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JP2002073156A - ガスタービン運転状態診断方法および診断装置 - Google Patents

ガスタービン運転状態診断方法および診断装置

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Publication number
JP2002073156A
JP2002073156A JP2000267110A JP2000267110A JP2002073156A JP 2002073156 A JP2002073156 A JP 2002073156A JP 2000267110 A JP2000267110 A JP 2000267110A JP 2000267110 A JP2000267110 A JP 2000267110A JP 2002073156 A JP2002073156 A JP 2002073156A
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JP
Japan
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gas turbine
moving average
data
average time
operating state
Prior art date
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JP2000267110A
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Kazuo Tanaka
一雄 田中
Seiji Yamashita
誠二 山下
Hidekazu Harada
英一 原田
Kazunori Sato
和憲 佐藤
Yoshihiko Ozaki
嘉彦 尾崎
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Kawasaki Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Kawasaki Heavy Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Kawasaki Heavy Industries Ltd filed Critical Kawasaki Heavy Industries Ltd
Priority to JP2000267110A priority Critical patent/JP3538670B2/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガスタービンの性能劣化や故障発生を高精度に
検出することができるガスタービン運転状態診断方法お
よび診断装置を提供する。 【解決手段】 本発明は、ガスタービンGの各部の運転
データを検出し、その検出された運転データを標準化
し、その標準化された運転データを所定時間にわたって
サンプリングし、そのサンプリングされたデータを移動
平均処理し、その移動平均されたデータに基づいてガス
タービンGの運転状態を診断するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービン運転
状態診断方法および診断装置に関する。さらに詳しく
は、ガスタービンの性能劣化および故障発生の有無を、
ガスタービン各部における運転データに基づいて診断す
るガスタービン運転状態診断方法および診断装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、発電所などで運転されるガスター
ビンの運転状態を診断するために、ガスタービンの性能
に係わる部分の運転データを通常運転時に検出し、この
検出値に基づいて性能劣化または故障(以下、単に性能
劣化ともいう)を検出する手法が種々提案されている。
【0003】例えば、特開平11−3113号公報で
は、ガスタービンにおける現時点の運転データを初期運
転時の運転性能データに基づき設定されたしきい値と比
較することによって性能劣化を検出するものとしてい
る。
【0004】ところが、この方法では、運転データの検
出値変動幅が大きくなりすぎて、精度よく性能劣化を検
出することができないという問題がある。すなわち、ガ
スタービンの運転データは、部分負荷率や外気温度など
の各種運転条件が変化するのに応じて変動するのが通常
であり、このため、特に性能劣化が発生していないにも
かかわらず運転データがしきい値を超えてしまう場合が
あるからである。
【0005】したがって、このような変動が激しい運転
データとしきい値とを比較してガスタービンの性能劣化
を検出するためには、変動幅を考慮した感度の低いしき
い値を設定する必要があるが、この場合は性能劣化を的
確に検出することができなくなってしまうという結果に
なる。
【0006】この点に関連して、特開平11−1551
6号公報は、運転データから各種運転条件の相違による
影響を排除した共通の運転条件における標準化データを
生成し(その具体的な生成方法は示されていない)、こ
の標準化データに対してしきい値を設定することによっ
て性能劣化を検出する手法を提案している。ところが、
ガスタービンの運転データ(いわゆるプロセスデータ)
には周期的な誤差が含まれるのが通常であり、また、部
分負荷率や周囲条件の変動に対する系の応答遅れおよび
センサの応答遅れなどさまざまな要因によって、実際に
は標準化データにおいてもかなりの変動幅が観測される
のが通常である。このため、この標準化データとしきい
値とを単純に比較するだけではガスタービンの性能劣化
を正確に検出することはやはり困難である。
【0007】このように、従来、ガスタービンの性能劣
化や故障発生を高精度に自動検出できるシステムは実際
には存在せず、このため熟練技術者の知識・ノウハウに
頼ってガスタービンの運転状態を診断しているのが実状
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来技
術の課題に鑑みなされたものであって、ガスタービンの
性能劣化や故障発生を高精度に検出することができるガ
スタービン運転状態診断方法および診断装置を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のガスタービン運
転状態診断方法は、予め設定された時間間隔によってサ
ンプリングされたガスタービンの各部の運転データを所
定の処理により標準化して標準化データを作成し、該作
成された標準化データを移動平均処理して診断用データ
を作成し、該作成された診断用データに基づいてガスタ
ービンの運転状態を診断することを特徴とする。
【0010】本発明のガスタービン運転状態診断方法
は、具体的には、予め設定された時間間隔によってサン
プリングされたガスタービンの各部の運転データを所定
の処理により標準化して標準化データを作成する手順
と、該作成された標準化データを移動平均処理して診断
用データを作成する手順と、該作成された診断用データ
に基づいてガスタービンの運転状態を診断する手順とを
含んでなることを特徴とする。
【0011】また、本発明のガスタービン運転状態診断
方法においては、ガスタービンの初期状態における運転
データを用いて標準化データを移動平均処理するための
移動平均時間が設定されてもよい。
【0012】さらにまた、本発明のガスタービン運転状
態診断方法においては、移動平均時間が、ガスタービン
の各種運転条件の変化による運転データの変動が静定す
るまでの静定時間に基づき設定されてもよい。
【0013】さらにまた、本発明のガスタービン運転状
態診断方法においては、移動平均時間が、検出する各部
の運転データ毎に設定され、かつ各運転条件毎の静定時
間の中で最長のものとされてもよい。
【0014】さらにまた、本発明のガスタービン運転状
態診断方法においては、静定時間に基づき設定される移
動平均時間が、当該移動平均時間による平均結果が所定
の変動幅に収まるように修正されてもよい。
【0015】さらにまた、本発明のガスタービン運転状
態診断方法においては、運転データの標準化が、予め設
定されている特性曲線または特性関数を利用してなされ
てもよい。
【0016】一方、本発明のガスタービン運転状態診断
装置は、予め設定された時間間隔によって検出部により
検出されたガスタービンの各部の運転データをサンプリ
ングする運転データサンプリング手段と、該運転データ
サンプリング手段によりサンプリングされた運転データ
を所定の処理により標準化して標準化データを作成する
標準化手段と、該標準化手段により作成された標準化デ
ータを移動平均処理して診断用データを作成する移動平
均処理手段と、該作成された診断用データに基づいてガ
スタービンの運転状態を診断する運転状態診断手段とを
備えてなることを特徴とする。
【0017】また、本発明のガスタービン運転状態診断
装置においては、移動平均時間設定手段を備え、該移動
平均時間設定手段は、移動平均処理手段が標準化データ
を移動平均処理するための移動平均時間をガスタービン
の初期状態における運転データを用いて設定するものと
されていてもよい。
【0018】さらにまた、本発明のガスタービン運転状
態診断装置においては、移動平均時間設定手段が、ガス
タービンの各種運転条件の変化による運転データの変動
が静定するまでの静定時間に基づいて移動平均時間を設
定するものとされてもよい。
【0019】さらにまた、本発明のガスタービン運転状
態診断装置においては、移動平均時間設定手段が、検出
する各部の運転データ毎に移動平均時間を設定し、かつ
この移動平均時間が各運転条件毎の静定時間の中で最長
のものとされていてもよい。
【0020】さらにまた、本発明のガスタービン運転状
態診断装置においては、移動平均時間設定手段が、ガス
タービンの静定時間に基づき設定される移動平均時間を
当該移動平均時間による平均結果が所定の変動幅に収ま
るように修正するものとされていてもよい。
【0021】さらにまた、本発明のガスタービン運転状
態診断装置においては、移動平均処理手段が、設定され
た移動平均時間を保持するものとされていてもよい。
【0022】さらにまた、本発明のガスタービン運転状
態診断装置においては、標準化手段が、特性曲線/特性
関数設定部を有するものとされていてもよい。
【0023】しかして、本発明のガスタービン運転状態
診断装置はガスタービンに備えられる。
【0024】また、前記ガスタービンと本発明のガスタ
ービン運転状態診断装置とは、通信手段を介して接続さ
れていてもよく、ガスタービンが複数台とされてもよ
い。
【0025】さらにまた、ガスタービン運転状態診断装
置の運転データサンプリング手段と他の要素とが通信手
段を介して接続されていてもよい。
【0026】
【作用】本発明は、前記の如く構成されているので、運
転条件の変動、これに追随してプロセス系が平衡状態に
達するまでの時間遅れ、および周期的・機械的な誤差要
因による影響を運転データから排除して、精度よくガス
タービンの運転状態を診断することができる。
【0027】
【発明の実施形態】以下、添付図面を参照しながら本発
明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実
施形態のみに限定されるものではない。
【0028】実施形態1 図1に、本発明の実施形態1に係るガスタービン運転状
態診断装置(以下、単に診断装置という)の概略構成を
示し、この診断装置AはガスタービンGの運転状態を表
すガスタービンG各部の運転データ(以下、各部運転デ
ータという)、例えば、出力、熱効率、排気温度、圧縮
機出口温度、出口圧力、CO,NOx、吸気流量などを
検出してサンプリングし、このサンプリングされた各部
運転データに基づいてガスタービンGの性能劣化および
故障発生の有無を診断するものとされる。
【0029】すなわち、診断装置Aは、各部運転データ
を所定の時間間隔でサンプリングする運転データサンプ
リング手段11と、このサンプリング手段11によりサ
ンプリングされる各部運転データを運転状態診断のため
の資料として利用できるように、共通の運転条件におけ
る標準化されたデータ(以下、各部標準化データとい
う)に変換する標準化手段12と、各部標準化データの
それぞれについて移動平均処理する移動平均処理手段1
3と、ガスタービンGの運転条件の変化による各部運転
データの変動が安定化するまでの静定時間に基づいて、
各部標準化データを移動平均処理するための各部標準化
データのそれぞれに対する移動平均時間をガスタービン
Gの初期状態における運転データ(以下、各部初期運転
データという)を用いて設定する移動平均時間設定手段
14と、移動平均処理された各部標準化データ(以下、
各部移動平均データという)を用いてガスタービンGの
運転状態を診断する運転状態診断手段15とを備える。
【0030】検出部10は、ガスタービンの各部の運転
データ、例えば、ガスタービンGの出力OP、熱効率H
E、排気温度Te、圧縮機出口温度Tc、圧縮機出口圧
力Pc、CO、NOx,濃度FPおよび吸気流量SFを
検出するための各種センサからなるものとされる。
【0031】運転データサンプリング手段11は、検出
部10からのガスタービンの各部運転データ、例えば、
ガスタービンGの出力OP、熱効率HE、排気温度T
e、圧縮機出口温度Tc、圧縮機出口圧力Pc、CO,
NOx濃度FPおよび吸気流量SFをサンプリングする
サンプリング部11aと、このサンプリング部11aに
よるサンプリングを所定の時間間隔でなすようにするた
め、予め設定されるサンプリング周期を保持するサンプ
リング周期保持部11bを有する。
【0032】標準化手段12は、標準化に用いる特性曲
線または特性関数が予め設定される特性曲線/特性関数
設定部12aを有する。すなわち標準化手段12は、運
転データサンプリング手段11によりサンプリングされ
る各部運転データを特性曲線/特性関数設定部12aに
設定された特性曲線を用いて標準化データに変換する。
ここで特性曲線とは、ガスタービンGの各種運転条件、
すなわち大気圧力Pa、大気温度Taおよび大気湿度H
aなどの周囲条件、およびガイドベーン角度Vd、吸気
圧損PIDp、排気圧損PEDp、蒸気噴射量GSおよ
び水噴射量GWなどの運転操作パラメータの変化が、各
部運転データ、例えばガスタービンGの出力OPにどの
ような影響を及ぼすかを解析して定式化したもので、こ
の特性曲線に基づいて算出される標準化係数を用いて標
準化が実行される。
【0033】特性曲線または特性関数は、具体的には、
ガスタービンGのベンチテストで行うバリエーションテ
ストにより得られるデータを統計処理して作成される。
ここで、バリエーションテストとは、ガスタービンGの
各種運転条件を様々に変化させてガスタービンGをモニ
タし、ガスタービンGの性能を把握するためのテストで
ある。
【0034】表1および表2に、各部運転データを各部
標準化データに変換する際にどの運転条件における特性
曲線を利用すべきかを示す。ここで、表中、1重丸は、
当該各部運転データを各部標準化データに変換する際に
その運転条件における特性曲線(特性関数)を利用する
必要があることを示し、横線は、当該各部運転データを
各部標準化データに変換する際にその運転条件について
の特性曲線を利用する必要性が低いことを示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】移動平均処理手段13は、移動平均時間設
定手段14により設定される移動平均時間を保持する移
動平均時間保持部13aを有し、移動平均時間保持部1
3aに保持される移動平均時間により、各部標準化デー
タのそれぞれを移動平均処理して、診断用データとして
の各部移動平均データを生成する。ここで、この移動平
均処理は、移動平均時間内の各部標準化データの平均を
採るものである。
【0038】移動平均時間設定手段14は、ガスタービ
ンGの運転条件の変化による各部運転データの変動が安
定化するまでの静定時間Tsを静定時間テーブルとして
保持する静定時間保持部14aと、この静定時間テーブ
ルに基づいて各部標準化データのそれぞれを移動平均処
理するための各移動平均時間を設定する際に、各部初期
運転データを標準化した各部標準化データ(以下、各部
初期標準化データという)の変動幅が所定の変動幅に収
まるように移動平均時間を修正する移動平均時間修正部
14bとを有する。
【0039】表3および表4に、静定時間保持部14a
に保持される静定時間テーブルの一例を示す。なお、表
中の数値の単位は秒とする。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】静定時間Tsの計測は、例えば次のように
してなされる。
【0043】燃料流量GLの静定時間Tsの導出は、燃
料流量および出力の各計測結果を用いてなされ、燃料流
量変化が出力変化として検出されるまでの時間が、当該
静定時間Tsとして設定される。
【0044】ガイドベーン角度Vdの静定時間Tsの導
出は、ガイドベーンの開度の計測結果を用いてなされ、
燃焼用空気がガスタービン入口からタービンに到達する
までの時間が、当該静定時間Tsとして設定される。
【0045】なお、この計測方法を表5にまとめて示
す。
【0046】
【表5】
【0047】運転状態診断手段15は、標準化手段12
により標準化され、ついで移動平均処理手段13におけ
る移動平均処理により生成された診断用データ(以下、
各部移動平均データという)に基づいて、ガスタービン
Gの運転状態を診断する。ここでは、表6に示すよう
に、例えば、発電機出力から計測される出力OPにより
ガスタービンG全体の不具合の有無が診断され、燃料流
量および出力から計測される熱効率HEによりガスター
ビンG全体の不具合の有無が診断される、というよう
に、診断対象項目により適当な運転データが選択され
る。
【0048】
【表6】
【0049】表7に各部運転データの診断対象適応性を
示す。ここで、2重丸はその運転データを用いてガスタ
ービンGの当該構成要素の運転状態を良好に診断できる
ことを示し、1重丸は中程度の診断適応性を有すること
を示し、三角は診断適応性が良好でないことを示す。
【0050】
【表7】
【0051】以下、診断装置Aにより実行される処理の
流れを説明する図2に通常運転時に診断装置Aにより実
行される処理全体の流れを示す。なお、図2中のS1〜
S6まではステップ番号を示す。
【0052】ステップS1では、運転データサンプリン
グ手段11により、サンプリング周期保持部11bに保
持されている所定の時間間隔でサンプリング部11aで
各部運転データがサンプリングされる。ここで、サンプ
リングされる各部運転データは、表6により示された診
断内容に応じて適宜選定される。
【0053】ステップS2では、標準化手段12によ
り、運転データサンプリング手段11によりサンプリン
グされた各部運転データが標準化される。つまり、各部
標準化データが生成される。
【0054】ステップS3では、移動平均処理手段13
により、移動平均時間保持部13aに保持されている移
動平均時間を用いて、標準化手段12により生成された
各部標準化データについて移動平均処理が実行される。
移動平均時間保持部13aに保持される移動平均時間
は、後で詳細に説明する移動平均時間設定処理において
設定される。
【0055】ステップS4では、運転状態診断手段15
により、診断用データとしての各部移動平均データとそ
れに対するしきい値とが比較され、ガスタービンGの運
転状態が診断される。
【0056】ステップS5では、ステップS4における
診断結果が出力される。
【0057】次に、移動平均時間設定処理について説明
する。
【0058】図3に移動平均時間設定処理の実行手順を
示す。なお、図3中のS11〜S15まではステップ番
号を示す。
【0059】ステップS11では、運転データサンプリ
ング手段11によりガスタービンGの初期状態時の各部
運転データ(各部初期運転データ)がサンプリングされ
る。
【0060】ステップS12では、標準化手段12によ
り、各部初期運転データの標準化が行なわれて、各部初
期標準化データが生成される。
【0061】ステップS13では、移動平均時間設定手
段14により、静定時間保持部14aに保持された静定
時間テーブルに基づいて、各部初期標準化データのそれ
ぞれについて移動平均時間の仮設定が行われる。具体的
には、各部運転データについて表3および表4の各運転
条件毎の静定時間の中で最長のものが当該各部運転デー
タを移動平均処理するための移動平均時間として仮設定
される。
【0062】例えば、出力OPについては、移動平均時
間は300秒と仮設定される。また、熱効率HEについ
ては300秒、排気温度ETについては350秒、圧縮
機出口温度CTについては200秒、圧縮機出口圧力C
Pについては200秒、CO,NOx濃度FPについて
は300秒、吸気流量SFについては50秒が移動平均
時間としてそれぞれ仮設定される。なお、移動平均時間
は前記に限定されるものではなく、ガスタービンGの規
模、各種センサの応答時間および制御系の時定数により
適宜決定されるものである。
【0063】ステップS14では、ステップS13で仮
設定された移動平均時間による、各部標準化データの移
動平均処理が実行される。
【0064】ステップS15では、移動平均時間修正部
14bにより、ステップS14における平均結果が所定
の変動幅に収まっているか否かが判定される。
【0065】より具体的には、前記仮設定された移動平
均時間により各部標準化データが移動平均処理され、こ
の処理結果の所定時間内の変動幅が、表8に示すような
データ変動幅以内であるか否かが判定される。例えば出
力OPであれば、出力OPについて仮設定された移動平
均時間により移動平均処理が実行され、算出された移動
平均結果の変動幅が定格出力の5%以内であるか否かが
判定される。
【0066】ここで、表8は、減速機回転数が3600
rpm、回転数が14000rpm、発電周波数が60
Hzである産業用中型ガスタービンにおいて、運転状態
診断のために各部運転データのそれぞれについて設定さ
れるしきい値と、許容誤差と、前記データ変動幅との関
係を示すものである。
【0067】このステップS15で、ステップS14に
おける移動平均結果が表8に示す前記データ変動幅に収
まっていない場合は、不適当な移動平均時間が仮設定さ
れているものとして、前記ステップS13に戻り、再度
移動平均時間を仮設定するようにして移動平均時間が修
正される。この移動平均時間の修正は、静定時間以外の
外乱因子(ノイズ)の影響が最も少なくなるような移動
平均時間を選定することにより行なう。
【0068】一方、各部移動平均データのデータ変動幅
が表8に示すデータ変動幅以内であれば、適当な移動平
均時間が仮設定されているものとしてステップS16に
進む。
【0069】
【表8】
【0070】ステップS16では、前記ステップS13
で仮設定された移動平均時間が最適な移動平均時間とし
て移動平均処理手段13に出力され、移動平均時間保持
部13aに保持される。
【0071】このように、実施形態1の診断装置Tによ
れば、ガスタービンGの運転状態を診断するためにサン
プリングされる各部運転データが、共通の運転条件にお
ける各部標準化データに変換されるとともに、初期運転
データを用いて、ガスタービンGの運転条件の変化によ
る各部運転データの変動が安定化するまでの静定時間に
基づいて各部標準化データのそれぞれを移動平均処理す
るための各移動平均時間が設定されるので、各部運転デ
ータから運転条件の変動による影響が除去され、通常運
転時に計測される各部運転データを用いてガスタービン
Gの性能劣化・故障発生を高精度に検出することができ
る。
【0072】また、移動平均時間設定の際には、機関の
回転による電気的ノイズが最も小さくなるように移動平
均時間が修正されるので、これらの誤差要因による影響
をも排除したより適切な移動平均時間の設定が可能とな
る。
【0073】実施形態2 図4に、本発明の実施形態2に係るガスタービン運転状
態診断システムBの概略構成を示し、図4(a)に示す
ガスタービン運転状態診断システムBは、ガスタービン
Gの運転状態を遠隔監視できるように、ガスタービンG
に設けられた検出部10からの各部運転データをインタ
ーネット通信網、電話回線、携帯電話などから構成され
る通信手段16を介して実施形態1の診断装置A内に送
信するようにしてなるものであり、同(b)に示すガス
タービン運転状態診断システムBは、ガスタービンGの
近傍に実施形態1の診断装置Aの運転データサンプリン
グ手段11を設けるとともに、この運転データサンプリ
ング手段11と、診断装置Aを構成する他の要素、すな
わち、標準化手段12、移動平均処理手段13、移動平
均時間設定手段14および運転状態診断手段15(以
下、診断装置Aの他の要素という)とを、インターネッ
ト通信網、電話回線、携帯電話などから構成される通信
手段16を介して接続するようにしてなるものである。
なお、その余の構成は実施形態1と同様とされる。
【0074】かかる構成のガスタービン運転状態診断シ
ステムBによると、ガスタービンGと離れた場所におい
て、運転状態の診断が実施可能となる。
【0075】このように、実施形態2のガスタービン運
転状態診断システムBによれば、ガスタービンGの運転
状態や性能劣化・故障発生を遠隔的に監視することがで
きるようになる。
【0076】
【実施例】以下、より具体的な実施例により本発明をよ
り具体的に説明する。
【0077】図5にガスタービンの各部運転データ、具
体的には標準化処理および移動平均処理が実施されてい
ない運転データ(出力OP)の変化の様子を経時的に示
す(比較例1)。同図に示すように、運転データは短期
間の変動幅が大きく、このような運転データを単純にし
きい値と比較するだけでは運転状態を精確に診断できな
いことは明らかである。
【0078】また、図6に、ガスタービンの各部標準化
データ、具体的には標準化処理が実施された運転データ
(出力OP)の変化の様子を経時的に示す(比較例
2)。同図に示すように、標準化データは、図5に示す
検出されたデータと比較してデータ変動幅が小さくなっ
ているものの、実際には故障などが発生していないにも
拘らず、運転時間が2000時間を超えたあたりからデ
ータがしきい値を下回っている。このように、この標準
化データとしきい値とを単純に比較することによっても
ガスタービンの性能劣化を精確に検出するのが困難であ
ることがわかる。
【0079】図7に、診断装置Aにより実際にガスター
ビンの各部運転データ、具体的には出力OPの計測結果
を処理した例を示す(実施例)。図7に示すように、診
断装置Aにより移動平均処理された移動平均データは分
散的な値とはならず、それがためしきい値との比較によ
り性能劣化または故障発生の検出が十分に可能な安定性
のあるデータとなる。
【0080】また、運転時間が5000時間を超えたあ
たりに出力OP値がしきい値を下回る時期があるが、こ
こで当該ガスタービンを点検した結果、吸気フィルタの
目詰まりという不具合が発生していることが確認され
た。したがって、計測された各部運転データとそれに対
応させたしきい値との比較だけで、高精度にガスタービ
ンの運転状態を診断できることが確認できるといえる。
【0081】以上、本発明を実施形態および実施例に基
づいて説明してきたが、本発明はかかる実施形態および
実施例に限定されるものではなく、種々改変が可能であ
る。例えば、実施形態および実施例においては、ガスタ
ービンを例に採り説明されているが、本発明の適用はガ
スタービンに限定されるものではなく、各種プロセス機
器に適用でき、例えばガスエンジンに対しても適用でき
る。また、移動平均時間設定処理は初期状態時に実施す
るとされているが、初期状態時に限定されるものではな
く、ガスタービンGの性能が正常であることが保証され
ている時期に実施されてもよく、例えばベンチテスト実
施時でもよい。また複数台のガスタービンを1台の診断
装置により診断するようにしてもよい。
【0082】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
運転条件の変動、これに追随してプロセス系が平衡状態
に達するまでの時間遅れ、および周期的・機械的な誤差
要因による影響を運転データから排除して、精度よくガ
スタービンの運転状態を診断することができるという優
れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るガスタービン運転状
態診断装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】同ガスタービン運転状態診断装置により実行さ
れる診断処理の手順を概略的に示すフローチャートであ
る。
【図3】移動平均時間設定処理の流れを示すフローチャ
ートである。
【図4】本発明の実施形態2に係るガスタービン運転状
態診断システムの概略構成を示すブロック図であって、
同(a)はガスタービンと診断装置とが通信手段を介し
て接続されてなる例を示し、同(b)は運転データサン
プリング手段と他の要素とが通信手段を介して接続され
ている例を示す。
【図5】プロセス量データの検出結果を示すグラフ図で
ある。
【図6】従来技術に係るプロセス量データの処理結果を
示すグラフ図である。
【図7】本発明の一実施例に係るプロセス量データの処
理結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
10 検出部 11 運転データサンプリング手段 11a サンプリング部 11b サンプリング周期保持部 12 標準化手段 12a 特性曲線/特性関数設定部 13 移動平均処理手段 13a 移動平均時間保持部 14 移動平均時間設定手段 14a 静定時間保持部 14b 移動平均時間修正部 15 運転状態診断手段 16 通信手段 A 診断装置 B ガスタービン運転状態診断システム G ガスタービン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 英一 明石市川崎町1番1号 川崎重工業株式会 社明石工場内 (72)発明者 佐藤 和憲 明石市川崎町1番1号 川崎重工業株式会 社明石工場内 (72)発明者 尾崎 嘉彦 明石市川崎町1番1号 川崎重工業株式会 社明石工場内 Fターム(参考) 5H223 AA02 BB01 DD07 EE06

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め設定された時間間隔によってサンプ
    リングされたガスタービンの各部の運転データを所定の
    処理により標準化して標準化データを作成し、該作成さ
    れた標準化データを移動平均処理して診断用データを作
    成し、該作成された診断用データに基づいてガスタービ
    ンの運転状態を診断することを特徴とするガスタービン
    運転状態診断方法。
  2. 【請求項2】 予め設定された時間間隔によってサンプ
    リングされたガスタービンの各部の運転データを所定の
    処理により標準化して標準化データを作成する手順と、 該作成された標準化データを移動平均処理して診断用デ
    ータを作成する手順と、 該作成された診断用データに基づいてガスタービンの運
    転状態を診断する手順とを含んでなることを特徴とする
    ガスタービン運転状態診断方法。
  3. 【請求項3】 ガスタービンの初期状態における運転デ
    ータを用いて標準化データを移動平均処理するための移
    動平均時間が設定されることを特徴とする請求項1また
    は2記載のガスタービン運転状態診断方法。
  4. 【請求項4】 移動平均時間が、ガスタービンの各種運
    転条件の変化による運転データの変動が静定するまでの
    静定時間に基づき設定されることを特徴とする請求項3
    記載のガスタービン運転状態診断方法。
  5. 【請求項5】 移動平均時間が、検出する各部の運転デ
    ータ毎に設定され、かつ各運転条件毎の静定時間の中で
    最長のものとされることを特徴とする請求項4記載のガ
    スタービン運転状態診断方法。
  6. 【請求項6】 静定時間に基づき設定される移動平均時
    間が、当該移動平均時間による平均結果が所定の変動幅
    に収まるように修正されることを特徴とする請求項4記
    載のガスタービン運転状態診断方法。
  7. 【請求項7】 運転データの標準化が、予め設定されて
    いる特性曲線または特性関数を利用してなされることを
    特徴とする請求項1または2記載のガスタービン運転状
    態診断方法。
  8. 【請求項8】 予め設定された時間間隔によって検出部
    により検出されたガスタービンの各部の運転データをサ
    ンプリングする運転データサンプリング手段と、 該運転データサンプリング手段によりサンプリングされ
    た運転データを所定の処理により標準化して標準化デー
    タを作成する標準化手段と、 該標準化手段により作成された標準化データを移動平均
    処理して診断用データを作成する移動平均処理手段と、 該作成された診断用データに基づいてガスタービンの運
    転状態を診断する運転状態診断手段とを備えてなること
    を特徴とするガスタービン運転状態診断装置。
  9. 【請求項9】 移動平均時間設定手段を備え、該移動平
    均時間設定手段は、移動平均処理手段が標準化データを
    移動平均処理するための移動平均時間をガスタービンの
    初期状態における運転データを用いて設定するものとさ
    れてなることを特徴とする請求項8記載のガスタービン
    運転状態診断装置。
  10. 【請求項10】 移動平均時間設定手段が、ガスタービ
    ンの各種運転条件の変化による運転データの変動が静定
    するまでの静定時間に基づいて移動平均時間を設定する
    ことを特徴とする請求項9記載のガスタービン運転状態
    診断装置。
  11. 【請求項11】 移動平均時間設定手段が、検出する各
    部の運転データ毎に移動平均時間を設定し、かつこの移
    動平均時間を各運転条件毎の静定時間の中で最長のもの
    とすることを特徴とする請求項10記載のガスタービン
    運転状態診断装置。
  12. 【請求項12】 移動平均時間設定手段が、ガスタービ
    ンの静定時間に基づき設定される移動平均時間を当該移
    動平均時間による平均結果が所定の変動幅に収まるよう
    に修正することを特徴とする請求項10記載のガスター
    ビン運転状態診断装置。
  13. 【請求項13】 移動平均処理手段が、設定された移動
    平均時間を保持することを特徴とする請求項8記載のガ
    スタービン運転状態診断装置。
  14. 【請求項14】 標準化手段が、特性曲線/特性関数設
    定部を有してなることを特徴とする請求項8記載のガス
    タービン運転状態診断装置。
  15. 【請求項15】 請求項8ないし請求項14に記載のガ
    スタービン運転状態診断装置を備えてなることを特徴と
    するガスタービン。
  16. 【請求項16】 ガスタービンと請求項8ないし請求項
    14に記載のガスタービン運転状態診断装置とが、通信
    手段を介して接続されてなることを特徴とするガスター
    ビン運転状態診断システム。
  17. 【請求項17】 ガスタービンが複数台とされてなるこ
    とを特徴とする請求項16記載のガスタービン運転状態
    診断システム。
  18. 【請求項18】 請求項8ないし請求項14に記載のガ
    スタービン運転状態診断装置の運転データサンプリング
    手段と他の要素とが通信手段を介して接続されてなるこ
    とを特徴とするガスタービン運転状態診断システム。
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