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JP2002370025A - 吸水性複合体及びその製造方法 - Google Patents

吸水性複合体及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002370025A
JP2002370025A JP2002074037A JP2002074037A JP2002370025A JP 2002370025 A JP2002370025 A JP 2002370025A JP 2002074037 A JP2002074037 A JP 2002074037A JP 2002074037 A JP2002074037 A JP 2002074037A JP 2002370025 A JP2002370025 A JP 2002370025A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
absorbing
base material
absorbing polymer
fibrous base
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002074037A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasunari Sugiyou
保成 須堯
Kiichi Ito
喜一 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2002074037A priority Critical patent/JP2002370025A/ja
Publication of JP2002370025A publication Critical patent/JP2002370025A/ja
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  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高吸水速度及び保水能の良好な吸水性複合体
を提供することを目的とする。 【解決手段】 吸水性ポリマーを与える重合性モノマ
ー、及びHLBが7以上であるノニオン系界面活性剤を
含有する水溶液を気相中で液滴状に重合させて吸水性ポ
リマー粒子を形成させながら繊維質基材に落下させるこ
とにより、重合進行中の上記吸水性ポリマー粒子を上記
繊維質基材に担持させ、その後、上記重合を完了させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、繊維質基材に吸
水性ポリマー粒子を担持・固定化させた吸水性複合体及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、生理用ナプキン、紙おむつ等
をはじめとする各種の衛生用品及び農業用資材等に使用
される保水剤として高吸水性の種々の吸水性ポリマーが
知られている。例えば、澱粉のグラフト重合体(特公昭
53−46199号公報等)、セルロース変性体(特開
昭50−80376号公報等)、水溶性ポリマーの架橋
物(特公昭43−23462号公報等)、自己架橋型ア
クリル酸アルカリ金属塩ポリマー(特公昭54−307
10号公報等)等があげられる。
【0003】これらの吸水性ポリマーの吸水性能はかな
り高いレベルに達しているが、その殆どが粉末状である
ために、例えば、生理用ナプキン、紙おむつ等の衛生材
料として使用するためには、ティッシュ、不織布、綿等
の基材上に上記吸水性ポリマー粉末を均一に分散させる
必要がある。
【0004】しかし、公知の方法で分散させた上記吸水
性ポリマー粉末は、繊維質基材上に安定性良く固定する
ことが困難であり、均一に分散させた後でも一部局所に
集合化することが多い。また、吸水後の膨潤ゲルも安定
性良く繊維質基材上に固定されずに繊維質基材から容易
に移動してしまうという欠点を有している。特に、大人
用向け紙おむつにおいては、短時間に多量の尿を吸収さ
せる必要があり、吸水性ポリマーの担持量を上げる必要
がある。ところが、上記のように吸水性ポリマー粉末が
一部でも集合すると、この吸水性ポリマーの少ない部分
ができてしまい、そこから尿が漏れるという問題点を有
している。
【0005】上記の問題を解決する方法として、例えば
バインダーによりポリマー粉末を繊維質基材上に固定す
る方法や、ポリアクリル酸金属塩水溶液を基材上にコー
ティングした後、加熱乾燥工程で架橋を導入する方法等
が知られているが、前者はバインダーを用いることによ
る工程の煩雑さ、後者は吸水性能が十分に発現し難い等
の欠点を有する。
【0006】また、成形した繊維質基体にアクリル酸系
モノマー水溶液を予め決められた模様状に施した複合体
を製造し、これに電磁放射線又は微粒子性イオン化放射
線を照射することにより、アクリル酸系モノマーを水膨
潤性ポリマーに転化させて吸水性複合体を製造する方法
が報告されている(特公平3−67712号公報)。こ
の方法によれば、上記の粉体を取り扱う上での均一な分
散化及び繊維質基材上への安定した固定化の点ではかな
りの改良が見られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アクリ
ル酸系モノマーを吸水性ポリマーに転化するに当たっ
て、電磁放射線又は微粒子性イオン化放射線を使用する
ために、吸水性ポリマーの自己架橋化反応が極めて進み
やすくなる。このため、吸水体としての性能、特に吸水
能が著しく小さくなり、通常、上記粉末状高吸水性ポリ
マーを使用した場合に比較して吸水能が半分以下となっ
てしまうという欠点を有する。
【0008】特に、重合性に富むアクリル酸系モノマー
水溶液を用いる場合、このモノマーを繊維質基材自体が
吸収してしまうため、重合後の複合体は板状の極めて硬
いものとなり、実際上の使用に当たって板状物質を破砕
して用いなければならなくなる。また、吸水性ポリマー
が膨潤する際に、繊維質基材の膨潤阻害効果等が生じ
て、吸収能、特に吸水能が著しく小さくなってしまう。
【0009】この吸収能を改良する方法として、HLB
が7以上のアルキルポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルをモノマー水溶液に添加する方法が開示されている
(特公平7−119263号公報)。しかしこの方法を
用いても吸水能の改良は見られるものの、保水能及び吸
水速度は満足のゆく性能ではなかった。
【0010】これに対し、本出願人は、アクリル酸系重
合性モノマー水溶液をレドックス系開始剤で重合開始さ
せた混合液からなる液滴を繊維質基材に担持させて重合
させることによって、吸水能及び吸水速度に優れ、吸水
性ポリマー粒子が繊維質基材上に安定性良く固定化され
た吸水性複合体を製造し得ることを見出し(特開平9−
67403号公報)、粒子同士がお互いに結着した凝集
粒状体を見出してきた(特開2000−198805号
公報)。しかし、一度吸収した液を保持する性質、すな
わち保水能、及び吸水速度の面で更なる改良が求められ
ていた。
【0011】そこでこの発明は、上記従来技術の欠点を
改良し、高吸水速度及び保水能の良好な吸水性複合体を
提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、吸水性ポリ
マーを与える重合性モノマー、及びHLBが7以上であ
るノニオン系界面活性剤を含有する水溶液を気相中で液
滴状に重合させて吸水性ポリマー粒子を形成させながら
繊維質基材に落下させることにより、重合進行中の上記
吸水性ポリマー粒子を上記繊維質基材に付着させ、その
後、上記重合を完了させることにより上記の課題を解決
したのである。
【0013】上記の方法を用いると、上記吸水性ポリマ
ーの一部を上記繊維質基材が貫通し、上記吸水性ポリマ
ーの上記繊維質基材への担持強度及び吸水性能が向上し
た吸水性複合体が得ることができる。
【0014】本発明の製造方法の好ましい態様として
は、上記ノニオン系界面活性剤を上記重合性モノマーに
対して0.001〜10重量%含有させる方法があげら
れる。
【0015】また、液滴が繊維質基材に担持する際の重
合度を調整することにより、この液滴同士が結着しても
一体化せず、この液滴を一次粒子とする凝集粒状体を形
成させることができる。この凝集粒子体は、重合進行中
に一次粒子同士が結着するので、一次粒子の形状を保持
した状態で、かつ、一次粒子同士の界面が一体化した状
態となる。このため、得られる吸水性ポリマー粒子の表
面積を向上させることができ、担持強度を保持しなが
ら、さらに吸水能及び吸水速度をあげることができる。
【0016】本発明の吸水性複合体としては、繊維質基
材に吸水性ポリマー粒子が担持された吸水性複合体にお
いて、上記吸水性ポリマーの一部を上記繊維質基材が貫
通し、上記吸水性ポリマーの上記繊維質基材への担持強
度が70〜95%、吸水速度が40〜50g/gである
ことを特徴とする吸水性複合体があげられる。この吸水
性複合体の好ましい態様としては、上記吸水性ポリマー
粒子は、平均粒子径50〜1000μmの粒子を含有す
る一次粒子が互いに結着して形成された凝集粒状体であ
り、上記一次粒子の30重量%以上は、ほぼその粒子形
状を保持しつつ粒子同士が互いに結着し、かつ、上記一
次粒子の一部は上記繊維質基材に結着していないことを
特徴とする態様、上記吸水性ポリマー粒子の担持量を5
0〜300g/m2とする態様、上記繊維質基材が、合
成繊維、天然繊維、半合成繊維及び無機繊維から選択さ
れる1種又は2種以上の繊維から形成される基材である
ことを特徴とする態様等があげられる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下において、この発明の吸水性
複合体及びその製造方法について詳細に説明する。
【0018】<吸水性複合体の製造方法>この発明にか
かる吸水性複合体は、この発明の製造方法によって簡便
かつ安価に製造することができる。この発明の製造方法
は、簡略に述べると、吸水性ポリマーを与える重合性モ
ノマー、及び所定の界面活性剤を含有する水溶液を、気
相中で液滴状に重合させて吸水性ポリマー粒子を形成さ
せながら繊維質基材上に落下させることにより、重合進
行中の上記吸水性ポリマー粒子を上記繊維質基材に付着
させ、その後、重合を完了させることを特徴とする。こ
れにより、吸水性ポリマー粒子の一部を繊維質基材が貫
通した状態で固定化させることができ、かつ、吸水性能
を向上させることができる。以下、具体的に説明する。
【0019】まず、吸水性ポリマーを与える上記重合性
モノマーを水に溶解して水溶液を作製する。このとき、
使用される重合性モノマーとして好ましいものとして
は、脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩を主成分とする
モノマー混合物があげられる。なお、上記のとおり、脂
肪族不飽和カルボン酸又はその塩を主成分とするのが好
ましい。ここで、「脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩
を主成分とする」とは、脂肪族不飽和カルボン酸又はそ
の塩が重合性モノマーの全量に対して50モル%以上、
好ましくは80モル%以上含まれることを意味する。
【0020】上記脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩の
具体例としては、アクリル酸又はその塩、メタクリル酸
又はその塩等の不飽和モノカルボン酸又はその塩や、マ
レイン酸又はその塩、イタコン酸又はその塩等の不飽和
ジカルボン酸又はその塩等があげられる。これらは単独
で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。この中
で好ましいのはアクリル酸又はその塩、及びメタクリル
酸又はその塩であり、特に好ましいのはアクリル酸又は
その塩である。
【0021】上記の脂肪族不飽和カルボン酸の塩として
は、脂肪族不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカ
リ土類金属塩、アンモニウム塩等の脂肪族不飽和カルボ
ン酸の水溶性の塩が通常用いられる。また、その中和度
は、目的に応じて適宜定められるが、アクリル酸の場合
には、カルボキシル基の20〜90モル%が中和された
ものが好ましく、特に、20〜90モル%がアルカリ金
属塩又はアンモニウム塩に中和されたものがより好まし
い。アクリル酸モノマーの部分中和度が20モル%未満
であると、生成吸水性ポリマーの吸水能が著しく低下す
る傾向がある。
【0022】上記重合性モノマーとしてアクリル酸モノ
マーのアルカリ金属塩を用いる場合、アクリル酸モノマ
ーの中和には、アルカリ金属の水酸化物や重炭酸塩等又
は水酸化アンモニウム等が使用可能であるが、好ましい
のはアルカリ金属水酸化物であり、その具体例としては
水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムがあげられる。
【0023】また、上記重合性モノマーとしては、上記
脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩に加え、これらと共
重合可能な重合性モノマー、例えば、(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(ポリ)エチレ
ングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート等のアクリル酸アルキルエス
テル類、(メタ)アクリルアミド、低水溶性モノマー等
を併せて使用することができる。これらは、得られる生
成吸水性ポリマーの性能を低下させない範囲の量で共重
合させても差し支えない。なお、上記「(メタ)アクリ
ル」という用語は、「アクリル」又は「メタクリル」を
意味するものとする。
【0024】なお、上記の脂肪族不飽和カルボン酸又は
その塩以外の重合性モノマーのうち、得られるポリマー
に吸水性を与えるものは、上記脂肪族不飽和カルボン酸
又はその塩に対する補助成分としてではなく、脂肪族不
飽和カルボン酸又はその塩と同様に、上記重合性モノマ
ーを構成する主要モノマーとして使用することもでき
る。
【0025】上記重合性モノマーの主成分である脂肪族
不飽和カルボン酸又はその塩、特にアクリル酸又はその
塩は、それ自身で自己架橋ポリマーを形成することがあ
るが、架橋剤を併用して架橋構造を積極的に形成させる
こともできる。架橋剤を併用すると、一般に生成吸水性
ポリマーの吸水性能が向上する。架橋剤としては、上記
重合性モノマーと共重合可能なジビニル化合物、例え
ば、N,N′−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、
(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート類
等、ならびにカルボン酸と反応し得る2個以上の官能基
を有する水溶性の化合物、例えばエチレングリコールジ
グリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシ
ジルエーテル等のポリグリシジルエーテル等があげられ
る。この中でもN,N′−メチレンビス(メタ)アクリ
ルアミドが特に好ましい。上記架橋剤の使用量は、上記
重合性モノマーの仕込み量に対して0.001〜1重量
%が好ましく、0.01〜0.5重量%がより好まし
い。
【0026】上記重合性モノマー水溶液の重合性モノマ
ーの濃度は、20重量%以上が好ましく、25重量%以
上がより好ましい。濃度が20重量%より少ないと適度
な粘度を有する液滴の生成が難しくなる場合があり、ひ
いては重合後の吸水性ポリマーの吸水能が十分に得られ
なくなる場合がある。上限は、重合反応液の取り扱い上
から80重量%程度とするのが好ましい。
【0027】重合反応に用いられる重合開始剤は、酸化
性を示すラジカル発生剤と還元剤とを組み合わせてなる
レドックス系をなすものであり、ある程度の水溶性を示
すものが用いられる。このような酸化剤としては、過酸
化水素、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫
酸塩、t−ブチルハイドロパーオキシドやクメンハイド
ロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類などの過酸
化物、その他、第二セリウム塩、過マンガン酸塩、亜塩
素酸塩、次亜塩素酸塩等があげられる。これらの中でも
過酸化水素が特に好ましい。上記酸化剤の使用量は、重
合性モノマーに対して0.01〜10重量%が好まし
く、0.1〜2重量%がより好ましい。
【0028】上記還元剤としては、亜硫酸ナトリウム、
亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウ
ム、酢酸コバルト、硫酸銅、硫酸第一鉄、L−アスコル
ビン酸又はL−アスコルビン酸アルカリ金属塩等をあげ
ることができる。これらの中でも、L−アスコルビン酸
又はL−アスコルビン酸アルカリ金属塩が特に好まし
い。上記還元剤の使用量は、重合性モノマーに対して
0.001〜10重量%が好ましく、0.01〜2重量
%がより好ましい。
【0029】この発明の製造法で用いられる界面活性剤
としては、HLBが7以上、好ましくは10以上(上限
は20程度)のノニオン系界面活性剤を用いるのがよ
く、この中でも、アクリル酸系モノマー水溶液に分散も
しくは溶解するものが好ましい。HBLが7未満だと、
得られる吸水性複合体の吸水速度、保水能が不十分とな
る場合がある。
【0030】上記のHBLが7以上のノニオン系界面活
性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系
界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル系界面活性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エス
テル系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンショ糖脂
肪酸エステル系界面活性剤等があげられ、これらの中で
も、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤
が、工業的に入手しやすく、かつ、安価なので好まし
い。
【0031】界面活性剤としてポリオキシエチレンアル
キルエーテル系界面活性剤を用いる場合、この界面活性
剤のエチレンオキシドの縮合度及びアルキル基と炭素数
は、HBLが7以上となるように定めることが好まし
い。アルキル基の炭素数についていえば、10〜20程
度が好ましい。このアルキルエーテルの好ましい製造法
が対応アルカノール(上記のようなアルキル基を持つ一
価アルコールが代表的である)に対するエチレンオキシ
ドの付加からなることからすれば、この発明での好まし
いアルキルエーテルはエーテルアルコールであるといえ
る。
【0032】上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル
界面活性剤を構成する「ポリオキシエチレン」には、少
量のオキシプロピレン基を含んでいてもよい。このよう
なポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤の具
体例をあげれば、ポリオキシエチレンオクチルエーテ
ル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシ
エチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリ
ルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポ
リオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等があげら
れる。
【0033】このようなHLBが7以上のノニオン系界
面活性剤は、それ自身単独でも或いは2種以上の混合物
としても使用できる。これらHLBが7以上のノニオン
系界面活性剤の使用量は、重合性モノマーに対して0.
001〜10重量%が好ましく、0.01〜1重量%が
より好ましい。添加量が0.001重量%未満では、そ
の添加効果が極めて少く、一方、添加量が10重量%超
過ではかえって吸水速度及び保水能の低下をきたすので
好ましくない。
【0034】なお、HLB(Hydrophilic-Lipophilic-B
alance)とは、界面活性剤の性質を1つの指標であり、
親水性と親油性の均衡を表すものであり、アトラス(A
tlas)法に準じて測定することができる。
【0035】上記重合性モノマー水溶液に上記界面活性
剤を溶解又は分散させて、水溶液中に含有させる。重合
の開始は、上記のレドックス系重合開始剤を配すること
によって行う。そして、上記重合性モノマー及び上記界
面活性剤を含有する水溶液を気相中で液滴状に重合させ
ることにより吸水性ポリマー粒子を形成させながら、上
記繊維質基材上に落下させる。これにより、反応開始後
のモノマー及び生成ポリマーを含む重合進行中の吸水性
ポリマー粒子(以下、「反応混合物」と称することがあ
る。)が、上記の繊維質基材に付着する。その後、重合
を完了させると、吸水性ポリマー粒子を繊維質基材上に
担持させることができる。また、重合条件によっては、
気相中又は繊維質基材上でその液滴状物同士をその形状
をほぼ保持した状態で結着させて凝集粒状体を形成し、
繊維質基材に付着させて重合を完了させると、凝集粒状
体の吸水性ポリマー粒子を繊維質基材上に担持させるこ
とができる。一方、上記重合性モノマー及び上記界面活
性剤を含有する水溶液を気相中で液滴状に重合させたも
の(以下、「液滴状物」と称する。)を凝集させないで
そのまま、吸水性ポリマー粒子とすることもできる。な
お、本明細書中で「繊維質基材上」とは、成形された繊
維質基材の面上、繊維質基材を構成する繊維上並びに繊
維質基材を構成する繊維間の空隙内面上をも包含する。
また、以下において、吸水性ポリマー粒子には、上記の
液滴状物及び凝集粒状体のいずれの概念をも含む。
【0036】上記の重合進行中の吸水性ポリマーを付着
させる繊維質基材(以下、「基材」と略することがあ
る。)とは、繊維を主構成成分とする基材をいい、成形
した繊維質基材が好ましい。この成形した繊維質基材と
は、その繊維質基材を用品の中に組み込むために、切
断、接合、造形等が必要になることはあるが、ウエブ形
成作業を更に施す必要がないものをいう。
【0037】この成形した繊維質基材の具体例として
は、繊維をゆるく成形したパッド、カーディング又はエ
ア・レイイングしたウエブ、ティシュペーパー、木綿ガ
ーゼのような織布、メリアス地又は不織布であって、特
定の形状を有するものがあげられる。
【0038】また、成形した繊維質基材として、繊維を
比較的稠密に成形した繊維質基材も用いることができ
る。具体的には紙、木材、バックスキン、皮革等をあげ
ることができる。
【0039】上記繊維質基材を構成する繊維としては、
親水性繊維、非親水性繊維があげられる。このうち、親
水性繊維を用いた場合の方がこの発明の利益を最も良く
享受することができるので好ましい。また、上記繊維質
基材は、上記親水性繊維及び非親水性繊維の両方から構
成されることもあるが、この場合は、上記親水性繊維を
主成分とする場合の方が、この発明の利益をより享受す
ることができるので好ましい。
【0040】上記親水性繊維としては、木材パルプ、レ
ーヨン、木綿、再生セルロース、その他のセルロース系
繊維等の天然繊維、半合成繊維があげられる。また、上
記非親水性繊維としては、ポリエステル系、ポリエチレ
ン系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリアミド
系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニル系、ポリ
塩化ビリニデン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ尿素
系、ポリウレタン系、ポリフルオロエチレン系、ポリシ
アン化ビニリデン系の各繊維等の合成繊維、ガラス繊維
等の無機繊維等があげられる。この非親水性繊維のう
ち、ポリエステル系繊維を用いるのが好ましい。
【0041】上記の重合方式においては、モノマー共存
下にレドックス系が形成されると事実上直ちに重合が開
始され、またレドックス系開始剤による重合が連鎖重合
であることに相当して所定重合率に達するまでの時間、
つまり、重合進行中の吸水性ポリマー粒子、すなわちモ
ノマー及び生成ポリマーの反応混合物の粘度が所定レベ
ルとなるまでの時間が比較的短い。このため、重合開始
後の上記反応混合物が所定粘度の液滴を形成し、繊維質
基材への強固な結着、及び必要に応じて凝集粒状体の生
成を生じさせるような重合方法を選ぶ必要がある。
【0042】上記の好ましい重合方法の1つは、重合性
モノマー水溶液にレドックス系重合開始剤を構成する酸
化剤と還元剤のいずれか一方を含ませた第1液とレドッ
クス系重合開始剤の他方及び所望により重合性モノマー
を含ませた水溶液からなる第2液を気相中で混合するこ
とにより重合を開始させる方法である。
【0043】具体的には、例えば、上記の第1液及び第
2液を別個のノズルから噴出させ、その噴出液同士の交
差角度が15度以上となるようにし、かつ、液柱状態で
上記の両液が衝突するようにする方法があげられる。こ
のように両液に交差角度を持たせて互いに衝突させるこ
とにより、ノズルからの流出エネルギーの一部を混合に
利用することができる。それぞれのノズルから流出する
第1液と第2液の交差角度は、使用する重合性モノマー
の性状、流量比等に応じ適宜選定する。例えば、液の線
速度が大きければ交差角度は小さくすることができる。
十分な混合の効果を得るには15度以上が必要であり、
特に好ましい角度は20度以上である。後述するよう
に、第1液と第2液の衝突後に液柱ができる条件であれ
ば、角度の上限は特に制限されないが、工業的装置とし
ては120度以下、特に好ましくは100度以下であ
る。
【0044】上記の方法では、それぞれのノズルから出
る第1液と第2液の二つの液が合流して液柱が形成され
るように液柱状態で衝突させることが必要である。この
ように液柱状態で衝突させることにより、設定した流量
比で液体の混合が可能になり、重合反応が良好に行われ
る。第1液と第2液が粒子状になってから衝突させたの
では両液の混合比率が設定した流量比と異なり、好まし
い結果は得られにくくなる。また、ノズル先端間の距離
は流体が液柱状態で衝突できる範囲内で自由に設定で
き、ノズルの先端が接触していてもよい。ノズルの内径
は、使用する重合性モノマーの性状、目的とする吸水性
複合体の形状に応じて適宜選択すればよいが、好ましく
は0.05〜2.0mm、より好ましくは0.1〜1.
0mmの範囲である。
【0045】なお、この場合、第1液の温度は通常は、
常温〜約60℃、好ましくは常温〜約40℃であり、ま
た、第2液の温度も通常は、常温〜約60℃、好ましく
は、常温〜約40℃である。このように、ノズルから噴
出されたそれぞれの水溶液は、液柱状態で衝突して合体
する。合体後は液柱を形成し、その状態がある時間保持
されるが、その後この液柱は解体して液滴状となる。こ
の液滴状物の形状は、他の液滴状物や繊維質基材との結
着をするまでの時間によっては、液滴形状を保持した
り、真球形状や楕円球形状等の球状になったりする。
【0046】このような重合の開始及び重合進行中の液
滴の形成を行う場を与える気相のガスとしては、窒素、
ヘリウム、炭酸ガス等の重合に不活性なものが好ましい
が、空気でもよい。また、水蒸気のみの場合を含め、ガ
ス中の湿度には特に制限はないが、あまり湿度が低いと
重合が進行する前にモノマー水溶液中の水分が蒸発して
モノマーが析出し、その結果、重合速度が著しく低下、
あるいは重合が途中で停止する可能性がある。ガスの温
度条件は、室温以上150℃以下、好ましくは100℃
以下である。ガスの流れ方向は液柱及び液滴状物の進行
方向に関して向流、並流のどちらでも良いが、液滴状物
の気相中滞留時間を長くする必要がある場合、すなわち
重合性モノマーの重合率を上げ、ひいては液滴状物の粘
度を高める必要がある場合には向流(反重力方向)の方
がよい。
【0047】上記の液滴状物が繊維質基材上に到着する
までの距離、すなわち、上記の液滴状物が繊維質基材上
に到着する際の重合度によっては、上記の重合進行中の
液滴状物は、気相中、あるいは繊維質基材上で、ほぼそ
の形状を保持した状態で互いに衝突し、結着して一体と
なり凝集粒状体を形成する。これは、ある程度重合が進
行すると、複数の液滴状物が衝突しても1つの大きな液
滴状とはならず、互いの液滴状を保持したまま結着する
からである。したがって、繊維質基材上に付着する吸水
性ポリマー粒子は、重合条件によって液滴状物のまま、
又は凝集粒状体となる。
【0048】そして、繊維質基材上の吸水性ポリマー粒
子は繊維質基材に付着した後、この繊維質基材上で重合
の最終段階が進行し、重合が完了する。すなわち、この
吸水性ポリマー粒子が上記繊維質基材を構成する繊維の
回りを包囲するか、又は上記繊維質基材を構成する繊維
に接した後に重合の最終段階を進行させ、そして完了さ
せることにより、上記の吸水性ポリマー粒子を構成する
吸水性ポリマーの一部を上記繊維質基材が貫通する状態
となって、上記吸水性ポリマー粒子が上記繊維質基材に
結着、固定化する。上記吸水性ポリマー粒子が凝集粒状
体として上記繊維質基材に結着、固定化した場合、この
凝集粒状体を構成する一次粒子の少なくとも一部は、ほ
ぼその粒子形状を保持しつつ互いに接合した凝集粒状体
を構成しており、且つ凝集粒状体を構成する一次粒子の
一部は繊維質基材に付着していない構造となっている。
【0049】重合進行中の液滴状物が上記の凝集粒状体
を形成する場合において、この液滴状物が互いに接する
時点又は繊維質基材上に接する時点、すなわち、凝集粒
状体の形成が行われる時点での重合率は、20〜97%
がよく、30〜97%が好ましく、50〜95%がさら
に好ましい。この重合率が低すぎる場合には、気相中で
液滴状物同士が衝突しても凝集粒状体とはならず一体化
して大粒子となったり、繊維質基材上に液滴状物が落下
した時に液が基材上に広がったり、或いは吸収ないし含
浸されたりして、凝集粒状体の形状で基材に付着させる
ことが不可能になる場合がある。また、上記重合率が高
過ぎる場合には、液滴状物の繊維質基材に対する接着力
が十分に発現しない場合があり、繊維質基材と凝集粒子
体吸水性ポリマーとの結着性、固定性が悪くなる。
【0050】上記の2液の合体後の液柱がその状態を保
持する時間、液柱長さ及び液滴状物の大きさは、上記の
ノズルの内径等の設定条件によって異なるが、一般に、
保持時間は0.001〜3秒、好ましくは0.1〜3秒
がよく、液柱長さは3〜50mmがよく、液滴状物の大
きさは直径約5〜3000μmがよい。特に、液滴状物
の重合が進行し、互いに結着して適当な凝集粒状体を形
成させるためには、液滴状物の大きさが特に50〜10
00μmの範囲とするのが好ましい。
【0051】上記の重合率及び凝集粒状体形成は、上記
の各ノズルから流出する第1液と第2液との交差角度、
ノズルの径、重合開始剤の種類及び量、気相の温度及び
湿度、ノズルの本数及び配置、ノズルと繊維質基材との
相対位置ないし距離等を調整することにより、液同士の
衝突確率を上げたり、気相中での重合進行度を調整して
コントロールすることが可能である。
【0052】上記の2本の対向するノズルを使用する以
外の方法も可能であって、そのような方法の例として、
2本のノズルの先端位置を揃えた結束式ノズル、一方の
ノズルが他方のノズルに内挿されている二重式ノズル等
があげられる。
【0053】反応が完了した上記吸水性ポリマー粒子に
は、未反応モノマーが残存する場合がある。この残存モ
ノマーを処理する方法としては、1)モノマーの重合を
進行させる方法、2)モノマーを他の誘導体へ導く方
法、3)モノマーを除去する方法があげられる。
【0054】上記の1)のモノマーの重合を進行させる
方法としては、例えば、吸水性ポリマー粒子と基材との
複合体をさらに加熱する方法、凝集粒状体にモノマーの
重合を促進する触媒ないしは触媒成分を添加した後に加
熱する方法、紫外線を照射する方法、電磁放射線又は微
粒子性イオン化放射線を照射する方法などがあげられ
る。
【0055】上記の吸水性ポリマー粒子と基材との複合
体をさらに加熱する方法は、吸水性ポリマー粒子と基材
との複合体を100〜250℃で加熱処理し、吸水性ポ
リマー粒子に残存するモノマーを重合させるものであ
る。
【0056】また、吸水性ポリマー粒子にモノマーの重
合を促進する触媒ないしは触媒成分を添加する方法は、
例えばレドックス系重合開始剤を用いて重合を行った場
合には、還元剤溶液を付与するというものである。これ
は、レドックス系重合開始剤を用いて重合を行った場合
には、ラジカル発生剤が残存していることが多いので吸
水性ポリマー粒子に還元剤溶液を付与すればよいからで
ある。還元剤としては、レドックス系開始重合剤として
用いる亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L−
アスコルビン酸等を用いればよく、通常はこれらを0.
5〜5重量%水溶液として吸水性ポリマー粒子に付与す
る。還元剤の付与量は乾燥ポリマー基準で0.1〜2重
量%がよい。還元剤溶液の付与は、噴霧器を用いてスプ
レーしたり、還元剤溶液中に浸漬するなど、任意の方法
で行うことができる。還元剤を付与した凝集粒状体は、
次いで加熱して重合性モノマーを重合させる。加熱は、
例えば100〜150℃で10〜30分間程度行えばよ
い。この加熱により吸水性ポリマー粒子の含水率は低下
するが、もし含水率が高い場合にはさらに乾燥機で乾燥
して製品の吸水性複合体とする。
【0057】さらに、吸水性ポリマー粒子と基材との複
合体に紫外線を照射する方法では、通常の紫外線ランプ
を用いればよく、照射強度、照射時間等は用いる繊維質
基体の種類、残存モノマー含浸量等によって変化する
が、一般的には紫外線ランプ10〜200w/cm、好
ましくは30〜120w/cm、照射時間0.1秒〜3
0分、ランプ−複合体間隔2〜30cmである。また、
この時の吸水性ポリマー粒子と基材との複合体中の水分
量としては、一般的には重合体1重量部に対して0.0
1〜40重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部が採
用される。0.01重量部未満又は40重量部超過の水
分量は、残存モノマーの低減化に著しい影響を及ぼすの
で好ましくない。紫外線を照射する時の雰囲気として
は、真空下又は窒素、アルゴン、ヘリウム等の無機ガス
存在下、又は空気中のいずれも使用できる。また照射温
度は特に制限はなく、室温で充分その目的を達成するこ
とができる。用いる紫外線照射装置にも特に制限はな
く、静置状態にて一定時間照射する方法、あるいはベル
トコンベヤーにて連続的に照射する方法等、任意の方法
を用いることができる。
【0058】さらにまた、吸水性ポリマー粒子と基材と
の複合体に電磁放射線又は微粒子性イオン化放射線を照
射する方法には、加速電子やガンマー線の様な高エネル
ギー放射線が用いられる。照射されるべき線量は、複合
体中の残存モノマー量や、水分量等により変化するが、
一般的には0.01〜100メガラド、好ましくは0.
1〜50メガラドである。100メガラド超過の線量で
は吸水量が極めて小さくなり、また0.01メガラド未
満ではこの発明で目的とする吸水能や吸水速度が大き
く、残存モノマーが特段に小さいものが得られ難い。ま
た、この時の複合体中の水分量としては、一般的には繊
維質基体1重量部に対して40重量部以下、好ましくは
10重量部以下が採用される。40重量部超過の水分量
では吸水速度改良効果が少なく、特に未重合モノマーの
低減化に著しい影響を及ぼすので好ましくない。
【0059】この発明で上記複合体に高エネルギー放射
線を照射する時の雰囲気としては、真空下又は窒素、ア
ルゴン、ヘリウム等の無機ガス存在下、又は空気中のい
ずれも使用できる。好ましい雰囲気は空気であって、空
気中で照射を行なうと吸水能や吸水速度の大きくかつ残
存モノマーが特段に小さくなる。また、照射濃度には特
に制限は無く室温で十分にその目的を達成することがで
きる。
【0060】上記の2)のモノマーを他の誘導体へ導く
方法としては、例えばアミン、アンモニア等を加える方
法、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩等の還元剤
を加える方法があげられる。
【0061】上記の3)のモノマーを除去する方法とし
ては、例えば有機溶媒による抽出、留去する方法があげ
られる。有機溶媒により抽出する方法では、吸水性ポリ
マー粒子と基材との複合体を、含水有機溶媒中に浸漬し
て、残存モノマーを抽出除去する。含水有機溶媒として
はエタノール、メタノール、アセトン等を用いることが
でき、その含水率は10〜99重量%、特に30〜60
重量%であるのが好ましい。一般に含水率が高いほど残
存モノマーの除去能が高いが、含水率の高い含水有機溶
媒を用いると後続する乾燥工程でのエネルギー消費が多
くなる。凝集粒状体と基材との複合体を含水有機溶媒に
浸漬する時間は通常5〜30分間程度で十分であり、吸
水性ポリマー粒子と基材との複合体を揺動させるなど残
存モノマーの抽出を促進する手段を採用するのも好まし
い。浸漬処理後は通常乾燥機で処理して乾燥する。
【0062】また、モノマーを留去する方法としては、
吸水性ポリマー粒子と基材との複合体を過熱水蒸気又は
水蒸気含有ガスで処理する。例えば110℃の飽和水蒸
気を120〜150℃に加熱して過熱水蒸気として吸水
性ポリマー粒子と基材との複合体に接触させることによ
り、吸水性ポリマー粒子中の残存モノマーを低減させる
ことができる。この方法では、吸水性ポリマー粒子中の
水が水蒸気となって蒸発する際に、残存モノマーも同時
に気化して吸水性ポリマー粒子から抜け出るものと考え
られる。この方法によれば、残存モノマーの除去と製品
の乾燥とを兼ねることができる。
【0063】この発明においては、吸水性能を向上させ
る目的で、繊維質基材上の吸水性ポリマー粒子を構成す
る吸水性ポリマーの表面を架橋剤により、さらに架橋さ
せることも可能である。一般に、粉末状の吸水性ポリマ
ー粒子表面に架橋剤を付与した後、加熱して表面を架橋
することにより、ポリマー粒子の特性を改良することは
公知であり、表面に選択的に架橋構造が形成される結
果、吸水して膨潤する際、膨潤を阻害せずにその形状を
保持することができるものと考えられる。
【0064】表面架橋剤としては、N,N’−メチレン
ビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコ
ールビス(メタ)アクリレート等の重合性モノマーと共
重合し得る多官能化合物や、(ポリ)エチレングリコー
ルジグリシジルエーテル等のカルボン酸基と反応し得る
官能基を複数個有する化合物が用いられる。これらの表
面架橋剤は、通常、吸水性ポリマー粒子(乾燥基準)に
対して0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.5重
量%となるように用いられる。
【0065】この表面架橋剤の付与は、通常、噴霧器を
用いて表面架橋剤溶液を凝集粒状体に噴霧したり、吸水
性ポリマー粒子と繊維質基材との複合体を反転させて吸
水性ポリマー粒子を結着させた面が下面になるようにし
て移動させつつ、これに表面架橋剤溶液を収容した槽に
下部が浸漬しているロールブラシで表面架橋剤溶液を塗
布する方法により行うことができる。
【0066】なお、表面架橋剤溶液を過剰に付与した
後、圧搾ロールで吸水性ポリマー粒子がつぶれない程度
に軽く圧搾したり、風を吹き付けたりして、余剰の表面
架橋剤溶液を除去するようにしてもよい。
【0067】上記の表面架橋剤の溶液を付与した吸水性
ポリマーと繊維質基材との複合体を、加熱して架橋反応
を進行させることにより、吸水性ポリマー表面に選択的
に架橋構造を形成させることができる。加熱条件は、1
00〜160℃の範囲内とするのが好ましい。160℃
を超えると、表面水分の蒸発が早く、架橋反応が十分に
起こらない可能性がある。100℃未満では、架橋反応
に時間がかかり、経済的に不利になる傾向がある。反応
時間は、10〜90分程度が好ましい。10分未満で
は、十分な架橋反応時間が得られない傾向がある。ま
た、一般に架橋反応は90分以内にほぼ終了するため、
90分を超える反応時間は、無駄な時間となり経済的で
ないことが多い。
【0068】上記の方法で得られた吸水性複合体は、次
いで加熱乾燥させる。加熱乾燥温度は、通常は100℃
以上の温度で行うことが好ましい。
【0069】<吸水性複合体>上記の製造方法を用いる
と、吸水性ポリマーが繊維質基材に固定化されている、
以下の特徴を有する吸水性複合体を製造することができ
る。 1)吸水性ポリマーの繊維質基材への担持強度が70〜
95%である。 2)上記吸水性ポリマーの一部を繊維質基材が貫通して
いる。 3)保水能及び吸水速度がより向上する。 上記の保水能及び吸水速度の向上は、重合進行中の吸水
性ポリマー粒子を繊維質基材に付着させ、その後に重合
を完了させる吸水性複合体の製造方法に、所定の界面活
性剤を用いたことによる効果と考えられる。
【0070】上記の製造方法で製造される吸水性複合体
のうち、吸水性ポリマー粒子として、吸水性ポリマーか
らなる一次粒子(すなわち、上記の液滴状物)の一定割
合以上を互いに結着させた凝集粒状体を用いた吸水性複
合体は、特に高吸収速度を有する特徴を有する。
【0071】上記の吸水性ポリマー粒子が凝集粒状体の
場合、この凝集粒状体を構成する一次粒子は、平均粒子
径50〜1000μmの粒子を含有することが好まし
く、100〜900μmの粒子を含有することがより好
ましく、200〜800μmの粒子を含有することがさ
らに好ましい。一次粒子の平均粒子径が50μm未満だ
と、吸水性複合体をさらに切断、クレープ加工等の加工
をする際に、繊維質基材から離脱する粒子が微粒である
ため、飛散して好ましくない。一方、1000μmを超
えると、吸水性複合体を衛生材料として用いる場合に、
風合いは感触が好ましくない場合がある。なお、この明
細書において「〜」は、その前後に記載される数値を最
小値及び最大値として含む範囲を示すものである。
【0072】上記吸水性ポリマー粒子は、一次粒子の3
0重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好まし
くは80重量%以上が、ほぼその粒子形状を保持しつつ
粒子同士が互いに結着して形成された凝集粒状体である
ことが好ましい。ほぼその粒子形状を保持して凝集粒状
体を構成する一次粒子が、凝集粒状体を構成する一次粒
子全体の30重量%未満の場合は、吸水性ポリマー粒子
の多くが繊維質基材に直接結着しているので、吸水して
膨潤するに際し、繊維質基材から受ける拘束が大きく、
吸水能が劣る場合がある。
【0073】また、上記凝集粒状体を構成する一次粒子
の一部は、繊維質基材に結着していない。すなわち、凝
集粒状体は、上記繊維質基材に直接結着している一次粒
子と、繊維質基材にまったく結着していない一次粒子を
有する。これは、上記凝集粒子状体が、扁平な形状でな
く、三次元的な形状を有することを意味する。このよう
な凝集粒状体は、比表面積が大きくなるため、吸水速度
が大きくなる。また、凝集粒状体を構成する一次粒子の
一部のみが繊維質基材に結着しているので、吸水して膨
潤するに際し繊維質基材から受ける拘束が小さく、吸水
能に優れる。さらに、凝集粒状体を構成する一次粒子同
士は、互いに重合進行中に結着してその後に重合が完了
して一体化されるので、吸水前は勿論のこと吸水後にお
いても、凝集粒状体が一次粒子に崩壊して繊維質基材か
ら脱落することが少ない。なお、上記の吸水性ポリマー
と繊維質基材の結着とは、吸水性ポリマー粒子の一部を
繊維質基材が貫通している状態で、互いに物理的に結合
して固着した状態をいう。
【0074】上記凝集粒状体の平均粒子短径は、100
〜3000μmがよく、100〜2500μmが好まし
く、200〜2000μmがより好ましく、250〜2
000μmがさらに好ましい。平均粒子短径が100μ
mより小さいと吸水性能が十分に発現しない場合があ
る。また、平均粒子短径が3000μmより大きいと繊
維質基材との接着力が弱くなる場合がある。ここで、凝
集粒状体の平均粒子短径とは、各凝集粒状体の短径を平
均したものをいう。また、この明細書における粒子短径
とは、粒子の径が最も長くなるようにとった長径に直交
する径のうち、最長のものをいう。この平均粒子短径を
用いたのは、凝集粒状体が球体とは限らないからであ
る。
【0075】この発明にかかる吸水性複合体は、上記の
とおり、上記繊維質基材に吸水性ポリマー粒子を担持、
詳しくは、結着させたものである。特に、吸水性ポリマ
ー粒子が凝集粒状体の場合は、液滴状又は真球状等の球
状に形成した一次粒子を互いに結着させてできるぶどう
状の形状をなしているので、角張ったところがなく、ソ
フト感を保持することができる。この発明と同様に繊維
質基材に吸水性ポリマーが固定化された吸水性複合体と
して、特開平9−67403号公報に開示されるものが
開発されているが、この公報に記載される複合体中の吸
水性ポリマーは、角張った不定形単粒子が繊維に付着し
ているものである。このため、皮膚への感触がざらざら
乃至チクチクしており、ソフト感に欠けるきらいがある
が、この発明の吸水性複合体は皮膚への感触を大幅に改
善している。
【0076】上記吸水性複合体における、吸水性ポリマ
ー粒子の繊維質基材への担持強度は、70%以上がよ
く、75%以上が好ましい。また、担持強度は高いほど
好ましいが、通常、95%以下である。担持強度が70
%未満であると、繊維質基材からの吸水性ポリマー粒子
の脱離量が多くなり、圧力が加わった場合に、吸水性ポ
リマー粒子が移動し、再度、吸収するときに均一に吸収
できず、吸水性複合体が部分的に、必要な保水量を保持
できなくなり、液漏れが生じる場合がある。
【0077】なお、担持強度とは、試料を生理食塩水で
飽和吸水させたのち、ストーンテーブル上に置き、この
試料上でローラーを一定速度で往復動させ、試料から脱
落した吸水性ポリマーの乾燥後の重量を秤量して、下式
で表した担持率Aで担持強度を評価したものである。 A(%)=[(W0−w)/W0]×100 (式1) 上記(式1)中、W0は試料中の吸水性ポリマーの乾燥
重量、wは脱落した吸水性ポリマーの乾燥重量を示す。
【0078】上記の高吸収速度を有する吸水性複合体の
吸水速度としては、40g/g以上がよく、42g/g
以上が好ましい。吸水速度は早い方が好ましいが、通
常、50g/g以下である。吸水速度が40g/g未満
だと、用途によっては、不十分な吸水速度となる場合が
あり、例えば、大人用の衛生材料としては、短時間に多
量の体液を吸収しきれない場合がある。このような吸収
速度は、吸水性複合体中の吸水性ポリマーの形状が凝集
粒状体であること、及び所定の界面活性剤を適用したこ
とにより、初めて達成できるものである。
【0079】また、上記の吸水速度とは、試料が生理食
塩水を一定の短時間内で吸収する吸水量をいい、上記の
値は、当初5分間の吸水性ポリマー1g当たりの吸収量
から算出したものである。なお、具体的な測定方法は、
後述の実施例で示す。
【0080】上記吸水性複合体における吸水性ポリマー
粒子の担持量、すなわち、結着量は、50〜300g/
2がよく、100〜300g/m2が好ましい。50g
/m 2より少ないと、吸水性複合体の保水能が不十分と
なり、衛生材料として用いる場合、体液を吸収しきれ
ず、漏れが生じる場合があり好ましくない。一方、30
0g/m2より多いと、吸水性複合体中の吸水性ポリマ
ーの容量比も大きくなるので、衛生材料として用いる場
合、風合いが好ましくない場合がある。
【0081】上記吸水性複合体の生理食塩水に対する保
水能は、45g/g以上が好ましく、47g/g以上が
より好ましい。45g/g未満でも、通常の用途には十
分使用できるが、用途によっては、不十分な場合があ
り、例えば、大人用の衛生材料としては、短時間に多量
の体液を吸収しきれない場合がある。このような保水能
は、吸水性複合体中の吸水性ポリマーの形状が凝集粒状
体であること、及び所定の界面活性剤を適用したことに
より、初めて達成することができる。上記の生理食塩水
に対する保水能とは、試料が生理食塩水を一定時間後に
吸収し、一定の力を加えても保持できる吸収量をいい、
上記の値は、30分間浸漬後、90Gの遠心力がかかる
遠心脱水機で90秒間脱水後の吸水性ポリマー1gあた
りの吸収量から算出したものである。なお、具体的な測
定方法は、実施例に示す。
【0082】この発明にかかる吸水性複合体は、これを
構成する吸水性ポリマー粒子や繊維質基材の材質等につ
いては、上記に記載したものに制限されない。したがっ
て、従来から公知の吸水性ポリマーや繊維質基材を用い
ることができる。また、吸水性ポリマー粒子や繊維質基
材の材質として、複数種の材質を組み合わせて使用して
吸水性複合体を構成してもよい。また、この発明にかか
る吸水性複合体は、繊維質基材の片面にだけ吸水性ポリ
マーを結着させていてもよいし、両面に結着させてもよ
い。これは、吸水性複合体の用途に応じて適宜決定しう
る。例えば、繊維質基材への担持量の増加や表裏の機能
分担のために、繊維質基材の両面に吸水性ポリマーを固
定化することができる。
【0083】上記の吸水性複合体は、吸水性ポリマーの
大部分が繊維質基材上に安定性良く結着、固定されてお
り、しかも、吸水した後の膨潤ゲルの固定性にも優れて
いるので、高担持量でも保水能及び吸水能が低下しな
い。また、上記の吸水性複合体は、重合が未完了なうち
に繊維質基材の繊維と結着するため、繊維質基材の繊維
は凝集粒状体を構成する一次粒子の一部の粒子中を貫通
している。
【0084】これに対し、この発明に関連する先行技術
である特開平9−239912号公報には、水溶性エチ
レン性不飽和モノマー含浸吸水性ポリマー粒子を、繊維
質基材上或いは繊維質基材中に配置した後、この吸水性
ポリマー粒子中のエチレン性不飽和モノマーを重合させ
ることにより、上記繊維質基材上或いは基材中に吸水性
ポリマー粒子を固定化させることを特徴とする吸水性複
合体の製造方法が開示されている。この手法は予め重合
が完了した吸水性ポリマー粒子を用いるため、繊維質基
材の繊維との結着は、凝集粒状体を構成する一次粒子表
面と点接着となる。
【0085】したがって、特開平9−239912号公
報とこの発明の吸水性複合体の吸水性ポリマーを比較す
ると、担持機構から明らかなようにこの発明の吸水時の
担持強度は大幅に改善されている。
【0086】次に、吸水性複合体の実際の製造方法の一
例を下記に例示する。まず、上記の繊維質基材のシート
をベルトコンベアーで移送しつつ、上方から、重合性モ
ノマー水溶液の重合が開始された重合進行中の反応混合
物の液柱を落下させる。そして、上記液柱の落下途中で
生成した液滴状物同士を繊維質基材シート上で結着させ
て一体化させる。このようにして得られた凝集粒状体
を、上記繊維質基材シート上に担持させる。そして、所
定時間を経過させ、重合を完了させる。生成した吸水性
ポリマーは水分を含んでいるから、水分除去のため乾燥
処理をして、吸水性複合体の原反を得る。これを所定の
形、大きさに切断し、吸水性複合体として製品化され
る。
【0087】このようにして得られた吸水性複合体は、
吸水性ポリマーが凝集粒状体となり、凝集粒状体の少な
くとも一部が、繊維質基材を構成する繊維の回りを包囲
するか、繊維質基材を構成する繊維に接して繊維質基材
に結着、固定化され、かつ構成する液滴状物、すなわ
ち、一次粒子の一部の粒子中を貫通して繊維質基材上に
担持される。従って、吸水前はもとより、吸水してゲル
状態となった後も上記吸水性ポリマーが繊維質基材にし
っかりと固定化されており、更には、凝集粒状体を構成
する一次粒子同士の接合面は一体化して接着界面がない
ため、吸水して膨潤した後も単粒子に戻りにくく、吸収
体としての形態保持性に優れている。
【0088】また、吸水性ポリマーが凝集粒状体とな
り、その構成一次粒子の一部は基材繊維に付着していな
いため、この吸水性ポリマーが基材繊維から受ける拘束
が小さくなり、吸水性ポリマーが吸水して膨潤する際
に、繊維質基材を構成する繊維から受ける膨潤阻害が低
減できるので、この発明によって、吸水能の優れた吸水
性複合体が得られるという特徴を有する。
【0089】この発明にかかる吸水性複合体は、後記す
る実施例(及び比較例)に記載した生理食塩水保水能及
び吸収速度試験から明らかなように、保水能及び吸水速
度の点においても満足すべき性能を有している。すなわ
ち、この発明にかかる吸水性複合体の保水能は、45g
/g以上がよく、47g/g以上が好ましい。保水能が
向上した吸水性複合体は、大人用衛生材料用のように、
多量の体液を吸収することができる。また、この発明に
かかる吸水性複合体の吸水速度は、40g/g以上がよ
く、42g/g以上が好ましい。吸水速度の優れた吸水
性複合体は、多量の体液を短時間に吸収でき、大人用衛
生材料に使用することができる。
【0090】この発明にかかる吸水性複合体は、従来、
吸水性ポリマーが用いられていた用途に用いることがで
きる。この吸水性ポリマーの用途は、「吸水性ポリマ
ー」81〜111頁(増田房義、共立出版、198
7)、「高吸水性樹脂の開発動向とその用途展開」(大
森英三、テクノフォーラム、1987)、田中健治、
「工業材料」42巻4号18〜25頁、1994、原田
信幸、下村忠生、同26〜30頁等にいろいろ紹介され
ており、適宜用いることができる。例えば、紙おむつ、
生理用品、鮮度保持材、保湿剤、保冷剤、結露防止剤、
土壌改良材等があげられる。
【0091】さらにまた、特開昭63−267370号
公報、特開昭63−10667号公報、特開昭63−2
95251号公報、特開昭270801号公報、特開昭
63−294716号公報、特開昭64−64602号
公報、特開平1−231940号公報、特開平1−24
3927号公報、特開平2−30522号公報、特開平
2−153731号公報、特開平3−21385号公
報、特開平4−133728号公報、特開平11−15
6118号公報等に提案されているシート状吸水性複合
体の用途にも用いることができる。
【0092】この発明にかかる吸水性ポリマー粒子又は
吸水性複合体には、目的とする用途に応じて、所望の機
能を付与するために各種の添加剤を加えることができ
る。これら添加剤としては、吸収する液体によるポリマ
ー分解や変質を防止する安定剤、抗菌剤、消臭剤、脱臭
剤、芳香剤、発泡剤等をあげることができる。
【0093】これらの添加剤は吸水性ポリマー粒子又は
吸水性複合体の製造工程で目的、作用機構に応じ適宜加
えられる。例えば発泡剤は、吸水性ポリマー粒子の製造
工程の重合工程前乃至重合工程途中での添加が適当であ
る。
【0094】また、上記の人尿安定剤、人血安定剤、抗
菌剤、消臭剤、芳香剤は、吸水性ポリマー粒子製造工程
又は吸水性複合体製造工程の各工程で添加可能である。
もちろん予め繊維質基材に施すことも可能である。
【0095】
【実施例】以下に実施例及び比較例をあげてこの発明を
さらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示す材
料、試薬、割合、操作等は、この発明の精神から逸脱し
ない限り適宜変更することができる。したがって、この
発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではな
い。
【0096】(実施例1)80重量%のアクリル酸水溶
液125重量部に、48.5重量%の水酸化ナトリウム
水溶液57.3重量部、水6.4重量部、架橋剤(N,
N′−メチレンビスアクリルアミド)0.15重量部、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB=13:
東邦化学工業株式会社製 ペグロールTH−8、以下、
「界面活性剤1」と称する。)0.11重量部、及び酸
化剤として30重量%の過酸化水素水溶液5.0重量部
を加えて第1液を調製した。第1液のモノマー濃度は6
0重量%、中和度は50モル%であった。これとは別
に、80重量%のアクリル酸水溶液125重量部に、4
8.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液57.3重量
部、水9.9重量部、架橋剤(N,N′−メチレンビス
アクリルアミド)0.15重量部と界面活性剤1を0.
11重量部、及び還元剤としてL−アスコルビン酸1.
5重量部を加えて第2液を調製した。第2液のモノマー
濃度、中和度は第1液と同じであった。
【0097】調製した第1液及び第2液を、図1に示し
た混合装置を用いて混合した。図1に示す混合装置は、
内径が0.13mmの第1液用ノズル1、及び同径の第
2液用ノズル2をそれぞれ5本ずつ1cm間隔で配置し
たものである。上記の5本の第1液用ノズル1は、第1
液導入管3の先端に接続されており、ポンプによって第
1液導入管3の内部に導入された第1液は、第1液用ノ
ズル1を通り、その先端から噴出する。また、上記第2
液用ノズル2は、第2液導入管4の先端に接続されてお
り、ポンプにより第2液導入管4の内部に導入された第
2液は、第2液用ノズル2を通り、その先端から噴出す
る。そして、第1液用ノズル1から噴出する第1液と、
第2液用ノズル2から噴出する第2液との交差角度は3
0度、ノズル先端の距離は4mmとした。また、第1液
及び第2液はそれぞれ液温を40℃に加温して、それぞ
れ流速5m/秒となるようにポンプで供給した。
【0098】上記の第1液及び第2液は、それぞれ、第
1液用ノズル1及び第2液用ノズル2を出たところで合
流し、約10mmほど液柱を形成した後、液滴状となっ
て重合を進行させながら、気相中(空気中、温度50
℃)を落下した。この液滴状物は、ノズルの先端より下
方3mに設置したポリエステル製不織布からなる繊維質
基材(目付量:30g/m2)上に落下し、このとき、
上記液滴状物の一部が繊維凝集粒状体を形成し、その
後、この繊維質基材上で重合が完了した。このようにし
て吸水性ポリマー粒子は、繊維質基材上に担持され、結
着された。担持された吸水性ポリマー粒子に対し、エチ
レングリコールジグリシジルエーテル0.5重量%のエ
タノール溶液を3000ppmになるようにスプレーし
て110℃の乾燥機中で1時間乾燥させた。その後、含
水量5重量%になるまで乾燥を続け、吸水性ポリマー粒
子担持量200g/m2の吸水性複合体Aを得た。
【0099】(実施例2)実施例1で用いた界面活性剤
1の代わりにポリオキシエチレンステアリルエーテル
(HLB=10:東邦化学工業株式会社製 ペグロール
L−4、以下「界面活性剤2」と称する。)を用いたこ
と以外は実施例1と同様の操作で吸水性ポリマー粒子担
持量200g/m2の吸水性複合体Bを得た。
【0100】(実施例3)実施例1で用いた界面活性剤
1の代わりにポリオキシエチレンステアリルエーテル
(HLB=16.5:東邦化学工業株式会社製 ペグロ
ールL−20S、以下、「界面活性剤3」と称する。)
を用いたこと以外は実施例1と同様の操作で吸水性ポリ
マー粒子担持量200g/m2の吸水性複合体Cを得
た。
【0101】(実施例4)実施例1で用いた界面活性剤
1の代わりにポリオキシエチレンオクチルフェニルエー
テル(HLB=11.2:東邦化学工業株式会社製 ナ
ノール106、以下、「界面活性剤4」と称する。)を
用いたこと以外は実施例1と同様の操作で吸水性ポリマ
ー粒子担持量200g/m2の吸水性複合体Dを得た。
【0102】(実施例5)実施例1で用いた界面活性剤
1の代わりにポリオキシエチレンジノニルフェニルエー
テル(HLB=15.8:東邦化学工業株式会社製 ナ
ノール530、以下、「界面活性剤5」と称する。)を
用いたこと以外は実施例1と同様の操作で吸水性ポリマ
ー粒子担持量200g/m2の吸水性複合体Eを得た。
【0103】(比較例1)実施例1で用いた界面活性剤
1を使用しなかったこと以外は実施例1と同様の操作で
吸水性ポリマー粒子担持量200g/m2の吸水性複合
体Fを得た。
【0104】(比較例2)実施例1で用いた界面活性剤
1の代わりにポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル(HLB=5.7:東邦化学工業株式会社製 ナノー
ル202、以下、「界面活性剤6」と称する。)を用い
たこと以外は実施例1と同様の操作で吸水性ポリマー粒
子担持量200g/m2の吸水性複合体Gを得た。
【0105】(評価方法)実施例1〜5及び比較例1〜
2で得た各吸水性複合体A〜Gについて、以下の方法に
より測定と試験を行った。
【0106】(1)一次粒子平均径 吸水性複合体の複数箇所の走査型顕微鏡写真(SEM写
真)を撮影後、任意に100個の一次粒子を選択して一
次粒子直径を計測し、計測値の平均値を求めた。
【0107】(2)吸水性ポリマー粒子が凝集粒状体と
なっている比率(凝集体比率) 吸水性複合体の複数箇所の走査型顕微鏡写真(SEM写
真)を撮影後、任意に100個の一次粒子を選定して凝
集の有無を判定し、一次粒子が凝集粒子となっている比
率を計算した。
【0108】(3)凝集粒状体の平均粒子短径 吸水性複合体の複数箇所のSEM写真を撮影後、任意に
100個の粒子を選定して粒子短径を計測し、測定値の
平均を求めた。ここで、平均粒子短径とは、各凝集粒子
体の短径を平均したものであり、また、粒子短径とは、
粒子の径が最も長くなるようにとった長径に直交する径
のうち、最長のものをいう。
【0109】(4)吸水性ポリマーの繊維質基材への担
持強度 吸水性複合体の60mm×300mm(厚さ:0.5〜
20mm)のシート状試料を生理食塩水で飽和吸水させ
た後、ストーンテーブル上に置き、この試料上で直径1
05mm、幅60mm、重さ4kgのローラーを10c
m/秒の速さで5往復させたときに、試料から脱落した
吸水性ポリマーの乾燥後の重量を秤量して、下式で表し
た担持率Aで担持強度を評価した。担持率が60%以上
のものは、実用上の担持強度を有するため好ましく、更
に70%以上のものがより好ましい。 A(%)=[(W0−w)/W0]×100 (式1) 式中、W0は試料中の吸水性ポリマーの乾燥重量、wは
脱落した吸水性ポリマー粒子の乾燥重量を示す。
【0110】(5)生理食塩水保水能 吸水性ポリマー0.50gになるように吸水性複合体を
切り出し、250メッシュのナイロン袋(20cm×1
0cmの大きさ)に入れ、0.9%の生理食塩水500
mlに30分浸漬する。その後、ナイロン袋を引き上
げ、15分水切りした後、遠心力が90Gかかる遠心脱
水機で90秒間脱水させる。重量を測定し、ブランク補
正し、下記式に従って保水能Bを算出した。 B=(W1−W2)/W3 (式2) 式中、W1は吸水後の吸水性複合体の重量、W2は吸水
後の基材単体の重量、W3は吸水性複合体に担持されて
いる吸水性ポリマー粒子の重量を示す。
【0111】(6)吸水速度 300mlのビーカーに吸水性複合体を約1.0g及び
濃度0.9%の生理食塩水約200gをそれぞれ秤量し
て入れ、5分間放置して生理食塩水によってポリマーを
膨潤させた。次いで、100メッシュ篩で水切りをした
後、上記式に従って生理食塩水吸水能Bを算出し、これ
を吸水速度として担持されている吸水性ポリマーの吸水
速度を評価した。これらの測定及び試験結果をまとめて
表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
【発明の効果】この発明の吸水性複合体は、吸水性ポリ
マー粒子が繊維質基材に安定性よく固定化されており、
かつ、吸水速度及び保水能にも優れている。
【0114】特に、吸水性複合体中の吸水性ポリマー粒
子が特定の凝集粒状体であると、さらに吸水速度及び保
水能に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の製造方法における混合工程を実施す
るために用いる混合装置の一例を示す概略図
【符号の説明】
1 第1液用ノズル 2 第2液用ノズル 3 第1液導入管 4 第2液導入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 13/11 D06M 13/11 15/27 15/27 15/285 15/285 23/08 23/08 Fターム(参考) 4G066 AA11D AA13D AB06D AB07A AB07D AB13D AC17 AC22D AC23C AC35B AE01A AE02D BA09 BA16 BA20 BA36 BA38 CA43 DA13 EA05 FA07 FA37 4J011 AA05 CA03 CC04 CC09 CC10 KA10 KA15 KB02 KB28 4L031 AA02 AA11 AA26 AB31 BA33 BA34 DA08 4L033 AA02 AA04 AA09 AB04 AC07 BA08 BA14 CA18 CA23

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸水性ポリマーを与える重合性モノマ
    ー、及びHLBが7以上であるノニオン系界面活性剤を
    含有する水溶液を気相中で液滴状に重合させて吸水性ポ
    リマー粒子を形成させながら繊維質基材に落下させるこ
    とにより、重合進行中の上記吸水性ポリマー粒子を上記
    繊維質基材に付着させ、その後、上記重合を完了させる
    ことを特徴とする吸水性複合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記ノニオン系界面活性剤を上記重合性
    モノマーに対して0.001〜10重量%含有させる請
    求項1に記載の吸収性複合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 繊維質基材に吸水性ポリマー粒子が担持
    された吸水性複合体において、上記吸水性ポリマーの一
    部を上記繊維質基材が貫通し、上記吸水性ポリマーの上
    記繊維質基材への担持強度が70〜95%、吸水速度が
    40〜50g/gであることを特徴とする吸水性複合
    体。
  4. 【請求項4】 上記吸水性ポリマー粒子は、平均粒子径
    50〜1000μmの粒子を含有する一次粒子が互いに
    結着して形成された凝集粒状体であり、上記一次粒子の
    30重量%以上は、ほぼその粒子形状を保持しつつ粒子
    同士が互いに結着し、かつ、上記一次粒子の一部は上記
    繊維質基材に結着していないことを特徴とする請求項3
    に記載の吸水性複合体。
  5. 【請求項5】 上記吸水性ポリマー粒子の担持量が50
    〜300g/m2である請求項3又は4に記載の吸水性
    複合体。
  6. 【請求項6】 上記繊維質基材が、合成繊維、天然繊
    維、半合成繊維及び無機繊維から選択される1種又は2
    種以上の繊維から形成される基材であることを特徴とす
    る請求項3乃至5のいずれかに記載の吸水性複合体。
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