[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2002256064A - 3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸ユニット及び3−ヒドロキシ−5−(4−シアノフェノキシ)吉草酸ユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート、およびその製造方法 - Google Patents

3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸ユニット及び3−ヒドロキシ−5−(4−シアノフェノキシ)吉草酸ユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート、およびその製造方法

Info

Publication number
JP2002256064A
JP2002256064A JP2001057084A JP2001057084A JP2002256064A JP 2002256064 A JP2002256064 A JP 2002256064A JP 2001057084 A JP2001057084 A JP 2001057084A JP 2001057084 A JP2001057084 A JP 2001057084A JP 2002256064 A JP2002256064 A JP 2002256064A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
unit
microorganism
hydroxy
pha
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001057084A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Imamura
剛士 今村
Takashi Kenmoku
敬 見目
Tsutomu Honma
務 本間
Etsuko Sugawa
悦子 須川
Tetsuya Yano
哲哉 矢野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2001057084A priority Critical patent/JP2002256064A/ja
Publication of JP2002256064A publication Critical patent/JP2002256064A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 PHA及びその製造方法において,従来法ではほ
とんど含まれなかった3-ヒドロキシ-5-(4-シアノフェノ
キシ)吉草酸ユニットの含有量を高め,かつ3-ヒドロキ
シ-5-フェノキシ吉草酸ユニットをも含んだポリマー,
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 下記化学式[4][5]で示される化合物を含
む培地中で微生物を培養し,培養後の細胞から分離精製
することで,下記化学式[1]で示される3-ヒドロキシ-5-
(4-シアノフェノキシ)吉草酸ユニット,下記化学式[2]で
示される3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸ユニットを
それぞれ1%以上含むPHAを得る。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なポリヒドロキ
シアルカノエート(以下、PHAと略す場合もある)に関
する。また、PHAを生産し菌体内に蓄積する能力を有
する微生物を用いた当該PHAの極めて効率的な製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、多くの微生物がポリ-3-ヒド
ロキシ酪酸(以下、PHBと略す場合もある)あるいはそ
の他のPHAを生産し、菌体内に蓄積することが報告さ
れてきた(「生分解性プラスチックハンドブック」,生分
解性プラスチック研究会編,(株)エヌ・ティー・エス,P
178-197)。これらのポリマーは従来のプラスチックと同
様に、溶融加工等により各種製品の生産に利用すること
ができる。さらに、生分解性であるがゆえに、自然界で
微生物により完全分解されるという利点を有しており、
従来の多くの合成高分子化合物のように自然環境に残留
して汚染を引き起こすことがない。また、生体適合性に
も優れており、医療用軟質部材等としての応用も期待さ
れている。
【0003】このような微生物産生PHAは、その生産
に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等により、
様々な組成や構造のものとなり得ることが知られてお
り、これまで主に、PHAの物性の改良という観点か
ら、このような組成や構造の制御に関する研究がなされ
てきた。
【0004】[1]まず、3-ヒドロキシ酪酸(以下、3H
Bと略す)をはじめとする比較的簡単な構造のモノマー
ユニットを重合させたPHAの生合成としては、次のも
のが挙げられる。
【0005】(a)3HBと3-ヒドロキシ吉草酸(以下3
HV)を含むもの 例えば、アルカリゲネス・ユウトロファス H16株(Alc
aligenes eutropus H16、ATCC No.17699)及びそ
の変異株は、その培養時の炭素源を変化させることによ
って、3-ヒドロキシ酪酸(以下、3HBと略す場合もあ
る)と3-ヒドロキシ吉草酸(以下、3HVと略す場合も
ある)との共重合体を様々な組成比で生産することが報
告されている(特表平6-15604号公報、特表平7-
14352号公報、特表平8-19227号公報など)。
【0006】特開平5-74492号公報では、メチロ
バクテリウム属(Methylobacteriumsp.)、パラコッカ
ス属(Paracoccus sp.)、アルカリゲネス属(Alcaligene
s sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)の微生物
を、炭素数3から7の第一アルコールに接触させること
により、3HBと3HVとの共重合体を生産させる方法
が開示されている。
【0007】(b)3HBと3-ヒドロキシヘキサン酸(以
下3HHx)を含むもの 特開平5-93049号公報、及び、特開平7-2650
65号公報では、アエロモナス・キャビエ(Aeromonas
caviae)を、オレイン酸やオリーブ油を炭素源として培
養することにより、3HBと3-ヒドロキシヘキサン酸
(以下、3HHxと略す場合もある)との2成分共重合体
を生産することが開示されている。
【0008】(c)3HBと4-ヒドロキシ酪酸(以下4H
B)を含むもの 特開平9-191893号公報では、コマモナス・アシ
ドボランス・IFO 13852株(Comamonas acidovorans
IFO 13852)が、炭素源としてグルコン酸及び1,4-
ブタンジオールを用いた培養により、3HBと4-ヒド
ロキシ酪酸とをモノマーユニットに持つポリエステルを
生産することが開示されている。
【0009】(d)炭素数6から 12 までの3-ヒドロキシ
アルカノエートを含むもの 特許公報第2642937号では、シュードモナス・オ
レオボランス・ATCC 29347株(Pseudomonas oleovo
rans ATCC 29347)に、炭素源として非環状脂肪族炭
化水素を与えることにより、炭素数が6から12までの
3-ヒドロキシアルカノエートのモノマーユニットを有
するPHAが生産されることが開示されている。
【0010】(e)単一の脂肪酸を炭素源とした生合成。
生産物は(d)とほぼ同様 Appl.Environ.Microbiol,58(2),746 (1992)に
は、シュードモナス・レジノボランス(Pseudomonas re
sinovorans)が、オクタン酸を単一炭素源として、3-ヒ
ドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキ
シオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸(量比 1:15:7
5:9)をモノマーユニットとするポリエステルを生産
し、また、ヘキサン酸を単一炭素源として、3-ヒドロ
キシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオ
クタン酸、3-ヒドロキシデカン酸(量比 8:62:23:7)
をユニットとするポリエステルを生産することが報告さ
れている。
【0011】これら(a)〜(e)はいずれも下記に示すよう
に、 (1)微生物による炭化水素等のβ酸化 (2)糖からの脂肪酸合成 により合成された、いずれも側鎖にアルキル基を有する
モノマーユニットからなるPHA、即ち、「usual PH
A」である。
【0012】(1)通常、PHAの生合成は、細胞内の様
々な代謝経路の中間体として生じる「D-3-ヒドロキシ
アシル-CoA」を基質とし、PHAシンターゼ(PHA
synthase)により行われる。
【0013】ここで、「CoA」とは「補酵素A(coenzy
me A)」のことである。そして上記(d)(e)の先行技術
に記載されている様に、オクタン酸やノナン酸等の脂肪
酸を炭素源とした場合、PHAの生合成は、「β酸化サ
イクル」中に生じた「D-3-ヒドロキシアシル-CoA」
が出発物質として行われるとされている。
【0014】以下に、「β酸化サイクル」を経由してP
HAが生合成されるまでの反応を示す。
【0015】
【化9】 (2)一方、グルコース等の糖類を基質とし、PHAを生
合成する場合は、「脂肪酸合成経路」中に生じた「D-
3-ヒドロキシアシル-ACP」から変換された「D-3-
ヒドロキシアシル-CoA」が出発物質として行われると
されている。
【0016】ここで、「ACP」とは「アシルキャリア
プロテイン(acyl carrier protein)」のことである。前
記(e)において、原料の脂肪酸よりも鎖長の長い3HA
モノマーユニットはこの脂肪酸合成経路を経由している
と考えられる。
【0017】[2]しかし、このような微生物産生PHA
のより広範囲な応用、例えば機能性ポリマーとしての応
用を考慮した場合、アルキル基以外の置換基を側鎖に導
入したPHA「unusual PHA」が極めて有用であるこ
とが期待される。置換基の例としては、芳香環を含むも
の(フェニル基、フェノキシ基、ベンゾイル基など)や、
不飽和炭化水素、エステル基、アリル基、シアノ基、ハ
ロゲン化炭化水素、エポキシドなどが挙げられる。
【0018】(f)このうち、不飽和炭化水素については
前記[1]の延長線上にある次の報告がある。
【0019】Int.J.Biol.Macromol.,16(3)、119
(1994)には、シュードモナス sp.61-3株(Pseudomonas
sp.61-3 strain)が、グルコン酸ナトリウムを単一炭素
源として、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン
酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン
酸、3-ヒドロキシドデカン酸といった3-ヒドロキシア
ルカン酸及び、3-ヒドロキシ-5-cis-デセン酸、3-ヒ
ドロキシ-5-cis-ドデセン酸といった3-ヒドロキシア
ルケン酸をユニットとするポリエステルを生産すること
が報告されている。この文献では前記(2)の脂肪酸合成
経路を利用した合成について詳述されている。
【0020】[3]「unusual PHA」の中でも、特に、
芳香環を有するPHAの研究が盛んになされている。
【0021】(g)フェニル基もしくはその部分置換体を
含むもの Makromol.Chem.,191,1957-1965(1990)及びMac
romolecules,24,5256-5260(1991)には、5-フェニ
ル吉草酸を基質として、シュードモナス オレオボラン
ス(Pseudomonas oleovorans)が3-ヒドロキシ-5-フェ
ニル吉草酸をユニットとして含むPHAを生産すること
が報告されている。
【0022】より詳細には、シュードモナス・オレオボ
ランスが5-フェニル吉草酸(以下、PVAと略す場合も
ある)とノナン酸とを基質として(モル比2:1、総濃度
10mmol/L)、3HV、3-ヒドロキシヘプタン酸、3-
ヒドロキシノナン酸、3-ヒドロキシウンデカン酸、3-
ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(以下、3HPVと略す
場合もある)をモノマーユニットとして、0.6:16.0:4
1.1:1.7:40.6 の量比で含むPHAを、培養液1Lあた
り 160mg(菌体に対する乾燥重量比 31.6%)生産し、ま
た、PVAとオクタン酸とを基質として(モル比1:1、
総濃度 10mmol/L)、3HHx、3-ヒドロキシオクタン
酸、3-ヒドロキシデカン酸、3HPVをモノマーユニ
ットとして、7.3:64.5:3.9:24.3の量比で含むPHA
を、培養液1Lあたり 200mg(菌体に対する乾燥重量比
39.2%)生産することが報告されている。この報告にお
けるPHAは、ノナン酸やオクタン酸が用いられている
ことからも主にβ酸化経路を経て合成されているものと
考えられる。
【0023】Macromolecules,29,1762-1766(1996)
には、5-(4'-トリル)吉草酸を基質として、シュード
モナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)が3
-ヒドロキシ-5-(4'-トリル)吉草酸をユニットとして
含むPHAを生産することが報告されている。
【0024】Macromolecules,32,2889-2895(1999)
には、5-(2',4'-ジニトロフェニル)吉草酸を基質と
して、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas o
leovorans)が3-ヒドロキシ-5-(2',4'-ジニトロフェ
ニル)吉草酸及び3-ヒドロキシ-5-(4'-ニトロフェニ
ル)吉草酸をユニットとして含むPHAを生産すること
が報告されている。
【0025】(h)フェノキシ基もしくはその部分置換体
を含むもの 側鎖にフェノキシ基をもつPHAは、通常の側鎖が脂肪
族炭化水素であるPHAに比べて熱的に特に安定であ
り、ポリマーの性状としても優れているため、フェノキ
シ基に置換基を導入することで更なる機能性を付与しよ
うとする試みがなされてきている。
【0026】Macromol.Chem.Phys.,195,1665-
1672(1994)には、11-フェノキシウンデカン酸を基質と
して、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas o
leovorans)が3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸と3-
ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸のPHAコポリマー
を生産することが報告されている。
【0027】また、Macromolecules,29,3432-3435
(1996)には、シュードモナス・オレオボランスを用い
て、6-フェノキシヘキサン酸から3-ヒドロキシ-4-フ
ェノキシ酪酸及び3-ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサ
ン酸をユニットとして含むPHAを、8-フェノキシオ
クタン酸から3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸及び3-
ヒドロキシ-6-フェノキシヘキサン酸及び3-ヒドロキ
シ-8-フェノキシオクタン酸をユニットとして含むPH
Aを、11-フェノキシウンデカン酸から3-ヒドロキシ
-5-フェノキシ吉草酸及び3-ヒドロキシ-7-フェノキ
シヘプタン酸をユニットとして含むPHAを生産するこ
とが報告されている。この報告におけるポリマーの収率
を抜粋すると以下のとおりである。
【0028】
【表1】 特許第2989175号公報には、3-ヒドロキシ-5-
(モノフルオロフェノキシ)ペンタノエート(3H5(MF
P)P)ユニットあるいは3-ヒドロキシ-5-(ジフルオロ
フェノキシ)ペンタノエート(3H5(DFP)P)ユニッ
トからなるホモポリマー、少なくとも3H5(MFP)P
ユニットあるいは3H5(DFP)Pユニットを含有する
コポリマー;これらのポリマーを合成するシュードモナ
ス・プチダ;シュードモナス属を用いた前記のポリマー
の製造方法が記載されている。
【0029】これらの生産は以下の様な「二段階培養」
で行われている。 培養時間: 一段目、24時間 ; 二段目、96時間 各段における基質と得られるポリマーを以下に示す。 (1)得られるポリマー:3H5(MFP)Pホモポリマー 一段目の基質:クエン酸、イーストエキス 二段目の基質:モノフルオロフェノキシウンデカン酸 (2)得られるポリマー:3H5(DFP)Pホモポリマー 一段目の基質:クエン酸、イーストエキス 二段目の基質:ジフルオロフェノキシウンデカン酸 (3)得られるポリマー:3H5(MFP)Pコポリマー 一段目の基質:オクタン酸あるいはノナン酸、イースト
エキス 二段目の基質:モノフルオロフェノキシウンデカン酸 (4)得られるポリマー:3H5(DFP)Pコポリマー 一段目の基質:オクタン酸あるいはノナン酸、イースト
エキス 二段目の基質:ジフルオロフェノキシウンデカン酸 その効果としては、置換基をもつ中鎖脂肪酸を資化し
て、側鎖末端が1から2個のフッ素原子で置換されたフ
ェノキシ基を有するポリマーを合成することができ、融
点が高く良い加工性を保ちながら、立体規則性、撥水性
を与えることができるとしている。
【0030】この様なフッ素基置換体以外に、シアノ基
やニトロ基の置換体の研究もなされている。
【0031】Can.J.Microbiol.,41,32-43(1995)及
び Polymer International,39,205-213(1996)には、シ
ュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovoran
s)ATCC 29347 株及びシュードモナス プチダ(Pseud
omonas putida)KT 2442株を用いて、オクタン酸とp-
シアノフェノキシヘキサン酸或いはp-ニトロフェノキシ
ヘキサン酸を基質として、3-ヒドロキシ-p-シアノフェ
ノキシヘキサン酸或いは3-ヒドロキシ-p-ニトロフェノ
キシヘキサン酸をモノマーユニットとして含むPHAの
生産が報告されている。
【0032】これらの報告は側鎖がアルキル基である一
般的なPHAとは異なり、いずれもPHAの側鎖に芳香
環を有しており、それに由来する物性を有するポリマー
を得る上で有益である。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】この中で、シアノフェ
ノキシ基を有するPHAに関しては、シアノ基が様々な
機能性を発現させる、或いは更なる変換反応にも用いる
ことができる等、非常に重要な官能基であると考えられ
る。しかしながら、3-ヒドロキシ-p-シアノフェノキ吉
草酸ユニットを含むPHAでは、その導入割合は1%以
下に過ぎず、また、融点やガラス転移点が低く、非常に
柔らかいといった、物性的にも不十分なものしか得られ
ていなかった。
【0034】本発明の目的は3-ヒドロキシ-p-シアノフ
ェノキ吉草酸ユニットをこれまで以上に含有しかつプラ
スチックとしての物性を兼ね備えた新規なPHA及びそ
の生産方法を提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するため鋭意研究の結果、以下に示す発明に至っ
た。
【0036】即ち、本発明の第一は、化学式[1]に示さ
れる、3-ヒドロキシ-5-(4-シアノフェノキシ)吉草酸
ユニット及び化学式[2]に示される、3-ヒドロキシ-5
-フェノキシ吉草酸ユニットをそれぞれ1ユニット%以
上同時に含む新規なポリヒドロキシアルカノエートであ
る。
【0037】
【化10】
【0038】
【化11】 本発明のポリヒドロキシアルカノエートにおいて、化学
式[1]に示されるユニット及び化学式[2]に示されるユ
ニット以外のユニットは、化学式[3]で示される直鎖状
3-ヒドロキシアルカン酸ユニットである。
【0039】
【化12】 本発明のポリヒドロキシアルカノエートは、数平均分子
量が 10000 から 300000 の範囲であるポリヒドロキシ
アルカノエートである。
【0040】本発明の第二は、化学式[4]で示される、
5-(4-シアノフェノキシ)吉草酸及び化学式[5]で示さ
れる5-フェノキシ吉草酸を含む培地中で、それぞれの
化合物に由来するユニットを含有するポリヒドロキシア
ルカノエートを合成しうる微生物を培養する工程を有す
る微生物を培養することを特徴とするポリヒドロキシア
ルカノエートの製造方法である。
【0041】
【化13】
【0042】
【化14】 好ましくは、前記微生物を培養する工程ののち、該培養
した微生物の細胞からポリヒドロキシアルカノエートを
回収する工程を含むものである。
【0043】即ち本発明者らは、前記の合成系を有する
菌株を、ポリペプトンやグルコース等を基質として、末
端に直鎖脂肪族アルキル以外の官能基が付加された脂肪
酸である5-(4-シアノフェノキシ)吉草酸、及び5-フ
ェノキシ吉草酸と共に培養したところ、3-ヒドロキシ-
5-シアノフェノキシ吉草酸ユニット及び3-ヒドロキシ
-5-フェノキシ吉草酸ユニットがそれぞれ少なくとも1
%以上同時に含まれる「unusual PHA」が得られるこ
とを見出し、本発明に至ったものである。
【0044】また、本発明では、微生物が生産した該P
HAを単離する工程を更に有することが好ましい。
【0045】本発明のPHAは、一般にR-体のみから
構成され、アイソタクチックなポリマーである。
【0046】以下に、本発明において利用される微生
物、培養工程等について説明する。
【0047】(微生物)本発明の方法で用いる微生物は、
化学式[4]及び[5]で示される化合物を含む培地中で培
養することにより化学式[1]及び[2]で示すユニットを
同時に1%以上含むポリエステルを生産しうる微生物で
あれば如何なる微生物であってもよい。また、本発明の
目的を達成できる範囲内で、必要に応じて複数の微生物
を混合して用いることもできる。その一例としては、シ
ュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物が挙げら
れる。さらに詳しくは、微生物がシュードモナス・チコ
リアイ YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FER
M BP-7375)、シュードモナス・チコリアイ H45株(P
seudomonas cichorii H45、FERM BP-7374)、シ
ュードモナス・ジェッセニイP161株(Pseudomonas jes
senii P161、FERM BP-7376)が挙げられる。これ
ら3種の微生物は経済産業省工業技術院生命工学工業技
術研究所に寄託されており、特願平11-371863
号に記載されている微生物である。
【0048】以下にYN2株、H45株及びP161株につい
ての詳細を示す。 <YN2株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.5〜2.0μm 細胞の多形性 :なし 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表
層なめらか、光沢、半透明 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型(非発酵性) 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陽性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陰性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 4%NaClでの生育 :陽性(弱い生育) ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性(*) Tween80の加水分解 :陽性 * nutrient agar培養コロニーをズダンブラックで染
色することで判定。 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陽性 D-マンノース :陰性 D-マンニトール :陰性 N-アセチル-D-グルコサミン :陰性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <H45株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.0〜1.2μm 細胞の多形性 :なし 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表
層なめらか、光沢、クリーム色 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陰性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陰性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 4%NaClでの生育 :陰性 ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陰性 D-マンノース :陽性 D-マンニトール :陽性 N-アセチル-D-グルコサミン :陽性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <P161株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :球状、φ0.6μm桿状、0.6μm×
1.5〜2.0μm 細胞の多形性 :あり(伸長型) 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表
層なめらか、淡黄色 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陽性 インドールの生成 :陰性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陽性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陽性 D-マンノース :陽性 D-マンニトール :陽性 N-アセチル-D-グルコサミン :陽性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 (培養工程)本発明にかかるPHAの製造方法に用いる微
生物の通常の培養、例えば、保存菌株の作成、PHAの
生産に必要とされる菌数や活性状態を確保するための増
殖などには、用いる微生物の増殖に必要な成分を含有す
る培地を適宜選択して用いる。例えば、微生物の生育や
生存に悪影響を及ぼすものでない限り、一般的な天然培
地(肉汁培地、酵母エキスなど)や、栄養源を添加した合
成培地など、いかなる種類の培地をも用いることができ
る。温度、通気、攪拌などの培養条件は、用いる微生物
に応じて適宜選択する。
【0049】前記したようなPHA生産微生物を用い
て、3-ヒドロキシ-5-シアノフェノキシ吉草酸、及び
3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸をモノマーユニッ
トとして含むPHAを製造するためには、PHA生産用
の原料として、該モノマーユニットに対応する、上記化
学式[4]で示される、5-(4-シアノフェノキシ)吉草酸
と、上記化学式[5]で示される、5-フェノキシ吉草酸
と、微生物の増殖用炭素源とを少なくとも含んだ無機培
地などを用いることができる。5-(4-シアノフェノキ
シ)吉草酸、及び5-フェノキシ吉草酸は、それぞれ培地
あたり 0.01%から1%(w/v)、更に好ましくは 0.02%
から 0.2%の割合で含有していることが望ましい。
【0050】これらの化合物の水溶性は必ずしも良好で
はないが、本発明に示す微生物を用いれば、懸濁された
状態であっても何ら問題は無い。また、場合によっては
1-ヘキサデセンやn-ヘキサデカンのような溶媒に溶解
或いは懸濁された形で培地中に含有されることも可能で
ある。この場合、該溶媒の濃度は培地溶液に対して3%
以下にすることが必要である。
【0051】増殖用炭素源としては、酵母エキスやポリ
ペプトン、肉エキスといった栄養素を用いることが可能
であり、更に、糖類、TCA回路中の中間体として生じ
る有機酸及びTCA回路から一段階ないしは二段階の生
化学反応を経て生じる有機酸或いはその塩、アミノ酸或
いはその塩等から用いる菌株に対する基質としての有用
性で適宜選択することができる。
【0052】これらのうち、糖類としては、グリセロア
ルデヒド、エリスロース、アラビノース、キシロース、
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース
といったアルドース、グリセロール、エリスリトール、
キシリトール等のアルジトール、グルコン酸等のアルド
ン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸等のウロン酸、マ
ルトース、スクロース、ラクトースといった二糖等から
選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0053】また、有機酸或いはその塩としては、ピル
ビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、オキサ
ロ酢酸、イソクエン酸、ケトグルタル酸、フマル酸或い
はその塩から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用で
きる。
【0054】また、アミノ酸或いはその塩としては、グ
ルタミン酸、アスパラギン酸或いはその塩から選ばれる
1つ以上の化合物が好適に利用できる。これらの中で
は、ポリペプトンや糖類を用いるのが好ましく、また糖
類の中ではグルコース、フルクトース、マンノースから
なる群から選択される少なくとも一つであることがより
好ましい。これらの基質は通常培地あたり 0.1%から5
%(w/v)、更に好ましくは 0.2%から2%の割合で含有
していることが望ましい。
【0055】一例を挙げれば、D-グルコースを 0.1%
から 5.0%程度、および、5-(4-シアノフェノキシ)吉
草酸、及び5-フェノキシ吉草酸をそれぞれ 0.01%から
1.0%程度含んだ無機培地等で培養し、対数増殖後期か
ら定常期の時点で菌体を回収して所望のPHAを抽出す
ることができる。D-グルコースの代わりに同量の酵母
エキスを与えても良い。
【0056】微生物にPHAを生産・蓄積させる方法と
しては、一旦十分に増殖させて後に、塩化アンモニウム
のような窒素源を制限した培地へ菌体を移し、目的ユニ
ットの基質となる化合物を加えた状態で更に培養すると
生産性が向上する場合がある。具体的には、前記の工程
を複数段接続した多段方式の採用が挙げられる。例え
ば、D-グルコースを 0.1%から 5.0%程度、および、
5-(4-シアノフェノキシ)吉草酸、及び5-フェノキシ
吉草酸をそれぞれ 0.01%から 1.0%程度含んだ無機培
地等で対数増殖後期から定常期の時点まで培養し、菌体
を遠心分離等で回収したのち、5-(4-シアノフェノキ
シ)吉草酸、及び5-フェノキシ吉草酸をそれぞれ 0.01
%から 1.0%程度含んだ、窒素源を制限した、あるいは
ほとんど存在しない無機培地で更に培養する方法があ
る。
【0057】培養温度としては上記の菌株が良好に増殖
可能な温度であれば良く、例えば 15〜40℃、好ましく
は 20〜35℃、更に好ましくは 20℃から 30℃程度が適
当である。
【0058】培養は液体培養、固体培養等該微生物が増
殖し、PHAを生産する培養方法ならいかなる培養方法
でも用いることができる。さらに、バッチ培養、フェド
バッチ培養、半連続培養、連続培養等の種類も問わな
い。液体バッチ培養の形態としては、振とうフラスコに
よって振とうさせて酸素を供給する方法、ジャーファー
メンターによる攪拌通気方式の酸素供給方法がある。
【0059】上記の培養方法に用いる無機培地として
は、リン源(例えば、リン酸塩など)、窒素源(例えば、
アンモニウム塩、硝酸塩など)等、当該微生物の増殖に
必要な成分を含んでいるものであればいかなるものでも
良く、例えば、MSB培地、M9培地等を挙げることが
できる。
【0060】本発明の一方法に用いた無機塩培地(M9
培地)の組成を以下に示す。
【0061】[M9培地] Na2HPO4 6.2g KH2PO4 3.0g NaCl 0.5g NH4Cl 1.0g (培地1リットル中、pH7.0) 更に、良好な増殖及びPHAの生産のためには、上記の
無機塩培地に培地に以下に示す微量成分溶液を0.3%(v/
v)程度添加する必要がある。
【0062】[微量成分溶液] ニトリロ三酢酸:1.5 ;MgSO4:3.0 ;MnSO4:0.5
;NaCl:1.0 ;FeSO4:0.1 ;CaCl2:0.1 ;CoC
l2:0.1 ;ZnSO4:0.1 ;CuSO4:0.1 ;AlK(S
4)2:0.1 ;H3BO3:0.1 ;Na2MoO4:0.1 ;NiCl
2:0.1 (培地1リットル中、pH7.0) 本発明にかかる培養液からのPHAの取得には、通常行
なわれている方法を適用することができる。PHAが培
養液中に分泌される場合は、培養液からの抽出精製方法
が、また、菌体に蓄積される場合は、菌体からの抽出精
製方法が用いられる。例えば、微生物の培養菌体からの
PHAの回収は、通常行われているクロロホルム抽出が
最も簡便であるが、クロロホルム以外にジオキサン、テ
トラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトンが用いら
れる場合もある。また、有機溶媒が使用しにくい環境中
においては、SDS等の界面活性剤処理、リゾチーム等
の酵素処理、EDTA等の薬剤処理によってPHA以外
の菌体内成分を除去することによってPHAのみを回収
する方法を採ることもできる。
【0063】なお、本発明の微生物の培養、本発明の微
生物によるPHAの生産と菌体への蓄積、並びに、本発
明における菌体からのPHAの回収は、上記の方法に限
定されるものではない。
【0064】以下に実施例を示す。なお、以下における
「%」は特に標記した以外は重量基準である。
【0065】
【実施例】[実施例1]ポリペプトン 0.5%及び5-(4-
シアノフェノキシ)吉草酸、5-フェノキシ吉草酸をそれ
ぞれ 0.05%含有したM9培地 200mLに、寒天プレート
上のYN2株のコロニーを植菌し、500mL容振とうフラ
スコで 30℃、24時間培養した。培養後、遠心分離によ
り菌体を収穫し、メタノールで洗浄した後凍結乾燥し
た。乾燥菌体を秤量後、クロロホルムを加え、60℃で 2
4時間ポリマーを抽出した。ポリマーが抽出されたクロ
ロホルムをろ過し、エバポレーターにより濃縮した後、
冷メタノールで沈殿固化した部分を集め、減圧乾燥し
て、目的とするポリマーを得た。乾燥菌体の重量は 170
mg、得られたポリマーの重量は 26mgであった。
【0066】得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した
(東ソー HLC-8220GPC、カラム:東ソー TSK-G
EL SuperHM-H、溶媒:クロロホルム、ポリスチレ
ン換算)。その結果、ピークが2つ見られ、前者はMn=
2100000、Mw=2600000 であり、後者はMn=71000、
Mw=150000 であった。UV吸収(254nm)は後者のみ
にあったため、目的ポリマーは後者であることが示され
た。
【0067】得られたポリマーの構造決定は、1H-NM
Rによって行った(FT-NMR:Bruker DPX400;1
H共鳴周波数: 400MHz;測定核種:1H;使用溶媒:C
DCl3;reference:キャピラリ封入TMS/CDCl3
測定温度:室温)。1H-NMRチャートを図1に示す。そ
れぞれの帰属されたピークの積分値から計算したとこ
ろ、下記式に示すユニットの割合は、A:B:C:D=8:
25:5:62 であった。
【0068】
【化15】 [実施例2]グルコース 0.5%及び5-(4-シアノフェノ
キシ)吉草酸、5-フェノキシ吉草酸をそれぞれ 0.05%
含有したM9培地 200mLに、寒天プレート上のYN2株
のコロニーを植菌し、500mL容振とうフラスコで 30
℃、72時間培養した。培養後、遠心分離により菌体を収
穫し、NH4Cl成分を含まないM9培地に、グルコース
0.5%及び5-(4-シアノフェノキシ)吉草酸、5-フェ
ノキシ吉草酸をそれぞれ 0.05%を加えて調製した培地
に菌体を移し、30℃、50時間培養した。培養後、遠心分
離により菌体を収穫し、メタノールで洗浄した後凍結乾
燥した。乾燥菌体を秤量後、クロロホルムを加え、60℃
で 24時間ポリマーを抽出した。ポリマーが抽出された
クロロホルムをろ過し、エバポレーターにより濃縮した
後、冷メタノールで沈殿固化した部分を集め、減圧乾燥
して、目的とするポリマーを得た。乾燥菌体の重量は 2
00mg、得られたポリマーの重量は 61mgであった。
【0069】得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した
(東ソー HLC-8220GPC、カラム:東ソー TSK-G
EL SuperHM-H、溶媒:クロロホルム、ポリスチレ
ン換算)。その結果、Mn=76000、Mw=180000 であっ
た。
【0070】得られたポリマーの構造決定は、1H-NM
Rによって行った(FT-NMR:Bruker DPX400;1
H共鳴周波数:400MHz;測定核種:1H;使用溶媒:CD
Cl3;reference:キャピラリ封入TMS/CDCl3;測
定温度:室温)。1H-NMRチャートを図2に示す。それ
ぞれの帰属されたピークの積分値から計算したところ、
下記式に示すユニットの割合は、A:B:C:D=30:3:
10:54 であった。
【0071】
【化16】 [実施例3]菌株をH45株とした以外は実施例2と同様の
方法でポリマーを得た。乾燥菌体の重量は 180mg、得
られたポリマーの重量は 49mgであった。実施例1およ
び2と同様に1H-NMRを測定した結果、下記式に示す
ユニットの割合は、A:B:C:D=14:9:9:68 であっ
た。
【0072】
【化17】 [実施例4]菌株をP161株とした以外は実施例2と同様
の方法でポリマーを得た。乾燥菌体の重量は 200mg、
得られたポリマーの重量は 53mgであった。実施例1お
よび2と同様に1H-NMRを測定した結果、下記式に示
すユニットの割合は、A:B:C:D=20:5:9:66 であ
った。
【0073】
【化18】
【0074】
【発明の効果】本発明の方法により、3-ヒドロキシ-5
-フェノキシ吉草酸ユニット及び3-ヒドロキシ-5-(4-
シアノフェノキシ)吉草酸ユニットを含む新規なポリヒ
ドロキシアルカノエートの生産が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるポリヒドロキシアルカノエー
トの1H-NMRチャート及びその帰属を示す。
【図2】実施例2におけるポリヒドロキシアルカノエー
トの1H-NMRチャート及びその帰属を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本間 務 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 須川 悦子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 矢野 哲哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 4B064 AC21 AD30 AE01 4J029 AA02 AB01 AB04 AC02 EB01 ED05A EF01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学式[1]に示されるユニット及び化学
    式[2]に示されるユニットをそれぞれ1ユニット%以上
    同時に含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエ
    ート。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 化学式[1]に示されるユニット及び化学
    式[2]に示されるユニット以外のユニットが、化学式
    [3]で示されるユニットである請求項1に記載のポリヒ
    ドロキシアルカノエート。 【化3】
  3. 【請求項3】 数平均分子量が10000から3000
    00の範囲である請求項1または2に記載のポリヒドロ
    キシアルカノエート。
  4. 【請求項4】 化学式[4]で示される化合物及び化学式
    [5]で示される化合物を含む培地中で、それぞれの化合
    物に由来するユニットを含有するポリヒドロキシアルカ
    ノエートを合成しうる微生物を培養する工程を有する微
    生物を培養することを特徴とするポリヒドロキシアルカ
    ノエートの製造方法。 【化4】 【化5】
  5. 【請求項5】 前記微生物を培養する工程ののち、該培
    養した微生物の細胞からポリヒドロキシアルカノエート
    を回収する工程を含む請求項4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 該微生物が化学式[4]で示される化合物
    を化学式[1]で示されるユニットに、化学式[5]で示さ
    れる化合物を化学式[2]で示されるユニットに、それぞ
    れ変換する能力および、それぞれのユニットを1ユニッ
    ト%以上同時に含むポリヒドロキシアルカノエートを生
    産する能力を有する微生物である請求項4または5に記
    載の製造方法。 【化6】 【化7】
  7. 【請求項7】 該ポリヒドロキシアルカノエートが化学
    式[3]で示されるユニットを含有するものである請求項
    6に記載の製造方法。 【化8】
  8. 【請求項8】 該微生物がシュードモナス(Pseudomona
    s)属に属する微生物である請求項4〜7のいずれかに記
    載の方法
  9. 【請求項9】 該微生物がシュードモナス・チコリアイ
    YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FERM
    BP-7375)である請求項8に記載の方法
  10. 【請求項10】 該微生物がシュードモナス・チコリア
    イ H45株(Pseudomonas cichorii H45、FERM
    BP-7374)である、請求項8に記載の方法。
  11. 【請求項11】 該微生物がシュードモナス・ジェッセ
    ニイ P161株(Pseudomonas jessenii P161、F
    ERM BP-7376)である、請求項8に記載の方
    法。
JP2001057084A 2001-03-01 2001-03-01 3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸ユニット及び3−ヒドロキシ−5−(4−シアノフェノキシ)吉草酸ユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート、およびその製造方法 Pending JP2002256064A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001057084A JP2002256064A (ja) 2001-03-01 2001-03-01 3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸ユニット及び3−ヒドロキシ−5−(4−シアノフェノキシ)吉草酸ユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート、およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001057084A JP2002256064A (ja) 2001-03-01 2001-03-01 3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸ユニット及び3−ヒドロキシ−5−(4−シアノフェノキシ)吉草酸ユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート、およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002256064A true JP2002256064A (ja) 2002-09-11

Family

ID=18917018

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001057084A Pending JP2002256064A (ja) 2001-03-01 2001-03-01 3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸ユニット及び3−ヒドロキシ−5−(4−シアノフェノキシ)吉草酸ユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート、およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002256064A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6479621B2 (en) Polyhydroxyalkanoate containing 3-hydroxythienylalkanoic acid as monomer unit and method for producing the same
KR100485119B1 (ko) 폴리히드록시알카노에이트와, 그 생산방법, 및 ω-(2-티에닐설파닐)알칸산과 그 생산방법
JP3684150B2 (ja) ポリヒドロキシアルカノエート
KR100487877B1 (ko) 3-하이드록시벤조일알칸산을 모노머유닛으로서 함유하는폴리하이드록시알카노에이트 및 그 제조방법
KR100498221B1 (ko) 곁사슬에 (메틸술파닐)페녹시 구조를 가지는 유닛을포함하는 신규한 폴리하이드록시알카노에이트 및 그제조방법
KR100467208B1 (ko) 원료로서의 치환된 지방산 에스테르로부터의폴리하이드록시알카노에이트의 제조방법
US6635782B2 (en) Polyhydroxyalkanoate and manufacturing method thereof
US7056708B2 (en) Method of producing polyhydroxyalkanoate from alkane having residue containing aromatic ring in its molecule
KR100491307B1 (ko) 곁사슬에 치환 혹은 무치환 (페닐메틸)설파닐구조를 지닌 유닛을 함유하는 신규의 폴리하이드록시알카노에이트 및 그의 제조방법
EP1336634B1 (en) Polyhydroxyalkanoate copolymer including unit having bromo group in side chain and method for producing the same
JP2001316462A (ja) 3−ヒドロキシチエニルアルカン酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエート及びその製造方法
JP3880473B2 (ja) (メチルスルファニル)フェノキシ構造を側鎖に有するユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート及びその製造方法
JP3720774B2 (ja) (フェニルメチル)スルファニル構造を側鎖に有するユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート及びその製造方法
JP2002256064A (ja) 3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸ユニット及び3−ヒドロキシ−5−(4−シアノフェノキシ)吉草酸ユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート、およびその製造方法
JP2002256066A (ja) 3−ヒドロキシ−5−(4−シアノフェノキシ)吉草酸ユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート、およびその製造方法
JP3768835B2 (ja) 3−ヒドロキシ置換ベンゾイルアルカン酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエート及びその製造方法
JP2004018729A (ja) 側鎖にエステル基を有するユニットを分子中に含む新規なポリヒドロキシアルカノエート共重合体及びその製造方法
JP4812061B2 (ja) [(置換フェニル)メチル]スルファニル構造を側鎖に有するユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート及びその製造方法
JP2005097633A (ja) ポリヒドロキシアルカノエート、その製造方法及びそれに用いる微生物
JP2002173521A (ja) 3−ヒドロキシベンゾイルアルカン酸をモノマーユニットとして含むポリヒドロキシアルカノエート及びその製造方法