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JP2002161950A - 自動変速機 - Google Patents

自動変速機

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Publication number
JP2002161950A
JP2002161950A JP2000356790A JP2000356790A JP2002161950A JP 2002161950 A JP2002161950 A JP 2002161950A JP 2000356790 A JP2000356790 A JP 2000356790A JP 2000356790 A JP2000356790 A JP 2000356790A JP 2002161950 A JP2002161950 A JP 2002161950A
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JP
Japan
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brake
planetary gear
automatic transmission
gear
clutch
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Application number
JP2000356790A
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English (en)
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JP4017819B2 (ja
JP2002161950A5 (ja
Inventor
Nobutada Sugiura
伸忠 杉浦
Takuya Ishii
卓也 石井
Hiroki Kameyama
宏樹 亀山
Minoru Todo
穂 藤堂
Kazuhisa Ozaki
和久 尾崎
Toshiki Kaneda
俊樹 金田
Yuji Kashiwabara
裕司 柏原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin AW Co Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Aisin AW Co Ltd
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin AW Co Ltd, Toyota Motor Corp filed Critical Aisin AW Co Ltd
Priority to JP2000356790A priority Critical patent/JP4017819B2/ja
Publication of JP2002161950A publication Critical patent/JP2002161950A/ja
Publication of JP2002161950A5 publication Critical patent/JP2002161950A5/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 3個のプラネタリギヤ及び3個のブレーキを
少なくとも有する多段変速機構のコンパクト化を図る。 【解決手段】 第1、第2及び第3プラネタリギヤ3、
4、5の外径側に、それぞれ第1、第2、第4ブレーキ
B1、B2、B4を配設する。第2、第3プラネタリギ
ヤ4、5の間に第3ワンウェイクラッチF3を配置し、
該ワンウェイクラッチのアウタレース100に凹部10
0aを設け、第2ブレーキ用油圧アクチュエータ90を
該凹部に収納する。第2プラネタリギヤ4を小径とし
て、その外径側に第1ブレーキ用油圧アクチュエータ8
1を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車に搭載され
る自動変速機に係り、特にFR(前エンジン・後輪駆
動)用自動車に搭載される前進5速等の多段自動変速機
に用いて好適であり、詳しくはプラネタリギヤ及びブレ
ーキ等の配置構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特開平5−33836号公報に示
されるように、3個のプラネタリギヤを全て中間軸上に
まとめ、この中間軸を入出力軸で支持することによりセ
ンターサポートを廃止し、軸方向寸法のコンパクト化及
びギヤノイズ特性の向上を図った自動変速機の構造が案
出されている。
【0003】本自動変速機は、上記3個のプラネタリギ
ヤのリングギヤがそれぞれブレーキに接続されている
が、トルクコンバータ側(前方)の第1プラネタリギヤ
は、リングギヤから、クラッチC1、C2を覆うように
してトルクコンバータ側に延びるブレーキドラムに第1
バンドブレーキが作用しており、また第2プラネタリギ
ヤは、第1プラネタリギヤの外径側に第2多板ブレーキ
が配置されると共にその油圧サーボが該第2プラネタリ
ギヤの外径側に配置されており、更に第3プラネタリギ
ヤは、該第3プラネタリギヤの外径側に第3多板ブレー
キが配置されると共にリヤ側のケースの出力軸支持壁に
その油圧サーボが配置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記自動変速機は、3
個のプラネタリギヤを互に隣接して直列的に並べてある
ので、各プラネタリギヤの外径側にそれぞれ各ブレーキ
をその油圧サーボと共に並べて配置することはスペース
的に困難であり、そのため、第1プラネタリギヤの第1
ブレーキは、ブレーキドラムを前方に延出して設け、し
かも径方向の寸法的制約からバンドブレーキを用いざる
を得なかった。
【0005】このため、上記従来の自動変速機は、クラ
ッチC1、C2を覆うような大きなブレーキドラムが必
要となり、構造が複雑となって組立て効率が低下すると
共に、コンパクト性が充分でなく、更に第1ブレーキと
してバンドブレーキを用いる関係上、ブレーキの制御手
段の自由度が低く、シフトフィーリング向上の妨げとな
っている。
【0006】そこで、本発明は、各ブレーキを多板ブレ
ーキとすると共に各プラネタリギヤの外径側に配置する
ことを可能とし、もって上述した課題を解決した自動変
速機を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明
は、クラッチ(C…)及びブレーキ(B…)により、ギ
ヤ部(60)の動力伝達経路を変更して、入力部材(1
2)の回転を複数の変速段(例えば前進5速、後進1
速)に変速して出力部材(105)に伝達し、かつミッ
ションケース(9)に収納されている多段変速機構
(6)を備えてなる、自動変速機(1)において、前記
ギヤ部(60)が、同軸上において前記入力部材(1
2)から出力部材(105)に向けて順次配置される第
1、第2及び第3プラネタリギヤ(3,4,5)の少な
くとも3個のプラネタリギヤを有し、前記第1、第2及
び第3プラネタリギヤのそれぞれ外径側に、その外ブレ
ーキプレート(76,87,106)が前記ミッション
ケースの内周面(9b,9d)に係止された多板ブレー
キからなる第1、第2及び第3のブレーキ(B1,B
2,B4)を配設した、ことを特徴とする自動変速機に
ある。
【0008】請求項2に係る本発明は、前記第1、第2
及び第3プラネタリギヤ(3,4,5)に、それぞれ前
記第1のブレーキ(B1)、第2のブレーキ(B2)及
び第3のブレーキ(B4)を軸方向に略々オーバラップ
するように配置した、請求項1記載の自動変速機にあ
る。
【0009】請求項3に係る本発明は、前記3個のプラ
ネタリギヤの内のいずれか2個のプラネタリギヤ(4,
5)の間に第1のワンウェイクラッチ(F3)を配設し
た、請求項1又は2記載の自動変速機にある。
【0010】請求項4に係る本発明は、前記第1のワン
ウェイクラッチのアウタレース(100)が、前記ミッ
ションケース(9)に係止されていると共に、軸方向に
凹む凹み部(100a)を有し、前記第1、第2及び第
3のブレーキの少なくとも1個の油圧アクチュエータ
(90)が、前記第1のワンウェイクラッチの凹み部
(100a)に少なくとも一部が入りこみ、該油圧アク
チュエータと前記ワンウェイクラッチが少なくとも一部
を軸方向にオーバラップするように配置された、請求項
3記載の自動変速機にある。
【0011】請求項5に係る本発明は、前記第1のワン
ウェイクラッチ(F3)が、前記第2及び第3プラネタ
リギヤ(4,5)の間に配置された、請求項3又は4記
載の自動変速機にある。
【0012】請求項6に係る本発明は、前記3個のプラ
ネタリギヤの内の隣接する2個のプラネタリギヤ(3,
4)の内、一方のプラネタリギヤ(3)に比し他方のプ
ラネタリギヤ(4)を小径に構成し、前記隣接する2個
のプラネタリギヤ内の大径となる一方のプラネタリギヤ
(3)の外径側に配設されたブレーキ(B1)の油圧ア
クチュエータ(81)を、前記小径となる他方のプラネ
タリギヤ(4)の外径側に配置した、請求項1ないし5
記載の自動変速機にある。
【0013】請求項7に係る本発明は、前記隣接する2
個のプラネタリギヤの内の大径となる一方のプラネタリ
ギヤ(3)が、デュアルプラネタリギヤであり、前記小
径となる他方のプラネタリギヤ(4)が、シンプルプラ
ネタリギヤである、請求項6記載の自動変速機にある。
【0014】請求項8に係る本発明は、前記隣接する2
個のプラネタリギヤの内の大径となる一方のプラネタリ
ギヤが、前記第1プラネタリギヤ(3)であり、前記小
径となる他方のプラネタリギヤが、前記第2プラネタリ
ギヤ(4)である、請求項6又は7記載の自動変速機に
ある。
【0015】請求項9に係る本発明は、前記第3のブレ
ーキ(B4)用の油圧アクチュエータ(109)を、前
記ミッションケース(9)の後端部に該ケースの後端面
(9e)を利用して配置した、請求項1ないし8のいず
れか記載の自動変速機にある。
【0016】請求項10に係る本発明は、前記第3のブ
レーキ(B4)用の油圧アクチュエータ(109)が、
ダブルピストン構造(110,111,112)からな
る、請求項1ないし9のいずれか記載の自動変速機にあ
る。
【0017】請求項11に係る本発明は、前記第1のブ
レーキ(B1)用の油圧アクチュエータ(81)を、前
記第2プラネタリギヤの外径側に配置し、前記第2のブ
レーキ(B2)用の油圧アクチュエータ(90)を、前
記第2プラネタリギヤ(4)と前記第1のワンウェイク
ラッチ(F3)との間部分に配置した、請求項3ないし
5のいずれか記載の自動変速機にある。
【0018】請求項12に係る本発明は、同軸状に配置
された3個の入力要素(42,43,45)を備え、中
心側の第1の入力要素(42)が、前記第3プラネタリ
ギヤ(5)の所定回転要素(S3)に連結し、該第1の
入力要素に被嵌する第2の入力要素(43)が、前記第
2プラネタリギヤ(4)の所定回転要素(CR2)に連
結し、該第2の入力要素に被嵌する第3の入力要素(4
5)が、前記第1プラネタリギヤ(3)の所定回転要素
(S1)に連結してなる、請求項1ないし11のいずれ
か記載の自動変速機にある。
【0019】請求項13に係る本発明は、前記第3プラ
ネタリギヤ(5)の前記所定回転要素がサンギヤ(S
3)であり、前記第1の入力要素が、該サンギヤ(S
3)を一体に形成した中間軸(42)であり、該中間軸
は、該サンギヤが最も大径で前記入力部材(12)に向
って順次小径となる段付き構造からなる、請求項12記
載の自動変速機にある。
【0020】請求項14に係る本発明は、前記第2プラ
ネタリギヤ(4)の所定回転要素(CR2)と前記第3
プラネタリギヤ(5)の所定回転要素(R3)とを連結
する連結部材(99)を備え、前記第1のワンウェイク
ラッチ(F3)のインナレース(101)の内周面が前
記連結部材(99)に係合してなる、請求項3ないし5
のいずれか記載の自動変速機にある。
【0021】請求項15に係る本発明は、前記第3のブ
レーキ(B4)が、後進時又は前進1速時に作動するブ
レーキである、請求項1ないし14のいずれか記載の自
動変速機にある。
【0022】請求項16に係る本発明は、前記第2のブ
レーキ(B2)が、所定変速段(例えば2速)のコース
ト時に作動するブレーキである、請求項1ないし15の
いずれか記載の自動変速機にある。
【0023】請求項17に係る本発明は、前記第1のブ
レーキ(B1)が、高速段(例えば5速)に作動するブ
レーキである、請求項1ないし16のいずれか記載の自
動変速機にある。
【0024】請求項18に係る本発明は、前記第1プラ
ネタリギヤ(3)の前記入力部材(12)側に、複数の
係止手段(B3,F2,F1)をまとめて配置した、請
求項1ないし17のいずれか記載の自動変速機にある。
【0025】請求項19に係る本発明は、前記複数の係
止手段は、その外ブレーキプレート(76)が前記ミッ
ションケース(9)の内周面(9a)に係止された多板
ブレーキからなる第4のブレーキ(B3)と、該第4の
ブレーキと前記第1プラネタリギヤ(3)の所定回転要
素(S1)との間に介在する第2のワンウェイクラッチ
(F2)と、前記第1のブレーキ(B1)と並列して配
設された第3のワンウェイクラッチ(F1)と、を有す
る、請求項18記載の自動変速機にある。
【0026】請求項20に係る本発明は、前記第4のブ
レーキ(B3)及びその油圧アクチュエータ(66)
と、前記第2及び第3のワンウェイクラッチ(F2,F
1)とを、軸方向に略々オーバラップするように配置し
た、請求項19記載の自動変速機にある。
【0027】請求項21に係る本発明は、前記多段変速
機構(6)における前記入力部材(12)側に、複数個
のクラッチ(C1,C2,C3)をまとめて配設した、
請求項12又は13記載の自動変速機にある。
【0028】請求項22に係る本発明は、前記複数個の
クラッチは、前記入力部材(12)と前記第1の入力要
素(42)との間に介在する第1クラッチ(C1)と、
前記入力部材(12)と前記第2の入力要素(43)と
の間に介在する第2クラッチ(C2)と、前記入力部材
(12)と前記第3の入力要素(45)との間に介在す
る第3クラッチ(C3)と、を有する、請求項21記載
の自動変速機にある。
【0029】請求項23に係る本発明は、前記第1プラ
ネタリギヤ(3)のリングギヤ(R1)と前記第2プラ
ネタリギヤ(4)のリングギヤ(R2)とを連結して第
1回転要素(135)を構成し、前記第2プラネタリギ
ヤ(4)のキャリヤ(CR2)と前記第3プラネタリギ
ヤ(5)のリングギヤ(R3)とを連結して第2回転要
素(136)を構成し、前記第2プラネタリギヤ(4)
及び第3プラネタリギヤ(5)の両サンギヤ(S2,S
3)を連結して第3回転要素(137)を構成し、前記
第3プラネタリギヤ(5)のキャリヤ(CR3)を前記
出力部材(105)に連結し、前記第1プラネタリギヤ
のキャリヤ(CR1)を前記第1のブレーキ(B1)に
連結し、前記第1回転要素(135)を前記第2のブレ
ーキ(B2)にて連結し、前記第2回転要素(136)
を前記第3のブレーキ(B4)及び前記第1のワンウェ
イクラッチに連結し、前記第1プラネタリギヤ(3)の
キャリヤ(CR1)を前記第1のブレーキ(B1)に連
結し、該第1プラネタリギヤのサンギヤ(S1)を所定
の係止手段(B3,F2)に連結し、前記入力部材(1
2)と前記第3回転要素(137)とを第1クラッチ
(C1)を介して連結し、前記入力部材(12)と前記
第1プラネタリギヤ(3)のサンギヤ(S1)とを第2
クラッチ(C2)を介して連結し、前記入力部材(1
2)と前記第2回転要素(136)を第3クラッチ(C
3)を介して連結してなる、請求項2記載の自動変速機
にある。
【0030】なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照
するためのものであるが、これは、実施の形態との対応
を容易かつ迅速に理解するための便宜的なものであり、
特許請求の範囲記載の構成に何等影響を与えるものでは
ない。
【0031】
【発明の効果】請求項1に係る本発明によると、3個の
プラネタリギヤの外径側に、多板ブレーキからなる3個
のブレーキを配置したので、自動変速機、特にその多段
機構の構造を簡単にして、軸方向及び径方向寸法の増大
を防止してコンパクトに構成できるものでありながら、
3個のブレーキ共に多板ブレーキを採用して、ブレーキ
特性を向上してシフトフィーリングの向上を図ることが
できる。
【0032】請求項2に係る本発明によると、3個の各
ブレーキが、3個のプラネタリギヤの外径側にて略々オ
ーバラップするように配置され、コンパクトに配置する
ことができる。即ち、軸方向に各ブレーキ用のスペース
を必要とせず、その分各プラネタリギヤの軸方向寸法に
余裕ができ、ギヤのトルク容量を稼ぐことができると共
に、各ブレーキのプレート枚数を増やすことで、径方向
寸法を大きくすることなく、ブレーキのトルク容量を確
保でき、総合的にコンパクトな設計が可能となる。
【0033】請求項3に係る本発明によると、3個の内
のいずれか2個のプラネタリギヤの間に第1のワンウェ
イクラッチを配置したので、上記各多板ブレーキの各プ
ラネタリギヤの外径側の配置を確実にすると共に、比較
的大きな容量のワンウェイクラッチを、コンパクト性、
特に径方向のコンパクト性を維持しつつ確実に配置する
ことができる。
【0034】請求項4に係る本発明によると、上記第1
のワンウェイクラッチに凹み部を設けて、該凹み部にブ
レーキ用油圧アクチュエータの一部を入り込ませて、該
油圧アクチュエータとワンウェイクラッチを軸方向に一
部をオーバラップして配置したので、所定トルク容量を
有するワンウェイクラッチを配置するものでありなが
ら、各多板ブレーキの各プラネタリギヤの外径側の配置
を確実にして、コンパクト性、特に軸方向のコンパクト
性を図ることができる。
【0035】請求項5に係る本発明によると、第1のワ
ンウェイクラッチを第2及び第3プラネタリギヤの間に
配置して、コンパクト性を維持しつつ、所定ギヤステッ
プからなる多段変速を得ることができる。
【0036】請求項6に係る本発明によると、小径であ
る一方のプラネタリギヤの外径側に、大径である他方の
プラネタリギヤの外径側に配置されたブレーキ用の油圧
アクチュエータを配置したので、該油圧アクチュエータ
の受圧面積を確保して、上記ブレーキの必要トルク容量
を備えつつ、多板ブレーキプレートの枚数を減らして、
軸方向のコンパクト性を維持することができる。
【0037】請求項7及び8に係る本発明によると、必
要とするギヤセットを用いて、上記請求項6の効果を容
易に確保することができる。
【0038】請求項9に係る本発明によると、第3のブ
レーキ用の油圧アクチュエータは、ケース後端面を利用
して大きな受圧面積を得ることができ、第3のブレーキ
に必要とする大きなトルク容量を確保することができ
る。
【0039】請求項10に係る本発明によると、第3の
ブレーキ用の油圧アクチュエータは、ダブルピストン構
造からなるので、コンパクト性を維持しつつ、第3のブ
レーキに必要とする大きなトルク容量を確保することが
できる。
【0040】請求項11に係る本発明によると、コンパ
クト性を維持しつつ、第1のブレーキ及び第2のブレー
キがそれぞれ必要とするトルク容量を確保することがで
きる。
【0041】請求項12に係る本発明によると、3個の
入力要素の内、中心側にある方の入力要素から出力部材
側のプラネタリギヤにそれぞれ連結するので、各プラネ
タリギヤ、各ブレーキ、第1のワンウェイクラッチの組
込みを容易に行うことができ、組立性を向上することが
できる。
【0042】請求項13に係る本発明によると、中間軸
に、第3のプラネタリギヤのサンギヤを一体に形成し、
かつ入力部材に向って順次小径となる段付き構造にて構
成したので、該中間軸の組込みが容易となると共に、大
きなトルクが作用する該サンギヤの強度を確保して、所
定ステップ比の多段変速機構を得られると共にその信頼
性を向上し得る。
【0043】請求項14に係る本発明によると、第1の
ワンウェイクラッチのインナレース内周面を連結部材に
係合したので、アウタレース外周面がミッションケース
内周面に係合していることと相俟って、該ワンウェイク
ラッチの構造を簡単化すると共に充分トルク容量を確保
することが可能となり、比較的大きなトルクが作用する
該ワンウェイクラッチの信頼性を向上することができ
る。
【0044】請求項15に係る本発明によると、第3の
ブレーキは、後進時又は前進1速時に作動して比較的大
きなトルクを担持する必要があるが、該第3のブレーキ
は、出力部材側である第3のプラネタリギヤの外径側に
配置して、比較的多数枚のブレーキプレートを配置する
ことが可能であり、かつその油圧アクチュエータは、ケ
ースの後端面に配置されて、前記請求項9又は10で述
べたように大きな押圧力を確保でき、これにより上記大
きな必要トルクに対応する充分なトルク容量を保持する
ことができる。
【0045】請求項16に係る本発明によると、第2の
ブレーキは、コースト時に作用するものであって比較的
小さなトルク容量で足り、例えば小径からなる第2プラ
ネタリギヤの外径側に配置し、かつ例えばその油圧アク
チュエータが第1のワンウェイクラッチの凹部に入り込
むものであっても、上記必要とするトルク容量に対応す
ることができ、該第2のブレーキ及びその油圧アクチュ
エータを、そのトルク容量に応じて配置スペースをバラ
ンスすることにより、多段変速機構全体のコンパクト性
を確保することが可能となる。
【0046】請求項17に係る本発明によると、第1の
ブレーキは、高速段に作動するものであって比較的小さ
なトルク容量で足り、例えば大径からなる第1プラネタ
リギヤの外径側に位置し、かつ例えばその油圧アクチュ
エータが小径からなる第2プラネタリギヤの外径側に配
置して、必要とするトルク容量をコンパクトな構成にて
確保することが可能となる。
【0047】請求項18に係る本発明によると、第1プ
ラネタリギヤの入力部材側に複数の係止手段をまとめて
配置するので、多段変速機構のコンパクト性を向上する
ことができる。
【0048】請求項19に係る本発明によると、上記係
止手段が、第4のブレーキ、第2及び第3のワンウェイ
クラッチであるので、すべて第1プラネタリギヤの回転
要素に作動するものであって、配置構造が簡単となると
共に、第4のブレーキが多板ブレーキからなり、その制
御特性を向上してシフトフィーリングを良好に保持する
ことができる。更に、第3のワンウェイクラッチと、第
2のワンウェイクラッチを介して第4のブレーキとで、
第1プラネタリギヤのトルクを分散して担持するので、
上記ブレーキ及びワンウェイクラッチの必要トルク容量
を小さくして小型化することができ、これら複数の係止
手段をまとめて配置することが可能となる。
【0049】請求項20に係る本発明によると、第4の
ブレーキ及びその油圧アクチュエータと、第2及び第3
のワンウェイクラッチとを軸方向に略々オーバラップし
て配置したので、コンパクト性、特に軸方向のコンパク
ト性を向上することができる。
【0050】請求項21に係る本発明によると、多段変
速機構における入力部材側に、複数のクラッチをまとめ
て配置するので、多段変速機構のコンパクト性を向上す
ることができ、かつ該複数のクラッチを比較的大径に構
成してトルク容量を確保できると共に、該クラッチ部が
トルクコンバータに隣接して配置され、自動変速機を、
トルクコンバータ側から出力部材に向けて順次小径に構
成して、FR用の自動変速機としての車輌搭載性能を向
上することができる。
【0051】請求項22に係る本発明によると、第1、
第2及び第3クラッチが、それぞれ入力部材と第1、第
2、第3の入力要素との間に介在するので、各クラッチ
の配置が合理的となり、信頼性を向上することができ
る。
【0052】請求項23に係る本発明によると、合理的
なステップ比からなる5速等の多段変速機構をコンパク
トな構成で得ることができる。特に、3速〜5速にあっ
ては、第1、第2又は第3クラッチを経由するトルク伝
達経路に分散されて伝達されて、第2プラネタリギヤは
その分担するトルクが小さくて足り、その分小径化する
ことが可能となり、かつ前記所定の係止手段の担持トル
クも少なくて足りることが相俟って、多段変速機構のコ
ンパクト化に寄与し得る。
【0053】
【発明の実施の形態】以下、図面に沿って、本発明の実
施の形態について説明する。図1は、本発明に係る自動
変速機の全体断面図、図2ないし図4は、その部分拡大
断面図である。自動変速機1は、図1に示すように、ト
ルクコンバータ2と、3個のプラネタリギヤ3、4、5
を有する多段変速機構6と、を有しており、これらトル
クコンバータ及び多段変速機構が1軸状に直列的に配置
されていると共に、コンバータハウジング7及びミッシ
ョンケース9からなる一体ケースに収納されている。
【0054】トルクコンバータ2は、図2に詳示するよ
うに、エンジン出力軸(図示せず)に連結されるカバー
10に設けられたポンプぺラ11と、多段変速機構6の
入力軸12に連結されるタービンランナ13と、ワンウ
ェイクラッチ15を介して支持されているステータ16
と、を有しており、更に上記カバー10と入力軸12を
スプリングダンパ17を介して機械的に連結するロック
アップクラッチ19を備えている。また、コンバータハ
ウジング7及びミッションケース9の間部分にはポンプ
ケース20が固定されており、該ケース20には、オイ
ルポンプ21が配設されていると共に、前記カバー10
が回転自在に支持されている。更に、該ケース20の後
側面にはポンプカバー22が固定されており、該カバー
22には前記ワンウェイクラッチ15のインナレースが
固定されていると共に、各油路が形成されている。
【0055】前記多段変速機構6の前方部分(トルクコ
ンバータ側)は、3個のクラッチC1、C2、C3がそ
の油圧アクチュエータと共にまとめて配置されるクラッ
チ部23となっている。該クラッチ部は、図3に詳示す
るように、前記ポンプカバー22のボス部22aに回転
自在に支持されると共に前記入力軸(入力部材)12に
連結されているスリーブ25を有している。該スリーブ
25は前方部分にてフランジ状になっており、かつ該フ
ランジ部25aの外周部分に第3ドラム部材(クラッチ
ドラム)26が固着されている。該第3ドラム部材の内
周面にはスプライン26aが形成されており、該スプラ
インに、第3クラッチC3のドライブプレート(外摩擦
板)27が係合していると共に、第2ドラム部材(クラ
ッチドラム)29が係合しており、両クラッチドラム
(第3ドラム部材、第2ドラム部材)26,27は、一
体に回転して共通化されている。
【0056】該第2ドラム部材29はその内径側に可動
部材30が一体に固着されて、前記スリーブ25に油蜜
状に軸方向移動自在に支持されており、かつそのドラム
部外周面にスプライン29aが形成されて前記第3ドラ
ムのスプライン26aに係合していると共に、その内周
面にスプライン29bが形成されて、該スプラインに第
2クラッチC2のドライブプレート(外摩擦板)31が
係合している。また、前記第2及び第3クラッチC2、
C3の内径側において、前記入力軸12に固定されて第
1ドラム部材(クラッチドラム)32が配置されてお
り、該ドラム部材の外径側部内周面にスプライン32a
が形成されており、該スプラインに、第1クラッチC1
のドライブプレート(外摩擦板)33が係合している。
【0057】一方、異なる半径上に、小径側から第1ハ
ブ35、第2ハブ36、第3ハブ37が順次配設されて
おり、各ハブの外周面にはそれぞれスプライン35a、
36a、37aが形成されている。そして、第1ハブの
スプライン35aには第1クラッチC1のドリブンディ
スク(内摩擦板)39が、第2ハブのスプライン36a
には第2クラッチC2のドリブンディスク(内摩擦板)
40が、第3ハブのスプライン37aには第3クラッチ
C3のドリブンプレート(内摩擦板)41がそれぞれ係
合しており、また第1ハブ35は中心軸からなる中間軸
42に、第2ハブ36は該中心軸に被嵌する第2スリー
ブ軸43に、第3ハブ37は該第2スリーブ軸に被嵌す
る第3スリーブ軸45にそれぞれ連結・固定されてい
る。即ち、中間軸42、第2スリーブ軸43及び第3ス
リーブ軸45は同軸状にそれぞれブッシュ等を介在して
回転自在に支持されている。
【0058】また、前記スリーブのフランジ部25aに
は、その軸方向後側にて、前記可動部材30が油蜜状に
嵌合して、第3クラッチ用油圧アクチュエータ46を構
成しており、上記可動部材30に固定されている第2ド
ラム部材29は、前記第2クラッチC2の係合面を越え
た先端部29dが前記第3クラッチC3に対向して、第
3クラッチ用ピストンの一部を構成している。前記可動
部材30には、その軸方向後側にて、第2ピストン部材
47が油密状に嵌合して、第2クラッチ用油圧アクチュ
エータ49を構成しており、該ピストン部材の外径側先
端部47aが前記第2クラッチC2に対向している。更
に、第2ピストン部材47の背面(軸方向後側)には、
スリーブ25に嵌合されたスナップリングにより軸方向
移動が規制されてキャンセルプレート50が油密状に嵌
合しており、該キャンセルプレート50と第2ピストン
部材47の背面との間はリターンスプリング51が縮設
されていると共に、前記油圧アクチュエータ46,49
の遠心油圧をキャンセルするキャンセル室52となって
いる。
【0059】また、前記第1ドラム部材32は、前記キ
ャンセルプレート50の軸方向後側に配置されており、
該第1ドラム部材には、その軸方向後側にて、第1ピス
トン部材53が油密状に嵌合して、第1クラッチ用油圧
アクチュエータ55を構成しており、該ピストン部材の
先端53aが第1クラッチC1に対向している。更に、
第1ピストン部材53の背面(軸方向後側)には、入力
軸12に嵌合されたスナップリングにより軸方向移動が
規制されてキャンセルプレート56が油密状に嵌合して
おり、該キャンセルプレートと第1ピストン部材53の
背面との間はリターンスプリング57が縮設されている
と共に、前記油圧アクチュエータ55の遠心油圧をキャ
ンセルするキャンセル室59となっている。
【0060】即ち、第3ドラム部材26及び第2ドラム
部材29は、スプライン26a、29bが形成されてい
る外周部分が直線状に延びており、かつ第3ドラム部材
26は、第2ドラム部材29の外周面を被嵌して軸方向
に、該第2ドラム部材より所定最延長して延設されてい
る。従って、これら第3ドラム部材26及び第2ドラム
部材29に係合している第3クラッチC3及び第2クラ
ッチC2が軸方向に略々整列して、かつ第3クラッチC
3が、そのドライブプレートの外周面を第2クラッチの
それよりも略々第2ドラム部材26の板厚だけ外径側に
位置すると共に軸方向後側に配置されている。
【0061】また、第1クラッチC1は、第2及び第3
クラッチの内径側に位置されており、かつ該第1クラッ
チの内径側に、前記第1クラッチ用油圧アクチュエータ
55のキャンセル室59の大部分が配置されており、該
第1クラッチC1は、第2及び第3クラッチC2,C3
の内周側に配置されて、これら第2及び第3クラッチと
は独立して作動する。
【0062】前記多段変速機構6の後方部分は3個のプ
ラネタリギヤ3、4、5がその係止手段(ブレーキ及び
ワンウェイクラッチ)とまとめて配置されるギヤ部60
となっている。該ギヤ部60は、図4に詳示するよう
に、前方(入力部材12側)から、前記第3スリーブ軸
45に形成されたサンギヤS1を有する第1プラネタリ
ギヤ3、前記第2スリーブ軸43にスプライン連結され
るキャリヤCR2を有する第2プラネタリギヤ4、そし
て前記中間軸42に形成されたサンギヤS3(サンギヤ
S2をスプライン固定)を有する第3プラネタリギヤ5
が順次配設されている。更に、前記クラッチ部23と第
1プラネタリギヤ3との軸方向間部分に第3ブレーキ
(第4のブレーキ)B3、第1ワンウェイクラッチ(第
3のワンウェイクラッチ)F1及び第2ワンウェイクラ
ッチ(第2のワンウェイクラッチ)F2(係止手段)が
配設されており、また第2プラネタリギヤ4と第3プラ
ネタリギヤ5との軸方向間部分に第3ワンウェイクラッ
チ(第1のワンウェイクラッチ)F3が配設されてい
る。
【0063】第3ブレーキB3は多板ブレーキからな
り、複数枚の外ブレーキプレート61がケース9に形成
されたスプライン9aに係合しており、また第2ワンウ
ェイクラッチF2のアウタレース62に固定されている
ハブ63に、上記ブレーキの内ブレーキディスク65が
係合している。前記第2ワンウェイクラッチF2のイン
ナレースは前記第3のスリーブ軸45自体で形成されて
おり、前記第3ブレーキB3と第2ワンウェイクラッチ
F2とは、異なる径方向位置において、軸方向に略々オ
ーバラップする位置に配置されている。
【0064】前記第3ブレーキB3の軸方向後方側に
は、該ブレーキ用油圧アクチュエータ66が配設されて
おり、該アクチュエータは、ケース9に固定されたシリ
ンダ部材67と、該シリンダ部材に油密状に嵌合して、
その前方端部69aが上記ブレーキB3に対向している
ピストン部材69と、からなる。上記シリンダ部材67
は、環状の油室を有するように外壁、内壁及び底壁から
なる環状形状からなり、かつその内壁及び底壁の一部
は、キャリヤCR1を構成するカップ状部材80(後
述)と干渉しないように斜めになっており、前記外壁に
形成されたスプラインがケース9のスプライン9aに係
合して回転方向移動不能に、またスプライン段部とスナ
ップリング74により軸方向移動不能にケース9に連結
されている。更に、上記シリンダ部材の内周面にスプラ
イン係合されて、第1ワンウェイクラッチF1のアウタ
レース70が配置されており、該ワンウェイクラッチの
インナレース71は第1プラネタリギヤ3におけるキャ
リヤCR1のボス部72にスプライン係合している。そ
して、上記第3ブレーキ用油圧アクチュエータ66と第
1ワンウェイクラッチF1は、異なる径方向位置におい
て、軸方向に略々(少なくとも一部を)オーバラップ位
置に配置されている。なお、上記ピストン部材69の先
端部分はクシ歯状に形成され、該クシ歯の間部分にリタ
ーンスプリング73が配置されている。従って、第2ワ
ンウェイクラッチF2及び第1ワンウェイクラッチF1
は軸方向に並んで配置されており、かつ第3ブレーキB
4及びその油圧アクチュエータ66が外径側にあって、
上記ワンウェイクラッチF1、F2に軸方向に略々オー
バラップするように配置されている。
【0065】第1プラネタリギヤ3は、サンギヤS1に
噛合するピニオンP1aとリングギヤR1に噛合するピ
ニオンP1bとを有するデュアルプラネタリギヤからな
り(図5参照)、上記互に噛合するピニオンP1a、P
1b支持するをキャリヤCR1がそのボス部72により
第3スリーブ軸45に回転自在に支持されており、また
サンギヤS1が第3スリーブ軸45に一体に形成されて
いる。更に、リングギヤR1が、その後方端でスプライ
ン結合されているプレート75により軸方向を規制され
て回転自在に支持されていると共に、第2プラネタリギ
ヤ4のリングギヤR2にスプライン結合されている。
【0066】そして、第1ブレーキ(第1のブレーキ)
B1は多板ブレーキからなり、その複数枚の外ブレーキ
プレート76が、ケース9に形成されたスプライン9b
(前記スプライン9aに連続して形成)に係合されると
共に該外ブレーキプレート76の前方部は前記第3ブレ
ーキ用シリンダ部材67の底壁に当接しており、前方方
向移動を前記第3ブレーキ用シリンダ部材67と共にス
ナップリング74にて規制されて支持されている。これ
により、スナップリング74が、第3ブレーキ用シリン
ダ部材67用と第1ブレーキB1用とに兼用される。前
記第1ブレーキ用の内ブレーキディスク79は、前記キ
ャリヤCR1を構成するカップ状部材80の外径側外周
面に形成されたスプラインに係合している。該カップ状
部材80は、その外径側平坦面80aが前記第1プラネ
タリギヤ3の外径側を覆うように延びており、該平坦面
80a、即ち該平坦面に形成されたスプライン係合して
いる第1ブレーキB1が、第1プラネタリギヤ3の外径
側にて軸方向に略々オーバラップするように(正確には
プラネタリギヤ3の幅内に第1ブレーキB1が納まるよ
うに)配置されている。
【0067】上記第1ブレーキB1の後方側には該ブレ
ーキ用の油圧アクチュエータ81が配設されている。該
アクチュエータ81は、前記ミッションケース9の段付
小径部9cに固定・配置されているシリンダ部材82及
びそれに油密状に嵌合しているピストン部材83を有し
ており、該アクチュエータ81は、前記第1及び第2プ
ラネタリギヤ3、4の外径側にて、軸方向において股が
って、配置されている。即ち、第1プラネタリギヤ3の
外径側において、該第1プラネタリギヤの所定要素(C
R1)を係止する第1ブレーキB1及びその油圧アクチ
ュエータ81が、該第1プラネタリギヤと軸方向に少な
くとも一部がオーバラップするように配置されている。
なお、上記ピストン部材83はクシ歯状に第1ブレーキ
B1に向けて延びており、かつ該クシ歯の間にリターン
スプリング85が配置されている。また、前記シリンダ
部材82は、環状形状からなり、その外壁がケース9の
スプライン9dの先端(前方端)部に当接してその後方
向移動を規制されていると共に、ピストン部材83のリ
ターンスプリング85を介してスプリングリテーナにて
その前方向移動を規制されており、該シリンダ部材82
をケース9に固定するための専用の固定手段が不要とな
っている。
【0068】第2プラネタリギヤ4は、シンプルプラネ
タリギヤからなり、ピニオンP2を支持するキャリヤC
R2が第2スリーブ軸43にスプライン係合している。
また、サンギヤS2が、前記中間軸42にスプラインに
より一体に結合されており、またリングギヤR2が前記
第1プラネタリギヤのリングギヤR1にスプラインによ
り一体に結合されている。該第2プラネタリギヤ4は、
デュアルプラネタリギヤからなる第1プラネタリギヤ3
より小径にて構成されており、従ってリングギヤR2の
前方端に外径方向に延びる鍔部86が形成されて、該鍔
部の外周部が前記リングギヤR1の内周面に前記プレー
ト75と共にスプラインにより一体に連結されている。
前記第1ブレーキB1用油圧アクチュエータ81は、そ
のピストン延出部を除いて、上記小径からなる第2プラ
ネタリギヤ4の外径側に第2ブレーキB2と共に配置さ
れている。従って、該油圧アクチュエータ81は、ケー
ス9が段差9cにより小径となっているにも拘らず、所
定の受圧面積が確保され、該第1ブレーキB1の必要ト
ルクに対応するトルク容量を有する。
【0069】そして、前記第1ブレーキB1用油圧アク
チュエータ81の後方側に第2ブレーキ(第2のブレー
キ)B2が配置されている。該第2ブレーキB2は多板
ブレーキからなり、複数枚の外ブレーキプレート87が
前記小径部となるケース9の内スプライン9dに係合し
ており、内ブレーキディスク89が前記リングギヤR2
の外周面に形成されたスプラインに係合している。該第
2ブレーキB2は、第2プラネタリギヤ4の外径側にお
いて、該プラネタリギヤと軸方向にオーバラップするよ
うに(正確にはプラネタリギヤ4の幅内にブレーキB2
が納まるように)配置されている。
【0070】該第2ブレーキB2の後方側には該ブレー
キ用の油圧アクチュエータ90が配設されている。該ア
クチュエータ90は、ケース9の内周面に固定・配置さ
れているシリンダ部材91及びそれに油蜜状に嵌合して
いるピストン部材92を有しており、該ピストン部材
は、他のもの69、83がブレーキに向けて延びかつク
シ歯の間にリターンスプリング73、85を配置する延
出部を有するのに対し、該延出部を有さない短い構造か
らなる。該油圧アクチュエータ90は、第2ブレーキB
2の外径側において、第2プラネタリギヤ4の後端部に
一部オーバラップするか、又はそのピストン部材92先
端部が略々整列するように配置されている。そして、前
記第2ブレーキB2の外及び内ブレーキプレート(ディ
スク)87、89は、その外径部分に所定間隔毎に切欠
かれており、該切欠き部93に、前記ピストン部材92
の先端部に設けられた支持プレート95とケース等の固
定部材との間に縮設されたリターンスプリング96が配
置されている。また、上記シリンダ部91は、環状部材
からなると共に、後述する第3ワンウェイクラッチF3
のアウタレース100の凹部100aに合せてその内壁
及び底壁の一部が斜めになっており、かつその後方端を
上記アウタレースに当接して後方向移動が規制され、ま
た前方向移動がピストン部材92、支持プレート95及
びリターンスプリング96を介して規制され、専用の固
定手段が不要となっている。
【0071】前記第2ブレーキB2用油圧アクチュエー
タ90の後方側、即ち第2プラネタリギヤ4と第3プラ
ネタリギヤ5との間部分には、第3ワンウェイクラッチ
(第1のワンウェイクラッチ)F3が配設されている。
第2プラネタリギヤ4の後キャリヤプレート97と、第
3プラネタリギヤ5のリングギヤR3とは連結部材99
を介して連結されている。上記ワンウェイクラッチF3
は、固定側となるアウタレース100と可動側となるイ
ンナレース101とを有しており、アウタレース100
の外周面がケース9にスプライン係合されていると共
に、インナレース101の内周面が上記連結部材99の
ボス部99aにスプライン係合している。
【0072】上記アウタレース100は、ローラ又はス
プラグ等の係合部材102部分が該係合部分の幅に合せ
て幅広になっていると共に、外径方向に向ってその前後
両方から漸減するように幅狭となっており、かつ外径端
にあっては後方側のみ鍔状に延出している。これによ
り、該アウタレース100は、比較的軸方向に長い係合
部材102に合せた接合面を有すると共に、ケース9と
の係合部分も上記鍔状の延出部により所定軸方向長さを
確保して、所定トルク容量を備えるものでありながら、
その前方側が凹んで凹部100aとなっており、該凹部
に、前記第2ブレーキ用油圧アクチュエータ90の後方
部分が収納されて、該油圧アクチュエータ90を含む第
2ブレーキ装置の第2プラネタリギヤ4の外径側配置
(少なくとも一部が軸方向にオーバラップする)を可能
として、自動変速機の軸方向の短縮化に寄与している。
即ち、上記油圧アクチュエータ90は、第2プラネタリ
ギヤ4及び第3ワンウェイクラッチF3の間部分に配置
されて、コンパクトな構成となっている。また、該アウ
タレース100は、スナップリング94及びケース9の
段付き部により軸方向移動が規制されて、上記スプライ
ン係合と相俟って、ケース9に固定されている。
【0073】前記インナレース101は、係合部材10
2部分が該係合部材に合せて幅広になっており、かつそ
の内径側に向けて漸減するように幅狭になって、上述と
同様に、接合面積に起因するトルク容量を確保すると共
に、連結部材99と該キャリヤプレート97とのスプラ
イン連結スペースを確保している。
【0074】前記第3ワンウェイクラッチF3の後方側
には第3プラネタリギヤ5が配設されている。該第3プ
ラネタリギヤはシンプルプラネタリギヤからなり、リン
グギヤR3が前記連結部材99のフランジ99b外周面
に係合して前記キャリヤCR2と連結している。一方、
サンギヤS3は、前記中間軸42の後方端部にあって該
軸に一体形成されており、またピニオンP3を支持する
キャリヤCR3は出力軸105に一体に形成されてい
る。中間軸42は前記サンギヤS3部分を最も大径とし
て、前方に向かって順次小径となる段付き構造からな
る。出力軸105は上記キャリヤCR3が鍔状に拡がっ
て形成されており、前記中間軸42の後端突出部42a
と出力軸105の前端中空部105aとが嵌合して回転
自在にかつ軸方向移動不能に支持されている。なお、中
間軸42は、その前端部を入力軸12に嵌合して回転自
在に支持されて、その両端部をそれぞれ入力軸12及び
出力軸105を介してケースに間接支持されている。ま
た、出力軸105は、その前端部がケース9の後側9e
の鍔部9fにベアリングを介して直接支持されると共
に、その後部分が図示しないエクステンションケース
(ミッションケース9の後端部に固定;図示せず)にベ
アリングを介して直接支持されている。
【0075】前記第3ワンウェイクラッチF3の後方側
に第4ブレーキ(第3のブレーキ)B4が配設されてい
る。該第4ブレーキは多板ブレーキからなり、多数板の
外ブレーキプレート106が前記アウタレース100と
共にケース内周面のスプライン9dに係合していると共
に、スナップリングにより軸方向移動が規制されて支持
されており、また内ブレーキディスク107がリングギ
ヤR3の外周面に形成されたスプラインに係合してい
る。該第4ブレーキB4は、第3プラネタリギヤ5の外
径側において、該プラネタリギヤ5に軸方向に略々オー
バラップして(少なくとも一部がオーバラップして)配
置されている。
【0076】上記第4ブレーキB4及び第3プラネタリ
ギヤ5の後方側に上記ブレーキB4用の油圧アクチュエ
ータ109が配設されている。該油圧アクチュエータは
ケース9の後端部内周面、後側面9e及び鍔部9fをシ
リンダとしたダブルピストンタイプからなり、第1ピス
トン部材110、中間支持部材111及び第2ピストン
部材112を有する。第1ピストン部材110は、上記
シリンダに油密状に嵌合していると共に、その外径側に
て前方に突出する延出部110a及びその内径側にて後
方に突出するハブ部110bを有しており、延出部11
0aがケーススプライン9dに係合しつつ上記第4ブレ
ーキB4に対向している。
【0077】中間支持部材111は、その内径側を上記
ハブ部110bに嵌合してシリンダに油密状に嵌合して
いると共に、その外径側延出部がケースの後側面9eに
当接している。第2ピストン112は、その外径側を該
支持部材延出部の内周面に接してシリンダに油密状に嵌
合しており、かつその内径部分にて前記第1ピストン1
10のハブ部110bに当接している。なお、第1ピス
トン110とケース鍔部9eに設けられた支持プレート
との間にリターンスプリング113が縮設されている。
【0078】従って、上記第4ブレーキB4用油圧アク
チュエータ109は、ケース後端面を利用した大きい受
圧面積からなると共に、第1及び第2のピストン部材1
10、112からなるダブルピストンに基づき更に大き
な受圧面積が得られ、上記ブレーキB4の設定トルク容
量に対応する大きな押圧力が得られる。なお、上記キャ
リヤCR3の外径側にパーキングギヤ115が一体に設
けられており、該パーキングギヤを、ケース9に貫通し
て設けられたパーキングポール116により係止するこ
とにより出力軸105が固定される。また、上記油圧ア
クチュエータ109の第1ピストン110は、上記パー
キングギヤ115を被嵌すると共に、上記パーキングポ
ール116部のみを切欠いており、また第3プラネタリ
ギヤ5の外径側において、僅かに軸方向にオーバラップ
して後方側に配置されている。
【0079】ついで、図5の上記自動変速機構のスケル
トン図、図6の作動表及び図7の速度線図に沿って、上
述した自動変速機構6の作用について説明する。
【0080】該自動変速機構6は、第1プラネタリギヤ
3からなるフロントギヤユニット130と、第2プラネ
タリギヤ4及び第3プラネタリギヤ5からなるリヤギヤ
ユニット131とにその機能上分かれており、かつリヤ
ギヤユニット131は、中間軸42を介して連結されて
いる両サンギヤS2、S3からなる第3回転要素137
と、連結部材99を介して連結されているキャリヤCR
2及びリングギヤR3からなる第2回転要素136と、
互に連結されているリングギヤR1及びR2からなる第
1回転要素135と、出力軸105に連結されているキ
ャリヤCR3からなる(出力用)回転要素138の、合
計4個の回転要素から構成される。
【0081】1速では、図6に示すように、第1クラッ
チC1が係合し、第3ワンウェイクラッチF3が作動
し、入力軸12とサンギヤS2、S3(第3回転要素1
37)が連結されると共に、キャリヤCR2及びリング
ギヤR3(第2回転要素)の逆転がワンウェイクラッチ
F3により阻止されて、入力軸12の回転(RIN)
は、クラッチC1を介して直接第3プラネタリギヤ5の
サンギヤS3に入力される。すると、第3ワンウェイク
ラッチF3の作動に基づき停止状態にあるリングギヤR
3により、図7の速度線図において、線図L1に示す状
態となり、出力軸105が接続されたキャリヤCR3か
らは、正回転の1速1STが取り出される。なお、第2
プラネタリギヤは、サンギヤS2が回転するが、空転状
態となっている。
【0082】この際、1速状態及び発進時に基づく大き
なトルクが作用し、該トルクを第3ワンウェイクラッチ
F3にて担持することになるが、該第3ワンウェイクラ
ッチF3は、第2及び第3プラネタリギヤ4、5の間部
分にて軸方向に比較的長い空間に配置され、特にその係
止部材(ローラ又はスプラグ)102及びそれに接する
アウタレース100及びインナレース101部分の面積
も広くなっており、上記大きなトルクを確実に担持し得
る。
【0083】2速では、図6に示すように、1速時の第
1クラッチC1の係合に加えて、第3ブレーキB3が係
合すると共に、第3ワンウェイクラッチF3の作動が解
除され、第1及び第2ワンウェイクラッチF1、F2が
作動する。この状態では、第1プラネタリギヤ3は、ロ
ック状態の第1ワンウェイクラッチF1により停止状態
のキャリヤCR1、及び第3ブレーキB3の係止により
ロック状態の第2ワンウェイクラッチF2により停止状
態のサンギヤS1に基づき、停止状態にあり、従ってそ
のリングギヤR1に連結している第2プラネタリギヤ4
のリングギヤR2も停止状態にある。
【0084】そして、入力軸12の回転は、第1クラッ
チC1を介してサンギヤS2から第2プラネタリギヤ4
に入力されると共に、サンギヤS3を介して第3プラネ
タリギヤ5に入力される。第2プラネタリギヤ4は、前
述したようにリングギヤR2の回転が阻止され(速度=
0)、図7の速度線図において、線図L2に示す状態と
なり、出力軸105が接続されたキャリヤCR3から、
正回転の2速回転(2ND)が取り出される。
【0085】この際の、リングギヤR2の回転トルク
は、第1ワンウェイクラッチF1及び第2ワンウェイク
ラッチF2を介して第3ブレーキB3により分担されて
担持され、第1ワンウェイクラッチF1のトルク担持能
力を利用する形でその分第2ワンウェイクラッチF2及
び第3ブレーキB3のトルク負担能力を小さなものとす
ることができ、第2ワンウェイクラッチF2及び第3ブ
レーキB3の小容量化及び小型化が図れる。これによ
り、第3ブレーキB3及びその油圧アクチュエータ6
6、並びに第1及び第2ワンウェイクラッチF1、F2
を、第1プラネタリギヤ3の前方部分にまとめてコンパ
クトに配置することが可能となる。
【0086】3速では、図6に示すように、1、2速時
の第1クラッチC1の係合に加えて、第3クラッチC3
が係合されると共に、第2ワンウェイクラッチF2の作
動が解除され、第1ワンウェイクラッチF1の作動が維
持される。この状態では、入力軸12の回転は、それま
での第1クラッチC1を介したリヤギヤユニット131
への入力に加えて、第3クラッチC3を介してフロント
ギヤユニット130のサンギヤS1にも入力され、かつ
キャリヤCR1が第1ワンウェイクラッチF1により係
止される。
【0087】すると、第1プラネタリギヤ3は、サンギ
ヤS1に入力軸12の回転が入力され、キャリヤCR1
が係止されることから、図7の速度線図において、線図
L3に示す状態となり、フロントギヤユニット130の
出力要素としてのリングギヤR1から、正回転RV1が
リヤギヤユニット131の入力要素としての第2プラネ
タリギヤ4のリングギヤR2に出力される。一方、リヤ
ギヤユニット131には、サンギヤS2、S3に入力軸
12の回転RINが入力されているので、上記リングギ
ヤR2へ入力される回転RV1は、図7の線図L4に示
すように、合成され、出力軸105に連結されるキャリ
ヤCR3からは、3速回転(3RD)が取り出される。
なお、第3ブレーキB3は、係合状態となっているが、
第2ワンウェイクラッチF2が空転状態なので、該ブレ
ーキB3は変速に何ら関与しない。
【0088】この際、第1ワンウェイクラッチF1が、
第1プラネタリギヤ3へ伝達されるトルクの反力を担持
するが、3速状態にあっては、該フロントギヤユニット
130である第1プラネタリギヤ3を経由するトルク
と、リヤギヤユニット131に第1クラッチC1を介し
て直接伝達されるトルクとが合成されるため、上記第1
ワンウェイクラッチF1が担持する反力トルクは、伝達
トルク全体の一部で足りる。従って、該第1ワンウェイ
クラッチF1は、トルク容量が小さい小型のもので足
り、第1プラネタリギヤ3前方の比較的狭いスペース
に、他の係止手段B3、F2と共にまとめて配置するこ
とが可能となる。
【0089】4速では、図6に示すように、1、2、3
速時の第1クラッチC1の係合に加えて、第2クラッチ
C2が係合されると共に、第1ワンウェイクラッチF1
の作動が解除される。この状態では、入力軸12の回転
は、それまでの第1クラッチC1を介したリヤギヤユニ
ット131のサンギヤS2、S3への入力に加えて、第
2クラッチC2を介してキャリヤCR2及びリングギヤ
R3にも入力され、該リヤギヤユニット131、即ち第
2及び第3プラネタリギヤ4、5全体が直結回転とな
り、図7の線図L5に示す状態となり、出力軸105に
連結されるキャリヤCR3から、4速回転(4TH)が
取り出される。
【0090】この際、第3クラッチC3及び第3ブレー
キB3は、図6に示すように、係合状態となっている
が、第1プラネタリギヤ3は、サンギヤS1に第2クラ
ッチC2を介して入力軸12の回転が伝達される一方
で、第2プラネタリギヤ4が、入力軸12と直結状態で
正回転することから、そのリングギヤR2に連結された
リングギヤR1にも入力軸12の回転が入力され、図7
の線図L6の状態となり、フロントギヤユニット130
を構成する第1プラネタリギヤ3は全体が直結状態で空
転する。また、該4速状態は、フロントギヤユニット1
30及びリヤギヤユニット131は、共に直結状態であ
って、ブレーキ及びワンウェイクラッチの係止手段はな
にも作動せず、反力を担持することはない。
【0091】5速では、図6に示すように、第1クラッ
チC1の係合が解除されると共に、第2及び第3クラッ
チC2、C3がそのまま係合状態を維持され、かつ第1
ブレーキB1が係合される。この状態では、入力軸12
の回転は、第2クラッチC2を介してリヤギヤユニット
131である第2プラネタリギヤ4のキャリヤCR2及
び第3プラネタリギヤ5のリングギヤR3に入力される
と共に、第3クラッチC3を介してフロントギヤユニッ
ト130である第1プラネタリギヤ3のサンギヤS1に
入力される。すると、キャリヤCR1が第1ブレーキB
1により係止されているので、フロントギヤユニット1
30は、図7線の図L3で示す状態となり、リングギヤ
R1からは、減速された正回転RV1がリヤギヤユニッ
ト131のリングギヤR2に出力される。一方、前述し
たように、該リヤギヤユニット131のキャリヤCR2
及びリングギヤR3には、入力軸12の回転が入力され
るので、速度線図は、図7の線図L7となり、キャリヤ
CR3から出力軸105へ、5速回転(5TH)が取り
出される。この際、第3ブレーキB3は、図6に示すよ
うに、係合状態となっているが、第2ワンウェイクラッ
チF2が空転状態となっているので、該ブレーキB3は
何ら変速に関与しない。
【0092】また、該5速状態にあっては、第1ブレー
キB1が上記伝達トルクの反力を担持するが、高速状態
である5速にあっては、そのトルク容量は小さくて足
り、更に、第2クラッチC2を経由する経路と、第3ク
ラッチC3を経由する経路からのトルクが、リヤギヤユ
ニット131で合成されて出力軸105に伝達されるの
で、キャリヤCR1及びリングギヤR1を係止する上記
第1ブレーキB1のトルク容量は、伝達トルク全体の一
部で足り、更にそのトルク容量は小さなもので足りる。
従って、該第1ブレーキB1は、第1プラネタリギヤ3
の外径側にて軸方向に比較的短い長さに設置でき、かつ
その油圧アクチュエータ81も、隣接する第1及び第2
プラネタリギヤ3、4に股がる外径側における、軸方向
に比較的短い小さなスペースに設置することができ、上
記第3ブレーキB3及びその油圧アクチュエータ81
を、第1プラネタリギヤ3の外径側における比較的小さ
なスペースに設置することが可能となる。
【0093】後進では、図6に示すように、第3クラッ
チC3が係合されると共に、第4ブレーキB4及び第1
ワンウェイクラッチF1が係止される。この状態では、
入力軸12の回転は、第3クラッチC3を介してフロン
トギヤユニット130のサンギヤS1に入力され、キャ
リヤCR1が第1ワンウェイクラッチF1により係止さ
れることから、速度線図は、図7の線図L3に示す状態
となり、リングギヤR1からは、正回転の出力回転RV
1がリヤギヤユニット131のリングギヤR2に出力さ
れる。該リヤギヤユニット131は、リングギヤR3及
びキャリヤCR2が第4ブレーキB4により係止される
ので、図7の線図L10で示す状態となり、キャリヤC
R3から出力軸105へ、後進回転(REV)が取り出
される。
【0094】この際、該後進状態は、減速された大きな
トルクが上記リングギヤR3及びキャリヤCR2を係止
する第4ブレーキB4に作用するが、該第4ブレーキB
4は、第3プラネタリギヤ5の外径側にて該ギヤに略々
オーバラップする比較的軸方向に長いものからなり、か
つその油圧アクチュエータ109は、ケース9の後端面
9eに配置された比較的広い受圧面積からなると共にダ
ブルピストン構造からなり、大きな押圧力を作用するこ
とができ、上記大きな反力に対応する要求トルクを確実
に担持することが可能となる。
【0095】また、エンジンブレーキ(コースト)時に
は、図6に示すように、通常の作動に加えて、3速及び
後進時には、第1ブレーキB1が係合され、第1ワンウ
ェイクラッチF1の空転に対してキャリヤCR1を確実
に係止し、2速時には第2ブレーキB2が係合され、リ
ングギヤR2を確実に係止し、更に1速時には、第1ブ
レーキB4が係合されて、リングギヤR3が確実に係止
される。
【0096】更に、2速のエンジンブレーキ時に、本来
のエンジンブレーキ用の第2ブレーキB2に加えて第1
ブレーキB1を作動させて、リングギヤR2の係止を、
直接作動する第2ブレーキB2及びキャリヤCR1を介
して作動する第1ブレーキB1により共に行わせ、第2
ブレーキB2のトルク容量を小さくしてその分該ブレー
キB2を小型化することも可能である。第2ブレーキB
2は、上記2速時のエンジンブレーキ用であって、その
トルク容量は小さくて足り、第2プラネタリギヤ4の外
径部分の比較的小さな設置スペースで足りるが、更に上
述したように、該2速エンジンブレーキ時に、第1ブレ
ーキB1を共働作動すると、更に第2ブレーキB2のト
ルク容量が小さくて足り、その油圧アクチュエータ90
も含めて小さな設置スペースに配置したものでありなが
ら、確実で信頼性の高いブレーキ作動を行うことができ
る。
【0097】更に、上述したように、第2プラネタリギ
ヤ4に入力軸からのトルクが入力する場合、2速時にサ
ンギヤS2、S3から、3速時にサンギヤS1、S2、
S3から、4速時にサンギヤS2、S3から、そして5
速時に、サンギヤS1、S2及びリングギヤR3から、
それぞれ入力トルクがフロントギヤ部130及びリヤギ
ヤ部131に入力される。従って、入力トルクが第2プ
ラネタリギヤ4のみに入力されることはなく、該第2プ
ラネタリギヤ4は、最適なギヤ比を得るために小型化さ
れると共に、上記分散入力に基づく強度上からも小型化
が可能となり、該小径のプラネタリギヤ4の外径側に、
油圧アクチュエータ81を配置して、第1ブレーキB1
の必要トルクを担持し得るトルク容量を有するものであ
りながら、軸方向及び径方向のコンパクト化を可能とす
る。
【0098】また、第1、第2及び第3プラネタリギヤ
3、4、5の外径側に各ブレーキB1、B2、B4を配
置しても、径方向寸法が大きくなることはない。蓋し、
上記配置構造により、ブレーキ用としての軸方向スペー
スが不要となり、軸方向寸法が短縮されるため、各プラ
ネタリギヤの軸方向寸法に余裕ができ、ギヤのトルク容
量を稼ぐことが可能となると共に、各ブレーキのプレー
ト枚数を増加することで、径方向寸法を大きくすること
なく、ブレーキのトルク容量も確保でき、この結果、総
合的にコンパクトに設計することが可能となる。
【0099】また、入力トルクを各プラネタリギヤ3、
4、5に伝達する各クラッチC1、C2、C3は、トル
ク容量を充分に確保するために径方向寸法を大きくする
ことが好ましいが、各クラッチ部23は、多段変速機構
6のトルクコンバータ2側に配置されるので、径方向寸
法の大きなものから、出力軸に向けて小径化して配置す
ることができ、FR用の自動変速機として車輌搭載上好
ましい全体形状の変速機を得ることができる。
【0100】なお、上記実施の形態は、上述自動変速機
構6に沿って説明したが、自動変速機構はこれに限ら
ず、3個のプラネタリギヤ(シンプルでもデュアルでも
可)を有し、かつ少なくとも3個のブレーキ及び1個の
ワンウェイクラッチを有するものならば、本発明の適用
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動変速機の全体を示す断面図。
【図2】そのトルクコンバータ部分を示す拡大断面図。
【図3】その多段変速機構の前部であるクラッチ部を示
す拡大断面図。
【図4】その多段変速機構の後部であるギヤ部を示す拡
大断面図。
【図5】多段変速機構のスケルトン図。
【図6】その作動を示す図。
【図7】その速度線図。
【符号の説明】
1 自動変速機 2 トルクコンバータ 3 第1プラネタリギヤ 4 第2プラネタリギヤ 5 第3プラネタリギヤ 6 多段変速機構 9 ミッションケース 12 入力部材(入力軸) 42 第1の入力要素(中間軸) 43 第2の入力要素(第1スリーブ軸) 45 第3の入力要素(第2スリーブ軸) 66 (B3用)油圧アクチュエータ 81 (B1用)油圧アクチュエータ 90 (B2用)油圧アクチュエータ 99 連結部材 100 (F3の)アウタレース 100a 凹部 101 (F3の)インナレース 102 (F3の)係止部材 105 出力部材(出力軸) 109 (B4用)油圧アクチュエータ 130 フロントギヤユニット 131 リヤギヤユニット 135 第1回転要素 136 第2回転要素 137 第3回転要素 138 出力回転要素 B1 第1の(第1)ブレーキ B2 第2の(第2)ブレーキ B3 第4の(第3)ブレーキ B4 第3の(第4)ブレーキ C1 第1クラッチ C2 第2クラッチ C3 第3クラッチ F1 第3の(第1)ワンウェイクラッチ F2 第2の(第2)ワンウェイクラッチ F3 第1の(第3)ワンウェイクラッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 卓也 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 亀山 宏樹 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 藤堂 穂 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 尾崎 和久 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 金田 俊樹 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 柏原 裕司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3J028 EA08 EA09 EA22 EA25 EA28 EB07 EB13 EB35 EB37 EB56 EB62 EB66 FA13 FB03 FC13 FC16 FC20 FC25 FC64 FD15 FD23 GA02 HA14 HA26 HA32 HC12

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラッチ及びブレーキにより、ギヤ部の
    動力伝達経路を変更して、入力部材の回転を複数の変速
    段に変速して出力部材に伝達し、かつミッションケース
    に収納されている多段変速機構を備えてなる、自動変速
    機において、 前記ギヤ部が、同軸上において前記入力部材から出力部
    材に向けて順次配置される第1、第2及び第3プラネタ
    リギヤの少なくとも3個のプラネタリギヤを有し、 前記第1、第2及び第3プラネタリギヤのそれぞれ外径
    側に、その外ブレーキプレートが前記ミッションケース
    の内周面に係止された多板ブレーキからなる第1、第2
    及び第3のブレーキを配設した、 ことを特徴とする自動変速機。
  2. 【請求項2】 前記第1、第2及び第3プラネタリギヤ
    に、それぞれ前記第1のブレーキ、第2のブレーキ及び
    第3のブレーキを軸方向に略々オーバラップするように
    配置した、 請求項1記載の自動変速機。
  3. 【請求項3】 前記3個のプラネタリギヤの内のいずれ
    か2個のプラネタリギヤの間に第1のワンウェイクラッ
    チを配設した、 請求項1又は2記載の自動変速機。
  4. 【請求項4】 前記第1のワンウェイクラッチのアウタ
    レースが、前記ミッションケースに係止されていると共
    に、軸方向に凹む凹み部を有し、 前記第1、第2及び第3のブレーキの少なくとも1個の
    油圧アクチュエータが、前記第1のワンウェイクラッチ
    の凹み部に少なくとも一部が入りこみ、該油圧アクチュ
    エータと前記ワンウェイクラッチが少なくとも一部を軸
    方向にオーバラップするように配置された、 請求項3記載の自動変速機。
  5. 【請求項5】 前記第1のワンウェイクラッチが、前記
    第2及び第3プラネタリギヤの間に配置された、 請求項3又は4記載の自動変速機。
  6. 【請求項6】 前記3個のプラネタリギヤの内の隣接す
    る2個のプラネタリギヤの内、一方のプラネタリギヤに
    比し他方のプラネタリギヤを小径に構成し、 前記隣接する2個のプラネタリギヤ内の大径となる一方
    のプラネタリギヤの外径側に配設されたブレーキの油圧
    アクチュエータを、前記小径となる他方のプラネタリギ
    ヤの外径側に配置した、 請求項1ないし5記載の自動変速機。
  7. 【請求項7】 前記隣接する2個のプラネタリギヤの内
    の大径となる一方のプラネタリギヤが、デュアルプラネ
    タリギヤであり、前記小径となる他方のプラネタリギヤ
    が、シンプルプラネタリギヤである、 請求項6記載の自動変速機。
  8. 【請求項8】 前記隣接する2個のプラネタリギヤの内
    の大径となる一方のプラネタリギヤが、前記第1プラネ
    タリギヤであり、前記小径となる他方のプラネタリギヤ
    が、前記第2プラネタリギヤである、 請求項6又は7記載の自動変速機。
  9. 【請求項9】 前記第3のブレーキ用の油圧アクチュエ
    ータを、前記ミッションケースの後端部に該ケースの後
    端面を利用して配置した、 請求項1ないし8のいずれか記載の自動変速機。
  10. 【請求項10】 前記第3のブレーキ用の油圧アクチュ
    エータが、ダブルピストン構造からなる、 請求項1ないし9のいずれか記載の自動変速機。
  11. 【請求項11】 前記第1のブレーキ用の油圧アクチュ
    エータを、前記第2プラネタリギヤの外径側に配置し、
    前記第2のブレーキ用の油圧アクチュエータを、前記第
    2プラネタリギヤと前記第1のワンウェイクラッチとの
    間部分に配置した、 請求項3ないし5のいずれか記載の自動変速機。
  12. 【請求項12】 同軸状に配置された3個の入力要素を
    備え、 中心側の第1の入力要素が、前記第3プラネタリギヤの
    所定回転要素に連結し、 該第1の入力要素に被嵌する第2の入力要素が、前記第
    2プラネタリギヤの所定回転要素に連結し、 該第2の入力要素に被嵌する第3の入力要素が、前記第
    1プラネタリギヤの所定回転要素に連結してなる、 請求項1ないし11のいずれか記載の自動変速機。
  13. 【請求項13】 前記第3プラネタリギヤの前記所定回
    転要素がサンギヤであり、 前記第1の入力要素が、該サンギヤを一体に形成した中
    間軸であり、該中間軸は、該サンギヤが最も大径で前記
    入力部材に向って順次小径となる段付き構造からなる、 請求項12記載の自動変速機。
  14. 【請求項14】 前記第2プラネタリギヤの所定回転要
    素と前記第3プラネタリギヤの所定回転要素とを連結す
    る連結部材を備え、 前記第1のワンウェイクラッチのインナレースの内周面
    が前記連結部材に係合してなる、 請求項3ないし5のいずれか記載の自動変速機。
  15. 【請求項15】 前記第3のブレーキが、後進時又は前
    進1速時に作動するブレーキである、 請求項1ないし14のいずれか記載の自動変速機。
  16. 【請求項16】 前記第2のブレーキが、所定変速段の
    コースト時に作動するブレーキである、 請求項1ないし15のいずれか記載の自動変速機。
  17. 【請求項17】 前記第1のブレーキが、高速段に作動
    するブレーキである、 請求項1ないし16のいずれか記載の自動変速機。
  18. 【請求項18】 前記第1プラネタリギヤの前記入力部
    材側に、複数の係止手段をまとめて配置した、 請求項1ないし17のいずれか記載の自動変速機。
  19. 【請求項19】 前記複数の係止手段は、その外ブレー
    キプレートが前記ミッションケースの内周面に係止され
    た多板ブレーキからなる第4のブレーキと、該第4のブ
    レーキと前記第1プラネタリギヤの所定回転要素との間
    に介在する第2のワンウェイクラッチと、前記第1のブ
    レーキと並列して配設された第3のワンウェイクラッチ
    と、を有する、 請求項18記載の自動変速機。
  20. 【請求項20】 前記第4のブレーキ及びその油圧アク
    チュエータと、前記第2及び第3のワンウェイクラッチ
    とを、軸方向に略々オーバラップするように配置した、 請求項19記載の自動変速機。
  21. 【請求項21】 前記多段変速機構における前記入力部
    材側に、複数個のクラッチをまとめて配設した、 請求項12又は13記載の自動変速機。
  22. 【請求項22】 前記複数個のクラッチは、前記入力部
    材と前記第1の入力要素との間に介在する第1クラッチ
    と、前記入力部材と前記第2の入力要素との間に介在す
    る第2クラッチと、前記入力部材と前記第3の入力要素
    との間に介在する第3クラッチと、を有する、 請求項21記載の自動変速機。
  23. 【請求項23】 前記第1プラネタリギヤのリングギヤ
    と前記第2プラネタリギヤのリングギヤとを連結して第
    1回転要素を構成し、前記第2プラネタリギヤのキャリ
    ヤと前記第3プラネタリギヤのリングギヤとを連結して
    第2回転要素を構成し、前記第2プラネタリギヤ及び第
    3プラネタリギヤの両サンギヤを連結して第3回転要素
    を構成し、前記第3プラネタリギヤのキャリヤを前記出
    力部材に連結し、 前記第1プラネタリギヤのキャリヤを前記第1のブレー
    キに連結し、前記第1回転要素を前記第2のブレーキに
    て連結し、前記第2回転要素を前記第3のブレーキ及び
    前記第1のワンウェイクラッチに連結し、前記第1プラ
    ネタリギヤのキャリヤを前記第1のブレーキに連結し、
    該第1プラネタリギヤのサンギヤを所定の係止手段に連
    結し、 前記入力部材と前記第3回転要素とを第1クラッチを介
    して連結し、前記入力部材と前記第1プラネタリギヤの
    サンギヤとを第2クラッチを介して連結し、前記入力部
    材と前記第2回転要素を第3クラッチを介して連結して
    なる、 請求項2記載の自動変速機。
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