【発明の詳細な説明】
発明の名称 ボビンなしソレノイド・コイル
技術分野
本発明は、一般にアンチロック・ブレーキ・システム用のソレノイド弁、こと
にボビンなしソレノイド・コイル(bobbinless solenoid
coll)に関する。
背景技術
アンチロック・ブレーキ・システム(Anti−lock Brake Sy
stem)(ABS)は、新規の車両に標準設備として設けられることが多い。
作動すると、ABSは車両車輪ブレーキのうち若干または全部のブレーキの作動
を制御するように作用する。典型的なABSは、制御弁体内に取付けられ車両流
体圧ブレーキ・システムに連結した複数個の電磁弁(solenoid val
ve)を備える。通常電動ポンプのような別個の流体圧源をABS内に設けAB
S制動サイクル中に被制御車輪ブレーキに流体圧力をふたたび加えるようにする
。このポンプは典型的には制御弁体内に設けるが、ポンプモータは制御弁体の外
部に取付ける。
ABSはさらに、マイクロプロセッサを持つ電子制御モジュールを備える。こ
の制御モジュールは、ポンプモータと、各電磁弁に協働する複数個のソレノイド
・コイルと、被制御車輪の速度及び減速度を監視する車輪速度センサとに電気的
に結合してある。この制御モジュールは、典型的には制御弁体に取付けられ、A
BS電気流体圧制御ユニットと呼ばれることの多い簡潔なユニットを形成する。
車両の運転中にABS制御モジュール内のマイクロプロセッサは、車両速度セ
ンサから速度信号を絶えず受け取る。このマイクロプロセッサは潜在的な車両ロ
ックアップ(lock−up)条件に対する速度信号を監視する。車両ブレーキ
をかけマイクロプロセッサが切迫した車両ロックアップ条件を検出すると、マイ
クロプロセッサはポンプモータを作動し制御ユニット内の電磁弁を選択的に作動
し被制御車輪ブレーキに対し流体圧力を周期的に解放しふたたび加えるように作
用する。被制御車輪ブレーキに加える流体圧力は電磁弁の作用により調整され、
操縦者の望む所に応じて車両を減速するように適当なブレーキ・トルクを生じ続
けながら車輪の滑りを安全なレベルに制限する。
後述の第1図には、ABS制御弁体11に取付けた典型的なABS電磁弁(s
olenold valve)10の横断面図を示してある。電磁弁10は、ボ
ール弁14が正常な開位置に保持されるようにばね13により上向きに付勢した
軸線方向に移動できるアーマチュア12を備えている。ボール弁14は、弁体1
1内に取付けた弁座部材15に協働する。アーマチュア12は、閉じた端部を持
つ弁スリーブ16内に滑動できるように配置してある。ソレノイド・コイル20
は、弁スリーブ16に支えられアーマチュア12を囲む。ソレノイド・コイル2
0は金属製磁束リターン・ケーシング(flux return casing)
21により囲んである。環状の磁束リング22は磁束リターン・ケーシング21
の開端部に配置してある。磁束リターン・ケーシング21及び磁束リング22は
、アーマチュア12及び弁座部材15を通過する磁束経路を完成する。
ソレノイド・コイル20は、#28 1/2マグネット・ワイヤ(magne
t wire)のような丸い横断面を持つ絶縁マグネット・ワイヤの多数のター
ン(turn)から形成した巻線23を備えた普通の構造のものである。コイル
・ワイヤはプラスチック製ボビン24につる巻状に巻付けてある。1対の端子ピ
ン支持体25はボビン24の頂部から軸線方向に延びる。各支持体25は端子ピ
ン26のまわりに成形する。コイル巻線ワイヤの端部27は各端子ピン26の基
部のまわりに巻付けられこのピンにはんだ付けしてある。各ピン26はABSマ
イクロプロセッサに電気的に結合してある。
アンチロック制動サイクル中に弁10を作動する必要のあるときは、端子ピン
26を経てソレノイド・コイル20に電流を通ずる。この電流はアーマチュア1
2内にこのアーマチュア12を下方に引いてボール弁14を閉じる磁界を生成す
る。電流を遮断すると、磁界が消えばね13によりアーマチュア12をそのもと
の位置に戻すことによりボール弁14をふたたび開く。ABS制御ユニットは又
典型的には、前記した通常開いた電磁弁10と同様な構造を持つ通常閉じた電磁
弁(図示してない)のような他の電磁弁を備える。
発明の開示
本発明は、ABS電磁弁用のボビンなしソレノイド・コイルとこのようなコイ
ルを作る方法とに係わる。
電磁弁は、ソレノイド・コイルを経て電流が流れるとこのソレノイド・コイル
により生ずる磁界によって作動する。作用性のためにソレノイド・コイルは典型
的には、車両の流体圧ブレーキ回路を開かないで制御弁体から取除くことのでき
る制御モジュール内でABS制御弁体の外部に位置させる。従って弁アーマチュ
アを入れる弁スリーブは弁体からアーマチュア内に延びる。すなわちABS電気
流体圧制御ユニットに必要な全体積はソレノイド・コイルの寸法の関数である。
ソレノイド・コイル寸法を縮小してこれに対応しABS電気流体圧制御ユニット
寸法を縮小することが望ましい。
本発明は、コイル・ボビンをなくすことにより電磁弁コイルの寸法を縮小する
ものである。つる巻状に巻いたワイヤから形成したソレノイド・コイルでは磁界
の強さは、ソレノイド・コイルのワイヤのターン数とソレノイド・コイルを通る
電流の強さとに正比例する。ボビンを除くことによりソレノイド・コイル直径が
減少しこれに対応して、磁界強さは低下させないでコイル巻線ワイヤの直径が減
小する。又ソレノイド・コイル体積はコイルを形成するワイヤの直径の二乗の関
数であるが、ソレノイド・コイルに流れる電流の強さはフォースパワー(fou
rth power)に高めたコイル・ワイヤの直径の関数である。従ってワイ
ヤ直径の減小により、ソレノイド・コイルの寸法とソレノイド・コイルを付勢す
るのに必要な電力量とを著しく減小させる。或はボビンに巻いた従来のソレノイ
ド・コイルと同じ寸法を持つボビンなしソレノイド・コイルは、同じ電流量に対
し一層強い磁界を生ずる。
本発明は、つる巻状に巻いたマグネット・ワイヤの複数のターンを持つ巻線と
各ターンを剛性の構造に接合する接着剤コーティング(adhesive co
ating)とを備えた、電磁弁用コイルにある。巻線は、電磁弁の弁スリーブ
を受入れるようにした軸線方向の穴を備える。好適な実施例では接着剤コーティ
ングはエポキシ樹脂である。巻線は、この巻線から延びる少なくとも1条のたわ
み性端子ワイヤを形成してある。円板(circular disc)は、巻線
の端部に隣接し、大体直交する方向に延び端子ワイヤを支える少なくとも1個の
端子柱を持つ。この端子柱には軸線方向のみぞ穴を形成してある。このみぞ穴は
円板の周縁部まで半径方向の延び端子ワイヤを受入れる。成は端子柱はこれを貫
いて、端子ワイヤを受入れる軸線方向の穴を形成することができる。
電気絶縁材料から成る第1の層は巻線軸線方向穴の内面に配置され、又電気絶
縁材料から成る第2の層は巻線の外周辺に配置することができる。
巻線及び円板は、閉じた端部及び開いた端部を持つ円筒形の磁束ケーシング内
に配置してある。閉じた端部はこれを貫いて形成した少なくとも1個の穴を備え
る。端子柱及び端子ワイヤは磁束ケーシングの穴を貫いて延びる。磁束ケーシン
グの開いた端部には巻線の端部に隣接して弾性ワッシャを配置してある。又磁束
ケーシングの開いた端部には弾性ワッシャに隣接して円形の磁束リングを配置し
てある。この磁束リングは磁束ケーシングに固定され、巻線及び円板を磁束ケー
シング内に保持する。
本発明は又、巻線心棒を用意してこの心棒にマグネット・ワイヤをつる巻状に
巻付けコイル巻線を形成することから成る、ABS電磁弁用コイルを形成する方
法にある。マグネット・ワイヤは、エポキシ樹脂のような熱硬化性接着剤を被覆
する。巻線を心棒に取付けてこの巻線に電流を通ずる。この電流によりワイヤを
加熱し初めに接着剤を硬化させる。次いで巻線を心棒から除去し硬化炉に入れる
。巻線を硬化炉で焙焼し接着剤を完全に硬化させコイル巻線の各別のターンを互
いに接合し剛性の構造を形成する。
コイル端部から軸線方向に延びる少なくとも1条のたわみ性端子リード線を持
つコイル巻線を形成する。さらに心棒にワイヤを巻付けるのに先だって、電気絶
縁材料から成る第1の層を心棒に当てがい、マグネット・ワイヤの巻付けに次い
で電気絶縁材料から成る第2の層を巻線の周辺に当てがう。
本発明による方法はさらに円板を巻線の端部に隣接して位置させコイル・アセ
ンブリを形成する。円板は、この円板から大体において直交する方向に延び端子
ワイヤを支える少なくとも1個の端子柱を持つ。このコイル・アセンブリは、少
なくとも1個の貫通穴を形成した磁束ケーシング内に挿入する。端子柱及び端子
ワイヤは磁束ケーシング穴を貫いて延びる。
磁束ケーシング内へのコイル・アセンブリの挿入に次いで、弾性ワッシャを磁
束ケーシングの開いた端部内に挿入し巻線の端部に隣接して位置させる。次いで
磁束リングは磁束ケーシングの開いた端部に挿入し弾性ワッシャに隣接して位置
させる。磁束リングは磁束ケーシングに固定する。
本発明の他の目的及び利点は添付図面による以下の詳細な説明から明らかであ
る。
図面の簡単な説明
第1図は従来の技術によるソレノイド・コイルを備えたABSソレノイド弁の
縦断面図である。
第2図は本発明によるボビンなしソレノイド・コイルの展開斜視図である。
第3図は第2図に示したボビンなしソレノイド・コイルの縦断面図である。
第4図は第2図に示したソレノイド・コイルの他の実施例の縦断面図である。
第5図は第2図に示したソレノイド・コイルのなお他の実施例の縦断面図であ
る。
第6図は第2図に示したソレノイド・コイルのさらに別の実施例の展開斜視図
である。
第7図は第2図に示したソレノイド・コイルに設けた端部キャップのそれぞれ
異なる変型の平面図である。
第8図は第2図ないし第4図に示したボビンなしソレノイド・コイルを作る方
法の流れ図である。
第9図は第2図ないし第7図に示したボビンなしソレノイド・コイルを巻く方
法を一部を縦断面にして示す側面図である。
実施例
添付図面で第2図及び第3図は、ボビンを設けてない改良されたソレノイド・
コイル30を示す。第1図に示した部品と同様な、第3図に示した部品は同じ参
照数字を使ってある。
ボビンなしソレノイド・コイル30は、軸線方向穴32と自由に直立する1対
の端子ワイヤ33、34とを持つ巻線31を備える。巻線31は、連続した長さ
の絶縁ソレノイド・マグネット・ワイヤからつる巻状に巻いてある。後述のよう
に各コイル・ワイヤは接着剤で互いに固定してある。従って巻線の構造を保持す
るのにプラスチック材ボビンを必要としない。
好適な実施例では、工業的に利用できるポリイミド・テープたとえばカプトン
(kapton)[商標名]テープから成る第1の層35は穴32の内面に配置
され、又同じポリイミド・テープから成る第2の層36は巻線31の周辺のまわ
りに巻付けられ巻線31の構造的一体性を高める。好適な実施例ではポリイミド
・テープを使うが、他の工業的に利用できる電気絶縁テープを使ってもよいのは
明らかである。成は、テープの代りに薄いプラスチック材の遮蔽又はスリーブ(
図示してない)を使ってもよい。第1テープ層35及び第2テープ層36が随意
のものであるのは明らかであり、本発明はテープ層を使わなくても実施すること
ができる。
巻線31の上端部に隣接して円板形端部キャップ40を位置させてある。好適
な実施例では端部キャップ40はプラスチック材で形成されその中心を貫いて穴
41を形成してある。第3図に示すように穴41は弁スリーブ16の端部を受入
れる。端部キャップ40はさらに、端部キャップ40の上面から大体直交する方
向に延びる1対の端子柱43、44を備える。第2図及び第3図に示すように各
端子柱43、44はそれぞれ軸線方向みぞ穴45、46を備える。各みぞ穴45
、46は協働する端子柱の中心から端部キャップ40の外縁部に半径方向に延び
る。各みぞ穴45、46はそれぞれ自由に直立する端子ワイヤ33、34の一方
を受入れる。端部キャップ40及び巻線は巻線アセンブリ47を形成する。
みぞ穴付き端子柱43、44は第2図及び第3図に例示してあるが、これ等の
端子柱が又これ等を貫いて第7A図に示すように延びる軸線方向の穴を持つよう
に形成してもよいのは明らかである。このような端部キャップでは各端子ワイヤ
33、34は軸線方向穴を貫いて延びる。本発明はさらに巻線アセンブリ47を
カプセル(図示してない)に封入するようにしてある。しかしこの工程は随意の
ものである。このカプセルはコイル巻線を保護すると共に端部キャップをコイル
巻線に接合する。
普通のカップ状鋼製磁束ケーシング50は巻線アセンブリ47を受入れる。1
対の端子柱穴53、54は磁束ケーシング50の上端部を貫いて形成してある。
各端子柱穴53、54はそれぞれ端子柱43、44の一方を受入れる。すなわち
端子柱43、44は自由に直立する端子ワイヤ33、34を磁束ケーシングの穴
53、54を経て案内する。さらに各端子柱43、44は各端子ワイヤ33、3
4を支えると共にこれ等のワイヤに対し付加的な絶縁作用及びひずみ逃がし作用
を加える。
コイル30は又磁束ケーシング50内に巻線31の下端部に隣接して配置した
弾性フォーム・ワッシャ(elastic foam washer)55を備
える。フォーム・ワッシャ55は巻線31に予荷重力を加え巻線31及びその他
のコイル部品の間に巻線摩耗及び短絡を潜在的に生ずる相対運動を防ぐ。或は弾
性O−リング(図示してない)を巻線31の下端部に隣接して位置させてもよい
。又はシリコーンゴムのようなエラストマーの層(図示してない)を巻線31の
下端部に当てがってもよい。硬化するとエラストマーは弾性層を形成する。
鋼製磁束リング60は磁束ケーシング50内にフォーム・ワッシャ55の下側
に配置し巻線31により生ずる磁束リターン経路を形成する。磁束リング60は
又磁束ケーシング50内に他のコイル部品を保持する。好適な実施例では磁束リ
ング60は磁束ケーシング50の下端部に締まりばめにより保持する。しかし磁
束リング60は、スポット溶接、デインプル又はすえ込みによりケーシング50
内に固定することができる。
第3図に示すようにソレノイド・コイル30は、プリント・サーキット・ボー
ド(Printed Circult Board)(PCB)65に取付けて
ある。PCB65はその上面に電気的こん跡(エレクトリック・トレーシズ)(
図示してない)を付着させてある。ABS電子制御モジュール(図示してない)
内に設けたPCB65は、コイル30を付勢する電子論理スイッチング部品を支
える。PCB65はこれを貫いて、コイル端子柱43、44に対応する1対のコ
イル端子柱の穴67、68を形成してある。端子柱43、44及び協働する端子
ワイヤ33、34はそれぞれPCB端子柱穴67、68を貫いて延びている。各
端
子ワイヤ33、34はそれぞれ自由端部をPCB65の表面の電気的こん跡には
んだ付けした半円形ループ69、70に形成してある。各端子ワイヤ・ループ6
9、70によりPCB65に対するソレノイド・コイル30の横移動ができ組立
てた制御弁(図示してない)の製造交差に適応できる。
第3図に明らかなようにソレノイド・コイル30は電磁弁75に協働する。ソ
レノイド・コイル30の穴は、電磁弁アーマチュア12を入れるスリーブ16を
受入れる。アーマチュア12はばね13により第3図の上方に付勢する。弁ボー
ル14はアーマチュア12の下面に取付けてある。弁ボール14は、ABS制御
弁体11内に取付けた弁座15と協働する。
第4図には他の実施例によるボビンなしソレノイド・コイル80を示してある
。第3図の部品と同じ第4図の部品は同じ参照数字を使ってある。第3図に示し
たコイル31の対応寸法に対しソレノイド・コイル80の外径は増大しているが
ソレノイド・コイル80の高さは減小している。このようにして第4図のソレノ
イド・コイル80及び従来のコイル20は共に、同じ寸法のワイヤにより同じ起
磁力を生ずることができる。さらに両コイル20、30に同数のターンを使うと
、各コイル20、80は同じ電流を通す。しかし第4図のソレノイド・コイル8
0は従来のコイル20の高さより低い高さを持つ。ソレノイド・コイル80の長
さを前記した最小高さより増すと、この長くしたコイルの起磁力は一定のままで
あるが、このコイルを通る電流は初めの長さに対する長さの増加比に比例して低
下する。
ソレノイド・コイル80は、それぞれ軸線方向みぞ穴85、86を形成した1
対の端子柱83、84を備えた端部キャップ81を備える。第4A図及び第4B
図に示すようにビード87は一方のみぞ穴85内に形成され、又へこみ88は他
方のみぞ穴86内に形成してある。端子ワイヤ33、34をみぞ穴85、86内
に挿入すると、端子ワイヤ33、34はビード87に対し又へこみ88内に押付
けられ各端子ワイヤ33、34に小さなキンク(kink)89を形成する。各
キンク89はそれぞれビード87及びへこみ88と協働し端子ワイヤ33、34
をみぞ85、86内に固定する。
さらに接着剤の第1のビード90は端部キャップ81と磁束ケーシング50の
頂部の内側面との間に配置され端部キャップ81を磁束ケーシング50内に固定
する。接着剤の第2のビード91は、巻線31の下端部と磁束リング60との間
に配置され巻線31及びその他のコイル部品の間の相対運動を防ぐ。従って前記
したフォーム・ワッシャ55はソレノイド・コイル80から省いてもよい。ビー
ド90、91を形成する接着剤は、接触接着剤又はコイル・ワイヤを接合したと
きに熱的に活性化される接着剤でよい。
他の実施例によるボビンなしソレノイド・コイル95を第5図に例示してある
。第3図及び第4図の部品と同じ第5図の部品は同じ参照数字を付してある。第
5図に示すようにボビンなしソレノイド・コイル95は、磁束ケーシング穴53
、54の上側に成形した端子柱97、98を持つ端部キャップ96を備える。上
側に成形した端子柱97、98は端部キャップ96を磁束ケーシング50内に保
持する。前記した端部キャップ構造と同様に1対のみぞ穴99、100はそれぞ
れ柱状体97、98に形成してある。各端子柱みぞ穴99、100は自由に直立
する端子ワイヤ33、34の一方を受入れる。
各端子柱97、98は第5図で磁束ケーシング50の上側に成形して示され又
接着剤ビード90を使い第4図の磁束ケーシング50に端部キャップ81を保持
するが、端部キャップを磁束ケーシングに取付けるのに他の構造又は方法を使う
ことができるのは明らかでる。たとえば端子柱は磁束ケーシング穴(図示してな
い)にプレスばめすることができる。成は磁束ケーシングに係合するばねクリッ
プ(図示してない)を端子柱に形成してもよい。
自由に直立する各端子ワイヤ33、34の一部分をそれぞれ半円形のループ1
01、102に形成する。各ループ101、102は、ひずみ逃がしを形成しP
CB65及び電磁弁スリーブ16間の整合交差に適応する。各端子ワイヤ33、
34の端部は、PCB65を貫いて形成したそれぞれ協働する穴103、104
を貫いて延びる。各端子ワイヤ33、34の端部は、穴103、104内に保持
されPCB65の上面の導電性トレース(conductive trace)
(図示してない)にはんだ105により電気的に接続してある。前記したボビン
なしコイル及びPCB65間の結線は例示したもので本発明がボビンなしソレノ
イド・コイルをABSの他の部品に電気的に接続するのに図示の構造以外の構造
で実施することができるのは明らかである。
他の実施例によるボビンなしソレノイド・コイル110の構造を第6図に示し
てある。又前記した各ボビンなしソレノイド・コイルの部品と同じソレノイド・
コイル110の部品は同じ参照数字を付してある。ソレノイド・コイル110は
、コイル巻線31とみぞ穴付き端子柱112、113を持つ端部キャップ111
とを備える。各端子柱112、113は端部キャップ111のそれぞれ内周及び
外周から延びる。第6図に示すようにコイル巻線31の外部と端部キャップ11
1の外周縁部とは接着剤を塗布したカプタン・テープ115の層を巻付けてある
。カプタン・テープ115の上縁部には複数の上部タブ116を形成してある。
上部タブ116は端部キャップ111の上面に折曲げてある。同様にカプタン・
テープの下縁部は、巻線31の下面に折曲げた複数の下部タブ(図示してない)
を形成してある。上部タブ116は端部キャップ35を巻線31に保持し巻線ア
センブリ117を形成するが、下部タブは巻線31の外面を保護する。
前記したソレノイド・コイル30と同様に巻線アセンブリ117は磁束ケーシ
ング118内に配置され、端子柱113、112及び協働する端子ワイヤ33、
34は磁束ケーシング118の対応する端子柱穴を貫いて軸線方向に延びる。弾
性フォーム・ワッシャ55は磁束ケーシング118の開いた端部に巻線アセンブ
リ117の下端部に隣接して配置してある。又磁束リング60はケーシング11
8の下端部に固定してある。第6図に示した実施例によるコイル構造ではカプト
ン・テープ115の下部タブは、フォーム・ワッシャ55に曲げられフォーム・
ワッシャ55をコイル巻線31(図示してない)に保持する。
第2図ないし第6図に示した端子柱は本発明を例示したもので本発明が端部キ
ャップの各変型によっても実施できるのは明らかである。端部キャップに対する
複数の変型構造を第7図に例示してある。第7H図は第2図ないし第4図に示し
た端部キャップ構造に対応する。第7図に示した端部キャップの他の例は例示し
たもので本発明が第7図に示した以外の構造及び端子柱の位置決めによっても実
施できるのは明らかである。各端子柱に成形したみぞ穴及び穴は例示したもので
ある。さらに本発明は、各みぞ穴内に端子ワイヤを固定するように横方向テーパ
(図示してない)を持つみぞ穴を形成できるようにしてある。
第7G図に例示した端部キャップは、端部キャップの上面から大体において直
交方向に延びる1対の植込みボルト120、121を備える。本発明は、植込み
ボルトが磁束ケーシング(図示してない)の頂部を貫いて形成した対応する穴を
貫いて延びるにしてある。植込みボルト120、121の端部は普通の方法によ
りリベット頭部(図示してない)に形成され端部キャップを磁束ケーシング内に
固定する。巻線を端部キャップに前記したように取付けるとリベットもまた巻3
1を磁束ケーシング内に固定するのは明らかである。
本発明を1対の端子ワイヤを持つコイルにより例示したが、本発明が磁束リタ
ーン・ケーシングを貫いて延びる一方の端子ワイヤ及び一方の端子柱だけを持つ
コイルを形成するように実施できるのは明らかである。コイル巻線の他端部は、
制御弁体を貫いて電気リターン経路を形成するように協働するソレノイド弁スリ
ーブに対し電気的に接触する。
第2図及び第3図に示した直径を細くしたボビンなしソレノイド・コイル30
は従来のソレノイド・コイルに勝った若干の利点を持つ。好適な実施例ではコイ
ルの直径は20.13mmから15.53mmに減らしてありこのことは23%
の縮小になる。さらにボビンなしソレノイド・コイルを通る電流は従来のコイル
を通る電流より減少する。好適な実施例では電流の量は22%だけ低下するが、
制御弁の幅は各電磁弁間の間隔を減らすことにより、18.4mmまで減らすこ
とができその他のABS部品の寸法も減らすことができる。
第4図に示したように高さを縮小したボビンなしソレノイド・コイル80は同
様な利点がある。好適な実施例ではコイルだけに基づいて弁高さは潜在的に10
.4mmまで減らすことができる。しかしこの高さ縮小は他のABS部品の寸法
により3ないし4mmに制限すればよい。この高さ縮小により、ABS制御弁の
全高さを対応して縮小することができる。
本発明を直径を短縮したソレノイド・コイル30及び高さを縮小したソレノイ
ド・コイル80によって例示したが、本発明が又とくには図示しない又説明して
ない他の寸法のボビンなしコイルによっても実施できるのは明らかである。すな
わち高さ及び直径を共に縮小し前記した末端値間に入る寸法を持つコイルを作る
ことができる。このようなコイルは、対応してABS制御弁の高さ及び幅を短縮
でき又制御弁を車両の一層有利な場所に位置させることができる。
さらに本発明の好適な実施例をボビンなしソレノイド・コイルと端子柱を持つ
協働する端部キャップとについて述べたが、本発明が又端部キャップを備えない
ボビンなしソレノイド・コイル(図示してない)に対しても実施できるのは明ら
かである。このようなソレノイド・コイルは、磁束ケーシング穴を貫いて延びる
自由に直立する端子ワイヤ端部を持つ。ソレノイド・コイルの上端部と磁束ケー
シングとの間にこれ等の間の相対運動を防ぐ接着剤ビードを随時配置してもよい
。この接着剤ビードは又磁束ケーシング穴内に延ばして自由に直立する端子ワイ
ヤと磁束ケーシングとの間の接触を防ぐことができる。
本発明はさらに、ボビンなしソレノイド・コイルを作る方法にある。本方法は
第8図に示した流れ図により示してある。機能ブロック130ではコイルの内径
に対応する外径を持つ心棒を選定する。この心棒は高速コイル巻線機に取付ける
。
機能ブロック131で電気絶縁テープの層をこの心棒に巻付ける。好適な実施
例ではカプトン・テープのような工業的に利用できるポリイミド・テープを使う
が、他のテープを使ってもよい。コイルに内部プラスチックスリーブを設ける場
合は、このスリーブを心棒にはめる。
機能ブロック132では高速コイル巻線機により心棒に絶縁磁気ワイヤをつる
巻状に巻付けソレノイド・コイルを形成する。このマグネット・ワイヤは巻付け
に先だって熱硬化性エポキシ樹脂を前もって被覆し、又はエポキシ樹脂をワイヤ
絶縁コーティングに含ませる。或はワイヤをその巻線機への送給の際にエポキシ
樹脂分与装置を通過させてもよい。この分与装置によりワイヤにエポキシ樹脂コ
ーティングを施す。
コイルを巻いた後、機能ブロック133に示すようにワイヤを切断しコイルの
一端部からコイル軸線に平行に延びる端子ワイヤを形成する。機能ブロック13
4では同じ電気絶縁テープの外層をコイルの周辺に巻付ける。
各端子ワイヤは機能ブロック135で電源に接続しコイルに電流を通ずる。こ
の電流により生ずる熱により初めにエポキシ樹脂を硬化させる。機能ブロック1
36ではコイルを心棒からはずす。
このコイルは機能ブロック137で硬化炉に入れ、エポキシ樹脂を完全に硬化
させコイル巻線が互いに接着するように焙焼し剛性のコイルを形成する。
機能ブロック138では、自由に直立する端子ワイヤを持つコイル端部に隣接
して端部キャップを位置させることによりコイル・アセンブリを形成する。各端
子ワイヤは各端部キャップ柱を貫いて挿入する。さらにソレノイド・コイルは、
このコイル・アセンブリをポッチング材料(potting material)
に浸漬することによりエンカプシュレートする(encapsulate)。し
かしこのようなエンカプシュレーションは随意のものである。エンカプシュレー
ションが硬化のときに巻線を保護すると共に巻線を端部キャップに接合する。
機能ブロック139では、コイル・アセンブリは端子ワイヤと共に磁束ケーシ
ング内に挿入され協働する磁束ケーシング穴を貫いて延びる端部キャップ柱を支
える。
機能ブロック140では弾性フォーム・ワッシャ(elastic foam
washer)及び鋼製磁束リングを磁束ケーシングの開いた端部に挿入する
。磁束リングは、締まりばめ、スポット溶接、デインプル又はすえ込みのような
普通の方法により磁束ケーシング内に保持する。
本発明は又、第9図に示すような巻線法の改良にある。この改良は、中心穴の
表面に複数のくぼみ146を形成した巻先端部キャップ145を備える。各くぼ
み146は、コイル巻線機149に心棒148により支えた複数個の引込みピン
147に対応する。コイルを巻くには、各ピン147を心棒148内に引込め端
部キャップ145を心棒148に当てがう。各ピン147をくぼみ146内に延
ばしこれ等のくぼみと協働して端部キャップ145を心棒148に固着する。或
る長さのエポキシ樹脂被覆マグネット・ワイヤを心棒148に巻付けボビンなし
巻線150を形成する。各端子ワイヤ(1条を示してある)は形成して端子柱に
挿入する。前記したように巻線150に電流を通じエポキシ樹脂を固定する。又
エポキシ樹脂は端部キャップ145を巻線150の端部に接合する。各ピン14
7は心棒148内に引込め巻線及び端部キャップ・アセンブリを巻線機149か
ら取りはずす。
以上本発明の原理及び作動モードを好適な実施例について述べた。しかし本発
明はその精神を逸脱しないで変化変型を行うことができるのはもちろんである。
たとえば本発明をアンチロック・ブレーキ・システムに設けるものとして述べた
が、本発明が又たとえば牽引制御システム及び車両安定システムのような他のシ
ステム内の電磁弁にも応用できるのは明らかである。さらに1実施例に示した構
造の詳細は他の実施例にも適用できるのは明らかである。たとえば本発明は、第
4図に示した接着剤ビード90、91の代りに第3図に示したフォーム・ワッシ
ャ55によって実施することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(31)優先権主張番号 08/811,667
(32)優先日 平成9年3月5日(1997.3.5)
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU
,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,
CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G
B,GE,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP
,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,
LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,N
Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI
,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,
VN