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JP2002053859A - 土壌保水材及びそれを用いた土壌改良方法 - Google Patents

土壌保水材及びそれを用いた土壌改良方法

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Publication number
JP2002053859A
JP2002053859A JP2000238513A JP2000238513A JP2002053859A JP 2002053859 A JP2002053859 A JP 2002053859A JP 2000238513 A JP2000238513 A JP 2000238513A JP 2000238513 A JP2000238513 A JP 2000238513A JP 2002053859 A JP2002053859 A JP 2002053859A
Authority
JP
Japan
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water
soil
ion
mass
absorbing material
Prior art date
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Pending
Application number
JP2000238513A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Kawanaka
聡 川中
Yoshio Nakai
美穂 中井
Norihiro Naito
宣博 内藤
Satoko Wada
里子 和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2000238513A priority Critical patent/JP2002053859A/ja
Publication of JP2002053859A publication Critical patent/JP2002053859A/ja
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  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 二価以下の金属塩の濃度に影響を受けず、生
分解性を有する土壌保水材を提供する。 【解決手段】 ガラクトマンナン、ホウ素イオン、及び
ホウ素イオン以外の三価以上の多価金属イオンから成
り、二価以下のカチオン水溶液吸水能が自重の40倍以
上であり、且つ吸水後のゲル強度が2×10-5N/mm
2以上である吸水材を50質量%以上含有する土壌保水
材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、栽培ほ場、都市緑
地、街路樹、高速道路の分離帯、花壇、森林、農園芸用
土壌、家庭用植木鉢、プランターなど各種の埴土に混
合、埋設し、土壌の保水、貯水能力を向上させ、治水力
の向上、自然降雨の有効利用などを図るために用いられ
る土壌保水材及びこれを用いた土壌の改良方法に関す
る。更に詳しくは、土壌に石灰や苦土などの二価以下の
多価金属塩を含有する肥料を散布した場合、或いは自然
界において、良好な保水性を有する土壌に改良すること
ができ、なお且つそれ自体は生分解性を有するので環境
負荷を低減できる土壌保水材及びこれを用いた土壌改良
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】吸水材を土壌などと混合し、その吸水・
保水性を利用して植物の生育や活着、発芽などを助長す
る方法として、例えば、砂など単体に吸水材を付着させ
たものを土壌と混合する方法(特開昭56−5022号
公報)、土壌と吸水材及び水溶性高分子などを混合する
方法(特開昭56−8619号公報)、粒径の大きな吸
水材を使用する方法(特開昭57−25383号公
報)、吸水材とイオン封鎖剤を混合した土壌改質剤(特
開昭56−99281号公報)、ポリアクリル酸部分中
和物とゼオライト、有機肥料から成る土壌保水材(特開
平5−339567号公報)、コーヒー粕と吸水材から
成る土壌保水材(特開平5−43874号公報)などが
提案されている。
【0003】しかしながら、これらの方法に使用されて
いる吸水材は、アクリル酸塩系やデンプン−アクリル酸
(塩)共重合体などに代表される合成高分子アニオン系
の吸水材が一般的であり、植物の生育に不可欠な肥料、
特にカルシウムやマグネシウムイオンを多量に含む石灰
や苦土といった肥料を添加した場合、構造中にカルボキ
シル基を有するポリアクリル酸系ポリマーなどは、二価
のカチオン(カルシウムやマグネシウム)に対して即座
に反応し、架橋してしまうため、このようなイオンを含
む水、例えばセメント水、地下水、土壌滲出水、河川
水、海水などに対する吸水性能は脱イオン水に対する吸
水能に比べて極度に低下する。例えば、0.05質量%
の塩化カルシウム水溶液に対するポリアクリル酸系吸水
材の吸水性能は、自重の1〜10倍であり、もはや吸水
材ではない。また一度脱イオン水を吸水させたポリアク
リル酸系ポリマーゲルにカルシウムを加えると、ポリマ
ーが架橋し、その架橋程度に伴ってゲル中の水分が放出
されてしまい、吸水材として機能しなくなる。更に、特
開昭56−99281号公報の方法では、使用するイオ
ン封鎖剤はキレート化合物やトリポリリン酸ソーダのよ
うな化合物であり、添加初期はこれらのイオン封鎖剤の
効果によりある程度膨潤性は維持するものの、長期的に
は添加したイオン封鎖剤の吸着能を越える量の金属塩が
供給されるため、上記と同様に殆ど水を吸収しない樹脂
に変化してしまうといった問題点があった。
【0004】このような二価以下のカチオンとの結合を
抑制するような土壌保水材として、例えばノニオン性の
水溶性エチレン性不飽和単量体とアニオン性の水溶性エ
チレン不飽和単量体から構成された土壌保水材(特開平
10−191777号公報)が知られている。この保水
材は土壌中のカルシウムやマグネシウムと反応しないノ
ニオン性の吸水材であるが、上記の合成高分子アニオン
系吸水材と同様に生分解性を有しないので、環境中に残
存し新たな環境汚染を引き起こす可能性があった。
【0005】従来土壌保水材として使用されてきた合成
高分子系吸水材であるポリアクリルアミドやポリアクリ
ル酸の安全性については完全に証明されておらず、これ
らのモノマー(アクリル酸やアクリルアミド)は神経毒
性や発癌性、変異原性を有していることが指摘されてい
る。すなわちこれらのポリマー中に未反応のモノマーが
残存していないという保証はなく、また廃棄されたポリ
マーが環境中で紫外線や環境中の微生物によりどのよう
な修飾を受けてどのような化合物に変化するのかは確認
されていないため、ポリアクリル酸やポリアクリルアミ
ドを含んだ土壌が植物、動物にとって安全性なものであ
るとは言い難い[倉根隆一郎ら、機能材料、19巻、1
0月号、1999年、24〜34ページ]。
【00006】また、ポリアクリル酸系吸水材などのア
ニオン性吸水材の脱イオン水吸水能は数百倍から千倍と
非常に優れている。しかしながら、これらの吸水材の塩
化ナトリウム水溶液吸水能、例えば生理食塩水(0.9質
量%塩化ナトリウム水)吸水能はカタログなどの数値か
ら引用すると自重の50〜75倍程度しかなく、脱イオ
ン水吸水能の1/5〜1/10程度しかないものがほと
んどである。さらに塩化ナトリウム濃度の高い水溶液、
例えば海水に対しては自重の20〜25倍程度の吸水能
しか有しない。
【0007】このように構造中にカルボキシル基を含む
アニオン性の吸水材を土壌保水材として使用する場合
は、土壌中に含まれるナトリウム、カリウム、カルシウ
ム、マグネシウムなどの二価以下のカチオンに対して大
きく影響を受けやすいため、安定した吸水性能が得られ
ないなどの問題があった。
【0008】近年、「地球にやさしい素材」として生分
解性ポリマーが注目されており、これを吸水材として使
用することが提案されている。生分解性を有する吸水材
としては、例えばポリエチレンオキシド架橋体(特開平
6−157795号公報など)、ポリビニルアルコール
架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋体(米国特許
4650716号)、アルギン酸架橋体、澱粉架橋体
(特開昭55−15634号公報)、ポリアミノ酸架橋
体(特開平7−224163号公報、特開平7−309
943号公報、特開平8−59820号公報、特開平8
−504219号公報、特開平9−169840号公報
など)、ガラクトマンナン−金属イオン架橋体(特開平
8−59891号公報、特公平3−66321号公報、
特開昭56−97450号公報)などが知られている。
【0009】ところで、非生分解性の合成高分子系吸水
材と比較した場合、前述した生分解性を有する吸水材は
環境中で分解するので安全である反面、吸水性能が低
く、またコストも高いため土壌保水材としては使われて
いなかった。
【0010】ポリアスパラギン酸やポリグルタミン酸か
ら成る生分解性吸水材が多数開示されている。これらの
吸水材は自重の数百〜数千倍の脱イオン水を吸水でき、
生分解性を有するため注目されている。しかしながら原
料となるアミノ酸は高価であり、ポリグルタミン酸の場
合は放射線架橋したり、ポリアスパラギン酸の場合には
製造工程が多く複雑であるため、これらの吸水材のコス
トは非常に高価である。また上述のように、構造中にカ
ルボキシル基を有するため、ポリアクリル酸系吸水材な
どと同様に被吸水液中のナトリウムやカルシウムイオン
濃度に対して吸水性能が影響を受けるため、生理食塩水
に対する吸水量は40〜50倍程度である。さらにこれ
らの公報にはゲル強度について触れていないため、これ
らアミノ酸系吸水材が土壌中の水分を吸水した後、その
土壌が農園芸用など目的に応じた土壌強度を有している
かどうかは不明である。
【0011】多糖類と多価金属イオン、特にガラクトマ
ンナンとチタン又は/及びホウ素イオンから成る吸水材
としては、ガラクトマンナン(グアガム)とチタン又は
ジルコニウムイオンから成る吸水材(米国特許5532350
号)やcis-1,2-ジオールを含む多糖類とホウ酸ナトリウ
ムから成る吸水材(米国特許4333461号)がある。
【0012】米国特許5532350号では実施例としてカル
ボキシメチル化ガラクトマンナンとチタンイオン或いは
ジルコニウムイオン又は両イオンによる架橋によって生
理食塩水吸水量を自重の30〜50倍程度吸水する能力
有することは開示されているものの、未修飾のガラクト
マンナンとチタンイオン及びホウ素イオンから成る吸水
材の吸水効果は何ら示されていない。上記公報によると
カルボキシメチル化ガラクトマンナンとチタンイオンか
ら成る吸水材は生理食塩水吸水能が優れているもののゲ
ル強度が弱い。一方、カルボキシメチル化ガラクトマン
ナンとジルコニウムイオンから成る吸水材はゲル強度が
高いものの吸水能は低いと記述されている。このためチ
タンイオンとジルコニウムイオンをカルボキシルメチル
ヒドロキシプロピル化ガラクトマンナンと架橋し、ゲル
強度と吸水能に優れた吸水材を開示しているが、その吸
水能は生理食塩水で38g/gと決して高いものではな
く、さらにカルボキシメチルヒドロキシプロピル化グア
ガムは非常に高価なために土壌保水材として用いるのは
不適当であり、実用化するには問題があった。
【0013】また米国特許4334461号においてはガラク
トマンナンとホウ酸ナトリウムから成る吸水材を作成し
生理食塩水吸水能を測定しているが、チタンイオンをさ
らに架橋させた吸水材に関する効果については何ら開示
されていない。発明者らも実施例に基づいてガラクトマ
ンナンとホウ素イオンから成る吸水材を作成し吸水能を
測定したところ、生理食塩水吸水能は50〜70倍有し
ているものの、ゲル強度が非常に弱く、不織布やナイロ
ンバッグからゲル漏れが生じ、土壌保水材として実用化
できるようなものではなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な問題を解決し、生分解性を有し、植物の養分として必
要なナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム
などの二価以下のカチオンを含んだ土壌に対して安定し
た吸水・保水性能とゲル強度を有し、安価な土壌保水材
を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究し
た結果、ガラクトマンナン、ホウ素イオン、及びホウ素
イオン以外の三価以上の多価金属イオンから成る吸水材
を含む土壌保水材が、カルシウム、マグネシウム、ナト
リウム、カリウムを含む土壌においても安定で優れた吸
水・保水性能とゲル強度を有すること、その土壌保水材
が土壌中において優れた生分解性を有することを見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明はガ
ラクトマンナン、ホウ素イオン、及びホウ素イオン以外
の三価以上の多価金属イオンから成り、二価以下のカチ
オン水溶液吸水能が自重の40倍以上であり、且つ吸水
後のゲル強度が2×10-5N/mm2以上である吸水材
を50質量%以上含有する土壌保水材を要旨とするもの
である。なお本発明における二価以下のカチオン水溶液
とは、一価(ナトリウム、カリウムなど)又は二価のカ
チオン(マグネシウム、カルシウムなど)のみが溶解さ
れた水溶液だけでなく、他の電解質が二価以下のカチオ
ンと共に溶解或いは他の無機物(土砂、セメントなど)
や有機物(タンパク質、炭水化物、汚泥、植物、紙類な
ど)が溶解、懸濁している液体(例えば井戸水、水道
水、雨水、地下水、河川水、湖沼水、海水、中下水、汚
泥水、土壌表流水など)も含むものとする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の土壌保水材はその50質
量%以上にガラクトマンナン、ホウ素イオン及びホウ素
イオン以外の三価以上の多価金属イオンからなる吸水材
を含むことが必要である。
【0017】本発明に用いることが出来るガラクトマン
ナンは、ホウ素イオン及びホウ素イオン以外の三価以上
の多価金属イオンと架橋でき、その乾燥物が二価以下の
カチオン水溶液を自重の40倍以上吸水でき、且つ吸水
後のゲル強度が2×10-5N/mm2以上であるもので
あれば特に限定されるものではない。例えば、ローカス
トビーンガム、グアガムが挙げられるが、安価であるこ
とからグアガムが好ましい。これらは単独でホウ素イオ
ン及びホウ素イオン以外の三価以上の多価金属イオンと
架橋させてもよいが、2種以上のガラクトマンナン又は
その誘導体を混合してから架橋させてもよい。グアガム
と混合可能なガラクトマンナン又はその誘導体として
は、カルボキシルメチルガラクトマンナン、カルボキシ
メチルヒドロキシプロピルガラクトマンナンやローカス
トビーンガムなどが挙げられ、こらのグループから選ば
れる1種以上のガラクトマンナン又はその誘導体を全ガ
ラクトマンナンの50質量%以下の範囲で加えてからホ
ウ素イオン及びホウ素イオン以外の三価以上の多価金属
イオンで架橋してもよい。しかしながら、前述のように
吸水材の構造中にカルボキシル基を含有すると二価以下
のカチオン濃度に対して吸水能が影響を受け、低下する
ので、これらの混合割合は全ガラクトマンナンの10質
量%以下が好ましく、さらに好ましくは5質量%以下で
ある。ガラクトマンナンの分子量は1万以上が好まし
く、より好ましくは5万以上である。分子量が1万以下
の場合は金属イオンで架橋してもゲルを形成しないので
不適当である。
【0018】本発明において、吸水材を作成する場合の
ガラクトマンナンの水への膨潤濃度は、ガラクトマンナ
ンが水に均一に膨潤が可能でホウ素イオンやホウ素イオ
ン以外の三価以上の金属イオンとの架橋時にゲルが容易
に作成できる濃度であれば特に限定されるものではない
が、好ましくは0.1質量%〜10質量%、さらに好ま
しくは0.5質量%〜3質量%である。またこの時の膨
潤温度はガラクトマンナンが膨潤でき、熱分解により分
子量の低下を招かない温度であれば特に限定されるもの
ではないが、好ましくは5℃〜80℃、さらに好ましく
は20〜60℃である。ガラクトマンナンの膨潤に関わ
る時間はガラクトマンナンの膨潤濃度や膨潤温度により
適宜変わる。
【0019】本発明の土壌保水材中の主成分である吸水
材をガラクトマンナンと架橋するために用いる架橋剤
は、少なくともホウ素イオン及びホウ素イオン以外の三
価以上の多価金属イオンを含むことが必要である。ホウ
素イオン以外の三価以上の多価金属イオンとしては、チ
タンイオン、ジルコニウムイオン、アルミニウムイオ
ン、イットリウムイオン、セリウムイオンが挙げられる
が、安価で安全性が高いことからチタンイオンが最も好
ましい。ホウ素イオン及びチタンイオンの形態としては
特に限定しないが、チタンイオンに関しては水溶液での
pHが中性付近であり、安定性が高いことからアルコキ
シド化合物が好ましく、ホウ素イオンに関しては安価な
ことから四ホウ酸ナトリウムが好ましい。チタンイオン
のアルコキシド化合物としては、デュポン社の製品にTy
zor131、TyzorTE(チタニウムIV トリエタノールアミ
ネート イソプロポキシド)、TyzorAA(チタニウムIV
ジイソプロポキシド ビスアセチルアミネート)、Ty
zorGBA、TyzorTOT(チタニウムIV テトラ−2−エチル
ヘキソキシド)、TyzorTPT(チタニウムIV テトライソ
プロポキシド)、ニッソー社の製品にTAT(チタニウムI
V ジ−n−ブトキシビストリエタノールアミネー
ト)、TOG(チタニウムIV イソプロポキシオクチレン
グリコレート)などが挙げられる。
【0020】本発明に用いられる架橋剤は、少なくとも
ホウ素イオン及びホウ素イオン以外の三価以上の金属イ
オンを含むことが必要であるが、生分解性、吸水能力及
びゲル強度の低下を招かない範囲であれば他の架橋剤、
例えばグルタルアルデヒド、グリオキサールなどのアル
デヒド化合物、エチレンジアミン、ポリアミドレジンな
どのアミン化合物、2,2-ビスヒドロキシメチルブタノー
ルトリ[3-(1-アジリジン)]プロピオン酸などのアジリジ
ン化合物、トリレンジイソシアナート、ヘキサメチレン
ジイソシアナート、トルエンジイソシアナートなどのイ
ソシアナート化合物、グリセロール、プロピレングリコ
ール、エチレングリコールなどの多価アルコール、エピ
クロルヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエー
テル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルなど
のエポキシ化合物などと混合して用いることも可能であ
る。
【0021】ガラクトマンナンゾルの架橋に用いられる
金属イオン濃度は、ホウ素イオンとホウイオン素以外の
三価以上の多価金属イオンにより吸水量が自重の40倍
以上、吸水後のゲル強度が2×10-5N/mm2以上を
有する乾燥物が作成できる範囲であればよい。吸水後の
ゲル強度が2×10-5N/mm2未満では、吸水後のゲ
ルは高い流動性を有するために、土中に浸透拡散してし
まい、保水材としての役目が弱まる。また、そのような
土壌の上を踏み歩くと、土壌自体が流動性を有するの
で、安定性が悪い土壌となる。ホウ素イオンに関しては
グアガム質量1kg当たり10〜2,000ミリモルが
好ましく、50〜1,000ミリモルが特に好ましい。
ホウ素イオン以外の三価以上の多価金属イオンに関して
は、金属イオンの種類やその形態によって適宜異なる
が、グアガム質量1kg当たり概ね1〜120ミリモル
が好ましく、10〜60ミリモルが特に好ましい。ガラ
クトマンナンとホウ素イオン及びホウ素イオン以外の三
価以上の多価金属イオンとの架橋ゲルを形成させるとき
の温度は特に限定されないが、反応を促進させるために
も5〜90℃が好ましく、20〜50℃がさらに好まし
い。90℃以上ではガラクトマンナンの熱分解により低
分子化が起こり、5℃以下では膨潤しない。
【0022】また場合によっては、架橋後のゲルを回転
刃付きのブレンダーなどで破砕し、ゲル粒子表面を再
度、架橋剤で架橋してゲル強度を向上させたりすること
も可能である。この場合に用いる架橋剤としては前述の
ホウ素イオン或いはホウ素イオン以外の三価以上の多価
金属イオンが好ましい。
【0023】ガラクトマンナン−ホウ素イオン−ホウ素
イオン以外の三価以上の多価金属イオンで架橋したゲル
を乾燥する方法としては、乾燥後の吸水能、吸水速度、
吸水後のゲル強度を低下させるような方法でなければい
かなる乾燥方法でもよいが、例えば常温乾燥、加熱乾燥
や凍結乾燥、減圧乾燥、真空乾燥などの方法のほかに、
ゲル中の水分を炭素数1〜5個の一価のアルコール類
(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)や
炭素数3〜6個のケトン(アセトンなど)又はこれらの
混合液のような吸湿性、揮発性の無水親水性有機溶媒に
置換してから乾燥する方法があるが、好ましくは30〜
50℃での加熱乾燥又は凍結乾燥である。
【0024】乾燥後の吸水材の形状は特に限定されるも
のではないが、使用する目的に合わせて種々の形状とす
ることができる。例えば、顆粒状、シート状、粉末状、
断片状、薄片状、棒状、線状などである。これらの形状
は乾燥後に成形されてもよいし、乾燥時にゲルをこのよ
うな形状の成形器内に入れて乾燥してもよい。
【0025】本発明の土壌保水材は、上記吸水材を50
質量%以上含有することが必要である。吸水材の含有量
が50質量%未満では、0.05〜10質量部を土壌1
00質量部に加えても充分な保水効果が発揮されない。
本発明の土壌保水材は、さらに必要に応じて、土壌保水
材中50質量%以下の範囲であれば、消臭剤、香料、骨
材、吸水性無機物、発泡剤、体質顔料、染料、抗菌剤、
発泡剤、農薬殺虫剤、殺菌剤、除草剤、土壌改質材、親
水性短繊維、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化
剤、還元剤、水、塩類等を添加し、これにより、吸水材
に種々の機能を付与した土壌保水材としてもよい。骨材
としてはケイ砂、寒水石、陶磁器質細粒、色粉、パーラ
イト、バーミキュライトなどの軽質骨材などを、土壌保
水材中に1〜30質量%程度加えると固化強度が向上す
るので好ましい。体質顔料としては炭酸カルシウム、炭
酸ナトリウム、沈降性硫酸バリウム、クレー、タルクな
どを土壌保水材中に0.1〜50質量%、好ましくは1
〜30質量%の範囲で添加すると固化後の強度が向上す
る。吸水性無機粉末としては、水に対して適度な親和性
を有し、かつ、水に不溶もしくは難溶であり、土壌保水
作用を促進(固化速度の向上、固化強度の向上など)す
るようなものであるものが好ましい。具体的には、例え
ば、二酸化珪素や酸化チタン等の金属酸化物、天然ゼオ
ライトや合成ゼオライト等の珪酸(塩)、カオリン、タ
ルク、クレー、ベントナイト、モレキュラーシーブ、シ
リカゲル、アルミナゲル、多孔質ガラス等が挙げられ
る。このうち、二酸化珪素および珪酸(塩)がより好ま
しい。吸水性無機粉末の使用量は、無機粉体の種類や粒
子の大きさ等にもよるが、土壌保水材に対し0.01〜
20質量%の範囲内、より好ましくは0.1〜5質量%
の範囲内とすることが好ましい。土壌保水材中の吸水材
とこれら骨材、体質顔料、吸水性無機粉体などとの混合
方法は、特に限定されるものではなく、例えばドライブ
レンド法、湿式混合法等を採用できるが、ドライブレン
ド法を採用するのが好ましい。
【0026】本発明の土壌保水材を使用する方法として
は、例えば、使用する土壌に本発明の土壌保水材を、土
壌100質量部に対して0.05〜10.0質量部混合
する方法;植林などの際に植林する穴に本発明の土壌保
水材を添加する方法;ゴルフ場・公園などの芝の活着の
ために本発明の土壌保水材を、活着させたい土壌に少量
散布しトラクターなどで土壌と混合してその上に芝を敷
き詰める方法;などを例示することができる。
【0027】本発明の土壌保水材は、必要により各種肥
料(窒素系肥料、リン酸質肥料、カリ質肥料、石灰、苦
土など)と混合した後、上記の様に土壌に添加・混合し
てもよいし、本発明の土壌保水材を土壌に添加・混合し
た後、必要により各種肥料を添加して植物の生長・活着
などを助長してもよい。
【0028】
【実施例】以下実施例にて本発明を具体的に説明する
が、本発明は本実施例に限定されるものではない。な
お、土壌保水材として使用する吸水材の吸収量、吸水材
を使用した土壌保水材を用いた場合のトマトの成育度合
い、芝の活着度合いを下記の方法で試験した。
【0029】1.吸水量の測定 吸水量の測定は、ティーバッグ法にて脱イオン水、0.
9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)、0.5
質量%塩化カルシウム水溶液、海水、肥料溶液(市販の
園芸用肥料ハイポネックス原液〔窒素/リン酸/カリウ
ム:5/10/5、ハイポネックスジャパン社製〕4m
l、無水塩化カルシウム0.2g、及び水道水996g
からなる)を用いて行った。すなわち、250メッシュ
のナイロン製ティーバッグに吸水材1gを入れ、1Lの
各水溶液にティーバッグを3時間浸し、ティーバッグを
引き上げ、10分間水切りを行った後、その質量を測定
した。吸水材の吸水量は、3時間水に浸した吸水材が入
っていないティーバッグの質量をブランクとし、吸水し
て膨潤した吸水材が入ったティーバッグの質量から、膨
潤前の吸水材の質量とブランクの質量を減じた値を、膨
潤前の吸水材の質量で除した値を吸水量(g/g樹脂)
とした。
【0030】2.自由吸水下でのゲル強度の測定 自由吸水下でのゲル強度の測定は、予め測定して得た吸
水倍率に従って500〜1,000μmに篩い分けた吸
水材粒子を攪拌しながら各種被吸収液に浸して3時間自
由吸水させ、サイエンティフィク社のレオメトリック
SR−5000を用いて1Hz、室温にて粘弾性G*を
測定し、その数値をゲル強度とした。
【0031】3.トマトの生育度合い試験 1m×50cm×深さ50cmのプラスチック性のプラ
ンターに、砂質土壌100kgを入れた。砂質土壌10
0kgに土壌保水材5kgを加え、さらに化学肥料(窒
素:リン酸:カリ=1:1:1)5kg、石灰3kg、
苦土3kgを加え、十分に混合した土壌を、砂質土壌の
入ったプランターの上に積層し、背丈約15cmのトマ
ト苗5本を移植した。3日おきに1kgのイオン交換水
を潅水し、60日間のトマトの成育状況をトマトの収量
で観察した後、トマトを栽培した土壌を取り出してその
状態を観察した。生育度合いは、各土壌で60日間生育
させたトマト苗5本の平均質量を秤量し、保水材の状態
は、土壌中の吸水材粒子の状態を目視観察した。
【0032】4.芝の活着度合い試験 1m×1.5mの砂質土壌100kgに、土壌保水材4
kg、さらに化学肥料5kg及び石灰2kgを散布し、
耕運機を用いて20cmの深さまで耕し、土壌保水材、
肥料を混合した後、20×30cmの市販の芝シート2
0枚を敷き詰め、5日毎に1kgのイオン交換水を潅水
し、30日後の芝の活着状況を芝の色、芝の伸び具合な
どを目視観察し、5段階評価(良好、やや良い、普通、
やや悪い、悪い)した。保水材の状態は、土壌中の吸水
材粒子の状態を目視観察した。
【0033】実施例1 グアガム(大日本製薬社製 PF-20)4gとタルク(石
津製薬社製)40mgを50℃に加温した純水200m
l(固形分濃度2質量%)に攪拌しながら添加し、溶解
・膨潤させゾル液を作成した。1時間膨潤後、そのゾル
液200mlにTyzor131溶液を最終的なチタン
イオン含有量がグアガム質量1kg当たり30ミリモ
ル、0.5Mの四ホウ酸ナトリウム十水和物水溶液を最
終的なホウ素イオン含有量が500ミリモルになるよう
にそれぞれ添加し、ブレンダーで破砕混合しながら充分
に架橋させた。これらのゲルのpHは9.0±0.1に
なるよう調製した。このゲルを凍結乾燥させ、得られた
乾燥物を窒素流下において鑢で1mm以下に破砕し、得
られた吸水材の断片について吸水量及びゲル強度(ゲル
粘弾性G*)の測定を行った。その結果、本実施例の吸水
材は、脱イオン水吸水量が90g/g、生理食塩水吸水
量が91g/g、0.5質量%塩化カルシウム水溶液吸
水量が85g/g、海水吸水量が87g/gであった。
ゲル強度については、脱イオン水のときが8.5×10
-5N/mm2、生理食塩水のときが8.7×10-5N/
mm2、0.5質量%塩化カルシウム水溶液のときが
9.5×10-5N/mm2、海水のときが9.45×1
-5N/mm2であった。また、肥料溶液に対する吸水
量は58g/gであり、ゲル強度は1.875×10-4
N/mm2あった。上記作成した吸水材からなる土壌保
水材を用いて、トマトの生育度合い試験、及び、芝の活
着度合い試験を行った。結果を表1に示した。
【0034】比較例1 市販ポリアクリル酸系吸水材(三洋化成社製、商品名サ
ンフレッシュST−100)を土壌保水材として用い、
トマトの生育度合い試験、及び、芝の活着度合い試験を
行った。結果を表1に示した。
【0035】比較例2 土壌保水材用いないで、トマトの生育度合い試験、及
び、芝の活着度合い試験を行った。結果を表1に示し
た。
【0036】
【表1】
【0037】表1から明らかなように、本発明の土壌保
水材を用いた実施例1のトマト苗の生育度合いが比較例
1又は2に比べて非常に良く、土壌中の保水材も60日
後には完全に生分解されて消失していた。また、本発明
の土壌保水材を用いた実施例1の芝の活着度合いが比較
例1又は2に比べて非常に良く、土壌中の保水材も30
日後には完全に生分解されて消失していた。
【0038】
【発明の効果】本発明の土壌保水材は生分解性を有し、
カルシウムやマグネシウムなどの二価以下のカチオンを
含む土壌に対しても安定な吸水性能及びゲル強度を有し
ている。本発明の保水材を用いた改良土壌を使用するこ
とにより、土壌の保水性が向上し、結果として植物の生
育度合いが良好になる。上記効果を奏することから、本
発明の土壌用保水材は、砂丘や砂漠、市街地、山野など
の植林、畑作、家庭菜園、プランター等での家庭園芸、
ゴルフ場での芝の施工、公園等の緑化など各種用途に有
用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 里子 京都府宇治市宇治小桜23 ユニチカ株式会 社中央研究所内 Fターム(参考) 4H026 AA10 AB01 4J002 AB051 DK006 EC076 FD146 GA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラクトマンナン、ホウ素イオン、及び
    ホウ素イオン以外の三価以上の多価金属イオンから成
    り、二価以下のカチオン水溶液吸水能が自重の40倍以
    上であり、且つ吸水後のゲル強度が2×10-5N/mm
    2以上である吸水材を50質量%以上含有する土壌保水
    材。
  2. 【請求項2】 ガラクトマンナンが未修飾グアガムであ
    る請求項1記載の土壌保水材。
  3. 【請求項3】 ホウ素イオン以外の三価以上の多価金属
    イオンがチタンイオン、ジルコニウムイオン、セリウム
    イオン、イットリウムイオンから成る群から選ばれる1
    種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の土
    壌保水材。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の土壌保
    水材を、土壌100質量部に対して0.05〜10質量
    部添加することを特徴とする土壌の改良方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8486854B2 (en) 2003-09-29 2013-07-16 Archer Daniels Midland Company Polysaccharide phyllosilicate absorbent or superabsorbent nanocomposite materials

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