JP2002088032A - キシリレンジアミンの精製法 - Google Patents
キシリレンジアミンの精製法Info
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Abstract
し、蒸留塔内でのキシリレンジアミンの分解に由来する
アンモニアの溶解による純度低下および臭気等を解決す
る効果的な方法を提供する。 【解決手段】蒸留塔の上部〜凝縮器入口部から不活性ガ
スを導入し、塔頂圧を5.3kPa以下、凝縮器出口温
度を110℃以下とする。
Description
の精製方法に関し、詳しくは揮発性物質含量(主成分ア
ンモニア)の少ない高純度のキシリレンジアミンを得る
方法に関するものである。キシリレンジアミンはエポキ
シ樹脂の硬化剤、ポリアミド系樹脂、またはイソシアネ
ート樹脂の原料として有用である。
易にアンモニアの発生を伴って分解し純度が低下すると
同時に着色、着臭等の劣化を引き起こすことが知られて
いる。特にキシリレンジアミンに関しては、ジアミノト
ルエン等の芳香族アミンやヘキサメチレンジアミン、イ
ソホロンジアミン等の脂肪族アミンと異なりベンジルア
ミンであるため、これら芳香族アミンや脂肪族アミンと
比較して脱アンモニア反応が著しく進行しやすい。キシ
リレンジアミンの熱分解は蒸留精製操作において蒸留塔
内の熱履歴によっても進行してアンモニアを生成するた
め、留出精製キシリレンジアミン中へのアンモニアの混
入が起こりやすい。このためキシリレンジアミンを蒸留
精製するに際しては、一般の芳香族アミンや脂肪族アミ
ンと比べて操作条件を厳密に制御する必要があり、生産
性の犠牲や設備上運転上の経済的負担を強いられる。し
かもこのようにしても留出精製キシリレンジアミンへの
アンモニアの混入を十分低いレベルに抑えることが困難
であるため、蒸留精製で得られたキシリレンジアミン
を、更に大量の不活性ガスによってバブリングして脱気
する等の二次的な処理が行われている。
としては特公昭46−21857号に1−ブテン、1−
ヘキセン、スチレン等の如き末端二重結合を有する不飽
和化合物を添加する方法が記載されている。本法は製品
の保存中の着色、アンモニアの発生等好ましくない現象
を防止する方法としては有効であるが、蒸留塔内の高温
条件下でのキシリレンジアミン類の分解に由来するアン
モニアの発生を抑制する効果は小さい。また製品中への
添加物混入より純度低下を招き、製品を使用するに際し
てキシリレンジアミンの反応に悪影響を及ぼす恐れがあ
る。高純度の色相安定なキシリレンジアミン類を得る精
製技術としては一般的にはアルカリ処理が知られてい
る。アルカリ処理は高純度のキシリレンジアミン類を得
ることはできるが、アルカリを含む廃液が排出され、こ
の廃液は中和後活性汚泥や焼却炉処理が行われるが、廃
液中にアルカリを含むためにその処理に難点がある。ま
たこのアルカリ処理によってキシリレンジアミンの熱分
解を阻止することはできない。
ンまたはフタロニトリルを分解、除去する技術として、
特公昭57−27098号には水の存在下に鉄の酸化物
または鉄とクロムの酸化物を含む触媒と接触させる方法
が記載されている。この方法は高純度の色相安定なキシ
リレンジアミン類を得る精製法として有効であるが、蒸
留塔内でのキシリレンジアミンの熱分解に由来するアン
モニアの発生と留出精製キシリレンジアミンへのアンモ
ニア混入を解決するものではない。
レンジアミンを蒸留して精製するに際し、蒸留塔内での
キシリレンジアミンの分解に由来するアンモニアの溶解
による純度低下および臭気等を解決する効果的な方法を
提供することにある。
を達成するために鋭意検討した結果、減圧蒸留において
蒸留塔の上部〜凝縮器入口部から少量の不活性ガスを導
入し、凝縮器出口液温度を110℃以下に保つことによ
り目的とするアンモニアの少ない低臭気の高純度キシリ
レンジアミンを容易に得られることを見出し、本発明に
到達した。即ち本発明は、キシリレンジアミンを蒸留に
より精製するに際して、蒸留塔の上部〜凝縮器入口部か
ら不活性ガスを導入し、塔頂圧を53kPa以下、凝縮
器出口液温度を110℃以下とすることを特徴とするキ
シリレンジアミンの精製法である。
ンジアミンには、メタキシリレンジアミンやパラキシリ
レンジアミン、およびこれらの混合物が挙げられる。こ
れらのメタキシリレンジアミンやパラキシリレンジアミ
ンは、それぞれイソフタロニトリルやテレフタロニトリ
ルの接触水素還元によって得られる。
アルゴン、ヘリウムが好適に用いられる。酸素含有ガス
はキシリレンジアミン類着色の原因となり、また、炭酸
ガス含有ガスは炭安析出の原因となり好ましくない。不
活性ガスの導入部位は蒸留塔の上部〜凝縮器入口部とす
る。特に塔頂部が好ましい。凝縮器の内部〜出口に導入
した場合は不活性ガスの拡散が不十分で十分な溶存アン
モニア低減効果が得られない。塔下部〜塔中部に導入す
る場合、蒸留塔内の高温下で平衡上アンモニアの発生が
促進されることになる。不活性ガス導入量は塔内蒸気量
(留出+還流量)に対し、0.1mol%以上であれば
溶存アンモニア低減効果が得られる。導入量を過剰にし
た場合、溶存アンモニア低減効果はより高まるが、真空
系の負荷が増すとともに、不活性ガスに同伴され真空系
へのロスとなるキシリレンジアミン量が増大するので好
ましくない。不活性ガス導入量の好ましい範囲は、塔内
蒸気量(留出+還流量)に対し、0.1〜2mol%で
ある。
5.3kPa(40Torr)以下、好ましくは1.3
〜4.0kPa(10〜30Torr)の範囲である。
塔圧が高すぎると蒸留塔塔内温度が高くなり、キシリレ
ンジアミンの分解によるアンモニアの発生が増大する。
一方塔底液温度低減のためには精留塔の操作圧力をより
高真空にする必要があり、高性能真空ポンプを設置する
など設備費の増大を招く。塔底液温度が180℃以上と
なるとキシリレンジアミンの熱分解およびアンモニアの
発生が著しく増加することから塔底液温度を180℃以
下とすることが望ましい。
は 110℃以下、好ましくは50〜100℃である。
温度が低いと凝縮液へのアンモニア溶解度が大きくなる
が、キシリレンジアミン分解によるアンモニアの発生を
抑制されるので、不活性ガス導入した場合には凝縮器出
口液温度を下げることにより溶存アンモニア低減効果が
得られる。しかし、凝縮器出口を凝縮温度以下に過冷却
することにより内部還流が増大し、塔内蒸気負荷による
分離効率の悪化を招くおそれがあるので留意しなければ
ならない。
ミンの熱による分解を抑制するために蒸留操作可能な範
囲でできるだけ短いことが望ましい。この液滞留時間は
塔内棚段トレイ、充填剤、チムニートレイ、液分配器等
のインターナルとボトムにおける液滞留時間の合計であ
り、キシリレンジアミン類の熱分解によるアンモニアの
発生が著しく増加することから1時間以下とすることが
望ましい。
る。但し、本発明は以下の実施例により限定されるもの
ではない。
質分を除去した粗メタキシリレンジアミン(メタキシリ
レンジアミン:98.0重量%、重質分等:2.0重量
%)を内径950mm、高さ9080mmの規則充填物
を有する蒸留塔(理論段数10段)の中段に750kg
/hの供給速度で導入し、蒸留塔上部の充填層と凝縮器
との間から22mol/hの供給速度で窒素ガスを吹き
込みながら塔頂圧力20Torr(2.6kPa)で蒸
留を行い、塔頂から精製メタキシリレンジアミンを66
0kg/hの速度で凝縮液温度が68℃となるように冷
却して留出させた。このときの塔頂温度は155℃、塔
底温度は164℃であった。精製メタキシリレンジアミ
ン中のアンモニア濃度は6ppmであった。
質分を除去した粗パラキシリレンジアミン(パラキシリ
レンジアミン:98.0重量%、重質分等:2.0重量
%)を実施例1と同様の蒸留塔の中段に750kg/h
の供給速度で導入し、蒸留塔上部の充填層と凝縮器との
間から22mol/hの供給速度で窒素ガスを吹き込み
ながら塔頂圧力20Torr(2.6kPa)において
蒸留を行い、塔頂から精製パラキシリレンジアミンを6
60kg/hの速度で凝縮液温度が78℃となるように
冷却して留出させた。このときの塔頂温度は158℃、
塔底温度は167℃であり、精製パラキシリレンジアミ
ン中のアンモニア濃度は7ppmであった。
素化して得られた反応液から軽質分を除去したメタキシ
リレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの混合液
(メタキシリレンジアミン:49.0重量%、パラキシ
リレンジアミン:49.0重量%、重質分等:2.0重
量%)を実施例1と同様の蒸留塔の中段に750kg/
hの供給速度で導入して、蒸留塔上部の充填層と凝縮器
との間から22mol/hの供給速度で窒素ガスを吹き
込みながら塔頂圧力20Torr(2.6kPa)で蒸
留を行い、塔頂から精製されたメタキシリレンジアミン
とパラキシリレンジアミンの混合物を660kg/hの
速度で凝縮液温度が78℃となるように冷却して留出さ
せた。このときの塔頂温度は156℃、塔底温度は16
5℃であり、留出した混合キシリレンジアミン中のアン
モニア濃度は8ppmであった。
様の蒸留塔の中段に750kg/hの供給速度で導入し
て、窒素ガスを吹き込まずに、塔頂圧力20Torr
(2.6kPa)で蒸留し、塔頂から精製メタキシリレ
ンジアミンを660kg/hの速度で凝縮液温度が68
℃となるように冷却して留出させた。このときの塔頂温
度は155℃、塔底温度は164℃であった。精製メタ
キシリレンジアミン中のアンモニア濃度は82ppmで
あった。この得られた精製メタキシリレンジアミン6.
6kgに対してさらに室温、常圧下で窒素ガス22mo
l(0.49m3)にてバブリング処理後のメタキシリ
レンジアミン中のアンモニア濃度は21ppmまでしか
低下しなかった。
様の蒸留塔の中段に750kg/hの供給速度で導入
し、窒素ガスを吹き込まずに、塔頂圧力20Torr
(2.6kPa)で蒸留を行い、塔頂から精製パラキシ
リレンジアミンを660kg/hの速度で凝縮液温度が
78℃となるように冷却して留出させた。このときの塔
頂温度は158℃、塔底温度は167℃であった。精製
パラキシリレンジアミン中のアンモニア濃度は50pp
mであった。
様の蒸留塔の中段に750kg/hの供給速度で導入し
て、蒸留塔の充填層とコンデンサーとの間から22mo
l/hの供給速度で窒素ガスを吹き込みながら塔頂圧力
20Torr(2.6kPa)で蒸留操作を行い、塔頂
から精製メタキシリレンジアミンを660kg/hの速
度で凝縮液温度が120℃となるように冷却して留出さ
せた。このときの塔頂温度は155℃、塔底温度は16
4℃であった。精製メタキシリレンジアミン中のアンモ
ニア濃度は44ppmであった。
の蒸留塔の中段に750kg/hの供給速度で導入し
て、窒素ガスを吹き込まずに、塔頂圧力55Torr
(7.2kPa)で蒸留を行い、塔頂から精製メタキシ
リレンジアミンを660kg/hの速度で凝縮液温度が
68℃となるように冷却して留出させた。このときの塔
頂温度は184℃、塔底温度は186℃であった。精製
メタキシリレンジアミン中のアンモニア濃度は137p
pmであった。
発明により、キシリレンジアミンを蒸留精製するに際し
て、蒸留塔の上部〜凝縮器入口部から少量の不活性ガス
を導入し、凝縮器出口液温度が110℃以下となるよう
に、減圧蒸留することにより、高純度のアンモニア含量
の少ないキシリレンジアミンを容易に得ることができ
る。本発明の方法では、アルカリや金属酸化物触媒の添
加やバブリングなど二次的な処理が不要で、付帯設備を
用いずに、異臭のない高純度のキシリレンジアミンを有
利に得られることから、本発明の工業的意義は大きい。
Claims (2)
- 【請求項1】キシリレンジアミンを蒸留により精製する
に際して、蒸留塔の上部〜凝縮器入口部から不活性ガス
を導入し、塔頂圧を5.3kPa以下、凝縮器出口温度
を110℃以下とすることを特徴とするキシリレンジア
ミンの精製法。 - 【請求項2】蒸留塔の塔底部温度を180℃以下に保つ
請求項1記載のキシリレンジアミンの精製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000278050A JP2002088032A (ja) | 2000-09-13 | 2000-09-13 | キシリレンジアミンの精製法 |
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JP2000278050A JP2002088032A (ja) | 2000-09-13 | 2000-09-13 | キシリレンジアミンの精製法 |
Publications (1)
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ID=18763274
Family Applications (1)
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JP2000278050A Pending JP2002088032A (ja) | 2000-09-13 | 2000-09-13 | キシリレンジアミンの精製法 |
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JP (1) | JP2002088032A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009525303A (ja) * | 2006-02-01 | 2009-07-09 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア | 純粋なキシリレンジアミン(xda)の製造方法 |
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-
2000
- 2000-09-13 JP JP2000278050A patent/JP2002088032A/ja active Pending
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