JP2002037744A - インスリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤。 - Google Patents
インスリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤。Info
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- JP2002037744A JP2002037744A JP2001144416A JP2001144416A JP2002037744A JP 2002037744 A JP2002037744 A JP 2002037744A JP 2001144416 A JP2001144416 A JP 2001144416A JP 2001144416 A JP2001144416 A JP 2001144416A JP 2002037744 A JP2002037744 A JP 2002037744A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明は、新しい概念に基づく、インスリン抵
抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤、及び、そ
れらのスクリーニング方法を提供することを課題とす
る。 【解決手段】GIPが新しい機序でインスリン抵抗性、肥
満の原因となっていることを見出し、GIPの機能を阻害
する化合物が、インスリン抵抗性改善作用、抗肥満作用
を有するという新概念を得て、本発明を完成するに至っ
た。即ち、本発明は、GIPの機能を阻害する化合物を有
効成分とする、インスリン抵抗性及び/又は肥満の予防
剤もしくは改善剤であるとともに、GIPの機能を阻害す
る化合物を選択することを特徴とする、インスリン抵抗
性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤のスクリーニ
ング方法である。
抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤、及び、そ
れらのスクリーニング方法を提供することを課題とす
る。 【解決手段】GIPが新しい機序でインスリン抵抗性、肥
満の原因となっていることを見出し、GIPの機能を阻害
する化合物が、インスリン抵抗性改善作用、抗肥満作用
を有するという新概念を得て、本発明を完成するに至っ
た。即ち、本発明は、GIPの機能を阻害する化合物を有
効成分とする、インスリン抵抗性及び/又は肥満の予防
剤もしくは改善剤であるとともに、GIPの機能を阻害す
る化合物を選択することを特徴とする、インスリン抵抗
性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤のスクリーニ
ング方法である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インスリン抵抗性
及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤に関するもの
で、具体的には、GIP(ガストリックインヒビトリーポリ
ペプチド又はグルコースディペンデントインスリノトロ
ピックポリペプチド)の機能を阻害する化合物が、イン
スリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤に
なるという技術思想に基づく、インスリン抵抗性及び/
又は肥満の予防剤もしくは改善剤、並びに、それらのス
クリーニング方法に関するものである。
及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤に関するもの
で、具体的には、GIP(ガストリックインヒビトリーポリ
ペプチド又はグルコースディペンデントインスリノトロ
ピックポリペプチド)の機能を阻害する化合物が、イン
スリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤に
なるという技術思想に基づく、インスリン抵抗性及び/
又は肥満の予防剤もしくは改善剤、並びに、それらのス
クリーニング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】GIPは、グルカゴン・セクレチンファミ
リーに属する消化管ホルモンの一つである。GIPは、グ
ルカゴン様ペプチド1(GLP-1)とともにインクレチンと称
され、摂食時に小腸に存在するK細胞より分泌され、膵
β細胞においてグルコースによるインスリン分泌を促進
することによって、摂食に伴う栄養素の体内動態を調節
している。その他には、GIPには胃運動の抑制、腸液分
泌刺激があるといわれている。しかしながら、発見当初
の胃酸分泌抑制作用は現在では疑問視されている。GIP
受容体遺伝子は、膵β細胞、脂肪細胞以外にも幅広く発
現しており、GIPは他の組織での作用も有することが想
定されるが、その詳細については明らかではない。勿
論、インスリン抵抗性との関連性は知られていない。GI
P受容体拮抗剤としては、例えば、GIP(6-30)-NH2 (Re
gulatory Peptide 69巻 151頁-154頁,1997年)や、GIP
(7-30)-NH2( Am J Physiol 1999年 276巻E1049頁-54
頁)が挙げられる。しかし、これらはインスリン抵抗性
改善剤、抗肥満剤としての研究は全くなされていない。
リーに属する消化管ホルモンの一つである。GIPは、グ
ルカゴン様ペプチド1(GLP-1)とともにインクレチンと称
され、摂食時に小腸に存在するK細胞より分泌され、膵
β細胞においてグルコースによるインスリン分泌を促進
することによって、摂食に伴う栄養素の体内動態を調節
している。その他には、GIPには胃運動の抑制、腸液分
泌刺激があるといわれている。しかしながら、発見当初
の胃酸分泌抑制作用は現在では疑問視されている。GIP
受容体遺伝子は、膵β細胞、脂肪細胞以外にも幅広く発
現しており、GIPは他の組織での作用も有することが想
定されるが、その詳細については明らかではない。勿
論、インスリン抵抗性との関連性は知られていない。GI
P受容体拮抗剤としては、例えば、GIP(6-30)-NH2 (Re
gulatory Peptide 69巻 151頁-154頁,1997年)や、GIP
(7-30)-NH2( Am J Physiol 1999年 276巻E1049頁-54
頁)が挙げられる。しかし、これらはインスリン抵抗性
改善剤、抗肥満剤としての研究は全くなされていない。
【0003】インスリン抵抗性は、骨格筋・脂肪細胞・
肝臓で、インスリンの主な作用である糖の吸収促進作用
が弱っている状態を示す。インスリン抵抗性があると、
体内にあるインスリンの量が同程度であっても、血糖降
下作用は弱くなり、血糖を正常に維持しようとすれば、
より多くのインスリンが必要になる。2型糖尿病の大部
分の日本人では、このインスリン抵抗性が強く関与して
おり、次のような経過で糖尿病が発病する。初期にはイ
ンスリン抵抗性を補うために、ランゲルハンス島から大
量のインスリンが分泌され、血糖値は正常に維持される
が高インスリン血症の状態が生じる。やがてランゲルハ
ンス島の機能が弱り始めて、大量のインスリン分泌を維
持できなくなると、インスリン抵抗性を補えなくなり血
糖値が上昇する。インスリン抵抗性の予防剤又は改善剤
としては、現在我が国で臨床使用されているものは、ピ
オグリタゾン(アクトス)だけである。しかも、GIPの
阻害剤がインスリン抵抗性の予防又は改善効果をもたら
すことは全く知られていない。
肝臓で、インスリンの主な作用である糖の吸収促進作用
が弱っている状態を示す。インスリン抵抗性があると、
体内にあるインスリンの量が同程度であっても、血糖降
下作用は弱くなり、血糖を正常に維持しようとすれば、
より多くのインスリンが必要になる。2型糖尿病の大部
分の日本人では、このインスリン抵抗性が強く関与して
おり、次のような経過で糖尿病が発病する。初期にはイ
ンスリン抵抗性を補うために、ランゲルハンス島から大
量のインスリンが分泌され、血糖値は正常に維持される
が高インスリン血症の状態が生じる。やがてランゲルハ
ンス島の機能が弱り始めて、大量のインスリン分泌を維
持できなくなると、インスリン抵抗性を補えなくなり血
糖値が上昇する。インスリン抵抗性の予防剤又は改善剤
としては、現在我が国で臨床使用されているものは、ピ
オグリタゾン(アクトス)だけである。しかも、GIPの
阻害剤がインスリン抵抗性の予防又は改善効果をもたら
すことは全く知られていない。
【0004】一方、肥満は、現代日本人の食生活の欧米
化により増加している生活習慣病であり、脂肪肝、糖尿
病、痛風、高血圧、動脈硬化等の生活習慣病の危険因子
となっている。医学的には、肥満は、遺伝的および環境
的原因による相対的なカロリーの過剰摂取の結果、脂肪
の異常蓄積を来した病態と認識され、医療の対象とされ
ている。肥満の治療は、食事療法と運動療法を組み合わ
せて行われ、食欲抑制剤を使用することは少ない。肥満
の予防剤又は改善剤としては、現在我が国で臨床使用さ
れているものは、マジンドール(サノレックス)だけで
あり、β3アドレナリン受容体作動薬や中枢性作動薬、
消化吸収阻害薬、脂質合成阻害薬、レプチンなどについ
て研究が展開されている。
化により増加している生活習慣病であり、脂肪肝、糖尿
病、痛風、高血圧、動脈硬化等の生活習慣病の危険因子
となっている。医学的には、肥満は、遺伝的および環境
的原因による相対的なカロリーの過剰摂取の結果、脂肪
の異常蓄積を来した病態と認識され、医療の対象とされ
ている。肥満の治療は、食事療法と運動療法を組み合わ
せて行われ、食欲抑制剤を使用することは少ない。肥満
の予防剤又は改善剤としては、現在我が国で臨床使用さ
れているものは、マジンドール(サノレックス)だけで
あり、β3アドレナリン受容体作動薬や中枢性作動薬、
消化吸収阻害薬、脂質合成阻害薬、レプチンなどについ
て研究が展開されている。
【0005】GIPの拮抗剤が抗肥満効果をもたらすこと
に関しては、WO98/24464に記載がある。本引例は、GIP
(7-30)-NH2がGIP受容体阻害剤であり、GIP(7-30)-N
H2が腸管におけるグルコース吸収の抑制をしたことを報
告しているのみである。この引例中には、GIP(7-30)-
NH2の実質的な抗肥満剤としての効果は示されておら
ず、これを抗肥満剤とするには飛躍があり過ぎる。他に
は、脂肪細胞のレベルで、GIPが遊離脂肪酸やグルコ
ースの取り込みを促進するという報告があるが、いずれ
も肥満との関連性を明確に示したものはない。
に関しては、WO98/24464に記載がある。本引例は、GIP
(7-30)-NH2がGIP受容体阻害剤であり、GIP(7-30)-N
H2が腸管におけるグルコース吸収の抑制をしたことを報
告しているのみである。この引例中には、GIP(7-30)-
NH2の実質的な抗肥満剤としての効果は示されておら
ず、これを抗肥満剤とするには飛躍があり過ぎる。他に
は、脂肪細胞のレベルで、GIPが遊離脂肪酸やグルコ
ースの取り込みを促進するという報告があるが、いずれ
も肥満との関連性を明確に示したものはない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、新しい概念
に基づく、インスリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤も
しくは改善剤、及び、それらのスクリーニング方法を提
供することを課題とする。
に基づく、インスリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤も
しくは改善剤、及び、それらのスクリーニング方法を提
供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、GIPの機
能を探求する過程で、正常マウスにGIPを持続投与し高
脂肪食負荷を行うと、体重増加には影響が認められない
にもかかわらず、空腹時血糖と空腹時血中インスリン値
がGIPの投与量に依存して上昇することを見出した。即
ち、GIPが体重増加とは独立してインスリン抵抗性を増
悪することを見出した。また、GIP受容体遺伝子欠損マ
ウスを用いて高脂肪食負荷試験を行うことにより、野生
型マウスでは発症するインスリン抵抗性が、GIP受容体
遺伝子欠損マウスでは、空腹時血糖値、インスリン感受
性、及び耐糖能において改善することを見出した。さら
に、遺伝性肥満動物のob/obマウスにおいても同様に、G
IP受容体遺伝子を欠損させる事により、空腹時血糖値、
及び耐糖能が改善し、インスリン抵抗性改善作用が見ら
れた。これらのことから、GIPが今までに提唱されてい
ない新しい機序でインスリン抵抗性の原因となっている
ことを新知見し、GIPの機能を阻害する化合物、例えばG
IP受容体拮抗剤やGIP産生抑制剤が、インスリン抵抗性
の予防又は改善作用を有するという新概念を得た。
能を探求する過程で、正常マウスにGIPを持続投与し高
脂肪食負荷を行うと、体重増加には影響が認められない
にもかかわらず、空腹時血糖と空腹時血中インスリン値
がGIPの投与量に依存して上昇することを見出した。即
ち、GIPが体重増加とは独立してインスリン抵抗性を増
悪することを見出した。また、GIP受容体遺伝子欠損マ
ウスを用いて高脂肪食負荷試験を行うことにより、野生
型マウスでは発症するインスリン抵抗性が、GIP受容体
遺伝子欠損マウスでは、空腹時血糖値、インスリン感受
性、及び耐糖能において改善することを見出した。さら
に、遺伝性肥満動物のob/obマウスにおいても同様に、G
IP受容体遺伝子を欠損させる事により、空腹時血糖値、
及び耐糖能が改善し、インスリン抵抗性改善作用が見ら
れた。これらのことから、GIPが今までに提唱されてい
ない新しい機序でインスリン抵抗性の原因となっている
ことを新知見し、GIPの機能を阻害する化合物、例えばG
IP受容体拮抗剤やGIP産生抑制剤が、インスリン抵抗性
の予防又は改善作用を有するという新概念を得た。
【0008】一方、本発明者らは、GIPの機能を探求す
る過程で、GIP受容体遺伝子欠損マウスを用いて高脂肪
食負荷試験を行い、野生型マウスでは発症する肥満が、
GIP 受容体遺伝子欠損マウスにおいては抑制される事を
見出した。さらに、遺伝性肥満動物のob/obマウスにお
いても、GIP受容体遺伝子を欠損させる事により、肥満
を抑制することができた。これらの系では、インスリン
抵抗性も改善された。これらのことから、GIPが今まで
に提唱されていない新しい機序で肥満の原因となってい
ることを新知見し、GIPの機能を阻害する化合物、例え
ばGIP受容体拮抗剤やGIP産生抑制剤が抗肥満作用を有す
る、もしくは、インスリン抵抗性改善作用とともに抗肥
満作用を有するという新概念を得た。
る過程で、GIP受容体遺伝子欠損マウスを用いて高脂肪
食負荷試験を行い、野生型マウスでは発症する肥満が、
GIP 受容体遺伝子欠損マウスにおいては抑制される事を
見出した。さらに、遺伝性肥満動物のob/obマウスにお
いても、GIP受容体遺伝子を欠損させる事により、肥満
を抑制することができた。これらの系では、インスリン
抵抗性も改善された。これらのことから、GIPが今まで
に提唱されていない新しい機序で肥満の原因となってい
ることを新知見し、GIPの機能を阻害する化合物、例え
ばGIP受容体拮抗剤やGIP産生抑制剤が抗肥満作用を有す
る、もしくは、インスリン抵抗性改善作用とともに抗肥
満作用を有するという新概念を得た。
【0009】即ち、本発明は、GIPの機能を阻害する化
合物を有効成分とする、インスリン抵抗性及び/又は肥
満の予防剤もしくは改善剤であるとともに、GIPの機能
を阻害する化合物を選択することを特徴とする、インス
リン抵抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤のス
クリーニング方法である。
合物を有効成分とする、インスリン抵抗性及び/又は肥
満の予防剤もしくは改善剤であるとともに、GIPの機能
を阻害する化合物を選択することを特徴とする、インス
リン抵抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤のス
クリーニング方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、GIPの機能を阻害する
化合物を有効成分とするインスリン抵抗性及び/又は肥
満の予防剤もしくは改善剤であり、従来考えられている
インスリン抵抗性、肥満の予防又は改善剤の作用機序と
は異なる、全く新しい概念のものである。本発明におい
ては、GIPの機能を阻害する化合物が、インスリン抵抗
性の予防又は改善剤となることを示すとともに、肥満の
予防又は改善剤となることを示している。しかしなが
ら、GIPの機能を阻害する化合物のインスリン抵抗性予
防・改善メカニズムは、当該化合物の肥満予防・改善メ
カニズムとは必ずしも一致しないことが実験的に示され
た。即ち、本発明の、GIPの機能を阻害する化合物を有
効成分とするインスリン抵抗性の予防又は改善剤は、必
ずしも、肥満の予防又は改善に伴って、インスリン抵抗
性の予防又は改善効果を発揮するわけではないことが明
らかになった。よって、本発明の、GIPの機能を阻害す
る化合物を有効成分とするインスリン抵抗性の予防又は
改善剤の一態様は、肥満を伴わないインスリン抵抗性患
者を対象とするインスリン抵抗性の予防又は改善剤であ
り、別の一態様は、肥満患者を対象とし肥満とともにイ
ンスリン抵抗性を改善する、インスリン抵抗性と肥満の
同時的予防又は改善剤である。
化合物を有効成分とするインスリン抵抗性及び/又は肥
満の予防剤もしくは改善剤であり、従来考えられている
インスリン抵抗性、肥満の予防又は改善剤の作用機序と
は異なる、全く新しい概念のものである。本発明におい
ては、GIPの機能を阻害する化合物が、インスリン抵抗
性の予防又は改善剤となることを示すとともに、肥満の
予防又は改善剤となることを示している。しかしなが
ら、GIPの機能を阻害する化合物のインスリン抵抗性予
防・改善メカニズムは、当該化合物の肥満予防・改善メ
カニズムとは必ずしも一致しないことが実験的に示され
た。即ち、本発明の、GIPの機能を阻害する化合物を有
効成分とするインスリン抵抗性の予防又は改善剤は、必
ずしも、肥満の予防又は改善に伴って、インスリン抵抗
性の予防又は改善効果を発揮するわけではないことが明
らかになった。よって、本発明の、GIPの機能を阻害す
る化合物を有効成分とするインスリン抵抗性の予防又は
改善剤の一態様は、肥満を伴わないインスリン抵抗性患
者を対象とするインスリン抵抗性の予防又は改善剤であ
り、別の一態様は、肥満患者を対象とし肥満とともにイ
ンスリン抵抗性を改善する、インスリン抵抗性と肥満の
同時的予防又は改善剤である。
【0011】GIPの機能を阻害する化合物とは、GIP遺伝
子もしくはGIP受容体遺伝子レベルで、あるいはGIP自体
やGIP受容体レベルで機能を阻害する化合物であり、例
えば、GIP受容体拮抗剤や、GIP産生抑制剤である。GIP
受容体拮抗剤としては、例えば、低分子合成化合物やGI
Pの断片化ペプチドが挙げられる。GIPの断片化ペプチド
としては、例えば、GIP(6-30)-NH2(Regulatory Pepti
de 69巻 151頁-154頁,1997年)や GIP(7-30)-NH2(Am J
Physiol 1999年 276巻E1049頁-54頁)が知られてい
る。他に、GIPの機能を阻害する化合物としては、本発
明において明らかになった3-ブロモ-5-メチル-2-フェニ
ルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オール(BMPP)があ
る。本発明のインスリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤
もしくは改善剤は、それぞれの化合物に基づき、種々の
投与量及び投与形態で投与することができるが、投与を
継続する必要性から、経口投与可能な低分子化合物につ
いては、経口投与することが好ましい。投与量は、一概
には数値化できないが、例えば、GIP(6-30)-NH2、GIP
(7-30)-NH2等のGIPの断片化ペプチドにおいては、0.1〜
10mg/kg程度を注射剤として皮下投与、筋肉内投与、又
は静脈内投与により投与することが好ましいと考えられ
る。また、3-ブロモ-5-メチル-2-フェニルピラゾロ[1,5
-a]ピリミジン-7-オール(BMPP)においては、投与量
は、1〜100mg/kg程度を、散剤、錠剤又はカプセル剤と
して経口投与により、あるいは注射剤として皮下投与、
筋肉内投与、又は静脈内投与により投与する必要がある
と考えられる。尚、これらの製剤化は、通常の製剤化技
術を使用することができる。
子もしくはGIP受容体遺伝子レベルで、あるいはGIP自体
やGIP受容体レベルで機能を阻害する化合物であり、例
えば、GIP受容体拮抗剤や、GIP産生抑制剤である。GIP
受容体拮抗剤としては、例えば、低分子合成化合物やGI
Pの断片化ペプチドが挙げられる。GIPの断片化ペプチド
としては、例えば、GIP(6-30)-NH2(Regulatory Pepti
de 69巻 151頁-154頁,1997年)や GIP(7-30)-NH2(Am J
Physiol 1999年 276巻E1049頁-54頁)が知られてい
る。他に、GIPの機能を阻害する化合物としては、本発
明において明らかになった3-ブロモ-5-メチル-2-フェニ
ルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オール(BMPP)があ
る。本発明のインスリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤
もしくは改善剤は、それぞれの化合物に基づき、種々の
投与量及び投与形態で投与することができるが、投与を
継続する必要性から、経口投与可能な低分子化合物につ
いては、経口投与することが好ましい。投与量は、一概
には数値化できないが、例えば、GIP(6-30)-NH2、GIP
(7-30)-NH2等のGIPの断片化ペプチドにおいては、0.1〜
10mg/kg程度を注射剤として皮下投与、筋肉内投与、又
は静脈内投与により投与することが好ましいと考えられ
る。また、3-ブロモ-5-メチル-2-フェニルピラゾロ[1,5
-a]ピリミジン-7-オール(BMPP)においては、投与量
は、1〜100mg/kg程度を、散剤、錠剤又はカプセル剤と
して経口投与により、あるいは注射剤として皮下投与、
筋肉内投与、又は静脈内投与により投与する必要がある
と考えられる。尚、これらの製剤化は、通常の製剤化技
術を使用することができる。
【0012】本発明はまた、GIPの機能を阻害する化合
物を選択することを特徴とする、インスリン抵抗性及び
/又は肥満の予防剤もしくは改善剤のスクリーニング方
法であり、このスクリーニング方法も、従来考えられて
いるインスリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは
改善剤のスクリーニング方法とは異なる、全く新しい概
念のものである。GIPの機能を阻害する化合物(以下、
「GIP機能阻害剤」と言うことがある。)を選択すると
は、例えば、GIP受容体拮抗剤を選択、即ちスクリーニ
ングすることでもよく、また、GIPの産生抑制剤を選択
することでもよい。スクリーニングの対象とする化合物
は、経口投与を可能とする観点から、分子量が600以下
の低分子化合物であることが好ましい。
物を選択することを特徴とする、インスリン抵抗性及び
/又は肥満の予防剤もしくは改善剤のスクリーニング方
法であり、このスクリーニング方法も、従来考えられて
いるインスリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは
改善剤のスクリーニング方法とは異なる、全く新しい概
念のものである。GIPの機能を阻害する化合物(以下、
「GIP機能阻害剤」と言うことがある。)を選択すると
は、例えば、GIP受容体拮抗剤を選択、即ちスクリーニ
ングすることでもよく、また、GIPの産生抑制剤を選択
することでもよい。スクリーニングの対象とする化合物
は、経口投与を可能とする観点から、分子量が600以下
の低分子化合物であることが好ましい。
【0013】GIP機能阻害剤(GIP受容体拮抗剤等)のス
クリーニング方法としては、以下の方法を例示すること
ができる。 1. GIPの細胞内伝達物質であるcAMPの産生阻害活性を指
標とする薬剤のスクリーニング方法であり、久保田らの
方法(Diabetes 45 : 1701-1705, 1996)に従い、GIP
cDNAをCHO細胞に導入したヒトGIPレセプター発現細胞
を用い、1mMイソブチルメチルキサンチンを含むクレブ
ス−リンゲル緩衝液中で、37℃、30分間、薬剤存在下
で、GIPによりcAMPを産生させる。その後、30%トリク
ロロ酢酸によりcAMPを抽出し、ラジオイムノアッセイに
よりcAMPを測定する。あるいは、アマシャムファルマシ
アバイオテク株式会社より提供されているScintilation
Proximity Assay(SPA)によりcAMPを測定する。
クリーニング方法としては、以下の方法を例示すること
ができる。 1. GIPの細胞内伝達物質であるcAMPの産生阻害活性を指
標とする薬剤のスクリーニング方法であり、久保田らの
方法(Diabetes 45 : 1701-1705, 1996)に従い、GIP
cDNAをCHO細胞に導入したヒトGIPレセプター発現細胞
を用い、1mMイソブチルメチルキサンチンを含むクレブ
ス−リンゲル緩衝液中で、37℃、30分間、薬剤存在下
で、GIPによりcAMPを産生させる。その後、30%トリク
ロロ酢酸によりcAMPを抽出し、ラジオイムノアッセイに
よりcAMPを測定する。あるいは、アマシャムファルマシ
アバイオテク株式会社より提供されているScintilation
Proximity Assay(SPA)によりcAMPを測定する。
【0014】2. GIPの細胞内伝達物質であるcAMPの産生
阻害活性を指標とする薬剤のスクリーニング方法であ
り、Usdin T.B.らの方法(Endocrinology 133 : 2861-2
870, 1993)に従い、前記1.で用いたGIPcDNAをCHO細胞
に導入したヒトGIPレセプター発現細胞に、VIP遺伝子由
来cAMP依存性プロモーターにバクテリア由来lac Z gene
を結合させた遺伝子を導入する。この細胞を、1mMイソ
ブチルメチルキサンチンを含むクレブス−リンゲル緩衝
液中で、37℃、30分間、薬剤存在下でGIPと反応させ
る。GIP活性により産生されたcAMPに応じて細胞中には
β-galactosidaseが蓄積するため、このβ-galactosida
se活性をGIP活性の指標とする。
阻害活性を指標とする薬剤のスクリーニング方法であ
り、Usdin T.B.らの方法(Endocrinology 133 : 2861-2
870, 1993)に従い、前記1.で用いたGIPcDNAをCHO細胞
に導入したヒトGIPレセプター発現細胞に、VIP遺伝子由
来cAMP依存性プロモーターにバクテリア由来lac Z gene
を結合させた遺伝子を導入する。この細胞を、1mMイソ
ブチルメチルキサンチンを含むクレブス−リンゲル緩衝
液中で、37℃、30分間、薬剤存在下でGIPと反応させ
る。GIP活性により産生されたcAMPに応じて細胞中には
β-galactosidaseが蓄積するため、このβ-galactosida
se活性をGIP活性の指標とする。
【0015】3. GIPレセプターに対するGIP結合阻害活
性を指標とする薬剤のスクリーニング方法であり、先に
述べたヒトGIPレセプター発現細胞を用い、5.6mM グ
ルコース、0.5%牛血清アルブミンを含むリン酸緩衝生
理食塩液(PBS(−))pH7.4中で、薬剤及び125Iラベル
したGIPを細胞に加え、37℃、1時間のインキュベーショ
ンの後、同上の緩衝液で細胞を洗浄し、1M水酸化ナト
リウムで細胞を溶解し、その溶液中の放射活性をγ−カ
ウンターで測定する。
性を指標とする薬剤のスクリーニング方法であり、先に
述べたヒトGIPレセプター発現細胞を用い、5.6mM グ
ルコース、0.5%牛血清アルブミンを含むリン酸緩衝生
理食塩液(PBS(−))pH7.4中で、薬剤及び125Iラベル
したGIPを細胞に加え、37℃、1時間のインキュベーショ
ンの後、同上の緩衝液で細胞を洗浄し、1M水酸化ナト
リウムで細胞を溶解し、その溶液中の放射活性をγ−カ
ウンターで測定する。
【0016】4. GIPによる脂肪細胞への脂肪酸の取り込
みを阻害する活性を指標として、薬剤をスクリーニング
方法であり、Beckらの方法(Cellular and Molecular B
iology33(5), 555-562,1987)に従って実施する。即
ち、3T3−L1細胞をインスリン、デキサメサゾン、イ
ソブチルメチルキサンチンで脂肪細胞に分化させた後、
2%ウシアルブミン、0.1%グルコースを含むクレブス―
リンゲル炭酸緩衝液pH 7.4中で、トリチウムラベルし
た0.75 mmol/l パルミチン酸と薬剤を加え、37℃での1
時間インキュベーション後、ヘプタン―水酸化カリウム
液で抽出し、ヘプタン層に存在するパルミチン酸の放射
活性から、薬剤によるパルミチン酸の取り込み抑制を調
べる。
みを阻害する活性を指標として、薬剤をスクリーニング
方法であり、Beckらの方法(Cellular and Molecular B
iology33(5), 555-562,1987)に従って実施する。即
ち、3T3−L1細胞をインスリン、デキサメサゾン、イ
ソブチルメチルキサンチンで脂肪細胞に分化させた後、
2%ウシアルブミン、0.1%グルコースを含むクレブス―
リンゲル炭酸緩衝液pH 7.4中で、トリチウムラベルし
た0.75 mmol/l パルミチン酸と薬剤を加え、37℃での1
時間インキュベーション後、ヘプタン―水酸化カリウム
液で抽出し、ヘプタン層に存在するパルミチン酸の放射
活性から、薬剤によるパルミチン酸の取り込み抑制を調
べる。
【0017】次に、GIP機能阻害剤の中でも、特にGIPの
産生抑制剤のスクリーニング方法を以下に示す。 5. GIPは十二指腸および空腸のK細胞より、栄養因子に
より刺激を受けて分泌されることから、Tsengらの方法
(Proc. Natl. Acad. Sci. 90 : 1992-1996, 1993)に
従って、十二指腸へ脂肪を灌流させ、誘導されるGIPmR
NAの薬剤による発現抑制を調べる方法である。詳細に
は、オスSDラット(250-350g)を一晩絶食し、麻酔し
た後開腹し、胃の幽門部からチューブを入れ、20%イン
トラリポス(吉富)を30分から60分間十二指腸まで灌流
する。同時に薬剤を頚静脈から点滴投与し、その後十二
指腸を取り出しRNAを常法に従って抽出し、GIPcDNAを
プローブとするRNAブロットハイブリダイゼーションも
しくは逆転写PCRによりGIPmRNAを検出する。尚、後記6
と同様にして、組織中もしくは血中のGIPを定量するこ
とにより、誘導されるGIPの薬剤による発現抑制を調べ
ることもできる。
産生抑制剤のスクリーニング方法を以下に示す。 5. GIPは十二指腸および空腸のK細胞より、栄養因子に
より刺激を受けて分泌されることから、Tsengらの方法
(Proc. Natl. Acad. Sci. 90 : 1992-1996, 1993)に
従って、十二指腸へ脂肪を灌流させ、誘導されるGIPmR
NAの薬剤による発現抑制を調べる方法である。詳細に
は、オスSDラット(250-350g)を一晩絶食し、麻酔し
た後開腹し、胃の幽門部からチューブを入れ、20%イン
トラリポス(吉富)を30分から60分間十二指腸まで灌流
する。同時に薬剤を頚静脈から点滴投与し、その後十二
指腸を取り出しRNAを常法に従って抽出し、GIPcDNAを
プローブとするRNAブロットハイブリダイゼーションも
しくは逆転写PCRによりGIPmRNAを検出する。尚、後記6
と同様にして、組織中もしくは血中のGIPを定量するこ
とにより、誘導されるGIPの薬剤による発現抑制を調べ
ることもできる。
【0018】6. Kiefferらの方法(Am. J. Physiol 26
9: E316-322, 1995)に従って得たGIPを高産生する小腸
由来ガン細胞を用いて、薬剤による刺激後、細胞中もし
くは培養上清中に産生されるGIPを定量することによ
り、GIP分泌に及ぼす薬剤の効果を調べる。GIPを定量す
るには、Kiefferらの方法(Am. J. Physiol 269: E316-
322, 1995)に従った高性能液体クロマトグラフィーに
よる方法や、ラジオイムノアッセイによる方法(GIP RI
A キットがPeninsula Laboratory, Incより購入でき
る)が上げられる。
9: E316-322, 1995)に従って得たGIPを高産生する小腸
由来ガン細胞を用いて、薬剤による刺激後、細胞中もし
くは培養上清中に産生されるGIPを定量することによ
り、GIP分泌に及ぼす薬剤の効果を調べる。GIPを定量す
るには、Kiefferらの方法(Am. J. Physiol 269: E316-
322, 1995)に従った高性能液体クロマトグラフィーに
よる方法や、ラジオイムノアッセイによる方法(GIP RI
A キットがPeninsula Laboratory, Incより購入でき
る)が上げられる。
【0019】7. 前記6と同様にGIPを高産生する小腸由
来ガン細胞を用いて、薬剤を添加後、細胞中に誘導され
るGIP mRNAを前記1と同様にして定量することにより、
GIPmRNA合成に及ぼす薬剤の効果を調べる。
来ガン細胞を用いて、薬剤を添加後、細胞中に誘導され
るGIP mRNAを前記1と同様にして定量することにより、
GIPmRNA合成に及ぼす薬剤の効果を調べる。
【0020】
【実施例】試験例1. 正常マウスによるGIP投与および
高脂肪食負荷試験 (1) 方法 1-1) GIP投与および高脂肪食負荷 17週齢のC57BL/6j マウス(雄)を使用し、1群を5匹
としてそれぞれのマウスの背部皮下に浸透圧ポンプを埋
め込み、GIP 20, 60, 200μg/kg/hour又は対照の生理食
塩水を持続投与しつつ、高脂肪食又は対照普通食を与え
た。高脂肪食のエネルギー組成は、脂質45%、炭水化物3
8%、蛋白質17%、対照普通食のそれは、脂質13%、炭水化
物60%、蛋白質27%であり、高脂肪食は4.77kcal/g、対照
普通食は3.57kcal/gのエネルギーを有している。GIP投
与および高脂肪食負荷は4週間行った。 1-2) 体重比較及び空腹時血糖値、インスリン値の測定 各群のマウスの体重推移を1週毎に測定して比較した。
また、実験開始4週後の空腹時に採血を行い、血糖値と
インスリン値を測定した。
高脂肪食負荷試験 (1) 方法 1-1) GIP投与および高脂肪食負荷 17週齢のC57BL/6j マウス(雄)を使用し、1群を5匹
としてそれぞれのマウスの背部皮下に浸透圧ポンプを埋
め込み、GIP 20, 60, 200μg/kg/hour又は対照の生理食
塩水を持続投与しつつ、高脂肪食又は対照普通食を与え
た。高脂肪食のエネルギー組成は、脂質45%、炭水化物3
8%、蛋白質17%、対照普通食のそれは、脂質13%、炭水化
物60%、蛋白質27%であり、高脂肪食は4.77kcal/g、対照
普通食は3.57kcal/gのエネルギーを有している。GIP投
与および高脂肪食負荷は4週間行った。 1-2) 体重比較及び空腹時血糖値、インスリン値の測定 各群のマウスの体重推移を1週毎に測定して比較した。
また、実験開始4週後の空腹時に採血を行い、血糖値と
インスリン値を測定した。
【0021】(2) 結果 2-1) GIPによる体重増加(図1a) 普通食を摂取した群の体重増加が4週間で5.7%であるの
に対し、高脂肪食を摂取した群では24.1%と体重増加が
促進していた。この高脂肪食群にGIPを投与しても、更
なる体重増加は認められなかった。 2-2) 空腹時血糖値(図1b) 高脂肪食を摂取しGIPを投与した群では、GIPを投与しな
い群と比較して、GIP投与量依存的に空腹時血糖値が上
昇した。 2-3) 空腹時血中インスリン値(図1c) 高脂肪食を摂取しGIPを投与した群では、GIPを投与しな
い群と比較して、GIP投与量依存的に空腹時血中インス
リン値が上昇する傾向が認められた。
に対し、高脂肪食を摂取した群では24.1%と体重増加が
促進していた。この高脂肪食群にGIPを投与しても、更
なる体重増加は認められなかった。 2-2) 空腹時血糖値(図1b) 高脂肪食を摂取しGIPを投与した群では、GIPを投与しな
い群と比較して、GIP投与量依存的に空腹時血糖値が上
昇した。 2-3) 空腹時血中インスリン値(図1c) 高脂肪食を摂取しGIPを投与した群では、GIPを投与しな
い群と比較して、GIP投与量依存的に空腹時血中インス
リン値が上昇する傾向が認められた。
【0022】(3) 考察 高脂肪食負荷マウスの体重増加に対して、GIPの持続投
与は影響を与えなかった。しかし一方で、高脂肪食負荷
による空腹時血糖及び空腹時血中インスリン値の上昇
は、GIPの持続投与により投与量依存的に増大した。こ
れは、高脂肪食負荷によって発症するインスリン抵抗性
が、GIP によって肥満の進行を伴わずに増悪したことを
示している。即ち、GIPは、肥満とは独立した因子とし
てインスリン抵抗性を悪化させることが示された。この
ことは、GIPの機能を阻害する化合物が、肥満の予防又
は改善とは独立して、インスリン抵抗性の予防又は改善
剤となることを示している。
与は影響を与えなかった。しかし一方で、高脂肪食負荷
による空腹時血糖及び空腹時血中インスリン値の上昇
は、GIPの持続投与により投与量依存的に増大した。こ
れは、高脂肪食負荷によって発症するインスリン抵抗性
が、GIP によって肥満の進行を伴わずに増悪したことを
示している。即ち、GIPは、肥満とは独立した因子とし
てインスリン抵抗性を悪化させることが示された。この
ことは、GIPの機能を阻害する化合物が、肥満の予防又
は改善とは独立して、インスリン抵抗性の予防又は改善
剤となることを示している。
【0023】試験例2. GIP受容体欠損マウスによる高
脂肪食負荷実験 (1) 方法 1-1) 高脂肪食負荷 7週齢のGIP受容体欠損マウスと野生型マウスを使用し、
1群を5匹としてそれぞれのマウスに高脂肪食と対照普
通食を与えた。高脂肪食のエネルギー組成は、脂質45
%、炭水化物35%、蛋白質20%、対照普通食のそれは、脂
質13%、炭水化物60%、蛋白質27%であり、高脂肪食と対
照普通食は、共に3.57kcal/gのエネルギーを有してい
る。各群のマウスにそれぞれの食事を8週目から52週目
までの45週間与えた後、各群のマウスの経口耐糖能試
験、血中脂質の測定、及び組織学的比較を行った。尚、
最初の7週間は、いずれの群も普通食を与えた。また、G
IP受容体欠損マウスは、Miyawaki, K., et al. Proc. N
atl. Acsd. Sci. USA 96, 14843-14847, 1999の記載に
従い作製し、雄性マウスを使用した。 1-2) 空腹時血糖値、インスリン値及び耐糖能の測定 各実験群のマウスを16時間(午後6時から午前10時)絶
食し、血糖値、インスリン値の測定及び経口糖負荷試験
を行った。経口糖負荷試験においては、グルコースを2g
/kgの投与量で経口投与し、投与前及び投与後15、30、6
0、90、120分の時点で尾静脈より採血して血糖値を測定
した。血糖値は酵素電極法(三和化学研究所)を用い
て、血中インスリン値は酵素標識抗体法(シバヤギ)を
用いて測定した。 1-3) 血中脂質の測定 各実験群のマウスを16時間(午後6時から午前10時)絶
食した後採血を行い、血漿を分離採取して血中脂質マー
カーを酵素法(協和メデックス)により測定した。 1-4) 肝組織と脂肪組織の組織学的解析 肝組織と脂肪組織はパラフィンに包埋し、3.5μmの厚さ
の切片にした。切片はキシレンとエタノールを用いてパ
ラフィンを除去した後、ヘマトキシリン・エオシン法で
染色した。肝細胞については別途凍結切片を調製し、オ
イルレッドOによって染色した。
脂肪食負荷実験 (1) 方法 1-1) 高脂肪食負荷 7週齢のGIP受容体欠損マウスと野生型マウスを使用し、
1群を5匹としてそれぞれのマウスに高脂肪食と対照普
通食を与えた。高脂肪食のエネルギー組成は、脂質45
%、炭水化物35%、蛋白質20%、対照普通食のそれは、脂
質13%、炭水化物60%、蛋白質27%であり、高脂肪食と対
照普通食は、共に3.57kcal/gのエネルギーを有してい
る。各群のマウスにそれぞれの食事を8週目から52週目
までの45週間与えた後、各群のマウスの経口耐糖能試
験、血中脂質の測定、及び組織学的比較を行った。尚、
最初の7週間は、いずれの群も普通食を与えた。また、G
IP受容体欠損マウスは、Miyawaki, K., et al. Proc. N
atl. Acsd. Sci. USA 96, 14843-14847, 1999の記載に
従い作製し、雄性マウスを使用した。 1-2) 空腹時血糖値、インスリン値及び耐糖能の測定 各実験群のマウスを16時間(午後6時から午前10時)絶
食し、血糖値、インスリン値の測定及び経口糖負荷試験
を行った。経口糖負荷試験においては、グルコースを2g
/kgの投与量で経口投与し、投与前及び投与後15、30、6
0、90、120分の時点で尾静脈より採血して血糖値を測定
した。血糖値は酵素電極法(三和化学研究所)を用い
て、血中インスリン値は酵素標識抗体法(シバヤギ)を
用いて測定した。 1-3) 血中脂質の測定 各実験群のマウスを16時間(午後6時から午前10時)絶
食した後採血を行い、血漿を分離採取して血中脂質マー
カーを酵素法(協和メデックス)により測定した。 1-4) 肝組織と脂肪組織の組織学的解析 肝組織と脂肪組織はパラフィンに包埋し、3.5μmの厚さ
の切片にした。切片はキシレンとエタノールを用いてパ
ラフィンを除去した後、ヘマトキシリン・エオシン法で
染色した。肝細胞については別途凍結切片を調製し、オ
イルレッドOによって染色した。
【0024】(2) 結果 2-1) 高脂肪食または対照普通食負荷による体重増加
(図2) 対照普通食を摂取させた場合においては、GIP受容体欠
損マウス群と野生型マウス群それぞれの体重増加の間
に、明らかな差は見られなかった。高脂肪食を摂取させ
た場合、野生型マウス群では、対照普通食を摂取させた
場合に比較して体重が35%増加した(図2a)。これに対し
て、GIP受容体欠損マウスでは、高脂肪食群と対照普通
食群の間に体重増加の差が見られなかった(図2b)。 2-2) 経口糖負荷試験(図3) 野生型マウスでは、高脂肪食群の空腹時血糖値及び空腹
時インスリン値が、対照普通食群に比し著明に高値を示
した(図3a, b)。GIP受容体欠損マウス高脂肪食群で
は、野生型マウス高脂肪食群において認められた空腹時
高血糖及び空腹時高インスリン状態に明らかな改善が認
められた(図3a, b)。野生型マウス高脂肪食群では、
対照普通食群に比し、糖負荷時の最大血糖値に明らかな
差は認められなかった(図4a)。また、野生型マウス高
脂肪食群では、糖負荷時の血中インスリン値が、対照普
通食群に比し有意に高値であった(図4c)。これらの結
果は、野生型マウスにおいて、高脂肪食負荷によりイン
スリン抵抗性が発症することを示唆している。GIP受容
体欠損マウスでは、野生型マウス対照普通食群に比し、
軽度の耐糖能異常が見られたが、空腹時及び最大血糖
値、基礎及び刺激時インスリン値には、高脂肪食、対照
普通食両群間の差が見られなかった(図4b, d)。 2-3)血中脂質マーカー(図5) 各群の血中脂質マーカーを比較すると、普通食、高脂肪
食ともにGIP受容体欠損マウスでは野生型マウスに比較
して、トリグリセライド(図5b)及びLDLコレステロー
ル(図5d)が低下した。 2-4) 組織学的解析(図6) 野生型マウス群では、高脂肪食負荷により内臓脂肪組織
及び皮下脂肪組織の著明な増加が見られたが、GIP受容
体欠損マウスでは、高脂肪食群と対照普通食群の間に内
臓脂肪組織及び皮下脂肪組織の蓄積量の明らかな差は見
られなかった(図6a, b)。さらに、肝組織のヘマトキシ
リン・エオシン染色及びオイルレッドO染色の結果か
ら、野生型マウスでは、高脂肪食負荷による肝組織の脂
肪変性が見られたが、GIP受容体欠損マウスでは、高脂
肪食負荷による肝組織の脂肪変性が起こらないことが確
認された(図6c)。副睾丸の脂肪パッドでは、野生型マ
ウスにおいて高脂肪食負荷による脂肪細胞の顕著な肥大
が見られた。しかし、GIP受容体欠損マウスでは、高脂
肪食負荷を行っても、副睾丸脂肪パッドの脂肪細胞に変
化は認められなかった(図6d)。
(図2) 対照普通食を摂取させた場合においては、GIP受容体欠
損マウス群と野生型マウス群それぞれの体重増加の間
に、明らかな差は見られなかった。高脂肪食を摂取させ
た場合、野生型マウス群では、対照普通食を摂取させた
場合に比較して体重が35%増加した(図2a)。これに対し
て、GIP受容体欠損マウスでは、高脂肪食群と対照普通
食群の間に体重増加の差が見られなかった(図2b)。 2-2) 経口糖負荷試験(図3) 野生型マウスでは、高脂肪食群の空腹時血糖値及び空腹
時インスリン値が、対照普通食群に比し著明に高値を示
した(図3a, b)。GIP受容体欠損マウス高脂肪食群で
は、野生型マウス高脂肪食群において認められた空腹時
高血糖及び空腹時高インスリン状態に明らかな改善が認
められた(図3a, b)。野生型マウス高脂肪食群では、
対照普通食群に比し、糖負荷時の最大血糖値に明らかな
差は認められなかった(図4a)。また、野生型マウス高
脂肪食群では、糖負荷時の血中インスリン値が、対照普
通食群に比し有意に高値であった(図4c)。これらの結
果は、野生型マウスにおいて、高脂肪食負荷によりイン
スリン抵抗性が発症することを示唆している。GIP受容
体欠損マウスでは、野生型マウス対照普通食群に比し、
軽度の耐糖能異常が見られたが、空腹時及び最大血糖
値、基礎及び刺激時インスリン値には、高脂肪食、対照
普通食両群間の差が見られなかった(図4b, d)。 2-3)血中脂質マーカー(図5) 各群の血中脂質マーカーを比較すると、普通食、高脂肪
食ともにGIP受容体欠損マウスでは野生型マウスに比較
して、トリグリセライド(図5b)及びLDLコレステロー
ル(図5d)が低下した。 2-4) 組織学的解析(図6) 野生型マウス群では、高脂肪食負荷により内臓脂肪組織
及び皮下脂肪組織の著明な増加が見られたが、GIP受容
体欠損マウスでは、高脂肪食群と対照普通食群の間に内
臓脂肪組織及び皮下脂肪組織の蓄積量の明らかな差は見
られなかった(図6a, b)。さらに、肝組織のヘマトキシ
リン・エオシン染色及びオイルレッドO染色の結果か
ら、野生型マウスでは、高脂肪食負荷による肝組織の脂
肪変性が見られたが、GIP受容体欠損マウスでは、高脂
肪食負荷による肝組織の脂肪変性が起こらないことが確
認された(図6c)。副睾丸の脂肪パッドでは、野生型マ
ウスにおいて高脂肪食負荷による脂肪細胞の顕著な肥大
が見られた。しかし、GIP受容体欠損マウスでは、高脂
肪食負荷を行っても、副睾丸脂肪パッドの脂肪細胞に変
化は認められなかった(図6d)。
【0025】(3) 考察 野生型マウスにおける45週間の高脂肪食による体重増加
現象が、GIP受容体ホモ欠損マウスでは消失した。剖検
では、野生型マウスの内臓脂肪量が、GIP受容体ホモ欠
損マウスに比し増加していた。GIP受容体ホモ欠損マウ
スから、GIPの機能を阻害する化合物(例えばGIP拮抗
剤)を作用させた状態を類推すると、GIPの機能を阻害
する化合物の投与により、高脂肪食による脂肪組織への
脂肪蓄積が抑制されることが裏付けられる。同じ摂取カ
ロリーでも、より脂肪の少ない餌を与えた場合は、いず
れのマウスにも体重の増加は認められなかった。この結
果から、摂取した脂肪やエネルギーの量的な変化が脂肪
組織の量を決定しているのではなく、食物の組成に敏感
に反応してGIPが働き、積極的に脂肪組織の量が調節さ
れていることが明らかとなった。このようにGIPは、エ
ネルギーの節約、蓄積に働くthrifty geneとして高脂肪
食負荷時の肥満の発症に不可欠であると考えられる。従
って、GIPの機能阻害による抗肥満作用は、GIPによる脂
質の脂肪組織への取り込み及び蓄積促進作用を抑制する
ことによると考えられる。ここで、GIP受容体欠損マウ
スの血中脂質が低下していることから、GIP受容体欠損
によって脂肪組織へ取り込まれない脂質が血中脂質を増
加させることはなく、逆にGIP阻害剤が血中脂質を低下
させる可能性も示されている。一方、経口糖負荷試験に
おいては、野生型マウスでは、高脂肪食により肥満と共
に、血中インスリン値の著しい上昇と空腹時高血糖が観
察され、インスリン抵抗性の発現がみられたが、GIP受
容体ホモ欠損マウスでは、そのような現象は見られなか
った。即ち、GIPの機能阻害により、インスリン抵抗性
が改善されることが明らかとなった。これらのことは、
GIPの機能を阻害する化合物が、肥満のみならずインス
リン抵抗性の予防又は治療剤となることを示している。
現象が、GIP受容体ホモ欠損マウスでは消失した。剖検
では、野生型マウスの内臓脂肪量が、GIP受容体ホモ欠
損マウスに比し増加していた。GIP受容体ホモ欠損マウ
スから、GIPの機能を阻害する化合物(例えばGIP拮抗
剤)を作用させた状態を類推すると、GIPの機能を阻害
する化合物の投与により、高脂肪食による脂肪組織への
脂肪蓄積が抑制されることが裏付けられる。同じ摂取カ
ロリーでも、より脂肪の少ない餌を与えた場合は、いず
れのマウスにも体重の増加は認められなかった。この結
果から、摂取した脂肪やエネルギーの量的な変化が脂肪
組織の量を決定しているのではなく、食物の組成に敏感
に反応してGIPが働き、積極的に脂肪組織の量が調節さ
れていることが明らかとなった。このようにGIPは、エ
ネルギーの節約、蓄積に働くthrifty geneとして高脂肪
食負荷時の肥満の発症に不可欠であると考えられる。従
って、GIPの機能阻害による抗肥満作用は、GIPによる脂
質の脂肪組織への取り込み及び蓄積促進作用を抑制する
ことによると考えられる。ここで、GIP受容体欠損マウ
スの血中脂質が低下していることから、GIP受容体欠損
によって脂肪組織へ取り込まれない脂質が血中脂質を増
加させることはなく、逆にGIP阻害剤が血中脂質を低下
させる可能性も示されている。一方、経口糖負荷試験に
おいては、野生型マウスでは、高脂肪食により肥満と共
に、血中インスリン値の著しい上昇と空腹時高血糖が観
察され、インスリン抵抗性の発現がみられたが、GIP受
容体ホモ欠損マウスでは、そのような現象は見られなか
った。即ち、GIPの機能阻害により、インスリン抵抗性
が改善されることが明らかとなった。これらのことは、
GIPの機能を阻害する化合物が、肥満のみならずインス
リン抵抗性の予防又は治療剤となることを示している。
【0026】試験例3. ob/obマウスのインスリン抵抗性
及び肥満に対するGIP受容体欠損の影響 (1) 方法 肥満関連ホルモンのレプチン遺伝子を欠損し遺伝性肥満
であるob/obマウスにGIP受容体欠損遺伝子を導入し、GI
P受容体遺伝子欠損ob/obマウスを作製した。GIP受容体
遺伝子ホモ欠損マウス(C57BL/6j-GIPR-/-)とレプチン遺
伝子ヘテロ欠損C57BL/6j-Lep+/-マウスを交配し、GIP受
容体遺伝子およびレプチン遺伝子の両方のダブルヘテロ
欠損マウス(C57BL/6j-GIPR+/-/Lep+/-)を得た。このC57
BL/6j-GIPR+/-/Lep+/-の雌雄を交配させ、C57BL/6j-GIP
R+/+/Lep-/-、C57BL/6j-GIPR-/-/Lep-/-、C57BL/6j-GIP
R+/+/Lep+/+ (野生型C57BL/6jマウスに相当)を得た。こ
れらのマウスの体重推移を1週毎に測定して比較した。
また、実験開始4週後、各実験群のマウスを16時間(午
後6時から午前10時)絶食し、経口糖負荷試験を行っ
た。経口糖負荷試験では、グルコースは2g/kgの投与量
で経口投与し、投与前及び投与後15、30、60、90、120
分の時点で尾静脈より採血して、血糖値を測定した。血
糖値は酵素電極法(三和化学研究所)を用いて測定し
た。尚、実験には雄性マウスを使用した。
及び肥満に対するGIP受容体欠損の影響 (1) 方法 肥満関連ホルモンのレプチン遺伝子を欠損し遺伝性肥満
であるob/obマウスにGIP受容体欠損遺伝子を導入し、GI
P受容体遺伝子欠損ob/obマウスを作製した。GIP受容体
遺伝子ホモ欠損マウス(C57BL/6j-GIPR-/-)とレプチン遺
伝子ヘテロ欠損C57BL/6j-Lep+/-マウスを交配し、GIP受
容体遺伝子およびレプチン遺伝子の両方のダブルヘテロ
欠損マウス(C57BL/6j-GIPR+/-/Lep+/-)を得た。このC57
BL/6j-GIPR+/-/Lep+/-の雌雄を交配させ、C57BL/6j-GIP
R+/+/Lep-/-、C57BL/6j-GIPR-/-/Lep-/-、C57BL/6j-GIP
R+/+/Lep+/+ (野生型C57BL/6jマウスに相当)を得た。こ
れらのマウスの体重推移を1週毎に測定して比較した。
また、実験開始4週後、各実験群のマウスを16時間(午
後6時から午前10時)絶食し、経口糖負荷試験を行っ
た。経口糖負荷試験では、グルコースは2g/kgの投与量
で経口投与し、投与前及び投与後15、30、60、90、120
分の時点で尾静脈より採血して、血糖値を測定した。血
糖値は酵素電極法(三和化学研究所)を用いて測定し
た。尚、実験には雄性マウスを使用した。
【0027】(2) 結果 2-1) 体重変化(図7a) C57BL/6j-GIPR+/+/Lep-/-の体重は、C57BL/6j-GIPR+/+/
Lep+/+(野生型)に比較して顕著に増大したが、GIP受
容体欠損のC57BL/6j-GIPR-/-/Lep-/-では、その体重増
加が有意に抑制された。このときの摂餌量は、C57BL/6j
-GIPR+/+/Lep-/-とC57BL/6j-GIPR-/-/Lep-/-の群間では
差はなかった。 2-2)空腹時血糖値(図7b) C57BL/6j-GIPR+/+/Lep-/-は、C57BL/6j-GIPR+/+/Lep+/+
(野生型)に比較して、空腹時血糖値が著明に高値を示
した。GIP受容体欠損のC57BL/6j-GIPR-/-/Lep- /-では、
その空腹時高血糖に明らかな改善が認められた。 2-3) 経口糖負荷試験(図7c) 経口糖負荷試験では、C57BL/6j-GIPR+/+/Lep-/-は、C57
BL/6j-GIPR+/+/Lep+/+(野生型)に比較して初期の血糖
値が高くなり、明らかな耐糖能異常が観察された。C57B
L/6j-GIPR-/-/Lep-/-の血糖上昇は、C57BL/6j-GIPR+/+/
Lep-/-に比べて抑制された。
Lep+/+(野生型)に比較して顕著に増大したが、GIP受
容体欠損のC57BL/6j-GIPR-/-/Lep-/-では、その体重増
加が有意に抑制された。このときの摂餌量は、C57BL/6j
-GIPR+/+/Lep-/-とC57BL/6j-GIPR-/-/Lep-/-の群間では
差はなかった。 2-2)空腹時血糖値(図7b) C57BL/6j-GIPR+/+/Lep-/-は、C57BL/6j-GIPR+/+/Lep+/+
(野生型)に比較して、空腹時血糖値が著明に高値を示
した。GIP受容体欠損のC57BL/6j-GIPR-/-/Lep- /-では、
その空腹時高血糖に明らかな改善が認められた。 2-3) 経口糖負荷試験(図7c) 経口糖負荷試験では、C57BL/6j-GIPR+/+/Lep-/-は、C57
BL/6j-GIPR+/+/Lep+/+(野生型)に比較して初期の血糖
値が高くなり、明らかな耐糖能異常が観察された。C57B
L/6j-GIPR-/-/Lep-/-の血糖上昇は、C57BL/6j-GIPR+/+/
Lep-/-に比べて抑制された。
【0028】(3) 考察 ob/obマウスは、レプチンが欠損しているために摂食中
枢の機能が障害され、過食となり肥満を発症する。この
マウスのGIP受容体を欠損させると、肥満が軽減され、
更に、空腹時高血糖や耐糖能異常も改善された。これら
のことは、GIPの機能を阻害する化合物が、肥満の予防
剤又は改善剤となるとともに、インスリン抵抗性の予防
剤又は改善剤となることを示している。
枢の機能が障害され、過食となり肥満を発症する。この
マウスのGIP受容体を欠損させると、肥満が軽減され、
更に、空腹時高血糖や耐糖能異常も改善された。これら
のことは、GIPの機能を阻害する化合物が、肥満の予防
剤又は改善剤となるとともに、インスリン抵抗性の予防
剤又は改善剤となることを示している。
【0029】試験例4.GIP機能阻害剤のスクリーニン
グ (1) 方法 スクリーニング方法例1に従い、低分子のGIP機能阻害剤
のスクリーニングを行った。具体的には、GIP受容体発
現CHO細胞を、検体存在下と非存在下で100 pM GIPによ
り刺激し、生成するcAMP量を測定して、検体によるGIP
機能阻害活性を求めた。また、検体の受容体特異性を確
認するために、GIPと同様にグルカゴン・セクレチンフ
ァミリーに属するGLP-1及びglucagonの受容体を発現さ
せたCHO細胞を用いて、それぞれGLP-1又はglucagon(10
0 pM)で刺激した際のcAMP生成に対する検体の阻害活性
を確認した。さらに、これら受容体とは全く無関係な作
用についても検証するために、これらの受容体遺伝子を
導入しないCHO細胞を用いて、5μM forskolinで刺激し
た際のcAMP生成に対する検体の阻害作用も確認した。陽
性対照としては500 nM GIP(7-30)-NH2(tGIP)を使用し
た。
グ (1) 方法 スクリーニング方法例1に従い、低分子のGIP機能阻害剤
のスクリーニングを行った。具体的には、GIP受容体発
現CHO細胞を、検体存在下と非存在下で100 pM GIPによ
り刺激し、生成するcAMP量を測定して、検体によるGIP
機能阻害活性を求めた。また、検体の受容体特異性を確
認するために、GIPと同様にグルカゴン・セクレチンフ
ァミリーに属するGLP-1及びglucagonの受容体を発現さ
せたCHO細胞を用いて、それぞれGLP-1又はglucagon(10
0 pM)で刺激した際のcAMP生成に対する検体の阻害活性
を確認した。さらに、これら受容体とは全く無関係な作
用についても検証するために、これらの受容体遺伝子を
導入しないCHO細胞を用いて、5μM forskolinで刺激し
た際のcAMP生成に対する検体の阻害作用も確認した。陽
性対照としては500 nM GIP(7-30)-NH2(tGIP)を使用し
た。
【0030】(2) 結果 スクリーニングの結果、ライブラリーサプライヤーであ
るMAYBRIDGEから購入した3-ブロモ-5-メチル-2-フェニ
ルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オール(BMPP,前記化
1に示す)がGIPの機能に対する特異的な阻害作用を有
することが示された(図8)。BMPPはGIP受容体発現CHO
細胞におけるGIPのcAMP生成惹起作用を濃度依存的に阻
害し、そのEC50は約30μMであった(図8a)。また、B
MPPはglucagonの作用を僅かに抑制したものの、その阻
害率は80μMにおいても27%に過ぎず(図8c)、GLP-1
の作用に対してはほとんど阻害しなかった(図8b)。
さらに、forskolin 刺激によるcAMP生成に対してもBMPP
は阻害作用を示さなかった(図8d)。
るMAYBRIDGEから購入した3-ブロモ-5-メチル-2-フェニ
ルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オール(BMPP,前記化
1に示す)がGIPの機能に対する特異的な阻害作用を有
することが示された(図8)。BMPPはGIP受容体発現CHO
細胞におけるGIPのcAMP生成惹起作用を濃度依存的に阻
害し、そのEC50は約30μMであった(図8a)。また、B
MPPはglucagonの作用を僅かに抑制したものの、その阻
害率は80μMにおいても27%に過ぎず(図8c)、GLP-1
の作用に対してはほとんど阻害しなかった(図8b)。
さらに、forskolin 刺激によるcAMP生成に対してもBMPP
は阻害作用を示さなかった(図8d)。
【0031】
【化1】
【0032】(3) 考察 スクリーニングの結果選出されたBMPPは、そのGIP機能
阻害作用においてGIP受容体に対する特異性が高く、低
分子GIP機能阻害剤のリード化合物になり得る検体であ
った。一方で、glucagon機能に対する弱い阻害作用も有
するが、これは糖尿病患者に投与した場合には、血糖上
昇抑制作用につながることが予想されるため、メリット
となる可能性がある。
阻害作用においてGIP受容体に対する特異性が高く、低
分子GIP機能阻害剤のリード化合物になり得る検体であ
った。一方で、glucagon機能に対する弱い阻害作用も有
するが、これは糖尿病患者に投与した場合には、血糖上
昇抑制作用につながることが予想されるため、メリット
となる可能性がある。
【0033】GIPがインスリン抵抗性を惹起する詳細な
メカニズムについては、現在のところ不明である。1つ
の可能性として、インスリン抵抗性を惹起する何らかの
分子に対するGIPの影響が考えられる。インスリン抵抗
性に関与する分子としては、これまでに、遊離脂肪酸、
TNF-α等が研究されてきた。一方で、GIPと血中遊離脂
肪酸濃度との関係についても研究がなされており、諸説
ある。しかし、野生型マウス及びGIP受容体欠損マウス
に対する高脂肪食負荷実験において、本実験条件下で
は、GIP受容体の有無、インスリン抵抗性及び肥満と血
中遊離脂肪酸濃度の間に一貫した関連性は認められなか
った。インスリン抵抗性に関与すると考えられているそ
の他の因子とGIPの関連についての報告は、特に認めら
れない。
メカニズムについては、現在のところ不明である。1つ
の可能性として、インスリン抵抗性を惹起する何らかの
分子に対するGIPの影響が考えられる。インスリン抵抗
性に関与する分子としては、これまでに、遊離脂肪酸、
TNF-α等が研究されてきた。一方で、GIPと血中遊離脂
肪酸濃度との関係についても研究がなされており、諸説
ある。しかし、野生型マウス及びGIP受容体欠損マウス
に対する高脂肪食負荷実験において、本実験条件下で
は、GIP受容体の有無、インスリン抵抗性及び肥満と血
中遊離脂肪酸濃度の間に一貫した関連性は認められなか
った。インスリン抵抗性に関与すると考えられているそ
の他の因子とGIPの関連についての報告は、特に認めら
れない。
【0034】GIPが肥満を発症させるメカニズムは2つ
考えられる。第一に、GIPがインスリンの分泌を増加さ
せ、そのインスリンがPPARγの発現を亢進させると共
に、栄養物の脂肪組織への取込みを促進する経路。第二
に、GIPが脂肪細胞に発現しているGIP受容体を介してcA
MPを上昇させ、直接脂肪細胞肥大化を促進させている経
路である。PPARγは、脂肪細胞の分化に必須であるが、
その他の臓器にも発現し、ホモ欠損は致死的である。一
方、GIP受容体のホモ欠損マウスは軽い耐糖能異常を来
すが、臓器形成などには異常を認めない。一見、正常な
個体とは大きな差は認められないが、高脂肪食を与える
ような環境下では、野生型マウスの体重が増加するのに
対し、GIP受容体のホモ欠損マウスは全く体重増加が見
られないという大きな差となって現れる。GIPのこのよ
うな性質は、環境の変化に伴って発現し、成人病をもた
らすthrifty genotypeの概念によく一致する。同じ摂取
カロリーでは、より多くの脂肪を含む食事の方が肥満し
やすい。しかし、GIPシグナル非存在下では、この法則
は消失し、摂取カロリーが体重を規定する。したがっ
て、GIP受容体は抗肥満薬の新しいターゲットとなる。
即ち、GIPの機能を阻害する化合物は、脂肪の過剰摂取
に起因する脂肪組織への脂肪蓄積を抑制し、肥満の防止
又は治療に利用することができる。
考えられる。第一に、GIPがインスリンの分泌を増加さ
せ、そのインスリンがPPARγの発現を亢進させると共
に、栄養物の脂肪組織への取込みを促進する経路。第二
に、GIPが脂肪細胞に発現しているGIP受容体を介してcA
MPを上昇させ、直接脂肪細胞肥大化を促進させている経
路である。PPARγは、脂肪細胞の分化に必須であるが、
その他の臓器にも発現し、ホモ欠損は致死的である。一
方、GIP受容体のホモ欠損マウスは軽い耐糖能異常を来
すが、臓器形成などには異常を認めない。一見、正常な
個体とは大きな差は認められないが、高脂肪食を与える
ような環境下では、野生型マウスの体重が増加するのに
対し、GIP受容体のホモ欠損マウスは全く体重増加が見
られないという大きな差となって現れる。GIPのこのよ
うな性質は、環境の変化に伴って発現し、成人病をもた
らすthrifty genotypeの概念によく一致する。同じ摂取
カロリーでは、より多くの脂肪を含む食事の方が肥満し
やすい。しかし、GIPシグナル非存在下では、この法則
は消失し、摂取カロリーが体重を規定する。したがっ
て、GIP受容体は抗肥満薬の新しいターゲットとなる。
即ち、GIPの機能を阻害する化合物は、脂肪の過剰摂取
に起因する脂肪組織への脂肪蓄積を抑制し、肥満の防止
又は治療に利用することができる。
【0035】従来技術に記載済みであるが、GIPの拮抗
剤が抗肥満効果をもたらすことに関してはWO98/24464に
記載がある。本引例はGIPの拮抗剤であるGIP(7-30)-N
H2の腸管におけるグルコースの吸収抑制作用に基づき、
GIPの拮抗剤が抗肥満剤となり得ることを報告してい
る。しかし、GIPの拮抗剤によるグルコースの吸収抑制
作用をもって、GIPの拮抗剤が抗肥満剤になるという論
理展開には、あまりにも飛躍があり、当業者が、完成さ
れた発明として認識できるものではなく、ましてや、GI
Pの拮抗剤がインスリン抵抗性を改善することについて
は予測できるものではない。また、我々が実施したGIP
受容体欠損マウスに対する経口糖負荷試験の結果(図4
a, b)は、グルコース投与時の血糖値上昇が、GIP受容
体欠損マウスにおいても野生型マウスと同様に起こるこ
とを示しており、GIP受容体欠損によるグルコース吸収
抑制は認められていない。従って、我々が見出したGIP
受容体欠損マウス高脂肪食負荷での肥満抑制作用は、WO
98/24464において報告されたグルコース吸収抑制による
ものではないと考えられる。また、我々の実験結果から
は、マウスにGIPアンタゴニストを投与しても、血糖値
を抑制するようなグルコース吸収抑制が起こるとは考え
られない。これらのことから、WO98/24464は、我々の本
件発明を示唆するものではない。
剤が抗肥満効果をもたらすことに関してはWO98/24464に
記載がある。本引例はGIPの拮抗剤であるGIP(7-30)-N
H2の腸管におけるグルコースの吸収抑制作用に基づき、
GIPの拮抗剤が抗肥満剤となり得ることを報告してい
る。しかし、GIPの拮抗剤によるグルコースの吸収抑制
作用をもって、GIPの拮抗剤が抗肥満剤になるという論
理展開には、あまりにも飛躍があり、当業者が、完成さ
れた発明として認識できるものではなく、ましてや、GI
Pの拮抗剤がインスリン抵抗性を改善することについて
は予測できるものではない。また、我々が実施したGIP
受容体欠損マウスに対する経口糖負荷試験の結果(図4
a, b)は、グルコース投与時の血糖値上昇が、GIP受容
体欠損マウスにおいても野生型マウスと同様に起こるこ
とを示しており、GIP受容体欠損によるグルコース吸収
抑制は認められていない。従って、我々が見出したGIP
受容体欠損マウス高脂肪食負荷での肥満抑制作用は、WO
98/24464において報告されたグルコース吸収抑制による
ものではないと考えられる。また、我々の実験結果から
は、マウスにGIPアンタゴニストを投与しても、血糖値
を抑制するようなグルコース吸収抑制が起こるとは考え
られない。これらのことから、WO98/24464は、我々の本
件発明を示唆するものではない。
【0036】
【発明の効果】前述のようなGIPの薬理作用は、従来知
られていたGIPのインスリン分泌促進作用、胃酸分泌抑
制作用とは異質のもので、容易に予想できないものであ
った。本発明は、GIPの機能を阻害する化合物が、イン
スリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤に
なるという、今までにない全く新しい概念を提供するも
のであり、GIPの機能を阻害する化合物をスクリーニン
グすることにより、インスリン抵抗性及び/又は肥満の
予防剤もしくは改善剤を入手することができる。
られていたGIPのインスリン分泌促進作用、胃酸分泌抑
制作用とは異質のもので、容易に予想できないものであ
った。本発明は、GIPの機能を阻害する化合物が、イン
スリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤に
なるという、今までにない全く新しい概念を提供するも
のであり、GIPの機能を阻害する化合物をスクリーニン
グすることにより、インスリン抵抗性及び/又は肥満の
予防剤もしくは改善剤を入手することができる。
【図1】野生型マウスにおいて、GIPまたは生理食塩水
を持続投与し、対照普通食または高脂肪食を4週間摂取
させる高脂肪食負荷実験の結果を示すもので、a:4週
間の体重変化を示すグラフ、b:4週後の空腹時血糖値
を示すグラフ、c:4週後の空腹時インスリン値を示す
グラフである。なお、図中の記号*は、危険率pが、p<
0.05であることを示す。
を持続投与し、対照普通食または高脂肪食を4週間摂取
させる高脂肪食負荷実験の結果を示すもので、a:4週
間の体重変化を示すグラフ、b:4週後の空腹時血糖値
を示すグラフ、c:4週後の空腹時インスリン値を示す
グラフである。なお、図中の記号*は、危険率pが、p<
0.05であることを示す。
【図2】野生型マウス及びGIP受容体欠損マウスにおい
て、対照普通食、高脂肪食を摂取させた場合の体重変化
を示すもので、a:野生型マウスの体重変化を示すグラ
フ、b:GIP受容体欠損マウスの体重変化を示すグラフ
である。なお、図中の記号*および**は、危険率p
が、それぞれp<0.05およびp<0.01であることを示す。
て、対照普通食、高脂肪食を摂取させた場合の体重変化
を示すもので、a:野生型マウスの体重変化を示すグラ
フ、b:GIP受容体欠損マウスの体重変化を示すグラフ
である。なお、図中の記号*および**は、危険率p
が、それぞれp<0.05およびp<0.01であることを示す。
【図3】対照普通食、高脂肪食を摂取させた、野生型マ
ウス及びGIP受容体欠損マウスの空腹時血糖値、空腹時
インスリン値を示すもので、a:空腹時血糖値を示すグ
ラフ、b:空腹時インスリン値を示すグラフである。な
お、図中の記号*および**は、危険率pが、それぞれp
<0.05およびp<0.01であることを示す。
ウス及びGIP受容体欠損マウスの空腹時血糖値、空腹時
インスリン値を示すもので、a:空腹時血糖値を示すグ
ラフ、b:空腹時インスリン値を示すグラフである。な
お、図中の記号*および**は、危険率pが、それぞれp
<0.05およびp<0.01であることを示す。
【図4】対照普通食、高脂肪食を摂取させた、野生型マ
ウス及びGIP受容体欠損マウスの経口糖負荷試験の結果
を示すもので、a:野生型マウスの血糖値の推移を示す
グラフ、b:GIP受容体欠損マウスの血糖値の推移を示
すグラフ、c:野生型マウスの血中インスリン値の推移
を示すグラフ、d:GIP受容体欠損マウスの血中インス
リン値の推移を示すグラフである。なお、図中の記号*
および**は、危険率pが、それぞれp<0.05およびp<0.0
1であることを示す。
ウス及びGIP受容体欠損マウスの経口糖負荷試験の結果
を示すもので、a:野生型マウスの血糖値の推移を示す
グラフ、b:GIP受容体欠損マウスの血糖値の推移を示
すグラフ、c:野生型マウスの血中インスリン値の推移
を示すグラフ、d:GIP受容体欠損マウスの血中インス
リン値の推移を示すグラフである。なお、図中の記号*
および**は、危険率pが、それぞれp<0.05およびp<0.0
1であることを示す。
【図5】対照普通食、高脂肪食を摂取させた、野生型マ
ウス及びGIP受容体欠損マウスの血中脂質マーカーを示
すもので、a:総コレステロール値を示すグラフ、b:
トリグリセライド値を示すグラフ、c:遊離脂肪酸値を
示すグラフ、d:LDLコレステロール値を示すグラフ、
e:HDLコレステロール値を示すグラフである。
ウス及びGIP受容体欠損マウスの血中脂質マーカーを示
すもので、a:総コレステロール値を示すグラフ、b:
トリグリセライド値を示すグラフ、c:遊離脂肪酸値を
示すグラフ、d:LDLコレステロール値を示すグラフ、
e:HDLコレステロール値を示すグラフである。
【図6】対照普通食、高脂肪食を摂取させた、野生型マ
ウス及びGIP受容体欠損マウスの組織学的解析の結果を
示すもので、a:内臓脂肪組織及び皮下脂肪組織を示す
解剖写真、b:脂肪組織の染色写真、c:肝組織の染色
写真、d:副睾丸脂肪パッドの脂肪細胞の染色写真であ
る。
ウス及びGIP受容体欠損マウスの組織学的解析の結果を
示すもので、a:内臓脂肪組織及び皮下脂肪組織を示す
解剖写真、b:脂肪組織の染色写真、c:肝組織の染色
写真、d:副睾丸脂肪パッドの脂肪細胞の染色写真であ
る。
【図7】C57BL/6j-GIPR+/+/Lep+/+、C57BL/6j-GIPR+/+/
Lep-/- 及びC57BL/6j-GIPR-/-/Lep-/-の3系統のマウス
を使用して、ob/obマウスにおけるGIP受容体欠損の影響
を検討した実験の結果を示すもので、a:体重増加を示
すグラフ、b:空腹時血糖値を示すグラフ、c:糖負荷
後の血糖値の推移を示すグラフである。
Lep-/- 及びC57BL/6j-GIPR-/-/Lep-/-の3系統のマウス
を使用して、ob/obマウスにおけるGIP受容体欠損の影響
を検討した実験の結果を示すもので、a:体重増加を示
すグラフ、b:空腹時血糖値を示すグラフ、c:糖負荷
後の血糖値の推移を示すグラフである。
【図8】3-ブロモ-5-メチル-2-フェニルピラゾロ[1,5-
a]ピリミジン-7-オール(BMPP)のGIP機能阻害作用とそ
の特異性を検討した実験の結果を示すもので、a:GIP
受容体発現CHO細胞を100 pM GIPで刺激した際のcAMP生
成に対するBMPPの阻害作用を示すグラフ、b:GLP-1受
容体発現CHO細胞を100 pM GLP-1で刺激した際のcAMP生
成に対するBMPPの阻害作用を示すグラフ、c:glucagon
受容体発現CHO細胞を100 pM glucagonで刺激した際のcA
MP生成に対するBMPPの阻害作用を示すグラフ、d:受容
体遺伝子非導入CHO細胞を5μM forskolinで刺激した際
のcAMP生成に対するBMPPの阻害作用を示すグラフであ
る。
a]ピリミジン-7-オール(BMPP)のGIP機能阻害作用とそ
の特異性を検討した実験の結果を示すもので、a:GIP
受容体発現CHO細胞を100 pM GIPで刺激した際のcAMP生
成に対するBMPPの阻害作用を示すグラフ、b:GLP-1受
容体発現CHO細胞を100 pM GLP-1で刺激した際のcAMP生
成に対するBMPPの阻害作用を示すグラフ、c:glucagon
受容体発現CHO細胞を100 pM glucagonで刺激した際のcA
MP生成に対するBMPPの阻害作用を示すグラフ、d:受容
体遺伝子非導入CHO細胞を5μM forskolinで刺激した際
のcAMP生成に対するBMPPの阻害作用を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/15 G01N 33/15 Z 33/50 33/50 Z // C07D 487/04 142 C07D 487/04 142 (72)発明者 鍔本 義治 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内 (72)発明者 武田 基宏 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内 (72)発明者 橋本 洋幸 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内 (72)発明者 山下 篤行 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内 (72)発明者 城森 孝仁 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内 Fターム(参考) 2G045 AA29 CB01 CB17 DA31 DA64 GC07 4C050 AA01 BB05 CC08 EE03 FF05 GG02 GG03 HH01 4C084 AA17 DC32 NA14 ZA702 ZC212 ZC352 4C086 AA01 AA02 MA01 MA04 NA14 ZA70 ZC21 ZC42
Claims (7)
- 【請求項1】 GIPの機能を阻害する化合物を有効成分
とするインスリン抵抗性の予防又は改善剤。 - 【請求項2】 GIPの機能を阻害する化合物を有効成分
とするインスリン抵抗性と肥満の同時的予防又は改善
剤。 - 【請求項3】 肥満を伴わないインスリン抵抗性を対象
とする、請求項1記載のインスリン抵抗性の予防又は改
善剤。 - 【請求項4】 GIPの機能を阻害する化合物がGIP受容体
拮抗剤である、請求項1〜3のいずれかに記載のインス
リン抵抗性の予防又は改善剤。 - 【請求項5】 GIPの機能を阻害する化合物がGIPの産生
抑制剤である、請求項1〜3のいずれかに記載のインス
リン抵抗性の予防又は改善剤。 - 【請求項6】 GIPの機能を阻害する化合物を選択する
ことを特徴とする、インスリン抵抗性の予防又は改善剤
のスクリーニング方法。 - 【請求項7】 GIPの機能を阻害する化合物を選択する
ことを特徴とする、インスリン抵抗性と肥満の同時的予
防又は改善剤のスクリーニング方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001144416A JP2002037744A (ja) | 2000-05-16 | 2001-05-15 | インスリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤。 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000143749 | 2000-05-16 | ||
JP2000-143749 | 2000-05-16 | ||
JP2001144416A JP2002037744A (ja) | 2000-05-16 | 2001-05-15 | インスリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤。 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002037744A true JP2002037744A (ja) | 2002-02-06 |
Family
ID=26591984
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001144416A Pending JP2002037744A (ja) | 2000-05-16 | 2001-05-15 | インスリン抵抗性及び/又は肥満の予防剤もしくは改善剤。 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002037744A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006153849A (ja) * | 2004-11-04 | 2006-06-15 | Tanita Corp | 尿糖計 |
JP2006342085A (ja) * | 2005-06-08 | 2006-12-21 | Kao Corp | Gip分泌抑制剤 |
JP2009058500A (ja) * | 2007-08-06 | 2009-03-19 | Genome Soyaku Kenkyusho:Kk | 血糖値を降下させる物質の評価方法、スクリーニング方法及び製造方法 |
JP2011236239A (ja) * | 2011-07-27 | 2011-11-24 | Kao Corp | Gip分泌抑制剤 |
US8283338B2 (en) * | 2007-11-30 | 2012-10-09 | Kao Corporation | GIP secretion inhibitor |
US8338389B2 (en) * | 2009-06-17 | 2012-12-25 | Kao Corporation | Agent for preventing or ameliorating obesity |
-
2001
- 2001-05-15 JP JP2001144416A patent/JP2002037744A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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