した:(1)1次および2次血清は、0.1(容量
/容量)%のTween(商標)-20および0.1(重量/容量)%のBSAを含有するPBSで希
釈した;そして(2)プレートは0.05(容量/容量)%のTween(商標)-20を含有
するPBSを用いてSkanwash 300プレート洗浄機で5回洗浄した。
【0185】 キメラのクラスIrピリンで免疫感作したすべてのモルモットは、表7に示す
ように抗原ELISAにより証明されるように大変良く反応した。
【0186】
【表20】
【0187】 ★ モルモット(1群あたり4匹)は、(a)PBS(pH6)の中の25μgのStimulon(
商標)QS-21;(2)塩溶液中の100μgのAlPO4;または(c)PBS(pH7)のみで補
強した20μgのキメラのクラスIrピリンで、0および4週目に免疫感作(s.c.)
した。動物は0、4および6週目に採血した。プール血清をすべての分析に使用
した。
【0188】 有意な反応は、表8に示すようにピリを持つ細胞に対するELISAでも見られた
【0189】
【表21】
【0190】 ★ 細胞は熱で殺した。アジュバントが免疫反応に及ぼす効果 アジュバントが髄膜炎菌キメラのクラスI rピリンに対する免疫反応に及ぼす
効果を、マウスを対象として実施例13に記載した方法を使用して実験した。表
9に示すように、抗血清と髄膜炎菌キメラのクラスI rピリンの結合に関して最
も有意な反応は、Stimulon(商標)QS-21の添加で達成された。
【0191】
【表22】
【0192】 ★ マウス(1群あたり10匹)は、(a)PBS(pH6)の中の25μgのStimulon(商標
)QS-21;(2)塩溶液中の100μgのAlPO4;(c)PBS(pH7)中の50μgのMPL(商標
);(d)塩溶液中の100μgのAlPO4および50μgのMPL(商標);または(e)PBS(
pH7)のみで補強した10μgの髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンで、0および4週
目に免疫感作(s.c.)した。動物は0、4および6週目に採血した。プール血清
をすべての分析に使用した。
【0193】 表10に示すように、抗血清の髄膜炎菌(N.meningitidis)に由来するピリを持
つ細胞への結合に関する最も有意な反応も、Stimulon(商標)QS-21の添加で達成
された。
【0194】
【表23】
【0195】 ★ 細胞は熱で殺した。
【0196】 さらなる分析では、キメラのクラスIrピリンに対するこの抗血清が、クラスI
ピリンまたは場合によってはクラスIIピリンのいずれかに結合することが示され
た。表11に示すこの結果は、この部分的な交差反応性を証明している。
【0197】
【表24】
【0198】 ★ 細胞は熱で殺さずに、マイクロタイタープレート上で直接乾燥(室温)させた
【0199】 実施例21 髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンの免疫電子顕微鏡 キメラ髄膜炎菌のクラスI rピリン抗血清の、髄膜炎菌(N.meningitidis)H355
株に由来するピリを持つ細胞への結合の視覚化は、以下のように透過型電子顕微
鏡を使用して行った。髄膜炎菌(N.meningitidis)の一晩のカルチャーからのコ
ロニーを滅菌ループを使用して慎重に取り出し、そして0.5〜1.0mLの改良Franz
培地[1.3g/L グルタミン酸、20mg/L システイン、10g/L Na2HPO4・7H2O、90mg/L
KCl、6g/L NaCl、2g/L 酵母透析物、そしてデキストロース(4g/L)、グル
タミン酸(100mg/L)、コカルボキシラーゼ(200μg/L)および硝酸鉄(5mg/L
)を補充した]を含有する微遠心管に入れた。金を被覆したグリッドに、細胞懸
濁液のアリコートを5分間スポット添加し、細胞懸濁液のアリコートを5分間ス
ポット添加し、そして過剰な流体を1枚の濾紙で除去した。バクテリア細胞は次
にPBS中の4(容量/容量)%のパラホルムアルデヒド、0.1(容量/容量)%の
グルタルアルデヒドで室温にて30分間固定した。グリッドを連続して、(a)PB
S-Bで5分間、(b)PBS中の1(重量/容量)%の魚ゼラチンで10分間、そして
(c)0.2Mグリシンを含有するPBSと10分間インキューベーションした。ブロッ
クしたグリッドは、実施例16に記載したように髄膜炎菌キメラのクラスIrピ
リンタンパク質に対する抗血清をプローブとした。図3A)に示されるように、
髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタンパク質に対する抗体は、ピリの長さに沿
って結合した。対照的に正常血清(0週)は、ピリに対する結合を示さなかった
(図3B)。
【0200】 実施例22 髄膜炎菌キメラのクラスIrピリン抗血清と 淋菌のピリを持つ細胞との交差反応性 髄膜炎菌のクラスIrピリンと淋菌のピリンとの配列類似性に基づき、上記実
施例4では淋菌のrピリンに対する抗血清がピリを持つ髄膜炎菌細胞を認識し、
そして結合することが示された。この実施例では、髄膜炎菌キメラのクラスIr
ピリンに対して生じた抗血清がピリを持つ淋菌細胞に結合することが示される。
このマウスおよびモルモットの実験からのデータを、表12および13にそれぞ
れまとめる。
【0201】
【表25】
【0202】
【表26】
【0203】 GC−淋菌(N.gonorrhoeae);Nm−髄膜炎菌(N.meningitidis) 実施例23 髄膜炎菌(N.meningitidis)キメラのクラスIrピリン抗血清による 髄膜炎菌菌血症に対する受動防御 髄膜炎菌菌血症に対して防御するためのワクチンの能力を評価するために受け
入れられた動物モデルは、元々SaukkonenおよびLeinonenにより記載された(34)
子供のラットモデルである。髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンに対するモルモ
ットの抗血清(Stimulon(商標)QS-21で補強)が、ピリンを発現する髄膜炎菌株
により引き起こされる菌血症に対して防御する能力を試験した。0日に、Spragu
e-Dawleyの子供のラット(4〜5日齢)を0.1mLのキメラのクラスIrピリンに対
するモルモット抗血清(6週)(PBS中で1:5、1:10または1:20に希釈した)を用
いて受動免疫した(i.p.)。対照群はPBS中で1:5に希釈した0.1mLの正常なモル
モット血清(0週)の注射を受けた。24時間後、動物に0.1mLのピリを持つ髄膜
炎菌(N.meningitidis)(H355株)中の約5×105コロニー形成単位(cfu)で攻撃誘
発した(i.p.)。攻撃誘発から3時間後、動物を屠殺し、そして心臓の血液のアリ
コートを希釈し、そしてGC寒天プレートにまいた。次にプレートを37℃、5%
CO2で18〜24時間インキューベーションした。バクテリアのコロニーを計数し、
そして菌血症のレベルを決定した。分析の1法として分散t試験(variance t t
est)を使用して、免疫血清(6週)を受けた群と正常血清(0週)を受けた対
照群とを比較した。以下の表14に示すように、髄膜炎菌キメラのクラスIrピ
リンに対して特異的なモルモット抗血清で受動的に免疫感作した動物は、正常モ
ルモット血清で免疫感作した動物と比較して、菌血症のレベルにおいて対数減少
(log reduction)以上を示した。この差異は実質的に有意であり、0.05未満のp
値である。
【0204】
【表27】
【0205】 ★ 髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンタンパク質に対する抗血清は、表7に記
載するようにモルモットから得た。 ★★ p<0.05 cfu+std=コロニー形成単位±標準偏差 実施例24 髄膜炎菌キメラのクラスIrピリンに対する粘膜の免疫反応の誘導 マウスは、塩水中の髄膜炎菌キメラのクラスIrピリン(10μL中の5μg)(
コレラトキシンの1μgの交差反応性突然変異体形(CT-CRM、E29H)を含むか、ま
たは含まない)で、0、1および2週に鼻内に免疫感作した。以下の表15に示
すように、動物をアジュバントを含む、または含まないrピリンで免疫感作した
時、抗原ELISAにおいて有意な免疫反応が検出された。この反応は、コレラトキ
シンを加えることにより強化された。
【0206】
【表28】
【0207】 ★:4週からのプール血清を分析した。0週からのプール血清の終点力価は、Ig
GおよびIgAについて<50であった。 ★★:洗浄は以下のように行った: 気管支:肺を1mL RPMI1640で5回洗浄し、次に50μLのウシ胎児血清(FBS)を
サンプルに添加し、これは遠心(2,000×g×5分間)により清澄化し、そして
−20℃で保存した。
【0208】 鼻:鼻の通路を0.5mL RPMI1640で1回洗浄し、そして20μLのFBSをサンプルに
添加した後、−20℃で保存した。
【0209】 膣:膣をを0.075mL RPMI1640で5回洗浄し、そして10μLのFBSをサンプルに添
加した後、−20℃で保存した。
【0210】 実施例25 髄膜炎菌キメラのクラスIrピリン抗血清による髄膜炎菌の コロニー形成に対する能動防御 ヒトにおける髄膜炎菌疾患の最初の段階は、バクテリアによる鼻咽腔でのコロ
ニー形成である。このプロセスでは、ピルは上皮細胞への最初の接着を媒介する
重要な役割を果たすと考えられている。多数の研究者が新生児の動物を対象とし
て鼻咽腔でのコロニー形成に関する手順を記載したが、これを髄膜炎菌ワクチン
の効力を試験するためのモデルとして調査した者はいなかった(35)。本明細書
に記載したように本発明を評価するために、成体の異系交配したマウスを使用し
て髄膜炎菌(N.meningitidis)に関する鼻のコロニー形成モデルを開発した。Swi
ss-Websterマウスは、MPL(商標)で補強した髄膜炎菌キメラのクラスIrピリン
で0、4および8週に免疫感作した。10週目で動物は2mgのデキストラン鉄(シ
グマ:Sigma)を腹腔内注射され、そして約1×107cfuの中期のピリを持つ10μL容
量の髄膜炎菌(40μgのデキストラン鉄も含む)で鼻内に攻撃誘発した。攻撃誘発
から1日後、半数の動物が2mgデキストラン鉄のさらなる腹腔内注射を受けた。
鼻内で生存しているバクテリアの数は、攻撃誘発から1および2日後に鼻の組織
のホモジネートを選択抗生物質を含有するGC寒天プレートにまくことにより測
定した。結果を図16に示す。
【0211】
【表29】
【0212】 ★ すべてのワクチンに用量あたり100μgのMPL(商標)を配合した。各群は5匹
のマウスから成った。 ★★ 鼻内攻撃誘発後の日数。
【0213】 実施例26 髄膜炎菌クラスIIのキメラrピリンに対する免疫反応のウエスタンブロット分
精製した髄膜炎菌クラスIIキメラrピリンを使用して、実施例11に記載した
手順に従いモルモットを免疫感作した。髄膜炎菌クラスIIキメラrピリンで免疫
感作したモルモットからの抗血清を、最初にウエスタンブロットにより分析した
(データは示さず)。これらのブロットは、髄膜炎菌クラスIIキメラrピリンに
対する抗血清が、クラスIIピリン(FAM18)またはクラスIピリン(H355)のいず
れかを発現したピリを持つ髄膜炎菌細胞の全細胞溶解物中のピリン相当するバン
ドを認識したことを示した。対照的に、pTrcHisベクターのみを含む大腸菌(E.c
oli)の抽出物に対する抗血清は、このようなウエスタンブロット中のいずれのピ
リンバンドに対しても反応しなかった。
【0214】 実施例27 髄膜炎菌キメラのクラスIIrピリンに対する抗血清のピリを持つ髄膜炎菌細胞と
の結合 部分精製した髄膜炎菌キメラのクラスIIrピリンに対して生じた血清は、36,4
50より大きい力価で同種株FAM18に由来する髄膜炎菌細胞と結合することが示さ
れた(0週の力価は473)。
【0215】
【表30】
【0216】
【表31】
【0217】
【表32】
【0218】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 淋菌のrピリン(Pgh3-1株に由来する)に対するモルモットの抗血清(1:50希
釈で15分間)と、続いて12nmのコロイド金に結合したロバ抗モルモットIgG(1
:5希釈で30分間)とインキューベーションし、そしてNanoVanで染色した淋菌
N.gonorrhoeae)(I756 recA-株)のピリを持つ細胞の透過型電子顕微鏡写真
を表す。図1Aは抗−rピリンモルモット免疫血清(6週)を表し;図1Bは正
常モルモット血清(0週)を表し;図2Cは、1次抗体無しを表す。
【図2】 淋菌のrピリン(Pgh3-1株に由来する)に対するモルモット抗血清が、ピリを
持つ淋菌(N.gonorrhoeae)細胞(I756 recA-株)のヒト頸部細胞(ME180細胞系
)への付着に及ぼす効果を表す。図2Aは、rピリンに対するモルモット血清(
6週)による付着の阻害を表し;図2Bは、正常なモルモット抗血清がピリを持
つ淋菌細胞の頸部細胞への付着を予防する能力が無いことを表す(0週)。頸部
細胞に結合した代表的なバクテリアのサイズを測定した凝集は、各パネルで丸印
を付けた。各パネルは、同じ実験条件の4つの異なる視野を示す。モルモット抗
血清は、各パネルで1:10,000に希釈した。
【図3】 髄膜炎菌(N.meningitidis)キメラのクラスIrピリン(H44/76株に由来する)
に対するモルモットの抗血清(1:60希釈で35分間)と、続いて12nmのコロイド金
に結合したロバ抗モルモットIgG(1:5希釈で30分間)とインキューベーショ
ンし、そしてNanoVanで染色した髄膜炎菌(N.meningitidis)(H355株)に由来する
ピリを持つ細胞の透過型電子顕微鏡写真を表す。図3Aは抗−rピリンモルモッ
ト免疫血清(6週)を表し;図3Bは正常モルモット血清(0週)を表し;図3
Cは、1次抗体無しを表す。細胞は抗血清とインキューベーションする前に固定
した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12P 21/02 C C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,GH,G M,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 オーイ,ペギー アメリカ合衆国ニユーヨーク州14506メン ドン・メインストリートフイシヤーズ494 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA13 BA31 CA03 CA07 CA20 DA06 EA04 GA11 GA19 GA27 HA03 4B064 AG31 CA02 CA19 CC01 CC24 CE02 CE03 CE06 CE07 CE08 CE09 CE11 DA01 DA15 4B065 AA01X AA01Y AA26X AB01 AC14 BA02 BA25 BD15 BD16 BD17 CA24 CA45 CA46 4C085 AA03 AA38 BA16 BB11 CC02 CC07 DD62 EE01 EE06 FF02 FF13 FF19 FF21 GG03 GG04 GG06 GG08 4H045 AA11 AA20 AA30 BA10 BA41 CA11 DA86 EA31 EA52 FA74 GA01 GA10 GA15 GA22 GA23 GA24

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワクチン組成物がヒト宿主に防御免疫反応を誘導する、ナイ
    セリア属(Neisseria)の単離され、そして精製された組換え的に発現したピリ
    ンタンパク質を含んで成るワクチン組成物。
  2. 【請求項2】 ピリンタンパク質が淋菌(Neisseria gonorrhoeae)種に由来
    する、請求項1に記載のワクチン組成物。
  3. 【請求項3】 ピリンタンパク質が髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)種
    に由来する、請求項1に記載のワクチン組成物。
  4. 【請求項4】 ピリンタンパク質が髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の
    クラスIピリンタンパク質である、請求項3に記載のワクチン組成物。
  5. 【請求項5】 ピリンタンパク質が髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の
    クラスIIピリンタンパク質である、請求項3に記載のワクチン組成物。
  6. 【請求項6】 ピリンタンパク質が、プロセッシング前に配列番号2のアミ
    ノ酸1〜167のアミノ酸配列を有するか、または成熟タンパク質へのプロセッシ
    ング後に配列番号2のアミノ酸8〜167のアミノ酸配列を有する淋菌(Neisseria
    gonorrhoeae)およびクラスI髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のキメラ組換 えピリンタンパク質、あるいはそれらの生物学的に均等なアミノ酸配列である、
    請求項1に記載のワクチン組成物。
  7. 【請求項7】 さらにアジュバント、希釈剤またはキャリアーを含んで成る
    、請求項1に記載のワクチン組成物。
  8. 【請求項8】 アジュバントが、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム
    、Stimulon(商標)QS-21、3-O-デアシル化モノホスホリルリピッドA、IL-12お
    よび野生型または突然変異体コレラトキシンから成る群から選択される、請求項
    7に記載のワクチン組成物。
  9. 【請求項9】 ヒト宿主に免疫原的量の請求項2に記載のワクチン組成物を
    投与することを含んで成る、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に対する免疫感作法
  10. 【請求項10】 ヒト宿主に免疫原的量の請求項3に記載のワクチン組成物
    を投与することを含んで成る、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に対する免疫感作
    法。
  11. 【請求項11】 ヒト宿主に免疫原的量の請求項6に記載のワクチン組成物
    を投与することを含んで成る、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に対する免疫感作
    法。
  12. 【請求項12】 ヒト宿主に免疫原的量の請求項3に記載のワクチン組成物
    を投与することを含んで成る、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対する免
    疫感作法。
  13. 【請求項13】 ヒト宿主に免疫原的量の請求項2に記載のワクチン組成物
    を投与することを含んで成る、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対する免
    疫感作法。
  14. 【請求項14】 ヒト宿主に免疫原的量の請求項6に記載のワクチン組成物
    を投与することを含んで成る、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対する免
    疫感作法。
  15. 【請求項15】 ナイセリア属(Neisseria)の単離され、そして精製され
    た組換え的に発現したピリンタンパク質を、ワクチン組成物がヒト宿主に防御免
    疫反応を誘導するのに十分な量で含むことを含んで成るワクチン組成物の調製法
  16. 【請求項16】 標準的な高緊縮サザンハイブリダイゼーション条件下で、
    プロセッシング前に配列番号2のアミノ酸1〜167のアミノ酸配列を有するか、
    または成熟タンパク質へのプロセッシング後に配列番号2のアミノ酸8〜167の
    アミノ酸配列を有する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)およびクラスI髄膜炎菌(N
    eisseria meningitidis)のキメラ組換えピリンタンパク質、あるいはそれらの生
    物学的に均等なアミノ酸配列をコードするDNA配列とハイブリダイズするDN
    A配列を含んで成る、単離されそして精製されたDNA配列。
  17. 【請求項17】 上記DNA配列が標準的な高緊縮サザンハイブリダイゼー
    ション条件下で、配列番号1のヌクレオチド1〜501または22〜501のヌクレオチ
    ド配列を有するDNA配列とハイブリダイズする、請求項16に記載の単離され
    そして精製されたDNA配列。
  18. 【請求項18】 プロセッシング前に配列番号2のアミノ酸1〜167のアミ
    ノ酸配列を有するか、または成熟タンパク質へのプロセッシング後に配列番号2
    のアミノ酸8〜167のアミノ酸配列を有する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)およ
    びクラスI髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のキメラ組換えピリンタンパク質
    、あるいはそれらの生物学的に均等なアミノ酸配列をコードするDNAを含んで
    成る、単離されそして精製されたDNA配列。
  19. 【請求項19】 標準的な高緊縮サザンハイブリダイゼーション条件下で、
    プロセッシング前に配列番号2のアミノ酸1〜167のアミノ酸配列を有するか、
    または成熟タンパク質へのプロセッシング後に配列番号2のアミノ酸8〜167の
    アミノ酸配列を有する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)およびクラスI髄膜炎菌(N
    eisseria meningitidis)のキメラ組換えピリンタンパク質、あるいはそれらの生
    物学的に均等なアミノ酸配列をコードするDNA配列とハイブリダイズするDN
    A配列を含んで成る、単離されそして精製されたDNA配列を含むプラスミド。
  20. 【請求項20】 プラスミドが標準的な高緊縮サザンハイブリダイゼーショ
    ン条件下で、配列番号1のヌクレオチド1〜501または22〜501のヌクレオチド配
    列を有するDNA配列とハイブリダイズするDNA配列を含む、請求項19に記
    載のプラスミド。
  21. 【請求項21】 請求項18に記載のDNA配列を含んで成る、淋菌(Neis
    seria gonorrhoeae)およびクラスI髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のキメラ
    組換えピリンタンパク質をコードする、単離されそして精製されたDNA配列を
    含むプラスミド。
  22. 【請求項22】 プラスミドがpPX2004(ATCC 98637)と命名された、請求項
    21に記載のプラスミド。
  23. 【請求項23】 請求項19に記載のプラスミドで形質転換した宿主細胞。
  24. 【請求項24】 宿主細胞が大腸菌(E.coli)株である、請求項23に記載
    の宿主細胞。
  25. 【請求項25】 プラスミドがpPX2004(ATCC 98637)と命名された、請求項
    24に記載の宿主細胞。
  26. 【請求項26】 宿主細胞を請求項19に記載のプラスミドで形質転換また
    はトランスフェクトし、そして宿主細胞を宿主細胞によるキメラ組換えピリンタ
    ンパク質の発現が可能となる条件下で培養することを含んで成る、淋菌(Neisse
    ria gonorrhoeae)およびクラスI髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のキメラ組
    換えピリンタンパク質の生産法。
  27. 【請求項27】 プロセッシング前に配列番号2のアミノ酸1〜167のアミ
    ノ酸配列を有するか、または成熟タンパク質へのプロセッシング後に配列番号2
    のアミノ酸8〜167のアミノ酸配列を有する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)およ
    びクラスI髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の単離されそして精製されたキメ
    ラ組換えピリンタンパク質、あるいはそれらの生物学的に均等なアミノ酸配列。
  28. 【請求項28】 ピリンタンパク質が、プロセッシング前に配列番号4のア
    ミノ酸1〜170のアミノ酸配列を有するか、または成熟タンパク質へのプロセッ
    シング後に配列番号4のアミノ酸8〜170のアミノ酸配列を有する淋菌(Neisser
    ia gonorrhoeae)およびクラスI髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のキメラ組
    換えピリンタンパク質、あるいはそれらの生物学的に均等なアミノ酸配列である
    請求項1に記載のワクチン組成物。
  29. 【請求項29】 ヒト宿主に免疫原的量の請求項28に記載のワクチン組成
    物を投与することを含んで成る、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に対する免疫感
    作法。
  30. 【請求項30】 ヒト宿主に免疫原的量の請求項28に記載のワクチン組成
    物を投与することを含んで成る、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対する
    免疫感作法。
  31. 【請求項31】 標準的な高緊縮サザンハイブリダイゼーション条件下で、
    プロセッシング前に配列番号4のアミノ酸1〜170のアミノ酸配列を有するか、
    または成熟タンパク質へのプロセッシング後に配列番号4のアミノ酸8〜170の
    アミノ酸配列を有する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)およびクラスII髄膜炎菌(
    Neisseria meningitidis)のキメラ組換えピリンタンパク質、あるいはそれらの
    生物学的に均等なアミノ酸配列をコードするDNA配列とハイブリダイズするD
    NA配列を含んで成る、単離されそして精製されたDNA配列。
  32. 【請求項32】 上記DNA配列が標準的な高緊縮サザンハイブリダイゼー
    ション条件下で、配列番号3のヌクレオチド1〜510または22〜510のヌクレオチ
    ド配列を有するDNA配列とハイブリダイズする、請求項31に記載の単離され
    そして精製されたDNA配列。
  33. 【請求項33】 プロセッシング前に配列番号4のアミノ酸1〜170のアミ
    ノ酸配列を有するか、または成熟タンパク質へのプロセッシング後に配列番号4
    のアミノ酸8〜170のアミノ酸配列を有する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)およ
    びクラスII髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のキメラ組換えピリンタンパク
    質、あるいはそれらの生物学的に均等なアミノ酸配列をコードするDNA配列を
    含んで成る、単離されそして精製されたDNA配列。
  34. 【請求項34】 標準的な高緊縮サザンハイブリダイゼーション条件下で、
    プロセッシング前に配列番号4のアミノ酸1〜170のアミノ酸配列を有するか、
    または成熟タンパク質へのプロセッシング後に配列番号4のアミノ酸8〜170の
    アミノ酸配列を有する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)およびクラスII髄膜炎菌(
    Neisseria meningitidis)のキメラ組換えピリンタンパク質、あるいはそれらの
    生物学的に均等なアミノ酸配列をコードするDNA配列とハイブリダイズするD
    NA配列を含んで成る、単離されそして精製されたDNA配列を含むプラスミド
  35. 【請求項35】 プラスミドが標準的な高緊縮サザンハイブリダイゼーショ
    ン条件下で、配列番号3のヌクレオチド1〜510または22〜510のヌクレオチド配
    列を有するDNA配列とハイブリダイズするDNA配列を含む、請求項34に記
    載のプラスミド。
  36. 【請求項36】 請求項33に記載のDNA配列を含んで成る、淋菌(Neis
    seria gonorrhoeae)およびクラスII髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のキメ
    ラ組換えピリンタンパク質をコードする単離され、そして精製されたDNA配列
    を含むプラスミド。
  37. 【請求項37】 プラスミドがpPX8017(ATCC 207199)と命名された、請求項
    36に記載のプラスミド。
  38. 【請求項38】 請求項34に記載のプラスミドで形質転換した宿主細胞。
  39. 【請求項39】 宿主細胞が大腸菌(E.coli)株である、請求項38に記載
    の宿主細胞。
  40. 【請求項40】 プラスミドがpPX8017(ATCC 207199)と命名された、請求項
    39に記載の宿主細胞。
  41. 【請求項41】 宿主細胞を請求項34に記載のプラスミドで形質転換また
    はトランスフェクトし、そして宿主細胞を宿主細胞によるキメラ組換えピリンタ
    ンパク質の発現が可能となる条件下で培養することを含んで成る、淋菌(Neisse
    ria gonorrhoeae)およびクラスII髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のキメラ
    組換えピリンタンパク質の生産法。
  42. 【請求項42】 プロセッシング前に配列番号4のアミノ酸1〜170のアミ
    ノ酸配列を有するか、または成熟タンパク質へのプロセッシング後に配列番号4
    のアミノ酸8〜170のアミノ酸配列を有する淋菌(Neisseria gonorrhoeae)およ
    びクラスII髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の単離され、そして精製された
    キメラ組換えピリンタンパク質、あるいはそれらの生物学的に均等なアミノ酸配
    列。
JP2000546019A 1998-04-29 1999-04-29 淋菌(Neisseriagonorrhoeae)または髄膜炎菌(Neisseriameningitidis)に対する組換えピリンを含有するワクチン Withdrawn JP2002527041A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US8340598P 1998-04-29 1998-04-29
US60/083,405 1998-04-29
PCT/US1999/009486 WO1999055875A2 (en) 1998-04-29 1999-04-29 VACCINES CONTAINING RECOMBINANT PILIN AGAINST NEISSERIA GONORRHOEAE OR $i(NEISSERIA MENINGITIDIS)

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002527041A true JP2002527041A (ja) 2002-08-27

Family

ID=22178094

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000546019A Withdrawn JP2002527041A (ja) 1998-04-29 1999-04-29 淋菌(Neisseriagonorrhoeae)または髄膜炎菌(Neisseriameningitidis)に対する組換えピリンを含有するワクチン

Country Status (9)

Country Link
EP (1) EP1073748A2 (ja)
JP (1) JP2002527041A (ja)
KR (4) KR20060118629A (ja)
CN (1) CN1245512C (ja)
AU (2) AU3968599A (ja)
BR (1) BR9910005A (ja)
CA (1) CA2325055A1 (ja)
IL (1) IL139311A0 (ja)
WO (1) WO1999055875A2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014006587A (ja) * 2012-06-21 2014-01-16 Canon Inc ライセンス管理装置、ライセンス管理方法、およびプログラム

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB0011108D0 (en) * 2000-05-08 2000-06-28 Microscience Ltd Virulence gene and protein and their use
GB0118249D0 (en) * 2001-07-26 2001-09-19 Chiron Spa Histidine vaccines
ATE493510T1 (de) * 2004-04-08 2011-01-15 State Of Queensland Acting Through Queensland Health Nachweis von neisseria gonorrhoeae
US20110182981A1 (en) * 2008-08-25 2011-07-28 Peixuan Zhu Gonococcal vaccines
US9802988B2 (en) * 2009-05-20 2017-10-31 University Of Maryland, Baltimore Engineered type IV pilin of Clostridium difficile
WO2012059593A1 (en) * 2010-11-05 2012-05-10 Institut National De La Sante Et De La Recherche Medicale (Inserm) Vaccines for preventing meningococcal infections
CA2875391A1 (en) * 2012-07-27 2014-01-30 Institut National De La Sante Et De La Recherche Medicale Cd147 as receptor for pilus-mediated adhesion of meningococci to vascular endothelia
CN103405760A (zh) * 2013-06-19 2013-11-27 中国科学院海洋研究所 迟缓爱德华氏菌菌毛蛋白FimA的应用
CN106290849A (zh) * 2015-05-13 2017-01-04 上海凯创生物技术有限公司 一种脑膜炎菌胶体金检测试剂盒
CN118994336B (zh) * 2024-10-22 2025-01-24 四川大学华西医院 鲍曼不动杆菌菌毛重组蛋白抗原、制备方法及其应用

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB1549345A (en) * 1975-04-25 1979-08-08 Bactex Inc Gonococcal pili processes for the preparation thereof and the use thereof
EP0049945A3 (en) * 1980-09-15 1982-12-01 Bactex Incorporated Determining a hierarchy of piliated organisms and a vaccine prepared from such organisms
US4443431A (en) * 1981-05-27 1984-04-17 The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services Neisseria gonorrhoeae vaccine
JPS61501777A (ja) * 1984-04-06 1986-08-21 スクリツプス クリニツク アンド リサ−チ フアウンデ−シヨン ペプチドワクチン又は診断系及びそのために有力なポリペプチド
CU22302A1 (es) * 1990-09-07 1995-01-31 Cigb Secuencia nucleotidica codificante para una proteina de la membrana externa de neisseria meningitidis y uso de dicha proteina en preparados vacunales
WO1992013871A1 (en) * 1991-01-31 1992-08-20 Washington University Polypeptides and polynucleotides useful for the diagnosis and treatment of pathogenic neisseria
AU3416693A (en) * 1991-12-18 1993-07-19 State Of Oregon Acting By And Through The Oregon State Board Of Higher Education On Behalf Of Oregon State University, The Antigenic preparations that stimulate production of antibodies which bind to the pili of type IV piliated bacteria
DK0671948T3 (da) * 1992-06-25 1997-09-01 Smithkline Beecham Biolog Vaccinepræparat indeholdende adjuvanser
WO1994008013A1 (en) * 1992-10-07 1994-04-14 State Of Oregon, Acting By And Through The Oregon State Board Of Higher Education On Behalf Of The Oregon Health Sciences University Pilin variants and uses thereof
US6265567B1 (en) * 1995-04-07 2001-07-24 University Of North Carolina At Chapel Hill Isolated FrpB nucleic acid molecule

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014006587A (ja) * 2012-06-21 2014-01-16 Canon Inc ライセンス管理装置、ライセンス管理方法、およびプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
KR20060118629A (ko) 2006-11-23
CN1298446A (zh) 2001-06-06
AU2003204738B2 (en) 2006-09-14
WO1999055875A2 (en) 1999-11-04
AU3968599A (en) 1999-11-16
CA2325055A1 (en) 1999-11-04
IL139311A0 (en) 2001-11-25
WO1999055875A3 (en) 2000-04-13
KR20060118630A (ko) 2006-11-23
BR9910005A (pt) 2001-01-16
KR20060118628A (ko) 2006-11-23
KR20010043105A (ko) 2001-05-25
EP1073748A2 (en) 2001-02-07
CN1245512C (zh) 2006-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3253327B2 (ja) 髄膜炎菌外層膜蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドおよびワクチン組成物
JP5566684B2 (ja) Clostridiumdifficileに対する、組換え毒素A/毒素Bワクチン
JP4005634B2 (ja) モラクセラ属菌由来トランスフェリン受容体タンパク質
JP2907552B2 (ja) ヘモフィルス外膜タンパク質
EP0639081B1 (en) Vaccine compositions for mucosal delivery
NZ269996A (en) High level expression of the outer membrane meningococcal group b porin protein in e. coli
CA2040544C (en) Actinobacillus pleuropneumoniae subunit vaccine
Nurminen et al. The class 1 outer membrane protein of Neisseria meningitidis produced in Bacillus subtilis can give rise to protective immunity
NZ234933A (en) Vaccine against e.coli infection and toxin therefor derived from flagella of a single e.coli strain
JP2002527041A (ja) 淋菌(Neisseriagonorrhoeae)または髄膜炎菌(Neisseriameningitidis)に対する組換えピリンを含有するワクチン
US6733760B1 (en) Recombinant toxin A/toxin B vaccine against Clostridium difficile
EP0815236B1 (en) Haemophilus adhesion proteins
JP2002505083A (ja) 組換え脂質化PsaAタンパク質、調製法および使用
CA2203540C (en) Major outer membrane protein cd of moraxella
JPH08337598A (ja) 非型性のヘモフイルス インフルエンザ(Haemophilus influenzae)株用のワクチンとしての精製非型性ヘモフイルス インフルエンザP5蛋白質
JP2001503602A (ja) 非共通形態型好血菌属の高分子量表面タンパク質
US20030165526A1 (en) Vaccines and agents for inducing immunity against rickettsial diseases, and associated preventative therapy
Ward et al. Expression ofNeisseria meningitidisclass 1 porin as a fusion protein inEscherichia colli: the influence of liposomes and adjuvants on the production of a bactericidal immune reesponse
EP1688428A1 (en) Method of antigen incorporation into neisseria bacterial outer membrane vesicles and resulting vaccine formulations
JP2002538169A (ja) インフルエンザ菌に起因する疾患を防御するための、少なくとも3つの抗原を含む多成分系ワクチン
AU2004200152A1 (en) Vaccines Containing Recombinant Pilin Against Neisseria Gonorrhoeae or Neisseria Meningitidis
Active Protection against Development of Otitis
JP2001078765A (ja) シュードモナス菌の融合タンパク質ワクチン
EP1078988A1 (en) Pseudomonas fusion protein vaccines
AU4716200A (en) Haemophilus adhesion proteins

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060323

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20070914