JP2001300212A - 自動車用オイルフィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 濾過体５の通油抵抗を軽減できる自動車用オ
イルフィルタ１を提供すること。 【解決手段】 濾過体５は、繊維が混濁するスラリーの
中で図示しない治具を使用して吸引成形され、治具の表
面に繊維が堆積して形成される。この濾過体５は、コア
６の外周に略一定の幅で斜め上下方向に延びる板状の傾
斜面５ａを有し、この傾斜面５ａがＶ字形に連続してコ
ア６の全周に設けられている。この濾過体５は、各傾斜
面５ａの内側端面がコア６の外周面に密着して設けら
れ、且つ各傾斜面５ａの外側端面がケース２の内周面に
圧入されることにより、濾過体５のダスティサイドとク
リーンサイドとをシールしている。この構成では、ケー
ス２の内部に流入したオイルが濾過体５の各傾斜面５ａ
を下方から上方へ通り抜けることができる。この場合、
濾過体５の上流側でオイルの流れ方向が大きく変化する
ことがないので、使用時の通油抵抗を軽減できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、オイルを濾過する
ための自動車用オイルフィルタに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来技術として、例えば特開平１１−２
６７４２４号公報に開示されたオイルフィルタがある。
このオイルフィルタは、吸引成形によって治具の表面に
繊維を堆積させて形成された濾過体を使用するもので、
ケースの底面に開口する流入口からケースの内部に流入
したオイルが一旦ケースの内周面に沿って濾過体の外径
側へ流れ、濾過体を外径側から内径側へ半径方向にオイ
ルが通過するように構成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のオイル
フィルタは、ケースの内部（特に濾過体の上流側）でオ
イルの流れが大きく変化するため、通油抵抗が大きくな
り、濾過体の性能を十分に発揮できないという問題があ
った。本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、
その目的は、濾過体の通油抵抗を軽減できる自動車用オ
イルフィルタを提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】（請求項１の手段）本発
明の濾過体は、吸引成形により治具の表面に繊維を堆積
させて成形したもので、自身を通過するオイルの流れ方
向がフィルタケースの上下方向と略一致するように構成
され、且つ濾過表面が凹凸状に設けられている。この構
成によれば、濾過体の上流側でオイルの流れ方向が大き
く変化することがないので、従来技術で説明したオイル
フィルタより通油抵抗を軽減できる。また、濾過体は、
濾紙を折り曲げて製作したものではなく、吸引成形によ
り治具の表面に繊維を堆積させて成形しているため、本
発明の構成（濾過体を通過するオイルの流れ方向がフィ
ルタケースの上下方向と略一致し、且つ濾過表面が凹凸
状）でも、容易に成形することができる。

【０００５】（請求項２の手段）請求項１に記載した自
動車用オイルフィルタにおいて、濾過体は、流出路の外
周に配される環状体に設けられ、その内周面が流出路の
外周面に密着してシールされ、外周面がフィルタケース
の内周面に密着してシールされている。これにより、フ
ィルタケース内で濾過体を上下方向にオイルが通過でき
るように構成できる。

【０００６】

【発明の実施の形態】次に、本発明のオイルフィルタを
図面に基づいて説明する。 （第１実施例）図１はエレメントの斜視図である。本実
施例のオイルフィルタ１は、自動車のエンジンオイルを
濾過するもので、図２に示すように、ケース２、エレメ
ント（下述する）、逆止弁３、及び底プレート４等から
構成される。ケース２は、例えば鉄製で、図２に示す下
側のみ開口して、上側が袋状に閉じている。

【０００７】エレメントは、オイルを濾過するための濾
過体５と、この濾過体５を保持するコア６とで構成され
る。濾過体５は、繊維が混濁するスラリーの中で図示し
ない治具を使用して吸引成形され、治具の表面に繊維が
堆積して形成される。この濾過体５は、図１に示すよう
に、コア６の外周に略一定の幅で斜め上下方向に延びる
板状の傾斜面５ａを有し、この傾斜面５ａがＶ字形に連
続してコア６の全周に設けられている。

【０００８】コア６は、円筒形に設けられ、図２に示す
ように、ケース２内の中央部に配置されて、下側開口部
が下述のオイル流出口４ａに連通している。このエレメ
ントは、濾過体５の内周面（各傾斜面５ａの内側端面）
がコア６の外周面に密着して設けられ、且つ濾過体５の
外周面（各傾斜面５ａの外側端面）がケース２の内周面
に圧入されることにより、濾過体５のダスティサイドと
クリーンサイドとをシールしている。

【０００９】逆止弁３は、例えばゴム製で、下述のオイ
ル流入口４ｂから流入するオイルの流入圧力によって開
き、オイルの逆流（オイル流入口４ｂよりオイルが流出
すること）を防止している。また、この逆止弁３は、コ
ア６の下端部と底プレート４との間に介在されて両者間
を液密に塞いでいる。底プレート４は、自身の外表面に
薄い金属板７が一体的に組付けられ、この金属板７の外
周部をケース２の開口周縁部に巻き締めしてケース２の
開口端部に固定されている。この底プレート４には、中
央部にオイル流出口４ａが設けられ、そのオイル流出口
４ａの周囲に複数のオイル流入口４ｂが設けられてい
る。

【００１０】次に、オイルフィルタ１の作用を説明す
る。オイルフィルタ１は、オイル流出口４ａの内周面に
設けられた螺子部４ｃ（図２参照）をエンジン側のオイ
ルポート（図示しない）に螺子結合して取り付けられ
る。図示しないポンプによって汲み上げられたオイル
（エンジンの可動部を潤滑して汚れたオイル）は、オイ
ル流入口４ｂから逆止弁３を開いてケース２の内部に流
入し、濾過体５の各傾斜面５ａを図２の下方から上方へ
向かって通り抜ける。濾過体５を通過して浄化されたオ
イルは、図２に矢印で示すように、濾過体５の上方へ流
れ出た後、コア６の上端開口部からコア６の円筒内部へ
流れ込み、オイル流出口４ａより流出してエンジンに供
給される。

【００１１】（本実施例の効果）本実施例のオイルフィ
ルタ１は、ケース２の内部に流入したオイルが濾過体５
の各傾斜面５ａを下方から上方へ通り抜けることができ
る。この場合、濾過体５の上流側でオイルの流れ方向が
大きく変化することがないので、使用時の通油抵抗を軽
減できる。また、濾過体５は、濾紙を折り曲げて製作し
たものではなく、吸引成形により治具の表面に繊維を堆
積させて形成されるため、図１に示すような構成でも、
容易に成形することができる。

【００１２】（第２実施例）図３はエレメントの斜視図
である。本実施例のエレメントは、図３に示すように、
周方向に隣合う傾斜面５ａ同士の間に形成されるくさび
状の空間を、ダスティサイドのみ外周面５ｂを設けて塞
いだ一例である。なお、図３（ａ）はエレメントを斜め
上方から見た斜視図であり、図３（ｂ）はエレメントを
斜め下方から見た斜視図である。このエレメントは、濾
過体５の下端部が全周に渡って外周面５ｂを有している
ため、その外周面５ｂを有する下端部のみでケース２に
対しシールすることができ、第１実施例のエレメントと
比較してシール部を少なくできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】エレメントの斜視図である（第１実施例）。

【図２】オイルフィルタの断面図である（第１実施
例）。

【図３】エレメントの斜視図である（第２実施例）。

【符号の説明】

１ 自動車用オイルフィルタ ２ ケース（フィルタケース） ５ 濾過体 ５ａ 傾斜面（濾過表面） ６ コア（流出路）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】吸引成形により治具の表面に繊維を堆積さ
   せて成形した濾過体と、 この濾過体を内部に収納するフィルタケースとを有し、 前記濾過体は、自身を通過するオイルの流れ方向が前記
   フィルタケースの上下方向と略一致するように構成さ
   れ、且つ濾過表面が凹凸状に設けられていることを特徴
   とする自動車用オイルフィルタ。
2. 【請求項２】請求項１に記載した自動車用オイルフィル
   タにおいて、 前記フィルタケースの内部を上下方向に延びて設けら
   れ、前記濾過体を通って濾過されたオイルが流れる筒状
   の流出路を有し、 前記濾過体は、前記流出路の外周に配される環状体に設
   けられ、その内周面が前記流出路の外周面に密着してシ
   ールされ、外周面が前記フィルタケースの内周面に密着
   してシールされていることを特徴とする自動車用オイル
   フィルタ。