JP2002506049A5 - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、新規なキレート化剤類及びそれらのマンガンキレート化錯体塩類、生理学的に許容し得るそれらの塩類並びに磁気共鳴イメージング(MRI)でのそれらの化合物の使用に関する。
【0002】
種々のM.R.I.造影試薬は、認識的に、低投与用量に加えて、病変と健全組織の間、及び異なる器官及び組織の間で適切なコントラストの増大を与えるように、非常に良好な緩和性;高い熱力学安定性;特にマグネシウム及びカルシウムのような内因性金属のイオンでの遅い金属移行動力学;低い毒性及び非常に低い耐性を有すべきである。ガドリニウムキレート錯体は、7個の解離された電子及び最も高い磁気能率を有するGd3+イオンの特性のために、現在、好適な造影試薬である。現在、ガドリニウムキレート錯体を含む商業的に入手し得る造影試薬は:マグネビスト(Magnevist:登録商標)(Gd−DTPA メグルミン複塩)、ドタレム(Dotarem: 商標)(Gd−DTPA メグルミン塩)、オムニスカン(Omniscan: 商標)(Gd−BMA)及びプロハンス(ProHance: 商標)(Gd−HP−DO3A)である。
【0003】
更に最近の研究は、上述の特性に加えて、明確な組織又は身体器官に特異的である造影剤を見出すことを目的としている。マンガンは、それらの組織特異的造影剤でガドリニウムに代わるものとして示唆されている(Investigative Radiology 1995, 30(10),611-620)。
【0004】
M.R.I.造影剤としてMn2+イオンの潜在的有用性は、心筋画像化のために1978年から、関心が持たれている。ポルフィリン類及びその誘導体とのマンガン錯体(例えば、Mn(III)−メソ−テトラ−(4−スルホナトフェニル)ポルフィリン、Mn−TPPS4)は、腫瘍特異的造影剤として提案された(Investigative Radiology、引例)。Magnetic Resonance in Medicine 1988, 8, 293-313において、ウサギ組織中でのプロトンの縦緩和時間が、MnCl2及びMn−PDA(1,3−プロピレンジアミノ−N,N′,N″,N′″−テトラアセタート)の静脈投与後に研究された。最近の研究において、小さな単一の薄いリポソーム(「メモソーム」(memosomes))(それは肝臓及び心臓の灌流画像のために潜在的に有用である)の膜へ結合した、n−EDTA親油性誘導体(例えば、マンガン−EDTA−ビス(ヒドロキシプロピルデシルアミン)、Mn−EDTA−DDP)からなるM.R.I.造影剤が、研究された(Journal of Liposome Research 1994, 4(2), 811-834))。同じ化合物は、国際特許出願 WO 92/21017及びUS 5,312,617の目的であり、それらはEDTAビス−アミド(ここで、アミド窒素は、長鎖アルキル残基(C7−C30)で置換されている)からなるマンガンキレート(II)に基づくM.R.I.造影剤を開示している。これらのキレートは、それ自体、又は更に好適には脂質若しくはリポソームとの組合せで、肝臓の画像化及び血液プール剤として特に有用であると知られている。
【0005】
マンガンキレート錯体からなるM.R.I.造影剤は、また米国特許4,980,148及び5,246,696に記載されている。リガンドがアルキレンジアミノテトラ酢酸(アルキレン鎖は、O、S、CHOH、CHSHから選択される1個以上の置換基により中断されている)である、該錯体は、肝臓、腎臓、すい臓及び胃腸経路の画像化のために特に有用であると記載されている。
【0006】
最近、テスラスカン(Teslascan(商標))(Na+(1:3)で塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−〔〔3−ヒドロキシ−2−メチル−5−〔(ホスホノオキシ)メチル〕−4−ピリジニル〕−メチル〕グリシンのマンガンキレート、マンガホディピルトリナトリウム、が、肝臓のM.R.I.で使用するために、ヨーロッパ及びU.S.A.で上市された。この化合物は、すい臓の腺ガン及びすい炎のM.R.I.診断に有用であると考えられている(Investigative Radiology 1995, 30(10),611-620)。
【0007】
常磁性金属のイオンは、非常に毒性であると知られている。マンガンは、すべての哺乳動物の細胞に存在する必須の数種の元素であるが、画像診断のために通常用いられる用量でのMn+に対しても同じことが言える。
【0008】
したがって、マンガンの場合、安定な錯体として投与されるそれのために、それにより、遊離の金属に基づくいかなる毒性も阻止することが重要である。逆に、上記の引用文献のいくつかの化合物、例えばMn−DPDPは、生体内でいくらかの不安定性を示し:最近の生物学的分配研究は、この錯体は解離し、解離したマンガンは肝臓、すい臓及び腎臓に蓄積するが、しかるに非解離のキレートは、糸球体のろ過により取り除かれることを示した。Mn−DPDPのM.R.I.特性は、したがって、主として錯体により解離されたマンガンイオン(それは肝臓及びすい臓に蓄積している)に起因する(Investigative Radiology 1994, 29(2),S249-S250)。別の最近の研究は、肝臓のホモジナート中、カルシウム及びマグネシウムイオンの存在で、Mn−DPDPの解離の証拠を与えた(MRM 1996, 35, 14-19)。
【0009】
本発明は、安定なマンガンキレート錯体塩(それは、酸化状態で+2(Mn(II))である)に関する。該化合物は、四つの酢酸基の一つ又は二つのカルボキシルに対するα位置に少なくとも1個の環単位を含む置換基を有することで特徴付けられるエチレンジアミノテトラ酢酸(EDTA)誘導体である。上述したように、一般的に肝臓、すい臓及び胃腸経路の画像化に有用であると考えられている先行技術のマンガンキレート錯体とは逆に、本発明のキレートは、ヒト血清中での良好な安定性及び驚くべき緩和値を有している。
【0010】
より特に、発明は、式(I):
【0011】
【化8】
【0012】
(式中、
R1及びR2は、独立して、水素原子、又は直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、(C1−C20)アルキル鎖であり、該鎖は、1個以上の、窒素若しくは硫黄原子により、及び−CO−、−CONH−、−NHCO−、−SO−、−SO2−、−SO2NH−基により、場合により中断されており、又は1個以上の、−NH2、OH、ハロゲン、COOH基及びそれぞれエステル若しくはアミド誘導体により、場合により置換されており、該鎖は、ともかく1個以上のR3環残基(それらは、同一又は異なり、縮合又は非縮合である)により中断又は置換されているが、但しR3環残基のいくつかが、一緒になって縮合しているとき、相当する多環単位を形成する最大数は、3であり、ここで
R3は、5−〜6−員環式単位の、炭素環又は複素環、飽和、不飽和又は芳香族であり、該環式単位は、非置換又は1個以上のR4基(これらは、同一又は異なる)により置換されており、ここで、
R4は、OH、ハロゲン、−NH(R5)、−N(R5)2、−O−R5、−S−R5、又は−CO−R5(ここで、R5基は、同一又は異なり、直鎖又は分岐鎖の(C1−C5)アルキルであり、非置換又は1個以上のヒドロキシ及び/又はアルコキシ及び/又はカルボキシ基で置換されている)であるか、又はR4は、COOH基であるか、又はそれらのエステル若しくはアミド誘導体であるか、又は−SO3H基若しくはそのアミド誘導体であるか、あるいは
R4は、−O−R6基(ここで、R6は、5−〜6−員環式単位の、炭素環又は複素環、飽和、不飽和又は芳香族であり、該環式単位は、場合により1個以上の、OH、ハロゲン、−NH(R5)、−N(R5)2、−O−R5、−S−R5、又は−CO−R5基(ここで、R5基は、上記と同義である)により、又は1個以上の−COOH基、又はそのエステル若しくはアミド誘導体又は−SO3H若しくはそのアミド誘導体により置換されている)であるが、但しR1及びR2は、同時に水素ではない)で示される化合物(ラセミ及び光学活性体の両方):並びに酸化状態+2のマンガンイオン(Mn(II))とのそのキレート及び第一、第二、第三アミン又は塩基性アミノ酸から選択される、生理学的に許容し得る有機塩基、又はカチオンがナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム又はそれらの混合物である無機塩基とのそれらの塩に関する。
【0013】
このキレート錯体が、全電荷を持つ場合、これは、好適には生理学的に適合し得る対イオンで中和される。本発明の化合物及び/又はそのキレートを塩化するための適切な基質は、例えば、
−無機塩基のカチオン、例えばナトリム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、又はその混合物から選択される、アルカリ又はアルカリ土類金属イオン;
−第一、第二及び第三アミン、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン、グルカミン、N−メチルグルカミン、N,N−ジメチルグルカミンから選択される生理学的に適合し得る有機塩基のカチオン;
−アミノ酸、例えばリシン、アルギニン又はオルニチンのカチオンである。
【0014】
特に好適なものは、N−メチルグルカミン塩である。式(I)の化合物のうち、R1及びR2のための特に好適な意味は、下記式:
【0015】
【化9】
【0016】
【化10】
【0017】
で示される基である。
【0018】
式(I)の化合物の特に好適なクラスは、一般式(II):
【0019】
【化11】
【0020】
及び式(III):
【化12】
【0021】
(上記式中、
R7は、5−〜6−員環式単位の、炭素環及び複素環、飽和、不飽和又は芳香族であり、OH、ハロゲン、COOH又はそのエステル若しくはアミド誘導体、−SO3H若しくはそのアミド誘導体、又は−R5、−NHR5、−N(R5)2、−O−R5、−S−R5(ここで、R5は、上記と同義である)から選択される基の1個以上により、あるいは−OR8及び−CH2R8(ここで、R8は、更に5−〜6−員環式単位の、炭素環及び複素環、飽和、不飽和又は芳香族であり、OH、COOH及びハロゲンから選択される1個以上の基により、場合により置換されている)から選択される基により、場合により置換されており;そして
n=1〜6)で示されるそれらである。
【0022】
式(I)の化合物の特に好適なクラスは、それぞれ、式(IV):
【0023】
【化13】
【0024】
及び式(V):
【化14】
【0025】
(上記式中、
R9は、非縮合若しくは縮合の2又は3個の環式単位(それらは、同一又は異なる)を含む基であり、該単位は、炭素環又は複素環、飽和、不飽和又は芳香族であることができ;
n=1〜6;
m=0又は1;
X=−NHCO、−CONH又は−CONH−CH2−である)で示される化合物である。
【0026】
更に、式(II)及び(III)のうち、特に好適な化合物は、R7が、シクロヘキシル、フェニル、ヒドロキシフェニル又は3,5−ジヨードチロニン残基であるそれらであり;式(IV)及び(V)のうち、特に好適な化合物は、R9がナフタレン、アントラセン又はインドールであり、そしてXが−NHCOであるそれらである。
【0027】
式(I)に含まれる可能なマンガンキレートのうちで、最も好適なものは、リガンドとして以下に示される化合物を有するそれらである:
【0028】
化合物1(実施例1):
【0029】
【化15】
【0030】
化合物2(実施例2):
【0031】
【化16】
【0032】
化合物3(実施例3):
【0033】
【化17】
【0034】
化合物4(実施例4):
【0035】
【化18】
【0036】
化合物5(実施例5):
【0037】
【化19】
【0038】
化合物6(実施例6):
【0039】
【化20】
【0040】
化合物7(実施例7):
【0041】
【化21】
【0042】
化合物8(実施例8):
【0043】
【化22】
【0044】
化合物9(実施例9):
【0045】
【化23】
【0046】
化合物10(実施例10):
【0047】
【化24】
【0048】
本発明は、式(I)〜(V)の式のキレート化合物のMn2+キレート錯体及びその塩の、診断的使用、及びそれらの組成物の製造のための使用に関する。
【0049】
本発明のキレート化錯体は、良好な安定性に加えて、ヒト血清中での驚くべき緩和値を有する。それらの特性は、一般的使用及び心臓循環系の画像化のための特定の組成物でのM.R.I.造影剤の製造で、該化合物を用いて得ることができる画像の改善の点で、それらの興味のある応用し得る用途を予測し得る。
【0050】
より特に、本発明のキレートは、ヒト血清中での特に高いr2値を有することを特徴としている。これは、器官又は組織の画像(該画像は、T2 強調シーケンスにより得られる)の記録においてM.R.I.画像診断を用いるため、それらを、最も適切にし、そしてそれは更に本発明の特徴である。更に、本発明の化合物により示される、ヒト血清中での緩和性の顕著な増大は、造影剤の低用量を要求する診断組成物においてそれらの使用を許し、該組成物は、良好な品質の画像を提供する一方、毒性の点からも顕著な改善を保証している。
【0051】
本発明のキレートを含む画像記録組成物は、したがって、0.001〜1.0mmol/mL、好適には0.01〜0.5mmol/mLの範囲の造影剤の濃度で、特に低用量組成物のために0.25mmol/mL未満の濃度で処方することができる。
【0052】
該組成物は、患者に、0.001〜0.1mmol/Kg、好適には0.1mmol/Kgの範囲の用量で、特に低用量で投与するとき、5〜50μmol/Kgの範囲で投与することができる。
【0053】
本発明により、該キレート錯体は、低磁場、すなわち0.1〜0.5テスラ、又はヘルツでの磁場の強度であるときには20MHz未満の磁場(Anintroductionto Magnetic Resonance in Medicine, Ed. Peter A. Rinck)でのM.R.I.診断画像のための製薬学的組成物の製造においても特に適切である。本発明の化合物は、そのような低磁場でさえ示されるそれらの優れた緩和性のために、好都合には、Artroscan(磁気共鳴の使用を関節造影)、開放装置、ヒト身体の単一領域(例えば、肩)の診断を意図している装置、及び低価格、操作容易及び広く普及した一般装置で用いることができる。
【0054】
本発明のキレートは、肝臓、及び胆管系(器官に、該キレートが到達する)の画像化に良好な適用性を示し、したがって、それらの安定特性を認めている。
【0055】
本発明の化合物の製造のために用いることができる可能な合成ルートのうち、以下に報告されている一般スキームで示されているそれらが、好適である。
【0056】
R1又はR2の一つのみが水素以外であるとき、可能な方法は、スキーム1に示した。
【0057】
【化25】
【0058】
(式中、
R1は、式(I)と同義であり、
X=ハロゲン(Cl、Br、I)、
m=キレート錯体の全電荷の数、
B=キレート錯体を塩化するに適切な物質(例えば、Na+、K+、Mg++、Ca++又はそれらの混合物、メグルミン(meglumine)など)、
z=Bの電荷の数、
pは、p・z=mであるような整数である)
【0059】
工程(a1)において、天然又は合成のα−アミノ酸(1A)は、酸性水性媒質中、NaNO2の存在下に、−5〜+5℃の範囲であることができる温度で、適切なハライド(例えば、KBr)と反応させる。得られたα−ハロ酸を、工程(b1)で、20〜40℃の温度で水性溶液中1,2−ジアミノエタンと反応させる。得られた中間体(3A)を、工程(c1)で、塩基性媒質中、pH10で、約60℃でα−ハロ酢酸(例えば、ブロモ酢酸)と反応させ、遊離のリガンド(4A)を得る。後者を、工程(d1)で、中和に必要な塩基量の存在下に、塩として化学量論量のマンガンと反応させる;反応は、好適には水中又は適切な水−アルコール混合物中、25〜40℃で実施し、それにより所望のキレート錯体(5A)を得る。
【0060】
R1及びR2の両方が水素以外であり、R1がR2と同一であるとき、以下のスキーム2に要約した方法が行われる:
【0061】
【化26】
【0062】
(式中、
R1は、式(I)と同義であり、
X=ハロゲン(Cl、Br、I)、
m=キレート錯体の全電荷の数、
B=キレート錯体を塩化するに適切な物質(例えば、Na+、K+、Mg++、Ca++又はそれらの混合物、メグルミン(meglumine)など)、
z=Bの電荷の数、
pは、p・z=mであるような整数である)
【0063】
工程(a2)において、適切なα−アミノ酸(1B)は、1,2−ジハロエタン、例えば1,2−ジブロモエタンと、適切な溶媒中(例えば、水/エタノール、水/メタノール混合物)、適切な緩衝液(好適には2Mホウ酸塩緩衝液)でpHを約9に保持し、60〜90℃の範囲であることができる温度で、反応させる。別の方法(工程a′2)として、α−ハロ酸(1B′)を、1,2−ジアミノエタン(2B′)と、20〜60℃で水性溶液中で反応させることができる。得られた中間体(3B)を、工程(b2)で、α−ハロ酢酸(例えば、ブロモ酢酸)と、塩基性のpH(約10)及び40〜70℃の温度で反応させ、遊離のリガンド(4B)を得る。これを、工程(c2)で、既にスキーム1で記載した一般方法により、塩として化学量論量のマンガンと反応させ、所望のキレート錯体(5B)を得る。
【0064】
R1及びR2が、両方水素以外であり、そして互いに異なるとき、以下のスキーム3に示されたように、異なる化学量論量を用いて、非対称リガンドを製造することができる:
【0065】
【化27】
【0066】
(式中、
R1及びR2は、式(I)と同義であり、
X=ハロゲン(Cl、Br、I)、
m=キレート錯体の全電荷の数、
B=キレート錯体を塩化するに適切な物質(例えば、Na+、K+、Mg++、Ca++又はそれらの混合物、メグルミン(meglumine)など)、
z=Bの電荷の数、
pは、p・z=mであるような整数である)
【0067】
2置換された化合物を提供するための別の方法は、以下のスキーム4A及び4Bに示される:
【0068】
【化28】
【0069】
(式中、
R1は、式(I)と同義であり。
Pg=保護基(例えば、t−ブチル)、
Y=Cl、Br又は他の脱離基(I、−OMs、−OTf、−OTs))
【0070】
工程(d1)は、2−ハロエタノール(好適には2−ブロモエタノール)のジヒドロピランでのアルコール部分の保護を含み、中間体(2D)を与える。アルコール保護基は、例えば、ベンジル又はトリルであることができる。反応は、有機溶媒、例えばCH2Cl2、CHCl3、CH2ClCH2Cl中、4−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩又は他の酸触媒の存在下に実施される。中間体(2D)において、脱離基は、好適にはBrである。
【0071】
工程(d2)において、ラセミ体又は光学的に活性な形態のいずれかの、天然又は合成α−アミノ酸のエステル(例えば、t−ブチルエステル)(1D)は、中間体(2D)と塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンの存在下に、溶媒、例えばCH3CN、DMF、又は塩素化溶媒中で反応させ、中間体(3D)を得る。
【0072】
後者を、工程(d3)で、ブロモ酢酸エステル(例えば、t−ブチル−ブロモ酢酸)と、塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンの存在下に反応させ、中間体(4D)を得、次の工程(d4)で、4−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩又は他の酸触媒と、20〜60℃で反応させ、中間体(5D)を得る。
【0073】
工程(d5)で、中間体(5D)を、N−ブロモスクシンイミドで、トリフェニルホスフィンの存在下に反応させ、中間体(6D)を得、これを、工程(d6)で、適切な溶媒(例えば、CH3CN/リン酸塩緩衝液、pH8)中で、α−アミノ酸(7D)のエステル(例えばt−ブチルエステル)と反応させ、中間体(8D)を得る。これを、次いで、ブロモ酢酸エステル(例えば、t−ブチル−ブロモアセタート)と、塩基、例えばジイソプロピルエチルアミン)の存在下に反応させ、テトラエステル(9D)を得る。後者を、工程(d8)で、既知の方法(例えば保護基がt−ブチルであるとき、CF3COOH又は(CH3)3SiIでの加水分解)で脱保護し、遊離のリガンドを得、それを、上述のスキームで既述した一般方法で、錯体化し、塩化する。
【0074】
【化29】
【0075】
(式中、
R1及びR2は、式(I)と同義であり。
Pg=保護基(例えば、t−ブチル)、
X=ハロゲン(Cl、Br、I))
【0076】
以下の例は、本発明の化合物の製造のための最もよい実験条件を説明している。
【0077】
【実施例】
実施例1
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)−アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−D−フェニルアラニンのマンガン錯体(1:2)
【0078】
【化30】
【0079】
A)(S)−(α)−ブロモベンゼンプロパン酸(C.A.S.〔35016−63−8〕)
この化合物を、Briggs, M.T.; Morley, J.S., J.Chem.Soc., Perkin Trans. 1979,1(9),2138-2143により調製した。
B)N−(2−アミノエチル)−D−フェニルアラニン ビス−ヒドロクロリド
【0080】
【化31】
【0081】
前工程からの化合物(26.17g;0.114mol)を、水(150mL)中のエチレンジアミン(100mL;1.5mol)に、温度を40℃未満に維持しながら、40分にわたり加えた。溶液を室温で一夜攪拌下に維持し、次いで過剰のエチレンジアミンを蒸発(50℃;2kPa)させ;残査を水(125mL)に溶解し、37%水性塩酸(48mL)で酸性化した。懸濁液をろ過し、母液を濃縮し、カルボプロン(Carbopuron:商標)4Nで脱色した.ろ過した後、2NNaOH(37mL)で、溶液のpHを3に調整し、ろ過して沈殿物を得た。母液を125mLに濃縮し、第二の沈殿物を得た。二つの沈殿物を水(300mL)に溶解し、アンバーライト(商標)IRA−400樹脂のカラム(350mL;OH−体)上でろ過し、水で中性まで洗浄した。水性HClでカラムの溶離をした後、酸性の溶離液を蒸発させ、残査を乾燥(P2O5;2kPa)し、所望の化合物(15.2g;0.054mol)を得た。収率51%。
【0082】
m.p.:230℃。
酸滴定(0.1MNaOH):100.9%。
銀滴定(0.1MAgNO3):100%。
HPLC:100%(面積%)
13C−NMR(D2O)、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0083】
【表1】
【0084】
元素分析(%)
C H N Cl H2O
計算値 46.99 6.45 9.96 25.22
実測値 46.76 6.65 9.93 24.82 <0.1
【0085】
C)N−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−D−フェニルアラニン
【0086】
【化32】
【0087】
水(50mL)中のブロモ酢酸溶液(11.29g;0.081mol)を、5℃で10MNaOH(8.0mL;0.080mol)に加えpH5とした。前工程からのN−(2−アミノエチル)−D−フェニルアラニンビスヒドロクロリド(5.65g;0.20mol)を10分でこの溶液に加え;反応混合物を60℃及び10MNaOH(12.1mL;0.121mol)の添加によりpH10に28時間維持した。反応混合物を12MHClで中和し、アンバーライト(商標)XAD1600樹脂(300mL)のカラム上でろ過し、水で溶出した。初めの溶出液(900mL)は、90%の純度(領域)でリガンドを含んでいた。水性溶液を濃縮し、12MHClでpH1.8の酸性とし、アンバーライト(商標)XAD1600樹脂(450mL)の第二のカラム上でろ過(水で溶出)した。初めの溶出液(1リットル)を破棄し、続く2リットルを蒸発乾固し、所望の生成物(3.4g;0.0089mol)得た。収率44%。
【0088】
m.p.:120℃。
酸滴定(0.1MNaOH):101%。
錯体滴定(0.1MZnSO4):96.8%。
HPLC:98%(面積%)
13C−NMR、1H−NMR及びMSスペクトルは、表示構造に一致した。
【0089】
【表2】
【0090】
元素分析(%)(無水物で)
C H N Br Cl Na
計算値 53.40 5.80 7.32
実測値 53.67 5.75 7.34 <0.1 <0.1 <0.18
【0091】
D)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−D−フェニルアラニンのマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンド(2.82g;0.0072mol)を、水(20mL)に懸濁し、pH6.5において1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(18.64mL;0.0186mol)で可溶化した。その後、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(7.13mL;0.0071mol)の添加によりpHを6.8に維持しながら、MnCl2の1.009M水性溶液を、4時間にわたり加えた。24時間後、溶液をミリポア(商標:Millipore)(HA−0.22μ)をとおしてろ過し、次いで微小ろ過し、最後に30mLに濃縮した。pHを5.8から7.0へ1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(0.3mL)で調整し、溶液を蒸発させ、残査を乾燥(P2O5;2kPa)し、所望の生成物(5.65g;0.0068mol)を得た。収率95%。
【0092】
m.p.:110℃。
HPLC:98.4%(面積%)
MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0093】
元素分析(%)(無水物で)
C H Mn N Cl
計算値 45.09 6.59 6.65 6.78
実測値 45.47 6.52 6.39 6.76 <0.1
【0094】
実施例2
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した〔N,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−L−フェニルアラニン〕〕のマンガン錯体(1:2)
【0095】
【化33】
【0096】
A)N,N′−1,2−エタンジイルビス−L−フェニルアラニン(C.A.S.〔119590−67−9〕)
EtOH(100mL)中の1,2−ジブロモエタン(28.36g;0.151mol)溶液を、2.5時間で、2Mホウ酸塩緩衝液pH9(420mL)中のL−フェニルアラニン(33.51g;0.203mol)溶液中へ攪拌しながら90℃で加えた。添加の終わりに、反応混合物を90℃に4.5時間加熱し、次いで室温に冷却した。結晶固体をろ過し、水で洗浄し、乾燥して、所望の化合物(21.42g;0.6mol)を得た。収率59%。
【0097】
m.p.:260℃、分解。
酸滴定:104.4%。
HPLC:100%(面積%)
1H−NMR、13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0098】
【表3】
【0099】
元素分析(%)
C H N
計算値 67.40 6.79 7.86
実測値 67.22 6.83 7.81
【0100】
B)N,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−L−フェニルアラニン〕
【0101】
【化34】
【0102】
前工程からの化合物(31g;0.087mol)及びブロモ酢酸(48.4g:0.348mol)を、2NNaOH(261mL;0.522mol)中に室温で溶解し;次いで反応混合物を、2NNaOH(156mL;0.312mol)を加えてpHを10.5に維持しながら50℃で24時間加熱した。溶液を水で飽和したn−BuOH(200mL+2×100mL)で抽出した。水性相を75mLまで濃縮し、1.75MHCl(250mL)中に滴下した。pHを2NNaOH(3.5mL)で1.7に調整した。18時間後、沈殿物をろ過し、水(80mL)に懸濁し、10
NNaOH(15.55mL)でpH4.6とした。EtOH(1000mL)を加え、所望の生成物の2ナトリウム塩の沈殿物を得、ろ過し、水(150mL)に溶解した。この溶液を0.25MHCl(610mL)中に滴下し、沈殿物をろ過し、水で洗浄し乾燥(P2O5;2kPa)し、所望の生成物(17.2g;0.036mol)を得た。収率42%。
【0103】
m.p.:148−151℃、分解。
酸滴定(0.1MNaOH):99%。
錯体滴定(0.1MZnSO4):97.7%。
HPLC:100%(面積%)
13C−NMR、1H−NMR、IR及びMSスペクトルは、表示構造に一致した。
【0104】
【表4】
【0105】
元素分析(%)(無水物で)
C H N
計算値 61.01 5.97 5.93
実測値 60.91 5.93 5.91
【0106】
C)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した〔N,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−L−フェニルアラニン〕〕のマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンド(7.45g;0.0158mol)を、水(35mL)に懸濁し、pH3.4において1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(24mL;0.024mol)で可溶化した。その後、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(34.6mL;0.0356mol)の添加によりpHを6に維持しながら、MnCl2の0.964M水性溶液を、1時間にわたり加えた。24時間後、溶液をミリポア(商標:Millipore)(HA−0.45μ)をとおしてろ過し、水で希釈し、次いで微小ろ過し、最後に40mLへ濃縮した。pHを6.9へ1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(0.11mL)で調整し、溶液を蒸発させ、残査を乾燥(P2O5;2kPa)し、所望の生成物(14.15g;0.015mol)を得た。収率98%。
【0107】
m.p.:105℃。
HPLC:98.7%(面積%)
MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0108】
元素分析(%)(90℃で乾燥した後)
C H Mn N
計算値 49.83 6.60 5.99 6.12
実測値 49.81 6.53 6.05 6.16
【0109】
実施例3
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した〔S−(R*,R*)〕−α,α′−〔1,2−エタンジイルビス−〔(カルボキシメチル)イミノ〕〕ビス(シクロヘキサンプロパン酸)のマンガン錯体(1:2)
【0110】
【化35】
【0111】
A)L−フェニルアラニン1,1−ジメチルエチルエステル
【0112】
【化36】
【0113】
98%H2SO4(7mL;0.13mol)を、溶液の温度を20℃未満に維持しながら、ジオキサン(70mL)中に20分で滴下した。L−フェニルアラニン(市販製品)(16.5g;0.10mol)の添加後、溶液を12時間イソブテン雰囲気下に12時間132kPaで攪拌した(45g;0.80mol吸収)。この溶液を、氷(200g)及び10NNaOH(30mL、0.30hmol)の混合物中に滴下し、Et2O(1リットル)で抽出した。水(150mL)で洗浄した後、有機相をNa2SO4上で乾燥し、真空下に蒸発させた。残査を蒸留し、所望の生成物(13g;0.059mol)を得た。収率59%。
【0114】
b.p.:85−90℃(5.3Paで)。
酸滴定(0.1MHCl):99.7%。
HPLC:98%(面積%)
1H−NMR、13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0115】
【表5】
【0116】
元素分析(%)
C H N
計算値 70.56 8.65 6.33
実測値 71.21 8.89 6.61
【0117】
B)N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−N−(2−ヒドロキシエチル)−L−フェニルアラニン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0118】
【化37】
【0119】
CH3CN(1リットル)中のL−フェニルアラニン1,1−ジメチルエチルエステル(221.3g;1mol)、2−(2−ブロモエトキシ)テトラヒドロピラン(J.Org.Chem.1986,51,752-755により調製した)(282.3g;1.35mol)及びジイソプロピルエチルアミン(市販製品)(175mL;1mol)を14時間還流した。混合物にジイソプロピルエチルアミン(市販製品)(175mL;1mol)及びtert−ブチルブロモアセタート(市販製品)(233g;1.2mol)を加え、次いで更に2時間還流した。。溶液を蒸発させ、残査を得、n−ヘキサン(2リットル)中に溶解し、水(1.4リットル)、1NHCl(500mL)、1NNaOH(100mL)及び水(200mL)で洗浄した。溶液を蒸発させ、残査をMeOH(2リットル)に溶解し、2NHCl(1リットル)を加えた。2時間後、2NNaOH(1.2リットル)を加え、溶液を蒸発させ、n−ヘキサン(2リットル)を加えた。有機相を蒸発させ、所望の生成物(280g;0.738mol)を得た。生成物は、更なる精製をせずに次の工程で用いた。収率74%。HPLC:91%(面積%)
【0120】
【表6】
【0121】
別の合成において、化合物は、フラッシュクロマトグラフィ(固定相:シリカゲル230−400メッシュMerck KGaA art.9385、溶離液:n−ヘキサン/EtOAc4:1)により精製し、特性分析のために用いた。
【0122】
酸滴定(0.1MHClO4):98.6%。
HPLC:97.4%(面積%)
1H−NMR、13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0123】
元素分析(%)
C H N
計算値 66.46 8.76 3.69
実測値 66.13 9.32 3.68
【0124】
C)N−(2−ブロモエチル)−N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソ−エチル〕−L−フェニルアラニン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0125】
【化38】
【0126】
N−ブロモスクシンイミド(46.3g;0.26mol)を、CH2Cl2(500mL)中の前工程の生成物(75.9g;0.20mol)及びトリフェニルホスフィン(68.1g;0.26mol)の溶液に加え、0〜5℃まで冷却し、攪拌下に維持した。この溶液を室温に達するまで放置し、4時間後、水(400mL)、5%水性NaHCO3(200mL)、及び水(100mL)で洗浄した。乾燥(Na2SO4)後、溶液を蒸発させ、残査をEt2O(1リットル)に懸濁し;固体(トリフェニルホスフィンオキシド)を濾別し、溶液を蒸発させた。残査をn−ヘキサン(500mL)に溶解し、カルボプロン(商標:Carbopuron)4N(市販製品)(4g)を加え、短時間攪拌した後、濾別した。溶液を蒸発させ、残査を得、フラッシュクロマトグラフィ(固定相:シリカゲル230−400メッシュMerck KGaA art.9385(1kg)、溶離液:Et2O)により精製し、所望の生成物(68g;0.154mol)を得た。収率77%。
【0127】
TLC:Rf 0.46
固定相:シリカゲルプレート60F254(Merck KGaA cod. 5715)
溶離液:n−ヘキサン/EtOAc4:1
検出:1NNaOH中の1%KMnO4
HPLC:92%(面積%)
【0128】
D)(S)−N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−N−〔2−〔〔1−〔(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル〕−2−フェニルエチル〕アミノ〕エチル〕−L−フェニルアラニン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0129】
【化39】
【0130】
CH3CN(50mL)中の前工程からの生成物(31g;0.067mol)を、CH3CN(250mL)中のL−フェニルアラニン1,1−ジメチルエステル(調製Aにより得られた)(15g;0.067mol)及びpH8の2Mリン酸塩緩衝液中の2相液へ、強く攪拌しながら室温で滴下した。20時間後、二つの相を分離し、有機相を蒸発させた。残査をn−ヘキサン(500mL)に溶解し、溶液を水(2×200mL+50mL)で洗浄し、次いで水相をn−ヘキサン(100mL)で洗浄した。乾燥(Na2SO4)後、有機相を併せ、蒸発させ、残査をフラッシュクロマトグラフィ(固定相:シリカゲル230−400メッシュMerck KGaA art.9385;h20cm;φ11cm、溶離液:n−ヘキサン/EtOAc4:1)により精製し、所望の生成物(22.97g;0.039mol)を得た。収率58%。
【0131】
TLC:Rf 0.25
固定相:シリカゲルプレート60F254(Merck KGaA cod. 5715)
溶離液:n−ヘキサン/EtOAc4:1
検出:1NNaOH中の1%KMnO4
HPLC:100%(面積%)
13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0132】
【表7】
【0133】
元素分析(%)
C H N
計算値 70.07 8.65 4.80
実測値 70.15 8.86 5.05
【0134】
E)N,N′−エタンジイルビス〔N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−L−フェニルアラニン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0135】
【化40】
【0136】
CH3CN(200mL)中の前工程からの生成物(232.1g;0.038mol)、t−ブチルブロモアセタート(8.1g:0.042mol)及びジイソプロピルエチルアミン(8.2mL;0.038mol)の溶液を、40時間室温で攪拌しながら放置し、次いで20時間40℃に加熱した。溶液を蒸発させ、残査をn−ヘキサン(200mL)に溶解し、次いで水(100mL+2×50mL)で洗浄した。水性相を、次いでn−ヘキサン(95mL)で洗浄した。併せた有機抽出物を蒸発させ、残査をフラッシュクロマトグラフィ(固定相:シリカゲル230−400メッシュMerck KGaA art.9385;h14cm;φ10cm、溶離液:n−ヘキサン、n−ヘキサン/EtOAc95:5)により精製し、所望の生成物(22.68g;0.032mol)を得た。収率86%。
【0137】
TLC:Rf 0.6
固定相:シリカゲルプレート60F254(Merck KGaA cod. 5715)
溶離液:n−ヘキサン/EtOAc4:1
検出:1NNaOH中の1%KMnO4
HPLC:100%(面積%)
13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0138】
【表8】
【0139】
元素分析(%)(80℃で乾燥した後)
C H N
計算値 68.94 8.68 4.02
実測値 69.00 9.01 4.00
【0140】
F)〔S−(R*,R*)〕−α,α′−〔1,2−エタンジイルビス−〔〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕イミノ〕〕ビス(シクロヘキサンプロパン酸) 1,1−ジメチルエチルエステル
【0141】
【化41】
【0142】
上記工程からの化合物(17.38g;0.025mol)をCH3OH(220mL)に溶解し、5%Rh−炭素を添加した。懸濁物をパールボンベ(mod.4561、300mL)中40バール(4MPa)、65℃、6時間水素化した。触媒をろ過し、ブフナーロート及びミリポアFH0.5μmフィルターをとおしてろ過し、CH3OH(50mL)で洗浄した。溶液を蒸発させ、残査をフラッシュクロマトグラフィ(固定相:シリカゲル230−400メッシュMerck KGaA art.9385;h10cm;φ8cm、溶離液:n−ヘキサン/EtOAc95:5)により精製し、所望の生成物(15.1g;0.021mol)を得た。収率85%。
【0143】
TLC:Rf 0.33
固定相:シリカゲルプレート60F254(Merck KGaA cod. 5715)
溶離液:n−ヘキサン/EtOAc95:5
検出:1NNaOH中の1%KMnO4
13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0144】
【表9】
【0145】
元素分析(%)(80℃で乾燥した後)
C H N
計算値 67.76 10.24 3.95
実測値 67.97 10.43 3.86
【0146】
G)〔S−(R*,R*)〕−α,α′−〔1,2−エタンジイルビス−〔(カルボキシメチル)イミノ〕〕−ビス(シクロヘキサンプロパン)酸
【0147】
【化42】
【0148】
(CH3)3SiI(30mL;0.22mol)を、CHCl3(80mL)中の上記工程からの化合物(15.7g;0.022mol)の溶液中へ、水素雰囲気下に5〜10℃で攪拌しながら50分にわたり滴下した。溶液を攪拌下に室温で72時間放置し、続いて氷水(125g)中へ滴下し、次いでNaHSO3(0.235g)を脱色が完了するまで添加した。無定形橙色沈殿物は、10NNaOH(26mL)でのpH8で可溶化し、混合物を100mLまで濃縮し、1NHCl(98mL)中に滴下した。2NNaOH(12mL)でpHを、1に調整した。15時間後、沈殿物をろ過し、水(200mL)で洗浄し、乾燥(P2O5;2kPa)した。固体をCF3COOH(80mL)中に室温で溶解し、攪拌下に20時間放置した。溶液を蒸発させ、残査を水(150mL)中に懸濁し、沈殿物を得、ろ過し、水(250mL)で洗浄し、水(50mL)中に再度懸濁し、2NNaOH(32mL)でpHを、7.2にして可溶化した。溶液をカルボプロラン(商標)2Sで脱色し、2NHCl(35mL;pH1)中へ滴下した。ろ過した固体を水(300mL)で洗浄し、水(50mL)中へ懸濁し、2NHCl(34mL)中へ滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥(P2O5;2kPa)し、所望の生成物(10.53g;0.021mol)を得た。収率90%。
【0149】
m.p.:205℃。
酸滴定:98%。
錯体滴定(0.1MZnSO4):97%。
TLC:Rf 0.66
固定相:シリカゲルプレート60F254(Merck KGaA cod. 5715)
溶離液:CHCl3/AcOH/H2O 5:5:1
検出:1NNaOH中の1%KMnO4
1H−NMR、13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0150】
元素分析(%)(無水物で)
C H N
計算値 59.48 8.32 5.78
実測値 59.96 8.40 5.58
【0151】
H) 1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した〔S−(R*,R*)〕−α,α′−〔1,2−エタンジイルビス〔(カルボキシメチル)イミノ〕〕ビス(シクロヘキサンプロパン酸)のマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンド(8.51g;0.017mol)を、水(70mL)に懸濁し、pH6において1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(44mL;0.044mol)で可溶化した。その後、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(67.5mL;0.0675mol)の添加によりpHを6に維持しながら、MnCl2の0.995M水性溶液を、50分にわたり加えた。24時間後(pH6.5)、溶液をミリポア(商標:Millipore)(HA−0.45μ)フィルターをとおしてろ過し、水で希釈し、次いで微小ろ過し、最後に40mLへ濃縮した。pHを6.97へ1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの0.1M(0.5mL)で調整し、溶液を蒸発させ、残査を乾燥(P2O5;2kPa)し、所望の生成物(14.29g;0.015mol)を得た。収率90%。
【0152】
m.p.:98−101℃。
MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0153】
元素分析(%)(無水物で)
C H Mn N
計算値 49.18 7.82 5.92 6.04
実測値 49.44 7.99 5.93 6.01
【0154】
実施例4
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN2−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N2−(カルボキシメチル)−N6−〔(9−アントラセニル)カルボニル〕−L−リシンのマンガン錯体(1:2)
【0155】
【化43】
【0156】
A)N6−〔(フェニルメトキシ)カルボニル〕−L−リシン 1,1−ジメチルエチルエステル
C.A.S〔21957−42−6〕
【0157】
【化44】
【0158】
この化合物は、Bentley,P.H.; Stachulski,A.V..J.Chem.Soc.Perkin Trans. I,1187-1192,1983により、調製した。
【0159】
B)N6−〔(フェニルメトキシ)カルボニル〕−N2−〔2−〔ビス〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕アミノ〕エチル〕−N2−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−L−リシン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0160】
【化45】
【0161】
この化合物は、一般開示のスキーム4A及び4Bに記載されている合成方法により調製した。
【0162】
C)N2−〔2−〔ビス〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕アミノ〕エチル〕−N2−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−L−リシン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0163】
【化46】
【0164】
この化合物は、前工程で得られた中間体から、20℃で水素雰囲気下5%Pd/Cでの水素化、ろ過、次いでクロマトグラフィの精製により調製された。
【0165】
D)9−アントラセンカルボン酸クロリド
【0166】
【化47】
【0167】
この化合物は、9−アントラセンカルボン酸(市販製品)から、当業者に既知の方法によりSOCl2との処理により調製した。
【0168】
E)N2−〔2−〔ビス〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕アミノ〕エチル〕−N2−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−N6−〔(9−アントラセニル)カルボニル〕−L−リシン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0169】
【化48】
【0170】
CHCl3中の9−アントラセンカルボン酸クロリドの溶液を、CHCl3中の上記工程(C)からの化合物の溶液中に、5〜10℃で滴下した。得られた溶液をNaHCO3Hの水性飽和溶液で洗浄した。有機相を乾燥し、濃縮乾固し、次いでクロマトグラフィで精製し、所望の化合物を得た。
【0171】
F)N2−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N2−(カルボキシメチル)−N6−〔(9−アントラセニル)カルボニル〕−L−リシン
【0172】
【化49】
【0173】
この化合物は、前工程からのテトラエステルから、既知の方法によるCF3COOHでの加水分解により調製した。
【0174】
G)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN2−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N2−(カルボキシメチル)−N6−〔(9−アントラセニル)カルボニル〕−L−リシンのマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。収率は、工程4Aから出発して20%であった。
【0175】
実施例5
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN2−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N2−(カルボキシメチル)−N6−〔(1−ナフチル)カルボニル〕−L−リシンのマンガン錯体(1:2)
【0176】
【化50】
【0177】
A)N2−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N2−(カルボキシメチル)−N6−〔(1−ナフチル)カルボニル〕−L−リシン
【0178】
【化51】
【0179】
この遊離のリガンドは、工程(E)でナフタレンカルボン酸クロリド(市販製品)を用いて、前実施例のそれと類似の方法で得た。
【0180】
B)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN2−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N2−(カルボキシメチル)−N6−〔(1−ナフチル)カルボニル〕−L−リシンマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。収率は、工程5Aから出発して23%であった。
【0181】
実施例6
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−L−チロシンのマンガン錯体(1:2)
【0182】
【化52】
【0183】
A)N−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−L−チロシン
【0184】
【化53】
【0185】
この化合物は、L−チロシン 1,1、−ジメチルエチルエステル(市販製品−CASno.16974−12−7)から出発し、一般開示のスキーム4A及び4Bに記載の方法により調製した。
【0186】
B)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−L−チロシンのマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。全体の収率は、18%であった。
【0187】
実施例7
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシンのマンガン錯体(1:2)
【0188】
【化54】
【0189】
A)O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシンメチルエステル
【0190】
【化55】
【0191】
MeOH(8mL;48mol)中の6MHCl溶液を、MeOH(12mL)中のO−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシン(2.12g;5mmol)(Chalmers J.R., Dickson G.T., Elks J. and Hems D.A., “The Synthesis of Thyroxine and Related Substances”, Part V. J.Chem.Soc., 3424-3433, 1949により調製した)の懸濁液へ加えた。得られた溶液を攪拌下に20℃で4日間放置した。次いで、NaHCO3水性飽和溶液をpH7まで加え、沈殿物を得、ろ過した。溶液を濃縮した後、2次沈殿物を得た。二つのサンプルを併せ、乾燥(50℃;1.3kPa)し、所望の生成物(2g;3.7mol)を得た。収率87%。
m.p.:173℃。
【0192】
B)N−〔2−〔ビス〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕アミノ〕−エチル〕−N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシン メチルエステル
【0193】
【化56】
【0194】
この化合物は、一般開示のスキーム4A及び4Bに記載された方法により、前工程で得られた中間体から調製した。
【0195】
C)N−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシン
【0196】
【化57】
【0197】
この生成物は、上記工程のテトラエステルから、90℃での0.25MH2SO4での加水分解に続くNaOHでpH13.5、室温での処理により得られた。
【0198】
D) 1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシンのマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。全体の収率は、15%であった。
【0199】
実施例8
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス−〔N−(カルボキシメチル)−L−チロシン〕のマンガン錯体(1:2)
【0200】
【化58】
【0201】
A)N,N′−1,2−エタンジイルビス−〔N−(カルボキシメチル)−L−チロシン〕
【0202】
【化59】
【0203】
この化合物は、実施例2の方法により、L−チロシンから出発して調製した。
【0204】
B)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス−〔N−(カルボキシメチル)−L−チロシン〕のマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。全体の収率は、21%であった。
【0205】
実施例9
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシン〕のマンガン錯体(1:2)
【0206】
【化60】
【0207】
A)N,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシン〕
【0208】
【化61】
【0209】
この化合物は、実施例2の方法により、O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシンから出発して調製した。
【0210】
B)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシン〕のマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。全体の収率は、15%であった。
【0211】
実施例10
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−L−トリプトファン〕のマンガン錯体(1:2)
【0212】
【化62】
【0213】
A)N,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−L−トリプトファン〕
【0214】
【化63】
【0215】
この化合物は、実施例2の方法により、L−トリプトファン(市販製品)から出発して調製された。
【0216】
B)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−L−トリプトファン〕のマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。全体の収率は、25%であった。
【0217】
本発明の化合物の緩和性は、生理食塩水、及びヒト(Human)セロノルム(Seronorm:商標)(Nycomed Pharma)から再構成したヒト血清中の両方で測定し、得られた結果を表1及び2に要約した。
【0218】
表1は、本発明のいくつかの化合物を20MHzで測定した緩和性の値を記載し;用いた他の実験条件は、表に続いて詳細に記載されている。血清で得られた高い緩和値は、記録された画像がT2 強調画像であるM.R.I.画像診断、及び心臓循環系の画像化において、これらの化合物の顕著な可能性を明らかに示している。
【0219】
【表10】
【0220】
(1)凍結乾燥し、使用前に再構成されるヒト血清;Nycomd Pharma AS Oslo, Norway から入手し得る。
(2)0.15MNaCl水性溶液;20MHz;39℃;pH4で測定されたデータ。
(3)0〜1mM;20MHz;39℃;pH7.0で計算されたデータ。
(4)JM.R.I.1993,3,179-186
(5)L.mmol-1.s-1;40℃、20MHz、20モル%カルシウムアスコルベート及び3当量のNa+を含む水性溶液。
(6)0.15MNaCl水性溶液;20MHz;39℃;pH7.3で測定されたデータ。
(7)0〜1mM;20MHz;39℃で計算されたデータ。
【0221】
表2は、上記と同じ実験条件で実施されたテストから得られた結果を含み、そしてr1及びr2緩和性は、血清中で測定及び水性溶液中で、低磁場、正確には5MHz及び10MHzで測定されている。該データは、既に5MHzで得られた緩和においての増大を立証し、低磁場でのM.R.I.画像診断での本発明の化合物の潜在的で好都合な用途を示している。
【0222】
【表11】
【0001】
本発明は、新規なキレート化剤類及びそれらのマンガンキレート化錯体塩類、生理学的に許容し得るそれらの塩類並びに磁気共鳴イメージング(MRI)でのそれらの化合物の使用に関する。
【0002】
種々のM.R.I.造影試薬は、認識的に、低投与用量に加えて、病変と健全組織の間、及び異なる器官及び組織の間で適切なコントラストの増大を与えるように、非常に良好な緩和性;高い熱力学安定性;特にマグネシウム及びカルシウムのような内因性金属のイオンでの遅い金属移行動力学;低い毒性及び非常に低い耐性を有すべきである。ガドリニウムキレート錯体は、7個の解離された電子及び最も高い磁気能率を有するGd3+イオンの特性のために、現在、好適な造影試薬である。現在、ガドリニウムキレート錯体を含む商業的に入手し得る造影試薬は:マグネビスト(Magnevist:登録商標)(Gd−DTPA メグルミン複塩)、ドタレム(Dotarem: 商標)(Gd−DTPA メグルミン塩)、オムニスカン(Omniscan: 商標)(Gd−BMA)及びプロハンス(ProHance: 商標)(Gd−HP−DO3A)である。
【0003】
更に最近の研究は、上述の特性に加えて、明確な組織又は身体器官に特異的である造影剤を見出すことを目的としている。マンガンは、それらの組織特異的造影剤でガドリニウムに代わるものとして示唆されている(Investigative Radiology 1995, 30(10),611-620)。
【0004】
M.R.I.造影剤としてMn2+イオンの潜在的有用性は、心筋画像化のために1978年から、関心が持たれている。ポルフィリン類及びその誘導体とのマンガン錯体(例えば、Mn(III)−メソ−テトラ−(4−スルホナトフェニル)ポルフィリン、Mn−TPPS4)は、腫瘍特異的造影剤として提案された(Investigative Radiology、引例)。Magnetic Resonance in Medicine 1988, 8, 293-313において、ウサギ組織中でのプロトンの縦緩和時間が、MnCl2及びMn−PDA(1,3−プロピレンジアミノ−N,N′,N″,N′″−テトラアセタート)の静脈投与後に研究された。最近の研究において、小さな単一の薄いリポソーム(「メモソーム」(memosomes))(それは肝臓及び心臓の灌流画像のために潜在的に有用である)の膜へ結合した、n−EDTA親油性誘導体(例えば、マンガン−EDTA−ビス(ヒドロキシプロピルデシルアミン)、Mn−EDTA−DDP)からなるM.R.I.造影剤が、研究された(Journal of Liposome Research 1994, 4(2), 811-834))。同じ化合物は、国際特許出願 WO 92/21017及びUS 5,312,617の目的であり、それらはEDTAビス−アミド(ここで、アミド窒素は、長鎖アルキル残基(C7−C30)で置換されている)からなるマンガンキレート(II)に基づくM.R.I.造影剤を開示している。これらのキレートは、それ自体、又は更に好適には脂質若しくはリポソームとの組合せで、肝臓の画像化及び血液プール剤として特に有用であると知られている。
【0005】
マンガンキレート錯体からなるM.R.I.造影剤は、また米国特許4,980,148及び5,246,696に記載されている。リガンドがアルキレンジアミノテトラ酢酸(アルキレン鎖は、O、S、CHOH、CHSHから選択される1個以上の置換基により中断されている)である、該錯体は、肝臓、腎臓、すい臓及び胃腸経路の画像化のために特に有用であると記載されている。
【0006】
最近、テスラスカン(Teslascan(商標))(Na+(1:3)で塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−〔〔3−ヒドロキシ−2−メチル−5−〔(ホスホノオキシ)メチル〕−4−ピリジニル〕−メチル〕グリシンのマンガンキレート、マンガホディピルトリナトリウム、が、肝臓のM.R.I.で使用するために、ヨーロッパ及びU.S.A.で上市された。この化合物は、すい臓の腺ガン及びすい炎のM.R.I.診断に有用であると考えられている(Investigative Radiology 1995, 30(10),611-620)。
【0007】
常磁性金属のイオンは、非常に毒性であると知られている。マンガンは、すべての哺乳動物の細胞に存在する必須の数種の元素であるが、画像診断のために通常用いられる用量でのMn+に対しても同じことが言える。
【0008】
したがって、マンガンの場合、安定な錯体として投与されるそれのために、それにより、遊離の金属に基づくいかなる毒性も阻止することが重要である。逆に、上記の引用文献のいくつかの化合物、例えばMn−DPDPは、生体内でいくらかの不安定性を示し:最近の生物学的分配研究は、この錯体は解離し、解離したマンガンは肝臓、すい臓及び腎臓に蓄積するが、しかるに非解離のキレートは、糸球体のろ過により取り除かれることを示した。Mn−DPDPのM.R.I.特性は、したがって、主として錯体により解離されたマンガンイオン(それは肝臓及びすい臓に蓄積している)に起因する(Investigative Radiology 1994, 29(2),S249-S250)。別の最近の研究は、肝臓のホモジナート中、カルシウム及びマグネシウムイオンの存在で、Mn−DPDPの解離の証拠を与えた(MRM 1996, 35, 14-19)。
【0009】
本発明は、安定なマンガンキレート錯体塩(それは、酸化状態で+2(Mn(II))である)に関する。該化合物は、四つの酢酸基の一つ又は二つのカルボキシルに対するα位置に少なくとも1個の環単位を含む置換基を有することで特徴付けられるエチレンジアミノテトラ酢酸(EDTA)誘導体である。上述したように、一般的に肝臓、すい臓及び胃腸経路の画像化に有用であると考えられている先行技術のマンガンキレート錯体とは逆に、本発明のキレートは、ヒト血清中での良好な安定性及び驚くべき緩和値を有している。
【0010】
より特に、発明は、式(I):
【0011】
【化8】
【0012】
(式中、
R1及びR2は、独立して、水素原子、又は直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、(C1−C20)アルキル鎖であり、該鎖は、1個以上の、窒素若しくは硫黄原子により、及び−CO−、−CONH−、−NHCO−、−SO−、−SO2−、−SO2NH−基により、場合により中断されており、又は1個以上の、−NH2、OH、ハロゲン、COOH基及びそれぞれエステル若しくはアミド誘導体により、場合により置換されており、該鎖は、ともかく1個以上のR3環残基(それらは、同一又は異なり、縮合又は非縮合である)により中断又は置換されているが、但しR3環残基のいくつかが、一緒になって縮合しているとき、相当する多環単位を形成する最大数は、3であり、ここで
R3は、5−〜6−員環式単位の、炭素環又は複素環、飽和、不飽和又は芳香族であり、該環式単位は、非置換又は1個以上のR4基(これらは、同一又は異なる)により置換されており、ここで、
R4は、OH、ハロゲン、−NH(R5)、−N(R5)2、−O−R5、−S−R5、又は−CO−R5(ここで、R5基は、同一又は異なり、直鎖又は分岐鎖の(C1−C5)アルキルであり、非置換又は1個以上のヒドロキシ及び/又はアルコキシ及び/又はカルボキシ基で置換されている)であるか、又はR4は、COOH基であるか、又はそれらのエステル若しくはアミド誘導体であるか、又は−SO3H基若しくはそのアミド誘導体であるか、あるいは
R4は、−O−R6基(ここで、R6は、5−〜6−員環式単位の、炭素環又は複素環、飽和、不飽和又は芳香族であり、該環式単位は、場合により1個以上の、OH、ハロゲン、−NH(R5)、−N(R5)2、−O−R5、−S−R5、又は−CO−R5基(ここで、R5基は、上記と同義である)により、又は1個以上の−COOH基、又はそのエステル若しくはアミド誘導体又は−SO3H若しくはそのアミド誘導体により置換されている)であるが、但しR1及びR2は、同時に水素ではない)で示される化合物(ラセミ及び光学活性体の両方):並びに酸化状態+2のマンガンイオン(Mn(II))とのそのキレート及び第一、第二、第三アミン又は塩基性アミノ酸から選択される、生理学的に許容し得る有機塩基、又はカチオンがナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム又はそれらの混合物である無機塩基とのそれらの塩に関する。
【0013】
このキレート錯体が、全電荷を持つ場合、これは、好適には生理学的に適合し得る対イオンで中和される。本発明の化合物及び/又はそのキレートを塩化するための適切な基質は、例えば、
−無機塩基のカチオン、例えばナトリム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、又はその混合物から選択される、アルカリ又はアルカリ土類金属イオン;
−第一、第二及び第三アミン、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン、グルカミン、N−メチルグルカミン、N,N−ジメチルグルカミンから選択される生理学的に適合し得る有機塩基のカチオン;
−アミノ酸、例えばリシン、アルギニン又はオルニチンのカチオンである。
【0014】
特に好適なものは、N−メチルグルカミン塩である。式(I)の化合物のうち、R1及びR2のための特に好適な意味は、下記式:
【0015】
【化9】
【0016】
【化10】
【0017】
で示される基である。
【0018】
式(I)の化合物の特に好適なクラスは、一般式(II):
【0019】
【化11】
【0020】
及び式(III):
【化12】
【0021】
(上記式中、
R7は、5−〜6−員環式単位の、炭素環及び複素環、飽和、不飽和又は芳香族であり、OH、ハロゲン、COOH又はそのエステル若しくはアミド誘導体、−SO3H若しくはそのアミド誘導体、又は−R5、−NHR5、−N(R5)2、−O−R5、−S−R5(ここで、R5は、上記と同義である)から選択される基の1個以上により、あるいは−OR8及び−CH2R8(ここで、R8は、更に5−〜6−員環式単位の、炭素環及び複素環、飽和、不飽和又は芳香族であり、OH、COOH及びハロゲンから選択される1個以上の基により、場合により置換されている)から選択される基により、場合により置換されており;そして
n=1〜6)で示されるそれらである。
【0022】
式(I)の化合物の特に好適なクラスは、それぞれ、式(IV):
【0023】
【化13】
【0024】
及び式(V):
【化14】
【0025】
(上記式中、
R9は、非縮合若しくは縮合の2又は3個の環式単位(それらは、同一又は異なる)を含む基であり、該単位は、炭素環又は複素環、飽和、不飽和又は芳香族であることができ;
n=1〜6;
m=0又は1;
X=−NHCO、−CONH又は−CONH−CH2−である)で示される化合物である。
【0026】
更に、式(II)及び(III)のうち、特に好適な化合物は、R7が、シクロヘキシル、フェニル、ヒドロキシフェニル又は3,5−ジヨードチロニン残基であるそれらであり;式(IV)及び(V)のうち、特に好適な化合物は、R9がナフタレン、アントラセン又はインドールであり、そしてXが−NHCOであるそれらである。
【0027】
式(I)に含まれる可能なマンガンキレートのうちで、最も好適なものは、リガンドとして以下に示される化合物を有するそれらである:
【0028】
化合物1(実施例1):
【0029】
【化15】
【0030】
化合物2(実施例2):
【0031】
【化16】
【0032】
化合物3(実施例3):
【0033】
【化17】
【0034】
化合物4(実施例4):
【0035】
【化18】
【0036】
化合物5(実施例5):
【0037】
【化19】
【0038】
化合物6(実施例6):
【0039】
【化20】
【0040】
化合物7(実施例7):
【0041】
【化21】
【0042】
化合物8(実施例8):
【0043】
【化22】
【0044】
化合物9(実施例9):
【0045】
【化23】
【0046】
化合物10(実施例10):
【0047】
【化24】
【0048】
本発明は、式(I)〜(V)の式のキレート化合物のMn2+キレート錯体及びその塩の、診断的使用、及びそれらの組成物の製造のための使用に関する。
【0049】
本発明のキレート化錯体は、良好な安定性に加えて、ヒト血清中での驚くべき緩和値を有する。それらの特性は、一般的使用及び心臓循環系の画像化のための特定の組成物でのM.R.I.造影剤の製造で、該化合物を用いて得ることができる画像の改善の点で、それらの興味のある応用し得る用途を予測し得る。
【0050】
より特に、本発明のキレートは、ヒト血清中での特に高いr2値を有することを特徴としている。これは、器官又は組織の画像(該画像は、T2 強調シーケンスにより得られる)の記録においてM.R.I.画像診断を用いるため、それらを、最も適切にし、そしてそれは更に本発明の特徴である。更に、本発明の化合物により示される、ヒト血清中での緩和性の顕著な増大は、造影剤の低用量を要求する診断組成物においてそれらの使用を許し、該組成物は、良好な品質の画像を提供する一方、毒性の点からも顕著な改善を保証している。
【0051】
本発明のキレートを含む画像記録組成物は、したがって、0.001〜1.0mmol/mL、好適には0.01〜0.5mmol/mLの範囲の造影剤の濃度で、特に低用量組成物のために0.25mmol/mL未満の濃度で処方することができる。
【0052】
該組成物は、患者に、0.001〜0.1mmol/Kg、好適には0.1mmol/Kgの範囲の用量で、特に低用量で投与するとき、5〜50μmol/Kgの範囲で投与することができる。
【0053】
本発明により、該キレート錯体は、低磁場、すなわち0.1〜0.5テスラ、又はヘルツでの磁場の強度であるときには20MHz未満の磁場(Anintroductionto Magnetic Resonance in Medicine, Ed. Peter A. Rinck)でのM.R.I.診断画像のための製薬学的組成物の製造においても特に適切である。本発明の化合物は、そのような低磁場でさえ示されるそれらの優れた緩和性のために、好都合には、Artroscan(磁気共鳴の使用を関節造影)、開放装置、ヒト身体の単一領域(例えば、肩)の診断を意図している装置、及び低価格、操作容易及び広く普及した一般装置で用いることができる。
【0054】
本発明のキレートは、肝臓、及び胆管系(器官に、該キレートが到達する)の画像化に良好な適用性を示し、したがって、それらの安定特性を認めている。
【0055】
本発明の化合物の製造のために用いることができる可能な合成ルートのうち、以下に報告されている一般スキームで示されているそれらが、好適である。
【0056】
R1又はR2の一つのみが水素以外であるとき、可能な方法は、スキーム1に示した。
【0057】
【化25】
【0058】
(式中、
R1は、式(I)と同義であり、
X=ハロゲン(Cl、Br、I)、
m=キレート錯体の全電荷の数、
B=キレート錯体を塩化するに適切な物質(例えば、Na+、K+、Mg++、Ca++又はそれらの混合物、メグルミン(meglumine)など)、
z=Bの電荷の数、
pは、p・z=mであるような整数である)
【0059】
工程(a1)において、天然又は合成のα−アミノ酸(1A)は、酸性水性媒質中、NaNO2の存在下に、−5〜+5℃の範囲であることができる温度で、適切なハライド(例えば、KBr)と反応させる。得られたα−ハロ酸を、工程(b1)で、20〜40℃の温度で水性溶液中1,2−ジアミノエタンと反応させる。得られた中間体(3A)を、工程(c1)で、塩基性媒質中、pH10で、約60℃でα−ハロ酢酸(例えば、ブロモ酢酸)と反応させ、遊離のリガンド(4A)を得る。後者を、工程(d1)で、中和に必要な塩基量の存在下に、塩として化学量論量のマンガンと反応させる;反応は、好適には水中又は適切な水−アルコール混合物中、25〜40℃で実施し、それにより所望のキレート錯体(5A)を得る。
【0060】
R1及びR2の両方が水素以外であり、R1がR2と同一であるとき、以下のスキーム2に要約した方法が行われる:
【0061】
【化26】
【0062】
(式中、
R1は、式(I)と同義であり、
X=ハロゲン(Cl、Br、I)、
m=キレート錯体の全電荷の数、
B=キレート錯体を塩化するに適切な物質(例えば、Na+、K+、Mg++、Ca++又はそれらの混合物、メグルミン(meglumine)など)、
z=Bの電荷の数、
pは、p・z=mであるような整数である)
【0063】
工程(a2)において、適切なα−アミノ酸(1B)は、1,2−ジハロエタン、例えば1,2−ジブロモエタンと、適切な溶媒中(例えば、水/エタノール、水/メタノール混合物)、適切な緩衝液(好適には2Mホウ酸塩緩衝液)でpHを約9に保持し、60〜90℃の範囲であることができる温度で、反応させる。別の方法(工程a′2)として、α−ハロ酸(1B′)を、1,2−ジアミノエタン(2B′)と、20〜60℃で水性溶液中で反応させることができる。得られた中間体(3B)を、工程(b2)で、α−ハロ酢酸(例えば、ブロモ酢酸)と、塩基性のpH(約10)及び40〜70℃の温度で反応させ、遊離のリガンド(4B)を得る。これを、工程(c2)で、既にスキーム1で記載した一般方法により、塩として化学量論量のマンガンと反応させ、所望のキレート錯体(5B)を得る。
【0064】
R1及びR2が、両方水素以外であり、そして互いに異なるとき、以下のスキーム3に示されたように、異なる化学量論量を用いて、非対称リガンドを製造することができる:
【0065】
【化27】
【0066】
(式中、
R1及びR2は、式(I)と同義であり、
X=ハロゲン(Cl、Br、I)、
m=キレート錯体の全電荷の数、
B=キレート錯体を塩化するに適切な物質(例えば、Na+、K+、Mg++、Ca++又はそれらの混合物、メグルミン(meglumine)など)、
z=Bの電荷の数、
pは、p・z=mであるような整数である)
【0067】
2置換された化合物を提供するための別の方法は、以下のスキーム4A及び4Bに示される:
【0068】
【化28】
【0069】
(式中、
R1は、式(I)と同義であり。
Pg=保護基(例えば、t−ブチル)、
Y=Cl、Br又は他の脱離基(I、−OMs、−OTf、−OTs))
【0070】
工程(d1)は、2−ハロエタノール(好適には2−ブロモエタノール)のジヒドロピランでのアルコール部分の保護を含み、中間体(2D)を与える。アルコール保護基は、例えば、ベンジル又はトリルであることができる。反応は、有機溶媒、例えばCH2Cl2、CHCl3、CH2ClCH2Cl中、4−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩又は他の酸触媒の存在下に実施される。中間体(2D)において、脱離基は、好適にはBrである。
【0071】
工程(d2)において、ラセミ体又は光学的に活性な形態のいずれかの、天然又は合成α−アミノ酸のエステル(例えば、t−ブチルエステル)(1D)は、中間体(2D)と塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンの存在下に、溶媒、例えばCH3CN、DMF、又は塩素化溶媒中で反応させ、中間体(3D)を得る。
【0072】
後者を、工程(d3)で、ブロモ酢酸エステル(例えば、t−ブチル−ブロモ酢酸)と、塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンの存在下に反応させ、中間体(4D)を得、次の工程(d4)で、4−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩又は他の酸触媒と、20〜60℃で反応させ、中間体(5D)を得る。
【0073】
工程(d5)で、中間体(5D)を、N−ブロモスクシンイミドで、トリフェニルホスフィンの存在下に反応させ、中間体(6D)を得、これを、工程(d6)で、適切な溶媒(例えば、CH3CN/リン酸塩緩衝液、pH8)中で、α−アミノ酸(7D)のエステル(例えばt−ブチルエステル)と反応させ、中間体(8D)を得る。これを、次いで、ブロモ酢酸エステル(例えば、t−ブチル−ブロモアセタート)と、塩基、例えばジイソプロピルエチルアミン)の存在下に反応させ、テトラエステル(9D)を得る。後者を、工程(d8)で、既知の方法(例えば保護基がt−ブチルであるとき、CF3COOH又は(CH3)3SiIでの加水分解)で脱保護し、遊離のリガンドを得、それを、上述のスキームで既述した一般方法で、錯体化し、塩化する。
【0074】
【化29】
【0075】
(式中、
R1及びR2は、式(I)と同義であり。
Pg=保護基(例えば、t−ブチル)、
X=ハロゲン(Cl、Br、I))
【0076】
以下の例は、本発明の化合物の製造のための最もよい実験条件を説明している。
【0077】
【実施例】
実施例1
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)−アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−D−フェニルアラニンのマンガン錯体(1:2)
【0078】
【化30】
【0079】
A)(S)−(α)−ブロモベンゼンプロパン酸(C.A.S.〔35016−63−8〕)
この化合物を、Briggs, M.T.; Morley, J.S., J.Chem.Soc., Perkin Trans. 1979,1(9),2138-2143により調製した。
B)N−(2−アミノエチル)−D−フェニルアラニン ビス−ヒドロクロリド
【0080】
【化31】
【0081】
前工程からの化合物(26.17g;0.114mol)を、水(150mL)中のエチレンジアミン(100mL;1.5mol)に、温度を40℃未満に維持しながら、40分にわたり加えた。溶液を室温で一夜攪拌下に維持し、次いで過剰のエチレンジアミンを蒸発(50℃;2kPa)させ;残査を水(125mL)に溶解し、37%水性塩酸(48mL)で酸性化した。懸濁液をろ過し、母液を濃縮し、カルボプロン(Carbopuron:商標)4Nで脱色した.ろ過した後、2NNaOH(37mL)で、溶液のpHを3に調整し、ろ過して沈殿物を得た。母液を125mLに濃縮し、第二の沈殿物を得た。二つの沈殿物を水(300mL)に溶解し、アンバーライト(商標)IRA−400樹脂のカラム(350mL;OH−体)上でろ過し、水で中性まで洗浄した。水性HClでカラムの溶離をした後、酸性の溶離液を蒸発させ、残査を乾燥(P2O5;2kPa)し、所望の化合物(15.2g;0.054mol)を得た。収率51%。
【0082】
m.p.:230℃。
酸滴定(0.1MNaOH):100.9%。
銀滴定(0.1MAgNO3):100%。
HPLC:100%(面積%)
13C−NMR(D2O)、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0083】
【表1】
【0084】
元素分析(%)
C H N Cl H2O
計算値 46.99 6.45 9.96 25.22
実測値 46.76 6.65 9.93 24.82 <0.1
【0085】
C)N−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−D−フェニルアラニン
【0086】
【化32】
【0087】
水(50mL)中のブロモ酢酸溶液(11.29g;0.081mol)を、5℃で10MNaOH(8.0mL;0.080mol)に加えpH5とした。前工程からのN−(2−アミノエチル)−D−フェニルアラニンビスヒドロクロリド(5.65g;0.20mol)を10分でこの溶液に加え;反応混合物を60℃及び10MNaOH(12.1mL;0.121mol)の添加によりpH10に28時間維持した。反応混合物を12MHClで中和し、アンバーライト(商標)XAD1600樹脂(300mL)のカラム上でろ過し、水で溶出した。初めの溶出液(900mL)は、90%の純度(領域)でリガンドを含んでいた。水性溶液を濃縮し、12MHClでpH1.8の酸性とし、アンバーライト(商標)XAD1600樹脂(450mL)の第二のカラム上でろ過(水で溶出)した。初めの溶出液(1リットル)を破棄し、続く2リットルを蒸発乾固し、所望の生成物(3.4g;0.0089mol)得た。収率44%。
【0088】
m.p.:120℃。
酸滴定(0.1MNaOH):101%。
錯体滴定(0.1MZnSO4):96.8%。
HPLC:98%(面積%)
13C−NMR、1H−NMR及びMSスペクトルは、表示構造に一致した。
【0089】
【表2】
【0090】
元素分析(%)(無水物で)
C H N Br Cl Na
計算値 53.40 5.80 7.32
実測値 53.67 5.75 7.34 <0.1 <0.1 <0.18
【0091】
D)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−D−フェニルアラニンのマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンド(2.82g;0.0072mol)を、水(20mL)に懸濁し、pH6.5において1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(18.64mL;0.0186mol)で可溶化した。その後、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(7.13mL;0.0071mol)の添加によりpHを6.8に維持しながら、MnCl2の1.009M水性溶液を、4時間にわたり加えた。24時間後、溶液をミリポア(商標:Millipore)(HA−0.22μ)をとおしてろ過し、次いで微小ろ過し、最後に30mLに濃縮した。pHを5.8から7.0へ1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(0.3mL)で調整し、溶液を蒸発させ、残査を乾燥(P2O5;2kPa)し、所望の生成物(5.65g;0.0068mol)を得た。収率95%。
【0092】
m.p.:110℃。
HPLC:98.4%(面積%)
MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0093】
元素分析(%)(無水物で)
C H Mn N Cl
計算値 45.09 6.59 6.65 6.78
実測値 45.47 6.52 6.39 6.76 <0.1
【0094】
実施例2
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した〔N,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−L−フェニルアラニン〕〕のマンガン錯体(1:2)
【0095】
【化33】
【0096】
A)N,N′−1,2−エタンジイルビス−L−フェニルアラニン(C.A.S.〔119590−67−9〕)
EtOH(100mL)中の1,2−ジブロモエタン(28.36g;0.151mol)溶液を、2.5時間で、2Mホウ酸塩緩衝液pH9(420mL)中のL−フェニルアラニン(33.51g;0.203mol)溶液中へ攪拌しながら90℃で加えた。添加の終わりに、反応混合物を90℃に4.5時間加熱し、次いで室温に冷却した。結晶固体をろ過し、水で洗浄し、乾燥して、所望の化合物(21.42g;0.6mol)を得た。収率59%。
【0097】
m.p.:260℃、分解。
酸滴定:104.4%。
HPLC:100%(面積%)
1H−NMR、13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0098】
【表3】
【0099】
元素分析(%)
C H N
計算値 67.40 6.79 7.86
実測値 67.22 6.83 7.81
【0100】
B)N,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−L−フェニルアラニン〕
【0101】
【化34】
【0102】
前工程からの化合物(31g;0.087mol)及びブロモ酢酸(48.4g:0.348mol)を、2NNaOH(261mL;0.522mol)中に室温で溶解し;次いで反応混合物を、2NNaOH(156mL;0.312mol)を加えてpHを10.5に維持しながら50℃で24時間加熱した。溶液を水で飽和したn−BuOH(200mL+2×100mL)で抽出した。水性相を75mLまで濃縮し、1.75MHCl(250mL)中に滴下した。pHを2NNaOH(3.5mL)で1.7に調整した。18時間後、沈殿物をろ過し、水(80mL)に懸濁し、10
NNaOH(15.55mL)でpH4.6とした。EtOH(1000mL)を加え、所望の生成物の2ナトリウム塩の沈殿物を得、ろ過し、水(150mL)に溶解した。この溶液を0.25MHCl(610mL)中に滴下し、沈殿物をろ過し、水で洗浄し乾燥(P2O5;2kPa)し、所望の生成物(17.2g;0.036mol)を得た。収率42%。
【0103】
m.p.:148−151℃、分解。
酸滴定(0.1MNaOH):99%。
錯体滴定(0.1MZnSO4):97.7%。
HPLC:100%(面積%)
13C−NMR、1H−NMR、IR及びMSスペクトルは、表示構造に一致した。
【0104】
【表4】
【0105】
元素分析(%)(無水物で)
C H N
計算値 61.01 5.97 5.93
実測値 60.91 5.93 5.91
【0106】
C)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した〔N,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−L−フェニルアラニン〕〕のマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンド(7.45g;0.0158mol)を、水(35mL)に懸濁し、pH3.4において1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(24mL;0.024mol)で可溶化した。その後、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(34.6mL;0.0356mol)の添加によりpHを6に維持しながら、MnCl2の0.964M水性溶液を、1時間にわたり加えた。24時間後、溶液をミリポア(商標:Millipore)(HA−0.45μ)をとおしてろ過し、水で希釈し、次いで微小ろ過し、最後に40mLへ濃縮した。pHを6.9へ1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(0.11mL)で調整し、溶液を蒸発させ、残査を乾燥(P2O5;2kPa)し、所望の生成物(14.15g;0.015mol)を得た。収率98%。
【0107】
m.p.:105℃。
HPLC:98.7%(面積%)
MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0108】
元素分析(%)(90℃で乾燥した後)
C H Mn N
計算値 49.83 6.60 5.99 6.12
実測値 49.81 6.53 6.05 6.16
【0109】
実施例3
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した〔S−(R*,R*)〕−α,α′−〔1,2−エタンジイルビス−〔(カルボキシメチル)イミノ〕〕ビス(シクロヘキサンプロパン酸)のマンガン錯体(1:2)
【0110】
【化35】
【0111】
A)L−フェニルアラニン1,1−ジメチルエチルエステル
【0112】
【化36】
【0113】
98%H2SO4(7mL;0.13mol)を、溶液の温度を20℃未満に維持しながら、ジオキサン(70mL)中に20分で滴下した。L−フェニルアラニン(市販製品)(16.5g;0.10mol)の添加後、溶液を12時間イソブテン雰囲気下に12時間132kPaで攪拌した(45g;0.80mol吸収)。この溶液を、氷(200g)及び10NNaOH(30mL、0.30hmol)の混合物中に滴下し、Et2O(1リットル)で抽出した。水(150mL)で洗浄した後、有機相をNa2SO4上で乾燥し、真空下に蒸発させた。残査を蒸留し、所望の生成物(13g;0.059mol)を得た。収率59%。
【0114】
b.p.:85−90℃(5.3Paで)。
酸滴定(0.1MHCl):99.7%。
HPLC:98%(面積%)
1H−NMR、13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0115】
【表5】
【0116】
元素分析(%)
C H N
計算値 70.56 8.65 6.33
実測値 71.21 8.89 6.61
【0117】
B)N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−N−(2−ヒドロキシエチル)−L−フェニルアラニン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0118】
【化37】
【0119】
CH3CN(1リットル)中のL−フェニルアラニン1,1−ジメチルエチルエステル(221.3g;1mol)、2−(2−ブロモエトキシ)テトラヒドロピラン(J.Org.Chem.1986,51,752-755により調製した)(282.3g;1.35mol)及びジイソプロピルエチルアミン(市販製品)(175mL;1mol)を14時間還流した。混合物にジイソプロピルエチルアミン(市販製品)(175mL;1mol)及びtert−ブチルブロモアセタート(市販製品)(233g;1.2mol)を加え、次いで更に2時間還流した。。溶液を蒸発させ、残査を得、n−ヘキサン(2リットル)中に溶解し、水(1.4リットル)、1NHCl(500mL)、1NNaOH(100mL)及び水(200mL)で洗浄した。溶液を蒸発させ、残査をMeOH(2リットル)に溶解し、2NHCl(1リットル)を加えた。2時間後、2NNaOH(1.2リットル)を加え、溶液を蒸発させ、n−ヘキサン(2リットル)を加えた。有機相を蒸発させ、所望の生成物(280g;0.738mol)を得た。生成物は、更なる精製をせずに次の工程で用いた。収率74%。HPLC:91%(面積%)
【0120】
【表6】
【0121】
別の合成において、化合物は、フラッシュクロマトグラフィ(固定相:シリカゲル230−400メッシュMerck KGaA art.9385、溶離液:n−ヘキサン/EtOAc4:1)により精製し、特性分析のために用いた。
【0122】
酸滴定(0.1MHClO4):98.6%。
HPLC:97.4%(面積%)
1H−NMR、13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0123】
元素分析(%)
C H N
計算値 66.46 8.76 3.69
実測値 66.13 9.32 3.68
【0124】
C)N−(2−ブロモエチル)−N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソ−エチル〕−L−フェニルアラニン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0125】
【化38】
【0126】
N−ブロモスクシンイミド(46.3g;0.26mol)を、CH2Cl2(500mL)中の前工程の生成物(75.9g;0.20mol)及びトリフェニルホスフィン(68.1g;0.26mol)の溶液に加え、0〜5℃まで冷却し、攪拌下に維持した。この溶液を室温に達するまで放置し、4時間後、水(400mL)、5%水性NaHCO3(200mL)、及び水(100mL)で洗浄した。乾燥(Na2SO4)後、溶液を蒸発させ、残査をEt2O(1リットル)に懸濁し;固体(トリフェニルホスフィンオキシド)を濾別し、溶液を蒸発させた。残査をn−ヘキサン(500mL)に溶解し、カルボプロン(商標:Carbopuron)4N(市販製品)(4g)を加え、短時間攪拌した後、濾別した。溶液を蒸発させ、残査を得、フラッシュクロマトグラフィ(固定相:シリカゲル230−400メッシュMerck KGaA art.9385(1kg)、溶離液:Et2O)により精製し、所望の生成物(68g;0.154mol)を得た。収率77%。
【0127】
TLC:Rf 0.46
固定相:シリカゲルプレート60F254(Merck KGaA cod. 5715)
溶離液:n−ヘキサン/EtOAc4:1
検出:1NNaOH中の1%KMnO4
HPLC:92%(面積%)
【0128】
D)(S)−N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−N−〔2−〔〔1−〔(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル〕−2−フェニルエチル〕アミノ〕エチル〕−L−フェニルアラニン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0129】
【化39】
【0130】
CH3CN(50mL)中の前工程からの生成物(31g;0.067mol)を、CH3CN(250mL)中のL−フェニルアラニン1,1−ジメチルエステル(調製Aにより得られた)(15g;0.067mol)及びpH8の2Mリン酸塩緩衝液中の2相液へ、強く攪拌しながら室温で滴下した。20時間後、二つの相を分離し、有機相を蒸発させた。残査をn−ヘキサン(500mL)に溶解し、溶液を水(2×200mL+50mL)で洗浄し、次いで水相をn−ヘキサン(100mL)で洗浄した。乾燥(Na2SO4)後、有機相を併せ、蒸発させ、残査をフラッシュクロマトグラフィ(固定相:シリカゲル230−400メッシュMerck KGaA art.9385;h20cm;φ11cm、溶離液:n−ヘキサン/EtOAc4:1)により精製し、所望の生成物(22.97g;0.039mol)を得た。収率58%。
【0131】
TLC:Rf 0.25
固定相:シリカゲルプレート60F254(Merck KGaA cod. 5715)
溶離液:n−ヘキサン/EtOAc4:1
検出:1NNaOH中の1%KMnO4
HPLC:100%(面積%)
13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0132】
【表7】
【0133】
元素分析(%)
C H N
計算値 70.07 8.65 4.80
実測値 70.15 8.86 5.05
【0134】
E)N,N′−エタンジイルビス〔N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−L−フェニルアラニン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0135】
【化40】
【0136】
CH3CN(200mL)中の前工程からの生成物(232.1g;0.038mol)、t−ブチルブロモアセタート(8.1g:0.042mol)及びジイソプロピルエチルアミン(8.2mL;0.038mol)の溶液を、40時間室温で攪拌しながら放置し、次いで20時間40℃に加熱した。溶液を蒸発させ、残査をn−ヘキサン(200mL)に溶解し、次いで水(100mL+2×50mL)で洗浄した。水性相を、次いでn−ヘキサン(95mL)で洗浄した。併せた有機抽出物を蒸発させ、残査をフラッシュクロマトグラフィ(固定相:シリカゲル230−400メッシュMerck KGaA art.9385;h14cm;φ10cm、溶離液:n−ヘキサン、n−ヘキサン/EtOAc95:5)により精製し、所望の生成物(22.68g;0.032mol)を得た。収率86%。
【0137】
TLC:Rf 0.6
固定相:シリカゲルプレート60F254(Merck KGaA cod. 5715)
溶離液:n−ヘキサン/EtOAc4:1
検出:1NNaOH中の1%KMnO4
HPLC:100%(面積%)
13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0138】
【表8】
【0139】
元素分析(%)(80℃で乾燥した後)
C H N
計算値 68.94 8.68 4.02
実測値 69.00 9.01 4.00
【0140】
F)〔S−(R*,R*)〕−α,α′−〔1,2−エタンジイルビス−〔〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕イミノ〕〕ビス(シクロヘキサンプロパン酸) 1,1−ジメチルエチルエステル
【0141】
【化41】
【0142】
上記工程からの化合物(17.38g;0.025mol)をCH3OH(220mL)に溶解し、5%Rh−炭素を添加した。懸濁物をパールボンベ(mod.4561、300mL)中40バール(4MPa)、65℃、6時間水素化した。触媒をろ過し、ブフナーロート及びミリポアFH0.5μmフィルターをとおしてろ過し、CH3OH(50mL)で洗浄した。溶液を蒸発させ、残査をフラッシュクロマトグラフィ(固定相:シリカゲル230−400メッシュMerck KGaA art.9385;h10cm;φ8cm、溶離液:n−ヘキサン/EtOAc95:5)により精製し、所望の生成物(15.1g;0.021mol)を得た。収率85%。
【0143】
TLC:Rf 0.33
固定相:シリカゲルプレート60F254(Merck KGaA cod. 5715)
溶離液:n−ヘキサン/EtOAc95:5
検出:1NNaOH中の1%KMnO4
13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0144】
【表9】
【0145】
元素分析(%)(80℃で乾燥した後)
C H N
計算値 67.76 10.24 3.95
実測値 67.97 10.43 3.86
【0146】
G)〔S−(R*,R*)〕−α,α′−〔1,2−エタンジイルビス−〔(カルボキシメチル)イミノ〕〕−ビス(シクロヘキサンプロパン)酸
【0147】
【化42】
【0148】
(CH3)3SiI(30mL;0.22mol)を、CHCl3(80mL)中の上記工程からの化合物(15.7g;0.022mol)の溶液中へ、水素雰囲気下に5〜10℃で攪拌しながら50分にわたり滴下した。溶液を攪拌下に室温で72時間放置し、続いて氷水(125g)中へ滴下し、次いでNaHSO3(0.235g)を脱色が完了するまで添加した。無定形橙色沈殿物は、10NNaOH(26mL)でのpH8で可溶化し、混合物を100mLまで濃縮し、1NHCl(98mL)中に滴下した。2NNaOH(12mL)でpHを、1に調整した。15時間後、沈殿物をろ過し、水(200mL)で洗浄し、乾燥(P2O5;2kPa)した。固体をCF3COOH(80mL)中に室温で溶解し、攪拌下に20時間放置した。溶液を蒸発させ、残査を水(150mL)中に懸濁し、沈殿物を得、ろ過し、水(250mL)で洗浄し、水(50mL)中に再度懸濁し、2NNaOH(32mL)でpHを、7.2にして可溶化した。溶液をカルボプロラン(商標)2Sで脱色し、2NHCl(35mL;pH1)中へ滴下した。ろ過した固体を水(300mL)で洗浄し、水(50mL)中へ懸濁し、2NHCl(34mL)中へ滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥(P2O5;2kPa)し、所望の生成物(10.53g;0.021mol)を得た。収率90%。
【0149】
m.p.:205℃。
酸滴定:98%。
錯体滴定(0.1MZnSO4):97%。
TLC:Rf 0.66
固定相:シリカゲルプレート60F254(Merck KGaA cod. 5715)
溶離液:CHCl3/AcOH/H2O 5:5:1
検出:1NNaOH中の1%KMnO4
1H−NMR、13C−NMR、MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0150】
元素分析(%)(無水物で)
C H N
計算値 59.48 8.32 5.78
実測値 59.96 8.40 5.58
【0151】
H) 1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した〔S−(R*,R*)〕−α,α′−〔1,2−エタンジイルビス〔(カルボキシメチル)イミノ〕〕ビス(シクロヘキサンプロパン酸)のマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンド(8.51g;0.017mol)を、水(70mL)に懸濁し、pH6において1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(44mL;0.044mol)で可溶化した。その後、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの1M(67.5mL;0.0675mol)の添加によりpHを6に維持しながら、MnCl2の0.995M水性溶液を、50分にわたり加えた。24時間後(pH6.5)、溶液をミリポア(商標:Millipore)(HA−0.45μ)フィルターをとおしてろ過し、水で希釈し、次いで微小ろ過し、最後に40mLへ濃縮した。pHを6.97へ1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの0.1M(0.5mL)で調整し、溶液を蒸発させ、残査を乾燥(P2O5;2kPa)し、所望の生成物(14.29g;0.015mol)を得た。収率90%。
【0152】
m.p.:98−101℃。
MS及びIRスペクトルは、表示構造に一致した。
【0153】
元素分析(%)(無水物で)
C H Mn N
計算値 49.18 7.82 5.92 6.04
実測値 49.44 7.99 5.93 6.01
【0154】
実施例4
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN2−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N2−(カルボキシメチル)−N6−〔(9−アントラセニル)カルボニル〕−L−リシンのマンガン錯体(1:2)
【0155】
【化43】
【0156】
A)N6−〔(フェニルメトキシ)カルボニル〕−L−リシン 1,1−ジメチルエチルエステル
C.A.S〔21957−42−6〕
【0157】
【化44】
【0158】
この化合物は、Bentley,P.H.; Stachulski,A.V..J.Chem.Soc.Perkin Trans. I,1187-1192,1983により、調製した。
【0159】
B)N6−〔(フェニルメトキシ)カルボニル〕−N2−〔2−〔ビス〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕アミノ〕エチル〕−N2−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−L−リシン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0160】
【化45】
【0161】
この化合物は、一般開示のスキーム4A及び4Bに記載されている合成方法により調製した。
【0162】
C)N2−〔2−〔ビス〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕アミノ〕エチル〕−N2−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−L−リシン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0163】
【化46】
【0164】
この化合物は、前工程で得られた中間体から、20℃で水素雰囲気下5%Pd/Cでの水素化、ろ過、次いでクロマトグラフィの精製により調製された。
【0165】
D)9−アントラセンカルボン酸クロリド
【0166】
【化47】
【0167】
この化合物は、9−アントラセンカルボン酸(市販製品)から、当業者に既知の方法によりSOCl2との処理により調製した。
【0168】
E)N2−〔2−〔ビス〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕アミノ〕エチル〕−N2−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−N6−〔(9−アントラセニル)カルボニル〕−L−リシン 1,1−ジメチルエチルエステル
【0169】
【化48】
【0170】
CHCl3中の9−アントラセンカルボン酸クロリドの溶液を、CHCl3中の上記工程(C)からの化合物の溶液中に、5〜10℃で滴下した。得られた溶液をNaHCO3Hの水性飽和溶液で洗浄した。有機相を乾燥し、濃縮乾固し、次いでクロマトグラフィで精製し、所望の化合物を得た。
【0171】
F)N2−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N2−(カルボキシメチル)−N6−〔(9−アントラセニル)カルボニル〕−L−リシン
【0172】
【化49】
【0173】
この化合物は、前工程からのテトラエステルから、既知の方法によるCF3COOHでの加水分解により調製した。
【0174】
G)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN2−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N2−(カルボキシメチル)−N6−〔(9−アントラセニル)カルボニル〕−L−リシンのマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。収率は、工程4Aから出発して20%であった。
【0175】
実施例5
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN2−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N2−(カルボキシメチル)−N6−〔(1−ナフチル)カルボニル〕−L−リシンのマンガン錯体(1:2)
【0176】
【化50】
【0177】
A)N2−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N2−(カルボキシメチル)−N6−〔(1−ナフチル)カルボニル〕−L−リシン
【0178】
【化51】
【0179】
この遊離のリガンドは、工程(E)でナフタレンカルボン酸クロリド(市販製品)を用いて、前実施例のそれと類似の方法で得た。
【0180】
B)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN2−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N2−(カルボキシメチル)−N6−〔(1−ナフチル)カルボニル〕−L−リシンマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。収率は、工程5Aから出発して23%であった。
【0181】
実施例6
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−L−チロシンのマンガン錯体(1:2)
【0182】
【化52】
【0183】
A)N−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−L−チロシン
【0184】
【化53】
【0185】
この化合物は、L−チロシン 1,1、−ジメチルエチルエステル(市販製品−CASno.16974−12−7)から出発し、一般開示のスキーム4A及び4Bに記載の方法により調製した。
【0186】
B)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−L−チロシンのマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。全体の収率は、18%であった。
【0187】
実施例7
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシンのマンガン錯体(1:2)
【0188】
【化54】
【0189】
A)O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシンメチルエステル
【0190】
【化55】
【0191】
MeOH(8mL;48mol)中の6MHCl溶液を、MeOH(12mL)中のO−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシン(2.12g;5mmol)(Chalmers J.R., Dickson G.T., Elks J. and Hems D.A., “The Synthesis of Thyroxine and Related Substances”, Part V. J.Chem.Soc., 3424-3433, 1949により調製した)の懸濁液へ加えた。得られた溶液を攪拌下に20℃で4日間放置した。次いで、NaHCO3水性飽和溶液をpH7まで加え、沈殿物を得、ろ過した。溶液を濃縮した後、2次沈殿物を得た。二つのサンプルを併せ、乾燥(50℃;1.3kPa)し、所望の生成物(2g;3.7mol)を得た。収率87%。
m.p.:173℃。
【0192】
B)N−〔2−〔ビス〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕アミノ〕−エチル〕−N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)−2−オキソエチル〕−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシン メチルエステル
【0193】
【化56】
【0194】
この化合物は、一般開示のスキーム4A及び4Bに記載された方法により、前工程で得られた中間体から調製した。
【0195】
C)N−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシン
【0196】
【化57】
【0197】
この生成物は、上記工程のテトラエステルから、90℃での0.25MH2SO4での加水分解に続くNaOHでpH13.5、室温での処理により得られた。
【0198】
D) 1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN−〔2−〔ビス(カルボキシメチル)アミノ〕エチル〕−N−(カルボキシメチル)−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシンのマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。全体の収率は、15%であった。
【0199】
実施例8
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス−〔N−(カルボキシメチル)−L−チロシン〕のマンガン錯体(1:2)
【0200】
【化58】
【0201】
A)N,N′−1,2−エタンジイルビス−〔N−(カルボキシメチル)−L−チロシン〕
【0202】
【化59】
【0203】
この化合物は、実施例2の方法により、L−チロシンから出発して調製した。
【0204】
B)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス−〔N−(カルボキシメチル)−L−チロシン〕のマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。全体の収率は、21%であった。
【0205】
実施例9
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシン〕のマンガン錯体(1:2)
【0206】
【化60】
【0207】
A)N,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシン〕
【0208】
【化61】
【0209】
この化合物は、実施例2の方法により、O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシンから出発して調製した。
【0210】
B)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−O−(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジヨード−L−チロシン〕のマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。全体の収率は、15%であった。
【0211】
実施例10
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−L−トリプトファン〕のマンガン錯体(1:2)
【0212】
【化62】
【0213】
A)N,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−L−トリプトファン〕
【0214】
【化63】
【0215】
この化合物は、実施例2の方法により、L−トリプトファン(市販製品)から出発して調製された。
【0216】
B)1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化したN,N′−1,2−エタンジイルビス〔N−(カルボキシメチル)−L−トリプトファン〕のマンガン錯体(1:2)
前工程からの遊離のリガンドを、一般開示のスキーム1に記載された方法により、MnCl2で錯体化し、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールで塩化した。全体の収率は、25%であった。
【0217】
本発明の化合物の緩和性は、生理食塩水、及びヒト(Human)セロノルム(Seronorm:商標)(Nycomed Pharma)から再構成したヒト血清中の両方で測定し、得られた結果を表1及び2に要約した。
【0218】
表1は、本発明のいくつかの化合物を20MHzで測定した緩和性の値を記載し;用いた他の実験条件は、表に続いて詳細に記載されている。血清で得られた高い緩和値は、記録された画像がT2 強調画像であるM.R.I.画像診断、及び心臓循環系の画像化において、これらの化合物の顕著な可能性を明らかに示している。
【0219】
【表10】
【0220】
(1)凍結乾燥し、使用前に再構成されるヒト血清;Nycomd Pharma AS Oslo, Norway から入手し得る。
(2)0.15MNaCl水性溶液;20MHz;39℃;pH4で測定されたデータ。
(3)0〜1mM;20MHz;39℃;pH7.0で計算されたデータ。
(4)JM.R.I.1993,3,179-186
(5)L.mmol-1.s-1;40℃、20MHz、20モル%カルシウムアスコルベート及び3当量のNa+を含む水性溶液。
(6)0.15MNaCl水性溶液;20MHz;39℃;pH7.3で測定されたデータ。
(7)0〜1mM;20MHz;39℃で計算されたデータ。
【0221】
表2は、上記と同じ実験条件で実施されたテストから得られた結果を含み、そしてr1及びr2緩和性は、血清中で測定及び水性溶液中で、低磁場、正確には5MHz及び10MHzで測定されている。該データは、既に5MHzで得られた緩和においての増大を立証し、低磁場でのM.R.I.画像診断での本発明の化合物の潜在的で好都合な用途を示している。
【0222】
【表11】
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1999
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