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JP2002203576A - 電解質膜及びこれを用いた燃料電池 - Google Patents

電解質膜及びこれを用いた燃料電池

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Publication number
JP2002203576A
JP2002203576A JP2000401274A JP2000401274A JP2002203576A JP 2002203576 A JP2002203576 A JP 2002203576A JP 2000401274 A JP2000401274 A JP 2000401274A JP 2000401274 A JP2000401274 A JP 2000401274A JP 2002203576 A JP2002203576 A JP 2002203576A
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electrolyte
water
layer
ion
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Takanao Suzuki
孝尚 鈴木
Masaya Kawakado
昌弥 川角
Tomo Morimoto
友 森本
Kyoko Tsusaka
恭子 津坂
Kazuo Kawahara
和生 河原
Masahiko Asaoka
賢彦 朝岡
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

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  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 相対的に少量のイオン交換基導入量で高いイ
オン伝導率が得られる電解質膜を提供すること。また、
低温作動型の燃料電池において、補機による電解質の加
湿を軽減又は不要化し、電極の耐CO性及びその耐久性
を向上させること。 【解決手段】 本発明に係る電解質膜10は、厚さ方向
に貫通する連通孔12aを有する膜支持体12と、連通
孔12aの内部に導入されたイオン伝導性物質14とを
備えている。また、本発明に係る燃料電池は、上述のよ
うな構造を備えた本発明に係る電解質膜30の両面に、
アノード40a及びカソード40bを接合した膜電極接
合体20を備えている。また、アノード40a及びカソ
ード40bは、触媒層内電解質50a、50bの気相側
表面が撥水層52a、52bで被覆された触媒層44
a、44bを備えている。撥水層52a、52bには、
フッ素系材料を用いるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解質膜及びこれ
を用いた燃料電池に関し、さらに詳しくは、可搬型の小
型電源、車載用動力源、コジェネレーションシステム等
として好適な燃料電池及びこれに用いられる電解質膜に
関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、使用する電解質の種類によ
って、固体高分子型、リン酸型、アルカリ型、溶融炭酸
塩型、固体酸化物型等に分類される。これらの中で、低
温作動型の燃料電池、特に、固体高分子型燃料電池は、
燃料電池を構成する材料面での制約が少なく、小型化・
軽量化が可能であることから、可搬型の小型電源や車載
用動力源等への応用が期待されているものである。しか
しながら、特に車載動力源として固体高分子型燃料電池
を応用するためには、さらに高出力化及び小型化を図る
ことが望まれており、そのためには解決すべき課題が残
されている。
【0003】第1の課題は、電解質膜の高イオン伝導化
及び高強度化である。固体高分子型燃料電池の場合、電
解質として、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)に
代表される非架橋のパーフルオロ系電解質や種々の炭化
水素系電解質などの高分子膜を用いるのが一般的であ
る。このような固体高分子型燃料電池を高出力化するた
めには、高分子膜のイオン伝導率は高い方が望ましい。
また、燃料電池は、一般に多数の単電池を積層したスタ
ックとして使用されるので、固体高分子型燃料電池を小
型化するためには、高分子膜の厚さは薄い方が好まし
く、そのためには、高分子膜の強度は高い方が望まし
い。
【0004】しかしながら、一般に高分子膜中における
イオン交換基の分布はランダムであるため、イオン交換
基の密度が小さいところでは抵抗が大きくなる。そのた
め、イオン交換基密度の低い高分子膜では、高いイオン
伝導率は得られない。一方、イオン交換基密度を高くす
れば、高分子膜のイオン伝導率は高くなる。しかしなが
ら、高分子膜のイオン交換基密度が高くなると、あると
ころで膜が水溶性となり、高分子膜の強度が低下すると
いう問題がある。すなわち、高分子膜では、高イオン伝
導率と高強度とを両立させるのが困難である。
【0005】従来の固体高分子型燃料電池においては、
この問題を解決するために、複合化や架橋により高分子
膜の強度を維持しながら、イオン交換基密度を高める方
法を用いるのが一般的である。例えば、特開平10−3
12815号公報には、パーフルオロ系電解質の寸法安
定性及び取扱適正を改善するために、繊維が無作為に配
向した多孔質支持体(例えば、不織ガラス繊維)に、イ
オン伝導性ポリマ(例えば、パーフルオロスルホン酸)
を含浸させた複合膜が開示されている。
【0006】第2の課題は、電解質膜の耐ドライアップ
化及び電極の耐フラッディング化である。固体高分子型
燃料電池に用いられる電解質膜としては、種々の材料が
知られているが、これらは、いずれもイオン伝導性を発
現するには水を必要とする。そのため、燃料電池の運転
条件がドライ条件になると、電解質膜の含水率が低下
し、イオン伝導率が低下する、いわゆるドライアップが
発生し、燃料電池の出力を低下させる原因となる。
【0007】従来の固体高分子型燃料電池においては、
この問題を解決するために、補機を用いて外部から電解
質膜に水分を補給する方法を用いるのが一般的である。
電解質膜に水分を補給する方法としては、具体的には、
バブラ、ミスト発生器等を用いて反応ガスを加湿する方
法、セパレータ内部に形成された反応ガス流路に直接水
分を注入する方法等が知られている。
【0008】また、固体高分子型燃料電池は、一般に、
固体高分子電解質膜の両面に一対の電極を接合して膜電
極接合体とし、その両側をセパレータで挟んだ構造を取
る。電池反応を進行させるためには、電解質、触媒及び
反応ガスの三相が共存する三相界面を電極内に確保する
必要があるので、電極は、一般に、触媒及び電解質を含
む多孔質構造になっている。
【0009】一方、固体高分子型燃料電池の場合、カソ
ードにおいて、電池反応により水が生成する。また、プ
ロトンがアノード側からカソード側に移動する際に、電
気浸透により水もカソード側に移動する。そのため、燃
料電池の運転条件がウエット条件になると、特にカソー
ドにおいて過剰の水が滞留しやすくなる。この水を放置
すると、電極内の細孔が水で閉塞し、反応ガスの供給が
阻害される、いわゆるフラッディングが発生し、燃料電
池の出力を低下させる原因となる。
【0010】従来の固体高分子型燃料電池においては、
この問題を解決するために、電極構造を最適化する方法
を用いるのが一般的である。例えば、三相界面を増大さ
せるために、電極を、拡散層と、固体高分子電解質膜と
接する面に設けられた触媒層の二層構造とする方法が知
られている。拡散層は、触媒層への反応ガスの供給及び
電子の授受を行うための層であり、一般に、多孔質かつ
電子伝導性を有する材料が用いられる。また、触媒層
は、電池反応の反応場となる層であり、一般に、触媒又
は担体に担持させた触媒と、固体高分子電解質膜と同一
成分を有する電解質(触媒層内電解質)からなってい
る。
【0011】また、例えば、特開平5−36418号公
報には、電極に対して反応サイトを増大させるために、
表面が固体高分子電解質で被覆された触媒担持カーボン
をフッ素系樹脂で結着させた多孔質電極が開示されてい
る。
【0012】さらに、特開平9−320611号公報に
は、多孔質電極に対して均一に撥水性を付与するため
に、白金触媒を担持したカーボンブラック、フッ素系イ
オン交換樹脂及びイオン交換基を有しない溶媒可溶性フ
ッ素重合体の混合液を固体高分子電解質膜に塗布して得
られる固体高分子型燃料電池用電極が開示されている。
また、同公報には、白金触媒を担持したカーボンブラッ
クとポリテトラフルオロエチレンの混合物を混練・延伸
することにより多孔質フィルムとし、これにフッ素系イ
オン交換樹脂及びイオン交換基を有しない溶媒可溶性フ
ッ素重合体を含浸させて得られる固体高分子型燃料電池
用電極が開示されている。
【0013】第3の課題は、電極の耐CO化である。固
体高分子型燃料電池の燃料ガスには、純水素を用いるこ
ともできるが、炭化水素を水蒸気改質することにより得
られる改質ガスを用いることも検討されている。しかし
ながら、この改質ガスには、微量のCOガスが含まれて
いる場合がある。固体高分子型燃料電池の電極には、一
般に、白金系の触媒が使用されるが、特に低温領域で
は、白金は微量のCOであっても被毒し、出力低下の原
因となる。
【0014】従来の固体高分子型燃料電池においては、
この問題を解決するために、耐CO性触媒を用いるのが
一般的である。耐CO性触媒としては、具体的には、白
金に対して、ルテニウム、イリジウム、ロジウム等を添
加した白金系の合金触媒が知られている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術に
は、以下のような問題がある。第1に、繊維が無作為に
配向した多孔質支持体にイオン伝導性ポリマを含浸させ
た複合膜を電解質膜として用いる場合、多孔質支持体内
部の気孔はランダムに配向しているので、導入されたイ
オン交換基の内、イオン伝導に有効に寄与するのはその
内の一部である。従って、高いイオン伝導率を得るため
には、多量のイオン伝導性ポリマを多孔質支持体に導入
する必要がある。しかしながら、複合膜の強度を維持す
るには、多孔質支持体の気孔率をあまり大きくできな
い。そのため、このような複合膜を用いた高イオン伝導
化には限界がある。
【0016】第2に、補機を用いて電解質を加湿する場
合、加湿用の水を貯蔵するための水タンク、加湿器、燃
料電池から排出される水を回収するための凝縮器等、様
々なコンポーネントが必要となる。そのため、燃料電池
システム全体が複雑かつ大型化するという問題がある。
また、補機を用いた電解質の加湿は、余分な補機動力が
必要となり、燃料電池の発電効率を低下させる原因にも
なる。
【0017】一方、固体高分子型燃料電池の場合、上述
したように、カソード側において電池反応により水が生
成する。この生成水を電解質の加湿に直接利用すること
ができれば、補機による電解質の加湿を軽減又は不要化
することができ、燃料電池システム全体の小型化、軽量
化及び高効率化が期待できる。
【0018】しかしながら、固体高分子型燃料電池に用
いられる従来の電極は、フラッディングによる出力低下
を抑制するために、電極の細孔内表面に撥水処理を施す
等、電極内に滞留する水を排出しやすくしたものが一般
的であり、生成水の有効利用に適した構造にはなってい
ない。
【0019】例えば、特開平9−320611号公報に
開示される固体高分子型燃料電池用電極は、電極の細孔
内表面の少なくとも一部をイオン交換基を有しない溶媒
可溶性含フッ素重合体で被覆し、撥水性を付与すること
を狙っている。しかしながら、開示された方法を用い
て、気相側表面に露出しているイオン交換基のすべてを
溶媒可溶性含フッ素重合体で薄く均一に被覆することは
困難である。そのため、電池反応による生成水の大部分
は、細孔内部から電極外に排出され、電解質の加湿に有
効利用されることはなく、安定して作動させるために
は、補機による加湿が不可欠となっている。
【0020】第3に、耐CO性触媒は、触媒表面に到達
したCOを酸化除去したり、あるいは、COの吸着を阻
止する機能を有している。耐CO性触媒のこのような機
能は、COガス雰囲気に長時間曝されることによって経
時劣化する。そのため、耐CO性触媒を用いた電極の耐
CO化には限界がある。
【0021】本発明が解決しようとする課題は、低温作
動型の燃料電池に用いられる電解質膜として好適であ
り、しかも、相対的に少量のイオン交換基導入量で高い
イオン伝導率が得られる電解質膜を提供することにあ
る。
【0022】また、本発明が解決しようとする他の課題
は、低温作動型の燃料電池において、補機による電解質
の加湿を軽減又は不要化し、無加湿条件下においても高
い出力が安定して得られる燃料電池を提供することにあ
る。
【0023】さらに、本発明が解決しようとする他の課
題は、低温作動型の燃料電池において、電極の耐CO性
及びその耐久性を向上させることにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明に係る電解質膜は、厚さ方向に貫通する連通孔
を有する膜支持体と、前記連通孔の内部に導入されたイ
オン伝導性物質とを備えていることを要旨とするもので
ある。
【0025】イオン伝導性物質を導入するための多孔質
支持体として、厚さ方向に貫通する連通孔を有する膜支
持体を用いると、イオン伝導性物質の導入場所が特定さ
れる。そのため、イオン伝導性物質の導入量、すなわ
ち、イオン交換基の導入量が相対的に少ない場合であっ
ても、高いイオン伝導率が得られる。
【0026】また、本発明の2番目は、電解質膜の両面
に電極が接合された膜電極接合体を備えた燃料電池にお
いて、前記電解質膜は、厚さ方向に貫通する連通孔を有
する膜支持体と、前記連通孔の内部に導入されたイオン
伝導性物質とを備えていることを要旨とするものであ
る。
【0027】厚さ方向に貫通する連通孔を有する膜支持
体の連通孔の内部にイオン伝導性物質が導入された電解
質膜は、相対的に高イオン伝導率かつ高強度であるの
で、これを低温作動型の燃料電池の電解質膜として用い
ると、燃料電池の高出力化及び小型化を図ることができ
る。
【0028】この場合、前記電極の少なくとも一方は、
触媒又は担体に担持された触媒と触媒層内電解質とを含
む触媒層を備え、前記触媒層内電解質の気相側表面が反
応ガス透過性を有する撥水層で被覆されていることが望
ましい。また、前記撥水層は、フッ素系材料からなるこ
とが望ましい。
【0029】触媒層内電解質の気相側表面を反応ガス透
過性を有する撥水層で被覆すると、触媒層への反応ガス
の拡散を阻害することなく、触媒層から拡散層側への水
の排出が抑制される。その結果、電池反応による生成水
の一部は、触媒層内部に滞留する。触媒層内部に滞留し
た水分は、拡散によって電解質膜まで戻され、電解質膜
の加湿に再利用される。そのため、低加湿あるいは無加
湿条件下においても、電解質膜の含水率を安定作動に必
要な水準に維持することができ、高い出力が安定して得
られる。
【0030】さらに、フッ素系材料からなる薄層は、C
Oの透過率が低いので、これを撥水層として用いると、
触媒層に含まれる触媒のCO被毒が抑制される。また、
触媒がCOガスと接触する頻度が減少するので、電極の
耐久性も向上する。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら詳細に説明する。図1に、本発明
の一実施の形態に係る電解質膜の概略構成図を示す。図
1(a)において、電解質膜10は、膜支持体12と、
イオン伝導性物質14とを備えている。
【0032】膜支持体12は、厚さ方向に貫通する多数
の連通孔12aを備えている。この連通孔12aの断面
積は、0.2nm以上30000nm以下が好まし
い。連通孔12aの断面積が0.2nm未満になる
と、イオン伝導が妨げられるので好ましくない。また、
連通孔12aの断面積が30000nmを超えると、
電解質膜10全体のイオン伝導率が低下するので好まし
くない。連通孔12aの断面積は、さらに好ましくは
0.2nm以上100nm以下である。
【0033】連通孔12aの単位面積当たりの数は、膜
支持体12の強度を維持できる限り、多いほど好まし
い。電解質膜10に高いイオン伝導率を付与するために
は、連通孔12aの単位面積当たりの数は、1×10
/cm以上が好ましく、さらに好ましくは、3×10
10/cm以上である。
【0034】また、連通孔12aは、少なくとも膜支持
体12の厚さ方向に貫通するものであれば良く、その形
状は、特に限定されるものではない。例えば、連通孔1
2aは、膜支持体12の面に対して90゜未満の角度で
傾斜していても良い。また、連通孔12aは、直線状で
あっても良く、あるいは、ジグザグ状であっても良い。
しかしながら、電解質膜12の膜抵抗を最小にするに
は、連通孔12aは、膜支持体12に対してほぼ垂直に
貫通している方が好ましい。さらにまた、連通孔の断面
の形状は、イオン導電性物質を導入することができる形
状であれば良く、その形状は、特に限定されるものでは
ない。例えば、連通孔12aの断面は、円形でも良く、
また、楕円形でも良く、あるいは多角形でも良く、さら
にまた、ひょうたん形や星形のように、上記の図形が連
接してできる形状でも良い。
【0035】なお、膜支持体12の材質は、上述のよう
な連通孔12aを作ることができるものであれば良く、
特に限定されるものではない。例えば、高分子材料であ
っても良く、あるいは、無機材料であっても良い。ま
た、有機材料及び無機材料の複合体であっても良い。
【0036】膜支持体12としては、具体的には、連通
孔が面に対して垂直に貫通しているアルミナ膜、電子線
照射及び溶剤によって連通孔が面に対して垂直に貫通し
ているポリカーボネート膜等が好適な一例として挙げら
れる。
【0037】イオン伝導性物質14は、膜支持体12の
連通孔12a内部に導入される。イオン伝導性物質14
は、イオン交換基を有し、かつ、連通孔12a内部に導
入可能な物質であれば良く、特に限定されるものではな
い。また、連通孔12aに導入されるイオン導電性物質
14の量、すなわち、イオン交換基の量は、導入可能な
限りにおいて、多いほど良い。電解質膜10に高いイオ
ン伝導率を付与するためには、単位面積当たりのイオン
交換基の量(以下、これを「イオン交換基面密度」とい
う。)は、1/nm以上が好ましく、さらに好ましく
は、10/nm 以上である。
【0038】また、本発明において「イオン伝導性物質
14を導入する」とは、連通孔12a内部又はその内壁
面にイオン伝導性を付与することを言う。具体的には、
連通孔12aの内部にイオン伝導性物質14を含浸させ
ること、連通孔12aの内壁面をイオン伝導性物質14
で修飾すること等が好適な一例として挙げられる。
【0039】連通孔12a内部にイオン伝導性物質14
を含浸させる場合、イオン伝導性物質14としては、固
体高分子電解質を用いるのが好ましい。この場合、固体
高分子電解質は、ポリマ骨格の全部又は一部がフッ素化
されたフッ素系ポリマであってイオン交換基を備えてい
るものでもよく、あるいはポリマ骨格にフッ素を含まな
い炭化水素系ポリマであってイオン交換基を備えている
ものであってもよい。
【0040】また、これらのポリマに含まれるイオン交
換基についても、特に限定されるものではなく、用途に
応じて任意に選択することができる。すなわち、イオン
交換基は、スルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸、亜ホ
スホン酸等のいずれであっても良い。また、これらのポ
リマには、1種類のイオン交換基が含まれていても良
く、あるいは、2種以上のイオン交換基が含まれていて
も良い。
【0041】ポリマ骨格の全部又は一部がフッ素化され
た固体高分子電解質としては、具体的には、ナフィオン
(登録商標)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポ
リマ、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマ、トリ
フルオロスチレンスルホン酸系ポリマ、エチレンテトラ
フルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマ等
が好適な一例として挙げられる。
【0042】また、フッ素を含まない炭化水素系の固体
高分子電解質としては、具体的には、ポリスルホンスル
ホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリ
ベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイ
ミダゾールアルキルホスホン酸等が好適な一例として挙
げられる。
【0043】連通孔12aの内壁面をイオン伝導性物質
14で修飾する場合、イオン伝導性物質14としては、
イオン交換基を有するカップリング剤又はイオン交換基
を導入可能なカップリング剤を用いるのが好ましい。こ
の場合、使用するカップリング剤は、膜支持体12の材
質に応じて最適なものを選択する。例えば、膜支持体1
2が、酸化物系の無機材料、末端にOH基を有する有機
材料又はこれらのいずれかを含む複合材料からなる場
合、イオン伝導性物質14としては、シランカップリン
グ剤、チタネート系のカップリング剤等が好適である。
【0044】イオン交換基を導入可能なカップリング剤
としては、具体的には、フェニルトリメトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラ
ン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルジメチル
エトキシシラン、フェネチルトリクロロシラン、3−
(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン等、
及び、これらのオリゴマが好適な一例として挙げられ
る。
【0045】なお、カップリング剤で連通孔12aの内
壁面を修飾する場合、イオン交換基は、予めカップリン
グ剤に導入されていても良く、あるいは、イオン交換基
を含まないカップリング剤で連通孔12aを修飾した
後、カップリング剤にイオン交換基を導入しても良い。
【0046】また、カップリング剤に導入されるイオン
交換基の種類は、特に限定されるものではなく、用途に
応じて任意に選択することができる。すなわち、イオン
交換基は、スルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸、亜ホ
スホン酸等のいずれであっても良い。また、これらのカ
ップリング剤には、1種類のイオン交換基が含まれてい
ても良く、あるいは、2種以上のイオン交換基が含まれ
ていても良い。
【0047】図1(b)に、イオン伝導性物質としてカ
ップリング剤14aを用いた電解質膜10aの拡大断面
図を示す。図1(b)に例示する電解質膜10aは、膜
支持体12を貫通する連通孔12aの内壁面がフェニル
基を有するシランカップリング剤14aにより修飾され
ており、各フェニル基には、それぞれ、スルホン酸基が
導入されているものである。
【0048】次に、本実施の形態に係る電解質膜の作用
について説明する。繊維を無作為に配向させた多孔質支
持体にイオン伝導性ポリマを含浸させた複合膜の場合、
多孔質支持体内部では、気孔はランダムに配向した状態
になっている。そのため、これにイオン伝導性ポリマを
含浸させても、イオン伝導に実質的に寄与するイオン交
換基は、その内の一部に過ぎない。従って、高いイオン
伝導率を得るには、多量のイオン伝導性ポリマを含浸さ
せる必要がある。
【0049】これに対し、多孔質支持体として、厚さ方
向に貫通する連通孔12aを有する膜支持体12を用い
る場合、実質的にすべての連通孔12aが、イオン伝導
パスとして機能する。従って、このような膜支持体12
の連通孔12a内部にイオン伝導性物質14を導入する
と、イオン伝導性物質14に含まれるイオン交換基の大
部分が、イオン伝導に有効的に寄与する。そのため、イ
オン交換基の導入量が相対的に少ない場合であっても、
高いイオン伝導率が得られる。
【0050】特に、連通孔12aが膜支持体12の面に
対してほぼ垂直である場合には、電解質膜10の両側に
設けられる電極間が最短のイオン移動経路でつながるこ
とになる。そのため、電解質膜10の膜抵抗が小さくな
り、高イオン伝導率が得られる。
【0051】さらに、膜支持体12に導入されたイオン
交換基は、イオン伝導に有効に寄与する割合が高いの
で、膜支持体12の気孔率が相対的に小さい場合であっ
ても、高いイオン伝導率が得られる。すなわち、本発明
に係る電解質膜10によれば、従来の複合膜に比して、
高イオン伝導率と高強度との両立が可能となる。
【0052】次に、上述した電解質膜を用いた本発明に
係る燃料電池について図面を参照しながら詳細に説明す
る。図2に、本発明の一実施の形態に係る燃料電池に備
えられる膜電極接合体の拡大断面図を示す。図2におい
て、膜電極接合体20は、電解質膜30と、その一方の
面に接合されたアノード40aと、他方の面に接合され
たカソード40bとを備えている。
【0053】ここで、電解質膜30は、厚さ方向に貫通
する貫通孔32aを有する膜支持体32と、貫通孔32
a内部に導入されたイオン伝導性物質34とを備えたも
のからなる。電解質膜30の詳細な構成は、図1に示す
電解質膜10と同様であるので、その説明を省略する。
【0054】アノード40aは、拡散層42aと、触媒
層44aと、撥水層52aとを備えている。また、カソ
ード40bは、拡散層42bと、触媒層44bと、撥水
層52bとを備えている。
【0055】拡散層42aは、触媒層44aへの燃料ガ
スの供給及び電子の授受を行うための層であり、アノー
ド40aの気相側に設けられる。同様に、拡散層42b
は、触媒層44bへの酸化剤ガスの供給及び電子の授受
を行うための層であり、カソード40bの気相側に設け
られる。拡散層42a、42bの材質は、多孔質かつ電
子伝導性を有するものであれば良く、特に限定されるも
のではない。一般的には、多孔質のカーボン布、カーボ
ン紙等が用いられる。
【0056】触媒層44a、44bは、電池反応の反応
場となる層であり、それぞれ、電解質膜20と接する面
に設けられる。また、アノード40aの触媒層44a
は、担体46aと、担体46aに担持された触媒48a
と、触媒層内電解質50aとを備えている。同様に、カ
ソード40bの触媒層44bは、担体46bと、担体4
6bに担持された触媒48bと、触媒層内電解質50b
とを備えている。
【0057】担体46a、46b及び触媒48a、48
bの材質は、特に限定されるものではなく、用途に応じ
て種々の材質を用いることができる。一般に、担体46
a、46bにはカーボンが用いられ、触媒48a、48
bにはPt又はPt合金が用いられる。なお、触媒48
a、48bは、図2に示すように、担体46a、46b
に担持された状態で触媒層44a、44bに含まれてい
ても良いが、触媒48a、48bが単独で触媒層44
a、44bに含まれていても良い。
【0058】触媒層内電解質50a、50bは、それぞ
れ、触媒層44a、44bにイオン伝導性を付与するた
めに加えられるものである。触媒層内電解質50a、5
0bの材質は、特に限定されるものではなく、用途に応
じて種々の材質を用いることができる。通常は、パーフ
ルオロカーボンスルホン酸系ポリマに代表されるフッ素
系の固体高分子電解質や炭化水素系の固体高分子電解質
が用いられる。また、触媒層内電解質50a、50bの
表面に、それぞれ、撥水層52a、52bを形成するた
めに、触媒層内電解質50a、50bとして、主鎖の末
端もしくは側鎖に疎水セグメントを持つ固体高分子電解
質を用いても良い。この点については、後述する。
【0059】撥水層52a、52bは、それぞれ、触媒
層内電解質50a、50bの気相側表面を被覆するよう
に設けられる。アノード40a側の撥水層52aは、燃
料ガスに含まれる水素を触媒層44aに供給することが
可能な水素透過性と、触媒層44aから拡散層42aへ
の水の排出を抑制することが可能な撥水性とを備えたも
のであれば、いずれの材質であっても使用でき、特に限
定されるものではない。但し、アノード40aに耐CO
性を付与するためには、撥水層52aの材質は、分子内
にC−F結合を有するフッ素系材料が特に好適である。
また、カソード40b側の撥水層52bは、酸素透過性
と撥水性とを備えたものであれば、いずれの材質であっ
ても使用でき、特に限定されるものではない。
【0060】また、撥水層52a、52bの厚さは、要
求される反応ガス透過性及び撥水性を備えている限り、
その材質に応じて任意に選択することができる。例え
ば、十分な撥水性を備えている限り、撥水層52a、5
2bは、単分子層であっても良い。また、例えば、十分
な反応ガス透過性を備えている限り、撥水層52a、5
2bは、所定の厚さを有する高分子層であっても良い。
【0061】さらに、撥水層52a、52bの面積は、
広いほど良い。触媒層内電解質50a、50bの気相側
表面を被覆する撥水層52a、52bの面積が大きくな
るほど、触媒層44a、44bから拡散層42a、42
bへの水の排出が効率的に抑制されるためである。但
し、触媒層44a、44bと拡散層42a、42bとの
間で電子の授受を行うためには、両者が電気的に連続し
ている必要がある。従って、撥水層52a、52bは、
触媒層44a、44bの気相側表面の内、触媒層48
a、48b又は担体46a、46bが拡散層42a、4
2bと接触している部分以外の部分を被覆する、実質的
に連続した層であることが好ましい。
【0062】このような撥水層52a、52bとして
は、具体的には、疎水性メタロキサン前駆体を重縮合さ
せることにより得られる重縮合体層、触媒層内電解質5
0a、50bの気相側表面にあるイオン交換基と塩基と
を酸塩基反応させることにより得られる塩基層、触媒層
内電解質50a、50bの気相側表面に気相を介して反
応ガス透過性を有する撥水性材料を析出させた析出層等
が好適な一例として挙げられる。また、撥水層52a、
52bは、触媒層内電解質50a、50bの気相側表面
に異種材料を形成する代わりに、触媒層内電解質50
a、50bとして主鎖の末端や側鎖に疎水セグメントが
結合している固体高分子電解質を用い、この疎水セグメ
ントを触媒層44a、44bの気相側表面に偏在させる
ことにより得られる偏在層であっても良い。
【0063】このような連通孔32a内にイオン伝導性
物質34が導入された電解質膜30と、撥水層52a、
52bで被覆された触媒層44a、44bとを備えた膜
電極接合体20は、従来の膜電極接合体と同様に、その
両面を、反応ガスを供給するための反応ガス流路を備え
たセパレータで狭持した状態で使用される。
【0064】次に、本実施の形態に係る燃料電池の作用
について説明する。図2において、膜電極接合体20の
アノード40a側に水素を含む燃料ガスを供給すると、
水素が拡散層42aを通って撥水層52a表面に達す
る。撥水層52aは水素透過性を有しているので、水素
の拡散が阻害されることはなく、水素は撥水層52aを
そのまま透過し、触媒層44a内の触媒48bに達す
る。
【0065】イオン伝導性物質34及び触媒層内電解質
50a、50bとして、それぞれ、プロトン伝導性を有
するものを用いる場合、アノード40aにおいては、水
素からプロトンと電子が生成し、生成したプロトンは、
電解質膜30内に導入されたイオン伝導性物質34を介
してカソード40bに移動する。また、生成した電子
は、拡散層42aから負荷(図示せず)に運ばれ、さら
に負荷からカソード40b側の拡散層42bを通って触
媒層44bに運ばれる。
【0066】一方、カソード40b側に酸素を含む酸化
剤ガスを供給すると、酸素が拡散層42bを通って撥水
層52b表面に達する。撥水層52bは酸素透過性を有
しているので、酸素の拡散が阻害されることはなく、酸
素は撥水層52bをそのまま透過し、触媒層44b内の
触媒48bに達する。
【0067】触媒48bの表面では、プロトン、酸素、
及び電子から、水が生成する。この時、撥水層52b
は、高い撥水性を有しているので、触媒層44b内で生
成した水分の一部は、拡散層42b側に排出されること
なく触媒層44b内に滞留する。触媒層44b内に滞留
した水分は、拡散により電解質膜30内に戻され、電解
質膜30の加湿に再利用される。
【0068】また、電解質膜30内に戻された水の一部
は、アノード40a側に拡散する。この時、アノード側
40aの触媒層44aの気相側表面もまた撥水層52a
で被覆されているので、アノード40a側から排出され
る水分量も減少する。
【0069】本実施の形態に係る燃料電池は、膜電極接
合体20を構成する電解質膜30として、厚さ方向に貫
通する連通孔32aを有する膜支持体32にイオン伝導
性物質34を導入したものを用いているので、電解質膜
30の強度を維持しながらイオン伝導率を高くすること
ができる。そのため、燃料電池を高出力化及び小型化す
ることができる。
【0070】また、電池反応による生成水が電解質膜3
0の加湿に再利用されるので、補機を用いて外部から水
を補給しなくても、電解質膜30の含水率が安定作動に
必要な水準に維持され、高い出力が安定して得られる。
【0071】さらに、燃料ガスとして改質ガスを用いる
場合、燃料ガス中には、微量のCOガスが含まれている
場合がある。しかしながら、フッ素系材料からなる薄層
はCOの透過率が低いので、これをアノード40a側の
撥水層52aとして用いると、触媒層44aへのCOの
拡散が阻止される。そのため、触媒48aがCOガスに
より被毒されにくくなり、電極の耐久性が向上する。
【0072】次に、撥水層52a、52bの具体例につ
いて、詳細に説明する。撥水層52a、52bの第1の
具体例は、触媒層44a、44bの気相側表面に疎水性
メタロキサン前駆体を含む溶液を塗布し、重縮合させる
ことにより得られる重縮合体層からなる。ここで、疎水
性メタロキサン前駆体とは、疎水基を有し、かつ、ゾル
ゲル法で重縮合させることによりメタロキサン結合を生
ずるモノマ又はオリゴマをいう。疎水性メタロキサンモ
ノマは、次の化1の式で表すことができる。また、疎水
性メタロキサンオリゴマとは、化1の式で表される疎水
性メタロキサンモノマの2〜200量体をいう。
【0073】
【化1】X4−nM(OR)
【0074】化1の式において、nは、1〜3までの整
数である。Mは4価の半金属元素又は金属元素であり、
シリコン、チタン、ジルコニウム等が好適な一例として
挙げられる。ORはアルコキシル基である。具体的に
は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ
基等が好適な一例として挙げられる。
【0075】また、元素Mに結合しているXは、少なく
とも1つが疎水基であればよい。疎水基としては、アル
キル基、シクロアルキル基、アリル基、アリール基等の
中の炭素と結合している少なくとも1つの水素がフッ素
に置き換わったものが特に好適である。また、疎水基
は、疎水性の強い炭化水素基(例えば、フェニル基、ア
ルキル基、アリル基等)であっても良い。さらに、2個
以上の疎水基が元素Mに結合している場合、各疎水基
は、同一のものであっても良く、あるいは、異なるもの
であっても良い。
【0076】このような疎水性メタロキサン前駆体とし
ては、具体的には、(3,3,3−トリフルオロプロピ
ル)トリメトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,
1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラ
ン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒ
ドロデシル)トリエトキシシラン等、及び、これらのオ
リゴマが好適な一例として挙げられる。
【0077】触媒層内電解質50a、50bの気相側表
面に疎水性メタロキサン前駆体を含む溶液を塗布する場
合、溶液には、1種類の疎水性メタロキサン前駆体が含
まれていても良く、あるいは、2種以上の疎水性メタロ
キサン前駆体が含まれていても良い。また、溶液に含ま
れる疎水性メタロキサン前駆体の種類及び濃度、溶液の
塗布量等は、形成しようとする重縮合体層の厚さ、重縮
合体層に要求される反応ガス透過性、撥水性等に応じ
て、適宜調節すれば良い。
【0078】また、本発明において「塗布」とは、触媒
層内電解質50a、50bの気相側表面を溶液で均一に
被覆することをいい、具体的には、滴下、ハケ塗り、ス
プレー、蒸気接触等が好適な一例として挙げられる。さ
らに、疎水性メタロキサン前駆体の重縮合方法は、加熱
する方法、酸又はアルカリを作用させる方法等、種々の
方法を用いることができ、特に限定されるものではな
い。
【0079】触媒層内電解質50a、50bの気相側表
面にイオン交換基が露出していると、このイオン交換基
を介して水分が拡散層42a、42b側に排出されやす
い。これに対し、触媒層内電解質50a、50bの気相
側表面を疎水性メタロキサン前駆体の重縮合体層で被覆
すると、触媒層44a、44bから拡散層42a、42
bへの水の排出が抑制される。特に、水の排出口となり
易いイオン交換基が露出した部分に存在する水と、イオ
ン交換基自身の触媒作用により、選択的に撥水層を形成
できるので、効率よく水の排出が抑制される。しかも、
このような重縮合体層は、反応ガス透過性を有している
ので、触媒層44a、44bへの反応ガスの拡散が阻害
されることもない。そのため、無加湿条件下においても
安定して作動する燃料電池が得られる。
【0080】次に、第2の具体例について説明する。撥
水層52a、52bの第2の具体例は、触媒層内電解質
50a、50bの気相側表面にあるイオン交換基と塩基
とを酸塩基反応させることにより得られる塩基層からな
る。イオン交換基と反応させる塩基としては、次の化2
の式で表される第4級アンモニウム塩が好適な一例とし
て挙げられる。
【0081】
【化2】(RN)Y
【0082】化2の式において、Rは、一般にアルキル
基、アリル基、アリール基等であるが、本発明において
は、Rの構造は、特に限定されるものではなく、種々の
第4級アンモニウム塩を使用できる。また、塩基層に高
い撥水性を付与するためには、Rは、上述したアルキル
基、アリル基、アリール基等の中の炭素と結合している
少なくとも1つの水素がフッ素に置換した疎水基が特に
好適である。なお、窒素原子と結合する各Rは、同一の
ものであっても良く、あるいは、異なるものであっても
良い。また、Yは、陰イオンであり、その種類は、特に
限定されるものではない。
【0083】このような塩基としては、具体的には、ド
デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリル
ジメチルアンモニウムクロリド、3,3,3−トリフル
オロトリプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が
好適な一例として挙げられる。
【0084】なお、触媒層内電解質50a、50bの気
相側表面にあるイオン交換基と塩基とを酸塩基反応させ
るには、塩基を含む溶液を触媒層44a、44bの気相
側表面に塗布すれば良い。この場合、溶液に含まれる塩
基の種類、溶液の濃度、溶液の塗布量等は、塩基層に要
求される反応ガス透過性、撥水性等に応じて、適宜調節
すれば良い。
【0085】触媒層内電解質50a、50bの気相側表
面にあるイオン交換基と塩基とを酸塩基反応させると、
イオン交換基が塩基によりブロックされ、触媒層44
a、44bから拡散層42a、42bへの水の排出が抑
制される。特に、疎水基を備えた塩基を用いると、イオ
ン交換基のブロックに加え、疎水基によって塩基層に高
い撥水性が付与される。しかも、このような塩基層は、
反応ガス透過性を有しているので、触媒層44a、44
bへの反応ガスの拡散が阻害されることもない。もちろ
ん、気相側表面にあるイオン交換基のみを選択的に撥水
化するのみであるので、本来の役割であるプロトン伝導
性は、内部のイオン交換基により十分保たれる。
【0086】次に、第3の具体例について説明する。撥
水層52a、52bの第3の具体例は、触媒層内電解質
50a、50bの気相側表面に気相を介して反応ガス透
過性を有する撥水性材料を析出させることにより得られ
る析出層からなる。析出層に用いられる撥水性材料とし
ては、具体的には、CF、ポリテトラフルオロエチレ
ン(以下、これを「PTFE」という。)、フッ化ピッ
チ等が好適な一例として挙げられる。
【0087】また、気相析出させる方法は、使用する撥
水性材料の種類に応じて、種々の方法を用いることがで
きる。例えば、撥水性材料としてCFを用いる場合、
プラズマ処理法が好適である。触媒層内電解質50a、
50bの表面に対してCFを用いたプラズマ処理を行
うと、処理条件に応じて、単分子層から多分子層のフッ
化炭素被膜を触媒層内電解質50a、50bの気相側表
面に形成することができる。
【0088】また、例えば、撥水性材料としてPTFE
を用いる場合、スパッタリング法が好適である。触媒層
内電解質50a、50bの表面に対してPTFEのスパ
ッタリング処理を行うと、処理条件に応じて、任意の厚
さのPTFE被膜を触媒層内電解質50a、50bの気
相側表面に形成することができる。
【0089】また、例えば、撥水性材料としてフッ化ピ
ッチを用いる場合、蒸気接触法が好適である。触媒層内
電解質50a、50bにフッ化ピッチを蒸気接触させる
と、処理条件に応じて、任意の厚さのフッ化ピッチ被膜
を触媒層内電解質50a、50bの気相側表面に形成す
ることができる。
【0090】フッ素系の撥水性材料は、一般に溶剤に対
して難溶性であるので、溶液を塗布する方法により、撥
水性材料からなる均一な被膜を触媒層内電解質50a、
50bの気相側表面に形成するのは困難である。これに
対し、気相を介して析出させる方法によれば、触媒層内
電解質50a、50b表面のミクロな凹凸に沿って、均
一な被膜を形成することができる。しかも、このような
方法により得られる析出層は、反応ガス透過性を有して
いるので、触媒層44a、44bへの反応ガスの拡散が
阻害されることもない。
【0091】次に、第4の具体例について説明する。撥
水層52a、52bの第4の具体例は、触媒層内電解質
50a、50bとして、主鎖の末端や側鎖に疎水性セグ
メントを持つ固体高分子電解質(以下、これを「疎水性
電解質」という。)を用い、疎水セグメントを触媒層内
電解質50a、50bの気相側表面に偏在させることに
より得られる偏在層からなる。
【0092】ここで、疎水セグメントとは、一般式:C
−(CF−で表される原子団をいう。疎水セ
グメントは、直鎖状であっても良く、あるいは、分岐が
途中にあってもかまわない。一般に、nが大きくなるほ
ど、疎水セグメントの撥水性が高くなる傾向がある。一
方、nの値は、反応ガス透過性にほとんど影響を与えな
い。従って、nの値は、要求される撥水性、疎水性電解
質の製造容易性等を考慮して、任意に選択することがで
きる。偏在層に高い撥水性を付与するためには、nは、
2以上が好ましく、さらに好ましくは10以上である。
但し、nが200を超えると、溶解性が低下し、触媒層
を形成し難くなるので、nは200以下が好ましい。
【0093】また、疎水性電解質の疎水セグメント以外
の部分は、特に限定されるものではない。すなわち、疎
水性電解質は、ポリマ骨格の全部又は一部がフッ素化さ
れた固体高分子電解質の主鎖の末端や側鎖に疎水セグメ
ントを結合させたものであっても良く、あるいは、フッ
素を含まない炭化水素系の固体高分子電解質の主鎖の末
端や側鎖に疎水セグメントを結合させたものであっても
良い。
【0094】このような疎水性電解質としては、具体的
には、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマの主鎖の
末端や側鎖に疎水セグメントを結合させたものが好適な
一例として挙げられる。なお、触媒層内電解質50a、
50bには、疎水性電解質を単独で用いても良く、ある
いは、疎水性電解質と疎水セグメントを有しない電解質
との混合物を用いても良い。
【0095】疎水性電解質を含む触媒層内電解質50
a、50bと、触媒又は担体に担持した触媒との混合液
を電解質膜10の表面に塗布し、溶媒を除去すると、触
媒層44a、44bが形成される。この時、溶媒が除去
されるに伴い、疎水セグメントが触媒層44a、44b
の気相側表面に配列し、触媒層内電解質50a、50b
の気相側表面に偏在層が形成される。このようにして得
られた偏在層は、撥水性を有し、しかも、反応ガス透過
性を有しているので、触媒層44a、44bへの反応ガ
スの拡散を阻害することなく、拡散層42a、42bへ
の水の排出を抑制することができる。
【0096】次に、本実施の形態に係る燃料電池の製造
方法について説明する。本実施の形態に係る燃料電池
は、種々の方法により製造することができる。第1の製
造方法は、まず、膜支持体32の連通孔32a内にイオ
ン導電性物質34を導入した電解質膜30の両面に触媒
層44a、44bを接合し、次いで、上述した種々の方
法を用いて触媒層内電解質50a、50bの表面に撥水
層52a、52bを均一に形成した後、触媒層44a、
44bの表面に拡散層42a、42bを形成する方法で
ある。この場合、拡散層42a、42bは、触媒層44
a、44bと接合しても良く、あるいは、セル組み付け
時に締結によって接触させるだけでも良い。
【0097】触媒層44a、44b中の担体46a、4
6b、もしくは、触媒48a、48bが完全に触媒層内
電解質50a、50bに被覆された状態の場合には、触
媒層内電解質50a、50bの気相側表面に撥水層52
a、52bを均一に形成した後、拡散層42a、42b
の接合又は締結を行うと、拡散層42a、42bの表面
の内、突出している部分が撥水層52a、52b及び触
媒層内電解質50a、50bを突き破り、触媒層44
a、44bと拡散層42a、42bが電気的に連通した
状態となる。このような膜電極接合体20の両側を、反
応ガス流路を備えたセパレータで狭持すれば、無加湿条
件下でも安定に作動する低温作動型の燃料電池が得られ
る。
【0098】第2の製造方法は、まず、シート状の触媒
層44a、44bを作製し、次いで、上述した種々の方
法を用いて触媒層内電解質50a、50bの表面に撥水
層52a、52bを均一に形成した後、撥水層52a、
52bが形成された触媒層44a、44bを電解質膜3
0に接合し、さらに、触媒層44a、44bの表面に拡
散層42a、42bを形成する方法である。この場合
も、拡散層42a、42bは、接合しても良く、あるい
は、締結によって接触させるだけでも良い
【0099】第3の製造方法は、まず、電解質膜30の
表面に触媒層44a、44bを形成し、次いで、触媒層
44a、44bの表面に拡散層42a、42bを形成し
た後、拡散層42a、42b側から疎水性メタロキサン
前駆体の含浸・重縮合、塩基による処理、撥水性材料の
気相析出等を行い、触媒層内電解質50a、50bの気
相側表面に撥水層52a、52bを形成する方法であ
る。このような方法によっても、無加湿条件下で安定に
作動する低温作動型の燃料電池を得ることができる。
【0100】第4の製造方法は、まず、拡散層42a、
42bに触媒層44a、44bを形成し、次いで、拡散
層42a、42b側から触媒層内電解質50a、50b
の表面に撥水層52a、52bを形成した後、電解質膜
30と接合する方法である。
【0101】
【実施例】(実施例1)以下の手順により、本発明に係
る電解質膜を作製した。膜支持体には、直径43mm、
厚さ60μmで、直径0.1μmの連通孔が面に垂直に
貫通しているアルミナメンブレンフィルタ(Whatman製A
nodiscメンブレンフィルタ)を用い、イオン導電性物質
には、既知の方法で合成したフェニルトリエトキシシラ
ンスルホン酸エステルを用いた。
【0102】まず、アルミナメンブレンフィルタをフェ
ニルトリエトキシシランスルホン酸エステルの1%エタ
ノール溶液に室温で10分間浸漬し、室温で風乾した。
次いで、これを空気中で10分間110℃に加熱し、フ
ェニルトリエトキシシランスルホン酸エステルと、アル
ミナメンブレンフィルタの連通孔内にある表面水酸基と
をカップリング反応によって結合させた。これを室温ま
で冷却した後、軽く水洗し、連通孔内表面に1分子層の
イオン導電性物質が導入された電解質膜を得た。
【0103】得られた電解質膜について、スルホン酸基
導入量を測定した。スルホン酸基導入量は、電解質膜を
1Mの塩化ナトリウム水溶液に一晩浸漬し、次いで、そ
の溶液を0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴
定することにより求めた。
【0104】また、得られた電解質膜について、イオン
伝導度を測定した。イオン伝導度は、周波数1kHzの
交流2端子法により測定した。すなわち、電解質膜を2
枚のナフィオン112(デュポン社製)で挟み、両側か
ら白金黒をメッキした白金板を圧力1.6MPaで押し
当てて抵抗を測定し、この値からナフィオン112だけ
の抵抗を差し引き、電解質膜の抵抗とした。
【0105】なお、比較のため、ナフィオン112(デ
ュポン社製)についても同様に、滴定によりスルホン酸
基導入量を求め、周波数1kHzの交流2端子法により
イオン伝導度を測定した。
【0106】ナフィオン112の場合、単位体積当たり
のスルホン酸基導入量(以下、これを「スルホン酸基密
度」という。)は1.3mmol/cm、イオン伝導
度は0.08S/cmであり、スルホン酸基密度に対す
るイオン伝導度の比(以下、これを「比伝導度」とい
う。)は、0.062(S/cm)/(mmol/cm
)であった。
【0107】これに対し、本発明に係る電解質膜の場
合、スルホン酸基密度は0.158mmol/cm
イオン伝導度は0.0182S/cmであり、ナフィオ
ン112より低い値となった。しかしながら、比伝導度
は、0.12(S/cm)/(mmol/cm)であ
り、ナフィオン112の約2倍となった。この結果は、
本発明に係る電解質膜によれば、スルホン酸基導入量が
相対的に少ない場合であっても、高いイオン伝導度が得
られることを示している。
【0108】また、ナフィオンに代表されるパーフルオ
ロカーボンスルホン酸系の高分子電解質膜は、数mmo
l/cmのスルホン酸基密度で、スルホン酸基間距離
は、約1nmと考えられている。スルホン酸基間距離が
これより短くなる(すなわち当量重量を下げる)と、あ
るところで膜が水溶性となる。そこでイオン伝導度は最
高となるものの、それ以上のイオン伝導度は出なくな
る。また、膜が水溶性となることによって、強度を維持
するのが困難となる。
【0109】これに対し、本発明に係る電解質膜は、膜
支持体により強度が維持されるので、上述のような理由
によりイオン交換基導入量が制限されることはない。本
実施例で得られた電解質膜の場合、スルホン酸基面密度
は、12.4/nmであり、一般の高分子電解質より
高い値が得られている。
【0110】(実施例2)以下の手順により本発明に係
る燃料電池を作製した。まず、実施例1で得られた本発
明に係る電解質膜の両面に、触媒を担持させたカーボン
と電解質からなる触媒層(13cm)を接合した。次
いで、触媒層の表面に300μlの(3,3,3−トリ
フルオロプロピル)トリメトキシシランの溶液(フッ素
溶媒)を均一に滴下した後、乾燥させることにより、触
媒層の表面に撥水層を形成した。次に、触媒層の外側に
さらに拡散層を接合し、さらに、その両側を、反応ガス
流路を備えたセパレータで狭持し、燃料電池を得た。
【0111】得られた燃料電池を用いて発電試験を行っ
た。発電条件は、燃料ガス及び酸化剤ガスとして、それ
ぞれ、10ppmのCOガスを含む改質ガス及び空気を
用い、両極無加湿、セル温度100℃、電流密度0.5
A/cm、燃料過剰率1.5、空気過剰率1.5とし
た。本実施例で得られた燃料電池は、このような高温無
加湿、高CO濃度の条件下においても連続運転が可能で
あり、安定して高出力が得られた。
【0112】以上、本発明の実施の形態について詳細に
説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々
の改変が可能である。
【0113】例えば、図2に示す燃料電池においては、
アノード及びカソードの双方に撥水層が設けられている
が、撥水層は、アノード又はカソードの少なくとも一方
に設けるようにしても良い。また、イオン伝導性物質と
してプロトン伝導性を有するものを用いる場合、一般
に、カソード側からより多くの水が排出されるので、こ
の場合には、カソード側にのみ撥水層を設けても良い。
【0114】また、例えば、上記実施の形態では、イオ
ン伝導性物質として陽イオン交換基を備えたものを用い
た例について主に説明したが、陰イオン交換基を備えた
ものをイオン伝導性物質電解質として用いても良い。
【0115】
【発明の効果】本発明に係る電解質膜は、厚さ方向に貫
通する連通孔を有する膜支持体と、前記連通孔の内部に
導入されたイオン伝導性物質とを備えているので、イオ
ン伝導性物質の導入量、すなわち、イオン交換基の導入
量が相対的に少ない場合であっても、高いイオン伝導率
が得られるという効果がある。
【0116】また、本発明は、電解質膜の両面に電極が
接合された膜電極接合体を備えた燃料電池において、電
解質膜として、厚さ方向に貫通する連通孔を有する膜支
持体と、前記連通孔の内部に導入されたイオン伝導性物
質とを備えたものを用いているので、燃料電池の高出力
化及び小型化が図れるという効果がある。
【0117】また、電極の少なくとも一方が、触媒又は
担体に担持された触媒と触媒層内電解質とを含む触媒層
を備え、触媒層内電解質の気相側表面が反応ガス透過性
を有する撥水層で被覆されている場合には、無加湿条件
下においても、電解質膜の含水率を安定作動に必要な水
準に維持することができ、高い出力が安定して得られる
という効果がある。
【0118】さらに、撥水層として、フッ素系材料を用
いた場合には、触媒層に含まれる触媒のCO被毒が抑制
され、電極の耐久性も向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は、本発明に係る電解質膜の概略
構成図であり、図1(b)は、その拡大断面図である。
【図2】 本発明の一実施の形態に係る燃料電池に備え
られる膜電極接合体の拡大断面図である。
【符号の説明】
10、10a、30 電解質膜 12、32 膜支持体 12a、32a 連通孔 14、34 イオン伝導性物質 14a カップリング剤 20 膜電極接合体 40a アノード 40b カソード 42a、42b 拡散層 44a、44b 触媒層 46a、46b 担体 48a、48b 触媒 50a、50b 触媒層内電解質 52a、52b 撥水層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森本 友 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 津坂 恭子 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 河原 和生 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 朝岡 賢彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 5H018 AA06 BB08 BB16 EE18 HH00 HH02 HH05 5H026 AA06 CX05 HH02 HH05

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚さ方向に貫通する連通孔を有する膜支
    持体と、前記連通孔の内部に導入されたイオン伝導性物
    質とを備えている電解質膜。
  2. 【請求項2】 前記連通孔の断面積は、0.2nm
    上30000nm以下である請求項1に記載の電解質
    膜。
  3. 【請求項3】 前記連通孔の単位面積当たりの数は、1
    ×10/cm以上である請求項1に記載の電解質
    膜。
  4. 【請求項4】 前記連通孔は、前記膜支持体の面に対し
    てほぼ垂直に貫通している請求項1に記載の電解質膜。
  5. 【請求項5】 前記イオン伝導性物質に含まれるイオン
    交換基の面密度は、1/nm以上である請求項1に記
    載の電解質膜。
  6. 【請求項6】 前記イオン伝導性物質は、前記連通孔に
    含浸させた固体高分子電解質である請求項1に記載の電
    解質膜。
  7. 【請求項7】 前記イオン伝導性物質は、前記連通孔の
    内面を修飾するイオン交換基を有するカップリング剤で
    ある請求項1に記載の電解質膜。
  8. 【請求項8】 電解質膜の両面に電極が接合された膜電
    極接合体を備えた燃料電池において、 前記電解質膜は、厚さ方向に貫通する連通孔を有する膜
    支持体と、前記連通孔の内部に導入されたイオン伝導性
    物質とを備えている燃料電池。
  9. 【請求項9】 前記連通孔の断面積は、0.2nm
    上30000nm以下である請求項8に記載の燃料電
    池。
  10. 【請求項10】 前記連通孔の単位面積当たりの数は、
    1×10/cm以上である請求項8に記載の燃料電
    池。
  11. 【請求項11】 前記連通孔は、前記膜支持体の面に対
    してほぼ垂直に貫通している請求項8に記載の燃料電
    池。
  12. 【請求項12】 前記イオン伝導性物質に含まれるイオ
    ン交換基の面密度は、1/nm以上である請求項8に
    記載の燃料電池。
  13. 【請求項13】 前記イオン伝導性物質は、前記連通孔
    に含浸させた固体高分子電解質である請求項8に記載の
    燃料電池。
  14. 【請求項14】 前記イオン伝導性物質は、前記連通孔
    の内面を修飾するイオン交換基を有するカップリング剤
    である請求項8に記載の燃料電池。
  15. 【請求項15】 前記電極の少なくとも一方は、触媒又
    は担体に担持された触媒と触媒層内電解質とを含む触媒
    層を備え、前記触媒層内電解質の気相側表面が反応ガス
    透過性を有する撥水層で被覆されていることを特徴とす
    る請求項8に記載の燃料電池。
  16. 【請求項16】 前記撥水層は、フッ素系材料からなる
    請求項15に記載の燃料電池。
  17. 【請求項17】 前記撥水層は、前記触媒層内電解質の
    気相側表面に疎水性メタロキサン前駆体を含む溶液を塗
    布し、重縮合させることにより得られる重縮合体層であ
    る請求項15に記載の燃料電池。
  18. 【請求項18】 前記撥水層は、前記触媒層内電解質の
    気相側表面にあるイオン交換基と塩基とを酸塩基反応さ
    せることにより得られる塩基層である請求項15に記載
    の燃料電池。
  19. 【請求項19】 前記撥水層は、気相を介して、前記触
    媒層内電解質の気相側表面に反応ガス透過性を有する撥
    水性材料を析出させることにより得られる析出層である
    請求項15に記載の燃料電池。
  20. 【請求項20】 前記撥水層は、前記触媒層内電解質と
    して主鎖の末端や側鎖に疎水セグメントが結合している
    ものを用い、該疎水セグメントを前記触媒層の気相側表
    面に偏在させることにより得られる偏在層である請求項
    15に記載の燃料電池。
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