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JP2002001384A - 有機性廃水の処理方法及びその処理装置 - Google Patents

有機性廃水の処理方法及びその処理装置

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JP2002001384A
JP2002001384A JP2000179944A JP2000179944A JP2002001384A JP 2002001384 A JP2002001384 A JP 2002001384A JP 2000179944 A JP2000179944 A JP 2000179944A JP 2000179944 A JP2000179944 A JP 2000179944A JP 2002001384 A JP2002001384 A JP 2002001384A
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solid
treatment
liquid
organic wastewater
solubilization
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JP2000179944A
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Susumu Hasegawa
進 長谷川
Hirobumi Uramoto
博文 浦本
Kiyoshi Nasu
潔 那須
Akira Akashi
昭 赤司
Noriaki Shioda
憲明 塩田
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Shinko Pantec Co Ltd
Original Assignee
Shinko Pantec Co Ltd
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    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油脂、蛋白質などの有機性固形物を含有する
有機性廃水を、簡単な方法で処理することが可能な低コ
ストの有機性廃水の処理方法及びその処理装置を提供す
ること 【解決手段】 被処理有機性廃水を第一固液分離装置2
で固形分と上澄液に固液分離し、その固形分を可溶化槽
4で可溶化処理し、可溶化処理後の処理液と上澄液を生
物処理槽6で生物処理し、生物処理後の処理液を第二固
液分離装置9で処理水と汚泥に固液分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機性固形物を含
有する有機性廃水、例えば、食品工場や薬品工場などか
ら排出される有機性固形物を含有する有機性廃水を生物
学的反応を利用して処理する方法及びその処理装置に関
する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、この種の有機性廃水の一般的な処理方法として、
まず、好気性消化法、嫌気性メタン発酵法などの好気性
または嫌気性の微生物分解により有機性汚泥中の有機成
分を生物学的に消化して、有機物を炭酸ガス、メタンガ
スなどのガス成分にまで分解し、次いでかかる生物学的
消化により生じた微生物バイオマス(微生物菌体が主
体)及び未処理の残存汚泥を含んだ処理液を沈殿槽など
で固液分離して上澄としての処理水と濃縮液(汚泥)を
得、その汚泥は適宜の方法で処理されている。たとえ
ば、図15に示すように、生物処理槽6に導入された下
水などの有機性廃水が、生物処理槽6において好気性条
件にて、微生物による酸化分解反応である生物酸化によ
って、二酸化炭素もしくは水などの無機物に分解され、
生物処理槽6にて処理された廃水は、沈殿槽25にて処
理水Aと汚泥Bに固液分離され、汚泥Bの一部は微生物
源として生物処理槽6に返送されるとともに、残りの汚
泥は余剰汚泥Cとして処理されているのが一般的であ
る。
【0003】ところが、油脂、蛋白質などの有機性固形
物を含む廃水(例えば、豆腐、湯葉などの製造に伴う廃
水)を通常の活性汚泥処理方法でそのまま処理すると、
発泡が発生し、うまく処理することができない。そこ
で、浮上分離などの固液分離方法により発泡の原因とな
る固形分を分離した後、活性汚泥処理されている。この
方法によれば、固形分を分離することはできても、固形
分に含まれる蛋白質などが貯槽に貯留中に腐敗して悪臭
を発するという公害が発生するため、腐敗を防止するた
めの特別の処理プロセスが必要である。
【0004】本発明は従来の技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、油
脂、蛋白質などの有機性固形物を含有する有機性廃水
を、簡単な方法で処理することが可能な低コストの有機
性廃水の処理方法及びその処理装置を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、発泡あるいは腐敗の原因となる有機性固形
物(油脂、蛋白質など)を含有する有機性廃水を固液分
離装置で固形分と上澄液に分離し、この固形分を可溶化
処理装置で可溶化処理して発泡性あるいは腐敗性物質を
分解し、次いで、生物処理装置または後処理装置で処理
することとしている。
【0006】このように、本発明によれば、複雑・高価
な処理設備を用いることなく、発泡あるいは腐敗を抑制
して有機性廃水を処理することが可能である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、有機性固形物を含有す
る有機性廃水を処理する方法において、被処理有機性廃
水を第一固液分離装置で固形分と上澄液に固液分離し、
該固形分を可溶化処理装置で可溶化処理し、可溶化処理
後の処理液と上記上澄液を生物処理装置で生物処理する
ことを特徴とする有機性廃水の処理方法をその要旨とす
る。
【0008】本発明は、第一固液分離装置で分離した有
機性固形物を可溶化処理装置で可溶化処理することによ
って発泡性物質を分解し、次いで生物処理するという特
徴を有しており、簡単にして確実に発泡現象を抑制して
有機性廃水を処理することができる。
【0009】そのための処理装置としては、第一固液分
離装置に後続する処理液経路に生物処理装置を配し、第
一固液分離装置から可溶化処理装置を経て生物処理装置
に至る処理液経路を設けた構成のものが好ましい。
【0010】固液分離装置とは、例えば、沈殿装置、浮
上分離装置、遠心分離装置、膜分離装置のごときものを
いう。
【0011】生物処理装置としては、好気性生物処理あ
るいは嫌気性生物処理のいずれの方式のものも適用でき
る。好気性生物処理に用いられる曝気処理装置は、曝気
手段を具備するものであれば散気方式でも機械曝気方式
でもよい。曝気処理は、好気性消化分解が許容されるよ
う、好ましくは、0.1〜0.5vvm(vvm=曝気
量/曝気槽容量/min.)の通気量で室温下にて実施され
るが、負荷によっては、これを上回る通気量で、より高
温にて処理してもよい。被処理液は、好ましくは、5.
0〜8.0のpHに調整されるとよい。また、曝気処理
装置には、好気的消化分解を促進するために、酵母等の
微生物や、フロック形成を促進するための硫酸アルミニ
ウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第一鉄
などの凝集剤を添加してもよい。好気性生物処理には、
曝気処理装置以外の好気的処理の可能な装置を使用する
こともできる。また、嫌気性生物処理に用いられる装置
としては、槽内の液を循環することにより攪拌する方
法、生成ガスを循環曝気することにより攪拌する方法、
攪拌翼などの攪拌機を設置する方法、活性微生物固定手
段を有する方法など、活性微生物と処理対象有機性廃水
とを効率的に接触させる手段を具備したものであれば、
使用可能である。
【0012】可溶化処理では、好熱菌(例えば、バチル
ス・ステアロサーモフィラス等の菌体を添加してもよ
い)によって汚泥の分解が行われるが、酵素分解(例え
ば、プロテアーゼ、リパーゼ、グリコシターゼなどを単
独または組み合わせて添加したもの)などの種々の方法
と組み合わせて実施してもよい。可溶化処理法として、
オゾン法、超音波法、破砕法、熱アルカリ法、紫外線
法、超臨界法、亜臨界法、酸化剤投入法、触媒酸化法な
どを用いてもよい。
【0013】可溶化処理装置における可溶化条件として
は、熱および好熱菌による可溶化を促進するために、例
えば、以下のような条件を採用することができる。 (1)温度:50〜90℃ (2)汚泥濃度:1000mg/リットル以上、好ましくは5
000mg/リットル以上 (3)pH:5〜9、好ましくは、7〜8 (4)環境:好気または微好気条件 (5)時間:有機性固形物の可溶化が盛んである(可溶
化率が高い数値を示す)被処理有機性廃水の水力学的滞
留時間(HRT)に基づいて決定する。HRTは、流入
液量と反応槽の有効容積に基づいて求められるもので、
次の関係式で表される。
【0014】HRT=反応槽容積(リッター)/単位時間当
たりの流入液量(リッター/hr) また、処理水の水質を向上するために、生物処理装置に
後続する処理液経路に第二固液分離装置を設けることが
好ましい。第一固液分離装置と第二固液分離装置は、同
じ種類の装置でもよく、異なる種類の装置でもよい。
【0015】また、生物処理装置における生物処理を円
滑に実行するために、生物処理装置での微生物の保持量
に応じて、第二固液分離装置で分離された汚泥の一部を
生物処理装置に返送することが好ましい。第二固液分離
装置を設けない場合は、生物処理装置内に微生物を保持
するため、担体などを投入するとよい。
【0016】さらに、余剰汚泥の量を低減するために、
第二固液分離装置で分離された汚泥の一部を可溶化処理
装置に返送することが好ましい。
【0017】第一固液分離装置で分離された固形分を可
溶化処理する可溶化処理装置と第二固液分離装置で分離
された汚泥の一部を可溶化処理する可溶化処理装置が異
なれば、固形物の性状に応じて運転条件を別個に設定で
きるので好ましい。
【0018】そして、可溶化処理装置での処理汚泥量を
適正量にする(処理汚泥量を低減する)ために、第一固
液分離装置または第二固液分離装置で分離された汚泥の
一部を、濃縮装置で濃縮した後に可溶化処理装置に返送
することが好ましい。濃縮装置とは、例えば、遠心濃縮
装置のごときものをいう。
【0019】また、被処理有機性廃水を第一固液分離装
置で固形分と上澄液に固液分離し、該固形分を可溶化処
理装置で可溶化処理し、可溶化処理後の処理液を後処理
装置で後処理し、後処理後の処理液と上記上澄液を生物
処理装置で生物処理することもできる。後処理装置と
は、通常の活性汚泥装置、膜分離活性汚泥装置のごとき
ものをいい、このように、可溶化された処理液を後処理
装置で後処理することにより、生物処理装置へ流入する
処理液の有機物負荷を低減でき、発泡性をより抑制でき
るという効果がある。また、後処理後の処理液と第一固
液分離装置で分離された上澄液を生物処理装置で生物処
理すれば、さらに処理水の水質を向上しうる。この生物
処理装置に後続する処理液経路に第二固液分離装置を設
け、第二固液分離装置で分離された汚泥の一部を生物処
理装置に返送し、あるいは、第二固液分離装置で分離さ
れた汚泥の一部を可溶化処理装置に返送し、または、第
二固液分離装置で分離された汚泥の一部を、濃縮装置で
濃縮した後に可溶化処理装置に返送すれば、同上効果が
あるので好ましい。
【0020】さらに、係る有機性廃水の処理方法におい
て、後処理後の処理液に生物処理を施さずに外部に放出
する方法によれば、既存の生物処理装置の生物処理に全
く影響を与えずに有機性廃水の処理装置を運転できると
いう効果がある。
【0021】また、被処理有機性廃水を第一固液分離装
置で固形分と上澄液に固液分離し、該上澄液を生物処理
装置で生物処理し、上記固形分を可溶化処理装置で可溶
化処理し、可溶化処理後の処理液を後処理装置で後処理
し、後処理後の処理液を第二固液分離装置で汚泥と処理
水に固液分離し、第二固液分離装置で分離された汚泥の
一部を可溶化処理装置に返送することもできる。この方
法によれば、可溶化処理液の水質を良好に維持できると
いう効果がある。この第二固液分離装置で分離された処
理水を第一固液分離装置で分離された上澄液に加えたも
のを生物処理装置で生物処理すれば、処理水の水質を極
めて良好に維持することができるという効果がある。生
物処理装置に後続して第三固液分離装置を設ければ、処
理水の水質を極限にまで高めること(清浄化)ができ
る。
【0022】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。図1は、
本発明の有機性廃水の処理方法を適用することができる
有機性廃水処理装置の一実施例の概略構成図である。
【0023】図1に示すように、原廃水が経路1を経て
第一固液分離装置(沈殿槽)2に導入され、有機性固形
物と上澄液に固液分離される。有機性固形物は経路3を
経て可溶化槽4に導入される。可溶化槽4では、高温条
件で嫌気的もしくは好気的に有機性固形物の可溶化が行
われる。この場合、高温条件にて用いられる嫌気性もし
くは好気性微生物の接種菌体(好熱菌)は、例えば、従
来の嫌気性もしくは好気性消化槽から微生物を培養する
ことによって得られるものである。また、可溶化槽4の
最適温度は、好ましくは、50〜90℃の温度範囲とな
るような条件で操作するが、その高温処理対象である有
機性固形物を分解する好熱菌の種類によって異なるもの
であり、例えば、下水余剰汚泥から分離した好熱菌の場
合には、微生物(好熱菌)による可溶化反応と熱による
物理化学的な熱分解の両作用が同時に効率よく十分に生
じうるように、高温条件における温度を55〜75℃の
温度範囲、好ましくは約65℃で操作するようにする。
いずれにしても、微生物(好熱菌)による可溶化反応と
熱による物理化学的な熱分解の両作用が同時に効率よく
十分に生じうるように、微生物の種類に応じて、50〜
90℃の温度範囲となるように設定すればよい。ただ
し、好気条件における可溶化の方が、可溶化が速なるの
で好ましい。
【0024】また、可溶化槽4で好気的に微生物処理す
るための装置としては、従来の散気管を具備してなるも
の、嫌気性で微生物分解をするための装置としては、槽
内の液を循環することにより攪拌する方法、生成ガスを
循環曝気することにより攪拌する方法、攪拌翼などの攪
拌機を設置する方法、活性微生物固定手段を有する方法
など、活性微生物と処理対象汚泥とを効率的に接触させ
る手段を具備したものであれば、使用可能である。この
場合、可溶化槽としては、バッチ式、または連続式のい
ずれでも使用可能である。
【0025】このように、可溶化槽4で可溶化した処理
液は、経路5を経て生物処理槽6に導入され、経路7を
経て第一固液分離装置2から排出される上澄液ととも
に、生物処理槽6にて好気性生物処理が行われる。な
お、好気性生物処理とは、生物酸化によって有機物が二
酸化炭素もしくは水などの無機物に分解されることをい
い、用いられる好気性微生物は、下水浄化のための活性
汚泥法において用いられるグラム陰性またはグラム陽性
桿菌、例えば、シュードモナス属およびバチルス属であ
り、これらの接種菌体は、通常の下水浄化処理プラント
から得られるものである。この場合、生物処理槽6の温
度は、10〜50℃、通常は、20〜30℃の温度範囲
となるように操作するが、より効率よく処理するには、
高温の方が好ましく、例えば、下水余剰汚泥から分離し
た中温菌を用いる場合には、35〜45℃の温度範囲で
操作するようにする。いずれにしても、微生物による酸
化分解反応が効率よく十分に生じうるように、上記温度
範囲の中から最適な温度条件を選択して操作するように
する。なお、この場合、生物処理槽6としては、バッチ
式または連続式のいずれでも使用可能である。
【0026】ついで、このように生物処理槽6で処理さ
れた処理水は、経路8を経て第二固液分離装置(沈殿
槽)9に導入されて固液分離され、固液分離された上澄
液は経路10を経て放流先の放出基準に従い、必要であ
れば、硝化脱窒もしくはオゾン処理などの三次処理を施
し、河川放流または修景用水などとして利用される。
【0027】一方、第二固液分離装置9で分離された汚
泥の一部は、経路11を経て経路5に合流して生物処理
槽6に返送されるようになっている。なお、経路11を
経て送られる汚泥量は生物処理槽6での微生物の保持量
により決定される。
【0028】図2は、図1の処理装置において、第二固
液分離装置9で分離された汚泥の一部を経路12を経て
可溶化槽4に返送するようにしたものである。このよう
にすることで、余剰汚泥量の低減を図ることが可能であ
る。
【0029】図3は、図2の処理装置において、第二固
液分離装置9から可溶化槽4に至る経路12に濃縮装置
13を設けたものである。このようにすることで、可溶
化槽4での汚泥処理量を適正に調整(汚泥処理量を低
減)しうるので、可溶化槽が過大になることなく、設備
コストの増加を抑えることができる。
【0030】次に、図1に示すような構成の処理装置に
おいて、以下のような実験条件で可溶化することによ
り、発泡状況、可溶化率および可溶化槽排気ガス中のC
2 濃度の調査を行ったので、説明する。 (1)実験条件 a.実験装置の大きさ 第一固液分離装置の容量 1リットル 生物処理槽の容量 40リットル 第二固液分離装置の容量 7リットル 可溶化槽の容量 2リットル b.曝気量 生物処理槽 0.1vvm 可溶化槽 0.5vvm c.pH 原水pHを塩酸で8以下にした。 d.曝気槽の温度 20℃ e.HRT 生物処理槽 4日 可溶化槽 1日 f.被処理水の種類 豆腐製造工場の廃水 g.被処理水量 10リットル/日 h.可溶化槽の温度 65℃ 可溶化槽の処理量 2リットル/日 i.第二固液分離装置から生物処理槽へは、10リット
ル/日返送した。また、実験装置のポンプ、配管の目詰
まりが起きないように、原廃水は、0.3mmのメッシュ
の篩いを予め通して夾雑物を除去しておいた。 j.実験手順 実験開始当初は、可溶化槽に植菌せずに、熱による可溶
化のみを行った。そして、実験開始から9日目に、可溶
化槽に汚泥可溶化好熱性細菌(バチルスステアロサーモ
フィラス)SPT2−1株の培養液200ミリリットルを種菌
として添加した。 (2)各種調査結果 発泡状況 実験開始から15日目に以下の表1に示す各処理液の適
量を2リットルのメスシリンダに分取して散気管にて曝
気し、発泡状況を調査した。メスシリンダへの通気量
は、0.5リットル/min.とした。表1にその発泡状況
を示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1に明らかなように、第一固液分離装置
で分離した有機性固形物は、曝気により、壊れにくい粘
性のある大気泡となったが、可溶化処理することにより
大気泡の生成は少なくなり、原廃水程度まで発泡性は改
善された。生物処理槽での生物処理後には、処理水は上
澄液により希釈されるため、泡の積層は認められなかっ
た。 可溶化率 可溶化槽における可溶化率の推移を図4に示す。図4の
横軸は実験日数を示し、縦軸は可溶化率(%)を示す。
可溶化率は、以下の式で定義される数値である。
【0033】可溶化槽への投入汚泥の固形物濃度をAと
し、可溶化処理後の汚泥中の固形物濃度をBとした場
合、 可溶化率=((A−B)/A)×100 図4に示すように、汚泥可溶化好熱性細菌の植菌をしな
い9日目までは、固形物はほとんど可溶化されないが、
実験開始から9日目における好熱性細菌の添加により7
0%以上の固形物の可溶化が確認された。 CO2 濃度 図5は、可溶化槽の排気ガス中のCO2 濃度の推移を示
す。図5の横軸は各実験日における実験時間を示し、縦
軸は可溶化槽の排気ガス中のCO2 濃度(ppm)であ
る。図5において、各符号「□」、「○」、「●」、
「▲」、「■」は、それぞれ、実験開始から5日目、8
日目、11日目、15日目、18日目を示す。好熱菌の
添加の効果により、11日目以降ではCO2 の発生が顕
著であり、好熱菌が活発に活動していることが推定され
る。なお、「●」、「▲」、「■」の推移図において、
CO2 濃度の増減が見られるが、CO2 濃度が上昇する
直前、すなわち、図5において、点aが有機性固形物を
可溶化槽に添加した時点を示す。 図6、図7は、本発
明の有機性廃水の処理方法を適用することができる有機
性廃水処理装置の別の実施例の概略構成図である。
【0034】図6に示すように、第一固液分離装置2で
分離された固形分を可溶化処理する可溶化槽14と第二
固液分離装置9で分離された汚泥の一部を可溶化処理す
る可溶化処理槽4が異なれば、固形物の性状に応じて運
転条件を別個に設定できるので好ましい。
【0035】図7に示すように、第一固液分離装置2か
ら可溶化槽14に至る経路15に濃縮装置16を設けれ
ば、可溶化槽14での汚泥処理量を適正に調整(汚泥処
理量を低減)しうるので、可溶化槽が過大になることな
く、設備コストの増加を抑えることができる。
【0036】図8は、本発明の有機性廃水の処理方法を
適用することができる有機性廃水処理装置のさらに別の
実施例の概略構成図である。
【0037】図8に示すように、原廃水が経路1を経て
第一固液分離装置(沈殿槽)2に導入され、有機性固形
物と上澄液に固液分離される。有機性固形物は経路3を
経て可溶化槽4に導入される。可溶化槽4で高温条件で
嫌気的もしくは好気的に可溶化された処理液は後処理装
置(後曝気槽)17に導入され、可溶化された有機物は
後処理装置17において生物化学的酸化により無機化さ
れる。後処理された処理液は、経路18を経て生物処理
槽6に導入される。この有機性廃水処理装置によれば、
生物処理槽6に流入する処理液の有機物負荷が低減さ
れ、発泡性をより抑制できるという効果がある。
【0038】図9は、図8の生物処理槽6に後続する処
理液経路に第二固液分離装置9を設け、第二固液分離装
置9で分離された汚泥の一部を経路19を経て生物処理
槽6に返送し、図10は、図9の第二固液分離装置9で
分離された汚泥の一部を経路20を経て可溶化槽4に返
送し、図11は、図9の第二固液分離装置9で分離され
た汚泥の一部を経路20を経て濃縮装置21で濃縮した
後に可溶化槽4に返送するように構成したものである。
【0039】図12は、図8の後処理後の処理液を生物
処理槽6に導入せずに外部に放出するもので、この有機
性廃水処理装置によれば、既存の生物処理槽6の生物処
理に影響を与えることがないという効果がある。
【0040】図13は、図12の後処理装置17に後続
する処理液経路に第二固液分離装置(沈殿槽)22を設
け、第二固液分離装置22で固液分離された汚泥の一部
を経路23を経て可溶化槽4に返送するようにしたもの
である。この有機性廃水処理装置によれば、図12の有
機性廃水処理装置に比べ、可溶化処理液の水質をより向
上しうるという効果がある。
【0041】図14は、図13の第二固液分離装置22
で分離された処理水を経路24を経て第一固液分離装置
2で分離された上澄液に加えたものを生物処理槽6で生
物処理するように構成したものである。このようにする
ことで、処理水の水質を極めて良好に維持することがで
きるという効果がある。
【0042】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、次の効果を奏する。
【0043】請求項1記載の発明によれば、油脂、蛋白
質などの有機性固形物を含有する有機性廃水を、簡単な
方法で処理することが可能な低コストの有機性廃水の処
理方法を提供することができる。
【0044】請求項2記載の発明によれば、処理水の水
質を向上することができる。
【0045】請求項3記載の発明によれば、生物処理装
置内の微生物量を適正に維持することができる。
【0046】請求項4記載の発明によれば、余剰汚泥量
を低減することができる。
【0047】請求項5記載の発明によれば、固形物の性
状に応じて可溶化処理装置の運転条件を別個に設定でき
るという効果がある。
【0048】請求項6、7記載の発明によれば、可溶化
処理装置を過大にすることなく、可溶化処理することが
できる。
【0049】請求項8記載の発明によれば、生物処理装
置へ流入する処理液の有機物負荷が低減され、発泡性を
より抑制できるという効果がある。
【0050】請求項9記載の発明によれば、処理水の水
質を向上することができる。
【0051】請求項10記載の発明によれば、生物処理
装置内の微生物量を適正に維持することができる。
【0052】請求項11記載の発明によれば、余剰汚泥
量を低減することができる。
【0053】請求項12記載の発明によれば、可溶化処
理装置を過大にすることなく、可溶化処理することがで
きる。
【0054】請求項13記載の発明によれば、既存の生
物処理装置の生物処理に全く影響を与えずに有機性廃水
の処理装置を運転できるという効果がある。
【0055】請求項14記載の発明によれば、可溶化処
理液の水質を向上しうるという効果がある。
【0056】請求項15記載の発明によれば、処理水の
水質を極めて良好に維持しうるという効果がある。
【0057】請求項16記載の発明によれば、請求項1
記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供する
ことができる。
【0058】請求項17記載の発明によれば、請求項2
記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供する
ことができる。
【0059】請求項18記載の発明によれば、請求項3
記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供する
ことができる。
【0060】請求項19記載の発明によれば、請求項4
記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供する
ことができる。
【0061】請求項20記載の発明によれば、請求項5
記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供する
ことができる。
【0062】請求項21記載の発明によれば、請求項6
記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供する
ことができる。
【0063】請求項22記載の発明によれば、請求項7
記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供する
ことができる。
【0064】請求項23記載の発明によれば、請求項8
記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供する
ことができる。
【0065】請求項24記載の発明によれば、請求項9
記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供する
ことができる。
【0066】請求項25記載の発明によれば、請求項1
0記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供す
ることができる。
【0067】請求項26記載の発明によれば、請求項1
1記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供す
ることができる。
【0068】請求項27記載の発明によれば、請求項1
2記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供す
ることができる。
【0069】請求項28記載の発明によれば、請求項1
3記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供す
ることができる。
【0070】請求項29記載の発明によれば、請求項1
4記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供す
ることができる。
【0071】請求項30記載の発明によれば、請求項1
5記載の処理方法を実施するに好適な処理装置を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機性廃水の処理方法を適用すること
ができる有機性廃水の処理装置の一実施例の概略構成図
である。
【図2】本発明の有機性廃水の処理方法を適用すること
ができる有機性廃水の処理装置の別の実施例の概略構成
図である
【図3】本発明の有機性廃水の処理方法を適用すること
ができる有機性廃水の処理装置のさらに別の実施例の概
略構成図である。
【図4】本発明の有機性廃水の処理方法を実施した場合
において、可溶化率の推移を示す図である。
【図5】本発明の有機性廃水の処理方法を実施した場合
において、可溶化槽の排気ガス中のCO2 濃度の推移を
示す図である。
【図6】本発明の有機性廃水の処理方法を適用すること
ができる有機性廃水の処理装置のさらに別の実施例の概
略構成図である。
【図7】本発明の有機性廃水の処理方法を適用すること
ができる有機性廃水の処理装置のさらに別の実施例の概
略構成図である。
【図8】本発明の有機性廃水の処理方法を適用すること
ができる有機性廃水の処理装置のさらに別の実施例の概
略構成図である。
【図9】本発明の有機性廃水の処理方法を適用すること
ができる有機性廃水の処理装置のさらに別の実施例の概
略構成図である。
【図10】本発明の有機性廃水の処理方法を適用するこ
とができる有機性廃水の処理装置のさらに別の実施例の
概略構成図である。
【図11】本発明の有機性廃水の処理方法を適用するこ
とができる有機性廃水の処理装置のさらに別の実施例の
概略構成図である。
【図12】本発明の有機性廃水の処理方法を適用するこ
とができる有機性廃水の処理装置のさらに別の実施例の
概略構成図である。
【図13】本発明の有機性廃水の処理方法を適用するこ
とができる有機性廃水の処理装置のさらに別の実施例の
概略構成図である。
【図14】本発明の有機性廃水の処理方法を適用するこ
とができる有機性廃水の処理装置のさらに別の実施例の
概略構成図である。
【図15】従来の有機性廃水の処理装置の概略構成図で
ある。
【符号の説明】
2…第一固液分離装置 4、14…可溶化槽 6…生物処理槽 9、22…第二固液分離装置 13、16、21…濃縮装置 17…後処理装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤司 昭 兵庫県神戸市垂水区南多聞台4丁目1番24 −603 (72)発明者 塩田 憲明 兵庫県明石市魚住町住吉2−26−3 Fターム(参考) 4D028 AB03 AC01 BC17 BC18 BD00 BD11 BD16 BD17 BE01

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性固形物を含有する有機性廃水を処
    理する方法において、被処理有機性廃水を第一固液分離
    装置で固形分と上澄液に固液分離し、該固形分を可溶化
    処理装置で可溶化処理し、可溶化処理後の処理液と上記
    上澄液を生物処理装置で生物処理することを特徴とする
    有機性廃水の処理方法。
  2. 【請求項2】 生物処理後の処理液を第二固液分離装置
    で処理水と汚泥に固液分離することを特徴とする請求項
    1記載の有機性廃水の処理方法。
  3. 【請求項3】 第二固液分離装置で分離された汚泥の一
    部を生物処理装置に返送することを特徴とする請求項2
    記載の有機性廃水の処理方法。
  4. 【請求項4】 第二固液分離装置で分離された汚泥の一
    部を可溶化処理装置に返送することを特徴とする請求項
    2または3記載の有機性廃水の処理方法。
  5. 【請求項5】 第一固液分離装置で分離された固形分を
    可溶化処理する可溶化処理装置と第二固液分離装置で分
    離された汚泥の一部を可溶化処理する可溶化処理装置が
    異なることを特徴とする請求項4記載の有機性廃水の処
    理方法。
  6. 【請求項6】 第二固液分離装置で分離された汚泥の一
    部を、濃縮装置で濃縮した後に可溶化処理装置に返送す
    ることを特徴とする請求項4または5記載の有機性廃水
    の処理方法。
  7. 【請求項7】 第一固液分離装置で分離された汚泥の一
    部を、濃縮装置で濃縮した後に可溶化処理装置に供給す
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6
    記載の有機性廃水の処理方法。
  8. 【請求項8】 有機性固形物を含有する有機性廃水を処
    理する方法において、被処理有機性廃水を第一固液分離
    装置で固形分と上澄液に固液分離し、該固形分を可溶化
    処理装置で可溶化処理し、可溶化処理後の処理液を後処
    理装置で後処理し、後処理後の処理液と上記上澄液を生
    物処理装置で生物処理することを特徴とする有機性廃水
    の処理方法。
  9. 【請求項9】 生物処理後の処理液を第二固液分離装置
    で処理水と汚泥に固液分離することを特徴とする請求項
    8記載の有機性廃水の処理方法。
  10. 【請求項10】 第二固液分離装置で分離された汚泥の
    一部を生物処理装置に返送することを特徴とする請求項
    9記載の有機性廃水の処理方法。
  11. 【請求項11】 第二固液分離装置で分離された汚泥の
    一部を可溶化処理装置に返送することを特徴とする請求
    項9または10記載の有機性廃水の処理方法。
  12. 【請求項12】 第二固液分離装置で分離された汚泥の
    一部を、濃縮装置で濃縮した後に可溶化処理装置に返送
    することを特徴とする請求項10または11記載の有機
    性廃水の処理方法。
  13. 【請求項13】 有機性固形物を含有する有機性廃水を
    処理する方法において、被処理有機性廃水を第一固液分
    離装置で固形分と上澄液に固液分離し、該固形分を可溶
    化処理装置で可溶化処理し、可溶化処理後の処理液を後
    処理装置で後処理し、上記上澄液を生物処理装置で生物
    処理することを特徴とする有機性廃水の処理方法。
  14. 【請求項14】 有機性固形物を含有する有機性廃水を
    処理する方法において、被処理有機性廃水を第一固液分
    離装置で固形分と上澄液に固液分離し、該上澄液を生物
    処理装置で生物処理し、上記固形分を可溶化処理装置で
    可溶化処理し、可溶化処理後の処理液を後処理装置で後
    処理し、後処理後の処理液を第二固液分離装置で汚泥と
    処理水に固液分離し、第二固液分離装置で分離された汚
    泥の一部を可溶化処理装置に返送することを特徴とする
    有機性廃水の処理方法。
  15. 【請求項15】 第二固液分離装置で分離された処理水
    を第一固液分離装置で分離された上澄液に加えたものを
    生物処理装置で生物処理することを特徴とする請求項1
    4記載の有機性廃水の処理方法。
  16. 【請求項16】 有機性固形物を含有する有機性廃水を
    処理する装置であって、第一固液分離装置に後続する処
    理液経路に生物処理装置を配し、第一固液分離装置から
    可溶化処理装置を経て生物処理装置に至る処理液経路を
    設けたことを特徴とする有機性廃水の処理装置。
  17. 【請求項17】 生物処理装置に後続する処理液経路に
    第二固液分離装置を設けたことを特徴とする請求項16
    記載の有機性廃水の処理装置。
  18. 【請求項18】 第二固液分離装置から生物処理装置に
    至る処理液の返送経路を設けたことを特徴とする請求項
    17記載の有機性廃水の処理装置。
  19. 【請求項19】 第二固液分離装置から可溶化処理装置
    に至る処理液の返送経路を設けたことを特徴とする請求
    項17または18記載の有機性廃水の処理装置。
  20. 【請求項20】 第一固液分離装置で分離された固形分
    を可溶化処理する可溶化処理装置と第二固液分離装置で
    分離された汚泥の一部を可溶化処理する可溶化処理装置
    が異なることを特徴とする請求項19記載の有機性廃水
    の処理装置。
  21. 【請求項21】 第二固液分離装置から可溶化処理装置
    に至る処理液の返送経路に濃縮装置を設けたことを特徴
    とする請求項19または20記載の有機性廃水の処理装
    置。
  22. 【請求項22】 第一固液分離装置から可溶化処理装置
    に至る処理液の供給経路に濃縮装置を設けたことを特徴
    とする請求項20または21記載の有機性廃水の処理装
    置。
  23. 【請求項23】 有機性固形物を含有する有機性廃水を
    処理する装置であって、第一固液分離装置に後続する処
    理液経路に生物処理装置を配し、第一固液分離装置から
    可溶化処理装置と後処理装置を経て生物処理装置に至る
    処理液経路を設けたことを特徴とする有機性廃水の処理
    装置。
  24. 【請求項24】 生物処理装置に後続する処理液経路に
    第二固液分離装置を設けたことを特徴とする請求項23
    記載の有機性廃水の処理装置。
  25. 【請求項25】 第二固液分離装置から生物処理装置に
    至る処理液の返送経路を設けたことを特徴とする請求項
    24記載の有機性廃水の処理装置。
  26. 【請求項26】 第二固液分離装置から可溶化処理装置
    に至る処理液の返送経路を設けたことを特徴とする請求
    項24または25記載の有機性廃水の処理装置。
  27. 【請求項27】 第二固液分離装置から可溶化処理装置
    に至る処理液の返送経路に濃縮装置を設けたことを特徴
    とする請求項26記載の有機性廃水の処理装置。
  28. 【請求項28】 有機性固形物を含有する有機性廃水を
    処理する装置であって、第一固液分離装置に後続する処
    理液経路に生物処理装置を配し、第一固液分離装置に後
    続する別の処理液経路に可溶化処理装置と後処理装置を
    この順で配したことを特徴とする有機性廃水の処理装
    置。
  29. 【請求項29】 有機性固形物を含有する有機性廃水を
    処理する装置であって、第一固液分離装置に後続する処
    理液経路に生物処理装置を配し、第一固液分離装置に後
    続する別の処理液経路に可溶化処理装置と後処理装置と
    第二固液分離装置をこの順で配し、第二固液分離装置か
    ら可溶化処理装置に至る処理液の返送経路を設けたこと
    を特徴とする有機性廃水の処理装置。
  30. 【請求項30】 第二固液分離装置から生物処理装置に
    至る処理水の供給経路を設けたことを特徴とする請求項
    30記載の有機性廃水の処理装置。
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