JP2002169307A - 電子写真用感光体 - Google Patents
電子写真用感光体Info
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- JP2002169307A JP2002169307A JP2000366608A JP2000366608A JP2002169307A JP 2002169307 A JP2002169307 A JP 2002169307A JP 2000366608 A JP2000366608 A JP 2000366608A JP 2000366608 A JP2000366608 A JP 2000366608A JP 2002169307 A JP2002169307 A JP 2002169307A
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Abstract
性と、高い光応答性の電子写真用感光体の開発。 【解決手段】 導電性支持体上に下引き層と電荷発生
層,電荷輸送層を含む積層型電子写真感光体において、
プロセススピードが100mm/sec以上の電子写真
プロセスに用いられる電子写真用感光体であって、下引
き層に酸化チタンを含有し、電荷輸送層における電荷輸
送材料/バインダー比が10/14〜10/20からな
り、且つ移動度が電界強度20V/μmにおいて1×1
0−6cm2/Vsec以上である積層型電子写真用感
光体。下引き層に針状および樹枝状の酸化チタンを用い
ることによって、環境異存性が改善される。
Description
感光体に関するものであり、詳しくは有機材料を含む感
光層が導電性支持体上に積層された積層型電子写真用感
光体、及びかかる積層型電子写真用感光体を用いた電子
写真方式のプリンター、複写機、FAX等の電子写真装
置に関するものである。
子写真技術は、即時性、高品質かつ保存性の高い画像が
得られることなどから、近年では複写機の分野にとどま
らず、各種プリンターやファクシミリの分野でも広く使
われ、大きな広がりをみせている。この電子写真プロセ
スは、基本的に『感光体の均一な帯電』、『像露光
による静電潜像の形成』、『該潜像のトナーによる現
像』、『該トナー像の紙への転写(中間に転写体を経
由する場合もある)』及び『定着による画像形成』と
いう5つのプロセスから構成されている。
は、有機光導電材料を用いた電子写真用感光体が、無公
害,低コスト,材料選択の自由度が高いため感光体特性
を様々に設計できるという多くの利点から、数多く提
案,実用化されている。このような有機系感光体の感光
層は、主として有機光導電材料をバインダー樹脂に分散
させた層からなり、電荷発生材料をバインダー樹脂に分
散させた層(電荷発生層)と電荷輸送材料をバインダー
樹脂に分散させた層(電荷輸送層)を積み重ねた積層構
造や、電荷発生材料および電荷輸送材料の両方をバイン
ダー樹脂に分散させた単層構造等が提案されている。中
でも、感光層として、電荷発生層上に電荷輸送層を積層
させた機能分離型の感光体は、電子写真特性や耐久性に
すぐれ、広く実用化されている。この電荷輸送層は、電
荷輸送材料とバインダー樹脂とを主成分とするものから
なるもので、その重量比(電荷輸送材料/バインダ−樹
脂)は一般に10/15〜10/6の範囲で用いられ
る。
ター等の電子写真装置は小型,高速化が進み、感光体特
性として高速化に対応した高感度化と、耐摩耗性向上に
よる長寿命化の両方が要求されている。これらの内、前
者を満たすには電荷輸送材料の含有率を高くすること
で、ある程度の高感度化を達成することが出来るが、バ
インダー樹脂が少なくなる為に耐久性が劣ってしまう。
更に、電荷輸送材料の輸送能力自体が小さいと電荷輸送
材料/バインダー樹脂比を高くしても大きな改善効果が
得られない。逆に、バインダー樹脂の量を多くすると耐
久性が向上する半面、今度は光応答性が低下してしまい
高速プロセスへの適用が困難となる。また、光応答性が
悪いために、感光体の表面電位が十分に減衰していない
状態で繰り返し使用すると残留電位上昇に伴う電位変化
が増大し、早期に画像品質の低下を招く等の弊害を伴
う。このような悪影響を回避し、高い光応答性,高耐久
性の感光体を得る手段としては、電荷輸送材料として、
より高移動度の材料を用いる方法と、電荷発生物質とし
て、より高感度な材料を用いる方法があるが、最近では
これらを併用した方法も提案されており、例えば特開平
6−202357号公報には、特定の高移動度を持つ電
荷輸送層と電荷発生物質として高感度のオキソチタニル
フタロシアニンとを併用することが記載されている。
速機に対応する為に高光応答性,高耐久性の両立を目指
した様々な方法が提案されているが、これら従来の技術
によっても未だ十分な高感度、高耐久性が完全に満たさ
れていない。特に高移動度を達成するための電荷輸送物
質は一般に環境依存性が大きく、常温/常湿環境下で優
れたものであっても他の環境下、特に低温/低湿下では
特性が劇的に悪化してしまうことがある。更に電荷発生
材料による高感度化においても電荷輸送層とのマッチン
グや繰り返し特性の問題があり、実用上十分でないのが
現状である。
題点を解決するため、電荷輸送材料,バインダー樹脂等
の特性に鋭意検討した結果、電荷輸送層の改良により耐
久性,高速応答性が改善され、さらに特定の下引き層を
使用することにより、環境変化にも対応し得るものであ
って、プロセススピードが100mm/sec以上の電
子写真プロセスに用いることができる新規な積層型電子
写真用感光体の開発に成功した。
用感光体およびかかる感光体を用いた電子写真装置を提
供するものである。 (1)導電性支持体上に、下引き層と電荷発生層及び電
荷輸送層を含む積層型電子写真感光体において、プロセ
ススピードが100mm/sec以上の電子写真プロセ
スに用いられる電子写真用感光体であって、下引き層に
酸化チタンを含有し、電荷輸送層における電荷輸送材料
/バインダー比が10/14〜10/20からなり、且
つ移動度が電界強度20V/μmにおいて1×10−6
cm2/Vsec以上である積層型電子写真用感光体。 (2)下引き層中に含有される酸化チタンの形状が針状
及び/又は樹枝状である(1)記載の積層型電子写真用
感光体。 (3)下引き層中の酸化チタン/バインダー比が10/
90〜99/1である(1)又は(2)記載の積層型電
子写真用感光体。 (4)電荷輸送層中に下記一般式Iで表されるスチリル
エナミン系化合物を電荷輸送材料として含有する(1)
〜(3)記載の積層型電子写真用感光体。
し、Ar2は置換基を有してもよいフェニレン基,ナフ
チレン基又はアントリレン基を表し、Rは水素原子,低
級アルキル基又はアルコキシ基を表し、Xは水素原子,
置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有しても
よいアリール基を表し、Yは置換基を有してもよいアリ
ール基を表す。] (5)電荷輸送層中に下記一般式IIで表されるトリフェ
ニルアミン系化合物を電荷輸送材料として含有する
(1)〜(3)記載の積層型電子写真用感光体。
子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコ
キシカルボニル基又は置換アミノ基を表し、m,pは1
から5の整数を表し、qは1から4の整数を表す。] (6)電荷輸送層中に下記一般式IIIで表されるビスア
ミン系化合物を電荷輸送材料として含有する(1)〜
(3)記載の積層型電子写真用感光体。
基、複素環基、アラルキル基又は複素環置換アルキル基
を表し、R4,R5は、同一又は異なって炭素数1から
3のアルキル基、炭素数1から3のアルコキシ基、炭素
数1から3のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子又は水
素原子を表し、rは1から4の整数であり、sは1から
3の整数である。] (7)電荷輸送層中に含有されるバインダー樹脂が、下
記一般式IVで表される構造単位を主要繰り返し単位とし
て有するポリカーボネート樹脂である(1)〜(6)記
載の積層型電子写真用感光体。
て、少なくとも2種類以上のポリカーボネート樹脂を用
いた(1)〜(7)記載の積層型電子写真用感光体。 (9)電荷発生層中にフタロシアニンを含有する(1)
〜(8)記載の積層型電子写真用感光体。 (10)電荷発生層中のフタロシアニンがオキソチタニ
ルフタロシアニンである(9)記載の積層型電子写真用
感光体。 (11)電荷発生層中のオキソチタニルフタロシアニン
がCu−kα線を用いたX線回折スペクトルにおいて少
なくともブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°にピ
−クを示すものである(10)記載の積層型電子写真用
感光体。 (12)下引き層に酸化チタンを含有し、電荷輸送材料
/バインダー比が10/14〜10/20からなり、且
つ移動度が電界強度20V/μmにおいて1×10−6
cm2/Vsec以上である電荷移動層を有する積層型
電子写真感光体をプロセススピードが100mm/se
c以上の電子写真プロセスに用いた電子写真装置。
で従来の感光体より電気特性が安定し、高い耐久性と、
高い光応答性の電子写真感光体を実現し、半導体レーザ
ーの波長に適した分光感度を得ることができる。したが
って、これまで以上に高耐久性が要求されるより高速な
マシンに搭載できる電子写真装置が実現可能である。
本発明にかかわる電子写真用感光体は、プロセススピー
ドが100mm/sec以上である電子写真プロセスに
おいて用いられるものであり、その感光層は、図1に示
すような下引き層と電荷発生層、更に電荷輸送層を積層
した構成の機能分離型感光体である。
ム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス、クロム、
モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白
金等の金属及び合金材料を用いることができ、その他に
アルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金や酸化イ
ンジウム等を蒸着または塗布したポリエステルフィル
ム、紙及び金属フィルム、導電性粒子を含有したプラス
チックや紙、ならびに導電性ポリマーを含有するプラス
チック等を用いることができる。これらの材料は、円筒
状、円柱状、または薄膜シート状に加工して用いられ
る。
が導入される。下引き層としては、一般にアルミニウム
陽極酸化被膜,酸化アルミニウム,水酸化アルミニウム
等の無機層,ポリビニルアルコール,カゼイン,ポリビ
ニルピロリドン,ポリアクリル酸,セルロース類,ゼラ
チン,デンプン,ポリウレタン,ポリイミド,ポリアミ
ド等の有機層、または有機層に無機顔料としてアルミニ
ウム,銅,錫,亜鉛,チタンなどの金属あるいは酸化亜
鉛,酸化アルミニウム,酸化チタン等の金属酸化物など
の導電性または半導電性微粒子を含有させたものが用い
られているが、本発明においては特に酸化チタンを含有
させた有機層が用いられる。本発明においては、かかる
酸化チタンの中でも、その粒子形状が図2及び図3に示
されるような針状及び樹枝状の酸化チタンが好適であ
る。
は、棒状,柱状や紡錘状などを含む細長い形状のもので
あって、長軸長aと短軸長bとの比a/bであるアスペ
クト比が1.5以上の形状のものを指す。従って、必ず
しも極端に細長いものでなくてもよく、先端が鋭くとが
っている必要もない。アスペクト比の平均値は、1.5
以上300以下の範囲が好ましいが、2以上10以下の
範囲がより好ましい。この範囲よりも小さいと、針状と
しての効果が得られにくく、またこの範囲より大きくて
も針状としての効果は変わらない。
紡錘状などを含む細長くかつ枝分かれしている形状を指
す。従って、必ずしも極端に細長い形状でなくてもよ
く、先端が鋭くとがった形状である必要もない。樹枝状
の酸化チタン粒子の粒径は、短軸長が1μm以下、長軸
長が100μm以下であることが好ましいが、短軸長が
0.5μm以下、長軸長が10μm以下であることがよ
り好ましい。粒径がこの範囲内にない場合、金属酸化物
や有機化合物により表面処理を施しても分散安定性のあ
る下引き層用塗布液が得られにくい。
しては、重量沈降法や光透過式粒度分布測定法などの方
法でも測定可能であるが、針状または樹枝状であるの
で、直接電子顕微鏡で測定する方が好ましい。また、本
発明においては、針状または樹枝状の酸化チタン粒子と
粒状の酸化チタン粒子とを混合したものを用いてもよ
い。針状または樹枝状及び粒状のいずれの酸化チタンを
用いる場合にも、酸化チタンの結晶形としては、アナタ
ーゼ型とルチル型、アモルファスなどがあるが、いずれ
を用いてもよく、また2種以上混合してもよい。
ては、105〜1010Ωcmが好ましい。粉体の体積
抵抗値が105Ωcmより小さくなると、下引き層とし
ての抵抗値が低下し電荷ブロッキング層として機能しな
くなる。例えば、アンチモンをドープした酸化錫導電層
などの導電処理を施した金属酸化物粒子の場合には、1
00Ωcm〜101Ωcmと非常に粉体の体積抵抗値が
低くなり、これを用いた下引き層は電荷ブロッキング層
として機能せず感光体特性としての帯電性が悪化するた
めに、画像にカブリや黒点が発生するために使用するこ
とはできない。また、酸化チタン粒子の粉体の体積抵抗
値が1010Ωcm以上に高くなってバインダー樹脂自
身の体積抵抗値と同等あるいはそれ以上になると、下引
き層としての抵抗値が高過ぎて、光照射時に生成したキ
ャリアの輸送が抑制阻止され、残留電位が上昇し光感度
が低下するので好ましくない。
の範囲に維持する限り、樹枝状の酸化チタン粒子の表面
は、Al2O3,ZrO2等もしくはその混合物などの
金属酸化物で被覆させたものを用いることが好ましい。
表面未処理の酸化チタン粒子を用いると、使用する酸化
チタンの粒子が微粒子であるために十分に分散された下
引き層用塗布液であっても長期間の使用や塗布液の保管
時に酸化チタン粒子の凝集が避けらない。そのため、下
引き層を形成する際、塗布膜の欠陥や塗布ムラが発生し
画像欠陥が生じる。又、導電性支持体からの電荷の注入
が起こりやすくなるために、微小領域の帯電性が低下し
黒点が発生することになる。そこで酸化チタン粒子の表
面をAl2O3,ZrO2もしくはその混合物などの金
属酸化物で被覆させることにより酸化チタンの凝集を防
止し、非常に分散性や保存安定性に優れた下引き層用塗
布液が得られる。さらに導電性支持体からの電荷の注入
を防止することができるために、黒点のない優れた画像
特性を有する電子写真感光体が得られる。酸化チタンの
表面を被覆する金属酸化物としては、Al2O3,Zr
O2が好ましい。又、Al2O3とZrO2の異なる金
属酸化物の両方で表面処理を施すと、さらに優れた画像
特性が得られることから、より好ましい効果が発現され
る。SiO2等の表面処理を施した場合は、その表面が
親水性を示すために有機溶剤になじみにくくなり酸化チ
タンの分散性が低下し凝集を引き起こしやすいために長
期間の使用には好ましくない。又、Fe2O3などの磁
性を持つ金属酸化物で酸化チタンの表面の被覆を施した
場合には、感光層中に含有するフタロシアニン顔料と化
学的に相互作用が起こり、感光体特性、特に感度低下や
帯電性の低下が生じるために好ましくない。
して用いられるAl2O3,ZrO 2等の表面処理量と
しては、酸化チタンに対して0.1wt%から20wt
%が好ましい。0.1wt%より少ない処理量であれ
ば、酸化チタンの表面を十分に被覆することができない
ために表面処理の効果が発現しにくくなる。20wt%
を超える処理量であれば表面処理としては十分に施され
ているために、特性としては変わらなくなりそれ以上で
はコストがかかるため好ましくない。
しては、一般的なカップリング剤を用いることができ
る。カップリング剤の種類としては、アルコキシシラン
化合物等のシランカップリング剤,ハロゲン,窒素,硫
黄のような原子がケイ素と結合したシリル化剤,チタネ
ート系カップリング剤,アルミニウム系カップリング剤
などが挙げられる。例えば、シランカップリング剤とし
ては、テトラメトキシシラン,メチルトリメトキシシラ
ン,ジメチルジメトキシシラン,エチルトリメトキシシ
ラン,ジエチルジメトキシシラン,フェニルトリエトキ
シシラン,アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−
(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン,アリルトリメトキシシラン,アリルトリエトキ
シシラン,3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジ
メチル−1−プロペニルトリメトキシシラン,(3−ア
クリロキシプロピル)トリメトキシシラン,(3−アク
リロキシプロピル)メチルジメトキシシラン,(3−ア
クリロキシプロピル)ジメチルメトキシシラン,N−3
−(アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン
化合物、メチルトリクロロシラン,メチルジクロロシラ
ン,ジメチルジクロロシラン,フェニルトリクロロシラ
ン等のクロロシラン類、ヘキサメチルジシラザン、オク
タメチルシクロテトラシラザン等のシラザン類、イソプ
ロピルトリイソステアロイルチタネート,ビス(ジオク
チルパイロホフェート)等のチタネート系カップリング
剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート
等のアルミニウム系カップリング剤等が挙げられるが、
これらに限定されるものではない。又、これらカップリ
ング剤によって金属酸化物粒子に表面処理を施したり、
分散剤として使用する場合に、1種または2種以上のカ
ップリング剤を併用して用いてもよい。金属酸化物粒子
に表面処理を施す方法としては、前処理法とインテグラ
ルブレンド法に大別され、さらに前処理法としては湿式
法と乾式法に分けられる。湿式法としては、水処理法,
溶媒処理法に分けられ、水処理法としては、直接溶解
法,エマルジョン法,アミンアダクト法などの公知の方
法を用いることができる。また、酸化チタン粒子の表面
は、カップリング剤で処理する場合にはその処理の前後
において、また、分散剤として有機溶剤中に添加する場
合のいずれにおいても、酸化チタン粒子の粉体の体積抵
抗値を上述の範囲に維持する限り、酸化チタン粒子の表
面は未処理のものでもよく、さらにAl2O3,ZrO
2等もしくはその混合物などの金属酸化物で被覆させた
ものでもよい。
ては、ポリビニルアルコール,カゼイン,ポリビニルピ
ロリドン,ポリアクリル酸,セルロース類,ゼラチン,
デンプン,ポリウレタン,ポリイミド,ポリアミド等の
樹脂を用いることができるが、好ましくはポリアミド樹
脂が用いられる。その理由は、バインダー樹脂の特性と
して、下引き層の上に感光層を形成する際に用いられる
溶媒に対して溶解や膨潤などが起こらないことや、導電
性支持体との接着性に優れ、可とう性を有すること等の
特性が必要とされるからである。ポリアミド樹脂のうち
より好ましくは、アルコール可溶性ナイロン樹脂を用い
ることができる。例えば、6−ナイロン,66−ナイロ
ン,610−ナイロン,11−ナイロン,12−ナイロ
ン等を共重合させた、いわゆる共重合ナイロンや、N−
アルコキシメチル変性ナイロン,N−アルコキシエチル
変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた
タイプなどがある。
タン粒子の含有率としては、10wt%以上99wt%
以下、好ましくは、30wt%以上99wt%以下、さ
らに好ましくは、35wt%以上95wt%以下の範囲
である。含有率が10wt%より少ないと、感度が低下
し、下引き層中に電荷が蓄積され残留電位が増大し、環
境変化に伴う電位変動を抑えきることが出来なくなる。
また、含有率が99wt%を超えると下引き層用塗布液
の保存安定性が悪くなり、酸化チタン粒子の沈降が起こ
り易くなるために好ましくない。
れる有機溶剤としては一般的な有機溶剤を使用すること
ができるが、バインダー樹脂としてより好ましいアルコ
ール可溶性ナイロン樹脂を用いる場合には、炭素数1〜
4の低級アルコール群と、例えばジクロロメタン,クロ
ロホルム,1,2−ジクロロエタン,1,2−ジクロロ
プロパン,トルエン,テトラヒドロフラン,1,3−ジ
オキソラン等の他の有機溶媒よりなる群と、から選ばれ
た単独系及び混合系の有機溶媒からなることが好まし
い。ここで、上記の有機溶媒を混合することによりアル
コール系溶媒単独よりも酸化チタンの分散性が改善さ
れ、塗布液の保存安定性の長期化や塗布液の再生が可能
となる。又、下引き層用塗布液中に導電性支持体を浸漬
塗布して下引き層を形成する際、下引き層の塗布欠陥や
ムラを防止し、その上に形成される感光層が均一に塗布
できることより、膜欠陥の無い非常に優れた画像特性を
有する電子写真感光体を形成することができる。
0.01μm以上20μm以下、より好ましくは0.0
5μm以上10μm以下の範囲である。下引き層の膜厚
が0.01μmより小さければ実質的に下引き層として
機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な
表面性が得られず、導電性支持体からのキャリアの注入
を防止することができなくなり、帯電性の低下が生じ
る。また、20μmよりも大きくすることは下引き層を
浸漬塗布する場合、感光体を製造する上で難しくなり感
光体の感度が低下するために好ましくない。
料に溶剤とバインダー樹脂を加えボールミル、ダイノー
ミル、超音波発振機等の分散機を用いて分散して作製し
た下引き層用塗液を用い、シートの場合にはベーカーア
プリケーター,バーコーター,キャスティング,スピン
コート等、ドラムの場合にはスプレー法,垂直リング
法,浸漬塗布法等により作製できる。
る電荷発生材料を主成分とし、必要に応じて公知の結合
剤、可塑剤、増感剤を含有する。電荷発生材料として
は、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物等のペリレン系
顔料、キナクリドン、アントラキノン等の多環キノン系
顔料、金属及び無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金
属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、スクエア
リウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、
及びカルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリ
フェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサ
ジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨
格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリル
カルバゾール骨格を有するアゾ顔料等が挙げられる。特
に高い電荷発生能を有する顔料としては、無金属フタロ
シアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、フ
ローレン環及びフルオレノン環を含有するビスアゾ顔
料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔
料が挙げられ、高い感度を有する感光体を提供すること
ができる。更にオキソチタニルフタロシアニンの内、X
線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)2
7.3°に回折ピークを示す結晶型は更に高感度である
のでより好ましい。
荷発生材料の微粒子に有機溶媒を加え、ボールミル,サ
ンドグラインダー,ペイントシェーカー,超音波分散機
等によって粉砕,分散して得られる塗液を用い、シート
の場合にはベーカーアプリケーター,バーコーター,キ
ャスティング,スピンコート等、ドラムの場合にはスプ
レー法,垂直リング法,浸漬塗工法により作製される。
また結着性を増すためにバインダー樹脂として例えばポ
リエステル樹脂,ポリビニルアセテート,ポリアクリル
酸エステル,ポリカーボネート,ポリアリレート,ポリ
ビニルアセトアセタール,ポリビニルプロピオナール,
ポリビニルブチラール,フェノキシ樹脂,エポキシ樹
脂,ウレタン樹脂,メラミン樹脂,シリコーン樹脂,ア
クリル樹脂,セルロースエステル,セルロースエーテ
ル,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等の各種バイ
ンダー樹脂を加えてもよい。その膜厚は通常0.05〜
5μmが好ましく、特に0.1〜1μmが好適である。
また、電荷発生層には必要に応じて、塗布性を改善する
ためのレベリング剤や酸化防止剤,増感剤等の各種添加
剤を含んでいてもよい。
は、電荷発生材料で発生した電荷を受け入れ、これを輸
送する能力を有する電荷輸送材料と、結着剤を必須成分
とし、電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバ
ゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチル
グルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒ
ド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニ
ルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾ
ール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチル
アミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジ
ベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラ
セン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニ
ルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミ
ン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフ
ェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチ
ル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物等の
電子供与性物質、或いはフルオレノン誘導体、ジベンゾ
チオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナ
ンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオ
キサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フ
ェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テ
トラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベ
ンゾキノン等の電子受容性物質等が挙げられる。この中
でも特定のスチリルエナミン系化合物,トリフェニルア
ミン系化合物,ビスアミン系化合物は材料自体のホ−ル
輸送能力が高いため、バインダーリッチの状態でも高感
度を維持できるので本発明では、より好適である。
I)として具体的には、次の化合物が挙げられる。
式II)としては次の化合物が挙げられる。
しては次の化合物が挙げられる。
に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層に
使用される結着剤樹脂としては、電荷輸送物質と相溶性
を有するものであれば良く、例えばポリカーボネート及
び共重合ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニ
ルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケト
ン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、
ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、
フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂等及びそれらの共重
合樹脂が挙げられる。これらを単独または2種以上混合
して用いても良い。中でも、前記一般式IVで示される
ビスフェノールZ型ポリカーボネートは耐摩耗性に優れ
特に好適であり、またこれと他のポリカーボネートの混
合系では電気特性,製膜性向上の効果があることがある
ので好ましい。またこれらの材料を溶解させる溶剤は、
メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、
エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、
クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン等の脂
肪族、ハロゲン炭化水素、ベンゼン、クロロベンゼン、
トルエン等の芳香族類等がある。電荷輸送材料/バイン
ダー樹脂比率は、通常10/15〜10/6程度である
が、本発明では耐摩耗性向上の観点から10/14〜1
0/20が好適である。本発明の電荷輸送層用塗布液に
は、成膜性,可とう性,塗布性等を向上させる為に、可
塑剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,レベリング剤等の添
加剤を含有させてもよい。塗布方法としては、下引き層
及び電荷発生層と同様の方法が用いられる。
速応答性の向上は主に電荷輸送層の改良によるものとい
うことができる。従来から実施されてきた電荷輸送材料
/バインダー比率では適切な耐摩耗性が得られず最近の
より高速なマシンでは対応出来ないため、本発明では電
荷輸送層の電荷輸送材料/バインダー比率を高速機に対
応可能な高い耐摩耗性を獲得出来るように最適に決定し
た上で、電荷輸送材料として輸送能力が極めて高い特定
の電荷輸送材料を用いることにより高感度化と高耐久性
の両立を可能としている。これまでは電荷輸送材料/バ
インダー比は10/10〜10/12程度に設定されて
なければ適切な感度が得られなかったのであるが、本発
明の感光体では、電荷輸送材料/バインダー比が10/
14〜10/20のようにかなりバインダーリッチの状
態でも、電界強度20V/μmにおける移動度が1×1
0−6cm2/Vsec以上であることを可能としてい
るため最近の高速機にも十分対応できる感度と耐摩耗性
の両立が可能となった。
めて高い電荷輸送材料は一般に環境依存性が激しく、常
温/常湿環境下で優れた感度が得られていても低温/低
湿環境下では極端に感度が悪化する。本発明では、電荷
発生層と導電性支持体との間に酸化チタン、特にその形
状が樹枝状あるいは針状のものを含有させた下引き層を
導入することで様々な環境下で安定した電子写真特性を
持つ感光体を製造することを可能としている。下引き層
による環境安定性の改善は、下引き層中での顔料粒子間
の接触面積を大きくし感光層から導電性支持体への電子
の輸送経路数を増加させることで、低温/低湿環境下に
おける電荷輸送層での輸送能力の低下が下引き層中での
輸送経路数で補われるため感度悪化が防がれる。従来か
ら用いられている粒状等の酸化チタンの場合、その形状
が等方性形状であるため、含有率を大きくしないと接触
面積が大きくならず効果が得られない半面、含有率が過
剰であると出力画像上に微小黒点等の弊害が発生してし
まう為、環境依存性を完全に改善することは出来なかっ
た。本発明で指定した樹枝状あるいは針状の形状を持つ
酸化チタンは、その形状が全くの異方性、すなわちある
特定の方向にサイズが極端に大きな形状であるため、極
めて少ない含有率でもその特定方向では近隣の酸化チタ
ン粒子同士の接触が発生しやすく、全体として同含有率
の粒状酸化チタンの場合よりも大きい接触面積が得られ
る。従って、本発明で指定した形状の酸化チタンを含有
させた下引き層では、従来の粒状酸化チタンの時よりも
はるかに低い含有率でも大きな接触面積が達成できるた
め、大きな弊害を伴う事無く環境依存性の改善が可能で
あると考えられる。
体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り以
下の実施例に限定されるものではない。
(石原産業製:TTO−D−1)30重量部、バインダ
ー樹脂として共重合ナイロン樹脂(東レ社製:CM80
00)30重量部をメチルアルコール564重量部と
1,3−ジオキソラン376重量部の混合溶媒に加えた
後、ペイントシェーカーにて8時間分散して下引き層用
塗布液を調製した。この塗液を塗工槽に満たし、直径4
0mm全長340mmのアルミニウム製円筒状支持体を
導電性支持体として、浸漬塗布法によって、膜厚1.0
μmの下引き層を導電性支持体上に形成した。
ニルフタロシアニンとして、Cu−kα特性X線回折に
おけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも2
7.3°に明確な回折ピークを有するオキソチタニルフ
タロシアニン顔料2重量部とポリビニルブチラール樹脂
(積水化学社製:エスレックBM−S)1重量部とメチ
ルエチルケトン97重量部とを混合し、ペイントシェー
カーにて分散処理して電荷発生層用塗布液を調製し、上
記下引き層と同様の方法で、膜厚〜0.4μmの電荷発
生層を下引き層上に形成した。
ゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表し、k,
l,m,nは0〜4の整数である。)
れるスチリルエナミン系化合物(保土ヶ谷化学株式会社
製:HCT−202)10重量部,前記一般式IVのポリ
カーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック
社製:ユーピロン(Z200))16重量部を混合し、
更にジメチルポリシロキサン(信越化学工業社製:KF
−96)をバインダー樹脂に対して0.02wt%の割
合で加え、テトラヒドロフランを溶剤として固形分23
wt%の電荷輸送層用塗布液を作り、それを塗工槽に満
たして浸漬塗布法により前記電荷発生層上に塗布,11
0℃にて1時間乾燥し、膜厚23μmの電荷輸送層を形
成し、感光体サンプルを作製した。
用塗布液に含有する酸化チタンとして、その形状が針状
の物(堺化学社製:STR−60N)を使用した以外
は、実施例1と同様にして各塗布液を調製し、感光体サ
ンプルを作製した。
用塗布液の酸化チタンを6重量部、バインダー樹脂を5
4重量部とした以外は、実施例1と同様にして各塗布液
を調製し、感光体サンプルを作製した。
層用塗布液のポリカーボネート樹脂を14重量部とした
以外は、実施例1と同様にして各塗布液を調製し、感光
体サンプルを作製した。
層用塗布液のポリカーボネート樹脂を20重量部とした
以外は、実施例1と同様にして各塗布液を調製し、感光
体サンプルを作製した。
層用塗布液におけるポリカーボネート樹脂を7.2重量
部とし、更に、もう1種類のポリカーボネート樹脂とし
て下記構造式で示されるビスフェノールA型ポリカーボ
ネートとビフェニルとポリシロキサンとの共重合樹脂
8.8重量部を加え全バインダー樹脂として16重量部
とした以外は、実施例1と同様にして各塗布液を調製
し、感光体サンプルを作製した。
エナミン系化合物の代わりに例示化合物II−2の構造式
で示されるトリフェニルアミン系化合物を用いた以外
は、実施例1と同様にして各塗布液を調製し、感光体サ
ンプルを作製した。
エナミン系化合物の代わりに例示化合物III−2の構造
式で示されるビスアミン系化合物を用いた以外は、実施
例1と同様にして各塗布液を調製し、感光体サンプルを
作製した。
持体上に電荷発生層用塗布液を直接、浸漬塗布法により
塗布した後、電荷輸送層用塗布液をこの上に塗布し、下
引き層なしの感光体サンプルを作製した。
用塗布液に含有する酸化チタンとして、その形状が粒状
の物(石原産業社製:TTO55A)を使用した以外
は、実施例1と同様にして各塗布液を調製し、感光体サ
ンプルを作製した。
用塗布液の酸化チタンを3重量部、バインダー樹脂を5
7重量部とした以外は、実施例3と同様にして各塗布液
を調製し、感光体サンプルを作製した。
材料として下記構造式で示されるヒドラゾン化合物を用
いた以外は、実施例1と同様にして各塗布液を調製し、
感光体サンプルを作製した。
層用塗布液のポリカーボネート樹脂を10重量部とした
以外は、実施例1と同様にして各塗布液を調製し、感光
体サンプルを作製した。
層用塗布液のポリカーボネート樹脂を25重量部とした
以外は、実施例1と同様にして各塗布液を調製し、感光
体サンプルを作製した。
層用塗布液のポリカーボネート樹脂として下記の構造単
位を繰り返し単位とするポリカーボネート樹脂(帝人化
成社製:C−1400)を用い、溶剤をジクロロメタン
とした以外は、実施例1と同様にして各塗布液を調製
し、感光体サンプルを作製した。
層用塗布液におけるオキソチタニルフタロシアニンとし
て、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に明確な
ピークを有するオキソチタニルフタロシアニン顔料の代
わりに、明確なピークを有さないα型結晶のオキソチタ
ニルフタロシアニンとした以外は、実施例1と全く同様
にして感光体サンプルを作製した。
感光体サンプルを、プロセススピードを117mm/s
ecとしたデジタル複写機(シャープ社製:AR−C1
50)に搭載し、電気特性の安定性試験として常温/常
湿(22℃/65%)下での帯電電位V0とレーザー露
光後の表面電位VL、及び低温/低湿(5℃/20%)
時のV Lと常温/常湿時のVLとの差△VLを測定し
た。また、耐久性試験として初期および40,000枚
の実写Aging終了後における画像特性比較と膜減り
量について測定した。さらに電荷輸送層の移動度はドラ
ム試験機CYNTHIA(GENTEC社製)によりゼ
ログラフィックTOF法で測定した。これらの結果を表
1に示す。
しの比較例1や粒状酸化チタンが含有された下引き層を
使用した比較例2では、移動度や膜減りこそ実施例と大
差ないものの、環境変化に伴う△VLの悪化が激しく実
写後の画像評価でもカブリや黒点の発生が確認できる。
また、本発明で指定した形状の酸化チタンを使用した比
較例3でもその含有量が少ないため常温/常湿下からす
でに露光部電位も高く、更に環境変化による電位変動を
押さえ切れていない。電荷輸送材料に輸送能力の低い材
料を使用した比較例4や電荷輸送材料/バインダー樹脂
比を本発明で指定した値以上にした比較例5、逆に比率
を小さくした比較例6では環境変化こそ実施例と大差な
いが膜減り量と移動度の点で悪影響が出ており、また、
過剰に電荷輸送材料を投入した場合では環境に対する不
安定性が下引き層の導入により押さえ切れておらず高
速,長寿命,安定性に対応しきれていないことが明らか
である。また、従来よく使用されてきたバインダー樹脂
を用いた比較例7でも比較例5ほどではないが膜減りが
大きく画像評価での悪影響が明白で、本発明で指定した
結晶型とは異なる結晶型の電荷発生材料を使用した比較
例8でも本発明で指定した下引き層と電荷輸送層を持っ
ているものの電荷発生層自体の能力が低いため感度が悪
く、画像評価でもコピー濃度の低下がその影響として現
れている。
し、本発明で指定した移動度の電荷輸送層を形成した実
施例1〜8ではいずれも、少ない膜減りで電荷輸送層の
移動度も高いことに加え環境変化に伴うレーザー露光部
の表面電位の変化も比較例に比べて小さくなっており、
耐久性,光応答性の向上だけでなく、環境安定性も向上
していることが明白である。より詳しく見ると、実施例
1,2,5〜8では画像評価においても非常に優れてお
り、長寿命性,高速対応性をあらゆる環境下で従来の感
光体よりも安定して実現できることが明白に現れてい
る。
れば、様々な環境下で従来の感光体より電気特性が安定
し、高い耐久性と、高い光応答性の電子写真感光体が提
供され、半導体レーザーの波長に適した分光感度を得る
ことが出来る。従って、高耐久性を要求されるより高速
なマシンに搭載できる電子写真装置が実現可能である。
層型感光体の層構成を模式的に示した断面図。
Claims (12)
- 【請求項1】 導電性支持体上に下引き層と電荷発生
層,電荷輸送層を含む積層型電子写真感光体において、
プロセススピードが100mm/sec以上の電子写真
プロセスに用いられる電子写真用感光体であって、下引
き層には酸化チタンを含有し、電荷輸送層における電荷
輸送材料/バインダー比が10/14〜10/20から
なり、且つ移動度が電界強度20V/μmにおいて1×
10−6cm2/Vsec以上であることを特徴とする
積層型電子写真用感光体。 - 【請求項2】 下引き層中に含有される酸化チタンの形
状が針状及び/又は樹枝状であることを特徴とする請求
項1記載の積層型電子写真用感光体。 - 【請求項3】 下引き層中の酸化チタン/バインダー比
が10/90〜99/1であることを特徴とする請求項
1又は請求項2記載の積層型電子写真用感光体。 - 【請求項4】 電荷輸送層中に下記一般式Iで表される
スチリルエナミン系化合物を電荷輸送材料として含有す
ることを特徴とする請求項1〜3記載のいずれかの積層
型電子写真用感光体。 【化1】 [式中、Ar1は置換基を有してもよいアリール基を表
し、Ar2は置換基を有してもよいフェニレン基,ナフ
チレン基又はアントリレン基を表し、Rは水素原子,低
級アルキル基又はアルコキシ基を表し、Xは水素原子,
置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有しても
よいアリール基を表し、Yは置換基を有してもよいアリ
ール基を表す。] - 【請求項5】 電荷輸送層中に下記一般式IIで表される
トリフェニルアミン系化合物を電荷輸送材料として含有
することを特徴とする請求項1〜3記載のいずれかの積
層型電子写真用感光体。 【化2】 [式中、R1,R2,R3は同一又は異なって水素原
子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコ
キシカルボニル基又は置換アミノ基を表し、m,pは1
から5の整数を表し、qは1から4の整数を表す。] - 【請求項6】 電荷輸送層中に下記一般式IIIで表され
るビスアミン系化合物を電荷輸送材料として含有するこ
とを特徴とする請求項1〜3記載のいずれかの積層型電
子写真用感光体。 【化3】 [式中、Ar1,Ar2は、同一又は異なってアリール
基、複素環基、アラルキル基又は複素環置換アルキル基
を表し、R4,R5は、同一又は異なって炭素数1から
3のアルキル基、炭素数1から3のアルコキシ基、炭素
数1から3のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子又は水
素原子を表し、rは1から4の整数であり、sは1から
3の整数である。] - 【請求項7】 電荷輸送層中に含有されるバインダー樹
脂が、下記一般式IVで表される構造単位を主要繰り返し
単位として有するポリカーボネート樹脂であることを特
徴とする請求項1〜6記載のいずれかの積層型電子写真
用感光体。 【化4】 - 【請求項8】 電荷輸送層中に含有されるバインダー樹
脂が、少なくとも2種類以上のポリカーボネート樹脂か
らなるものであることを特徴とする請求項1〜7記載の
いずれかの積層型電子写真用感光体。 - 【請求項9】 電荷発生層中にフタロシアニンを含有す
ることを特徴とする請求項1〜8記載のいずれかの積層
型電子写真用感光体。 - 【請求項10】 電荷発生層中のフタロシアニンがオキ
ソチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求
項9記載の積層型電子写真用感光体。 - 【請求項11】 電荷発生層中のオキソチタニルフタロ
シアニンがCu−kα線を用いたX線回折スペクトルに
おいて少なくともブラッグ角(2θ±0.2°)27.
3°にピークを示すことを特徴とする請求項10記載の
積層型電子写真用感光体。 - 【請求項12】 下引き層に酸化チタンを含有し、電荷
輸送材料/バインダー比が10/14〜10/20から
なり、且つ移動度が電界強度20V/μmにおいて1×
10−6cm2/Vsec以上である電荷移動層を有す
る積層型電子写真感光体をプロセススピードが100m
m/sec以上の電子写真プロセスに用いたことを特徴
とする電子写真装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000366608A JP2002169307A (ja) | 2000-12-01 | 2000-12-01 | 電子写真用感光体 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2000366608A JP2002169307A (ja) | 2000-12-01 | 2000-12-01 | 電子写真用感光体 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002169307A true JP2002169307A (ja) | 2002-06-14 |
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JP2000366608A Pending JP2002169307A (ja) | 2000-12-01 | 2000-12-01 | 電子写真用感光体 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008217016A (ja) * | 2007-03-06 | 2008-09-18 | Xerox Corp | 光導電体および可撓性光導電体 |
-
2000
- 2000-12-01 JP JP2000366608A patent/JP2002169307A/ja active Pending
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