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JP2002296775A - 感光性樹脂組成物、カラーフィルター、及び、液晶パネル - Google Patents

感光性樹脂組成物、カラーフィルター、及び、液晶パネル

Info

Publication number
JP2002296775A
JP2002296775A JP2001137924A JP2001137924A JP2002296775A JP 2002296775 A JP2002296775 A JP 2002296775A JP 2001137924 A JP2001137924 A JP 2001137924A JP 2001137924 A JP2001137924 A JP 2001137924A JP 2002296775 A JP2002296775 A JP 2002296775A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
structural unit
resin composition
photosensitive resin
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001137924A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Hayashi
慎二 林
Shunsuke Sega
俊介 瀬賀
Kazuhiko Nakamura
和彦 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2001137924A priority Critical patent/JP2002296775A/ja
Publication of JP2002296775A publication Critical patent/JP2002296775A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Optical Filters (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性や強度に貢献する脂肪族環状炭化水素
基や、アルカリ可溶性基、及び、硬化性に寄与する(メ
タ)アクリロイル基等のラジカル重合性基の含有量の制
御可能な新規な硬化性樹脂を提供する。 【解決手段】 特定の脂肪族環状炭化水素基を備えたペ
ンダント構造を有する構成単位と、酸性官能基を備えた
ペンダント構造を有する構成単位と、ラジカル重合性基
を備えたペンダント構造を有する構成単位とが連結した
分子構造を有する脂肪族環状炭化水素基含有共重合体か
らなる硬化性樹脂、及び、当該硬化性樹脂を含有する塗
工用組成物。この塗工用組成物を基板に塗工し、フォト
マスクなどを用いて選択的露光を行い光硬化させる。こ
の塗工用組成物はカラーフィルターの着色層、保護層、
柱状スペーサを形成するのに非常に適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化性樹脂を含有
する感光性樹脂組成物、特にカラーフィルターの着色
層、当該着色層を被覆する保護膜、或いは、液晶層のス
ペーサーの形成材料として有用な感光性樹脂組成物、及
び、当該感光性樹脂組成物を用いて作成したカラーフィ
ルターに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピューターなどの
フラットディスプレーとして、カラー液晶表示装置が急
速に普及してきている。一般にカラー液晶表示装置(1
01)は、図1に示すように、カラーフィルター1とT
FT基板等の電極基板2とを対向させて1〜10μm程
度の間隙部3を設け、当該間隙部3内に液晶化合物Lを
充填し、その周囲をシール材4で密封した構造をとって
いる。カラーフィルター1は、透明基板5上に、画素間
の境界部を遮光するために所定のパターンに形成された
ブラックマトリックス層6と、各画素を形成するために
複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原
則)を所定順序に配列した着色層7又は最近ではカラー
フィルターと、保護膜8と、透明電極膜9とが、透明基
板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。
また、カラーフィルター1及びこれと対向する電極基板
2の内面側には配向膜10が設けられる。さらに間隙部
3には、カラーフィルター1と電極基板2の間のセルギ
ャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーと
して一定粒子径を有するパール11が分散されている。
そして、各色に着色された画素それぞれ又はカラーフィ
ルターの背後にある液晶層の光透過率を制御することに
よってカラー画像が得られる。
【0003】カラーフィルターに形成される保護膜8
は、カラーフィルターに着色層が設けられる場合には着
色層の保護とカラーフィルターの平坦化の役割を果たし
ている。カラー液晶表示装置では、カラーフィルターの
透明基板表面のうねりに起因するギャップムラ、R、G
及びBの各画素間でのギャップムラ、或いは各画素内で
のギャップムラなどの存在により透明電極膜9の平坦性
が損なわれると、色ムラ或いはコントラストムラを生
じ、その結果、画像品質の低下を来たすと言う問題があ
る。従って、保護膜には高い平坦性が求められる。
【0004】スペーサーとして図1に示したような微粒
子状のパール11を分散させる場合には、当該パール
は、ブラックマトリックス層6の背後であるか画素の背
後であるかは関係なく、ランダムに分散する。パールが
表示領域すなわち画素部に配置された場合、パールの部
分をバックライトの光が透過し、また、パール周辺の液
晶の配向が乱れ、表示画像の品位を著しく低下させる。
そこで図2に示すように、パールを分散させるかわり
に、カラーフィルターの内面側であってブラックマトリ
ックス層6が形成されている位置と重り合う領域に、セ
ルギャップに対応する高さを有する柱状スペーサー12
を形成することが行われるようになってきた。柱状スペ
ーサーは液晶層の厚みを規定し、カラーフィルターの表
示品位を左右する重要な部位であるために、高耐熱性、
高硬度と言った高い信頼性が要求される。
【0005】上記の着色層7、保護膜8及び柱状スペー
サー12は、樹脂を用いて形成することができる。着色
層7は、各色の画素ごとに所定のパターンに形成する必
要がある。保護膜8は、シール部の密着性や密閉性を考
慮すると、透明基板上の着色層が形成された領域のみ被
覆できるものであることが好ましい。また、柱状スペー
サー12は、ブラックマトリックス層の形成領域内すな
わち非表示領域に正確に設ける必要がある。このため、
硬化させたい領域をフォトマスクによって用意に限定す
ることができる硬化性樹脂を用いて着色層、保護膜及び
柱状スペーサーが形成されるようになった。
【0006】また、着色層や保護膜や柱状スペーサーを
形成するために、硬化性樹脂の塗工面を露光した後で有
機溶剤を使用して現像を行うと、取り扱い及び廃液処理
の点で煩雑であり、経済性、安定性に欠けるので、硬化
性樹脂に酸性基を導入し、露光後にアルカリ現像できる
ようにした硬化性樹脂が開発されている。
【0007】アルカリ可溶性光硬化性樹脂としては、例
えば、重量平均分子量が約2,000のo−クレゾール
ノボラックエポキシアクリレート等が知られている。こ
の樹脂は、アルカリ可溶性を規定するカルボン酸基を有
している。しかし、この樹脂は、硬化性を規定するアク
リロイル基としてモノマー成分を使用することから、成
膜時の信頼性が低く、例えば液晶部へ残留モノマー単位
が溶出するなどの恐れがあり、また、アルカリ現像時の
溶出量が多く、減膜する場合があり、さらに、硬化物の
耐熱性も低い。
【0008】また、硬化性を付与するためにアクリロイ
ル基等のラジカル重合性基を化合物の分子構造中に導入
する方法としては、例えば、ジオール類に過剰のジイソ
シアネートを反応させて、末端にイソシアネート基を残
した反応物を調製し、この反応物のイソシアネート基を
2−ヒドロキシルエチルメタクリレートなどと反応させ
てウレタンアクリレートを生成させることによって、末
端にメタクリロイル基等のラジカル重合性基を導入する
方法が知られている。しかしながら、この方法では、原
理的に分子構造の両末端だけにしか(メタ)アクリロイ
ル基が導入されない。さらに、一分子中に(メタ)アク
リロイル基等のラジカル重合性基を2個以上有する多官
能化合物を含有させてラジカル重合させる方法も考えら
れるが、ラジカル重合性基の含有量を制御することはで
きず、ゲル化等の問題もある。
【0009】そこで、本発明者らは、カルボキシル基を
有する構成単位と水酸基を有する構成単位とからなる主
鎖を有し、そのカルボキシル基又は水酸基の少なくとも
一部に(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネ
ート化合物が当該化合物のイソシアネート基の反応によ
り結合した光硬化性樹脂を提案し、既に特許出願してい
る(特開平11−349631)。
【0010】上記提案に係る光硬化性樹脂は、アルカリ
可溶性のカルボキシル基とラジカル重合性の(メタ)ア
クリロイル基の量を自由に調節できるという利点を有す
るものではあるが、感度が十分とは言えず、少ない露光
量でも速やかに硬化させるためには比較的多量の光開始
剤を必要とする。しかしながら、光開始剤を多量に用い
ると、樹脂が着色し易くなる、不純物としての影響が大
きくなり特に液晶汚染の原因となる、或いは、塗膜表面
にブリードアウトして膜物性を損なう、などの不都合を
生じる。
【0011】さらに、上記光硬化性樹脂は耐熱性が不十
分である。樹脂の耐熱性を向上させるために、脂肪族環
状炭化水素基を有する構成単位を樹脂分子中に導入する
方法が考えられる。しかし、非アルカリ可溶性基である
脂肪族環状炭化水素基の含有率が大きくなると耐熱性は
向上するが、樹脂のアルカリ可溶性が低下してしまい、
アルカリ可溶性と耐熱性を両方とも最適化することは困
難であった。
【0012】このように、硬化性樹脂を使用してカラー
フィルターの着色層、保護膜及び柱状スペーサーを形成
すると便利であるが、従来の硬化性樹脂においては、脂
肪族環状炭化水素基等の非アルカリ可溶性基やカルボキ
シル基等のアルカリ可溶性基、及び、(メタ)アクリロ
イル基等のラジカル重合性基の量を、その硬化性、耐熱
性、及びアルカリ可溶性等を考慮して制御することは困
難であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
を考慮して成し遂げられたものであり、その目的は、脂
肪族環状炭化水素基、アルカリ可溶性基、及び(メタ)
アクリロイル基等のラジカル重合性基の含有量を制御す
ることが可能で、アルカリ可溶性や硬化性だけでなく、
硬度や耐熱性等の塗膜物性に優れた感光性樹脂組成物、
特に、塗膜硬度に優れた感光性樹脂組成物を提供するこ
とにある。さらに当該感光性樹脂組成物を利用して、製
造工程が簡便であり且つ平坦性に優れており、表示品質
に優れた信頼性の高い画像表示装置を実現し得るカラー
フィルターを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明によれば、少なくとも、下記式1で表される脂
肪族環状炭化水素基を有する構成単位と、酸性官能基を
有する構成単位と、ラジカル重合性基を有する構成単位
とが連結した分子構造を有する脂肪族環状炭化水素基含
有共重合体からなる硬化性樹脂、及び、2官能以上のエ
チレン性不飽和結合を有する重合性化合物を必須成分と
して含有することを特徴とする、感光性樹脂組成物が提
供される。
【0015】
【化27】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
のアルキル基であり、Aは、下記式2a乃至2dのいず
れかで表される連結構造であり、Bは、炭素数6以上の
脂肪族環状炭化水素基である。)
【0016】
【化28】
【0017】
【化29】
【0018】
【化30】
【0019】
【化31】(式中、Rは、炭素数2〜4のアルキレン
基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキ
ル基である。また、*は主鎖側の結合を表し、**は脂
肪族環状炭化水素基側の結合を表す。)
【0020】上記感光性樹脂組成物に必須成分として配
合される硬化性樹脂は共重合体であり、その構成成分の
うち、脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位が硬化性
樹脂の耐熱性や強度に寄与し、酸性官能基を有する構成
単位が硬化性樹脂のアルカリ溶解性に寄与し、ラジカル
重合性基を有する構成単位が光硬化性や硬化感度に寄与
する。本発明によれば、これらの機能的に異なる各構成
単位の含有量を自由に制御することができるので、非常
に感度が高く、少ない露光量で短時間のうちに硬化させ
ることができ、硬化膜の硬度も非常に高く、また、耐熱
性や強度にも優れた硬化性樹脂が得られる。この硬化性
樹脂を、重合性のモノマーと混合することによって、特
にカラーフィルターの着色層、保護膜または液晶パネル
のセルギャップを維持するための柱状スペーサーを形成
するのに適した感光性樹脂組成物が得られる。
【0021】上記硬化性樹脂の前記式1で表される脂肪
族環状炭化水素基を有する構成単位は、下記式1aで表
される構成単位であることが好ましい。
【0022】
【化32】(式中、R及びAは上記と同じである。R
は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基
であって同一でも異なっていてもよく、Rは、それぞ
れ水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であって同一
でも異なっていてもよく又は両者が一つとなって炭素環
を形成していてもよい。) さらに、脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位として
は、脂肪族環状炭化水素基としてジシクロペンタニル
基、ジシクロペンテニル基又はイソボニル基を有するも
のが特に好ましい。
【0023】また、本発明の硬化性樹脂は、必要に応じ
てアルコール処理が行われている。このようなアルコー
ル処理体は、溶剤に溶解又は分散させても分子量の増大
や粘度の上昇を引き起こしにくく、アルコール未処理体
と比べて安定性が非常に高い。従って、溶液に調製した
時の保存性に優れ、室温で長期間保存することも可能に
なる。また、当該アルコール処理体の溶液は、使用中に
粘度が上昇しないので取り扱いやすい。
【0024】本発明の硬化性樹脂は、少なくとも脂肪族
環状炭化水素基を有する式1の構成単位、酸性官能基を
有する構成単位、及び、ラジカル重合性基を導入できる
官能基を有する構成単位からなり、さらに必要に応じ
て、芳香族炭素環を有する構成単位、エステル基を有す
る構成単位、或いは、その他の構成単位を含有する主鎖
を有する重合体(原料重合体)に、ラジカル重合性基含
有化合物を反応させて光硬化性のラジカル重合性基を主
鎖に結合させることにより得られる。
【0025】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
は、水酸基、エポキシ基又はイソシアネート基を有する
構成単位を用いることができる。
【0026】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
水酸基を有する構成単位を用いる場合には、ラジカル重
合性基含有化合物として、ラジカル重合性基とエポキシ
基を有する化合物(ラジカル重合性基含有エポキシド化
合物)又は、ラジカル重合性基とイソシアネート基を有
する化合物(ラジカル重合性基含有イソシアネート化合
物)を反応させることにより、ラジカル重合性基を重合
体に導入できる。
【0027】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
エポキシ基を有する構成単位を用いる場合には、ラジカ
ル重合性基含有化合物として、ラジカル重合性基とカル
ボキシル基を有する化合物(ラジカル重合性基含有カル
ボキシル化合物)又は、ラジカル重合性基と水酸基を有
する化合物(ラジカル重合性基含有水酸化化合物)を反
応させることにより、ラジカル重合性基を重合体に導入
できる。
【0028】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
イソシアネート基を有する構成単位を用いる場合には、
ラジカル重合性基含有化合物として、ラジカル重合性基
とカルボキシル基を有する化合物(ラジカル重合性基含
有カルボキシル化合物)又は、ラジカル重合性基と水酸
基を有する化合物(ラジカル重合性基含有水酸化化合
物)を反応させることにより、ラジカル重合性基を重合
体に導入できる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下において本発明を詳しく説明
する。なお、本発明において(メタ)アクリルとはアク
リル基又はメタクリル基のいずれかであることを意味
し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル基又はメタ
クリロイル基のいずれかであることを意味する。
【0030】本発明により提供される硬化性樹脂は、少
なくとも、下記式1で表される脂肪族環状炭化水素基を
有する構成単位と、酸性官能基を有する構成単位と、ラ
ジカル重合性基を有する構成単位とが連結した分子構造
を有する脂肪族環状炭化水素基含有共重合体からなるこ
とを特徴とするものである。
【0031】
【化33】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
のアルキル基であり、Aは、下記式2a乃至2dのいず
れかで表される連結構造であり、Bは、炭素数6以上の
脂肪族環状炭化水素基である。)
【0032】
【化34】
【0033】
【化35】
【0034】
【化36】
【0035】
【化37】(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキレン
基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキ
ル基である。また、*は主鎖側の結合を表し、**は脂
肪族環状炭化水素基側の結合を表す。)
【0036】式1で表される脂肪族環状炭化水素基を有
する構成単位は、耐熱性に寄与する成分であるが、アル
カリ可溶性を低下させる性質も有しているので、その配
合割合は、硬化性樹脂に要求されるアルカリ可溶性の程
度に応じて調節される。脂肪族環状炭化水素基を有する
構成単位を重合体の主鎖へと導入ために使用される単量
体としては、下記式9で表されるような二重結合含有基
と脂肪族環状炭化水素基を有する化合物を使用すること
ができる。
【0037】
【化38】(式中、R、R、R及びAは上記と同
じである。)上記式1で表される脂肪族環状炭化水素基
含有構成単位としては、下記式1aで表されるものが好
ましい。
【0038】
【化39】(式中、R及びAは上記と同じである。R
は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基
であって同一でも異なっていてもよく、Rは、それぞ
れ水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であって同一
でも異なっていてもよく又は両者が一つとなって炭素環
を形成していてもよい。)
【0039】上記式1において、Rは、水素原子又は
炭素数1〜5のアルキル基であり、アルキル基として
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブ
チル基、n−ペンチル基等が例示される。炭素数6以上
の脂肪族環状炭化水素基Bは、炭素環骨格を有する脂肪
族基であり、6以上の炭素原子のみで環構造が形成され
ている必要があるが、炭素環上に置換基や側鎖を有して
いてもよい。炭素数6以上の脂肪族環状炭化水素基とし
ては、シクロヘキシル基、オクチル基等のほか、式1a
に含まれる脂肪族環状炭化水素基としてジシクロペンタ
ニル基(トリシクロデカニル基)、ジシクロペンテニル
基、イソボニル基などを例示することができ。脂肪族環
状炭化水素基は、前記式2a乃至2dのいずれかの連結
構造Aにより主鎖構成単位に連結される。
【0040】式1で表される脂肪族環状炭化水素基含有
構成単位として、具体的には、下記式14a乃至14e
で表されるものを例示することができる。これらの構成
単位は、脂肪族環状炭化水素基としてジシクロペンタニ
ル基(トリシクロデカニル基)、ジシクロペンテニル基
又はイソボニル基が、式2a又は式2cで表される連結
構造Aにより主鎖構成単位にペンダント状に連結されて
いる。
【0041】
【化40】
【0042】
【化41】
【0043】
【化42】
【0044】
【化43】
【0045】また、式1で表される脂肪族環状炭化水素
基含有構成単位を導入するために使用される単量体とし
ては、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基又
はイソボニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを
例示することができる。特に、上記式14a乃至14e
の構成単位に対応する単量体としては、下記式15aで
表されるジシクロペンテニルアクリレート、下記式15
bで表されるジシクロペンタニルアクリレート、下記式
15cで表されるジシクロペンテニルオキシエチルアク
リレート、下記式15dで表されるジシクロペンタニル
メタクリレート、下記式15eで表されるイソボニルメ
タクリレートを例示できる。
【0046】
【化44】
【0047】
【化45】
【0048】
【化46】
【0049】
【化47】
【0050】酸性官能基をを有する構成単位は、アルカ
リ現像性に寄与する成分であり、その含有割合は、硬化
性樹脂に要求されるアルカリ可溶性の程度により調整さ
れる。酸性官能基を有する構成単位を重合体の主鎖へと
導入するために使用される単量体としては、二重結合含
有基と酸性官能基を有する化合物を使用することができ
る。酸性官能基は、通常はカルボキシル基であるが、ア
ルカリ現像性に寄与できる成分であればカルボキシル基
以外のものでもよい。
【0051】酸性官能基を有する構成単位としては、下
記式3で表される構成単位が好ましい。
【0052】
【化48】(式中、Rは水素原子または炭素数1〜5
のアルキル基を表す。) 式3に含まれるRは、水素原子または炭素数1〜5の
アルキル基であり、式1のRと同様である。式3の構
成単位を導入するために使用される単量体としては、下
記式10で表される化合物を例示することができ、具体
的には、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシ−
1−ブテン、2−カルボキシ−1−ペンテン、2−カル
ボキシ−1−ヘキセン、2−カルボキシ−1−ヘプテン
等が例示される。
【0053】ラジカル重合性基を有する構成単位は、光
硬化性に寄与する成分である。ラジカル重合性基を有す
る構成単位は、通常、ラジカル重合性基含有化合物の足
場となる重合性成分を他のモノマーと共重合させて主鎖
中に導入した後、当該重合性成分から誘導された構成単
位にラジカル重合性基含有化合物を結合させることによ
り形成する。
【0054】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
は、水酸基、エポキシ基又はイソシアネート基を有する
構成単位を用いることができる。
【0055】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
水酸基を有する構成単位を用いる場合には、ラジカル重
合性基含有化合物として、ラジカル重合性基とエポキシ
基を有する化合物(ラジカル重合性基含有エポキシド化
合物)又は、ラジカル重合性基とイソシアネート基を有
する化合物(ラジカル重合性基含有イソシアネート化合
物)を反応させることにより、ラジカル重合性基を含有
するペンダント構造を形成することができる。水酸基を
有する構成単位の合有割合は、硬化性樹脂に要求される
光重合性の程度により調整される。水酸基を有する構成
単位を重合体の主鎖へと導入するために使用される単量
体としては、二重結合含有基と水酸基を有する化合物を
使用することができる。
【0056】水酸基を有する構成単位としては、下記式
4で表される構成単位が好ましい。
【0057】
【化49】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
のアルキル基であり、Rは、炭素数2〜4のアルキレ
ン基である。)
【0058】式4に含まれるRは、水素原子又は炭素
数1〜5のアルキル基であり、式1のRと同様であ
る。Rは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、例え
ば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等を例示で
きる。式4の構成単位を導入するために使用される単量
体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロ
キシブチルメタクリレート等が例示される。
【0059】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
エポキシ基を有する構成単位を用いる場合には、ラジカ
ル重合性基含有化合物として、ラジカル重合性基とカル
ボキシル基を有する化合物(ラジカル重合性基含有カル
ボキシル化合物)又は、ラジカル重合性基と水酸基を有
する化合物(ラジカル重合性基含有水酸化化合物)を反
応させることにより、ラジカル重合性基を含有するペン
ダント構造を形成することができる。エポキシ基を有す
る構成単位の合有割合は、硬化性樹脂に要求される光重
合性の程度により調整される。エポキシ基を有する構成
単位を重合体の主鎖へと導入するために使用される単量
体としては、二重結合含有基とエポキシ基を有する化合
物を使用することができる。
【0060】エポキシ基を有する構成単位としては、下
記式5で表される構成単位が好ましい。
【0061】
【化50】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
のアルキル基であり、R10は、炭素数2〜4のアルキ
レン基である。)
【0062】式5に含まれるRは、水素原子又は炭素
数1〜5のアルキル基であり、式1のRと同様であ
る。R10は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、式
4のRと同様である。式5の構成単位を導入するため
に使用される単量体としては、グリシジル(メタ)アク
リレート、(メタ)アクリロイルエチレンエポキシド、
(メタ)アクリロイル−n−プロピレンエポキシド等が
例示される。
【0063】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
イソシアネート基を有する構成単位を用いる場合には、
ラジカル重合性基含有化合物として、ラジカル重合性基
とカルボキシル基を有する化合物(ラジカル重合性基含
有カルボキシル化合物)又は、ラジカル重合性基と水酸
基を有する化合物(ラジカル重合性基含有水酸化化合
物)を反応させることにより、ラジカル重合性基を導入
できる。イソシアネート基を有する構成単位の合有割合
は、硬化性樹脂に要求される光重合性の程度により調整
される。イソシアネート基を有する構成単位を重合体の
主鎖へと導入するために使用される単量体としては、二
重結合含有基とイソシアネート基を有する化合物を使用
することができる。
【0064】イソシアネート基を有する構成単位として
は、下記式6で表される構成単位が好ましい。
【0065】
【化51】(式中、R11は、水素原子又はメチル基で
あり、R12は、アルキレン基である。)
【0066】式6の構成単位を導入するために使用され
る単量体としては、(メタ)アクリロイル基が炭素数2
〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基(−NC
O)と結合したものを使用するのが好ましい。具体的に
は、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2
−メタクリロイルエチルイソシアネート等が例示され
る。2−メタクリロイルエチルイソシアネートは、例え
ば、昭和電工(株)製「カレンズMOI」等の商品名で
市販されている。
【0067】本発明において硬化性樹脂の主鎖は、式1
で表される脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位と、
酸性官能基を有する式3のような構成単位と、ラジカル
重合性基を導入するための足場となる式4、式5又は式
6のような構成単位とを必須の共重合成分として含有す
るが、他の共重合成分を含んでいてもよい。例えば、主
鎖には、芳香族炭素環を有する構成単位、及び/又は、
エステル基を有する構成単位が含有されていてもよい。
【0068】芳香族炭素環を有する構成単位は、硬化性
樹脂をカラーフィルターの保護膜等の塗膜形成用とする
際に、当該硬化性樹脂に塗膜性を付与する成分である。
芳香族炭素環を有する構成単位を重合体の主鎖へと導入
するために使用される単量体としては、二重結合含有基
と芳香族炭素環とを有する化合物を使用することができ
る。
【0069】芳香族炭素環を有する構成単位としては、
下記式7で表される構成単位が好ましい。
【0070】
【化52】(式中、R13は、水素原子又は炭素数1〜
5のアルキル基であり、R14は、芳香族環である。)
【0071】式7に含まれるR13は、水素原子又は炭
素数1〜5のアルキル基であり、式1のRと同様であ
る。式7中に含まれるR14は芳香族炭素環であり、例
えば、フェニル基、ナフチル基等が例示される。式7の
構成単位を導入するために使用される単量体としては、
例えば、スチレン、α−メチルスチレンを例示でき、ま
た、その芳香族環は、塩素、臭素等のハロゲン原子、メ
チル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ジアルキ
ルアミノ基等のアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、
スルフォン酸基、燐酸機等で置換されていてもよい。
【0072】エステル基を有する構成単位は、硬化性樹
脂のアルカリ現像性を抑制する成分である。エステル基
を有する構成単位を重合体の主鎖へと導入するために使
用される単量体としては、二重結合含有基とエステル基
とを有する化合物を使用することができる。
【0073】エステル基を有する構成単位としては、下
記式8で表される構成単位が好ましい。
【0074】
【化53】(式中、R15は、水素原子又は炭素数1〜
5のアルキル基であり、R16は、アルキル基又はアラ
ルキルである。) 式8中に含まれるR15は、水素原子又は炭素数1〜5
のアルキル基であり、式1のRと同様である。また、
16はアルキル基またはアラルキル基であり、例え
ば、炭素数1〜12のアルキル基、ベンジル基、フェニ
ルエチル基等のアラルキル基が例示される。式8の構成
単位を導入するために使用される単量体としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸
−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル
酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペ
ンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボニ
ル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸
フェニルエチル等の(メタ)アクリル酸のエステル類が
例示される。
【0075】上記したような各構成単位、すなわち、脂
肪族環状炭化水素基を有する式1の構成単位、酸性官能
基を有する式3の構成単位、水酸基を有する式4の構成
単位、エポキシ基を有する式5の構成単位、イソシアネ
ート基を有する式6の構成単位、芳香族炭素環を有する
式7の構成単位、及び、エステル基を有する式8の構成
単位を硬化性樹脂の主鎖へと導入するために使用される
単量体は、各構成単位ごとに、それぞれ例示したものを
単独でも、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0076】上述したように、ラジカル重合性基含有化
合物の足場として水酸基を有する構成単位を用いる場合
には、ラジカル重合性基を主鎖に導入するためにラジカ
ル重合性基含有エポキシド化合物又はラジカル重合性基
含有イソシアネート化合物を用いることができる。ま
た、ラジカル重合性基含有化合物の足場としてエポキシ
基又はイソシアネート基を有する構成単位を用いる場合
には、ラジカル重合性基を主鎖に導入するためにラジカ
ル重合性基含有カルボキシル化合物又はラジカル重合性
基含有水酸化化合物を用いることができる。
【0077】ラジカル重合性基含有エポキシド化合物と
しては、下記式12で表される1,2−エポキシド化合
物が好ましい。このエポキシド化合物は、エポキシ基を
有する式5の構成単位を導入するために使用される単量
体と同じものである。
【0078】
【化54】
【0079】ラジカル重合性基含有イソシアネート化合
物としては、下記式13で表される化合物が好ましい。
このイソシアネート化合物は、イソシアネート基を有す
る式6の構成単位を導入するために使用される単量体と
同じものである。
【0080】
【化55】
【0081】ラジカル重合性基含有カルボキシル化合物
としては、下記式10で表される化合物が好ましい。こ
のカルボキシル化合物は、酸性官能基を有する式3の構
成単位を導入するために使用される単量体と同じもので
ある。
【0082】
【化56】
【0083】ラジカル重合性基含有水酸化化合物として
は、下記式11で表される化合物が好ましい。この水酸
化化合物は、水酸基を有する式4の構成単位を導入する
ために使用される単量体と同じものである。
【0084】
【化57】
【0085】本発明の硬化性樹脂において、主鎖の各構
成単位及びラジカル重合性基含有化合物により導入され
るラジカル重合性基導入単位の含有量は、主鎖を形成す
るための単量体とラジカル重合性基含有化合物の総使用
量(総仕込み量)を全量とした時の仕込み量の割合で表
すと、次のようになる。
【0086】先ず、式1で表される脂肪族環状炭化水素
基含有構成単位の含有割合は、仕込み量換算で5モル%
〜50モル%、好ましくは10モル%〜30モル%とさ
れる。脂肪族環状炭化水素基含有構成単位の含有割合が
5モル%未満では、樹脂の耐熱性が不十分となりやす
く、50モル%を超えると樹脂のアルカリ可溶性が不十
分となりやすい。
【0087】酸性官能基を有する式3のような構成単位
の含有割合は、上述したように要求されるアルカリ可溶
性の程度に応えるべく調節され、通常は仕込み量換算で
5モル%〜50モル%、好ましくは10モル%〜35モ
ル%とされる。
【0088】水酸基を有する式4のような構成単位、エ
ポキシ基を有する式5のような構成単位、又は、イソシ
アネート基を有する式6のような構成単位の含有割合
は、要求される光重合性の程度(感度)に応えるべく調
節され、通常は仕込み量換算で2モル%〜50モル%、
好ましくは5モル%〜30モル%とされる。これらの構
成単位はラジカル重合性基を導入する部分なので、これ
らの構成単位が少なすぎる場合には、水酸基、エポキシ
基又はイソシアネート基の量に対するラジカル重合性基
の導入率が高いとしても、硬化性樹脂全体に対するラジ
カル重合性基の含有率が低くなり、高感度が得られな
い。一方、これらの構成単位が多すぎる場合には有機溶
剤に溶け難くなるので、硬化性樹脂の合成が困難にな
る。
【0089】芳香族炭素環を有する式7のような構成単
位の含有割合は、塗膜性を調節するために、通常は仕込
み量換算で0モル%〜75モル%、好ましくは5モル%
〜50モル%とされる。
【0090】エステル基を有する式8のような構成単位
の含有割合は、アルカリ現像性を必要に応じて抑制する
ために、通常は仕込み量換算で0モル%〜75モル%、
好ましくは5モル%〜50モル%とされる。
【0091】ラジカル重合性基導入剤としてのラジカル
重合性基含有化合物の使用量は、通常は仕込み量換算で
2モル%〜50モル%、好ましくは5モル%〜30モル
%とされる。ラジカル重合性基含有化合物の仕込み量
は、硬化性樹脂の感度を向上させるために特に重要であ
る。ラジカル重合性基含有化合物の仕込み量を大きくし
てラジカル重合性基を多量に導入すれば、光硬化反応の
感度を上げることができるが、仕込み量が多すぎる場合
には硬化性樹脂中に未反応のラジカル重合性基含有化合
物が多量に残ってしまい、当該硬化性樹脂を用いて形成
した塗膜の物性を低下させる。
【0092】上記の硬化性樹脂を製造するには、先ず、
少なくとも脂肪族環状炭化水素基を有する式1の構成単
位、酸性官能基を有する式3のような構成単位、及び、
ラジカル重合性基を導入できる官能基を有する式4、式
5又は式6のような構成単位が連結してなり、さらに必
要に応じて、芳香族炭素環を有する式7のような構成単
位、エステル基を有する式8のような構成単位、或い
は、その他の構成単位を含有する主鎖を有する重合体
(原料重合体)を合成し、それからラジカル重合性基含
有化合物を反応させて光硬化性の脂肪族環状炭化水素基
含有共重合体を合成すればよい。
【0093】原料重合体を製造するために用いられる重
合用溶媒としては、水酸基、アミノ基等の活性水素を有
しない溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン等
のエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレ
ングリコールメチルエチルエーテル等のグリコールエー
テル類、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブエ
ステル類やプロピレングリコールモノメチルエーテルア
セテート、酢酸−3−メトキシブチル等が挙げられ、芳
香族炭化水素類、ケトン類、エステル類等も用いること
ができる。
【0094】原料重合体を製造するために用いられる重
合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として
知られているものを使用することができる。その具体例
としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−
ジメチルバレロニトリル)等のニトリル系アゾ化合物
(ニトリル系アゾ系重合開始剤);ジメチル2,2’−
アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−ア
ゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等の非ニト
リル系アゾ化合物(非ニトリル系アゾ系重合開始剤);
t−ヘキシルペルオキシピバレート、tert−ブチル
ペルオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサ
ノイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ラウ
ロイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、1,
1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ2−エチル
ヘキサノエート、サクシニックペルオキシド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオ
キシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチ
ルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシル
ペルオキシ2−エチルヘキサノエート、4−メチルベン
ゾイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、1,
1’−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘ
キサン等の有機過酸化物(パーオキサイド系重合開始
剤);および過酸化水素が挙げられる。ラジカル重合開
始剤として過酸化物を使用する場合には、これと還元剤
とを組み合わせてレドックス型重合開始剤として使用し
てもよい。
【0095】本発明の硬化性樹脂を用いてカラーフィル
ターの着色層、または当該着色層を被覆する保護膜を形
成する場合には、当該硬化性樹脂に対して高い透明性が
求められる。透明性の高い硬化性樹脂を必要とする場合
には、二重結合含有基と酸性官能基を有する単量体、及
び二重結合含有基と水酸基を有する単量体、さらに必要
に応じてその他の単量体を反応させて硬化性樹脂用の原
料重合体、すなわち硬化性樹脂の主鎖部分を形成する際
に、非ニトリル系アゾ系重合開始剤又はパーオキサイド
系重合開始剤を用いて重合反応を行うのが好ましい。非
ニトリル系アゾ系又はパーオキサイド系の重合開始剤と
しては、上述したようなものを使用することができる。
【0096】原料重合体の製造においては、重量平均分
子量を調節するために分子量調節剤を使用することがで
き、例えば、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化
炭化水素類;n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチル
メルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−
ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプ
タン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプ
ロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類;
ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げ
られる。
【0097】原料重合体は、ランダム共重合体およびブ
ロック共重合体のいずれであってよい。ランダム共重合
体を製造する場合には、各単量体や触媒等からなる配合
組成物を、溶剤を入れた重合槽中に80〜110℃の温
度条件で2〜5時間かけて滴下し、熟成させることによ
り重合させることができる。
【0098】原料重合体のポリスチレン換算重量平均分
子量(以下、単に「重量平均分子量」または「Mw」と
いう。)が10,000〜1,000,000の範囲の
ものとされ、酸価が5mgKOH/g〜400mgKO
H/g、水酸基価が5mgKOH/g〜400mgKO
H/gのものとされるのが好ましい。
【0099】次に、このようにして合成された原料重合
体に、適切なラジカル重合性基含有化合物を反応させ
る。
【0100】原料重合体が水酸基を有する場合、すなわ
ち原料重合体の主鎖が、少なくとも式1で表される脂肪
族環状炭化水素基を有する構成単位と、酸性官能基を有
する式3のような構成単位と、水酸基を有する式4のよ
うな構成単位とからなる場合には、少量の触媒の存在
下、原料重合体の溶液中にラジカル重合性基含有エポキ
シ化合物を添加する事により反応を行い、ラジカル重合
性基を導入することができる。
【0101】触媒としてはトリエチルアミン、トリプロ
ピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチル
ラウリルアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロ
ライド、トリメチルセチルアンモニウムブロマイド、テ
トラブチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジ
ルアンモニウムクロライド、トリフェニルブチルホスホ
ニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイ
ド等が挙げられる。また、反応に際しては、p−メトキ
シフェノール、ヒドロキノン、ナフチルアミン、ter
t−ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチル
p−クレゾール等の重合禁止剤が必要に応じて使用され
る。
【0102】例えば、式12で表される1,2−エポキ
シド化合物は、式3で表される構成単位に含まれる酸性
基の少なくとも一部と反応してエステル結合し、下記式
16aの構成単位を形成する。また、当該1,2−エポ
キシド化合物は、式4で表される構成単位に含まれる水
酸基の少なくとも一部と反応してエーテル結合し、下記
式16bの構成単位を形成する。上記のエステル結合と
エーテル結合は一方のみが又は両方が同時に生じる。
【0103】
【化58】
【0104】ラジカル重合性基含有イソシアネート化合
物を用いる場合には、少量の触媒の存在下、当該ラジカ
ル重合性基含有イソシアネート化合物を、水酸基を有す
る原料重合体、すなわち,少なくとも式1で表される脂
肪族環状炭化水素基を有する構成単位と、酸性官能基を
有する式3のような構成単位と、水酸基を有する式4の
ような構成単位とからなる主鎖を有する原料重合体の溶
液中に滴下する事により反応を行い、ラジカル重合性基
を導入することができる。この場合の触媒としてはラウ
リン酸ジブチル錫等が挙げられ、また、p−メトキシフ
ェノール、ヒドロキノン、ナフチルアミン、tert−
ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチルp−
クレゾール等の重合禁止剤が必要に応じて使用される。
【0105】例えば、式13で表される(メタ)アクリ
ロイルオキシアルキルイソシアネート化合物は、式3で
表される構成単位に含まれる酸性基の少なくとも一部と
反応して炭酸ガスを放出してアミド結合により結合し、
下記式17aの構成単位を形成する。また、当該イソシ
アネート化合物は、式4で表される構成単位に含まれる
水酸基の少なくとも一部と付加反応してウレタン結合に
より結合し、下記式17bの構成単位を形成する。
【0106】
【化59】
【0107】ラジカル重合性基含有イソシアネート化合
物と水酸基との反応は、当該イソシアネート化合物と酸
性官能基、特にカルボキシル基との反応に比して20倍
近くの反応速度を有する。そのためラジカル重合性基
は、水酸基を有する構成単位に主として導入され、ま
た、酸性官能基を有する構成単位には、その酸性官能基
の一部にラジカル重合性基が導入されるとしても、ほと
んどの酸性官能基が残存する。
【0108】酸性官能基と水酸基とを有する原料重合体
にラジカル重合性基含有イソシアネート化合物を反応さ
せて得られる共重合体を溶剤に溶解または分散させる
と、室温の下ですら分子量が増大して、粘度が急速に上
昇する。そして、この共重合樹脂をエポキシ樹脂、アク
リルモノマー、重合開始剤などと混合して溶剤に溶解ま
たは分散させてコーティング材料を調製すると、増粘の
程度および速度が一層のこと著しくなる。
【0109】本発明者らは、当初、共重合体中に存在す
る(メタ)アクロイル基等のラジカル重合性基が、露光
時の硬化反応に関与するだけでなく、保存時の粘度増大
も引き起こすのであろうと考えた。しかしながら、上記
共重合体の溶液をH−NMRスペクトルで観察したと
ころ、溶液の粘度が上昇しても、(メタ)アクロイル基
の二重結合量は減少しないことが確認された。従ってラ
ジカル重合性基は、粘度増大の原因ではなかった。
【0110】そこで、上記共重合樹脂の溶液をFT−I
Rスペクトル(赤外吸収スペクトル)で観察したとこ
ろ、1800cm−付近にある微小なピークが粘度の
上昇に伴って消失することが確認された。この観察結果
を考慮してアクリル酸無水物のFT−IRスペクトルを
観察したところ、やはり同じ位置にピークが観察され
た。また、アクリル酸と同様にカルボキシル基を有する
酢酸に(メタ)アクロイルオキシエチルイソシアネート
を反応させたところ、酸無水物が得られた。
【0111】これらの結果から、上記共重合体は酸無水
物基を有していると考られる。この酸無水物基は、少な
くとも酸性官能基を有する式3のような構成単位と水酸
基を有する式4のような構成単位からなる重合体に式6
のようなラジカル重合性基含有イソシアネート化合物を
反応させて反応性基を付与した共重合体を製造する時
に、イソシアネート基が脱水剤として働く結果、主に同
一分子内にある酸性官能基が脱水縮合することにより副
成すると推測される。また、共重合体の分子中に生じた
酸無水物基は、当該樹脂を溶剤に溶解又は分散させて放
置すると、共重合体の他の分子鎖に含まれている水酸基
と反応してエステル結合することにより、共重合体の分
子同士を架橋させ、その結果、分子量の増大と粘度の上
昇を招くと推測される。
【0112】このような増粘現象は、上記の共重合体を
アルコールで処理することにより阻止することができ
る。共重合体をアルコールで処理するには、当該共重合
体を溶剤に溶解または分散させた溶液に、当該溶液の粘
度が上昇し始める前または粘度上昇が完了する前にアル
コールを添加すればよい。また、各モノマーをMBA
(酢酸−3−メトキシブチル、CHCH(OCH
CHCHOCOCH)等の合成溶剤中で重合させ
て、少なくとも酸性官能基を有する構成単位と水酸基を
有する構成単位からなる原料重合体を合成し、得られた
原料重合体の溶液にラジカル重合性基含有イソシアネー
ト化合物を滴下して反応させ、得られた反応液に、引き
続きアルコールを添加してもよい。添加時の反応条件は
特に制限されず、アルコールは反応液が熱いうちに添加
しても室温で添加してもよいし、また、反応液中に一気
に投入しても差し支えない。
【0113】上記の共重合体の溶液中に、酸無水物基が
まだ未反応のうちに有効量以上のアルコールを添加する
と、当該アルコールは共重合体の主鎖にある水酸基と競
争して酸無水物基を奪い合い、当該酸無水物基をエステ
ル化すると推測される。その結果、共重合体の分子間の
架橋反応を阻止し、分子量の増大と粘度の上昇を防止す
ると推測される。
【0114】このようなアルコール処理によって得られ
る共重合樹脂は、少なくとも酸性官能基を有する構成単
位と水酸基を有する構成単位からなる主鎖を有し、イソ
シアネート化合物が当該イソシアネート化合物のイソシ
アネート基を介して前記酸性官能基の少なくとも一部に
アミド結合し且つ/又は前記水酸基の少なくとも一部に
ウレタン結合しており、さらに、アルコールが当該アル
コールの水酸基を介して前記酸性官能基の少なくとも一
部にエステル結合した分子構造を有していると推測され
る。
【0115】本発明においては、酸無水物基の一部又は
全てがまだ未反応のまま光硬化性重合体中に残っている
うちに、アルコールと反応させる必要がある。例えば、
少なくとも酸性官能基を有する式3のような構成単位と
水酸基を有する式4のような構成単位からなる共重合体
に式6のようなラジカル重合性基含有イソシアネート化
合物を反応させて共重合体を製造した直後であれば、酸
無水物基は水酸基とはまだ全く反応しておらず、粘度上
昇が始まっていないので、外部から添加したアルコール
と反応し得る。また、共重合体の溶液を室温下にしばら
く放置した後であっても、粘度上昇が進行中でまだ完全
に終了していないのであれば、未反応の酸無水物基が残
っているので粘度上昇をある程度は阻止することがで
き、有効である。
【0116】増粘現象の阻止に使用するアルコールの種
類は特に限定されず、アルコール性水酸基を有する化合
物であれば使用可能であり、N、O、S、P等を含んで
いてもよい。通常は、比較的低分子量のもののほうが取
り扱いやすい。例えば、炭素数1〜20程度のもので
N、O、S、P等を含んでいないか又は含んでいるも
の、より具体的には、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘ
プタノール、オクタノール、デカノールなどのアルコー
ル系溶剤;メトキシアルコール、エトキシアルコールな
どのセロソルブ系溶剤;メトキシエトキシエタノール、
エトキシエトキシアルコールなどのカルビトール系溶
剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテルなどのエーテル系溶剤;2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、4−ペンテン−1−オール、テトラメチロー
ルメタントリ(メタ)アクリレート、テトラトリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレートなどの不飽和結合含有溶
剤等を使用することができる。
【0117】また、共重合体の溶液中に残留する未反応
のアルコールは、必要に応じて再沈精製等の適当な手段
によって除去してもよい。また、共重合体の溶液中にア
ルコールを添加した後、そのまま他の材料と共に塗工用
溶剤に混合して塗工液とし、これを塗工した後の乾燥工
程でアルコールを塗工用溶剤と共に蒸発させてもよい。
この例のように、残留アルコールを別の溶剤と一緒に蒸
発させる場合には、アルコールの沸点と混合される溶剤
の沸点の差、又は、アルコールの蒸発速度と混合される
溶剤の蒸発速度の差ができるだけ小さいほうが望まし
く、差が無いのが理想的である。また、アルコールと溶
剤との沸点の差と、アルコールと溶剤との蒸発速度の差
が両方とも小さいほうが好ましい。この観点から、アル
コールの沸点と混合される溶剤の沸点の差は75℃以内
のものが好ましく、40℃以内のものが特に好ましい。
また、当該アルコールの蒸発速度と塗工液用溶剤の蒸発
速度の差は90〔n−BuOAc=100〕であること
が好ましく、30〔n−BuOAc=100〕であるこ
とが特に好ましい。アルコールの沸点と蒸発速度が共に
上記の条件を満たしているのが好ましい。ここで、蒸発
速度(単位:〔n−BuOAc=100〕)は、25℃
における酢酸ノルマルブチル(n−BuOAc)の重量
法による蒸発速度を100とした場合の比蒸発速度で表
される。
【0118】増粘現象の阻止に使用するアルコールの量
は、共重合体に含有されている酸無水物基の量に応じて
適宜調節する。好ましくは、共重合体の10〜120重
量%程度の量とする。
【0119】共重合体の溶液の粘度上昇を実質的に完全
に停止させるためには、アルコールを添加した後で反応
液を一定時間放置して、酸無水物基の量を充分に減ら
し、アルコール処理重合体を熟成させる必要がある。反
応液は室温で放置してもよいが、加熱することにより短
時間で熟成を完了させることができる。アルコールを添
加した反応液を30〜170℃の温度で72時間以内の
期間、放置することにより熟成させるのが好ましい。
【0120】ここで、例えば、90℃での熟成時間が4
時間よりも短いと、樹脂を完全に安定化させることはで
きず、増粘阻止の効果が薄れる。
【0121】原料重合体がエポキシ基を有する場合、す
なわち原料重合体の主鎖が、少なくとも式1で表される
脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位と、酸性官能基
を有する式3のような構成単位と、エポキシ基を有する
式5のような構成単位とからなる場合には、少量の触媒
の存在下、原料重合体の溶液中にラジカル重合性基含有
カルボキシル化合物又はラジカル重合性基含有水酸化化
合物を滴下する事により反応を行い、ラジカル重合性基
を導入することができる。
【0122】この場合の触媒としてはトリエチルアミ
ン、トリプロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミ
ン、ジメチルラウリルアミン、トリエチルベンジルアン
モニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムブ
ロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリ
メチルベンジルアンモニウムクロライド、トリフェニル
ブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニ
ウムブロマイド等が挙げられる。また、反応に際して
は、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、ナフチル
アミン、tert−ブチルカテコール、2,3−ジ−t
ert−ブチルp−クレゾール等の重合禁止剤が必要に
応じて使用される。
【0123】例えば、式10で表される不飽和カルボン
酸は、式5で表される構成単位に含まれるエポキシ基の
少なくとも一部と付加反応してエステル結合し、下記式
18aの構成単位を形成する。また、式11で表される
不飽和水酸化化合物は、式5で表される構成単位に含ま
れるエポキシ基の少なくとも一部と付加反応してエーテ
ル結合し、下記式18bの構成単位を形成する。
【0124】
【化60】
【0125】原料重合体がイソシアネート基を有する場
合、すなわち原料重合体の主鎖が、少なくとも式1で表
される脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位と、酸性
官能基を有する式3のような構成単位と、イソシアネー
ト基を有する式6のような構成単位とからなる場合に
は、少量の触媒の存在下、原料重合体の溶液中にラジカ
ル重合性基含有カルボキシル化合物又はラジカル重合性
基含有水酸化化合物を滴下する事により反応を行い、ラ
ジカル重合性基を導入することができる。
【0126】この場合の触媒としてはラウリン酸ジブチ
ル錫等が挙げられ、また、p−メトキシフェノール、ヒ
ドロキノン、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコ
ール、2,3−ジ−tert−ブチルp−クレゾール等
の重合禁止剤が必要に応じて使用される。
【0127】例えば、式10で表される不飽和カルボン
酸は、式6で表される構成単位に含まれるイソシアネー
ト基の少なくとも一部と反応して炭酸ガスを放出してア
ミド結合により結合し、下記式19aの構成単位を形成
する。また、式11で表される不飽和水酸化化合物は、
式6で表される構成単位に含まれるイソシアネート基の
少なくとも一部と付加反応してウレタン結合により結合
し、下記式19bの構成単位を形成する。
【0128】以上のような方法で原料重合体にラジカル
重合性基含有化合物を反応させることによりラジカル重
合性基を有する共重合体からなる硬化性樹脂が得られ
る。この硬化性樹脂を、カラーフィルターの着色層、当
該着色層を被覆する保護膜または液晶パネルのセルギャ
ップを維持するための柱状スペーサーを形成するために
用いる場合には、GPC(ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー)で測定したポリスチレン換算重量平均分
子量が10,000〜1,000,000の範囲に調節
するのが好ましい。重量平均分子量が10,000より
小さいと現像性が良すぎてパターン露光時のパターン形
状を制御しにくく、また、パターンが作製できる場合で
も最終的な膜厚が減る(膜減り)等の問題がある。一
方、重量平均分子量が1,000,000より大きい
と、レジスト化した時の粘度が高くなりすぎて塗工適性
が低下したり、現像性が悪くなりパターンが抜けにくく
なるなどの問題がある。
【0129】硬化性樹脂の酸価は5mgKOH/g〜4
00mgKOH/g、好ましくは、10mgKOH/g
〜200mgKOH/gとするのが好ましい。酸価はア
ルカリ現像性と関係しており、酸価が低すぎると現像性
が悪いとか、基板及びカラーフィルタ樹脂上への密着性
が乏しい等の問題がある。一方、酸価が高すぎると現像
性が良すぎてパターン露光時のパターン形状を制御しに
くい等の問題がある。硬化性樹脂において水酸基価は、
0mgKOH/g〜200mgKOH/gの範囲に調節
できる。硬化性樹脂の主鎖にある水酸基は、必ずしも残
す必要はないが、これを残す場合には、溶剤に対する溶
解性を調節するのに有効である。
【0130】本発明の硬化性樹脂は、露光に対する感度
が高く、樹脂中のアルカリ可溶性や塗工性を適宜に調節
できるので、光硬化性コーティング組成物の有効成分と
して好適に利用することができ、特に、カラーフィルタ
ーの着色層、保護膜または液晶パネルのセルギャップを
維持するための柱状スペーサーを形成するのに適してい
る。
【0131】本発明の硬化性樹脂に、多官能アクリレー
ト系モノマーのように2官能以上のエチレン性不飽和結
合を有する重合性化合物(多官能重合性化合物)を配合
し、さらに必要に応じて光重合開始剤、増感剤などを配
合することによって、光硬化性コーティング材料として
好適な感光性樹脂組成物が得られる。
【0132】本発明の感光性樹脂組成物には、硬化性樹
脂を固形分比で、通常5〜80重量%、好ましくは10
〜50重量%含有させる。硬化性樹脂の含有量が80重
量%よりも多いと粘度が高くなりすぎ、その結果、流動
性が低下し塗布性に悪くなる場合がある。また、硬化性
樹脂の含有量が5重量%よりも少ないと、粘度が低くな
りすぎ、その結果、塗布乾燥後の塗膜安定性が不十分で
あり、露光、現像適性を損なう等の問題を生じる場合が
ある。
【0133】上記の多官能重合性化合物としては、多官
能アクリレート系のモノマー又はオリゴマーが好ましく
用いられ、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリ
レート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレー
ト、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリン
テトラ(メタ)アクリレート、テトラトリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオ
ールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリ
レート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペ
ンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエ
リスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを例示す
ることができる。これらの成分は2種以上を組み合わせ
て使用してもよい。
【0134】上記の多官能重合性化合物は、3官能以上
のエチレン性不飽和結合を有するモノマーを含むことが
好ましく、その含有量は多官能重合性化合物の使用量の
約30〜95重量%を占めることが好ましい。
【0135】また、これらの多官能重合性化合物には、
反応希釈剤としてメチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)ア
クリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ス
チレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドンなどの
単官能性モノマーを添加することができる。
【0136】多官能重合性化合物の含有量は、感光性樹
脂組成物中に固形分比3〜80重量%、好ましくは5〜
70重量%含有される。多官能重合性化合物が3重量%
未満になると、形成される膜の接着強度、耐熱性等の各
種物理的強度が不十分になるという不都合が生じ、ま
た、この値が80重量%を超えると感光性樹脂組成物の
安定性が低下すると共に、形成される膜の可撓性が不十
分になるという不都合が生じる。さらに、現像液に対す
る溶解特性を向上させるためにもこの割合は必要で、最
適化量の範囲から外れる場合には、パターン解像はされ
るがモノマー硬化速度が大きくなり、パターン周囲に対
してスカムやひげを生じる。さらに上記の範囲外におい
て、ひどい場合には部分的な膨潤・剥離からくるレジス
ト再付着が生じ、正確なパターン形成を阻害することが
ある。
【0137】さらに本発明の感光性樹脂組成物の中に
は、耐熱性、密着性、耐薬品性(特に耐アルカリ性)の
向上を図る目的で、必要に応じて、エポキシ基を分子内
に2個以上有する化合物(エポキシ樹脂)を配合するこ
とができる。エポキシ基を分子内に2個以上有する化合
物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
としてエピコート1001、1002、1003、10
04、1007、1009、1010(油化シェル製)
など、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としてエピコー
ト807(油化シェル製)など、フェノールノボラック
型エポキシ樹脂としてEPPN201、202(日本化
薬製)、エピコート154(油化シェル製)など、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂としてEOCN10
2、103S、104S、1020、1025、102
7(日本化薬製)、エピコート180S(油化シェル
製)などを例示できる。さらに、環式脂肪族エポキシ樹
脂や脂肪族ポリグリシジルエーテルを例示することもで
きる。
【0138】これらの中では、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノー
ルノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型
エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ基を分子内
に2個以上有する化合物の多くは高分子量体であるが、
ビスフェノールAやビスフェノールFのグリシジルエー
テルは低分子量体であり、そのような低分子量体は特に
好ましい。また、グリシジル(メタ)アクリレート、オ
キセタン(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ(メ
タ)アクリレート等を樹脂骨格中に含むアクリル共重合
体等も有効である。
【0139】このようなエポキシ樹脂は、感光性樹脂組
成物中に固形分比で、通常は0〜60重量%、好ましく
は5〜40重量%含有される。エポキシ樹脂の含有量が
5重量%未満では、保護膜に充分な耐アルカリ性を付与
できない場合がある。一方、エポキシ樹脂の含有量が4
0重量%を超えると、エポキシ樹脂量が多くなりすぎ、
感光性樹脂組成物の保存安定性、現像適性が低下するの
で好ましくない。また、エポキシ樹脂は、感光性樹脂組
成物の乾燥塗膜のタックを除去するためにも有効であ
り、添加量3重量%程度で充分な効果が発現する。エポ
キシ樹脂は、露光・アルカリ現像後においても反応する
ことなく塗膜中に残存している酸性基と、加熱処理によ
って反応し、塗膜に優れた耐アルカリ性を付与すること
になる。
【0140】光重合開始剤としては、紫外線、電離放射
線、可視光、或いは、その他の各波長のエネルギー線で
活性化し得るラジカル重合性開始剤を使用することがで
きる。ラジカル重合性開始剤は、例えば紫外線のエネル
ギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、
ベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導
体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並び
にチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロ
メチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合
物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化
合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン
類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;
有機硫黄化合物;過酸化物などがある。好ましくは、イ
ルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキ
ュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・
スペシャルティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー
(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社
製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,
5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール
(黒金化成株式会社製)などのケトン系及びビイミダゾ
ール系化合物等を挙げることができる。これらの開始剤
を1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることがで
きる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻
害しないようにするのがよい。
【0141】ラジカル重合性開始剤は、感光性樹脂組成
物中に固形分比として、通常、0.1〜20重量%、好
ましくは1〜15重量%含有される。ラジカル重合性開
始剤の添加量が0.1重量%未満になると光硬化反応が
進まず、残膜率、耐熱性、耐薬品性などが低下する傾向
がある。また、この添加量が20重量%を超えるとベー
ス樹脂への溶解度が飽和に達し、スピンコーティング時
や塗膜レベリング時に開始剤の結晶が析出し、膜面の均
質性が保持できなくなってしまい、膜荒れ発生と言う不
具合が生じる。
【0142】なお、感光性樹脂組成物を調製するにあた
って、重合開始剤は、前記硬化性樹脂及び多官能重合性
化合物からなる樹脂組成物に最初から添加しておいても
よいが、比較的長期間保存する場合には、使用直前に感
光性樹脂組成物中に分散或いは溶解することが好まし
い。
【0143】光感度の向上を期待したい場合には、増感
剤を添加してもよい。用いる増感剤としては、スチリル
系化合物或いはクマリン系化合物が好ましい。具体的に
は、2−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、2
−(p−ジエチルアミノスチリル)キノリン、4−(p
−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジエ
チルアミノスチリル)キノリン、2−(p−ジメチルア
ミノスチリル)−3,3−3H−インドール、2−(p
−ジエチルアミノスチリル)−3,3−3H−インドー
ル、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサ
ゾール、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−ベンズ
オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベ
ンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−ベンズイミダゾールなどが挙げられる。
【0144】また、クマリン系化合物としては、7−ジ
エチルアミノ−4−メチルクマリン、7−エチルアミノ
−4−トリフルオロメチルクマリン、4,6−ジエチル
アミノ−7−エチルアミノクマリン、3−(2−ベンズ
イミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリ
ン、7−ジエチルアミノシクロペンタ(c)クマリン、
7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、1,
2,3,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−
8−トリフルオロメチル(1)ベンゾピラノ−(9,9
a,1−gh)−キノリジン−10−オン、7−エチル
アミノ−6−メチル−4−トリフルオロメチルクマリ
ン、1,2,3,4,5,3H,6H,10H−テトラ
ヒドロ−9−カルベトキシ(1)ベンゾピラノ−(9,
9a,1−gh)−キノリジン−10−オンなどが挙げ
られる。
【0145】上述の感光性樹脂組成物には、必要に応じ
て上記の成分以外にも、界面活性剤、シランカップリン
グ剤等の各種の添加剤を配合することができる。
【0146】界面活性剤は、感光性樹脂組成物に対して
塗布適性、乾燥後の膜平滑性を確保するために配合さ
れ、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポ
リオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチ
レンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル類や、ポリオキシエチレンオクチルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
などのポリオキシエチレンアリールアルキルエーテル類
や、ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチ
レンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキ
ルエステル類、メガファックF171、172、173
(大日本インキ製)、フロラードFC430、431
(住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サー
フロンS−382、SC−101、102、103、1
04、105(旭硝子製)などのフッ素系界面活性剤な
どを挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量
は、感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して2
重量部以下とするのが好ましく、さらに好ましくは1重
量部以下とする。
【0147】また、シランカップリング剤は隣接する基
板や別の塗工層との密着性を改善する目的で添加され、
例えば、ビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラ
ン、アミノシラン等を例示することができる。より具体
的には、ビニルシランとして、ビニルトリクロルシラ
ン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等
を使用することができる。また、アクリルシランとして
は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等
を使用することができる。エポキシシランとしては、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン等を使用することができる。さらにアミノシランとし
ては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−
アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン等を使用することができ
る。その他のシランカップリング剤としては、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシ
ラン等を使用することができる。
【0148】さらに、本発明の感光性樹脂組成物を用い
てカラーフィルターの着色層を形成する場合には、当該
感光性樹脂組成物中に顔料や染料等の色材を配合する。
色材としては、画素部のR、G、B等の求める色に合わ
せて、有機着色剤及び無機着色剤の中からカラーフィル
ターの加熱プロセスに耐え得る耐熱性があり、且つ、良
好に分散し得る微粒子のものを選んで使用することがで
きる。
【0149】有機着色剤としては、例えば、染料、有機
顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着
色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いる
ことができる。
【0150】有機顔料の具体例としては、カラーインデ
ックス(C.I.;The Society of D
yers and Colourists社発行)にお
いてピグメント(Pigment)に分類されている化
合物、すなわち、下記のようなカラーインデックス
(C.I.)番号が付されているものを挙げることがで
きる。C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメ
ントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、
C.I.ピグメントイエロー13等のイエロー系ピグメ
ント;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメン
トレッド2、C.I.ピグメントレッド3等のレッド系
ピグメント;及び、C.I.ピグメントブルー15、
C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメン
トブルー15:4等のブルー系ピグメント。
【0151】また、前記無機顔料あるいは体質顔料の具
体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシ
ウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤
色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸
化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、
合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
本発明において色材は、単独でまたは2種以上を混合し
て使用することができる。
【0152】色材は、本発明の感光性樹脂組成物中に、
通常、40〜75重量%、好ましくは45〜70重量%
の割合で配合する。色材の配合割合が上記範囲を下回る
と、各着色層の着色力が不十分であり、鮮明な画像の表
示が困難であり、一方、上記範囲を超えると、各着色層
における光透過率が不十分となるなどの不都合を生じ
る。
【0153】感光性樹脂組成物に色材を配合する場合に
は、色材を均一且つ安定して分散させるために、当該感
光性樹脂組成物中に分散剤を配合してもよい。分散剤と
しては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン
系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使
用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高
分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
【0154】すなわち、ポリオキシエチレンラウリルエ
ーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリ
オキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチ
レングリコールジステアレート等のポリエチレングリコ
ールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪
酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類
などの高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
【0155】本発明の感光性樹脂組成物には、塗料化及
び塗布適性を考慮して通常、イミド基含有共重合体、多
官能重合性化合物、光重合開始剤等に対する溶解性の良
好な溶剤が含有される。使用可能な溶剤としては、例え
ばメチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピル
アルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール
系溶剤;メトキシアルコール、エトキシアルコールなど
のセロソルブ系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エ
トキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;
酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチ
ル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエ
ステル系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルア
セテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソル
ブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メト
キシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチ
ルアセテートなどのカルビトールアセテート系溶剤;ジ
エチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどのエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチ
ルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチ
ロラクトンなどのラクトン系溶剤;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶
剤;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの
飽和炭化水素系溶剤などの有機溶剤を例示することがで
きる。
【0156】これらの溶剤の中では、メトキシエチルア
セテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソル
ブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メト
キシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチ
ルアセテートなどのカルビトールアセテート系溶剤;エ
チレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチル
エーテルなどのエーテル系溶剤;メトキシプロピオン酸
メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなど
のエステル系溶剤が特に好適に用いられる。特に好まし
くは、MBA(酢酸−3−メトキシブチル、CHCH
(OCH)CHCHOCOCH)、PGMEA
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト、CHOCHCH(CH)OCOCH)、D
MDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル、H
COCOCH)又はこれらを混合したものを使
用することができ、これらを用いて固形分濃度を5〜5
0重量%に調製する。
【0157】本発明の感光性樹脂組成物を製造する一方
法としては、先ず、各単量体を前記MBA(酢酸−3−
メトキシブチル)のような合成用溶剤中で反応させて原
料重合体を合成する。次に、得られた原料重合体の溶液
にラジカル重合性基含有イソシアネート化合物を滴下し
て反応させ、硬化性樹脂(光硬化性重合体)を生成させ
る。なお、樹脂の透明性又は紫外線透過性が特に要求さ
れる場合には、上述したように、非ニトリル系アゾ系の
又はパーオキサイド系の重合開始剤を用いて原料重合体
を製造すると共にラジカル重合性基含有イソシアネート
化合物を導入する。それから、当該硬化性樹脂を含有す
る反応液にアルコールを添加し、アルコール処理した硬
化性樹脂を例えば30〜170℃で72時間以内の期
間、加熱して熟成させる。その後、反応液を他のコーテ
ィング材料と共にMBA、PGMEA、DMDGのよう
なコーティング溶剤に混合する。感光性樹脂組成物中の
固形分濃度は通常、5〜85重量%の範囲とする。
【0158】本発明の硬化性樹脂(光硬化性重合体)を
他の塗工材料と混合して溶剤に溶解又は分散させると、
硬化性樹脂の単独溶液と比べて、増粘現象が一層のこと
著しくなる。このため、硬化性樹脂を他の材料と混合し
て感光性樹脂組成物を調製する場合には、硬化性樹脂を
アルコール処理した後、一定時間放置又は加熱して充分
に熟成させてから他の材料と混合するのが特に好まし
い。
【0159】硬化性樹脂と反応させるアルコールは、塗
工液を調製するための溶剤になるべく近い沸点、又は、
なるべく近い蒸発速度を有するのが好ましく、沸点と蒸
発速度が両方とも近いのが特に好ましい。より具体的に
は、アルコールの沸点と塗工液用溶剤の沸点の差が75
℃以内、特に40℃以内、且つ/又は、アルコールの蒸
発速度と塗工液用溶剤の蒸発速度の差が90〔n−Bu
OAc=100〕以内、特に30〔n−BuOAc=1
00〕以内であることが好ましい。アルコールの沸点又
は蒸発速度が塗工液の溶剤と近い場合には、感光性樹脂
組成物中にアルコールが残留していても塗工液用溶剤と
一緒にアルコールも蒸発するので、塗工むらが生じ難
い。ペンタノールは、PGMEAやDMDGに近い沸点
と蒸発速度を有しているので、硬化性樹脂をペンタノー
ルを用いてアルコール処理し、その後、MBA、PGM
EA、DMDG又はこれらの混合物をレジスト溶剤とし
て用いて感光性樹脂組成物を調製するのが好ましい。ペ
ンタノールは、MBAにも近い沸点と蒸発速度を有して
いるので、MBAを合成時の希釈溶剤として使用し、ペ
ンタノールを用いてアルコール処理し、さらに、MB
A、PGMEA、DMDG又はこれらの混合物をレジス
ト溶剤として用いて感光性樹脂組成物を調製するのが特
に好ましい。
【0160】このようにして得られる本発明の感光性樹
脂組成物は、非常に露光感度が高く、少ない露光量で、
あるいは、非常に短い露光時間で硬化させることが可能
である。従って、パターン形成の所用時間を短縮化し、
また、露光のためのエネルギーを節約することができ
る。さらに本発明の感光性樹脂組成物をガラス基板上に
スピンコートし、100mJ/cmの照射量で露光
後、200℃で30分加熱し作成した膜厚1μmの塗膜
を、ビッカース圧子を最大荷重5mNとなる条件で表面
硬度を測定したときのビッカース硬度は60以上とな
る。
【0161】本発明においては、次のような方法によっ
て、感光性樹脂組成物の露光感度を評価することができ
る。先ず、基板上に感光性樹脂組成物を塗布し、必要に
応じて乾燥させて塗布膜を形成する。ここで、基板とし
ては、透明ガラス基板のように露光、現像等の一連のパ
ターン形成工程に支障を来たさないものであれば、特に
問題なく使用できる。塗布膜の厚さも特に制限はない
が、通常は、1〜10μm程度の厚さとする。この塗布
膜を、適切な条件で、例えば70〜150℃で、1〜1
0分間、プリベークする。プリベーク後、既知の照射強
度で塗布膜を露光し、膜厚を測定する。この段階で測定
した膜厚を「現像前膜厚」とする。
【0162】次に、プリベークした塗布膜を適切な現像
剤に接触させて未露光部を溶解、除去し、残った露光部
を必要に応じて洗浄することによって、塗布膜を現像す
る。ここで、現像剤の組成及び現像の条件は、試験され
る感光性樹脂組成物に合わせて適切に選択する。現像剤
としては、感光性樹脂組成物の露光部(硬化した部分)
はほとんど溶解せず、未露光部を完全に溶解できるもの
が好ましいことは言うまでもない。そして、現像された
塗布膜を、適切な条件で、例えば180〜280℃で、
20〜80分間、ポストベークする。ポストベーク後、
塗布膜の厚さを測定し、「最終硬化後膜厚」とする。
【0163】このようにして測定された現像前膜厚と最
終硬化後膜厚とから次式に従って、残膜率を計算する。
【0164】残膜率(%)=(最終硬化後膜厚(μm)
÷現像前膜厚(μm))×100 一方、同じ感光性樹脂組成物を上記と同様にして基板上
に塗布、乾燥し、プリベークし、リファレンス用の塗布
膜を形成する。このリファレンス用塗布膜を、当該塗布
膜が完全に硬化する照射強度で露光し、膜厚を測定す
る。この段階で測定した膜厚を「完全露光膜厚」とす
る。次に、完全露光した塗布膜を現像はせずに、サンプ
ルと同じ方法でポストベークした後、得られた膜の膜厚
を前述したのと同じ方法で測定し、「現像工程無しの最
終膜厚」とする。そして、測定された完全露光膜厚と現
像工程無しの最終膜厚とから次式に従って、リファレン
ス残膜率を計算する。
【0165】リファレンス残膜率(%)=(現像工程無
しの最終膜厚(μm)÷完全露光膜厚(μm))×10
0 このようにして残膜率とリファレンス残膜率を算出し、
残膜率が誤差範囲1%としてリファレンス残膜率と等し
くなった最も小さい露光量を、感光性樹脂組成物の最低
露光量と決定する。この最低露光量が小さいほど感度が
高いと評価できる。
【0166】本発明によれば、このようにして決定され
る最低露光量が100mJ/cm以下、好ましくは5
0mJ/cm以下、さらに好ましくは35mJ/cm
であるような非常に高感度の感光性樹脂組成物を得る
ことが可能である。
【0167】本発明の感光性樹脂組成物は、カラーフィ
ルターの着色層、当該着色層を被覆する保護層、及び、
液晶パネルのセルギャップを維持するための柱状スペー
サーを形成するのに適している。
【0168】カラーフィルターは、透明基板に所定のパ
ターンで形成されたブラックマトリックスと、当該ブラ
ックマトリックス上に所定のパターンで形成した着色層
と、当該着色層を覆うように形成された保護膜を備えて
いる。保護膜上に必要に応じて液晶駆動用の透明電極が
形成される場合もある。また、ブラックマトリックス層
が形成された領域に合わせて、透明電極板上若しくは着
色層上若しくは保護膜上に柱状スペーサーが形成される
場合もある。
【0169】着色層は赤色パターン、緑色パターン及び
青色パターンがモザイク型、ストライプ型、トライアン
グル型、4画素配置型等の所望の形態で配列されてな
り、ブラックマトリックスは各着色パターンの間及び着
色層形成領域の外側の所定領域に設けられている。着色
層は、様々な方法で形成できるが、上記した感光性樹脂
組成物を用いて顔料分散法により形成するのが好まし
い。すなわち、上記した感光性樹脂組成物に着色顔料を
分散させて塗工材料を調製し、透明基板の一面側に塗布
し、フォトマスクを介して紫外線を照射することにより
露光し、アルカリ現像後、クリーンオーブン等で加熱硬
化することにより着色層を形成できる。着色層は、通
常、1.5μm程度の厚さに形成する。
【0170】ブラックマトリックスは、染色法、顔料分
散法、印刷法、電着法のいずれを用いても形成すること
ができ、また、クロム蒸着等により形成してもよい。
【0171】保護膜は、上記した感光性樹脂組成物の塗
工液を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、
印刷等の方法により塗布して形成することができる。保
護膜は、例えば、2μm程度の厚さに形成する。スピン
コーターを使用する場合、回転数は500〜1500回
転/分の範囲内で設定する。感光性樹脂組成物の塗工膜
は、フォトマスクを介して紫外線を照射することにより
露光され、アルカリ現像後、クリーンオーブン等で加熱
硬化されて保護膜となる。
【0172】保護膜上の透明電極は、酸化インジウムス
ズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(Sn
O)等、およびそれらの合金等を用いて、スパッタリン
グ法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形
成され、必要に応じてフォトレジストを用いたエッチン
グ又は治具の使用により所定のパターンとしたものであ
る。この透明電極の厚みは20〜500nm程度、好ま
しくは100〜300nm程度とすることできる。
【0173】透明電極上の柱状スペーサーも、上記した
感光性樹脂組成物の塗工液を、スピンコーター、ロール
コーター、スプレイ、印刷等の方法により塗布し、フォ
トマスクを介する紫外線照射により露光し、アルカリ現
像後、クリーンオーブン等で加熱硬化することにより形
成できる。柱状スペーサーは、例えば、5μm程度の高
さに形成される。スピンコーターの回転数も保護膜を形
成する場合と同様に、500〜1500回転/分の範囲
内で設定すればよい。
【0174】このようにして製造されたカラーフィルタ
ーの内面側に配向膜を形成し、電極基板と対向させ、間
隙部に液晶を満たして密封することにより、液晶パネル
が得られる。
【0175】
【実施例】(実施例1) (1)共重合樹脂(1’)の合成 下記分量 ・トリシクロデカニルメタクリレート(TCDMA):
378g ・ベンジルメタクリレート(BzMA):343g ・アクリル酸(AA):128g ・2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA):
94g のTCDMA、BzMA、AA、HEMAを、アゾビス
イソブチロニトリル(AIBN)5gと共に、650g
の酢酸−3−メトキシブチルに溶解した溶液を、酢酸−
3−メトキシブチル1000gを入れた重合槽中に、1
00℃で6時間かけて滴下し、重合させ、原料重合体の
溶液を得た。
【0176】次に、得られた原料重合体の溶夜に、下記
組成 ・2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(M
OI):56g ・ラウリン酸ジブチル錫:1g ・酢酸−3−メトキシブチル:2260g ・ハイドロキノン(HQ):2.5g の混合物を一括添加した後、加熱攪拌して、アルコール
処理前の共重合樹脂(1’)を含有する反応液を得た。
反応の進行はIR(赤外線吸収スペクトル)によりモニ
ターしつつ、2200cm−1のイソシアネート基によ
るピークが消失した時点まで反応させた。
【0177】各単量体の仕込み割合(モル%)は、次の
通りである。TCDMA:BzMA:AA:HEMA:
MOI=26.3:29.7:27.3:11.1:
5.5。
【0178】得られた反応液の固形分は23.6重量
%、粘度は45.6mPa・s/25℃だった。得られ
た反応液をガラス板上に塗布した後、室温で一晩減圧し
て乾燥させ溶剤を取り除いた。得られた固体の酸価は1
01.9mgKOH/g、重量平均分子量は25,40
0であった。
【0179】諸物性は、下記方法により測定した。
【0180】a.固形分: アルミ皿に反応液0.7〜
0.8gを精秤して入れ、105℃で6〜7時間熱風乾
燥機で乾燥させた後、直ちに乾燥重量を精秤し、反応液
重量に対する乾燥重量の割合を求めた。
【0181】b.粘度(mPa・s/25℃): B型
粘度計を用いてローターNo.1を用い、60回転にて
測定した。
【0182】c.酸価: 試料をアセトンに溶解させ、
クレゾールレッドを指示薬として1/10NのNaOH
で中和滴定することにより求めた。
【0183】d.水酸基価: 乾燥させた固形分1gを
アセチル化可能な酸価を中和するのに必要なKOHの重
量から求めた。
【0184】e.重量平均分子量: GPC測定条件及
びカラム カラム:Schodex GPC KF−805L(昭
和電工(株)製) 流量:1.0(ml/min.) 温度:40℃ 溶離液:テトラヒドロフラン 検出器:RI (2)共重合樹脂(1)の調製(アルコール処理体の調
製) 共重合樹脂(1’)を含有する反応液(固形分23.6
重量%の酢酸−3−メトキシブチル溶液)に対して、1
0重量%の割合となるように1−ペンタノールを添加し
た後、熟成させた。1−ペンタノールを添加した反応液
の一部は、90℃で11時間加熱攪拌して熟成させた。
また、別の一部は、70℃で30時間加熱攪拌して熟成
させた。熟成完了後に、どちらの場合も、酸無水物基
〔1783〜1822cm−1〕/ベンゼン環〔683
〜721cm−1〕で表される面積比が0.03以下に
なったことを、FT−IRスペクトルで確認した。この
ようにして、共重合樹脂(1’)のアルコール処理体で
ある共重合樹脂(1)を含有する反応液を得た。得られ
た反応液の固形分濃度は22.6重量%、粘度は30.
6mPa・s/25℃だった。
【0185】(3)感光性樹脂組成物(1)の調製 下記分量の各材料 ・上記の共重合樹脂(1)を含有する反応液(固形分2
2.6重量%):280.0重量部 ・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:15
0.0重量部 ・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−
モルフォリノプロパノン−1:9.8重量部 ・2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,
4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾー
ル:7.0重量部 ・ジエチレングリコールジメチルエーテル:59.0重
量部 ・酢酸−3−メトキシブチル:7.4重量部 を室温で攪拌・混合し、感光性樹脂組成物(1)を得
た。
【0186】(実施例2) (1)共重合樹脂(2)の調製 各単量体の仕込み割合を次のように変更した以外は実施
例1と同様にして樹脂の合成を行い、共重合樹脂(2)
を得た。
【0187】・TCDMA:BzMA:AA:HEM
A:MOI=12.7:44.6:26.5:10.
8:5.4 (2)感光性樹脂組成物(2)の調製 また、共重合樹脂(1)を共重合樹脂(2)に変更した
以外は実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物(2)
を得た。
【0188】(比較例1) (1)共重合樹脂(3)の調製 各単量体の仕込み割合を次のように変更した以外は実施
例1と同様にして樹脂の合成を行い、共重合樹脂(3)
を得た。
【0189】・TCDMA:BzMA:AA:HEM
A:MOI=55.0:11.7:22.5:10.
8:5.4
【0190】(比較例2) (1)共重合樹脂(4)の調製 各単量体の仕込み割合を次のように変更した以外は実施
例1と同様にして樹脂の合成を行い、共重合樹脂(4)
を得た。
【0191】・BzMA:AA:HEMA:MOI=5
7.3:26.5:10.8:5.4
【0192】(2)感光性樹脂組成物(3)の調製 また、共重合樹脂(1)を共重合樹脂(4)に変更した
以外は実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物(3)
を得た。
【0193】(実施例3) (1)ブラックマトリックスの形成 厚み1.1mmのガラス基板(旭硝子(株)製AL材)
上に、下記分量 ・黒色顔料:23重量部 ・高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製Di
sperbyk 111):2重量部 ・溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル):7
5重量部 の成分を混合し、サンドミルにて十分に分散し、黒色顔
料分散液を調製した。
【0194】次に、下記分量 ・上記の黒色顔料分散液:61重量部 ・実施例1の感光性樹脂組成物(1):20重量部 ・ジエチレングリコールジメチルエーテル:30重量部 の成分を十分に混合して、遮光層用組成物を得た。
【0195】そして、厚み1.1mmのガラス基板(旭
硝子(株)製AL材)上に上記遮光層用組成物をスピン
コーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、膜厚約
1μmの遮光層を形成した。当該遮光層を、超高圧水銀
ランプで遮光パターンに露光した後、0.05%水酸化
カリウム水溶液で現像し、その後、基板を180℃の雰
囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して
遮光部を形成すべき領域にブラックマトリックスを形成
した。
【0196】(2)着色層の形成 上記のようにしてブラックマトリックスを形成した基板
上に、下記組成の赤色感光性樹脂組成物をスピンコーテ
ィング法により塗布(塗布厚み1.5μm)し、その
後、70℃のオーブン中で30分間乾燥した。
【0197】次いで、赤色感光性樹脂組成物の塗布膜か
ら100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシ
ミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを
用いて着色層の形成領域に相当する領域にのみ紫外線を
10秒間照射した。次いで、0.05%水酸化カリウム
水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像
し、赤色感光性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを
除去した。その後、基板を180℃の雰囲気中に30分
間放置することにより加熱処理を施して赤色画素を形成
すべき領域に赤色のレリーフパターンを形成した。
【0198】次に、下記組成の緑色感光性樹脂組成物を
用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程で、
緑色画素を形成すべき領域に緑色のレリーフパターンを
形成した。
【0199】さらに、下記組成の青色感光性樹脂組成物
を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程
で、青色画素を形成すべき領域に青色のレリーフパター
ンを形成し、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色から
なる着色層を作成した。
【0200】a.赤色感光性樹脂組成物の組成 ・C.I.ピグメントレッド177:10重量部 ・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部 ・実施例1の感光性樹脂組成物(1):5重量部 ・酢酸−3−メトキシブチル:82重量部 b.緑色感光性樹脂組成物の組成 ・C.I.ピグメントグリーン36:10重量部 ・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部 ・実施例1の感光性樹脂組成物(1):5重量部 ・酢酸−3−メトキシブチル:82重量部 c.青色感光性樹脂組成物の組成 ・C.I.ピグメントブルー:10重量部 ・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部 ・実施例1の感光性樹脂組成物(1):5重量部 ・酢酸−3−メトキシブチル:82重量部
【0201】(保護膜の形成)感光性樹脂組成物(1)
の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置し
てプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水
銀ランプを用いて着色層の形成領域に相当する領域にの
み紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05%水酸
化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してア
ルカリ現像し、感光性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分
のみを除去した。その後、基板を200℃の雰囲気中に
30分間放置することにより加熱処理を施して保護膜を
形成し、本発明のカラーフィルターを得た。
【0202】(スペーサーの形成)感光性樹脂組成物
(1)の塗布膜から100μmの距離に、所定の形状、
大きさ、及び、間隔を有する露光パターンを形成できる
ように設計されたフォトマスクを配置してプロキシミテ
ィアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用い
て、ブラックマトリックス上のスペーサーの形成領域に
のみ紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05%水
酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬して
アルカリ現像し、感光性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部
分のみを除去した。その後、基板を200℃の雰囲気中
に30分間放置することにより加熱処理を施して固定ス
ペーサーを形成し、本発明のカラーフィルターを得た。
【0203】(実施例4)実施例3で得たカラーフィル
ターの固定スペーサーを含む表面に、基板温度200℃
でアルゴンと酸素を放電ガスとし、DCマグネトロンス
パッタリング法によってITOをターゲットとして透明
電極膜を成膜した。その後、さらに透明電極膜上にポリ
イミドよりなる配向膜を形成した。
【0204】次いで、上記カラーフィルターと、TFT
を形成したガラス基板とを、エポキシ樹脂をシール材と
して用い、150℃で0.3kg/cmの圧力をかけ
て接合してセル組みし、TN液晶を封入して、本発明の
液晶表示装置を作製した。
【0205】(アルカリ可溶性の評価)実施例1で得ら
れた共重合樹脂(1)を含有する反応液、すなわちアル
コール処理後の反応液(固形分:約22.6wt%、溶
剤:酢酸−3−メトキシブチル)をテトラヒドロフラン
で希釈し、その希釈液をイソプロピルアルコール、ヘキ
サン又は両者の混合溶剤(イソプロピルアルコール:ヘ
キサン(重量比)=100:0〜0:100)中に滴下
し、析出した固体を回収し、さらに析出した固体を再び
酢酸−3−メトキシブチルで溶解し、テトラヒドロフラ
ンで希釈し、得られた希釈液を前回と同じか又は異なる
比率のイソプロピルアルコール及び/又はヘキサンの単
独又は混合溶剤中に滴下し、析出した固体を回収する。
このような、再沈工程を3回繰り返すことにより、共重
合体の精製を行う。次に精製した共重合体5gを0.5
%−KOH水溶液100mL中に添加し、1時間攪拌し
た後の共重合樹脂の溶解性を目視により評価した。同じ
ようにして、実施例2で得られた共重合樹脂(2)を含
有する溶液のアルカリ溶解性を評価した。評価結果を第
1表に示す。
【0206】(透明性の評価)実施例1で得られた共重
合樹脂(1)を含有する反応液に酢酸−3−メトキシブ
チルを加えて希釈し、樹脂固形分として20wt%溶液
を調製し、1cm画の石英セルに入れ、400nmの光
線透過率を測定した。同じようにして、実施例2で得ら
れた共重合樹脂(2)を含有する溶液の光線透過率を測
定した。測定結果を第1表に示す。
【0207】
【表1】
【0208】(保存性の評価)実施例1で得られたアル
コール未処理の高感度樹脂(1’)を含有する反応液、
及び、アルコール処理した高感度樹脂(1)を含有する
反応液を、室温及び高温で保存した。そして、保存期間
終了後の粘度を、各反応液の調製直後に行ったのと同様
にB型粘度計を用いて測定した。
【0209】また、実施例2で得られたアルコール未処
理の感光性樹脂組成物(2’)、及び、アルコール処理
した感光性樹脂組成物(2)を、室温及び高温で保存し
た。そして、保存期間終了後の粘度を、同様にB型粘度
計を用いて測定した。調製直後の粘度に対する保存期間
終了後の粘度の比を第2表に示す。
【0210】
【表2】
【0211】(感度の評価)10cm画のガラス基板上
に、実施例1で得られた感光性樹脂組成物(1)をスピ
ンコーター(MIKASA製、形式IH−DX2)によ
り、塗布、乾燥し、乾燥膜厚2μmの塗布膜を形成し
た。この塗布膜をホットプレート上で90℃、3分間加
熱した。加熱後、塗布膜から100μmの距離にフォト
マスクを配置して2.0kWの超高圧水銀ランプを装着
したUVアライナー(大日本スクリーン製、形式MA
1200)によって、同一塗膜を4等分した各領域のそ
れぞれに、25、35、50、100mJ/cmの強
度(405nm照度換算)で紫外線を照射した。
【0212】紫外線の照射後、これら4つの各領域か
ら、寸法が約1mm×3mmの矩形状に塗布膜を削り取
ってガラス基板を部分的に露出させ、触針式表面粗度測
定装置(日本アネルバ(株)製、Dektak 160
0)により各照射領域の膜厚を測定し、現像前膜厚とし
た。
【0213】次いで、塗布膜の露光部に0.05wt%
の水酸化カリウム水溶液をスピン現像機(Applie
d Process Technology,INK、
MODEL:915)にて60秒間散布し、未露光部を
溶解、除去し、残った露光部を純水で60秒間水洗する
ことにより現像した。現像後、露光部の膜をクリーンオ
ーブン(忍足研究所(株)製、SCOV−250 Hy
−So)により、200℃で30分間加熱した。そし
て、得られた膜の各領域の膜厚を、前述したのと同じ方
法で測定し、最終硬化後膜厚とした。
【0214】このようにして測定された現像前膜厚と最
終硬化後膜厚とから次式に従って、残膜率を計算した。
【0215】残膜率(%)=(最終硬化後膜厚(μm)
÷現像前膜厚(μm))×100 一方、リファレンス残膜率を、次のようにして決定し
た。先ず、塗布膜の全面に100mJ/cmの強度で
露光したこと以外はサンプルと同じ方法で、感光性樹脂
組成物(1)の完全露光膜厚を測定した。次に、100
mJ/cm露光した塗布膜を現像はせずに、サンプル
と同じ方法で加熱だけした後、得られた膜の膜厚を前述
したのと同じ方法で測定し、現像工程無しの最終膜厚と
した。そして、測定された完全露光膜厚と現像工程無し
の最終膜厚とから次式に従って、リファレンス残膜率を
計算した。
【0216】リファレンス残膜率(%)=(現像工程無
しの最終膜厚(μm)÷完全露光膜厚(μm))×10
0 このようにして算出された残膜率が誤差範囲1%として
リファレンス残膜率と等しくなった最も小さい露光量
を、感光性樹脂組成物(1)の最低露光量と決定した。
【0217】さらに、上述したのと同じ方法により、感
光性樹脂組成物(2)の塗布膜を形成し、現像前膜厚、
最終硬化後膜厚、完全露光膜厚、及び現像工程無しの最
終膜厚を測定し、感光性樹脂組成物(2)の最低露光量
を決定した。
【0218】このようにして、各感光性樹脂組成物
(1)及び(2)について最低露光量を決定した。結果
を第3表に示す。
【0219】(硬度の評価)実施例1で得られた感光性
樹脂組成物(1)をガラス基板上にスピンコートし、1
00mJ/cmの照射量で露光後、200℃で30分
加熱し作成した膜厚1μmの塗膜を、ビッカース圧子を
最大荷重5mNとなる条件で表面硬度をビッカース硬度
として測定した。同じようにして、実施例2で得られた
感光性樹脂組成物(2)の硬化膜の硬度を測定した。測
定結果を第3表に示す。
【0220】
【表3】
【0221】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、耐熱性
や強度に貢献する脂肪族環状炭化水素基や、アルカリ可
溶性基、及び、硬化性に寄与する(メタ)アクリロイル
基等のラジカル重合性基の含有量を自由に制御可能な新
規な共重合樹脂を提供するものである。
【0222】この硬化性樹脂は、非常に感度が高く、少
ない露光量で短時間のうちに硬化させることができ、硬
化膜の硬度も非常に高く、また、耐熱性や強度にも優れ
ている。また、塗工作業時や保存中に粘度上昇を生じ難
いので、塗工適性にも優れ、平坦に又は正確な形状に塗
膜を形成できる。従って、特にカラーフィルターの着色
層、保護膜または液晶パネルのセルギャップを維持する
ための柱状スペーサーを形成するのに適した硬化性樹脂
である。この硬化性樹脂を、重合性のモノマーと混合す
ることによって、特にカラーフィルターの着色層、保護
膜または液晶パネルのセルギャップを維持するための柱
状スペーサーを形成するのに適した感光性樹脂組成物が
得られる。
【0223】また、本発明の硬化性樹脂は、必要に応じ
てアルコール処理が行われている。このようなアルコー
ル処理体は、溶剤に溶解又は分散させても分子量の増大
や粘度の上昇を引き起こしにくく、アルコール未処理体
と比べて安定性が非常に高い。従って、溶液に調製した
時の保存性に優れ、室温で長期間保存することも可能に
なる。また、当該アルコール処理体の溶液は、使用中に
粘度が上昇しないので取り扱いやすい。
【0224】さらに、本発明の共重合樹脂を製造する際
に、非ニトリル系アゾ系又はパーオキサイド系の重合開
始剤を用いて原料重合体を調製することにより、透明性
の非常に優れた硬化性樹脂が得られる。また、透明性が
高い場合には、共重合樹脂の塗膜の内部に光が充分に到
達するので、感度の向上にも貢献する。
【0225】従って、本発明の共重合樹脂を主成分とす
る光硬化性の樹脂組成物は、感度が高くて、少ない露光
量で短時間のうちに硬化させることができる。また、本
発明の感光性樹脂組成物は、粘度上昇が起き難いので、
保存性が高く、また、塗工ムラのない皮膜及びパターン
が得られる。さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、高
い透明性が求められる場合にも使用できる。
【0226】そして、本発明の感光性樹脂組成物は、特
に、カラーフィルターの着色層、当該着色層を被覆する
保護層、及び、液晶パネルのセルギャップを維持するた
めの柱状スペーサーを形成するためのコーティング材料
として適している。すなわち、本発明の感光性樹脂組成
物を用いると、高感度により生産性が高く、優れた塗工
性により均一で寸法安定性に優れた着色層、保護膜、及
び柱状スペーサーを形成することができ、しかも、着色
層及び保護膜にとって必要な透明性の要求を満たすこと
もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶パネルの一例についての模式的断面図であ
る。
【図2】液晶パネルの別の例についての模式的断面図で
ある。
【符号の説明】
1…カラーフィルター 2…電極基板 3…間隙部 4…シール材 5…透明基板 6…ブラックマトリックス層 7(7R、7G、7B)…着色層 8…保護膜 9…透明電極膜 10…配向膜 11…パール 12…柱状スペーサー
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年4月11日(2001.4.1
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 感光性樹脂組成物、カラーフィル
ター、及び、液晶パネル
【特許請求の範囲】
【化1】 (式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、Aは、下記式2a乃至2dのいずれかで表さ
れる連結構造であり、Bは、炭素数6以上の脂肪族環状
炭化水素基である。)
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】 (式中、R4は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、
5は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であ
る。また、*は主鎖側の結合を表し、**は脂肪族環状
炭化水素基側の結合を表す。)
【化6】 (式中、R1及びAは上記と同じである。R2は、それぞ
れ水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であって同一
でも異なっていてもよく、R3は、それぞれ水素原子又
は炭素数1〜3のアルキル基であって同一でも異なって
いてもよく又は両者が一つとなって炭素環を形成してい
てもよい。)
【化7】 (式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基である。)
【化8】 (式中、R7は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、R8は、炭素数2〜4のアルキレン基であ
る。)
【化9】 (式中、R9は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、R10は、炭素数2〜4のアルキレン基であ
る。)
【化10】 (式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基である。)
【化11】 (式中、R7は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、R8は、炭素数2〜4のアルキレン基で
あ。)
【化12】 (式中、R11は水素原子又はメチル基であり、R12はア
ルキレン基である。)
【化13】 (式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基である。)
【化14】 (式中、R9は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、R10は、炭素数2〜4のアルキレン基であ
る。)
【化15】 (式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基である。)
【化16】 (式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基である。)
【化17】 (式中、R9は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、R10は、炭素数2〜4のアルキレン基であ
る。)
【化18】 (式中、R7は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、R8は、炭素数2〜4のアルキレン基であ
る。)
【化19】 (式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基である。)
【化20】 (式中、R11は、水素原子又はメチル基であり、R
12は、アルキレン基である。)
【化21】 (式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基である。)
【化22】 (式中、R6は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基である。)
【化23】 (式中、R11は、水素原子又はメチル基であり、R
12は、アルキレン基である。)
【化24】 (式中、R7は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、R8は、炭素数2〜4のアルキレン基であ
る。)
【化25】 (式中、R13は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、R14は、芳香族炭素環である。)
【化26】 (式中、R15は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、R16は、アルキル基又はアラルキルであ
る。)
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化性樹脂を含有
する感光性樹脂組成物、特にカラーフィルターの着色
層、当該着色層を被覆する保護膜、或いは、液晶層のス
ペーサーの形成材料として有用な感光性樹脂組成物、及
び、当該感光性樹脂組成物を用いて作成したカラーフィ
ルターに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピューターなどの
フラットディスプレーとして、カラー液晶表示装置が急
速に普及してきている。一般にカラー液晶表示装置(1
01)は、図1に示すように、カラーフィルター1とT
FT基板等の電極基板2とを対向させて1〜10μm程
度の間隙部3を設け、当該間隙部3内に液晶化合物Lを
充填し、その周囲をシール材4で密封した構造をとって
いる。カラーフィルター1は、透明基板5上に、画素間
の境界部を遮光するために所定のパターンに形成された
ブラックマトリックス層6と、各画素を形成するために
複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原
則)を所定順序に配列した着色層7又は最近ではカラー
フィルターと、保護膜8と、透明電極膜9とが、透明基
板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。
また、カラーフィルター1及びこれと対向する電極基板
2の内面側には配向膜10が設けられる。さらに間隙部
3には、カラーフィルター1と電極基板2の間のセルギ
ャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーと
して一定粒子径を有するパール11が分散されている。
そして、各色に着色された画素それぞれ又はカラーフィ
ルターの背後にある液晶層の光透過率を制御することに
よってカラー画像が得られる。
【0003】カラーフィルターに形成される保護膜8
は、カラーフィルターに着色層が設けられる場合には着
色層の保護とカラーフィルターの平坦化の役割を果たし
ている。カラー液晶表示装置では、カラーフィルターの
透明基板表面のうねりに起因するギャップムラ、R、G
及びBの各画素間でのギャップムラ、或いは各画素内で
のギャップムラなどの存在により透明電極膜9の平坦性
が損なわれると、色ムラ或いはコントラストムラを生
じ、その結果、画像品質の低下を来たすと言う問題があ
る。従って、保護膜には高い平坦性が求められる。
【0004】スペーサーとして図1に示したような微粒
子状のパール11を分散させる場合には、当該パール
は、ブラックマトリックス層6の背後であるか画素の背
後であるかは関係なく、ランダムに分散する。パールが
表示領域すなわち画素部に配置された場合、パールの部
分をバックライトの光が透過し、また、パール周辺の液
晶の配向が乱れ、表示画像の品位を著しく低下させる。
そこで図2に示すように、パールを分散させるかわり
に、カラーフィルターの内面側であってブラックマトリ
ックス層6が形成されている位置と重り合う領域に、セ
ルギャップに対応する高さを有する柱状スペーサー12
を形成することが行われるようになってきた。柱状スペ
ーサーは液晶層の厚みを規定し、カラーフィルターの表
示品位を左右する重要な部位であるために、高耐熱性、
高硬度と言った高い信頼性が要求される。
【0005】上記の着色層7、保護膜8及び柱状スペー
サー12は、樹脂を用いて形成することができる。着色
層7は、各色の画素ごとに所定のパターンに形成する必
要がある。保護膜8は、シール部の密着性や密閉性を考
慮すると、透明基板上の着色層が形成された領域のみ被
覆できるものであることが好ましい。また、柱状スペー
サー12は、ブラックマトリックス層の形成領域内すな
わち非表示領域に正確に設ける必要がある。このため、
硬化させたい領域をフォトマスクによって用意に限定す
ることができる硬化性樹脂を用いて着色層、保護膜及び
柱状スペーサーが形成されるようになった。
【0006】また、着色層や保護膜や柱状スペーサーを
形成するために、硬化性樹脂の塗工面を露光した後で有
機溶剤を使用して現像を行うと、取り扱い及び廃液処理
の点で煩雑であり、経済性、安定性に欠けるので、硬化
性樹脂に酸性基を導入し、露光後にアルカリ現像できる
ようにした硬化性樹脂が開発されている。
【0007】アルカリ可溶性光硬化性樹脂としては、例
えば、重量平均分子量が約2,000のo−クレゾール
ノボラックエポキシアクリレート等が知られている。こ
の樹脂は、アルカリ可溶性を規定するカルボン酸基を有
している。しかし、この樹脂は、硬化性を規定するアク
リロイル基としてモノマー成分を使用することから、成
膜時の信頼性が低く、例えば液晶部へ残留モノマー単位
が溶出するなどの恐れがあり、また、アルカリ現像時の
溶出量が多く、減膜する場合があり、さらに、硬化物の
耐熱性も低い。
【0008】また、硬化性を付与するためにアクリロイ
ル基等のラジカル重合性基を化合物の分子構造中に導入
する方法としては、例えば、ジオール類に過剰のジイソ
シアネートを反応させて、末端にイソシアネート基を残
した反応物を調製し、この反応物のイソシアネート基を
2−ヒドロキシルエチルメタクリレートなどと反応させ
てウレタンアクリレートを生成させることによって、末
端にメタクリロイル基等のラジカル重合性基を導入する
方法が知られている。しかしながら、この方法では、原
理的に分子構造の両末端だけにしか(メタ)アクリロイ
ル基が導入されない。さらに、一分子中に(メタ)アク
リロイル基等のラジカル重合性基を2個以上有する多官
能化合物を含有させてラジカル重合させる方法も考えら
れるが、ラジカル重合性基の含有量を制御することはで
きず、ゲル化等の問題もある。
【0009】そこで、本発明者らは、カルボキシル基を
有する構成単位と水酸基を有する構成単位とからなる主
鎖を有し、そのカルボキシル基又は水酸基の少なくとも
一部に(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネ
ート化合物が当該化合物のイソシアネート基の反応によ
り結合した光硬化性樹脂を提案し、既に特許出願してい
る(特開平11‐349631)。
【0010】上記提案に係る光硬化性樹脂は、アルカリ
可溶性のカルボキシル基とラジカル重合性の(メタ)ア
クリロイル基の量を自由に調節できるという利点を有す
るものではあるが、感度が十分とは言えず、少ない露光
量でも速やかに硬化させるためには比較的多量の光開始
剤を必要とする。しかしながら、光開始剤を多量に用い
ると、樹脂が着色し易くなる、不純物としての影響が大
きくなり特に液晶汚染の原因となる、或いは、塗膜表面
にブリードアウトして膜物性を損なう、などの不都合を
生じる。
【0011】さらに、上記光硬化性樹脂は耐熱性が不十
分である。樹脂の耐熱性を向上させるために、脂肪族環
状炭化水素基を有する構成単位を樹脂分子中に導入する
方法が考えられる。しかし、非アルカリ可溶性基である
脂肪族環状炭化水素基の含有率が大きくなると耐熱性は
向上するが、樹脂のアルカリ可溶性が低下してしまい、
アルカリ可溶性と耐熱性を両方とも最適化することは困
難であった。
【0012】このように、硬化性樹脂を使用してカラー
フィルターの着色層、保護膜及び柱状スペーサーを形成
すると便利であるが、従来の硬化性樹脂においては、脂
肪族環状炭化水素基等の非アルカリ可溶性基やカルボキ
シル基等のアルカリ可溶性基、及び、(メタ)アクリロ
イル基等のラジカル重合性基の量を、その硬化性、耐熱
性、及びアルカリ可溶性等を考慮して制御することは困
難であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
を考慮して成し遂げられたものであり、その目的は、脂
肪族環状炭化水素基、アルカリ可溶性基、及び(メタ)
アクリロイル基等のラジカル重合性基の含有量を制御す
ることが可能で、アルカリ可溶性や硬化性だけでなく、
硬度や耐熱性等の塗膜物性に優れた感光性樹脂組成物、
特に、塗膜硬度に優れた感光性樹脂組成物を提供するこ
とにある。さらに当該感光性樹脂組成物を利用して、製
造工程が簡便であり且つ平坦性に優れており、表示品質
に優れた信頼性の高い画像表示装置を実現し得るカラー
フィルターを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明によれば、少なくとも、下記式1で表される脂
肪族環状炭化水素基を有する構成単位と、酸性官能基を
有する構成単位と、ラジカル重合性基を有する構成単位
とが連結した分子構造を有する脂肪族環状炭化水素基含
有共重合体からなる硬化性樹脂、及び、2官能以上のエ
チレン性不飽和結合を有する重合性化合物を必須成分と
して含有することを特徴とする、感光性樹脂組成物が提
供される。
【0015】
【化27】 (式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、Aは、下記式2a乃至2dのいずれかで表さ
れる連結構造であり、Bは、炭素数6以上の脂肪族環状
炭化水素基である。)
【0016】
【化28】
【0017】
【化29】
【0018】
【化30】
【0019】
【化31】 (式中、R4は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、
5は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であ
る。また、*は主鎖側の結合を表し、**は脂肪族環状
炭化水素基側の結合を表す。)
【0020】上記感光性樹脂組成物に必須成分として配
合される硬化性樹脂は共重合体であり、その構成成分の
うち、脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位が硬化性
樹脂の耐熱性や強度に寄与し、酸性官能基を有する構成
単位が硬化性樹脂のアルカリ溶解性に寄与し、ラジカル
重合性基を有する構成単位が光硬化性や硬化感度に寄与
する。本発明によれば、これらの機能的に異なる各構成
単位の含有量を自由に制御することができるので、非常
に感度が高く、少ない露光量で短時間のうちに硬化させ
ることができ、硬化膜の硬度も非常に高く、また、耐熱
性や強度にも優れた硬化性樹脂が得られる。この硬化性
樹脂を、重合性のモノマーと混合することによって、特
にカラーフィルターの着色層、保護膜または液晶パネル
のセルギャップを維持するための柱状スペーサーを形成
するのに適した感光性樹脂組成物が得られる。
【0021】上記硬化性樹脂の前記式1で表される脂肪
族環状炭化水素基を有する構成単位は、下記式1aで表
される構成単位であることが好ましい。
【0022】
【化32】 (式中、R1及びAは上記と同じである。R2は、それぞ
れ水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であって同一
でも異なっていてもよく、R3は、それぞれ水素原子又
は炭素数1〜3のアルキル基であって同一でも異なって
いてもよく又は両者が一つとなって炭素環を形成してい
てもよい。) さらに、脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位として
は、脂肪族環状炭化水素基としてジシクロペンタニル
基、ジシクロペンテニル基又はイソボニル基を有するも
のが特に好ましい。
【0023】また、本発明の硬化性樹脂は、必要に応じ
てアルコール処理が行われている。このようなアルコー
ル処理体は、溶剤に溶解又は分散させても分子量の増大
や粘度の上昇を引き起こしにくく、アルコール未処理体
と比べて安定性が非常に高い。従って、溶液に調製した
時の保存性に優れ、室温で長期間保存することも可能に
なる。また、当該アルコール処理体の溶液は、使用中に
粘度が上昇しないので取り扱いやすい。
【0024】本発明の硬化性樹脂は、少なくとも脂肪族
環状炭化水素基を有する式1の構成単位、酸性官能基を
有する構成単位、及び、ラジカル重合性基を導入できる
官能基を有する構成単位からなり、さらに必要に応じ
て、芳香族炭素環を有する構成単位、エステル基を有す
る構成単位、或いは、その他の構成単位を含有する主鎖
を有する重合体(原料重合体)に、ラジカル重合性基含
有化合物を反応させて光硬化性のラジカル重合性基を主
鎖に結合させることにより得られる。
【0025】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
は、水酸基、エポキシ基又はイソシアネート基を有する
構成単位を用いることができる。
【0026】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
水酸基を有する構成単位を用いる場合には、ラジカル重
合性基含有化合物として、ラジカル重合性基とエポキシ
基を有する化合物(ラジカル重合性基含有エポキシド化
合物)又は、ラジカル重合性基とイソシアネート基を有
する化合物(ラジカル重合性基含有イソシアネート化合
物)を反応させることにより、ラジカル重合性基を重合
体に導入できる。
【0027】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
エポキシ基を有する構成単位を用いる場合には、ラジカ
ル重合性基含有化合物として、ラジカル重合性基とカル
ボキシル基を有する化合物(ラジカル重合性基含有カル
ボキシル化合物)又は、ラジカル重合性基と水酸基を有
する化合物(ラジカル重合性基含有水酸化化合物)を反
応させることにより、ラジカル重合性基を重合体に導入
できる。
【0028】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
イソシアネート基を有する構成単位を用いる場合には、
ラジカル重合性基含有化合物として、ラジカル重合性基
とカルボキシル基を有する化合物(ラジカル重合性基含
有カルボキシル化合物)又は、ラジカル重合性基と水酸
基を有する化合物(ラジカル重合性基含有水酸化化合
物)を反応させることにより、ラジカル重合性基を重合
体に導入できる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下において本発明を詳しく説明
する。なお、本発明において(メタ)アクリルとはアク
リル基又はメタクリル基のいずれかであることを意味
し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル基又はメタ
クリロイル基のいずれかであることを意味する。
【0030】本発明により提供される硬化性樹脂は、少
なくとも、下記式1で表される脂肪族環状炭化水素基を
有する構成単位と、酸性官能基を有する構成単位と、ラ
ジカル重合性基を有する構成単位とが連結した分子構造
を有する脂肪族環状炭化水素基含有共重合体からなるこ
とを特徴とするものである。
【0031】
【化33】 (式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、Aは、下記式2a乃至2dのいずれかで表さ
れる連結構造であり、Bは、炭素数6以上の脂肪族環状
炭化水素基である。)
【0032】
【化34】
【0033】
【化35】
【0034】
【化36】
【0035】
【化37】 (式中、R4は、炭素数1〜4のアルキレン基であり、
5は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であ
る。また、*は主鎖側の結合を表し、**は脂肪族環状
炭化水素基側の結合を表す。)
【0036】式1で表される脂肪族環状炭化水素基を有
する構成単位は、耐熱性に寄与する成分であるが、アル
カリ可溶性を低下させる性質も有しているので、その配
合割合は、硬化性樹脂に要求されるアルカリ可溶性の程
度に応じて調節される。脂肪族環状炭化水素基を有する
構成単位を重合体の主鎖へと導入ために使用される単量
体としては、下記式9で表されるような二重結合含有基
と脂肪族環状炭化水素基を有する化合物を使用すること
ができる。
【0037】
【化38】 (式中、R1、R2、R3及びAは上記と同じである。) 上記式1で表される脂肪族環状炭化水素基含有構成単位
としては、下記式1aで表されるものが好ましい。
【0038】
【化39】 (式中、R1及びAは上記と同じである。R2は、それぞ
れ水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であって同一
でも異なっていてもよく、R3は、それぞれ水素原子又
は炭素数1〜3のアルキル基であって同一でも異なって
いてもよく又は両者が一つとなって炭素環を形成してい
てもよい。)
【0039】上記式1において、R1は、水素原子又は
炭素数1〜5のアルキル基であり、アルキル基として
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブ
チル基、n−ペンチル基等が例示される。炭素数6以上
の脂肪族環状炭化水素基Bは、炭素環骨格を有する脂肪
族基であり、6以上の炭素原子のみで環構造が形成され
ている必要があるが、炭素環上に置換基や側鎖を有して
いてもよい。炭素数6以上の脂肪族環状炭化水素基とし
ては、シクロへキシル基、オクチル基等のほか、式1a
に含まれる脂肪族環状炭化水素基としてジシクロペンタ
ニル基(トリシクロデカニル基)、ジシクロペンテニル
基、イソボニル基などを例示することができ。脂肪族環
状炭化水素基は、前記式2a乃至2dのいずれかの連結
構造Aにより主鎖構成単位に連結される。
【0040】式1で表される脂肪族環状炭化水素基含有
構成単位として、具体的には、下記式14a乃至14e
で表されるものを例示することができる。これらの構成
単位は、脂肪族環状炭化水素基としてジシクロペンタニ
ル基(トリシクロデカニル基)、ジシクロペンテニル基
又はイソボニル基が、式2a又は式2cで表される連結
構造Aにより主鎖構成単位にペンダント状に連結されて
いる。
【0041】
【化40】
【0042】
【化41】
【0043】
【化42】
【0044】
【化43】
【0045】また、式1で表される脂肪族環状炭化水素
基含有構成単位を導入するために使用される単量体とし
ては、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基又
はイソボニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを
例示することができる。特に、上記式14a乃至14e
の構成単位に対応する単量体としては、下記式15aで
表されるジシクロペンテニルアクリレート、下記式15
bで表されるジシクロペンタニルアクリレート、下記式
15cで表されるジシクロペンテニルオキシエチルアク
リレート、下記式15dで表されるジシクロペンタニル
メタクリレート、下記式15eで表されるイソボニルメ
タクリレートを例示できる。
【0046】
【化44】
【0047】
【化45】
【0048】
【化46】
【0049】
【化47】
【0050】酸性官能基をを有する構成単位は、アルカ
リ現像性に寄与する成分であり、その含有割合は、硬化
性樹脂に要求されるアルカリ可溶性の程度により調整さ
れる。酸性官能基を有する構成単位を重合体の主鎖へと
導入するために使用される単量体としては、二重結合含
有基と酸性官能基を有する化合物を使用することができ
る。酸性官能基は、通常はカルボキシル基であるが、ア
ルカリ現像性に寄与できる成分であればカルボキシル基
以外のものでもよい。
【0051】酸性官能基を有する構成単位としては、下
記式3で表される構成単位が好ましい。
【0052】
【化48】 (式中、R6は水素原子または炭素数1〜5のアルキル
基を表す。) 式3に含まれるR6は、水素原子または炭素数1〜5の
アルキル基であり、式1のR1と同様である。式3の構
成単位を導入するために使用される単量体としては、下
記式10で表される化合物を例示することができ、具体
的には、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシ−
1−ブテン、2−カルボキシ−1−ペンテン、2−カル
ボキシ−1−ヘキセン、2−カルボキシ−1−へプテン
等が例示される。
【0053】
【化49】
【0054】ラジカル重合性基を有する構成単位は、光
硬化性に寄与する成分である。ラジカル重合性基を有す
る構成単位は、通常、ラジカル重合性基含有化合物の足
場となる重合性成分を他のモノマーと共重合させて主鎖
中に導入した後、当該重合性成分から誘導された構成単
位にラジカル重合性基含有化合物を結合させることによ
り形成する。
【0055】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
は、水酸基、エポキシ基又はイソシアネート基を有する
構成単位を用いることができる。
【0056】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
水酸基を有する構成単位を用いる場合には、ラジカル重
合性基含有化合物として、ラジカル重合性基とエポキシ
基を有する化合物(ラジカル重合性基含有エポキシド化
合物)又は、ラジカル重合性基とイソシアネート基を有
する化合物(ラジカル重合性基含有イソシアネート化合
物)を反応させることにより、ラジカル重合性基を含有
するペンダント構造を形成することができる。水酸基を
有する構成単位の合有割合は、硬化性樹脂に要求される
光重合性の程度により調整される。水酸基を有する構成
単位を重合体の主鎖へと導入するために使用される単量
体としては、二重結合含有基と水酸基を有する化合物を
使用することができる。
【0057】水酸基を有する構成単位としては、下記式
4で表される構成単位が好ましい。
【0058】
【化50】 (式中、R7は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、R8は、炭素数2〜4のアルキレン基であ
る。)
【0059】式4に含まれるR7は、水素原子又は炭素
数1〜5のアルキル基であり、式1のR1と同様であ
る。R8は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、例え
ば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等を例示で
きる。式4の構成単位を導入するために使用される単量
体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロ
キシブチルメタクリレート等が例示される。
【0060】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
エポキシ基を有する構成単位を用いる場合には、ラジカ
ル重合性基含有化合物として、ラジカル重合性基とカル
ボキシル基を有する化合物(ラジカル重合性基含有カル
ボキシル化合物)又は、ラジカル重合性基と水酸基を有
する化合物(ラジカル重合性基含有水酸化化合物)を反
応させることにより、ラジカル重合性基を含有するペン
ダント構造を形成することができる。エポキシ基を有す
る構成単位の合有割合は、硬化性樹脂に要求される光重
合性の程度により調整される。エポキシ基を有する構成
単位を重合体の主鎖へと導入するために使用される単量
体としては、二重結合含有基とエポキシ基を有する化合
物を使用することができる。
【0061】エポキシ基を有する構成単位としては、下
記式5で表される構成単位が好ましい。
【0062】
【化51】 (式中、R9は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、R10は、炭素数2〜4のアルキレン基であ
る。)
【0063】式5に含まれるR9は、水素原子又は炭素
数1〜5のアルキル基であり、式1のR1と同様であ
る。R10は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、式4
のR8と同様である。式5の構成単位を導入するために
使用される単量体としては、グリシジル(メタ)アクリ
レート、(メタ)アクリロイルエチレンエポキシド、
(メタ)アクリロイル−n−プロピレンエポキシド等が
例示される。
【0064】ラジカル重合性基含有化合物の足場として
イソシアネート基を有する構成単位を用いる場合には、
ラジカル重合性基含有化合物として、ラジカル重合性基
とカルボキシル基を有する化合物(ラジカル重合性基含
有カルボキシル化合物)又は、ラジカル重合性基と水酸
基を有する化合物(ラジカル重合性基含有水酸化化合
物)を反応させることにより、ラジカル重合性基を導入
できる。イソシアネート基を有する構成単位の合有割合
は、硬化性樹脂に要求される光重合性の程度により調整
される。イソシアネート基を有する構成単位を重合体の
主鎖へと導入するために使用される単量体としては、二
重結合含有基とイソシアネート基を有する化合物を使用
することができる。
【0065】イソシアネート基を有する構成単位として
は、下記式6で表される構成単位が好ましい。
【0066】
【化52】 (式中、R11は、水素原子又はメチル基であり、R
12は、アルキレン基である。)
【0067】式6の構成単位を導入するために使用され
る単量体としては、(メタ)アクリロイル基が炭素数2
〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基(−NC
O)と結合したものを使用するのが好ましい。具体的に
は、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2
−メタクリロイルエチルイソシアネート等が例示され
る。2−メタクリロイルエチルイソシアネートは、例え
ば、昭和電工(株)製「カレンズMOI」等の商品名で
市販されている。
【0068】本発明において硬化性樹脂の主鎖は、式1
で表される脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位と、
酸性官能基を有する式3のような構成単位と、ラジカル
重合性基を導入するための足場となる式4、式5又は式
6のような構成単位とを必須の共重合成分として含有す
るが、他の共重合成分を含んでいてもよい。例えば、主
鎖には、芳香族炭素環を有する構成単位、及び/又は、
エステル基を有する構成単位が含有されていてもよい。
【0069】芳香族炭素環を有する構成単位は、硬化性
樹脂をカラーフィルターの保護膜等の塗膜形成用とする
際に、当該硬化性樹脂に塗膜性を付与する成分である。
芳香族炭素環を有する構成単位を重合体の主鎖へと導入
するために使用される単量体としては、二重結合含有基
と芳香族炭素環とを有する化合物を使用することができ
る。
【0070】芳香族炭素環を有する構成単位としては、
下記式7で表される構成単位が好ましい。
【0071】
【化53】 (式中、R13は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、R14は、芳香族環である。)
【0072】式7に含まれるR13は、水素原子又は炭素
数1〜5のアルキル基であり、式1のR1と同様であ
る。式7中に含まれるR14は芳香族炭素環であり、例え
ば、フェニル基、ナフチル基等が例示される。式7の構
成単位を導入するために使用される単量体としては、例
えば、スチレン、α−メチルスチレンを例示でき、ま
た、その芳香族環は、塩素、臭素等のハロゲン原子、メ
チル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ジアルキ
ルアミノ基等のアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、
スルフォン酸基、燐酸機等で置換されていてもよい。
【0073】エステル基を有する構成単位は、硬化性樹
脂のアルカリ現像性を抑制する成分である。エステル基
を有する構成単位を重合体の主鎖へと導入するために使
用される単量体としては、二重結合含有基とエステル基
とを有する化合物を使用することができる。
【0074】エステル基を有する構成単位としては、下
記式8で表される構成単位が好ましい。
【0075】
【化54】 (式中、R15は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、R16は、アルキル基又はアラルキルであ
る。) 式8中に含まれるR15は、水素原子又は炭素数1〜5の
アルキル基であり、式1のR1と同様である。また、R
16はアルキル基またはアラルキル基であり、例えば、炭
素数1〜12のアルキル基、ベンジル基、フェニルエチ
ル基等のアラルキル基が例示される。式8の構成単位を
導入するために使用される単量体としては、例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−
2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル
酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペ
ンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボニ
ル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸
フェニルエチル等の(メタ)アクリル酸のエステル類が
例示される。
【0076】上記したような各構成単位、すなわち、脂
肪族環状炭化水素基を有する式1の構成単位、酸性官能
基を有する式3の構成単位、水酸基を有する式4の構成
単位、エポキシ基を有する式5の構成単位、イソシアネ
ート基を有する式6の構成単位、芳香族炭素環を有する
式7の構成単位、及び、エステル基を有する式8の構成
単位を硬化性樹脂の主鎖へと導入するために使用される
単量体は、各構成単位ごとに、それぞれ例示したものを
単独でも、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0077】上述したように、ラジカル重合性基含有化
合物の足場として水酸基を有する構成単位を用いる場合
には、ラジカル重合性基を主鎖に導入するためにラジカ
ル重合性基含有エポキシド化合物又はラジカル重合性基
含有イソシアネート化合物を用いることができる。ま
た、ラジカル重合性基含有化合物の足場としてエポキシ
基又はイソシアネート基を有する構成単位を用いる場合
には、ラジカル重合性基を主鎖に導入するためにラジカ
ル重合性基含有カルボキシル化合物又はラジカル重合性
基含有水酸化化合物を用いることができる。
【0078】ラジカル重合性基含有エポキシド化合物と
しては、下記式12で表される1,2−エポキシド化合
物が好ましい。このエポキシド化合物は、エポキシ基を
有する式5の構成単位を導入するために使用される単量
体と同じものである。
【0079】
【化55】
【0080】ラジカル重合性基含有イソシアネート化合
物としては、下記式13で表される化合物が好ましい。
このイソシアネート化合物は、イソシアネート基を有す
る式6の構成単位を導入するために使用される単量体と
同じものである。
【0081】
【化56】
【0082】ラジカル重合性基含有カルボキシル化合物
としては、下記式10で表される化合物が好ましい。こ
のカルボキシル化合物は、酸性官能基を有する式3の構
成単位を導入するために使用される単量体と同じもので
ある。
【0083】
【化57】
【0084】ラジカル重合性基含有水酸化化合物として
は、下記式11で表される化合物が好ましい。この水酸
化化合物は、水酸基を有する式4の構成単位を導入する
ために使用される単量体と同じものである。
【0085】
【化58】
【0086】本発明の硬化性樹脂において、主鎖の各構
成単位及びラジカル重合性基含有化合物により導入され
るラジカル重合性基導入単位の含有量は、主鎖を形成す
るための単量体とラジカル重合性基含有化合物の総使用
量(総仕込み量)を全量とした時の仕込み量の割合で表
すと、次のようになる。
【0087】先ず、式1で表される脂肪族環状炭化水素
基含有構成単位の含有割合は、仕込み量換算で5モル%
〜50モル%、好ましくは10モル%〜30モル%とさ
れる。脂肪族環状炭化水素基含有構成単位の含有割合が
5モル%未満では、樹脂の耐熱性が不十分となりやす
く、50モル%を超えると樹脂のアルカリ可溶性が不十
分となりやすい。
【0088】酸性官能基を有する式3のような構成単位
の含有割合は、上述したように要求されるアルカリ可溶
性の程度に応えるべく調節され、通常は仕込み量換算で
5モル%〜50モル%、好ましくは10モル%〜35モ
ル%とされる。
【0089】水酸基を有する式4のような構成単位、エ
ポキシ基を有する式5のような構成単位、又は、イソシ
アネート基を有する式6のような構成単位の含有割合
は、要求される光重合性の程度(感度)に応えるべく調
節され、通常は仕込み量換算で2モル%〜50モル%、
好ましくは5モル%〜30モル%とされる。これらの構
成単位はラジカル重合性基を導入する部分なので、これ
らの構成単位が少なすぎる場合には、水酸基、エポキシ
基又はイソシアネート基の量に対するラジカル重合性基
の導入率が高いとしても、硬化性樹脂全体に対するラジ
カル重合性基の含有率が低くなり、高感度が得られな
い。一方、これらの構成単位が多すぎる場合には有機溶
剤に溶け難くなるので、硬化性樹脂の合成が困難にな
る。
【0090】芳香族炭素環を有する式7のような構成単
位の含有割合は、塗膜性を調節するために、通常は仕込
み量換算で0モル%〜75モル%、好ましくは5モル%
〜50モル%とされる。
【0091】エステル基を有する式8のような構成単位
の含有割合は、アルカリ現像性を必要に応じて抑制する
ために、通常は仕込み量換算で0モル%〜75モル%、
好ましくは5モル%〜50モル%とされる。
【0092】ラジカル重合性基導入剤としてのラジカル
重合性基含有化合物の使用量は、通常は仕込み量換算で
2モル%〜50モル%、好ましくは5モル%〜30モル
%とされる。ラジカル重合性基含有化合物の仕込み量
は、硬化性樹脂の感度を向上させるために特に重要であ
る。ラジカル重合性基含有化合物の仕込み量を大きくし
てラジカル重合性基を多量に導入すれば、光硬化反応の
感度を上げることができるが、仕込み量が多すぎる場合
には硬化性樹脂中に未反応のラジカル重合性基含有化合
物が多量に残ってしまい、当該硬化性樹脂を用いて形成
した塗膜の物性を低下させる。
【0093】上記の硬化性樹脂を製造するには、先ず、
少なくとも脂肪族環状炭化水素基を有する式1の構成単
位、酸性官能基を有する式3のような構成単位、及び、
ラジカル重合性基を導入できる官能基を有する式4、式
5又は式6のような構成単位が連結してなり、さらに必
要に応じて、芳香族炭素環を有する式7のような構成単
位、エステル基を有する式8のような構成単位、或い
は、その他の構成単位を含有する主鎖を有する重合体
(原料重合体)を合成し、それからラジカル重合性基含
有化合物を反応させて光硬化性の脂肪族環状炭化水素基
含有共重合体を合成すればよい。
【0094】原料重合体を製造するために用いられる重
合用溶媒としては、水酸基、アミノ基等の活性水素を有
しない溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン等
のエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレ
ングリコールメチルエチルエーテル等のグリコールエー
テル類、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブエ
ステル類やプロピレングリコールモノメチルエーテルア
セテート、酢酸−3−メトキシブチル等が挙げられ、芳
香族炭化水素類、ケトン類、エステル類等も用いること
ができる。
【0095】原料重合体を製造するために用いられる重
合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として
知られているものを使用することができる。その具体例
としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−
ジメチルバレロニトリル)等のニトリル系アゾ化合物
(ニトリル系アゾ系重合開始剤);ジメチル2,2’−
アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−ア
ゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等の非ニト
リル系アゾ化合物(非ニトリル系アゾ系重合開始剤);
t−ヘキシルペルオキシピバレート、tert−ブチル
ペルオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサ
ノイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ラウ
ロイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、1,
1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ2−エチル
ヘキサノエート、サクシニックペルオキシド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオ
キシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチ
ルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシル
ペルオキシ2−エチルヘキサノエート、4−メチルベン
ゾイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、1,
1’−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘ
キサン等の有機過酸化物(パーオキサイド系重合開始
剤);および過酸化水素が挙げられる。ラジカル重合開
始剤として過酸化物を使用する場合には、これと還元剤
とを組み合わせてレドックス型重合開始剤として使用し
てもよい。
【0096】本発明の硬化性樹脂を用いてカラーフィル
ターの着色層、または当該着色層を被覆する保護膜を形
成する場合には、当該硬化性樹脂に対して高い透明性が
求められる。透明性の高い硬化性樹脂を必要とする場合
には、二重結合含有基と酸性官能基を有する単量体、及
び二重結合含有基と水酸基を有する単量体、さらに必要
に応じてその他の単量体を反応させて硬化性樹脂用の原
料重合体、すなわち硬化性樹脂の主鎖部分を形成する際
に、非ニトリル系アゾ系重合開始剤又はパーオキサイド
系重合開始剤を用いて重合反応を行うのが好ましい。非
ニトリル系アゾ系又はパーオキサイド系の重合開始剤と
しては、上述したようなものを使用することができる。
【0097】原料重合体の製造においては、重量平均分
子量を調節するために分子量調節剤を使用することがで
き、例えば、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化
炭化水素類;n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチル
メルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−
ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプ
タン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプ
ロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類;
ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げ
られる。
【0098】原料重合体は、ランダム共重合体およびブ
ロック共重合体のいずれであってよい。ランダム共重合
体を製造する場合には、各単量体や触媒等からなる配合
組成物を、溶剤を入れた重合槽中に80〜110℃の温
度条件で2〜5時間かけて滴下し、熟成させることによ
り重合させることができる。
【0099】原料重合体のポリスチレン換算重量平均分
子量(以下、単に「重量平均分子量」または「Mw」と
いう。)が10,000〜1,000,000の範囲の
ものとされ、酸価が5mgKOH/g〜400mgKO
H/g、水酸基価が5mgKOH/g〜400mgKO
H/gのものとされるのが好ましい。
【0100】次に、このようにして合成された原料重合
体に、適切なラジカル重合性基含有化合物を反応させ
る。
【0101】原料重合体が水酸基を有する場合、すなわ
ち原料重合体の主鎖が、少なくとも式1で表される脂肪
族環状炭化水素基を有する構成単位と、酸性官能基を有
する式3のような構成単位と、水酸基を有する式4のよ
うな構成単位とからなる場合には、少量の触媒の存在
下、原料重合体の溶液中にラジカル重合性基含有エポキ
シ化合物を添加する事により反応を行い、ラジカル重合
性基を導入することができる。
【0102】触媒としてはトリエチルアミン、トリプロ
ピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチル
ラウリルアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロ
ライド、トリメチルセチルアンモニウムブロマイド、テ
トラブチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジ
ルアンモニウムクロライド、トリフェニルブチルホスホ
ニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイ
ド等が挙げられる。また、反応に際しては、p−メトキ
シフェノール、ヒドロキノン、ナフチルアミン、ter
t−ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチル
p−クレゾール等の重合禁止剤が必要に応じて使用され
る。
【0103】例えば、式12で表される1,2−エポキ
シド化合物は、式3で表される構成単位に含まれる酸性
基の少なくとも一部と反応してエステル結合し、下記式
16aの構成単位を形成する。また、当該1,2−エポ
キシド化合物は、式4で表される構成単位に含まれる水
酸基の少なくとも一部と反応してエーテル結合し、下記
式16bの構成単位を形成する。上記のエステル結合と
エーテル結合は一方のみが又は両方が同時に生じる。
【0104】
【化59】
【0105】ラジカル重合性基含有イソシアネート化合
物を用いる場合には、少量の触媒の存在下、当該ラジカ
ル重合性基含有イソシアネート化合物を、水酸基を有す
る原料重合体、すなわち,少なくとも式1で表される脂
肪族環状炭化水素基を有する構成単位と、酸性官能基を
有する式3のような構成単位と、水酸基を有する式4の
ような構成単位とからなる主鎖を有する原料重合体の溶
液中に滴下する事により反応を行い、ラジカル重合性基
を導入することができる。この場合の触媒としてはラウ
リン酸ジブチル錫等が挙げられ、また、p−メトキシフ
ェノール、ヒドロキノン、ナフチルアミン、tert−
ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチルp−
クレゾール等の重合禁止剤が必要に応じて使用される。
【0106】例えば、式13で表される(メタ)アクリ
ロイルオキシアルキルイソシアネート化合物は、式3で
表される構成単位に含まれる酸性基の少なくとも一部と
反応して炭酸ガスを放出してアミド結合により結合し、
下記式17aの構成単位を形成する。また、当該イソシ
アネート化合物は、式4で表される構成単位に含まれる
水酸基の少なくとも一部と付加反応してウレタン結合に
より結合し、下記式17bの構成単位を形成する。
【0107】
【化60】
【0108】ラジカル重合性基含有イソシアネート化合
物と水酸基との反応は、当該イソシアネート化合物と酸
性官能基、特にカルボキシル基との反応に比して20倍
近くの反応速度を有する。そのためラジカル重合性基
は、水酸基を有する構成単位に主として導入され、ま
た、酸性官能基を有する構成単位には、その酸性官能基
の一部にラジカル重合性基が導入されるとしても、ほと
んどの酸性官能基が残存する。
【0109】酸性官能基と水酸基とを有する原料重合体
にラジカル重合性基含有イソシアネート化合物を反応さ
せて得られる共重合体を溶剤に溶解または分散させる
と、室温の下ですら分子量が増大して、粘度が急速に上
昇する。そして、この共重合樹脂をエポキシ樹脂、アク
リルモノマー、重合開始剤などと混合して溶剤に溶解ま
たは分散させてコーティング材料を調製すると、増粘の
程度および速度が一層のこと著しくなる。
【0110】本発明者らは、当初、共重合体中に存在す
る(メタ)アクロイル基等のラジカル重合性基が、露光
時の硬化反応に関与するだけでなく、保存時の粘度増大
も引き起こすのであろうと考えた。しかしながら、上記
共重合体の溶液を1H−NMRスペクトルで観察したと
ころ、溶液の粘度が上昇しても、(メタ)アクロイル基
の二重結合量は減少しないことが確認された。従ってラ
ジカル重合性基は、粘度増大の原因ではなかった。
【0111】そこで、上記共重合樹脂の溶液をFT−I
Rスペクトル(赤外吸収スペクトル)で観察したとこ
ろ、1800cm-1付近にある微小なピークが粘度の上
昇に伴って消失することが確認された。この観察結果を
考慮してアクリル酸無水物のFT−IRスペクトルを観
察したところ、やはり同じ位置にピークが観察された。
また、アクリル酸と同様にカルボキシル基を有する酢酸
に(メタ)アクロイルオキシエチルイソシアネートを反
応させたところ、酸無水物が得られた。
【0112】これらの結果から、上記共重合体は酸無水
物基を有していると考られる。この酸無水物基は、少な
くとも酸性官能基を有する式3のような構成単位と水酸
基を有する式4のような構成単位からなる重合体に式6
のようなラジカル重合性基含有イソシアネート化合物を
反応させて反応性基を付与した共重合体を製造する時
に、イソシアネート基が脱水剤として働く結果、主に同
一分子内にある酸性官能基が脱水縮合することにより副
成すると推測される。また、共重合体の分子中に生じた
酸無水物基は、当該樹脂を溶剤に溶解又は分散させて放
置すると、共重合体の他の分子鎖に含まれている水酸基
と反応してエステル結合することにより、共重合体の分
子同士を架橋させ、その結果、分子量の増大と粘度の上
昇を招くと推測される。
【0113】このような増粘現象は、上記の共重合体を
アルコールで処理することにより阻止することができ
る。共重合体をアルコールで処理するには、当該共重合
体を溶剤に溶解または分散させた溶液に、当該溶液の粘
度が上昇し始める前または粘度上昇が完了する前にアル
コールを添加すればよい。また、各モノマーをMBA
(酢酸−3−メトキシブチル、CH3CH(OCH3)C
2CH2OCOCH3)等の合成溶剤中で重合させて、
少なくとも酸性官能基を有する構成単位と水酸基を有す
る構成単位からなる原料重合体を合成し、得られた原料
重合体の溶液にラジカル重合性基含有イソシアネート化
合物を滴下して反応させ、得られた反応液に、引き続き
アルコールを添加してもよい。添加時の反応条件は特に
制限されず、アルコールは反応液が熱いうちに添加して
も室温で添加してもよいし、また、反応液中に一気に投
入しても差し支えない。
【0114】上記の共重合体の溶液中に、酸無水物基が
まだ未反応のうちに有効量以上のアルコールを添加する
と、当該アルコールは共重合体の主鎖にある水酸基と競
争して酸無水物基を奪い合い、当該酸無水物基をエステ
ル化すると推測される。その結果、共重合体の分子間の
架橋反応を阻止し、分子量の増大と粘度の上昇を防止す
ると推測される。
【0115】このようなアルコール処理によって得られ
る共重合樹脂は、少なくとも酸性官能基を有する構成単
位と水酸基を有する構成単位からなる主鎖を有し、イソ
シアネート化合物が当該イソシアネート化合物のイソシ
アネート基を介して前記酸性官能基の少なくとも一部に
アミド結合し且つ/又は前記水酸基の少なくとも一部に
ウレタン結合しており、さらに、アルコールが当該アル
コールの水酸基を介して前記酸性官能基の少なくとも一
部にエステル結合した分子構造を有していると推測され
る。
【0116】本発明においては、酸無水物基の一部又は
全てがまだ未反応のまま光硬化性重合体中に残っている
うちに、アルコールと反応させる必要がある。例えば、
少なくとも酸性官能基を有する式3のような構成単位と
水酸基を有する式4のような構成単位からなる共重合体
に式6のようなラジカル重合性基含有イソシアネート化
合物を反応させて共重合体を製造した直後であれば、酸
無水物基は水酸基とはまだ全く反応しておらず、粘度上
昇が始まっていないので、外部から添加したアルコール
と反応し得る。また、共重合体の溶液を室温下にしばら
く放置した後であっても、粘度上昇が進行中でまだ完全
に終了していないのであれば、未反応の酸無水物基が残
っているので粘度上昇をある程度は阻止することがで
き、有効である。
【0117】増粘現象の阻止に使用するアルコールの種
類は特に限定されず、アルコール性水酸基を有する化合
物であれば使用可能であり、N、O、S、P等を含んで
いてもよい。通常は、比較的低分子量のもののほうが取
り扱いやすい。例えば、炭素数1〜20程度のもので
N、O、S、P等を含んでいないか又は含んでいるも
の、より具体的には、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘ
プタノール、オクタノール、デカノールなどのアルコー
ル系溶剤;メトキシアルコール、エトキシアルコールな
どのセロソルブ系溶剤;メトキシエトキシエタノール、
エトキシエトキシアルコールなどのカルビトール系溶
剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテルなどのエーテル系溶剤;2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、4−ペンテン−1−オール、テトラメチロー
ルメタントリ(メタ)アクリレート、テトラトリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレートなどの不飽和結合含有溶
剤等を使用することができる。
【0118】また、共重合体の溶液中に残留する未反応
のアルコールは、必要に応じて再沈精製等の適当な手段
によって除去してもよい。また、共重合体の溶液中にア
ルコールを添加した後、そのまま他の材料と共に塗工用
溶剤に混合して塗工液とし、これを塗工した後の乾燥工
程でアルコールを塗工用溶剤と共に蒸発させてもよい。
この例のように、残留アルコールを別の溶剤と一緒に蒸
発させる場合には、アルコールの沸点と混合される溶剤
の沸点の差、又は、アルコールの蒸発速度と混合される
溶剤の蒸発速度の差ができるだけ小さいほうが望まし
く、差が無いのが理想的である。また、アルコールと溶
剤との沸点の差と、アルコールと溶剤との蒸発速度の差
が両方とも小さいほうが好ましい。この観点から、アル
コールの沸点と混合される溶剤の沸点の差は75℃以内
のものが好ましく、40℃以内のものが特に好ましい。
また、当該アルコールの蒸発速度と塗工液用溶剤の蒸発
速度の差は90〔n−BuOAc=100〕であること
が好ましく、30〔n−BuOAc=100〕であるこ
とが特に好ましい。アルコールの沸点と蒸発速度が共に
上記の条件を満たしているのが好ましい。ここで、蒸発
速度(単位:〔n−BuOAc=100〕)は、25℃
における酢酸ノルマルブチル(n−BuOAc)の重量
法による蒸発速度を100とした場合の比蒸発速度で表
される。
【0119】増粘現象の阻止に使用するアルコールの量
は、共重合体に含有されている酸無水物基の量に応じて
適宜調節する。好ましくは、共重合体の10〜120重
量%程度の量とする。
【0120】共重合体の溶液の粘度上昇を実質的に完全
に停止させるためには、アルコールを添加した後で反応
液を一定時間放置して、酸無水物基の量を充分に減ら
し、アルコール処理重合体を熟成させる必要がある。反
応液は室温で放置してもよいが、加熱することにより短
時間で熟成を完了させることができる。アルコールを添
加した反応液を30〜170℃の温度で72時間以内の
期間、放置することにより熟成させるのが好ましい。
【0121】ここで、例えば、90℃での熟成時間が4
時間よりも短いと、樹脂を完全に安定化させることはで
きず、増粘阻止の効果が薄れる。
【0122】原料重合体がエポキシ基を有する場合、す
なわち原料重合体の主鎖が、少なくとも式1で表される
脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位と、酸性官能基
を有する式3のような構成単位と、エポキシ基を有する
式5のような構成単位とからなる場合には、少量の触媒
の存在下、原料重合体の溶液中にラジカル重合性基含有
カルボキシル化合物又はラジカル重合性基含有水酸化化
合物を滴下する事により反応を行い、ラジカル重合性基
を導入することができる。
【0123】この場合の触媒としてはトリエチルアミ
ン、トリプロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミ
ン、ジメチルラウリルアミン、トリエチルベンジルアン
モニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムブ
ロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリ
メチルベンジルアンモニウムクロライド、トリフェニル
ブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニ
ウムブロマイド等が挙げられる。また、反応に際して
は、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、ナフチル
アミン、tert−ブチルカテコール、2,3−ジ−t
ert−ブチルp−クレゾール等の重合禁止剤が必要に
応じて使用される。
【0124】例えば、式10で表される不飽和カルボン
酸は、式5で表される構成単位に含まれるエポキシ基の
少なくとも一部と付加反応してエステル結合し、下記式
18aの構成単位を形成する。また、式11で表される
不飽和水酸化化合物は、式5で表される構成単位に含ま
れるエポキシ基の少なくとも一部と付加反応してエーテ
ル結合し、下記式18bの構成単位を形成する。
【0125】
【化61】
【0126】原料重合体がイソシアネート基を有する場
合、すなわち原料重合体の主鎖が、少なくとも式1で表
される脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位と、酸性
官能基を有する式3のような構成単位と、イソシアネー
ト基を有する式6のような構成単位とからなる場合に
は、少量の触媒の存在下、原料重合体の溶液中にラジカ
ル重合性基含有カルボキシル化合物又はラジカル重合性
基含有水酸化化合物を滴下する事により反応を行い、ラ
ジカル重合性基を導入することができる。
【0127】この場合の触媒としてはラウリン酸ジブチ
ル錫等が挙げられ、また、p−メトキシフェノール、ヒ
ドロキノン、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコ
ール、2,3−ジ−tert−ブチルp−クレゾール等
の重合禁止剤が必要に応じて使用される。
【0128】例えば、式10で表される不飽和カルボン
酸は、式6で表される構成単位に含まれるイソシアネー
ト基の少なくとも一部と反応して炭酸ガスを放出してア
ミド結合により結合し、下記式19aの構成単位を形成
する。また、式11で表される不飽和水酸化化合物は、
式6で表される構成単位に含まれるイソシアネート基の
少なくとも一部と付加反応してウレタン結合により結合
し、下記式19bの構成単位を形成する。
【0129】
【化62】
【0130】
【化63】
【0131】以上のような方法で原料重合体にラジカル
重合性基含有化合物を反応させることによりラジカル重
合性基を有する共重合体からなる硬化性樹脂が得られ
る。この硬化性樹脂を、カラーフィルターの着色層、当
該着色層を被覆する保護膜または液晶パネルのセルギャ
ップを維持するための柱状スペーサーを形成するために
用いる場合には、GPC(ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー)で測定したポリスチレン換算重量平均分
子量が10,000〜1,000,000の範囲に調節
するのが好ましい。重量平均分子量が10,000より
小さいと現像性が良すぎてパターン露光時のパターン形
状を制御しにくく、また、パターンが作製できる場合で
も最終的な膜厚が減る(膜減り)等の問題がある。一
方、重量平均分子量がl,000,000より大きい
と、レジスト化した時の粘度が高くなりすぎて塗工適性
が低下したり、現像性が悪くなりパターンが抜けにくく
なるなどの問題がある。
【0132】硬化性樹脂の酸価は5mgKOH/g〜4
00mgKOH/g、好ましくは、10mgKOH/g
〜200mgKOH/gとするのが好ましい。酸価はア
ルカリ現像性と関係しており、酸価が低すぎると現像性
が悪いとか、基板及びカラーフィルタ樹脂上への密着性
が乏しい等の問題がある。一方、酸価が高すぎると現像
性が良すぎてパターン露光時のパターン形状を制御しに
くい等の問題がある。硬化性樹脂において水酸基価は、
0mgKOH/g〜200mgKOH/gの範囲に調節
できる。硬化性樹脂の主鎖にある水酸基は、必ずしも残
す必要はないが、これを残す場合には、溶剤に対する溶
解性を調節するのに有効である。
【0133】本発明の硬化性樹脂は、露光に対する感度
が高く、樹脂中のアルカリ可溶性や塗工性を適宜に調節
できるので、光硬化性コーティング組成物の有効成分と
して好適に利用することができ、特に、カラーフィルタ
ーの着色層、保護膜または液晶パネルのセルギャップを
維持するための柱状スペーサーを形成するのに適してい
る。
【0134】本発明の硬化性樹脂に、多官能アクリレー
ト系モノマーのように2官能以上のエチレン性不飽和結
合を有する重合性化合物(多官能重合性化合物)を配合
し、さらに必要に応じて光重合開始剤、増感剤などを配
合することによって、光硬化性コーティング材料として
好適な感光性樹脂組成物が得られる。
【0135】本発明の感光性樹脂組成物には、硬化性樹
脂を固形分比で、通常5〜80重量%、好ましくは10
〜50重量%含有させる。硬化性樹脂の含有量が80重
量%よりも多いと粘度が高くなりすぎ、その結果、流動
性が低下し塗布性に悪くなる場合がある。また、硬化性
樹脂の含有量が5重量%よりも少ないと、粘度が低くな
りすぎ、その結果、塗布乾燥後の塗膜安定性が不十分で
あり、露光、現像適性を損なう等の問題を生じる場合が
ある。
【0136】上記の多官能重合性化合物としては、多官
能アクリレート系のモノマー又はオリゴマーが好ましく
用いられ、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリ
レート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレー
ト、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリン
テトラ(メタ)アクリレート、テトラトリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオ
ールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリ
レート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペ
ンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエ
リスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを例示す
ることができる。これらの成分は2種以上を組み合わせ
て使用してもよい。
【0137】上記の多官能重合性化合物は、3官能以上
のエチレン性不飽和結合を有するモノマーを含むことが
好ましく、その含有量は多官能重合性化合物の使用量の
約30〜95重量%を占めることが好ましい。
【0138】また、これらの多官能重合性化合物には、
反応希釈剤としてメチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)ア
クリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ス
チレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドンなどの
単官能性モノマーを添加することができる。
【0139】多官能重合性化合物の含有量は、感光性樹
脂組成物中に固形分比3〜80重量%、好ましくは5〜
70重量%含有される。多官能重合性化合物が3重量%
未満になると、形成される膜の接着強度、耐熱性等の各
種物理的強度が不十分になるという不都合が生じ、ま
た、この値が80重量%を超えると感光性樹脂組成物の
安定性が低下すると共に、形成される膜の可撓性が不十
分になるという不都合が生じる。さらに、現像液に対す
る溶解特性を向上させるためにもこの割合は必要で、最
適化量の範囲から外れる場合には、パターン解像はされ
るがモノマー硬化速度が大きくなり、パターン周囲に対
してスカムやひげを生じる。さらに上記の範囲外におい
て、ひどい場合には部分的な膨潤・剥離からくるレジス
ト再付着が生じ、正確なパターン形成を阻害することが
ある。
【0140】さらに本発明の感光性樹脂組成物の中に
は、耐熱性、密着性、耐薬品性(特に耐アルカリ性)の
向上を図る目的で、必要に応じて、エポキシ基を分子内
に2個以上有する化合物(エポキシ樹脂)を配合するこ
とができる。エポキシ基を分子内に2個以上有する化合
物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
としてエピコート1001、1002、1003、10
04、1007、1009、1010(油化シェル製)
など、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としてエピコー
ト807(油化シェル製)など、フェノールノボラック
型エポキシ樹脂としてEPPN201、202(日本化
薬製)、エピコート154(油化シェル製)など、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂としてEOCN10
2、103S、104S、1020、1025、102
7(日本化薬製)、エピコート180S(油化シェル
製)などを例示できる。さらに、環式脂肪族エポキシ樹
脂や脂肪族ポリグリシジルエーテルを例示することもで
きる。
【0141】これらの中では、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノー
ルノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型
エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ基を分子内
に2個以上有する化合物の多くは高分子量体であるが、
ビスフェノールAやビスフェノールFのグリシジルエー
テルは低分子量体であり、そのような低分子量体は特に
好ましい。また、グリシジル(メタ)アクリレート、オ
キセタン(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ(メ
タ)アクリレート等を樹脂骨格中に含むアクリル共重合
体等も有効である。
【0142】このようなエポキシ樹脂は、感光性樹脂組
成物中に固形分比で、通常は0〜60重量%、好ましく
は5〜40重量%含有される。エポキシ樹脂の含有量が
5重量%未満では、保護膜に充分な耐アルカリ性を付与
できない場合がある。一方、エポキシ樹脂の含有量が4
0重量%を超えると、エポキシ樹脂量が多くなりすぎ、
感光性樹脂組成物の保存安定性、現像適性が低下するの
で好ましくない。また、エポキシ樹脂は、感光性樹脂組
成物の乾燥塗膜のタックを除去するためにも有効であ
り、添加量3重量%程度で充分な効果が発現する。エポ
キシ樹脂は、露光・アルカリ現像後においても反応する
ことなく塗膜中に残存している酸性基と、加熱処理によ
って反応し、塗膜に優れた耐アルカリ性を付与すること
になる。
【0143】光重合開始剤としては、紫外線、電離放射
線、可視光、或いは、その他の各波長のエネルギー線で
活性化し得るラジカル重合性開始剤を使用することがで
きる。ラジカル重合性開始剤は、例えば紫外線のエネル
ギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、
ベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導
体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並び
にチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロ
メチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合
物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化
合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン
類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;
有機硫黄化合物;過酸化物などがある。好ましくは、イ
ルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキ
ュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・
スペシャルティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー
(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社
製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,
5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール
(黒金化成株式会社製)などのケトン系及びビイミダゾ
ール系化合物等を挙げることができる。これらの開始剤
を1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることがで
きる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻
害しないようにするのがよい。
【0144】ラジカル重合性開始剤は、感光性樹脂組成
物中に固形分比として、通常、0.1〜20重量%、好
ましくは1〜15重量%含有される。ラジカル重合性開
始剤の添加量が0.1重量%未満になると光硬化反応が
進まず、残膜率、耐熱性、耐薬品性などが低下する傾向
がある。また、この添加量が20重量%を超えるとベー
ス樹脂への溶解度が飽和に達し、スピンコーティング時
や塗膜レベリング時に開始剤の結晶が析出し、膜面の均
質性が保持できなくなってしまい、膜荒れ発生と言う不
具合が生じる。
【0145】なお、感光性樹脂組成物を調製するにあた
って、重合開始剤は、前記硬化性樹脂及び多官能重合性
化合物からなる樹脂組成物に最初から添加しておいても
よいが、比較的長期間保存する場合には、使用直前に感
光性樹脂組成物中に分散或いは溶解することが好まし
い。
【0146】光感度の向上を期待したい場合には、増感
剤を添加してもよい。用いる増感剤としては、スチリル
系化合物或いはクマリン系化合物が好ましい。具体的に
は、2−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、2
−(p−ジエチルアミノスチリル)キノリン、4−(p
−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジエ
チルアミノスチリル)キノリン、2−(p−ジメチルア
ミノスチリル)−3,3−3H−インドール、2−(p
−ジエチルアミノスチリル)−3,3−3H−インドー
ル、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサ
ゾール、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−ベンズ
オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベ
ンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−ベンズイミダゾールなどが挙げられる。
【0147】また、クマリン系化合物としては、7−ジ
エチルアミノ−4−メチルクマリン、7−エチルアミノ
−4−トリフルオロメチルクマリン、4,6−ジエチル
アミノ−7−エチルアミノクマリン、3−(2−ベンズ
イミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリ
ン、7−ジエチルアミノシクロペンタ(c)クマリン、
7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、1,
2,3,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−
8−トリフルオロメチル(1)ベンゾピラノ−(9,9
a,1−gh)−キノリジン−10−オン、7−エチル
アミノ−6−メチル−4−トリフルオロメチルクマリ
ン、1,2,3,4,5,3H,6H,10H−テトラ
ヒドロ−9−カルベトキシ(1)ベンゾピラノ−(9,
9a,1−gh)−キノリジン−10−オンなどが挙げ
られる。
【0148】上述の感光性樹脂組成物には、必要に応じ
て上記の成分以外にも、界面活性剤、シランカップリン
グ剤等の各種の添加剤を配合することができる。
【0149】界面活性剤は、感光性樹脂組成物に対して
塗布適性、乾燥後の膜平滑性を確保するために配合さ
れ、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポ
リオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチ
レンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル類や、ポリオキシエチレンオクチルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
などのポリオキシエチレンアリールアルキルエーテル類
や、ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチ
レンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキ
ルエステル類、メガファックF171、172、173
(大日本インキ製)、フロラードFC430、431
(住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サー
フロンS−382、SC−101、102、103、1
04、105(旭硝子製)などのフッ素系界面活性剤な
どを挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量
は、感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して2
重量部以下とするのが好ましく、さらに好ましくは1重
量部以下とする。
【0150】また、シランカップリング剤は隣接する基
板や別の塗工層との密着性を改善する目的で添加され、
例えば、ビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラ
ン、アミノシラン等を例示することができる。より具体
的には、ビニルシランとして、ビニルトリクロルシラ
ン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等
を使用することができる。また、アクリルシランとして
は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等
を使用することができる。エポキシシランとしては、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン等を使用することができる。さらにアミノシランとし
ては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−
アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン等を使用することができ
る。その他のシランカップリング剤としては、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシ
ラン等を使用することができる。
【0151】さらに、本発明の感光性樹脂組成物を用い
てカラーフィルターの着色層を形成する場合には、当該
感光性樹脂組成物中に顔料や染料等の色材を配合する。
色材としては、画素部のR、G、B等の求める色に合わ
せて、有機着色剤及び無機着色剤の中からカラーフィル
ターの加熱プロセスに耐え得る耐熱性があり、且つ、良
好に分散し得る微粒子のものを選んで使用することがで
きる。
【0152】有機着色剤としては、例えば、染料、有機
顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着
色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いる
ことができる。
【0153】有機顔料の具体例としては、カラーインデ
ックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists
社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されてい
る化合物、すなわち、下記のようなカラーインデックス
(C.I.)番号が付されているものを挙げることができ
る。C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロ
ー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイ
エロー13等のイエロー系ピグメント;C.I.ピグメント
レッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレ
ッド3等のレッド系ピグメント;及び、C.I.ピグメント
ブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグ
メントブルー15:4等のブルー系ピグメント。
【0154】また、前記無機顔料あるいは体質顔料の具
体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシ
ウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤
色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロ
ム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄
黒、カーボンブラック等を挙げることができる。本発明
において色材は、単独でまたは2種以上を混合して使用
することができる。
【0155】色材は、本発明の感光性樹脂組成物中に、
通常、40〜75重量%、好ましくは45〜70重量%
の割合で配合する。色材の配合割合が上記範囲を下回る
と、各着色層の着色力が不十分であり、鮮明な画像の表
示が困難であり、一方、上記範囲を超えると、各着色層
における光透過率が不十分となるなどの不都合を生じ
る。
【0156】感光性樹脂組成物に色材を配合する場合に
は、色材を均一且つ安定して分散させるために、当該感
光性樹脂組成物中に分散剤を配合してもよい。分散剤と
しては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン
系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使
用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高
分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
【0157】すなわち、ポリオキシエチレンラウリルエ
ーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリ
オキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチ
レングリコールジステアレート等のポリエチレングリコ
ールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪
酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類
などの高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
【0158】本発明の感光性樹脂組成物には、塗料化及
び塗布適性を考慮して通常、イミド基含有共重合体、多
官能重合性化合物、光重合開始剤等に対する溶解性の良
好な溶剤が含有される。使用可能な溶剤としては、例え
ばメチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピル
アルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール
系溶剤;メトキシアルコール、エトキシアルコールなど
のセロソルブ系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エ
トキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;
酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチ
ル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエ
ステル系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルア
セテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソル
ブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メト
キシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチ
ルアセテートなどのカルビトールアセテート系溶剤;ジ
エチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどのエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチ
ルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチ
ロラクトンなどのラクトン系溶剤;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶
剤;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの
飽和炭化水素系溶剤などの有機溶剤を例示することがで
きる。
【0159】これらの溶剤の中では、メトキシエチルア
セテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソル
ブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メト
キシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチ
ルアセテートなどのカルビトールアセテート系溶剤;エ
チレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチル
エーテルなどのエーテル系溶剤;メトキシプロピオン酸
メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなど
のエステル系溶剤が特に好適に用いられる。特に好まし
くは、MBA(酢酸−3−メトキシブチル、CH3CH
(OCH3)CH2CH2OCOCH3)、PGMEA(プ
ロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、C
3OCH2CH(CH3)OCOCH3)、DMDG(ジ
エチレングリコールジメチルエーテル、H3COC24
OCH3)又はこれらを混合したものを使用することが
でき、これらを用いて固形分濃度を5〜50重量%に調
製する。
【0160】本発明の感光性樹脂組成物を製造する一方
法としては、先ず、各単量体を前記MBA(酢酸−3−
メトキシブチル)のような合成用溶剤中で反応させて原
料重合体を合成する。次に、得られた原料重合体の溶液
にラジカル重合性基含有イソシアネート化合物を滴下し
て反応させ、硬化性樹脂(光硬化性重合体)を生成させ
る。なお、樹脂の透明性又は紫外線透過性が特に要求さ
れる場合には、上述したように、非ニトリル系アゾ系の
又はパーオキサイド系の重合開始剤を用いて原料重合体
を製造すると共にラジカル重合性基含有イソシアネート
化合物を導入する。それから、当該硬化性樹脂を含有す
る反応液にアルコールを添加し、アルコール処理した硬
化性樹脂を例えば30〜170℃で72時間以内の期
間、加熱して熟成させる。その後、反応液を他のコーテ
ィング材料と共にMBA、PGMEA、DMDGのよう
なコーティング溶剤に混合する。感光性樹脂組成物中の
固形分濃度は通常、5〜85重量%の範囲とする。
【0161】本発明の硬化性樹脂(光硬化性重合体)を
他の塗工材料と混合して溶剤に溶解又は分散させると、
硬化性樹脂の単独溶液と比べて、増粘現象が一層のこと
著しくなる。このため、硬化性樹脂を他の材料と混合し
て感光性樹脂組成物を調製する場合には、硬化性樹脂を
アルコール処理した後、一定時間放置又は加熱して充分
に熟成させてから他の材料と混合するのが特に好まし
い。
【0162】硬化性樹脂と反応させるアルコールは、塗
工液を調製するための溶剤になるべく近い沸点、又は、
なるべく近い蒸発速度を有するのが好ましく、沸点と蒸
発速度が両方とも近いのが特に好ましい。より具体的に
は、アルコールの沸点と塗工液用溶剤の沸点の差が75
℃以内、特に40℃以内、且つ/又は、アルコールの蒸
発速度と塗工液用溶剤の蒸発速度の差が90〔n−Bu
OAc=100〕以内、特に30〔n−BuOAc=1
00〕以内であることが好ましい。アルコールの沸点又
は蒸発速度が塗工液の溶剤と近い場合には、感光性樹脂
組成物中にアルコールが残留していても塗工液用溶剤と
一緒にアルコールも蒸発するので、塗工むらが生じ難
い。ペンタノールは、PGMEAやDMDGに近い沸点
と蒸発速度を有しているので、硬化性樹脂をペンタノー
ルを用いてアルコール処理し、その後、MBA、PGM
EA、DMDG又はこれらの混合物をレジスト溶剤とし
て用いて感光性樹脂組成物を調製するのが好ましい。ペ
ンタノールは、MBAにも近い沸点と蒸発速度を有して
いるので、MBAを合成時の希釈溶剤として使用し、ペ
ンタノールを用いてアルコール処理し、さらに、MB
A、PGMEA、DMDG又はこれらの混合物をレジス
ト溶剤として用いて感光性樹脂組成物を調製するのが特
に好ましい。
【0163】このようにして得られる本発明の感光性樹
脂組成物は、非常に露光感度が高く、少ない露光量で、
あるいは、非常に短い露光時間で硬化させることが可能
である。従って、パターン形成の所用時間を短縮化し、
また、露光のためのエネルギーを節約することができ
る。さらに本発明の感光性樹脂組成物をガラス基板上に
スピンコートし、100mJ/cm2の照射量で露光
後、200℃で30分加熱し作成した膜厚1μmの塗膜
を、ビッカース圧子を最大荷重5mNとなる条件で表面
硬度を測定したときのビッカース硬度は60以上とな
る。
【0164】本発明においては、次のような方法によっ
て、感光性樹脂組成物の露光感度を評価することができ
る。先ず、基板上に感光性樹脂組成物を塗布し、必要に
応じて乾燥させて塗布膜を形成する。ここで、基板とし
ては、透明ガラス基板のように露光、現像等の一連のパ
ターン形成工程に支障を来たさないものであれば、特に
問題なく使用できる。塗布膜の厚さも特に制限はない
が、通常は、1〜10μm程度の厚さとする。この塗布
膜を、適切な条件で、例えば70〜150℃で、1〜1
0分間、プリベークする。プリベーク後、既知の照射強
度で塗布膜を露光し、膜厚を測定する。この段階で測定
した膜厚を「現像前膜厚」とする。
【0165】次に、プリベークした塗布膜を適切な現像
剤に接触させて未露光部を溶解、除去し、残った露光部
を必要に応じて洗浄することによって、塗布膜を現像す
る。ここで、現像剤の組成及び現像の条件は、試験され
る感光性樹脂組成物に合わせて適切に選択する。現像剤
としては、感光性樹脂組成物の露光部(硬化した部分)
はほとんど溶解せず、未露光部を完全に溶解できるもの
が好ましいことは言うまでもない。そして、現像された
塗布膜を、適切な条件で、例えば180〜280℃で、
20〜80分間、ポストベークする。ポストベーク後、
塗布膜の厚さを測定し、「最終硬化後膜厚」とする。
【0166】このようにして測定された現像前膜厚と最
終硬化後膜厚とから次式に従って、残膜率を計算する。
【0167】残膜率(%)=(最終硬化後膜厚(μm)
÷現像前膜厚(μm))×100
【0168】一方、同じ感光性樹脂組成物を上記と同様
にして基板上に塗布、乾燥し、プリベークし、リファレ
ンス用の塗布膜を形成する。このリファレンス用塗布膜
を、当該塗布膜が完全に硬化する照射強度で露光し、膜
厚を測定する。この段階で測定した膜厚を「完全露光膜
厚」とする。次に、完全露光した塗布膜を現像はせず
に、サンプルと同じ方法でポストベークした後、得られ
た膜の膜厚を前述したのと同じ方法で測定し、「現像工
程無しの最終膜厚」とする。そして、測定された完全露
光膜厚と現像工程無しの最終膜厚とから次式に従って、
リファレンス残膜率を計算する。
【0169】リファレンス残膜率(%)=(現像工程無
しの最終膜厚(μm)÷完全露光膜厚(μm))×10
【0170】このようにして残膜率とリファレンス残膜
率を算出し、残膜率が誤差範囲1%としてリファレンス
残膜率と等しくなった最も小さい露光量を、感光性樹脂
組成物の最低露光量と決定する。この最低露光量が小さ
いほど感度が高いと評価できる。
【0171】本発明によれば、このようにして決定され
る最低露光量が100mJ/cm2以下、好ましくは5
0mJ/cm2以下、さらに好ましくは35mJ/cm2
であるような非常に高感度の感光性樹脂組成物を得るこ
とが可能である。
【0172】本発明の感光性樹脂組成物は、カラーフィ
ルターの着色層、当該着色層を被覆する保護層、及び、
液晶パネルのセルギャップを維持するための柱状スペー
サーを形成するのに適している。
【0173】カラーフィルターは、透明基板に所定のパ
ターンで形成されたブラックマトリックスと、当該ブラ
ックマトリックス上に所定のパターンで形成した着色層
と、当該着色層を覆うように形成された保護膜を備えて
いる。保護膜上に必要に応じて液晶駆動用の透明電極が
形成される場合もある。また、ブラックマトリックス層
が形成された領域に合わせて、透明電極板上若しくは着
色層上若しくは保護膜上に柱状スペーサーが形成される
場合もある。
【0174】着色層は赤色パターン、緑色パターン及び
青色パターンがモザイク型、ストライプ型、トライアン
グル型、4画素配置型等の所望の形態で配列されてな
り、ブラックマトリックスは各着色パターンの間及び着
色層形成領域の外側の所定領域に設けられている。着色
層は、様々な方法で形成できるが、上記した感光性樹脂
組成物を用いて顔料分散法により形成するのが好まし
い。すなわち、上記した感光性樹脂組成物に着色顔料を
分散させて塗工材料を調製し、透明基板の一面側に塗布
し、フォトマスクを介して紫外線を照射することにより
露光し、アルカリ現像後、クリーンオーブン等で加熱硬
化することにより着色層を形成できる。着色層は、通
常、1.5μm程度の厚さに形成する。
【0175】ブラックマトリックスは、染色法、顔料分
散法、印刷法、電着法のいずれを用いても形成すること
ができ、また、クロム蒸着等により形成してもよい。
【0176】保護膜は、上記した感光性樹脂組成物の塗
工液を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、
印刷等の方法により塗布して形成することができる。保
護膜は、例えば、2μm程度の厚さに形成する。スピン
コーターを使用する場合、回転数は500〜1500回
転/分の範囲内で設定する。感光性樹脂組成物の塗工膜
は、フォトマスクを介して紫外線を照射することにより
露光され、アルカリ現像後、クリーンオーブン等で加熱
硬化されて保護膜となる。
【0177】保護膜上の透明電極は、酸化インジウムス
ズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(Sn
O)等、およびそれらの合金等を用いて、スパッタリン
グ法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形
成され、必要に応じてフォトレジストを用いたエッチン
グ又は治具の使用により所定のパターンとしたものであ
る。この透明電極の厚みは20〜500nm程度、好ま
しくは100〜300nm程度とすることできる。
【0178】透明電極上の柱状スペーサーも、上記した
感光性樹脂組成物の塗工液を、スピンコーター、ロール
コーター、スプレイ、印刷等の方法により塗布し、フォ
トマスクを介する紫外線照射により露光し、アルカリ現
像後、クリーンオーブン等で加熱硬化することにより形
成できる。柱状スペーサーは、例えば、5μm程度の高
さに形成される。スピンコーターの回転数も保護膜を形
成する場合と同様に、500〜1500回転/分の範囲
内で設定すればよい。
【0179】このようにして製造されたカラーフィルタ
ーの内面側に配向膜を形成し、電極基板と対向させ、間
隙部に液晶を満たして密封することにより、液晶パネル
が得られる。
【0180】
【実施例】(実施例1) (1)共重合樹脂(1’)の合成 下記分量 ・トリシクロデカニルメタクリレート(TCDMA):
378g ・ベンジルメタクリレート(BzMA):343g ・アクリル酸(AA):128g ・2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA):
94g のTCDMA、BzMA、AA、HEMAを、アゾビス
イソブチロニトリル(AIBN)5gと共に、650g
の酢酸−3−メトキシブチルに溶解した溶液を、酢酸−
3−メトキシブチル1000gを入れた重合槽中に、1
00℃で6時間かけて滴下し、重合させ、原料重合体の
溶液を得た。
【0181】次に、得られた原料重合体の溶夜に、下記
組成 ・2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(M
OI):56g ・ラウリン酸ジブチル錫:1g ・酢酸−3−メトキシブチル:2260g ・ハイドロキノン(HQ):2.5g の混合物を一括添加した後、加熱攪拌して、アルコール
処理前の共重合樹脂(1’)を含有する反応液を得た。
反応の進行はIR(赤外線吸収スペクトル)によりモニ
ターしつつ、2200cm-1のイソシアネート基による
ピークが消失した時点まで反応させた。
【0182】各単量体の仕込み割合(モル%)は、次の
通りである。TCDMA:BzMA:AA:HEMA:
MOI=26.3:29.7:27.3:11.1:
5.5。
【0183】得られた反応液の固形分は23.6重量
%、粘度は45.6mPa・s/25℃だった。得られ
た反応液をガラス板上に塗布した後、室温で一晩減圧し
て乾燥させ溶剤を取り除いた。得られた固体の酸価は1
01.9mgKOH/g、重量平均分子量は25,40
0であった。
【0184】諸物性は、下記方法により測定した。
【0185】a.固形分: アルミ皿に反応液0.7〜
0.8gを精秤して入れ、105℃で6〜7時間熱風乾
燥機で乾燥させた後、直ちに乾燥重量を精秤し、反応液
重量に対する乾燥重量の割合を求めた。
【0186】b.粘度(mPa・s/25℃): B型
粘度計を用いてローターNo.1を用い、60回転にて
測定した。
【0187】c.酸価: 試料をアセトンに溶解させ、
クレゾールレッドを指示薬として1/10NのNaOH
で中和滴定することにより求めた。
【0188】d.水酸基価: 乾燥させた固形分1gを
アセチル化可能な酸価を中和するのに必要なKOHの重
量から求めた。
【0189】e.重量平均分子量: GPC測定条件及
びカラム カラム:Schodex GPC KF−805L(昭
和電工(株)製) 流量:1.0(ml/min.) 温度:40℃ 溶離液:テトラヒドロフラン 検出器:RI
【0190】(2)共重合樹脂(1)の調製(アルコー
ル処理体の調製) 共重合樹脂(1’)を含有する反応液(固形分23.6
重量%の酢酸−3−メトキシブチル溶液)に対して、1
0重量%の割合となるように1−ペンタノールを添加し
た後、熟成させた。1−ペンタノールを添加した反応液
の一部は、90℃で11時間加熱攪拌して熟成させた。
また、別の一部は、70℃で30時間加熱攪拌して熟成
させた。熟成完了後に、どちらの場合も、酸無水物基
〔1783〜1822cm-1〕/ベンゼン環〔683〜
721cm-1〕で表される面積比が0.03以下になっ
たことを、FT−IRスペクトルで確認した。このよう
にして、共重合樹脂(1’)のアルコール処理体である
共重合樹脂(1)を含有する反応液を得た。得られた反
応液の固形分濃度は22.6重量%、粘度は30.6m
Pa・s/25℃だった。
【0191】(3)感光性樹脂組成物(1)の調製 下記分量の各材料 ・上記の共重合樹脂(1)を含有する反応液(固形分2
2.6重量%):280.0重量部 ・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:15
0.0重量部 ・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−
モルフォリノプロパノン−1:9.8重量部 ・2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,
4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾー
ル:7.0重量部 ・ジエチレングリコールジメチルエーテル:59.0重
量部 ・酢酸−3−メトキシブチル:7.4重量部 を室温で攪拌・混合し、感光性樹脂組成物(1)を得
た。
【0192】(実施例2) (1)共重合樹脂(2)の調製 各単量体の仕込み割合を次のように変更した以外は実施
例1と同様にして樹脂の合成を行い、共重合樹脂(2)
を得た。 ・TCDMA:BzMA:AA:HEMA:MOI=1
2.7:44.6:26.5:10.8:5.4
【0193】(2)感光性樹脂組成物(2)の調製 また、共重合樹脂(1)を共重合樹脂(2)に変更した
以外は実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物(2)
を得た。
【0194】(比較例1) (1)共重合樹脂(3)の調製 各単量体の仕込み割合を次のように変更した以外は実施
例1と同様にして樹脂の合成を行い、共重合樹脂(3)
を得た。
【0195】・TCDMA:BzMA:AA:HEM
A:MOI=55.0:11.7:22.5:10.
8:5.4
【0196】(比較例2) (1)共重合樹脂(4)の調製 各単量体の仕込み割合を次のように変更した以外は実施
例1と同様にして樹脂の合成を行い、共重合樹脂(4)
を得た。 ・BzMA:AA:HEMA:MOI=57.3:2
6.5:10.8:5.4
【0197】(2)感光性樹脂組成物(3)の調製 また、共重合樹脂(1)を共重合樹脂(4)に変更した
以外は実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物(3)
を得た。
【0198】(実施例3) (1)ブラックマトリックスの形成 厚み1.1mmのガラス基板(旭硝子(株)製AL材)
上に、下記分量 ・黒色顔料:23重量部 ・高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製Di
sperbyk 111):2重量部 ・溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル):7
5重量部 の成分を混合し、サンドミルにて十分に分散し、黒色顔
料分散液を調製した。
【0199】次に、下記分量 ・上記の黒色顔料分散液:61重量部 ・実施例1の感光性樹脂組成物(1):20重量部 ・ジエチレングリコールジメチルエーテル:30重量部 の成分を十分に混合して、遮光層用組成物を得た。
【0200】そして、厚み1.1mmのガラス基板(旭
硝子(株)製AL材)上に上記遮光層用組成物をスピン
コーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、膜厚約
1μmの遮光層を形成した。当該遮光層を、超高圧水銀
ランプで遮光パターンに露光した後、0.05%水酸化
カリウム水溶液で現像し、その後、基板を180℃の雰
囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して
遮光部を形成すべき領域にブラックマトリックスを形成
した。
【0201】(2)着色層の形成 上記のようにしてブラックマトリックスを形成した基板
上に、下記組成の赤色感光性樹脂組成物をスピンコーテ
ィング法により塗布(塗布厚み1.5μm)し、その
後、70℃のオーブン中で30分間乾燥した。
【0202】次いで、赤色感光性樹脂組成物の塗布膜か
ら100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシ
ミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを
用いて着色層の形成領域に相当する領域にのみ紫外線を
10秒間照射した。次いで、0.05%水酸化カリウム
水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像
し、赤色感光性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを
除去した。その後、基板を180℃の雰囲気中に30分
間放置することにより加熱処理を施して赤色画素を形成
すべき領域に赤色のレリーフパターンを形成した。
【0203】次に、下記組成の緑色感光性樹脂組成物を
用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程で、
緑色画素を形成すべき領域に緑色のレリーフパターンを
形成した。
【0204】さらに、下記組成の青色感光性樹脂組成物
を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程
で、青色画素を形成すべき領域に青色のレリーフパター
ンを形成し、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色から
なる着色層を作成した。
【0205】a.赤色感光性樹脂組成物の組成 ・C.I.ピグメントレッド177:10重量部 ・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部 ・実施例1の感光性樹脂組成物(1):5重量部 ・酢酸−3−メトキシブチル:82重量部 b.緑色感光性樹脂組成物の組成 ・C.I.ピグメントグリーン36:10重量部 ・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部 ・実施例1の感光性樹脂組成物(1):5重量部 ・酢酸−3−メトキシブチル:82重量部 c.青色感光性樹脂組成物の組成 ・C.I.ピグメントブルー:10重量部 ・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部 ・実施例1の感光性樹脂組成物(1):5重量部 ・酢酸−3−メトキシブチル:82重量部
【0206】(保護膜の形成)感光性樹脂組成物(1)
の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置し
てプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水
銀ランプを用いて着色層の形成領域に相当する領域にの
み紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05%水酸
化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してア
ルカリ現像し、感光性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分
のみを除去した。その後、基板を200℃の雰囲気中に
30分間放置することにより加熱処理を施して保護膜を
形成し、本発明のカラーフィルターを得た。
【0207】(スペーサーの形成)感光性樹脂組成物
(1)の塗布膜から100μmの距離に、所定の形状、
大きさ、及び、間隔を有する露光パターンを形成できる
ように設計されたフォトマスクを配置してプロキシミテ
ィアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用い
て、ブラックマトリックス上のスペーサーの形成領域に
のみ紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05%水
酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬して
アルカリ現像し、感光性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部
分のみを除去した。その後、基板を200℃の雰囲気中
に30分間放置することにより加熱処理を施して固定ス
ペーサーを形成し、本発明のカラーフィルターを得た。
【0208】(実施例4)実施例3で得たカラーフィル
ターの固定スペーサーを含む表面に、基板温度200℃
でアルゴンと酸素を放電ガスとし、DCマグネトロンス
パッタリング法によってITOをターゲットとして透明
電極膜を成膜した。その後、さらに透明電極膜上にポリ
イミドよりなる配向膜を形成した。
【0209】次いで、上記カラーフィルターと、TFT
を形成したガラス基板とを、エポキシ樹脂をシール材と
して用い、150℃で0.3kg/cm2の圧力をかけ
て接合してセル組みし、TN液晶を封入して、本発明の
液晶表示装置を作製した。
【0210】(アルカリ可溶性の評価)実施例1で得ら
れた共重合樹脂(1)を含有する反応液、すなわちアル
コール処理後の反応液(固形分:約22.6wt%、溶
剤:酢酸−3−メトキシブチル)をテトラヒドロフラン
で希釈し、その希釈液をイソプロピルアルコール、ヘキ
サン又は両者の混合溶剤(イソプロピルアルコール:ヘ
キサン(重量比)=100:0〜0:100)中に滴下
し、析出した固体を回収し、さらに析出した固体を再び
酢酸−3−メトキシブチルで溶解し、テトラヒドロフラ
ンで希釈し、得られた希釈液を前回と同じか又は異なる
比率のイソプロピルアルコール及び/又はヘキサンの単
独又は混合溶剤中に滴下し、析出した固体を回収する。
このような、再沈工程を3回繰り返すことにより、共重
合体の精製を行う。次に精製した共重合体5gを0.5
%−KOH水溶液100mL中に添加し、1時間攪拌し
た後の共重合樹脂の溶解性を目視により評価した。同じ
ようにして、実施例2で得られた共重合樹脂(2)を含
有する溶液のアルカリ溶解性を評価した。評価結果を第
1表に示す。
【0211】(透明性の評価)実施例1で得られた共重
合樹脂(1)を含有する反応液に酢酸−3−メトキシブ
チルを加えて希釈し、樹脂固形分として20wt%溶液
を調製し、1cm画の石英セルに入れ、400nmの光
線透過率を測定した。同じようにして、実施例2で得ら
れた共重合樹脂(2)を含有する溶液の光線透過率を測
定した。測定結果を第1表に示す。
【0212】
【表1】
【0213】(保存性の評価)実施例1で得られたアル
コール未処理の高感度樹脂(1’)を含有する反応液、
及び、アルコール処理した高感度樹脂(1)を含有する
反応液を、室温及び高温で保存した。そして、保存期間
終了後の粘度を、各反応液の調製直後に行ったのと同様
にB型粘度計を用いて測定した。
【0214】また、実施例2で得られたアルコール未処
理の感光性樹脂組成物(2’)、及び、アルコール処理
した感光性樹脂組成物(2)を、室温及び高温で保存し
た。そして、保存期間終了後の粘度を、同様にB型粘度
計を用いて測定した。調製直後の粘度に対する保存期間
終了後の粘度の比を第2表に示す。
【0215】
【表2】
【0216】(感度の評価)10cm画のガラス基板上
に、実施例1で得られた感光性樹脂組成物(1)をスピ
ンコーター(MIKASA製、形式1H−DX2)によ
り、塗布、乾燥し、乾燥膜厚2μmの塗布膜を形成し
た。この塗布膜をホットプレート上で90℃、3分間加
熱した。加熱後、塗布膜から100μmの距離にフォト
マスクを配置して2.0kWの超高圧水銀ランプを装着
したUVアライナー(大日本スクリーン製、形式MA
1200)によって、同一塗膜を4等分した各領域のそ
れぞれに、25、35、50、100mJ/cm2の強
度(405nm照度換算)で紫外線を照射した。
【0217】紫外線の照射後、これら4つの各領域か
ら、寸法が約1mm×3mmの矩形状に塗布膜を削り取
ってガラス基板を部分的に露出させ、触針式表面粗度測
定装置(日本アネルバ(株)製、Dektak 160
0)により各照射領域の膜厚を測定し、現像前膜厚とし
た。
【0218】次いで、塗布膜の露光部に0.05wt%
の水酸化カリウム水溶液をスピン現像機(Applie
d Process Technology,INK、
MODEL:915)にて60秒間散布し、未露光部を
溶解、除去し、残った露光部を純水で60秒間水洗する
ことにより現像した。現像後、露光部の膜をクリーンオ
ーブン(忍足研究所(株)製、SCOV−250 Hy
−So)により、200℃で30分間加熱した。そし
て、得られた膜の各領域の膜厚を、前述したのと同じ方
法で測定し、最終硬化後膜厚とした。
【0219】このようにして測定された現像前膜厚と最
終硬化後膜厚とから次式に従って、残膜率を計算した。
【0220】残膜率(%)=(最終硬化後膜厚(μm)
÷現像前膜厚(μm))×100
【0221】一方、リファレンス残膜率を、次のように
して決定した。先ず、塗布膜の全面に100mJ/cm
2の強度で露光したこと以外はサンプルと同じ方法で、
感光性樹脂組成物(1)の完全露光膜厚を測定した。次
に、100mJ/cm2露光した塗布膜を現像はせず
に、サンプルと同じ方法で加熱だけした後、得られた膜
の膜厚を前述したのと同じ方法で測定し、現像工程無し
の最終膜厚とした。そして、測定された完全露光膜厚と
現像工程無しの最終膜厚とから次式に従って、リファレ
ンス残膜率を計算した。
【0222】リファレンス残膜率(%)=(現像工程無
しの最終膜厚(μm)÷完全露光膜厚(μm))×10
【0223】このようにして算出された残膜率が誤差範
囲1%としてリファレンス残膜率と等しくなった最も小
さい露光量を、感光性樹脂組成物(1)の最低露光量と
決定した。
【0224】さらに、上述したのと同じ方法により、感
光性樹脂組成物(2)の塗布膜を形成し、現像前膜厚、
最終硬化後膜厚、完全露光膜厚、及び現像工程無しの最
終膜厚を測定し、感光性樹脂組成物(2)の最低露光量
を決定した。
【0225】このようにして、各感光性樹脂組成物
(1)及び(2)について最低露光量を決定した。結果
を第3表に示す。
【0226】(硬度の評価)実施例1で得られた感光性
樹脂組成物(1)をガラス基板上にスピンコートし、1
00mJ/cm2の照射量で露光後、200℃で30分
加熱し作成した膜厚1μmの塗膜を、ビッカース圧子を
最大荷重5mNとなる条件で表面硬度をビッカース硬度
として測定した。同じようにして、実施例2で得られた
感光性樹脂組成物(2)の硬化膜の硬度を測定した。測
定結果を第3表に示す。
【0227】
【表3】
【0228】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、耐熱性
や強度に貢献する脂肪族環状炭化水素基や、アルカリ可
溶性基、及び、硬化性に寄与する(メタ)アクリロイル
基等のラジカル重合性基の含有量を自由に制御可能な新
規な共重合樹脂を提供するものである。
【0229】この硬化性樹脂は、非常に感度が高く、少
ない露光量で短時間のうちに硬化させることができ、硬
化膜の硬度も非常に高く、また、耐熱性や強度にも優れ
ている。また、塗工作業時や保存中に粘度上昇を生じ難
いので、塗工適性にも優れ、平坦に又は正確な形状に塗
膜を形成できる。従って、特にカラーフィルターの着色
層、保護膜または液晶パネルのセルギャップを維持する
ための柱状スペーサーを形成するのに適した硬化性樹脂
である。この硬化性樹脂を、重合性のモノマーと混合す
ることによって、特にカラーフィルターの着色層、保護
膜または液晶パネルのセルギャップを維持するための柱
状スペーサーを形成するのに適した感光性樹脂組成物が
得られる。
【0230】また、本発明の硬化性樹脂は、必要に応じ
てアルコール処理が行われている。このようなアルコー
ル処理体は、溶剤に溶解又は分散させても分子量の増大
や粘度の上昇を引き起こしにくく、アルコール未処理体
と比べて安定性が非常に高い。従って、溶液に調製した
時の保存性に優れ、室温で長期間保存することも可能に
なる。また、当該アルコール処理体の溶液は、使用中に
粘度が上昇しないので取り扱いやすい。
【0231】さらに、本発明の共重合樹脂を製造する際
に、非ニトリル系アゾ系又はパーオキサイド系の重合開
始剤を用いて原料重合体を調製することにより、透明性
の非常に優れた硬化性樹脂が得られる。また、透明性が
高い場合には、共重合樹脂の塗膜の内部に光が充分に到
達するので、感度の向上にも貢献する。
【0232】従って、本発明の共重合樹脂を主成分とす
る光硬化性の樹脂組成物は、感度が高くて、少ない露光
量で短時間のうちに硬化させることができる。また、本
発明の感光性樹脂組成物は、粘度上昇が起き難いので、
保存性が高く、また、塗工ムラのない皮膜及びパターン
が得られる。さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、高
い透明性が求められる場合にも使用できる。
【0233】そして、本発明の感光性樹脂組成物は、特
に、カラーフィルターの着色層、当該着色層を被覆する
保護層、及び、液晶パネルのセルギャップを維持するた
めの柱状スペーサーを形成するためのコーティング材料
として適している。すなわち、本発明の感光性樹脂組成
物を用いると、高感度により生産性が高く、優れた塗工
性により均一で寸法安定性に優れた着色層、保護膜、及
び柱状スペーサーを形成することができ、しかも、着色
層及び保護膜にとって必要な透明性の要求を満たすこと
もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶パネルの一例についての模式的断面図であ
る。
【図2】液晶パネルの別の例についての模式的断面図で
ある。
【符号の説明】 1…カラーフィルター 2…電極基板 3…間隙部 4…シール材 5…透明基板 6…ブラックマトリックス層 7(7R、7G、7B)…着色層 8…保護膜 9…透明電極膜 10…配向膜 11…パール 12…柱状スペーサー
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 220/58 C08F 220/58 290/12 290/12 G02B 5/20 101 G02B 5/20 101 G03F 7/004 511 G03F 7/004 511 (72)発明者 中村 和彦 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA04 AA13 AB13 AC01 AD01 BC13 BC42 BD23 BD43 CA00 FA17 2H048 BA45 BA47 BA48 BB02 BB08 BB37 BB44 4J011 CC07 CC10 QA13 QA22 QA23 QA24 QB03 QB23 SA21 SA31 SA62 SA64 SA72 SA73 SA78 SA83 UA01 VA01 WA01 4J027 AA02 AG02 AG04 AG09 BA23 CB10 CC05 CD00 CD10 4J100 AA00P AJ02P AJ02Q AJ02R AL03P AL08P AL08Q AL08R AL08S AM21P BA02H BA03H BA03P BA03Q BA03S BA15H BA34H BA42P BA42Q BC08P BC08R BC12R BC26R BC43Q BC54P BC54Q CA06 FA03 HA11 HA62 HC11 HC29 HC51 JA37 JA38 JA39

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、下記式1で表される脂肪族
    環状炭化水素基を有する構成単位と、酸性官能基を有す
    る構成単位と、ラジカル重合性基を有する構成単位とが
    連結した分子構造を有する脂肪族環状炭化水素基含有共
    重合体からなる硬化性樹脂、及び、2官能以上のエチレ
    ン性不飽和結合を有する重合性化合物を必須成分として
    含有することを特徴とする、感光性樹脂組成物。 【化1】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5の
    アルキル基であり、Aは、下記式2a乃至2dのいずれ
    かで表される連結構造であり、Bは、炭素数6以上の脂
    肪族環状炭化水素基である。) 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】(式中、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基
    であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル
    基である。また、*は主鎖側の結合を表し、**は脂肪
    族環状炭化水素基側の結合を表す。)
  2. 【請求項2】 前記硬化性樹脂の前記式1で表される構
    成単位が、下記式1aで表される構成単位であることを
    特徴とする、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。 【化6】(式中、R及びAは上記と同じである。R
    は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基で
    あって同一でも異なっていてもよく、Rは、それぞれ
    水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であって同一で
    も異なっていてもよく又は両者が一つとなって炭素環を
    形成していてもよい。)
  3. 【請求項3】 前記式1aで表される構成単位が、脂肪
    族環状炭化水素基としてジシクロペンタニル基、ジシク
    ロペンテニル基又はイソボニル基を有することを特徴と
    する、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記式1で表される構成単位の前記連結
    構造Aが、前記式2a又は式2cで表される連結構造で
    あることを特徴とする、請求項3に記載の感光性樹脂組
    成物。
  5. 【請求項5】 前記硬化性樹脂は、少なくとも前記式1
    で表される脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位と、
    前記酸性官能基を有する構成単位と、水酸基を有する構
    成単位からなる主鎖を有し、ラジカル重合性基含有エポ
    キシド化合物が当該エポキシド化合物のエポキシ基を介
    して前記酸性官能基の少なくとも一部にエステル結合し
    且つ/又は前記水酸基の少なくとも一部にエーテル結合
    している脂肪族環状炭化水素基含有共重合体からなるこ
    とを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載の感光
    性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記主鎖は、前記酸性官能基を有する構
    成単位として下記式3で表される構成単位、及び、前記
    水酸基を有する構成単位として下記式4で表される構成
    単位を有すると共に、前記ラジカル重合性基含有エポキ
    シド化合物として、下記式12で表される1,2−エポ
    キシド化合物が結合していることを特徴とする、請求項
    5に記載の感光性樹脂組成物。 【化7】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5の
    アルキル基である。) 【化8】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5の
    アルキル基であり、Rは、炭素数2〜4のアルキレン
    基である。) 【化9】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5の
    アルキル基であり、R10は、炭素数2〜4のアルキレ
    ン基である。)
  7. 【請求項7】 前記硬化性樹脂は、少なくとも前記式1
    で表される脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位と、
    前記酸性官能基を有する構成単位と、水酸基を有する構
    成単位からなる主鎖を有し、ラジカル重合性基含有イソ
    シアネート化合物が当該イソシアネート化合物のイソシ
    アネート基を介して前記酸性官能基の少なくとも一部に
    アミド結合し且つ/又は前記水酸基の少なくとも一部に
    ウレタン結合している脂肪族環状炭化水素基含有共重合
    体からなることを特徴とする、請求項1乃至4いずれか
    に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記主鎖は、前記酸性官能基を有する構
    成単位として下記式3で表される構成単位、及び、前記
    水酸基を有する構成単位として下記式4で表される構成
    単位を有すると共に、前記ラジカル重合性基含有イソシ
    アネート化合物として、下記式13で表される(メタ)
    アクリロイルオキシアルキルイソシアネート化合物が結
    合していることを特徴とする、請求項7に記載の感光性
    樹脂組成物。 【化10】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
    のアルキル基である。) 【化11】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
    のアルキル基であり、Rは、炭素数2〜4のアルキレ
    ン基であ。) 【化12】(式中、R11は水素原子又はメチル基であ
    り、R12はアルキレン基である。)
  9. 【請求項9】 前記硬化性樹脂は、さらに、アルコール
    が当該アルコールの水酸基を介して、前記主鎖の酸性官
    能基の少なくとも一部にエステル結合していることを特
    徴とする、請求項7又は8に記載の感光性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 前記硬化性樹脂は、少なくとも前記式
    1で表される脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位
    と、前記酸性官能基を有する構成単位と、エポキシ基を
    有する構成単位とからなる主鎖を有し、ラジカル重合性
    基含有カルボキシル化合物が自己のカルボキシル基を介
    して前記エポキシ基の少なくとも一部にエステル結合し
    ている脂肪族環状炭化水素基含有共重合体からなること
    を特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載の感光性
    樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 前記主鎖は、前記酸性官能基を有する
    構成単位として下記式3で表される構成単位、及び、前
    記エポキシ基を有する構成単位として下記式5で表され
    る構成単位を有すると共に、前記ラジカル重合性基含有
    カルボキシル化合物として、下記式10で表される不飽
    和カルボン酸が結合していることを特徴とする、請求項
    10に記載の感光性樹脂組成物。 【化13】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
    のアルキル基である。) 【化14】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
    のアルキル基であり、R10は、炭素数2〜4のアルキ
    レン基である。) 【化15】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
    のアルキル基である。)
  12. 【請求項12】 前記硬化性樹脂は、少なくとも前記式
    1で表される脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位
    と、前記酸性官能基を有する構成単位と、エポキシ基を
    有する構成単位とからなる主鎖を有し、ラジカル重合性
    基含有水酸化化合物が当該水酸化化合物の水酸基を介し
    て前記エポキシ基の少なくとも一部にエーテル結合して
    いる脂肪族環状炭化水素基含有共重合体からなることを
    特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載の感光性樹
    脂組成物。
  13. 【請求項13】 前記主鎖は、前記酸性官能基を有する
    構成単位として下記式3で表される構成単位、及び、前
    記エポキシ基を有する構成単位として下記式5で表され
    る構成単位を有すると共に、前記ラジカル重合性基含有
    水酸化化合物として、下記式11で表される不飽和水酸
    化化合物が結合していることを特徴とする、請求項12
    に記載の感光性樹脂組成物。 【化16】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
    のアルキル基である。) 【化17】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
    のアルキル基であり、R10は、炭素数2〜4のアルキ
    レン基である。) 【化18】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
    のアルキル基であり、Rは、炭素数2〜4のアルキレ
    ン基である。)
  14. 【請求項14】 前記硬化性樹脂は、少なくとも前記式
    1で表される脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位
    と、前記酸性官能基を有する構成単位と、イソシアネー
    ト基を有する構成単位とからなる主鎖を有し、ラジカル
    重合性基含有カルボキシル化合物が自己のカルボキシル
    基を介して前記イソシアネート基の少なくとも一部にア
    ミド結合している脂肪族環状炭化水素基含有共重合体か
    らなることを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記
    載の感光性樹脂組成物。
  15. 【請求項15】 前記主鎖は、前記酸性官能基を有する
    構成単位として下記式3で表される構成単位、及び、前
    記イソシアネート基を有する構成単位として下記式6で
    表される構成単位を有すると共に、前記ラジカル重合性
    基含有カルボキシル化合物として、下記式10で表され
    る不飽和カルボン酸が結合していることを特徴とする、
    請求項14に記載の感光性樹脂組成物。 【化19】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
    のアルキル基である。) 【化20】(式中、R11は、水素原子又はメチル基で
    あり、R12は、アルキレン基である。) 【化21】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
    のアルキル基である。)
  16. 【請求項16】 前記硬化性樹脂は、少なくとも前記式
    1で表される脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位
    と、前記酸性官能基を有する構成単位と、イソシアネー
    ト基を有する構成単位とからなる主鎖を有し、ラジカル
    重合性基含有水酸化化合物が当該水酸化化合物の水酸基
    を介して前記イソシアネート基の少なくとも一部にウレ
    タン結合している脂肪族環状炭化水素基含有共重合体か
    らなることを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記
    載の感光性樹脂組成物。
  17. 【請求項17】 前記主鎖は、前記酸性官能基を有する
    構成単位として下記式3で表される構成単位、及び、前
    記イソシアネート基を有する構成単位として下記式6で
    表される構成単位を有すると共に、前記ラジカル重合性
    基含有水酸化化合物として、下記式11で表される不飽
    和水酸化化合物が結合していることを特徴とする、請求
    項16に記載の感光性樹脂組成物。 【化22】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
    のアルキル基である。) 【化23】(式中、R11は、水素原子又はメチル基で
    あり、R12は、アルキレン基である。) 【化24】(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜5
    のアルキル基であり、Rは、炭素数2〜4のアルキレ
    ン基である。)
  18. 【請求項18】 前記硬化性樹脂は、主鎖構成単位とし
    て、さらに、下記式7で表される構成単位、及び/又は
    下記式8で表される構成単位を有することを特徴とす
    る、請求項1乃至17いずれかに記載の感光性樹脂組成
    物。 【化25】(式中、R13は、水素原子又は炭素数1〜
    5のアルキル基であり、R14は、芳香族炭素環であ
    る。) 【化26】(式中、R15は、水素原子又は炭素数1〜
    5のアルキル基であり、R16は、アルキル基又はアラ
    ルキルである。)
  19. 【請求項19】 前記硬化性樹脂は、仕込み量換算で、
    前記式1で表される構成単位を5〜50モル%、前記酸
    性官能基を有する構成単位を5〜50モル%、前記水酸
    基を有する構成単位を2〜50モル%、前記式7で表さ
    れる構成単位を0〜75モル%、前記式8で表される構
    成単位を0〜75モル%、及び、前記ラジカル重合性基
    含有エポキシド化合物又は前記ラジカル重合性基含有イ
    ソシアネート化合物を2〜50モル%の割合で含有し、
    酸価が5〜400mgKOH/gであり、且つ、ポリス
    チレン換算重量平均分子量が10,000〜1,00
    0,000であることを特徴とする、請求項18に記載
    の感光性樹脂組成物。
  20. 【請求項20】 前記硬化性樹脂は、仕込み量換算で、
    前記式1で表される構成単位を5〜50モル%、前記酸
    性官能基を有する構成単位を5〜50モル%、前記エポ
    キシ基を有する構成単位又は前記イソシアネート基を有
    する構成単位を2〜50モル%、前記式7で表される構
    成単位を0〜75モル%、前記式8で表される構成単位
    を0〜75モル%、及び、前記ラジカル重合性基含有カ
    ルボキシル化合物又は前記ラジカル重合性基含有水酸化
    化合物を2〜50モル%の割合で含有し、酸価が5〜4
    00mgKOH/gであり、且つ、ポリスチレン換算重
    量平均分子量が10,000〜1,000,000であ
    ることを特徴とする、請求項18に記載の感光性樹脂組
    成物。
  21. 【請求項21】 前記重合性化合物は、3官能以上のエ
    チレン性不飽和結合を有する重合性化合物であることを
    特徴とする、請求項1乃至20いずれかに記載の感光性
    樹脂組成物。
  22. 【請求項22】 さらに光重合開始剤を含有することを
    特徴とする、請求項1乃至21いずれかに記載の感光性
    樹脂組成物。
  23. 【請求項23】 前記感光性樹脂組成物をガラス基板上
    にスピンコートし、100mJ/cmの照射量で露光
    後、200℃で30分加熱して作成した膜厚1μmの塗
    膜について、ビッカース圧子の最大荷重5mNとなる条
    件で表面硬度を測定したときのビッカース硬度が60以
    上であることを特徴とする、請求項1乃至22いずれか
    に記載の感光性樹脂組成物。
  24. 【請求項24】 前記の感光性樹脂組成物を基板上に塗
    布し、プリベークして形成した塗膜を露光してから膜厚
    (現像前膜厚)を測定し、露光した塗膜を現像し、ポス
    トベークしてから再び膜厚(最終硬化後膜厚)を測定
    し、下記式 残膜率(%)=(最終硬化後膜厚(μm)÷現像前膜厚
    (μm))×100 に従って残膜率を測定し、 一方、同じ感光性樹脂組成物を、残膜率を測定するのと
    同じ条件で基板上に塗布し、プリベークした塗膜を露光
    により完全に硬化させてから膜厚(完全露光膜厚)を測
    定し、露光した塗膜を、現像工程は省略して残膜率を測
    定するのと同じ条件でポストベークしてから再び膜厚
    (現像工程無しの最終膜厚)を測定し、下記式 リファレンス残膜率(%)=(現像工程無しの最終膜厚
    (μm)÷完全露光膜厚(μm))×100 に従ってリファレンス残膜率を測定し、 算出された残膜率が誤差範囲1%としてリファレンス残
    膜率と等しくなる最も小さい露光量を最低露光量と決定
    する時に、当該最低露光量が100mJ/cm以下で
    あることを特徴とする、請求項1乃至23いずれかに記
    載の感光性樹脂組成物。
  25. 【請求項25】 透明基板と、当該透明基板上に形成さ
    れた着色層と、当該着色層を被覆する保護膜とを備え、
    前記の着色層及び保護膜のうちの少なくともひとつが、
    前記請求項1乃至24いずれかに記載の感光性樹脂組成
    物を硬化させて形成したものであることを特徴とする、
    カラーフィルター。
  26. 【請求項26】 透明基板と、当該透明基板上に形成さ
    れた着色層と、対向させるべき電極基板との間隔を維持
    するために非表示部と重なり合う位置に設けられたスペ
    ーサーとを備え、前記のスペーサーが前記請求項1乃至
    24いずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化させて形
    成したものであることを特徴とする、カラーフィルタ
    ー。
  27. 【請求項27】 前記請求項25又は26に記載のカラ
    ーフィルターと、電極基板とを対向させ、両者の間に液
    晶化合物を封入してなることを特徴とする、液晶パネ
    ル。
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