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JP2002511266A - 腫瘍関連核酸及びその使用 - Google Patents

腫瘍関連核酸及びその使用

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Publication number
JP2002511266A
JP2002511266A JP2000543609A JP2000543609A JP2002511266A JP 2002511266 A JP2002511266 A JP 2002511266A JP 2000543609 A JP2000543609 A JP 2000543609A JP 2000543609 A JP2000543609 A JP 2000543609A JP 2002511266 A JP2002511266 A JP 2002511266A
Authority
JP
Japan
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nucleic acid
acid molecule
tumor
seq
polypeptide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000543609A
Other languages
English (en)
Inventor
マルテランゲ,ヴァレリー
スメ,シャルル ド
ブーン−ファロイア,ティエリー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ludwig Institute for Cancer Research New York
Original Assignee
Ludwig Institute for Cancer Research Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US09/183,706 external-priority patent/US6245525B1/en
Priority claimed from US09/183,789 external-priority patent/US7001999B1/en
Application filed by Ludwig Institute for Cancer Research Ltd filed Critical Ludwig Institute for Cancer Research Ltd
Publication of JP2002511266A publication Critical patent/JP2002511266A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • C07K14/4701Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals not used
    • C07K14/4748Tumour specific antigens; Tumour rejection antigen precursors [TRAP], e.g. MAGE
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、SAGE(sdph3.10)、sdp3.5及びHAGE(sdp3.8)腫瘍関連核酸を、それらのフラグメント及び生物学的に機能的な変異体を含めて記載する。このような核酸分子によってコードされるペプチド及びそれらのフラグメント並びにこれらに関係のある抗体も含まれる。sdph3.10、sdp3.5及び/又はsdp3.8遺伝子産生物の発現によって特徴付けられる状態を診断しそして治療する方法及び産生物も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は腫瘍、特に肉腫、メラノーマ及び癌腫で優先的に発現される核酸分子
及びコードされているポリペプチドに関する。本発明の核酸分子及びコードされ
ているポリペプチドは、なかんずく、診断及び治療に関連して有用である。
【0002】発明の背景 腫瘍細胞がその正常な細胞から識別される表現型の変化はしばしば、細胞のゲ
ノムに対する1つ又はそれより多くの変化の結果である。腫瘍細胞では発現され
るが正常な細胞では発現されない遺伝子は「腫瘍関連」遺伝子と呼ぶことができ
る。これらの関連遺伝子は腫瘍表現型のマーカーである。腫瘍関連遺伝子の発現
はまた、腫瘍形成過程の必須事象である可能性もある。
【0003】 典型的には、宿主は正常な腫瘍を形成しない細胞では発現されない腫瘍関連遺
伝子を外来として認識する。それ故、腫瘍関連遺伝子の発現は、宿主による腫瘍
細胞に対する免疫応答を誘発することができる。腫瘍関連遺伝子はまたある組織
内では正常細胞で発現され、免疫応答を誘発しない可能性もある。このような組
織では、上記遺伝子が発現されそして/又はこれらタンパク質産生物の通常は免
疫学的に認識可能なフラグメントが細胞表面に提示されても、免疫系はこれら免
疫学的に特権を与えられた(privileged)組織ではこれら細胞を「認識」しないの
で、免疫応答を誘発することができない。免疫学的に特権を与えられた組織の例
には脳や精巣が含まれる。
【0004】 遺伝子の腫瘍関連発現を見いだすことによって、細胞を腫瘍細胞として同定す
る手段が提供される。診断化合物は腫瘍関連遺伝子に基づいていることができ、
そしてこれらの化合物を使用して腫瘍細胞の存在及び位置を決定することができ
る。さらに、この腫瘍関連遺伝子が腫瘍表現型の1つの局面(例えば、制御され
ていない増殖又は転移)に寄与しているとき、この腫瘍関連遺伝子を使用して、
その遺伝子の発現を減少させるか又は実質的に消失させ、そしてそれによって特
定の腫瘍関連遺伝子の発現に依存する表現型局面を減少させるか又は実質的に消
失させることができるアンチセンス核酸のような治療薬を提供することができる
【0005】 上記したように、腫瘍関連遺伝子のポリペプチド産生物は宿主の免疫監視の標
的であることができ、そして上記腫瘍関連遺伝子産生物に特異的な細胞毒性Tリ
ンパ球の1つ又はそれより多くのクローンの選択及び拡張を誘発することができ
る。この現象の例には、以下で詳記するような、遺伝子のMAGEファミリー、
チロシナーゼ遺伝子、Melan−A遺伝子、BAGE遺伝子、GAGE遺伝子
、遺伝子のRAGEファミリー、PRAME遺伝子及び脳グリコーゲンホスホリ
ラーゼ遺伝子によってコードされているタンパク質及びそれらのフラグメントが
含まれる。かくして、遺伝子の腫瘍関連発現によって、このような遺伝子は、免
疫系が外来物として認識しそしてその結果腫瘍拒絶の標的を提供するタンパク質
をコードし得ることが示唆される。このような遺伝子は、このような遺伝子やタ
ンパク質を発現する腫瘍に対して免疫系の応答を増強する治療薬を産生するため
に使用できる「腫瘍拒絶抗原前駆体」又はTRAPをコードしている。
【0006】 哺乳動物の免疫系が外来物又は異物を認識しそしてこれらに反応する過程は複
雑な過程である。免疫系の重要な一面はT細胞応答である。この応答にはT細胞
が、ヒト白血球抗原(「HLA」)又は主要組織適合遺伝子複合体(「MHC」
)と称される細胞表面分子とペプチドとの複合体を認識しそしてこれらと相互作
用することが必要である。上記ペプチドはより大きな分子から誘導され、そして
これらのより大きな分子はHLA/MHC分子も提示する細胞によってプロセシ
ングされる。この点に関しては、メール(Male)他、アドバンスド・イムノロジ
ー(Advanced Immunology)(J.P. Lipincott Company、1987年)、特に6
〜10章参照。T細胞とHLA/ペプチド複合体の相互作用は限定されており、
HLA分子とペプチドの特定の組合せに特異的なT細胞が必要である。特異的な
T細胞が存在しない場合、たとえそのパートナー複合体が存在していてもT細胞
応答はない。同様に、上記T細胞は存在するが特異的な複合体は存在しない場合
、応答はない。このメカニズムは、外来物に対する免疫系の応答、自己免疫病理
学及び細胞異常に対する応答に関与している。多数の研究は、タンパク質がHL
A結合ペプチドにプロセシングされるメカニズムに焦点を当てている。この点に
関しては、バリナガ(Barinaga)、Science 257:880、1992年;フレ
モント(Fremont)他、Science 257:919、1992年;マツムラ(Matsu
mura)他、Science 257:927、1992年;ラトロン(Latron)他、Scie
nce 257:964、1992年参照。
【0007】 T細胞が細胞異常を認識するメカニズムも癌に関係している。例えば、199
2年5月22日に出願され、1992年11月26日に公開されたPCT出願、
PCT/US92/04354(これは参照して本明細書に組み入れる)中で、
ペプチドにプロセシングされる遺伝子の1つのファミリーが開示されており、そ
してこれらペプチドは順次細胞表面に発現され、特異的なCTLによる腫瘍細胞
の溶解に導くことができる。これらの遺伝子は「腫瘍拒絶抗原前駆体」又は「T
RAP」分子をコードしていると言われ、そしてこれら分子から誘導されるペプ
チドは「腫瘍拒絶抗原」又は「TRA」と称される。遺伝子のこのファミリーに
関する更なる情報については、トラベルサリ(Traversari)他、J. Exp. Med.
176:1453〜1457、1992年;ファン・デル・ブルゲン(van der
Bruggen)他、Science 254:1643、1991年;ド・プレーン(De Plae
n)他、Immunogenetics 40:360〜369、1994年及び米国特許第5,
342,774号参照。
【0008】 米国特許第5,405,940号(この特許の開示は参照して本明細書に組み
入れる)では、HLA−A1分子によって提示されるノナペプチドが教示されて
いる。この参照文献は、特定のHLA分子に対する特定のペプチドの既知の特異
性を所与のものとすると、特定のペプチドは1つのHLA分子と結合するが他の
分子とは結合しないことが期待されることを教示している。このことは、異なる
個体は異なるHLA表現型を有しているので、重要である。その結果、特定のペ
プチドを特異的なHLA分子のパートナーとして同定することは診断的及び治療
的関連結果を有しているが、これらはその特定のHLA表現型を有する個体に関
係しているにすぎない。細胞異常は1つの特定のHLA表現型に限定されず、そ
して標的化治療法には問題となっている異常細胞の表現型に関するある知識が必
要であるので、この分野における更なる研究に対する需要が存在する。
【0009】 米国特許5,629,166(これは参照して本明細書に組み入れる)では、
MAGE−1発現産生物が第2のTRAにプロセシングされるという事実が開示
されている。この第2のTRAは、HLA−C1601としても知られている
HLA−Cw16分子によって提示される。この開示は、一定のTRAPから複
数のTRAが産生され得ることを示している。
【0010】 米国特許5,487,974(これは参照して本明細書に組み入れる)では、
チロシナーゼが腫瘍拒絶抗原前駆体として記載されている。この参照文献は、あ
る正常細胞(例えば、メラノサイト)によって産生される分子が腫瘍細胞内でプ
ロセシングされて腫瘍拒絶抗原を産生し、そしてこれがHLA−A2分子によっ
て提示されることを開示している。
【0011】 米国特許第5,620,886号(これはその全体を参照して本明細書に組み
入れる)では、チロシナーゼから誘導されない第2のTRAがHLA−A2分子
によって提示されることが教示されている。このTRAはTRAPから誘導され
るが、既知のMAGE遺伝子によってコードされている。この開示は、特定のH
LA分子が種々の供給源から誘導されるTRAを提示できることを示している。
【0012】 更なるTRAPが米国特許第5,571,711号、第5,610,013号
、第5,587,289号及び第5,589,334号並びにPCT公開WO9
6/10577中に開示されている。これらのTRAPは腫瘍拒絶抗原にプロセ
シングされ、そしてこれら抗原は多様なHLA分子によって提示される。
【0013】 現在、種々の癌を有する非常に多くの癌患者に適用できる治療法及び診断を開
発するために更なる癌抗原に対する需要が存在している。
【0014】発明の要約 今や、上記TRAPのいずれとも関係のない更なる遺伝子、sdph3.10
(SAGE)、sdp3.8(HAGE)及びsdp3.5が肉腫細胞内におい
て腫瘍関連パターンで発現されることが見いだされた。本発明は腫瘍関連ポリペ
プチドをコードしている単離SAGE、HAGE及びsdp3.5核酸分子を提
供する。本発明はまた、上記分子を含有する発現ベクター及び上記分子でトラン
スフェクションされた宿主細胞、並びに上記腫瘍関連核酸分子によってコードさ
れている単離ポリペプチド(これら単離ポリペプチドの腫瘍拒絶抗原前駆体及び
フラグメントを含む)も提供する。上記の単離核酸分子及びポリペプチドは腫瘍
関連遺伝子の発現によって特徴付けられる状態の診断または治療で使用すること
ができる。
【0015】 本発明の1つの局面に従って、単離核酸分子が提供される。この分子は配列番
号:38、43または52で述べられているヌクレオチド配列を有する核酸とス
トリンジェントな条件下でハイブリッドを形成する。この単離核酸分子は腫瘍関
連ポリペプチド前駆体であり、そしてsdph3.10、sdp3.5又はsd
p3.8腫瘍関連ポリペプチドをコードしている。本発明はさらに、上記核酸分
子の欠失体、付加体又は置換体を含有する核酸分子、及び遺伝暗号の縮重により
上記単離核酸分子とコドン配列が異なっている核酸分子も包含する。本発明はま
た上記核酸の相補体(complements)も包含する。ある実施態様では、上記単離核
酸分子は配列番号:1、配列番号:38のヌクレオチド119〜1831、配列
番号:38、配列番号:40、配列番号:43のヌクレオチド79〜1659、
配列番号:43、配列番号:45、配列番号:52のヌクレオチド208〜21
52又は配列番号:52の核酸配列を含んでいる。好ましい実施態様では、上記
単離核酸分子は上記核酸のコーディング領域を含んでいる。
【0016】 本発明のもう1つの局面では、配列番号:1、配列番号:40、配列番号:3
8のヌクレオチド119〜1831、配列番号:43のヌクレオチド79〜16
59、配列番号:45又は配列番号:52のヌクレオチド208〜2152とし
て述べられている核酸配列を含んでいる単離核酸分子が提供される。
【0017】 本発明のもう1つの局面に従って、配列番号:38、配列番号:43又は配列
番号:52の12個又はそれより多くのヌクレオチド長のユニークフラグメント
並びにこれらの相補体を含んでいる単離核酸分子が提供される。好ましい実施態
様では、上記フラグメントは上記配列の少なくとも13、14、15、16、1
7、18、19、20、21、22、23、24、25、27、30、40、5
0、75、100個又はそれより多くの隣接ヌクレオチドである。もう1つの実
施態様では、上記単離核酸分子は上記配列の12から32個の間の隣接ヌクレオ
チドからなっている。尚もう1つの実施態様では、上記ユニークフラグメントの
配列は、請求項1に請求されている配列と同一でない1、2、3、4、5、6又
は7個の隣接ヌクレオチドを含んでいる。好ましいフラグメントは本明細書に記
載されているsdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8核酸によってコ
ードされているポリペプチドの免疫原性フラグメントをコードしている。
【0018】 全長sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8cDNA及びsdph
3.10、sdp3.5又はsdp3.8ゲノムDNAを含むsdph3.10
、sdp3.5又はsdp3.8関連核酸の同定方法も本発明に含まれる。これ
らの方法は、核酸試料(例えば、cDNAライブラリー、ゲノムライブラリー、
ゲノムDNA単離体等)を、それぞれ配列番号:1及び38、又は配列番号:4
0及び43、又は配列番号:45及び52のようなsdph3.10、sdp3
.5又はsdp3.8核酸から誘導される核酸プローブ又はプライマーと接触さ
せることを含んでいる。上記核酸試料と上記プローブ又はプライマーは、この試
料中の核酸の相補的ヌクレオチド配列とハイブリッドを形成し、何らかが存在す
る場合には、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8関連核酸の検出
が可能になる。好ましくは、上記プローブ又はプライマーは検出可能なように標
識されている。当業者は、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8関
連核酸を選択的に同定するために特異的な条件、試薬等を選択することができる
【0019】 本発明の尚もう1つの局面に従って、本発明は上記核酸分子を含んでいる発現
ベクター、及びこのような発現ベクターで形質転換又はトランスフェクションさ
れた宿主細胞を包含する。これら発現ベクターは任意に、HLA分子をコードし
ている核酸分子を含んでいる。勿論、HLAをコードする核酸分子が別個の発現
ベクター内に含まれていることもできる。上記発現ベクターで形質転換又はトラ
ンスフェクションした宿主細胞も提供される。
【0020】 本発明のもう1つの特徴に従って、上記核酸分子によってコードされている単
離sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8ポリペプチドが提供される
。上記ポリペプチドのフラグメントも提供される。好ましくは、この単離ポリペ
プチドのフラグメントはポリペプチド結合剤と結合する。他の好ましい実施態様
では、上記単離ポリペプチドのフラグメントは抗体又は細胞傷害性Tリンパ球と
結合する。
【0021】 本発明はまた、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8タンパク質
又はこれらのフラグメントと選択的に結合する単離ポリペプチドも提供する。単
離結合ポリペプチドは抗体及び抗体のフラグメント(例えば、Fab、F(ab
、Fd及び本発明のsdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8タン
パク質と選択的に結合するCDR3領域を含んでいる抗体フラグメント)を含ん
でいる。上記単離結合ポリペプチドにはモノクローナル、キメラ及びヒト化抗体
が含まれる。
【0022】 上記したような腫瘍関連ポリペプチド、特に腫瘍関連ポリペプチドから誘導さ
れる腫瘍拒絶抗原によって特徴付けられる単離核酸のいずれかに関連して、本発
明はまた、遺伝暗号の縮重によりコドン配列だけが上記単離核酸と異なっている
縮重核酸又はこれら核酸のいずれかの相補体も包含する。
【0023】 本発明の尚もう1つの局面に従って、腫瘍関連核酸分子又は腫瘍関連ポリペプ
チドの発現によって特徴付けられる疾患の診断方法が提供される。これらの方法
は対象から単離した生物学的試料を、腫瘍関連核酸分子又はその発現産生物に特
異的な作用剤と接触させることに関係している。ある実施態様では、上記腫瘍関
連核酸分子は配列番号:38、配列番号:43又は配列番号:52として述べら
れているヌクレオチド配列を有する分子とストリンジェントな条件下でハイブリ
ッドを形成する。これらのある実施態様では、上記腫瘍関連核酸は任意に腫瘍関
連ポリペプチドをコードしている。他の実施態様では、上記作用剤は、sdph
3.10、sdp3.5又はsdp3.8核酸分子によってコードされている腫
瘍関連ポリペプチド、例えば抗体、細胞傷害性Tリンパ球、ポリペプチド等と選
択的に結合する結合剤である。これらの方法は更に、上記疾患の決定因子として
、上記作用剤と上記核酸分子又はその発現産生物間の相互作用又は結合を測定す
ることに関係している。好ましい実施態様では、上記作用剤は、配列番号:38
、43又は52として述べられているヌクレオチド配列を有する分子を含んでい
る核酸分子、そのフラグメント及びそれらの相補体である。ある実施態様では、
上記作用剤と上記核酸分子間の相互作用は上記核酸分子の少なくとも一部分を増
幅することによって測定される。好ましい実施態様では、上記腫瘍関連ポリペプ
チドと結合する作用剤は抗体である。上記実施態様のある実施態様では、上記生
物学的試料は好ましくは精巣でない組織から単離される。他の実施態様では、上
記生物学的試料は好ましくは精巣、骨髄、膀胱、皮膚、子宮、卵巣及び精子以外
の組織から単離される。上記実施態様の尚他の実施態様では、上記腫瘍関連核酸
及びポリペプチドは上記配列のフラグメントである。
【0024】 腫瘍関連ポリペプチドから誘導されるペプチドがHLA分子によって提示され
そしてCTLによって認識され得るということを知ることによって、ある種の疾
患の診断が可能になる。それ故、本発明のもう1つの局面に従って、腫瘍関連ポ
リペプチドから誘導される腫瘍拒絶抗原の発現によって特徴付けられる疾患の診
断方法が提供される。この方法は、対象から単離した生物学的試料を、腫瘍関連
ポリペプチドから誘導される腫瘍拒絶抗原に特異的な作用剤と接触させることに
関係している。それ故、この方法は、上記疾患の決定因子として、上記作用剤と
上記腫瘍関連ポリペプチドから誘導される腫瘍拒絶抗原間の相互作用の測定を提
供する。ある実施態様では、上記腫瘍関連ポリペプチドから誘導される腫瘍拒絶
抗原は、配列番号:38、43若しくは52又はこれらとストリンジェントな条
件下でハイブリッドを形成する核酸分子によってコードされるポリペプチドのア
ミノ酸配列を含んでいる。好ましい実施態様では、上記腫瘍拒絶抗原は上記配列
の7から100個の間の連続アミノ酸(7、8、9、10、11、12、13、
14、15等々、これらと100までの間の全ての整数を含む)を含んでいる。
好ましくは、sdph3.10及びsdp3.8に関連する方法では、上記生物
学的試料は精巣でない組織から単離される。sdp3.5に関連する方法では、
上記生物学的試料は好ましくは精巣、骨髄、膀胱、皮膚、子宮、卵巣及び精子以
外の組織から単離される。ある実施態様では、上記作用剤は抗体である。
【0025】 上記方法は腫瘍関連TRAの存在に基づく疾患の診断を提供する。本発明のも
う1つの局面は、HLA分子と複合体を形成する腫瘍関連ポリペプチドから誘導
される腫瘍拒絶抗原の発現によって特徴付けられる疾患の診断方法を提供する。
この方法は対象から単離した生物学的試料を上記複合体と結合する作用剤と接触
させ、そしてその後、上記疾患の決定因子として、上記複合体と上記作用剤間の
結合を測定することに関係している。1つの実施態様では、sdph3.10、
sdp3.5又はsdp3.8腫瘍関連ポリペプチドから誘導される腫瘍拒絶抗
原は配列番号:38、43若しくは52又はこれらとストリンジェントな条件下
でハイブリッドを形成する核酸分子によってコードされるポリペプチドのフラグ
メントのアミノ酸を含んでいるペプチドである。好ましい実施態様では、上記腫
瘍拒絶抗原は上記配列の7から100個の間の連続アミノ酸を含んでいる。好ま
しくは上記生物学的試料は、sdph3.10若しくはsdp3.8診断方法で
は精巣でない組織から単離され、又はsdp3.5診断方法では精巣、骨髄、膀
胱、皮膚、子宮、卵巣及び精子以外の組織から単離される。ある実施態様では、
上記作用剤は抗体である。上記診断方法はいずれも、長期間順次的に適用して上
記疾患の予後又は進行を測定することができる。
【0026】 疾患の診断に加えて、ある疾患の治療も望ましい。本発明のもう1つの局面に
従って、腫瘍関連核酸又はポリペプチドの発現によって特徴付けられる疾患を有
する対象の治療方法が提供される。この方法はsdph3.10、sdp3.5
又はsdp3.8腫瘍関連核酸又はポリペプチドの発現を減少させて上記疾患を
改善する作用剤を上記対象に投与することに関係している。上記作用剤は有効量
で投与される。ある実施態様では、上記腫瘍関連核酸又はポリペプチドは核酸で
あり、そして上記作用剤はアンチセンス核酸である。このアンチセンス核酸は好
ましくは、配列番号:38、43若しくは52として述べられている腫瘍関連核
酸又はこれらとストリンジェントな条件下でハイブリッドを形成する核酸分子及
びそれらのフラグメントとハイブリッドを形成する。
【0027】 本発明のもう1つの局面では、上記腫瘍関連核酸又はポリペプチドは腫瘍拒絶
抗原であり、そして上記方法は、HLAと配列番号:38、43若しくは52又
はこれらとストリンジェントな条件下でハイブリッドを形成する核酸分子によっ
てコードされる腫瘍関連ポリペプチド又はそれらのフラグメントとの複合体の存
在を対象の中で選択的に高める作用剤の、上記疾患を改善するのに充分な量を上
記対象に投与することに関係している。ある実施態様では、上記疾患は癌である
【0028】 本発明で提供される尚その他の治療方法はこのような治療を必要としている対
象に、自己由来細胞溶解性T細胞の上記疾患を改善するのに充分な量を投与する
ことに関係しており、そしてその際上記自己由来細胞溶解性T細胞はHLA分子
とsdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8腫瘍関連ポリペプチドから
誘導される腫瘍拒絶抗原との複合体に特異的である。好ましくは、これらの複合
体はHLAと上記したようなある種の腫瘍関連ペプチドから形成される。ある実
施態様における上記方法は、上記対象から免疫反応性細胞を含有する試料を取り
出し、この免疫反応性細胞含有試料を宿主細胞と、上記腫瘍関連抗原に対する細
胞溶解性T細胞の産生に好ましい条件下で接触させることを含んでいる。この細
胞溶解性T細胞は上記腫瘍関連抗原を発現する細胞を溶解するのに有効な量で上
記対象に導入される。好ましくは、上記宿主細胞はプロモーターと作用可能的に
結合した上記単離核酸分子の1つを含んでいる発現ベクターで形質転換又はトラ
ンスフェクションされる。ある実施態様では、この宿主細胞は上記腫瘍関連抗原
と結合するHLA分子を組換え的に発現する。他の実施態様では、この宿主細胞
は上記腫瘍関連抗原と結合するHLA分子を内在的に発現する。
【0029】 本発明のもう1つの局面に従って組成物が提供される。この組成物は配列番号
:38、43若しくは52として述べられている腫瘍関連核酸又はこれらのフラ
グメントと結合するアンチセンス核酸を含んでいる。このアンチセンス核酸は上
記腫瘍関連核酸の発現を減少させる。上記組成物はまた薬学的に許容し得る担体
も含有している。
【0030】 本発明はもう1つの局面において腫瘍関連ポリペプチド前駆体の発現の存在を
検出するためのキットに関係している。このようなキットは別個の容器内で単離
されそして単一のパッケージ内に包装された2つ又はそれより多くの上記核酸分
子を使用する。このような1つのキットでは、各々が配列番号:38、43又は
52の12〜32個のヌクレオチド隣接断片及びこれらの相補体からなる群から
選択される分子から本質的になる1対の単離核酸分子が提供され、そしてその際
上記隣接断片は重複していない。好ましくは、上記一対の単離核酸分子は、配列
番号:38、43又は52の核酸配列、遺伝暗号の縮重のためコドン配列が上記
と異なっている核酸分子及びこれらの相補体からなる群から選択される分子とス
トリンジェントな条件下でハイブリッドを形成する単離核酸分子の少なくとも一
部分を選択的に増幅するように構築されそして配列されている。ある実施態様で
は、上記一対の単離核酸分子はPCRプライマーである。好ましくは、これらプ
ライマーの1つは配列番号:38、43又は52の隣接断片であり、そして上記
プライマーのもう1つは配列番号:38、43又は52の別の隣接断片の相補体
である。
【0031】 本発明の尚もう1つの局面に従って、腫瘍関連ポリペプチドの産生方法が提供
される。これらの方法には、プロモーターと作用可能的に結合したsdph3.
10、sdp3.5又はsdp3.8腫瘍関連核酸分子を含んでいる核酸分子を
提供することが含まれる。上記腫瘍関連核酸分子は腫瘍関連ポリペプチド又はそ
のフラグメントをコードしており、そしてその際この腫瘍関連ポリペプチドは配
列番号:39、配列番号:44、配列番号:53及びそれらのフラグメントから
なる群から選択される。これらの方法はまた、上記核酸分子を発現系で発現させ
、そしてこの発現系から上記腫瘍関連ポリペプチドまたはそのフラグメントを単
離することも含んでいる。
【0032】 本発明はまたもう1つの局面で、上記パラグラフの作用剤及び/又は細胞を含
有する製剤も提供する。1つの実施態様では、この製剤は、薬学的に許容し得る
希釈剤、担体又は賦形剤と一緒に、HLA分子と結合し上記核酸によってコード
されているsdph3.10、sdp3.5若しくはsdp3.8ポリペプチド
又はそれらのフラグメントの薬学的に有効な量を含有している。もう1つの実施
態様では、この製剤は、HLA分子と上記のsdph3.10、sdp3.5又
はsdp3.8ポリペプチドから誘導される腫瘍拒絶抗原との複合体に特異的な
単離自己由来細胞溶解性T細胞の薬学的に有効な量を含有している。
【0033】 本発明のもう1つの局面に従って、医薬の製造における、単離sdph3.1
0、sdp3.5若しくはsdp3.8ポリペプチド若しくは核酸又はそれらの
フラグメントの使用が提供される。sdph3.10、sdp3.5又はsdp
3.8分子の好ましいフラグメントは上記されている。医薬の製造における、腫
瘍関連核酸と結合するアンチセンス核酸の使用も提供される。ある実施態様では
、上記医薬は注射用医薬、経口用医薬又は吸入用医薬である。
【0034】 本発明のもう1つの局面に従って、医薬の調製又は製造における、単離sdp
h3.10、sdp3.5及び/若しくはsdp3.8ポリペプチド若しくは核
酸又はそれらのフラグメント(アンチ核酸を含む)及び自己由来細胞溶解性T細
胞の使用が提供される。ある実施態様では、上記医薬は癌、特に肉腫、メラノー
マ及び癌腫の治療用である。
【0035】 本発明はまた、上記した全ての分子の機能的変異体及び等価物も包含する。
【0036】 本発明のこれらの目的や他の目的は本発明の詳細な説明に関連して更に詳細に
記載する。
【0037】発明の詳細な説明 以下の実施例は、ポリペプチドをコードしておりそして腫瘍細胞内で優先的に
発現される核酸分子、即ち腫瘍関連遺伝子である核酸分子の単離を示す。この単
離核酸分子は元々、発現されたmRNAからRT−PCR増幅によって単離され
たので、これら核酸分子はsdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8ポ
リペプチドをコードしていると考えられる。それ故、本発明の1つの局面は、配
列番号:38、配列番号:43又は配列番号:52に述べられているヌクレオチ
ド配列の全て又はフラグメントを含んでいる単離核酸分子である。これらの配列
を参照文献中に記載されている任意の遺伝子の配列と比較することによって分か
るように、これらの配列はこれまでに認識されている腫瘍拒絶抗原前駆体、例え
ばMAGE、BAGE、GAGE、RAGE、LB33/MUM−1、PRAM
E、NAG、MAGE−Xp又は脳グリコーゲンホスホリラーゼ配列をコードし
ていない。
【0038】 それ故、本発明は1つの局面では、sdph3.10、sdp3.5及びsd
p3.8核酸、コードされているポリペプチド、これらの機能的修飾体及び変異
体、これらの有用なフラグメント、並びにこれらに関連した治療法及び診断法に
関係している。
【0039】 本発明は、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8ポリペプチドを
コードしておりそして配列番号:38、配列番号:43又は配列番号:52に述
べられているヌクレオチド配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下で
ハイブリッドを形成する核酸分子を提供する。このような核酸分子は腫瘍関連ポ
リペプチド前駆体と称され、そしてDNA、RNAであるか又はデオキシリボヌ
クレオチドとリボヌクレオチドの混合物で構成されていることができる。上記腫
瘍関連ポリペプチド前駆体は合成で天然でないヌクレオチドを包含することもで
きる。
【0040】 かくして、本発明は他の腫瘍関連核酸を包含しており、そしてこれら核酸のな
かには正常組織内で発現され得るものもある。腫瘍関連核酸分子又はポリペプチ
ドは癌細胞、例えば肉腫、癌腫等を含む腫瘍内で優先的に発現される核酸又はポ
リペプチドである。正常細胞や腫瘍細胞内での核酸及び/又はポリペプチドの発
現を測定する種々の方法は当業者に知られており、そして以下で更に記載する。
本明細書で使用するとき、腫瘍関連ポリペプチドにはタンパク質、タンパク質フ
ラグメント及びペプチドが含まれる。特に、腫瘍関連ポリペプチドにはTRAP
及びTRAが含まれる。
【0041】 本明細書で使用するとき、用語「ストリンジェントな条件」とは当該技術分野
で良く知られているパラメーターを言う。更に詳細には、本明細書で使用すると
き、ストリンジェントな条件とはハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SS
C、0.02%フィコール(Ficoll)、0.02%ポリビニルピロリドン、0.0
2%ウシ血清アルブミン、25mM NaHPO(pH7)、0.5%SD
S、2mM EDTA)中65℃でのハイブリダイゼーションを言う。SSCは
0.15M塩化ナトリウム/0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7であり;
SDSはドデシル硫酸ナトリウムであり;そしてEDTAはエチレンジアミン四
酢酸である。ハイブリダイゼーション後、核酸移動膜を室温で2×SSCを用い
て、そしてその後68℃までの温度で0.1〜0.5×SSC/0.1×SDS
を用いて洗浄する。上記したハイブリダイゼーション条件セットは当業者に知ら
れている緊縮ハイブリダイゼーション条件の1つの例にすぎない。
【0042】 使用することができ、そしてストリンジェントなハイブリダイゼーションをも
たらす他の条件、試薬等が存在する(例えば、Molecular Cloning: A Laborator
y Manual、Sambrook他編集、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、
ニューヨーク州コールドスプリングハーバー、1989年又はCurrent Protocol
s in Molecular Biology、F.M. Ausubel他編集、John Wiley & Sons, Inc.、ニ
ューヨーク、参照)。熟練技術者はこのような条件に精通しており、そしてそれ
故これら条件はここでは示さない。しかしながら、熟練技術者はこれらの条件を
、本発明のsdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8核酸分子の相同体
及び対立遺伝子の明確な同定が可能になる態様で操作できることが理解されよう
。熟練技術者はまた、上記分子を発現させるための細胞、好ましくは癌細胞やラ
イブラリーをスクリーニングする方法にも精通しており、そしてこれらの分子は
その後定型どおりに単離され、続いて関連核酸が単離されそして配列が決定され
る。それ故、全長cDNA及びゲノムDNAを含むsdph3.10、sdp3
.5又はsdp3.8核酸が本発明によって提供される。
【0043】 一般的に相同体や対立遺伝子は、典型的には腫瘍関連核酸のコーディング領域
と少なくとも40%のヌクレオチド同一性及び/又は少なくとも50%のアミノ
酸同一性を共有し、ある場合には少なくとも50%のヌクレオチド同一性及び/
又は少なくとも65%のアミノ酸同一性を共有し、そして尚その他の場合には少
なくとも60%のヌクレオチド同一性及び/又は少なくとも75%のアミノ酸同
一性を共有していよう。好ましい相同体や対立遺伝子は配列番号:38、43又
は52とヌクレオチド及びアミノ酸同一性を共有し、そして同一性が80%を超
え、更に好ましくは90%を超え、更に尚好ましくは95%を超え、そして最も
好ましくは99%を超えるポリペプチドをコードする。上記同一性パーセントは
、インターネット(ftp:/ncbi.nlm.nih.gov/pub/)で得ることができNCBI(
メリーランド州ベセスダ)によって開発された公に利用可能な種々のソフトウェ
ア手段を使用して計算することができる。代表的な手段にはhttp://www.ncbi.nl
m.nih.govで利用できるBLASTシステムが含まれ、そしてこれはアルチュー
ル(Altschul)他が開発したアルゴリズムを使用している(Nucleic Acids Res.
25:3389〜3402、1997年)。ペアワイズ(Pairwise)及びクラ
スタルダブリュ(ClustalW)配列(BLOSUM30 matrix setting)並びにカイト・
ドゥリトル(Kyte-Doolittle)ハイドロパシック分析はマック・ベクター(Mac
Vector)配列分析ソフトウェア(Oxford Molecular Group)を使用して得ること
ができる。上記核酸の相補体も本発明に包含される。
【0044】 配列番号:1、配列番号:40、配列番号:45、配列番号:38のヌクレオ
チド119〜1831、配列番号:43のヌクレオチド79〜1659、配列番
号:52のヌクレオチド208〜2152及びこれらのフラグメントからなる群
から選択されるヌクレオチド配列を含んでいる核酸分子も提供される。
【0045】 本明細書で開示した核酸は、標準的なハイブリダイゼーション方法に従ってs
dph3.10、sdp3.5又はsdp3.8遺伝子の発現を測定するための
プローブや増幅用プライマーとして有用である。これらの核酸を使用して、例え
ば、上記核酸をプロモーターと作用可能的に結合させ、そして発現系でこの核酸
を転写させそして翻訳させることによって、インビトロ又はインビボで腫瘍関連
ポリペプチドを発現させることもできる。これら核酸はまた、例えば抗体の調製
に有用な上記ポリペプチドのフラグメントを調製するために使用することもでき
る。他の多くの用途は熟練技術者に明白であろう。
【0046】 関連核酸、例えば、ヌクレオチド配列がsdph3.10、sdp3.5又は
sdp3.8と関係のある核酸のスクリーニングにおいては、放射性プローブ(
例えば、配列番号:1、40又は45)と一緒に、上記条件を使用してサザンブ
ロット法を実施することができる。核酸が最終的に移されるメンブレンを洗浄し
た後、このメンブレンをX線フィルムに対して配置して放射性シグナルを検出す
ることができる。腫瘍関連核酸発現のスクリーニングにおいては、癌患者又は腫
瘍関連核酸の発現によって特徴付けられる状態を有していることが疑われる対象
から取得した試料で、上記条件を使用して(実施例も参照)ノーザンブロットハ
イブリダイゼーションを実施することができる。腫瘍関連核酸又はそれらの発現
産生物を検出するために、提示された配列とハイブリッドを形成するプライマー
を使用してポリメラーゼ連鎖反応のような増幅プロトコールを使用することもで
きる。
【0047】 本発明にはまた、天然物中に存在するものとは別のコドンを含有している縮重
核酸も含まれる。例えば、セリン残基はコドンTCA、AGT、TCC、TCG
、TCT及びAGCによってコードされる。6個のコドンは各々セリン残基をコ
ードする目的では等価である。それ故、セリンをコードするヌクレオチドトリプ
レットのどれを使用しても、セリン残基を組み入れるように、インビトロ又はイ
ンビボでタンパク質合成装置に指令できることは当業者に明白であろう。同様に
、他のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列トリプレットにはCCA、C
CC、CCG及びCCT(プロリンコドン);CGA、CGC、CGG、CGT
、AGA及びAGG(アルギニンコドン);ACA、ACC、ACG及びACT
(スレオニンコドン);AAC及びAAT(アスパラギンコドン);並びにAT
A、ATC及びATT(イソロイシンコドン)が含まれるが、これらに限定され
ない。他のアミノ酸残基も多数のヌクレオチド配列で同様にコードされているこ
とができる。それ故本発明は、遺伝暗号の縮重のためコドン配列が生物学的に単
離された核酸とは異なっている縮重核酸を包含する。
【0048】 本発明はまた、配列番号:38、配列番号:43、配列番号:52又はこれら
の相補体の単離フラグメント、特に「ユニーク」フラグメントも提供する。ユニ
ークフラグメントはより大きな核酸の「シグネチュア(signature)」のフラグメ
ントである。これは、例えば、上記で特定した腫瘍関連核酸以外のヒトゲノム内
の分子(及びヒト対立遺伝子)には見られないまさにその配列であることを保証
する程度に充分長い。当業者は、あるフラグメントがヒトゲノム内でユニークで
あるかどうかを決定するためにはせいぜい定型の方法しか適用する必要がない。
しかしながら、ユニークフラグメントには、表VIIに示されたジーンバンク(
GenBank)受理番号のいずれかのヌクレオチド配列又はそれぞれの優先権文書に
示された配列についてはその優先権文書の出願日現在で若しくは本発明の配列と
重複し本出願で初めて示された配列については本出願の出願日現在でそれまでに
発表されていた他の配列で完全に構成されるフラグメントは含めない。
【0049】 上記ジーンバンクに届けたものの中に記載されている配列で完全に構成される
フラグメントは本発明の配列に特有のヌクレオチドをどれも含んでいないフラグ
メントである。それ故、ユニークフラグメントはジーンバンク中の配列そのもの
又はそのフラグメント以外のヌクレオチド配列を含有していなければならない。
差異はジーンバンク配列に関して付加、欠失又は置換であることができ、又はジ
ーバンク配列とは完全に別個の配列であることができる。
【0050】 ユニークフラグメントは、上記核酸を同定するためにサザン及びノーザンブロ
ットアッセイでプローブとして使用することができるか、又はPCRを使用する
ような増幅アッセイで使用することができる。当業者に知られているように、サ
ザン及びノーザンブロットのようなある用途では200、250、300個又は
それより多くのヌクレオチドのような大きなプローブが好ましいが、PCRのよ
うな用途ではより小さなフラグメントが好ましいであろう。抗体を生じさせるた
めにか若しくはポリペプチドフラグメントの結合を測定するために又はイムノア
ッセイ構成成分を生じさせるために、ユニークフラグメントを使用して融合タン
パク質を産生させることもできる。同様に、ユニークフラグメントを使用して、
例えば、抗体の調製やイムノアッセイで有用な腫瘍関連ポリペプチドの非融合フ
ラグメントを産生させることができる。ユニークフラグメントは更に、sdph
3.10、sdp3.5又はsdp3.8腫瘍関連核酸及びポリペプチドの発現
を阻害するためにアンチセンス分子として、特に以下で更に詳細に記載するよう
に治療目的で使用することができる。
【0051】 当業者によって認識されるように、上記ユニークフラグメントの大きさは遺伝
暗号におけるこのフラグメントの保存性に依存するであろう。それ故、sdph
3.10、sdp3.5又はsdp3.8配列及びこれらの相補体のある領域で
はより長い断片がユニークであることが必要であろうが、他の領域は短い断片、
典型的には長さが12から32ヌクレオチド又はそれ以上の間(例えば、12、
13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、
25、26、27、28、29、30、31、32、50、75、100、15
0、200、250、300、400、500、750、1000)等々、開示
された配列の全長までしか必要ないであろう。本発明は、各配列について、最初
のヌクレオチド、2番目のヌクレオチド等々、末端の12ヌクレオチド手前まで
で開始して、ヌクレオチド番号12、13、14等々から正に最後のヌクレオチ
ド(この配列が上記したようにユニークである場合)までの任意の場所で終了す
る各配列の各フラグメント及び全フラグメントを包含する。
【0052】 20個又はそれより多くのヌクレオチド長である新規な腫瘍関連核酸又はそれ
らの相補体のポリペプチドコーディング領域の多数の断片はユニークであろう。
当業者は、典型的にはこのユニークフラグメントが問題の配列をヒトゲノム内の
他の配列と選択的に識別する能力に基づいて、このような配列を選択する方法を
充分熟知している。それ故、例えば、既知のヒト反復配列と同一のヌクレオチド
配列の断片はユニークフラグメントではない。上記フラグメントの配列を既知の
データベースの配列と比較することが典型的には必要な全てであるが、インビト
ロでの確認のハイブリダイゼーション及び配列決定分析を実施することができる
【0053】 ユニークフラグメントは機能的フラグメントであることができる。本発明の核
酸分子の機能的フラグメントはより大きな核酸分子のある機能的特性、例えば機
能的ポリペプチドをコードする、タンパク質と結合する、作用可能的に結合した
核酸の転写を調節する等の特性を保持しているフラグメントである。当業者は、
せいぜい定型の実験法しか使用しないであるフラグメントが核酸分子の機能的フ
ラグメントであるかどうかを測定するために、本明細書に記載したアッセイや当
該技術分野で周知のものの使用を容易に決定することができる。
【0054】 例えば、sdph3.10核酸を選択的に増幅するように構築されそして配列
されている任意の対のPCRプライマーには、sdph3.10特異的プライマ
ーを使用することができる。このようなプライマーは、sdph3.10核酸と
選択的にハイブリッドを形成するsdph3.10の隣接範囲である。このよう
な特異的なプライマーはsdph3.10核酸内のヌクレオチドの隣接範囲とだ
け完全にハイブリッドを形成するが、sdph3.10特異的プライマーが結合
するヌクレオチドを共有していない遺伝子とはせいぜい一部分でしかハイブリッ
ドを形成しないであろう。効率的なPCRプライミング及びsdph3.10核
酸の同定には、sdph3.10以外の遺伝子の3’末端では効率的にハイブリ
ッドを形成しないようにsdph3.10特異的プライマーを構築しそして配列
させなければならない。好ましくは、非同一性領域は少なくとも1〜4ヌクレオ
チド長であり、そしてsdph3.10特異的プライマーの3’末端を形成する
。それ故、ハイブリダイゼーションの動態(kinetics)によって、5’末端におけ
るハイブリダイゼーションが強力に支持されるであろう。この場合には、3’で
開始したPCR伸張は、5’及び3’末端が共に上記核酸とハイブリッドを形成
するときにだけ生起するであろう。代表的なプライマーには、配列番号:1から
誘導される配列番号:2及び配列番号:3が含まれる。他の代表的なプライマー
は、上記プライマーの5’末端で1、2、3、4、5個又はそれより多くのヌク
レオチドが付加又は欠失することによって上記と異なっていることができる。当
業者は、せいぜい定型の実験法しか使用しないで、sdph3.10及び関連遺
伝子の選択的増幅用の好ましいプライマーを決定することができる。実質的に相
同性のヌクレオチド配列を識別できる更なる方法、例えばリガーゼ連鎖反応(「
LCR」)及び他の方法は熟練技術者に明白であろう。上記と同じ方法及びプロ
トコールをsdp3.5及びsdp3.8核酸の増幅に適用することができる。
【0055】 核酸に関して本明細書で使用するとき、用語「単離」とは:(i)例えば、ポ
リメラーゼ連鎖反応(PCR)によってインビトロで増幅され;(ii)クロー
ニングによって組換え的に産生され;(iii)開裂やゲル分離によるようにし
て精製され;又は(iv)例えば、化学合成によって合成されたことを意味する
。単離核酸は当該技術分野で周知の組換えDNA技術で容易に操作され得る核酸
である。それ故、5’及び3’制限部位が知られているか又はその配列用のポリ
メラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列が開示されているベクターに含まれ
ているヌクレオチド配列は単離されていると考えられるが、その天然宿主内でそ
の天然状態で存在する核酸配列は単離されているとは考えられない。単離核酸は
実質的に精製されていることができるが、精製されている必要はない。例えば、
クローニングベクター又は発現ベクター内で単離されている核酸は、この核酸が
存在している細胞内にほんの僅かなパーセントの物質が含まれている可能性があ
る点で純粋ではない。しかしながら、このような核酸は当業者に既知の標準的な
技術で容易に操作できるので、この用語が本明細書で使用されるとき、上記のよ
うな核酸は単離されている。本明細書で使用される単離核酸分子は天然生起の染
色体ではない。
【0056】 本発明はまた、配列番号:1の翻訳産生物、関連sdph3.10核酸(例え
ば、sdph3.10の全長コーディング領域、例えば配列番号:38を含んで
いるcDNA)、配列番号:40、関連sdp3.5核酸(例えば、sdp3.
5の全長コーディング領域、例えば配列番号:43を含んでいるcDNA)、配
列番号:45、関連sdp3.8核酸(例えば、sdp3.8の全長コーディン
グ領域、例えば配列番号:52を含んでいるcDNA)及びこれらのフラグメン
トを含んでいる単離ポリペプチドも提供する。このようなポリペプチドは、例え
ば、抗体を産生するために単独で若しくは融合タンパク質として、イムノアッセ
イ若しくは診断アッセイの構成成分として、治療薬として、又はsdph3.1
0、sdp3.5若しくはsdp3.8タンパク質に対するHLA分子及び/若
しくはCTLクローンの結合特異性を決定するために有用である。腫瘍関連ポリ
ペプチドは組織又は細胞ホモジネートを含む生物学的試料から単離することがで
き、そして多様な原核及び真核発現系内で、この発現系に適する発現ベクターを
構築し、この発現ベクターを上記発現系に導入し、そして組換え的に発現された
タンパク質を単離することによって組換え的に発現させることもできる。抗原性
ペプチド(例えば、免疫認識用に細胞表面にMHC分子によって提示されるよう
な)を含む、短いポリペプチドも良好に確立されたペプチド合成方法を使用して
化学的に合成することができる。
【0057】 それ故、ポリペプチドに関連して本明細書で使用するとき、「単離される」と
は、その天然の環境から分離されておりそしてそれを同定又は使用できるほど充
分な量で存在することを意味する。タンパク質又はポリペプチドに言及するとき
、単離されるとは、例えば:(i)組換え核酸の発現によって選択的に産生され
るか又は(ii)クロマトグラフィー又は電気泳動によるようにして精製される
ことを意味する。単離タンパク質又はポリペプチドは実質的に純粋であることが
できるが、そうである必要はない。用語「実質的に純粋な」とは、それらのタン
パク質又はポリペプチドが、天然の又はインビボの系で一緒に見いだされる可能
性のある他の物質を、それらの意図されている用途に対して実用的且つ適当な程
度にまで本質的に含有していないことを意味する。実質的に純粋なポリペプチド
は当該技術分野で周知の技術で産生させることができる。単離タンパク質は製剤
の中で薬学的に許容し得る担体と混合することができるので、このタンパク質は
上記製剤の少ない重量部分しか構成しない可能性がある。それにも拘わらず、こ
のタンパク質は生体の系で会合している可能性のある物質から分離されている点
で単離されている、即ち他のタンパク質から単離されている。
【0058】 例えば、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8タンパク質のフラ
グメントは一般的に、核酸に関連して上記で考察したようなユニークフラグメン
トを含むフラグメントの上記特性及び特徴を有している。当業者によって認識さ
れるように、ユニークなフラグメントの大きさは、このフラグメントが保存され
たタンパク質ドメインの一部分を構成しているかどうかのようなファクターに依
存するであろう。それ故、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8ポ
リペプチドのある領域はより長い断片がユニークであることを必要としているが
、他の領域は典型的には5から12個の間のアミノ酸(例えば、5、6、7、8
、9、10、11及び12アミノ酸長)の短い断片しか必要としないであろう。
【0059】 ポリペプチドのユニークフラグメントは好ましくは、そのポリペプチドの明確
な機能的能力を保持しているようなフラグメントである。ポリペプチドのフラグ
メント内に保持されていることができる機能的能力には抗体との相互作用、他の
ポリペプチド又はそれらのフラグメントとの相互作用、核酸の選択的結合及び酵
素活性が含まれる。1つの重要な活性はそのポリペプチドを同定するためのシグ
ネチュアとして作用する能力である。もう1つはHLAと複合体を形成しそして
ヒトで免疫応答を誘発する能力である。腫瘍拒絶抗原は、HLA結合及びTリン
パ球との相互作用に関して機能的能力を保持している腫瘍関連ポリペプチドのフ
ラグメントの1つの例である。HLAクラスI分子によって提示される腫瘍拒絶
抗原は典型的には9アミノ酸長であるが、8、9及び10個並びにそれより多く
のアミノ酸のペプチドもHLA及びTリンパ球と相互作用する能力を、細胞傷害
性Tリンパ球応答を誘発するのに有効な程度にまで保持している(例えば、Van
den Eynde & Brichard、Curr. Opin. Immunol. :674〜681、1995
年;Coulie他、Stem Cells 13:393〜403、1995年参照)。同様に
、腫瘍拒絶抗原(例えば、10〜20アミノ酸長)はHLAクラスII分子及び
Tヘルパーリンパ球と相互作用し、Tヘルパーリンパ球の増殖及び応答を誘発す
る(例えば、Van den Eynde & van der Bruggen、Curr. Opin. Immunol. :6
84〜693、1997年;Topalian他、J. Exp. Med. 183:1965〜1
971、1996年参照)。
【0060】 当業者は、典型的には問題の配列を非ファミリーメンバーから選択的に識別す
るフラグメントの能力に基づいて、ユニークアミノ酸配列を選択する方法に充分
精通している。フラグメントの配列と既知のデータベースの配列との比較が必要
な全てである。
【0061】 本発明は上記した腫瘍関連ポリペプチドの変異体を包含する。本明細書で使用
するとき、腫瘍関連ポリペプチドの「変異体(variant)」は、腫瘍関連ポリペプ
チドの最初のアミノ酸配列に対して1つ又はそれより多くの修飾を含んでいるポ
リペプチドである。1)腫瘍関連ポリペプチドの活性を低下させるか又は消失さ
せるために;2)腫瘍関連ポリペプチドの特性、例えば発現系におけるタンパク
質の安定性又はタンパク質−タンパク質結合の安定性を高めるために;3)腫瘍
関連ポリペプチドに新規な活性又は特性を提供する、例えば抗原性エピトープを
付加するか又は検出可能な部分を付加するために;あるいは4)HLA分子との
等価な又はより良好な結合を提供するために、腫瘍関連ポリペプチドに対して腫
瘍関連ポリペプチド変異体を創製する修飾を行うことができる。腫瘍関連ポリペ
プチドに対する修飾は典型的にはこの腫瘍関連ポリペプチドをコードしている核
酸に対して行われ、そしてアミノ酸又は非アミノ酸部分の欠失、点変異、切断、
アミノ酸置換及び付加を含んでいることができる。あるいは、修飾はポリペプチ
ドに対して、例えば、開裂、リンカー部分の付加、ビオチンのような検出可能な
部分の付加、脂肪酸の付加等によって直接行うことができる。修飾にはまた、腫
瘍関連アミノ酸配列、例えば、配列番号:39、44及び53の全て又は一部分
を含んでいる融合タンパク質も包含される。当業者はタンパク質の立体配座に与
えるタンパク質配列の変化の影響を予測する方法に精通しているので、既知の方
法に従って変異体の腫瘍関連ポリペプチドを「設計」することができる。このよ
うな方法の1つの例はダヒヤット(Dahiyat)及びメイヨ(Mayo)によってScien
ce 278:82〜87、1997年、に記載されており、そしてそれによって
タンパク質を新たに設計することができる。この方法を既知のタンパク質に適用
して上記ポリペプチド配列の一部分だけを変化させることができる。ダヒヤット
及びメイヨのコンピューター処理方法を適用することによって、腫瘍関連ポリペ
プチドの特異的変異体を提案し、そして試験してその変異体が所望の立体配座を
保持しているかどうかを決定することができる。
【0062】 一般的に、変異体には、所望の生理学的活性に関係のないポリペプチドの特徴
を変えるように特異的に修飾されている腫瘍関連ポリペプチドが含まれる。例え
ば、システイン残基は、所望されないジスルフィド結合を防ぐために置換し又は
欠失させることができる。同様に、あるアミノ酸は、発現系のプロテアーゼによ
るタンパク質分解を消失させることによって腫瘍関連ポリペプチドの発現を高め
るように改変することができる(例えば、KEX2プロテアーゼ活性が存在する
酵母発現系における二塩基性アミノ酸残基)。
【0063】 腫瘍関連ポリペプチドをコードしている核酸の突然変異は好ましくはそのコー
ディング配列のアミノ酸読み取り枠を保存しており、そして好ましくは、ハイブ
リッドを形成して変異体のポリペプチドの発現に有害となる可能性のあるヘアピ
ン又はループのような二次構造を形成し易い領域を上記核酸内に創製しない。
【0064】 突然変異は、アミノ酸置換を選択するか又はそのポリペプチドをコードしてい
る核酸内の選択された部位の無作為的突然変異誘発によって行わせることができ
る。次に、変異体のポリペプチドを発現させ、そしてどの突然変異が変異体のポ
リペプチドに所望の特性を提供するのかを決定するために1つ又はそれより多く
の活性について試験する。上記ポリペプチドのアミノ酸配列に関しては何も変化
していないが特定の宿主内での翻訳に好ましいコドンを提供している変異体(又
は変異のない腫瘍関連ポリペプチド)に対して更なる突然変異を行わせることが
できる。例えば、大腸菌内で核酸を翻訳するのに好ましいコドンは当業者に良く
知られている。上記ポリペプチドの発現を増強させるために、腫瘍関連遺伝子又
はcDNAクローンの非コーディング配列に対して尚その他の突然変異を行わせ
ることができる。腫瘍関連ポリペプチドの変異体の活性は、変異体の腫瘍関連ポ
リペプチドをコードする遺伝子を細菌又は哺乳動物発現ベクター中にクローン化
し、このベクターを適当な宿主細胞内に導入し、変異体の腫瘍関連ポリペプチド
を発現させ、そしてこの腫瘍関連ポリペプチドの機能的能力について本明細書で
開示したようにして試験することによって試験することができる。例えば、変異
体の腫瘍関連ポリペプチドは、自己由来又は同種血清との反応について実施例で
開示したようにして試験することができる。他の変異体のポリペプチドの調製は
、当業者に理解されるように、他の活性の試験に好都合であると思われる。
【0065】 熟練技術者はまた、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8ポリペ
プチドの機能的変異体、即ちこれらポリペプチドの機能的能力を保持している変
異体を提供するためにsdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8ポリペ
プチド内で保存的アミノ酸置換を行わせ得ることも認識するであろう。本明細書
で使用するとき、「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸置換がなされるタンパ
ク質の相対的電荷又はサイズ特性を変化させないアミノ酸置換を言う。アミノ酸
の保存的置換には次のグループ:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(
c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;及び(g)E、
D、内のアミノ酸間でなされる置換が含まれる。
【0066】 例えば、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8ポリペプチドから
誘導されるペプチドがMHC分子によって提示されそしてCTLによって認識さ
れることが決定される(例えば、実施例に記載されているようにして)と、この
ペプチドのアミノ酸配列に対して、特に、MHC分子との直接的な接触点ではな
いと考えられる残基において保存的アミノ酸置換を行うことができる。例えば、
HLAクラスII結合ペプチドの機能的変異体を同定する方法はストロミンガー
(Strominger)及びブヒェルぺニヒ(Wucherpfennig)(PCT/US96/0
3182)の公開PCT出願中で提供されている。1つ又はそれより多くのアミ
ノ酸置換を有しているペプチドはまた、例えば、ダマロ(D’Amaro)及びドリフ
ォウト(Drijfhout)(D’Amaro他、Human Immunol. 43:13〜18、199
5年;Drijfhout他、Human Immunol. 43:1〜12、1995年)によって記
載されているコンピュータープログラムを使用するか又は以下の実施例に記載さ
れているようにして合成前に既知のHLA/MHCモチーフとの一致について試
験することもできる。次に、置換ペプチドはMHC分子との結合についてそして
MHCと結合したときCTLによる認識について試験することができる。これら
の変異体は安定性の改善について試験することができ、そして、なかんずくワク
チン組成物で有用である。
【0067】 sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8ポリペプチドの機能的変異
体、即ち天然ポリペプチドの機能を保持しているポリペプチドの変異体は、ポリ
ペプチド配列の改変方法を編纂している参照文献、例えばモレキュラー・クロー
ニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、ジェ
イ.サムブルック(J. Sambrook)他編集、第2版、コールド・スプリング・ハ
ーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、ニ
ューヨーク州コールドスプリングハーバー、1989年、又は分子生物学におけ
る現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)、エフ.エ
ム.アウスベル(F.M. Ausubel)他編集、ジョーン・ウィリー・アンド・サンズ
・インク.(John Wiley & Sons, Inc.)、ニューヨーク、中に見られるような
当業者に知られているポリペプチド配列の改変方法に従って調製することができ
る。例えば、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8ポリペプチドの
代表的な機能的変異体には、配列番号:39及び配列番号:44のようなポリペ
プチドの保存的アミノ酸置換体が含まれる。sdph3.10、sdp3.5又
はsdp3.8ポリペプチドの機能的変異体を産生させるためにsdph3.1
0、sdp3.5又はsdp3.8ポリペプチドのアミノ酸配列中における保存
的アミノ酸置換は典型的には、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.
8ポリペプチドをコードする核酸(例えば、配列番号:38、配列番号:43、
配列番号:53)の改変によって行われる。このような置換は、当業者に知られ
ている多様な方法で行うことができる。例えば、アミノ酸置換はPCR誘導突然
変異(PCR-directed mutation)、クンケル(Kunkel)(Kunkel、Proc. Nat. Acad
. Sci. U.S.A. 82:488〜492、1985年)の方法による部位特異的突
然変異誘発(site-directed mutagenesis)、又はsdph3.10、sdp3.
5又はsdp3.8ポリペプチドをコードする遺伝子の化学的合成によって行う
ことができる。アミノ酸置換がsdph3.10、sdp3.5又はsdp3.
8ポリペプチドの小さなユニークフラグメント、例えば9アミノ酸ペプチドに対
してなされる場合、この置換は上記ペプチドを直接合成することによって行うこ
とができる。sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8ポリペプチドの
機能的変異体又はフラグメントの活性は、改変したsdph3.10、sdp3
.5又はsdp3.8ポリペプチドをコードする遺伝子を細菌又は哺乳動物発現
ベクター中にクローン化し、このベクターを適当な宿主細胞内に導入し、改変し
たsdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8ポリペプチドを発現させ、
そして本明細書で開示したようにしてsdph3.10、sdp3.5又はsd
p3.8ポリペプチドの機能的能力について試験することによって試験すること
ができる。
【0068】 上記したように、本発明は、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.
8タンパク質をコードするものを含めて腫瘍関連遺伝子核酸分子と選択的に結合
して腫瘍関連遺伝子の転写及び/又は翻訳を低下させるアンチセンスオリゴヌク
レオチドを包含する。これは、腫瘍関連遺伝子発現、例えばsdph3.10、
sdp3.5又はsdp3.8の発現の原因となり得る悪性細胞表現型の任意の
局面を減少させることを含めて、腫瘍関連遺伝子産生物発現の減少が望ましい実
質的に全ての医学的条件下で望ましい。このようにしてアンチセンス分子を使用
して、なかんずく、肉腫及び癌腫中に見られるような悪性細胞表現型のような局
面を低下させるか又は停止させることができる。
【0069】 本明細書で使用するとき、用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」又は「ア
ンチセンス」とは、特定の遺伝子を含んでいるDNA又はその遺伝子のmRNA
転写物と生理学的条件下でハイブリッドを形成し、そしてそれによってその遺伝
子の転写及び/又はそのmRNAの翻訳を阻害するオリゴリボヌクレオチド、オ
リゴデオキシリボヌクレオチド、修飾オリゴリボヌクレオチド又は修飾オリゴデ
オキシリボヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドを記載する。アンチセンス分
子は標的遺伝子とのハイブリダイゼーションに基づいてこの標的遺伝子の転写又
は翻訳に干渉するように設計される。当業者は、アンチセンスオリゴヌクレオチ
ドの正確な長さやその標的との相補性度は、標的の配列やその配列を含んでいる
特定の塩基を含めて、選択された特異的な標的に依存することを認識するであろ
う。上記アンチセンスオリゴヌクレオチドは生理学的条件下で上記標的と選択的
に結合する、即ち、生理学的条件下で標的細胞内の任意の他の配列より標的配列
と一層実質的にハイブリッドを形成するように構築されそして配列されることが
好ましい。配列番号:38、43又は52あるいは対立形質若しくは同種ゲノム
配列及び/又はcDNA配列に基づいて、当業者は、本発明に従って使用するた
めに多数の適当なアンチセンス分子のうち任意のものを容易に選択しそして合成
することができる。阻害に関して充分に選択的で且つ強力であるためには、上記
アンチセンスオリゴヌクレオチドは上記標的と相補的な少なくとも7個(Wagner
他、Nature Biotechnology 14:840〜844、1996年)、そして更に
好ましくは、少なくとも15個の連続塩基を含んでいなければならない。最も好
ましくは、これらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは20〜30個の塩基の相
補的配列を含んでいる。上記遺伝子又はmRNA転写物の任意の領域に対してア
ンチセンスであるオリゴヌクレオチドを選択することができるが、好ましい実施
態様では、これらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、翻訳開始、転写開始又
はプロモーター部位のようなN−末端又は5’上流部位に相当する。加えて、3
’−非翻訳領域を標的化することができる。mRNAスプライシング部位に対す
る標的化も当該技術分野で使用することができるが、代替的なmRNAスプライ
シングが生起する場合、殆ど好ましくない可能性がある。さらに、この上記アン
チセンスは、好ましくはmRNAの二次構造が期待されない部位(例えば、Sain
io他、Cell Mol. Neurobiol. 14(5):439〜457、1994年参照)
及びタンパク質の結合が期待されない部位に対して標的化される。最後に、配列
番号:38、43及び52はcDNA配列を開示しているが、当業者は対応する
ゲノムDNA配列を容易に誘導することができる。それ故、本発明はまた、配列
番号:38、43又は52に相当する全長cDNA及び/又はゲノムDNAと相
補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドも提供する。同様に、対立形質又は同種
DNA及びゲノムDNAに対するアンチセンスも過度の実験をすることなく実施
可能である。
【0070】 1組の実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは「天然」デ
オキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド又はこれらの任意の組合せから構成
されていることができる。即ち、1つの本来の(native)ヌクレオチドの5’末端
と別の本来のヌクレオチドの3’末端は、自然の系と同様に、ホスホジエステル
ヌクレオシド間結合によって共有結合していることができる。これらのオリゴヌ
クレオチドは、マニュアルの又は自動の合成器で実施でき当該技術分野で知られ
ている方法で製造することができる。これらはまた、ベクターによって組換え的
に産生させることもできる。
【0071】 しかしながら、好ましい実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオ
チドには「修飾」オリゴヌクレオチドも含めることができる。即ち、これらのオ
リゴヌクレオチドは、これらのオリゴヌクレオチドとこれらの標的とのハイブリ
ッド形成は妨げないで、これらの安定性若しくは標的化を高めるか、又はそうで
ない場合これらの治療的有効性を高める多数の方法で修飾することができる。
【0072】 本明細書で使用するとき、用語「修飾オリゴヌクレオチド」によって、(1)
少なくとも2つのヌクレオチドが合成ヌクレオシド間結合(即ち、1つのヌクレ
オチドの5’末端と別のヌクレオチドの3’末端間のホスホジエステル結合以外
の結合)を介して共有結合しており、そして/又は(2)核酸と通常は結合しな
い化学基がオリゴヌクレオチドと共有結合しているオリゴヌクレオチドが記載さ
れる。好ましい合成ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート、アルキルホスホ
ネート、ホスホロジチオエート、ホスフェートエステル、アルキルホスホノチオ
エート、ホスホルアミデート、カルバメート、カルボネート、ホスフェートトリ
エステル、アセトアミデート、ペプチド及びカルボキシメチルエステルである。
【0073】 用語「修飾オリゴヌクレオチド」はまた、共有結合的に修飾された塩基及び/
又は糖を有するオリゴヌクレオチドも包含する。例えば、修飾オリゴヌクレオチ
ドには、3’位のヒドロキシル基や5’位のリン酸基以外の低分子量有機基に骨
格糖が共有結合しているオリゴヌクレオチドが含まれる。このように修飾された
オリゴヌクレオチドは2’−O−アルキル化リボース基を含んでいることができ
る。加えて、修飾オリゴヌクレオチドはリボースの代わりにアラビノースのよう
な糖を含んでいることができる。修飾オリゴヌクレオチドはまた、C−5プロピ
ン修飾塩基(Wagner他、Nature Biotechnology 14:840〜844、199
6年)のような塩基類似体を含んでいることもできる。かくして、本発明は、腫
瘍関連タンパク質をコードする核酸と相補的でありそして生理学的条件下でこの
ような核酸とハイブリッドを形成し得る修飾アンチセンス分子を薬学的に許容し
得る担体と一緒に含有する製剤を意図している。
【0074】 本発明には、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8配列を発現ベ
クター内で使用すること、並びに原核生物(例えば、大腸菌)又は真核生物(例
えば、CHO細胞、COS細胞、酵母発現系及び昆虫細胞内での組換えバキュロ
ウイルス発現)である宿主細胞や細胞系をトランスフェクションすることを包含
することも実施例から認識されよう。マウス、ハムスター、ブタ、ヤギ、霊長類
等のような哺乳動物の細胞が特に有用である。これらは、肥満細胞、繊維芽細胞
、卵母細胞及びリンパ球を含む多種多様な組織型のものであることができ、そし
てこれらは一次細胞又は細胞系であることができる。特異的な例には樹状細胞、
U293細胞、末梢血白血球、骨髄幹細胞及び胚幹細胞が含まれる。上記発現ベ
クターは適切な配列、即ち上記したような核酸がプロモーターと作用可能的に結
合していることが必要である。
【0075】 「ポリトープ」として知られており、一連のエピトープをコードする核酸が特
に好ましい。これらのエピトープは、天然のフランキング配列を有してか又は有
さないで、連続又は重複態様で配列されていることができ(例えば、Thomson他
、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:5845〜5849、1995年;Gilbe
rt他、Nature Biotechnol. 15:1280〜1284、1997年参照)、そ
して所望の場合、非関連リンカー配列で分離されていることができる。上記ポリ
トープはプロセシングされて個々のエピトープが産生され、そしてこれらのエピ
トープは免疫系で認識されて免疫応答を生じさせる。
【0076】 かくして、例えば、配列番号:38、43又は52の核酸によってコードされ
ているアミノ酸配列を有するポリペプチドから誘導され、そしてMHC分子によ
って提示されてCTL又はTヘルパーリンパ球によって認識されるペプチドは他
の腫瘍拒絶抗原から得られるペプチドと組み合わせて(例えば、ハイブリッド核
酸又はポリペプチドを調製することによって)ポリトープを形成させることがで
きる。免疫応答を誘導又は高めるために投与することができる代表的な腫瘍関連
ペプチド抗原は、MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3、MAGE−4、
MAGE−5、MAGE−6、MAGE−7、MAGE−8、MAGE−9、M
AGE−10、MAGE−11、MAGE−12、MAGE−13、GAGE−
1、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6
、GAGE−7、GAGE−8、BAGE−1、RAGE−1、LB33/MU
M−1、PRAME、NAG、MAGE−Xp2(MAGE−B2)、MAGE
−Xp3(MAGE−B3)、MAGE−Xp4(MAGE−B4)、チロシナ
ーゼ、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、メラン−A(Melan-A)、MAGE−C
1、MAGE−C2、NY−ESO−1、LAGE−1、SSX−1、SSX−
2(HOM−MEL−40)、SSX−4、SSX−5、SCP−1及びCT−
7を含む腫瘍関連遺伝子及びコードされているタンパク質から誘導される。例え
ば、腫瘍に特徴的な抗原性ペプチドには下記表Iに示したものが含まれる。
【0077】
【表1】
【0078】 例えば、PCT出願公開番号WO96/10577参照。他の例は当業者に知ら
れており(例えば、Coulie、Stem Cells 13:393〜403、1995年参
照)、そして本明細書で開示したものと同様な態様で本発明で使用することがで
きる。当業者は、1つ又はそれより多くのSAGE(sdph3.10)、sd
p3.5及び/又はHAGE(sdp3.8)ペプチド並びに1つ又はそれより
多くの上記腫瘍拒絶ペプチドを含んでいるポリペプチド、あるいはこのようなポ
リペプチドをコードする核酸を分子生物学の標準的な方法に従って調製すること
ができる。
【0079】 それ故、ポリトープ(polytopes)は2つ又はそれより多くの潜在的に免疫原性
又は免疫応答刺激性のペプチドの群であり、そしてこれらは種々の配列で一緒に
合わせることができる(例えば、連結されて、重複して)。このポリトープ(又
はこのポリトープをコードする核酸)は、免疫応答の刺激、増強及び/又は誘発
におけるポリトープの有効性を試験するために、例えば動物に標準的な免疫化プ
ロトコールで投与することができる。
【0080】 これらペプチドは直接か又はフランキング配列(flanking sequences)を使用す
ることによって一緒にしてポリトープを形成することができ、そしてポリトープ
をワクチンとして使用することは当該技術分野で良く知られている(例えば、Th
omson他、Proc. Natl. Acad. Sci USA 92(13):5845〜5849、1
995年;Gilbert他、Nature Biotechnol. 15(12):1280〜1284
、1997年;Thomson他、J. Immunol. 157(2):822〜826、19
96年;Tam他、J. Exp. Med. 171(1):299〜306、1990年参照
)。例えば、タム(Tam)はMHCクラスIとクラスII結合エピトープの両方
からなるポリトープがマウスモデルで抗体及び保護免疫を成功裏に生じさせるこ
とを示した。タムはまた、エピトープの「ストリップ」を含んでいるポリトープ
がプロセシングされて、MHC分子によって提示されそしてCTLによって認識
される個々のエピトープが得られることを証明した。かくして、種々の数及び組
合せのエピトープを含有するポリトープを調製し、そしてCTLによる認識及び
免疫応答の増強における有効性について試験することができる。
【0081】 腫瘍は1組の腫瘍抗原を発現することが知られており、そして任意の所定の患
者の腫瘍ではそれらのうちあるサブセットしか発現できない。特定の患者で発現
される腫瘍拒絶抗原のサブセットを代表する異なる組合せのエピトープに相当す
るポリトープを調製することができる。1つの腫瘍型で発現されることが知られ
ている腫瘍拒絶抗原のより広範なスペクトルを反映するためにポリトープを調製
することもできる。ポリトープは、上記処置を必要としている患者にポリペプチ
ド構造体として、又は当該技術分野で既知の核酸送達系(例えば、Allsopp他、E
ur. J. Immunol. 26(8):1951〜1959、1996年参照)を使用し
て導入することができる。アデノウイルス、ポックスウイルス、Ty−ウイルス
様粒子、アデノ関連ウイルス、プラスミド、細菌等を上記送達で使用することが
できる。ポリトープ送達系の有効性を測定するために、この送達系をマウスモデ
ルで試験することができる。これらの系はヒト臨床試験で試験することもできる
【0082】 ヒトHLAクラスI分子がsdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8
核酸から誘導される腫瘍拒絶抗原を提示する場合には、上記発現ベクターはこれ
ら核酸から誘導される任意の特定の腫瘍拒絶抗原及びポリペプチドを提示する上
記HLA分子をコードする核酸配列を含んでいることもできる。あるいは、この
ようなHLA分子をコードする核酸配列は別の発現ベクター内に含まれているこ
とができる。上記ベクターが両コーディング配列を含有している状況では、単一
のベクターを使用して通常はこれらのどれも発現しない細胞をトランスフェクシ
ョンすることができる。腫瘍拒絶抗原前駆体とこれを提示するHLA分子をコー
ドする配列が別々の発現ベクターに含まれている場合、これらの発現ベクターを
コトランスフェクションすることができる。腫瘍拒絶抗原前駆体をコードしてい
る配列は、例えば、宿主細胞が既にsdph3.10、sdp3.5又はsdp
3.8TRAPから誘導されるTRAを提示するHLA分子を発現しているとき
、単独で使用することができる。勿論、使用できる特定の宿主細胞に対する限定
はない。これら2つのコーディング配列を含有しているベクターは、所望の場合
には任意の抗原提示細胞内で使用できるので、sdph3.10、sdp3.5
又はsdp3.8TRAを提示するHLA分子を発現しない宿主細胞内で腫瘍拒
絶抗原前駆体の遺伝子を使用することができる。さらに、細胞フリーの(cell-fr
ee)転写系を細胞の代わりに使用することができる。
【0083】 本明細書で使用するとき、「ベクター」は多数の核酸のうちの任意の核酸であ
ることができ、そしてこれらの核酸に、異なる遺伝子環境間の輸送のために又は
宿主細胞内で発現させるために、制限及び結合によって所望の配列を挿入するこ
とができる。ベクターは典型的にはDNAからなっているが、RNAベクターを
利用することもできる。ベクターにはプラスミド及びファージミドが含まれるが
、これらに限定されない。クローニングベクターは、宿主細胞内で複製可能であ
って1つ又はそれより多くのエンドヌクレアーゼ制限部位によって更に特徴付け
られるベクターであり、そしてこのベクターはこれらの部位で測定可能な態様で
切断され、そして新たな組換えベクターが宿主細胞内での複製能力を保持するよ
うに、これらの部位に所望のDNA配列を結合させることができる。プラスミド
の場合には、所望の配列の複製は、プラスミドのコピー数が宿主細菌内で増加す
ると多数回生起し、又は宿主が有糸分裂によって複製する前に宿主当たり丁度1
回生起すると思われる。ファージの場合には、複製は溶菌相中に能動的に生起す
るか又は溶原相中に受動的に生起すると思われる。発現ベクターは、所望のDN
A配列が調節配列に作用可能的に結合されそしてRNA転写物として発現できる
ように、制限及び結合によってこれらの配列を挿入できるベクターである。ベク
ターは更に、このベクターで形質転換若しくはトランスフェクションされている
か又はされていない細胞の同定で使用するのに適している1つ又はそれより多く
のマーカー配列を含んでいることができる。マーカーには、例えば、抗体また又
は他の化合物に対する耐性か又は感受性のどちらかを増加させるか又は減少させ
るタンパク質をコードする遺伝子、当該技術分野で知られている標準的なアッセ
イでその活性を検出できる酵素(例えば、β−ガラクトシダ−ゼ、ルシフェラー
ゼ又はアルカリホスファターゼ)をコードする遺伝子、及び形質転換若しくはト
ランスフェクションした細胞、宿主、コロニー又はプラークに視覚的に影響を与
える遺伝子の表現型(例えば、グリーン蛍光タンパク質)が含まれる。好ましい
ベクターは、DNA断片中に存在する構造遺伝子産生物の自律複製及び発現を可
能にし、上記DNA断片と作用可能的に結合されているベクターである。
【0084】 本明細書で使用するとき、コーディング配列及び調節配列は、これらが該調節
配列の影響又は制御下で上記コーディング配列を発現又は転写させるような態様
で共有結合しているとき、「作用可能に(operably)」結合していると言われる。
上記コーディング配列が機能タンパク質中に翻訳されることが望ましい場合に、
5’調節配列内にプロモーターを誘導してコーディング配列の転写を生じさせそ
してこの2つのDNA配列間の結合の性質が(1)フレームシフト突然変異を導
入しないか、(2)コーディング配列の転写を指令するプロモーター領域の能力
に干渉しないか、又は(3)対応するRNA転写物をタンパク質に翻訳する能力
に干渉しない場合、これら2つのDNA配列は作用可能に結合していると言われ
る。かくして、得られた転写物を所望のタンパク質又はポリペプチドに翻訳でき
るようにプロモーター領域がDNA配列の転写を行い得る場合、このプロモータ
ー領域はコーディング配列と作用可能に結合しているであろう。
【0085】 遺伝子発現に必要な調節配列の正確な性質は種又は細胞型間で変動し得るが、
一般的には、必要に応じて、それぞれ転写及び翻訳の開始に関与する5’非転写
及び5’非翻訳配列、例えばTATAボックス、キャップ形成配列、CAAT配
列等を含んでいなければならない。特に、上記のような5’非転写調節配列は、
作用可能的に結合した遺伝子の転写制御用プロモーター配列を含んでいるプロモ
ーター領域を含んでいよう。調節配列はまた、所望の場合、エンハンサー配列又
は上流アクチベーター配列も含んでいることができる。本発明のベクターは任意
に、5’リーダー又はシグナル配列を含んでいることができる。適当なベクター
の選択及び設計は当業者の能力及び自由裁量の範囲内である。
【0086】 発現に必要な要素を全て含有している発現ベクターは商業的に入手可能であり
、そして当業者に知られている。モレキュラー・クローニング:実験室マニュア
ル、サムブルック他編集、第2版、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラト
リー・プレス、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー、1989年参照。
細胞は、sdph3.10、sdp3.5若しくはsdp3.8腫瘍関連ポリペ
プチド又はこれらのフラグメント若しくは変異体をコードする異種DNA(RN
A)の細胞内への導入によって遺伝子操作される。異種DNA(RNA)は、宿
主細胞内で異種DNAの発現が可能になるように転写要素の作用可能な制御下に
配置される。
【0087】 哺乳動物細胞内でのmRNA発現に好ましい系は、G418耐性を付与する遺
伝子のような選択マーカー(これは安定的にトランスフェクションされた細胞系
の選択を促進する)及びヒトサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー・プ
ロモーター配列を含有するpRc/CMV(Invitrogen、カリフォルニア州カー
ルスバッド、から入手可能)のような系である。さらに、エプスタイン・バール
・ウイルス(EBV)複製起点を含有するpCEP4ベクター(Invitrogen)は
霊長類又はイヌ細胞系での発現に適しており、多コピー染色体外要素としてプラ
スミドの維持を促進する。別の発現ベクターはポリペプチド伸張因子1αのプロ
モーターを含有するpFF−BOSプラスミドであり、インビトロでの転写を効
率的に刺激する。このプラスミドはミシズマ(Mishizuma)及びナガタ(Nagata
)(Nuc.Acids Res. 18:5322、1990年)によって記載されており、
そしてトランスフェクション実験におけるその使用は、例えば、デモウリン(De
moulin)(Mol. Cell. Biol. 16:4710〜4716、1996年)によって
開示されている。尚もう1つの好ましい発現ベクターはストラトフォード・ペリ
コーデット(Stratford-Perricaudet)によって記載されており、そしてこのベ
クターはE1及びE3タンパク質を欠失しているアデノウイルスである(J. Cli
n. Invest. 90:626〜630、1992年)。アデノウイルスをAden
o.P1A組換え体として使用することは、P1Aに対する免疫化についてマウ
スの皮内注射で、ワーニール(Warnier)他によって開示されている(Int. J. C
ancer、67:303〜310、1996年)。エルシニア(例えば、Starnbach
及びBevan、J. Immunol. 153:1603、1994年)及びリステリア(Die
trich他、Nature Biotechnol. 16:181、1998年)を使用する系のよう
な、抗原を真核細胞に送達するための細菌系も含まれる。尚その他の送達及び発
現系は当業者に既知であろう。
【0088】 本発明はまた、所謂発現キットも包含し、そしてこれらのキットによって技術
者は所望の発現ベクター(単数又は複数)を調製することができる。このような
発現キットは、上記で考察した各コーディング配列の少なくとも別々の部分を含
んでいる。他の構成成分は、上記で言及した必要な配列が含まれている限り、所
望に応じて、加えることができる。
【0089】 本発明はまた、腫瘍関連遺伝子「ノックアウト」の構築及び細胞内及び動物内
での安定な又は一時的なトランスジェニック発現を可能にし、癌のある局面や癌
に対する免疫系応答を試験するための材料を提供する。
【0090】 本明細書で記載した発明は多数の用途を有しており、これらのうちの幾つかは
本明細書の他の場所で記載されている。第1に、本発明は腫瘍関連タンパク質分
子の単離を可能にする。熟練実務者に周知の多様な方法論を使用して単離腫瘍関
連分子を得ることができる。本発明のポリペプチドは、ポリペプチドを天然に産
生する細胞からクロマトグラフィー手段又は免疫学的認識によって精製すること
ができる。あるいは、発現ベクターを細胞内に導入して上記ポリペプチドを産生
させることができる。もう1つの方法では、mRNA転写物は微量注射するか又
は、そうでない場合細胞内に導入して、コードされているポリペプチドを産生さ
せることができる。網状赤血球溶解物系のような細胞フリーの抽出物内でのmR
NAの翻訳を使用してポリペプチドを産生させることもできる。当業者はまた、
腫瘍関連ポリペプチドを単離する既知の方法に容易に従うこともできる。これら
の方法にはイムノクロマトグラフィー、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィ
ー、イオン交換クロマトグラフィー及び免疫アフィニティークロマトグラフィー
が含まれるが、これらに限定されない。
【0091】 腫瘍関連核酸の単離及び同定によって、技術者は腫瘍関連核酸又はポリペプチ
ドの発現によって特徴付けられる疾患の診断が可能になる。これらの方法は、1
つ又はそれより多くの腫瘍関連核酸、並びに/又はこれらから誘導されコードさ
れている腫瘍関連ポリペプチド及び/若しくはペプチドの発現の測定に係わって
いる。前者の状況では、このような測定は、ポリメラーゼ連鎖反応を含む任意の
標準的な核酸測定アッセイによって又は標識ハイブリダイゼーションプローブで
アッセイすることによって実施することができる。後者の状況では、上記測定は
ポリペプチドの認識について患者の抗血清をスクリーニングするか又は腫瘍関連
ポリペプチド若しくはそれらから誘導される抗原とHLA分子との複合体の結合
パートナー(例えば、抗体)で生物学的試料をアッセイすることによって実施す
ることができる。
【0092】 本発明によって、腫瘍関連ポリペプチドの抗体及び細胞結合パートナーを含む
本明細書で開示しているような腫瘍関連ポリペプチドと結合するタンパク質を単
離することも可能になる。更なる用途は本明細書で更に記載する。
【0093】 本発明はまた、ある実施態様において、腫瘍関連ポリペプチドから誘導される
「ドミナントネガティブ(dominant negative)」ポリペプチドも提供する。ドミ
ナントネガティブポリペプチドはタンパク質の不活性変異体であり、この変異体
は細胞機構と相互作用することによって、活性タンパク質を細胞機構との相互作
用から引き離すか又は活性タンパク質と競合し、そしてそれによって活性タンパ
ク質の影響を低下させる。例えば、リガンドに結合するがリガンドの結合に応答
したシグナルを伝達しないドミナントネガティブレセプターはリガンドの発現に
よる生物学的影響を低下させることができる。同様に、通常は標的タンパク質と
相互作用するがその標的タンパク質をリン酸化しない触媒的に不活性のドミナン
トネガティブキナーゼは細胞シグナルに応答した標的タンパク質のリン酸化を減
少させることができる。同様に、遺伝子の制御領域のプロモーター部位と結合す
るが遺伝子転写を増大させないドミナントネガティブ転写因子は、転写を増加さ
せないでプロモーター結合部位を占有することによって正常な転写因子の影響を
低下させることができる。
【0094】 細胞内でのドミナントネガティブポリペプチド発現の最終的な結果は活性タン
パク質の機能低下である。当業者はタンパク質のドミナントネガティブ変異体の
能力を評価することができ、そして標準的な突然変異誘発技術を使用して1つ又
はそれより多くのドミナントネガティブ変異体のポリペプチドを創製することが
できる。例えば、当業者は、部位特異的突然変異誘発、走査型突然変異誘発、部
分的遺伝子欠失又は切断等によって腫瘍関連ポリペプチドの配列を修飾すること
ができる。例えば、米国特許第5,580,723号及びサムブルック他、モレ
キュラー・クローニング:実験室マニュアル、第2版、コールド・スプリング・
ハーバー・ラボラトリー・プレス、1989年参照。次いで、熟練技術者は、選
択された活性の減少について及び/又はこのような活性の保持について突然変異
誘発ポリペプチドの集団を試験することができる。タンパク質のドミナントネガ
ティブ変異体を創製しそして試験するための他の類似の方法は当業者に明白であ
ろう。
【0095】 本発明はまた、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8核酸分子に
よってコードされる腫瘍関連ポリペプチド(「sdph3.10ポリペプチド」
、「sdp3.5ポリペプチド」又は「sdp3.8ポリペプチド」)と結合す
る作用剤、そしてある実施態様では好ましくはsdph3.10、sdp3.5
又はsdp3.8ポリペプチドのユニークフラグメントと結合する作用剤にも関
係している。このような結合パートナーは、sdph3.10、sdp3.5又
はsdp3.8ポリペプチドの存在又は不存在を検出するためにスクリーニング
アッセイで、そしてsdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8ポリペプ
チドを単離するために精製プロトコールで使用することができる。同様に、この
ような結合パートナーを使用して、sdph3.10、sdp3.5又はsdp
3.8腫瘍関連ポリペプチドを提示する細胞に対して医薬品、トキシン又は他の
分子を選択的に標的化することができる。この態様においては、sdph3.1
0、sdp3.5又はsdp3.8腫瘍関連ポリペプチドを発現する固形又は非
固形腫瘍中に存在する細胞は細胞毒性化合物を使用して処置することができる。
このような作用剤を使用して、例えば、腫瘍関連ポリペプチドと結合させること
によって、これらポリペプチドの天然の活性を阻害することもできる。
【0096】 それ故、本発明はまた、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8腫
瘍関連ポリペプチドと、そして好ましくはこれらのユニークフラグメントと選択
的に結合する能力を有する抗体又は抗体のフラグメントに係わっている。抗体に
は、慣用の方法に従って調製されるポリクローナル及びモノクローナル抗体が含
まれる。
【0097】 かくして、本発明の抗体は、タンパク質、タンパク質のフラグメント、タンパ
ク質を発現する細胞又はそれらのフラグメント等を動物に投与してポリクローナ
ル抗体を誘導することを含む多様な方法のいずれかによって調製される。モノク
ローナル抗体は当該技術分野で周知の技術に従って産生される。本明細書で詳記
しているように、このような抗体を使用して、例えばタンパク質を発現する組織
を同定するか又はタンパク質を精製することができる。抗体はまた、メトトレキ
セート、放射性ヨウ化化合物、リシンのようなトキシン、他の細胞分裂抑制性又
は細胞溶解性医薬品等が含まれるがこれらに限定されない造影用の特定の標識化
剤又は抗腫瘍剤と結合させることもできる。本発明に従って調製される抗体はま
た、好ましくは、本明細書で記載されているTRA/HLA複合体に特異的であ
る。
【0098】 重要なことには、当該技術分野で周知のように、抗体分子のほんの小さな部分
、パラトープ(paratope)は抗体とそのエピトープとの結合に関与している(一般
的に、Clark, W.R.(1986年)The Experimental Foundations of Modern Im
munology、Wiley & Sons, Inc.、ニューヨーク;Roitt, I.(1991年)Essen
tial Immunology、第7版、Blackwell Scientific Publications、オクスフォー
ド参照)。例えば、pFc’及びFc領域は補体カスケードのエフェクターであ
るが、抗原結合には関与しない。F(ab’)フラグメントと称される、pF
c’領域が酵素的に開裂されているか又はpFc’領域なしに産生される抗体は
無傷(intact)抗体の両抗原結合部位を保持している。同様に、Fabフラグメン
トと称される、Fc領域が酵素的に開裂されているか又はFc領域なしに産生さ
れる抗体は無傷抗体分子の抗原結合部位の1つを保持している。更に続けると、
Fabフラグメントは共有結合した抗体軽鎖(L鎖)及びFdと称される抗体重
鎖(H鎖)の一部分からなっている。これらのFdフラグメントは抗体特異性の
主要な決定因子であり(単一のFdフラグメントは、抗体の特異性を変化させな
いで、10種までのL鎖と結合することができる)、そしてFdフラグメントは
単離に際してエピトープ結合能力を保持している。
【0099】 当該技術分野で良く知られているように、抗体の抗原結合部分の内部には、抗
原のエピトープと直接相互作用する相補性決定領域(CDR)と、パラトープの
三次構造を維持するフレームワーク領域(FR)が存在する(一般的には、Clar
k、1986年;Roitt、1991年参照)。IgG免疫グロブリンのH鎖Fdフ
ラグメントとL鎖の両方に、それぞれ3つの相補性決定領域(CDR1からCD
R3まで)によって分離されている4つのフレームワーク領域(FR1からFR
4まで)が存在する。CDR、そして特にCDR3領域、そして更に詳細にはH
鎖CDR3は抗体特異性に大きく関与している。
【0100】 哺乳動物抗体の非CDR領域が、元の抗体のエピトープ特異性を保持しながら
、同種特異的又は異種特異的抗体の類似領域で置換され得ることは当該技術分野
で今や良好に確立されている。これは、非ヒトCDRがヒトFR及び/又はFc
/pFc’領域と共有結合して機能的抗体が産生される「ヒト化」抗体の開発及
び使用において最も明白に示される。かくして、例えば、PCT国際公開番号W
O 92/04381は、マウスFR領域の少なくとも一部分がヒト起源のFR
領域で置換されているヒト化マウスRSV抗体の産生及び使用を教示している。
抗原結合能力を有する無傷抗体のフラグメントを含んでいる上記の抗体はしばし
ば「キメラ」抗体と称される。
【0101】 かくして、当業者に明らかなように、本発明はまた、F(ab’)、Fab
、Fv及びFdフラグメント;Fc及び/又はFR及び/又はCDR1及び/又
はCDR2及び/又はL鎖CDR3領域が同種ヒト又は非ヒト配列で置換されて
いるキメラ抗体;FR及び/又はCDR1及び/又はCDR2及び/又はL鎖C
DR3領域が同種ヒト又は非ヒト配列で置換されているキメラF(ab’)
ラグメント抗体;FR及び/又はCDR1及び/又はCDR2及び/又はL鎖C
DR3領域が同種ヒト又は非ヒト配列で置換されているキメラFabフラグメン
ト抗体;FR及び/又はCDR1及び/又はCDR2が同種ヒト又は非ヒト配列
で置換されているキメラFdフラグメント抗体、ヒト化抗体及び再表面処理抗体
も提供する。本発明にはまた、所謂一本鎖抗体も含まれる。それ故、本発明はs
dph3.10、sdp3.5又はsdp3.8ポリペプチドを含む腫瘍関連ポ
リペプチドと特異的に結合する膨大な数の大きさ及び型のポリペプチドに係わっ
ている。これらのポリペプチドは抗体テクノロジー以外の供給源から誘導するこ
ともできる。例えば、このようなポリペプチド結合剤は、溶液中で容易に調製で
きる縮重ペプチドライブラリーによって、固定された形態で又はファージ・ディ
スプレイ・ライブラリーとして提供することができる。1つ又はそれより多くの
アミノ酸を含有するペプチドのコンビナトリーライブラリーも合成することがで
きる。ペプトイド及び非ペプチド合成部分のライブラリーを更に合成することが
できる。
【0102】 ファージ・ディスプレイは、本発明に従って有用な結合ペプチドを同定する際
に特に有効な可能性がある。簡単に言えば、慣用の方法を使用して4から約80
個までのアミノ酸残基の挿入物をディスプレイしているファージライブラリーが
調製される(例えば、m13、fd.又はラムダファージを使用して)。上記挿
入物は完全に縮重するか又は偏りのある配列を示すことができる。次いで、sd
ph3.10、sdp3.5又はsdp3.8腫瘍関連ポリペプチドと結合する
ファージ保有の挿入物を選択することができる。この方法は、sdph3.10
、sdp3.5又はsdp3.8ポリペプチドと結合するファージを数サイクル
再選択することによって繰り返すことができる。数回反復することによって、フ
ァージ保有の特定の配列が高められる。発現されたポリペプチドの配列を同定す
るために、DNA配列分析を実施することができる。sdph3.10、sdp
3.5又はsdp3.8ポリペプチドと結合する配列の最小線状部分を決定する
ことができる。最小線状部分の一部分又は全部と、その上流又は下流の1つ又は
それより多くの追加的な縮重残基を含有する挿入物を含んでいる偏りのあるライ
ブラリーを使用して上記方法を繰り返すことができる。かくして、本発明の腫瘍
関連ポリペプチドを使用して、ファージ・ディスプレイ・ライブラリーを含むペ
プチドライブラリーをスクリーニングし、本発明の腫瘍関連ポリペプチドのペプ
チド結合パートナーを同定しそして選択することができる。このような分子は、
スクリーニングアッセイ用、診断アッセイ用、精製プロトコール用又は医薬品、
トキシン及び/又は標識化剤(例えば、放射性同位元素、蛍光分子等)の標的化
用に、腫瘍関連遺伝子を発現する細胞、例えば細胞表面にsdph3.10、s
dp3.5又はsdp3.8ポリペプチドを提示するような細胞に対して、記載
されているようにして使用することができる。sdph3.10、sdp3.5
又はsdp3.8ポリペプチドとHLA分子との複合体と結合するような結合剤
分子は、このような複合体を使用して結合剤を選択することによって調製するこ
ともできる。
【0103】 腫瘍関連抗原ポリペプチド又はそのフラグメントを使用して、これらの天然の
結合パートナーを単離することもできる。このような結合パートナーの単離は周
知の方法に従って行うことができる。例えば、単離された腫瘍関連抗原ポリペプ
チドを基質(例えば、ポリスチレンビーズ又はフィルターのようなクロマトグラ
フィー媒体)と結合させることができ、そしてその後結合パートナーの含有が疑
われる溶液を上記基質に適用することができる。腫瘍関連抗原ポリペプチドと相
互作用し得る結合パートナーがこの溶液中に存在する場合には、このパートナー
は上記基質と結合した腫瘍関連抗原ポリペプチドと結合するであろう。次に、こ
の結合パートナーを単離することができる。
【0104】 本明細書で詳記されているように、上記抗体や他の結合分子は、例えばタンパ
ク質を発現する組織を同定するか又はタンパク質を精製するために使用すること
ができる。抗体はまた、腫瘍関連ポリペプチドを発現する細胞や組織を画像化す
る特異的な診断用標識化剤又は治療的に有用な作用剤と標準的なカップリング方
法に従ってカップリングさせることもできる。診断用作用剤には硫酸バリウム、
ヨーセタム酸、ヨーパノ酸、イポデート(ipodate)カルシウム、ジアトリゾエ
ートナトリウム、ジアトリゾエートメグルミン、メトリザミド、チロパノエート
ナトリウム、並びにフッ素−18及び炭素−11のような陽電子放出体、ヨウ素
−123、テクニチウム−99m、ヨウ素−131及びインジウム−111のよ
うなガンマ放射体、フッ素及びガドリニウムのような核磁気共鳴用核種を含む放
射性診断薬が含まれるが、これらに限定されない。本発明で有用な他の診断用剤
は当業者に明白であろう。本明細書で使用するとき、「治療的に有用な作用剤」
には、望ましくは本明細書で開示されている癌抗原の1つを発現する細胞に対し
て選択的に標的化される任意の治療用分子が含まれ、抗新生物作用剤、放射性ヨ
ウ素化化合物、トキシン、他の細胞増殖抑制性又は細胞溶解性医薬品等が含まれ
る。抗新生物治療薬は良く知られており、そしてこれらには次のものが含まれる
:アミノグルテチミド、アザチオプリン、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、
カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シクロス
ポリン、シタラビジン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ド
キソルビシン、タキソール、エトポシド、フルオロウラシル、インターフェロン
−α、ロムスチン、メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトタン、プロカル
バジンHCl、チオグアニン、硫酸ビンブラスチン及び硫酸ビンクリスチン。更
なる抗新生物剤には、グッドマン(Goodman)及びギルマン(Gilman)の「治療
薬の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」、第8版
、1990年、マックグロー・ヒル・インク.(McGraw-Hill, Inc.)(Health
Professions Division)の52章、抗新生物剤(Antineoplastic Agents)(Pau
l Calabresi及びBruce A. Chabner)及びその序、1202〜1263頁に開示
されているようなものが含まれる。トキシンは、例えば、アメリカヤマゴボウ抗
ウイルスタンパク質、コレラトキシン、百日咳トキシン、リシン、ゲロニン、ア
ブリン、ジフテリア外毒素又はシュードモナス外毒素のようなタンパク質である
ことができる。トキシン部分はコバルト−60のような高エネルギー放出放射性
核種であることもできる。
【0105】 熟練技術者は、例えば、抗体を使用して個々のHLAクラスI分子を特異的に
遮断する実験によって、どのHLA分子がsdph3.10、sdp3.5又は
sdp3.8腫瘍拒絶抗原前駆体から誘導される腫瘍拒絶抗原と結合するのかを
決定することができる。例えば、HLA−A2と選択的に結合する抗体はHLA
−A2によって特異的に提示されるTRAの効率的な提示を妨げるであろう。そ
れ故、配列番号:39、配列番号:44又は配列番号:53のようなsdph3
.10、sdp3.5又はsdp3.8発現産生物から誘導されるTRAがHL
A−A2によって提示される場合には、インビトロアッセイで抗HLA−A2抗
体を含めるとこれらTRAの提示を遮断するであろう。HLA分子の性質を測定
するアッセイは国際出願番号PCT/US96/04037中に見られる。簡単
に述べると、HLA分子タイプの決定では、細胞毒性Tリンパ球(CTL)クロ
ーン263/17による腫瘍壊死因子(TNF)の産生を、HLA分子又はCD
4/CD8アクセサリー分子に向けられたモノクローナル抗体の存在下で試験す
る阻害実験を実施した。4種のモノクローナル抗体がCTL 263/17によ
るTNFの産生を阻害することが見いだされた:全てのHLAクラスI分子に向
けられているモノクローナル抗体W6/32(Parham他、J. Immunol. 123
342、1979年)、HLA−B及びC分子を認識する抗体B1.23.2(
Rebai他、Tissue Antigens 22:107、1983年)、HLA−B7を特異
的に認識する抗体ME−1(Ellis他、Hum. Immunol. :49、1982年)
及びCD8に対する抗体B9.4.1。HLAクラスIIDR分子に向けられた
抗体(L243:Lampson他、J. Immunol. 125:293、1980年)、H
LA−A3に向けられた抗体(GAPA3:Berger他、Hybridoma :87、1
982年)又はCD4に向けられた抗体(13B.8.82)を使用しても阻害
は見いだされなかった。結論は、CTL 263/17がCD8タイプのもので
ありそしてHLA−B7によって提示される抗原を認識するということであった
。広範囲に入手可能な抗HLA抗体を使用する同様な実験を実施して、sdph
3.10、sdp3.5又はsdp3.8抗原を提示するHLA分子の性質を決
定することができる。
【0106】 このようにして単離された腫瘍関連ポリペプチド分子は、TRAとして、ある
いはTRAとHLAの複合体、例えばHLA−A2、HLA−A26又はHLA
−B7等としてプロセシングされそして提示されたとき、アジュバントのような
物質と組み合わせて、TRAP分子の発現によって特徴付けられる疾患の治療に
有用なワクチンを産生させることができる。加えて、ワクチンは表面にTRA/
HLA複合体を提示している細胞、例えば非増殖性癌細胞、非増殖性トランスフ
ェクション体等から調製することができる。細胞をワクチンとして使用する全て
の場合において、これらはCTL応答を誘発するために必要な構成成分の1つ又
は両方をコードする配列でトランスフェクションした細胞であるか、又はトラン
スフェクションの必要なしに両分子を既に発現している細胞であることができる
。ワクチンはまた、腫瘍関連TRA又はその前駆体をコードしているネーキド(n
aked)DNA又はRNAも包含しており、そしてこれらはインビトロで産生させ
て、注射、粒子衝撃、鼻吸引及び他の方法で投与することができる。「ネーキド
核酸」タイプのワクチンはこのネーキド核酸によってコードされるペプチドに特
異的なCTLの産生を含む免疫学的応答を誘発することが証明されている(Scie
nce 259:1745〜1748、1993年)。
【0107】 本明細書で「疾患」を使用するとき、これは腫瘍拒絶抗原前駆体が発現される
任意の病理学的状態を言う。このような疾患の1例は癌、肉腫、そして特に癌腫
である。
【0108】 本明細書で使用するとき、対象はヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒ
ツジ、ヤギ、イヌ、ネコ又は齧歯類である。全ての実施態様において、ヒト腫瘍
抗原及びヒト対象が好ましい。
【0109】 本明細書に記載されている種々の方法で使用される組織及び/又は細胞の試料
は、パンチ生検及び細胞掻爬を含む組織生検のような標準的な方法並び吸引又は
他の方法による血液又は他の体液の採集によって得ることができる。
【0110】 本発明のある実施態様では、免疫反応性細胞試料は対象から取り出される。「
免疫反応性細胞」によって、適当な刺激で免疫細胞に成熟し得る細胞(例えば、
B細胞、ヘルパーT細胞又は細胞溶解性T細胞)を意味する。かくして、免疫反
応性細胞にはCD34造血性幹細胞、未熟T細胞及び未熟B細胞が含まれる。
腫瘍関連抗原を認識する細胞溶解性T細胞を産生させることが望ましいとき、免
疫反応性細胞は、細胞溶解性T細胞の産生、分化及び/又は選択に好都合な条件
下で腫瘍関連抗原を発現又は提示する細胞と接触させる;抗原への暴露によるT
細胞前駆体から細胞溶解性T細胞への分化は免疫系のクローナル選択に類似して
いる。
【0111】 本開示に基づく治療方法の中には、抗原提示細胞、例えば、1つ又はそれより
多くの腫瘍関連抗原を提示する肉腫、メラノーマ、癌腫細胞の溶解に導く対象の
免疫系による応答を前提としているものもある。このような1つの方法は、腫瘍
関連抗原/MHC複合体に特異的な自己由来CTLを、組織に表現型の異常細胞
を有する対象に投与することである。このようなCTLをインビトロで発生させ
ることは当業者の能力の範囲内である。T細胞を分化させる方法の1つの例は国
際出願番号PCT/US96/05607に提示されている。一般的には、対象
から採取された細胞試料、例えば血液細胞は、上記複合体を提示してCTLを増
殖するように誘発できる細胞と接触させる。標的細胞はトランスフェクション体
、例えばCOS細胞であることができる。これらのトランスフェクション体は表
面に所望の複合体を提示し、そして問題のCTLと組み合わせたとき、CTLの
増殖を刺激する。COS細胞は、他の適当な宿主細胞と同様に、広範に入手可能
である。CTLクローンの特異的な産生は当該技術分野で周知である。次に、ク
ローン的に拡張した自己由来CTLを上記対象に投与する。
【0112】 抗原特異的CTLクローンを選択するもう1つの方法が最近記載されており(
Altman他、Science 274:94〜06、1996年;Dunbar他、Curr. Biol. :413〜416、1998年)、この方法では、MHCクラスI分子/ペプ
チド複合体の蛍光発生性四量体を使用して特異的なCTLクローンが検出される
。簡単に述べると、溶解性MHCクラスI分子はβ−ミクログロブリン及びク
ラスI分子と結合するペプチド抗原の存在下インビトロで折り畳まれる。精製後
、MHC/ペプチド複合体を精製しそしてビオチンで標識する。四量体はビオチ
ン化ペプチド−MHC複合体を標識アビジン(例えば、フィコエリスリン)と4
:1のモル比で混合して形成させる。次いで、四量体を末梢血又はリンパ節のよ
うなCTL供給源と接触させる。これらの四量体は、ペプチド抗原/MHCクラ
スI複合体を認識するCTLと結合する。これらの四量体が結合した細胞は、反
応性CTLを単離するために蛍光活性化細胞分析分離で選別することができる。
次に、単離したCTLは本明細書に記載されているような用途のためにインビト
ロで拡張させることができる。
【0113】 養子免疫伝達(adoptive transfer)(Greenberg、J.Immunol.136(5):1
917、1986年;Riddel他、Science 257:238、1992年; Lynch
他、Eur. J. Immunol. 21:1403〜1410、1991年;Kast他、Cell 59 :603〜614、1989年)と称される治療方法を詳記すると、所望の
複合体を提示している細胞をCTLと組合せ、上記複合体に特異的なCTLを増
殖させる。次に、これらの増殖したCTLを、特定の複合体を提示している異常
細胞のうちのある細胞によって特徴付けられる細胞異常性を有する対象に投与す
る。次に、これらのCTLは上記異常細胞を溶解し、そしてそれによって所望の
治療目標を達成する。
【0114】 上記治療法によって、対象の異常細胞のうち少なくとも幾つかは関連HLA/
TRA複合体を提示していると推定される。当該技術分野では特定のHLA分子
を提示している細胞を同定する方法、並びに適切な配列、この場合には腫瘍関連
遺伝子配列のDNAを発現している細胞を同定する方法は良く知られているので
、上記は極めて容易に決定することができる。上記スクリーニング方法によって
一度関連複合体を提示している細胞が同定されると、これらの細胞はCTLを含
有している患者由来の試料と組み合わせることができる。複合体提示細胞が混合
CTL試料によって溶解される場合には、腫瘍関連遺伝子由来のTRAが提示さ
れておりそしてその対象は上記で述べた治療方法の適当な候補であると推定する
ことができる。
【0115】 養子免疫伝達は本発明に従って利用できる治療法の唯一の形態ではない。CT
Lは多数の方法を使用してインビボで誘発することもできる。1つの方法は上記
複合体を発現する非増殖性細胞を使用することである。この方法で使用される細
胞は、通常上記複合体を発現する細胞、例えば照射腫瘍細胞、又は上記複合体を
提示するのに必要な遺伝子の1つ又は両方でトランスフェクションした細胞であ
ることができる。チェン(Chen)他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:11
0〜114(1991年)はこの方法を例証しており、HPV E7ペプチドを
発現するトランスフェクション細胞を治療方式で使用することを示している。種
々の細胞型を使用することができる。同様に、問題の遺伝子の1つ又は両方を有
するベクターを使用することができる。ウイルス又は細菌ベクターは特に好まし
い。例えば、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8抗原をコードす
る核酸は、ある組織又は細胞型中でsdph3.10、sdp3.5又はsdp
3.8抗原の発現を指令するプロモーター及びエンハンサー配列と作用可能的に
結合させることができる。上記核酸は発現ベクター内に組み入れることができる
。発現ベクターは非修飾染色体外核酸、プラスミド、又はsdph3.10、s
dp3.5若しくはsdp3.8TRAをコードする核酸のような外来核酸を挿
入できるように構築若しくは修飾されたウイルスゲノムであることができる。s
dph3.10、sdp3.5又はsdp3.8TRAをコードする核酸をレト
ロウイルスゲノムに挿入し、そしてそれによって標的組織又は細胞型のゲノム内
への核酸の取込みを助長することができる。これらの系では、問題の遺伝子は微
生物、例えばワクシニアウイルス、レトロウイルス又は細菌BCGによって保有
されており、そしてこれらの材料は宿主細胞を事実上「感染」させる。生じた細
胞は問題の複合体を提示し、そして自己由来CTLによって認識され、そしてそ
の後これらのCTLは増殖する。
【0116】 同様な効果は、TRAP又はその刺激フラグメントをアジュバントと組み合わ
せてインビボでHLA提示細胞内への取り込みを助長することによって達成する
ことができる。TRAPはHLA分子のペプチドパートナーを産生させるように
プロセシングされるが、TRAは更にプロセシングする必要なしに提示される。
一般的に、対象には有効量のsdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8
がコードしているTRAP及び/又はそれらから誘導されるTRAを皮内注射で
投与することができる。sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8由来
のTRAはまた、上記したようなポリトープ配列の他の腫瘍関連ポリペプチド由
来のTRAと組み合わせることもできる。当該技術分野で標準的な免疫化プロト
コールに従って、初期投与量の後にブースター投与量を続けることができる。
【0117】 本発明は、対象を免疫化するために又は「ワクチン」として、本明細書に開示
されている種々の材料を使用することに係わっている。本明細書で使用するとき
、「免疫化」又は「ワクチン接種」とは、抗原に対する免疫応答を増大させるか
又は活性化することを意味する。これはある状態の消失又は根絶を必要とするの
ではなくて、むしろ抗原に対する免疫応答の臨床的に好ましい増強を意図してい
る。一般的に受容される動物モデルは、腫瘍関連抗原核酸を使用して癌に対する
免疫化を試験するために使用することができる。例えば、ヒト癌細胞をマウスに
導入して腫瘍を作らせることができ、そして1つ又はそれより多くの腫瘍関連核
酸を本明細書に記載した方法で送達することができる。癌細胞に与える効果(例
えば、腫瘍サイズの縮小)は上記腫瘍関連核酸免疫化の有効性の尺度として評価
することができる。勿論、更に慣用の免疫化方法を使用する上記動物モデルの試
験には、上記免疫応答を高めるために1つ又はそれより多くのアジュバント及び
/又はサイトカインと任意に組み合わせた、1つ又はそれより多くの腫瘍関連ポ
リペプチド又はそれらから誘導されるペプチドの投与が含まれる。ワクチン組成
物の処方化及び投与量の選択、投与経路及び投与スケジュール(例えば、初回及
び1回又はそれより多くのブースター投与量)を含む免疫化方法は当該技術分野
で良く知られている。試験をヒトで実施することもでき、この場合には終点は抗
原を有する細胞に対する高い循環値のCTLの存在について試験すること、抗原
に対する循環抗体値について試験すること、抗原を発現している細胞の存在につ
いて試験すること等である。
【0118】 免疫化組成物の一部分として、1種又はそれより多くの腫瘍関連ポリペプチド
又はそれらの刺激性フラグメントを1種又はそれより多くのアジュバントと共に
投与して免疫応答を誘導するか又は免疫応答を高める。アジュバントは免疫応答
を高める抗原と共に組み入れられるか又は投与される物質である。アジュバント
は、抗原の容器を提供し(細胞外に又はマクロファージ内で)、マクロファージ
を活性化し、そして特定のリンパ球セットを刺激することによって免疫学的応答
を増強することができる。多数の種類のアジュバントが当該技術分野で周知であ
る。アジュバントの特定の例には、モノホスホリル脂質A(MPL、SmithKline
Beecham)、サルモネラ・ミネソタRe595リポ多糖類の精製及び酸加水分解
後に得られる同種物;QS21(SmithKline Beecham)、キラヤ(Quillaja)・
サポナリア抽出物から精製された純粋なQA−21サポニンを含むサポニン類;
PCT出願WO96/33739(SmithKline Beecham)に記載されているDQ
S21;QS−7、QS−17、QS−18及びQS−L1(So他、Mol. Cells
:178〜186、1997年);不完全フロイントアジュバント;完全フ
ロイントアジュバント;モンタナイド;並びにスクワラン及び/又はトコフェロ
ールのような生物分解性油から調製される種々の油中水型エマルジョンが含まれ
る。好ましくは上記ペプチドはDQS21/MPLの組合せ物と混合して投与さ
れる。DQS21対MPLの比率は典型的には約1:10〜10:1、好ましく
は約1:5〜5:1、そして更に好ましくは約1:1であろう。ヒト投与では典
型的には、DQS21とMPLはワクチン製剤中約1μg〜約100μgの範囲
内で存在するであろう。他のアジュバントは当該技術分野で知られており、そし
て本発明で使用することができる(例えば、Goding、Monoclonal Antibodies:P
rinciples and Practice、第2版、1986年参照)。ペプチドとアジュバント
の混合物又はエマルジョンの調製方法はワクチン接種の技術分野の熟練者に周知
である。
【0119】 上記対象の免疫応答を刺激する他の作用剤も該対象に投与することができる。
例えば、他のサイトカインも、これらのリンパ球調節特性の結果としてワクチン
接種プロトコールで有用である。ワクチンの保護効果を高めることが示されてい
るインターロイキン−12(IL−12)(例えば、Science 268:1432
〜1434、1995年参照)、GM−CSF及びIL−18を含めて、上記目
的に有用な多数の他のサイトカインは当業者に既知であろう。かくして、サイト
カインは抗原に対する免疫応答を高めるために抗原及びアジュバントと一緒に投
与することができる。
【0120】 ワクチン接種プロトコールで使用できる多数の更なる免疫応答強化化合物が存
在する。これらには、タンパク質又は核酸形態のどちらかで提供される同時刺激
分子が含まれる。このような同時刺激分子には、樹状細胞(DC)上に発現され
そしてT細胞上に発現されるCD28分子と相互作用するB7−1及びB7−2
(それぞれ、CD80及びCD86)分子が含まれる。この相互作用によって抗
原/MHC/TCR刺激(シグナル1)T細胞に対して同時刺激(シグナル2)
が提供され、T細胞増殖及びエフェクター機能が高められる。B7はまた、T細
胞上のCTLA4(CD152)とも相互作用し、そしてCTLA4及びB7リ
ガンドに係わる試験によってB7−CTLA4の相互作用が抗腫瘍免疫及びCT
L増殖を高め得ることが示されている(Zheng他、Proc. Nat’l Acad. Sci. USA
95:6284〜6289、1998年)。
【0121】 B7は典型的には腫瘍細胞では発現されないので、これら細胞はT細胞に対す
る効率的な抗原提示細胞(APC)ではない。B7発現を誘導すると、腫瘍細胞
はCTL増殖及びエフェクター機能を一層効率的に刺激できるであろう。B7/
IL−6/IL−12同時刺激の組合せはIFN−ガンマ及びTh1サイトカイ
ンプロフィールをT細胞集団内で誘導して、T細胞活性を更に高めることを示し
ている(Gajewski他、J. Immunol. 154:5637〜5648、1995年)
。B7による腫瘍細胞のトランスフェクションは、ワング(Wang)他(J. Immun
other. 19:1〜8、1996年)によって養子免疫伝達免疫療法に対するイ
ンビトロCTL拡張に関連して考察されている。B7分子の他の送達メカニズム
には核酸(ネーキドDNA)免疫化(Kim他、Nature Biotechnol. 15:7:6
41〜646、1997年)並びにアデノ及びポックスのような組換えウイルス
(Wendtner他、Gene Ther. :726〜735、1997年)が含まれよう。
これらの系は全て、B7と本明細書で考察されている抗原若しくは抗原のフラグ
メント(ポリトープを含む)又はサイトカインのような他の選択分子との同時発
現用発現カセットの構築及び使用になじみやすい。これらの送達系はインビトロ
で適当な分子を誘導するためにそしてインビボのワクチン接種状況のために使用
することができる。T細胞をインビトロ及びインビボで直接刺激するために抗−
CD28抗体を使用することも考慮できよう。
【0122】 リンパ球機能関連抗原−3(LFA−3)はAPC及びある腫瘍細胞で発現さ
れ、そしてT細胞で発現されるCD2と相互作用する。この相互作用はT細胞I
L−2及びIFN−ガンマ産生を誘導し、そしてそれ故B7/CD28同時刺激
相互作用を補完し得るが、代替することはできない(Parra他、J. Immunol.、 58 :637〜642、1997年;Fenton他、J. Immunother.、21:95〜
108、1998年)。
【0123】 リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)は白血球で発現され、そしてAPC
で発現されるICAM−1及びある種の腫瘍細胞と相互作用する。この相互作用
はT細胞IL−2及びIFN−ガンマ産生を誘導し、そしてそれ故B7/CD2
8同時刺激相互作用を補完し得るが、代替することはできない(Fenton他、19
98年)。それ故、LFA−1は、ワクチン接種プロトコールにおいてB7につ
いて上記で考察した種々の方法で提供され得る同時刺激分子の更なる例である。
【0124】 完全CTL活性化及びエフェクター機能には、Th細胞CD40L(CD40
リガンド)分子とDCによって発現されるCD40分子間の相互作用によるTh
細胞ヘルプが必要である(Ridge他、Nature 393:474、1998年;Benn
ett他、Nature 393:478、1998年;Schoenberger他、Nature 393
:480、1998年)。この同時刺激シグナルのメカニズムはDC(APC)
によるB7及び関連IL−6/IL−12産生の上方調節に関与しているように
思われる。それ故、CD40−CD40L相互作用はシグナル1(抗原/MHC
−TCR)及びシグナル2(B7−CD28)相互作用を補完する。
【0125】 抗CD40抗体を使用してDC細胞を直接刺激すると、炎症に関係なく通常遭
遇するか又は非専門的APC(腫瘍細胞)によって提示される腫瘍関連抗原に対
する応答を高めることが期待されよう。これらの状況下では、Thヘルプ及びB
7同時刺激シグナルは提供されない。このメカニズムは抗原パルスDCに基づく
治療法に関係してか又はThエピトープが既知の腫瘍関連抗原前駆体の範囲内で
特定されていない状況下で使用されよう。
【0126】 本発明は、ワクチン接種用の核酸、ポリペプチド又はペプチドの送達を意図し
ている。ポリペプチドやペプチドの送達は、当該技術分野で良く知られている標
準的なワクチン接種プロトコールに従って達成することができる。もう1つの実
施態様では、核酸の送達はエクスビボ方法によって、即ち細胞を対象から取り出
し、この細胞が腫瘍関連核酸を含むように遺伝子的に操作し、そして操作した細
胞を対象中に再度導入して達成される。このような方法の1つの例は米国特許5
,399,346及びこの特許の出願記録に提出されている証拠書類(これらは
全て公に入手可能な文書である)中で概略されている。一般的に、これは対象の
細胞(単数又は複数)内に遺伝子の機能的コピーをインビトロで導入すること及
びこの遺伝子操作した細胞(単数又は複数)を上記対象に戻すことに関係してい
る。上記遺伝子の機能的コピーは、遺伝子操作した細胞(単数又は複数)内での
遺伝子の発現を可能にする調節要素の作用可能的な制御下にある。多数のトラン
スフェクション及び形質導入技術並びに適当な発現ベクターは当業者に良く知ら
れており、そしてこれらの幾つかはPCT出願WO95/00654中に記載さ
れている。ウイルスや標的化リポソームのようなベクターを使用するインビボ核
酸送達も本発明によって意図されている。
【0127】 好ましい実施態様では、腫瘍関連ポリペプチドをコードする核酸を送達するた
めのウイルスベクターはアデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイ
ルス及び弱毒化ポックスウイルスを含むポックスウイルス、セムリキ森林ウイル
ス、ベネズエラ・ウマ脳炎ウイルス、レトロウイルス、シンドビスウイルス並び
にTyウイルス様粒子からなる群から選択される。外来性核酸を送達するために
使用されているウイルスやウイルス様粒子の例には:複製欠損性アデノウイルス
(例えば、Xiang他、Virology 219:220〜227、1996年;Eloit他
、J. Virol. :5375〜5381、1997年;Chengalvala他、Vaccine
15:335〜339、1997年)、修飾レトロウイルス(Townsend他、J. V
irol. 71:3365〜3374、1997年)、非複製レトロウイルス(Irwi
n他、J. Virol. 68:5036〜5044、1994年)、複製欠損性セムリ
キ森林ウイルス(Zhao他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:3009〜30
13、1995年)、カナリア痘ウイルス及び高度に弱毒化したワクシニアウイ
ルス誘導体(Paoletti、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:11349〜11
353、1996年)、非複製ワクシニアウイルス(Moss、Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 93:11341〜11348、1996年)、複製ワクシニアウイ
ルス(Moss、Dev. Biol. Stand. 82:55〜63、1994年)、ベネズエラ
・ウマ脳炎ウイルス(Davis他、J. Virol. 70:3781〜3787、199
6年)、シンドビスウイルス(Pugachev他、Virology 212:587〜594
、1995年)、並びにTyウイルス様粒子(Allsopp他、Eur. J. Immunol
:1951〜1959、1996年)が含まれる。好ましい実施態様では、上
記ウイルスベクターはアデノウイルスである。
【0128】 ある適用のために好ましい別のウイルスはアデノ関連ウイルス、二本鎖DNA
ウイルスである。このアデノ関連ウイルスは広範囲の細胞型及び種を感染させる
ことができ、そして複製欠損性であるように操作することができる。これは更に
、熱及び脂質溶媒安定性、造血細胞を含む多様な細胞系における高い形質導入頻
度、並びに重感染阻害の欠失のような利点を有しているので、多数のシリーズの
形質導入が可能になる。アデノ関連ウイルスは部位特異的な態様でヒト細胞DN
A内に組み込まれ、そしてそれによって挿入突然変異誘発の可能性や挿入遺伝子
発現の変動性を最小限にすることができる。加えて、野生型アデノ関連ウイルス
感染は、選択的圧力の不存在下で、100回を超える継代の組織培養で継続され
、上記アデノ関連ウイルスゲノムの組込みが比較的安定な事象であることが示唆
される。上記アデノ関連ウイルスはまた、染色体外態様で機能することもできる
【0129】 一般的に、他の好ましいウイルスベクターは、非必須遺伝子が問題の遺伝子で
置換されている非細胞変性真核ウイルスに基づいている。非細胞変性ウイルスに
はレトロウイルスが含まれ、そしてその生活環はゲノムウイルスRNAからDN
Aへの逆転写、その後の宿主細胞DNAへのプロウイルス組込みに関係している
。アデノウイルスやレトロウイルスはヒト遺伝子治療法試験用に承認されている
。一般的に、レトロウイルスは複製欠損性である(即ち、所望のタンパク質の合
成は指令できるが、感染性粒子は製造できない)。このような遺伝子的に改変さ
れたレトロウイルス発現ベクターはインビボでの遺伝子の形質導入効率が高いた
め、一般的な有用性を有している。複製欠損性レトロウイルスを産生するための
標準的なプロトコール(外来性遺伝子材料のプラスミド内への組み入れ、プラス
ミドを詰め込んだパッケージング細胞系のトランスフェクション、パッケージン
グ細胞系による組換えレトロウイルスの産生、組織培養培地からウイルス粒子の
採集、及びウイルス粒子による標的細胞の感染の段階を含む)はクリーグラー・
エム.(Kriegler, M.)、「遺伝子伝達及び発現、実験室マニュアル(Gene Tra
nsfer and Expression, A Laboratory Manual)」、ダブリュ.エイチ.フリー
マン・コ.(W.H. Freeman Co.)、ニューヨーク(1990年)及びマレー・イ
ー.ジェイ.(Murry, E.J.)編集、「分子生物学における方法(Methods in Mo
lecular Biology)」、7巻、ヒューマナ・プレス・インク.(Humana Press, I
nc.)ニュージャージー州クリフトン(1991年)、中に提供されている。
【0130】 好ましくは、上記核酸送達ベクターは:(1)哺乳動物細胞内で転写されそし
て翻訳されることができそして宿主内で免疫応答を誘導できる外来性遺伝子材料
を含んでおり、そして(2)標的細胞、例えば哺乳動物細胞の表面上のレセプタ
ーと選択的に結合し、そしてそれによって標的細胞に侵入し得るリガンドを表面
に含有している。
【0131】 本発明の核酸を細胞内に導入するために、これら核酸が宿主にインビトロで導
入されるのかそれともインビボで宿主に導入されるのかに依存して、種々の技術
を使用することができる。このような技術には、核酸−CaPO沈殿物のトラ
ンスフェクション、DEAEと結合した核酸のトランスフェクション、問題の核
酸を含んでいる上記ウイルスによるトランスフェクション又は感染、リポソーム
介在トランスフェクション等が含まれる。ある使用では、上記核酸を特定の細胞
に標的化することが好ましい。このような場合には、本発明の核酸を細胞内に送
達するために使用される担体(例えば、レトロウイルス又は他のウイルス;リポ
ソーム)はそれに結合した標的化分子を有していることができる。例えば、標的
細胞上の表面膜タンパク質に特異的な抗体のような分子又は標的細胞上のレセプ
ター用のリガンドは核酸送達担体と結合されているか又は該担体内に組み入れら
れていることができる。好ましい抗体には、単独の又はMHC分子との複合体と
しての腫瘍関連ポリペプチドと選択的に結合する抗体)が含まれる。モノクロー
ナル抗体が特に好ましい。本発明の核酸を送達するためにリポソームが使用され
る場合、標的化のために及び/又は取込みを促進するために、エンドサイトーシ
スに関連した表面膜タンパク質と結合するタンパク質をリポソーム処方中に組み
入れることができる。このようなタンパク質には、特定の細胞型に反応性のキャ
プシドタンパク質又はそれらのフラグメント、循環中に内在化を受けるタンパク
質の抗体、細胞内局在化を標的としそして細胞内半減期を増大させるタンパク質
等が含まれる。当業者に知られているように、ポリマー送達系も核酸を細胞内に
送達するために首尾良く使用されている。このような系は核酸の経口送達さえ可
能にしている。
【0132】 投与するとき、本発明の治療用組成物は薬学的に許容し得る製剤で投与される
。このような製剤は定型的に、薬学的に許容し得る濃度の塩、緩衝化剤、保存剤
、適合可能な担体、アジュバントやサイトカインのような補充免疫強化剤及び任
意に他の治療剤を含有することができる。
【0133】 用語「薬学的に許容し得る」は、活性成分の生物学的活性の有効性と干渉しな
い非毒性材料を意味する。用語「生理学的に許容し得る」とは、細胞、細胞培養
物、組織又は生物のような生物学的系と適合可能な非毒性材料を言う。担体の特
徴は投与経路に依存するであろう。生理学的に且つ薬学的に許容し得る担体には
希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定化剤、溶解剤及び当該技術分野で周知の他の
材料が含まれる。
【0134】 本発明の治療薬は、注射を含む任意の慣用の経路で又は時間をかけて徐々に注
入して投与することができる。上記投与は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋
肉内、腔内、皮下又は経皮であることができる。抗体を治療的に使用するとき、
好ましい投与経路は肺エアゾールである。抗体を含有するエアゾ−ル送達系を調
製する技術は当業者に良く知られている。一般的には、このような系は、抗体の
生物学的特性、例えばパラトープ結合能力を顕著には損なわせない構成成分を使
用すべきである(例えば、Sciarra及びCutie、「エアゾール剤(Aerosols)」、
Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、1990年、1694〜1
712頁参照)。当業者は、過度の実験に頼ることなく抗体エアゾール剤を製造
する種々のパラメーター及び条件を容易に決定することができる。本発明のアン
チセンス製剤を使用するとき、緩慢な静脈内投与が好ましい。
【0135】 非経口投与用製剤には無菌の水性又は非水性溶液、懸濁液及びエマルジョンが
含まれる。非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
オリーブ油のような植物油、及びオレイン酸エチルのような注射用有機エステル
である。水性担体には、生理食塩水や緩衝化媒体を含んでいる水、アルコール性
/水性溶液、エマルジョン又は懸濁液が含まれる。非経口担体には塩化ナトリウ
ム溶液、リンゲルのデキストロース、デキストロースと塩化ナトリウム、乳酸化
リンゲル又は固定油が含まれる。静脈内担体には流体及び栄養補充物、電解質補
充物(例えば、リンゲルのデキストロースに基づくもの)等が含まれる。例えば
、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性気体等のような保存剤や他の添加
物が存在することもできる。
【0136】 本発明の製剤は有効量で投与される。有効量とは、単独又は更なる投与量と一
緒に所望の応答を刺激する製薬製剤の量である。癌を治療する場合には、所望の
応答は癌の進行を阻止することである。これはこの疾病の進行を一時的に緩慢化
することにしか係わっていない可能性があるが、一層好ましくは、これはこの疾
病の進行を永久に停止させることに係わっている。免疫応答を刺激する場合には
、所望の応答は使用される免疫原(単数又は複数)に特異的な抗体又はTリンパ
球の増加である。これらの応答は定型的な方法でモニターすることができるか、
又は本明細書で考察した本発明の診断方法に従ってモニターすることができる。
【0137】 本発明の治療用組成物を使用して免疫応答を刺激することが望ましい場合、こ
れは、血清中の抗体力価の上昇、細胞毒性リンパ球のクローン拡張又は何か他の
所望の免疫学的応答を生じさせる体液抗体応答の刺激に係わっている。投与様式
に依存して、1ナノグラム/キログラムから100ミリグラム/キログラムまで
の範囲の免疫原投与量が有効であろうと考えられる。好ましい範囲は1キログラ
ム当たり500ナノグラムから500マイクログラムの間であると考えられる。
絶対量は、投与が単回投与量であれ多数回投与量であれ、投与のために選択され
る材料を含む多様な因子、並びに年齢、身体状態、体格、体重及び疾病の段階を
含む個々の患者のパラメーターに依存するであろう。これらの因子は当業者に良
く知られており、そしてせいぜい定型の実験を使用して取り組むことができる。
【0138】 本発明のもう1つの局面に従って、SAGE(sdph3.10)、sdp3
.5及び/又はHAGE(sdp3.8)腫瘍関連核酸又はポリペプチドの発現
によって特徴付けられる疾患の診断又は予後測定方法が提供される。これらの方
法は、対象から単離した生物学的試料を腫瘍関連核酸又はポリペプチドに特異的
な作用剤と接触させて、上記生物学的試料中の上記腫瘍関連核酸又はポリペプチ
ドの存在を検出することに係わっている。任意に、上記疾患の進行又は退行に関
して対象の予後を測定するために、一連の試験が長期間に亘って実施される。
【0139】 本明細書で使用するとき、「接触させる」とは、上記作用剤と上記生物学的試
料中に存在する腫瘍関連核酸又はポリペプチド間の特異的な相互作用を可能にす
るように、上記生物学的試料を上記作用剤と充分に近接させ、そして例えば、濃
度、温度、時間、イオン強度の適当な条件下に置くことを意味する。一般的に、
上記作用剤を上記生物学的試料と接触させる条件は、生物学的試料中で1つの分
子とそのコグネイト(cognate)(例えば、タンパク質とそのレセプターコグネイ
ト、抗体とそのタンパク質抗原コグネイト、核酸とその相補的配列コグネイト)
間の特異的な相互作用を助長することが当業者に知られている条件である。1つ
の分子とそのコグネイト間の特異的な相互作用を助長する代表的な条件は、ロウ
(Low)他に対して発行された米国特許第5,108,921号に記載されてい
る。
【0140】 上記生物学的試料はインビボ又はインビトロに所在させることができる。例え
ば、この生物学的試料はインビボの組織であることができ、そして上記腫瘍関連
核酸又はポリペプチドに特異的な作用剤を使用して造血組織中のこのような分子
の存在を検出することができる(例えば、上記腫瘍関連遺伝子産生物を発現する
組織の一部分の画像化で)。あるいは、上記生物学的試料はインビトロ(例えば
、血液試料、腫瘍生検、組織抽出物)に所在させることができる。特に好ましい
実施態様では、上記生物学的試料は細胞含有試料、更に好ましくは腫瘍細胞を含
有する試料であることができる。
【0141】 実施例 実施例1:肉腫細胞系LB−23によって特異的に発現された核酸の単離 肉腫細胞系LB−23の特異的なcDNAフラグメントは、フバンク(Hubank
)及びシャッツ(Schatz)(Nucl. Acids Res. 22:5640、1994年)
がcDNAに関して記載した表示差分析方法(RDA)に従って正常な子宮、胸
部、結腸及び心臓に見いだされるcDNAフラグメントを控除することによって
濃縮した。
【0142】 簡単に述べると、正常及び肉腫細胞試料のポリA RNAに対してオリゴ−d
Tプライマーを使用して逆転写で得られた細胞cDNAを制限酵素DpnIIで
消化した。各起源のDpnIIフラグメントは同一のアダプターセットと結合さ
せ、幾つかの群に分け、そしてPCRで別々に増幅させた。同じ試料から生じる
PCR産生物を集め、そしてDpnIIで再度消化した。肉腫細胞系から得られ
るDpnIIフラグメント(テスター)を新たなアダプターセットと結合させ、
そして正常組織から誘導された過剰のDpnIIフラグメント(ドライバー)と
ハイブリッドを形成させた。次に、このハイブリダイゼーション混合物を、新た
なアダプターセットを使用してPCR増幅に付した。上記テスターから誘導され
そして上記ドライバー中には存在していないようなDpnIIフラグメントは両
末端にプライマー相補的配列を有しているので、このようなフラグメントだけが
指数的に増幅されると予期された。差引きハイブリダイゼーション及び増幅を3
サイクル実施した。次いで、最終PCR混合産生物をクローン化しそして配列を
決定した。
【0143】 106cDNAクローンの配列決定によって42種の配列が得られた。27種
の配列はデータベースに記録されている遺伝子に相当した:これら遺伝子の大部
分は細胞増殖に関係しており、一方残りの遺伝子は異所的に発現された分化遺伝
子、ミトコンドリア遺伝子、オンコジーン又は未知の機能を有する遺伝子である
。15のcDNAクローンは記録されているどの遺伝子とも相同性を示さなかっ
た。15の未知配列の中で、sdph3.10、sdp3.8及びsdp3.5
と命名された3つの配列は、RT−PCRで見られるように、腫瘍関連発現を有
しているように思われた。sdph3.10クローンの配列は204bp長(配
列番号:1)であった。sdp3.5クローンの配列は201bp長(配列番号
:40)であった。sdp3.8クローンの配列は323bp長(配列番号:4
5)であった。sdp3.8cDNAヌクレオチド配列は、ヌクレオチド27(
12アミノ酸)、103(35アミノ酸)、170(50アミノ酸)及び210
(36アミノ酸)で開始する4つの読み取り枠(ORF)を有している。ORF
のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号:48〜51に述べられている。
【0144】 実施例2:正常組織及び腫瘍試料中でのsdph3.10、sdp3.8及びs
dp3.5の発現 sdph3.10メッセンジャーの発現パターンは、正常組織及び腫瘍試料の
RT−PCR分析で測定した。PCR分析用に2つのプライマーを選択した:セ
ンスプライマー、配列番号:1のヌクレオチド7〜26に位置するsdph3.
10S(5’−TGTACCTCTTCAAGCAAAAT−3’;配列番号:
2)、及びアンチセンスプライマー、配列番号:1のヌクレオチド158〜17
7に位置するsdph3.10A(5’−GTGACCCACCAGTTACA
GTA−3’;配列番号:3)。指示された起源の正常又は腫瘍試料の総RNA
をcDNAに変換した。次に、50ngの総RNAに相当するcDNAを、30
サイクル(94℃、1分間;57℃、2分間;72℃、2分間)及び72℃で1
5秒間の最終伸張で、0.625UのTaKaRa Taqポリメラーゼと共に
プライマーsdph3.10S及びsdph3.10Aを使用してPCRで増幅
させた。基質としてゲノムDNAを使用し、同じプライマーを使用するPCRを
同様に実施した。これらのプライマーは、cDNA(171bp)又はゲノムD
NA(概ね750bp)で得られたPCR産生物が種々の大きさで測定されたの
で、種々のエキソンに位置している。
【0145】 sdph3.10は試験した正常組織のパネルでは、精巣を除いて、発現され
ない(表II)。それ故、sdph3.10は、精巣のような免疫特権(immune
privileged)正常組織だけで発現されるという点で、他の腫瘍関連遺伝子と発現
パターンを共有している。腫瘍試料(表III)のなかでは、sdph3.10
は頭頚部癌(21%)、膀胱癌(28%)及び肺の類表皮癌(37%)で頻繁に
発現される。sdph3.10は白血病や腎腫瘍試料ではあまり頻繁には発現さ
れない。
【0146】 sdp3.5メッセンジャーの発現パターンも正常組織と腫瘍試料のRT−P
CR分析で測定した。プライマーはsdp3.5クローンの配列から選択した:
センスプライマーsdp3.5S(5’−TCTCCCTGAACCTCTAC
TTA−3’;配列番号:41)及びアンチセンスsdp3.5A(5’−AT
ATCAACATTTTGACTCAT−3’;配列番号:42)はそれぞれヌ
クレオチド3〜22及びヌクレオチド194〜175の相補体に相当する。指示
された起源の正常試料及び腫瘍の総RNAをcDNAに変換した。次に、50n
gの総RNAに相当するcDNAを、30サイクル(94℃で1分間;53℃で
2分間;72℃で2分間)及び72℃で15秒間の最終伸張で、0.625Uの
TaKaRa Taqと共にプライマーsdp3.5S及びsdp3.5Aを使
用してPCRで増幅させた。このPCRは、50ngの総RNAに相当するcD
NA量から出発して、53℃でのアニーリング段階を有する30サイクルで実施
した。これらのプライマーは、cDNA(192bp)又はゲノムDNA(概ね
1000bp)で得られたPCR産生物が種々の大きさで測定されたので、種々
のエキソンに位置している。sdp3.5は幾つかの正常組織、例えば子宮、骨
髄、皮膚、膀胱、卵巣、精子及び精巣で発現される(表II)。腫瘍試料全体で
、sdp3.5は非常に頻繁に発現される(表IV))。
【0147】 sdp3.8メッセンジャーの発現パターンも正常組織と腫瘍試料のRT−P
CR分析で測定した。2つのプライマーをPCR分析用に選択した:センスプラ
イマー、配列番号:45のヌクレオチド9〜28に位置するsdp3.8S(5
’−TAGAGAGGAAGGTTTGAAAT−3’;配列番号:46)及び
アンチセンスプライマー、配列番号:45のヌクレオチド187〜206に位置
するsdp3.8A(5’−ATGTGCAGGTAGATTGGGAT−3’
;配列番号:47)。指示された起源の正常又は腫瘍試料の総RNAをcDNA
に変換した。次に、50ngの総RNAに相当するcDNAを、30サイクル(
94℃、1分間;57℃、2分間;72℃、2分間)及び72℃で15秒間の最
終伸張で、0.625UのTaKaRa Taqポリメラーゼと共にプライマー
sdph3.8S及びsdp3.8Aを使用してPCRで増幅させた。基質とし
てゲノムDNAを使用し、同じプライマーを使用するPCRを同様に実施した。
これらのプライマーは、cDNA(196bp)又はゲノムDNA(概ね3kb
)で得られたPCR産生物が種々の大きさで測定されたので、種々のエキソンに
位置している。
【0148】 sdp3.8は試験した正常組織のパネルでは、精巣を除いて、発現されない
(表II)。それ故、sph3.8は精巣のような免疫特権正常組織だけで発現
されるという点で、他の腫瘍関連遺伝子と発現パターンを共有している。腫瘍試
料(表V)のなかで、sdp3.8は肉腫で頻繁に発現される(32%)。sd
p3.8は類表皮癌(10%)、非小細胞肺癌(7%)、頭頚部癌(5%)、脳
腫瘍、神経芽細胞腫及びぶどう膜メラノーマ腫瘍試料では余り頻繁には発現され
ない。
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】
【表4】
【0152】
【表5】
【0153】 実施例3:全長sdph3.10 cDNAクローンの単離 完全なsdph3.10 cDNAを取得するために、古典的なcDNAライ
ブラリーをsdph3.10プローブでスクリーニングした。このcDNAライ
ブラリーは、米国特許5,519,117でSK29−MEL.1RNAについ
て記載されているようにしてpcDNA1/Amp中でLB451精巣RNAを
使用して構築した。概ね250,000個の細菌をナイロン膜上に播いた。重複
物を作成しそして処理して、細菌DNAを変性させて固定した。sdph3.1
0特異的プローブは、鋳型としてのLB23−SARCRNA及びsdph3.
10特異的プライマーを上記したようにして使用して、RT−PCR(逆転写−
PCR)を実施して産生させた。171bpのsdph3.10 PCR産生物
はセファロースCL−6Bカラムで精製し、次いで、ランダムプライマー、クレ
ノウDNAポリメラーゼ及びα−32−P−dCTPを使用し標準的な方法に従
って標識した。処理した転写したナイロンメンブレンはsdph3.10特異的
プローブとハイブリッドを形成させ(65℃で一夜インキュベーション)、次い
でストリンジェントな条件下で洗浄し、そして一夜オートラジオグラフィーにか
けた。陽性スポットを得た。標準的な方法に従って2回目のスクリーニングを実
施し、そして完全なsdph3.10 cDNAを含有する細菌クローンを得た
。完全なsdph3.10 cDNAクローンの配列を決定し、そしてポリAテ
ールを含んでおり2021ヌクレオチド長(配列番号:38)であるか又はポリ
Aテールを有しておらず約2000ヌクレオチド長であることが見いだされた。
読み取り枠はこのcDNA全体に亘っており、最初のATGはヌクレオチド11
9に、そして停止コドンはヌクレオチド1832にある。これは、571アミノ
酸(配列番号:39)の推定上のタンパク質をコードしている。この遺伝子は、
肉腫AntiGEnにちなんでSAGEと呼ばれた。
【0154】 実施例4:完全なsdp3.5 cDNAの単離 完全なsdp3.5 cDNAを取得するために、古典的なcDNAライブラ
リーをsdp3.5プローブでスクリーニングした。このcDNAライブラリー
は、米国特許5,519,117でSK29−MEL.1RNAに関して記載さ
れているようにして、pcDNA/Amp中でMZ−MEL2 RNAを使用し
て構築した。概ね250,000個の細菌をナイロンメンブレン上に播いた。転
写物を作成しそして処理して、細菌DNAを変性させて固定した。sdp3.5
特異的プローブは、鋳型としてのLB23−SARC RNA及びsdp3.5
特異的プライマーを上記したようにして使用して、RT−PCR(逆転写−PC
R)を実施して産生させた。192bpのsdp3.5PCR産生物はセファロ
ースCL−6Bカラムで精製し、次いで、ランダムプライマー、クレノウDNA
ポリメラーゼ及びα−32−P−dCTPを使用し標準的な方法に従って標識し
た。処理した転写したナイロンメンブレンはsdp3.5特異的プローブとハイ
ブリッドを形成させ(65℃で一夜インキュベーション)、次いでストリンジェ
ントな条件下で洗浄し、そして一夜オートラジオグラフィーにかけた。6個の陽
性スポットが認められた。標準的な方法に従って2回目のスクリーニングを実施
し、そして完全なsdph3.5 cDNAを含有する細菌クローンが得られた
。完全なsdp3.5 cDNAクローンの配列を決定し、そして2473bp
長(配列番号:43)であることが見いだされた。読み取り枠はこのcDNA全
体に亘っており、最初のATGはヌクレオチド79に、そして停止コドンはヌク
レオチド1660にある。これは、ロイシン7回繰返しに富む527アミノ酸(
配列番号:44)の推定上のタンパク質をコードしている。
【0155】 実施例5:全長sdp3.8 cDNAクローンの単離 完全なsdp3.8 cDNAを取得するために、鋳型としてのLB23−S
ARC RNA及びsdp3.8特異的プライマーを上記したようにして使用し
てRT−PCR(逆転写−PCR)で産生させたsdp3.8特異的プローブを
使用して、実施例3のようにしてsdp3.8プローブで古典的なcDNAライ
ブラリーをスクリーニングした。2回目のスクリーニングで、完全なsdp3.
8 cDNAを含有する細菌クローンが得られた。完全なsdp3.8 cDNA
クローンの配列を決定し、そしてポリAテールを含んでおり2365ヌクレオチ
ド長(配列番号:52)であるか又はポリAテールを有しておらず約2340ヌ
クレオチド長であることが見いだされた。読み取り枠はこのcDNA全体に亘っ
ており、最初のATGはヌクレオチド208に、そして停止コドンはヌクレオチ
ド2152にある。これは、648アミノ酸(配列番号:53)の推定上のタン
パク質をコードしている。この遺伝子はp68 RNAヘリカーゼと相同性を有
していることが見いだされたので、ヘリカーゼ関連AntiGEnにちなんでH
AGEと呼ばれた。
【0156】 実施例6:腫瘍拒絶抗原をコードしている腫瘍関連遺伝子の一部分の同定 第1の方法では、1つ又はそれより多くの腫瘍関連遺伝子を発現することが示
されている自己由来腫瘍細胞によって提示される抗原に向けられた利用可能なC
TLクローンを、ブリチャード(Brichard)他(Eur. J. Immunol. 26:22
4〜230、1996年)によって記載されているようにしてsdph3.10
、sdp3.5及び/又はsdp3.8クローン並びに自己由来HLA対立遺伝
子でトランスフェクションしたCOS細胞に対する特異性についてスクリーニン
グする。sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8のCTL認識は細胞
溶解性Tリンパ球からのTNF放出を測定するか又は51Cr放出アッセイ(He
rin他、Int. J. Cancer 39:390〜396、1987年)によって測定され
る。CTLクローンがトランスフェクションされたCOS細胞を特異的に認識す
る場合、上記コーディング配列のより短いフラグメントを調製し、そしてCTL
によって認識されるペプチドをコードする遺伝子の領域を同定するためにCOS
細胞をトランスフェクションして試験する。sdph3.10、sdp3.5及
び/又はsdp3.8のフラグメントはエキソヌクレアーゼIII消化又はPC
Rのような他の標準的な分子生物学的方法によって調製する。合成ペプチドを調
製しそして試験して上記抗原の正確な配列を確認する。
【0157】 あるいは、CTLクローンは、sdph3.10、sdp3.5若しくはsd
p3.8ポリペプチド(例えば、配列番号:38、43又は52)をコードして
いるDNAクローンか又は、推定上のタンパク質に相当しそしてsdph3.1
0、sdp3.5及びsdp3.8クローンの内部に抗原性ペプチドを配置する
のに適当なHLAクラスI分子のコンセンサスと対合している合成ペプチドを負
荷した照射PBLを使用してトランスフェクションした自己由来正常細胞で患者
の末梢血リンパ球(PBL)を刺激することによって産生させる(例えば、van
der Bruggen他、Eur. J. Immunol. 24:3038〜3043、1994年;He
rman他、Immunogenetics 43:377〜383、1996年参照)。タンパク
質配列内での1つ又はそれより多くの抗原性ペプチドの局在化は、結合能力に関
して確立された法則に従ってなされるHLAペプチド結合予測によって助成する
ことができる(例えば、Parker他、J. Immunol. 152:163、1994年;
Rammensee他、Immunogenetics 41:178〜228、1995年)。HLA結
合予測は好都合なことに、インターネットによって、URLhttp://bimas.dcrt.
nih.govのザ・ナショナル・インスティチューツ・オブ・ヘルス・ワールド・ワ
イド・ウェブ・サイト(the National Institutes of Health World Wide Web s
ite)で利用可能なアルゴリズムを使用して行うことができる。例えば、sdp
h3.10及びsdp3.5ポリペプチド(配列番号:39及び44)で予測さ
れる幾つかのHLA結合モチーフを下記表に示し、そしてこれらは配列番号:4
5に基づいて可能性のある4つのsdp3.8ORF(配列番号:48〜51)
又はHAGE cDNA(配列番号:52)の長い読み取り枠(配列番号:53
)の幾つかの予測されるHLA結合モチーフと同様である:
【0158】
【表6】
【0159】 あるいは、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8を発現する自己
由来腫瘍細胞でリンパ球を刺激することによって得られたCTLクローンは、ブ
リチャード他(Eur. J. Immunol. 26:224〜230、1996年)によっ
て記載されているようにしてsdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8
cDNA及び自己由来HLA対立遺伝子でトランスフェクションしたCOS細
胞に対する特異性についてスクリーニングする。 任意に、sdph3.10、sdp3.5及び/又はsdp3.8 cDNA
のより短いフラグメントをPCRで産生させる。より短いフラグメントを使用し
て、上記したようにしてTNF放出又は51Cr放出を誘発させる。
【0160】 実施例7:腫瘍関連遺伝子でコードされる腫瘍拒絶抗原ペプチドの同定 TNF放出を誘発するsdph3.10、sdp3.5及び/又はsdp3.
8の最も短いフラグメントの一部分に相当する合成ペプチドを調製する。漸次的
により短いペプチドを合成して、一定のHLA分子に対する最適のsdph3.
10、sdp3.5及び/又はsdp3.8腫瘍拒絶抗原ペプチドを決定する。 合成ペプチドは既知の方法に従ってHLA発現細胞の溶解について試験する。
例えば、問題のペプチドを提示するHLAがHLA−A2であると決定される場
合には、T2細胞を使用することができる。T2細胞は、抗原プロセシング欠損
を有しておりその結果外来性ペプチドを提示する能力が高まっているHLA−A
細胞である。T2細胞を、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.
8のCTL反応性部分に相当する合成ペプチドと混合する。CTL細胞を添加し
、そして溶解を4時間後に測定して、どのペプチドがHLA−A2を有するT2
細胞の溶解を効率的に刺激するのかを決定する。他のHLA発現細胞は当該技術
分野で知られているか、又は特異的なHLAクローンでトランスフェクションし
て調製することができる。
【0161】 合成ペプチドの最適の大きさを決定するために、上記で決定されたペプチドの
配列に基づいて上記ペプチドのアミノ末端又はカルボキシ末端から1つのアミノ
酸を連続的に除去することによって、大きさが小さくなっているペプチドを合成
する。これらのペプチドは、投与量応答アッセイでCTL細胞による適当なHL
A発現細胞の細胞溶解を誘導する能力について試験する。凍結乾燥したペプチド
はDMSO中20mg/mlで溶解し、次いで10mM酢酸中2mg/mlに希
釈し、そして−80℃で貯蔵する。標的細胞、例えばHLA−A2T2細胞は
上記したようにして51Crを使用して37℃で1時間標識し、続いて徹底的に
洗浄して取り込まれなかった標識を除去する。上記ペプチドとHLAとの相互作
用の必要性を確認するために、T2細胞は任意に、抗HLA−A2抗体、例えば
MA2.1(Wolfel他、Eur. J. Immunol. 24:759〜764、1994年
)で予め処理することができ、そしてその後種々の濃度のペプチドの存在下で、
96ウェルの微量プレート中37℃で30分間インキュベートする。次に、HL
Aによって提示されるペプチドを認識するCTLを、等量の培地中に30:1の
エフェクター:標的比で添加する。クロム−51放出を4時間後に測定する。
【0162】 実施例8:正常細胞は腫瘍関連遺伝子を発現する細胞を溶解するCTLでは溶解
されない この実施例は上記で測定した腫瘍関連遺伝子由来ペプチドとインキュベートし
て又はしないで、種々の細胞系によるCTL溶解実験を記載する。sdph3.
10、sdp3.5又はsdp3.8を発現する腫瘍細胞、この腫瘍細胞の供給
源である患者から得られるEBVで形質転換された正常B細胞(B−EBV)、
及び同じ患者から得られる正常末梢血リンパ球(PBL)は投与量応答アッセイ
でCTL細胞による溶解について試験する。これらの細胞は、上記で詳記した投
与量応答アッセイで最適と決定されたエフェクター/標的比でCTLと共にイン
キュベートし、そして上記したようにして溶解についてアッセイする。CTLに
よってsdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8発現腫瘍細胞だけが溶
解することは、上記患者のB−EBV及びPBL細胞は通常、sdph3.10
、sdp3.5又はsdp3.8タンパク質から誘導される腫瘍拒絶抗原を発現
しないので、これらの細胞がCTLでは認識されないことを証明している。
【0163】 次に、sdph3.10、sdp3.5又はsdp3.8から誘導されるペプ
チドでパルス処理する場合、上記細胞がCTLで溶解されるかどうかを決定する
。上記実験に基づいて選択されるペプチドは、sdph3.10、sdp3.5
又はsdp3.8を発現する腫瘍細胞、B−EBV細胞、及び適当なHLAを発
現する非自己由来細胞のCTL細胞による細胞溶解を誘導する能力について、上
記実施例におけるような投与量応答アッセイで試験する。好ましいペプチドでパ
ルス処理したB−EBV及びPBLは今や、sdph3.10、sdp3.5又
はsdp3.8を発現する腫瘍細胞や好ましいペプチドでパルス処理した非自己
由来細胞と同様に、CTLによって溶解される。
【0164】
【表7】
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】 使用されている用語及び表現は説明の用語として使用されたものであって、限
定の用語として使用されているものではなく、そしてこのような用語及び表現の
使用においては、示されそして記載されたいずれかの特徴又はそれらの一部分の
均等物を排除することは意図しておらず、本発明の範囲内で種々の修飾が可能で
あることが認識される。 本明細書で記載した参照文献は全て参照して本明細書に組み入れる。
【配列表】
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年6月21日(2000.6.21)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/47 C12N 1/15 4C085 16/30 1/19 4H045 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 A61K 37/02 C12Q 1/68 C12N 5/00 A (31)優先権主張番号 09/183,789 (32)優先日 平成10年10月30日(1998.10.30) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 09/183,706 (32)優先日 平成10年10月30日(1998.10.30) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),AU,CA,C N,JP,KR,NZ,ZA (72)発明者 ド スメ,シャルル ベルギー王国 B−1200ブリュッセル、ユ ーシーエル 7459、アベニュー イッポク ラート 74、アンスティテュート ルード ヴィッヒ プール ラ ルシェルシュ シ ュル ル キャンセール (72)発明者 ブーン−ファロイア,ティエリー ベルギー王国 B−1200ブリュッセル、ユ ーシーエル 7459、アベニュー イッポク ラート 74、アンスティテュート ルード ヴィッヒ プール ラ ルシェルシュ シ ュル ル キャンセール Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 BA36 CA04 DA02 DA06 EA04 GA11 HA01 4B063 QA01 QQ08 QQ42 QR32 QR55 QR62 QS25 QS34 4B064 AG02 CA10 CA19 CC24 DA01 4B065 AA90X AA93Y AB01 BA02 CA24 CA44 4C084 AA02 AA07 AA13 BA35 CA25 CA34 DC50 NA14 ZB262 4C085 AA13 CC03 CC22 DD62 4H045 AA11 BA10 CA41 DA01 DA86 EA22 EA28 FA74

Claims (57)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)肉腫関連遺伝子産生物をコードしており、かつ配列番
    号:38、配列番号:43及び配列番号:52からなる群から選択されるヌクレ
    オチド配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリッドを形成
    する核酸分子、 (b)肉腫関連遺伝子産生物をコードしている、(a)の核酸分子の欠失体、
    付加体及び置換体、 (c)遺伝暗号の縮重のためにコドン配列が(a)又は(b)の核酸分子と異
    なっている核酸分子、および (d)(a)、(b)及び(c)の相補体、 からなる群から選択される単離核酸分子。
  2. 【請求項2】 単離核酸分子が配列番号:1として述べられているヌクレオ
    チド配列を含んでいる、請求項1に記載の単離核酸分子。
  3. 【請求項3】 単離核酸分子が配列番号:38のヌクレオチド119〜18
    31として述べられているヌクレオチド配列を含んでいる、請求項1に記載の単
    離核酸分子。
  4. 【請求項4】 単離核酸分子が配列番号:38として述べられているヌクレ
    オチド配列を含んでいる、請求項1に記載の単離核酸分子。
  5. 【請求項5】 単離核酸分子が配列番号:40として述べられているヌクレ
    オチド配列を含んでいる、請求項1に記載の単離核酸分子。
  6. 【請求項6】 単離核酸分子が配列番号:43のヌクレオチド79〜165
    9として述べられているヌクレオチド配列を含んでいる、請求項1に記載の単離
    核酸分子。
  7. 【請求項7】 単離核酸分子が配列番号:43として述べられているヌクレ
    オチド配列を含んでいる、請求項1に記載の単離核酸分子。
  8. 【請求項8】 単離核酸分子が配列番号:45として述べられているヌクレ
    オチド配列を含んでいる、請求項1に記載の単離核酸分子。
  9. 【請求項9】 単離核酸分子が配列番号:52のヌクレオチド208〜21
    52として述べられているのヌクレオチド配列を含んでいる、請求項1に記載の
    単離核酸分子。
  10. 【請求項10】 単離核酸分子が配列番号:52として述べられているヌク
    レオチド配列を含んでいる、請求項1に記載の単離核酸分子。
  11. 【請求項11】 (a)配列番号:38のヌクレオチド1〜1997として
    述べられているヌクレオチド配列の12から1996ヌクレオチド長の間のユニ
    ークフラグメント、 (b)配列番号:43のヌクレオチド1〜2442として述べられているヌク
    レオチド配列の12から2441ヌクレオチド長の間のユニークフラグメント、 (c)配列番号:52のヌクレオチド1〜2365として述べられているヌク
    レオチド配列の12から2364ヌクレオチド長の間のユニークフラグメント、
    及び (d)(a)、(b)及び(c)の相補体、 からなる群から選択される単離核酸分子。
  12. 【請求項12】 単離核酸分子が少なくとも15個の隣接ヌクレオチドであ
    る請求項11に記載の単離核酸分子。
  13. 【請求項13】 単離核酸分子が少なくとも20個の隣接ヌクレオチドであ
    る請求項11に記載の単離核酸分子。
  14. 【請求項14】 単離核酸分子が少なくとも25個の隣接ヌクレオチドであ
    る請求項11に記載の単離核酸分子。
  15. 【請求項15】 単離核酸分子が少なくとも30個の隣接ヌクレオチドであ
    る請求項11に記載の単離核酸分子。
  16. 【請求項16】 単離核酸分子が少なくとも50個の隣接ヌクレオチドであ
    る請求項11に記載の単離核酸分子。
  17. 【請求項17】 単離核酸分子が少なくとも75個の隣接ヌクレオチドであ
    る請求項11に記載の単離核酸分子。
  18. 【請求項18】 単離核酸分子が少なくとも100個の隣接ヌクレオチドで
    ある請求項11に記載の単離核酸分子。
  19. 【請求項19】 単離核酸分子が12から32個の間の隣接ヌクレオチドで
    ある請求項11に記載の単離核酸分子。
  20. 【請求項20】 プロモーターと作用可能に結合した請求項1〜19のいず
    れかに記載の単離核酸分子を含んでいる発現ベクター。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載の発現ベクターで形質転換又はトランス
    フェクションした宿主細胞。
  22. 【請求項22】 請求項1〜10のいずれかに記載の単離核酸分子によって
    コードされている単離ポリペプチド。
  23. 【請求項23】 請求項22に記載のポリペプチドの少なくとも9アミノ酸
    長のフラグメントを含んでいる単離ポリペプチド。
  24. 【請求項24】 フラグメントがポリペプチド結合剤と結合する請求項23
    に記載の単離ポリペプチド。
  25. 【請求項25】 フラグメントが抗体又は細胞傷害性Tリンパ球と結合する
    請求項24に記載の単離ポリペプチド。
  26. 【請求項26】 請求項1〜10のいずれかに記載の単離核酸分子によって
    コードされるタンパク質と選択的に結合する単離ポリペプチド。
  27. 【請求項27】 単離ポリペプチドが抗体のFab又はF(ab)フラグ
    メントである請求項26に記載の単離ポリペプチド。
  28. 【請求項28】 単離ポリペプチドが抗体のフラグメントであり、タンパク
    質に対して選択的なCDR3領域を含んでいるフラグメントである請求項26に
    記載の単離ポリペプチド。
  29. 【請求項29】 単離ポリペプチドがモノクローナル抗体、ヒト化抗体及び
    キメラ抗体からなる群から選択される請求項26に記載の単離ポリペプチド。
  30. 【請求項30】 腫瘍関連核酸分子の発現によって特徴付けられる疾患の診
    断方法であって、 対象から単離された生物学的試料を請求項1に請求されている腫瘍関連核酸分
    子に特異的な作用剤と接触させること、および 上記疾患の決定因子として、上記作用剤と上記腫瘍関連核酸分子間の相互作用
    を測定すること を含んでいる、前記方法。
  31. 【請求項31】 作用剤が配列番号:38,配列番号:43及び配列番号:
    52、それらのフラグメント並びにそれらの相補体からなる群から選択されるヌ
    クレオチド配列を含んでいる核酸分子である請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 作用剤が配列番号:38のヌクレオチド配列、そのフラグ
    メント及びそれらの相補体を有する核酸分子を含んでいる、請求項30に記載の
    方法。
  33. 【請求項33】 生物学的試料が精巣でない組織から単離される請求項32
    に記載の方法。
  34. 【請求項34】 作用剤が配列番号:43のヌクレオチド配列、そのフラグ
    メント及びそれらの相補体を有する核酸分子を含んでいる、請求項30に記載の
    方法。
  35. 【請求項35】 生物学的試料が精巣、骨髄、膀胱、皮膚、子宮、卵巣及び
    精子からなる群から選択される組織以外の組織から単離される請求項34に記載
    の方法。
  36. 【請求項36】 作用剤が配列番号:52のヌクレオチド配列、そのフラグ
    メント及びそれらの相補体を有する核酸分子を含んでいる、請求項30に記載の
    方法。
  37. 【請求項37】 生物学的試料が精巣でない組織から単離される請求項36
    に記載の方法。
  38. 【請求項38】 相互作用が核酸分子の少なくとも一部分を増幅することに
    よって測定される請求項30に記載の方法。
  39. 【請求項39】 腫瘍関連ポリペプチドの発現によって特徴付けられる疾患
    の診断方法であって、 対象から単離された生物学的試料を、請求項22に請求されている腫瘍関連ポ
    リペプチドと結合する作用剤と接触させること、および 上記疾患の決定因子として、上記腫瘍関連ポリペプチドと上記作用剤間の結合
    を測定すること を含んでいる、前記方法。
  40. 【請求項40】 腫瘍関連ポリペプチドが配列番号:38、配列番号:43
    、配列番号:52及びそれらの相補体からなる群から選択されるヌクレオチド配
    列によってコードされているポリペプチドである請求項39に記載の方法。
  41. 【請求項41】 作用剤が抗体又はそのフラグメントである請求項39に記
    載の方法。
  42. 【請求項42】 医薬の製造における、請求項1に請求されている腫瘍関連
    核酸の発現を減少させる作用剤の使用。
  43. 【請求項43】 腫瘍関連核酸の発現を減少させる作用剤がこの腫瘍関連核
    酸とハイブリッドを形成するアンチセンス核酸である請求項42に記載の使用。
  44. 【請求項44】 配列番号:38、配列番号:43及び配列番号:52から
    なる群から選択されるヌクレオチド配列を有する核酸分子とストリンジェントな
    条件下でハイブリッドを形成する腫瘍関連核酸と結合し、かつこの腫瘍関連核酸
    の発現を減少させるアンチセンス核酸、並びに 薬学的に許容し得る担体、 を含んでいる医薬組成物。
  45. 【請求項45】 腫瘍関連ポリペプチド前駆体の発現の存在を検出するキッ
    トであって、配列番号:38の12〜32ヌクレオチド隣接断片からなる第1の
    単離核酸分子、及び配列番号:38の相補体の12〜32ヌクレオチド隣接断片
    からなる第2の単離核酸分子を含んでおり、これら隣接断片は重複していない、
    前記キット。
  46. 【請求項46】 第1及び第2の単離核酸分子が、配列番号:38を含んで
    いる単離核酸分子の少なくとも一部分を選択的に増幅するように構築され、配列
    されている請求項45に記載のキット。
  47. 【請求項47】 腫瘍関連ポリペプチド前駆体の発現の存在を検出するキッ
    トであって、配列番号:43の12〜32ヌクレオチド隣接断片からなる第1の
    単離核酸分子及び配列番号:43の相補体の12〜32ヌクレオチド隣接断片か
    らなる第2の単離核酸分子を含んでおり、これら隣接断片は重複していない、前
    記キット。
  48. 【請求項48】 第1及び第2の単離核酸分子が配列番号:43を含んでい
    る単離核酸分子の少なくとも一部分を選択的に増幅するように構築され、配列さ
    れている請求項47に記載のキット。
  49. 【請求項49】 腫瘍関連ポリペプチド前駆体の発現の存在を検出するキッ
    トであって、配列番号:52の12〜32ヌクレオチド隣接断片からなる第1の
    単離核酸分子及び配列番号:52の相補体の12〜32ヌクレオチド隣接断片か
    らなる第2の単離核酸分子を含んでおり、これら隣接断片は重複していない、前
    記キット。
  50. 【請求項50】 第1及び第2の単離核酸分子が配列番号:52を含んでい
    る単離核酸分子の少なくとも一部分を選択的に増幅するように構築され、配列さ
    れている請求項49に記載のキット。
  51. 【請求項51】 医薬の製造における、HLA分子と請求項1に請求されて
    いる腫瘍関連核酸分子によってコードされるポリペプチドとの複合体の存在を対
    象中で選択的に高める作用剤の使用。
  52. 【請求項52】 医薬が癌の治療に有用である請求項51に記載の使用。
  53. 【請求項53】 作用剤が請求項1に請求されている核酸分子又はその発現
    産生物である請求項51に記載の使用。
  54. 【請求項54】 医薬の製造における、HLA分子と請求項1に記載の核酸
    分子によってコードされる腫瘍拒絶抗原との複合体に特異的な自己由来細胞溶解
    性T細胞を含んでいる組成物の使用。
  55. 【請求項55】 医薬の製造における、請求項1に請求されている核酸分子
    又はその発現産生物の使用。
  56. 【請求項56】 腫瘍関連ポリペプチドの産生方法であって、 プロモーターと作用可能に結合した腫瘍関連核酸分子を含んでいる核酸分子を
    提供することであって、前記腫瘍関連核酸分子は配列番号:39、配列番号:4
    4、配列番号:53及びそれらのフラグメントからなる群から選択される腫瘍関
    連ポリペプチド又はそのフラグメントをコードしており、 発現系で上記核酸分子を発現すること、および この発現系から上記腫瘍関連ポリペプチド又はそのフラグメントを単離するこ
    と、 を含んでいる、前記方法。
  57. 【請求項57】 腫瘍関連ポリペプチドを産生する方法であって、 請求項21に記載の宿主細胞を培養して上記腫瘍関連ポリペプチドを発現させ
    ること、および この腫瘍関連ポリペプチドを単離すること を含んでいる、前記方法。
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