JP2002231268A - 固体高分子型燃料電池用電解質材料及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents
固体高分子型燃料電池用電解質材料及び固体高分子型燃料電池Info
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Abstract
耐久性を有する合成の容易な固体高分子型燃料電池用電
解質材料と、それを用いて構成された固体高分子型燃料
電池を提供する。 【解決手段】 本発明の固体高分子型燃料電池用電解質
材料は、CF2=CFCF2OCF2CF2SO3Hに基づ
く繰り返し単位と、テトラフルオロエチレンに基づく繰
り返し単位とを含む共重合体であり、かつ、イオン交換
容量が0.9〜1.5[ミリ当量/グラム乾燥樹脂]で
あることを特徴とする。
Description
電池用電解質材料及び固体高分子型燃料電池に関する。
る電極の触媒層に含有されるプロトン伝導性ポリマー及
び/又は高分子電解質膜として使用される電解質材料に
は、テトラフルオロエチレンと下記式(A)で表される
パーフルオロビニルエーテルとの共重合体を加水分解
し、次いで酸型化処理することにより、−SO2F基を
−SO3H基に変換したポリマーが用いられている。た
だし、下記式(A)中、Yはフッ素原子又はトリフルオ
ロメチル基、mは0〜3の整数、nは1〜12の整数、
pは0又は1をそれぞれ示し、かつ(m+p)>0であ
る。
ルオロエチレンと下記式(B)〜(D)で表されるモノ
マーの共重合により得られるポリマーを酸型化したもの
が好ましく用いられている。ただし、下記式(B)〜
(D)中、qは1〜8の整数、rは1〜8の整数、sは
2又は3をそれぞれ示す。
来の共重合体は、高い電池出力を達成し得るイオン伝導
性、長期にわたる作動を可能とする耐久性等の特性には
優れていたが、製造コストが高く安価に製造できないと
いう問題があった。
ることの大きな要因としては、高コストのヘキサフルオ
ロプロピレンオキシドを中間体として用いて合成された
−SO2F基を含有するビニルエーテルモノマーをテト
ラフルオロエチレンと共重合させることにより製造して
いることが挙げられる。
公報には、ヘキサフルオロプロピレンオキシドを用いず
に合成した下記式(2)で表されるモノマーとテトラフ
ルオロエチレンとの共重合体が開示されている。
F基を酸型化して−SO3H基とした後、電極や高分子
電解質膜の構成材料として使用した固体高分子型燃料電
池は十分な電池出力を得ることができなかった。
みてなされたものであり、上述の従来の電解質材料と同
等のイオン伝導性及び耐久性を有する合成の容易な固体
高分子型燃料電池用電解質材料と、それを用いて構成さ
れた固体高分子型燃料電池を提供することを目的とす
る。
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、米国特許4,27
3,729号公報に記載の共重合体は、酸型化した後の
イオン交換容量が0.85[ミリ当量/グラム乾燥樹
脂]以下であり、十分なイオン伝導性を有していないこ
とが、高い電池出力を得ることができない要因となって
いることを見出した。
ロピレンオキシドを原料として用いずに合成した安価な
式(1)で表されるモノマーに基づく繰り返し単位とテ
トラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とを含む共
重合体であっても、そのイオン交換容量を所定の範囲に
調節して合成したものは十分なイオン伝導性と耐久性と
を兼ね備えていることを見出し、本発明に到達した。
れるモノマーに基づく繰り返し単位と、テトラフルオロ
エチレンに基づく繰り返し単位とを含む共重合体であ
り、かつ、イオン交換容量が0.9〜1.5[ミリ当量
/グラム乾燥樹脂]であることを特徴とする固体高分子
型燃料電池用電解質材料、及び、当該固体高分子型燃料
電池用電解質材料からなり、かつ、その膜厚が5〜70
μmであることを特徴とする高分子電解質膜がアノード
とカソードとの間に配置された構成を有する固体高分子
型燃料電池を提供する。
料は、ヘキサフルオロプロピレンオキシドを原料として
使用せずに合成することができるので、上述の従来の電
解質材料に比較して、製造コストを大幅に削減すること
が可能である。また、本発明の固体高分子型燃料電池用
電解質材料は、そのイオン交換容量(以下、ARとい
う)が0.9〜1.5[ミリ当量/グラム乾燥樹脂]
(以下、meq./gとする)であるので、従来の電解
質材料と同等の優れたイオン伝導性及び耐久性を有して
いる。
ン伝導性が不十分となるおそれがある。一方、ARが
1.5を超えると、合成することが困難となる。また、
上記と同様の観点から、本発明の固体高分子型燃料電池
用電解質材料のARは、1.0〜1.3meq./gで
あることが好ましい。
上記の固体高分子型燃料電池用電解質材料からなる高分
子電解質膜を少なくとも備えているので、上述の従来の
固体高分子型燃料電池と同等の出力特性及び電池寿命を
有しており、然も、モノマー製造工程を短縮することが
できる。すなわち、例えば、従来用いられている式
(D)で示した化合物は、FSO2CF2COFから、ヘ
キサフルオロプロピレンオキシド付加、熱分解の2段の
工程を経て合成されるが、式(2)で示したモノマーは
後述のスキームAに示すようにFSO2CF2COFから
一段の反応で合成できる。なお、本発明の固体高分子型
燃料電池は、アノード及び/又はカソードの触媒層にも
上記の本発明の固体高分子型燃料電池用電解質材料を含
有させてもよい。
使用される高分子電解質膜の膜厚が5μm未満である
と、膜の強度が不十分となる。一方、膜厚が70μmを
超えると、電解質抵抗が大きくなり十分な電池出力が得
られなくなる。また、上記と同様の観点から、本発明の
固体高分子型燃料電池に使用される高分子電解質膜の膜
厚は10〜50μmであることが好ましい。
電池用電解質材料及び固体高分子型燃料電池について更
に詳細に説明する。
料は、先に述べた式(2)で表されるモノマーとテトラ
フルオロエチレンとを共重合させ、得られる共重合体を
加水分解し、酸と接触させることにより得ることができ
る。
アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間に
配置された高分子電解質膜とを有している。そして、本
発明の固体高分子型燃料電池は、本発明の固体高分子型
燃料電池用電解質材料からなり、かつ、膜厚が5〜70
μmである高分子電解質膜を備えていること以外の構成
は特に限定されない。例えば、従来公知の固体高分子型
燃料電池と同様の構成を有してしてもい。なお、前述の
ようにアノード及び/又はカソードの触媒層にも従来の
パーフルオロスルホン酸ポリマーのかわりに本発明の固
体高分子型燃料電池用電解質材料を含有させてもよい。
また、本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法も特に
限定されず、本発明の固体高分子型燃料電池用電解質材
料からなる高分子電解質膜を製造する方法、電極と高分
子電解質膜とから燃料電池を作製する方法についても特
に限定されず、従来公知の方法を採用することができ
る。
れるモノマーは、例えば、米国特許4,273,729号等によ
り下記スキームAに示す公知の合成反応により製造する
ことができる。
ラフルオロエチレンとの重合反応は、ラジカルが生起す
る条件のもとで、例えば、バルク重合法、溶液重合法、
又は懸濁重合法により行われる。また、ラジカルを生起
させる方法としては、紫外線、γ線、電子線等の放射線
を照射する方法、ラジカル重合反応に一般的に用いられ
ているラジカル開始剤を添加する方法等が挙げられる。
重合反応の反応温度は、50〜350℃であることが好
ましい。重合反応の反応温度が50℃未満であると、反
応容器内等の反応系内の圧力が不十分となり、圧力で重
合反応の進行を制御することが困難となる傾向がある。
その結果、ARが0.9meq./g以上の共重合体を
再現性よく得ることが困難となる。また、この場合に
は、式(2)で表されるモノマーの重合反応性が小さす
ぎて、分子量、収率が小さくなる傾向がある。一方、重
合反応の反応温度が350℃を超えると、生成する共重
合体の耐熱性が不十分である。
用いて上記モノマーの重合反応を行なう場合、ラジカル
開始剤としては、例えばビス(フルオロアシル)パーオ
キシド類、ビス(クロロフルオロアシル)パーオキシド
類、ジアルキルパーオキシジカーボネート類、ジアシル
パーオキシド類、パーオキシエステル類、アゾ化合物
類、過硫酸塩類、3級炭素−3級単炭素、3級炭素−4
級炭素又は4級炭素−4級炭素結合を有するパーフルオ
ロカーボン類、N−F結合を含有するパーフルオロカー
ボン化合物類等が挙げられる。なお、生成する共重合体
の分子量を高める観点から、上記のラジカル開始剤の中
でも含フッ素開始剤を用いることが好ましく、パーフル
オロカーボン化合物系の開始剤を使用することがより好
ましい。
合反応を溶液重合法により行なう場合、使用する溶媒の
沸点は、取り扱い性の観点から、通常は20〜350
℃、好ましくは40〜150℃である。また、使用可能
な溶媒は、特に限定されないが、例えば、以下のものが
挙げられる。すなわち、1)パーフルオロトリブチルア
ミン、パーフルオロトリプロピルアミン等のポリフルオ
ロトリアルキルアミン化合物、2)パーフルオロヘキサ
ン、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パー
フルオロドデカン、パーフルオロ(2,7−ジメチルオ
クタン)、2H,3H−パーフルオロペンタン、1H−
パーフルオロヘキサン、1H−パーフルオロオクタン、
1H−パーフルオロデカン、1H,4H−パーフルオロ
ブタン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロ
ヘキサン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオ
ロオクタン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフル
オロデカン、3H,4H−パーフルオロ(2−メチルペ
ンタン)、2H,3H−パーフルオロ(2−メチルペン
タン)等のフルオロアルカン、3)3,3−ジクロロ−
1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3
−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロ
パン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等のクロ
ロフルオロアルカン、4)パーフルオロデカリン、パー
フルオロシクロヘキサン、パーフルオロ(1,2−ジメ
チルシクロヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチ
ルシクロヘキサン)、パーフルオロ(1,3,5−トリ
メチルシクロヘキサン)、パーフルオロジメチルシクロ
ブタン(構造異性を問わない)等のポリフルオロシクロ
アルカン、5)パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロ
フラン)等のポリフルオロ環状エーテル化合物、6)n
−C3F7OCH3、n−C3F7OCH2CF3、n−C3F
7OCHFCF3、n−C3F7OC2H5、n−C4F9OC
H3、iso−C4F9OCH3、n−C4F9OC2H5、i
so−C4F9OC2H5、n−C4F9OCH2CF3、n−
C5F11OCH3、n−C6F13OCH3、n−C5F11O
C2H5、CF3OCF(CF3)CF2OCH3、CF3O
CHFCH2OCH3、CF3OCHFCH2OC2H5、n
−C3F7OCF2CF(CF3)OCHFCF3等のヒド
ロフルオロエーテル類、7)フッ素含有低分子量ポリエ
ーテル等が挙げられる。なお、上記の溶媒は、単独で用
いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
クロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1,1
−トリクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,
1,1,3−テトラクロロ−2,2,3,3−テトラフ
ルオロプロパン、1,1,3,4−テトラクロロ−1,
2,2,3,4,4−ヘキサフルオロブタン等のクロロ
フルオロカーボン類も技術的には使用できるが、地球環
境保護の観点から好ましくない。更に、本発明において
は、液体又は超臨界の二酸化炭素を用いて重合反応を行
なうこともできる。
ラフルオロエチレンとの共重合体は、少量成分として他
の含フッ素モノマーに基づく繰り返し単位を含んでいて
もよい。このような少量成分となる他のパーフルオロモ
ノマーとしては、例えば、フッ化ビニリデン、トリフル
オロエチレン、フッ化ビニル、エチレン、クロロトリフ
ルオロエチレン、パーフルオロ(3−ブテニルビニルエ
ーテル)、パーフルオロ(アリルエーテル)、パーフル
オロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、パ
ーフルオロ(1,3−ジオキソール)、2,2,4−ト
リフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオ
キソール、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル−1,
3−ジオキソラン)、1,1’−[(ジフルオロメチレ
ン)ビス(オキシ)]ビス[1,2,2−トリフルオロ
エチレン]、ヘキサフルオロプロピレン、下記式(3)
で表されるパーフルオロビニルエーテル化合物等が挙げ
られる。なお、下記式(3)中、Rfは炭素数1〜8の
パーフルオロアルキル基であって、枝分かれ構造であっ
てもよく、エーテル性酸素原子を含有してもよい。 CF2=CFORf …(3)
ーフルオロ構造を有するポリマーが燃料電池の耐久性の
観点から好ましい。
(2)で表されるモノマーとの共重合反応では、ARの
高い共重合体が容易に得られることが知られている。そ
して該共重合体をフッ素ガスを用いてフッ素化すること
によっても、本発明の固体高分子型燃料電池用電解質材
料となる共重合体を合成することができる。なお、この
場合のフッ素化反応は、不活性ガスで希釈されたフッ素
ガスを用い、含フッ素溶媒中において行なうことが好ま
しい。得られるポリマーはパーフルオロポリマーである
ことが好ましい。
の状態、或いは、溶融押し出しや加熱プレス等によりフ
ィルム化した後、加水分解処理され、次いで酸型化処理
される。加水分解処理においては、例えば、NaOHや
KOH等の塩基の水溶液或いはメタノールやエタノール
等のアルコール類やジメチルスルホキシド等の極性溶媒
と水との混合液中において、合成した共重合体中の−S
O2F基が加水分解され、−SO3Na基や−SO3K基
等に変換される。また、次いで行われる酸型化処理にお
いては、塩酸、硝酸、硫酸等の酸の水溶液中において共
重合体中の−SO3Na基や−SO3K基等の金属イオン
がプロトンに置換されて酸型化され、スルホン酸基(−
SO3H基)に変換される。また、加水分解処理及び酸
型化処理は通常0℃〜120℃の温度で行われる。
電解質材料を固体高分子型燃料電池を構成する高分子電
解質膜の構成材料として使用する場合には、上述のよう
に重合反応により合成した共重合体をフィルム化した
後、加水分解処理及び酸型化処理を施してもよいが、粉
体の状態で加水分解処理及び酸型化処理を施した後、溶
媒に溶解させてキャスト法で成膜してもよい。なお、こ
の場合、高分子電解質膜はポリテトラフルオロエチレン
(以下、PTFEという)多孔体やPTFE繊維(フィ
ブリル)等で補強することも可能である。
料を固体高分子型燃料電池を構成する電極の触媒層に含
有される樹脂として使用する場合には、上記の酸型化処
理を施してスルホン酸基に変換した後の共重合体を有機
溶媒や有機溶媒と水の混合溶媒に溶解又は分散させた液
状組成物として使用することができる。
化した後の共重合体は−OH基を有する有機溶媒に溶解
又は良好に分散できるため、−OH基を有する有機溶媒
を使用することが好ましく、アルコール性の−OH基を
有する有機溶媒がより好ましい。具体的には、例えば、
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2,2,
2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペ
ンタフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3−テ
トラフルオロ−1−プロパノール、4,4,5,5,5
−ペンタフルオロ−1−ペンタノール、1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、3,
3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、3,3,
4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキ
サノール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,
8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール等が
挙げられる。また、−OH基を有する有機溶媒として
は、上記のアルコール以外に酢酸等のカルボキシル基を
有する有機溶媒も使用することができる。
含む溶媒に酸型化した後の共重合体を溶解又は分散させ
て得られる液状組成物を使用して固体高分子形燃料電池
のアノード及び/又はカソードの触媒層を作製すること
ができる。例えば、この液状組成物を使用してガス拡散
性に優れるカソードが得られる。この液状組成物中の共
重合体の濃度は、液状組成物全質量の1〜50%である
ことが好ましく、3〜30%であることがより好まし
い。この濃度が1%未満であると電極作製時に多量の有
機溶媒が必要となる。また、この濃度が50%を超える
と液状組成物の粘度が高くなりすぎて取扱性が悪くなる
傾向がある。
共重合体を含む液状組成物に、白金触媒微粒子を担持さ
せた導電性のカーボンブラック粉末を混合して分散さ
せ、得られた均一の分散液を用いて、例えば、以下の2
つのいずれかの方法で作製することができる。第1の方
法は、高分子電解質膜の両面に上記の分散液を塗布乾燥
後、ガス拡散層となるカーボンクロス又はカーボンペー
パーで密着する方法である。第2の方法は上記の分散液
をガス拡散層となるカーボンクロス上又はカーボンペー
パー上に塗布乾燥後、高分子電解質膜の一方の面にアノ
ードを、他方の面にカソードをそれぞれ密着させる方法
である。このようにして、高分子電解質膜の一方の面に
アノード、他方の面にカソードがそれぞれ隣接して配置
されたいわゆる膜−電極接合体が得られる。そして、得
られた膜−電極接合体は、例えば燃料ガス又は酸素を含
む酸化剤ガス(空気、酸素等)の通路となる溝が形成さ
れたセパレータの間に挟まれ、セルに組み込まれること
により本発明の固体高分子型燃料電池が得られる。
池の電極に含有される樹脂(以下、電極樹脂という)
は、本発明の固体高分子電解質材料のみからなってもよ
いが、本発明の固体高分子電解質材料と前述した従来公
知の電解質材料との混合物としてもよく、従来公知の電
解質材料のみとしてもよい。
いて、カソード及び/又はアノード(以下、特に区別す
る必要がない限り単に電極という)に含まれる触媒と電
極樹脂とは、質量比で触媒:電極樹脂=20:80〜9
5:5であることが、電極の導電性と水の排出性の観点
から好ましい。なお、ここでいう触媒の質量は、カーボ
ン等の担体に担持された担持触媒の場合には該担体の質
量も含む。
体高分子型燃料電池用電解質材料及び固体高分子型燃料
電池ついて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実
施例に限定されるものではない。
ロ過酸化ベンゾイルを用い、80℃にて式(1)で表さ
れるモノマーとテトラフルオロエチレンとを共重合させ
てARが0.95meq./gの共重合体を得た。この
共重合体を熱プレスすることにより厚さ50μmのフィ
ルムを作製した。次に、フィルムをKOH/ジメチルス
ルホキシド/水=15:30:55(質量比)の溶液に
浸漬し、90℃で加水分解処理を施した。次に、加水分
解処理後のフィルムを1mol/Lの塩酸を用いて酸型
化処理し、その後、水洗、乾燥させた。
基づく繰り返し単位とテトラフルオロエチレンに基づく
繰り返し単位とからなる共重合体(AR=1.1me
q./g)のエタノール溶液を用いて、該共重合体と白
金担持カーボン(白金担持量=40質量%)との質量比
が3:7となるように白金担持カーボンを上記溶液に混
合して塗工液とし、該塗工液をガス拡散層となるカーボ
ンクロス上に塗工し、白金担持量0.4mg/cm2の
触媒層をガス拡散層上に形成したガス拡散電極を得た。
解質膜として上記ガス拡散電極2枚の間に挟み、平板プ
レス機を用いてプレスし、さらに加熱プレスして膜−電
極接合体を作製した。この膜−電極接合体の外側にガス
の流路が形成されたチタン製のセパレータ、さらにその
外側にPTFE製のガス供給室、さらにその外側にヒー
ターを配置し、有効膜面積10cm2の固体高分子型燃
料電池を組み立てた。
ち、カソードに酸素、アノードに水素をそれぞれ80℃
で加湿しつつ大気圧で供給し発電させた。そして、出力
電流密度が0.3A/cm2のときの端子間電圧を測定
したところ、0.67Vであった。また、出力電流密度
が0.8A/cm2のときの端子間電圧を測定したとこ
ろ、0.54Vであった。
厚が約50μmのナフィオン112(AR=0.91m
eq./g)を用いた以外は、実施例1と同様の構成を
有する固体高分子型燃料電池を作製した。この固体高分
子型燃料電池を実施例1と同様の条件のもとで発電させ
た。そして、出力電流密度が0.3A/cm2のとき
と、0.8A/cm2のときの端子間電圧を測定したと
ころ、それぞれ0.66V、0.51Vであった。
型燃料電池の出力特性の結果より、実施例1の固体高分
子型燃料電池は比較例1の固体高分子型燃料電池と同等
の性能が得られることが確認された。
従来公知の電解質材料と同等のイオン伝導性及び耐久性
を有し、従来よりも短い工程で安価に製造できる固体高
分子型燃料電池用電解質材料と、それを用いて構成され
た固体高分子型燃料電池を提供することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記式(1)で表されるモノマーに基づ
く繰り返し単位と、テトラフルオロエチレンに基づく繰
り返し単位とを含む共重合体であり、かつ、イオン交換
容量が0.9〜1.5[ミリ当量/グラム乾燥樹脂]で
あることを特徴とする固体高分子型燃料電池用電解質材
料。 【化1】 - 【請求項2】 アノードと、カソードと、前記アノード
と前記カソードとの間に配置された高分子電解質膜とを
有する固体高分子型燃料電池であって、 前記高分子電解質膜が、請求項1に記載の固体高分子型
燃料電池用電解質材料からなり、かつ、その膜厚が5〜
70μmであることを特徴とする固体高分子型燃料電
池。
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