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JP2002029835A - 誘電体磁器組成物とこれを用いた積層セラミックコンデンサとその製造方法 - Google Patents

誘電体磁器組成物とこれを用いた積層セラミックコンデンサとその製造方法

Info

Publication number
JP2002029835A
JP2002029835A JP2000212339A JP2000212339A JP2002029835A JP 2002029835 A JP2002029835 A JP 2002029835A JP 2000212339 A JP2000212339 A JP 2000212339A JP 2000212339 A JP2000212339 A JP 2000212339A JP 2002029835 A JP2002029835 A JP 2002029835A
Authority
JP
Japan
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mol
ceramic capacitor
barium titanate
added
multilayer ceramic
Prior art date
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Application number
JP2000212339A
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Kazuhiro Komatsu
和博 小松
Atsuo Nagai
淳夫 長井
Keiji Kobayashi
恵治 小林
Hidenori Kuramitsu
秀紀 倉光
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2000212339A priority Critical patent/JP2002029835A/ja
Publication of JP2002029835A publication Critical patent/JP2002029835A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部電極3、4に卑金属を用いて焼成し、外
部電極8、9にC卑金属を用いて焼き付けしても、誘電
体層2が還元されず、優れた絶縁抵抗特性を有する誘電
体磁器組成物とこれを用いた積層セラミックコンデンサ
とその製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 主成分チタン酸バリウムに対して、副成
分としてMg、DyをDy、Mn、V、Si、Alを規
定量添加して、Ba/Tiのモル比は1.001〜1.
05モルとした誘電体磁器組成物と、これを用いた積層
セラミックコンデンサとその製造方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は誘電体磁器組成物及
びこれを用いて形成した積層セラミックコンデンサとそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2は誘電体磁器組成物を用いて形成し
た従来の積層セラミックコンデンサの断面図である。図
2において、51は積層セラミックコンデンサであり、
誘電体磁器組成物をシート状に形成した誘電体層52に
内部電極53、54を交互に複数層重ね合わせて積層体
55を形成し、前記内部電極53、54を前記積層体5
5の対向する両面56、57に形成した外部電極58、
59にそれぞれ接続して構成されている。
【0003】そして、前記内部電極53、54及び外部
電極58、59は高価な貴金属から安価なNiなどの卑
金属に置き換えられてきている。
【0004】以上のように構成された従来の積層セラミ
ックコンデンサについて、以下にその製造方法を説明す
る。
【0005】先ず、誘電体層52とNiなどの卑金属材
料よりなる内部電極53、54を交互に複数段重ね、こ
の最上段と最下段に無効層60,61を重ねて圧着し積
層体ブロック(図示せず)を得る。そして、この積層体
ブロックを所定サイズのチップ形状に切断した後に所定
の温度で焼成を行う。このとき、内部電極53、54の
酸化劣化を防止するために窒素ガス雰囲気などの還元性
雰囲気中で焼成を行う。
【0006】次いで、内部電極53、54が露出した積
層体55の両面56、57に卑金属材料よりなる外部電
極ペーストを塗布し、外部電極58、59が酸化劣化し
ないように窒素ガス雰囲気などの還元性雰囲気中で焼き
付けを行う。
【0007】前記誘電体層52の還元劣化を抑制する誘
電体磁器組成物として、特開昭61−155255号公
報に開示されたものがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭61−155255号公報に示す誘電体磁器組成物
を用いた積層セラミックコンデンサは、絶縁抵抗特性
(IR寿命特性)の劣化が大きく、誘電体層を薄くして
いくと一層信頼性の確保が困難になり、静電容量の変化
率が大きいという問題点を有し、さらに、外部電極とし
て、内部電極にNiと固溶し易いCuを選択して還元性
雰囲気中で積層体に焼き付ける際に、誘電体層が還元さ
れて絶縁抵抗が小さくなるという問題点を有していた。
【0009】そこで本発明は、内部電極にNi等の卑金
属を用いて焼成し、外部電極にCu等の卑金属を用いて
焼き付けしても誘電体層が還元されず、優れた絶縁抵抗
特性を有する誘電体磁器組成物とこれを用いた積層セラ
ミックコンデンサとその製造方法を提供することを目的
とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は以下の構成を有するものである。
【0011】本発明の請求項1に記載の発明は、主成分
チタン酸バリウム100モルに対し、副成分として少な
くともMgをMgOに換算して0.5〜5.0モル、D
yをDy23に換算して0.1〜3.0モル、MnをM
nO4/3に換算して0.01〜0.4モル、VをV25
に換算して、0.01〜0.26モル、SiをSiO 2
に換算して0.01〜3.5モル添加し、前記チタン酸
バリウムのBa/Tiのモル比は1.001〜1.05
モルとした誘電体磁器組成物の構成を有し、これによ
り、基本成分の過剰BaOとMnO4/3は誘電体組成物
の耐還元性を強化し、特にMnO4/3は中性雰囲気中あ
るいは還元性雰囲気中での大量焼成において、誘電体組
成の絶縁抵抗の劣化を防ぐとともに、積層セラミックコ
ンデンサの静電容量のバラツキを抑制し均質な焼結体を
形成する作用、効果を有し、MgO、Dy23の添加は
誘電率、静電容量温度特性、誘電正接等の満足した電気
特性を得る作用、効果を有し、また、SiO2は比較的
低い温度の焼成において誘電体組成の焼結を促進し、緻
密な焼結体を得て、絶縁抵抗を安定させ電気的性能を満
足させる作用、効果を有し、さらにV25はTiO2
還元を抑制して絶縁抵抗の劣化を防止して、高い絶縁抵
抗を得る作用効果を有し、したがって、内部電極にNi
等の卑金属を用いて焼成し、外部電極にCu等の卑金属
を用いて焼き付けしても、誘電体層が還元されず、優れ
た絶縁抵抗特性を有する誘電体磁器組成物が得られる。
【0012】本発明の請求項2に記載の発明は、Alを
Al23に換算して、チタン酸バリウム100モルに対
して、さらに0.01〜3.0モル添加した請求項1に
記載の誘電体磁器組成物の構成を有し、これにより焼結
体の表面に析出する2次相を抑制して均質な焼結体が得
られる。
【0013】本発明の請求項3に記載の発明は、前記組
成において、Dyに代えて、DyとHoとをDy/(D
y+Ho)のモル比が0.3〜0.9となるように、そ
れぞれDy23、Ho23に換算して合計で主成分チタ
ン酸バリウム100モルに対して0.1〜3.0モル添
加した請求項1に記載の誘電体磁器組成物であり、これ
により、誘電体層を薄膜化(特に5μm以下)した積層
体を還元雰囲気中で大量焼成しても、絶縁抵抗特性を損
ねることなく、静電容量温度変化率の小さい積層セラミ
ックコンデンサが得られる。
【0014】本発明の請求項4に記載の発明は、Dyに
代えて、Dy/(Dy+Ho)のモル比が0.3〜0.
9となるDyとHoとを、それぞれDy23、Ho23
に換算した合計で主成分チタン酸バリウム100モルに
対して0.1〜3.0モル添加し、かつAlをAl23
に換算して、チタン酸バリウム100モルに対して、さ
らに0.01〜3.0モル添加した請求項1に記載の誘
電体磁気組成物であり、これにより、誘電体層を薄膜化
(特に5μm以下)した積層体を還元雰囲気中で大量焼
成しても、絶縁抵抗特性を損ねることなく静電容量温度
変化率の小さくしかも焼成体表面に析出する2次相の発
生を抑制された均質な焼成体からなる積層セラミックコ
ンデンサが得られる。
【0015】本発明の請求項5に記載の発明は、誘電体
層と卑金属を用いて作製した内部電極とを交互に積層し
た積層体と、この積層体の前記内部電極の露出した端面
に設けた外部電極とを備え、前記誘電体層は、主成分チ
タン酸バリウム100モルに対し、副成分として少なく
ともMgをMgOに換算して0.5〜5.0モル、Dy
をDy23に換算して0.1〜3.0モル、MnをMn
4/3に換算して0.01〜0.4モル、VをV25
換算して、0.01〜0.26モル、SiをSiO2
換算して0.01〜3.5モル添加して形成したもので
あり、Ba/Tiのモル比は1.001〜1.05モル
とした積層セラミックコンデンサであり、これにより、
絶縁性に優れ、静電容量の温度変化率の小さい信頼性の
優れた積層セラミックコンデンサが得られる。
【0016】本発明の請求項6に記載の発明は、チタン
酸バリウムに対して、さらに、AlをAl23に換算し
て、0.01〜3.0モル添加した誘電体層からなる請
求項5に記載の積層セラミックコンデンサであり、これ
により焼結体の表面の2次相の発生が抑えられ、実装性
に優れた積層セラミックコンデンサが得られる。
【0017】本発明の請求項7に記載の発明は、Dyに
代えて、DyとHoとをDy/(Dy+Ho)のモル比
が0.3〜0.9となるように、それぞれDy23、H
23に換算して合計で主成分チタン酸バリウム100
モルに対して0.1〜3.0モル添加した請求項5に記
載の積層セラミックコンデンサであり、これにより、薄
層化した誘電体層でも絶縁抵抗特性に優れ、静電容量の
温度変化率の小さい信頼性の優れた積層セラミックコン
デンサが得られる。
【0018】本発明の請求項8に記載の発明は、Dyに
代えて、Dy/(Dy+Ho)のモル比が0.3〜0.
9となるDyとHoとを、それぞれDy23、Ho23
に換算した合計で主成分チタン酸バリウム100モルに
対して0.1〜3.0モル添加し、かつAlをAl23
に換算して、チタン酸バリウム100モルに対して、さ
らに0.01〜3.0モル添加した請求項5に記載の積
層セラミックコンデンサであり、これにより、薄層化し
た誘電体層でも絶縁抵抗特性に優れ、静電容量の温度変
化率の小さい信頼性に優れ、かつ焼結体表面に2次相の
発生の少ない均質な焼結体からなる積層セラミックコン
デンサが得られる。
【0019】本発明の請求項9に記載の発明は、誘電体
層と卑金属を用いて作製した内部電極とを交互に積層し
た積層体と、この積層体の前記内部電極層の露出した端
面に設けた外部電極とを備え、前記誘電体層は、主成分
チタン酸バリウム100モルに対し、副成分として少な
くともMgをMgOに換算して0.5〜5.0モル、D
yをDy23に換算して0.1〜3.0モル、MnをM
nO4/3に換算して0.01〜0.4モル、VをV25
に換算して、0.01〜0.26モル、SiをSiO2
に換算して0.01〜3.5モル添加して形成したもの
であり、Ba/Tiのモル比は1.001〜1.05モ
ルである誘電体材料を用いて、セラミックシートを作製
する第1工程と、次にこのセラミックシートと卑金属を
主成分とする内部電極層とを交互に積層した積層体を作
製する第2工程と、次いで前記積層体を焼成する第3工
程と、その後前記積層体の前記内部電極層の露出した端
面に外部電極を形成する第4工程を備える積層セラミッ
クコンデンサの製造方法であり、これにより、絶縁抵抗
特性に優れ、静電容量の温度変化率の小さい信頼性の優
れた積層セラミックコンデンサが得られる。
【0020】本発明の請求項10に記載の発明は、外部
電極をCuを主成分とする金属を用いて形成する請求項
9に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法であ
り、外部電極にCuを用いることにより、内部電極に卑
金属であるNiを用いた時でも合金化されるため、内部
電極と外部電極との接合がしっかりとしたものになり、
規定の静電容量を容易に得ることができ、静電容量値の
バラツキが少なく、熱衝撃や機械的ストレスにも耐久性
の優れた積層セラミックコンデンサが得られる。
【0021】本発明の請求項11に記載の発明は、比表
面積が2〜5m2/gであるチタン酸バリウムを用いる
請求項9に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法
であり、これにより、絶縁性に優れ、静電容量の温度変
化率の小さい信頼性の優れた積層セラミックコンデンサ
が得られる。
【0022】本発明の請求項12に記載の発明は、X線
回折チャートにおいて、回折角2θ45°における(2
00)面の回折線と(002)面の回折線のピークが2
つに分かれているチタン酸バリウムを用いる請求項9に
記載の積層セラミックコンデンサの製造方法であり、こ
れにより、焼成過程における結晶粒成長を抑え、均一な
誘電体が得られ、誘電体層を薄膜化しても静電容量の温
度特性の変化率の小さい積層セラミックコンデンサが得
られる。
【0023】本発明の請求項13に記載の発明は、Mg
Oの代わりに、Mg(OH)2として、0.5〜5.0
モル添加する請求項9に記載の積層セラミックコンデン
サの製造方法であり、これにより、誘電体中のMgOの
分散性を向上することができ、誘電体層を薄膜化(特に
5μm以下)した積層体を還元雰囲気中で一括して大量
焼成しても、均一な組成を維持できるため、絶縁抵抗特
性が良好であり、静電容量の温度特性が小さく、各電気
特性の安定した積層セラミックコンデンサが得られる。
【0024】本発明の請求項14に記載の発明は、第1
工程でAl化合物をAl23に変換してチタン酸バリウ
ム100モルに対して、さらに0.1〜3.0モル添加
する請求項9に記載の積層セラミックコンデンサの製造
方法であり、これにより、Al23は多成分系誘電体磁
器組成物の焼成過程で、主成分以外の副成分に作用して
均一な成分相を形成し、焼結性と電気特性を安定させる
有効な作用を有し、機械強度の強い積層セラミックコン
デンサが得られる。
【0025】本発明の請求項15に記載の発明は、Al
化合物は、他の誘電体材料の仮焼後に添加する請求項9
に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法であり、
これにより、さらに静電容量の温度特性の良好な積層セ
ラミックコンデンサが得られる。
【0026】本発明の請求項16に記載の発明は、Dy
に代えて、DyとHoとをDy/(Dy+Ho)のモル
比が0.3〜0.9となるように、それぞれDy23
Ho 23に換算して合計で主成分チタン酸バリウム10
0モルに対して0.1〜3.0モル添加する請求項9に
記載の積層セラミックコンデンサの製造方法であり、誘
電体層を薄膜化しても寿命特性を損ねることなく静電容
量の温度特性が優れた積層セラミックコンデンサが得ら
れる。
【0027】本発明の請求項17に記載の発明は、Dy
に代えて、Dy/(Dy+Ho)のモル比が0.3〜
0.9となるDyとHoとを、それぞれDy23、Ho
23に換算した合計で主成分チタン酸バリウム100モ
ルに対して0.1〜3.0モル添加し、かつAlをAl
23に換算して、チタン酸バリウム100モルに対し
て、さらに0.01〜3.0モル添加した請求項9に記
載の積層セラミックコンデンサの製造方法であり、これ
により誘電体層を薄膜化しても寿命特性を損ねることな
く静電容量の温度特性が優れ焼結体表面に2次相の発生
の少ない強度に優れた積層セラミックコンデンサが得ら
れる。
【0028】本発明の請求項18に記載の発明は、Dy
23、SiO2、Al23の各単独成分に代えて、Dy2
3・SiO2、Dy23・Al23の形にしてあらかじ
め混合された混合物を、合わせて0.1〜3.0モル添
加する請求項9に記載の積層セラミックコンデンサの製
造方法であり、有効層を薄膜化しても寿命特性を損ねる
ことなく静電容量温度特性の良好な積層セラミックコン
デンサが得られる。
【0029】本発明の請求項19に記載の発明は、Dy
23、Ho23、SiO2、Al2 3の各単独成分に代
えて、それぞれDy23・SiO2、Dy23・Al2
3、Ho23・SiO2、Ho23・Al23の形にして
あらかじめ混合された混合物を合わせて、DyとHoと
をDy/(Dy+Ho)のモル比が0.3〜0.9とな
るように0.1〜3.0モル添加する請求項9に記載の
積層セラミックコンデンサの製造方法であり、これによ
り、誘電体層を薄膜化しても、寿命特性を損ねることな
く、さらに、静電容量の温度特性の良好な積層セラミッ
クコンデンサが得られる。
【0030】本発明の請求項20に記載の発明は、第3
工程の降温過程または、第3工程と第4工程の間に誘電
体層を再酸化する工程を設ける請求項9に記載の積層セ
ラミックコンデンサの製造方法であり、これにより、絶
縁抵抗特性の劣化を防止して高い絶縁抵抗特性を有し、
信頼性の優れた積層セラミックコンデンサが得られる。
【0031】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)以下、実施の形
態1を用いて、本発明の特に請求項1、5、9、10、
20に記載の発明について説明する。
【0032】図1は本発明の実施の形態1における積層
セラミックコンデンサの断面図である。
【0033】図1において、1は積層セラミックコンデ
ンサであり、誘電体磁器組成物をシート状に形成した誘
電体層2に、Niを主成分とする卑金属から成る内部電
極3、4を交互に重ね合わせて積層体5を形成し、前記
積層体5の対向する両面6、7に、Cuを主成分とする
卑金属で形成した外部電極8、9を形成して前記内部電
極3、4にそれぞれ接続し、この外部電極8、9の表面
にニッケルメッキ層10を、さらにこのニッケルメッキ
層10の表面に半田メッキ層11を形成している。
【0034】以上のように構成された積層セラミックコ
ンデンサ1について、以下にその製造方法を説明する。
【0035】第1工程として、出発原料からセラミック
シートを作製する製造方法を説明する。
【0036】先ず、各出発原料をBaTiO3 100
モルに対し、(表1)に示す組成となるように、BaC
3、Dy23、MgO、MnO4/3、BaO・SiO2
・V25をそれぞれ秤量し、イットリア部分安定化ジル
コニアボールを媒体として、ボールミルで17h時間湿
式混合粉砕を行った後、乾燥する。
【0037】
【表1】
【0038】次に、この脱水乾燥した混合材料を解砕
し、32メッシュ篩を全通させた後、アルミナ質の坩堝
に入れ、1100℃の温度で2時間保持し仮焼した。こ
の仮焼は、炭酸化物を分解し、主成分チタン酸バリウム
と副成分とが適度に反応した状態となるような温度で行
い、この際、仮焼温度が高すぎると得られた積層セラミ
ックコンデンサの静電容量の温度変化率が大きくなりす
ぎることがあるため、注意が必要である。
【0039】次いで、仮焼原料を混合と同様、ボールミ
ルで平均粒径が1.0μm以下になるように湿式粉砕を
行った後、脱水乾燥と32メッシュ篩を全通させ、誘電
体材料を作製した。
【0040】作製した誘電体材料にバインダーとしてポ
リビニルブチラール樹脂、溶剤として酢酸nブチル、可
塑剤としてフタル酸ジブチルを加え、イットリア部分安
定化ジルコニアボールと共にボールミルで72時間混合
しスラリーを作製した。
【0041】得られたスラリーを、ドクターブレードに
より、図1に示す誘電体層2となるセラミックグリーン
シート(以降、グリーンシートと称する)をポリエステ
ルフィルム上に成形した。このグリーンシートは焼成後
14μmになる厚みに設定して作製した。
【0042】次に、第2工程として、前記のグリーンシ
ートの表面にNiを主成分とする内部電極ペーストをス
クリーンで印刷し、乾燥を行った後にこのNi内部電極
ペーストを印刷したグリーンシートを、10枚積み重ね
て熱圧着し、グリーン積層体を形成した後、3.3mm
×1.7mmの積層体グリーンチップ(以降、グリーン
チップと称する)形状に切断を行った。
【0043】次に、第3工程として、前記グリーンチッ
プをジルコニア敷粉と混ぜ合わせアルミナ質のサヤにい
れ、ニッケルが過度に酸化されない雰囲気で有機物の除
去を行う。次に、引き続き窒素、水素に炭酸ガスまたは
水蒸気を混合して構成したニッケルが過度に酸化されず
誘電体層2が焼結できる還元雰囲気中、最高温度122
0〜1340℃で2時間保持し積層体5の焼結を行う。
次いで降温過程の800〜1200℃で1時間、窒素、
水素に炭酸ガスまたは水蒸気を用いて構成し、ニッケル
が過度に酸化されない雰囲気中で、還元雰囲気中の焼成
工程で還元された誘電体層2の再酸化を行った後、室温
まで冷却し焼結体を作製した。
【0044】尚、各組成の最適焼成温度は、それぞれの
誘電体層2の焼結体密度が最大となる温度を用いた。
【0045】次に、第4工程として、前記焼結体をバレ
ル研磨機により表面および端面研磨した後、焼結体の端
面に露出した内部電極3、4と電気的に接続するよう
に、焼結体の対向する端面6、7に、Cu(銅)を主成
分とする外部電極ペーストを塗布し、窒素と酸素を混合
してCu(銅)が過度に酸化されない雰囲気を構成し、
この雰囲気中において、850℃で15分間の焼き付け
を行い、外部電極8、9を形成した。
【0046】次に、前記外部電極8、9の表面に、電解
メッキ法を用いてニッケルメッキ層10、更にニッケル
メッキ層10の表面に半田メッキ層11を形成し、図1
に示す積層セラミックコンデンサ1を完成した。
【0047】得られた積層セラミックコンデンサ1を、
20℃(室温)、周波数1KHzにおける誘電率、誘電
正接(tanδ)のバラツキ、及び−55〜+125℃
間の20℃の静電容量に対する変化率を測定し、その結
果を(表2)に、また室温においてDC電圧25Vを印
加したときの絶縁抵抗値(IR)と、加速寿命試験とし
て125℃の温度下で、DC200Vの電圧を250時
間連続印加した後の絶縁抵抗を測定し、IRが1×10
7Ω以下に劣化したものを不良としてカウントし、この
結果を(表2)に示す。(表2)から明らかなように、
本発明による誘電体組成物は初期性能としての誘電率と
誘電正接(tanδ)のバラツキ、絶縁抵抗、静電容量
の温度変化率、加速寿命試験後の絶縁抵抗のいずれも良
好である。
【0048】
【表2】
【0049】ここで、MgOの添加が0.5モルより少
ないと焼結不十分となり、5モルを超えると、積層セラ
ミックコンデンサの静電容量温度変化率が大きくなると
共に、静電容量の経時変化が大きくなる。Dy23
0.1モル未満では静電容量の温度変化率が大きくなる
と共に、静電容量の経時変化率とtanδが大きくなり
3モルを超えると誘電率が2000以下に低下し実用的
でなくなる。従って、DyはDy23に換算して、チタ
ン酸バリウム100モルに対して、0.1〜3.0モル
添加することが望ましい。また、Dy23は、比表面積
が7〜15m2/gのものを用いることにより、分散性
が向上し、上記効果より顕著になる。
【0050】さらにMnO4/3の添加は、TiO2の還元
を防止することができ、中性雰囲気中あるいは還元雰囲
気中で積層体を大量焼成したとしても、絶縁抵抗の劣化
を防ぐと共に静電容量のバラツキを抑制し、均質な焼結
体を得ることができるという効果がある。
【0051】しかしながらその添加量が0.01モル未
満では焼結体が部分的に半導体化され静電容量のバラツ
キが大きく、また絶縁抵抗値が小さくなり、その結果加
速寿命試験において絶縁抵抗値が大幅に劣化する。ま
た、0.4モルを超えると静電容量の温度変化率、経時
変化率も大きく、また絶縁抵抗の劣化も大きくなる。従
って、MnはMnO4/3に換算して、チタン酸バリウム
100モルに対し、0.01〜0.4モル添加すると有
効である。
【0052】また、V25の添加はTiO2の還元を抑
制し、絶縁抵抗を高くかつ絶縁抵抗の劣化を防止すると
いう効果を有する。しかしながら、V25添加量が0.
26モルを超えると、静電容量の温度変化率が大きくな
ると共に、絶縁抵抗が劣化してしまう。また、0.01
モル未満だと絶縁抵抗が低い上に、加速試験において劣
化してしまう。従って、V25の添加量はチタン酸バリ
ウム100モルに対して0.01〜0.26モルが有効
である。
【0053】また、SiO2の添加は、比較的低い温度
の焼成において誘電体層2の焼結を促進し、静電容量、
絶縁抵抗のバラツキを小さくする効果がある。
【0054】しかしながらその添加量は、0.01モル
未満では、十分な焼結体が得られず、静電容量、絶縁抵
抗にバラツキを生じ、実用的でなくなる。また、3.5
モルを超えると焼結性は向上するが誘電率が低下し、静
電容量の温度変化率が大きくなり実用的でない。従って
SiO2はチタン酸バリウム100モルに対して0.0
1〜3.5モルが有効である。
【0055】本実施の形態1においては、SiO2を、
BaO・SiO2・Al23系ガラスの形で添加してお
り、ガラスと別に添加している炭酸バリウム量、チタン
酸バリウムに含まれる過剰BaO量(本実施の形態1で
は0)とを合わせて、Ba/Tiモル比が、1.001
〜1.05となるようにしたものである。
【0056】なお、本実施の形態1ではガラスの形態で
添加したが、仮焼合成物あるいは、Si化合物、Al化
合物の形でそれぞれ添加してもかまわない。
【0057】(実施の形態2)以下、実施の形態2を用
いて、本発明の特に請求項11、12に記載の発明につ
いて説明する。
【0058】尚、本実施の形態2の積層セラミックコン
デンサの製造方法は、基本的に実施の形態1と同じ構成
であるので、詳細な説明は省略し、ここでは特徴とする
部分について説明する。
【0059】先ず、(表3)に示すBaTiO3を用意
し、次にこのBaTiO3 100モルに対して、BaC
3を0.2モル、MgOを2.5モル、Dy23
1.0モル、MnO4/3を0.2モル、V25を0.1
5モル、BaO・SiO2系化合物2.1モルを秤量
し、これらの出発原料に純水を加え、部分安定化ジルコ
ニア玉石を媒体としてボールミルで17時間湿式混合粉
砕を行った後、乾燥する。このときの各添加物は実施の
形態1と同様なものを使用した。
【0060】
【表3】
【0061】次に、この混合材料を用いて実施の形態1
と同様にして図1に示す積層セラミックコンデンサを作
製した。
【0062】次いで、この積層セラミックコンデンサの
20℃(室温)、周波数1KHzにおける静電容量から
計算される誘電率、誘電正接(tanδ)、及び−55
〜+125℃間の20℃の静電容量に対する変化率を測
定し、その結果を(表4)に示した。また初期の絶縁抵
抗値(IR)と、加速寿命試験として125℃の温度下
で、DC200Vの電圧を250時間連続印加した後の
絶縁抵抗値を測定し、絶縁抵抗値IRが1×107Ω以
下に劣化したものを不良としてカウントし(表4)に示
した。
【0063】
【表4】
【0064】(表4)から明らかなように、本発明によ
る誘電体組成物は初期性能として誘電率が2000以上
と高く、静電容量バラツキも±5%以内と小さく、更に
静電容量の変化率が±15%以下と小さく、絶縁抵抗も
1×1012Ωと高く、劣化は認められない。これに対
し、BaTiO3中のBaO/TiO2のモル比が1.0
00より小さいと十分な絶縁抵抗が得られず、静電容量
変化率も大きく好ましくない。
【0065】さらに、比表面積が2m2/gより小さい
と十分な焼結体は得られず、5m2/gを超えると、誘
電率が下がり、温度変化率が大きくなってしまう。従っ
て、チタン酸バリウムの比表面積は2〜5m2/gの範
囲が有効である。
【0066】また、X線回折角2θが40〜50°にお
ける(002)面と(200)面のピークが分かれてい
ないものは、容量温度変化率が大きくなり実用的ではな
い。従ってX線回折角2θが40〜50°における(0
02)面と(200)面のピークが分かれているチタン
酸バリウムが有効である。
【0067】(実施の形態3)以下、実施の形態3を用
いて、本発明の特に請求項3、7、16に記載の発明に
ついて説明する。
【0068】尚、本実施の形態3の積層セラミックコン
デンサとその製造方法は、基本的に実施の形態1と同じ
構成であるので、詳細な説明は省略し、ここでは特徴と
する部分について説明する。
【0069】先ず、本発明の誘電体組成物はBaTiO
3 100モルに対しBaCO3を0.2モル、MgOを
2.5モル、MnO2を0.2モル、BaO・SiO2
化合物2.1モルを添加した。これに更に(表5)に示
す量のDy23、Ho23をそれぞれ秤量する。このと
き、実施の形態1と同様に調整されたBaTiO3を用
いた。
【0070】
【表5】
【0071】次いで、実施の形態1と同条件で材料粉末
を作製した後、誘電体層2の厚みは焼成後3μmとなる
ようにした。
【0072】その後、得られた積層セラミックコンデン
サの電気特性を実施の形態1と同様に評価した。但し、
加速寿命試験の印加電圧は、64Vとした。この結果を
(表6)に示した。
【0073】
【表6】
【0074】(表6)に示すように、Dy/(Dy+H
o)モル比が0.3〜0.9になるようにDy23とH
23を合わせて0.1〜3.0モル添加することで、
誘電体の厚みを5μm以下に薄膜化しても、絶縁抵抗の
劣化がなく高い絶縁抵抗を有し、静電容量の温度変化率
の小さい積層セラミックコンデンサが得られる。
【0075】即ち、Dyは絶縁抵抗の劣化を防止する効
果を有するが、誘電体層2を薄層化すると静電容量の温
度特性が悪化する傾向にある。しかし、Hoを誘電体磁
器組成物に添加することにより、温度特性を向上させる
効果を有し、DyとHoの両方を添加することにより、
誘電体層2を薄層化したとしても静電容量の温度特性が
良好で、絶縁抵抗の高い積層セラミックコンデンサが得
られる。
【0076】このとき、Dy/(Dy+Ho)モル比が
0.3未満では寿命特性の劣化を早めてしまい、0.9
を超えると静電容量の温度変化率が大きくなってしま
い、実用的に好ましくない。
【0077】また、Dy23とHo23の合計添加量
が、0.1モル未満では静電容量の温度変化率が大きく
なると共に、静電容量の経時変化率とtanδが大きく
なり3モルを超えると誘電率が2000以下に低下し、
実用的に好ましくない。
【0078】従って、Dy23とHo23の合計添加量
がチタン酸バリウム100モルに対して0.1〜3.0
モル添加することが有効である。
【0079】なお、Dy23、Ho23とも比表面積が
7〜15m2/gであり、球状形状でかつ凝集粒子の少
ないものを用いることにより、分散性が向上し、上記効
果が顕著になる。
【0080】(実施の形態4)以下、実施の形態4を用
いて、本発明の特に請求項18、19に記載の発明につ
いて説明する。
【0081】尚、本実施の形態4の積層セラミックコン
デンサの製造方法は、基本的に実施の形態1と同じ構成
であるので、詳細な説明は省略し、ここでは特徴とする
部分について説明する。
【0082】先ず、本発明の誘電体組成物はBaTiO
3 100モルに対し、MnO2を0.2モル、MgOを
2.5モル添加し、Dy23・Al23、Dy23・S
iO 2混合物、およびHo23・Al23、Ho23
SiO2を、(表7)、(表8)に示す量を添加した。
また、さらにBa/Tiモル比は、1.03になるよう
にBaCO3を添加し、Siはトータル2.1モルにな
るように添加し、Dy2 3・SiO2、あるいは、Dy2
3・SiO2とHo23・SiO2を合わせて、Siが
2.1モルに満たない分はSiO2として補正添加し
た。また、Alも同様に、トータル2.1モルとなるよ
うにし、2.1モルに満たない場合はAl23として補
正添加した。
【0083】
【表7】
【0084】
【表8】
【0085】次いで、実施の形態1と同条件で材料粉末
を作製した後、誘電体層2の厚みは焼成後3μmとなる
ようにした以外は、実施の形態1と同様にして積層セラ
ミックコンデンサを作製した。
【0086】その後、実施の形態1と同様に得られた積
層セラミックコンデンサを評価した。但し、加速寿命試
験の印加電圧は、64Vとした。そのときの結果を(表
9)、(表10)に示した。
【0087】
【表9】
【0088】
【表10】
【0089】(表9)、(表10)に示すように、Dy
23・Al23、Dy23・SiO 2混合物を合わせ
て、0.1〜3.0モル添加することで、誘電体の厚み
を5μm以下に薄膜化しても、高い絶縁抵抗と絶縁抵抗
の劣化がなく、静電容量の温度変化率の小さい積層セラ
ミックコンデンサが得られる。
【0090】また、Dy/(Dy+Ho)モル比が0.
3〜0.9になるようにDy23・SiO2、Dy23
・Al23、Ho23・SiO2、Ho23・Al
23、Ho 23とを合わせて0.1〜3.0モル添加す
ることで、誘電体の厚みを5μm以下に薄膜化しても、
それぞれ単独で添加した場合に比較し、容量温度特性が
向上し、高い絶縁抵抗を維持し、信頼性の高い積層セラ
ミックコンデンサが得られる。
【0091】何故ならば、Dy23・SiO2、Dy2
3・Al23、Ho23・SiO2、Ho23・Al23
は、粒子形状を非常に小さく作製することが可能であ
り、誘電体材料中での分散性が向上し、焼結状態がより
均一となるためである。
【0092】しかしながら、Dy23・SiO2、Dy2
3・Al23、Ho23・SiO2、Ho23・Al2
3は、それぞれ単独酸化物で添加した時と同様、チタ
ン酸バリウム100モルに対し、(Dy23・Si
2、Dy23・Al23)あるいは(Dy23・Si
2、Dy23・Al23)と(Ho23・SiO2、H
23・Al23)合わせて0.1モル未満では静電容
量の温度変化率が大きくなると共に、静電容量の経時変
化率とtanδが大きくなり3モルを超えると誘電率が
2000以下に低下し実用的でなくなる。
【0093】従って、(Dy23・SiO2、Dy23
・Al23)あるいは(Dy23・SiO2、Dy23
・Al23)と(Ho23・SiO2、Ho23・Al2
3)合わせた添加量がチタン酸バリウム100モルに
対して0.1〜3.0モル添加することが有効である。
さらには、これらのDy混合物とHo混合物を合わせて
添加する場合は、添加比率はDy/(Dy+Ho)モル
比が0.3未満では寿命特性の劣化を早めてしまい、
0.9を超えると静電容量温度変化率が大きくなってし
まい、実用的ではなくなってしまう。
【0094】従って、(Dy23・SiO2、Dy23
・Al23)と(Ho23・SiO2、Ho23・Al2
3)とを添加する場合は、その添加比率はDy/(D
y+Ho)モル比が0.3〜0.9の範囲となるように
添加することが有効である。なお、Dy23・Si
2、Dy23・Al23、Ho23・SiO2、Ho2
3・Al23とも比表面積が10〜40m2/gであ
り、分散性の良好な微粒子のものを用いることにより効
果はより顕著になる。
【0095】(実施の形態5)以下、実施の形態5を用
いて、本発明の特に請求項13に記載の発明について説
明する。
【0096】尚、本実施の形態5の積層セラミックコン
デンサの製造方法は、基本的に実施の形態1と同じ構成
であるので、詳細な説明は省略し、ここでは特徴とする
部分について説明する。
【0097】まず、チタン酸バリウム100モルに対
し、BaCO3を0.2モル、MnO4 /3を0.2モル、
BaO・SiO2系ガラスを2.1モル、Dy23、H
23をDy/(Dy+Ho)のモル比が0.75にな
るように、Dy23とHo23を合わせて1モルを添加
しさらに、気相法により合成したMg(OH)2を(表
11)に示す量を添加した。
【0098】
【表11】
【0099】次いで、誘電体層2の厚みが3μmとなる
ようにした以外は実施の形態1と同条件で積層セラミッ
クコンデンサ1を作製した。
【0100】その後、実施の形態1と同様に得られた積
層セラミックコンデンサを評価した。但し、加速寿命試
験の印加電圧は、64Vとした。そのときの結果を(表
12)に示した。
【0101】
【表12】
【0102】(表12)に示すように、Mg化合物とし
てMg(OH)2を用いることにより、MgOを用いた
場合と比較すると、さらに容量温度特性が向上し、絶縁
抵抗の劣化防止にも効果がある。何故なら気相法により
合成したMg(OH)2は、その粒子形状が球状でかつ
凝集体を形成しにくいので、誘電体中の分散性が向上す
るからである。
【0103】従って誘電体層2の厚みを5μm以下に薄
層化しても、絶縁抵抗の劣化がなく高い絶縁抵抗を有
し、静電容量の温度変化率の小さい積層セラミックコン
デンサが得られる。
【0104】しかしながら、MgOと同様にMg(O
H)2添加量がチタン酸バリウム100モルに対して
0.5モル未満では焼結しない。また、5.0モルを超
えると、静電容量の温度変化率が大きくなってしまう。
従って、0.5〜5.0モルの範囲が有効である。
【0105】(実施の形態6)以下、実施の形態6を用
いて、本発明の特に請求項2、4、6、8、14、1
5、17に記載の発明について説明する。
【0106】尚、本実施の形態6の誘電体磁器組成物と
これを用いた積層セラミックコンデンサの製造方法は、
基本的に実施の形態2と同じ構成であるので、詳細な説
明は省略し、ここでは特徴とする部分について説明す
る。
【0107】まず、実施の形態2で用いたチタン酸バリ
ウム100モルに対して、BaCO 3を0.2モル、M
gOを2.5モル、Dy23を1.0モル、MnO2
0.2モル、BaO・SiO2系化合物2.1モルを添
加したもの、また同BaTiO3に対してBaCO3
0.2モル、MgOを2.5モル、MnO2を0.2モ
ル、BaO・SiO2系化合物を2.1モル、Dy23
とHo23の比率が、Dy/(Dy+Ho)とあらわし
たとき、0.45となるようにDy23とHo23を合
わせて1.5モル添加し、仮焼後の粉砕時にさらに(表
13)に示す量のAl 23をそれぞれの組成に添加し
た。
【0108】
【表13】
【0109】次いで、実施の形態1と同様にして積層セ
ラミックコンデンサを作製した。その後、実施の形態1
と同様に得られた積層セラミックコンデンサを評価し、
その結果を(表14)に示した。
【0110】
【表14】
【0111】本発明の誘電体磁器組成物は2次相を発生
しやすいものである。2次相が形成されると積層セラミ
ックコンデンサの機械強度が劣化してしまう恐れがあ
る。しかしながら、(表14)に示すように、Al23
をさらに添加することにより、2次相の生成を抑制する
ことができ、特性を悪化させることなく機械的強度を向
上させることができる。
【0112】Al23の添加量が3.0モルを超える
と、静電容量の温度変化率と誘電損失が大きくなり、
0.1モル未満だと添加効果は顕著に表れない。
【0113】なお、このAl23は他の出発原料を仮焼
した後に添加した。他の出発原料と同様、最初に添加し
てもかまわないのであるが、仮焼後に添加することによ
りさらに静電容量の温度特性を向上させることができ
る。
【0114】以上の結果から、本発明のBaTiO3
主成分とし、これにBaO、MgO、Dy23、MnO
2、SiO2、V25を添加することにより、還元性雰囲
気での大量焼成において、誘電体の還元を防止し絶縁抵
抗性能を向上させ、またAl 23を添加することにより
焼結体の表面に副成分の発生を抑制した積層セラミック
コンデンサが得られる、さらにはDy23の一部をHo
23に代えたり、Dy 23・SiO2、Dy23・Al2
3、Ho23・SiO2、Ho23・Al23に置き換
えたり、MgOをMg(OH)2に置き換えることによ
りさらに容量温度特性、絶縁抵抗に優れた積層セラミッ
クコンデンサが得られる。
【0115】
【発明の効果】以上本発明によれば、内部電極にNi等
の卑金属を用いて焼成し、外部電極にCu等の卑金属を
用いて焼き付けしても、誘電体層が還元されず、優れた
絶縁抵抗特性を有する誘電体磁器組成物とこれを用いた
積層セラミックコンデンサとその製造方法が得られる。
【0116】また、膜厚5μm以下の誘電体層を形成し
ても、絶縁抵抗が高くて、静電容量のバラツキの小さ
い、さらに、温度特性が良好で経時変化率の小さい信頼
性に優れた積層セラミックコンデンサが得られる。
【0117】尚、本発明は、積層セラミックコンデンサ
の外部電極に銀などの貴金属を用いて形成した場合にお
いても同様に優れた電気特性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における積層セラミック
コンデンサの断面図
【図2】従来例の積層セラミックコンデンサの断面図
【符号の説明】
1 積層セラミックコンデンサ 2 誘電体層 3,4 内部電極 5 積層体 6,7 対向する両面 8,9 外部電極 10 ニッケルメッキ層 11 半田メッキ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/12 364 H01G 4/30 301C 5G303 4/30 301 301E H05K 3/46 T H05K 3/46 H B28B 11/00 Z (72)発明者 小林 恵治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 倉光 秀紀 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4G031 AA03 AA06 AA07 AA11 AA13 AA19 AA29 AA30 BA09 GA02 4G055 AA08 AC09 BA22 BA29 5E001 AB03 AC09 AE02 AE03 AE04 AJ01 AJ02 AJ03 5E082 AA01 AB03 BC35 EE04 EE11 EE23 EE35 FF05 FG06 FG26 FG46 FG54 GG10 GG11 GG28 JJ06 JJ23 KK01 LL01 MM24 PP03 PP08 PP10 5E346 AA12 AA13 AA15 AA33 AA36 CC17 CC21 CC32 CC37 DD13 DD24 EE24 EE27 EE29 GG04 GG08 GG14 GG24 GG26 GG28 HH08 5G303 AA01 AB01 AB06 AB11 BA12 CA01 CB01 CB03 CB17 CB18 CB30 CB35 CB36 CB41 CB43

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分チタン酸バリウム100モルに対
    し、副成分として少なくともMgをMgOに換算して
    0.5〜5.0モル、DyをDy23に換算して0.1
    〜3.0モル、MnをMnO4/3に換算して0.01〜
    0.4モル、VをV25に換算して0.01〜0.26
    モル、SiをSiO2に換算して0.01〜3.5モル
    添加し、前記チタン酸バリウムのBa/Tiのモル比は
    1.001〜1.05モルとした誘電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】 AlをAl23に換算して、チタン酸バ
    リウム100モルに対して、さらに0.01〜3.0モ
    ル添加した請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】 Dyに代えて、Dy/(Dy+Ho)の
    モル比が、0.3〜0.9となるDyとHoとを、それ
    ぞれDy23、Ho23に換算した合計で主成分チタン
    酸バリウム100モルに対して0.1〜3.0モル添加
    した請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  4. 【請求項4】 Dyに代えて、Dy/(Dy+Ho)の
    モル比が0.3〜0.9となるDyとHoとを、それぞ
    れDy23、Ho23に換算した合計で主成分チタン酸
    バリウム100モルに対して0.1〜3.0モル添加
    し、かつAlをAl23に換算して、チタン酸バリウム
    100モルに対して、さらに0.01〜3.0モル添加
    した請求項1に記載の誘電体磁気組成物。
  5. 【請求項5】 誘電体層と卑金属を用いて作製した内部
    電極とを交互に積層した積層体と、この積層体の前記内
    部電極の露出した端面に設けた外部電極とを備え、前記
    誘電体層は、主成分チタン酸バリウム100モルに対
    し、副成分として少なくともMgをMgOに換算して
    0.5〜5.0モル、DyをDy23に換算して0.1
    〜3.0モル、MnをMnO4/3に換算して0.01〜
    0.4モル、VをV25に換算して、0.01〜0.2
    6モル、SiをSiO2に換算して0.01〜3.5モ
    ル添加して形成したものであり、前記主成分チタン酸バ
    リウムのBa/Tiのモル比は1.001〜1.05モ
    ルとした積層セラミックコンデンサ。
  6. 【請求項6】 チタン酸バリウムに対して、さらに、A
    lをAl23に換算して、0.01〜3.0モル添加し
    た誘電体層からなる請求項5に記載の積層セラミックコ
    ンデンサ。
  7. 【請求項7】 Dyに代えて、DyとHoとをDy/
    (Dy+Ho)のモル比が0.3〜0.9となるよう
    に、それぞれDy23、Ho23に換算して合計で主成
    分チタン酸バリウム100モルに対して0.1〜3.0
    モル添加した請求項5に記載の積層セラミックコンデン
    サ。
  8. 【請求項8】 Dyに代えて、Dy/(Dy+Ho)の
    モル比が0.3〜0.9となるDyとHoとを、それぞ
    れDy23、Ho23に換算した合計で主成分チタン酸
    バリウム100モルに対して0.1〜3.0モル添加
    し、かつAlをAl23に換算して、チタン酸バリウム
    100モルに対して、さらに0.01〜3.0モル添加
    した請求項5に記載の積層セラミックコンデンサ。
  9. 【請求項9】 誘電体層と卑金属を用いて作製した内部
    電極とを交互に積層した積層体の前記内部電極の露出し
    た端面に外部電極を設けたコンデンサの製造方法におい
    て、セラミックシートを作製する第1工程と、次にこの
    セラミックシートと卑金属を主成分とする内部電極とを
    交互に積層した積層体を作製する第2工程と、次いで前
    記積層体を焼成する第3工程と、その後前記積層体の前
    記内部電極の露出した端面に外部電極を形成する第4工
    程を備え、前記誘電体層は、主成分チタン酸バリウム1
    00モルに対し、副成分として少なくともMgをMgO
    に換算して0.5〜5.0モル、DyをDy23に換算
    して0.1〜3.0モル、MnをMnO4/3に換算して
    0.01〜0.4モル、VをV25に換算して、0.0
    1〜0.26モル、SiをSiO2に換算して0.01
    〜3.5モル添加して形成したものであり、前記主成分
    チタン酸バリウムのBa/Tiのモル比は1.001〜
    1.05モルの誘電体材料を用いる積層セラミックコン
    デンサの製造方法。
  10. 【請求項10】 外部電極をCuを主成分とする金属を
    用いて形成する請求項9に記載の積層セラミックコンデ
    ンサの製造方法。
  11. 【請求項11】 比表面積が2〜5m2/gであるチタ
    ン酸バリウムを用いる請求項9に記載の積層セラミック
    コンデンサの製造方法。
  12. 【請求項12】 X線回折チャートにおいて、回折角2
    θ 45°における(200)面の回折線と(002)
    面の回折線のピークが2つに分かれているチタン酸バリ
    ウムを用いる請求項9に記載の積層セラミックコンデン
    サの製造方法。
  13. 【請求項13】 MgOに代えて、Mg(OH)2
    0.5〜5.0モル添加する請求項9に記載の積層セラ
    ミックコンデンサの製造方法。
  14. 【請求項14】 第1工程でAl化合物をAl23に変
    換してチタン酸バリウム100モルに対して、さらに
    0.1〜3.0モル添加する請求項9に記載の積層セラ
    ミックコンデンサの製造方法。
  15. 【請求項15】 Al化合物を他の誘電体材料の仮焼後
    に添加する請求項9に記載の積層セラミックコンデンサ
    の製造方法。
  16. 【請求項16】 Dyに代えて、DyとHoとをDy/
    (Dy+Ho)のモル比が0.3〜0.9となるよう
    に、それぞれDy23、Ho23に換算して合計で主成
    分チタン酸バリウム100モルに対して0.1〜3.0
    モル添加する請求項9に記載の積層セラミックコンデン
    サの製造方法。
  17. 【請求項17】 Dyに代えて、Dy/(Dy+Ho)
    のモル比が0.3〜0.9となるDyとHoとを、それ
    ぞれDy23、Ho23に換算した合計で主成分チタン
    酸バリウム100モルに対して0.1〜3.0モル添加
    し、かつAlをAl23に換算して、チタン酸バリウム
    100モルに対して、さらに0.01〜3.0モル添加
    した請求項9に記載の積層セラミックコンデンサの製造
    方法。
  18. 【請求項18】 Dy23、SiO2、Al23の各単
    独成分に代えて、Dy23・SiO2、Dy23・Al2
    3の形にしてあらかじめ混合された混合物を合わせて
    0.1〜3.0モル添加する請求項9に記載の積層セラ
    ミックコンデンサの製造方法。
  19. 【請求項19】 Dy23、Ho23、SiO2、Al2
    3の各単独成分に代えて、Dy23・SiO2、Dy2
    3・Al23、Ho23・SiO2、Ho23・Al2
    3の形にしてあらかじめ混合された混合物を合わせ
    て、DyとHoとをDy/(Dy+Ho)のモル比が
    0.3〜0.9となるように0.1〜3.0モル添加す
    る請求項9に記載の積層セラミックコンデンサの製造方
    法。
  20. 【請求項20】 第3工程の降温過程または第3工程と
    第4工程の間に誘電体層を再酸化する工程を設ける請求
    項9に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
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