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JP2001316265A - オザグレルナトリウム含有注射液およびその安定化方法 - Google Patents

オザグレルナトリウム含有注射液およびその安定化方法

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JP2001316265A
JP2001316265A JP2001042706A JP2001042706A JP2001316265A JP 2001316265 A JP2001316265 A JP 2001316265A JP 2001042706 A JP2001042706 A JP 2001042706A JP 2001042706 A JP2001042706 A JP 2001042706A JP 2001316265 A JP2001316265 A JP 2001316265A
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JP
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ozagrel sodium
propylene glycol
polyhydric alcohol
sodium
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Tomoko Akamatsu
智子 赤松
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NOMUKO MEDICAL KK
Nisshin Oillio Group Ltd
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NOMUKO MEDICAL KK
Nisshin Oil Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存安定性の良いオザグレルナトリウム含有
注射液およびその安定化方法を提供する。 【解決手段】 オザグレルナトリウム溶液に適当な多価
アルコールを添加・配合することにより、長期保存およ
び熱的に過酷な条件下において注射液中の不溶性異物の
生成を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オザグレルナトリ
ウムおよび多価アルコールを含有するオザグレルナトリ
ウム含有注射液およびその安定化方法に関する。特に、
本発明の注射液は長期間保存しても不溶性異物を生じる
ことはない。
【0002】
【従来の技術】イミダゾール誘導体であるオザグレルナ
トリウム(化学名:ソディウム(E)−3−[p−(1H
−イミダゾール−1−イルメチル)フェニル]−2−プロ
ペノエート)はトロンボキサン合成酵素阻害剤として研
究開発された薬剤であり、クモ膜下出血後の脳血管攣縮
およびこれに伴う脳虚血症状、並びに脳血栓症(急性
期)に伴う運動障害の改善に使用されている。
【0003】例えば、オザグレルナトリウムは、クモ膜
下出血後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状の改
善には、通常成人における1日量である80mgを適当量
の電解質または糖液に溶解後、24時間かけて静脈内に
持続投与される。脳血栓症(急性期)に伴う運動障害の
改善には、通常成人における1回量である80mgを適当
量の電解質液または糖液に溶解後、2時間かけて1日2
回、持続静注される。
【0004】しかし、オザグレルナトリウムは20mgの
凍結乾燥品のバイアルでのみ販売されており、成人にお
ける1回量であるオザグレルナトリウム80mgを投与す
るためには使用前に20mgバイアル4本を溶解しなくて
はならず、医療の現場において非常に手間がかかるとい
う問題が指摘されていた。更に、凍結乾燥品には液剤に
比べ異物検査において異物を発見し難いという問題があ
る。
【0005】また、オザグレルナトリウム溶液をガラス
製容器に充填して保存すると不溶性異物が生じるという
ように、オザグレルナトリウム溶液は保存安定性に欠け
るということが問題となっていた。
【0006】不溶性異物の発生という点において、特開
平8−92102号公報では、ビスホスホン酸注射液に
有機酸緩衝剤成分を添加・配合することにより熱安定性
を向上させ、不溶性異物の発生を抑えることに成功して
いるが、特開平8−92102号公報は、等張化剤とし
て添加したD−マンニトールやグリセリンなどの多価ア
ルコールが等張化作用だけでなく、不溶性微粒子の発生
を抑制する効果がある旨記載している。しかし、オザグ
レルナトリウム含有注射液のアンプル保存中における不
溶性異物の発生を抑制する方法については、これまでに
全く知られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、使用前に溶解する手間を必要とせず、保存安定性に
優れたオザグレルナトリウム含有注射液およびその安定
化方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
達成するため鋭意研究を重ねた結果、オザグレルナトリ
ウム溶液に適当な多価アルコールを添加・配合すること
により、ガラス容器中での長期保存および熱的に過酷な
条件下においても注射液中の不溶性異物の形成を抑制す
ることができることを見出した。即ち、本発明は、長期
間保存しても不溶性異物を生じないオザグレルナトリウ
ム含有注射液およびその安定化方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の注射液の有効成分である
オザグレルナトリウムは、次の化学構造式:
【化1】 で表される。かかるオザグレルナトリウム製剤は、例え
ば凍結乾燥品が商品名:キサンボン(20mgバイアル;
キッセイ薬品工業株式会社)およびカタクロット(20
mgバイアル;小野薬品株式会社)として市販されてい
る。
【0010】本発明の注射液に適する多価アルコール
は、プロピレングリコール、グリセリン(例えば濃グリ
セリン)、デキストラン40、D−マンニトール、D−
ソルビトール、イノシトール、キシリトール、ポリエチ
レングリコール(例えば、マクロゴール400)、果糖
およびブドウ糖である。これらから選択される多価アル
コールを単独でも2種以上組み合わせて使用してもよい
が、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレン
グリコールまたはこれらの組合せが好ましい。これら多
価アルコールの注射液中の量は、アルコールにより異な
るが、例えばプロピレングリコールでは6w/v%〜10
0%、好ましくは6〜50w/v%、さらに好ましくは6
〜30w/v%であり、グリセリンでは5w/v%〜100
%、好ましくは5〜50w/v%、さらに好ましくは5〜
30w/v %であり、ポリエチレングリコールでは4w/
v%〜100%、好ましくは4〜50w/v%、さらに好
ましくは4〜30w/v%である。なお、本明細書におい
て多価アルコール100%とはオザグレルナトリウムを
多価アルコールのみに溶解したことを意味する。
【0011】本発明の注射液は、通常、オザグレルナト
リウムを注射用水、例えば注射用蒸留水に溶解し、これ
に多価アルコールを添加し、さらに液量調整のために注
射用水を添加して攪拌混合することにより調製される
が、これに限定されるものではない。100%のプロピ
レングリコールの場合には、注射用水を使用せず、プロ
ピレングリコールのみにオザグレルナトリウムを溶解し
て調製する。100%のポリエチレングリコールおよび
100%のグリセリンの場合も同様にこれらの多価アル
コールのみに溶解する。また、本発明の水性注射剤に
は、医薬上許容されうる種々の添加剤、例えば防腐剤、
PH調整剤、緩衝剤等を添加することもできる。
【0012】本発明を下記の実施例によって説明する
が、これらの実施例により本発明が限定されるものでは
ない。
【0013】
【実施例】1.プロピレングリコール含有注射液 (1) 注射剤の調製 オザグレルナトリウム1.00gに注射用蒸留水を約2
0ml加えて溶解した後、5gのプロピレングリコールを
添加し、更に注射用蒸留水を添加して全量を100mlと
して攪拌混合し、プロピレングリコールを5w/v%含有
するオザグレルナトリウム含有注射液を調製した。同様
にして、プロピレングリコールを6、8、10、15、
20、30w/v%含有する注射剤を調製した。プロピレ
ングリコール100%の注射液は、オザグレルナトリウ
ム1.00gを直接100gのプロピレングリコールに
溶解させて調製した。なお、本実施例においては、オザ
グレルナトリウムを注射用蒸留水に溶解し、全量を10
0mlに調整したものを対照とした。
【0014】(2) 安定性試験 このように調製した注射液を孔径0.20μmのメンブ
ランフィルターで濾過後、2mlの通常(未処理)のガラ
スアンプルに充填して熔閉し、これを120℃で20分
間オートクレーブし、プロピレングリコール(PG)を
含有するアンプル剤を得た。得られたアンプルを、熱的
に過酷な条件である60℃で2週間または4週間保管
し、アンプル観察機(エーザイ社製 APK01)を用いてア
ンプル中の不溶性異物の生成につき検査した。不溶性異
物の検査は、アンプルの下部から強烈な白色光線を照射
し、アンプルを回転させて異物の存在を目で観察した。
各試料について9本のアンプルを検査し、下記の式: 不溶性異物の発生率=(異物の発生が確認された本数/
検査本数)×100(%) により不溶性異物の発生率を算出した。
【0015】更に、日本薬局方一般試験法液体クロマト
グラフ法試験に従い、アンプル内の溶液をHPLCによ
り検査し、保管後のオザグレルナトリウムの残存率を調
べた。これらの結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】サルファ処理したアンプルは、通常(未処
理)のガラスアンプルよりも不溶性異物が生成しにくい
ことが知られているため(特開平8−92102号公
報)、(1)にて調製した処方1および4〜8のプロピレ
ングリコール含有溶液をサルファ処理したアンプルに充
填して熔閉した。これを120℃で20分間オートクレ
ーブし、プロピレングリコール(PG)を含有するアン
プル剤を得て、同様の試験を行った。その結果を下記の
表2に示す。
【0018】
【表2】
【0019】表1および2に示されているように、プロ
ピレングリコールを添加していない対照では、保管後の
全てのアンプルで不溶性異物が観察されている。これに
対し、プロピレングリコールを6w/v%以上添加したア
ンプルでは不溶性異物は観察されず、プロピレングリコ
ールの添加によって不溶性異物の生成が抑制されたこと
がわかる。なお、HPLCによる分析は、保管後でもオ
ザグレルナトリウムは分解されることなく存在すること
を示している。
【0020】2.グリセリン含有注射液 (1) 注射剤の調製 オザグレルナトリウム1.00gに注射用蒸留水を約2
0ml加えて溶解した後、3g、5g、7g、10gまた
は15gの濃グリセリンを添加し、更に注射用蒸留水を
添加して全量を100mlとして攪拌混合した。また、オ
ザグレルナトリウム1.00gを直接100gのグリセ
リンに溶解させた。このようにして種々の量のグリセリ
ンを含有するオザグレルナトリウム含有注射液を調製し
た。なお、本実施例においても、オザグレルナトリウム
を注射用蒸留水に溶解し、全量を100mlとしたものを
対照とした。
【0021】(2) 安定性試験 このように調製した注射液を孔径0.20μmのメンブ
ランフィルターで濾過後、2mlのサルファ処理したガラ
スアンプルに充填して熔閉した。得られたアンプル剤を
各試料につき6本用いて、プロピレングリコールと同様
に安定性試験を実施した。この結果を下記の表3に示
す。
【0022】
【表3】
【0023】対照では全てのアンプルで不溶性異物が観
察されているが、グリセリンを添加したものでは不溶性
異物の生成が抑えられ、特にグリセリンを5w/v%以上
添加したアンプルでは、不溶性異物は全く観察されなか
った。
【0024】3.ポリエチレングリコール含有注射液 (1) 注射剤の調製 オザグレルナトリウム1.00gに注射用蒸留水を約2
0ml加えて溶解した後、2g、4g、6g、8g、10
g、20g、40gのポリエチレングリコールを添加
し、更に注射用蒸留水を添加して全量を100mlとして
攪拌混合した。また、オザグレルナトリウム1.00g
に約5mlの注射用蒸留水を添加して溶解した後、90g
のポリエチレングリコールを添加し、さらに注射用蒸留
水を添加して全量を100mlとして攪拌混合した。この
ようにして種々の量のポリエチレングリコールを含有す
るオザグレルナトリウム含有注射液を調製した。なお、
本実施例においても、オザグレルナトリウムを注射用蒸
留水に溶解し、全量を100mlとしたものを対照とし
た。なお、本実施例においては、ポリエチレングリコー
ルとしてマグロゴール400を用いた。
【0025】(2) 安定性試験 このように調製した注射液を孔径0.20μmのメンブ
ランフィルターで濾過後、2mlの通常(未処理)のガラ
スアンプルに充填して熔閉した。得られたアンプル剤を
各試料につき20本用いて、プロピレングリコールと同
様に安定性試験を実施した。ポリエチレングリコール
(PEG)についての結果を下記の表4に示す。
【0026】
【表4】
【0027】対照では全てのアンプルで不溶性異物が観
察されているが、ポリエチレングリコール(PEG)を
添加したものでは不溶性異物の生成が抑えられ、特にP
EGを4w/v%以上添加したアンプルでは、不溶性異物
は全く観察されなかった。
【0028】表1〜4の試験結果から、多価アルコール
を添加した本発明のオザグレルナトリウム含有注射液
は、過酷な条件下での保存においても不溶性異物を生成
せず、本発明のオザグレルナトリウム含有注射液は優れ
た保存安定性を有することが確認された。
【0029】
【発明の効果】本発明において、オザグレルナトリウム
含有注射液にプロピレングリコール、グリセリンまたは
ポリエチレングリコールなどの多価アルコールを添加す
ることにより、保存中に不溶性異物を生成しない安定な
オザグレルナトリウム含有注射液を提供することができ
る。このような注射液は、使用時に溶解の手間がかから
ず、且つ長期保存が可能なため非常に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/36 A61K 47/36 A61P 7/02 A61P 7/02 Fターム(参考) 4C076 AA12 BB12 CC11 DD38 DD67 EE23 EE38 FF15 FF16 FF43 GG47 4C086 AA01 BC38 MA02 MA03 MA05 MA17 MA66 NA03 ZA54

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オザグレルナトリウムおよび多価アルコ
    ールを含有する、オザグレルナトリウム含有注射液。
  2. 【請求項2】 多価アルコールが、プロピレングリコー
    ル、グリセリン、デキストラン40、D−マンニトー
    ル、D−ソルビトール、イノシトール、キシリトール、
    ポリエチレングリコール、果糖およびブドウ糖から選択
    される1種または2種以上である、請求項1記載のオザ
    グレルナトリウム含有注射液。
  3. 【請求項3】 多価アルコールがプロピレングリコー
    ル、グリセリンおよび/またはポリエチレングリコール
    である請求項1または2記載のオザグレルナトリウム含
    有注射液。
  4. 【請求項4】 多価アルコールがプロピレングリコール
    であり、その量が6w/v%〜100%である、請求項1
    〜3のいずれかに記載のオザグレルナトリウム含有注射
    液。
  5. 【請求項5】 多価アルコールがグリセリンであり、そ
    の量が5w/v%〜100%である、請求項1〜3のいず
    れかに記載のオザグレルナトリウム含有注射液。
  6. 【請求項6】 多価アルコールがポリエチレングリコー
    ルであり、その量が4w/v%〜100%である、請求項
    1〜3のいずれかに記載のオザグレルナトリウム含有注
    射液。
  7. 【請求項7】 多価アルコールを用いることを特徴とす
    るオザグレルナトリウム含有注射液の安定化方法。
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