JP2002105245A - タイヤトレッド用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
タイヤトレッド用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤInfo
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Abstract
レッド用ゴム組成物および空気入りタイヤを提供する。 【解決手段】 (A)ジエン系合成ゴムまたはジエン系
合成ゴムと天然ゴムとの混合物からなり、かつスチレン
−ブタジエンゴムを少なくとも20重量%含有するゴム
成分100重量部、(B)クレー5〜50重量部、
(C)チッ素吸着比表面積が100〜300m2/gの
シリカ5重量部以上および(D)チッ素吸着比表面積が
70〜300m2/gのカーボンブラック1重量部以上
を含有し、(B)クレーと(C)シリカとの合計量が3
0重量部以上、(B)クレーと(C)シリカと(D)カ
ーボンブラックとの合計量が100重量部以下であるこ
とを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物およびこれ
をトレッドに用いた空気入りタイヤ。
Description
ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関し、
さらに詳しくは、自動車の低燃費性を保持するととも
に、とくに湿潤路面でのタイヤのグリップ性能を大幅に
改善するタイヤトレッド用ゴム組成物、およびこのタイ
ヤトレッド用ゴム組成物をトレッドに用いてなる空気入
りタイヤに関するものである。
低燃費性のほか、操縦安定性、耐摩耗性、乗り心地など
多岐にわたり、これらの性能を向上させるために種々の
工夫がなされている。たとえば、高速走行時のウェット
路面での制動性能や操縦安定性などの諸性能を向上させ
る方法としては、路面とのグリップ力を高めること、タ
イヤトレッドパターンのブロック剛性を大きくして、コ
ーナリング時のブロック変形を防止し、コーナリング特
性をよくすること、タイヤトレッドに形成された溝部の
変形を防止して排水をスムーズに行ない、ハイドロプレ
ーニングを防止することなどがあげられる。最近ではこ
のような要求特性に対して、ハイスチレンSBRにシリ
カを配合したゴム組成物をタイヤトレッドに用いること
によって、湿潤路面でのタイヤのグリップ性能を高めて
いる。
ム組成物は、路面温度が15℃以下の低温域でのグリッ
プ力を高めることはできるが、15℃をこえる高温域で
のウェット路面またはセミウェット(半乾き)路面で
は、充分なグリップ力を発現できないといわれている。
さらに、シリカを配合したゴム組成物は、走行を重ねる
とゴムの剛性が低下し、大幅にグリップ力が低下するこ
とが判明している。また、シリカ配合ゴム組成物は、ゴ
ム中へのシリカ粒子の分散が不充分であるとゴム組成物
のムーニー粘度が高くなり、押し出しなどの加工性に劣
るなどの問題が生じる。
々の提案がなされている。たとえば特開平7−1333
75号公報、特開平8−311245号公報には、ジエ
ン系ゴムに焼成クレーを配合したゴム組成物が、特開平
8−3373号公報には、特定のジエン系ゴムにジエン
系ゴムとカオリナイトからなる加硫ゴム粉末を配合した
ゴム組成物がそれぞれ開示されており、タイヤのグリッ
プ性能の向上などに効果があることが記載されている。
また、特開平8−59893号公報には、特定のスチレ
ン含有量を有するSBRに特定の組成を有する無機化合
物粉体とカーボンブラックとを配合したゴム組成物が、
特開平7−149954号公報、特開平9−31250
号公報には、ブタジエン部分中の1,2−結合の含有率
が特定の範囲内であるジエン系ゴムにカオリナイトを主
成分とするクレーを配合したゴム組成物が開示されてお
り、同様の効果があることが記載されている。
下させることなく、また低発熱性を維持しながらウェッ
トグリップ性能に優れたゴム組成物は、未だに存在しな
いのが現状である。
ヤの耐摩耗性および転がり抵抗特性を低下させることな
く、ウェットグリップ性能を大幅に改善できるトレッド
用ゴム組成物および空気入りタイヤを提供することにあ
る。
(A)ジエン系合成ゴムまたはジエン系合成ゴムと天然
ゴムとの混合物からなり、かつスチレン−ブタジエンゴ
ムを少なくとも20重量%含有するゴム成分100重量
部、(B)クレー5〜50重量部、(C)チッ素吸着比
表面積が100〜300m2/gであるシリカ5重量部
以上および(D)チッ素吸着比表面積が70〜300m
2/gであるカーボンブラック1重量部以上を含有し、
(B)クレーと(C)シリカとの合計量が30重量部以
上、(B)クレーと(C)シリカと(D)カーボンブラ
ックとの合計量が100重量部以下であることを特徴と
するタイヤトレッド用ゴム組成物、(A)ゴム成分中の
スチレン−ブタジエンゴムの含有量が35重量%以上で
ある前記のタイヤトレッド用ゴム組成物、(B)クレー
の平均粒子径が10μm以下である前記のタイヤトレッ
ド用ゴム組成物、および、(E)シラン系カップリング
剤を含有する前記の各タイヤトレッド用ゴム組成物に関
する。
成物をトレッドに用いてなる空気入りタイヤに関する。
分は、ジエン系合成ゴムまたはジエン系合成ゴムと天然
ゴムとの混合物からなる。本発明において用いられるジ
エン系合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエンゴム
(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム
(IR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPD
M)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−
ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)など
があげられる。
以上を組み合わせて用いてもよいが、ゴム成分中に少な
くとも20重量%のSBRを含有することが必要であ
る。SBRの含有量が20重量%未満のゴム成分では、
タイヤ製造時の作業性が低下するだけでなく、低燃費性
とウェットグリップ性能の両立が図れない。ゴム成分中
のSBR含有量は、好ましくは35重量%以上、さらに
好ましくは35〜100重量%、とくに好ましくは40
〜100重量%である。
0%であることが好ましい。スチレン含有率が15%未
満では、低温域および高温域における所望のグリップ性
能を得ることができず、60%をこえるとブロック剛性
が必要以上に高くなるために所望のグリップ性能を得る
ことができない。
ど、いかなる重合法によって製造されたものであっても
よい。
明に使用されるクレーとしては、平均粒子径10μm以
下のものが好ましく用いられる。平均粒子径が10μm
をこえると補強効果が充分に発揮されず、耐摩耗性が低
下する傾向がある。また、平均粒子径があまり小さすぎ
ると粒子同士の凝集が強くなり、ゴム成分への良好な分
散が困難となり、所望の性能を有するゴム組成物が得ら
れない場合がある。補強性、ウェットグリップ性能、低
燃費性のバランスなどの面から、クレーの平均粒子径
は、さらに0.1〜10μm、さらには0.5〜10μ
mであることが好ましい。
配合量は、前記ゴム成分100重量部に対して5〜50
重量部、好ましくは10〜40重量部である。前記配合
量が5重量部未満ではウェットグリップ性能の改善効果
が小さく、50重量部をこえると、耐摩耗性が低下す
る。
シリカは、前記クレーでは不充分な補強性を補うととも
に転がり抵抗の低減をはかるために使用される。前記シ
リカはチッ素吸着比表面積(N2SA)が100〜30
0m2/g、好ましくは130〜280m2/gである。
シリカのN2SAが100m2/g未満になると補強効果
が小さく、300m2/gをこえると分散性が低下し、
発熱性が増大する。
く、従来ゴム補強用として慣用されているもの、たとえ
ば乾式法シリカ、湿式法シリカなどのなかから適宜選択
して用いることができる。
配合量は、前記ゴム成分100重量部に対して5重量部
以上、好ましくは5〜85重量部である。シリカの配合
量が5重量部未満では補強効果および転がり抵抗を低下
させる効果が充分に得られず、85重量部をこえると発
熱性が増大し、作業性が低下するために好ましくない。
含む。本発明に使用されるカーボンブラックは、チッ素
吸着比表面積(N2SA)が70〜300m2/g、好ま
しくは90〜250m2/gである。カーボンブラック
のN2SAが70m2/g未満であると充分な補強性や耐
摩耗性が得られにくく、300m2/gをこえると分散
性がわるくなり、発熱性が増大する。前記カーボンブラ
ックの例としては、HAF、ISAF、SAFなどがあ
げられるが、とくに制限されるものではない。
ブラックの配合量は、前記ゴム成分100重量部に対し
て1重量部以上、好ましくは1〜70重量部、さらに好
ましくは5〜65重量部である。カーボンブラックの配
合量が1重量部未満になると補強性や耐摩耗性が低下
し、70重量部をこえると分散性が低下するうえ、所望
の特性が得られない傾向がある。
ー(B)と前記シリカ(C)との合計含有量が、前記ゴ
ム成分100重量部に対して30〜99重量部である。
前記合計量が30重量部未満では充分な補強効果が得ら
れず、99重量部をこえると分散性が低下し、発熱性が
増大する。配合効果および物性などの面から、前記合計
量は、さらに40〜79重量部であることが好ましい。
(C)と前記カーボンブラック(D)の合計含有量は、
31〜100重量部であることが好ましい。前記合計量
が31重量部未満では充分な補強効果が得られず、10
0重量部をこえると分散性が低下し、発熱性が増大す
る。配合効果および物性などの面から、前記合計量は、
さらに41〜80重量部未満であることが好ましい。
の結合を強め、耐摩耗性を向上させるために、シランカ
ップリング剤を含んでいてもよい。本発明で好適に使用
できるシランカップリング剤は、一般式Y3−Si−Cn
H2nAで表わされる化合物であり、式中のYは炭素数1
〜4のアルキル基、アルコキシル基または塩素原子で3
個のYは同一でも異なっていてもよく、nは1〜6の整
数を示し、Aは−SmCnH2nSi−Y3基、ニトロソ
基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、
塩素原子、イミド基および−SmZ基(ここでmは1〜
6の整数であり、nおよびYはそれぞれ前述のとおりで
あり、またZは以下の式(1)、(2)または(3)で
表わされる基である)よりなる群から選ばれた基であ
る。
トキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−
トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス
(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィ
ド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスル
フィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メル
カプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチ
ルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキ
シシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3
−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロ
ピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキ
シシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−
トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカ
ルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリル
プロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラス
ルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジ
メチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメ
トキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィ
ド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾール
テトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメ
タクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリル
プロピルメタクリレートモノスルフィドなどがあげられ
る。また、3個のYが同一でない例としては、ビス(3
−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィ
ド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、
3−ニトロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロ
ロプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチル
シリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテ
トラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベン
ゾチアゾールテトラスルフィドなどがあげられる。カッ
プリング剤添加効果とコストの両立からビス(3−トリ
エトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−トリ
メトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフ
ィドなどが好ましい。
または2種以上を組み合わせて用いることができる。
記クレーとシリカとの合計重量に対して1〜20重量%
が好ましい。シランカップリング剤の配合量が1重量%
未満ではシランカップリング剤を入れた効果が充分でな
く、20重量%をこえると、コストが上がる割にカップ
リング効果が得られず、補強性、耐摩耗性が低下する傾
向がある。分散効果、カップリング効果の面から、シラ
ンカップリング剤の配合量は、さらに2〜15重量%で
あることが望ましい。
成分、クレー、シリカ、カーボンブラック、シランカッ
プリング剤以外に、必要に応じて、軟化剤、老化防止
剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤などの通常のゴ
ム工業で使用される配合剤を適宜配合することができ
る。
りタイヤのトレッドを構成するための材料として好適に
用いることができ、耐摩耗性および転がり抵抗を低下さ
せることなくウェットグリップ性能を大幅に改善するこ
とができる。
明するが、これらは本発明を限定するものではない。
法をまとめて示す。 天然ゴム:RSS#3グレード ジエン系ゴム(SBR):ジェイエスアール(株)製の
SBR1502(スチレン含有率:23.5%) クレー:サウスイースタン製のクラウンクレー(粒度2
μm以下:86%、5μm以下:4%) シリカ:デグッサ製のウルトラジルVN3(N2SA:
210m2/g) カーボンブラック:昭和キャボット(株)製のショウブ
ラックN220(N2SA:125m2/g) シランカップリング剤:デグッサ製のSi69(ビス
(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィ
ド) アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のJOMOプ
ロセスX140 老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6
C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル
−p−フェニレンジアミン) ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸 酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号 硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄 加硫促進剤 TBBS:大内新興化学工業(株)製のノ
クセラー NS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチ
アジルスルフェンアミド) 加硫促進剤 DPG:大内新興化学工業(株)製のノク
セラー D(N,N’−ジフェニルグアニジン)
方法をまとめて示す。
温度20℃、スリップ率20%、試験時間5分間の条件
でランボーン摩耗試験を行なった。各配合の容積損失量
を計算し、比較例1の指数を100として下記計算式に
より指数表示した(転がり抵抗指数)。指数が大きいほ
ど耐摩耗性が優れる。 (ランボーン摩耗指数)=(比較例1の容積損失量)÷
(各配合の容積損失量)×100
ター VES((株)岩本製作所製)を用いて、温度7
0℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各配合の
損失正接tanδを測定し、比較例1の指数を100と
して、下記計算式により指数表示した(転がり抵抗指
数)。指数が大きいほど転がり抵抗特性が優れる。 (転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)÷(各配
合のtanδ)×100
ポータブルスキッドテスターを用いてASTM E30
3−83の方法にしたがって25℃でスキッドレジスタ
ンスを測定し、比較例1の指数を100として、下記計
算式により指数表示した(ウェットスキッド指数)。指
数が大きいほどウェットスキッド性能が優れる。 (ウェットスキッド指数)=(各配合のスキッドレジス
タンス)÷(比較例1のスキッドレジスタンス)×10
0
ム組成物を得た。これらのゴム組成物を170℃で20
分間プレス加硫して加硫ゴム組成物を得、これらについ
て前記各特性の試験を行なった。
ンブラック(D)を規定の量配合した実施例1〜4で
は、耐摩耗性および転がり抵抗特性を低下させることな
く、ウェットスキッド性能を改善することができた。
ク(D)のみまたはシリカ(A)とカーボンブラック
(C)のみの比較例1〜3では実施例1〜4と比較して
充分なウェットスキッド性能および転がり抵抗特性を得
ることができなかった。
カーボンブラック(D)のすべてを使用しても、クレー
(B)とシリカ(C)の合計量がゴム成分100重量部
に対して30重量部に満たない比較例4〜5、クレー
(B)とシリカ(C)とカーボンブラック(D)との合
計量が100重量部をこえる比較例6も、同様に充分な
ウェットスキッド性能および転がり抵抗特性を得ること
ができなかった。
び転がり抵抗特性を低下させることなく、ウェットグリ
ップ性能を大幅に改善することができるトレッド用ゴム
組成物および空気入りタイヤを提供することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 (A)ジエン系合成ゴムまたはジエン系
合成ゴムと天然ゴムとの混合物からなり、かつスチレン
−ブタジエンゴムを少なくとも20重量%含有するゴム
成分100重量部、(B)クレー5〜50重量部、
(C)チッ素吸着比表面積が100〜300m2/gで
あるシリカ5重量部以上および(D)チッ素吸着比表面
積が70〜300m2/gであるカーボンブラック1重
量部以上を含有し、(B)クレーと(C)シリカとの合
計量が30重量部以上、(B)クレーと(C)シリカと
(D)カーボンブラックとの合計量が100重量部以下
であることを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物。 - 【請求項2】 (A)ゴム成分中のスチレン−ブタジエ
ンゴムの含有量が35重量%以上である請求項1記載の
タイヤトレッド用ゴム組成物。 - 【請求項3】 (B)クレーの平均粒子径が10μm以
下である請求項1または2記載のタイヤトレッド用ゴム
組成物。 - 【請求項4】 さらに、(E)シラン系カップリング剤
を含有する請求項1、2または3記載のタイヤトレッド
用ゴム組成物。 - 【請求項5】 請求項1、2、3または4記載のタイヤ
トレッド用ゴム組成物をトレッドに用いてなる空気入り
タイヤ。
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