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JP2002123972A - 光学的情報記録媒体 - Google Patents

光学的情報記録媒体

Info

Publication number
JP2002123972A
JP2002123972A JP2001266994A JP2001266994A JP2002123972A JP 2002123972 A JP2002123972 A JP 2002123972A JP 2001266994 A JP2001266994 A JP 2001266994A JP 2001266994 A JP2001266994 A JP 2001266994A JP 2002123972 A JP2002123972 A JP 2002123972A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
groove
land
recording
substrate
signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001266994A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Ono
鋭二 大野
Kenichi Nishiuchi
健一 西内
Yoshitaka Sakagami
嘉孝 坂上
Kazuhisa Ide
和久 井出
Naoyasu Miyagawa
直康 宮川
Nobuo Akahira
信夫 赤平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2001266994A priority Critical patent/JP2002123972A/ja
Publication of JP2002123972A publication Critical patent/JP2002123972A/ja
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 グルーブとランドの双方に信号を記録した場
合のクロストークの低減、あるいは両者における再生信
号品質の差の低減を図る。 【解決手段】 基板1の表面に溝状のグルーブ7と、グ
ルーブ7に隣接するランド8の双方とを信号記録用トラ
ックとし、レーザー光6を照射し可逆的に記録する記録
層3を有する光学的情報記録媒体であって、グルーブ7
の深さDが、λ/(8n)<D<λ/(4n)(λ:再
生光の波長、n:基板の屈折率)を満たし、かつ、前記
記録層の高い方の反射率をR1、低い方の反射率をR2
とするとき、0≦R2/R1≦0.2を満たし、さら
に、前記記録層の反射率が高い状態における反射光の位
相をφ1、反射率が低い状態における反射光の位相をφ
2とするとき、2mπ<φ1−φ2<(1+2m)π
(m:整数)を満たす、あるいは、(2m−1)π<φ
1−φ2<2mπ(m:整数)を満たすようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光・熱等を用いて
高速かつ高密度に情報を記録再生する光学的情報記録媒
体、特に光ディスクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザー光をレンズ系によって収束させ
ると、直径がその光の波長のオーダーの小さな光スポッ
トを作ることができる。そのために、小さい出力の光源
からでも単位面積あたりのエネルギー密度の高い光スポ
ットを作ることが可能である。したがって、物質の微少
な領域を変化させることが可能であり、またその微少領
域の変化を読みだすことも可能である。これを情報の記
録・再生に利用したものが、光学的情報記録媒体であ
る。以下、「光記録媒体」あるいは「記録媒体」と記述
する。
【0003】光記録媒体の一つに、レーザー光照射によ
って記録膜材料の状態を変化させ光学定数を変化させ
て、それにともなう反射光量の変化を検出して信号を記
録再生する、いわゆる相変化記録媒体がある。相変化記
録媒体では、一般にアモルファス状態と結晶状態とで光
学定数が異なることを利用して信号を記録再生する。
【0004】検出系に到達する反射光量が変化する理由
としては、微小記録領域の反射率がその周囲と異なる場
合と、反射光の位相が微小記録領域とその周囲で異なる
ために回折を起こす場合がある。
【0005】相変化記録媒体では、一般に結晶状態とア
モルファス状態の反射率の差によって信号が再生される
ように構造設計されるが、結晶状態とアモルファス状態
の位相差を積極的に利用する提案(特願昭63−227
015号)や、反射率差と位相差の両者を利用する提案
(特願平3−175001号)もなされている。
【0006】相変化記録媒体は、記録膜を変形させるこ
となく信号が記録でき、また、記録膜材料の状態を可逆
的に変化させることにより信号の書換えも可能であるた
め、近年勢力的に研究が進められている。
【0007】相変化記録材料としては、カルコゲン合金
がよく知られており、例えばGeSbTe系、InSb
Te系、GeSnTe系、InSe系、SbTe系等が
ある。これらの材料は比較的強いパワーのレーザー照射
によって溶融後冷却することでアモルファス状態にな
り、比較的弱いパワーのレーザー照射によってアモルフ
ァス領域は結晶化温度以上に達して結晶状態となる。し
たがって、例えばアモルファス状態を信号の1に、また
結晶状態を信号の0に対応させることで信号の記録がで
きる。
【0008】相変化光ディスクの特徴の一つに、1ビー
ムオーバーライトが可能であることが上げられる。すな
わち、信号トラック上にレーザースポットを記録信号で
記録パワーと消去パワーの間で変調しながら一回通過さ
せるだけで、古い信号を消去しながら新しい信号を記録
することができる。1ビームオーバーライト技術の詳細
は、例えばジャパニーズ ジャーナル アプライド フ
ィジックス第26巻サプレメント第61頁(JJAP,
Vol.26(1987)Supplement 26
−4, P61)に詳しい。
【0009】一方、高密度記録を目指した開発も進めら
れており、例えば光ディスクの信号記録用の案内溝上の
みならず、案内溝(以下グルーブ)と案内溝の間(以下
ランド)にも信号を記録して記録密度を高める方法(以
下ランド&グルーブ記録法)が提案されている(特公昭
63−57859号公報)。
【0010】さらに、この場合、溝深さ、溝幅等の溝形
状を限定すれば隣接トラック(信号はグルーブ、ランド
の双方に記録するため、両者共に記録トラックである。
以下単にトラックとも記す)からのクロストークを非常
に小さくできる(特願平4−79483号)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】信号記録用のグルーブ
および信号記録用のランドを設けた基板上に、レーザー
光等の照射によって少なくとも反射率の高い状態と低い
状態間で変化する記録層を設けた光ディスクでは、従来
のグルーブまたはランドの一方にのみ信号を記録する光
ディスクでは見られなかった以下の課題が生じる場合が
あることが分かった。
【0012】1)隣接トラックからのクロストーク(ラ
ンドでは隣接するグルーブからの、またグルーブでは隣
接するランドからのクロストーク)の大きさが、基板の
溝形状のみならず、薄膜構成によって大きく異なり、場
合によってはクロストークが大きすぎて実用的でないこ
とがある。
【0013】2)グルーブに記録した場合とランドに記
録した場合で、その再生信号の品質、すなわち再生信号
振幅、信号対雑音比(以下CNR)等が異なる場合があ
る。再生信号の品質が大きく異なる場合には、ランドと
グルーブで再生後の信号処理手段を変える必要があると
いった不都合を生じる。
【0014】3)グルーブとランドの再生信号品質が初
期記録の時では同等であるが、オーバーライトを繰り返
した場合にランドの信号劣化の方が大きい場合がある。
【0015】なお、本明細書におけるランドとグルーブ
との区別は、レーザー光投入側に対して凸になっている
方をグルーブ、反対側に凸になっている方をランドと定
義する。レーザー光は通常基板を通して照射されるが、
基板と反対側からの照射される場合も、この定義に従え
ば本明細書に記述の内容は本発明に含まれる。
【0016】
【課題を解決するための手段】表面に凹凸による溝状の
グルーブと、前記グルーブと隣接するグルーブ間のラン
ドの双方を信号記録用トラックとする基板上に、少なく
とも第1の誘電体層、レーザー光等の照射によって少な
くとも反射率の高い状態と低い状態間で可逆的に変化す
る記録層、第2の誘電体層、反射層を設けた光学的情報
記録媒体であって、再生光の波長をλとし、前記基板の
屈折率をnとすると、前記グルーブの深さDが、λ/
(8n)<D<λ/(4n)を満たし、かつ前記記録層
の高い方の反射率をR1、低い方の反射率をR2、前記
記録層の反射率が高い状態における入射光に対する反射
光の位相をφ1、反射率が低い状態における入射光に対
する反射光の位相をφ2とするとき、前記第1の誘電体
層、前記記録層、前記第2の誘電体層、前記反射層の膜
厚を設計することで反射率比R2/R1および反射光の
位相差φ1−φ2を調整して、前記グルーブから再生さ
れた信号の振幅と、前記ランドから再生された信号の振
幅の差が3dB以内となるように設計されたことを特徴
とする。
【0017】基板のグルーブ深さおよび記録媒体の反射
率を上記のように限定することにより、ランド&グルー
ブ記録法においてもクロストークを低減できる。さら
に、位相差を限定することで、基板のグルーブ形状およ
びノイズレベルによるランドとグルーブの信号品質の差
や、サイクルに伴うランドでの信号品質劣化を補償でき
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下図面を参照しながら本発明を
詳細に説明する。
【0019】図1に本発明に用いる光ディスクの一例の
断面図を示す。1は基板であり、その表面には信号記録
用トラックとしてグルーブ7およびランド8が設けてあ
る。
【0020】基板の材質としては、一般的に透明なガラ
ス、石英、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレー
ト等が用いられ、レーザー光は基板の信号トラック面と
は反対側から投入される。
【0021】基板上には第1の誘電体層2、記録層3、
第2の誘電体層4、反射層5の順に積層されている。さ
らに必要に応じて薄膜層を保護するために保護カバー9
を設けてもよい。
【0022】記録層3は、レーザー光等の照射によって
光学的に識別が可能な状態間で可逆的に変化する材料か
らなり、例えば相変化物質として一般的に知られている
ものが使用できる。
【0023】相変化物質は、アモルファスと結晶間、あ
るいは結晶とさらに異なる結晶間で状態変化を起こす例
えばTe,Se,Sb,In,Ge等の合金であり、こ
れらの合金はアモルファス状態と結晶状態では光学定数
が変化し反射率が異なるために、レーザー光等の照射に
よりその状態が光学的に識別できる。具体的には例えば
GeSbTe,InSbTe,InSbTeAg,Ga
Sb,InGaSb,GeSnTe,AgSbTe等の
合金が適用される。
【0024】第1の誘電体層2および第2の誘電体層4
は、透明でかつ熱的に安定な物質がよく、例えば、金属
や半金属の酸化物、窒化物、カルコゲン化物、フッ化
物、炭化物等およびこれらの混合物であり、具体的には
例えばSiO2,SiO,Al23,GeO2,In
23,Ta25,TeO2,TiO2,MoO3,WO3
ZrO2,Si34,AlN,BN,TiN,ZnS,
CdS,CdSe,ZnSe,ZnTe,AgF,Pb
2,MnF2,NiF2,SiC等の単体あるいはこれ
らの混合物等である。
【0025】反射層5は金属膜で構成され、材料として
は例えばAu,Al,Ti,Ni,Cu,Cr等の単体
あるいはこれらの合金を用いることができる。
【0026】なお、第1の誘電体層2、記録層3、第2
の誘電体層4の膜厚を適切に設計することにより、反射
層5を用いない構造とすることも可能である。
【0027】相変化光ディスクのように反射率変化で信
号を再生する場合においては、図1のようにランドとグ
ルーブの双方に信号を記録しても、グルーブ深さを限定
することでクロストークを抑制できることが、特願平4
−79483号において提案されており、そのなかで、
クロストーク量を−20dB以下にするためにはグルー
ブ深さDを、再生光の波長をλとし、基板の屈折率をn
とすると、λ/(7n)≦D≦5λ/(14n)を満た
すように設定すればよく、さらに略λ/(5n)または
略3λ/(10n)にすれば、クロストークは極小にな
ることが開示されている。
【0028】なお、グルーブの幾何学的な深さは一定で
も、再生光の波長λと基板の屈折率nが変化すればグル
ーブの光学的深さは変化するため、本発明におけるグル
ーブの深さDはすべて光学的深さにより限定される。
【0029】本発明者らは、前記引例に基づき、ランド
とグルーブの幅をほぼ同じに保ちながら、グルーブ深さ
を種々変えて基板上にアモルファス相と結晶相との間で
可逆的に状態変化を起こす相変化光ディスクを作製し
て、記録再生特性およびクロストーク特性に付いて検討
を重ねた結果、さらに上述したようなランド&グルーブ
記録特有の課題があることが判明した。
【0030】本発明者らは上記課題について詳しく検討
したところ、課題1、2の原因はアモルファス状態と結
晶状態の反射光の位相差、グルーブとランドの幅の差、
グルーブとランドのノイズ差等にあることが分かった。
【0031】また、課題3に関しては原因は明確ではな
いが、ランドとグルーブの熱条件の差が起因しているこ
とが考えられる。すなわち、例えばグルーブはレーザー
光投入側に凸になっているのに対して、ランドではレー
ザー光投入側と反対側に凸になっていて幾何学的構造が
異なるため、ランドとグルーブではレーザー照射時にお
ける記録膜の昇温、放熱過程も異なるものと考えられ
る。
【0032】本発明はこのような新たな課題に対してな
されたものであり、記録媒体構成を以下のように限定す
る。
【0033】すなわち、反射率の高い状態と低い状態間
で可逆的に変化する記録層を設けた光学的情報記録媒体
において、再生光の波長をλとし、基板の屈折率をnと
すると、グルーブの深さDが、λ/(8n)<D<λ/
(4n)を満たし、かつ、前記記録層の高い方の反射率
をR1、低い方の反射率をR2とするとき、0≦R2/
R1≦0.2を満たすようにする。
【0034】このように限定することで、隣接トラック
からのクロストークを−20dB以下に抑えられること
が分かった。さらに、ランド再生信号とグルーブ再生信
号の振幅差も小さく抑えられることも分かった。
【0035】これは、R2/R1>0.2ではクロスト
ークが−20dBを超える場合が現われたが、これは記
録マーク内の反射率(低い方の反射率)が大きくなる
と、記録マークからの反射光と隣接トラックの反射光と
の干渉も大きくなり、記録マークからの反射光の位相に
よっては隣接トラックからも記録マークの有無が検出で
きるようになるためと考えられる。
【0036】また、ランドおよびグルーブにおける信号
品質の差およびサイクルによるランド信号の品質低下
は、反射率が高い状態における反射光の位相φ1と反射
率が低い状態における反射光の位相φ2との差、すなわ
ちφ1−φ2(以下Δφ12)を制御することで抑制で
きることが分かった。
【0037】例えば、2mπ<Δφ12<(1+2m)
π(但し、mは整数)を満たすように薄膜構成を設計す
ることで、ランド幅とグルーブ幅が同一のとき、ランド
の振幅はグルーブの振幅より大きくなる(特願平3−1
75001号参照)。
【0038】この現象も、記録マークからの反射光と隣
接トラックの反射光との干渉に起因するものであるが、
本発明はこの現象をランド&グルーブ記録の課題解決に
利用するものである。すなわち、Δφ12を上記範囲に
選べば、信号品質がグルーブよりランドの方が劣る場
合、例えば(1)基板のランド幅がグルーブ幅より狭い
場合、あるいは(2)基板のノイズレベルがグルーブよ
りランドの方が高い場合、等に、ランドの振幅を強調す
ることで、ランドとグルーブとの信号品質を同等かつ良
好にでき、ランド&グルーブ記録に適した記録媒体にな
り得ることが分かった。
【0039】また、上記Δφ12の限定は、上記課題3
のオーバーライトを繰り返した場合におけるランドの信
号劣化を補償するのにも有効である。すなわち、ランド
&グルーブ記録においては、グルーブとランドのCNR
が初期記録の時では同等であっても、オーバーライトを
繰り返した場合に、ノイズ増加に伴う再生信号のCNR
の低下がランドの方が早い、すなわちランドの信号劣化
の方が大きい場合がある。この場合ランドのCNR低下
によりサイクル寿命が決まる。
【0040】そこでΔφ12を上記範囲に限定して、初
期記録の段階でランド振幅をグルーブ振幅より若干大き
くなるように設計する。このような構成にすることによ
り、グルーブでの初期CNRが若干低下するものの、ラ
ンド振幅が大きくなることでランドの初期CNRが大き
くなり、かつサイクルによるCNR低下も小さくなるこ
とが分かった。すなわち、多サイクル後にランドとグル
ーブの信号品質が同等になるように設計することがで
き、結果としてランド、グルーブともにサイクル寿命の
長い記録媒体が供給できる。
【0041】また、(2m−1)π<Δφ12<2m
π、(但し、mは整数)を満たすように薄膜構成を設計
すれば、ランド幅とグルーブ幅とが同一のとき、グルー
ブの振幅はランドの振幅より大きくなる。Δφ12をこ
の範囲に選べば、信号品質がランドよりグルーブの方が
劣る場合、例えば(1)基板のグルーブ幅がランド幅よ
り狭い場合、あるいは(2)基板のノイズレベルがラン
ドよりグルーブの方が高い場合、等に、グルーブの振幅
を強調することで、ランドとグルーブの信号品質を同等
にでき、ランド&グルーブ記録に適した記録媒体になり
得る。
【0042】ここで、記録媒体のアモルファス状態と結
晶状態との反射率と位相差の求め方について説明する。
【0043】図1のような薄膜積層構造における光線の
反射率と反射光との位相を計算する手法は、例えばマト
リックス法として公知であり、本発明でも各層の複素屈
折率と膜厚からマトリックス法で計算した(たとえば、
久保田広著「波動光学」岩波書店、1971年 第3章
参照)。
【0044】また、基板1と保護カバー9は無限大の膜
厚をもつものとして(基材−空気界面、密着保護層−空
気界面の効果を無視)みなし、反射率は基材から入射し
た光の基材中に出射してくる比率として求め、位相は基
板1と第1の誘電体層2の界面での位相を基準として求
めた。
【0045】なお、記録層の複素屈折率は、例えばGe
SbTe3元系では、ガラス基板上にスパッタ法で成膜
した場合におけるアモルファス状態の複素屈折率と、さ
らにこのサンプルを不活性ガス中で300℃、5分間熱
処理して結晶化させた場合の複素屈折率を採用した。
【0046】また、基板ノイズがグルーブで高いか、ラ
ンドで高いかは基板の製造過程に大きく起因する。基板
ノイズの高低は、本発明にかかわる重要な要因であり、
ここで詳述するとともにノイズレベルの本発明における
定義を記す。
【0047】ディスク基板は一般的に予め溝が設けられ
たスタンパーから、インジェクション法(射出成形法)
あるいは2P法(photo polymarization 法)によって
複製される。
【0048】スタンパーの製法は、最初に図6のように
充分に研磨されたガラス源盤61を用意する。その上に
フォトレジスト62を塗布し、レーザー光63により溝
を記録し、さらに現像処理により凹凸状の溝64を形成
してガラス原盤をえる。
【0049】さらにこの上に例えば無電解メッキやスパ
ッタ法により全面に導電膜65を形成した後、電鋳プロ
セスによりニッケル等からなるスタンパー66を作製す
る。
【0050】このスタンパー66を基にディスク基板が
複製されるが、そのとき基板のグルーブはガラス源盤6
1のガラス面の転写面に対応し、ランドはフォトレジス
ト62面の転写面に対応する。ガラス面は充分に研磨さ
れているため鏡面であるが、フォトレジスト62面は表
面に若干の凹凸が存在する場合がある。このため結果と
して基板のグルーブ面は鏡面であるが、ランド面には凹
凸が存在して信号再生の場合のノイズとなる場合があ
る。
【0051】なお、上記スタンパーの作製方法では、ガ
ラス源盤61から1枚のスタンパーしか得られないが、
上記スタンパー66をもとにさらに電鋳プロセスを繰り
返して複数枚のスタンパーを得る方法もあり、最終的に
作製されたディスク基板のグルーブがフォトレジスト面
に対応する場合もあり得、この場合にはグルーブノイズ
がランドノイズより高くなる。
【0052】また、インジェクション法によりディスク
基板を作製する場合には、さらにランドにノイズが発生
する場合がある。インジェクション法は溶融した樹脂を
高圧力でディスクのスタンパーを含む金型内に注入して
固まらせる方法である。このときスタンパーの凹部への
樹脂の流れが不十分でその形状を完全に転写できない
と、複製された基板のランド部の形状に乱れが生じ、結
果として信号を再生した場合のノイズとなる。
【0053】特にランド&グルーブ記録に用いる基板
は、従来の光ディスク用基板よりグルーブが深いため
に、転写不良によるランドノイズの上昇が発生しやす
い。
【0054】以上のように基板製法によってランドとグ
ルーブのノイズレベルに差が生じる場合があるが、その
場合でもノイズレベルの高い方の信号振幅が大きくなる
ようにΔφ12を設定することで、ランドとグルーブの
信号品質は同等にすることができる。
【0055】基板のランドとグルーブとのノイズ比較
は、薄膜を形成する前のディスク基板を信号記録再生装
置に設置して、信号を再生する場合と同じ速度で回転
し、フォーカスおよびトラッキング制御をかけながらラ
ンドもしくはグルーブ上を走査し、そのときの再生信号
をスペクトラムアナライザーへ導き、記録信号帯域にお
けるノイズレベルを測定することで行える。
【0056】記録信号帯域においては、ランド、グルー
ブともにノイズレベルはブロードに変化するため、ラン
ドとグルーブとのノイズ比較は記録信号帯域に含まれる
1周波数を選択し、その周波数におけるノイズレベルを
比較することで簡易的に行える。例えば、記録マーク長
1μm(マークピッチ2μm)の場合の周波数は、一般
的に光ディスクの記録信号帯域に含まれるが、この周波
数は、再生レーザースポットと基板の相対速度をV(m
/s)とするときV/2(MHz)で現わされ、したが
ってこの周波数におけるノイズレベルを測定することで
ランドとグルーブとのノイズレベル差を決定することが
可能である。
【0057】次に、基板のグルーブ深さ、未記録部と記
録部の反射率比および反射光の位相差を上記範囲に限定
した具体的実施の形態について詳細に記す。
【0058】(実施の形態1)光ディスクの構造は図1
と同じである。基板としてはポリカーボネイト製で、グ
ルーブ深さが異なる3種類のインジェクション基板を用
意した。グルーブ深さは62nm、71nm、99nm
であり、これはポリカーボネイトの屈折率n=1.5
8、レーザー波長λ=780nmのとき、それぞれλ/
(8n)、λ/(7n)、λ/(5n)に相当する。
【0059】なお、作製した光ディスクの評価は、波長
λ=780nmの半導体レーザーを光源とする記録再生
装置で評価したため、以下の屈折率等はことわりがない
限りλ=780nmにおける値を示す。グルーブ幅およ
びランド幅は等しく、それぞれ0.8μmである。
【0060】誘電体層材料は、ZnSに20mol%の
SiO2を添加した複合材料を用いた。屈折率は2.1
である。記録材料としては、GeSbTeの3元系を用
いた。複素屈折率は、アモルファス状態が4.41−i
1.34、結晶状態が5.52−i4.00であった。
反射層としては、AuとAlの両方を用いた。複素屈折
率は、Auが0.18−i4.64、Alが2.18−
i6.80である。
【0061】前記3種類の基板上に第1の誘電体層、記
録層、第2の誘電体層、反射層の膜厚を変化させて成膜
し、記録部(アモルファス)と未記録部(結晶)との反
射率比および反射光の位相差が異なる光ディスクを種々
作製した。
【0062】(表1)に、作製したサンプルの薄膜構成
と、各薄膜構成に対してマトリックス法で求めたアモル
ファス状態と、結晶状態の反射率比R2/R1、および
反射光の位相差Δφ12を示す。なお、ランドとグルー
ブの振幅比とクロストークは、反射率の絶対値R1、R
2ではなくその比率R2/R1に依存するため、その値
を示した。
【0063】ここで位相差Δφ12は、アモルファス状
態からの反射光の位相を基準とし、結晶状態からの反射
光の位相差を示してある。結晶状態のからの反射光の位
相が進んでいる場合符号は正、遅れている場合は負であ
る。位相は2πの周期で等価であるので−πから+πの
範囲で示した。
【0064】なお、記録層は成膜直後はアモルファス状
態のため、予めレーザー光を照射して光ディスク全面を
結晶化させて初期化した。
【0065】
【表1】
【0066】上記光ディスクを波長780nm、対物レ
ンズの開口数(NA)0.55の記録再生装置で、ラン
ドとグルーブとに記録した場合の再生振幅差およびクロ
ストークを測定した。
【0067】信号の記録再生評価は以下の手順で行なっ
た。光ディスクを記録再生装置に設置しスピンドルモー
タを回転させて線速度を5m/sとして、半導体レーザ
ーからの光ビームを光学系により微小な光スポットとし
て記録薄膜層に照射し、フォーカスおよびトラッキング
制御をかけて、最初にグルーブ上にレーザースポットを
トラッキングさせる。
【0068】そしてレーザー駆動回路を3MHzの単一
周波数で駆動することで、レーザー光をピークパワー
(記録パワー)とバイアスパワー(消去パワー)との間
でパワー変調し、連続する2本のグルーブ上に信号を記
録する。薄膜構成によって記録感度が異なるため、それ
ぞれの光ディスクに対してピークパワーは再生振幅が飽
和する値に、バイアスパワーはオーバーライト消去率が
最大になる値に設定した。
【0069】次に、トラッキングの極性を反転させて、
レーザースポットを信号を記録した2本グルーブ間のラ
ンド上にトラッキングさせ、2.5MHzの信号を記録
する。そして、ランド上で2.5MHzの信号の再生振
幅と、両隣のグルーブからの3MHzのクロストークを
測定する。
【0070】続いて、2本の連続するランド上に3MH
zの単一周波数を記録し、トラッキングの極性を再び反
転させ、信号を記録した2本のランド間のグルーブ上に
レーザースポットをトラッキングさせ2.5MHzの信
号を記録する。そして、グルーブ上で2.5MHzの信
号の再生振幅と、両隣のグルーブからの3MHzのクロ
ストークを測定する。
【0071】以上のようにしてランドとグルーブとの再
生振幅の差、およびクロストーク量を全ての薄膜構成に
ついて調べ、反射率比R2/R1および位相差Δφ12
との関係を示したのが図2〜4である。
【0072】図2は、基板のグルーブ深さが62nm、
図3は71nm、図4は99nmの場合である。ここで
再生振幅差ΔAmp(dB)は、ランドの振幅からグル
ーブの振幅を減じた値であり、したがって符号が正の場
合ランドの振幅が大きく、負の場合グルーブの振幅が大
きいことを示す。また、クロストークは、アモルファス
と結晶との位相差Δφ12の影響によりランドとグルー
ブとではその大きさが異なったが、図2〜4では大きい
方の値(悪い方の値)を示した(概ねΔφ12が正のと
きグルーブでのクロストークが大きく、負のときランド
でのクロストークが大きかった)。
【0073】図2〜4では、ΔAmp、クロストークと
もに反射率比R2/R1、位相差Δφ12、そしてグル
ーブ深さに依存している。薄膜構成によってはランド&
グルーブ記録用の記録媒体として考えた場合、クロスト
ークが大きすぎたり、あるいは振幅差ΔAmpが大きす
ぎて不適当な場合があることがわかる。しかしながら本
実施の形態のグルーブ深さ62nm、71nm、99n
mでは、0≦R2/R1≦0.2の範囲に選べばΔφ1
2の値が変化しても、クロストークを−20dB以下、
かつΔAmpの大きさを3dB以下にすることができ、
ランド&グルーブ記録用媒体として良好な特性を示すこ
とが分かる。
【0074】特にR2/R1=0、つまりR2=0にす
ればクロストークは小さく、かつランドとグルーブで振
幅を同じにできる。
【0075】さらに、グルーブ深さ71nm(λ/(7
n))、99nm(λ/(5n))の場合にはクロスト
ークは小さく、0≦R2/R1≦0.2の範囲に選べば
Δφ12の値が変化しても、−25dB以下にできるこ
とが分かる。
【0076】次に、Δφ12の値を制御することでΔA
mpを制御することができ、これを利用することでラン
ド&グルーブ記録の課題であるランドおよびグルーブに
おける信号品質の差、およびサイクルによるランド信号
の品質低下を抑制できることが分かった。以下に具体的
実施の形態を記す。
【0077】(実施の形態2)基板としてポリカーボネ
イト製で、グルーブ深さが65nmの2種類の基板Aお
よびBを用意した。基板Aは製造過程においてガラス源
盤のガラス面がグルーブ面に対応し、フォトレジスト面
がランド面に対応したものであり、逆に基板Bはガラス
面がランド面に対応し、フォトレジスト面がグルーブ面
に対応したものである。グルーブ幅およびランド幅は等
しくそれぞれ0.8μmである。
【0078】基板A、Bのノイズレベルを測定した。実
施の形態1で用いた記録再生装置に基板を設置して再生
レーザースポットと基板の相対速度を5m/sで回転さ
せ、5/2=2.5MHzの周波数におけるノイズレベ
ルを測定した。その結果、基板Aではランドのノイズレ
ベルが1.5dB高く、逆に基板Bではグルーブのノイ
ズレベルが1.2dB高かった。
【0079】基板A、Bのそれぞれに実施の形態1の薄
膜構成17と12で成膜し、4枚の光ディスクを作製し
た。(表1)および図2〜4から分かるように、薄膜構
成17はΔφ12が正で再生振幅はランドの方がグルー
ブより大きくなり、薄膜構成12はΔφ12が負で再生
振幅はグルーブの方が大きくなる構成である。
【0080】これらの光ディスクに、2.5MHzの信
号を記録再生した場合の評価結果を(表2)に示す。基
板Aに薄膜構成17を設けた光ディスクでは、ランドの
振幅がグルーブより2.1dB大きく、ランドのノイズ
が高いのを補償しており、ランドとグルーブで同等のC
NRが得られた。同様に基板Bに薄膜構成12を設けた
光ディスクでは、グルーブの振幅がランドより1.9d
B大きく、グルーブのノイズが高いのを補償しており、
ランドとグルーブとで同等のCNRが得られている。
【0081】なお、基板Aに薄膜構成12を設けた場合
は、ランドにおいてノイズレベルが高くかつ振幅が小さ
いためにランドのCNRが小さく、逆に基板Bに薄膜構
成17を設けた場合は、グルーブにおいてグルーブのノ
イズレベルが高くかつ振幅が小さいためにグルーブのC
NRが小さくて、それぞれランドとグルーブで信号品質
が異なり、結果としてランド&グルーブ記録用媒体とし
ての記録密度等は信号品質の悪い方により制限を受ける
ことになる。
【0082】以上から、基板ノイズがグルーブよりラン
ドの方が高い場合には、2mπ<Δφ12<(1+2
m)π(但し、mは整数)((表1)の値はm=0に相
当)、となるように、また、基板ノイズがランドよりグ
ルーブの方が高い場合には(2m−1)π<Δφ12<
2mπ(表1の値はm=0に相当)、となるように薄膜
構成を設計することで、ランドとグルーブの信号品質を
同等にでき、ランド&グルーブ記録に適した媒体を提供
することができる。
【0083】上記基板A、Bは基板作製時のガラス原盤
に起因するものであると考えられるが、インジェクショ
ン時のスタンパーからの転写不良によりランドノイズが
上昇する場合がある。この場合も本実施の形態と同様に
2mπ<Δφ12<(1+2m)πとなるように薄膜構
成を設計することで、ランドとグルーブの信号品質を同
等にでき、ランド&グルーブ記録に適した媒体を提供す
ることができることはいうまでもない。
【0084】
【表2】
【0085】ランドとグルーブとの信号品質差は、ラン
ドとグルーブとの幅の差によっても発生する。記録マー
クの幅は、ランドとグルーブの段差によってそれ以上横
方向に広がるのを阻止され、結果としてトラック幅が広
い方が記録マーク幅も広くなって大きな振幅が得られる
からである。ランドとグルーブとの幅が異なる場合にお
いても、光ディスクのΔφ12を制御することでランド
とグルーブの信号品質を同等にすることが可能である。
以下にその実施の形態を示す。
【0086】(実施の形態3)ポリカーボネイト製でグ
ルーブ深さが65nmの基板Cを用意した。基板Cは、
ゾーンによってランド幅とグルーブ幅とを変化させてあ
り、ゾーン1はグルーブ幅が0.6μm、ランド幅が
1.0μmであり、ゾーン2はグルーブ幅が1.0μ
m、ランド幅が0.6μmである。
【0087】基板C上に実施の形態2と同様に実施の形
態1の薄膜構成17と12で成膜し、2枚の光ディスク
を作製した。これらの光ディスクに2.5MHzの信号
を記録再生した場合の評価結果を(表3)に示す。ゾー
ン1に薄膜構成12を設けた領域、およびゾーン2に薄
膜構成17を設けた領域ではランドとグルーブとの振幅
がほぼ等しく、ともにランドとグルーブとの幅の差によ
る信号品質の差を薄膜構成により補償しているのがわか
る。
【0088】以上から、グルーブ幅がランド幅より広い
場合には、2mπ<Δφ12<(1+2m)π(但し、
mは整数)((表1)の値はm=0に相当)となるよう
に、また、ランド幅がグルーブ幅より広い場合には(2
m−1)π<Δφ12<2mπ(但しmは整数)((表
1)の値はm=0に相当)となるように薄膜構成を設計
することで、ランドとグルーブの振幅を同等にでき、ラ
ンド&グルーブ記録に適した媒体を提供することができ
る。
【0089】
【表3】
【0090】光ディスクは、その用途によっては多数回
の書換え性能が要求される。相変化光ディスクにおける
ランド&グルーブ記録では、前述のように、グルーブよ
りランドにおいてサイクルにともなうCNRの低下が大
きいという現象が現われる場合があることが分かった。
【0091】この課題に対しても光ディスクのΔφ12
を制御することで多サイクル後にランドとグルーブとの
信号品質を同等にし、結果としてサイクル寿命を長くで
きることがわかった。以下にその実施の形態を示す。
【0092】(実施の形態4)ポリカーボネイト製でグ
ルーブ深さが71nmの基板を用意した。グルーブ幅お
よびランド幅は等しく、それぞれ0.8μmである。こ
の基板ではランドとグルーブのノイズレベルはほぼ同じ
であった。この基板上に、実施の形態1の薄膜構成17
および23で成膜して、2枚の光ディスクを作製した。
【0093】(表1)および図2〜4から分かるよう
に、薄膜構成17はΔφ12が正で再生振幅はランドの
方がグルーブより大きくなり、薄膜構成23はΔφ12
がわずかに負で再生振幅はグルーブとランドでほぼ等し
くなる構成である。
【0094】これらの光ディスクを5m/sで回転させ
て3MHzと1.25MHzの信号を交互にオーバーラ
イトし、3MHzの再生信号のCNRを測定して、オー
バーライトサイクルに対してプロットした結果を図5
(上方は薄膜構成23、下方は薄膜構成17)に示す。
【0095】薄膜構成23の光ディスクでは、初期CN
Rはランド、グルーブ共に約54dBで同等であるが、
オーバーライト回数が増えるにつれてランドのCNRが
低下し約3万回のオーバーライトで50dBを下回る。
ここで、例えばCNRが50dBを下回ったサイクル回
数をサイクル寿命と仮定すれば、薄膜構成23の光ディ
スクでは、ランド&グルーブ記録用媒体としてのサイク
ル寿命はランドのサイクル性能で決まり、約3万回とな
る。
【0096】しかし薄膜構成17の光ディスクでは、ラ
ンドの再生振幅の方が大きいために、初期CNRもラン
ドが約55.5dB、グルーブが約53dBとなりラン
ドのCNRの方が大きくなった。オーバーライトを繰り
返すと薄膜構成23の場合と同様にランドのCNRが低
下し、約30万回のオーバーライトでグルーブのCNR
と同じになるが、そのとき両者ともに50dBを上回っ
ている。つまり薄膜構成17の光ディスクでは、ランド
&グルーブ記録用媒体としてのサイクル寿命は、30万
回以上である。
【0097】以上から、グルーブよりランドにおいてサ
イクルにともなう信号品質の低下が大きい場合があると
いうランド&グルーブ記録における課題は、2mπ<Δ
φ12<(1+2m)π(但し、mは整数)((表1)
の値はm=0に相当)となるように薄膜構成を設計する
ことで抑制でき、ランド&グルーブ記録用媒体のサイク
ル寿命を延ばすことができることが分かった。
【0098】次に、本発明のランド&グルーブ記録媒体
に適応できる基板のグルーブ深さをさらに詳しくしらべ
た。以下にその実施の形態を示す。
【0099】(実施の形態5)ポリカーボネイト製でグ
ルーブ深さが41nmと110nmの2種類のインジェ
クション基板を用意した。これは波長780nmの場
合、それぞれλ/(12n)、λ/(4.5n)に相当
する。グルーブ幅およびランド幅は、実施の形態1と同
様にそれぞれ0.8μmである。
【0100】これらの基板に実施の形態1と同様の薄膜
構成1〜33で成膜して光ディスクを作製し、さらに実
施の形態1と同様の方法でクロストークを測定した。そ
の結果、グルーブ深さが41nmの光ディスクは、グル
ーブ深さが浅いためクロストークの低減効果が小さく、
全ての薄膜構成においてクロストークは−20dBより
大きくなった。
【0101】また、グルーブ深さ110nmの基板の場
合には、クロストークは小さく良好であったが、ランド
のノイズレベルがグルーブより5dB程度高いことが分
かった。これはグルーブが深すぎるため、インジェクシ
ョン時の樹脂の流れが充分でなく、スタンパー表面の凹
凸が完全に転写されなかったためと考えられる。
【0102】本実施の形態5と前述の実施の形態1との
両方から判断して、本発明のランド&グルーブ記録媒体
としては、クロストークが低減できるグルーブの深さD
は、再生光の波長をλとし、基板の屈折率をnとする
と、λ/(8n)<D<λ/(4n)の範囲であるが、
さらに基板形成の容易さを考えた場合λ/(8n)<D
≦λ/(5n)がよい。さらに、クロストークを充分に
小さくするにはλ/(7n)≦D≦λ/(5n)の範囲
がよい。
【0103】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、表面に凹
凸による溝状のグルーブと、前記グルーブと隣接するグ
ルーブ間のランドの双方を信号記録用トラックとする基
板上に、少なくとも第1の誘電体層、レーザー光等の照
射によって少なくとも反射率の高い状態と低い状態間で
可逆的に変化する記録層、第2の誘電体層、反射層を設
けた光学的情報記録媒体であって、再生光の波長をλと
し、前記基板の屈折率をnとすると、前記グルーブの深
さDが、λ/(8n)<D<λ/(4n)を満たし、か
つ前記記録層の高い方の反射率をR1、低い方の反射率
をR2、前記記録層の反射率が高い状態における入射光
に対する反射光の位相をφ1、反射率が低い状態におけ
る入射光に対する反射光の位相をφ2とするとき、前記
第1の誘電体層、前記記録層、前記第2の誘電体層、前
記反射層の膜厚を設計することで反射率比R2/R1お
よび反射光の位相差φ1−φ2を調整して、前記グルー
ブから再生された信号の振幅と、前記ランドから再生さ
れた信号の振幅の差が3dB以内となるように、前記反
射率比R2/R1および前記反射光の位相差φ1−φ2
を選んだものであり、ランドとグルーブの双方に信号を
記録しても隣接トラックからのクロストークを小さく抑
えることができ、したがってランド&グルーブ記録法に
適した光学的記録媒体および記録装置の提供が可能にな
り、高密度光記録を実現することができる。
【0104】さらに、結晶状態からの反射光の位相とア
モルファス状態からの反射光の位相の差を限定すること
で、基板のグルーブやランドの形状およびノイズレベル
に因るランドとグルーブの信号品質の差を補償して、ラ
ンドとグルーブで同等かつ良好な再生信号品質が得られ
るようになる。
【0105】加えて、結晶状態からの反射光の位相とア
モルファス状態からの反射光の位相の差を限定して初期
状態のランドの信号品質をグルーブより上げておくこと
で、オーバーライトを多数回重ねるとグルーブよりラン
ドにおいて信号品質の劣化が大きいという課題を抑制す
ることができ、結果としてサイクル寿命を長くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による記録媒体の一実施の形態を説明す
るための断面図
【図2】本発明の一実施の形態のグルーブ深さがλ/
(8n)の場合の、ディスク特性と反射率差および位相
差の関係を示す図
【図3】本発明の一実施の形態のグルーブ深さがλ/
(7n)の場合の、ディスク特性と反射率差および位相
差の関係を示す図
【図4】本発明の一実施の形態のグルーブ深さがλ/
(5n)の場合の、ディスク特性と反射率差および位相
差の関係を示す図
【図5】本発明の一実施の形態のCNRのオーバーライ
トサイクルによる変化の様子を示す図
【図6】本発明の一実施の形態のスタンパーの一般的な
製法を示す図
【符号の説明】
1 基板 2 第1の誘電体層 3 記録層 4 第2の誘電体層 5 反射層 6 レーザー光 7 グルーブ 8 ランド 9 保護カバー
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/004 G11B 7/004 Z (72)発明者 坂上 嘉孝 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 井出 和久 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 宮川 直康 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 赤平 信夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5D029 JC02 WB17 WD16 5D090 AA01 CC14 FF15 FF45 GG07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に凹凸による溝状のグルーブと、前記
    グルーブと隣接するグルーブ間のランドの双方を信号記
    録用トラックとする基板上に、少なくとも第1の誘電体
    層、レーザー光等の照射によって少なくとも反射率の高
    い状態と低い状態間で可逆的に変化する記録層、第2の
    誘電体層、反射層を設けた光学的情報記録媒体であっ
    て、再生光の波長をλとし、前記基板の屈折率をnとす
    ると、前記グルーブの深さDが、λ/(8n)<D<λ
    /(4n)を満たし、かつ前記記録層の高い方の反射率
    をR1、低い方の反射率をR2、前記記録層の反射率が
    高い状態における入射光に対する反射光の位相をφ1、
    反射率が低い状態における入射光に対する反射光の位相
    をφ2とするとき、前記第1の誘電体層、前記記録層、
    前記第2の誘電体層、前記反射層の膜厚を設計すること
    で反射率比R2/R1および反射光の位相差φ1−φ2
    を調整して、前記グルーブから再生された信号の振幅
    と、前記ランドから再生された信号の振幅の差が3dB
    以内となるように設計されたことを特徴とする光学的情
    報記録媒体。
  2. 【請求項2】前記反射率比R2/R1が0≦R2/R1
    ≦0.2を満たすことを特徴とする請求項1記載の光学
    的情報記録媒体。
  3. 【請求項3】前記低い方の反射率R2がR2=0を満た
    すことを特徴とする請求項2記載の光学的情報記録媒
    体。
  4. 【請求項4】グルーブの深さDが、λ/(8n)<D≦
    λ/(5n)を満たすことを特徴とする請求項1に記載
    の光学的情報記録媒体。
  5. 【請求項5】グルーブの深さDが、λ/(7n)≦D≦
    λ/(5n)を満たすことを特徴とする請求項4記載の
    光学的情報記録媒体。
  6. 【請求項6】記録層が、アモルファス状態と結晶状態の
    間で可逆的に変化を起こす相変化記録材料からなること
    を特徴とする請求項1に記載の光学的情報記録媒体。
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