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JP2002201313A - 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法

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Publication number
JP2002201313A
JP2002201313A JP2000403063A JP2000403063A JP2002201313A JP 2002201313 A JP2002201313 A JP 2002201313A JP 2000403063 A JP2000403063 A JP 2000403063A JP 2000403063 A JP2000403063 A JP 2000403063A JP 2002201313 A JP2002201313 A JP 2002201313A
Authority
JP
Japan
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thermoplastic elastomer
rubber
elastomer composition
rotating twin
polyolefin resin
Prior art date
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Granted
Application number
JP2000403063A
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English (en)
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JP2002201313A5 (ja
JP3575426B2 (ja
Inventor
Akihiko Morikawa
明彦 森川
Minoru Maeda
稔 前田
Hideo Nakanishi
英雄 中西
Kentarou Kanae
健太郎 鼎
Takahiro Okamoto
隆浩 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
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Publication of JP2002201313A publication Critical patent/JP2002201313A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3575426B2 publication Critical patent/JP3575426B2/ja
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的特性及び成形加工性のバランスに優れ
る熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法を提供
する。 【解決手段】 本熱可塑性エラストマー組成物は、ゴム
(エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム等)と、結晶
性ポリオレフィン系樹脂及び/又は非晶性ポリオレフィ
ン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂とで構成される
樹脂・ゴム組成物を架橋剤の存在下で動的に熱処理され
てなり、熱可塑性エラストマー組成物中のゴムのゲル分
率が95%以上であり、透過電子顕微鏡写真における熱
可塑性エラストマー組成物中のゴム粒子の数平均粒子径
dnが2μm以下であり、且つ、体積平均粒子径dvと
の比dv/dnが1.5以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性エラスト
マー組成物及びその製造方法に関し、更に詳しくは、柔
軟性や弾性回復性等の機械的特性と成形加工性のバラン
スに優れた熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴムとポリオレフィン系樹脂を架橋剤の
存在下で動的に熱処理することによって得られる熱可塑
性エラストマー組成物は、加硫工程が不要であるため、
通常の熱可塑性樹脂の成形方法、例えば射出成形、異形
押出成形、カレンダー加工、ブロー成形等によって容易
に成形品を得ることができる。しかし、一方で、加硫ゴ
ムと比較すると弾性回復性に劣るという短所を併せ持
つ。従来より、この短所を補うために、架橋密度の向
上、ゴムの高ムーニー化等が検討されている。これらの
方法により弾性回復性は向上するものの、得られる熱可
塑性エラストマー組成物の流動性が著しく低下する。ま
た、成形加工性を向上させるために、過酸化物分解型オ
レフィン系ゴムを添加する方法もあるが、この方法では
弾性回復性が低下するという問題がある。このように、
従来の方法で得られる熱可塑性エラストマー組成物は、
弾性回復性と成形加工性とのバランスを得ることが困難
であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
み、柔軟性や弾性回復性等の機械的特性と成形加工性と
のバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物及びそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の熱
可塑性エラストマー組成物は、ゴム(A)20〜95質
量部と、結晶性ポリオレフィン系樹脂(b1)及び/又
は非晶質ポリオレフィン系樹脂(b2)からなるポリオ
レフィン系樹脂(B)5〜80質量部〔但し、(A)+
(B)=100質量部〕で構成される樹脂・ゴム組成物
(X)を架橋剤(C)0.05〜10重量部の存在下で
動的に熱処理することにより得られる熱可塑性エラスト
マー組成物であって、上記熱可塑性エラストマー組成物
中のゴムのゲル分率が95%以上であり、且つ、透過型
電子顕微鏡写真における上記熱可塑性エラストマー組成
物中のゴム粒子の数平均粒子径dnが2μm以下であ
り、且つ、体積平均粒子径dvとの比dv/dnが1.
5以下であることを特徴とする。
【0005】上記ゴム(A)としては特に限定されない
が、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレ
ン−ブタジエンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、ブ
チルゴム、ニトリル系ゴム、水素化ニトリル系ゴム、ノ
ルボルネンゴム、エチレン−α−オレフィン系共重合ゴ
ム、アクリルゴム、エチレン−アクリレートゴム、フッ
素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロ
ロヒドリンゴム、シリコーンゴム、ウレンタンゴム、多
硫化ゴム、フォスファゼンゴム、1,2−ポリブタジエ
ン等が挙げられる。これらのうち、エチレン−α−オレ
フィン系共重合ゴムが好ましく用いられる。また、これ
らは1種単独であるいは2種以上混合して用いることが
できる。
【0006】上記「エチレン・α−オレフィン系共重合
ゴム」(以下、単に「共重合ゴム」ともいう)は、エチ
レンと、エチレンを除くα−オレフィンとを主構成単位
とするものである。この共重合ゴム全体を100モル%
とした場合に、エチレン及びα−オレフィンを90モル
%以上含有することが好ましい。
【0007】この共重合ゴムを構成するα−オレフィン
としては、プロペン(以下「プロピレン」という。)、
1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、
1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル
−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、1−オク
テン、1−デセン、1−ウンデセン等の炭素数3〜12
のα−オレフィンが挙げられ、1種単独であるいは2種
以上を混合して用いることができる。これらのうち、プ
ロピレン及び/又は1−ブテンが好ましく用いられる。
【0008】更に、その他の構成単位として、非共役ジ
エンを用いることができる。この非共役ジエンとして
は、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、
1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9
−デカジエン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエ
ン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジエン、5−メ
チル−1,8−ノナジエン、ジシクロペンタジエン、5
−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノ
ルボルネン、2,5−ノルボルナジエン等が挙げられ、
特にジシクロペンタジエン及び/又は5−エチリデン−
2−ノルボルネンが好ましく用いられる。
【0009】即ち、共重合ゴムとしては、エチレン/α
−オレフィン二元共重合体、エチレン/α−オレフィン
/非共役ジエン三元共重合体等が好ましく用いられる。
上記エチレン/α−オレフィン二元共重合体としては、
エチレン/プロピレン二元共重合体(以下、単位「EP
M」という)及びエチレン/1−ブテン二元共重合体
(以下、単に「EBM」という)が特に好ましく用いら
れる。更に、EPM及びEBMのエチレン含量は、二元
共重合体全体を100モル%とした場合に50〜95モ
ル%(より好ましくは60〜90モル%)であることが
好ましい。
【0010】また、上記エチレン/α−オレフィン/非
共役ジエン三元共重合体としては、エチレン/プロピレ
ン/ジシクロペンタジエン三元共重合体、エチレン/プ
ロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重
合体、エチレン/1−ブテン/ジシクロペンタジエン三
元共重合体、及びエチレン/1−ブテン/5−エチリデ
ン−2−ノルボルネン三元共重合体が特に好ましく用い
られる。この三元共重合体におけるエチレン含量は、エ
チレン単位と、プロピレン又は1−ブテン単位の合計を
100モル%とした場合に50〜95モル%(より好ま
しくは60〜90モル%)であることが好ましい。更
に、ジシクロペンタジエン又は5−エチリデン−2−ノ
ルボルネン含量は、エチレン単位と、プロピレン又は1
−ブテン単位の合計を100モル%とした場合に、3〜
10モル%(より好ましくは3〜8モル%)であること
が好ましい。
【0011】上記二元共重合体及び上記三元共重合体の
エチレン含量が50モル%未満であると架橋効率が低下
する傾向(特に、架橋剤として有機過酸化物を使用した
場合)にあり、十分な目的の物性が得られにくくなる。
一方、エチレン含量が95モル%を超える場合は、共重
合ゴムの柔軟性が低下する傾向があり好ましくない。
【0012】本発明においては、上記共重合ゴムとし
て、上記二元共重合体及び上記三元共重合体等のほか、
これらの重合体の有する水素原子の一部が塩素原子、臭
素原子等のハロゲン原子に置換されているハロゲン化共
重合体や、塩化ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸の誘導体〔(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アク
リルアミド等〕、マレイン酸、マレイン酸の誘導体(無
水マレイン酸、マレイミド、マレイン酸ジメチル等)、
共役ジエン(ブタジエン、イソプレン、クロロプレン
等)等の不飽和モノマーを上記二元共重合体、上記三元
共重合体及びハロゲン化共重合体等に対してグラフト重
合したグラフト共重合体等を用いることもできる。これ
らの共重合体は1種単独であるいは2種以上を併用する
ことができる。
【0013】上記共重合ゴムは、例えば、チーグラー・
ナッタ触媒と、可溶性バナジウム化合物と、有機アルミ
ニウム化合物とを含む溶媒からなる触媒の存在下で、エ
チレン、α−オレフィン及び非共役ジエンを、必要に応
じて分子量調節剤として水素を供給しつつ重合する方法
等の、中・低圧法による重合方法により得ることができ
る。また、その重合は気相法(流動床又は攪拌床)、液
相法(スラリー法又は溶液法)でも行うことができる。
【0014】上記可溶性バナジウム化合物としては、例
えば、VOCl3及びVCl4の少なくとも一方とアルコ
ールとの反応生成物を用いることが好ましい。アルコー
ルとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタ
ノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オク
タノール、2−エチルヘキサノール、n−デカノール及
びn−ドデカノール等を用いることができるが、これら
のうち、炭素数3〜8のアルコールが好ましく用いられ
る。
【0015】また、上記有機アルミニウム化合物として
は、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチル
アルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、ジエ
チルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニ
ウムモノクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリ
ド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミ
ニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジクロリド、ト
リメチルアルミニウムと水との反応生成物であるメチル
アルミノキサン等が挙げられる。これらのうち、特にエ
チルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウム
セスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリドと
トリイソブチルアルミニウムとの混合物、トリイソブチ
ルアルミニウムとブチルアルミニウムセスキクロリドと
の混合物が好ましく用いられる。更に、上記溶媒として
は、炭化水素が好ましく用いられ、これらのうち、特に
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タン、イソオクタン、シクロヘキサンが好ましく用いら
れる。これらは1種単独であるいは2種以上を併用する
ことができる。
【0016】尚、この共重合ゴムには、植物油(やし油
等)、脂肪酸と高級アルコールとのエステル類(フタル
酸ジエステル類等)、リン酸トリエステル類、鉱物油
(パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油、芳香族系鉱
物油)等が含有されていてもよい。
【0017】上記ポリオレフィン系樹脂(B)のうち、
上記「結晶性ポリオレフィン系樹脂(b1)」(以下、
単に「結晶性重合体(b1)」ともいう)は、特に限定
されないが、α−オレフィンを主成分とするものが好ま
しく用いられる。即ち、上記結晶性重合体(b1)全体
を100モル%とした場合に、α−オレフィンを80モ
ル%以上(より好ましくは90モル%以上)含有するこ
とが好ましい。上記結晶性重合体(b1)はα−オレフ
ィンの単独重合体であっても、2種以上のα−オレフィ
ンの共重合体であっても、α−オレフィンではない単量
体との共重合体であってもよい。また、これらの異なる
2種以上の重合体及び/又は共重合体の混合物であって
もよい。
【0018】上記結晶性重合体(b1)を構成するα−
オレフィンとしては、炭素数3以上のα−オレフィンを
用いることが好ましく、上記共重合ゴムにおけると同様
な炭素数3〜12のα−オレフィンを用いることがより
好ましい。尚、エチレンとの共重合体である場合は、こ
の共重合体全体を100モル%とした場合に、エチレン
含量は40モル%以下(より好ましくは20モル%以
下)であることが好ましい。
【0019】上記結晶性重合体(b1)を構成する重合
体が、共重合体である場合、この共重合体はランダム共
重合体及びブロック共重合体のいずれであってもよい。
但し、下記の結晶化度を得るためにランダム共重合体で
はα−オレフィンを除く構成単位の合計含量を、ランダ
ム共重合体全体を100モル%とした場合に15モル%
以下(より好ましくは10モル%以下)とすることが好
ましい。また、ブロック共重合体ではα−オレフィンを
除く構成単位の合計含量を、ブロック共重合体全体を1
00モル%とした場合に40モル%以下(より好ましく
は20モル%以下)とすることが好ましい。尚、このよ
うなランダム共重合体は、例えば上記共重合ゴムと同様
な方法により得ることができる。また、このようなブロ
ック共重合体は、チーグラー・ナッタ触媒を用いるリビ
ング重合により得ることができる。
【0020】また、上記結晶性重合体(b1)は結晶性
を有する。この結晶性は、X線回折測定による結晶化度
で50%以上(より好ましくは53%以上、更に好まし
くは55%以上)であることが好ましい。また、この結
晶化度は密度と密接に関係している。例えば、ポリプロ
ピレンの場合、α型結晶(単斜晶形)の密度は0.93
6g/cm3、スメチカ型微結晶(擬六方晶形)の密度
は0.886g/cm3、非晶質(アタクチック)成分
の密度は0.850g/cm3である。更に、ポリ−1
−ブテンの場合、アイソタクチック結晶成分の密度は
0.91g/cm3、非晶質(アタクチック)成分の密
度は0.87g/cm3である。従って、結晶化度が5
0%以上の結晶性重合体(b1)を得ようとすると、密
度は0.89g/cm3以上(より好ましくは0.90
〜0.94g/cm3)とすることが好ましい。この結
晶化度が50%未満、密度が0.89g/cm3未満で
あると、耐熱性、強度等が低下する傾向にある。
【0021】更に、上記結晶性重合体(b1)の示差走
査熱量測定法による最大ピーク温度、即ち融点(以下、
単に「Tm」という)は100℃以上(より好ましくは
120℃以上)であることが好ましい。Tmが100℃
未満では十分な耐熱性及び強度が発揮されない傾向にあ
る。また、上記Tmは構成される単量体により異なるが
120℃以上であることが好ましい。また、メルトフロ
ーレート(温度230℃、荷重2.16kgにおける)
(以下、単に「MFR」という)は0.1〜100g/
10分(より好ましくは0.5〜80g/10分)であ
ることが好ましい。MFRが0.1g/10分未満では
エラストマー組成物の混練加工性、押出加工性等が不十
分となる傾向にある。一方、100g/10分を超える
と強度が低下する傾向にある。
【0022】従って、上記結晶性重合体(b1)として
は、結晶化度が50%以上、密度が0.89g/cm3
以上であり、エチレン単位の含有量が20モル%以下で
あり、Tmが100℃以上であり、MFRが0.1〜1
00g/10分であり、融点が140〜170℃である
ポリプロピレン及び/又はプロピレンと、エチレンとの
共重合体を用いることが特に好ましい。
【0023】上記ポリオレフィン系樹脂(B)のうち、
上記「非晶質ポリオレフィン系樹脂」(以下、単に「非
晶質重合体(b2)」ともいう。)は、特に限定されな
いが、α−オレフィンを主成分とするものが好ましく用
いられる。即ち、上記非晶質重合体(b2)全体を10
0モル%とした場合に、α−オレフィンを50モル%以
上(より好ましくは60モル%以上)含有することが好
ましい。上記非晶質重合体(b2)はα−オレフィンの
単独重合体であっても、2種以上のα−オレフィンの共
重合体であっても、α−オレフィンではない単量体との
共重合体であってもよい。また、これらの異なる2種以
上の重合体及び/又は共重合体の混合物であってもよ
い。上記非晶質重合体(b2)を構成するα−オレフィ
ンとしては、炭素数3以上のα−オレフィンを用いるこ
とが好ましく、上記共重合ゴムにおける例示と同様な炭
素数3〜12のα−オレフィンを用いることがより好ま
しい。
【0024】上記非晶質重合体(b2)としては、アタ
クチックポリプロピレン、アタクチックポリ−1−ブテ
ン等の単独重合体や、プロピレン(50モル%以上含
有)と他のα−オレフィン(エチレン、1−ブテン、1
−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−オクテン、1−デセン等)との共重合体、1−
ブテン(50モル%以上含有)と他のα−オレフィン
(エチレン、プロピレン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デ
セン等)との共重合体等が挙げられる。
【0025】上記非晶質重合体(b2)を構成する重合
体が、共重合体である場合、この共重合体はランダム共
重合体及びブロック共重合体のいずれであってもよい。
但し、ブロック共重合体の場合、主成分となる(上記共
重合体ではプロピレン、1−ブテン)α−オレフィン単
位はアタクチック構造で結合している必要がある。ま
た、上記非晶質共重合体(b2)が炭素数3以上のα−
オレフィンとエチレンとの共重合体である場合、共重合
体全体を100モル%とするとα−オレフィン含量は好
ましくは50モル%以上(より好ましくは60〜100
モル%)である。
【0026】上記非晶質重合体(b2)としては、アタ
クチックポリプロピレン(プロピレン含量50モル%以
上)、プロピレン(50モル%以上含有)とエチレンと
の共重合体、プロピレンと1−ブテンとの共重合体を用
いることが特に好ましい。尚、このアタクチックポリプ
ロピレンは、前記結晶性重合体(b1)として用いるこ
とができるポリプロピレンの副生成物として得ることが
できる。また、アタクチックポリプロピレン及びアタク
チックポリ−1−ブテンは、ジルコノセン化合物−メチ
ルアルミノキサン触媒を用いる重合によっても得ること
ができる。更に、上記ランダム共重合体は、上記共重合
ゴムと同様な方法により得ることができる。また、上記
ブロック共重合体は、チーグラー・ナッタ触媒を用いる
リビング重合により得ることができる。
【0027】また、上記非晶質重合体(b2)は190
℃における溶融粘度が50Pa・s以下(より好ましく
は0.1〜30Pa・s、更に好ましくは0.2〜20
Pa・sである。この粘度が50Pa・sを超えると加
硫ゴム又は熱可塑性エラストマーと射出融着する場合
に、被着体との接着強度が低下する傾向にある。更に、
X線回折測定による結晶化度は、好ましくは50%未満
(より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以
下)である。この結晶化度は前記と同様に密度と密接に
関係しており、0.85〜0.89g/cm3(より好
ましくは0.85〜0.88g/cm3)であることが
好ましい。更に、この非晶質重合体(b2)の数平均分
子量Mnは1000〜20000(より好ましくは15
00〜15000)であることが好ましい。溶融粘度が
50Pa・sを超える場合、結晶化度が50%を超える
場合、及び密度が0.89g/cm3を超える場合は、
加硫ゴム又は熱可塑性エラストマーと射出融着する場合
に、被着体との接着強度が低下する傾向にある。
【0028】上記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(B)
は、上記結晶性ポリオレフィン系樹脂(b1)と上記非
晶質ポリオレフィン系樹脂(b2)の両方を用いてもよ
いし、いずれか一方のみを用いてもよい。
【0029】上記樹脂・ゴム組成物(X)中の上記ゴム
(A)の配合量は20〜95質量部であり、好ましくは
40〜94質量部、より好ましくは60〜93質量部で
ある。上記成分(A)の配合量が20質量部未満では、
得られる熱可塑性エラストマーの柔軟性及び弾性が低下
する傾向にある。一方、上記成分(A)の配合量が95
質量部を超えると、最終的に得られる熱可塑性エラスト
マー組成物の流動性が低下し、成形加工性が著しく悪化
する恐れがあり好ましくない。
【0030】また、上記ポリオレフィン系樹脂(B)の
配合量は5〜80質量部であり、好ましくは6〜60質
量部、より好ましくは7〜40質量部である。上記成分
(B)の配合量が5質量部未満では、最終的に得られる
熱可塑性エラストマー組成物の相構造(モルフォロジ
ー)が、動的架橋型熱可塑性エラストマーの特徴である
良好な海島構造〔ポリオレフィン樹脂が海(マトリック
ス)、架橋ゴムが島(ドメイン)〕にならず、成形加工
性、機械物性が悪化する恐れがある。一方、上記成分
(B)の配合量が80質量部を超えると得られる熱可塑
性エラストマーの柔軟性とゴム弾性が低下し好ましくな
い。
【0031】また、架橋に用いられる上記架橋剤(C)
としては、例えば、有機過酸化物、フェノール樹脂架橋
剤、硫黄、硫黄化合物、p−キノン、p−キノンジオキ
シムの誘導体、ビスマレイミド化合物、エポキシ化合
物、シラン化合物、アミノ樹脂、ポリオール架橋剤、ポ
リアミン、トリアジン化合物及び金属石鹸等を挙げるこ
とができ、特に有機過酸化物及びフェノール樹脂架橋剤
が好ましく用いられる。
【0032】上記有機過酸化物としては、有機過酸化物
の1分間半減期温度Thが、用いるポリオレフィン系樹
脂の融点をTmとした場合に、Tm≦Th≦Tm+50
(℃)の範囲にあることが好ましい。上記Thが上記Tm
未満では、上記ゴム(A)と上記ポリオレフィン系樹脂
(B)の溶融混練りが十分に行われないうちに架橋反応
が開始してしまい、最終的に得られる熱可塑性エラスト
マー組成物のゴム弾性及び機械的強度が低下する恐れが
ある。一方、ThがTm+50を超えると架橋温度が低す
ぎることになって架橋不足となり、最終的に得られる熱
可塑性エラストマー組成物のゴム弾性及び機械的強度が
低下する恐れがある。上記有機過酸化物の例としては、
1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベ
ンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチル
パーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5
−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン−3、2,5
−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘ
キサン、2,2’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p
−イソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ−
t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシド、p
−メンタンパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
ジラウロイルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド、
t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,4−ジクロロ
ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオ
キシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ(t−ブチルパー
オキシ)パーベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス
(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパー
オキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。これ
らのうち、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプ
ロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の分
解温度が比較的高いものが好ましく用いられる。尚、こ
れらの有機過酸化物は1種単独であるいは2種以上を混
合して用いることができる。
【0033】更に、上記架橋剤として有機過酸化物を用
いる場合は、架橋助剤と併用することにより架橋反応を
穏やかに行うことができ、特に均一な架橋を形成するこ
とができる。この架橋助剤としては、硫黄又は硫黄化合
物(粉末硫黄、コロイド硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、
表面処理硫黄、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフ
ィド等)、オキシム化合物(p−キノンオキシム、p,
p’−ジベンゾイルキノンオキシム等)、多官能性モノ
マー類(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレー
ト、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレー
ト、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,
N’−トルイレンビスマレイミド、無水マレイン酸、ジ
ビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛等)等が挙
げられる。これらのうち、特に、p,p’−ジベンゾイ
ルキノンオキシム、N,N’−m−フェニレンビスマレ
イミド、ジビニルベンゼンが好ましく用いられる。これ
らの架橋助剤は1種単独であるいは2種以上を混合して
用いることができる。尚、架橋助剤のうち、N,N’−
m−フェニレンビスマレイミドは、架橋剤としての作用
を有するため、架橋剤として使用することもできる。
【0034】上記架橋剤として有機過酸化物を使用する
場合、その使用量は、上記樹脂・ゴム組成物(X)10
0質量部に対して0.05〜10質量部、好ましくは
0.1〜5質量部とすることができる。有機過酸化物の
使用量が0.05質量部未満であると、架橋度が不足
し、最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴ
ム弾性及び機械的強度が低下する恐れがある。一方、1
0質量部を超えると、架橋度が過度に高くなり、成形加
工性が悪化したり、機械的物性が低下する傾向にある。
また、上記架橋剤として有機過酸化物を使用する場合の
架橋助剤の使用量は、上記樹脂・ゴム組成物(X)10
0質量部に対して好ましくは10質量部以下、より好ま
しくは0.2〜5質量部とすることができる。架橋助剤
の使用量が10質量部を超えると、架橋度が過度に高く
なり、成形加工性が悪化したり、機械的物性が低下する
傾向にある。
【0035】また、上記フェノール系架橋剤としては、
例えば、下記一般式(I)で示されるp−置換フェノー
ル系化合物、o−置換フェノール−アルデヒド縮合物、
m−置換フェノール−アルデヒド縮合物、臭素化アルキ
ルフェノール−アルデヒド縮合物等が挙げられ、特にp
−置換フェノール系化合物が好ましく用いられる。
【0036】
【化1】
【0037】尚、nは0〜10の整数であり、Xはヒド
ロキシル基、ハロゲン化アルキル基及びハロゲン原子の
少なくともいずれかであり、Rは炭素数1〜15の飽和
炭化水素基である。
【0038】尚、p−置換フェノール系化合物は、アル
カリ触媒の存在下においてp−置換フェノールとアルデ
ヒド(好ましくはホルムアルデヒド)との縮合反応によ
り得られる。上記架橋剤として、フェノール系架橋剤を
用いる場合は、上記樹脂・ゴム組成物(X)100質量
部に対して好ましくは0.2〜10質量部、より好まし
くは0.5〜5質量部とすることができる。フェノール
系架橋剤の使用量が0.2質量部未満であると、架橋度
が不足し、最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成
物のゴム弾性及び機械的強度が低下する恐れがある。一
方、10質量部を超えると、最終的に得られる熱可塑性
エラストマーの成形加工性を悪化させる傾向にある。
【0039】これらのフェノール系架橋剤は単独でも使
用できるが、架橋速度を調節するため、架橋促進剤を併
用することができる。この架橋促進剤としては、金属ハ
ロゲン化物(塩化第一すず、塩化第二鉄等)、有機ハロ
ゲン化物(塩素化ポリプロピレン、臭化ブチルゴム、ク
ロロプレンゴム等)等が挙げられる。また、架橋促進剤
の他、更に、酸化亜鉛等の金属酸化物やステアリン酸等
の分散剤を併用することがより望ましい。
【0040】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
含有するゴムのゲル分率が95%以上(好ましくは96
%以上、より好ましくは97%以上)である。上記ゲル
分率が95%未満では最終的に得られる熱可塑性エラス
トマー組成物のゴム弾性及び機械的強度が低下する恐れ
がある。尚、上記ゲル分率の測定方法は下記の通りであ
る。
【0041】熱可塑性エラストマー組成物を約200m
g秤量して、細かく裁断する。次いで、得られた細片を
密閉容器中にて100mlのシクロヘキサンに23℃で
48時間浸漬する。次に、この試料を濾紙上に取り出
し、真空乾燥機にて105℃で1時間減圧下で乾燥す
る。この乾燥残渣の質量から、ゴム及びポリオレフィ
ン系樹脂(B)成分以外のシクロヘキサン不溶成分(充
填剤、顔料等)の質量、及びシクロヘキサン浸漬前の
試料中のポリオレフィン系樹脂(B)成分の質量を減じ
た値を、「補正された最終質量(p)」とする。
【0042】一方、試料の質量から、ゴム及びポリオ
レフィン系樹脂以外のシクロヘキサン可溶成分(例えば
軟化剤)の質量、ゴム及びポリオレフィン系樹脂以外
のシクロヘキサン不溶成分(充填剤、顔料等)の質量、
及びポリオレフィン系樹脂(B)成分の質量を減じた
値を、「補正された初期質量(q)」とする。ここにゲ
ル分率(シクロヘキサン不溶解分)は、次式により求め
られる。 ゲル分率[質量%]=〔{補正された最終質量(p)}
÷{補正された初期質量(q)}〕×100
【0043】上記熱可塑性エラストマー組成物中におけ
る架橋ゴム粒子は、透過型電子顕微鏡(以下、「TE
M」という。)を用いて観察することができる。この架
橋ゴム粒子の映るTEM写真の画像解析により得られる
架橋ゴム粒子の面積を用いて計算した熱可塑性エラスト
マー組成物中のゴム粒子の数平均粒子径dnは、2μm
以下であり、好ましくは1.4μm以下、より好ましく
は1.0μm以下である。であり、且つ、数平均粒子径
dnを用いて求められた体積平均粒子径dvと上記数平
均粒子径dnとの比dv/dnは1.5以下であり、好
ましくは1.4以下、より好ましくは1.3以下であ
る。この範囲において目的とする良好なゴム弾性、機械
的物性、及び成形加工性を両立することができる。dv
/dn比が1.5以下でも、数平均粒子径dnが2μm
を超えると成形加工性が悪化する傾向にある。また、数
平均粒子径dnが2μm以下でもdv/dn比が1.5
を超えると、機械的物性が悪化する傾向にある。尚、d
v/dn比が1のとき、粒子径が揃った均一状態を示
し、1より大きくなるにつれ粒子径が不揃いで不均一に
なっていることを示す。
【0044】本発明の熱可塑性エラストマー組成物をT
EMで観察する際には、初めに熱可塑性エラストマー組
成物を凍結ミクロトームで薄片とし、四酸化ルテニウ
ム、四酸化オスミウム、クロロスルホン酸、酢酸ウラニ
ル、リンタングステン酸、ヨウ素イオン、トリフルオロ
酢酸等の染色剤を使用して染色する。染色剤の選択にあ
たっては、観察対象とする熱可塑性エラストマー組成物
の高分子中に含まれる官能基の種類により最適な染色剤
を選択する必要がある。本発明の熱可塑性エラストマー
組成物の染色剤としては、四酸化ルテニウム、四酸化オ
スミウムが適している。染色した熱可塑性エラストマー
組成物の薄片をTEMで倍率2000倍に拡大して写真
撮影する。
【0045】上記数平均粒子径及び体積平均粒子径は、
TEM写真の画像解析より求められるものであるが、例
えば、画像解析ソフトとして、Image−Pro P
lus Ver.4.0 for Windows(M
ediaCybernetics社(USA)製、
(株)プラネトロン販売)等を用いることができる。
【0046】画像解析より架橋ゴム粒子の面積を求め、
以下に示す式を用いて、上記数平均粒子径dn、及び体
積平均粒子径dvを計算することができる。具体的には
J.MACROMOL.SCI.−PHYS.,B38
(5&6),527(1999)に記載されている計算
方法を用いることができる。
【0047】(1)TEM写真を画像解析して求めた架
橋ゴム粒子の面積から真円換算した場合の直径(d
j)の計算式
【数1】 A;TEM写真を画像解析して求めた架橋ゴム粒子の面
【0048】(2)数平均架橋ゴム粒子径(dn)の計
算式
【数2】
【0049】(3)体積平均架橋ゴム粒子径(dv)の
計算式
【数3】
【0050】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に
は、適宜、充填剤(カーボンブラック、クレー、カオリ
ン、タルク、炭酸カルシウム、湿式シリカ、乾式シリカ
等)、軟化剤、天然ケイ酸、合成ケイ酸、紫外線吸収
剤、老化防止剤、シリコーンオイル、フッ素パウダー、
シリコーンパウダー、炭酸マグネシウム、硫酸バリウ
ム、顔料、滑剤、加工助剤、離型剤、難燃剤、帯電防止
剤、防カビ剤、着色剤、熱安定剤等を配合することがで
きる。
【0051】上記軟化剤(D)としては特に限定されな
いが、例えば、植物油系軟化剤;ステアリン酸、ラウ
リル酸等、脂肪油;綿実油、アマニ油、ナタネ油等、
パインタール、ファクチクス;白サブ、黒サブ、飴
サブ等、鉱物油系軟化剤;パラフィン系鉱物油、ナフ
テン系鉱物油、芳香族(アロマ)系鉱物油等、エステ
ル系軟化剤;ジブチルフタレート、ジオクチルフタレー
ト、ジオクチルアジペート、ジブチルグリコールアジペ
ート、ジブチルカルビトールアジペート、ジオクチルセ
バケート、ジブチルエバケート、トリクレジルフォスフ
ェート、クレジルフェニルフォスフェート、トリブチル
フォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリブ
トキシエチルフォスフェート、ポリエーテル系可塑剤、
アジピン酸系ポリエステル等が挙げられる。これらのう
ち、鉱物油系軟化剤が好ましく用いられる。また、これ
らは1種単独であるいは2種以上を混合して用いること
ができる。
【0052】上記軟化剤の配合量は、上記ゴム(A)1
00質量部あたり、200質量部以下とすることがで
き、好ましくは180質量部以下、より好ましくは15
0質量部以下とすることができる。200質量部を超え
ると最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成物から
軟化剤がブリードアウトしたり、機械的物性及びゴム弾
性が低下する傾向にある。
【0053】請求項5記載の熱可塑性エラストマー組成
物の製造方法は、請求項1乃至4のいずれかに記載の熱
可塑性エラストマー組成物の製造方法であって、ゴム
(A)と、結晶性ポリオレフィン系樹脂(b1)及び/
又は非晶質ポリオレフィン系樹脂(b2)で構成される
ポリオレフィン系樹脂(B)と、を含有する原料組成物
をバッチ型密閉式混練機を用いて混合分散させた混練物
を予め調製した後、該混練物と架橋剤を二軸押出機を用
いて、動的に架橋することを特徴とする。
【0054】上記「動的に架橋する」とは、剪断力を加
えること及び加熱することの両方を行って架橋すること
をいう。この動的架橋は、例えば、溶融混練装置を用い
て行うことができる。上記密閉式混練機としては、加圧
型ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサ
ー等が挙げられる。
【0055】上記密閉式混練機を用いて原料組成物を混
合分散する場合、軟化剤を供給する方法は特に限定され
ず、予め原料組成物に配合しておいてもよく、また、上
記密閉式混練機中に原料組成物と別々に供給してもよ
い。更には、原料組成物が混合分散した後で軟化剤を供
給してもよいし、油展ゴムを用いてもよい。
【0056】上記密閉式混練機で得られた混練物を連続
式押出機に投入するために、好ましくは予め細かく切断
される。細片を作る方法としては、フィーダールーダー
を用いてペレット形状に加工してもよいし、一旦、ロー
ルミルにてシート化したものをシートペレタイザーでペ
レット形状加工してもよく、混練物を細断する方法は特
に限定はされない。
【0057】上記連続式押出機としては特に限定され
ず、一軸押出機、二軸押出機、二軸ローター型押出機等
が使用できるが、二軸押出機が好ましく、特にL/D
(スクリュー有効長Lと外径Dとの比)が好ましくは3
0以上、より好ましくは36〜60の二軸押出機が用い
られる。この二軸押出機としては、例えば2本のスクリ
ューが噛み合うもの、噛み合わないもの等任意の二軸押
出機を使用することができる。2本のスクリューの回転
方向が同一方向でスクリューが噛み合うものがより好ま
しい。このような二軸押出機としては池貝社製GT、神
戸製鋼所社製KTX、日本製鋼所社製TEX、東芝機械
社製TEM、ワーナー社製ZSK(いずれも商標)等が
挙げられる。
【0058】上記連続式押出機を用いて熱可塑性エラス
トマー組成物を動的架橋する場合、架橋剤の供給方法と
しては、ブレンドミキサーを用いて架橋反応に供される
混練物と予め混合して連続式押出機に供給する方法、又
はフィードホッパーとダイとの間に設けられたバレル開
口部から供給する方法等が採用でき、特に限定はされな
い。上記充填剤等を供給する方法としては特に限定され
ず、上記密閉式混練機内に添加してもよいし、上記連続
式押出機内に添加してもよく、更には、両方に供給して
もよい。
【0059】請求項5の発明の動的架橋の処理条件は、
使用するポリオレフィン系樹脂(B)の融点、架橋剤の
種類等によって異なるが、処理温度は、好ましくはポリ
オレフィン系樹脂(B)の融点(Tm)以上、且つ25
0℃以下の範囲である。ポリオレフィン系樹脂の融解温
度未満では、ゴム(A)とポリオレフィン系樹脂(B)
が上手く溶融混練りできず、練り不足が生じ、最終的に
得られる熱可塑性エラストマー組成物の機械物性が低下
する恐れがある。一方、250℃を超えるとゴムの劣化
が起こり、最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成
物の機械物性が低下する恐れがある。
【0060】請求項6記載の熱可塑性エラストマー組成
物の製造方法は、請求項1乃至4のいずれかに記載の熱
可塑性エラストマー組成物の製造方法であって、ゴム
(A)と、結晶性ポリオレフィン系樹脂(b1)及び/
又は非晶質ポリオレフィン系樹脂(b2)で構成される
ポリオレフィン系樹脂(B)と、を含有する原料組成物
を混合分散する混合工程及び動的に架橋する架橋工程を
連続して行うことを特徴とする。
【0061】請求項7記載の熱可塑性エラストマー組成
物の製造方法は、ゴム(A)と、結晶性ポリオレフィン
系樹脂(b1)及び/又は非晶質ポリオレフィン系樹脂
(b2)で構成されるポリオレフィン系樹脂(B)と、
を含有する原料組成物を、上流に連続式異方向回転二軸
混練機、及び下流に同方向回転二軸押出機を直列に配設
した押出装置の該連続式異方向回転二軸混練機の原料導
入部より供給し、該連続式異方向回転二軸混練機により
該原料組成物を混合分散させ、上記連続式異方向回転二
軸混練機の出口の混練物の温度を250℃以下に保持し
ながら、上記同方向回転二軸押出機により動的に架橋す
ることを特徴とする。
【0062】また、請求項8記載の熱可塑性エラストマ
ー組成物の製造方法は、請求項1乃至4のいずれかに記
載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法であって、
ゴム(A)と、結晶性ポリオレフィン系樹脂(b1)及
び/又は非晶質ポリオレフィン系樹脂(b2)で構成さ
れるポリオレフィン系樹脂(B)と、を含有する原料組
成物を、上流に連続式異方向回転二軸混練機、及び下流
に同方向回転二軸押出機を直列に配設した押出装置の該
連続式異方向回転二軸混練機の原料導入部より供給し、
該連続式異方向回転二軸混練機により該原料組成物を混
合分散させ、上記連続式異方向回転二軸混練機の出口の
混練物の温度を250℃以下に保持しながら、上記同方
向回転二軸押出機により動的に架橋することを特徴とす
る。
【0063】請求項7及び8に記載の発明では、上記連
続式異方向回転二軸混練機中で、供給された原料組成物
の溶融混練り、及び架橋剤の混合分散を行い、一定温度
以下に制御した混練物を上記同方向回転二軸押出機に供
給し、動的架橋反応を完了させるものである。上記連続
式異方向回転二軸混練機の出口の混練物の温度は、用い
たポリオレフィン系樹脂及び架橋剤によって異なるが、
上記連続式異方向回転二軸混練機中で架橋反応の進行を
抑制した状態で原料組成物の溶融混練りを行える温度に
制御する必要があるため、また、原料組成物中のゴム
(A)及びポリオレフィン系樹脂(B)の劣化を防ぐた
めに、250℃以下に保持する。
【0064】上記連続式異方向回転二軸混練機として
は、日本製鋼所社製CIM、神戸製鋼所社製ミクストロ
ンFCM/NCM/LCM/ACM(いずれも商標)等
が挙げられる。また、上記同方向回転二軸押出機は限定
されないが、特にL/D(スクリュー有効長Lと外径D
との比)が好ましくは30以上、より好ましくは36〜
60の二軸押出機が用いられる。二軸押出機としては、
例えば2本のスクリューが噛み合うもの、噛み合わない
もの等、任意の二軸押出機を使用することができる。こ
のような二軸押出機としては池貝社製GT、神戸製鋼所
社製KTX、日本製鋼所社製TEX、東芝機械社製TE
M、ワーナー社製ZSK(いずれも商標)等が挙げられ
る。
【0065】請求項6乃至8に記載の発明では、上記ゴ
ム(A)をエチレン・α−オレフィン系共重合ゴムとす
ることができる。このエチレン・α−オレフィン系共重
合ゴムとしては、前記に例示したものを用いることがで
きる。また、原料組成物には前記に例示した軟化剤、充
填剤等を含有させることができる。
【0066】請求項6乃至8に記載の発明では、架橋剤
の供給方法としては特に限定されず、上記原料組成物中
及び/又は上記混合分散の途中において配合させること
ができ、具体的には、ブレンドミキサーを用いて架橋
反応に供される上記原料組成物と予め混合して上記連続
式異方向回転二軸混練機に供給する方法、上記連続式
異方向回転二軸混練機のフィードホッパーから供給する
方法がある。また、上記連続式異方向回転二軸混練機
のフィードホッパーと混練機の出口との間に設けられた
バレル開口部から供給してもよい。尚、架橋剤としては
前記に例示したものを用いることができる。
【0067】上記連結した装置で、熱可塑性エラストマ
ー組成物を製造する場合、軟化剤、充填剤等の供給方法
としては特に限定されず、ブレンドミキサーを用いて
架橋反応に供されるゴム及びポリオレフィン系樹脂と予
め混合してブレンドミキサーを用いて架橋反応に供され
るゴム及びポリオレフィン系樹脂と予め混合して連続式
異方向回転二軸混練機に供給する方法、連続式異方向
回転二軸混練機、同方向回転二軸押出機、あるいは両方
のフィードホッパーから供給する方法、連続式異方向
回転二軸混練機、同方向回転二軸押出機、あるいは両方
のフィードホッパーとダイとの間に設けられたバレル開
口部から供給する方法、サイドフィーダーを用いて同
方向回転二軸押出機に供給する方法等が挙げられる。
【0068】請求項9記載の熱可塑性エラストマー組成
物の製造方法は、ゴム(A)と、結晶性ポリオレフィン
系樹脂(b1)及び/又は非晶質ポリオレフィン系樹脂
(b2)で構成されるポリオレフィン系樹脂(B)と、
有機過酸化物の1分間半減期温度をTh、ポリオレフィ
ン系樹脂の融点をTmとした場合に、Tm≦Th≦Tm+5
0(℃)の範囲の有機過酸化物と、を含有する原料組成
物を、上流に連続式異方向回転二軸混練機、及び下流に
同方向回転二軸押出機を直列に配設した押出装置の該連
続式異方向回転二軸混練機の原料導入部より供給し、該
連続式異方向回転二軸混練機により該原料組成物を混合
分散させ、該連続式異方向回転二軸混練機の出口の混練
物の温度taを、Th−30≦ta≦Th+30(℃)の範
囲に制御しながら、上記同方向回転二軸押出機により動
的に架橋することを特徴とする。
【0069】請求項10記載の熱可塑性エラストマー組
成物の製造方法は、請求項1乃至4に記載の熱可塑性エ
ラストマー組成物の製造方法であって、ゴム(A)と、
結晶性ポリオレフィン系樹脂(b1)及び/又は非晶質
ポリオレフィン系樹脂(b2)で構成されるポリオレフ
ィン系樹脂(B)と、有機過酸化物の1分間半減期温度
をTh、ポリオレフィン系樹脂の融点をTmとした場合
に、Tm≦Th≦Tm+50(℃)の範囲の有機過酸化物
と、を含有する原料組成物を、上流に連続式異方向回転
二軸混練機、及び下流に同方向回転二軸押出機を直列に
配設した押出装置の該連続式異方向回転二軸混練機の原
料導入部より供給し、該連続式異方向回転二軸混練機に
より該原料組成物を混合分散させ、該連続式異方向回転
二軸混練機の出口の混練物の温度taを、Th−30≦t
a≦Th+30(℃)の範囲に制御しながら、上記同方向
回転二軸押出機により動的に架橋することを特徴とす
る。
【0070】請求項9及び10に記載の発明では、上記
連続式異方向回転二軸混練機中で、供給された原料組成
物の溶融混練り、及び架橋剤の混合分散を行い、一定温
度以下に制御した混練物を上記同方向回転二軸押出機に
供給し、動的架橋反応を完了させるものである。上記連
続式異方向回転二軸混練機の出口の混練物の温度t
aは、用いたポリオレフィン系樹脂及び架橋剤によって
異なるが、上記連続式異方向回転二軸混練機中で架橋反
応の進行を抑制した状態で原料組成物の溶融混練りを行
える温度に制御する必要があるため、架橋反応の進行を
抑制できる温度以下でなければならない。架橋剤として
少なくとも有機過酸化物を用いる場合は、1分半減期温
度Thとした場合に、Th−30≦ta≦Th+30(℃)
〔好ましくはTh−20≦ta≦Th+25(℃)以下、
より好ましくはTh−10≦ta≦Th+20(℃)以
下〕に押さえる。上記連続式異方向回転二軸混練機の出
口の混練物の温度taがTh+30(℃)を超えると、連
続式異方向回転二軸混練機内で急激な架橋反応が進行し
た状態、あるいは架橋反応が終了した状態で上記同方向
回転二軸押出機に供給されることになり、最終的に得ら
れる熱可塑性エラストマー組成物の機械物性、成形加工
性が悪化する。一方、温度taがTh−30(℃)未満の
場合、混融混練り不足が起き、最終的に得られる熱可塑
性エラストマー組成物の機械的強度が低下する傾向にあ
り好ましくない。
【0071】請求項9及び10に記載の発明では、上記
ゴム(A)をエチレン−α−オレフィン系共重合ゴムと
することができる。このエチレン−α−オレフィン系共
重合ゴムとしては、前記に例示したものを用いることが
できる。また、原料組成物に前記に例示した軟化剤及び
充填剤等を含有させることができる。軟化剤及び充填剤
の供給方法としては、請求項6乃至8に記載の発明にお
ける方法と同様にすることができる。また、架橋剤も前
記に例示したものを用いることができ、その供給方法
は、請求項6乃至8に記載の発明における方法と同様に
することができる。
【0072】上記製造方法によって得られた熱可塑性エ
ラストマー組成物のペレット化方法としては、ストラン
ドカット、アンダーウォーターカット、ミストカット、
ホットカット等の公知のペレット化機械を用いることが
でき、特に限定はされない。
【0073】また、上記製造方法によって得られた熱可
塑性エラストマー組成物は、ゴムのゲル分率が95%以
上(好ましくは96%以上、より好ましくは97%以
上)とすることができ、且つ、TEM写真における該熱
可塑性エラストマー組成物中の架橋ゴム粒子の数平均粒
子径dnが2μm以下(好ましくは1.5μm以下、よ
り好ましくは1.0μm以下)であり、且つ、体積平均
粒子径dvとの比dv/dnが1.5以下(好ましくは
1.4以下、より好ましくは1.3以下)とすることが
できる。
【0074】
【発明の実施の形態】以下に、実施例を挙げて本発明を
更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えな
い限り、以下の実施例に何ら制約されるものではない。 1.原料組成物 先ず、原料組成物として用いたゴム(A)、結晶性ポリ
オレフィン系樹脂(b1)、非晶質ポリオレフィン系樹
脂(b2)、軟化剤(C)、架橋剤を以下に示す。
【0075】〔1〕ゴム(A) ゴム1:エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2
−ノルボルネン三元共重合体 エチレン含量66質量%、5−エチリデン−2−ノルボ
ルネン含量4.5質量%、極限粘度4.7dl/g、鉱
物油系軟化剤(商品名「PW−380」、出光化学社
製)含有量50質量% ゴム2:エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2
−ノルボルネン三元共重合体 エチレン含量66質量%、5−エチリデン−2−ノルボ
ルネン含量4.5質量%、極限粘度3.8dl/g、鉱
物油系軟化剤(商品名「PW−380」、出光化学社
製)含有量40質量% ゴム3:エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2
−ノルボルネン三元共重合体 エチレン含量66質量%、5−エチリデン−2−ノルボ
ルネン含量4.5質量%、極限粘度2.8dl/g、鉱
物油系軟化剤(商品名「PW−380」、出光化学社
製)含有量20質量%
【0076】〔2〕ポリオレフィン系樹脂(B) 結晶性ポリオレフィン樹脂(b11);プロピレン重
合体,密度0.90g/cm3、MFR(温度230
℃、荷重2.16kg)5g/10min、商品名「ノ
バテックPP MA4」、日本ポリケム社製 結晶性ポリオレフィン樹脂(b12);プロピレン/
エチレンランダム共重合体,密度0.90g/cm3
MFR(温度230℃、荷重2.16kg)3g/10
min、商品名「ノバテックPP BC5CW」、日本
ポリケム社製 結晶性ポリオレフィン樹脂(b13);プロピレン/
エチレンランダム共重合体、密度0.90g/cm3
MFR(温度230℃、荷重2.16kg)23g/1
0min、商品名「ノバテックPP FL25R」、日
本ポリケム社製 非晶質ポリオレフィン樹脂(b2);プロピレン/1
−ブテン非晶質共重合体;プロピレン含量71モル%、
溶融粘度8Pa・s、密度0.87g/cm3、Mn6
500、商品名「APAO UT2780」、宇部興産
社製
【0077】〔3〕鉱物油系軟化剤:水素添加パラフィ
ン油(商品名「PW380」、出光石油化学社製) 〔4〕架橋剤 架橋剤1;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキサン−3、1分間半減期温度19
4.3℃、商品名「パーヘキシン25B−40」、日本
油脂社製 架橋剤2;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキシン−3、1分間半減期温度17
9.8℃、商品名「パーヘキサ25B−40」、日本油
脂社製 架橋剤3;ジビニルベンゼン(純度55%)、三共化
成社製
【0078】また、老化防止剤として、商品名「イルガ
ノックス1010」(日本チバガイギー社製)を、滑剤
として、シリコーンオイル(オルガノポリジメチルシロ
キサン、商品名「SH−200(100cSt)」、東
レダウコーニング社製)を用いた。
【0079】2.熱可塑性エラストマー組成物の製造 (1)密閉式混練機+連続式押出機を用いた製造方法
(製造方法1) 実施例1,3,5 表1に示す配合から架橋剤を除いた原料組成物を150
℃に加熱した加圧ニーダー(森山製作所社製)に投入
し、各成分が均一に分散するまで40rpmで15分間
混練りした。その後、溶融状態の組成物を180℃、4
0rpmに設定したフィーダールーダー(森山製作所社
製)を用いてペレット化した。得られたペレットに表1
に示す配合割合の架橋剤1〜3を添加し、ヘンシェルミ
キサーを用いて30秒間混合した後、重量式フィーダー
(商品名「KF−C88」、クボタ社製)を用いて二軸
押出機(同方向非噛み合い型スクリュー、L/D(外径
45mm、スクリュー有効長Lと外径Dとの比)=3
8.5、商品名「PCM−45」、池貝社製)に吐出量
40kg/hで供給し、シリンダー温度設定200℃、
スクリュー回転数300rpmで動的熱処理を施しなが
ら押出を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
【0080】(2)連続式異方向回転二軸混練機+同方
向回転二軸押出機の2台連結装置を用いた製造(製造方
法2) 実施例2,4,6,比較例4 表1に示す配合割合の原料組成物をヘンシェルミキサー
を用いて30秒間混合した。連続式異方向回転二軸混練
機(異方向噛み合い型2ローター、L/D=10、商品
名「ミクストロンLCM」、神戸製鋼所社製)の後に同
方向回転二軸押出機(同方向非噛み合い型スクリュー、
L/D=42、商品名「TEX44SS」、日本製鋼所
社製)を連結した装置に上記で混合した原料組成物を2
台の重量式フィーダー(商品名「KF−C88」、クボ
タ社製)を用いて吐出量40kg/hで上記連続式異方
向二軸混練機の原料導入口より供給し、シリンダー温度
80℃、ローター回転数350〜800rpm、ゲート
開度1〜40%、オリフィス開度100%で溶融混練り
を行った。次いで、溶融状態の組成物を上記連続式異方
向回転二軸混練機に直結された同方向二軸押出機に供給
し、シリンダー温度設定200℃、スクリュー回転数4
00rpmで動的熱処理による架橋反応を施して、熱可
塑性エラストマー組成物を得た。尚、鉱物油系軟化剤は
連続式異方向回転二軸混練機の第1混練りローター部シ
リンダーから圧入した。
【0081】(3)連続式押出機を用いた製造方法(製
造方法3) 比較例1〜3 表1に示す配合割合の原料組成物をヘンシェルミキサー
を用いて30秒間混合した後、二軸押出機(同方向非噛
み合い型スクリュー、L/D=38.5、商品名「PC
M−45」、池貝社製)に各種添加剤を混合したゴムと
ポリオレフィン樹脂を2台の重量式フィーダー(商品名
「KF−C88」、クボタ社製)を用いて、吐出量40
kg/hで供給し、シリンダー温度設定200℃、スク
リュー回転数300rpmで動的熱処理を施しながら押
出を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得た。尚、上
記3つの製造方法において、連続式異方向回転二軸混練
機の出口の混練物温度及び同方向回転二軸押出機の出口
の混練物の温度は、非接触温度計(「PT−3LF
型」、オプテックス社製)を用いて測定した。
【0082】
【表1】
【0083】3.熱可塑性エラストマー組成物の評価 上記のようにして得られた熱可塑性エラストマー組成物
を評価するために下記項目の測定を行った。 〔ア〕メルトフローレート(MFR) 230℃、荷重10kgで測定した。 〔イ〕硬度 JIS 6252に準じた。 〔ウ〕引張破断強度及び引張破断伸び JIS K6251に準じた。 〔エ〕圧縮永久歪み JIS K6262に準じた。
【0084】〔オ〕押出加工性 ラボプラストミル押出機(外径=20mm、L/D=2
5、東洋精機社製)を用いて、下記条件にて平板押出
(口金部幅25mm、厚み1.5mm)を行い、その外
観を目視で評価した。表面が平滑でエッジあるものは
○、それ以外は全て×とした。 (ラボプラストミル押出機の設定) シリンダーC1:180℃ シリンダーC2:190℃ シリンダーC3:210℃ ダイ:205℃ スクリュー回転数:40rpm
【0085】〔カ〕ブツ測定方法 溶融混練り性の指標として熱可塑性エラストマー組成物
の「ブツ」を測定した。「ブツ」とは、熱可塑性エラス
トマー組成物製造時にゴムとポリオレフィン系樹脂が上
手く溶融混練りされず、架橋剤存在下で動的に処理され
た時にできる、目視可能なゴムの巨大ゲル、ポリオレフ
ィン系樹脂の未溶融物、あるいはフィッシュアイ等であ
る。「ブツ」評価方法としては、得られた熱可塑性エラ
ストマー組成物を電気加熱方式6インチロール(関西ロ
ール社製)を用い、温度180℃、ロール間隙0.5m
mに設定して、熱可塑性エラストマー組成物薄肉シート
を作製し、薄肉シート20cm×20cm中に含まれる
「ブツ」を数え、下記の判断基準に従い、サンプルを判
断した。 0〜30個未満:極少 30〜100個未満:少 100個以上:多
【0086】〔キ〕ゲル分率測定方法 本文中に示した。
【0087】〔ク〕TEM写真の撮影 熱可塑性エラストマー組成物のTEM写真は、熱可塑性
エラストマー組成物を凍結ミクロトームにて薄片とし、
四酸化ルテニウムを使用して染色し、次に、染色された
熱可塑性エラストマー組成物超薄肉片を透過型電子顕微
鏡(「H−7500」型、日立製作所社製)を用いて倍
率2000倍に拡大して写真撮影した。TEM写真の画
像解析の際には、画像解析ソフトとしてImage−P
roPlus Ver.4.0 for Window
s(MediaCybernetics社製)を用いて
架橋ゴム粒子の面積を求めた。求められた架橋ゴム粒子
の面積より前記の式を用いて、数平均粒子径dn及び体
積平均粒子径dvを求め、これらよりdv/dnを計算
した。
【0088】4.実施例の効果 表1より、製造方法1により得られた熱可塑性エラスト
マー組成物(実施例1,3及び5)は、物性及び押出加
工性に優れ、その成形体にブツも少なかった。製造方法
2により得られた熱可塑性エラストマー組成物のうち、
比較例4では、連続異方向回転二軸混練機の出口の混練
物温度taが250℃よりも高く、押出加工性に劣って
いた。また、その成形体にもブツが多く見られた。更に
架橋ゴム粒子の平均粒子径が大きく、dv/dn比も高
かった。一方、実施例2,4及び6では、いずれも連続
異方向回転二軸混練機の出口の混練物温度taが250
℃よりも低く、また架橋剤の1分半減期温度Thとの関
係Th−30≦ta≦Th+30が成り立った。更に、押
出加工性に優れ、その成形体にブツが少なく、特に、実
施例2及び4では非常に少なかった。また、数平均粒子
径dnは0.55〜0.65μmであり、dv/dn比
も1.18〜1.27であり、いずれも良好であった。
また、製造方法3により得られた熱可塑性エラストマー
組成物(比較例1〜3)は、押出加工性に劣り、ブツも
多く、更に架橋ゴム粒子の平均粒子径が大きく、dv/
dn比も高かった。
【0089】
【発明の効果】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に
よれば、動的に架橋することで、射出成形、押出成形、
中空成形、圧縮成型、真空成形、積層成形、カレンダー
成形等による加工が容易となり、ゴム弾性、機械的物性
に優れた熱可塑性エラストマー成形体を得ることができ
る。また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造
方法によれば、原料組成物及び架橋剤が十分に混合分散
された混練物を動的架橋することで、物性及び加工性に
優れる熱可塑性エラストマー組成物を得ることができ
る。また、上記成分の混合分散及び動的架橋を連続して
行うことにより、架橋ゴム粒子の平均粒子径をより小さ
く、更に粒子径分布を小さくすることができるととも
に、物性及び加工性に優れる熱可塑性エラストマー組成
物を得ることができる。従って、本発明の熱可塑性エラ
ストマー組成物組成物は、特に射出融着部を有する様々
な複合加工品のほか、自動車のバンパー、外装用モー
ル、ウィンドシール用ガスケット、ドアシール用ガスケ
ット、トランクシール用ガスケット、ルーフサイドレー
ル、エンブレム、内外装表皮材、ウェザーストリップ
等、航空機・船舶用のシール材及び内外装表皮材等、土
木・建築用のシール材、内外装表皮材あるいは防水シー
ト材等、一般機械・装置用のシール材等、弱電部品のパ
ッキンあるいはハウジング等、日用雑貨品、スポーツ用
品等の一般加工品にも幅広く利用することができる。
フロントページの続き (72)発明者 中西 英雄 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 鼎 健太郎 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 岡本 隆浩 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4F070 AA04 AA12 AA13 AA15 AA16 AE08 GA05 GB09 GC07 4J002 AC01W AC03W AC06W AC07W AC08W AC09W AC11W BB04W BB04X BB07W BB11X BB12X BB13X BB14X BB15W BB18W BB27W BD12W BG04W BL01W CC103 CC153 CE00W CH04W CK02W CP03W CQ01W DA046 EK036 EK046 EK056 ES016 EU026 EU186 FD143 FD146 GJ02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム(A)20〜95質量部と、結晶性
    ポリオレフィン系樹脂(b1)及び/又は非晶質ポリオ
    レフィン系樹脂(b2)からなるポリオレフィン系樹脂
    (B)5〜80質量部〔但し、(A)+(B)=100
    質量部〕で構成される樹脂・ゴム組成物(X)を架橋剤
    (C)0.05〜10重量部の存在下で動的に熱処理す
    ることにより得られる熱可塑性エラストマー組成物であ
    って、 上記熱可塑性エラストマー組成物中のゴムのゲル分率が
    95%以上であり、且つ、透過型電子顕微鏡写真におけ
    る上記熱可塑性エラストマー組成物中のゴム粒子の数平
    均粒子径dnが2μm以下であり、且つ、体積平均粒子
    径dvとの比dv/dnが1.5以下であることを特徴
    とする熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 上記ゴム(A)がエチレン・α−オレフ
    ィン系共重合ゴムである請求項1記載の熱可塑性エラス
    トマー組成物。
  3. 【請求項3】 上記ゴム(A)100質量部あたり、軟
    化剤(D)を200質量部以下含有する請求項1又は2
    に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 上記軟化剤(D)が鉱物油系軟化剤であ
    る請求項3記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可
    塑性エラストマー組成物の製造方法であって、 ゴム(A)と、結晶性ポリオレフィン系樹脂(b1)及
    び/又は非晶質ポリオレフィン系樹脂(b2)で構成さ
    れるポリオレフィン系樹脂(B)と、を含有する原料組
    成物をバッチ型密閉式混練機を用いて混合分散させた混
    練物を予め調製した後、該混練物と架橋剤を二軸押出機
    を用いて、動的に架橋することを特徴とする熱可塑性エ
    ラストマー組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可
    塑性エラストマー組成物の製造方法であって、 ゴム(A)と、結晶性ポリオレフィン系樹脂(b1)及
    び/又は非晶質ポリオレフィン系樹脂(b2)で構成さ
    れるポリオレフィン系樹脂(B)と、を含有する原料組
    成物を混合分散する混合工程及び動的に架橋する架橋工
    程を連続して行うことを特徴とする熱可塑性エラストマ
    ー組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 ゴム(A)と、結晶性ポリオレフィン系
    樹脂(b1)及び/又は非晶質ポリオレフィン系樹脂
    (b2)で構成されるポリオレフィン系樹脂(B)と、
    を含有する原料組成物を、上流に連続式異方向回転二軸
    混練機、及び下流に同方向回転二軸押出機を直列に配設
    した押出装置の該連続式異方向回転二軸混練機の原料導
    入部より供給し、該連続式異方向回転二軸混練機により
    該原料組成物を混合分散させ、上記連続式異方向回転二
    軸混練機の出口の混練物の温度を250℃以下に保持し
    ながら、上記同方向回転二軸押出機により動的に架橋す
    ることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可
    塑性エラストマー組成物の製造方法であって、 ゴム(A)と、結晶性ポリオレフィン系樹脂(b1)及
    び/又は非晶質ポリオレフィン系樹脂(b2)で構成さ
    れるポリオレフィン系樹脂(B)と、を含有する原料組
    成物を、上流に連続式異方向回転二軸混練機、及び下流
    に同方向回転二軸押出機を直列に配設した押出装置の該
    連続式異方向回転二軸混練機の原料導入部より供給し、
    該連続式異方向回転二軸混練機により該原料組成物を混
    合分散させ、上記連続式異方向回転二軸混練機の出口の
    混練物の温度を250℃以下に保持しながら、上記同方
    向回転二軸押出機により動的に架橋することを特徴とす
    る熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 ゴム(A)と、結晶性ポリオレフィン系
    樹脂(b1)及び/又は非晶質ポリオレフィン系樹脂
    (b2)で構成されるポリオレフィン系樹脂(B)と、
    有機過酸化物の1分間半減期温度をTh、ポリオレフィ
    ン系樹脂の融点をTmとした場合に、Tm≦Th≦Tm+5
    0(℃)の範囲の有機過酸化物と、を含有する原料組成
    物を、上流に連続式異方向回転二軸混練機、及び下流に
    同方向回転二軸押出機を直列に配設した押出装置の該連
    続式異方向回転二軸混練機の原料導入部より供給し、該
    連続式異方向回転二軸混練機により該原料組成物を混合
    分散させ、該連続式異方向回転二軸混練機の出口の混練
    物の温度taを、Th−30≦ta≦Th+30(℃)の範
    囲に制御しながら、上記同方向回転二軸押出機により動
    的に架橋することを特徴とする熱可塑性エラストマー組
    成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱
    可塑性エラストマーを製造する方法であって、 ゴム(A)と、結晶性ポリオレフィン系樹脂(b1)及
    び/又は非晶質ポリオレフィン系樹脂(b2)で構成さ
    れるポリオレフィン系樹脂(B)と、有機過酸化物の1
    分間半減期温度をTh、ポリオレフィン系樹脂の融点を
    mとした場合に、Tm≦Th≦Tm+50(℃)の範囲の
    有機過酸化物と、を含有する原料組成物を、上流に連続
    式異方向回転二軸混練機、及び下流に同方向回転二軸押
    出機を直列に配設した押出装置の該連続式異方向回転二
    軸混練機の原料導入部より供給し、該連続式異方向回転
    二軸混練機により該原料組成物を混合分散させ、該連続
    式異方向回転二軸混練機の出口の混練物の温度taを、
    h−30≦ta≦Th+30(℃)の範囲に制御しなが
    ら、上記同方向回転二軸押出機により動的に架橋するこ
    とを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方
    法。
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