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JP2002174055A - 塀構造物およびその補強方法 - Google Patents

塀構造物およびその補強方法

Info

Publication number
JP2002174055A
JP2002174055A JP2000372774A JP2000372774A JP2002174055A JP 2002174055 A JP2002174055 A JP 2002174055A JP 2000372774 A JP2000372774 A JP 2000372774A JP 2000372774 A JP2000372774 A JP 2000372774A JP 2002174055 A JP2002174055 A JP 2002174055A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reinforcing
wall structure
fiber
reinforcing member
frp
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000372774A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiro Hayakawa
敏弘 早川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2000372774A priority Critical patent/JP2002174055A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 とくに既存の劣化した塀構造物や強度不足の
塀構造物に対して、新規に構築し直すことなく、その既
存の塀構造物を有効に活用して補修補強することが可能
な、塀構造物の補強方法およびその方法により補強され
た塀構造物を提供する。 【解決手段】 FRPからなる補強部材で補強されてい
ることを特徴とする塀構造物、および、塀構造物の表面
または内部にFRPからなる補強部材を配置して一体化
することにより塀構造物を補強する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塀構造物およびそ
の補強方法に関し、とくに既存の塀構造物を適切に補修
補強することが可能な方法、およびその方法を用いて補
強された塀構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】戸建住宅や集合住宅をはじめ工場や会社
などの敷地外周に設置されるコンクリート塀、コンクリ
ートブロック塀、レンガ塀、木製塀などあらゆる塀構造
物において、地震や台風などによる自然災害を軽減させ
るとともに、塀構造物が崩れ落ちてきた際に通行人など
を守るために、塀構造物を適切に補修補強することが望
まれる。
【0003】たとえば、コンクリート塀においては、通
常コンクリートを補強する目的で鉄筋が配筋されてい
る。また、コンクリートブロック塀ではブロックをその
まま積み上げて使用するケースも多くあるが、補強する
場合は鉄筋を配筋する。しかしこの場合は塀を配置した
後には通常補強が困難であるので、新設する必要があ
る。その他レンガ塀などは、積み上げるだけの構造物で
あり、大きな自然災害などには対応が困難である。
【0004】また、これらの塀構造物の材料は、経年と
ともにひび割れや一部欠損が生じたりして劣化し、大き
な地震や台風などが発生した場合にはこれらが崩れ落ち
るおそれがあるばかりか、通行人などにも二次被害を与
えかねない。さらに、これら塀構造物に対して補強する
という考えはあまりなく、新規に塀構造物を構築する場
合がほとんどである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題
は、新築の塀構造物にも適用可能であるが、とくに既存
の劣化した塀構造物や強度不足の塀構造物に対して、新
規に構築し直すことなく、その既存の塀構造物を有効に
活用して補修補強することが可能な、塀構造物の補強方
法およびその方法により補強された塀構造物を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の塀構造物は、繊維強化プラスチック(FR
P)からなる補強部材で補強されていることを特徴とす
るものからなる。
【0007】この塀構造物においては、塀構造物の表面
に、その塀構造物の立設方向と交差する周方向に延びる
補強部材が接着されている構成、あるいは、塀構造物の
表面に、上下方向に延びる補強部材が接着されている構
成、さらには、塀構造物の内部に、補強部材が補強筋と
して埋設されている構成等を採ることができる。
【0008】補強部材としては、とくに限定されない
が、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステ
ル繊維の少なくとも一種の強化繊維を含むものが好まし
い。また、FRPからなる補強部材のマトリクス樹脂と
してもとくに限定されないが、とくに熱硬化性樹脂が好
ましい。
【0009】本発明に係る塀構造物の補強方法は、塀構
造物の表面に樹脂を塗布し、その表面に強化繊維層を配
置し、樹脂を強化繊維層に含浸させた後硬化させてFR
P層を形成することを特徴とする方法からなる。この方
法では、強化繊維層を塀構造物の立設方向と交差する周
方向に延びるように配置する、たとえば、強化繊維層を
塀構造物の全周にわたって巻き付けるように配置するこ
とができる。
【0010】また、本発明に係る塀構造物の補強方法
は、予め成形されたFRPからなる補強部材を塀構造物
の表面に接着することを特徴とする方法からなる。この
方法では、塀構造物の上下方向に補強部材を接着する、
たとえば上下方向に延びる複数の補強部材を接着し、そ
れらの下端を塀構造物の土台中に埋設することができ
る。
【0011】さらに、本発明に係る塀構造物の補強方法
は、塀構造物の内部にFRPからなる補強筋を埋設する
ことを特徴とする方法からなる。この方法は、たとえば
コンクリートブロックから形成された塀構造物に適用で
き、そのコンクリートブロックの孔に補強筋を挿入した
後、モルタルを流し込んで補強筋と塀構造物を一体化す
る工法として実施できる。
【0012】上記のような本発明に係る塀構造物および
その補強方法においては、塀構造物、とくに既存の塀構
造物をFRPからなる補強部材により適切に補強でき、
新規に構築することなく、塀構造物の強度を適切に向上
させることができる。また、このFRPからなる補強部
材を使用した補強は、建築廃材を出すこともないので、
環境に優しい工法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について、望まし
い実施の形態とともに図面を参照しながら詳細に説明す
る。本発明で対照となる塀構造物としてはとくに限定さ
れず、コンクリート塀、コンクリートブロック塀、レン
ガ塀、木製塀等あらゆる塀構造物を対象とできる。中で
も本発明は、既存のコンクリート塀やコンクリートブロ
ック塀、レンガ塀の補修補強に好適である。
【0014】たとえば図1および図2に、本発明の一実
施態様に係る塀構造物およびその補強方法を示す。本実
施態様は、とくにコンクリートブロックで構築された既
存の塀構造物の補強に本発明に適用したものである。図
1および図2において、1は既存のコンクリートブロッ
ク塀を示しており、この表面に、接着剤としてFRPの
マトリクス樹脂を塗布し、その上に強化繊維層2を配置
し、樹脂を強化繊維層に含浸させた後硬化させてFRP
層を形成し、そのFRP層によってコンクリートブロッ
ク塀1を補強する場合を示している。
【0015】本実施態様では、強化繊維層2は、水平方
向に、コンクリートブロック塀1の全周にわたって延び
るように、始端部と終端部が重ね合わせ部3で重なるよ
うに配置されている。図1には、コンクリート部塀1の
上部側のみに強化繊維層2を配置した様子を示している
が、続けて塀1の下端まで、上下方向の全長にわたって
巻き付けられることが好ましい。また、図1および図2
には、強化繊維層2を全周にわたって巻き付ける場合を
示したが、全周巻き付けが難しい場合や全周巻き付けが
不要と考えられる場合には、コンクリートブロック塀1
の表面に部分的に配置してもよい。また、巻き付け方向
も、水平周方向に限定されず、上下方向や斜め方向によ
り巻き付けやすい場合等には、その方向に巻き付けても
よい。
【0016】このようなコンクリートブロック塀あるい
はコンクリート塀の補強は、たとえば次のように行われ
る。但し以下に説明する方法は一例を示すものであっ
て、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】まず、コンクリート表面の劣化部分や汚れ
部分を除去するためや、凸部分を削り平滑にするため
に、または接着性を良くするために、コンクリート表面
を粗す下地処理をディスクサンダーなどによる研磨によ
って施し、コンクリートの地肌を表面に出す。この研磨
作業は、コンクリートの状態により、付着している油な
どの不純物をシンナーやアセトンなどで洗浄するだけで
よい場合もある。
【0018】次いで研磨作業でコンクリート表面に付着
した粉塵などをエアーで吹き飛ばすかウエスなどで取り
除き、コンクリート表面に現れたクラックや凹部分など
はモルタルやパテなどで埋めて平滑にする。
【0019】次いでコンクリートとFRPの接着性を良
くするために、プライマーを塗り、たとえば一昼夜程度
放置して乾燥させる。
【0020】その後、FRPのマトリクスとなる樹脂を
塗布ローラーや刷毛、ゴムヘラなどで塗布する。ここで
用いるマトリクス樹脂は特に限定されるものではない
が、常温硬化型の熱硬化樹脂が好ましい。熱硬化樹脂と
しては、エポキシ樹脂やメチルメタクリル樹脂、ビニル
エステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹
脂などを使用できるが、中でもエポキシ樹脂は耐アルカ
リ性が優れる上、コンクリートや強化繊維との接着性が
良いので特に好ましい。
【0021】このようなマトリクス樹脂を塗布した上
に、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステ
ル繊維、さらにはその他の合成繊維を用いた強化繊維の
クロスやシートを配置する。たとえば、炭素繊維のクロ
ス又はシートを置き、含浸ローラーやゴムヘラなどで樹
脂の分布が均一になるように押しならすと同時にマトリ
クス樹脂を炭素繊維クロス又はシートに含浸させる。そ
の後更にその上に、必要に応じて同じ樹脂を塗布し含浸
ローラーやゴムヘラで含浸作業を行う。この作業を積層
枚数に応じて繰り返すが、一般的に積層作業を行う場合
は、一昼夜おいて樹脂が指触判断にて硬化した後に次の
クロス又はシートを積層することが好ましい。しかしな
がら、硬化養生時間が約5日以上経過した後に積層作業
を行う際は、接着性を良くするために硬化表面を紙ヤス
リやディスクグラインダーなどで研磨すると良い。
【0022】このようにして、既存のコンクリート塀や
コンクリートブロック塀の表面に接着されたFRPから
なる補強部材が形成される。この補強部材は、上記の如
く施工が容易で、かつ軽量であり、しかも腐蝕の生じな
い耐久性の極めて高い部材となる。とくに図1や図2に
示したように、強化繊維層2をコンクリートブロック塀
1の全周にわたって延びるように配置してFRPからな
る補強部材を形成すれば、この補強部材で全周にわたっ
て外側からコンクリートブロック塀1を一体的に保持で
きるとともに拘束することができ、地震や台風等によっ
て大きな力が加わる場合等においても、破損や崩れに対
してコンクリートブロック塀1の強度を大幅に向上する
ことができ、極めて効果的な補強が可能になる。
【0023】また、この補修補強方法においては、実質
的に建設廃材が生じないから、環境に悪影響を及ぼすこ
ともなく、既存の塀構造物が環境に優しい工法にて適切
に補強されることになる。
【0024】本発明における強化繊維層に用いられる強
化繊維としては、前述の如く、炭素繊維、ガラス繊維、
アラミド繊維、ポリエステル繊維の少なくとも一種の強
化繊維を使用できる。
【0025】本発明に用いる炭素繊維は特に限定される
ものではなく、ポリアクリロニトリル系又はピッチ系何
れの繊維も使用できる。また、一般的には高強度タイプ
と高弾性率タイプとがあるが、補修補強対象により適宜
使い分けができる。また、炭素繊維はフィラメントが多
数本集束したマルチフィラメントの形態で使用すること
が好ましく、炭素繊維の糸条の太さとしては3,000
〜100,000フィラメント程度であり、好ましくは
3,000〜30,000フィラメント程度である。
【0026】また、少ない繊維量でより大きな補強効果
を得るために、炭素繊維としては高強度、高弾性率のも
のが好ましいが、補修補強対象により設計、補強の考え
方が異なる場合が多いことから、特にこれらに限定され
るものではない。通常用いられる炭素繊維の物性として
具体的に言えば、引張強度が3GPa以上、好ましくは
4GPa以上、より好ましくは4.5GPa以上が良
い。また、引張弾性率は200〜700GPa程度のも
のが良いが、これに限定されるものではない。
【0027】また、炭素繊維の使用形態としては1マル
チフィラメントを被着体に巻いて使用してもよいが、施
工性を考慮すると織編組織とすることが良い。織物の構
成は特に限定されるものではなく、平織、朱子織、斜文
織、もじり織、からみ織、模紗織、多重織などを適宜用
いることができる。中でも、補強繊維となる炭素繊維を
たて方向に配列し、よこ糸として細い補助繊維を用いて
織組織とした一方向織物や、よこ糸も補強繊維となる炭
素繊維を用いて織組織とした二方向織物が好ましい。ま
た、編物についても特に限定されるものではないが、経
編、緯編、ラッセル編などを適宜用いることができる。
その他に、強化繊維を一方向に並行に配列し、メッシュ
状や紙などの支持体で荷担した一方向材のシート組織で
あってもよい。
【0028】織物を構成する場合、よこ糸を構成する補
助繊維の引張物性としては、たて糸の一方向補強繊維と
同等もしくはそれより低い強度、弾性率を有する繊維が
好ましいが、これに限定されるものではない。また、取
り扱い性や現場作業性から強化繊維のフィラメントがば
らけるのを防止する意味で、強化繊維がよこ糸の補助繊
維との交点部で固定されていることが好ましい。かかる
補助繊維としては、モノフィラメント、マルチフィラメ
ント、紡績糸など適宜用いることができる。
【0029】強化繊維と補助繊維の固定方法は特に限定
されないが、一般的には外部からの受熱により補助繊維
に含まれる低融点成分を溶融して、補助繊維の骨格をな
す芯繊維を残してたて糸の強化繊維との交点部で融着固
定する方法が好ましい。
【0030】補助繊維の構成としては、バイメタル型、
芯鞘型などの複合糸を含め、異種の混用糸、均一混用、
芯鞘混用などの各種の混用糸が含まれる。好ましくは、
撚りの有無に関わらずフィラメント同士を混合したも
の、例えば引き揃え糸、合撚糸、カバリング糸、交絡糸
などの形態の糸を使用することが望ましい。
【0031】受熱加工としては、補助繊維の骨格をなす
芯繊維ができるだけ熱劣化しない加工条件で融着固定す
ることが好ましい。すなわち、低融点成分糸と芯繊維成
分の溶融温度差が大きいものを使用するほど芯繊維への
悪影響を小さくすることができるので、好ましくは溶融
温度差が10℃以上、更に好ましくは15℃以上ある繊
維を使用したものが良い。
【0032】かかる低融点成分のポリマーとしては、た
とえばナイロン、共重合ナイロン、ポリエステル、共重
合ポリエステル、塩化ビニル、ポリウレタンなどからな
るモノフィラメント、マルチフィラメントなどを使用で
きる。更にはスリットヤーンを用いてもよい。
【0033】熱処理方法としては一般的な方法を採用す
ることができ、織物を熱風加熱方式のピンテンターで加
熱する方法、カレンダーロールで加熱圧着させる方法が
あるが、好ましくは製織時に熱板などで加熱させる方法
が良い。
【0034】その他の炭素繊維の使用形態として、織物
や一方向材に予め樹脂を含浸したプリプレグなどのシー
ト状の繊維材であってもよい。プリプレグのマトリクス
樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性
樹脂が用いられる。
【0035】クロス又はシートのサイズは特に限定され
るものではないが、作業性から考慮すると幅20cm〜
100cm程度、好ましくは幅25cm〜50cm程度
が良い。また、クロス又はシートの単位面積あたりの重
量(目付(g/m2 ))も特に限定されるものではない
が、一般的には100g/m2 〜1,000g/m2
度、樹脂の含浸性を考慮すると好ましくは100g/m
2 〜600g/m2 程度が使用される。
【0036】本発明に用いるガラス繊維は特に限定され
るものではないが、具体的にはEガラス(無アルカリガ
ラス)、Sガラス(高強度ガラス)、ARガラス(耐ア
ルカリガラス)、Cガラス(耐酸ガラス)などのヤーン
あるいはロービング糸などが挙げられ、更にこれらを製
織した織物を用いるのが好ましい。
【0037】使用するガラス繊維の太さの限定はない
が、好ましくは3μm〜50μm、更に好ましくは3μ
m〜25μm程度が良い。また、通常用いられるガラス
繊維の物性としては、引張強度が1GPa以上、好まし
くは2GPa以上、より好ましくは3GPa以上が良
い。また、引張弾性率は炭素繊維と比較すると小さくな
るが高ければ高い程良い。通常は60〜100GPa程
度である。なお引張強度、引張弾性率ともこれらに限定
されるものではない。
【0038】本発明に用いるアラミド繊維は大別する
と、パラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維に分類で
き、何れの繊維も用いることができるが、補強用途とし
てはパラ系のアラミド繊維が好ましい。具体的にはポリ
パラアミノベンズアミド、ポリパラアミノベンズヒドラ
ジテレフタルアミド、ポリパラフェニレンテレフタルア
ミド、ポリテレフタル酸ヒドラジド、ポリメタフェニレ
ンイソフタルアミド等及びこれらの共重合体からなる繊
維などが例示される。
【0039】使用するアラミド繊維としては、繊維の密
度が1.4g/cm3 以上であり、繊度は200〜8,
000dtex、好ましくは220〜3,000dte
xの範囲が使用される。アラミド繊維の物性としては、
引張強度が2GPa以上、好ましくは3GPa以上、ま
た引張弾性率は約50〜140GPa程度が好ましいが
これらに限定されるものではない。
【0040】本発明に用いるポリエステル繊維として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレートあるいはこれらに他の共重合成分、例えばイソ
フタル酸、イソフタル酸スルホネート、アジピン酸、ポ
リエチレングリコールなどを共重合またはブレンドして
得られるポリエステル繊維などを使用することができ
る。
【0041】該ポリエステル繊維は、ポリマー固有粘度
が好ましくは0.65以上、更に好ましくは0.8〜
1.0のものが使用される。また、該繊維自身の密度が
好ましくは1.38g/cm3 以上であり、引張強度は
770〜1,120MPa程度が好ましく使用される
が、これらに限定されるものではない。
【0042】また、該ポリエステル繊維には予め本発明
の効果を阻害しない範囲で他の合成繊維、半合成繊維、
天然繊維が混用、併用されていてもよく、また、難燃剤
や耐候剤、柔軟剤、着色剤などが付着、吸じんされてい
てもよい。
【0043】本発明におけるポリエステル繊維の繊度は
50〜4,400dtex、好ましくは500〜2,2
00dtex程度が良く、フィラメント数は10〜50
0、断面形状は円形でも三角形などの異形断面でもよ
い。
【0044】図3は、本発明の別の実施態様に係る塀構
造物およびその補強方法を示しており、既存のコンクリ
ートブロック塀11に本発明を適用した場合を示してい
る。本実施態様においては、予め成形されたFRPから
なる補強部材12が、コンクリートブロック塀11の表
面に、適宜、複数接着されており、該補強部材12によ
って既存のコンクリートブロック塀11が補強されてい
る。各補強部材12は、本実施態様では上下方向に延び
ており、下端部が地中13に埋設されている。
【0045】このような補強部材12は、たとえば強化
繊維として炭素繊維を使用したものを例にとると、炭素
繊維フィラメントを一方向に引き揃えた状態で樹脂に含
浸させ、金型から引き抜いて形を成型する引き抜き成形
などで得られた繊維強化樹脂板を使用することができ
る。このような予め成形された補強部材12を使用する
と施工性がより向上する。
【0046】繊維強化樹脂板に用いるマトリクス樹脂は
特に限定されるものではないが、熱硬化樹脂が好まし
い。熱硬化樹脂としては、エポキシ樹脂やメチルメタク
リル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、フェノール樹脂などを使用できるが、中でもエポキ
シ樹脂は耐アルカリ性が優れる上、コンクリートや補強
繊維との接着性が良いので好ましい。
【0047】繊維強化樹脂板のサイズは特に限定される
ものではないが、汎用性を考慮すると、幅2cm〜20
cm程度、好ましくは5cm〜10cm程度が良い。ま
た、厚みに関しては補修補強対象により選定すればよ
く、一般的には0.5mm〜5mm程度、好ましくは1
mm〜3mm程度が良い。
【0048】このような補強部材12を用い、前述の実
施態様同様、コンクリートブロック塀11の表面の下地
処理を施した後、そのコンクリート面および/または補
強部材12の接合面に接着剤を塗布し、両者を接着す
る。使用する接着剤としては、補強部材12のFRPの
マトリクス樹脂と同種のものでもよく、異種のものでも
よい。
【0049】このように、予め成形しておいたFRP補
強部材12を使用すると、現場での施工性が大幅に向上
される。また、図3に示したように、補強部材12の強
化繊維配置方向を地面に対し垂直の方向とし、補強部材
12の下端部を地中13に埋設すると、コンクリートブ
ロック塀11のより効果的な補強が可能となる。
【0050】図4は、本発明のさらに別の実施態様に係
る塀構造物およびその補強方法を示しており、既存のコ
ンクリートブロック塀21に本発明を適用した場合を示
している。本実施態様においては、予め成形されたFR
Pからなる補強部材22が補強筋として使用され、該補
強筋を適宜埋設することにより、既存のコンクリートブ
ロック塀21が適切に補強されている。補強部材22と
しては、図3に示した補強部材12ど同様の材質、同様
の成形法により製造できるが、より剛性の高い棒状のも
の、たとえば丸棒状の形状に形成されることが好まし
い。
【0051】本実施態様ではコンクリートブロック塀2
1に対して適用されているので、丁度コンクリートブロ
ックに元々形成されている孔23を利用することがで
き、積まれた複数のコンクリートブロックの各孔23を
貫通するように棒状の補強部材22が補強筋として挿入
され、挿入後に補強部材22と孔23の内面との間の隙
間にモルタル24が流し込まれ、乾燥、固定されて補強
部材22とコンクリートブロック塀21が一体化されて
いる。また、本実施態様では、補強部材22の下端部は
地中25まで延び、該地中25に埋設されている。
【0052】このように、FRPからなる補強部材22
は、埋設補強筋として使用することもでき、コンクリー
トブロック塀21が内部から効果的に補強される。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る塀構
造物およびその補強方法によれば、とくに既存の塀構造
物を、容易に効率よく補強することができ、地震や台風
時等に大きな外力が加わる際にも適切に対応することが
可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る塀構造物の概略斜視
図である。
【図2】図1の塀構造物の平面図である。
【図3】本発明の別の実施態様に係る塀構造物の概略正
面図である。
【図4】本発明のさらに別の実施態様に係る塀構造物の
概略斜視図である。
【符号の説明】
1、11、21 既存のコンクリートブロック塀 2 強化繊維層 3 重ね合わせ部 12 FRPからなる補強部材 13、25 地中 22 補強筋としてのFRPからなる補強部材 23 コンクリートブロックの孔 24 流し込まれたモルタル

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 FRPからなる補強部材で補強されてい
    ることを特徴とする塀構造物。
  2. 【請求項2】 塀構造物の表面に、その塀構造物の立設
    方向と交差する周方向に延びる補強部材が接着されてい
    る、請求項1の塀構造物。
  3. 【請求項3】 塀構造物の表面に、上下方向に延びる補
    強部材が接着されている、請求項1の塀構造物。
  4. 【請求項4】 塀構造物の内部に、補強部材が補強筋と
    して埋設されている、請求項1の塀構造物。
  5. 【請求項5】 補強部材が炭素繊維、ガラス繊維、アラ
    ミド繊維、ポリエステル繊維の少なくとも一種の強化繊
    維を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の塀構造物。
  6. 【請求項6】 塀構造物の表面に樹脂を塗布し、その表
    面に強化繊維層を配置し、樹脂を強化繊維層に含浸させ
    た後硬化させてFRP層を形成することを特徴とする、
    塀構造物の補強方法。
  7. 【請求項7】 強化繊維層を塀構造物の立設方向と交差
    する周方向に延びるように配置する、請求項6の塀構造
    物の補強方法。
  8. 【請求項8】 FRPからなる補強部材を塀構造物の表
    面に接着することを特徴とする、塀構造物の補強方法。
  9. 【請求項9】 塀構造物の上下方向に補強部材を接着す
    る、請求項8の塀構造物の補強方法。
  10. 【請求項10】 塀構造物の内部にFRPからなる補強
    筋を埋設することを特徴とする、塀構造物の補強方法。
  11. 【請求項11】 コンクリートブロックから形成された
    塀構造物のコンクリートブロックの孔に補強筋を挿入し
    た後、モルタルを流し込んで補強筋と塀構造物を一体化
    する、請求項10の塀構造物の補強方法。
JP2000372774A 2000-12-07 2000-12-07 塀構造物およびその補強方法 Pending JP2002174055A (ja)

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