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JP2002154139A - 光学素子、光学素子の製造方法及び光学素子用金型 - Google Patents

光学素子、光学素子の製造方法及び光学素子用金型

Info

Publication number
JP2002154139A
JP2002154139A JP2000351893A JP2000351893A JP2002154139A JP 2002154139 A JP2002154139 A JP 2002154139A JP 2000351893 A JP2000351893 A JP 2000351893A JP 2000351893 A JP2000351893 A JP 2000351893A JP 2002154139 A JP2002154139 A JP 2002154139A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical element
optical
gate
mold
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000351893A
Other languages
English (en)
Inventor
Noriyuki Adachi
宣幸 安達
Hiroyuki Sakakibara
啓行 榊原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2000351893A priority Critical patent/JP2002154139A/ja
Publication of JP2002154139A publication Critical patent/JP2002154139A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成樹脂材料により射出成型によって一体的
に形成される光学素子において、成型時間を長くするな
どにより生産性を低下させることなく、内部歪みによる
複屈折の発生を防止し、また、真円度やフランジ部の主
面部の平面度などを良好なものとする。 【解決手段】 射出成型におけるゲートに対応する箇所
(ゲート跡)6を、光軸に対して同心状である位置とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば光学ピック
アップ装置の対物レンズとして使用される光学素子、こ
のような光学素子の製造方法及びこのような光学素子の
製造に使用する光学素子用成型型に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光ディスクの如き光学記録媒体に
対して情報信号の書込み読出しを行うための光学ピック
アップ装置が提案されている。この光学ピックアップ装
置は、対物レンズやその他の光学素子を有して構成され
ている。そして、光学ピックアップ装置の対物レンズと
しては、従来より、合成樹脂材料を用いて射出成型によ
り一体的に形成した光学素子、いわゆるプラスチックレ
ンズが使用されている。
【0003】このようなプラスチックレンズは、両面部
がそれぞれ光学面となされた1群1枚のレンズとして形
成されている。そして、このプラスチックレンズは、各
光学面の中心部である光軸位置より縁部分までが連続し
た滑らかな面となされて形成されている。光学素子がこ
のような形状を有しているのは、歴史的にガラスレンズ
の加工技術が研磨と言う工程を中心としてきたこと、ま
た、レンズの光学性能の評価が近軸結像位置、つまりガ
ウス像点を基準として行われてきたことに起因してい
る。
【0004】ところが、近年、光学ピックアップ装置の
対物レンズとしては、1枚のレンズで2種類の異なるデ
ィスク基板上にレーザースポットを集光させる多機能レ
ンズが提案されてきている。このような対物レンズは、
いわゆる輪帯レンズや、ホログラム付レンズのように、
不連続な光学面を有するレンズとして形成されている。
このような対物レンズにおいては、入射側の光学面上に
おける入射領域によって入射光束を選択的に分割し、こ
の分割に応じて入射光束の焦点位置を互いに異なるもの
としている。つまり、一つの焦点を形成するために、光
学面の全面を使用する必要はないことがわかっている。
【0005】また、このような対物レンズの如き光学素
子をなす材料としては、従来より、ポリメチルメタクリ
レート(PMMA:Polymethylmethacrylate)に代表さ
れるアクリル系の光学樹脂材料が用いられてきた。しか
し、近年では、光学素子の用途の広がりにより、耐熱
性、耐湿性の改善が求められ、非アクリル系の樹脂材料
が光学素子の形成に使用されるようになってきている。
光学素子の材料として使用される非アクリル系の樹脂材
料として代表的なものとしては、「アートン」(商品
名:日本合成ゴム社製)や「ゼオネックス」(商品名:
日本ゼオン社の製)等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な、非アクリル系の樹脂材料からなる光学素子において
は、充分に良好な光学特性を実現できるものの、光学異
方性がアクリル樹脂に比べて大きいという問題がある。
材料の光学異方性が大きいと、成型条件やレンズ形状に
よっては、成型時に内部歪みが残ることとなる。対物レ
ンズにおけるこのような内部歪みは、複屈折を生じさ
せ、波面収差の状態を悪化させ、光学ピックアップ装置
の性能を劣化させることとなる。
【0007】このような内部歪みは、特に、金型のゲー
ト付近で顕著に発生する。ゲートは、図17に示すよう
に、光学素子の縁部分にあるので、このゲート付近で内
部歪みが生ずると、形成された光学素子においては、光
軸を中心とする軸対象性が損なわれ、アスやコマ収差の
状態が悪化する。
【0008】内部歪みは、成型条件の設定により改善す
ることはできるのであるが、成型条件によって内部歪み
を改善しようとすると、成型時間が長くなってしまうな
ど、生産性の面で新たな問題を生ずる。
【0009】また、従来の光学素子においては、ゲート
位置が縁部分にあるため、ゲートから金型内への樹脂の
流入速度が、ゲートからの流入方向に直交する方向と該
流入方向に平行な方向とで差を生じ、光学素子の径方向
についての収縮量が全周で均一ではなくなってしまう。
そのため、この光学素子においては、真円度が悪化する
虞れがある。対物レンズの真円度が悪化すると、光学ピ
ックアップ装置に組み込むときに、取付け位置がばらつ
きを生ずる虞れがある。
【0010】さらに、上述のような光学素子において
は、この光学素子の位置決めのための基準面として使用
すべく、光学面の周囲に、フランジ部を一体的に形成す
る場合がある。このフランジ部の主面部は、光学素子の
光軸方向の位置決めの基準となる突当て面として使用す
るためには、平面であることが望ましい。ところが、従
来の光学素子においては、光学面の面形状を設計値に対
して許容誤差内の形状とするために、保圧が高めの成型
条件を設定すると、ゲート位置が縁部分に設けられてい
るため、フランジ部の主面部におけるゲート近傍が膨ら
んでしまい、該フランジ部の主面部の平面度が劣化する
という問題があった。
【0011】そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提
案されるものであって、合成樹脂材料により射出成型に
よって一体的に形成される光学素子であって、成型時間
を長くするなどの生産性の低下を伴うことなく、内部歪
みによる複屈折の発生が防止され、また、真円度やフラ
ンジ部の主面部の平面度などが良好となされた光学素子
を提供しようとするものである。また、本発明は、この
ような光学素子を製造するための光学素子の製造方法及
び光学素子用金型を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、本発明に係る光学素子は、合成樹脂材料により射出
成型によって一体的に形成された光学素子であって、射
出成型におけるゲートに対応する箇所が光軸に対して同
心状である位置にあることを特徴とするものである。
【0013】また、本発明に係る光学素子の製造方法
は、合成樹脂材料により射出成型によって一体的に光学
素子を形成する光学素子の製造方法であって、形成する
光学素子の光軸に対応する位置に対して同心状にゲート
を有する光学素子用金型を用いて成型することを特徴と
するものである。
【0014】そして、本発明に係る光学素子用金型は、
合成樹脂材料により射出成型によって一体的に光学素子
を形成するときに用いる光学素子用金型であって、形成
する光学素子の光軸に対応する位置に対して同心状にゲ
ートを有することを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。
【0016】本発明に係る光学素子は、合成樹脂材料に
より射出成型によって一体的に形成された光学素子であ
って、例えば、光学ピックアップ装置の対物レンズとし
て使用されるものである。この光学素子は、図1に示す
ように、射出成型におけるゲートGを光学素子の光学面
上となる位置、特に光学面の頂点付近となる位置に設け
て、該光学面の略々法線方向より溶融樹脂を流入させる
ようにして形成したものである。
【0017】射出成型におけるゲートGを光学素子の光
学面上となる位置に設けると、従来の、図17に示すよ
うに、例えば光学面の側方部から樹脂を流入させる方式
に比べて、樹脂の流入を妨げる要因がなく、樹脂の滑ら
かな注入が可能である。この場合、注入された樹脂は、
金型内で放射状に広がり、満たされて行き、光学素子と
なる。そのため、分子配向も流入方向に倣った放射状の
ものとなり、部分的に屈折率が大きくなるなどの不都合
を生じなくなる。
【0018】また、従来のゲート方式においては、樹脂
の流入方向とこれに対する直角方向とで、面形状の非対
称性が現れやすいという問題があり、金型が軸対象形状
であるために金型上でこのような非対称性を修正するこ
とは不可能なので、成型条件で対策していた。この点、
本発明に係る光学素子においては、樹脂の流入個所を光
軸上とすることにより、光学面の非対称性が生じにくく
なっており、コマ収差の発生を押さえることにもなり、
光学性能の優れた光学素子を得ることができる。
【0019】さらに、従来のようなゲート方式において
は、いわゆるゲートシールが起こり易くなっていた。こ
のゲートシールは、体積の大きな部分と小さな部分と
で、冷却時の樹脂の固化速度に差があるために起こる。
従来のゲート方式においては、最も厚い光学素子の中心
部分よりも薄い縁部分の方が体積としては少ないので、
薄い部分の方が樹脂の固化速度が速い。そして、樹脂は
光学素子の縁部分から注入されていたので、金型内に樹
脂が充分に充満する前に、固化して樹脂によって流路が
閉ざしてしまう虞れがあったのである。
【0020】本発明に係る光学素子においては、最も体
積の大きい場所にゲートが配置されているので、従来の
ゲート方式に比較して、シール時間を遅らせることがで
きる。そのため、この光学素子においては、保圧段階で
充填樹脂を注入するときに、ゲートシールが起こる前
に、金型内にある樹脂を内部から押し広げるように圧力
をかけることができ、金型の転写性の向上や、成型安定
性を図ることができる。これは射出成型をするうえでは
極めて大きな効果であり、従来のゲート方式では全く考
えられないことである。
【0021】これにより、径方向の収縮率の差がなくな
り、真円度の良好な光学素子を成型することができる。
これは、径方向の位置のばらつきがないという良好な特
性を実現し、この光学素子を光学ピックアップ装置の対
物レンズとして用い、二軸アクチュエータに取りつける
ときなどにおいて、特に好ましい特性となる。
【0022】さらに、光学素子の外周縁側に位置決め基
準面となるフランジ部を設ける場合、このフランジ部の
主面部は、平面である必要がある。しかし、従来のゲー
ト方式においては、光学面の面形状を設計値に追いこむ
ために保圧を高めに設定するような成型条件を採った場
合など、フランジのゲート近傍の平面部が膨らんでしま
い、光学素子の位置決めの精度を確保できないという問
題があった。
【0023】本発明に係る光学素子においては、ゲート
がそのフランジの平面部から離れているので、フランジ
の平面部の平面度を良好に維持できる。
【0024】また、この光学素子においては、光学素子
の最も厚い部分にゲートを設けて形成されるので、ゲー
ト深さを多く取ることができ、この場合には、肉盗み的
な効果をも引き出すことができるので、成型条件で言
う、いわゆるひけ位置の余裕量を確保することができ、
また、光学素子の重量も軽減することができる。このこ
とは、光学素子を形成する材料費の減少や、二軸アクチ
ュエータに取り付けた場合の共振周波数の調整などにお
いて、有利な特性となる。
【0025】このように、光軸上となる位置に射出成型
におけるゲートを設けた場合、図2に示すように、ゲー
ト跡が光学面1から突出するようにして、このゲート跡
をリブ3とすることができる。
【0026】また、ゲート跡が光学面に対して没入した
状態となるようにしてもよい。この場合にも、上述した
ような、成型条件についての特性は実現することができ
る。ゲートを設ける光学面は、曲率半径が大きい方の光
学面でも、小さい方の光学面でもよい。
【0027】射出成型時の樹脂の流入の角度は、光学面
に対する法線方向であることが好ましいが、金型構造上
の制約などから、斜め方向としてもよく、また、ゲート
は、必ずしも光軸上に無くても、光学面上であれば、側
縁部分より注入するよりは良好な特性が得られる。
【0028】ゲート跡が光学面に対して没入するように
した光学素子としては、図3、図4及び図5に示すよう
に、ゲートの光学素子の内部への入り量を、適宜設定す
ることができる。図4及び図5に示すように、ゲート跡
6が光学面1より大きく没入した形状の光学素子を形成
するには、図6に示すように、側面部に樹脂の流出部1
06を有する軸状のゲートを用いて、樹脂の流れる方向
に対して直角方向に樹脂を流出させるとよい。
【0029】また、金型内への樹脂の流入は、一箇所に
おいて行われることに限定されず、ゲ−トを多点の流出
部を有するものとして、多数箇所において同時に行われ
ることとしてもよい。さらに、図7に示すように、ゲー
トは、円形状(ドーナツ状)のものとしてもよい。ま
た、ゲートは、図8に示すように、十字形などの異形の
ものとしてもよい。
【0030】なお、本発明に係る光学素子は、1焦点用
のレンズとして形成されることに限定されず、多焦点用
のレンズとして形成されることとしてもよく、さらに、
凹レンズとして形成されることとしてもよい。
【0031】上述のような本発明に係る光学素子を形成
するには、図9に示すように、いわゆる3プレート式の
金型を用いることが望ましい。2プレート式の金型で
は、光学面を形成するインサートは、パーティングライ
ンに対して垂直方向に配置しなくてはならないので、ゲ
ートを光学面上に垂直に設けると、型開き後に、成型さ
れた光学素子を金型から取出すことが困難となるからで
ある。
【0032】この3プレート式の金型は、図9に示すよ
うに、固定側型板107と、可動側型板108とを有
し、これら固定側型板107及び可動側型板108間
に、第1のプレート109、第2のプレート110及び
第3のプレート(ランナストリッパプレート)111を
備えている。第1のプレート109と第2のプレート1
10との間は、第1のパーティングラインPL1となっ
ている。第2のプレート110と第3のプレート111
との間は、第2のパーティングラインPL2となってい
る。また、第3のプレート111と固定側型板107と
の間は、第3のパーティングラインPL3となってい
る。
【0033】この3プレート式の金型においては、熔融
した樹脂は、固定側型板107に取付けられたローケー
トリンク112及びスプルブッシュ113を介して注入
されて、第3のプレート111と第2のプレート110
との間に形成されたランナ形成部114に流入する。そ
して、このランナ形成部114に流入した樹脂は、第2
のプレート110に保持された固定側金型115のスプ
ール形成部116を経て、このスプール形成部116の
先端側のピンポイントゲートを介して、この固定側金型
115と第1のプレート109に保持された可動側金型
117とにより形成されているキャビティ118内に流
入する。このキャビティ118内において、光学素子が
成型される。
【0034】そして、可動側型板108を固定側型板1
07より離間する方向に移動させると、この可動側型板
108に対して固定された第1のプレート109が第2
のプレート110より離間する方向に移動される。この
とき、第2のプレート110は、ストップボルト120
によって第3のプレート111より所定距離以上には離
れないようになっているので、第1のパーティングライ
ンPL1が開き、第1のプレート109と第2のプレー
ト110とが離間する。また、可動側型板108及び第
1のプレート109に挟持されたイジェクタプレート1
19に基端側を保持された可動側金型117は、可動側
型板108とともに、固定側金型115より離間され
る。なお、第1のプレート109とイジェクタプレート
119との間には、スプリング120が配設されてい
る。
【0035】このようにして第1のパーティングライン
PL1が開いたときに、スプル、ランナは固定側に残さ
れ、ピンポイントゲート部が自動的に切断され、成型品
である光学素子とランナとが分離される。
【0036】次に、第2のプレート110が引っ張られ
て第2のパーティングラインPL2が開く。このとき、
ランナ及びスプールは、ロックピン122によって固定
されているので固定側に残る。
【0037】最後に、ストップボルト120を介して第
3のプレート111を固定側型板107より離間させる
と、第3のパーティングラインPL3が開き、ランナと
スブルは、ロックピン122より外れて、取出される。
【0038】なお、この3プレート式の金型は、図示し
ない複数の固定側金型115及び可動側金型117を備
えた「複数取り」の構成を有している。各固定側金型1
15及び可動側金型117が形成しているキャビティ1
18は、ぞれぞれスプール形成部116及びランナ形成
部114を介して、1個のスプルブッシュ113につな
がっている。すなわち、各キャビティ118に対応する
各ランナ形成部114は、スプルブッシュ113を中心
として放射状に配列されて形成されている。
【0039】また、本発明に係る光学素子は、図10に
示すように、表裏2面の光学面1,2のうちの曲率の大
きな光学面1上の有効径内に、光軸と同心のドーナツ型
(円環状)の突出部であるリブ3を有していることとし
てもよい。この光学素子は、リブ3も含め、透明な合成
樹脂材料により一体的に射出成型によって形成される。
【0040】ここで、図11に示すように、1つの発光
波長を持つ半導体レーザを光源として用い、信号記録面
が2層となっている光ディスクにおける各信号記録面に
対して結像点を有する光学ピックアップ装置用の対物レ
ンズについて考える。この対物レンズにおいて、光軸付
近の突出部104は、波面を第2の光ディスク105b
の信号記録面に集光させ、突出部104の外周の光学面
102は、第1の光ディスク105aの信号記録面に波
面を集光させる。
【0041】ここで、第1の光ディスク105aに着目
すると、突出部104を経て第2の光ディスク105b
の信号記録面に結像される光束は、第1の光ディスク1
05aの信号記録面においては集光せずにボケた状態と
なるため、その反射光の強度は非常に弱く、主信号に対
しての干渉信号や雑音信号となることはない。これは、
第2の光ディスク105bについても同様であり、これ
らの現象は、カメラのファインダーに多少のゴミが付着
しても殆ど気にならないのと同様の現象である。ここ
で、第2の光ディスク105bが無いとすると、図11
において点線で示した該第2の光ディスク105bの信
号記録面上に集光する光束は、機能を持たない光束とい
うことになる。つまり、突出部104の表面部を遮光し
ても、あるいは、突出部104における光学面を削除し
ても、第1の光ディスク105aの信号記録面に記録さ
れた情報信号を読み出すことについては、何ら影響を及
ぼさない。
【0042】本発明に係る光学素子についても同様のこ
とが言える。すなわち、リブ3が設けられていること
は、このリブ3の周囲の光学面1を透過する光束が集光
することに対しては、何ら影響を及ぼすものではない。
【0043】この光学素子は、図12に示すように、本
発明に係る光学ピックアップ装置の対物レンズとして使
用することができる。光源となる半導体レーザ4から発
せられた光束は、対物レンズに入射する。この光束は、
対物レンズの光学面1,2のうちの半導体レーザ4側に
凸となされた曲率半径が小なる光学面2から該対物レン
ズに入射し、光ディスク105a側に凸となされた曲率
半径が大なる光学面1を介して該対物レンズより出射し
て、光ディスク105aの信号記録面上に集光される。
【0044】この光学ピックアップ装置においては、光
ディスク105aの信号記録面上に集光された光束は、
該信号記録面により反射され、図示しない光検出器によ
り検出される。
【0045】リブ3の先端面はリブ面5となっている。
光ディスク105aの信号記録面上に集光する光束は、
リブ3の周囲の光学面1を透過した光束及びこのリブ3
に囲まれた領域を透過した光束である。
【0046】リブ3を配置する位置は、図10に示した
ように、曲率が大きなほうの光学面1上でもよいし、曲
率が小さなほうの光学面2上であってもよい。すなわ
ち、リブ3は、どちらの光学面上にあってもよく、ある
いは、両方の光学面上にあってもよい。
【0047】また、上述の実施の形態においては、光学
素子を机上等に置いた場合の姿勢を安定させるため、リ
プ3の形状をドーナツ形状とし、その先端面であるリブ
面5の形状を平面としているが、このリブ面5の形状
は、平面に限られず、図15中の(c)に示すように、
R形状、すなわち、トーリック面としてもよい。さら
に、リブ3の形状は、上述したようなドーナツ型に限定
されず、図13に示すように、円形状としてもよく、あ
るいは、図14に示すように、十字型などの異形状とし
てもよい。すなわち、リブ3は、光学面上に存在し、光
学素子を平置きしたときに光学面が載置面に接触しない
ようにできるものであれば、形状は問わない。
【0048】なお、本発明の説明における光学面は、光
学面を形成するための金型の表面部を加工する時に使わ
れた表面研削用のバイトによって研削された面の全面を
意味するものである。ただし、従来の光学素子に見られ
るような、曲面から繋がった光学面最外周のフランジ面
はこれに該当しない。
【0049】上述した光学素子においては、光学面上に
リブ3を有していることにより、治具などの特別な部材
を利用することなく、光学面に傷を付けずに、机上など
に放置することができ、取り扱いが極めて容易である。
【0050】さらに、この光学素子においては、金型加
工上において、光学面を形成する面の加工とリブを形成
する部分の加工とを同時に行うことができるので、光学
面の頂点(中心)における法線方向とリブ面5との垂直
度の確保を容易に実現することができ、このリブ面5を
基準として光学素子の位置決めを行うことにより、この
光学素子の性能を維持したままで光学ピックアップ装置
等に組み込むことが容易である。
【0051】なお、従来の光学素子においては、光学面
を形成する金型とコバ部を形成する金型とが別体である
のが一般的であったため、該光学面とコバ部との位置ず
れが起こり、このコバ部を基準として光学素子を位置決
めして光学ピックアップ装置に組み込んだ場合、例え
ば、コマ収差の発生など、光学性能の劣化が生ずるとい
う問題があったが、本発明に係る光学素子においては、
この問題は解決されている。
【0052】上述のように光学面上にリブ3を設ける場
合、必要以上にリブ3の幅を広くすることは望ましくな
い。リブ3の幅については、光学設計による収差への影
響、内面反射による影響など、光学素子の仕様に応じた
総合的な判断が必要である。その際の一つの目安となる
のが、以下の式(1)である。この式(1)において、
fは、光学素子の焦点距離、dは、リブ3の幅、Hは、
リプを設ける側の光学面の最外径である。
【0053】d/f<H/7f ・・・(1) もし、リブ3の幅を広くして、この式(1)に示す条件
を外れてしまうと、この光学素子により集光される光線
の強度が著しく低下することになり、例えば、この光学
素子を対物レンズとして用いた光学ピックアップ装置に
より光学記録媒体より情報信号を読出した場合に検出強
度が悪化するなどの問題が生じ、好ましくない。
【0054】そして、リブ3の縦断面形状は、光学面を
転写する金型の加工や成型のやり易さを考慮して、図1
5中の(a)及び(b)に示すように、台形とした方が
望ましい。また、リブ3の縦断面形状を台形とすること
により、光学面から射出する収束光束を遮らない形状と
することができる。ここで、図16に示すように、光学
素子の光軸方向に対する各リプ側面(ドーナツ形状の外
周側の側面及び内周側の側面)のなす角度をθ1、θ2
としたとき、以下の式(2)が満足されることが好まし
い。なお、ここで、θの符号については、図16の紙面
上において、反時計回り方向を正としている。
【0055】|θ1−θ2|<60°・・・(2) もし、式(2)の範囲を超えると、この光学素子を形成
するための金型を加工して形成するとき、研削バイトと
一体となって回転操作される、いわゆるB軸と呼ばれる
回転体を大きく回動させなければならなくなって加工が
困難となるとともに、場合によっては、研削加工が済ん
だ面とB軸とが干渉する虞れが生じ、望ましくない。
【0056】
【発明の効果】上述のように、本発明に係る光学素子
は、合成樹脂材料により射出成型によって一体的に形成
された光学素子であって、射出成型におけるゲートに対
応する箇所が光軸に対して同心状である位置にあること
を特徴とする。
【0057】そのため、本発明に係る光学素子の製造過
程においては、金型内における樹脂の流入速度が光軸に
対して軸対称となるため内部歪みが生じにくく、また、
収縮量も光軸に対して軸対称に生ずるので高い真円度が
実現される。
【0058】すなわち、本発明は、合成樹脂材料により
射出成型によって一体的に形成される光学素子におい
て、成型時間を長くするなどの生産性の低下を伴うこと
なく、内部歪みによる複屈折の発生が防止され、また、
真円度やフランジ部の主面部の平面度などが良好となさ
れた光学素子を提供することができるものである。
【0059】また、本発明に係る光学素子の製造方法
は、合成樹脂材料により射出成型によって一体的に光学
素子を形成する光学素子の製造方法であって、形成する
光学素子の光軸に対応する位置に対して同心状にゲート
を有する光学素子用金型を用いて成型することを特徴と
する。そして、本発明に係る光学素子用金型は、合成樹
脂材料により射出成型によって一体的に光学素子を形成
するときに用いる光学素子用金型であって、形成する光
学素子の光軸に対応する位置に対して同心状にゲートを
有することを特徴とする。
【0060】すなわち、本発明は、上述の光学素子を製
造するための光学素子の製造方法及び光学素子用金型を
提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学素子を製造するにあたっての
金型のゲート構造を示す側面図である。
【図2】ゲート跡をリブとして利用した本発明に係る光
学素子の構成を示す縦断面図である。
【図3】ゲート跡を光学面に没入させた本発明に係る光
学素子の構成を示す正面図及び縦断面図である。
【図4】ゲート跡を中心部付近まで光学面より没入させ
た本発明に係る光学素子の構成を示す正面図及び縦断面
図である。
【図5】ゲート跡を光学面より没入させて貫通させた本
発明に係る光学素子の構成を示す正面図及び縦断面図で
ある。
【図6】図5に示した光学素子を形成するためのゲート
の構成を一部を破断して示す側面図である。
【図7】ゲート跡をリング状とした本発明に係る光学素
子の構成を示す正面図及び縦断面図である。
【図8】ゲート跡を十字形とした本発明に係る光学素子
の構成を示す正面図である。
【図9】本発明に係る光学素子を形成するための本発明
に係る金型の構成を示す縦断面図である。
【図10】上記光学素子の構成の他の例を示す縦断面図
である。
【図11】光学素子における集光の原理を示す縦断面図
である。
【図12】上記光学素子を用いて構成した光学ピックア
ップ装置の構成を示す縦断面図である。
【図13】上記光学素子の構成のさらに他の例を示す縦
断面図である。
【図14】上記光学素子の構成のさらに他の例を示す正
面図である。
【図15】上記光学素子の要部の構成を示す断面図であ
る。
【図16】上記光学素子の要部の形状を説明する断面図
である。
【図17】従来の光学素子を製造するにあたってのゲー
トの構造を示す側面図である。
【符号の説明】
1,2 光学面、3 リブ、6 ゲート跡

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂材料により射出成型によって一
    体的に形成された光学素子であって、 射出成型におけるゲートに対応する箇所が、光軸に対し
    て同心状である位置にあることを特徴とする光学素子。
  2. 【請求項2】 二重焦点レンズとして形成されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  3. 【請求項3】 合成樹脂材料により射出成型によって一
    体的に光学素子を形成する光学素子の製造方法であっ
    て、 形成する光学素子の光軸に対応する位置に対して同心状
    にゲートを有する光学素子用金型を用いて成型すること
    を特徴とする光学素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 合成樹脂材料により射出成型によって一
    体的に光学素子を形成するときに用いる光学素子用金型
    であって、 形成する光学素子の光軸に対応する位置に対して同心状
    にゲートを有することを特徴とする光学素子用金型。
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