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JP2002317371A - 炭素繊維ステッチ布帛 - Google Patents

炭素繊維ステッチ布帛

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Publication number
JP2002317371A
JP2002317371A JP2001127315A JP2001127315A JP2002317371A JP 2002317371 A JP2002317371 A JP 2002317371A JP 2001127315 A JP2001127315 A JP 2001127315A JP 2001127315 A JP2001127315 A JP 2001127315A JP 2002317371 A JP2002317371 A JP 2002317371A
Authority
JP
Japan
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carbon fiber
fabric
stitch
yarn
yarns
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001127315A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Nishimura
明 西村
Kiyoshi Honma
清 本間
Ikuo Horibe
郁夫 堀部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2001127315A priority Critical patent/JP2002317371A/ja
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  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ステッチ加工で炭素繊維の毛羽発生が少なく
て、生産性が良く、また繊維強化プラスチックにした
際、損傷による強度のない炭素繊維ステッチ布帛を提供
することを目的とするものである。 【解決手段】多数本の、JIS L 1013法に準拠
して測定される引掛け強さが、断面積0.9mm2 当た
り900N以上である炭素繊維維糸条が並行にシート状
に配列して層構成をなし、これらがステッチ糸で一体化
されていることを特徴とする炭素繊維ステッチ布帛。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はFRPの炭素繊維基
材として使用する炭素繊維ステッチ布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】連続炭素繊維からなる繊維強化プラスチ
ックは、繊維軸方向の機械的特性には優れるが、繊維軸
から離れるに従い、機械的特性は急激に低下する。この
対策として、たとえば、機械的特性が疑似等方性基材と
なるようの繊維軸方向がFRP成形体の長さ(0゜)方
向、幅(90゜)方向や斜め(±45゜)方向となるよ
う積層され、成形されている。
【0003】しかしながら、通常の織物を使用すると、
繊維の配列方向は織物の長さ(0゜)方向と幅(90
゜)方向であるから、斜め(±α゜)方向の補強ができ
なくなる。この対策として、織物を斜め方向に裁断し、
裁断された織物の端部が0゜方向と90゜方向に配列す
る織物と平行になるように積層し、斜め方向に裁断した
繊維の配列方向が±45゜になるようにしている。しか
しながら、このような方法では、とくに大型構造体を成
形する場合、織物の裁断や積層に手間が掛かるし、材料
ロスも大きい。また、積層の際、(0゜/90゜)配列
織物と(+45゜/−45゜)配列織物がずれ、正確な
繊維配向が困難となる。
【0004】一方、上記課題に対して、最近、よこ入れ
トリコット装置で、布帛の長さ方向に対して+α゜、−
α゜やこれに0゜および/または90゜方向に、すなわ
ち、2方向以上の多軸の各々の方向で層状に強化繊維が
並行に配列し、これらが積層した状態で、ポリエステル
繊維糸などのステッチで縫合一体化した、いわゆる多軸
ステッチ布帛が注目を浴びている。この布帛は+α゜、
−α゜、0゜や90゜配列繊維がステッチ糸で一体とな
っているから、わざわざ裁断によって、所定の方向に配
列するような準備作業が必要なくなり、1枚の布帛で疑
似等方性の特性が得られるので、かつ材料ロスもほとん
どなく、積層作業が大幅に省力化され、大型構造体を安
価に成形できるという利点はある。また、ステッチ糸の
ステッチ密度を最適化することによって、深絞り賦形が
可能となり、成形のプリフォームを容易に作製すること
もできる利点がある。
【0005】しかしながら、トリコット装置によるステ
ッチ糸の挿入は強化繊維糸条と強化繊維糸条の間に挿入
されるように規制されているのではなく、層状に配列し
ている糸条に対してはランダムであり、糸条中にもステ
ッチ糸が挿入される。このステッチ糸の挿入はニードル
が層状に配列している糸条に突き刺さした後、抜くとい
う貫通操作を繰り返して行われ、また挿入速度も早い。
【0006】強化繊維が炭素繊維の場合、引張弾性率が
高くかつ破断伸度が小さいので、ニードルの貫通操作に
よって炭素繊維の単糸が切断して、短い繊維長の毛羽が
多く発生し、また炭素繊維の比重が小さいこともあっ
て、この毛羽が空気中に舞い、作業環境は極めて悪かっ
た。したがって、衛生上、オペレータは防塵マスクおよ
び防塵服を着用する必要があり、ステッチ加工は困難で
あり、あえて加工するとすれば防塵マスク、防塵服を着
用し、ニードルの貫通速度を落とす必要があり、生産性
が低下するので、高価なものとなった。
【0007】また、得られた炭素繊維ステッチ布帛は、
ステッチ加工の際、単糸が切断したりして炭素繊維は損
傷を受けているので、繊維強化プラスチックにした際、
損傷により強度が低下するという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、ステッチ加工で炭素繊維の毛羽発生
が少なくて、生産性が良く、また繊維強化プラスチック
にした際、損傷による強度のない炭素繊維ステッチ布帛
を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、 (1)多数本の、JIS L 1013法に準拠して測
定される引掛け強さが、断面積0.9mm2 当たり90
0N以上である炭素繊維維糸条が並行にシート状に配列
して層構成をなし、これらがステッチ糸で一体化されて
いることを特徴とする炭素繊維ステッチ布帛。 (2)前記炭素繊維維糸条が布帛の長さ方向に対して0
゜方向に配列した層と支持体とがステッチ糸で一体化さ
れていることを特徴とする前記(1)に記載の炭素繊維
ステッチ布帛。 (3)前記炭素繊維維糸条が布帛の長さ方向に対して9
0゜方向に配列した層がステッチ糸で一体化されている
ことを特徴とする前記(1)に記載の炭素繊維ステッチ
布帛。 (4)前記層の2層以上が交差積層され、これら積層体
がステッチ糸で一体化されていることを特徴とする前記
(1)に記載の炭素繊維ステッチ布帛。 (5)前記交差角度が布帛の長さ方向に対して+α゜、
−α゜の2方向を含むものであることを特徴とする前記
(4)に記載の炭素繊維ステッチ布帛。 (6)前記交差角度が布帛の長さ方向に対して0゜、9
0゜の2方向を含むものであることを特徴とする前記
(4)に記載の炭素繊維ステッチ布帛。 (7)前記交差角度が布帛の長さ方向に対して0゜、+
α゜、−α゜の3方向を含むものであることを特徴とす
る前記(4)に記載の炭素繊維ステッチ布帛。 (8)前記交差角度が布帛の長さ方向に対して+α゜、
−α゜、90゜の3方向を含むものであることを特徴と
する前記(4)に記載の炭素繊維ステッチ布帛。 (9)前記交差角度が布帛の長さ方向に対して0゜、+
α゜、−α゜、90゜の4方向を含むものであることを
特徴とする前記(4)に記載の炭素繊維ステッチ布帛。 (10)前記バイアス角度α゜が45゜であることを特
徴とする前記(5)、(7)ないし(9)のいずれかに
記載の炭素繊維ステッチ布帛。 (11)前記炭素繊維糸条にサイジング剤が付与され、
該サイジング剤の付着量が0.2重量%以上0.8重量
%以下であることを特徴とする前記(1)ないし(1
0)にいずれかに記載の炭素繊維ステッチ布帛。
【0010】
【発明の実施の形態】図1に本発明の炭素繊維ステッチ
布帛を説明する概略斜視図を示した。布帛1の下面か
ら、まず長さ方向イに対して斜め方向に多数本の炭素繊
維糸条2が並行に配列して+α゜層6を構成し、次いで
布帛の幅方向に多数本の炭素繊維糸条3が並行に配列し
て90゜層7を構成し、次いで斜め方向に多数本の炭素
繊維糸条4が並行に配列して−α゜層8を構成し、次い
で布帛の長さ方向に多数本の炭素繊維糸条5が並行に配
列して0゜層9を構成し、互いに配列方向が異なる4層
が積層された状態で、ステッチ糸10でこれら4層が縫
合一体化されている。縫合一体化にあたってのステッチ
糸10が形成する縫い組織としては、単環縫い、1/1
のトリコット編みが挙げられる。
【0011】なお、図1で、あたかも断面形状が楕円で
示されている繊維の集合体が1糸条で、この糸条間にス
テッチ糸10が配列しているかに見えるが、ステッチ糸
10は糸条に対してはランダムに挿入され、楕円で示さ
れている繊維の集合体はステッチ糸の拘束によって形成
されているのである。
【0012】ステッチ操作による炭素繊維の損傷度合い
と、炭素繊維の単繊維径、引張強度、引張弾性率、糸条
繊度、サイジング剤の付着量、糸条のフックドロップ値
および糸条の引掛強さなどの関係を調査したところ、と
くに糸条の引掛強さと良い相関関係があることがわか
り、本発明に至った。
【0013】本発明においては、JIS L 1013
法に準拠して測定される引掛強さが、断面積0.9mm
2 当たり900N以上であることが重要である。
【0014】引掛強さが900N未満であると、ニード
ルの貫通操作によって炭素繊維の単糸が切断して、短い
繊維長の毛羽が多く発生して空気中に舞い、わずかな加
工量でも換気扇のフイルター部に毛羽が集積し、あたか
もフェルト状となってしまう。もちろん作業環境は極め
て悪く、衛生上、オペレータは防塵マスクおよび防塵服
を着用する必要があった。
【0015】また、とくに90゜方向の炭素繊維糸条
は、この方向にニードルが一列に配列していることもあ
って、一斉に高速で上昇するニードルを炭素繊維が避け
きれず、布帛を構成する90゜方向の炭素繊維糸条に毛
羽が多く観察され、FRPにした時の強度低下が大きく
なる。
【0016】引掛強さが900N以上であると、換気扇
のフイルター部に集積される毛羽量も少なく、オペレー
タは防塵マスクおよび防塵服を着用する必要がなく、ま
たFRPにした時の強度低下も小さくなる。
【0017】本発明における炭素繊維糸条の引掛強さ
は、JIS L 1013法の7.7項に準拠して測定
したものである。すなわち、図2に示すように、炭素繊
維糸条11、12のつかみ間ロの中央にループをつく
り、引張速度50mm/分で引張って、切断時の強さ
(N)を求め、測定回数が10回の平均値で示した。な
お、炭素繊維糸条の破断荷重が大きくて、糸条が切断す
る前につかみ部13で糸条が滑って測定できないとき
は、糸条の両端部を20mm程度、常温硬化型の熱硬化
性樹脂で固めてFRPとし、この部分を、炭素繊維糸条
11、12の各々の両端部が互いに接触するようにつか
んだ。上部および下部のつかみ間隔A、Bは、各々12
5mmと同じになるようにし、つかみ間にはFRPは入
らないようにした。また、炭素繊維糸条の太さによって
も引掛強さが支配されるが、本発明では糸条の引掛強さ
を直接的に利用するものではなく、炭素繊維のステッチ
・ニードルによる損傷の受け易さの評価法とするもので
あるので、糸条の太さをほぼ同じにして、具体的には糸
条の断面積を実質的に0.9mm2 として測定する。実
質的には0.9mm2 の断面積とは、0.9±0.1m
2 程度の範囲内の断面積を意味する。断面積が小さす
ぎるときには、糸条が所定の断面積となるように引き揃
え、端数のでる場合は、たとえば、2.5本で所定の断
面積は、糸条を極力毛羽が出ないように1/2に分割し
て、2本の糸条と引き揃えて(2+0.5)本となるよ
うにする。なお、引き揃えたものの中に緩んだ糸条が入
らないように、0.1×10-4N/テックスの初荷重を
かけた状態で糸条を引き揃える。また、数本の糸条を引
き揃えて端部を熱硬化性樹脂で固める場合も、上記と同
じ条件で初荷重をかけた状態で行う。また、糸条の断面
積が大きすぎる場合は、糸条を極力毛羽が出ないように
分割して、炭素繊維糸条の断面積が前記のものとなるよ
うにする。
【0018】ここで、炭素繊維糸条の断面積とは、炭素
繊維単繊維の断面積にフイラメント数を乗じたものを意
味するが、簡便的には。糸条の繊度(テックス)と炭素
繊維の密度(g/cm3 )から算出される値である。
【0019】本発明に用いる炭素繊維はマルチフイラメ
ントであって、炭素繊維糸条の太さは3,000〜10
0,000フイラメント程度である。とくに、太い炭素
繊維糸条を用いると、炭素繊維が安くなるので安価な布
帛が得られ好ましい。しかし、一層当たりの炭素繊維の
目付が小さいと、層内の糸条と糸条の間に隙間ができ、
ステッチ糸で一体化すると繊維密度が部分的に不均一と
なり、成形すると繊維密度が大きなところはFRPが厚
くなり、また繊維密度が小さなところはFRPが薄くな
り、表面が凸凹したFRPとなる。このように20,0
00〜100,000フイラメントの太い炭素繊維糸条
を用いる場合は、ステッチ糸による一体化加工前に炭素
繊維糸条をローラの揺動操作やエアー・ジェット噴射で
薄く拡げると、布帛の全面にわたり炭素繊維の密度が均
一となり、表面が平滑なFRPが得られるので好まし
い。
【0020】炭素繊維はポリアクリロニトリル系または
ピッチ系であってよいが、わずかな繊維量で大きな補強
効果を得るために高強度で高弾性率の炭素繊維、具体的
には引張強度が3GPa以上、好ましくは4GPa以
上、引張弾性率が200〜700GPaである炭素繊維
がよい。
【0021】また、本発明に用いる炭素繊維糸条には
0.2〜0.8重量%以下のサイジング剤を付着せてお
くことが好ましい。サイジング剤の付着量が0.2重量
%未満であると、炭素繊維糸条が巻かれたボビンをカー
トンケースから取り出す際や、ボビンをステッチm/c
のクリールに掛ける際のハンドリングでボビンの最外層
や側面の炭素繊維が毛羽立ち、好ましくない。また、
0.8重量%を超えると、炭素繊維糸条内での炭素繊維
同士のサイジング剤による付着が強いので、ステッチ・
ニードルが高速で貫通するとき、ニードル貫通部の炭素
繊維がニードルの左右に動くことによって逃げることが
できず、まともに炭素繊維がニードルと衝突して、切断
してしまうのである。0.2〜0.8重量%以下のサイ
ジング剤量であれば、炭素繊維同士のサイジング剤によ
る付着が適度であり、ステッチ・ニードルが高速で貫通
しても、ニードル貫通部の炭素繊維が左右に動くことに
よって逃げることができるので好ましい。また、炭素繊
維同士のサイジング剤による付着が適度であるから、ニ
ードルやステッチ糸の挿入によって、糸束が拡がり、凸
凹が少ない、表面が平滑な布帛が得られるので、成形で
表面が平滑なFRPとなる。
【0022】なお、図1に示した布帛の炭素繊維の構成
は+α゜層/90゜層/−α゜層/0゜層の4層構成に
ついて説明したが、これに限定するものではない。+α
゜、−α゜や0゜、90゜の2方向、もしくはこれらの
2方向を含むものであってよいし、また0゜、+α゜、
−α゜や+α゜、−α゜、90゜の3方向、もしくはこ
れらの3方向を含むものであってよい。また、0゜、+
α゜、−α゜、90゜の4方向、もしくはこれらの4方
向を含むものであってもよく、積層角の順序は特定する
ものではなく、適宜選択できる。
【0023】なお、−α゜層と+α゜層のバイアス方向
のみに炭素繊維が配列した布帛にすると、布帛の長さ方
向に引っ張ると簡単に炭素繊維の方向がずれ、布帛の幅
方向が狭くなるなど、形態が不安定である。このような
時には、たとえば0゜方向やまたは90゜方向に細いガ
ラス繊維、炭素繊維やポリアラミド繊維などの補助糸を
5〜100g/m2程度、より好ましくは10〜40g
/m2程度配列し、−α゜層、+α゜層とステッチ糸で
一体化すると形態を安定させることができる。
【0024】なお、バイアス角α゜は、炭素繊維ステッ
チ布帛をFRP成形体の長さ方向に積層し、炭素繊維に
よる剪断補強を効果的に行う観点から45゜が好まし
い。
【0025】次に1方向のみに炭素繊維糸条が配列した
本発明の炭素繊維ステッチ布帛を説明する。
【0026】図3は本発明の別の炭素繊維ステッチ布帛
の例を説明する概略斜視図である。布帛1の長さ方向イ
に多数本の炭素繊維糸条5が並行に配列して0゜層9を
構成し、0゜層が支持体14とステッチ糸10で縫合一
体化されている。ステッチ布帛における下面のステッチ
組織は、ステッチ糸が長さ方向にループを描く組織とな
っているので、0゜方向に配列している炭素繊維糸条の
みではステッチ糸で縫合しても、ステッチ糸は隣接する
ステッチ糸との絡み合いがなく、また炭素繊維も横方向
の絡み合いがないから、ステッチ糸の部分で切断し、布
帛形成することができないのである。支持体は0゜方向
に配列している炭素繊維糸条の布帛形成に必要なもので
あり、少なくとも0゜方向以外にも繊維配向しているも
のからなる。このような支持体としては、合成繊維、ガ
ラス繊維、ポリアラミド繊維による不織布、2軸や3軸
方向に繊維が配列したメッシュ状物などが挙げられ、ま
た横(90゜)方向、または斜め(±α゜)方向に細い
糸を配列してもよい。なお、これら支持体は本質的に補
強効果を担わせるものではなく、したがって、使用量は
できるだけ少ないほうがよく、5〜30g/m2 程度が
好ましい。
【0027】図4は本発明のさらに別の炭素繊維ステッ
チ布帛の例を説明する概略斜視図である。布帛1の横方
向に対して多数本の炭素繊維糸条3が並行に配列して9
0゜層7を構成し、これらがステッチ糸10で縫合一体
化されている。図3の0゜方向のみに炭素繊維糸条が配
列している場合とは異なり、90゜方向に配列している
場合は、横方向に炭素繊維が配列しているから、支持体
を用いなくともステッチ糸で布帛形成することが可能と
なる。
【0028】本発明における各層の炭素繊維目付は10
0g/m2 〜500g/m2 の範囲のものが好ましい。
ステッチ糸挿入部には部分的に炭素繊維の存在しない箇
所ができ、層方向からの樹脂含浸が可能となるので、通
常の織物などの布帛に比べて比較的高目付の布帛として
も樹脂含浸が阻害されることはないが、500g/m 2
を超えると樹脂含浸速度が遅くなるので好ましくない。
また、100g/m2未満になると、所定の厚みを得る
ために必要となる布帛枚数が多くなり、積層に手間がか
かり好ましくない。各層の炭素繊維目付より好ましい範
囲は、150g/m2 〜400g/m2 の範囲のもので
ある。
【0029】ステッチ糸の役割は配列した多数本の炭素
繊維糸条がほつれないようにするものであり、基本的に
は補強効果はない。ステッチ糸の太さは、細いとステッ
チ操作の際糸切れし、また太いとFRPにした時ステッ
チ糸の部分が凸状となり、FRPの表面が凸凹するので
5〜40テックスが好ましい。より好ましくは7〜30
テックスである。
【0030】ステッチ糸としては、ポリエステル繊維、
ナイロン繊維、ポリアラミド繊維、ビニロン繊維、低融
点繊維、ガラス繊維、炭素繊維などが使える。なかでも
共重合ナイロン繊維や変成ポリエステル繊維の、融点が
80〜150℃の低融点ポリマー繊維を使用すると、成
形の際、加熱によってステッチ糸を溶融し、FRPの表
面を平滑にすることができるので好ましい。
【0031】また、布帛におけるステッチ糸の配列間隔
gは2〜8mm、ピッチpは1〜4mm程度が好適であ
る。ステッチ糸の配列間隔やピッチが小さいとステッチ
糸による炭素繊維糸条の拘束が強くなり、ドレープ性が
失われる。また、配列間隔やピッチを大きくするとドレ
ープ性が良くなり、深絞り賦形が可能となるが、ステッ
チ糸挿入間隔内で炭素繊維糸条が部分的に蛇行し、好ま
しくない。より好ましくは、ステッチ糸の配列間隔gが
2〜5mm、ピッチpは2〜3.3mmである。
【0032】
【実施例】[実施例1、2]JIS L 1013法の
7.7項に準拠して測定した、糸条の断面積が0.9m
2 での引掛け強さが1,600N(実施例1)と、引
掛け強さが970N(実施例2)の単糸径が7ミクロ
ン、フイラメント数が12,000本の炭素繊維糸条を
使用し、炭素繊維糸条を布帛の0゜、+45゜、−45
゜、90゜の4方向に、各層の炭素繊維目付が200g
/m2 となるように所定の本数を等間隔に並行に多軸ス
テッチm/cに配列し、これを8テックスのポリエステ
ル繊維糸のステッチ糸で、ステッチ糸の配列間隔が4.
23mm、ピッチが3mmとなるように、1分間当たり
600回のステッチ速度(ニードルの挿入速度)で12
5cm幅の布帛全体に4層をステッチ一体化した。
【0033】ニードル貫通部での、炭素繊維の切断によ
って浮遊する毛羽を、集塵機で125cmのステッチ幅
全体に吸引し、1時間連続運転した時の毛羽発生重量を
測定し、表1に示した。
【0034】また、2枚の炭素繊維多軸布帛の各層が鏡
面対称となるように積層し、エポキシ樹脂で真空バッグ
成形し、十分樹脂含浸させた後、120℃で1時間加熱
して樹脂を硬化させた。硬化板(繊維強化プラスチッ
ク)の炭素繊維体積含有率(V CF)および硬化板から引
張試験片を切り出し、0°および90゜方向の引張特性
を調査した結果を表1に示した。
【0035】なお、本発明の効果を調査するにあたっ
て、炭素繊維の配向が0゜、+45゜、−45゜、90
゜の4方向であることから、引張強度や引張弾性率の正
確な理論値が求められない、また種々の引張特性を有す
る炭素繊維を使用することもあって、本発明の効果を端
的に評価するため、同じ炭素繊維糸条を使用して、同一
炭素繊維目付の一方向プリプレグを作製し、本発明の炭
素繊維多軸布帛を使用した、ステッチ操作を受けていな
い硬化板の特性との比較を炭素繊維の体積含有率(V
F )を55%に換算で行い、ステッチ操作を受けたこと
による物性低下率を求め、これを( )内に示した。
【0036】
【表1】
【0037】[比較例1、2]糸条の断面積が0.9m
2での引掛け強さが460Nの単糸径が7ミクロン、
フイラメント数が12,000本(比較例1)と、引掛
け強さが730Nの単糸径が5ミクロン、フイラメント
数が12,000本の高弾性率の炭素繊維糸条を使用
し、その他は実施例と全く同じにし、2時間連続運転し
た時の毛羽発生重量、硬化板の炭素繊維体積含有率と硬
化板の平滑性を調査した結果、また硬化板の0゜および
90゜方向の引張特性の調査結果を表2に示した。また
実施例と同様にステッチ操作を受けたことによる物性低
下率を求め、これを( )内に示した。
【0038】
【表2】
【0039】*毛羽発生量 本発明の炭素繊維ステッチ糸の配列間隔は、引掛け強さ
が900N以上の炭素繊維維糸条を使用しているから、
ニードルの貫通によるステッチ操作によって発生する毛
羽は少ない。
【0040】これに対し、比較例1、2で示した引掛け
強さの低い水準は、毛羽発生量は本発明のステッチ布帛
に比べて多かった。毛羽発生量の測定のための集塵機を
外して運転すると、炭素繊維の粉塵が舞い始め、粉塵が
鼻の中に入り、防塵マスク、防塵服の着用が必須の状態
となった。 *硬化板の引張特性 引張強度はステッチ操作によって実施例においてもやや
低下しているが、比較例の低下に比べ小さい。特に比較
例では90°方向の強度低下が大きかった。90゜方向
の炭素繊維糸条は、この方向にニードルが一列に配列し
ているので、1本の糸条に4.23mm間隔(ステッチ
糸の配列間隔)で配置されているニードルが一斉に突き
刺ささり、炭素繊維が避けきれず、布帛を構成する90
゜方向の炭素繊維糸条に毛羽が多く発生し、つまりステ
ッチ布帛の炭素繊維の破断頻度が多く、強度低下に繋が
ったものと考えられる。
【0041】一方、引張弾性率は、実施例に比べ比較例
の低下率はやや大きいものの引張強度の低下率よりも小
さかった。比較例のステッチ布帛の炭素繊維の破断頻度
が多いものの樹脂と十分に接着しているので、引張弾性
率を読みとった引張歪みが0.1〜0.6%の範囲では
十分負荷を担うことができたためと考える。
【0042】
【発明の効果】本発明の炭素繊維ステッチ布帛は、JI
S L 1013法に準拠して測定される引掛け強さ
が、断面積0.9mm2 当たり900N以上である炭素
繊維維糸条が並行にシート状に配列して層構成をなし、
これらがステッチ糸で一体化されているから、ステッチ
加工で炭素繊維の毛羽発生が少なくて、生産性が良く、
また繊維強化プラスチックにした際、損傷による強度の
ない炭素繊維ステッチ布帛を容易に提供することが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炭素繊維ステッチ布帛の実施例示
す一部切り欠き概略斜視図である。
【図2】炭素繊維糸条の引掛け強さの測定法を説明する
概略図である。
【図3】本発明に係る炭素繊維ステッチ布帛の他の実施
例示す一部切り欠き概略斜視図である。
【図4】本発明に係る炭素繊維ステッチ布帛のさらに他
の実施例示す一部切り欠き概略斜視図である。
【符号の説明】
1:炭素繊維ステッチ布帛 2:+α゜層の炭素繊維糸条 3:90゜層の炭素繊維糸条 4:−α゜層の炭素繊維糸条 5:0゜層の炭素繊維糸条 6:布帛を形成する+α゜の炭素繊維層 7:布帛を形成する90゜の炭素繊維層 8:布帛を形成する−α゜の炭素繊維層 9:布帛を形成する0゜の炭素繊維層 10:ステッチ糸 11:炭素繊維糸条 12:炭素繊維糸条 13:つかみ部 14:支持体 イ:布帛の長手方向 ロ:つかみ間 A:上部のつかみ間隔 B:下部のつかみ間隔 g:ステッチ糸の配列間隔 p:ピッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 63:00 C08L 63:00 Z Fターム(参考) 4F072 AA04 AA07 AB10 AB27 AB28 AB30 AC05 AD23 AG03 AK05 4L047 AA03 AB03 AB10 BA06 BD02 CA03 CB01 CC13

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多数本の、JIS L 1013法に準拠
    して測定される引掛け強さが、断面積0.9mm2 当た
    り900N以上である炭素繊維維糸条が並行にシート状
    に配列して層構成をなし、これらがステッチ糸で一体化
    されていることを特徴とする炭素繊維ステッチ布帛。
  2. 【請求項2】前記炭素繊維維糸条が布帛の長さ方向に対
    して0゜方向に配列した層と支持体とがステッチ糸で一
    体化されていることを特徴とする請求項1に記載の炭素
    繊維ステッチ布帛。
  3. 【請求項3】前記炭素繊維維糸条が布帛の長さ方向に対
    して90゜方向に配列した層がステッチ糸で一体化され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維ステ
    ッチ布帛。
  4. 【請求項4】前記層の2層以上が交差積層され、これら
    積層体がステッチ糸で一体化されていることを特徴とす
    る請求項1に記載の炭素繊維ステッチ布帛。
  5. 【請求項5】前記交差角度が布帛の長さ方向に対して+
    α゜、−α゜の2方向を含むものであることを特徴とす
    る請求項4に記載の炭素繊維ステッチ布帛。
  6. 【請求項6】前記交差角度が布帛の長さ方向に対して0
    ゜、90゜の2方向を含むものであることを特徴とする
    請求項4に記載の炭素繊維ステッチ布帛。
  7. 【請求項7】前記交差角度が布帛の長さ方向に対して0
    ゜、+α゜、−α゜の3方向を含むものであることを特
    徴とする請求項4に記載の炭素繊維ステッチ布帛。
  8. 【請求項8】前記交差角度が布帛の長さ方向に対して+
    α゜、−α゜、90゜の3方向を含むものであることを
    特徴とする請求項4に記載の炭素繊維ステッチ布帛。
  9. 【請求項9】前記交差角度が布帛の長さ方向に対して0
    ゜、+α゜、−α゜、90゜の4方向を含むものである
    ことを特徴とする請求項4に記載の炭素繊維ステッチ布
    帛。
  10. 【請求項10】前記バイアス角度α゜が45゜であるこ
    とを特徴とする請求項5、または7ないし9のいずれか
    に記載の炭素繊維ステッチ布帛。
  11. 【請求項11】前記炭素繊維糸条にサイジング剤が付与
    され、該サイジング剤の付着量が0.2重量%以上0.
    8重量%以下であることを特徴とする請求項1ないし1
    0のいずれかに記載の炭素繊維ステッチ布帛。
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