JP2002241298A

JP2002241298A - 血糖降下を効果に有する組成物

Info

Publication number: JP2002241298A
Application number: JP2001038641A
Authority: JP
Inventors: Osamu Nakajima; 修中島; Shunki Ishida; 舜規石田; Seika En; 世華袁; Shinya Aoki; 晋也青木
Original assignee: NISSEI MARINE KOGYO KK
Current assignee: NISSEI MARINE KOGYO KK
Priority date: 2001-02-15
Filing date: 2001-02-15
Publication date: 2002-08-28

Abstract

(57)【要約】【課題】血糖降下のある組成物を提供する。【解決手段】青銭柳を主成分とする血糖降下を効果に
有する組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は薬用或いは健康食
品用として用いることが可能な血糖降下を効果に有する
組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】生活習慣病といわれる糖尿病や高血圧
症、高脂血症や痛風などは、体質に加えて長年の生活習
慣（食生活、運動不足、過労、ストレス）が関係してい
る。なかでも、今や国民病とまでいわれるようになった
糖尿病患者は推定で690万人（このうち病院や診療所へ
通院している人は約180万人）ともいわれ、その予備軍
まで含めると1370万人に及んでいる（厚生省・糖尿病実
態調査より）。

【０００３】かつては成人型糖尿病と呼ばれていたイン
スリン非依存型糖尿病（ＩＩ型）は、40歳以後の中高年
層に罹る率が高く、４〜５人に１人が罹病しているとみ
られ、糖尿病患者の95％を占める。

【０００４】糖尿病はランゲルハンス島の機能が損傷
し、インスリンの分泌不足で糖代謝の乱れを引き起こす
内分泌疾病である。糖尿病は、血糖値のコントロールが
うまくいかず、血糖が高かったり、不安定な状態が長く
続くと、全身の血管や細胞が障害を受け糖尿病性網膜
症、糖尿病性腎症、神経障害等の合併症が起る。糖尿病
の本当の怖さはこの点にある。

【０００５】この糖尿病は、血糖値をよい状態にコント
ロールして、合併症の発症を防ぐことができれば、健康
を保つことができ、日常生活になんら不自由もなく、病
気であることを感じさせないのである。

【０００６】中医（中国医学）においては、糖尿病を消
喝症といい、この消喝症を改善するものとして、中医に
おいては従来よりカイコガ科の生薬（動物性）である白
僵蚕が知られている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は白僵蚕よりも
更に血糖降下作用の高い組成物を提供することを目的と
する。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、白僵蚕よ
りも更に血糖降下作用の高い成分を求め、研究を重ねた
結果、青銭柳が効果が高いとの知見に至った。

【０００９】即ち、本発明は、青銭柳を主成分とするこ
とを特徴とする血糖降下を効果に有する組成物である。

【００１０】また、本発明は、青銭柳を主成分とし、更
に白僵蚕、山薬、地黄茎葉、黄精及び桑葉からなる群よ
り選ばれる１以上の成分を含有することを特徴とする血
糖降下を効果に有する組成物である。

【００１１】また、本発明は、更に、北耆葉、葛根、亜
鉛酵母及びクロム酵母からなる群より選ばれる１以上の
成分を含有することを特徴とする上記組成物である。

【００１２】また、本発明は、青銭柳：27.95wt％、白
僵蚕：11.03wt％、山薬：8.82wt％、地黄茎葉：8.82wt
％、黄精：5.88wt％、桑葉：5.88wt％、北耆葉：5.88wt
％、葛根：5.15wt％、亜鉛酵母：14.71wt％及びクロム
酵母：5.88wt％を含有することを特徴とする血糖降下を
効果に有する組成物である。

【００１３】中医における消渇症は、主に「燥熱内盛、
津液不足」によるものと考えている。すなわち体内の熱
が上がり、水分の不足を引き起こす病気である。「滋陰
生津、清熱益気」を治療の原則とし、体内の熱を冷ま
し、水分の補充、エネルギーの補給が主要となってい
る。このことから糖代謝を含み、体全体の異状を是正す
ることにポイントをおいて治療にあたっている。

【００１４】一方西洋医においては、糖尿病の病態指標
にFBS（空腹時血糖値）、

【００１５】

【外１】（以下、外１をHbA1cで代用する）、インスリン、1.5AG
をおいて、薬物治療、残存β細胞を刺激してインスリン
の分泌を促す、インスリン高血糖の分泌を抑制する、糖
代謝の過程に影響を与える等の治療を行なっている。そ
の目的はいずれも血糖を下げるか、コントロールするも
ので、ランゲルハンス島の機能不足を根本的に解決する
ものではない。

【００１６】そこで青銭柳を主成分とする柳糖仙の基礎
的薬理試験である空腹時血糖と耐糖試験を施行し、その
結果を表１、表２、図１、図２に示した。

【００１７】アロキサン糖尿病ラットの空腹時血糖に対
する影響は、表１、図１の如く、柳糖仙を投与したラッ
トの空腹時血糖は顕著に降下しており、しかもその作用
は中医の糖尿病の治療薬（消喝丸）より強く明らかにち
がいがみられた。

【００１８】また、アロキサン糖尿病ラットにおける耐
糖試験の結果は表２、図２の如くである。柳糖仙はアロ
キサン糖尿病ラットの耐糖能を明らかに増強し、薬物投
与群の血糖値が明らかにモデル対照群より低くなってい
る。柳糖仙の血糖降下作用は消喝丸よりも強く、ちがい
がみられる。

【００１９】（用語の説明） HbA1c：糖化ヘモグロビンとも呼ばれる。赤血球にある
ヘモグロビンが血中のブドウ糖と酵素を介さないで結合
したもので、成人のヘモグロビンの大部分を占め、血糖
の変化に最も敏感に反応する。採血の２カ月前からの平
均血糖を表す。

【００２０】1.5AG（アンヒドログルシトール）：ブド
ウ糖によく似たポリオールの一つ。血中にブドウ糖が多
くなると糖と同様再吸収が妨げられ尿中に排泄される量
が多くなる。この指標で３〜４日前からの血糖値の平均
がわかる。

【００２１】アロキサン糖尿病：実験的糖尿病とされる
もので、ラットで最も多く作製される。アロキサンが選
択的に膵臓のランゲルハンス島のβ細胞を破壊し、イン
スリン生産を停止させる結果として起こる。

【００２２】

【発明の実施の形態】本発明は上記知見に基づくもの
で、青銭柳を主成分とすることを特徴とする。柳糖仙
は、青銭柳の葉をはじめ山薬、地黄、黄耆などを粉砕、
混合して蒸留水にて沸騰し、濃縮して水溶液とした。青
銭柳を主成分とする柳糖仙を服用することにより、上記
したように糖尿病ラットのランゲルハンス島の組織の改
善がみられ、特に空腹時血糖及び耐糖試験では血糖降下
が顕著であった。以下動物実験の結果を示す。〈血糖降下と耐糖能力（糖負荷試験）に対する実験〉（方法）１．試料 (i) 消喝丸（広州中薬―厥ロット番号94020181Q18） (ii) アロキサン（シグマ公司ロット番号110H3367） (iii)ブドウ糖オキシダーゼ法測定試料（南昌百特生物
新技術実業公司ロット番号940402）２．大型ラットの糖尿病モデル作製と群分け Wistar系雄性ラット（180±15g、江西省医学実験動物セ
ンター提供）に、アロキサン60mg／kgをi.p.投与し72hr
後に尾静脈より採血し、空腹時血糖を測定した。血糖値
13.88mmol／１以上のラットを選び実験に用いた。適合
した30匹の糖尿病ラットを３群に分け、各群10匹（群の
平均血糖値の差は0.56mmol／１以下）を、糖尿病モデル
対照群、消喝丸群（１g／kg）、柳糖仙群（１g／kg）と
した。また体重の同じ正常なWistar系雄性ラットをとり
生理食塩水対照群とした。すべてのラットに毎日１回１
ml／100gの薬物、柳糖仙、生理食塩水を４週間連続p.o.
投与した。３．検査指標ラットの空腹時血糖を毎週１回測定した。測定値は12hr
を絶食とし、尾静脈から採血し、酸素法で血清ブドウ糖
値を測定した。薬物の最終投与の後、耐糖試験を行なっ
た。即ちまず最初に空腹時血糖を測定し、投与前の血糖
値とした。そしてブドウ糖2g／kgをi.p.投与し、別に薬
を与え、0.5、１、２hr後に尾静脈から採血し血糖値を
測定した。最後に致死せしめ速やかに解剖し、膵臓を摘
出し、25ml／lのホルマリンで固定した。膵臓をパラフ
ィン切片とし、HE染色を施し、顕微鏡でランゲルハンス
島の変化状況を観察した。

【００２３】病理組織検査では、膵臓標本の切片を顕微
鏡でみると、モデル対照群ラットのランゲルハンス島の
境界は不明瞭で、細胞の配列は不整でぼやけて見え、一
部細胞核の染色は不鮮明で、深く染まり、核が固く濃縮
していた。しかし柳糖仙投与群のラットのランゲルハン
ス島の組織は、正常ラットのランゲルハンス島の組織と
似ており、境界が明瞭で核も明確で、細胞の配列も整っ
ており、血凹も豊富であった。このことから柳糖を投与
したアロキサン糖尿病ラットのランゲルハンス島の組織
は徐々に回復、改善していることがわかった。〈臨床経過観察試験〉１．江西医学院第一付属病院、江西省中医学院、南昌市
第二病院、上海市第一人民病院、華西医科大学付属第一
病院、北京西苑医院の六つの病院で対照研究を実施した
結果、283例のインスリン非依存型糖尿病患者に効果と
安全性が確かめられた。

【００２４】その結果、治療後の空腹時血糖は、食後２
時間および24時間の尿糖の明らかな下降と症状の改善が
みられ、コレステロールやグリセノールが下降してい
た。しかも副作用は見られなかった。

【００２５】２．山王病院総合内科（東京・赤坂）にお
いて柳糖仙の臨床試験を施行した。その経過と観察結果
は次の通りである。

【００２６】５例の被験者の血糖に関連の深い指標の変
化をグラフに示した。（図３〜６）空腹時血糖値は１例
（Ｋ．Ｃ．）を除いて徐々に減少し、24週後までには投
与開始前に比べ、それぞれ24〜99mg／dlの減少を示し
た。HbAlcも同様の傾向を示し、４例ではいずれも時間
の経過とともに減少した。血糖値もHbAlcも減少しなか
った１例（Ｋ．Ｃ．）は、血糖値では変化はなく、HbAl
cも一時的に減少したが16週以降は元に戻った。これに
対して1.5AGは４週後から増加し続けた。しかし、４週
後から減少する例（Ｈ．Ｏ．）があった。またインスリ
ンはいずれの例においても増加し続けた。

【００２７】その他、尿検査、血液検査の指標ではGP
T、γーGTPなどの減少が散見されたが、いずれの例にお
いても肝機能検査値の上昇はまったく見られなかった。

【００２８】以上の結果に基づき、それぞれの結果を表
にまとめた（表３）。

【００２９】柳糖仙を投与した５例では、全例が有効
で、特にうち３例においては顕著な効果がみられた。血
糖値、HbAlc値ともに低下しなかった１例（Ｋ．Ｃ．）
はまったく食事療法のできない症例であった。また副作
用はいずれの例においてもまったくみられなかった。

【００３０】

【表１】

【００３１】

【表２】

【００３２】

【表３】

【００３３】

【発明の効果】本発明によれば、血糖降下作用の高い組
成物が得られた。

【図面の簡単な説明】

【図１】青銭柳を主成分とする柳糖仙の空腹時血糖に対
する試験結果を示すグラフ。

【図２】青銭柳を主成分とする柳糖仙の耐糖能力（糖負
荷試験）に対する試験結果を示すグラフ。

【図３】青銭柳を主成分とする柳糖仙を山王病院総合内
科（東京・赤坂）において、５例の被験者に投与せしめ
空腹時血糖を観察し、その変化を示したグラフ。

【図４】青銭柳を主成分とする柳糖仙を山王病院総合内
科（東京・赤坂）において、５例の被験者に投与せしめ
HbA1cを観察し、その変化を示したグラフ。

【図５】青銭柳を主成分とする柳糖仙を山王病院総合内
科（東京・赤坂）において、５例の被験者に投与せしめ
1.5AGを観察し、その変化を示したグラフ。

【図６】青銭柳を主成分とする柳糖仙を山王病院総合内
科（東京・赤坂）において、５例の被験者に投与せしめ
インスリンを観察し、その変化を示したグラフ。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ａ２３Ｌ 1/30 Ａ２３Ｌ 1/30 ＺＡＡ６１Ｋ 35/64 Ａ６１Ｋ 35/64 35/72 35/72 Ａ６１Ｐ 3/10 Ａ６１Ｐ 3/10 (72)発明者青木晋也神奈川県川崎市川崎区中瀬２丁目７番８Ｆターム(参考） 4B018 MD48 MD61 MD76 MD81 ME03 4C087 AA01 AA02 BB21 BC11 MA02 MA52 NA05 ZC35 ZC75 4C088 AB12 AB37 AB59 AB84 AB85 AC01 MA07 MA52 ZC35 ZC75

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】青銭柳を主成分とすることを特徴とする
血糖降下を効果に有する組成物。
【請求項２】青銭柳を主成分とし、更に白僵蚕、山
薬、地黄茎葉、黄精及び桑葉からなる群より選ばれる１
以上の成分を含有することを特徴とする血糖降下を効果
に有する組成物。
【請求項３】更に、北耆葉、葛根、亜鉛酵母及びクロ
ム酵母からなる群より選ばれる１以上の成分を含有する
ことを特徴とする請求項１又は２に記載の血糖降下を効
果に有する組成物。
【請求項４】青銭柳：27.95wt％、白僵蚕：11.03wt
％、山薬：8.82wt％、地黄茎葉：8.82wt％、黄精：5.88
wt％、桑葉：5.88wt％、北耆葉：5.88wt％、葛根：5.15
wt％、亜鉛酵母：14.71wt％及びクロム酵母：5.88wt％
を含有することを特徴とする血糖降下を効果に有する組
成物。